JP2000290340A - ウレタン樹脂組成物 - Google Patents

ウレタン樹脂組成物

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JP2000290340A
JP2000290340A JP11100157A JP10015799A JP2000290340A JP 2000290340 A JP2000290340 A JP 2000290340A JP 11100157 A JP11100157 A JP 11100157A JP 10015799 A JP10015799 A JP 10015799A JP 2000290340 A JP2000290340 A JP 2000290340A
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antibacterial
acid
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polyol
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Kenichi Miyamoto
憲一 宮本
Satoshi Hayakawa
聡 早川
Hideto Ohashi
英人 大橋
Juji Konagaya
重次 小長谷
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い抗菌・防かび性が継続的に維持され、ま
た変色、シミ等の発生がない抗菌・防かび性ポリウレタ
ン樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ホスホニウム塩基を分子鎖に有する高分
子ポリオールを構成成分とすることを特徴とするポリウ
レタン樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌活性部位として
のホスホニウム塩基を分子鎖に有するポリエステルポリ
オールを構成成分とする抗菌・防かび性ポリウレタン樹
脂に関し、更に詳しくは抗菌・防かび性フィルム、抗菌
・防かび性シート、抗菌・防かび性繊維、抗菌・防かび
性プラスティック成型品、抗菌・防かび性塗料等に用い
るのに好適な抗菌性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】現在使用されている抗菌剤としては、キ
チン、キトサン、わさび抽出物、カラシ抽出物、ヒノキ
チオール、茶抽出抗菌剤等の天然品、光酸化触媒酸化チ
タン粒子、酸化亜鉛超微粒子、銀含有ゼオライト、銀含
有リン酸ジルコニウム等の無機系化合物品及び有機アン
モニウム塩系、有機ホスホニウム塩系化合物等の有機系
合成品が挙げられる。
【0003】これらのうちでも、天然品及び無機品は、
安全性の面で最近注目を集めている。他方、有機系合成
品は、抗菌能が天然品、無機品より優れるのが一般的だ
が、抗菌剤が揮発、分離しやすく、その毒性のためにか
えって敬遠されがちである。これは有機系合成品の抗菌
材が水や有機溶媒等に溶解しやすいためである。
【0004】このため、最近ではポリマー素材に有機系
の抗菌剤をイオン結合又は共有結合で結合した不溶性で
毒性を示さない固定化抗菌剤が、特開昭54−8658
4号公報、特開平04−266912号公報、WO92
/14365号公報、特開平05−310820号公報
に記載されている。これら固定化抗菌剤は、カルボキシ
ル基やスルホン酸基等の酸性基とイオン結合している4
級アンモニウム塩基を高分子物質に固定化してなる抗菌
剤、ホスホニウム塩系ビニル共重合体からなる抗菌剤、
ビニルベンジルホスホニウム塩系ビニル共重合体からな
る抗菌剤、酸性基とイオン結合したホスホニウム塩基を
高分子物質に固定化してなる抗菌剤である。
【0005】しかしながら、これら固定化抗菌剤をポリ
ウレタン樹脂に展開した例はない。また、抗菌性ウレタ
ン樹脂は従来より知られている。抗菌剤成分として銀イ
オン等の金属イオンをゼオライト等の無機系多孔質に担
持させたものが、例えば、特開平10−138387、
特開平10−140048、特開平09−125002
に記載されている。しかしながら、これらの抗菌剤を用
いた場合、抗菌剤成分の溶出により抗菌性能が経時的に
低下し、更には光照射により変色するという問題があっ
た。また、抗菌剤が有機系低分子又は天然系低分子であ
る場合(例えば、特開平07−126408)には、抗
菌剤成分の溶出、揮発あるいは分離により、抗菌性能が
経時的に低下するという問題があった。抗菌剤に天然系
高分子であるキトサンを使用した場合(例えば、特開平
07−26047)には、樹脂の耐熱性を悪化させ、成
形時に熱分解しやすくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、固定化抗菌
剤を分子鎖に有するポリエステルポリオールを構成成分
とする抗菌・防かび性ポリウレタン樹脂組成物を提供す
ることを目的とするものである。また、本発明は上記従
来技術の欠点を解決することにあり、高い抗菌・防かび
性が継続的に維持され、また変色、シミ等の発生がない
抗菌・防かび性ポリウレタン樹脂組成物を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記本発明の課題は、以
下の手段により達成される。 1.ホスホニウム塩基を分子鎖に有する高分子ポリオー
ルを構成成分とすることを特徴とするポリウレタン樹脂
組成物。 2.高分子ポリオールがジカルボン酸成分及びグリコー
ル成分を主要構成成分とし、スルホン酸基含有芳香族ジ
カルボン酸のホスホニウム塩基を有するポリエステルポ
リオールであることを特徴とする1記載のポリウレタン
樹脂組成物。 3.更に親水性物質を含有することを特徴とする1、2
記載のポリウレタン樹脂組成物。 4.高分子ポリオールとして、水酸基を2個以上と他の
親水性基を有するビニル系高分子ポリオールを用いるこ
とを特徴とする3記載のポリウレタン樹脂組成物。 5.鎖延長剤として、水酸基を2個以上と他の親水性基
を1個以上有する化合物を用いることを特徴とする3記
載のポリウレタン樹脂組成物。 6.親水性物質が側鎖に親水性基を有するビニル系重合
体であり、その構成モノマーを上記高分子物質にグラフ
ト重合してなるものであることを特徴とする3記載のポ
リウレタン樹脂組成物。
【0008】
【本発明の実施の形態】本発明の抗菌・防かび性ポリウ
レタン樹脂は、基本的には、前記ホスホニウム塩基を分
子鎖に有する高分子ポリオールを構成成分とすることに
より得られるものである。以下に詳細に記述する。
【0009】(有機抗菌・防かび剤成分)本発明におけ
る有機抗菌・防かび剤とは、抗菌・防かび活性を有する
ホスホニウム塩基を分子鎖に有する高分子物質である。
通常、かかる高分子物質は、抗菌・防かび性能を有する
低分子有機化合物のホスホニウム塩を分子鎖に有する高
分子有機化合物の総称である。
【0010】抗菌・防かび性能を有する低分子の有機化
合物のホスホニウム塩としては、従来から抗菌剤として
高い抗菌活性と巾広い抗菌スペクトルの点から使用され
ているものが使用でき、例えば、トリ−n−ブチルヘキ
サデシルホスホニウムクロリド、トリ−n−ブチルテト
ラデシルホスホニウムクロリド、トリ−n−ブチルヘキ
サデシルホスホニウムクロリド等の第4級ホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩
又はそのジエステル等が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0011】(a)高分子ポリオール 本発明において、ホスホニウム塩基を分子鎖に有する高
分子ポリオ−ルは、酸性基及び酸性基とイオン結合して
いるホスホニウム塩基を有する高分子ポリオ−ルが好ま
しく、特に好ましくは、ジカルボン酸成分及びグリコー
ル成分を主成分とし、下記一般式(1)で表わされるス
ルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸のホスホニウム塩
を、全酸成分に対し1〜50モル%共重合したポリエス
テルポリオールである。該ポリエステルポリオールの数
平均分子量は、500〜5000が好ましく、特に好ま
しくは1000〜4000である。
【0012】
【化1】
【0013】式中、Aは芳香族基、X1、X2はエステル
形成性官能基、R1、R2、R3、R4はアルキル基であ
り、そのうちの少なくとも1個は炭素数10〜20のア
ルキル基を示す。好ましくは、式中、X1及びX2はカル
ボキシル基、C1〜C4アルコキシカルボニル基、ヒド
ロキシル基、C1〜C4アルコキシル基、ハロゲン原子
等であり、R1〜R4は炭素数1〜20のアルキル基であ
り、そのうちの少なくとも1つが炭素数10〜20のア
ルキル基である。特に好ましくは、式中、X1及びX2
カルボキシル基、メトキシカルボニル基であり、R1
4は炭素数1〜20のアルキル基であり、そのうちの
少なくとも1つが炭素数12〜16のアルキル基であ
る。
【0014】また、必要に応じ、高分子ポリオールとし
て、ポリエーテルポリオール、前記とは別のポリエステ
ルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリオレフィ
ンポリオール、ビニル系高分子ポリオールなどを併用し
てもよい。これらの数平均分子量は500〜5000が
好ましく、特に好ましくは1000〜4000である。
【0015】ポリエーテルポリオールとしては、例え
ば、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレ
ンオキシド、ブチレンオキシド等)及び/又は複素環式
エーテル(テトラヒドロフラン等)を重合又は共重合し
て得られるもの、具体的にはポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/プロピレン
グリコール(ブロック又はランダム)、ポリエチレン/
テトラメチレングリコール(ブロック又はランダム)、
ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられ
る。
【0016】ポリエステルポリオールとしては、例え
ば、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバ
チン酸、グルタル酸、アゼライン酸等)及び/又は芳香
族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸等)と低
分子グリコール(エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,4−ジヒドロキシメチルシク
ロヘキサン等)とを縮重合させたもの、具体的にはポリ
エチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペート
ジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポ
リネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブ
チレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシ
ルアジペートジオール、ポリ−3−メチルペンタンアジ
ペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール
等が挙げられる。
【0017】ポリラクトンポリオールとしては、例え
ば、ポリカプロラクトンジオール又はトリオール、ポリ
−3−メチルバレロラクトンジオール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、ポリヘキ
サメチレンカーボネートジオールが挙げられる。ポリオ
レフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエン
グリコール、ポリイソプレングリコール又はその水素化
物等が挙げられる。ビニル系高分子ポリオールとして
は、例えば、ビニルアルコールのホモポリマー又は共重
合体、2−ヒドロキシエチルアクリル酸のホモポリマー
又は共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリル酸のホ
モポリマー又は共重合体等が挙げられる。
【0018】以下、前記一般式(1)で表わされるモノ
マー単位を構成モノマーとして含有するポリエステルポ
リオールについて詳述する。
【0019】ジカルボン酸成分 使用するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸等が挙げられる。
【0020】また、必要に応じて、脂環族ジカルボン
酸、脂肪族ジカルボン酸、複素環式ジカルボン酸等を併
用してもよい。脂環族ジカルボン酸としては1,2−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジ
カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が
挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカル
ボン酸、アゼライン酸、ダイマー酸及びその誘導体等が
挙げられる。複素環式ジカルボン酸としては、ピリジン
カルボン酸及びその誘導体が挙げられる。またp−オキ
シ安息香酸などのオキシカルボン酸、無水トリメリット
酸、無水ピロメリット酸等の多価のカルボン酸を本発明
の効果を損なわない範囲で併用してもよい。
【0021】このうち、塗膜にした場合の耐久性の点よ
り、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソ
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等)を、得
られるポリエステルの全酸成分に対して、70モル%以
上含ませることが好ましい。その他のジカルボン酸とし
ては、1,4−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸
が特に好ましい。また、必要に応じて、主鎖である上記
高分子物質に、後述するように、親水性モノマーをグラ
フト重合するために、あらかじめ主鎖の高分子物質に重
合性不飽和二重結合を導入しこれにビニル系モノマーを
反応させるべく、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン
酸、テトラヒドロ無水マレイン酸、2,5−ノルボルネ
ンジカルボン酸等を使用することもできる。
【0022】グリコール成分(ジオール成分) グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチ
ル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、
1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールな
どのアルキレングリコール、1,2−シクロヘキサンジ
メタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールAま
たはFのアルキレンオキサイド付加物、ジエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ヒドロキシピバリン
酸、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等が挙げられる。この他少量のアミド結合、ウ
レタン結合、エーテル結合、カーボネート結合を含有す
る化合物を含んでいてもよい。
【0023】このうち、塗膜にした場合の耐久性の点よ
り、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2
−メチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−
1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノールが好ましい。また、必要に応じて、トリメチ
ロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、
ペンタエリスリトールなどの多価ポリオールを併用して
も良い。
【0024】スルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸の
ホスホニウム塩 前記一般式(1)で表されるスルホン酸基含有芳香族ジ
カルボン酸のホスホニウム塩としては、例えば、スルホ
イソフタル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、
スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホス
ホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルヘキ
サデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n
−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、スルホイソフタ
ル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、スルホ
テレフタル酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム塩、
スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルオクタデシルホス
ホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルヘキ
サデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n
−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、スルホテレフタ
ル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、4−ス
ルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチ
ルデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,
7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホ
ニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン
酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、4−
スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブ
チルテトラデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレ
ン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルドデシルホ
スホニウム塩等が挙げられる。抗菌活性の点からは、ス
ルホイソフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホ
ニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラ
デシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−
ブチルドデシルホスホニウム塩が特に好ましい。
【0025】上記芳香族ジカルボン酸ホスホニウム塩
は、スルホ芳香族ジカルボン酸またはそのナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩等にトリ−n−ブチル
ヘキサデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチ
ルテトラデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブ
チルドデシルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム
塩をイオン交換反応させることにより得られる。このと
きの反応溶媒は特に限定しないが、水が最も好ましい。
【0026】前記一般式(1)のホスホニウム塩含有モ
ノマーの量は、得られるポリエステルポリオールの全酸
成分に対して、1〜50モル%とすることが好ましく、
特に好ましくは3〜20モル%とすることである。一般
式(1)のホスホニウム塩含有モノマーを全酸成分に対
し、1モル%未満しか共重合させない場合には、抗菌・
防かび性が得られにくい。また、50モル%を超える量
を共重合させる場合には、ポリエステル重合時にゲル化
し、重合ができなくなる。
【0027】該ポリエステルの製造法は特に限定しない
が、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応させ得
られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合法、
ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールとをエ
ステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆるエス
テル交換法などが挙げられ、公知の製造法を適用するこ
とができる。
【0028】(b)有機ポリイソシアネート 本発明において、有機ポリイソシアネートとしては、芳
香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環
族ジイソシアネート及びそれらの誘導体(ビューレット
及び/又はイソシアヌレート変性物等)のいずれを使用
してもよく、また併用してもよい。
【0029】具体的には、トルエンジイソシアネート、
ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシレンジイ
ソシアネート、ナフタレンジイソシアネート;炭素数2
〜12の脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサ
ンジイソシアネート、リジンジイソシアネート;炭素数
4〜18の脂環式ジイソシアネート、例えば、1,4−
シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イ
ソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシ
アネート、1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサ
ン;芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、例えば、
キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレン
ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物
(カルボジイミド、ウレチジオン、ウレトイミン、ビュ
ーレット及び/又はイソシアヌレート変性物)等が挙げ
られる。これらのうち、トルエンジイソシアネート、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、m−キシレンジイソ
シアネート及びナフタレンジイソシアネートが好まし
い。
【0030】(c)鎖延長剤 必要により使用される鎖延長剤としては、低分子ポリオ
ール及びポリアミンが挙げられる。低分子ポリオールと
しては、例えば上記ポリエステルポリオールの原料とし
て挙げたグリコール及びそのアルキレンオキシド低モル
付加物(数平均分子量500未満)が挙げられる。ポリ
アミンとしては、脂肪族ポリアミン(エチレンジアミ
ン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラメ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレン
トリアミン等)、脂環族トリアミン(4,4’−ジアミ
ノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘ
キサン、イソホロンジアミン等)、芳香族ポリアミン
(4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリレンジア
ミン、ベンヂジン、フェニレンジアミン等)等が挙げら
れる。これらは2種以上併用してもよい。
【0031】また、水酸基を2個以上とカルボキシル基
1個以上とを有する化合物を鎖延長剤として使用しても
よい。後述するように親水性物質は抗菌・防かび能を著
しく向上させる効果がある。水酸基を2個以上とカルボ
キシル基1個以上とを有する化合物としては、例えば、
ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチ
ロール酪酸等のジメチロールアルカン酸が挙げられ、好
ましいものはジメチロールプロピオン酸である。鎖延長
剤の量は、上記高分子ポリオールに対して30.0重量
%以下が好ましく、特に好ましくは0.5〜20.0重
量%である。
【0032】(d)重合停止剤 更に、必要により用いられる重合停止剤としては、低分
子モノアルコール(メタノール、ブタノール、シクロヘ
キサノール等)、アルキルモノアミン(モノ−及びジ−
エチルアミン、モノ−及びジ−ブチルアミン等)、アル
カノールアミン(モノ−及びジ−エタノールアミン等)
等が挙げられる。
【0033】(e)抗菌・防かび性ポリウレタン樹脂 本発明の抗菌・防かび性ポリウレタン樹脂は、有機溶剤
の存在下又は非存在下で、前記高分子ポリオール、有機
ポリイソシアネート、必要により鎖延長剤及び/又は重
合停止剤をワンショット法又は多段法により反応させて
形成されたものである。ポリウレタン形成反応は通常2
0〜150℃で行われる。但し、アミンを反応させる場
合は通常80℃以下、好ましくは0〜60℃で行われ
る。反応を促進させるため、通常のウレタン化反応に用
いられるアミン系あるいは錫系の触媒、例えば、ジオク
チル錫ジマレート、ジブチル錫ジラウレート、オクチル
酸第一錫、ジブチル錫オキシド、ビス(トリ−n−ブチ
ル錫オキシド)等を使用してもよい。また、溶媒を使用
する場合は通常のウレタン化反応に用いられる任意の溶
媒を使用することができ、例えば、アセトン、メチルエ
チルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチ
ルホルムアミド等が挙げられる。これら溶媒は2種以上
を併用してもよい。
【0034】(f)親水性物質 本発明の好ましい実施形態として、前記のように、本発
明の抗菌・防かび性ウレタン樹脂組成物に親水性化合物
を混合又は化学的に結合する。この好ましい実施形態に
よれば、該親水性物質の存在により、該親水性物質を使
用しない場合に比べて、更に著しく抗菌・防かび性が向
上する。
【0035】本発明における親水性物質とは、水と親和
性に優れた物質であり、例えばヒドロキシル基、アミノ
基、アミド基、カルボキシル基またはそのアルカリ金属
塩、スルホン酸基またはそのアルカリ金属塩あるいはエ
ーテル結合などの親水基を1分子内に2個以上含む有機
化合物または高分子化合物である。
【0036】その具体例としては、ポリビニルアルコー
ル、澱粉又は水溶性変性澱粉、水溶性変性セルロース、
アクリル酸のホモポリマーまたは共重合体、メタクリル
酸のホモポリマーまたは共重合体、無水マレイン酸のホ
モポリマーまたは共重合体(例えば、無水マレイン酸・
スチレン共重合体)、ポリビニルスルホン酸またはその
共重合体またはそれらのアルカリ金属塩、ポリエチレン
グリコール(別名 ポリエチレンオキサイド)ポリプロ
ピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレン
グリコール、グリセリン、ポリグリセリン等のポリオー
ルまたはその重合体等が例示できる。上記水溶性変性セ
ルロースとしては、例えば、ヒドロキシエチルセルロー
ス、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセル
ロース、カルボキシセルロースナトリウム、セルロース
ナイトレートカルボキシルメチルエーテル等が挙げられ
る。
【0037】また、上記共重合体を構成するコモノマー
としては、スチレン、アクリル酸アルキルエステル、メ
タクリル酸アルキルエステルなどを挙げることができ、
これらコモノマーの共重合体中での含量は共重合体に対
して10〜50重量%程度の量であることが推奨され
る。
【0038】本発明では、これら親水性物質の少なくと
も1種を、前記有機系抗菌剤を結合した高分子物質に混
合又は共重合させて使用するのが好ましい。また、親水
性物質が高分子物質に混合した場合と共重合した場合
で、両者に抗菌・防かび性の効果において大差はない。
該親水性物質の分子量は特に限定しないが、数平均分子
量で200以上30000以下が好ましく、さらには1
000以上25000以下が好ましい。
【0039】該親水性物質を使用する場合、その含有量
は有機系抗菌剤を結合した高分子物質に対して5〜60
重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%
であり、特に好ましくは15〜35重量%である。抗菌
・防かび活性の効果は、有機系抗菌剤を結合した高分子
物質に対して、親水性物質を5重量%を越えると発現さ
れる。一方、60重量%を越えると、抗菌・防かび性を
有するポリウレタン樹脂組成物の機械的特性、耐熱性及
び耐候性が低下する傾向がある。
【0040】親水性物質を、有機系抗菌剤を結合した高
分子物質に混合する場合、混合方法は特に限定はなく、
製造方法、化学的性質、物理的性質により任意の方法を
採用することができる。例えば、両者を押し出し機など
を用いて溶融混合する方法、あるいは有機系抗菌剤を結
合した高分子物質と親水性物質を適当な溶媒中、例えば
水、水/アルコール混合溶媒、アセトン、メチルエチル
ケトン、シクロヘキサノンなどの有機溶媒に混合溶解ま
たは分散した後、該溶媒を留去する方法がある。
【0041】親水性物質を、有機系抗菌剤を結合した高
分子ポリオールに共重合する方法としては、例えば、ホ
スホニウム塩基を含む高分子物質の分子鎖に、ヒドロキ
シ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基またはその
アルカリ金属塩、スルホン酸基またはそのアルカリ金属
塩などの親水基を含むモノマーを共重合する方法が挙げ
られる。共重合することにより、相溶性が改善され、塗
膜にした場合の外観、貯蔵安定性、物性などが改善され
る。
【0042】これらの親水基を共重合する方法として
は、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イ
ソフタル酸などの金属塩または2−スルホ−1,4−ブ
タンジオール、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5
−ヘキサンジオール等の金属塩などのスルホン酸金属塩
基を含有するジカルボン酸またはグリコールを抗菌剤成
分を共重合したポリエステル樹脂に共重合する方法、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール等のアルキレングリコール
を抗菌剤成分を共重合したポリエステルポリオールに共
重合する方法などが挙げられる。
【0043】別の態様として、高分子ポリオールの一部
として、親水性基を有するビニル系高分子ポリオールを
配合し、イソシアネート化合物とウレタン化反応をさせ
てもよい。また、別の態様として、親水性基を有するビ
ニル系モノマーを、有機系抗菌剤を結合したポリエステ
ル樹脂等の高分子物質にグラフトする方法も使用でき
る。
【0044】親水性基を有するビニル系モノマーとして
は、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド基
などを有するもの、あるいは親水性基に変化させること
ができる官能基として酸無水物基、グリシジル基、クロ
ル基などを有するものが挙げられる。その中でカルボキ
シル基を有するものが最も好ましい。
【0045】親水性基を有するビニル系モノマーの具体
例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びそ
れらの塩等のカルボキシル基又はその塩を含有するモノ
マー、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−
プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n
−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート等のア
ルキルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメ
タクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチル
メタクリレート等のアルキルメタクリレート、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート等のヒドロキシ含有モノマー、アクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロー
ルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミ
ド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N,N’−
ジメチロールアクリルアミド、N−フェニルアクリルア
ミド等のアミド基含有モノマー、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート等のエポキシ含有ビニル
モノマー等が挙げられる。
【0046】その他の親水性基を有するビニルモノマー
としては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポ
キシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスル
ホン酸及びそれらの塩等のスルホン酸基またはその塩を
含有するビニルモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マ
レイン酸、フマル酸及びそれらの塩等のカルボキシル基
またはその塩を含有するビニルモノマー、無水マレイン
酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するビニルモノ
マーが挙げられる。
【0047】これら親水性基を有するビニルモノマー
は、必要に応じて、他のモノマーと併用することができ
る。他のモノマーとしては、例えばビニルイソシアネー
ト、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエ
ーテル、ビニルエチルエーテル、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化
ビニル等が挙げられ、これらの中から1種類又は2種類
を用いて共重合することができる。
【0048】親水性基を有するビニルモノマーとそれ以
外のビニルモノマーとの比率は、モル比で30/70〜
100/0の範囲が好ましい。親水性基を含有するビニ
ルモノマー(及び必要に応じて他のビニルモノマー)を
高分子物質にグラフトさせる方法としては、公知のグラ
フト重合法を用いることができる。その代表例として以
下の方法が挙げられる。
【0049】例えば、光、熱、放射線等によって主鎖の
高分子物質にラジカルを発生させてからモノマーをグラ
フト重合させるラジカル重合法、AlCl3、TiCl4
等の触媒を用いてカチオンを発生させるカチオン重合
法、あるいは金属Na、金属Li等を用いてアニオンを発
生させるアニオン重合法等がある。
【0050】また、あらかじめ主鎖の高分子物質に重合
性不飽和二重結合を導入しこれにビニル系モノマーを反
応させる方法があげられる。この方法で用いられる重合
性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、フマル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水マ
レイン酸等をあげることができる。このうち最も好まし
いものはフマル酸、マレイン酸、及び2,5−ノルボル
ネンジカルボン酸である。
【0051】本発明の主鎖となる高分子物質(P)とグ
ラフトされる親水性ビニル系モノマー(VM)の好まし
い重量比は、P/VM=95/5〜40/60の範囲で
あり、さらに好ましくは93/7〜55/45、最も好
ましくは90/10〜60/40の範囲である。主鎖の
高分子物質の重量比が40%未満であると、グラフト重
合性ビニル系モノマーが完全に反応しないまま残るた
め、従来の高分子の持つ耐熱性、加工性、耐水性等の特
性が損なわれる。また主鎖の高分子物質の重量比が95
%を超えると、抗菌性の向上効果が不充分となる。
【0052】別の態様として、水酸基を2個以上と更に
親水性基を1個以上、好ましくはカルボキシル基を1個
以上とを有する化合物を鎖延長剤として使用してもよ
い。水酸基を2個以上とカルボキシル基1個以上とを有
する化合物としては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメ
チロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等のジメチロ
ールアルカン酸が挙げられ、好ましいものはジメチロー
ルプロピオン酸である。
【0053】(g)硬化剤 また、本発明においては、必要に応じて、本発明の抗菌
・防かび性ウレタン樹脂又は親水性物質の少なくとも1
種と反応し得る硬化剤を配合してもよい。
【0054】
【実施例】次に製造例、実施例及び比較例を用いて本発
明を更に詳細に説明するが、以下の製造例、実施例及び
比較例に限定されるものではない。
【0055】1.抗菌性テスト 1/50ブロースで希釈したE.Coli(大腸菌)の
菌液(濃度:105個/ml)の0.1mlを予め高圧
蒸気殺菌した5cm×5cmの大きさの試験片上に滴下
し、その試験片に高圧蒸気滅菌したサランラップフィル
ムを密着させた。その試験片を滅菌シャーレに移し、3
7℃で24時間培養した。それからフィルム上の菌をS
CDLP培地10mlで洗い出し、10倍希釈し、普通
寒天平板にまいた後24時間後に菌数を計測した。抗菌
率は、初期菌数(個)をAとし、24時間後の菌数
(個)をBとすると、下記式(2)で求められる。 抗菌率(%)=(A−B)/A×100 ・・・(2) 本発明の抗菌性とは、抗菌率が50%以上を達成するこ
とであり、好ましくは90%以上、より好ましくは95
%以上、最も好ましくは99%以上である。
【0056】2.防かび性試験 JIS Z 29116.2.2に準じた方法で、無機
塩寒天培地平板上に5cm×5cmの大きさの試験片を
貼付し、下記のかび5菌株の胞子懸濁液にシュクロース
5%添加した混合液0.2mlを噴霧して27±1℃で
28日間培養後かびの生育状態を評価した。 (試験菌株) Aspergillus niger ATCC 6275 Penicillium citrinum ATCC 9849 Chaetomium globosum ATCC 6205 Rhizopus stolonifer ATCC 10404 Aureobasidium pullulans IFO 6353 (かび抵抗性表示:防かび性) (1)かびの生育は試料面積の1/3以上 (2)かびの生育は試料面積の1/3以内 (3)かびの生育を認めない
【0057】3.耐候性試験 サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機により、
サンプルに100時間照射した。試験後に前記の抗菌性
及び防かび性の評価を行った。
【0058】実施例1(ポリエステルポリオールの製造
例) 攪拌機、温度計および部分還流式冷却器を備えたステン
レススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレー
ト485部、ジメチルイソフタレート388部、5−ス
ルホイソフタル酸ジメチルトリ−n−ブチルドデシルホ
スホニウム塩(以下「C12ホスホニウム塩」という)
161部、エチレングリコール443.3部、ネオペン
チルグリコール400.4部、およびテトラ−n−ブチ
ルチタネート0.52部を仕込み、160〜220℃ま
で4時間かけてエステル交換反応を行った。ついでフマ
ル酸29部を加え、200〜220℃まで1時間かけて
昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.2mmHgの
減圧下で50分反応させ、表1に示す特性を有するポリ
エステルポリオール(A−1)を得た。ポリエステルポ
リオールの組成は以下に示すとおりである。 ―――――――――――――――――――― ジカルボン酸成分 テレフタル酸 50モル% イソフタル酸 40モル% C12ホスホニウム塩 5モル% フマル酸 5モル% ジオール成分 エチレングリコール 65モル% ネオペンチルグリコール 35モル% ―――――――――――――――――――― 同様の方法により、表1に示した種々のポリエステルポ
リオール(A−2、A−3)を製造した。
【0059】実施例2(ポリウレタンの製造例1) 内容量2Lのガラス製耐圧フラスコにポリエステルポリ
オール(A−1)250部、メチルエチルケトン360
部を仕込んだ。系内を窒素ガスで置換し、50℃に加
熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート40部を
加えて、50℃で30分間反応させ、NCO含量1.8
%のウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を
得た。次いで、該溶液を30℃に冷却した後、1,4−
ブタンジオール10部を加えて、4時間伸長反応を行
い、ポリウレタンのメチルエチルケトン溶液(B−1)
を得た。同様の方法により表2に示した種々のポリウレ
タンのメチルエチルケトン溶液(B−2、B−3)を得
た。これらの溶液を二軸延伸ポリエステルフィルムに塗
布し、120℃で3分間乾燥処理し、抗菌性フィルムを
作成した。この抗菌性フィルムの抗菌性、防かび性及び
耐候性試験の評価結果を表3に示す。
【0060】実施例3(ポリウレタンの製造例2) ポリウレタンの製造例1において、高分子ポリオールと
して、ポリエステルポリオール(A−1)を200部、
アクリル酸、アクリル酸エチル及び2−ヒドロキシエチ
ルアクリル酸のビニル系共重合ポリオール(C−1)を
50部とすることを除いて、製造例1と同様な方法でポ
リウレタンのメチルエチルケトン溶液(B−4)及び抗
菌性フィルムを得た。ビニル系共重合ポリオールの組成
は以下に示す通りである。 ――――――――――――――――――――――――――― アクリル酸 66.0重量% アクリル酸エチル 33.0重量% 2−ヒドロキシエチルアクリル酸 1.0重量% ――――――――――――――――――――――――――― この抗菌性フィルムの抗菌性、防かび性及び耐候性試験
の評価結果を表3に示す。
【0061】実施例4(ポリウレタンの製造例3) ポリウレタンの製造例1において、1,4−ブタンジオ
ールの代わりにα,α−ジメチルプロピオン酸を用いた
ことを除いて、製造例1と同様な方法でポリウレタンの
メチルエチルケトン溶液(B−5)及び抗菌性フィルム
を得た。この抗菌性フィルムの抗菌性、防かび性及び耐
候性試験の評価結果を表3に示す。
【0062】実施例5(ポリウレタンの親水化) 攪拌機、温度計、環流装置と定量滴下装置を備えた反応
器にポリウレタンのメチルエチルケトン溶液(B−1)
660部、イソプロピルアルコール120部を入れ、加
熱・攪拌し環流状態で樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶
解した後、アクリル酸65部とアクリル酸エチル35
部、オクチルメルカプタン1.5部の混合物、アゾビス
イソブチロニトリル6部を、メチルエチルケトン90
部、イソプロピルアルコール30部の混合液に溶解した
溶液とを1.5時間かけてポリウレタン溶液中にそれぞ
れ滴下し、更に3時間反応させ、グラフト重合体溶液
(D−1)を得た。同様の方法により、ポリウレタンの
メチルエチルケトン溶液(B−2、3)のグラフト重合
体溶液(D−2、3)を得た。さらに、実施例2と同様
の方法により抗菌性フィルムを作成した。この抗菌性フ
ィルムの抗菌性、防かび性及び耐候性試験の評価結果を
表3に示す。
【0063】比較例1 ポリウレタンの製造例1において、ポリエステルポリオ
ール(A−1)の代わりにポリエチレンアジペート(平
均分子量4000)を用いたことを除いて、製造例1と
同様な方法でポリウレタンのメチルエチルケトン溶液
(E−1)を得た。さらに、実施例2と同様の方法によ
りコートフィルムを作成した。このコートフィルムの抗
菌性、防かび性及び耐候性試験の評価結果を表3に示
す。
【0064】比較例2 ポリウレタンの製造例1において、ポリエステルポリオ
ール(A−1)の代わりにポリプロピレングリコール
(平均分子量4000)を用いたことを除いて、製造例
1と同様な方法でポリウレタンのメチルエチルケトン溶
液(E−2)を得た。さらに、実施例2と同様の方法に
よりコートフィルムを作成した。このコートフィルムの
抗菌性、防かび性及び耐候性試験の評価結果を表3に示
す。
【0065】比較例3 比較例1で得られたポリウレタンのメチルエチルケトン
溶液(E−1)に、ポリウレタン固形分に対し1重量%
の抗菌性ゼオライト(品川燃料(株)製「ゼオミッ
ク」)を混合し、抗菌性ポリウレタンのメチルエチルケ
トン溶液(E−3)を得た。さらに、実施例2と同様の
方法により抗菌性フィルムを作成した。この抗菌性フィ
ルムの抗菌性、防かび性及び耐候性試験の評価結果を表
3に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【発明の効果】本発明のポリウレタン樹脂組成物は優れ
た抗菌・防かび性を有し、高い抗菌・防かび性が継続的
に維持され、また変色、シミなどが発生しないため、抗
菌・防かび性フィルム、抗菌・防かび性シート、抗菌・
防かび性繊維、抗菌・防かび性プラスティック成型品、
抗菌・防かび性塗料などの抗菌性材料として好適であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 小長谷 重次 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J034 DC02 DD05 DF01 DP04 DQ13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスホニウム塩基を分子鎖に有する高分
    子ポリオールを構成成分とすることを特徴とするポリウ
    レタン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 高分子ポリオールがジカルボン酸成分及
    びグリコール成分を主要構成成分とし、スルホン酸基含
    有芳香族ジカルボン酸のホスホニウム塩基を有するポリ
    エステルポリオールであることを特徴とする請求項1記
    載のポリウレタン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 更に親水性物質を含有することを特徴と
    する請求項1、2記載のポリウレタン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 高分子ポリオールとして、水酸基を2個
    以上と他の親水性基を有するビニル系高分子ポリオール
    を有することを特徴とする請求項3記載のポリウレタン
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 鎖延長剤として、水酸基を2個以上と他
    の親水性基を1個以上有する化合物を用いることを特徴
    とする請求項3記載のポリウレタン樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 親水性物質が側鎖に親水性基を有するビ
    ニル系重合体であり、その構成モノマーを上記高分子物
    質にグラフト重合してなるものであることを特徴とする
    請求項3記載のポリウレタン樹脂組成物。
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