JP3692631B2 - カラーフィルタの製造方法及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に凸部を形成し、その凸部に囲まれた凹部をインクジェット方式で着色することによるカラーフィルタの製造方法及びそれを用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子用のカラーフィルタは各種の製造方法が提案されている。特に、基板のセル内壁側に着色層を形成してカラーフィルタを製造する方法にはいくつかの方法が知られている。
【0003】
例えば、着色インクをオフセット印刷法等によりパターン印刷し、着色層を形成する方法があるが、印刷パターンの精細化には限界があり、高精細なパターンは困難であり、生産歩留まりの低下等の問題がある。
【0004】
また、着色された紫外線硬化性インクを基板上に全面塗布し、フォトリソ法によりカラーフィルタパターンを作成する方法として顔料分散法がよく使用されている。この顔料分散法はフォトリソ法によりパターニングしているので、高精細の表示にも適する。しかし、顔料分散法では、赤、緑、青の三原色のカラーフィルタを作成するためには、塗布、紫外線照射、現像工程を3回行うことを要し、製造工程が煩雑であり、生産性が悪い。
【0005】
その他、電着塗装法を利用したカラーフィルタの製造方法では、電着塗装される部分にあらかじめパターン状の透明電極を作成しておき、3色のカラーフィルタを製造する。このために、順次夫々に対応する電極に通電し、透明電極上にカラーフィルタ膜を形成する。この方法では3回の電着操作を必要とするうえ、色の重なりによる混色を防ぐ操作を要し、また、3色に対応する透明電極を要するため、最終的な液晶表示セルが電極の形状の制限をうけることもある。
【0006】
これらの問題を解決した合理的なカラーフィルタの製造方法として、インクジェット方式で着色インクを吹きつけして着色層を形成することが提案されている(特開昭59−75205)。インクジェット方式で着色を行う場合、その液滴径が数十μmであり、一方、カラーフィルタの画素はおおむね短辺数十μm、長辺数百μm程度である。このことから、ガラス基板にあらかじめ画素を規定する区画を設け、この中へインクジェット方式でインクを吹きつけ区画内にインクを拡げることで均一な画素を得ることができる。
【0007】
前記提案には、ガラス基板に対し濡れ性の良いインクを用いる場合には、インクに対して濡れ性の悪い物質であらかじめ境界となる凸部を印刷しておく方法が記載されている。
【0008】
また、ガラスに対して濡れ性の悪いインクを使う場合には、インクとの濡れ性の良い材料であらかじめガラスにパターンを形成しておきインクが定着するのを助ける方法が提案されている。
【0009】
さらにインクに対して画素部は濡れやすく、ブラックマスクは濡れにくいという組み合わせを用いることが提案されている(特開平6−347637)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、単に区画を区切る凸部を撥インク性とし、凹部を親インク性としても、その撥インク性の制御が不充分であると良好な結果が得られない。例えば、あまりに凸部の撥インク性が高いとインクジェットによる印刷時に画素周辺部に着色不良を生じ、逆に撥インク性が不充分であると隣接画素への不要な着色を起こしたりする。
【0011】
さらにインクジェット法では高速な液滴を打ち込むこと、画素形成時には乾燥によるインクの体積減少が伴うことなどから、動的な撥インク性にも留意する必要がある。さらに撥インク性の高いブラックマスクを形成する際には同時に親インク性であるべき画素部分(凹部)を撥インク性付与剤が汚染する場合が多い。また、撥インク性付与剤によっては、凸部形成後に経時的に凹部を汚染して凹部を撥インク性にしてしまう場合もある。
【0012】
このように凹部を汚染して撥インク性にすると、インクジェット法により打ち込んだインクが広がらず、着色不良や色ムラの原因になる。したがって、このような画素部汚染の問題を持たない撥インク性付与剤を選ぶことが必要である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の問題を解決すべくなされたものであり、基材上に凸部を形成し、その凸部により区切られた凹部にインクジェット方式によってインクを吹きつけて凹部にインクを堆積させて着色層を形成するカラーフィルタの製造方法において、凸部を化2で表されるポリマー(ただし、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rfはフッ素原子を含む炭化水素基を表す)を含む撥インク処理剤で処理した後、凸部の上部の水の後退接触角を90°以下とし、インクジェット方式によってインクを吹きつけすることを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0014】
【化2】
【0015】
また、撥インク処理剤で処理後に、凸部の上部の水の前進接触角が100°以上であることを特徴とする上記カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0016】
また、凸部が、以下の工程を含む工程により形成されたことを特徴とする上記カラーフィルタの製造方法を提供する。
(1)基板上へ光硬化性樹脂と黒色顔料とを含む黒色層を形成する工程、
(2)その黒色層の上面を撥インク処理剤で表面処理する工程、
(3)フォトリソ工程により所望のブラックマスクパターンに形成する工程。
【0017】
さらに、撥インク処理剤で表面処理する際の溶剤が完全フッ素化化合物であることを特徴とする上記カラーフィルターの製造方法、及び、凸部を形成後、エッチング処理により凹部を親インク化処理することを特徴とする上記カラーフィルタの製造方法を提供する。さらには、上記の製造方法により形成されたカラーフィルタを用いた液晶表示素子を提供する。
【0018】
本発明は、特定の撥インク処理剤で表面処理することにより、凹部を汚染しにくくかつ凸部を撥インク性として、着色インクの凹部内での広がりを良くしつつも、隣接画素に着色インクが流出しにくくできる。これにより、生産性良く、インクジェット法でカラーフィルタを製造できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず基板上に凸部、好ましくはブラックマスクによる凸部をあらかじめ形成する。その後、インクジェット方式にて着色インクを吹きつけして着色層を形成してカラーフィルタを形成する。
【0020】
図1は、本発明のカラーフィルタを模式的に示す断面図である。図1において、1は基板、2は凸部、3は凸部と凸部により区切られた凹部、4は凸部の上面、5は凸部の側面、6は凹部に吹きつけ堆積されて形成された着色層を示す。最右端の凹部3のみは説明をわかりやすくするために、着色層が形成されていない状態で示してある。
【0021】
この図では、わかりやすくするために凸部を4個、凹部を3個のみ示すが、これは必要な数設けられる。例えば、ストライプ状のカラーフィルタの場合であって、640画素分必要な場合には、1画素当りRGBの3個のカラーフィルタが必要なので、凸部は1921個、凹部は1920個必要になる。液晶表示素子では基板間隙の精密性から表示を行わない表示画素の周辺までカラーフィルタパターンを形成することもあり、その場合にはもっと増えることになる。
【0022】
ストライプ状のパターンの場合には、長手方向には凸部が形成されなくてもよいが、画素の周囲を完全に凸部で囲むこともある。特に、モザイク状のカラーフィルタの場合には、画素の周囲は凸部で囲まれる。
【0023】
本発明における基板には、一般的には耐熱性の面からガラス基板が用いられる。また、この基板には通常は透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色したような基板でも本発明は適用できる。この基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止用やガスバリア性付与その他の目的の表面処理を施したものも用いうる。
【0024】
本発明で着色層を区切るための凸部は、基板上に線状や格子状に形成される。この凸部の形状は、それにより区切られた凹部が画素に対応するようにされればよい。例えば、ストライプ状のカラーフィルタを形成する場合には線状に形成され、四角の画素に対応させるためには格子状に形成される。これは、画素の形状により適宜定められるので、放射状、円周状等種々の形状も考えられる。
【0025】
この凸部は、液晶表示素子等ではブラックマスクを兼用させることが有利である。このため、以下の説明では、凸部がブラックマスクと兼用される例に基づいて説明するが、ブラックマスクとしない場合には、それから黒色の材料や金属遮光層を使用しないようにすればよい。
【0026】
ブラックマスクによる凸部の形成方法としては、例えば、金属クロム膜や、金属クロムと酸化クロムを積層したもの、又はカーボンブラック等の黒色顔料と樹脂からなる黒色層を形成し、これらにフォトレジストを塗布、画素部のレジストをフォトリソ法で取り除き、エッチングによって金属クロム等の層を取り除く方法がある。また、よりコスト的に有利な方法として黒色顔料を分散したフォトレジストを塗布し黒色膜を形成し、これをフォトリソ法によって所望のパターンにパターン化する方法がある。
【0027】
本発明では、ある程度の高さの凸部を所望のパターンに形成できる公知の種々のブラックマスクの形成法が使用できる。薄膜のブラックマスクと厚膜の樹脂層とを積層して凸部を形成してもよい。
【0028】
本発明における凸部は、インクジェット法によって着色する際に、吹きつけたインクが他の画素に流れ込んだり滲んだりすることを防止する役割を果たす。したがって、この凸部の高さはある程度高いことが好ましいが、カラーフィルタとした場合の全体の平坦性が高いことも要求されるので、着色層の厚さに近い高さが選択される。
【0029】
具体的には、所望の着色を得るのに必要な吹きつけするインクの堆積量によっても異なるが、通常は0.1〜2μm程度とされる。この凸部の上面にインクが残存すると、平坦性や画素間の着色均一性が損なわれるため、凸部を撥インク性にし、凹部はインクの拡がりを良くするために親インク性にすることが好ましい。すなわち、凸部はインクをはじき、凹部の基板は親インク性を高めている。
【0030】
凸部の撥インク性は、隣接画素へのインクの流出を防ぐという点から、その水の前進接触角が100°以上とすることが好ましい。これより小さいと混色の原因となったり、凸部の上部にインクが残存して平坦性の面で好ましくない。特に115°以上のときには良好な性能が得られて好ましい。
【0031】
他方、各画素の断面形状を平坦に維持するという観点からは、後退接触角はある程度低い方が好ましく、水の後退接触角で90°以下であることがより好ましい。これより大きい場合、画素の断面形状が上に凸となり、画素内に濃度分布ができたり、画素の一部に着色不良が起こりやすい。
【0032】
凸部に撥インク性を付与する方法としては、凸部を形成する材料を基板全面に形成した段階で撥インク処理剤を積層して凸部と同時にパターン化する方法、または、あらかじめ既存の方法で凸部を形成しその基板全面を撥インク処理剤で処理しその後画素部の撥インク性をエッチングなどにより取り除く方法などが用いられる。
【0033】
前者としては、以下のような工程を例示できる。
(1)基板上へ光硬化性樹脂と黒色顔料とを含む黒色層を形成する工程。
(2)その黒色層の上面を撥インク処理剤で表面処理する工程。
(3)フォトリソ工程により所望のブラックマスクパターンに形成する工程。
【0034】
このような工程を経た場合、親インク性であるべき画素部分には撥インク処理剤が接触することがないため汚染の可能性が小さく、さらに工程が簡略でありコスト的にも優れている。
【0035】
後者としては、以下のような工程を例示できる。
(1)基板上にあらかじめブラックマスクを既存の方法でパターニングする工程。
(2)この基板全面に撥インク処理剤を塗布する工程。
(3)エッチング、エネルギー線照射などの方法により、画素部の撥インク処理剤を取り除く工程。
【0036】
このような行程では撥インク処理剤を塗布する際の溶媒の制限が少ないという利点がある。
【0037】
本発明の撥インク処理剤としては、撥インク性に優れる点や凸部への密着性などから前記化2で表される化合物を含む処理剤を用いる。この式で、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rf はフッ素原子を含む炭化水素基を表す。
【0038】
Rfのいくつかを例示すると、CF3C2H4−、C4F9C2H4−、C6F13C2H4−、C7F15CH2−、C8F17C2H4−、C10F21C2H4−、C12F25C2H4−等があげられる。Rfとしては、これらの複数種が混在していてもよい。
【0039】
これらの撥インク処理剤を用いた場合、好ましい条件である水の前進接触角が100°以上という条件を容易に満足できる。さらに、これらの撥インク処理剤のうち、CF3C2H4−、C4F9C2H4−、C6F13C2H4−、C7F15CH2−等をRfとした構造を持つものは、さらに好ましい条件である水の後退接触角が90°以下という条件を満たし、より好ましい。
【0040】
なお、水の前進接触角及び後退接触角は、協和界面科学社製のCA−X型接触角計を用い、拡散/収縮法にて測定した。また、後退接触角は、吸液ノズルと液滴が分離した状態で測定した。また、水の静的接触角は、液滴法で測定した。
【0041】
これらの化合物で撥インク処理を施す場合、溶媒によって希釈してスピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等の方法で塗布し、乾燥する方法がとられる。
【0042】
溶媒にはこれらの撥インク処理剤を溶解する各種の溶剤が用いられるが、特に凸部を形成する樹脂が未硬化の状態で撥インク処理を施す場合、すなわち凸部のパターニング前に撥インク処理を施す場合には、凸部を形成する樹脂に悪影響を与えないようにする必要がある。このため、この凸部を形成する樹脂に悪影響を与えないパーフルオロオクタン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロ(トリブチルアミン)等の完全フッ素化化合物からなる溶媒を用いることが好ましい。
【0043】
凹部については凸部を形成する材料や撥インク処理剤、その他工程中に発生する汚染によって弱撥インク性となっている場合が多く、汚染を取り除き親インク性にすることが望ましい。その目安としては水の静的接触角で20°以下であり、より好ましくは10°以下である。
【0044】
親インク性とする方法として、水酸化ナトリウム等の強アルカリやフッ酸等によって画素部を軽くエッチング処理し、ガラスの清浄面を露出させる方法、紫外線等のエネルギー線の照射を行って、ガラス面上の汚染を取り除く方法等を採用できる。特に、フッ酸を用いた場合には、液の取り扱いは面倒であるが、効果が高く好ましい。
【0045】
あらかじめ凸部をパターニングし、全面を撥インク処理した後に画素部の撥インク処理剤をエッチング等により取り除く方法では、撥インク処理剤を取り除く行程と凹部を親インク化する工程は兼用できる。
【0046】
凸部を形成する高分子材料としては、アクリル系、ポリイミド系の樹脂が好ましい。特に、本発明では基本骨格が(メタ)アクリル樹脂の撥インク処理剤を用いるので、凸部の材料としても(メタ)アクリル樹脂を用いると高い密着性が得られ好ましい。また、これをブラックマスクとするため黒色の樹脂や顔料を添加したり、樹脂に感光性を持たせるために、種々の感光性ポリマーや硬化剤を添加できる。
【0047】
本発明では、インクジェット方式を着色方法として用いる。インクジェット方式としては、帯電したインクを連続的に噴射し電場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等、各種の方法を採用できる。
【0048】
本発明で用いられるインクは、親水性の着色インクが使用される。また、そのインクに含まれる着色材は染料、顔料ともに使用でき、耐久性の面からは顔料の使用がより好ましい。
【0049】
本発明のインクには、着色後の工程を考慮し、加熱によって硬化する、又は紫外線等のエネルギー線によって硬化する成分も添加できる。加熱によって硬化する成分としては、各種の熱硬化性樹脂が広く用いられる。また、エネルギー線によって硬化する成分としては、アクリレート誘導体又はメタクリレート誘導体に光反応開始剤を添加したものを例示できる。
【0050】
特に、耐熱性を考慮してアクリロイル基、メタクリロイル基を分子内に複数有するものがより好ましい。これらのアクリレート誘導体、メタクリレート誘導体は水溶性のものが好ましく、水に難溶性のものでもエマルジョン化する等して使用できる。
【0051】
本発明では、以上のように、凸部12の少なくとも上面に撥インク処理を施すことで、図2に示すような隣接画素へのインクの流れ出しによる不良を低減できる。図2は、基板11上の2つの凸部12に囲まれた1つの凹部に吹きつけられたインク16が凸部の撥インク性不足により隣接画素へ流れ出したところ17を示している。
【0052】
さらに凸部の後退接触角を制御することで、着色層のムラがより少ない、コントラストの良いカラー表示が得られる。
【0053】
本発明では、インクジェット方式で通常はRGB3色のインクを吹きつけて3色のカラーフィルタを形成する。このカラーフィルタは、液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロクロミック表示素子、PLZT等と組合せて表示素子として用いられる。カラーカメラやその他のカラーフィルタを用いる用途にも使用できる。
【0054】
図3は、液晶表示素子に使用した場合の例を示す模式的な断面図である。図3において、21は基板、22は凸部、23は着色層、24はその表面を覆う樹脂等による平坦化層、25はIn2O3−SnO2(ITO)、SnO2等の電極、26はポリイミド、ポリアミド、SiO等の配向膜、27は他方の基板、28は他方の電極、29は配向膜、30はその電極間に挟まれる液晶層である。
【0055】
本発明では、この他、必要に応じて、この液晶セルの外側に偏光膜、反射板、位相差板、光源等を配置して液晶表示素子として用いうる。
【0056】
【実施例】
[例1]
ガラス基板に、黒色に着色されたフォトレジスト(新日鉄化学社製「V−259BK」)をスピンコート法により目標膜厚1.5μmとなるように塗布し、110℃で10分間加熱処理した。化3で表される撥インク処理剤をパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)で、0.1重量%に希釈し、フォトレジスト膜上にスピンコート法により塗布した。
【0057】
この基板にフォトマスクを介して100mJ露光し、指定現像液に30秒浸漬し、純水で洗浄後、230℃で1時間ポストキュアを行い、ブラックマスク兼用の、高さが約1.5μm、幅が約25μmの凸部を有する基板を得た。
【0058】
【化3】
【0059】
この基板を、バッファードフッ酸(HFの50%水溶液とNH4Fの40%水溶液の1:6の混合液)を1%に希釈した処理液で、60秒間エッチング処理した後、水洗し風乾した。
【0060】
この基板の凸部に囲まれた凹部に対し、インクジェット法で水系顔料インクを用いて吹きつけを行い、ストライプ状のRGBのカラーフィルタを得た。この結果を表1に示す。
【0061】
[例2]
例1の撥インク処理剤を化4とした以外は全く同様な方法でカラーフィルタを得た。この結果を表1に示す。
【0062】
【化4】
【0063】
[例3]
ガラス基板に、黒色に着色されたフォトレジスト(東京応化社製「416S」)をスピンコート法により目標膜厚1.5μmとなるように塗布し、110℃で10分間加熱処理した。この基板にフォトマスクを介して100mJ露光し、指定現像液に30秒浸漬し、冷水で洗浄後、230℃で1時間ポストキュアを行い、ブラックマスク兼用の、高さが約1.5μm、幅が約25μmの凸部を有する基板を得た。
【0064】
この基板の表面全体に前記化4で表される撥インク処理剤を代替フロン溶剤(旭硝子社製「アサヒクリンAK−225」)に溶解し、ディップコート法により塗布した後230℃で一時間熱処理した。これを前出の代替フロン溶剤で洗浄し、例1同様バッファードフッ酸でエッチング処理した後、水洗し風乾した。
【0065】
この基板の凸部に囲まれた凹部に対し、インクジェット法で水系顔料インクを用いて吹きつけを行い、ストライプ状のRGBのカラーフィルタを得た。この結果を表1に示す。
【0066】
[例4(比較例)]
ガラス基板に、黒色に着色されたフォトレジスト(東京応化社製「416S」)をスピンコート法により目標膜厚1.5μmとなるように塗布し、110℃で10分間加熱処理した。この基板にフォトマスクを介して100mJ露光し、指定現像液に30秒浸漬し、冷水で洗浄後、230℃で1時間ポストキュアを行い、さらに例1同様バッファードフッ酸でエッチング処理した後、水洗し風乾してブラックマスク兼用の、高さが約1.5μm、幅が約25μmの凸部を有する撥インク処理を行わない基板を得た。
【0067】
この基板の凸部に囲まれた凹部に対し、インクジェット法で水系顔料インクを用いて吹きつけを行い、ストライプ状のRGBのカラーフィルタを得た。この結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
なお、表1の結果において、「○」はいずれもそれらの欠点のないもの(良品)を、「×」は欠点を生じたもの(不良品)を表す。また◎は、特に良好なものを示す。
【0070】
例1、2、3ともに、隣接凹部へのインク流出、画素周辺部での色抜け、画素内での色ムラという欠陥は生じなかった。特に、実施例2のものは、画素内での着色層の平坦度が高かった。一方、比較例のものは、ブラックマスクを乗り越えて隣接画素へ容易にインクが流出し、着色パターン不良が生じた。
【0071】
[例5]
例1の画素をドット状にして、RGB画素がモザイク配置になるように凸部を設ける他は例1と同様にして、この凸部に囲まれた凹部にインクジェット法で水系顔料インクを用いて吹きつけを行い、モザイク配置のRGBのカラーフィルタを得た。得たカラーフィルタは、例1のカラーフィルタと同様に、隣接凹部へのインク流出、画素周辺部での色抜け、画素内での色ムラという欠陥は生じなかった。
【0072】
[例6(比較例)]
例4の画素をドット状にして、RGB画素がモザイク配置になるように凸部を設ける他は例4と同様にして、この凸部に囲まれた凹部にインクジェット法で水系顔料インクを用いて吹きつけを行い、モザイク配置のRGBのカラーフィルタを得た。得たカラーフィルタは、例4のカラーフィルタと同様に、パターン状に着色することが困難であった。
【0073】
[例7]
例1のカラーフィルタ上に樹脂の平坦化層を形成し、ITOを形成し、それをパターニングし、さらに樹脂の配向膜を形成し、ラビングして第1の基板を形成した。次いで、ガラス基板上にITOを形成し、それをパターニングし、さらに樹脂の配向膜を形成し、ラビングして第2の基板を形成した。この第1の基板と第2の基板とを電極面が相対向するように配置して、周辺をシールして空セルを形成した。
【0074】
この空セル内にネマチック液晶を注入し、注入口を封止して液晶セルを形成した。この液晶セルの両側に位相差板と偏光板を配置してFSTN型の液晶表示素子を製造した。この液晶表示素子は美しいカラー表示が可能であった。
【0075】
【発明の効果】
本発明は、生産性の良いインクジェット方式でインクを吹きつけてカラーフィルタを製造する際に、凸部の上にインクが付着しにくく、かつ凹部でのインクの拡がりに優れるため画素内での色抜けを生じにくいという効果を有する。これは、液晶表示素子としての表示性能を向上させうる。
【0076】
本発明で提案した撥インク処理剤は、凸部への密着性が高く、また凹部を汚染することが少なく、効率良くこのような基板を実現できる。さらにその構造を最適化して後退接触角を制御することで、より画素の平坦性を高めうる。
本発明は、本発明の効果を損しない範囲内で、種々の応用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルタの模式的な断面図。
【図2】従来例のインク吹きつけ時の状況を示す模式的な断面図。
【図3】本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示素子の模式的な断面図。
【符号の説明】
1、11、21、27:基板、
2、12、22:凸部、
3:凹部、
4:上面、
5:側面、
6、23:着色層、
24:平坦化層、
25、28:電極、
26、29:配向膜、
30:液晶層。
Claims (6)
- 撥インク処理剤で処理後に、凸部の上部の水の前進接触角が100°以上であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
- 凸部が、以下の工程を含む工程により形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のカラーフィルタの製造方法。
(1)基板上へ光硬化性樹脂と黒色顔料とを含む黒色層を形成する工程、
(2)その黒色層の上面を撥インク処理剤で表面処理する工程、
(3)フォトリソ工程により所望のブラックマスクパターンに形成する工程。 - 撥インク処理剤で表面処理する際の溶剤が完全フッ素化化合物であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のカラーフィルターの製造方法。
- 凸部を形成後、エッチング処理により凹部を親インク化処理することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のカラーフィルタの製造方法。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の製造方法により形成されたカラーフィルタを用いた液晶表示素子。
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