JP2000265085A - 自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成物 - Google Patents

自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成物

Info

Publication number
JP2000265085A
JP2000265085A JP11067224A JP6722499A JP2000265085A JP 2000265085 A JP2000265085 A JP 2000265085A JP 11067224 A JP11067224 A JP 11067224A JP 6722499 A JP6722499 A JP 6722499A JP 2000265085 A JP2000265085 A JP 2000265085A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibacterial
group
coating composition
polymer
antibacterial agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11067224A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Miyamoto
憲一 宮本
Satoshi Hayakawa
聡 早川
Hideto Ohashi
英人 大橋
Juji Konagaya
重次 小長谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP11067224A priority Critical patent/JP2000265085A/ja
Publication of JP2000265085A publication Critical patent/JP2000265085A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い抗菌・防かび性が継続的に維持され、ま
たこれで被覆した部材表面に変色、しみ等を発生させな
いという利点を有する、自動車用部材に用いるのに特に
適した抗菌性組成物及び抗菌性塗料を提供すること。 【解決手段】 アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基及
びスルホニウム塩基のうち少なくとも1種を主鎖及び/
又は側鎖に有する共重合体であってよい高分子系抗菌剤
と、該高分子系抗菌剤に混合又は結合させた親水性物質
とを含んでなることを特徴とする、自動車用部材用の抗
菌・防かび性被覆用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、自動車に装着さ
れる自動車用部材に用いる抗菌・防かび性被覆用組成物
及びこれを含む抗菌・防かび性塗料に関する。自動車用
材としては、具体的にはドアトリム、リアパネル、ピラ
ートリム、インストールメントパネル、アームレスト、
ヘッドレスト、グローブボックス、コンソールボック
ス、シート、フロアマット、ステアリングホイール、シ
フトノブ、アシストグリップ、ドアグリップ、シートバ
ックル、バックミラー、サンバイザー、コンソールリッ
ド、コンソールパネル、空調用吹出口の風向調節又は開
閉扉操作用等のノブ、ホーンスイッチ操作部、天井材等
が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】 現在一般に使用されている抗菌材は、
キチン、キトサン、ワサビ抽出物、カラシ抽出物、ヒノ
キチオール、茶抽出抗菌剤等の天然品、光酸化触媒酸化
チタン粒子、酸化亜鉛超微粒子、銀含有ゼオライト、銀
含有リン酸ジルコニウム等の無機系化合物品、並びに、
有機アンモニウム塩系、有機ホスホニウム塩系化合物等
の合成品に大別することができる。
【0003】 天然品及び無機品は、安全性の面で最近
注目を集めている。他方、合成品は抗菌能が天然品、無
機品より優れるのが一般的だが、抗菌材が揮発、分離し
やすく、その毒性のためにかえつて敬遠されがちであ
る。これは合成品が水や有機溶媒等に溶解しやすいため
である。最近ではポリマー素材に有機系の抗菌材をイオ
ン結合又は共有結合で結合させた、不溶性で毒性を示さ
ない固定化抗菌材が開発されている。
【0004】 例えば、特開昭54−86584号公報
には、カルボキシル基やスルホン酸基等の酸性基とイオ
ン結合している4級アンモニウム塩基を有する抗菌材成
分を含有する、高分子物質を主体とした抗菌性材料が記
載されている。
【0005】 また、ホスホニウム塩を高分子物質に固
定化して用途の拡大を試みた発明が開示されている。例
えば、特開平04−266912号にはホスホニウム塩
系ビニル重合体の抗菌剤が、WO 92/14365に
はビニルベンジルホスホニウム塩系ビニル重合体の抗菌
材が、それぞれ開示されている。更には、特開平05−
310820号には、酸性基とイオン結合したホスホニ
ウム塩基を有する抗菌成分を含有する高分子物質を主体
とした抗菌性材料が記載されており、その実施例中に
は、スルホイソフタル酸のホスホニウム塩を用いたポリ
エステルが開示されている。しかしながら、これら有機
系の固定化抗菌剤を自動車内装材に使用した例はなく、
これらが自動車用部材に抗菌・防かび性を付与するのに
適しているかについては何ら記載されていない。
【0006】 一方、抗菌性を有する自動車用部材は従
来より知られているが、それらの抗菌材成分は抗菌・防
かび性を有する銀イオンをゼオライト等の無機系多孔質
体に担持させたものである。例えば、特開平08−24
5301号には、抗菌性金属を担持したゼオライトを表
層に有する抗菌性ポリウレタン成型品及びその製造方
法、特開平09−100409号には無機系抗菌材を表
層あるいは表面に有する抗菌性ポリウレタン成型品及び
その製造方法の記載がある。また、特開平09−216
563号には、天然又は合成ゼオライトに抗菌・防かび
性を有する金属イオンをイオン交換して含有させた抗菌
・防かび性ゼオライトを含有する層を有する自動車用操
作部材が記載されている。
【0007】 しかしながら、銀含有ゼオライト等の銀
系抗菌材は溶融、混練の際に黒く着色し、あるいは光照
射により変色するため好ましくない。更には経時的に抗
菌性が低下するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、上
記従来技術の欠点を解決することにあり、すなわち高い
抗菌・防かび性が継続的に維持され、またこれで被覆し
た部材表面に変色、しみ等を発生させないという利点を
有する、自動車用部材に用いるのに特に適した抗菌・防
かび性被覆用組成物及びこれを含む抗菌・防かび性塗料
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 すなわち本発明は、高
分子系抗菌剤と、該高分子系抗菌剤に混合又は結合させ
た親水性物質とを含んでなることを特徴とする、抗菌・
防かび性被覆用組成物を提供する。本発明の組成物は、
優れた抗菌性及び防かび性を備えた被覆層を部材表面に
形成するのに使用でき、しかも被覆層に変色、しみ等を
発生させることもないため、ステアリングホイール、シ
フトノブその他諸々の自動車用部材の表面に抗菌・防か
び性被覆を施すのに特に適している。
【0010】 ここに、本発明の抗菌・防かび性被覆用
組成物の一構成要素である該高分子系抗菌剤としては、
種々のものが含まれるが、好ましい一例は、アンモニウ
ム塩基、ホスホニウム塩基及びスルホニウム塩基のうち
少なくとも1種を主鎖及び/又は側鎖に有する共重合体
である。
【0011】 該高分子系抗菌剤の特に好ましい一例
は、ジカルボン酸成分及びグリコール成分を主要な構成
成分とするポリエステル樹脂であり、次の一般式
【0012】
【化2】
【0013】(式中、Aは芳香族基、X1、X2はエステ
ル形成性官能基であり、Rl、R2、R 3、R4はアルキル
基でそのうち少なくとも1つは炭素数10以上20以下
のアルキル基を表す。)で示される二官能性芳香族スル
ホン酸ホスホニウム塩を該ポリエステル樹脂の構成成分
として含むものである。ここに2つのエステル形成性官
能基X1、X2は、それぞれカルボキシル基であってよ
い。
【0014】 また更に好ましい実施形態においては、
該抗菌性組成物において、上記高分子系抗菌剤に親水性
物質が共有結合を介して化学的に結合してなるものであ
る。
【0015】 また該抗菌・防かび性被覆用組成物を構
成する要素である該親水性物質としては、例えば、ヒド
ロキシル基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、ス
ルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、第4級アンモ
ニウム塩基、アミン塩基、ポリエーテル鎖、又はポリア
ミン鎖の少なくとも1種を有する重合体であり、特に好
ましいのは、側鎖に親水性基を有するビニル系重合体で
ある。
【0016】 また特に好ましい実施形態おいては、該
親水性物質は側鎖に親水性基を有するビニル系重合体
を、前記高分子系抗菌剤にグラフト重合してなるもので
ある。また、更に好ましい実施形態においては、該抗菌
・防かび性被覆用組成物が、上記高分子抗菌剤、親水性
物質の何れかと反応し得る硬化剤を含有する。
【0017】 また前記硬化剤の特に好ましい一例は、
ポリイソシアネートのようなイソシアネート基を有する
硬化剤であり、該硬化剤は、ポリウレタン、ポリプロピ
レン、ABS樹脂又はポリエステルよりなる素材表面に
対して、本発明の抗菌・防かび性組成物の付着性を非常
に優れたものとするのに役立つ。
【0018】本発明はまた、上記抗菌・防かび性被覆用
組成物を含有してなる抗菌・防かび性塗料をも提供す
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の抗菌・防かび性組
成物について更に詳細に記述する。本発明において、
「高分子系抗菌剤」は、主鎖又は側鎖に有機系抗菌剤成
分を結合しているという特徴を有する高分子をいい、そ
の他の点についてはいかなる高分子化合物でもよい。具
体例についは後述するが、それらに限定されるものでは
ない。
【0020】 本発明において用いる「有機系抗菌剤」
としては、従来から抗菌剤として使用されているものが
広い範囲で使用できる。例えば、イソチオシアン酸アリ
ル、ポリオキシアルキレントリアルキルアンモニウム、
塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩、有機
シリコン第4級アンモニウム塩、トリ−n−ブチルへキ
サデシルホスホニウムクロリド、トリ−n−ブチルテト
ラデシルホスホニウムクロリド、トリ−n−ブチルヘキ
サデシルホスホニウムクロリド等の第4級ホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩
又はそのジエステルその他が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。
【0021】 これらの有機系抗菌剤の中では、高分子
物質への結合のし易さからは、アンモニウム塩基、ホス
ホニウム塩基、スルホニウム塩基等のオニウム塩が好ま
しく、特に、高い抗菌活性と幅広い抗菌スペクトルを有
するものとして、ホスホニウム塩系化合物が最も好まし
い。
【0022】 本発明の好適な実施形態においては高分
子系抗菌剤は、酸性基及び該酸性基とイオン結合してい
るホスホニウム塩基を含む高分子物質であり、更なる好
適な実施形態においては、ジカルボン酸成分及びグリコ
ール成分を主要な構成成分とするポリエステル樹脂であ
り、次の一般式
【0023】
【化3】
【0024】(式中、Aは芳香族基、X1、X2はエステ
ル形成性官能基でありカルボキシル基であってよく、R
l、R2、R3、R4はアルキル基でそのうち少なくとも1
つは炭素数10以上20以下のアルキル基を表す。)で
示される二官能性芳香族スルホン酸ホスホニウム塩を、
該ポリエステル樹脂を構成する全酸成分に対して1〜5
0モル%共重合したポリエステル樹脂である。
【0025】 このほか、高分子物質の1つとして、次
の一般式
【0026】
【化4】
【0027】(式中、R5,R6,R7は水素原子、炭素
原子数1〜18個の直鎖の又は分枝のあるアルキル基、
アリール基、アラルキル基、ヒドロキシ基又はアルコキ
シ基で置換されたアルキル基、アリール基又はアラルキ
ル基を表し、X-はアニオン、nは2以上の整数を表
す。)で示される、ホスホニウム塩系ビニル重合体が挙
げられる。
【0028】 上記R5,R6,R7の具体例としては、
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシ
ル、ヘプチル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フ
ェニル、トリル、キシリル等のアリール基、ベンジル、
フェニチル等のアラルキル基、ヒドロキシル基又はアル
コキシ基等で置換されたアルキル基、アリール基等が特
に好ましい。R5,R6,R7は、同一の基でも、異なっ
た基でもよい。アニオンX-は、例えば、フッ素、塊
素、臭素又はヨウ素等のハロゲンイオン、硫酸イオン、
リン酸イオン、過塩素酸イオン等が挙げられ、これらの
うちではハロゲンイオンが好ましい。nは、特に限定さ
れないが、2〜500、好ましくは10〜300であ
る。
【0029】 該ポリエステル樹脂に使用するジカルボ
ン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等
が挙げられる。また、発明の内容を損なわない範囲で脂
環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、複素環式ジカ
ルボン酸等を併用してもよい。脂環族ジカルボン酸とし
ては1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジ
カルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸として
は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、
ドデカンジカルボン酸、アゼライン酸、エイコ酸、ダイ
マー酸及びその誘導体等が挙げられる。複素環式ジカル
ボン酸としては、ピリジンカルボン酸及びその誘導体が
挙げられる。またp−オキシ安息香酸等のオキシカルボ
ン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多
価のカルボン酸を、本発明の内容を損なわない範囲で併
用してもよい。
【0030】 これらのうち、塗膜にした場合の実用上
の耐久性からは、芳香族ジカルボン酸を70モル%以上
含むことが好ましい。その他のジカルボン酸としては、
1,4−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸が特に
好ましい。
【0031】 グリコール成分としては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペン
チルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチ
ル1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペ
ンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパン
ジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカン
ジオール等のアルキレングリコール、1,2−シクロヘ
キサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノ
ールA又はFのアルキレンオキサイド付加物、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げ
られる。
【0032】 これらのうち、塗膜にした場合の実用上
の耐久性がより好ましいのは、エチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、2−メチル1,3−プロパンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
1,4−シクロへキサンジメタノールである。
【0033】 また、発明の内容を損なわない範囲で、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリ
セリン、ペンタエリスリトール等の多価ポリオールを併
用しても良い。
【0034】 スルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸の
ホスホニウム塩としては、スルホテレフタル酸トリ−n
−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸ト
リ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホテ
レフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム
塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチル
ドデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n
−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸ト
リ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホイ
ソフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチル
ドデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,
7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム
塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ
−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、4−スルホ
ナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルヘ
キサデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルテトラデシルホ
スホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカル
ボン酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩等が挙
げられ、抗菌活性の点からはスルホイソフタル酸トリ−
n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホイソフ
タル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、
スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニ
ウム塩が特に好ましい。
【0035】 上記芳香族ジカルボン酸ホスホニウム塩
は、スルホ芳香族ジカルボン酸又はそのナトリウム塩、
カリウム塩、アンモニウム塩等に、トリ−n−ブチルヘ
キサデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチル
テトラデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチ
ルドテシルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩
を反応させることにより得られる。このときの反応溶媒
は、水が最も好ましいが、特に限定されない。
【0036】 該ポリエステルの製造法は特に限定しな
いが、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応させ
得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合
法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールと
をエステル交換反応させた後に重縮合する、いわゆるエ
ステル交換法等が挙げられ、これら任意の製造法を適用
することができる。
【0037】 本発明の抗歯性及び防かび性を有する樹
脂組成物は、有機系抗菌剤成分を結合した高分子物質に
親水性物質を混合又は共有結合等を介して化学的に結合
する必要がある。親水性物質の存在により、著しく抗菌
性及び防かび性が向上する。
【0038】 本発明における「親水性物質」とは水と
の親和性に優れた物質であり、例えば、ヒドロキシル
基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基又はそのアル
カリ金属塩、スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩、あ
るいはエーテル結合等の親水性基を1分子内に2個以上
含む有機化合物又は高分子化合物であり、それらの具体
例としては、ポリビニルアルコール、澱粉、アクリル酸
のホモポリマー又は共重合体、メタクリル酸のホモポリ
マー又は共重合体、無水マレイン酸のホモポリマー又は
共重合体(例えば、無水マレイン酸・スチレン共重合
体)、ビニルスルホン酸のホモポリマー又はその共重合
体又はそれらのアルカリ金属塩、ポリエチレングリコー
ル(別名ポリエチレンオキサイド)、ポリプロピレング
リコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコー
ル、グリセリン、ポリグリセリン等のポリオール又はそ
の重合体、水溶性変性セルロースとしてはヒドロキシエ
チルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシ
プロピルセルロース、カルボキシセルロースナトリウ
ム、セルロースナイトレートカルボキシルメチルエーテ
ル等が挙げられる。これらを該有機系抗菌剤を結合した
高分子物質に混合又は共重合させて使用する。
【0039】 該親水性物質の分子量は特に限定しない
が、数平均分子量で200以上30000以下が好まし
く、1000以上25000以下が更に好ましい。
【0040】 該親水性物質の含有量は、有機系抗菌剤
を結合した高分子物質に対して、60重量%まで、特に
5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、更に好
ましくは15〜35重量%である。抗菌・防かび活性増
大効果自体は、5重量%を超えると発現される。また6
0重量%を超えると抗菌組成物の機械的特性及び耐熱性
・耐候性が低下し、好ましくない。親水性物質との混合
方法は特に限定されず、製造方法、化学的性質、物理的
性質により、任意の方法を採用できる。例えば、両者を
押し出し機等を用いて加熱溶融混合する方法、また、有
機系抗菌剤を結合した高分子物質と親水性物質を適当な
溶媒中、例えば水、水/アルコール混合溶媒、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の有機溶
媒に混合し溶解又は分散した後、該溶媒を溜去し乾固さ
せる方法がある。
【0041】 この他、親水性物質を導入する方法とし
て、有機系抗菌剤を結合した高分子物質に共重合させる
方法があり、具体例を挙げると、ホスホニウム塩基を含
む高分子物質にアミノ基、アミド基、カルボキシル基又
はそのアルカリ金属塩、スルホン酸基又はそのアルカリ
金属塩、エーテル結合等の親水基又はそれらの誘導体
を、主鎖又は側鎖に共重合させることができる。共重合
させることにより、相溶性が改善され、塗膜にした場合
の外観、貯蔵安定性、塗膜にした場合の物性等が改善さ
れる。
【0042】 これらの親水基を共重合する方法として
は、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イ
ソフタル酸等の金属塩又は2−スルホ−1,4−ブタン
ジオール、2,5−ジメチル−3−スルホ−2,5−へ
キサンジオール等の金属塩等のスルホン酸金属塩基を含
有するジカルボン酸又はグリコールをポリエステル樹脂
に共重合する方法、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の
アルキレングリコールをポリエステル樹脂、親水性基を
含むビニル系モノマーをポリエステル樹脂にグラフト重
合する方法等が挙げられる。
【0043】 本発明において有機系抗菌剤を結合した
高分子物質にグラフトさせることができる親水性基を有
するビニル系モノマーとしては、カルボキシル基、水酸
基、スルホン酸基、アミド基等を含むもの、親水性基に
変化させることができる基として酸無水物基、グリシジ
ル基、クロル基等を含むものが挙げられる。それらのう
ち、カルボキシル基を有するものが最も好ましい。親水
性基を含むビニル系モノマーとしては、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸及びそれらの塩等のカルボキシル基
又はその塩を含有するモノマー、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソ
プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−
ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート、メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、t−ブチルメタクリレート等のアルキル
メタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシ含
有モノマー、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタ
クリルアミド、N,Nジメチロールアクリルアミド、N
−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー、
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等
のエポキシ含有モノマー等が挙げられる。
【0044】 その他の親水性基を有するビニル系モノ
マーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル等の
エポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニル
スルホン酸及びそれらの塩等のスルホン酸基又はその塩
を含有するビニル系モノマー、クロトン酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマル酸及びそれらの塩等のカルボキ
シル基又はその塩を含有するビニル系モノマー、無水マ
レイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するビニ
ル系モノマーが挙げられる。
【0045】 これら親水性基を有するビニル系モノマ
ーは他のモノマーと併用することができる。他のモノマ
ーとしては、例えばビニルイソシアネート、アリルイソ
シアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニル
エチルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げ
られ、これらの中から1種類又は2種類を用いて共重合
することができる。
【0046】 親水性基を有するモノマー(Mh)とそ
れ以外のモノマー(Ma)との比率は、モル比でMh/
Ma=30/70〜100/0の範囲が好ましい。親水
性基を含有するモノマーを高分子物質にグラフトさせる
方法としては公知のグラフト重合法を用いることができ
る。その代表例として以下の方法が挙げられる。
【0047】 例えば、光、熱、放射線等によって主鎖
の高分子物質にラジカルを発生させてからモノマーをグ
ラフト重合させるラジカル重合法、あるいはAlC
3、TiCl4等の触媒を用いてカチオンを発生させる
カチオン重合法、あるいは金属Na、金属Li等を用い
てアニオンを発生させるアニオン重合法等がある。
【0048】 また、あらかじめ主鎖の高分子物質に重
合性不飽和二重結合を導入しこれにビニル系モノマーを
グラフト重合させる方法が挙げられる。これに用いる重
合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、フマル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水マ
レイン酸等を挙げることができる。これらのうち最も好
ましいものはフマル酸、マレイン酸、及び2,5−ノル
ボルネンジカルボン酸である。
【0049】 また、側鎖に官能基を導入した主鎖の高
分子物質と、末端に前記の官能基と反応する基を有する
枝ポリマーを反応させる方法が挙げられる。例えば側鎖
に−OH基、−SH基、一NH2基、−COOH基、−
CONH2基等の水素供与基を有する高分子と、片末端
が−N=C=O基、−C=C=O基、
【0050】
【化5】
【0051】等の水素受容基であるビニル系共重合体と
を反応させる方法、この逆の組み合わせで反応させる方
法等が挙げられる。
【0052】 本発明の主鎖となる高分子物質(P)に
グラフトされるビニル系モノマー(VM)の好ましい重
量比は、P/VM=95/5〜40/60の範囲であ
り、更に好ましくは93/7〜55/45、最も好まし
くは90/10〜60/40の範囲である。主鎖の高分
子物質の重量比が40%未満であると、グラフト重合性
ビニル系モノマーが完全に反応しないまま残るため従来
の高分子の持つ耐熱性、加工性、耐水性等の特性が損な
われる。また主鎖の高分子物質の重量比が95%以下で
あれば、本発明の目的である抗菌性の向上効果が充分に
発揮される。
【0053】 親水性物質が高分子物質に混合した場合
と共重合した場合で、両者に抗菌・防かび性の効果にお
いて大差はない。
【0054】 また、抗菌・防かび性の層を形成する本
発明の組成物中の高分子物質又は親水性物質の何れかと
反応し得る硬化剤を配合してもよい。硬化剤を配合する
ことによって、より良好な塗膜物性を得ることができ
る。硬化剤の好ましい配合量は、該ポリエステル樹脂と
親水性物質の合計に対して5〜35重量%、更に好まし
くは10〜20%である。硬化剤としては、アルキルエ
ーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化合物
及びイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0055】 アルキルエーテル化アミノホルムアルデ
ヒド樹脂とは、例えばメタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の炭
素原子数1〜4のアルコールによってアルキルエーテル
化されたホルムアルデヒドあるいはバラホルムアルデヒ
ド等と、尿素、N,N−エチレン尿素、ジシアンジアミ
ド、アミノトリアジン等との縮合生成物であり、メトキ
シ化メチロールベンゾグアナミン、メトキシ化メチロー
ル−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシ
アンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキ
シ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾ
グアナミン、メトキシ化/ブトキシ化混合型メチロール
メラミン等が挙げられるが、加工性の面から好ましいの
は、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロ
ールメラミン、又はメトキシ化/ブトキシ化混合型メチ
ロールメラミンであり、それぞれ単独又は併用して使用
することができる。
【0056】 エポキシ化合物としてはビスフェノール
Aのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリ
ゴマー、オルソイソフタル酸ジグリシジルエステル、イ
ソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリ
シジルエステル、P−オキシ安息香酸ジグリシジルエス
テル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘ
キサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジ
グリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステ
ル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジ
ルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエ
ーテル及びポリアルキレングリコールジグリシジルエー
テル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリ
グリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオ
キシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロ
ールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタント
リグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグ
リシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド
付加物のトリグリシジルエーテル等を挙げることができ
る。
【0057】 更にイソシアネート化合物としては、芳
香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソ
シアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物の何れ
でもよい。例えば、テトラメチレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジ
フェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート
化合物の3量体、及びこれらのイソシアネート化合物の
過剰量と、例えばエチレングリコール、プロピレングリ
コール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビ
トール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子活
性水素化合物又は各種ポリエステルポリオール類、ポリ
エーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素
化合物等とを反応させて得られる末端イソシアネート基
含有化合物等が挙げられる。
【0058】 イソシアネート化合物としてはブロック
イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロッ
ク化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、
メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾ
ール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノー
ル、クロロフェノール等のフェノール類、アセトキシ
ム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキ
シム等のオキシム類、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール等のアルコール類、エチレンクロル
ヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハ
ロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタ
ノール等の第3級アルコール顛、ε−カプロラクタム、
δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、βープロピ
オラクタム等のラクタム類が挙げられ、その他にも芳香
族アミン類、イミド環、アセチルアセトン、アセト酢酸
エステル、マロン酸エチルエステル等の活性メチレン化
合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール
化合物類、重亜硫酸ソーダ等も挙げられる。ブロック化
イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシア
ネートブロック化剤とを、公知の適宜の方法により付加
反応させて得られる。
【0059】 また、これらの硬化剤には、その種類に
応じて選択された公知の硬化剤あるいは促進剤を併用す
ることもできる。
【0060】 本発明の抗菌・防かび性被覆用組成物を
含有してなる抗菌・防かび性塗料の塗料溶剤としては、
メチルエチルケトン、アセトン、イソプロピルアルコー
ル、t−ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、トルエン等が例示できる。
【0061】 本発明の抗菌・防かび性被覆用組成物が
好適に適用される自動車用部材の具体例としては、ドア
トリム、リアパネル、ピラートリム、インストールメン
トパネル、アームレスト、ヘッドレスト、グローブボッ
クス、コンソールボックス、シート、フロアマット、ス
テアリングホイール、シフトノブ、アシストグリップ、
ドアグリップ、バックミラー、サンバイザー、コンソー
ルリッド、空調用吹出口の風向調節又は開閉扉操作用等
のノブ、ホーンスイッチ操作部、天井材等が挙げられ
る。
【0062】 また、自動車用部材の表層は主にポリウ
レタン、ポロプロピレン、ABS樹脂又はポリエステル
からなり、塗膜付着性の点でイソシアネート系架橋剤が
好ましい。イソシアネート化合物の希釈溶媒は活性水素
を含まないものが一般的であるが、本発明の塗料溶剤に
はイソシアネート基との反応性が小さい第2級アルコー
ル又は第3級アルコールを添加することが可能であり、
例えばイソプロピルアルコール又はt−ブタノールが挙
げられる。
【0063】 本発明の抗菌・防かび性被覆用組成物の
滑り性、耐磨耗性、耐ブロッキング性、隠蔽性等の物理
的特性の向上を目的として、該組成物中に予め炭酸カル
シウム(CaCO3)、リン酸カルシウム、アパタイ
ト、硫酸バリウム(BaSO4)、フッ化カルシウム
(CaF2)、タルク、カオリン、酸化珪素(Si
2)、アルミナ(Al23)、二酸化チタン、酸化ジ
ルコニウム(ZrO2)、酸化鉄(Fe23)、アルミ
ナ/シリカ複合酸化物等の無機粒子、ポリスチレン、ポ
リメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、そ
れらの共重合体、あるいはそれらの架橋体等の有機粒子
等を添加することも可能である。
【0064】 更に本発明の抗菌・防かび性被覆用組成
物に銀含有ゼオライト等の銀系抗菌材を添加することも
可能であるが、銀系抗菌材は光照射による変色及び経時
による抗菌性低下等の欠点が挙げられ、添加は好ましく
ない。
【0065】 自動車用部材がステアリングホイールや
シフトノブである場合には、通常、硬質の芯材とその芯
材を被覆する軟質の被覆部とから構成されている。本発
明の抗菌・防かび性被覆用組成物を含む塗料をこの成形
された自動車用部材の被覆層の表面部に塗布して抗菌・
防かび層を形成することにより、抗菌性及び防かび性を
有する自動車用部材を提供することができる。
【0066】 硬化剤としてイソシアネート系硬化剤を
用いることにより、被覆部材であるポリウレタン又はポ
リエステルとの塗膜接着に優れた抗菌・防かび性被覆用
組成物及び抗菌・防かび性塗料を提供することができ
る。別の態様として、自動車用部材の成形の際にインモ
ールドコーティングすることによって抗菌・防かび層を
形成してもよい。また、別の態様として抗菌・防かび層
を最表層とするシート部材を自動車用部材に添着するこ
ともできる。塗布膜厚は通常5〜50/μmである。塗
布後、熱処理を行うがその場合の温度は通常60〜16
0℃、時間は10〜40分である。
【0067】
【実施例】次に製造例、実施例及び比較例を用いて本発
明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら製造例及び
実施例に限定されるものではない。
【0068】<製造例1> ポリエステル樹脂の製造例 捜絆機、温度計及び部分還流式冷却器を備えたステンレ
ススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート
485部、ジメチルイソフタレート388部、5−スル
ホイソフタル酸ジメチルトリ−n−ブチルドデシルホス
ホニウム塩(以下「C12ホスホニウム塩」という)1
61部、エチレングリコール443.3部、ネオベンチ
ルグリコール400.4部、及びテトラ−n−ブチルチ
タネート0.52部を仕込み、160〜220℃まで4
時間かけてエステル交換反応を行った。次いでフマル酸
29部を加え、200〜220℃まで1時間かけて昇温
し、反応系を徐々に減圧した後、0.2mmHgの減圧
下で1時間30分反応させ、ポリエステルを得た。該ポ
リエステルの組成は以下に示すとおりである。
【0069】(ジカルボン酸成分) テレフタル酸 50モル% イソフタル酸 40モル% C12ホスホニウム塩 5モル% フマル酸 5モル% (ジオール成分) エチレングリコール 65モル% ネオペンチルグリコール 35モル%
【0070】<製造例2> グラフト重合体の製造例 攪拌機、温度計、環流装置と定量滴下装置を備えた反応
器に製造例1で作成したポリエステル300部、メチル
エチルケトン360部、イソプロピルアルコール120
部を入れ、加熱・攪拌し環流状態で樹脂を溶解した。樹
脂が完全に溶解した後、アクリル酸65部、アクリル酸
エチル35部、オクチルメルカプタン1.5部の混合
物、及び、アゾビスイソブチロニトリル6部をメチルエ
チルケトン90部、イソプロピルアルコール30部の混
合液に溶解した液とを1.5時間かけてポリエステル溶
液中にそれぞれ滴下し、さらに3時間反応させ、グラフ
ト重合体溶液を得た。
【0071】<製造例3> グラフト重合体溶液の脱イ
ソプロピルアルコール 製造例2で作成したグラフト重合体溶液中のイソプロピ
ルアルコールを除去する目的で、グラフト重合体溶液を
イオン交換水に滴下し、グラフト重合体を不溶化し、そ
の不溶物を真空乾燥しグラフト重合体固形物を得た。得
られたグラフト重合体固形物をメチルエチルケトンに溶
解させ、グラフト重合体溶液を得た。
【0072】<実施例1>製造例2より得られたグラフ
ト重合体溶液68.0部、トリメチロールプロパン変性
ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名「コロネート
HL」、日本ポリウレタン工業(株)製)4.0部及び
メチルエチルケトン28.0部を混合し、目的とする抗
菌性コート液を得た。このコー液を固形分の塗布量が
6.0g/m 2となるようにウレタン板に塗布後、80
℃で30分間熱処理し、樹脂積層ウレタン板を作成し
た。この樹脂積層ウレタン板の特性を、後記の表1(抗
菌性)、表2(防かび性)及び表3(その他の塗膜特
性)に示す。
【0073】<実施例2>製造例3より得られたグラフ
ト重合体溶液68.0部、トリメチロールプロパン変性
ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名「コロネート
HL」、日本ポリウレタン工業(株)製)4.0部及び
メチルエチルケトン28.0部を混合し、目的とする抗
菌性コー卜液を得た。このコート液を固形分の塗布量が
6.0g/m2となるようにウレタン板に塗布後、80
℃で30分間熱処理し、樹脂積層ウレタン板を作成し
た。この樹脂積層ウレタン板の特性を、後記の表1(抗
菌性)、表2(防かび性)及び表3(その他の塗膜特
性)に示す。
【0074】<比較例1>ポリウレタン溶液100.0
部及びポリウレタン固形分に対し1重量%の抗菌・抗か
び性ゼオライト(商品名「ゼオミック」、品川燃料
(株)製)を混合し、目的とする抗菌性コート液を得
た。このコート液を固形分の塗布量が6.0g/m2
なるようにウレタン板に塗布後、80℃で30分間熱処
理し、樹脂積層ウレタン板を作成した。この樹脂積層ウ
レタン板の特性を、後記の表1(抗菌性)、表2(防か
び性)及び表3(その他の塗膜特性)に示す。
【0075】以下に上記実施例及び比較例で得られた抗
菌性組成物の物性の測定方法を示す。 <1.抗菌性テスト>1/50ブロースで希釈したE.
Coli(大腸菌)の菌液(濃度:105個/ml)の
0.1mlを、予め高圧蒸気殺菌した5cm×5cmの
大きさの試験片上に滴下し、その試験片に高圧蒸気滅菌
したサランラップフィルムを密着させた。その試験片を
滅菌シャーレに移し、37℃で24時間培養した。その
後試験片上の菌をSCDLP培地10mlで洗い出し、
10倍希釈し、普通寒天平板に播き、24時間後に菌数
を計測した。抗菌率を次の式より求めた。
【0076】
【数1】
【0077】 本明細書において、「抗菌性」とは抗菌
率が少なくとも50%以上を達成することをいい、好ま
しくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好
ましくは99%以上であることをいう。
【0078】<2.防かび性試験>JIS Z 291
16.2.2に準じた方法で、無機塩寒天培地平板上に
5cm×5cmの大きさの試料片を貼付し、下記のかび
5菌株の胞子懸濁液にシュークロース5%を添加した混
合液0.2mlを噴霧して、27±1℃で28日間培養
後、かびの生育状態を評価した。
【0079】(試験菌株) Aspergillus niger ATCC 6275 Penicillium citrinum ATCC 9849 Chaetomium globosum ATCC 6205 Rhizopus stolonifer ATCC lO404 Aureobasidium pullulans IF0 6353
【0080】(かび抵抗性表示) (1)かびの生育は試料面積の1/3以上 (2)かびの生育は試料面積の1/3未満 (3)かびの生育を認めない
【0081】<3.耐水性試験>40℃の温水に1日の
間浸漬した直後の外観変化の様子を観察し、次の基準に
従って記録した。 ◎:異常なし ○:少し白化 △:白化 ×:溶出 更には、その試験片について抗歯性試験及び防かび性試
験も行った。
【0082】<4.耐溶剤性試験>塗膜をエチルアルコ
ールで20回ラビングした後の状態を観察した。評価の
方法は耐水性の場合と同様である。
【0083】<5.付着性試験>碁盤目試験法に準拠し
て行った。
【0084】<6.耐候性試験>サンシャインカーボン
ウェザオメー夕に600時間照射した後の様子を観察
し、次の基準に従って記録した。 ◎:異常なし ○:薄い変色、しみ △:変色、しみ ×:ひどく変色 更には、その試験片について抗菌性試験及び防かび性試
験も行った。
【0085】<7.耐摩耗性試験>新フォード式摩耗試
験機にて、10,000回の摩擦試験を行った後の様子
を観察し、次の基準に従って記録した。 ◎:異常なし ○:少し白化 △:毛羽立ち ×:剥離
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】表1、2及び3の結果より、実施例1のコ
ート液は抗菌性及び防かび性を有し、同時に耐水性、耐
溶剤性を有する、耐久性に優れた塗膜を形成することが
確認された。また、変色、しみの発生も認められず、表
面外観を損なうこともないことが判明した。
【0090】
【発明の効果】 以上の通り、本発明の抗菌・防かび性
被覆用組成物を含んだ塗料を自動車用部材に塗布し、自
動車用部材の表面に抗菌・防かび性を含有する層を形成
することにより、直接手指等と接触する自動車用部材を
常に清浄に維持することができる。また本発明の被覆用
組成物を構成する抗菌・防かび成分は、アンモニウム
基、ホスホニウム塩基又はスルホニウム塩基の少なくと
も一種を主鎖又は側鎖に結合した高分子系抗菌剤であっ
て、高い抗菌・防かび性が継続的に維持、発揮され、ま
た自動車用部材に変色、しみ等を発生させないという利
点を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 133/02 C09D 133/02 167/02 167/02 175/04 175/04 201/02 201/02 (72)発明者 大橋 英人 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 小長谷 重次 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4H011 AA02 AA03 BB04 BB07 BB17 BB19 DA01 DD07 DG16 DH02 DH04 DH19 4J038 BA022 BA042 CE022 CG032 CG082 CP001 CP121 DD001 DF022 DG262 EA011 EA012 GA03 GA06 GA08 GA09 GA11 GA13 GA14 KA03 PB07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子系抗菌剤と、該高分子系抗菌剤に
    混合又は結合させた親水性物質とを含んでなることを特
    徴とする、自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成
    物。
  2. 【請求項2】 該高分子系抗菌剤がアンモニウム塩基、
    ホスホニウム塩基及びスルホニウム塩基のうち少なくと
    も1種を主鎖及び/又は側鎖に有する共重合体であるこ
    とを特徴とする、請求項1の自動車用部材用の抗菌・防
    かび性被覆用組成物。
  3. 【請求項3】 該高分子系抗菌剤がジカルボン酸成分及
    びグリコール成分を主要な構成成分とするポリエステル
    樹脂であり、次の一般式 【化1】 (式中、Aは芳香族基、X1、X2はエステル形成性官能
    基であり、Rl、R2、R 3、R4はアルキル基でそのうち
    少なくとも1つは炭素数10以上20以下のアルキル基
    を表す。)で示される二官能性芳香族スルホン酸ホスホ
    ニウム塩を該ポリエステル樹脂の構成成分として含むこ
    とを特徴とする、請求項1又は2の自動車用部材用の抗
    菌・防かび性被覆用組成物。
  4. 【請求項4】該親水性物質が側鎖に親水性基を有するビ
    ニル系重合体であり、これが該高分子系抗菌剤にグラフ
    ト重合していることを特徴とする、請求項1ないし3の
    何れかの自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成
    物。
  5. 【請求項5】 該高分子系抗菌剤及び/又は該親水性物
    質と反応し得る硬化剤を更に含んでなることを特徴とす
    る、請求項1ないし4の何れかの自動車用部材用の抗菌
    ・防かび性被覆用組成物。
  6. 【請求項6】 該硬化剤がイソシアネート基を有する硬
    化剤であることを特徴とする請求項5の自動車用部材用
    の抗菌・防かび性被覆用組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6の何れかの自動車用部
    材用の抗菌・防かび性被覆用組成物を含有してなる、抗
    菌・防かび性塗料。
JP11067224A 1999-03-12 1999-03-12 自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成物 Withdrawn JP2000265085A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11067224A JP2000265085A (ja) 1999-03-12 1999-03-12 自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11067224A JP2000265085A (ja) 1999-03-12 1999-03-12 自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000265085A true JP2000265085A (ja) 2000-09-26

Family

ID=13338737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11067224A Withdrawn JP2000265085A (ja) 1999-03-12 1999-03-12 自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000265085A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9580554B2 (en) 2015-05-06 2017-02-28 International Business Machines Corporation Condensation polymers for antimicrobial applications
CN113527595A (zh) * 2021-08-12 2021-10-22 中国科学院长春应用化学研究所 一种功能化有机硅树脂及其制备方法和应用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9580554B2 (en) 2015-05-06 2017-02-28 International Business Machines Corporation Condensation polymers for antimicrobial applications
US10023697B2 (en) 2015-05-06 2018-07-17 International Business Machines Corporation Condensation polymers for antimicrobial applications
CN113527595A (zh) * 2021-08-12 2021-10-22 中国科学院长春应用化学研究所 一种功能化有机硅树脂及其制备方法和应用
CN113527595B (zh) * 2021-08-12 2022-06-07 中国科学院长春应用化学研究所 一种功能化有机硅树脂及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6013275A (en) Antibacterial composition and antibacterial laminate
JP4403312B2 (ja) 水性複合樹脂組成物、それを含むコーティング剤、及びそれを用いた積層体
WO2009142074A1 (ja) 水性複合樹脂組成物、それを含むコーティング剤、及びそれを用いた積層体
JP2605816B2 (ja) 蒸着ポリエステルフィルム
JP2000265085A (ja) 自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成物
JP4529072B2 (ja) 成型用ポリエステルフィルム及びそれを成型してなる成形部材
JP3080592B2 (ja) ポリエステル系樹脂組成物及びその用途
JP2000265110A (ja) 塗料組成物および塗装方法ならびに塗装された部材
JP4117539B2 (ja) 易接着性柔軟ポリエステルシート
JP2001026076A (ja) 抗菌性積層体
JP2000202953A (ja) 自動車用内装材
JP4411665B2 (ja) 抗菌性組成物および抗菌性組成物積層金属基板
JP2000053873A (ja) 抗菌性および防かび性を有する親水性樹脂組成物
JP2000290340A (ja) ウレタン樹脂組成物
JPH1112479A (ja) 抗菌性樹脂組成物
JPH11277672A (ja) 抗菌性及び防かび性に優れた金属板
JP2000028286A (ja) 抗菌・防カビ性および親水性に優れた熱交換器用フィン
JP2001032196A (ja) 壁 紙
JP2001026075A (ja) フィルムラミネート化粧板
JPH11140350A (ja) 抗菌性塗料用樹脂組成物
JP2000329497A (ja) 自動車エアコン熱交換器用フィン
JP2001071411A (ja) 抗菌材料及び抗菌フィルム
JP2000263709A (ja) 抗菌性積層フィルム
JPH1110766A (ja) 抗菌性金属板
JP2001055518A (ja) 抗菌・防かび性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060606