JP2001272519A - カラーフィルター用中間品の作製方法、カラーフィルターの作製方法、カラーフィルター並びに画像表示装置及び画像入力装置 - Google Patents
カラーフィルター用中間品の作製方法、カラーフィルターの作製方法、カラーフィルター並びに画像表示装置及び画像入力装置Info
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Abstract
れることなく、インク弾きの問題のない高品質のカラー
フィルターを得ることのできるカラーフィルター用中間
品の作製方法及びカラーフィルターの作製方法、カラー
フィルター並びに画像表示装置、画像入力装置を提供す
ること。 【解決手段】ブラックマトリックス部と画素形成部を有
するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質的に
溶解する界面活性剤を使用して表面を改質する処理を施
し、次いで100℃以上300℃以下の加熱処理工程を
経るカラーフィルター用中間品の作製方法であり、この
中間品の作製方法により作製されたカラーフィルター用
中間品の画素形成部にインクを付着させるカラーフィル
ターの作製方法であり、このカラーフィルターの作製方
法により作製されたカラーフィルター、このカラーフィ
ルターの作製方法により作製されたカラーフィルターを
用いる画像表示装置及び画像入力装置。
Description
用中間品の作製方法、カラーフィルターの作製方法、カ
ラーフィルター及び画像表示装置に関し、詳しくはカラ
ー液晶ディスプレー、カラービデオカメラ、イメージス
キャナー、パーソナルコンピューターなどに使用されて
いる画像表示装置あるいはCCDデバイス等に使用され
ている画像入力装置(撮像装置を含む)に用いるカラー
フィルター用中間品の作製方法、カラーフィルター及び
その作製する方法に関するものである。
の急速な発展に伴い、液晶ディスプレイの需要が増加す
る傾向にあり同時に装置のコストダウンも要求され、特
にコストの高いカラーフィルターのコストダウン要求が
高まっている。即ち製造工程が短く歩留まりが良く、優
れた品質のカラーフィルター及びその製造方法が望まれ
ているが、未だに満足できるものは実現できていない。
ルー(B)、グリーン(G)、レッド(R)の3色フィ
ルターを適当に配列して作製する。各色のフィルターが
各画素を形成し、一つの画素が形成するセルの大きさは
(60μm〜100μm)×(180μm〜300μ
m)程度であり、各画素セルは表面反射を防ぐため高さ
1〜2μmの黒い隔壁、即ち、ブラックマトリックス
(以下、BMとも言う)で囲まれている。
造工程が複雑で長いため、収率が低くコストが高くなり
低コストで高品位なカラーフィルターが望まれている。
ーフィルターの第1の製造法は、染色法である。この方
法は、支持基板上に可染性の感光性高分子膜を形成し、
フォトリソグラフィーによりフィルター形状に合わせて
パターニングし出来上がったパターンを染色する。この
操作を3回繰り返し保護層を設けてB、G、R3色を有
するフィルターを形成する。
は支持基板上に顔料を分散した感光性樹脂膜を形成し、
これをパターニングすることにより単色のパターンを得
る。この操作を3回繰り返し、更に、保護層を設けて
B、G、R3色を有するフィルターを形成する。
持基板上に電極でフィルターのパターンを形成する。次
に、顔料、樹脂及び溶剤を含有する電着塗装液に浸漬
し、電極に通電して第一色を電着する。この操作を3回
繰り返し、保護層を設けてB、G、R3色を有するフィ
ルターを形成する。
硬化性樹脂に顔料を分散してガラス基板上に印刷する。
この操作を3回繰り返し、保護層を設けてB、G、R3
色を有するフィルターを形成する。
は、B、G、R3色を着色するため、感光性樹脂のスピ
ンコート、露光、現像や、電着、印刷等の工程を3回繰
り返す必要が有り、材料の無駄が多く工程が長いため、
汚染の機会が増え、歩留まりが低下し、コストが高くな
るという欠点を有していることである。更に、電着法で
は電極上に色素を析出させるので、電極パターンを電気
的につなげる必要があり、フィルターのパターン形状が
限定されるため、現状ではTFT用には適用が困難であ
る。また、印刷法、例えばオフセット印刷は、インクを
2回転写するので転写パターンの解像度が悪く、ファイ
ンピッチパターンの形成が難しく、フィルター表面に凹
凸を生じるので表面を平坦化処理する必要がある。
ット方式を用いたカラーフィルターが提案されている。
これは従来法と異なり、B、G、Rの各色を基板上にノ
ズルから噴射して着色層を形成する方法である。この方
法によれば、必要な場所に必要な量のインクを必要な時
に付着させることが出来るのでインクが無駄にならな
い。又、B、G、Rの着色層を同時に形成するので、製
造プロセスが短縮され大幅なコストダウンが可能にな
る。
形成した画素形成部(以下、凹部と呼ぶことがある。)
にインクを吐出して着色層を形成する時、支持基板は布
や紙と異なりインクを吸収しないので一つの画素(凹
部)からインクが溢れ出し、隣りの画素(凹部)のイン
クと混色し易い。また、使用するインクの物性値、例え
ば表面張力や粘度等が支持基板の物性値、例えば表面自
由エネルギーと適合しないと着色層が弾かれて、フィル
ター層の膜厚に偏りが生じ色濃度が不均一になったり白
抜けが発生し易い。更に、着色層の表面が荒れ易いので
液晶層と均一に接触出来なくなる等の問題がある。
に能率が高く材料の無駄が少ないので低コストでカラー
フィルターを製造出来るが、上述の様に凹部間でインク
が混合しやすく、又凹部内でインク濃度が不均一になっ
たり、特に大きな問題は凹部の一部や凸部と凹部の境界
でインクが欠けたり、白抜けが発生し易い欠点を持って
いる。
しない様に、一つの凹部に吐出したインクがブラックマ
トリックス部(以下、凸部と呼ぶことがある。)の表面
を乗り越えて隣りの凹部に侵入しない様にすることが望
ましい。更に、凹部ではインクが均一に広がる様になる
ことが好ましい。
は撥インク性を凹部には親インク性を持たせる処理が行
われる。しかし、親インク性の凹部を撥インク性の凸部
で取り囲むことになるので、凹部内でインクが均一に広
がっても凸部と接触する部分ではインクが弾かれて、凹
部の周辺で色濃度が低下したり、白抜けを発生し易いの
で、表示される色画像のコントラストが低下する問題が
ある。
フィルターを製造するには、支持基板(ガラス基板)を
撥インク領域と親インク領域に正確に細かく分割して処
理することが好ましく行われる。例えば、特開平9−2
30123号、特開平7−35916号、特開平4−1
23005号には感光性材料と低エネルギー表面を形成
出来る材料、例えば、フッ素樹脂やシリコン樹脂を支持
基板全面に重層塗布し、凹部又は凸部に合わせたパター
ンを通して紫外線を照射し、現像して凹部からフッ素樹
脂やシリコン樹脂を取り除き、凸部にはこれらを残して
凹部にインクを吐出し、カラーフィルターを形成する方
法が記載されている。
使用するので、凹部と凸部にそれぞれに正確に親インク
性と撥インク性を持たせることが出来るが、凹部と凸部
の境界でインクが弾かれて色素濃度が低下したり、白抜
けが出るので、表示される画像のコントラストが低下し
易い。また、凹部のガラス面は高い表面自由エネルギー
を持つので、インク親和性が高いが、低表面エネルギー
材料であるフッ素やシリコンを処理中に吸着し易く、凹
部の親インク性が失われ易い。このため、凹部のガラス
面をフッ化水素酸やレーザー等でエッチングして、これ
らの汚染物を取り除く必要がある。更に、凸部にフッ素
樹脂やシリコン樹脂があると、保護膜を弾いて塗布出来
ないので、取り除かねばならない。このため、プロセス
が複雑で工程が多く、極めて煩雑である。
号、特開平8−227012号、特開平8−23031
4号等に開示されている方法は、支持基板上に感光性樹
脂を塗布し、凸部又は凹部の形に合わせたマスクを通
し、紫外線を照射して、光が当たった部分と当たらなか
った部分で、インクの吸収性に差が生じることを利用し
て凹部間でのインクの混合を防ぐ方法である。しかし、
光照射の有無ではインク吸収性の差を十分に付けること
ができず、凹部間のインク混合を十分に防げない。又、
インク吸収層を設けるので、解像度の低下や、コスト高
の原因となる。この方法もプロセスが複雑で工程が多く
極めて煩雑である。
下や白抜けを防ぐため、例えば特開平9−127327
号に記載の方法は凸部の側面の撥インク性を少し低下さ
せている。
方法は凸部を2層構成にして下層の撥インク性を低くし
ている。これらの方法はフォトポリマーとフッ素化合物
を組み合わせて使用するので、煩雑で長い複数のプロセ
スが必要で経済的な不利益が大きく、資源の浪費にもつ
ながる。
は、凸部に対するインクの後退接触角を50°以下にす
ることで境界での接触角を下げ、インクメニスカスの形
を平坦にして色ムラや色抜けを防止している。しかし、
後退接触角が50°以下ではまだ接触角が大きすぎ、メ
ニスカスの形状を十分に平坦化できないので好ましくな
い。
凸部の下部を親水性の酸化シリコンで、上部を疎水性の
アモルファスシリコンで形成している。これは、プラズ
マCVDの様な高価な装置が必要であり好ましくない。
のカラーフィルターを製造するには、支持基板を処理し
て凹部に親インク性を、凸部に撥インク性を与え、更
に、凹部と凸部の繋ぎ目に極端な濡れ性の変化を与えな
い技術が極めて重要な課題となってくるのである。
ボンブラックを混合し、ガラス上に塗布して凸部を形成
することが好ましい。凹部は例えばガラス面が好まし
く、ガラス面の場合は、高い表面自由エネルギーを持つ
から、特に親インク処理しなくとも低表面エネルギー材
料による汚染を除けばインクの濡れ性は良い。
常例えば中程度の表面自由エネルギーを持つから、イン
ク、特に低い表面自由エネルギーを持つ溶剤系インクが
その上を乗り越えて移動することを防止出来ない。この
ため、低い表面自由エネルギーを与えるフッ素やシリコ
ン化合物で凸部を処理して、凸部に撥インク性を与える
ことが好ましいとされている。
を使用するので、凸部表面を正確に撥インク処理するこ
とが出来るが、凸部と凹部のつなぎ目で起こる極端な濡
れ性変化によるインクの弾きを十分に解決出来ていな
い。更に、フォトリソグラフィー技術は、スピンコー
ト、露光、現像、凹部の汚染除去、表面処理材の除去等
の長い工程が必要になり、コストが高くなる欠点を有し
ている。
長い処理プロセスを必要とすると共に凸部と凹部の繋ぎ
目で起こるインクの弾きを十分に防ぎ得ないという従来
の方法の問題点を解決する技術を、先に特願平2000
−51763号において提案した。
で、支持基板の表面を処理して、インクの凸部乗り越え
を防止し、凹部にインクを均一に広がらせ、凹部と凸部
の間で起こるインクの弾きを防止出来る技術で、インク
着色層の色濃度の均一性が良好で、カラー液晶ディスプ
レイ、カラービデオカメラ、イメージスキャナー、パー
ソナルコンピューター等の画像表示装置や画像入力装置
(撮像装置を含む)用に欠陥の無いカラーフィルター及
び生産性の高い安価なカラーフィルターを作製する方法
を提供するものである。
したところ、新たな課題があることが判った。即ち、イ
ンクに実質的に溶解する界面活性剤の溶液を室温にてス
ピンコートして得られた表面処理済みの支持基板にイン
クを染着した時に、例えば、表面処理後からインク染着
作業開始までの時間がかかるにつれて、得られたカラー
フィルターにインク弾きの欠陥が見られるようになり、
表面処理後からインク染着作業を開始するまでの時間の
相違によって品質にバラつきがあることが判った。
業を行えば、インク弾きのない良好なカラーフィルター
が得られる可能性があることが判っているが、製造ライ
ンの関係上困難であるし、インク染着作業のみを別の作
業場にて行う場合もあり、表面処理直後にインク染着作
業を行うことは実際上不可能に近い。
染着までの時間に影響されることなく、インク弾きの問
題のない高品質のカラーフィルターを得ることのできる
カラーフィルター用中間品の作製方法及びカラーフィル
ターの作製方法、カラーフィルター並びに画像表示装
置、画像入力装置(撮像装置を含む)を提供することを
課題とする。
の構成により達成される。
を有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質
的に溶解する界面活性剤を使用して表面を改質する処理
を施し、次いで100℃以上300℃以下の加熱処理工
程を経ることを特徴とするカラーフィルター用中間品の
作製方法。
を有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質
的に溶解する界面活性剤を使用して表面を改質する処理
を施し、次いで100℃以上300℃以下の温度、2分
間以上60分間以下の時間の加熱処理工程を経ることを
特徴とするカラーフィルター用中間品の作製方法。
を有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質
的に溶解する界面活性剤を使用して表面を改質する処理
を施し、次いで100℃以上300℃以下の加熱処理工
程を経ることにより、前記ブラックマトリックス部に対
するインクの前進接触角が、インク付着直後はインクの
付着すべき画素形成部の該支持基板表面に対する前進接
触角よりも大であって、時間経過と共に低下し、インク
付着後2分以内に該画素部の支持基板に対するインクの
前進接触角より10°大きい値以下の値まで低下するよ
うに成すことを特徴とするカラーフィルター用中間品の
作製方法。
を有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質
的に溶解する界面活性剤及びインクに実質的に溶解しな
い界面活性剤を同時又は逐次的に使用して表面を改質す
る処理を施し、次いで100℃以上300℃以下の加熱
処理工程を経ることを特徴とするカラーフィルター用中
間品の作製方法。
を有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質
的に溶解する界面活性剤及びインクに実質的に溶解しな
い界面活性剤を同時又は逐次的に使用して表面を改質す
る処理を施し、次いで100℃以上300℃以下の温
度、2分間以上60分間以下の時間の加熱処理工程を経
ることを特徴とするカラーフィルター用中間品の作製方
法。
を有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質
的に溶解する界面活性剤及びインクに実質的に溶解しな
い界面活性剤を同時又は逐次的に使用して表面を改質す
る処理を施し、次いで100℃以上300℃以下の加熱
処理工程を経ることにより、前記ブラックマトリックス
部に対するインクの前進接触角が、インク付着直後はイ
ンクの付着すべき画素形成部の該支持基板表面に対する
前進接触角よりも大であって、時間経過と共に低下し、
インク付着後2分以内に該画素部の支持基板に対するイ
ンクの前進接触角より10°大きい値以下の値まで低下
するように成すことを特徴とするカラーフィルター用中
間品の作製方法。
製方法により作製されたカラーフィルター用中間品の画
素形成部にインクを付着させることを特徴とするカラー
フィルターの作製方法。 8.画素形成部にインクを付着する際に、インクジェッ
ト方式により着色することを特徴とする請求項7記載の
カラーフィルターの作製方法。
ーの作製方法により作製されたことを特徴とするカラー
フィルター。
ターの作製方法により作製されたカラーフィルターを用
いることを特徴とする画像表示装置。 11.請求項7又は8記載のカラーフィルターの作製方
法により作製されたカラーフィルターを用いることを特
徴とする画像入力装置。
説明する。
を使用して表面を改質する処理を施した後に、加熱によ
る安定化を試みたところ、100℃以上300℃以下の
加熱処理で十分安定化でき、界面活性剤による表面処理
後からインク染着までの時間に関係なく、欠陥のないカ
ラーフィルターを作製できることを見出し、本発明に至
った。
クに実質的に溶解する界面活性剤のインクに対する濡れ
性を安定維持させる上で、加熱処理が寄与しているもの
で、基板表面への界面活性剤の吸着や配向を促している
と推定される。
剤とインクに実質的に溶解しない界面活性剤を併用した
場合は、本発明の加熱処理により両者の競合吸着又は競
合配向を加速安定化することができたものと推定され
る。
ン、ホットプレート、クリーンオーブン、ブロックヒー
ター、電気温風器等の他、通常の恒温器、恒温槽等の手
段を採用できるが、特に限定されない。
囲であり、100℃未満では、加熱の効果が現れず、3
00℃を越えるとブラックマトリックス素材の変質等の
悪影響を与えることがあり、好ましくない。
囲が短時間で安定化する観点から好ましく、より好まし
くは2分間以上20分間以下である。
されるブラックマトリックス形成後の支持基板の表面改
質処理に使用される界面活性剤は、インクに実質的に溶
解する界面活性剤を単独で、或いはインクに実質的に溶
解する界面活性剤及びインクに実質的に溶解しない界面
活性剤を併用し、更に併用する場合、同時又は逐次的に
使用する。
ないとは、インク中の不揮発成分を除く全溶媒に対する
活性剤の溶解度が0.1%未満のものをいう。またイン
クに実質的に溶解するとは、インク中の不揮発成分を除
く全溶媒に対する活性剤の溶解度が0.1%以上のもの
をいう。
ない(溶解しにくい)活性剤を併用する場合には、その
使用する割合が重要である。好ましい範囲は、(溶解し
やすい活性剤)/(溶解しにくい活性剤)=1000/
1〜1/1である。より好ましくは、500/1〜5/
1であり、この比率が1000を越えると、例えばイン
ク滴の付着直後に接触角が急低下し、凹部間でインクの
混合が起り易く好ましくない。この比率が1未満である
と、例えば着滴後、時間が経過しても接触角が低下しに
くく、凹部の周辺で色濃度の低下や白抜けが起こり易く
好ましくない。
ンクに実質的に溶解しない活性剤を併用する場合におい
て、前記加熱処理工程を経ることにより、表面改質状態
がカラーフィルターの作製に適合した状態から乖離する
場合においては、インクに実質的に溶解する界面活性剤
及びインクに実質的に溶解しない界面活性剤の量比を調
整すればよい。具体的にはインクに実質的に溶解する界
面活性剤の量を増量するか、あるいはインクに実質的に
溶解しない界面活性剤を減量すればよい。
活性剤類、アニオン系、カチオン系及びノニオン系活性
剤類、ベタイン系活性剤類及びアルキルエーテル類のい
ずれのタイプでもよく、又低分子のものでも高分子のも
のでも、異なる種類のものを併用しても良い。
面活性剤である。以下にその具体例の一部を示す。
活性剤とインクに実質的に溶解しない界面活性剤の組合
せとして特に好ましいのは、パーフルオロアルキル燐酸
エステル型活性剤(インク中の有機溶剤、例えば、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテルアセテートに対す
る溶解度が0.1%未満)と、パーフルオロアルキル含
有オリゴマー型活性剤(インク中の有機溶剤、例えば、
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに
対する溶解度が0.1%以上)の組み合わせである。
形成された支持基板に、界面活性剤を、それがインクに
対する溶解性が異なる界面活性剤の場合であっても、単
にガラス基板に塗布するだけで良く、フォトリソグラフ
ィー技術を使用して凸部と凹部を塗り分ける必要が無い
ので、感光性樹脂を塗布したりマスク露光や現像と言っ
た面倒な操作が不要となる。
鎖の親油基を結合した構造を持つインク中の有機溶剤に
溶解し易い活性剤と、パーフルオロアルキル基と親水基
を結合した構造を持つインク中の有機溶剤に溶解し難い
活性剤を混合するか、それぞれ個別に支持基板上に塗布
するだけで良い。
いは必要に応じて種々の溶媒が用いられる。塗布はディ
ップ塗布をはじめとして、回転塗布機等のスピンコート
等も好ましく用いられる。
はないが、本発明者らは次のように考えている。インク
中の有機溶剤に溶解し易い界面活性剤は親油性が強いの
で、凹部の親水性の強いガラス面より凸部の親油性の強
い樹脂面に吸着され易い。一方、インク中の有機溶剤に
溶解しにくい界面活性剤は、親水性が強いので凸部より
凹部のガラス面に吸着され易い。
れた形となって、凸部と凹部で特性の異なる活性剤がそ
れぞれ選択的に吸着される割合が異なり、自発的に表面
特性をコントロール出来るのである。これによって従来
の面倒なパターニングを行わなくとも凸部は撥インク性
が高く、凹部は撥インク性が低くなると考えられる。
異なり、濡れ性が極端に変化しない特徴もある。考察す
ると、凸部と凹部の境目では、インクが凸部の側壁で弾
かれて濃度低下や白抜けが起こり易いが、経時によりイ
ンク中の有機溶剤に溶解し易い活性剤が、凸部側壁から
インク中に溶け出して凸部の側壁とインク間の界面張力
を低下させるので、凸部と凹部の境で形成されるインク
メニスカスの形が、強い凸形から平坦形になり、この部
分で色素濃度が低下したり白抜けが生じることは無いと
考えられる。
内に基板に塗布した活性剤がインク中に溶解してインク
が濡れ広がれる様5分以内が好ましく、より好ましくは
2分以内である。活性剤の溶解に時間がかかると、溶剤
が揮発してインク粘度が上昇し、インクが広がりにくく
なる傾向がある。
支持基板表面)に対する接触角との関係においてより掘
り下げて検討すると、本発明は凸部と凹部を持つカラー
フィルター用支持基板の該凸部に対するインクの前進接
触角(凸部に対する接触角)が、インク付着直後は凹部
に対する前進接触角(凹部に対する接触角)よりも大で
あって、時間経過と共に低下し、インク付着後2分以内
に該画素形成部の支持基板に対するインクの前進接触角
(凹部に対する接触角)より10°大きい値以下の値ま
で低下するように前記支持基板を表面改質処理すること
が重要である。かかる特性は本発明の加熱処理工程が付
加されても維持されるように適用する界面活性剤の量や
量比が調整されればよい。
ラーフィルター用中間品を得ることが出来、更に、その
ようにして得られた中間品の画素形成部にインクを付着
させることによって高品質のカラーフィルターを得るこ
とが出来るものであり、凸部と凹部の関係から本発明の
思想の範囲で材料を適宜選択すればよい。選択によって
は溶媒が有機溶媒であったり、水系溶媒であったり、イ
ンクジェットインクが水系であったり油系であったりす
ることができ、それによって界面活性剤を選択すればよ
い。これは言うまでもなく、支持基板を有機高分子材料
や、PETやTACのフィルムに変えても当然のことで
ある。何れにしろ、本発明の技術思想はインクジェット
によるカラーフィルター作製において、画素を形成すべ
きインクが着滴後から時間の経過により、凸部への濡れ
性を制御してインクが広がるよう工夫したところにあ
る。
理してインク液の接触角を凹部に比べて極めて大きくす
ることによりインクが付着しにくくすることが推奨され
ており、インク付着後もその状態を保っているため、凹
部周辺(凸部の際)にインクが不足しがちで均一に充填
されないことが多かった。
ク付着後の時間と共にインクが凸部の特に側壁に濡れ易
くなってなじむために、インクの平坦化が進み、白抜け
のない均一なインク層が得られる。
は、凹部に対する接触角より10°大きい値より小さく
なれば良く、インクや使用する界面活性剤の種類によっ
ては、凹部に対する接触角よりも小さくなるような条件
をあえて選択することによって更に好結果を与える場合
もあることも確認された。このような接触角の逆転が有
効であるという事実は予想外の発見であり、従来技術で
は全く考えられていなかった。
て保護層を設けることができる。保護層としては、光や
熱などのエネルギー線硬化タイプの樹脂材料、蒸着やス
パッタなどによって形成された無機膜などを用いること
ができ、カラーフィルタとして影響を与えないような透
明性を有し、その後のITO形成プロセスや配向膜形成
プロセスなどに耐えうるものであれば使用可能である。
前、基板を純水洗浄して更に紫外線とオゾンで洗浄する
ことが好ましい。
エネルギーを有している。又、紫外線は、空気中の酸素
からオゾンを発生させることが出来る。紫外線は、有機
物から水素原子を引き抜き不安定化した有機性汚染物を
オゾンで酸化分解するので、極めて有効に汚染物を除去
出来る。
く発生する200nm付近の短波長紫外線を放射できる
低圧水銀ランプが好ましい。
は、基板上に凸部(BM)を形成した後、界面活性剤を
塗布する前に、純水による基盤洗浄、乾燥、紫外線オゾ
ン洗浄を施すと更に好結果をもたらすことがある。この
純水洗浄後の乾燥には温風を用いても良いが、赤外線乾
燥が、乾燥ムラを生じにくく、時間短縮もできて好結果
を与える。
一般的に用いられる方法である。これらの前処理によ
り、表面の濡れの均一性を増すことが出来、本発明にお
ける界面活性剤適用以降のインク染着の欠陥を軽減する
効果をもたらすことがある。
マトリックスが樹脂である場合、無アルカリ硝子等のガ
ラス板が好ましいが、これに限定されず、ブラックマト
リックスの材質によってはTAC(トリアセテートセル
ロースフィルム)、PET、PEN(ポリエチレンナフ
タレート)、アクリル等の樹脂基板も使用することが出
来る。フレキシブルな基板を用いる場合は、軽量で曲面
である表示装置に適して好ましく用いられ、ガラス基板
は寸度安定性が優れ好ましい。
即ち、凸部はその高さが約1μm、幅が約10〜20μ
mと高さが極めて低く幅も狭く、例えばカーボンブラッ
クを含有する樹脂で形成されることが好ましい。樹脂と
しては、ネガ型もしくはポジ型の公知の感光性樹脂が好
ましい。例えば、光架橋系感光性樹脂組成物、光重合系
感光性樹脂組成物、ジアゾ化合物を含む感光性組成物、
O−キノンジアジド化合物を含む感光性組成物等が挙げ
られる。バインダー樹脂は環化ゴム、ポリ(メタ)アク
リレート、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリビニ
ル樹脂等の各種ビニル系共重合樹脂、アクリル系共重合
樹脂、等が挙げられる。
着する際には、インクジェット方式により着色すること
が好ましい。
しく、中でもイミダゾリジノン誘導体、多価アルコール
誘導体、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセ
テート等のジエチレングリコール誘導体またはエチレン
グリコール誘導体等の有機溶剤が好ましい。
ラーフィルターの作製方法により作製されたものであ
る。このようにして作製された本発明のカラーフィルタ
ーは、カラー液晶ディスプレイ、カラービデオカメラ、
イメージスキャナー、パーソナルコンピューター等の画
像表示装置に用いるほか、CCDデバイス等の画像入力
装置(撮像装置を含む)に用いることができ、それら画
像表示装置や画像入力装置に適用すると極めて優れた画
像を得ることが出来る。また、カラーフィルターに起因
する画像欠陥がなく、総合的画像として優れ、また装置
としても優れている。
するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるもので
はない。
((株)東京応化製「OMR83」)にカーボンブラッ
クを混合して、厚さ1.5μmに成る様にスピンコート
する。
て、凸部と凹部を有する支持基板を作り、100℃で、
30分間硬化させる。
ノエチルエーテルアセテート)に実質的に溶解する界面
活性剤1(以下、単に、活性剤1ともいう。)と、実質
的に溶解しない界面活性剤2(以下、単に、活性剤2と
もいう。)をそれぞれ0.16%、0.02%になるよ
うにエタノールに溶解した混合溶液を前記支持基板全面
にスピンコートする。以上のようにして、カラーフィル
ター用中間品を得た。
S−381」、活性剤2は(株)旭硝子製の「サーフロ
ンS−112」を使用した。
同時に室温で乾燥するため、上記の中間品を直ちに次の
染着プロセスに移し、ピエゾヘッドを有するインクジェ
ットプリンタを使用して80×240μmのセルそれぞ
れに、Redインク(9.2cp、32dyne/cm)、Blueイン
ク(8.9cp、31dyne/cm)、Greenインク(9.1c
p、31dyne/cm)をそれぞれ20滴(7ピコリットル/
滴)の割合で吐出染着して、加熱乾燥後、紫外線硬化さ
せて所定の3色フィルターを形成する。
面積とし、活性剤塗布乾燥から染着するまでの室温放置
時間を追ってテスト用フィルターを作製し、カラーフィ
ルターの仕上がり状態を目視評価したところ、表1のよ
うな結果が得られた。
色のカラーフィルターが得られたが、染着までの時間と
共にインク弾きが増加していき約1時間で安定領域には
いっていることが確認された。
0.05%、活性剤2として(株)旭硝子製の「S−1
11」を0.006%の酢酸エチル溶媒混合溶液を用い
た以外は、比較例1と同様の操作でカラーフィルター用
中間品を作製し、次いで、得られた中間品に同様にイン
ク染着し、活性剤塗布後の放置時間を追って3色フィル
ターを作製し、同様に評価し、その結果を表2に示す。
間と共にインク弾きが増加しており、約2時間で安定領
域にはいっていることが確認された。
1を0.3%、活性剤2を0.002%としたエタノー
ル溶液混合物を塗布乾燥後、同様に200℃、10分間
の加熱処理を実施してカラーフィルター用中間品を得、
次いで、得られた中間品にインク染着を行ったところ、
インク弾きやセル間の混色もない均一で良好なカラーフ
ィルターが染着までの時間に関係なく安定に作製できる
ことが判った。
代えても状態に変化がないことも確認された。
0.002%の濃度とした酢酸エチル溶液に代えて、2
50℃、5分間の加熱処理を実施してカラーフィルター
用中間品を得たところ、その後の染着までの時間経過に
関係なく、インク弾きやセル間の混色もない均一で良好
なカラーフィルターが安定に作製できることが判った。
とにより、その後の染着までの時間経過に関係なく、イ
ンク弾きやセル間の混色もない均一で良好なカラーフィ
ルター用中間品の作製方法及びカラーフィルターの作製
方法、カラーフィルター並びに画像表示装置、画像入力
装置(撮像装置を含む)を提供できる。
Claims (11)
- 【請求項1】 ブラックマトリックス部と画素形成部を
有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質的
に溶解する界面活性剤を使用して表面を改質する処理を
施し、次いで100℃以上300℃以下の加熱処理工程
を経ることを特徴とするカラーフィルター用中間品の作
製方法。 - 【請求項2】 ブラックマトリックス部と画素形成部を
有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質的
に溶解する界面活性剤を使用して表面を改質する処理を
施し、次いで100℃以上300℃以下の温度、2分間
以上60分間以下の時間の加熱処理工程を経ることを特
徴とするカラーフィルター用中間品の作製方法。 - 【請求項3】 ブラックマトリックス部と画素形成部を
有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質的
に溶解する界面活性剤を使用して表面を改質する処理を
施し、次いで100℃以上300℃以下の加熱処理工程
を経ることにより、前記ブラックマトリックス部に対す
るインクの前進接触角が、インク付着直後はインクの付
着すべき画素形成部の該支持基板表面に対する前進接触
角よりも大であって、時間経過と共に低下し、インク付
着後2分以内に該画素部の支持基板に対するインクの前
進接触角より10°大きい値以下の値まで低下するよう
に成すことを特徴とするカラーフィルター用中間品の作
製方法。 - 【請求項4】 ブラックマトリックス部と画素形成部を
有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質的
に溶解する界面活性剤及びインクに実質的に溶解しない
界面活性剤を同時又は逐次的に使用して表面を改質する
処理を施し、次いで100℃以上300℃以下の加熱処
理工程を経ることを特徴とするカラーフィルター用中間
品の作製方法。 - 【請求項5】 ブラックマトリックス部と画素形成部を
有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質的
に溶解する界面活性剤及びインクに実質的に溶解しない
界面活性剤を同時又は逐次的に使用して表面を改質する
処理を施し、次いで100℃以上300℃以下の温度、
2分間以上60分間以下の時間の加熱処理工程を経るこ
とを特徴とするカラーフィルター用中間品の作製方法。 - 【請求項6】 ブラックマトリックス部と画素形成部を
有するカラーフィルター用支持基板に、インクに実質的
に溶解する界面活性剤及びインクに実質的に溶解しない
界面活性剤を同時又は逐次的に使用して表面を改質する
処理を施し、次いで100℃以上300℃以下の加熱処
理工程を経ることにより、前記ブラックマトリックス部
に対するインクの前進接触角が、インク付着直後はイン
クの付着すべき画素形成部の該支持基板表面に対する前
進接触角よりも大であって、時間経過と共に低下し、イ
ンク付着後2分以内に該画素部の支持基板に対するイン
クの前進接触角より10°大きい値以下の値まで低下す
るように成すことを特徴とするカラーフィルター用中間
品の作製方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6の何れか1項に記載の作製
方法により作製されたカラーフィルター用中間品の画素
形成部にインクを付着させることを特徴とするカラーフ
ィルターの作製方法。 - 【請求項8】 画素形成部にインクを付着する際に、イ
ンクジェット方式により着色することを特徴とする請求
項7記載のカラーフィルターの作製方法。 - 【請求項9】 請求項7又は8記載のカラーフィルター
の作製方法により作製されたことを特徴とするカラーフ
ィルター。 - 【請求項10】 請求項7又は8記載のカラーフィルタ
ーの作製方法により作製されたカラーフィルターを用い
ることを特徴とする画像表示装置。 - 【請求項11】 請求項7又は8記載のカラーフィルタ
ーの作製方法により作製されたカラーフィルターを用い
ることを特徴とする画像入力装置。
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