JP2000337642A - ヒータ付き電子レンジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱室側壁で反射されて周囲から中央に向か
って伝搬するマイクロ波で主に加熱されて、中心部が加
熱されにくいことを解決課題とする。 【解決手段】 中央部分に直径略１／２波長以上の略円
形の中空部２０ａを有し、周囲を金属線を溶接して構成
した金属網もしくは金属板を格子状に切り残して構成し
た金属格子からなる電波遮蔽カバー２０を加熱室の側壁
もしくは食品を載置する食品載置皿もしくは食品載置網
に着脱自在に支持固定することでヒータ加熱にほとんど
影響することなくマイクロ波による食品の中央部の加熱
を十分行うことが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ヒータ付電子レン
ジにかかり特にヒータ加熱とマイクロ波の同時加熱にお
いて有効に機能してマイクロ波加熱の加熱ムラを解消す
るための電波遮蔽カバーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５に従来のヒータ付き電子レンジの一
例を示す。図５において、被加熱物の食品１を収納する
加熱室２と、２４５０MHzのマイクロ波を発生するマグ
ネトロン３と、このマイクロ波を前記加熱室２に導く導
波管４と、前記加熱室２と前記導波管４との結合孔５に
貫通して設けたアンテナ６とこのアンテナ6を回転駆動
するアンテナモータ7と加熱室２の上下に上ヒータ８
ａ、下ヒータ８ｂを備えている。一般にこうした従来の
電子レンジにおいて、食品１にアンテナ６からのマイク
ロ波が直接照射される割合は、周囲の側壁で一旦反射し
てから照射される割合に比較すると小さく、食品１は主
に周囲の加熱室側壁で反射され周囲から中央に向かって
伝搬するマイクロ波で加熱されることになる。一般に被
加熱物である食品１は水分を多く含み、マイクロ波に対
する減衰率は大きいので、周囲から進入したマイクロ波
は中心に向かうとともに減衰し、中心部が加熱されにく
い。

【０００３】従来電子レンジの加熱ムラを解消したり、
あるいは食品を選択的に加熱するために食品容器にマイ
クロ波によって伝播を部分的に遮蔽する機能を設けた
り、マイクロ波の集中加熱される部分をアルミニウム箔
などで覆って加熱の集中を防止する方法が広く行われて
いる。例えば、特開平９−１３２２７９号公報や特開平
９−１６３９３９号公報に開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の電子レンジ
の構成では、加熱室内に放射されたマイクロ波は加熱室
全体に伝播するため、被加熱物の食品は主に周囲の加熱
室側壁で反射され周囲から中央に向かって伝搬するマイ
クロ波で加熱されることとなる。一般に被加熱物の食品
は水分を多く含み、マイクロ波に対する減衰率は大きい
ので、周囲から進入したマイクロ波は中心に向かうとと
もに減衰し、中心部が加熱されにくいと言う課題があっ
た。特にこの課題は、ピザやお好み焼きと言った扁平な
食品に顕著に発生する。

【０００５】一方、中央のみが加熱され難いという傾向
は、マイクロ波のみについて発生する現象で、ヒータ加
熱ではこうした食品形状による極端な加熱の集中は発生
しない。しかし、従来の加熱容器やアルミニウム箔を使
用する方法ではマイクロ波の遮蔽と同時にヒータによる
加熱も遮蔽するためマイクロ波加熱のムラ解消がヒータ
加熱のムラを招くことになる。このため、冷凍ピザをマ
イクロ波による解凍とヒータによる加熱を同時に行って
焼き上げを一気に行おうとする場合好ましくない問題が
あった。

【０００６】また、従来の容器やカバーを用いる方法で
は食品を入れたり、直接表面を覆ったりする構成である
ため、加熱する食品個々に一緒に出し入れする必要があ
り、手間が掛かる。さらに、従来のマイクロ波加熱だけ
であれば、こうした遮蔽体の温度上昇もせいぜい１００
℃程度であったが、ヒータによる加熱を行うヒータ付き
電子レンジの場合では、３００℃前後の高温になること
もあり、これを食品と一緒に取り扱うと火傷をすること
も想定されることになる。

【０００７】また、マイクロ波加熱だけであれば食品は
単に温度が上がるだけであるが、例えば、ピザなどをマ
イクロ波と同時にヒータ加熱も加えて焼き上げる場合
は、表面のチーズやトマトなどのトッピングがグツグツ
煮えて焼きあがった望ましい状態になる。しかし、従来
のアルミニウム箔を使用する方法では必ず食品表面に接
触するため食品表面の仕上がり感が損なわれるという課
題があった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、中央部分に直径略１／２波長以上の略円形の
中空部を有する金属格子もしくは金属線を溶接して構成
した金属網からなる電波遮蔽カバーを加熱室の側壁もし
くは食品を載置する食品載置台に着脱自在でしかも食品
に接触しない高さに支持固定する構成とした。

【０００９】上記発明によればマイクロ波の伝播通路が
電波遮蔽カバーの中央部分の穴に集中し、ピザ等の扁平
な食品の中央付近もマイクロ波で十分加熱される。一
方、マイクロ波を遮蔽する網や格子状の部分はヒータの
熱をほとんど遮ることなく通過するので周囲もヒータに
より十分加熱される。しかも、遮蔽カバーは加熱室の側
壁もしくは食品載置台で支持しているので電波遮蔽カバ
ーを装着したままで食品の出し入れが出来、しかも電波
遮蔽カバーは食品表面に接触していないので、表面は自
然な焼き上がり状態となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の目的を達成したヒータ付
き電子レンジは各請求項に記載した構成を実施の形態と
し得るものであり、以下にはその構成に加えて作用効果
を併記する。

【００１１】請求項１記載の本発明のヒータ付き電子レ
ンジは、中央部分に直径略１／２波長以上の略円形の中
空部を有する金属格子もしくは金属線を溶接して構成し
た金属網からなる電波遮蔽カバーを加熱室の側壁もしく
は食品を載置する食品載置台に着脱自在でしかも食品に
接触しない高さに支持固定する構成としたものである。

【００１２】そして、マイクロ波の伝播通路が電波遮蔽
カバーの中央部分の穴に集中し、ピザ等の扁平な食品の
中央付近もマイクロ波で十分加熱される。一方、マイク
ロ波を遮蔽する網や格子状の部分はヒータの熱をほとん
ど遮ることなく通過するので周囲もヒータにより十分加
熱される。しかも、電波遮蔽カバーは加熱室の側壁もし
くは食品載置台で支持されているので電波遮蔽カバーを
装着したままで食品の出し入れが出来、しかも電波遮蔽
カバーは食品表面に接触していないので、表面は自然な
望ましい焼き上がり状態となる。

【００１３】請求項２記載の発明は請求項１記載の発明
に加えて、さらに、食品載置台は金属材料で構成し、電
波遮蔽カバーと食品載置皿もしくは食品載置網との距離
を１／２波長以下としたものである。

【００１４】そして、電波遮蔽カバーと食品載置台の間
には食品に吸収されながら外周へ伝播する伝播姿態のみ
が伝播可能となるため、中央付近の加熱がより集中的に
行われることとなる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
説明する。

【００１６】（実施例１）図１は実施例１における主要
部分の構成を示す縦断面図、図２は同実施例１における
電波遮蔽カバーの平面図である。

【００１７】図１、図２において、１１はマイクロ波を
発生するマグネトロン、１２はマイクロ波で加熱される
被加熱物の食品、１３は食品１２を収納する加熱室、１
４はマグネトロン１１で発生したマイクロ波を加熱室１
３へ導く導波管、１５は導波管１４と加熱室１３の共通
壁面を貫通して設けた結合孔、１６は結合孔１５に貫通
して設けたアンテナ、１７はこのアンテナ１６を回転駆
動するアンテナモータ、１８ａ、１８ｂは加熱室１３の
上下に配置された第二の加熱源である上ヒータと下ヒー
タである。食品載置台１９と電波遮蔽カバー２０は加熱
室１３の壁面に設けられたセラミックスよりなるレール
２１により着脱自在でかつ引き出し自在に左右を支持さ
れている。

【００１８】電波遮蔽カバー２０は中央部分に直径略１
／２波長以上の略円形の中空部２０ａを有し、この中空
部２０ａの周囲は金属板を格子状に切り残した金属格子
から構成されている。この金属格子の形状寸法は必要と
するマイクロ波の遮蔽能力と機械的強度を満たす条件下
で可能な範囲で開口率を高く設定される。この電波遮蔽
カバー２０と食品載置台１９との距離ｈは略１／２波長
以下、さらに冷凍ピザを想定して食品表面との間隔をと
るために３０mm以上に設定されている。

【００１９】また、食品載置台１９は金属板もしくは金
属線を溶接して構成した金属網より構成されている。こ
こで、金属網が金属線を溶接して構成されているのは、
溶接により金属線同士の接触部で発生するスパークや発
熱を抑止することが出来るからである。

【００２０】次に動作、作用について説明する。電波遮
蔽カバー２０の中央部分に設けられた中空部２０ａは直
径が略１／２波長以上の略円形となっているので、マイ
クロ波はこの中空部２０ａをほとんど減衰なく通過する
ことが出来る。一方、中空部２０ａの周囲は金属格子で
構成されており、その一つ一つの開口の大きさは１／２
波長より十分小さくしてあるので、マイクロ波は大きく
反射される。このためアンテナ１６から加熱室１３内に
放射されたマイクロ波は、電波遮蔽カバー２０の中央に
設けられた中空部２０ａを通って下の被加熱物の食品１
２の中央付近に向かって集中して放射されることとな
る。しかも、電波遮蔽カバー２０と食品載置台１９との
距離ｈは１／２波長以下に設定されているため、中空部
２０ａから電波遮蔽カバー２０と食品載置台１９の間に
導かれたマイクロ波は外周へ向かう。一般にマイクロ波
工学で縦方向に０次姿態と呼ばれる伝播姿態のみが伝播
可能となる。このため、中空部２０ａを通過したマイク
ロ波は食品１２で急激に減衰しながら外周へ伝播するこ
ととなり、当然中央付近の加熱が十分行われることとな
る。

【００２１】一方、上ヒータ１８ａによる加熱は電波遮
蔽カバー２０の格子により、輻射熱の一部は反射される
が、マイクロ波と異なりその割合は極小さく大勢に影響
を与えることはない。しかも、電波遮蔽カバー２０は食
品載置台１９との距離ｈを食品１２に接触しない大きさ
に設定しているので、食品１２の表面に格子状の焦げム
ラもほとんどつかず、また格子状に押し形がつくと言っ
たことも無く、極自然な仕上がり状態を実現できる。

【００２２】しかも、食品載置台１９は電波遮蔽カバー
２０を装着したまま独立して加熱室から引き出すことが
できるので、食品の出し入れが非常に便利である。

【００２３】（実施例２）図３は本発明の実施例２にお
ける電波遮蔽カバー２２と食品載置皿１９の断面図、図
４は同電波遮蔽カバー２２の平面図である。本実施例２
において、実施例１と異なる点は電波遮蔽カバー２２が
中央部分の中空部２２ａの周囲を金属線を溶接して構成
した金属網とした点とこの電波遮蔽カバー２２を食品載
置台１９上に着脱自在に支持固定する構成とした点であ
る。本実施例では、電波遮蔽カバー２２はセラミックス
よりなる脚２２ｂにより食品載置台１９上に載置されて
いる。

【００２４】なお、電波遮蔽カバー２２と食品載置台１
９以外は実施例１と同一構造を有している。その動作、
作用は実施例１と基本的に同じであるが、電波遮蔽カバ
ー２２が中央部分の中空部２２ａの周囲を金属線を溶接
して構成した金属網としているので、構造上金属格子よ
りも開口率を上げやすく、ヒータ加熱への影響をより小
さくすることができる。また、食品載置台１９の上に乗
せる構成としているので、電波遮蔽カバー２２の外形を
食品１２の大きさに合わせて自由に選択することが出来
るメリットもある。

【００２５】ここで、電波遮蔽カバー２２の金属網が金
属線を溶接して構成されているのは、溶接により金属線
同士の接触部で発生するスパークや発熱を抑止すること
が出来、さらに金属線同士の接触不良部で生ずるマイク
ロ波の漏れを確実に防止するためである。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、中
央部分に直径略１／２波長以上の略円形の中空部を有す
る金属格子もしくは金属線を溶接して構成した金属網か
らなる電波遮蔽カバーを加熱室の側壁もしくは食品を載
置する食品載置台に着脱自在に支持固定しているので、
ピザ等の扁平な食品の中央付近もマイクロ波で十分に加
熱される一方、マイクロ波が遮蔽された周囲もヒータに
より十分加熱される。しかも、電波遮蔽カバーを装着し
たままで食品を出し入れすることが出来、さらに電波遮
蔽カバーは食品表面に接触していないので、表面の自然
な焼き上がり状態が実現できるという効果がある。

【００２７】また、電波遮蔽カバーと食品載置台の距離
ｈは１／２波長以下に設定されているため、中空部から
導かれたマイクロ波は食品で減衰しながら外周へ向かう
伝播姿態のみとなるため、当然中央付近の加熱がより強
力になるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１における電子レンジの主要部
分を示す縦断面説明図

【図２】同電波遮蔽カバーの平面説明図

【図３】本発明の実施例２における電波遮蔽カバーと食
品載置皿の断面説明図

【図４】同電波遮蔽カバーの平面説明図

【図５】従来例の電子レンジにおける主要部分を示す縦
断面説明図

【符号の説明】

１２ 食品 １３ 加熱室 １８ａ 上ヒータ １８ｂ 下ヒータ １９ 食品載置台 ２０、２２ 電波遮蔽カバー ２０ａ、２２ａ 中空部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中央部分に直径略１／２波長以上の略円形
   の中空部を設けた金属格子もしくは金属線を溶接して構
   成した金属網からなる電波遮蔽カバーを加熱室の側壁も
   しくは食品を載置する食品載置台に着脱自在でしかも食
   品に接触しない高さに支持固定する構成としたヒータ付
   電子レンジ。
2. 【請求項２】食品載置台は金属材料で構成し、電波遮蔽
   カバーと食品載置台との距離を１／２波長以下とした請
   求項1記載のヒータ付電子レンジ。