JP2001131445A - 塗膜用樹脂組成物及び塗膜付き樹脂成形品 - Google Patents

塗膜用樹脂組成物及び塗膜付き樹脂成形品

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JP2001131445A
JP2001131445A JP30942199A JP30942199A JP2001131445A JP 2001131445 A JP2001131445 A JP 2001131445A JP 30942199 A JP30942199 A JP 30942199A JP 30942199 A JP30942199 A JP 30942199A JP 2001131445 A JP2001131445 A JP 2001131445A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防曇性能に優れ、塗膜と成形品との密着性が
良好で、吸水時の塗膜硬度の低下がない優れた防曇塗膜
を得る。 【解決手段】 ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート10〜80重量%、ジ(メタ)アクリレート
0.1〜20重量%、親水性単量体0.1〜40重量
%、(メタ)アクリル官能性シラン化合物の加水分解物
及び親水性非(メタ)アクリル官能性シラン化合物の加
水分解物で表面が修飾されたコロイダルシリカ0.1〜
50重量%からなる重合性単量体混合物100重量部、
HLBが6〜11のノニオン系界面活性剤0.1〜10
重量部、アニオン系界面活性剤0.1〜5重量部並びに
重合開始剤0.01〜10重量部からなる塗膜用樹脂組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗膜用樹脂組成物及
びその硬化物からなる塗膜が被覆された樹脂成形品に関
する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂
は、透明性に優れ安価かつ軽量であり、成形が容易であ
るためガラスの代替品としてゴーグル、シールド、眼鏡
レンズ等の多くの分野で使用されている。しかしこれら
の樹脂からなる成形品は疎水性であるため、急激な温湿
度の変化があった場合や、温湿度の異なる境界面に置か
れた場合、結露した水が成形品の表面に微細な水滴を形
成し、光を散乱することにより成形品の曇りが生じてし
まう。そのためゴーグルやシールド等の透視性が重視さ
れる用途で使用した場合、この結露による成形品の曇り
は大きな問題となる。
【0003】この様な問題を解決するために、成形品を表面
処理することによって結露した水を吸収または拡散させ
て、結露による曇りを防止する検討が行われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開昭50−2965
6号公報、特開昭50−71770号公報、特開昭57
−69043号公報、特開平2−16185号公報等に
は、親水性重合体や界面活性剤またはそれらを含む溶液
を成形品表面に塗布、乾燥することにより塗膜を形成
し、成形品表面を親水化し結露した水を吸収させたり拡
散させたりすることによって、防曇性を付与する技術が
開示されている。しかしこれらの技術では、防曇性は付
与できるものの、吸水時に塗膜が軟化し傷が入りやすく
なったり、成形品表面の拭き取りにより簡単に防曇効果
が消失してしまうという欠点があった。
【0005】一方、特開昭54−78782号公報、特開昭
56−8258号公報、特開昭57−72856号公
報、特開昭59−217783号公報等には加熱硬化型
のコーティング剤により成形品表面に親水性の架橋塗膜
を形成する技術が開示されている。しかしこれらの技術
でも防曇性、塗膜強度、塗膜と成形品との密着性をバラ
ンス良く向上させることができなかった。また架橋塗膜
の形成には高温且つ長時間の加熱処理が必要であり、生
産性、エネルギーコストの面で問題があった。
【0006】また特開平6−136165号公報には光硬化
により防曇塗膜を形成する技術が開示されているが、防
曇性、塗膜強度、塗膜と基材との密着性すべてに優れて
いるものは得られていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するために鋭意検討した結果、特定の塗膜用樹脂
組成物を樹脂成形品に塗布し、硬化することにより、防
曇性能、熱成形性、塗膜の密着性及び耐擦傷性に優れ、
熱成形による防曇性能の低下や吸水時の硬度低下がない
優れた塗膜が被覆された樹脂成形品を見出した。
【0008】すなわち本発明の要旨は、下記の成分(a)、
(b)、(c)及び(d)を下記の量含む重合性単量体
混合物100重量部、HLBが6〜11のノニオン系界
面活性剤0.1〜10重量部、アニオン系界面活性剤
0.1〜5重量部並びに重合開始剤0.01〜10重量
部からなる塗膜用樹脂組成物にある。
【0009】ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト(a)10〜80重量% 下記一般式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート
(b)0.1〜20重量%
【化4】 (R1はCH3またはH、iは2〜10の整数を表す。) 成分(a)及び(b)と共重合可能な親水性単量体
(c)0.1〜40重量%(メタ)アクリル官能性シラ
ン化合物の加水分解物及び親水性非官能性シラン化合物
の加水分解物で表面が修飾されたコロイダルシリカ
(d)0.1〜60重量% 前述の塗膜用樹脂組成物において、(メタ)アクリル官
能性シラン化合物が、メルカプト基含有シランもしくは
アミノ基含有シランとポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレートとのマイケル付加反応物からなること
が好ましい。
【0010】また、前述の塗膜用樹脂組成物において親水性
非官能性シラン化合物が、メルカプト基含有シランもし
くはアミノ基含有シランと親水性単官能(メタ)アクリ
ル系単量体とのマイケル付加反応物からなることが好ま
しい。
【0011】更に、前述の塗膜用樹脂組成物において、ノニ
オン系界面活性剤が下記一般式(2)で表される化合物
であることが好ましい。
【化5】 (R2はアルキル基またはアルキルフェニル基、jは1
〜30の整数を表す。) また更に、前述の塗膜用樹脂組成物において、アニオン
系界面活性剤が下記一般式(3)で表される化合物であ
ることが好ましい。
【化6】 (R3はアルキル基またはアルキルフェニル基、R4は−
OZまたは−O−(CH2CH2O)k−R3を表す。Zは
アルカリ金属またはアンモニウム塩、kは1〜30の整
数を表す。) また本発明の要旨は、前述の塗膜用樹脂組成物の硬化物
からなる塗膜が被覆された樹脂成形品にある。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の塗膜用樹脂組成物を構成
する重合性単量体混合物の成分であるポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート(a)の平均分子量は2
00〜2000であることが好ましく、200〜100
0であることがより好ましい。(メタ)アクリレートと
は、メタクリレートまたはアクリレートのことである。
平均分子量が低すぎる場合は、塗膜用樹脂組成物の硬化
物からなる塗膜(以下、適宜「塗膜」という)の親水性
が不足し良好な防曇性能が得られない。高すぎる場合
は、塗膜の硬度が不足する。塗膜と樹脂成形品との密着
性(以下、適宜「塗膜の密着性」という)が良好で、防
曇性能及び硬度が高い塗膜を得るためには、平均分子量
200〜400未満のものと、平均分子量400〜20
00のものとの併用が好ましい。平均分子量200〜3
50のものと、平均分子量400〜1000のものとの
併用がより好ましい。重合性単量体混合物中のポリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート(a)の含有量
は10〜80重量%であり、20〜60重量%であるこ
とが好ましい。
【0013】重合性単量体混合物の成分である一般式(1)
で表されるジ(メタ)アクリレート(b)としては、
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,
5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6
−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−
ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。重合性単量体混合物中のこれらのジ(メタ)アクリ
レート(b)の含有量は、0.1〜20重量%であり、
2〜15重量%であることが好ましい。含有量が0.1
重量%より低い場合は、塗膜が高温高湿下におかれた場
合、塗膜の硬度低下及び塗膜の密着性の低下を引き起こ
し易くなる。また、20重量%より高い場合は、塗膜の
吸水性が低下し、良好な防曇性能が得られない。
【0014】重合性単量体混合物の成分である親水性単量体
(c)は、前述のポリエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート(a)及びジ(メタ)アクリレート(b)と
共重合可能な親水性単量体である。その具体的な例とし
ては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリロイルモルフォリン、N,N−ジメチル(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエ
チレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。(メタ)アクリロイルとは、メタクリロイルまたは
アクリロイルのことである。(メタ)アクリルアミドと
は、メタクリルアミドまたはアクリルアミドのことであ
る。これらの中でも、(メタ)アクリルアミド系の単量
体が、塗膜の密着性及び親水性を良好にすると共に、界
面活性剤を塗膜中に保持する能力を強化できるため特に
好ましい。重合性単量体混合物中の親水性単量体(c)
の含有量は、0.1〜40重量%であり、1〜20重量
%であることが好ましい。含有量が0.1重量%より低
い場合は、塗膜の親水性が悪化する。40重量%より高
い場合は、塗膜の強度、特に吸水時の塗膜強度が低下す
る。
【0015】重合性単量体混合物の成分であるコロイダルシ
リカ(d)は、(メタ)アクリル官能性シラン化合物の
加水分解物及び親水性非官能性シラン化合物の加水分解
物で表面が修飾されたコロイダルシリカである。重合性
単量体混合物中の表面が修飾されたコロイダルシリカ
(d)の含有量は0.1〜60重量%であり、20〜6
0重量%であることが好ましい。ここで「加水分解物で
表面が修飾された」とは、コロイダルシリカの表面の一
部または全部に、シラン化合物の加水分解物が縮合反応
により保持された状態となり、コロイダルシリカの表面
特性が改質されていることを意味する。また、加水分解
物の縮合反応が進んだものが、同時に保持されているコ
ロイダルシリカも「加水分解物で表面が修飾された」コ
ロイダルシリカ(d)に含まれる。
【0016】本発明におけるこの表面修飾は、例えばコロイ
ダルシリカゾルにシラン化合物を添加し、加水分解、ま
たは加水分解と縮合反応を生じせしめることにより容易
に行うことができる。シラン化合物の加水分解反応を行
う際の触媒としては、無機酸または有機酸を使用するこ
とができる。無機酸としては、塩酸、フッ化水素酸、臭
化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝酸、燐酸等が
挙げられる。有機酸としては、蟻酸、酢酸、シュウ酸、
アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。コロイダル
シリカゾルの分散媒としては、水;メタノール、エタノ
ール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセ
トン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類を挙げることが
できる。
【0017】シラン化合物の加水分解と縮合反応は、室温〜
120℃程度の温度で30分〜24時間程度の条件下で
行われることが好ましい。室温〜溶媒の沸点程度の温度
で1〜10時間程度の条件下で行われることがより好ま
しい。また(メタ)アクリル官能性シラン化合物の加水
分解物及び親水性非官能性シラン化合物の加水分解物で
コロイダルシリカの表面修飾を行う場合、先に(メタ)
アクリル官能性シラン化合物の加水分解物で表面修飾を
行った後に、親水性非官能性シラン化合物の加水分解物
で表面修飾を行うことが好ましい。最初に親水性非官能
性シラン化合物の加水分解物で表面修飾を行うと、コロ
イダルシリカが凝集し、良好な塗膜用樹脂組成物が得ら
れにくくなることがある。
【0018】コロイダルシリカの表面を修飾する(メタ)ア
クリル官能性シラン化合物の加水分解物は、メルカプト
基含有シランもしくはアミノ基含有シランとポリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレートとのマイケル付加
反応物の加水分解物からなることが好ましい。
【0019】(メタ)アクリル官能性シラン化合物の原料と
してのメルカプト基含有シランは、次の一般式(4)で
表されるものが好ましい。
【化7】 (R5は一価の炭化水素基またはフッ素化アルキル基、
6は炭素数が1〜10の二価の置換または非置換の炭
化水素基を表す。Xはアルコキシ基、アミノ基、イソプ
ロペノキシ基等の加水分解性基、aは1〜3の整数を表
す。) R5の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、フェニル、オクタデシル、2−フェニルエチル、ビ
ニル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−(ペル
フルオロエチル)エチル、及び2−(ペルフルオロブチ
ル)エチルなどの基が挙げられる。
【0020】R6の例としては、メチレン、エチレン、ブチ
レン、ヘキシレン、プロピレン、デシレン等の基、下記
一般式(5)で表される非置換の二価の炭化水素基、2
−ヒドロキシプロピルの様な置換基を有する二価の炭化
水素基等が挙げられる。
【化8】 これらのメルカプト基含有シランの例としては、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルエチ
ルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジ
エトキシシラン、γ−メルカプトプロピルエチルジエト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルブチルジメトキシ
シラン、δ−メルカプトブチルトリメトキシシラン、δ
−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、δ−メルカ
プトブチルメチルジメトキシシラン、δ−メルカプトブ
チルエチルジメトキシシラン、δ−メルカプトブチルメ
チルジエトキシシラン、δ−メルカプトブチルエチルジ
エトキシシラン、γ−メルカプトイソブチルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトイソブチルメチルジメトキシ
シラン、γ−メルカプトブチルトリメトキシシラン、γ
−メルカプトブチルメチルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプト−2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプト−2−ヒドロキシプロピルトリエト
キシシラン、γ−メルカプト−2−ヒドロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−メルカプト−2−ヒドロ
キシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルジメチルメトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルジエチルエトキシシラン、β−メルカプトエチルト
リメトキシシラン、β−メルカプトエチルトリエトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリアミノシラン等が
挙げられる。
【0021】(メタ)アクリル官能性シラン化合物の原料と
してのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
は、平均分子量が400以下であるものが好ましい。平
均分子量が高すぎる場合は、コロイダルシリカと混合し
た際に凝集が起こり良好な塗膜用樹脂組成物が得られな
い。
【0022】メルカプト基含有シランとポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレートとのマイケル付加反応物と
しては、一般式(6)で表されるものが好ましい。
【化9】 (R7は一価の炭化水素基またはフッ素化アルキル基、
8は炭素数が1〜10の二価の置換または非置換の炭
化水素基、R9及びR10はそれぞれ独立して水素原子ま
たはメチル基を表す。Xは加水分解性基、aは1〜3の
整数、mは1〜9の整数を表す。) 一方、(メタ)アクリル官能性シラン化合物の原料とし
てのアミノ基含有シランは、N−(2−アミノエチル−
3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、3−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリ
エトキシシラン等が好ましい。
【0023】アミノ基含有シランとポリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレートとのマイケル付加反応物として
は、一般式(7)で表されるものが好ましい。
【化10】 (R11は一価の炭化水素基またはフッ素化アルキル基、
12は炭素数が1〜10の二価の置換または非置換の炭
化水素基、R13及びR14はそれぞれ独立して水素原子ま
たはメチル基、R15は水素原子もしくは炭素数1〜10
の1価の炭化水素基を表す。Xは加水分解性基、aは1
〜3の整数、nは1〜9の整数を表す。) これらのマイケル付加反応は室温で触媒が無くても進行
するが、触媒によりその反応速度を増加させることがで
きる。触媒としては金属アルコキシド、ピペリジン、4
級アンモニウム塩、ターシャリーホスフィン等が挙げら
れる。中でも触媒活性の高さ、取扱いの容易さからター
シャリーホスフィンが好ましく、トリフェニルホスフィ
ンがさらに好ましい。また溶媒中で行うことにより更に
反応速度を増加させることができる。溶媒としてはアル
コールのような極性の高いものが好ましい。反応終了
後、溶媒を除去する場合は、エタノール、イソプロパノ
ール等の低沸点のアルコールがより好ましい。
【0024】一般式(6)と一般式(7)で表される(メ
タ)アクリル官能性シラン化合物を比較すると、表面修
飾されたコロイダルシリカの分散安定性、得られた塗膜
の防曇性能、塗膜硬度、膜密着性のバランスの点で、一
般式(6)で表されるものがより好ましい。
【0025】一般に多官能(メタ)アクリレート系単量体を
主成分とする塗膜用樹脂組成物を、樹脂成形品に塗布
後、硬化し塗膜を形成する場合、いわゆる投錨効果によ
る樹脂成形品への密着性を得るために、塗膜用樹脂組成
物を塗布後、一定時間樹脂成形品へ浸透させた後に硬化
する方法が良く用いられる。
【0026】その際、多官能(メタ)アクリレート系単量体
を主成分とし、コロイダルシリカが分散された塗膜用樹
脂組成物においては、樹脂成形品へ塗膜用樹脂組成物が
浸透することにより、硬化後の塗膜ではコロイダルシリ
カが塗膜表面に濃縮された形態をとることがある。その
場合、コロイダルシリカの表面修飾が、(メタ)アクリ
ル官能性シラン化合物だけで行われた場合、硬化時の塗
膜表面の架橋密度が非常に高まり、防曇性能を低下させ
ることがある。
【0027】そこで本願発明では、コロイダルシリカの表面
修飾を行う成分として、(メタ)アクリル官能性シラン
化合物の加水分解物と親水性非官能性シラン化合物の加
水分解物とを併用する。それによってコロイダルシリカ
(d)が塗膜表面に濃縮された場合でも、過度に塗膜の
架橋密度が上がることはなく、防曇性能を維持すること
ができる。
【0028】この親水性非官能性シラン化合物の加水分解物
は、メルカプト基含有シランもしくはアミノ基含有シラ
ンと親水性単官能(メタ)アクリル系単量体とのマイケ
ル付加反応物の加水分解物からなることが好ましい。
【0029】親水性非官能性シラン化合物の原料としてのメ
ルカプト基含有シラン及びアミノ基含有シランには、前
記のものが挙げられる。
【0030】親水性非官能性シラン化合物の原料としての親
水性単官能(メタ)アクリル系単量体は、N,N−ジメ
チル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミ
ノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル
(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系
単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシブチルアクリレート、(メタ)アクリロ
イルモルフォリン、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】親水性非官能性シラン化合物としては、(メ
タ)アクリルアミド系単量体とメルカプト基含有シラン
とのマイケル付加反応物である一般式(8)で表される
ものが、得られる塗膜の密着性と防曇性能及び添加され
た界面活性剤の塗膜中への保持力を高めることができる
ため特に好ましい。
【化11】 (R16は一価の炭化水素基またはフッ素化アルキル基で
あり、R17は炭素数が1〜10の二価の置換もしくは非
置換の炭化水素基、R18は炭素数1〜5のアルキル基を
表す。Xは加水分解性基、aは1〜3の整数を表す。) 本発明の塗膜用樹脂組成物を構成するノニオン系界面活
性剤はHLBが6〜11のものである。ここでHLBと
は親水性親油性バランスのことであり、親水基の分子量
をMw、親油性基の分子量をMoとした場合に、下記一
般式(9)で表される。
【化12】 HLBが6より低い場合は、塗膜の防曇性能が低下す
る。HLBが11より高い場合は、塗膜の密着性が悪化
する。ノニオン系界面活性剤の含有量は、重合性単量体
混合物100重量部に対して、0.1〜10重量部であ
り、1〜7重量部がより好ましい。ノニオン系界面活性
剤の含有量が0.1重量部より低い場合は、防曇性能と
塗膜硬度とのバランスを取ることが困難となる。10重
量部より高い場合は、塗膜の密着性が低下したり、塗膜
が被覆された成形品を放置した場合に塗膜表面から多量
のノニオン系界面活性剤のブリードが見られるという問
題が生じる。ノニオン系界面活性剤は一般式(2)で表
されるものが好ましい。
【0032】一般式(2)で表される界面活性剤の例として
は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポ
リオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0033】本発明の塗膜用樹脂組成物を構成するアニオン
系界面活性剤は、一般式(3)で表されるものが好まし
い。これはポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン
酸ジエステル単独もしくはリン酸モノエステルとリン酸
ジエステルとの混合物のリン酸残基を完全中和または部
分中和することにより得られる。またポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルのリン酸ジエステル単独も
しくはリン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合
物のリン酸残基を完全中和または部分中和することによ
り得られる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具
体的な例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエ
チレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイ
ルエーテル等が挙げられる。またポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテルの具体的な例としては、ポリオ
キシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。アニオ
ン系界面活性剤の含有量は、重合性単量体混合物100
重量部に対し、0.1〜5重量部である。含有量が0.
1重量部より低い場合は、熱履歴後の防曇性能が悪化す
る。5重量部より高い場合は、塗膜用樹脂組成物中にア
ニオン系界面活性剤の未溶解物が析出したり発泡性が高
まり撹拌溶解時に多量の泡を発生し、塗膜の外観が悪化
する。
【0034】塗膜用樹脂組成物を構成する重合開始剤は任意
のものを用いることができる。重合開始剤としては、ベ
ンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンゾイ
ンエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、
ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホル
メート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)
−2−イドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベ
ンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、
ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、イソプ
ロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサント
ン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォ
スフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィ
ンオキサイド等の光重合開始剤、アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、
ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパー
オキサイド等の熱重合開始剤等が挙げられる。これらの
重合開始剤は単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0035】重合開始剤の含有量は、重合性単量体混合物1
00重量部に対し、0.01〜10重量部である。重合
開始剤の含有量が0.01重量部より低い場合は、得ら
れた塗膜の硬度が低下する。10重量部より高い場合
は、塗膜着色や防曇性能の低下が発生する。
【0036】本発明の塗膜用樹脂組成物を樹脂成形品表面に
塗布する方法としては、ロールコーター法、ナイフコー
ター法、ディップコート法、スプレーコート法等が挙げ
られる。また良好な防曇性能を有する塗膜が被覆された
樹脂成形品を得るためには、重合硬化された塗膜の厚み
は5〜100μmであることが好ましい。そのため塗膜
用樹脂組成物の粘度に応じて所望の膜厚を得られる塗布
方法を選択することが好ましい。樹脂板を製造しなが
ら、樹脂板に塗膜用樹脂組成物を塗布し、重合硬化させ
て、連続的に塗膜が被覆された樹脂板を得ることもでき
る。
【0037】塗膜用樹脂組成物を重合硬化させる方法として
は熱重合法、光重合法等を用いることができるが、エネ
ルギーコスト等の面で光重合法を用いることが好まし
い。また重合時は酸素による重合阻害を避けるために、
窒素等の不活性ガス雰囲気下で重合硬化させることが好
ましい。樹脂フィルムまたは鋳型で塗膜用樹脂組成物を
カバーして空気を遮断した雰囲気下で重合硬化させるこ
とも好ましい。
【0038】また必要に応じて塗膜用樹脂組成物中に紫外線
吸収剤、光安定剤、熱安定剤、溶剤、増粘剤、無機フィ
ラー等を添加することができる。
【0039】本発明の塗膜用樹脂組成物の硬化物からなる塗
膜が被覆される樹脂成形品としては、アクリル樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル
樹脂等の成形品が挙げられる。樹脂の透明性、塗膜の密
着性の点でアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂の成形
品が好ましい。本発明の塗膜用樹脂組成物の硬化物から
なる塗膜が被覆された樹脂成形品は、耐擦傷性、耐久性
及び防曇性に優れ、スキーゴーグル、ヘルメットシール
ド、メーターカバー、眼鏡レンズ、銘板等に好適であ
る。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。尚、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。各実
施例においては、コロイダルシリカの表面を修飾する際
に過剰に加えたポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレートや親水性単量体等の成分であって未反応の成分
は、重合性単量体混合物を構成する成分として表1に記
載した。尚、塗膜が被覆された樹脂成形品(以下、適宜
「サンプル」という)の各物性は、以下の条件で評価し
た。
【0041】(1)防曇性 (1−1)呼気による評価 サンプルを23℃で50RH%の環境下で24時間調温
調湿後、同環境下で20〜30mmの距離から塗膜面へ
呼気を吹きかけて、曇りの発生状態を観察し評価した。 ○:2秒間ずつ10回呼気を吹きかけても曇りの発生や
透視性の低下がない △:2秒間呼気を吹きかけても曇りの発生はないが、2
秒間ずつ10回呼気を吹きかけることにより透視性が低
下する ×:2秒間呼気を吹きかけることにより曇りが発生する (1−2)耐久性評価 23℃で60RH%の環境と、40℃で95RH%の環
境との境界に塗膜が40℃で95RH%の環境側になる
ようにサンプルを設置し、透視性の変化を目視で1時間
観察し評価した。 ○:曇りは発生せず、塗膜全面が均等に濡れ透視性が良
好な状態が1時間継続した ×:曇りの発生または、塗膜の不均一な濡れにより透視
性が低下した (2)塗膜の密着性 サンプルの塗膜にカッターにて1mm×1mmの碁盤目
100個を作り、これに粘着テープ(ニチバン(株)
製)を貼り付けた後、急激に粘着テープを引き剥がすこ
とを3回繰り返し、剥離しなかった碁盤目の数を数え
て、密着性を評価した。
【0042】(3)耐擦傷性(Δヘーズ) #000のスチールウールを装着した直径25.4mm
の円形パッドをサンプルの塗膜側表面上に置き、荷重を
1000gかけながら、20mmの距離を100回往復
擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差を△ヘーズとし
て下記式で求めた。 Δヘーズ(%)=擦傷後のヘーズ値(%)−擦傷前のヘ
ーズ値(%) (4)耐湿性 60℃、95RH%の環境下にサンプルを5日間放置し
た後、塗膜を爪で擦った際の塗膜の傷付き性を評価し
た。 ○:全く傷つかない △:傷が入る ×:擦った際に塗膜が脱落する (5)熱成形性 165℃の熱風乾燥炉でサンプルを10分間加熱後、曲
率半径40mmの木型を用い塗膜面が凹面側になるよう
に単曲面曲げ成形を行い、クラックの発生状況を観察し
た。
【0043】[実施例1]フラスコAにイソプロパノールを
156重量部、ジメチルアクリルアミド(以下「DMA
A」という)を100重量部、γ−メルカプトプロピル
トリメトキシシランであるKBM−803(信越化学工
業(株)製)を100重量部、トリフェニルフォスフィ
ンの3重量%イソプロパノール溶液を45重量部順次加
え、その溶液を室温で3日間反応させ、親水性非官能性
シラン化合物を合成した。
【0044】ついで、フラスコBにイソプロパノールを71
重量部、分子量200のポリエチレングリコールジアク
リレートであるNKエステルA−200(新中村化学
(株)製、以下「A−200」という)を70重量部、
KBM−803を14重量部、トリフェニルフォスフィ
ンの3重量%イソプロパノール溶液9.1重量部を順次
加え、その溶液を60℃に昇温後、3時間反応させアク
リル官能性シラン化合物を合成した。
【0045】得られた反応液にイソプロパノールを分散媒と
する固形分30重量%のコロイダルシリカであるIPA
−ST(日産化学工業(株)製)を234重量部加え、
次いで0.01規定の塩酸水溶液6重量部を加え、60
℃で1時間攪拌し、アクリル官能性シラン化合物の加水
分解物でコロイダルシリカの表面を修飾した。
【0046】フラスコBにフラスコA中の親水性非官能性シ
ラン化合物を含む混合物56重量部及び0.01規定の
塩酸水溶液を6重量部加え、更に60℃で1時間反応さ
せて、コロイダルシリカの表面を修飾した。
【0047】次いでこの反応液に分子量400のポリエチレ
ングリコールジアクリレートであるNKエステルA−4
00(新中村化学(株)製、以下「A−400」とい
う)を53重量部及びHLBが9.2のノニオン系界面
活性剤であるエマルゲン905(花王(株)製)7重量
部、一般式(3)のアニオン系界面活性剤フォスファノ
ールであるLO−529(東邦化学工業(株)製)を
4.2重量部加え、その混合物をロータリーエバポレー
ターにて揮発成分を減圧下にて留去した。
【0048】この反応液100重量部に、1,6ヘキサンジ
オールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、以
下「C6DA」という)を5重量部、重合開始剤として
2,4,6−トリメチルジフェニルフォスフィンオキサ
イドであるLucirin TPO(BASF社製、以
下「TPO」という)を1.5重量部加え溶解し、塗膜
用樹脂組成物を製造した。
【0049】その塗膜用樹脂組成物を、60℃の熱風乾燥炉
にて予備加熱した厚さ2mmのポリカーボネート板(三
菱レイヨン(株)製ダイヤライト、以下「PC板」とい
う)上に塗布した。更にその上に厚さ50μのポリエチ
レンテレフタレート製の2軸延伸フィルム(帝人(株)
製、以下「PETフィルム」という)を乗せ、JIS硬
度40゜のゴムロールにてしごき、塗膜用樹脂組成物の
厚みを12μにした。その後50秒放置した後、出力1
20w/cmのオゾンレスタイプのメタルハライドラン
プから210mm離れたところをPETフィルム面をラ
ンプ側にしてPC板を1.6m/minのスピードで通
過させ重合硬化せしめた。その後PETフィルムを剥離
し、更に出力120w/cmのオゾンレスタイプの高圧
水銀ランプから210mm離れたところを塗膜面をラン
プ側にしてPC板を1.6m/minのスピードで通過
させ重合硬化を完結させて塗膜が被覆されたPC板を得
た。尚、塗膜用樹脂組成物の厚みを12μに設定してか
らメタルハライドランプの照射までの間、PETフィル
ム表面上の温度は40〜43℃であった。
【0050】得られた塗膜が被覆されたPC板の評価結果を
表1に示す。
【0051】[実施例2]C6DAの量を10重量部とした
こと以外は、実施例1と同様にして塗膜用樹脂組成物を
製造し、PC板へ塗膜を被覆した。評価結果を表1に示
す。
【0052】[実施例3]DMAA100重量部の代わり
に、アクリロイルモルフォリン(以下「ACMO」とい
う)100重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様
にして塗膜用樹脂組成物を製造し、PC板へ塗膜を被覆
した。評価結果を表1に示す。
【0053】[比較例1]C6DAを加えなかったこと以外
は、実施例1と同様にして塗膜用樹脂組成物を製造し、
PC板へ塗膜を被覆した。評価結果を表1に示す。
【0054】[比較例2]C6DAの量を25重量部とした
こと以外は、実施例1と同様にして塗膜用樹脂組成物を
製造し、PC板へ塗膜を被覆した。評価結果を表1に示
す。
【0055】[比較例3]実施例1と同様にしてアクリル官
能性シラン化合物の加水分解物でコロイダルシリカの表
面を修飾した。
【0056】次いでこの反応液にA−200を12重量部、
A−400を68重量部及びエマルゲン905を7重量
部、フォスファノールLO−529を4.2重量部加え
た混合物をロータリーエバポレーターにて揮発成分を減
圧下にて留去した。
【0057】この反応液100重量部に、C6DAを5重量
部、TPOを1.5重量部加え溶解し、塗膜用樹脂組成
物を製造し、ポリカーボネート板へ塗膜を被覆した。評
価結果を表1に示す。
【0058】[比較例4]フラスコにIPA−ST200重
量部を加え、次いでフェニルトリメトキシシランである
KBM−103(信越化学工業(株)製)を12重量
部、0.01規定の塩酸水溶液4.5重量部を加え、6
0℃で1時間攪拌し、非親水性非官能性シラン化合物の
加水分解物でコロイダルシリカの表面を修飾した。
【0059】次いでこの反応液にA−200を46.8重量
部、A−400を31.2重量部及びエマルゲン905
を4.5重量部、フォスファノールLO−529を2.
7重量部加えた混合物をロータリーエバポレーターにて
揮発成分を減圧下にて留去した。
【0060】この反応液104.8重量部に、TPOを1.
5重量部加え溶解し、塗膜用樹脂組成物を製造し、ポリ
カーボネート板へ塗膜を被覆した。評価結果を表1に示
す。
【0061】[比較例5]KBM−103の代わりにγ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシランであるKBM
−503(信越化学工業(株)製)を使用し、アクリル
官能性シラン化合物の加水分解物でコロイダルシリカの
表面を修飾したこと以外は比較例4と同様にして塗膜用
樹脂組成物を製造し、ポリカーボネート板へ塗膜を被覆
した。評価結果を表1に示す。
【0062】[比較例6]実施例1と同様にして、親水性非
官能性シラン化合物を合成した。
【0063】ついでIPA−STを234重量部と、親水性
非官能性シラン化合物を含む混合物56重量部及び0.
01規定の塩酸水溶液6重量部を加えた。親水性非官能
性シラン化合物の添加によりコロイダルシリカが凝集し
てゲルとなり、塗膜用樹脂組成物を製造することができ
なかった。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、防曇性能、熱成形性、
塗膜の密着性及び耐擦傷性に優れ、熱成形による防曇性
能の低下や吸水時の硬度低下もない優れた塗膜が被覆さ
れた樹脂成形品を得ることができる。また本発明の塗膜
用樹脂組成物の硬化物は前述の塗膜に適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/04 CFD C08J 7/04 CFDA C09D 5/02 C09D 5/02 // C08L 101:00 C08L 101:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分(a)、(b)、(c)及び
    (d)を下記の量含む重合性単量体混合物100重量
    部、HLBが6〜11のノニオン系界面活性剤0.1〜
    10重量部、アニオン系界面活性剤0.1〜5重量部並
    びに重合開始剤0.01〜10重量部からなる塗膜用樹
    脂組成物。 ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(a)
    10〜80重量% 下記一般式(1)で表されるジ(メタ)アクリレート
    (b)0.1〜20重量% 【化1】 (R1はCH3またはH、iは2〜10の整数を表す。) 成分(a)及び(b)と共重合可能な親水性単量体
    (c)0.1〜40重量%(メタ)アクリル官能性シラ
    ン化合物の加水分解物及び親水性非官能性シラン化合物
    の加水分解物で表面が修飾されたコロイダルシリカ
    (d)0.1〜60重量%
  2. 【請求項2】 (メタ)アクリル官能性シラン化合物
    が、メルカプト基含有シランもしくはアミノ基含有シラ
    ンとポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートと
    のマイケル付加反応物からなることを特徴とする請求項
    1に記載の塗膜用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 親水性非官能性シラン化合物が、メルカ
    プト基含有シランもしくはアミノ基含有シランと親水性
    単官能(メタ)アクリル系単量体とのマイケル付加反応
    物からなることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の塗膜用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ノニオン系界面活性剤が下記一般式
    (2)で表される化合物であることを特徴とする請求項
    1〜請求項3のいずれかに記載の塗膜用樹脂組成物。 【化2】 (R2はアルキル基またはアルキルフェニル基、jは1
    〜30の整数を表す。)
  5. 【請求項5】 アニオン系界面活性剤が下記一般式
    (3)で表される化合物であることを特徴とする請求項
    1〜請求項4のいずれかに記載の塗膜用樹脂組成物。 【化3】 (R3はアルキル基またはアルキルフェニル基、R4は−
    OZまたは−O−(CH2CH2O)k−R3を表す。Zは
    アルカリ金属またはアンモニウム塩、kは1〜30の整
    数を表す。)
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    塗膜用樹脂組成物の硬化物からなる塗膜が被覆された樹
    脂成形品。
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