JP2000336133A - 新規なオキセタンスルフォン酸エステルおよびそれを用いたオキセタン化ノボラック樹脂ならびにその製造法 - Google Patents

新規なオキセタンスルフォン酸エステルおよびそれを用いたオキセタン化ノボラック樹脂ならびにその製造法

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JP2000336133A JP11148651A JP14865199A JP2000336133A JP 2000336133 A JP2000336133 A JP 2000336133A JP 11148651 A JP11148651 A JP 11148651A JP 14865199 A JP14865199 A JP 14865199A JP 2000336133 A JP2000336133 A JP 2000336133A
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Mikito Kashima
幹人 加島
Yumitatsu Noda
結実樹 野田
Harutoshi Hoshino
治利 星野
Riichi Machida
利一 町田
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ビフェニル骨格および/またはフ
ェニル骨格を含むハードな主鎖にオキセタンという反応
性のソフトセグメントを導入することにより、光カチオ
ン重合ならびに酸触媒を用いる熱重合が可能で、ワニ
ス、コート材、塗料および各種成形材料等に利用され得
る新規なオキセタン化ノボラック樹脂およびその製造法
を提供する。 【解決手段】 本発明は、オキセタンスルフォン酸エス
テル、および該オキセタンスルフォン酸エステルとノボ
ラック樹脂のアルカリ金属塩とを反応させることにより
得られるオキセタン化ノボラック樹脂ならびにその製造
法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なオキセタン
スルフォン酸エステル、およびそれを用いた、光カチオ
ン重合や酸触媒を用いる熱重合が可能な新規なオキセタ
ン化ノボラック樹脂ならびにその製造法に関する。本発
明のオキセタン化ノボラック樹脂から誘導される光硬化
性または熱硬化性樹脂組成物は、密着性、低吸水性、耐
熱性および機械的特性に優れ、ワニス、コート材、塗料
および各種成形材料等に利用される。
【0002】
【従来の技術】四員環のエーテル化合物であるオキセタ
ン化合物は、炭素−酸素間の結合が分極していることか
ら高い反応性を示すもので、環境汚染が少なく、重合時
の酸素の影響も無く、重合速度も速く、プロセスコスト
の低減化が可能といった、三員環のエーテル化合物であ
るエポキシ系モノマーでは期待できない特性を示す光カ
チオン重合および熱重合が可能なモノマーとして、近年
注目を浴びている化合物であり、多くの単官能性および
多官能性オキセタン化合物が報告されている。例えば、
Pure Apll. Chem.,A29(10),pp.915(1992) およびPure A
pll. Chem.,A30(2& 3),pp.189(1933) には種々のオキセ
タン誘導体の合成法の記載がある。また、ドイツ特許第
1021858号明細書には、下記一般式(IV)で表わ
されるオキセタン化合物が開示されている。
【0003】
【化5】
【0004】(式中、R1 は2以上の原子価を有する芳
香族残基であり、R2 はエチル基であり、mは1または
2である。) さらに、特開平6−16804号公報には、下記一般式
(V)で表わされたオキセタン化合物の記載がある。
【0005】
【化6】
【0006】(式中、R3 は、水素原子、1〜6個の炭
素原子を有するアルキル基、フルオロアルキル基、アリ
ル基、アリール基、フリル基またはチエニル基であり、
4 は、線状または分岐状ポリ(アルキレンオキシ)
基、キシリレン基、シロキサン結合およびエステル結合
からなる群から選ばれる多価基であり、Zは酸素原子ま
たは硫黄原子であり、kは2、3または4である。) そして、特開平8−245783号公報には、2,2’
−ビトリレンジイル骨格を有する二官能性オキセタンを
始めとする数多くの化合物類の記載がある。また、特開
平7−17958号公報には、アクリルクロライドとヒ
ドロキシメチルオキセタンとの反応によるオキセタン化
合物の合成法が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記い
ずれの公知文献にも、本発明のオキセタンスルフォン酸
エステルおよびそれを用いたオキセタン化ノボラック樹
脂ならびにその製造法についての記載は全くなく、また
Chemical AbstractならびにBeilsteil にも記載されて
いない。本発明は、ビフェニル骨格および/またはフェ
ニル骨格を含むハードな主鎖にオキセタンという反応性
のソフトセグメントを導入することにより、新規な多官
能性オキセタン化ノボラック樹脂およびそれらの製造法
を提供するものである。また、本発明は、このオキセタ
ン化ノボラック樹脂を製造するための新規なオキセタン
スルフォン酸エステルを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、光カチオ
ン重合ならびに酸触媒を用いる熱重合が可能で、ワニ
ス、コート材、塗料および各種成形材料等に利用され得
る新規な樹脂について鋭意検討を重ねた結果、新規なオ
キセタンスルフォン酸エステルをノボラック樹脂のアル
カリ金属塩と反応させ、該樹脂のビフェニル骨格および
/またはフェニル骨格にオキセタン化合物を導入するこ
とによって新規な多官能性オキセタン化ノボラック樹脂
が得られることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】すなわち、請求項1に記載の第1の発明
は、下記一般式(I)で表わされるオキセタンスルフォ
ン酸エステルに関する。
【0010】
【化7】 (式中、R’は水素原子または1〜6個の炭素原子を有
するアルキル基であり、Mはメシル基、トシル基および
ベンゼンスルホニル基からなる群から選ばれる1価の酸
基である。)
【0011】請求項2に記載の第2の発明は、前記第1
の発明に係るオキセタンスルフォン酸エステルとノボラ
ック樹脂のアルカリ金属塩との反応により得られる、下
記一般式(II)で表わされるオキセタン化ノボラック樹
脂に関する。
【0012】
【化8】
【0013】(式中、Rは水素原子またはメチル基であ
り、R’は水素原子または1〜6個の炭素原子を有する
アルキル基であり、Xは下記式
【0014】
【化9】
【0015】(ただし、式中Rは上記一般式(II)中の
Rと同様の基である。)からなる群より選ばれる一つで
あり、nは0〜4の整数である。) また、請求項3に記載の第3の発明は、前記一般式(I
I)においてR’がエチル基である前記第2の発明に係
わるオキセタン化ノボラック樹脂に関する。
【0016】そして、請求項4に記載の第4の発明は、
下記一般式(III)
【0017】
【化10】
【0018】(式中、R、Xおよびnは、それぞれ、前
記一般式(II)におけるR、Xおよびnと同じであ
る。)で表わされるノボラック樹脂を水素化アルカリ金
属または水酸化アルカリ金属と反応させてアルカリ金属
塩とした後、そのアルカリ金属塩を前記第1の発明に係
わるオキセタンスルフォン酸エステルと反応させること
を特徴とする、前記第2の発明または第3の発明に係わ
る新規なオキセタン化ノボラック樹脂の製造法に関す
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明においては、先ず、3−置換−3−ヒドロキ
シメチルオキセタン、スルフォン酸クロリド、第四級ア
ンモニウム塩および溶媒からなる混合物に濃度30重量
%のアルカリ金属塩水溶液を、反応混合物の温度が10
℃を越えない速度で滴下することにより、下記一般式
(I)
【0020】
【化11】
【0021】(ただし式中、R’は水素原子または1〜
6個の炭素原子を有するアルキル基であり、Mはメシル
基、トシル基およびベンゼンスルホニル基からなる群か
ら選ばれる1価の酸基である。)で表わされるオキセタ
ンスルフォン酸エステルを合成する。この場合、アルカ
リ金属塩としては、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム
などの塩が好適に用いられる。なお、反応混合物の温度
が10℃を越えると、スルフォン酸クロリドとアルカリ
金属塩との反応が優先的に進行し、目的物のオキセタン
スルフォン酸エステルの収率が悪化するなどの問題が起
こる恐れがある。
【0022】このとき使用される3−置換−3−ヒドロ
キシメチルオキセタンとしては、下記一般式(VI)
【0023】
【化12】
【0024】(ただし式中、R’は水素原子または1〜
6個の炭素原子を有するアルキル基である。)で表わさ
れる分子中に1個のオキセタン環を有するオキセタン化
合物が好適である。ここで、1〜6個の炭素原子を有す
るアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペ
ンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキ
シル基およびイソヘキシル基などの直鎖または分岐鎖の
アルキル基が挙げられる。前記3−置換−3−ヒドロキ
シメチルオキセタンとしては、前記一般式(VI)におい
てR’が水素原子である3−ヒドロキシメチルオキセタ
ンおよびR’が1〜6個の炭素原子を有するアルキル基
である3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタン
の使用が好ましく、これらの中でもR’がエチル基であ
る3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンの使用
が特に好ましい。
【0025】一方、前記スルフォン酸クロリドとして
は、メチルスルフォン酸クロリド、p−トルエンスルフ
ォン酸クロリドおよびベンゼンスルフォン酸クロリドが
好適に用いられる。前記スルフォン酸クロリドの使用量
は、前記3−置換−3−ヒドロキシメチルオキセタンに
対して1〜3倍モル、好ましくは1〜2倍モルである。
前記スルフォン酸クロリドの使用量が前記3−置換−3
−ヒドロキシメチルオキセタンに対して1倍モルより少
ないと、前記オキセタンスルフォン酸エステルの合成反
応が十分に進行しないし、また、前記3−置換−3−ヒ
ドロキシメチルオキセタンに対して3倍モルより多い
と、アルカリ金属塩との反応が優先し、目的物の収率低
下を招くとか、コスト的にも割高になるとかの問題があ
り好ましくない。
【0026】第四級アンモニウム塩としては、下記一般
式(VII)
【0027】
【化13】
【0028】(式中、R5 〜R8 はそれぞれメチル基、
エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等のアルキル
基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。X1
塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子を示す。)
で表わされる一般的なテトラアルキルアンモニウム塩
や、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジ
ルジメチルエチルアンモニウムクロリドなどが好適であ
り、前記3−置換−3−ヒドロキシメチルオキセタンに
対して0.5〜15モル%、好ましくは1〜10モル%
使用される。これら第四級アンモニウム塩は単独で用い
てもよく、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
これら第四級アンモニウム塩の使用量が前記3−置換−
3−ヒドロキシメチルオキセタンに対して0.5モル%
より少ないと、前記オキセタンスルフォン酸エステルの
合成反応が十分に進行しない。一方、これら第四級アン
モニウム塩を前記3−置換−3−ヒドロキシメチルオキ
セタンに対して15モル%より多く用いても、前記オキ
セタンスルフォン酸エステルの合成反応促進効果の向上
はほとんど認められないので、経済性の面からは好まし
くない。また、前記オキセタンスルフォン酸エステルの
合成反応に使用される溶媒としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類が好適である。
【0029】次に、水素化アルカリ金属または水酸化ア
ルカリ金属を溶媒中に分散させ、0〜150℃、好まし
くは30〜120℃に加熱攪拌しながら、ノボラック樹
脂溶液を滴下してノボラック樹脂のアルカリ金属塩を合
成する。この時使用するノボラック樹脂は、下記一般式
(III)
【0030】
【化14】
【0031】(式中、R、Xおよびnは、それぞれ、前
記一般式(II)におけるR、Xおよびnと同じである。
すなわち、Rは水素原子またはメチル基であり、Xは下
記式
【0032】
【化15】
【0033】(ただし、式中Rは前記一般式(II)中の
Rと同様の基である。)からなる群より選ばれる一つで
あり、nは0〜4の整数である。)で表わされるオリゴ
マーである。
【0034】また、水素化アルカリ金属としては油性水
素化ナトリウムが好ましく、水酸化アルカリ金属として
は粒状または粉末状の水酸化ナトリウムもしくは水酸化
カリウムが好ましい。これら水素化アルカリ金属または
水酸化アルカリ金属は、前記ノボラック樹脂の水酸基当
量に対して1〜2倍モル、好ましくは1〜1.2倍モル
用いられる。これら水素化アルカリ金属または水酸化ア
ルカリ金属の使用量が前記ノボラック樹脂の水酸基当量
に対して1倍モル未満ではノボラック樹脂のアルカリ金
属塩の合成反応が十分に進行しないし、2倍モルを越え
る場合においても、ノボラック樹脂のアルカリ金属塩の
収率向上には寄与せず、コスト面で好ましくないなどの
問題があり、いずれの場合も好ましくない。
【0035】前記ノボラック樹脂のアルカリ金属塩の合
成時使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、ヘキサメチルリン酸トリアミドおよびN−メチ
ル−2−ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒ならびに
両者の混合系が好適に用いられる。
【0036】本発明のオキセタン化ノボラック樹脂の製
造においては、最後に、上述のようにして得られたノボ
ラック樹脂のアルカリ金属塩を含む反応混合物に、前述
のようにして得られたオキセタンスルフォン酸エステル
溶液を滴下させていくが、この時の反応温度は好ましく
は20〜200℃であり、特に好ましくは50〜150
℃である。反応時間は、反応温度にもよるが、2〜6時
間で十分である。この時、反応温度が20℃未満では、
前記ノボラック樹脂のアルカリ金属塩と前記オキセタン
スルフォン酸エステルとの反応が十分に進行しない。ま
た、反応温度が200℃を越えると、オキセタン環の開
裂に起因するタール状の副生物が生成するので好ましく
ない。
【0037】また、前記ノボラック樹脂のアルカリ金属
塩と前記オキセタンスルフォン酸エステルとの反応に際
し使用する溶媒としては、前記ノボラック樹脂のアルカ
リ金属塩合成時に使用した溶媒を用いることが望まし
い。
【0038】さらに、前記ノボラック樹脂のアルカリ金
属塩と前記オキセタンスルフォン酸エステルとの反応に
際して、前記オキセタンスルフォン酸エステルの使用量
は、前記ノボラック樹脂のアルカリ金属塩に対して通常
1〜2倍モル、好ましくは1〜1.2倍モルが好適であ
る。前記オキセタンスルフォン酸エステルの使用量が1
倍モル未満では、前記ノボラック樹脂のアルカリ金属塩
と前記オキセタンスルフォン酸エステルとの反応が十分
に進行しないし、また、2倍モルを越えると、目的生成
物のオキセタン化ノボラック樹脂中に前記オキセタンス
ルフォン酸エステルが残存し、品質の低下を招くことが
ある。
【0039】反応終了後は、室温まで冷却し、反応混合
物と等量の水を加えて分液し、有機層を水洗および乾燥
後、前記溶媒を減圧蒸留等によって除去するこにより、
本発明の目的生成物である下記一般式(II)で表わされ
るオキセタン化ノボラック樹脂を得ることができる。な
お、前記ノボラック樹脂のアルカリ金属塩と前記オキセ
タンスルフォン酸エステルとの反応に非プロトン性極性
溶媒を単独で使用した場合には、上記反応混合物の分液
に際して、水の他に水と等量の芳香族炭化水素類を加え
る必要がある。
【0040】
【化16】
【0041】(式中、Rは水素原子またはメチル基であ
り、R’は水素原子または1〜6個の炭素原子を有する
アルキル基、好ましくはエチル基であり、Xは下記式
【0042】
【化17】
【0043】(ただし、式中Rは上記一般式(II)中の
Rと同様の基である。)からなる群より選ばれる一つで
あり、nは0〜4の整数である。)
【0044】
【実施例】次に、実施例を述べて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定を
受けるものではない。なお、以下の実施例において、最
終的に得られた反応生成物の同定は、下記の方法で行っ
た。
【0045】(1)目的生成物の同定 日立製作所社製M−80B装置を用い、最終的に得られ
た生成物の電界脱離イオン化質量分析(以下「FD−M
S」と略記)測定を行い、得られたチャートのピーク位
置から確認した。
【0046】実施例1 (オキセタン−p−トルエンスルホナートの合成)温度
計、冷却管、攪拌装置および滴下ロートを備えた内容積
2リットルの三つ口フラスコに、p−トルエンスルホニ
ルクロリド(和光純薬工業社製、試薬特級品)228.
78g(1.2モル)、ベンジルトリエチルアンモニウ
ムクロリド(和光純薬工業社製)17.08g(0.0
75モル)およびトルエン450mlを加え攪拌し、ほ
ぼ溶解均一溶液とした後、冷却浴に浸し約5℃に冷却す
る。これに、35重量%水酸化ナトリウム水溶液(純度
97重量%の水酸化ナトリウムペレット72.16g
(1.75モル)を水128mlに溶解し調製したも
の)を静かに加えた後、滴下ロートを用い、3−エチル
−3−ヒドロキシメチルオキセタン(以下「EHO」と
略記)116.16g(1.0モル)を、三つ口フラス
コ内温度が10℃を越えないようコントロールしなが
ら、約30分かけて滴下する。滴下終了後、少量のトル
エンで滴下ロートに残ったEHOを洗い流し、同温でさ
らに1時間攪拌した後、冷却浴を取り外し、4時間攪拌
を続行する。反応終了後、反応混合物に水250mlお
よびトルエン150mlを加え激しく攪拌した後、分液
ロートに移しトルエン層を分液する。このトルエン溶液
をさらに各々水250mlで2回洗浄し、分液後、トル
エン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥する。そして硫酸
マグネシウムを濾別し、油浴温度70℃、5〜10mm
Hgの減圧下で濾液からトルエンを留去し、無色透明液
体の釜残としてオキセタントシレート、すなわち、3−
エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン−p−トルエ
ンスルホナート253.35gが得られる。該オキセタ
ントシレートは、少量のトルエンを含有するが、ガスク
ロマトグラフィーによる純度は100%で、収率は93
%である。
【0047】実施例2 (オキセタン化ノボラック樹脂の合成)油性水素化ナト
リウム2.40g(60.0ミリモル)、N,N−ジメ
チルホルムアミド(以下「DMF」と略記)30mlおよ
びトルエン30mlを攪拌機、冷却器、温度計および滴
下ロートを備えた内容積200mlの三つ口丸底フラス
コに取り、70℃の油浴に浸け、攪拌する。続いて、ビ
フェニルノボラック樹脂(明和化成社製、銘柄:MEK
−7851、水酸基当量:205)8.20g(40.
0ミリ当量)を、50mlのトルエンおよび10mlの
DMFから成る混合溶媒に溶解させ、滴下ロートを用い
て45分かけて前記フラスコ内に滴下する。滴下終了
後、70℃で1時間加熱攪拌すると、黒褐色の不均一溶
液が得られる。
【0048】次に、前記実施例1で得られたオキセタン
トシレート(以下「EOTs」と略記)16.2g(6
0.0ミリモル)をトルエン20mlに溶解させたもの
を、滴下ロートから25分かけて前記フラスコ内の反応
混合物中に滴下する。滴下後、油浴の温度を70℃から
100℃に昇温し、4時間加熱攪拌すると、黄土色の不
均一溶液が得られる。そこで、前記反応フラスコを油浴
から上げ、フラスコ内の反応混合物を室温まで冷却後、
水100mlを加え、反応混合物を分液ロートに移す。
さらに反応フラスコをトルエン100mlで洗い、同様
に分液ロートに移し、有機層と水層に分離する。下部の
水層を廃棄し、さらに各々水100mlで2回洗浄した
後、有機層を内容積300mlのフラスコに移す。該有
機層に活性炭を加えて脱色した後濾過し、溶媒を減圧蒸
留によって除去すると、釜残として黄褐色粘稠透明液体
が11.57g得られた。この液状物質をFD−MS測
定したところ、図1に示すように、それぞれ分子量56
2および分子量932に相当する2つのピークが確認さ
れた。これらの各分子量を有する物質は、原料のビフェ
ニルノボラック樹脂に存在したn=0体とn=1体に含
有されていた水酸基が全てオキセタン化された化合物に
相当し、下記式に示される構造を有する新規なオキセタ
ン化ビフェニルノボラック樹脂が生成していることが判
明した。
【0049】
【化18】
【0050】(式中、Etはエチル基を表わし、nは前
記一般式(II)におけるnと同様、0〜4の整数であ
る。) なお、本物質には、n=2〜4体も含有されているはず
であるが、それらは分子量が高く、また量も少ないため
に、FD−MS測定で検出されなかったものと考えられ
る。
【0051】実施例3 (オキセタン化ノボラック樹脂の合成)実施例2と同様
の反応容器(三つ口丸底フラスコ)に、ビフェニルノボ
ラック樹脂(明和化成社製、銘柄:MEK−7851、
水酸基当量:205)16.40g(80.0ミリ当
量)、純度93重量%の水酸化ナトリウムペレット5.
16g(0.12モル)、水4mlおよびジメチルスル
ホキシド(以下「DMSO」と略記)40mlを加え、9
0℃の油浴に浸け、2時間加熱攪拌する。次に、この反
応混合物に、前記実施例1で得られたETOs32.4
g(0.12モル)をDMSO20ml中に溶解させた
混合物を30分かけて滴下し、さらに同温度で4時間反
応を続行する。そして、得られた反応混合物を室温まで
冷却後、実施例2の場合と同様の方法で処理すると、2
4.2gの黄褐色粘稠透明液体が得られた。この液状物
質のFD−MS測定結果も実施例2の場合と同様に、そ
れぞれ分子量562および分子量932に相当する2つ
のピークが認められ、オキセタン化ビフェニルノボラッ
ク樹脂が生成していることが判明した。
【0052】実施例4 (オキセタン化ノボラック樹脂の合成)実施例2と同様
の反応容器(三つ口丸底フラスコ)に、フェノールノボ
ラック樹脂(明和化成社製、銘柄:550PL、水酸基
当量:105)10.50g(100ミリ当量)、純度
93重量%の水酸化ナトリウムペレット5.16g
(0.12モル)、水4mlおよびDMSO40mlを
加え、100℃の油浴に浸け、2時間加熱攪拌する。次
に、この反応混合物に、前記実施例1で得られたETO
s32.4g(0.12モル)をDMSO20ml中に
溶解させた混合物を30分かけて滴下し、さらに油浴の
温度を120℃に昇温し、この温度で4時間反応を続行
する。そして、得られた反応混合物を室温まで冷却後、
実施例2の場合と同様の方法で処理すると、18.91
gの褐色固体が得られた。この固形物質をFD−MS測
定したところ、図2に示すように、それぞれ、分子量3
96、600、804および1008に相当する4つの
ピークが認められた。これらの各分子量を有する物質は
原料のフェノールノボラック樹脂に存在したn=0体、
n=1体、n=2体およびn=3体に含有されていた水
酸基が全てオキセタン化された化合物に相当しており、
下記式に示される構造を有する新規なオキセタン化フェ
ノールノボラック樹脂が生成していることが判明した。
【0053】
【化19】
【0054】(式中、Etはエチル基を表わし、nは前
記一般式(II)におけるnと同様、0〜4の整数であ
る。)
【0055】実施例5 (オキセタン化ノボラック樹脂の合成)実施例2と同様
の反応容器(三つ口丸底フラスコ)に、クレゾールノボ
ラック樹脂(明和化成社製、銘柄:OCN−100、水
酸基当量:120)12.00g(100ミリ当量)、
純度93重量%の水酸化ナトリウムペレット5.16g
(0.12モル)、水4mlおよびDMSO40mlを
加え、100℃の油浴に浸け、2時間加熱攪拌する。次
に、この反応混合物に、前記実施例1で得られたETO
s32.4g(0.12モル)をDMSO20ml中に
溶解させた混合物を30分かけて滴下し、さらに油浴の
温度を120℃に昇温し、この温度で4時間反応を続行
する。そして、得られた反応混合物を室温まで冷却後、
実施例2の場合と同様の方法で処理すると、20.12
gの黄褐色固体が得られた。この固形物質をFD−MS
測定したところ、図3に示すように、それぞれ、分子量
424、642、860および1078に相当する4つ
のピークが認められた。これらの各分子量を有する物質
は原料のクレゾールノボラック樹脂に存在したn=0
体、n=1体、n=2体およびn=3体に含有されてい
た水酸基が全てオキセタン化された化合物に相当してお
り、下記式に示される構造を有する新規なオキセタン化
クレゾールノボラック樹脂が生成していることが判明し
た。
【0056】
【化20】
【0057】(式中、Etはエチル基を表わし、nは前
記一般式(II)におけるnと同様、0〜4の整数であ
る。)
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、溶
媒中、第四級アンモニウム塩およびアルカリ金属塩の存
在下に3−置換−3−ヒドロキシメチルオキセタンとス
ルフォン酸クロリドとを反応させることにより得られる
新規なオキセタンスルフォン酸エステルを提供すること
ができる。また、ノボラック樹脂のアルカリ金属塩をこ
のオキセタンスルフォン酸エステルと反応させることに
よって、ビフェニル骨格および/またはフェニル骨格を
含むハードな主鎖にオキセタンという反応性のソフトセ
グメントを導入し、それにより、光カチオン重合ならび
に酸触媒を用いる熱重合が可能な新規な多官能性オキセ
タン化ノボラック樹脂およびそれらの製造法を提供する
ことができる。したがって、本発明の新規な多官能性オ
キセタン化ノボラック樹脂から誘導される光硬化性また
は熱硬化性樹脂組成物は、密着性、低吸水性、耐熱性お
よび機械的特性に優れ、ワニス、コート材、塗料および
各種成形材料等への利用が大いに期待され得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた目的生成物(オキセタン化
ビフェニルノボラック樹脂)のFD−MS測定結果を示
すチャートである。
【図2】実施例4で得られた目的生成物(オキセタン化
フェノールノボラック樹脂)のFD−MS測定結果を示
すチャートである。
【図3】実施例5で得られた目的生成物(オキセタン化
クレゾールノボラック樹脂)のFD−MS測定結果を示
すチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 利一 千葉県市原市五井南海岸8番地の1 宇部 興産株式会社高分子研究所内 Fターム(参考) 4C048 TT02 UU05 XX01 4J033 CA01 CA02 CA20 CA32 CA44 CB18 HA12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされるオキセタ
    ンスルフォン酸エステル。 【化1】 (式中、R’は水素原子または1〜6個の炭素原子を有
    するアルキル基であり、Mはメシル基、トシル基および
    ベンゼンスルホニル基からなる群から選ばれる1価の酸
    基である。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(II)で表わされるオキセタ
    ン化ノボラック樹脂。 【化2】 (式中、Rは水素原子またはメチル基であり、R’は前
    記一般式(I)中のR’と同様の基であり、Xは下記式 【化3】 (ただし、式中Rは上記一般式(II)中のRと同様の基
    である。)からなる群より選ばれる一つであり、nは0
    〜4の整数である。)
  3. 【請求項3】 前記一般式(II)においてR’がエチル
    基である、請求項2に記載のオキセタン化ノボラック樹
    脂。
  4. 【請求項4】 下記一般式(III)で表わされるノボラ
    ック樹脂のアルカリ金属塩を前記一般式(I)で表わさ
    れるオキセタンスルフォン酸エステルと反応させること
    を特徴とする請求項2または3に記載のオキセタン化ノ
    ボラック樹脂の製造法。 【化4】 (式中、R、Xおよびnは、それぞれ、前記一般式(I
    I)におけるR、Xおよびnと同じである。)
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