JP2001037444A - 新規美肌食品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】外用化粧品等によっては得難い皮膚機能劣化防
止と美肌維持の効果を、簡便な摂食により求め得る安全
性たかい食品組成物の提供。 【構成】従来個別に摂取され、栄養性の豊富さをそれぞ
れに評価されていた藍藻類スピルリナとイネ科マコモの
各乾燥物を食品組成物として組合わせ、その摂取による
相互作用で、皮膚機能の劣化防止と美肌維持の効果を新
たに現出せしめた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、藍藻類に属するスピル
リナとイネ科植物であるマコモのそれぞれ乾燥物を処方
中に組合わせ配合することにより、その摂取により、美
肌の効果を新たに現出せしめ得る食品組成物の提供に関
する。

【０００２】

【従来の技術】化粧は思春期後女性が等しくなすもので
あるが、その効用は、単にみだしなみや習慣性をこえて
身心両面、とくに精神衛生から身体機能にきわめて大き
いプラスをもたらす。外見した皮膚を「肌」というが、
肌の状態がよくて化粧がうまくいった時は免疫機能など
体調も好ましく推移し、老人養護施設などで、化粧行為
が痴呆化傾向をよく抑えるなどについても、いくつもの
報告に接することができる。

【０００３】化粧の巧拙はいうまでもなく皮膚の状態に
左右されるが、皮膚状態のよし悪しは専らその保湿能に
かかわる。皮膚の保湿能は皮膚の角層に負うが、基本的
に生命活動は、からだの適正水分量を減じてはあり得
ず。角層は規則正しいターンオーバー、すなわち角化角
解のリズムを保ってからだの水分維持に貢献する。皮膚
の保湿能は角層構造の堅牢さに加え、皮表に分泌される
皮脂のたすけを欠かせない。しかし、女性にあっては、
皮脂分泌は、平均して３５〜３６歳頃から急減するの
で、一般的には、この時分から皮膚の保湿能は低下し肌
は荒れが目立つようになり、いわゆる乾燥性肌質へ傾斜
する。乾燥性肌質への傾斜は化粧のりのわるさとして自
覚されはじめ、小じわの出現に至って日常的なストレス
となる。

【０００４】このような生理的必然に加え、近時の生活
環境の変化は、皮膚の乾燥傾向を加速する。例えば空調
の完備した生活空間は皮膚の乾燥を早め、汚染物質のふ
えた外気は皮膚の酸化を加速し、オゾン層破壊の傾向は
皮膚細胞ダメージ率を上げ、ストレスに充つる日常は、
皮膚の炎症的反応を絶やさない。これは何れも表皮最外
層である角層の機能を損ない、累を保湿能のダメージに
及ぼす。すなわち正常な角化角解リズムの崩れで、表皮
細胞の角化の遅れは肌目の粗さを招き、表皮細胞の（刺
激による）産生過剰はフケなどの増加となって現れる。

【０００５】女性における皮脂の急減がはじまる３５〜
３６歳頃以前、とくに思春期から２０代の年齢では本来
皮膚の乾燥や肌荒れはあり得ないのに、市場において量
多く流通し消費されているのが水分補給の化粧品であ
り、最ももてはやされているのが美肌化粧品である現状
は、皮膚の乾燥傾向や肌荒れ傾向を若齢化する近時の環
境条件の反映にほかならない。

【０００６】この保湿、美肌要求に対応する方法として
供されている化粧法は、例えば水を含浸させた紙片の顔
面貼布、例えばたん白分解酵素配合洗顔料による頻回洗
顔（角化角層の半強制的除去）、例えば抗チロシナーゼ
（メラニン産生を抑える）物質の皮膚投与などである
が、含水紙片の貼布は体熱により早くに乾いてしまい、
たん白分解酵素などを利用した頻回洗顔は、角層を薄化
し刺激を受けやすくし皮膚炎症性を高じさせる。抗チロ
シナーゼ物質の継続投与でメラニン産生が抑えられると
すれば、皮膚は紫外線等に対する防御能を益々弱めるこ
とになる。メラニンは皮膚の最も頼るべき紫外線防御物
質だからである。斯く、皮膚の乾燥傾向を抑えて美肌を
保つに、従来技術は化粧品等による外的対応において根
本的効果を期待し得ない。

【０００７】根本的効果を求めるには、からだの内面か
らのフォローが欠かせない。皮膚温を上げる（又は皮膚
からの熱放散増により皮膚を冷やす）ストレスも、皮脂
分泌を急減させるホルモンバランスの乱れも、皮膚の栄
養を損なう消化吸収能の低下も、紫外線でダメージされ
る免疫能も、皮膚の明度を下げる血行のうっ滞も、全て
体内諸機能の連携の乱れに由来するからである。

【０００８】しかるに従来技術において、この皮膚の健
全化、乾燥傾向の減弱、美肌の維持に資すべき方法は存
在しない。とくに簡便に継続摂取してこの目的を果たし
得る安全な食品の創出がまたれる所以である。

【０００９】

【発明が解決するための手段】本発明者らは、生活環境
の変化による皮膚の乾燥傾向とそれに由来する肌の劣化
傾向改善を日常の簡便な摂取により得うる食品に求め、
鋭意研究の結果、藍藻であるスピルリナとイネ科植物で
あるマコモそれぞれの乾燥物を組合わせた食品摂取がこ
れをはたしうることを発見し本発明をなすに至った。

【００１０】

【課題を解決するための手段】課題解決の手段として、
本発明者らは栄養成分とその機能において相似の内容と
性格をもちながら、それぞれについては、皮膚の保湿能
維持、肌の劣化防止という働きについて特異性が見出さ
れなかったスピルリナとマコモが共存して経口的に、所
要の美肌機能を発揮するという実施結果を得、新規の美
肌食品として提供するものである。

【００１１】すなわち藍藻類紐子目スピルリナ属のスピ
ルリナは、元始バクテリアに由来する緑色一本鎖状の食
用藻であるが、アミノ酸バランスのよいたん白質の豊富
さ（約７０％）をはじめに、フィコシアニン、クロロフ
ィル、カロチノイド等の色素成分、ビタミンＢ群、食物
繊維、ミネラル等の多さを特徴とする。単子葉類イネ科
のマコモは、沼沢地に群落を作る多年草で、ふるく種
子、茎葉などが食されてきた。成分的にはカロチノイ
ド、クロロフィル、ビタミンＢ群、食物繊維、ミネラル
などに富むことでスピルリナに似る。既知の機能性につ
いても、両者は血糖値、高血圧、消化器不調、免疫能の
改善等で軌を一にする。さらに近時、スピルリナ、マコ
モの何れにおいても腫瘍を防ぐ、ＳＯＤ活性などの機能
が証明されるようになったが、女性の日常的なストレス
源、つまりは恒常的な健康不安につながる皮膚保湿能の
減弱、肌の劣化加速について、具体的に益する報告実績
はなかった。

【００１２】皮膚の乾燥を防ぎ劣化を遅らせ美肌を保つ
方法に現在専ら化粧品等による外塗経路が用いられてい
るが、水溶性成分は角層固有のウオーターバリアーによ
り経皮吸収される能わず、水溶性以外の成分も、皮膚か
ら真皮に移行するとき、血流により空しく流去（ｂａｃ
ｋ ｌｅａｋａｇｅ）することが知られている。皮膚の
健全化は、もし経口してそれがかなうなら、外塗よりは
るかに効果的であるが複雑多岐にわたる身体内部諸機能
の交叉を考えれば、現在のところ、結果から疫学的にそ
れを求め、それを得るに如かない。

【００１３】成分的にも機能的にも相似であるスピルリ
ナとマコモの並列的共存が、経口的に美肌に貢献する機
序は未だ解明に至らず鋭意の研究途次にあるが、その効
果は試験各例において有意に明らかである。

【００１４】本発明で用いるスピルリナは、藍藻類紐子
目スピルリナ属スピルリナの中で、従来食用されてきた
何れの種類の使用も可とするが、スピルリナ・プラテン
シス（Ｓｐｉｒｕｌｉｎａ Ｐｌａｔｅｎｓｉｓ）、ス
ピルリナ・マキシマ（Ｓｐｉｒｕｌｉｎａ Ｍａｘｉｍ
ａ）等の使用を好適とする。可食粉末を得る工程は、バ
ッチ方式による光合成清浄培養から分離・濃縮、洗浄殺
菌を経て乾燥し粉末化に至る。（乾燥方法は公知の何れ
によるもよい。）

【００１５】同じく本発明で用いるマコモは、イネ科多
年草であるマコモ（ＺｉｚａｎｉａＬａｔｉｆｏｌｉ
ａ）で、自然の水辺に群生するその茎葉を採り、水洗、
乾燥、粗砕、粉砕、篩過してのち殺菌して所要の粉末を
得る。（乾燥方法は公知の何れによるもよい。）

【００１６】本発明はスピルリナとマコモのそれぞれの
乾燥物の組合わせを必須とするものであるが、その混合
比は、それぞれに２５〜７５％を適当とするなかで、ス
ピルリナ、マコモ各乾燥物の等量混合を好ましくする。

【００１７】［実施例］凍結乾燥し粉砕し１００メッシ
ュで篩過したスピルリナ・プラテンシスと同じく加熱乾
燥し粉砕したし２００メッシュで篩過したマコモ葉茎の
等量を良く混合し、さらに再び１００メッシュで篩過し
てのち、１粒０．２ｇに打錠し試験に供する。

【００１８】［試験例１］顔面皮膚に角化角解バランス
の乱れ（化粧のりがわるい、化粧品かぶれしやすい、急
な荒れ肌傾向、急な目尻、下瞼、小鼻のわきなどのこじ
わ増）ある女性９人（２６〜４７歳）について、皮膚機
能正常化能力の推移をみる。皮膚機能が劣化するとき、
そのあらわれの一つとして酸アルカリ中和能の低下をみ
る。すなわち皮膚が酸性状態（ｐＨ３．００）やアルカ
リ性状態（ｐＨ８．００）におかれてからの回復に要す
る時間の遅速により、皮膚機能の健常度を知る。回復に
要する時間の遅延は、すなわち皮膚正常化能の低下を示
し、皮膚の最も大切な機能である防御能のほころび、肌
状態の劣化をあらわす。被験女性９人を三群に分ち、Ａ
群には試験例の粒錠を、Ｂ群には、実施例に用いたスピ
ルリナ・プラテンシス乾燥末のみで各０．２ｇに打錠し
た粒錠を、Ｃ群には、実施例に用いたマコモ乾燥末のみ
で各０．２ｇに打錠した粒錠の各１日４５粒を朝、昼、
夜の食事に併せ１５粒摂取せしめた。期間は３ヶ月と
し、摂取期間中の食事内容は、摂取前と特に変わらぬよ
うにし、摂取期間中、身体的な異常のなかったことも確
かめた。

【００１９】この試験の前後に、被験各人共、前腕内側
を測定部位として、ｐＨ指示薬を用いて色調変化を経時
的に追い、ｐＨ３．０、ｐＨ８．０からの復元所用時間
を測定した。ＰＨ液はＭｃＩｌｖａｉｎｅ ｐＨ Ｂｕ
ｆｆｅｒを用いてｐＨ３．０及びｐＨ８．０のものを作
り、指示薬にはｐＨ３．０にブロムフェノールブルー、
ｐＨ８．０にブロムチモールブルを用いた。ブロムフェ
ノールブルーは、ｐＨ３．０での黄色がｐＨ４．６で青
変し、ブロムチモールブルーは、ｐＨ８．０での青色が
ｐＨ６．０で黄変する。結果を表１．表２．表３．に示
す。

【００２０】［試験例２］肌荒れを、又は化粧ののりの
悪さを訴える女性５人（３１〜５０歳）について、実施
例の粒錠を一日３０粒、朝、昼、夜に分割（１０粒ずつ
３回）摂取せしめた。期間は３ヶ月。この摂取の他にと
くに条件は課さず、試験前後の皮膚状態を次の「基準」
により比較した。試験の前後において２段階以上の改善
を有効、１段階改善をやや有効とした結果を表４に示
す。 ［基準］ １．朝の洗顔時、肌への手指触感はなめらかで小じわの
目立っところもない。 ２．朝の洗顔時、肌への手指触感はなめらかだが、下瞼
内側に少し小じわがみえる。 ３．朝の洗顔時、肌への手指触感に少しざらつきがある
が、下瞼内側の小じわは僅かである。 ４．朝の洗顔時、肌への手指触感に少しざらつきがあ
り、小じわは下瞼内側に目立つ。 ５．朝の洗顔時、肌への手指触感に少しざらついて滑り
が悪く、下瞼内側に目立つ小じわはたるみを伴う。

【００２１】［発明の効果］表１から表３の比較、表４
の結果から、本発明のスピルリナとマコモの乾燥物を組
み合わせた食品組成物は、スピルリナ及びマコモの個々
の機能をこえて、美肌の効果を顕在させることが明らか
になった。すなわち外塗化粧料等では得難かった美肌効
果を得ることのできる新しい皮膚健全化食品組成物とし
て有用性たかいものである。

【００２２】

【００２３】

フロントページの続き Ｆターム(参考） 4B018 LE01 MD61 MD89 ME14 MF04 MF06 MF07 4B036 LC06 LE03 LF19 LH21 LH46 LP01 LP05 LP09 4C088 AA12 AB73 AC05 AC16 BA07 CA11 MA52 ZA89

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スピルリナとマコモそれぞれの乾燥物の組
   合わせを必須とする食品組成物。