JP2004217775A - 高度な分岐構造を有する高分子化合物およびそのモノマー化合物 - Google Patents

高度な分岐構造を有する高分子化合物およびそのモノマー化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】高度な分岐構造を有する高分子化合物およびその原料となり、かつ重合反応が容易なモノマー化合物を提供すること。
【解決手段】1個の水酸基と複数個の、カルボキシル基またはそのカルボキシル基のエステル基もしくは塩を有する新規なモノマー化合物(例えば下記化学式)を重縮合又はエステル交換反応して、高度な分岐構造を有する高分子化合物を得る。
【化1】
Figure 2004217775

【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なモノマー化合物およびこの新規モノマー化合物より合成される高度な分岐構造を持った高分子化合物の製造方法と得られる高分子化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
末端にカルボン酸基、もしくは、カルボン酸エステル基を有する高度な分岐構造を持った高分子化合物については、主鎖が芳香族環から構成されるもの、および、主鎖が芳香族環と脂肪族から構成される物については知られている。
【0003】
例えば、Macromolecules、27、1611(1994) には5−アセトキシイソフタル酸を出発物質とした、カルボン酸を末端基に有し、主鎖が芳香族環から構成された、分岐構造を有するポリエステルの製造例や、5−(2−ヒドロキシエトキシ)イソフタル酸を出発物質とした、カルボン酸を末端基に有し、主鎖が芳香族環及び脂肪族から構成された分岐構造を有するポリエステルの製造例が記載されている。
【0004】
しかし、これらのポリエステルの重合は反応温度が高く、分子間で酸無水物ができるため後処理をするか、触媒を用いる必要があり、コスト高となり、工業的な製造方法としては適していない。
【0005】
【非特許文献】
「マクロモレキュールズ」、1994年、第27巻、p.1611
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
高度な分岐構造を有する高分子化合物およびその原料となり、かつ重合反応が容易なモノマー化合物を提供すること。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に対して鋭意検討を重ねた結果、1個の水酸基と複数個の、カルボキシル基またはそのカルボキシル基のエステル基もしくは塩を有する新規なモノマー化合物を見出した。そして、当該モノマー化合物を重縮合又はエステル交換反応して、高度な分岐構造を有する高分子化合物を得ることに成功した。即ち、本発明は以下の[1]〜[13]に示される新規モノマー化合物、その製造方法およびそのモノマー化合物から得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物に関する。
【0008】
[1] 化学式(I)で表される化合物。
【0009】
【化4】
Figure 2004217775
(ここで、各Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルカリ金属、価数1/2のアルカリ土類金属のいずれか一つを表す。)
【0010】
[2] 化学式(II)で表される化合物。
【0011】
【化5】
Figure 2004217775
【0012】
[3] 化学式(III)で表される化合物。
【0013】
【化6】
Figure 2004217775
【0014】
[4] ペンタエリスリトールとオルソエステル化合物とを反応させて1個の水酸基を有するオルソエステル化合物を得る工程(A)を含むことを特徴とする化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物の製造方法。
【0015】
[5] 工程(A)で得られた1個の水酸基を有するオルソエステル化合物の水酸基を保護する工程(B)を有することを特徴とする[4]に記載の化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物の製造方法。
【0016】
[6] 工程(B)で得られた化合物を1個の保護された水酸基と3個の水酸基を有する化合物に加水分解し、ハロゲン化カルボン酸化合物、または、ハロゲン化エステル化合物と反応させ、3個の水酸基にエステル基またはカルボキシル基を結合させる工程(C)を含むことを特徴とする[5]に記載の化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物の製造方法。
【0017】
[7] 工程(C)で得られた化合物の1個の水酸基の保護基をはずし、1個の水酸基と3個の、エステル基またはカルボキシル基を有する化合物を得る工程(D)を含むことを特徴とする[6]に記載の化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物の製造方法。
【0018】
[8] 化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物をモノマー化合物とすることを特徴とする高度な分岐構造を有する高分子化合物の製造方法。
【0019】
[9] 化学式(I)で表される化合物を重縮合またはエステル交換反応して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
【0020】
[10] 化学式(II)で表される化合物を重縮合して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
【0021】
[11] 化学式(III)で表される化合物をエステル交換反応して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
【0022】
[12] 1個の水酸基と複数個の、カルボキシル基またはそのカルボキシル基のエステル基もしくは塩を有する化合物を重縮合又はエステル交換反応して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
【0023】
[13] 1個の官能基Aと官能基Aと反応して化学結合を形成し得る官能基Bを複数個有する化合物を重合して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の新規なモノマー化合物および高度な分岐構造を有する高分子化合物について具体的に説明する。
【0025】
最初に、本発明のモノマー化合物について説明する。
本発明の新規なモノマー化合物である化学式(I)〜(III)で表される化合物は、−OH基と、これと反応性を有する−COOH基もしくは−COOH基誘導体を3個有している。これらのモノマー化合物はOH基と反応性を有する−COOH基もしくはCOOH基誘導体が3個結合しているので、このモノマーを重縮合することにより高度な分岐構造を有する高分子化合物を合成することができる。
【0026】
化学式(I)においてRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルカリ金属、価数1/2のアルカリ土類金属のいずれか一つを示す。炭素数1〜4のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などが挙げられる。アルカリ金属としてはNa、K、Liが挙げられる。アルカリ土類金属としてはCa、Sr、Baなどが挙げられる。「価数1/2」とは本来2価であるアルカリ土類金属の1価分がカルボキシル基と結合しているという意味である。この場合、アルカリ土類金属の他の1価は同一分子や他の分子のカルボキシル基と結合することができる。
【0027】
これらのモノマー化合物はエポキシ樹脂の硬化剤として用いることができる。また、ポリエステルの架橋剤としても用いることもできる。
【0028】
つぎに、本発明の高度な分岐構造を有する高分子化合物について説明する。
【0029】
本発明の高度な分岐構造を有する高分子化合物は、上述したモノマー化合物や1個の水酸基と複数個の、カルボキシル基またはそのカルボキシル基のエステル基もしくは塩を有する化合物、1個の官能基Aと官能基Aと反応して化学結合を形成し得る官能基Bを複数個、有する化合物を重縮合して得られたものである。
【0030】
ここでいう「複数個」とは2個、3個、4個あるいはそれ以上の数をいう。複数個の、カルボキシル基またはそのカルボキシル基のエステル基もしくは塩はすべて等価(官能基を含む部分の構造が同一で、対称となっていること)であることが好ましいが、反応性に大差がなければ等価でなくともよい。
【0031】
官能基Aとしては水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられる。官能基Bとしては上記官能基Aの種類ごとに異なる。例えば官能基Aが水酸基であればカルボキシル基、エステル基、イソシアネート基などが官能基Bとして選択できる。官能基Bはすべて等価であることが好ましいが、反応性に大差がなければ等価でなくともよい。
【0032】
例えば、化学式(I)〜(III)で示されるモノマー化合物が理想的に重縮合すると次々と3つの枝分かれを形成しながら高度な分岐構造を有する高分子化合物が生成する。しかし、現実には3個のカルボキシル基がすべて反応するとは限らないので、下記の様な部分構造を有する分岐ポリマーとなる場合が多い。
【0033】
【化7】
Figure 2004217775
【0034】
【化8】
Figure 2004217775
【0035】
また、本発明の高度な分岐構造を有する高分子化合物の化学構造のイメージは下図に示される。
【0036】
【化9】
Figure 2004217775
【0037】
本発明の高度な分岐構造を有する高分子化合物は、顔料や金属酸化物などの表面修飾に用い、親水性を付与する材料として利用できる。また、エポキシ樹脂のための重合開始剤として使用できる。さらに、末端がカルボキシル基である高度な分岐構造を持った高分子化合物は水溶性であり、金属イオンと錯体を作るため、金属イオンの分離剤としても利用できる。
【0038】
次に、本発明のモノマー化合物の合成法について説明する。本発明のモノマー化合物の合成法は、下記のスキーム1、および、スキーム2で例示される。
【0039】
<スキーム1>
【化10】
Figure 2004217775
【0040】
<スキーム2>
【化11】
Figure 2004217775
【0041】
まず、スキーム1について説明する。
【0042】
第一の工程(工程A)は、ペンタエリスリトールの1個の水酸基を残し、3個の水酸基を保護するものであり、ペンタエリスリトールを出発物質とし、オルソエステル類などと反応させて、1個の水酸基を有するオルソエステル化合物を得る工程である。
【0043】
<工程Aの例>
【化12】
Figure 2004217775
【0044】
オルソエステル類としては、トリメチルオルソフォーメート、トリエチルオルソフォーメート、トリメチルオルソアセテート、トリエチルオルソアセテート等があげられる。
ペンタエリスリトールの1個の水酸基を残し、3個の水酸基を保護する方法としてはオルソエステル類の他にも、クロロホルムやブロモホルム、ヨードホルム等のハロホルム類、また、三塩化リン、三臭化リン等のハロゲン化リン等を反応試薬として使用することができる。
【0045】
オルソエステル類との反応を説明する。この反応は、脱アルコール反応であり、一種のエステル交換反応である。
【0046】
触媒が無くても反応は進行するが、触媒を加えれば反応が速く進行する。触媒としては液体や固体の酸が使用できる。液体の酸としては、リン酸、硫酸、塩酸等の鉱酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸が使用できる。固体酸としては、クレー類、ゼオライト類、メソポーラス化合物類、硫酸ジルコニア、硫酸アルミニウム等の無機固体酸やポリアクリル酸、スルホン酸系ポリスチレン、ナフィオン等の陽イオン交換樹脂等の有機固体酸等が使用できる。
【0047】
反応は非プロトン性溶媒中で行うことが好ましい。発生するアルコールを系外に取り除くことによって、より早く反応が完了する。具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒中で溶媒を沸騰させながら反応を行い、ディーン・スターク分離器で発生したアルコールを分離しながら反応を完了させる。
【0048】
第二の工程(工程B)は、前工程で得られた1個の水酸基を有するオルソエステル化合物の水酸基を保護し、さらに、オルソエステル結合を加水分解し、化合物を得る工程である。
【0049】
<工程Bの例>
【化13】
Figure 2004217775
【0050】
保護基としては、後段のオルソエステル結合を加水分解する時にも安定な結合を持つものが必要であり、ベンジルエーテル、置換ベンジルエーテル、ピコリルエーテル等が適している。
【0051】
保護基は化合物を、炭酸ソーダ、炭酸カリ、苛性ソーダ、苛性カリ等の粉末状アルカリを非プロトン性極性溶媒中に分散・溶解させた中に投入し、続いてベンジルクロリド、ベンジルブロマイド、置換ベンジルクロリド、置換ベンジルブロミド、ピコリルクロリド、ピコリルブロミド等を投入することにより導入できる。
【0052】
保護基を導入した化合物は、アルコール等の極性溶媒に溶解し、リン酸、硫酸、塩酸等の鉱酸と混合することにより、オルソエステル結合を酸で加水分解することができる。
【0053】
第三の工程(工程C)は、前工程で得られた化合物とハロゲン化酢酸とを反応させる工程である。反応はプロトン性溶媒中で行い、アルカリを添加することが好ましい。アルカリとしては、炭酸ソーダ、炭酸カリ、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等が使用できる。
【0054】
使用するハロゲン化酢酸は、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸などである。反応は、アルコール等の極性溶媒中原料を混合し、加熱することで完了する。
【0055】
第四の工程(工程D)は、前工程で得られた化合物の保護基をはずす工程であり、水素化分解で行う。水素化分解の触媒としては、スポンジメタル類、パラジウムカーボン類が使用できる。
【0056】
次に、スキーム2について説明する。スキーム1と違うところは第三工程のみであり、その工程について説明する。
【0057】
スキーム2の第三工程は、前工程で得られた化合物とハロゲン化酢酸エステルとを反応させる工程である。反応はプロトン性溶媒中で行い、アルカリを添加することが好ましい。アルカリとしては、炭酸ソーダ、炭酸カリ、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等が使用できる。
【0058】
使用するハロゲン化酢酸エステルは、クロロ酢酸メチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸プロピル等のクロロ酢酸エステル類、ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸エチル、ブロモ酢酸プロピル等のブロモ酢酸エステル類、ヨード酢酸メチル、ヨード酢酸エチル、ヨード酢酸プロピル等のヨード酢酸エステル類などである。
【0059】
反応は、アルコール等の極性溶媒中原料を混合し、加熱することで完了する。
【0060】
次に、本発明の高度な分岐構造を有する高分子化合物の合成法について説明する。
本発明の高度な分岐構造を有する高分子化合物は、化学式(I)〜(III)で示されるモノマー化合物を重縮合させることによって、もしくは、エステル交換する事によって合成することができる。この反応の際、エステル化触媒を用いる事が好ましい。エステル化触媒としてはプロトン酸やルイス酸が使用できる。プロトン酸の例としては、リン酸、硫酸、塩酸等の鉱酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。ルイス酸の例としては、塩化アルミニウム、塩化ボロン、フッ化ボロン、塩化スズ、塩化ハフニウムなどの遷移金属ハロゲン化物類などが挙げられる。
【0061】
また、必要に応じて本発明のモノマー化合物に加えて他のモノマーを共重合することもできる。例えば、1個の水酸基と1個または2個のカルボキシル基を有するモノマーを共重合することで分岐度を制御することも可能である。さらに、別の官能基を有するモノマーを用いることで、本発明の高度な分岐構造を有する高分子化合物に別の機能を付与することも可能となる。
【0062】
【実施例】
次に、本発明の具体例について説明する。ただし、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0063】
[実施例1]4−ヒドロキシメチル−1−メチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン (スキーム1、2の化合物の例)
Dean−stark抽出器、還流冷却管、窒素導入管を備えた200mlの三口フラスコに窒素雰囲気下、トルエン 80 ml、ペンタエスリトール13.6 g(0.10 mol)を加え撹拌した。トリエチルオルソアセテート 16.2 g(0.10 mol)及びp−トルエンスルホン酸 50 mgを加え加熱し、生成するエタノールを12時間かけて除去した。全てのエタノールが除去されたら125℃に温度を上げ反応溶液が均一になるまでトルエンを除去した。得られた混合物を室温まで冷却した後、エバポレーターにて濃縮し化合物(R:CH)を得た。精製は減圧下125℃で昇華により行なった。収率:72% H−NMR(DMSO−d) 3.8 (6H,s), 3.2 (2H,s), 1.3 (3H,s). IR (KBr) 3446 (OH) cm−1
【0064】
[実施例2]2−[(ベンジロキシ)メチル]−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール (スキーム1、2の化合物の例)
窒素導入管を備え付けた200mlのナスフラスコで粉末状の水酸化カリウム7.9g(0.14mol)を50mlのDMSO中に分散させ、室温で5分間撹拌した。反応液に実施例1で得られた化合物 4.8g(0.03mol)を一度に加え、すぐにベンジルブロマイド 4.3ml(0.036mol)を加えた。30分室温で撹拌した後、反応溶液を500mlの水に投入し、50mlのジエチルエ―テルで二度抽出した。飽和塩化ナトリウム水溶液50mlと水50mlで洗浄し、硫酸マグネシウムを加え脱水した。ろ過後ジエチルエーテルをエバポレーターにて除去した。得られた物質をメタノール20mlに溶解後、0.01Nの塩酸水溶液80mlを加え、室温で一時間撹拌した。その後重炭酸ナトリウム3.0g(0.035mol)を加えてさらに一時間室温で撹拌した後、エバポレーターにて濃縮した。得られた混合物のうちメタノールに溶解する成分のみを取りエバポレーターにて濃縮し化合物を得た。精製はクロロホルム及びメタノールを溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて行なった。収率:86% H−NMR(DMSO−d) d: 7.3 (5H,m), 4.4 (2H,s), 4.2 (OH), 3.4 (6H,s), 3.4 (2H,s). IR (KBr) 3375 (OH), 739, 698 (benzene ring) cm−1
【0065】
[実施例3]2−[(ベンジルオキシ)メチル]−2−(カルボキシメトキシメチル)−1,3−プロパンジイルビスオキシニ酢酸(スキーム1の化合物の例)
窒素導入管を備え付けた200mlのナスフラスコ中で窒素雰囲気下、実施例2で得た化合物1.809g(0.008 mol)とカリウムターシャリーブトキシド8.079g(0.08mol)を2−メチル−2−プロパノール80mlに溶解した。2−メチル−2−プロパノール20mlに溶解したクロロ酢酸2.3814g(0.025mol)を10分かけて反応液に加え、撹拌しながら18時間加熱還流した。室温まで冷却し濃塩酸4.2mlを加え30分撹拌した。溶媒をエバポレーターにて除去した後、クロロホルムを加え、溶解する成分のみを濾過し、エバポレーターにて溶媒を除去した。水酸化ナトリウム水溶液中でベンゼン及び酢酸エチルを用いて洗浄し、酸性にして酢酸エチルにて抽出した。減圧下100Cで乾燥し粘性の高い流動性の化合物を得た。収率:82% H−NMR(DMSO−d) d: 4.5 (2H,s), 4.0 (6H,s), 3.5 (6H,s), 3.4 (2H,s). IR (KBr) 1734 (carbonyl), 753, 699 (benzene ring) cm−1
【0066】
[実施例4]2−[(ヒドロキシ)メチル]−2−(カルボキシメトキシメチル)−1,3−プロパンジイルビスオキシニ酢酸(スキーム1の化合物の例)
90mlのオートクレーブ中に化合物 1.8 g (0.0045 mol)、10%Pd/C 0.225 g (0.00225 mol)、4N塩酸30 mlを加え、水素加圧下室温で撹拌した。水素の吸収量が飽和に達した後、2MPaの水素雰囲気下で48時間反応させた。反応終了後セライトを用いてPd/Cを除去し、得られた塩酸をエバポレーターで濃縮乾固した後、o−キシレンで溶解成分を抽出し、減圧下80℃で乾燥してモノマー化合物を得た。収率:32% H−NMR(DMSO−d) d: 4.1 (6H,s), 3.7 (6H,s), 3.6 (2H,s), IR (KBr) 3375 (OH), 1752 (carbonyl) cm−1. 得られたモノマーのH−NMRスペクトルを図1,赤外吸収スペクトルを図2に示す。
【0067】
[実施例5]高度な分岐構造を有するポリマーの合成
20mlナスフラスコ中で、0.46g(1.5 mmol)の実施例4で得られたモノマー化合物とHfCl(THF)2 0.01g(0.02 mmol)を1、2−ジクロロエタン5mlとベンゼン5mlの混合溶媒に溶解し、モレキュラーシーブを詰めた滴下漏斗を用いて還流脱水を12時間行なった。反応溶液をメタノールに投入し析出させ、ろ過後メタノールで還流洗浄し、減圧下80℃で乾燥して高度な分岐構造を有するポリマーを得た。収率:72% H−NMR(DO) d: 4.0 (4s+2s), 3.7 (2s), 3.6−3.5 (6m). IR (KBr) 1755 (carbonyl) cm−
得られたポリマーのH−NMRスペクトルを図3,赤外吸収スペクトルを図4に示す。
【0068】
また当該ポリマーは以下の物性値を示した。
ガラス転移点(Tg) 72℃ (DSC法)
5%重量減少分解温度 263℃ (TG/DTA法)
プロトン当量 134 g / mol (滴定法)
【0069】
なお、赤外吸収スペクトルはナトリウム塩としたポリマーをJasco FTIR−460plusにより測定した。
H−NMRスペクトルはナトリウム塩としたポリマーを重水(DO)を溶媒として日本電子JNM−AL300 (300MHz) NMRスペクトロメーターにより測定した。
熱重量分析(TG/DTA)及び示差走査熱量測定(DSC)はセイコーインスツルメンツTG/DTA6200及びDSC6200を用い窒素気流下で毎分10℃の昇温速度により測定した。
プロトン当量は0.2Nの水酸化ナトリウム水溶液と0.01N塩酸水溶液を用いて、逆滴定により求めた.。
【0070】
【発明の効果】
本発明の新規なモノマー化合物は高度な分岐構造を有する高分子化合物を提供することができる。このポリマーには種々の機能を持たせることができ、例えば、顔料や金属酸化物などの表面修飾を行い、親水性を付与する材料として有用である。また、エポキシ樹脂のための重合開始剤として有用である。さらに、末端がカルボキシル基であるポリマーは水溶性であり、金属イオンと錯体を作るため、金属イオンの分離剤としても有用である。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4のモノマー化合物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】実施例4のモノマー化合物の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図3】実施例5の高度な分岐構造を有するポリマーの化合物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図4】実施例5の高度な分岐構造を有するポリマーの化合物の赤外吸収スペクトルを示す図である。

Claims (13)

  1. 化学式(I)で表される化合物。
    Figure 2004217775
    (ここで、各Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルカリ金属、価数1/2のアルカリ土類金属のいずれか一つを表す。)
  2. 化学式(II)で表される化合物。
    Figure 2004217775
  3. 化学式(III)で表される化合物。
    Figure 2004217775
  4. ペンタエリスリトールとオルソエステル化合物とを反応させて1個の水酸基を有するオルソエステル化合物を得る工程(A)を含むことを特徴とする化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物の製造方法。
  5. 工程(A)で得られた1個の水酸基を有するオルソエステル化合物の水酸基を保護する工程(B)を有することを特徴とする請求項4に記載の化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物の製造方法。
  6. 工程(B)で得られた化合物を1個の保護された水酸基と3個の水酸基を有する化合物に加水分解し、ハロゲン化カルボン酸化合物またはハロゲン化エステル化合物と反応させ、3個の水酸基にエステル基またはカルボキシル基を結合させる工程(C)を含むことを特徴とする請求項5に記載の化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物の製造方法。
  7. 工程(C)で得られた化合物の1個の水酸基の保護基をはずし、1個の水酸基と3個の、エステル基またはカルボキシル基を有する化合物を得る工程(D)を含むことを特徴とする請求項6に記載の化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物の製造方法。
  8. 化学式(I)、化学式(II)または化学式(III)で表される化合物をモノマー化合物とすることを特徴とする高度な分岐構造を有する高分子化合物の製造方法。
  9. 化学式(I)で表される化合物を重縮合またはエステル交換反応して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
  10. 化学式(II)で表される化合物を重縮合して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
  11. 化学式(III)で表される化合物をエステル交換反応して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
  12. 1個の水酸基と複数個の、カルボキシル基またはそのカルボキシル基のエステル基もしくは塩を有する化合物を重縮合又はエステル交換反応して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
  13. 1個の官能基Aと官能基Aと反応して化学結合を形成し得る官能基Bを複数個有する化合物を重合して得られた高度な分岐構造を有する高分子化合物。
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