JPH11286071A - 金属化ポリプロピレンフィルム - Google Patents

金属化ポリプロピレンフィルム

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JPH11286071A
JPH11286071A JP10090329A JP9032998A JPH11286071A JP H11286071 A JPH11286071 A JP H11286071A JP 10090329 A JP10090329 A JP 10090329A JP 9032998 A JP9032998 A JP 9032998A JP H11286071 A JPH11286071 A JP H11286071A
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film
polypropylene
capacitor
polypropylene film
temperature
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JP10090329A
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Takashi Ueda
隆司 上田
Itsuo Nagai
逸夫 永井
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐絶縁破壊特性を一層向上させ、さらには高温
で長期使用時のコロナ発生による静電容量の減少や誘電
正接の増大を絶縁油を使用することなく抑制したコンデ
ンサーとし得る金属化ポリプロピレンフィルムを提供す
る。 【解決手段】少なくとも片面に金属層を設けた金属化ポ
リプロピレンフィルムにおいて、30℃から昇温過程で
生じるフィルムの長手方向の熱寸法変化率と、該金属化
ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンのア
イソタクチシティおよびアイソタクチックペンタッド分
率を特定の値とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレンフ
ィルムの少なくとも片面に金属層を設けた金属化ポリプ
ロピレンフィルムに関するものであり、更に詳しくは金
属化ポリプロピレンフィルムのポリプロピレンフィルム
部位をコンデンサーの誘電体として用いた場合に、高温
で長期に使用しても静電容量と誘電正接の変化が少な
く、保安性に優れたコンデンサーを提供しうる金属化ポ
リプロピレンフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属化ポリプロピレンフィルムは、その
優れた機械的特性、水蒸気バリア性能や電気特性から包
装用途やコンデンサー用途に広範に用いられている。
【0003】一般にポリプロピレンフィルムは、フィル
ムコンデンサーの誘電体として用いる代表的な素材の一
つであるが、もう一つの代表的素材であるポリエステル
フィルムと比較して誘電正接が小さいという特長から、
交流回路に装填されるコンデンサーとして好適に用いら
れているものの、最高使用温度が85℃程度に制限され
ていた。この原因として、使用温度が高温になると、フ
ィルムの非晶部、異物の影響等から、本来ポリプロピレ
ンフィルムの特長であるべき絶縁破壊強度が急激に低下
してしまい、特に長期間の使用に耐えられなくなる場合
があったからである。
【0004】一方、電気装置の小型化に伴い、素子の密
集化および高温化が進展し、従来のポリプロピレンフィ
ルムコンデンサーの最高使用温度をさらに上昇させたい
という要求が強くなってきている。このためには、従来
のポリプロピレンフィルムコンデンサーの最高使用温度
である85℃よりも高温でしかも長期に性能を維持する
必要があった。
【0005】また電気装置の小型化に伴い、上記の特性
の向上が望まれている一方でフィルムコンデンサーその
ものをさらに小型にしたいという要求も強くなってきて
いる。このためには、従来より交流回路に使用されるコ
ンデンサーでは交流電圧が印可されたときに発生するコ
ロナを抑えるためにフィルム層間に絶縁油を含浸する手
法が取られてきたものをコンデンサーの単位体積あたり
の静電容量を高める必要性から、絶縁油を含浸せずに使
用したいとの要求が強い。すなわち、従来より絶縁油に
コンデンサーを浸し、フィルム層間にある隙間を絶縁油
で満たすことが行われてきたが、絶縁油を使用すればコ
ンデンサーをケースに封入し、絶縁油がコンデンサーか
ら漏れ出さないようにする処置をする必要があり、必然
的にコンデンサーの形状が大きくなってしまうという問
題があった。
【0006】上述した課題を克服するためには、(1)
高温での電気特性が優れ、かつ(2)高温で絶縁油で含
浸することなく、コロナの発生を抑制することができる
フィルムが求められている。
【0007】課題の(1)について、特開平6−236
709号公報には灰分が低く、沸騰n−ヘプタン可溶分
が1〜10重量%であることから加工性に優れ、室温か
ら80℃までの電気絶縁性に優れた高分子絶縁材料が開
示されており、沸騰n−ヘプタン不溶部のアイソタクチ
ックペンタッド分率が90%以上のものが好ましいとの
示唆がある。
【0008】また、特開平7−25946号公報には同
じく沸騰ヘプタン不溶分が80重量%以上、特に好まし
くは96重量%以上であり、該沸騰ヘプタン不溶成分の
アイソタクチックペンタッド分率が0.970〜0.9
95の範囲にあるプロピレン重合体およびこれを用いた
成形体が提案されている。
【0009】しかし、これらに提案されたように、単に
沸騰n−ヘプタン不溶分のアイソタクチックペンタッド
分率の高い二軸配向ポリプロピレンフィルムでは、本発
明の目指す85℃を越える高温での耐絶縁破壊特性とこ
のフィルムを誘電体として用いたコンデンサー素子の長
期耐熱性が不十分であった。すなわち、上記の従来の技
術による立体規則性の高い二軸配向ポリプロピレンフィ
ルムは、沸騰n−ヘプタン不溶部のアイソタクチックペ
ンタッド分率がそこそこ高いものの、n−ヘプタン可溶
分のアイソタクチックペンタッド分率が低いため、フィ
ルムとしてのアイソタクチックペンタッド分率が結果と
して低く、立体規則性が不十分であった。またアイソタ
クチシティが極めて高い、いわゆる高結晶性の二軸配向
ポリプロピレンフィルムは、立体規則性が不十分である
が故に製膜性が極めて悪く、耐熱性と耐絶縁破壊特性に
優れた二軸配向ポリプロピレンフィルムを製造するため
の工業的に有用な技術として確立されるには至っていな
かった。
【0010】この欠点を解消するための技術として、特
公平4−28727号公報には、アイソタクチックペン
タッド分率が0.960〜0.990の範囲にあり、か
つ沸騰n−ヘキサンおよび沸騰n−ヘプタンで逐次抽出
した被抽出物の全量が3.0〜6.0%とすることで成
形性に優れた結晶性ポリプロピレンフィルムが提案され
ている。しかし、アイソタクチックペンタッド分率が十
分ではなく、高温での耐絶縁破壊特性が不十分であっ
た。
【0011】課題の(2)について、従来よりフィルム
層間の隙間を減らす検討が行われ、その1手法として、
フィルムを巻回し作成したコンデンサーの素子に熱を加
えることでフィルムの熱収縮を利用して巻き締まらせる
ことが広く採用されてきた。例えば、特開平7−502
24号公報には、120℃における熱収縮率が長さ方向
で4.0%以下、幅方向で0.8%以下である金属化ポ
リプロピレンフィルムの開示がある。このようなフィル
ムで巻き締まらせたコンデンサーは室温においてコロナ
の発生を抑えることが可能であるが、コンデンサーの晒
される雰囲気温度が高くなるに従って、コロナが発生
し、長期使用時の静電容量の減少や誘電正接の増大が認
められ、さらに使用しているフィルムのアイソタクチシ
ティおよび立体規則性が従来のものである場合には、特
に本発明で目指す85℃を超える温度での耐絶縁破壊特
性が十分ではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、ポリプ
ロピレンフィルムのアイソタクチシティとアイソタクチ
ックペンタッド分率を高度に制御することで、極めてア
イソタクチシティの高いポリプロピレンフィルムの製膜
を可能にし、さらに適正な製膜条件の採用により熱寸法
変化率を特定範囲とすることで、従来の技術では達成し
得なかった、ポリプロピレンフィルムの特徴である耐絶
縁破壊特性を一層向上させ、さらには高温で長期使用時
のコロナ発生による静電容量の減少や誘電正接の増大を
絶縁油を使用することなく抑制し得るコンデンサーが得
られることを見い出し本発明に至ったものである。
【0013】本発明の目的は、耐熱性に優れ、かつコン
デンサーの小型化の要求から絶縁油に含浸しなくても交
流回路において高温で長期に使用した場合に発生するコ
ロナを抑え、静電容量の減少や誘電正接の増大が少ない
コンデンサーとし得る金属化ポリプロピレンフィルムを
提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するものであって、30℃から昇温過程で生じるフィ
ルムの長手方向の熱寸法変化率が120℃において0〜
2%であるとともに、フィルムを構成するポリプロピレ
ンのアイソタクチシティが98〜99.5%であり、か
つアイソタクチックペンタッド分率が99%を越えるこ
とを特徴とする少なくとも片面に金属層を設けた金属化
ポリプロピレンフィルムである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の金属化ポリプロピレンフ
ィルムに用いられるポリプロピレンは、主としてプロピ
レンの単独重合体からなるが、本発明の目的を阻害しな
い範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含
有してもよく、プロピレンが単独ではない重合体がブレ
ンドされていてもよい。このような共重合成分やブレン
ド物を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロ
ピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテ
ン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチ
ルブテンー1、1−ヘキセン、4−メチルペンテンー
1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセ
ン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、
アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−
メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量
またブレンド量は、耐絶縁破壊特性、耐熱性の点から共
重合量は1mol%未満、ブレンド物は10重量%未満
が好ましい。
【0016】本発明において、ポリプロピレンフィルム
のアイソタクチシティは、製膜性の点で99.5%以下
であることが必要である。ここでアイソタクチシティと
はフィルムを沸騰n−ヘプタンで抽出した場合の、抽出
前フィルム重量に対する不溶分の重量の割合により定義
される。アイソタクチシティが高すぎると、特開平6−
236709号公報にあるように二軸配向したフィルム
を製造する際、延伸性が悪く、製膜が著しく困難とな
る。また耐熱性、耐絶縁破壊特性の点でアイソタクチシ
ティは98%以上である必要がある。良好な製膜性と耐
熱性、耐絶縁破壊特性のためにより好ましいアイソタク
チシティは98.5〜99.5%であり、さらには9
8.7〜99.3%が好ましい。
【0017】このようなアイソタクチシティを有するポ
リプロピレンフィルムとするには、原料であるポリプロ
ピレン樹脂の沸騰n−ヘプタンに溶けやすい低分子量成
分や、立体規則性の低い、いわゆるアタクチックの部分
の割合が適度に低いものを選択するなどの方法を採用す
ることができる。
【0018】本発明において、ポリプロピレンフィルム
の立体規則性は、13C−NMRにより測定したメチル基
の吸収ピークによるペンタッド分率により評価すること
ができる。一般的に、ポリプロピレン分子鎖における5
個の繰り返し単位(ペンタッド)の立体配座は、mmm
m、mmmr、rmmr、・・、rrrr、mrrr、
mrrmといったものがある。ここで、mはメソ(me
so)、rはラセモ(rasemo)の立体配座を示
す。
【0019】ポリプロピレンフィルムのペンタッド分率
は、例えばT.Hayashiらの報告[Polyme
r、29、138〜143(1988)]等にあるよう
に、上記各立体配座を有するセグメントの比率を13C−
NMRから求めることができる。これらの内、全メチル
基の吸収強度に対するmmmmの立体配座の割合すなわ
ちアイソタクチックペンタッド分率(以下mmmmと省
略する場合がある)はm(mmmm)m、m(mmm
m)r、r(mmmm)rの3つのヘプタッド分率の和
として定義される。
【0020】本発明のポリプロピレンフィルムのアイソ
タクチックペンタッド分率mmmmは、99%を越え
る。このようなフィルムは、極めて長いアイソタクチッ
クセグメントを持つ分子から構成されたポリプロピレン
からなっているため、高結晶性、高耐熱性、高耐絶縁破
壊特性のフィルムを与えうる。本発明のポリプロピレン
フィルムのmmmmは、高耐熱性、高耐絶縁破壊特性の
点で好ましくは99.1%以上であり、より好ましくは
99.2%以上であり、さらに好ましくは99.3%以
上である。
【0021】このような立体規則性を付与するには、原
料であるポリプロピレン樹脂の立体規則性を高度に制御
することが有効である。このような原料を作成する方法
としては、ポリプロピレンを重合する際の、触媒系(固
体触媒、外部添加電子供与性化合物)の選定やこれらの
純度により達成される。原料のポリプロピレン樹脂のm
mmmが高いものほどポリプロピレンフィルムのmmm
mが高くなる傾向が認められるが、原料の押出系内での
極度の熱劣化もmmmmを低下させるため、高温押出系
での原料の長時間滞留を避けるなどの構造的工夫、押出
条件が適宜選択される。
【0022】また本発明のポリプロピレンフィルムに用
いられるポリプロピレンの重合過程においては、金属を
含む化合物を触媒として用い、必要に応じ、重合後にこ
の残磋を除去することが一般的であるが、この残磋は樹
脂を完全に燃焼させた残りの金属酸化物の量を求めるこ
とで評価でき、本発明ではこれを灰分と呼ぶ。本発明の
ポリプロピレンフィルムの灰分は30ppm以下である
ことが好ましく、より好ましくは25ppm以下であ
り、さらに好ましくは20ppm以下である。
【0023】灰分が多すぎると、そのフィルムの耐絶縁
破壊特性が低下し、これを用いたコンデンサーの絶縁破
壊強度が低下する場合がある。灰分をこのような範囲と
するためには、触媒残磋の少ない原料を用いることが重
要であるが、製膜時の押出系からの汚染も極力低減する
などの方法、例えばブリード時間を1時間以上かけるな
どの方法を採用することができる。
【0024】本発明のポリプロピレンフィルムに用いら
れるポリプロピレンには、公知の添加剤、例えば結晶核
剤、酸化防止剤、熱安定剤、すべり剤、帯電防止剤、ブ
ロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤な
どを含有させてもよい。
【0025】これらの中で、酸化防止剤の種類および添
加量の選定は長期耐熱性にとって重要である。本発明の
ポリプロピレンフィルムに添加される酸化防止剤は立体
障害性を有するフェノール性のもので、そのうち少なく
とも1種は分子量500以上の高分子量型のものが溶融
押し時の飛散防止のために好ましい。この具体例として
は種々のものが挙げられるが、例えば2,6−ジ−t−
ブチル−p−クレゾール(BHT:分子量220.4)
とともに1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン(例えばチバガイギー製Irganox1330:分子量
775.2)またはテトラキス[メチレン−3(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]メタン(例えばチバガイギー製Irganox1010:
分子量1177.7)等を併用することが好ましい。こ
れら酸化防止剤の総含有量はポリプロピレン全量に対し
て0.03〜1重量%(300〜10000ppm)の
範囲が好ましい。含有量が少ないと長期耐熱性に劣る場
合があり、多すぎると、これら酸化防止剤のブリードア
ウトによる高温下でのブロッキングにより、コンデンサ
ー素子に悪影響を及ぼす場合がある。より好ましい含有
量は0.1〜0.9重量%であり、さらに好ましくは
0.2〜0.8重量%である。
【0026】本発明において、ポリプロピレンフィルム
に使用される立体規則性に優れたポリプロピレンの極限
粘度は、特に限定されないが、製膜性の点から1〜10
dl/gの範囲のものが好ましい。また、230℃、
2.16kg加重におけるメルトフローレートは製膜性
の点から1〜5g/10分のものが好ましい。極限粘度
やメルトフローレートを上記の値とするためには、平均
分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
【0027】本発明に用いられるポリプロピレンフィル
ムは、上述した特性を与えうる原料を用い、二軸配向さ
れることによって得られる。未配向のフィルムでは本発
明の目的とする高結晶性、高耐熱性、高耐絶縁破壊特性
のフィルムは得られない。二軸配向の方法としては、イ
ンフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延
伸法、ステンター逐次二軸延伸法のいずれの処方によっ
て得られるが、その中でも、製膜安定性、厚み均一性を
制御する点においてステンター逐次二軸延伸法により製
膜されたものが好ましく用いられる。
【0028】本発明に用いられる二軸配向されたポリプ
ロピレンフィルムの厚みは、製膜性や機械特性、電気特
性の点から2〜30μmが望ましく、好ましくは2.5
〜20μmである。フィルムの厚みが小さすぎると、絶
縁破壊強度や機械的強度に劣る場合があり、金属化、特
に熱負けによるフィルムの損傷が発生する場合がある。
また、フィルムの厚みが大きすぎると均一な厚みのフィ
ルムを製膜することが困難になり、またコンデンサー用
の誘電体として用いた場合、体積当たりの静電容量が小
さくなるため好ましくない。
【0029】また、本発明に用いられる二軸配向された
ポリプロピレンフィルムの両面の中心線平均表面粗さが
いずれも0.01〜0.4μmであることが好ましい。
中心線平均粗さが大きすぎると、フィルムを積層した場
合にフィルム層間に空気が入りコンデンサー素子の劣化
につながり、またフィルムに金属層を形成したとき金属
層に穴アキ等が発生し、高温時の絶縁破壊強度や素子ラ
イフが低下したり電圧印加時に電荷が集中し、絶縁欠陥
の原因となる場合がある。逆に小さすぎるとフィルムの
滑りが悪くなり、ハンドリング性に劣る場合がある。フ
ィルムの両面の中心線平均表面粗さの更に好ましい範囲
は0.03〜0.3μmであり、最も好ましくは0.0
4〜0.25μmである。
【0030】さらに、本発明に用いられる二軸配向され
たポリプロピレンフィルムの両面の最大粗さは、0.1
〜4.0μmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.
3〜3.0μmである。最大粗さが0.1μm未満で
は、滑り性が悪化し、空気抜けが悪く縦ジワ等が入り、
巻取性や取扱性が低下する場合がある。一方、Rtが
4.0μmを越えると、表面の粗面化が大きすぎてフィ
ルムを積層した場合に層間に空気が入りコンデンサー素
子の劣化につながるのみならず、フィルム破れが生じ、
生産性が低下する場合がある。
【0031】本発明の金属化ポリプロピレンフィルムは
上述した二軸配向したポリプロピレンフィルムの少なく
とも片面に金属層を形成することによって得られる。金
属層を形成していないフィルムではコンデンサーの誘電
体として用いた場合、金属箔をコンデンサー内部の電極
として用いる必要性からコンデンサーの形状が大きくな
り、小型にしたいとの要求に応えることができない。ま
た、内部電極としてフィルムの少なくとも片面に金属層
を設けることにより、コンデンサーにセルフヒーリング
と呼ばれる絶縁破壊部の自己修復能力を与え保安性を一
層保つことができる。
【0032】本発明の金属化ポリプロピレンフィルムに
は必要に応じ、一部金属層のない部分が面積比で5%以
下の範囲で設けられていてもよい。なお、コンデンサー
用に本発明の金属化ポリプロピレンフィルムを用いる場
合は、1対の電極を互いに絶縁するために金属層のない
部分(絶縁溝部)が長手方向にストライプ状に設けられ
ているのが一般的である。
【0033】本発明の金属化ポリプロピレンフィルムに
おいて二軸配向したポリプロピレンフィルムの少なくと
も片面に金属層を形成する手法は特に限定しないが、真
空蒸着法、スパッタリング法、イオンビーム法等が挙げ
られる。
【0034】また、本発明において金属層に用いられる
金属は、アルミニウム、亜鉛、銅、錫、銀、ニッケル等
を単独または併用で使用するのが金属化層の耐久性、生
産性の点で好ましく、亜鉛を主成分とする金属であるこ
とがコンデンサーに耐コロナ性が得られるためさらに好
ましい。ここで主成分となる金属とは金属層を形成する
金属の内、50wt%以上であることを示す。実際に金
属層を構成する個々の金属の含有量を定量するには、ま
ず一定量の金属層を塩酸を用いて溶解させた後、プラズ
マ発光分光計(ICP)にて個々の金属の含有量を定量
する方法が好ましく採用される。また、金属層として亜
鉛を主成分とし、主成分以外の金属としてアルミニウム
を用いた合金が耐コロナ性と適度なコンデンサーが破壊
したときの自己回復性(セルフヒール性)が両立される
ため更に好ましい。亜鉛とアルミニウムの合金を用いる
場合、亜鉛の含有量は80重量%以上95重量%以下
で、アルミニウムは5重量%以上20重量%以下が最も
好ましい。
【0035】さらに、本発明に用いられる二軸配向した
ポリプロピレンフィルムにおいて金属層を形成する面
に、接着力を高めるためコロナ放電処理あるいはプラズ
マ処理を行うことが好ましい。コロナ放電処理は公知の
方法を用いることができるが、処理をする際に雰囲気ガ
スとして空気、炭酸ガス、窒素ガスおよびこれらの混合
ガス中での処理が好ましい。またプラズマ処理は、種々
の気体をプラズマ状態におき、フィルム表面を化学変成
させる方法を採用することができ、例えば特開昭59−
98140号公報に記載されている方法などがある。
【0036】本発明において,金属化ポリプロピレンフ
ィルムの膜抵抗値は1Ω/□〜20Ω/□の範囲が好ま
しく採用される。より好ましくは1.5Ω/□〜15Ω
/□である。膜抵抗値が小さすぎると、蒸着膜の厚みが
厚く蒸着時に熱負けが生じアバタ状の表面欠点や4μm
前後の薄いフィルムでは穴アキ等が発生することがあ
り、さらに。膜抵抗値が大きすぎると誘電正接が悪化
し、交流課電時にコンデンサーの内部からの発熱により
長期耐圧が保たれなくなることがある。膜抵抗値をこの
範囲とするには、蒸着時の膜抵抗値のモニターにより制
御する方法が好ましく採用される。
【0037】また、本発明において金属層の膜抵抗値は
フィルム幅方向に連続的に変化し、外部電極との接触部
が最も膜抵抗値が低く、絶縁溝部に近い、すなわち実質
的にフィルム誘電体を挟んで内部電極として実際に機能
する部分の膜抵抗値が相対的に高いことが好ましい。具
体的には、フィルム幅方向に最小2Ω/□から最大10
Ω/□の範囲で連続的に抵抗値が変化する金属層を設け
た構成とすることが好ましい。かかる構成は、金属層を
形成するときに基材フィルムと金属との間に基材フィル
ムの走行方向に延びた櫛状防着板を設置することで、フ
ィルム幅方向に金属のフラックスの強弱を設けること等
で達成できる。
【0038】さらに、本発明において二軸配向されたポ
リプロピレンフィルムに金属層を形成する時に設けられ
る絶縁溝部(電気絶縁目的などにより金属層を形成する
面に設けられる金属層のない部分)の仕様は、通常タイ
プ以外にヒューズ機構を設けた種々のものなど目的に応
じて採用でき、特に内部電極となる金属層がフィルムの
幅方向の一方の端部にフィルムの長手方向に連続して絶
縁溝部を設けて形成されるとともに、フィルムに放電破
壊が生じた際の電流により、該放電破壊の周辺の内部電
極を放電が生じていない他の内部電極部分と電気的に絶
縁する保安機能を有する内部電極を形成するとコンデン
サーの連続使用後の容量変化を最小限に抑えることがで
きるので好ましい。
【0039】また本発明者らは絶縁油を含浸することな
くコンデンサー内でのコロナの発生を抑える手法につい
て鋭意検討した結果、コンデンサー素子のフィルム層間
の隙間(空気層)がコロナの発生と密接に関係している
ことに着目し、コンデンサー素子のフィルム層間の隙間
がコンデンサーの使用温度範囲内で大幅に広がらないフ
ィルムとすることでコロナが抑えることができることを
知見し、本発明に到達した。
【0040】従来よりフィルム層間の隙間を減らす手法
としては、フィルムを巻回し作成したコンデンサーの素
子に熱を加えることでフィルムの熱収縮を利用して巻き
締まらせることが広く採用され、フィルムを巻き締まら
せたコンデンサーは室温においてコロナの発生を抑える
ことが可能であった。しかしながらコンデンサーの晒さ
れる雰囲気温度が高くなるに従って、コロナが発生し始
め、特に本発明の目指す85℃を超える温度での使用に
耐えなくなるという現象が起こることが判った。これ
は、コンデンサーの雰囲気温度が上昇するに従って、フ
ィルムが本来有する可逆的な熱膨張に原因があることを
知見した。すなわち、室温においては一見フィルムが十
分に巻き締まっており、コロナが発生しないコンデンサ
ーであっても、温度の上昇とともにフィルムに熱膨張が
起こる結果、フィルムの巻き締まりが緩み始め、ある温
度以上ではフィルム層間に隙間を生じるためにコロナが
発生することが判った。従って、上述したように素子に
熱を加え、フィルムの不可逆的な熱収縮を利用して巻き
締まらせる手法を採用する場合は、高温でコンデンサー
を使用した場合でもフィルム層間に隙間が生じないだけ
の十分な収縮を行っておく必要がある。
【0041】それではどの程度のフィルムの収縮が必要
であるか、についての判断材料としては、フィルムに一
定の荷重をかけ、雰囲気温度を上昇させたときの熱寸法
変化率を追跡する手法が好ましく採用される。この測定
方法の利点は、JIS−C2318等に記載の測定方法
のように一定温度のオーブンにフィルムサンプルを一定
時間晒した後フィルムサンプルを取り出し、室温に戻っ
たフィルムサンプルの寸法とオーブンに入れる前の寸法
との差として求めた熱収縮率とは異なり、フィルムサン
プルの寸法変化の温度依存性をそれぞれの温度における
フィルムの可逆的な熱膨張分と不可逆的な熱収縮分を加
味して測定できることにある。このような測定方法の採
用により、例えばコンデンサーを120℃程度の温度条
件下でも使用したい場合には、120℃におけるフィル
ムの可逆的な熱膨張分と不可逆的な熱収縮分を加味した
熱寸法変化率が0%または収縮サイドであればよいこと
になる。
【0042】上記により、本発明の金属化ポリプロピレ
ンフィルムは、30℃から昇温過程で生じるフィルムの
長手方向の熱寸法変化率が120℃において0〜2%で
あることが必要である。なお、30℃から昇温過程で生
じるフィルムの長手方向の120℃における熱寸法変化
率は、次のように定義する。すなわち、真空理工(株)
製測定モジュールTM−9400型およびデータ解析装
置として同社製熱分析システムMTS−9000型を用
いて、フィルムサンプルを幅5mmのフィルムの長手方
向に長い短冊状にサンプリングし、長手方向にサンプル
ホルダーの自重を含めて一定荷重0.8MPaを負荷さ
せた状態で25℃から昇温速度10℃/minで昇温す
る。なお、サンプルの初期長は15mmで行う。このと
き、30℃でのフィルムサンプル長L30(mm)と12
0℃でのフィルムサンプル長L12 0(mm)を求め、次
式(1)により熱寸法変化率を算出するものと定義す
る。
【0043】 熱寸法変化率=(L30−L120)/15 × 100(%) (1)
【0044】長手方向の熱寸法変化率が120℃におい
て0%未満では、120℃付近の高温領域でコンデンサ
ーを使用したときにコロナの発生が起こるため、金属層
の劣化による静電容量の減少や誘電正接の上昇が生じ
る。一方、2%を越えるものでは高温領域での使用には
耐えるが、室温付近での使用時に誘電体であるフィルム
に過度にストレスがかかりすぎるため、耐絶縁破壊特性
が劣るものとなる。本発明の金属化ポリプロピレンフィ
ルムの30℃から昇温過程で生じるフィルムの長手方向
の熱寸法変化率としてさらに好ましくは120℃におい
て0.5〜1.5%である。
【0045】また、本発明の金属化ポリプロピレンフィ
ルムは、30℃から昇温過程で生じるフィルムの幅方向
の熱寸法変化率が120℃において−1〜1%の範囲で
あることが好ましい。幅方向の熱寸法変化率が120℃
において−1%未満や1%を越える場合、外部電極との
接触が悪くなり誘電正接の悪化の1要因となる場合があ
る。この観点からフィルムの幅方向の熱寸法変化率が1
20℃において−0.5〜0.5%の範囲であることが
さらに好ましい。
【0046】次に本発明の金属化ポリプロピレンフィル
ムの製造方法を以下に説明するが、必ずしもこれに限定
されるものではない。
【0047】まず、ポリプロピレン原料を押出機に供給
し、加熱溶融し、濾過フィルターを通した後、220〜
320℃の温度でスリット状口金から溶融押出し、40
〜85℃の温度に保たれたキャスティングドラムに巻き
付けて冷却固化せしめ、未延伸フィルムを作る。このと
きキャスティングドラム温度が高すぎるとフィルムの結
晶化が進行しすぎ後の工程での延伸が困難になる場合が
ある。
【0048】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸して、
二軸配向せしめる。まず未延伸フィルムを120〜15
0℃に保たれたロールに通して予熱し、引き続き該シー
トを140℃〜150℃の温度に保ち周速差を設けたロ
ール間に通し、長手方向に2〜6倍に延伸し、ただちに
室温に冷却する。本発明のmmmmが99%を越えるポ
リプロピレンフィルムは、予熱温度130℃以下、延伸
温度140℃以下では熱量が不足して延伸ムラを起こし
たり破けて製膜できない場合があり、140℃を越える
延伸温度を採用することが重要である。
【0049】引き続き該延伸フィルムをステンターに導
いて、155〜165℃の温度で幅方向に5〜15倍に
延伸し、次いで幅方向に2〜20%の弛緩を与えつつ、
130〜150℃の温度で熱固定して巻取る。
【0050】なお、本発明の金属化ポリプロピレンフィ
ルムに適用しうる二軸配向したポリプロピレンフィルム
として、ポリプロピレン原料のメルトフローレートが低
いものを採用したり、延伸条件の適正化として複屈折を
−2x10-2〜−1x10-2の範囲に制御したり、熱固
定温度をフィルムの厚みむらが悪化しない範囲で低温に
するなどの手法が有効である。
【0051】その後、二軸配向したポリプロピレンフィ
ルムの蒸着を施す面に蒸着金属の接着性を良くするため
に、空気中、窒素中、炭酸ガス中あるいはこれらの混合
気体中でコロナ放電処理を行いワインダーで巻取る。
【0052】得られたフィルムを真空蒸着装置にセット
し、目的に応じた金属を、所定の膜抵抗に蒸着する。ま
た必要に応じ絶縁溝部を形成するために蒸着前にグラビ
アコーティング等でオイルを塗布し、オイルが塗布され
た部位が蒸着されない手法を採用することができる。
【0053】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、さらに詳しく
説明する。なお、物性及び評価の測定方法については、
以下に述べる手法により行った。
【0054】(1)アイソタクチシティ(アイソタクチ
ックインデックス:II) 試料を60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出
し、ポリプロピレンへの添加物を除去する。その後13
0℃で2時間真空乾燥する。これから重量W(mg)の
試料をとり、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプタ
ンで12時間抽出する。次に、この試料を取り出しアセ
トンで十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥しそ
の後常温まで冷却し、重量W’(mg)を測定し、次式
で求めた。
【0055】II=(W’/W)×100(%)
【0056】(2)アイソタクチックペンタッド分率 試料をo−ジクロロベンゼン/ベンゼン−D6に溶解
し、JEOL製JNM−GX270装置を用い、共鳴周
波数67.93MHzで13C−NMRを測定した。得ら
れたスペクトルの帰属およびペンタッド分率の計算につ
いては、T.Hayashiらが行った方法[Poly
mer,29,138〜143(1988)]に基づ
き、メチル基由来のスペクトルについて、mmmmmm
ピークを21.855ppmとして各ピークの帰属を行
い、ピーク面積を求めてメチル基由来全ピーク面積に対
する比率を百分率で表示した。詳細な測定条件は以下の
とおりである。
【0057】測定溶媒 :o−ジクロロベンゼン(90
wt%)/ベンゼン−D6(10wt%) 試料濃度 :15〜20wt% 測定温度 :120〜130℃ 共鳴周波数:67.93MHz パルス幅 :10μsec(45゜パルス) パルス繰り返し時間:7.091sec データ点 :32K 積算回数 :8168 測定モード:ノイズデカップリング
【0058】(3)熱寸法変化率 真空理工(株)製測定モジュールTM−9400型およ
びデータ解析装置として同社製熱分析システムMTS−
9000型を用いて、フィルムサンプルを幅5mmのフ
ィルムの測定したい方向に長い短冊状にサンプリング
し、測定したい方向にサンプルホルダーの自重を含めて
一定荷重0.8MPaを負荷させた状態で25℃から昇
温速度10℃/minで昇温した。なお、サンプルの初
期長は15mmで行った。このとき、30℃でのフィル
ムサンプル長L30(mm)と120℃でのフィルムサン
プル長L120(mm)を求め、次式(1)により熱寸法
変化率を算出した。
【0059】 熱寸法変化率=(L30−L120)/15 × 100(%) (1)
【0060】(4)複屈折の測定 JIS−K7105に規定された方法に従って、ナトリ
ウムD線を光源としてアッベ屈折率計を用いて長手方
向、幅方向の屈折率を測定した(それぞれnMD、nT
Dとする)。ここで、マウント液はサリチル酸メチルを
用い、25℃、65%RHにて測定した。次に下記式
(2)により複屈折を算出した。なお、蒸着フィルムの
測定は一旦、蒸着フィルムを1Nの水酸化ナトリウム水
溶液に浸し、蒸着金属を溶解後、精製水で洗浄した後に
測定した。
【0061】 複屈折=nMD−nTD (2)
【0062】(5)灰分 JIS−C−2330に準ずる。初期重量W0の二軸配
向ポリプロピレンフィルムを、白金坩堝に入れ、まずガ
スバーナーで十分に燃やした後、750〜800℃の電
気炉で、約1時間処理して完全灰化し、得られた灰の重
量W1を測定し、下式から求めた。
【0063】 灰分=(W1/W0)×1000000(ppm) W0:初期重量(g) W1:灰化重量(g)
【0064】(6)フィルム厚み ダイヤルゲージ式厚み計(JIS−B−7503)を用
いて測定した。
【0065】(7)素子絶縁破壊強度 25℃および115℃に保持されたコンデンサー素子
を、春日電気(株)製交流高圧安定化電源(周波数60
Hz)に接続し、200V/秒の速度で昇圧しながら電
圧を印加し、素子が破壊された時の電圧を求め、10素
子測定した平均値をそれぞれの温度の素子絶縁破壊強度
とした。
【0066】(8)素子ライフテスト コンデンサー素子10個のそれぞれについてライフテス
トに入る前に25℃での静電容量C0と誘電正接D0を測
定した。次にそれぞれのコンデンサー素子を115℃の
オーブンに入れ、交流電圧(60Hz)を6時間連続印
可、2時間連続無印可を1サイクルとして200サイク
ル繰り返した。なお、交流電圧値は誘電体として使用し
たポリプロピレンフィルムのフィルム厚みに対して65
V/μmに設定した。次に200サイクルの高温負荷テ
ストを終えたそれぞれのコンデンサー素子について25
℃での静電容量C1と誘電正接D1を測定し、次式からラ
イフテスト前後の静電容量変化率△Cと誘電正接変化率
△Dをそれぞれのコンデンサー素子について求め、コン
デンサー素子10個の平均値を求めた(なお、ライフテ
ストの途中で破壊したコンデンサー素子がある場合は、
破壊したコンデンサー素子を除外して平均値を求め
た)。いずれの変化率も小さいほどコンデンサーとして
良好であるといえる。
【0067】 △C = (C1−C0)/C0 × 100(%) △D = (D1−D0)/D0 × 100(%)
【0068】(9)中心線平均表面粗さ、最大粗さ(以
下それぞれ、Ra、Rtとする) JIS−B0601に従って、触針式表面粗さ計を用い
て測定した。なお、小坂研究所(株)製、高精度薄膜段
差測定器(型式:ET−10)を使用し、触針径円錐型
0.5μmR、荷重5mg、カットオフは0.08mm
とした。
【0069】(比較例1)IIが99.0%、mmmm
が99.3%、灰分が15ppm、極限粘度が1.8d
l/g、メルトフローレートが2.8g/10分のポリ
プロピレンに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
(BHT)3000ppm、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン(例えばチバガイギー製Ir
ganox1330)4000ppmを添加したポリプロピレン
原料を押出機に供給して280℃の温度で溶融し、T型
口金からシート状に押出成形し、85℃の温度のキャス
ティングドラムに巻き付けて冷却固化させ、そのシート
をキャスティングドラムよりはがした後、60℃のロー
ルで徐冷を行い、室温に戻した。
【0070】次いで、得られたシートを143℃で予熱
し、引き続き148℃の温度に保ち周速差を設けたロー
ル間に通し、長手方向に5倍に延伸した。引き続きその
フィルムをテンターに導き、163℃の温度で幅方向に
8倍延伸し、次いで幅方向に10%の弛緩を与えながら
145℃で熱処理を行ない4.5μmの厚みの二軸配向
ポリプロピレンフィルムを得た。さらに30W・min
/m2の処理強度で大気中でコロナ放電処理を行った。
得られたフィルムのIIは98.9%、mmmmは9
9.2%、複屈折は−0.5×10-2であった。
【0071】このフィルムを真空蒸着機にセットし、銅
を核付け金属とし、コロナ処理面に亜鉛(アルミニウム
8重量%含有)を膜抵抗が4.0Ω/□になるように蒸
着した。このとき、オイルマージン法によりスリット後
に図1の如く金属層1がフィルムの幅方向の一方の端部
にフィルムの長手方向に連続した絶縁溝部2(マージン
部:幅方向の長さ1mm)を設けて形成されると伴に、
該金属層1が絶縁溝部3(長手方向の幅1mm)により
フィルムの長手方向に複数個の島状に分離されるように
長手方向の間隔30mmごとに設け、かつフィルムの幅
方向のもう一方の端部の連続した金属層(幅1mm)と
隘路4(長手方向、幅方向ともに1mm)により接続さ
れるように蒸着を行った。このフィルムをスリットし、
全幅30mmの金属化ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルム一対2リールを用いて素子巻し、素子
の端面に金属溶射し、ここからリード線を取り出して容
量6μFのコンデンサー素子を作成した。得られた金属
化ポリプロピレンフィルムとコンデンサー素子について
の評価結果を表1にまとめた。
【0072】(実施例1)比較例1のポリプロピレン原
料を用い、幅方向の延伸を163℃で11倍にした以外
は比較例1と同様の方法でポリプロピレンフィルム(I
Iは98.9%、mmmmは99.2%、複屈折は−
1.3×10-2)を得、次いで比較例1と同様な蒸着方
法で金属化ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフ
ィルム一対2リールを用いて素子巻し、素子の端面に金
属溶射し、ここからリード線を取り出して容量6μFの
コンデンサー素子を作成した。得られた金属化ポリプロ
ピレンフィルムとコンデンサー素子についての評価結果
を表1にまとめた。
【0073】(比較例2)IIが98.6%、mmmm
が98.9%、灰分が15ppm、極限粘度が1.8d
l/g、メルトフローレートが2.8g/10分のポリ
プロピレンに比較例1と同じ酸化防止剤を同量添加した
ポリプロピレン原料を用い、幅方向の延伸を163℃で
11倍にした以外は比較例1と同様の方法でポリプロピ
レンフィルム(IIは98.5%、mmmmは98.8
%、複屈折は−2.1×10-2)を得、次いで比較例1
と同様な蒸着方法で金属化ポリプロピレンフィルムを得
た。得られたフィルム一対2リールを用いて素子巻し、
素子の端面に金属溶射し、ここからリード線を取り出し
て容量6μFのコンデンサー素子を作成した。得られた
金属化ポリプロピレンフィルムとコンデンサー素子につ
いての評価結果を表1にまとめた。なお、本金属化ポリ
プロピレンフィルムを用いたコンデンサーは素子ライフ
テストにおいて10個のコンデンサーの内の5個で絶縁
破壊が起こった。
【0074】(実施例2)比較例1のポリプロピレン原
料を用い、幅方向の延伸を160℃で11倍にした以外
は比較例1と同様の方法でポリプロピレンフィルム(I
Iは98.9%、mmmmは99.2%、複屈折は−
1.6×10-2)を得、次いで比較例1と同様な蒸着方
法で金属化ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフ
ィルム一対2リールを用いて素子巻し、素子の端面に金
属溶射し、ここからリード線を取り出して容量6μFの
コンデンサー素子を作成した。得られた金属化ポリプロ
ピレンフィルムとコンデンサー素子についての評価結果
を表1にまとめた。
【0075】(実施例3)比較例1のポリプロピレン原
料を用い、幅方向の延伸を160℃で11倍にし、次い
で幅方向に12%の弛緩を与えた以外は比較例1と同様
の方法でポリプロピレンフィルム(IIは98.9%、
mmmmは99.2%、複屈折は−1.5×10-2)を
得、次いで比較例1と同様な蒸着方法で金属化ポリプロ
ピレンフィルムを得た。得られたフィルム一対2リール
を用いて素子巻し、素子の端面に金属溶射し、ここから
リード線を取り出して容量6μFのコンデンサー素子を
作成した。得られた金属化ポリプロピレンフィルムとコ
ンデンサー素子についての評価結果を表1にまとめた。
【0076】(実施例4)比較例1のポリプロピレン原
料を用い、幅方向の延伸を160℃で12倍にした以外
は比較例1と同様の方法でポリプロピレンフィルム(I
Iは98.9%、mmmmは99.2%、複屈折は−
1.8×10-2)を得、次いで比較例1と同様な蒸着方
法で金属化ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフ
ィルム一対2リールを用いて素子巻し、素子の端面に金
属溶射し、ここからリード線を取り出して容量6μFの
コンデンサー素子を作成した。得られた金属化ポリプロ
ピレンフィルムとコンデンサー素子についての評価結果
を表1にまとめた。
【0077】(実施例5)比較例1のポリプロピレン原
料を用い、長手方向の延伸を145℃で5倍にした以外
は比較例1と同様の方法でポリプロピレンフィルム(I
Iは98.9%、mmmmは99.2%、複屈折は−
2.2×10-2)を得、次いで比較例1と同様な蒸着方
法で金属化ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフ
ィルム一対2リールを用いて素子巻し、素子の端面に金
属溶射し、ここからリード線を取り出して容量6μFの
コンデンサー素子を作成した。得られた金属化ポリプロ
ピレンフィルムとコンデンサー素子についての評価結果
を表1にまとめた。
【0078】(比較例3)比較例1のポリプロピレン原
料を用い、幅方向の延伸を158℃で12倍にした以外
は比較例1と同様の方法でポリプロピレンフィルム(I
Iは98.9%、mmmmは99.2%、複屈折は−
2.8×10-2)を得、次いで比較例1と同様な蒸着方
法で金属化ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフ
ィルム一対2リールを用いて素子巻し、素子の端面に金
属溶射し、ここからリード線を取り出して容量6μFの
コンデンサー素子を作成した。得られた金属化ポリプロ
ピレンフィルムとコンデンサー素子についての評価結果
を表1にまとめた。
【0079】(比較例4)IIが99.8%、mmmm
が99.5%、灰分が15ppm、極限粘度が1.8d
l/g、メルトフローレートが2.8g/10分のポリ
プロピレン原料を用い、比較例1と同様の方法でポリプ
ロピレンフィルムの作製を試みたが、幅方向の延伸後で
フィルム破れが頻発し、安定してフィルムを採取するこ
とができなかった。
【0080】
【表1】
【0081】
【発明の効果】本発明の金属化ポリプロピレンフィルム
により、ポリプロピレンフィルムの特徴である耐絶縁破
壊特性を一層向上させ、さらには高温で長期使用時のコ
ロナ発生による静電容量の減少や誘電正接の増大を絶縁
油を使用することなく抑制できるコンデンサーを得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による片面に金属層を設け、
電極を島状に分離したポリプロピレンフィルムの平面図
である。
【符号の説明】
1.金属層(内部電極) 2.絶縁溝部(マージン部) 3.絶縁溝部(電極を島状に分離) 4.隘路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】30℃から昇温過程で生じるフィルムの長
    手方向の熱寸法変化率が120℃において0〜2%であ
    るとともに、フィルムを構成するポリプロピレンのアイ
    ソタクチシティが98〜99.5%であり、かつアイソ
    タクチックペンタッド分率が99%を越えることを特徴
    とする少なくとも片面に金属層を設けた金属化ポリプロ
    ピレンフィルム。
  2. 【請求項2】金属層を構成する金属が主に亜鉛からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の金属化ポリプロピレン
    フィルム。
  3. 【請求項3】30℃から昇温過程で生じるフィルムの幅
    方向の熱寸法変化率が120℃において−1〜1%であ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2記載の金属
    化ポリプロピレンフィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002154187A (ja) * 2000-09-05 2002-05-28 Toray Ind Inc ポリプロピレンフィルムおよびフィルムコンデンサー
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