JP2000202953A - 自動車用内装材 - Google Patents

自動車用内装材

Info

Publication number
JP2000202953A
JP2000202953A JP11008526A JP852699A JP2000202953A JP 2000202953 A JP2000202953 A JP 2000202953A JP 11008526 A JP11008526 A JP 11008526A JP 852699 A JP852699 A JP 852699A JP 2000202953 A JP2000202953 A JP 2000202953A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
interior material
substance
polymer
antibacterial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11008526A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Miyamoto
憲一 宮本
Satoshi Hayakawa
聡 早川
Hideto Ohashi
英人 大橋
Juji Konagaya
重次 小長谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP11008526A priority Critical patent/JP2000202953A/ja
Publication of JP2000202953A publication Critical patent/JP2000202953A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い抗菌・抗かび性が継続的に維持され、ま
た、変色、しみなどの発生がなく、且つ、耐環境性に優
れた自動車用内装材を提供する。 【解決手段】 有機抗菌・防かび剤成分としてのアンモ
ニウム塩基、ホスホニウム塩基及びスルホニウム塩基の
少なくとも一種を分子鎖に有する高分子物質を含有する
層、又は該高分子物質、親水性物質及び必要に応じて硬
化剤を含有する層、又は親水性物質が結合した該高分子
物質及び必要に応じて硬化剤を含有する層を、或いはこ
れらいずれかの層を有するシート状部材を、その表面の
少なくとも一部に有する自動車用内装材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などに取り
付けられ、乗員が直接手指等と接触する自動車用内装材
であって、抗菌性および防かび性を有し、しかも、耐水
性、耐候性、耐溶剤性、耐磨耗性等(以下、これらを総
称して「耐環境性」という)にも優れた自動車用内装材
に関する。
【0002】本発明の対象となる自動車用内装材として
は、例えば、具体的には、ドアドリム、リアパネル、ピ
ラートリム、インストルメントパネル、アームレスト、
ヘッドレスト、グローブボックス、コンソールボック
ス、シート、フロアマット、ステアリングホイール、シ
フトノブ、アシストグリップ、ドアグリップ、シートバ
ックル、バックミラー、サンバイザー、コンソールリッ
ド、コンソールパネル、空調用吹出口の風向調節または
開閉扉操作用などのノブ、ホーンスイッチ操作部、天井
材などが挙げられる。
【0003】
【従来の技術】現在使用されている抗菌材は、キチン、
キトサン、ワサビ抽出物、カラシ抽出物、ヒノキチオー
ル、茶抽出抗菌材などの天然品、光酸化触媒酸化チタン
粒子、酸化亜鉛超微粒子、銀含有ゼオライト、銀含有リ
ン酸ジルコニウム等の無機系化合物品及び有機アンモニ
ウム塩系、有機ホスホニウム塩系化合物等の合成品があ
げられる。
【0004】これらのうちでも、天然品及び無機品は、
安全性の面で最近注目を集めている。他方、有機系合成
品は、抗菌能が天然品、無機品より優れるのが一般的だ
が、抗菌材が揮発、分離しやすく、その毒性のためにか
えって敬遠されがちである。これは有機系合成品の抗菌
材が水や有機溶媒等に溶解しやすいためである。
【0005】このため、最近ではポリマー素材に有機系
の抗菌材をイオン結合または共有結合で結合した不溶性
で毒性を示さない固定化抗菌材が、特開昭54−865
84号公報、特開平04−266912号公報、特表平
04−814365号公報、特開平05−310820
号公報に記載されている。これら固定化抗菌材は、カル
ボキシル基やスルホン酸基等の酸性基とイオン結合して
いる4級アンモニウム塩基を高分子物質に固定化してな
る抗菌材、ホスホニウム塩を高分子物質に固定化したも
の、ホスホニウム塩系ビニル重合体からなる抗菌材、ビ
ニルベンジルホスホニウム塩系ビニル重合体からなる抗
菌材、酸性基とイオン結合したホスホニウム塩基を高分
子物質に固定化した抗菌性材料である。
【0006】しかしながら、これら有機系の固定化抗菌
材を自動車用内装材に使用した例はなく、これら有機系
の固定化抗菌材が、果たして自動車用内装材に抗菌性及
び抗かび性を付与するのに適しているかどうかについて
は上記公報に何ら記載されていない。
【0007】特に、自動車室内は、気候及び季節により
高温から低温までの大きな温度変化や該温度変化による
結露があり、更には、特に夏期の強い直射日光に曝され
るという過酷な環境下にあり、また、乗員の手や衣服と
の接触により長時間摩擦されるため、使用される抗菌・
防かび剤は、かかる過酷な条件においても抗菌・防かび
性が安定して維持されなければならない。しかも、自動
車室内の装飾的観点から、内装材の構成材料に変色やし
み等を発生させるものであってはならない。
【0008】よって、従来から使用されている有機系の
不溶性の固定化抗菌材が、果たして抗菌性及び抗かび性
を有する自動車用内装材を製造するのに適しているかど
うかについては、何ら予測がつかないものである。
【0009】また、抗菌性を有する自動車用内装材は、
従来より知られているが、それらの抗菌材成分は、抗菌
性を有する銀イオンをゼオライト等の無機系多孔質に担
持させたものである(例えば、特開平08−24530
1号公報、特開平09−100409号公報、特開平0
9−216563号公報)。しかしながら、銀含有ゼオ
ライトなどの銀系抗菌材は、溶融、混練りの際に黒く着
色し、あるいは光照射により変色するため好ましくな
い。更には経時により抗菌性が低下するという問題があ
った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の欠点を解決することにあり、高い抗菌・抗かび性が継
続的に維持され、また、変色、しみなどの発生がなく、
且つ、耐環境性に優れた自動車用内装材を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記本発明の課題は、以
下の手段により達成される。
【0012】1. 自動車室内に装着される自動車用内
装材であって、少なくともその表面の一部に、アンモニ
ウム塩基、ホスホニウム塩基及びスルホニウム塩基から
なる群から選ばれる少なくとも一種を分子鎖に有する高
分子物質を含有する層を有することを特徴とする自動車
用内装材。
【0013】2. 自動車室内に装着される自動車用内
装材であって、少なくともその表面の一部に、シート状
部材が貼着されており、該シート状部材の表面の少なく
とも一部に、アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基及び
スルホニウム塩基からなる群から選ばれる少なくとも一
種を分子鎖に有する高分子物質を含有する層を有するこ
とを特徴とする自動車用内装材。
【0014】3. アンモニウム塩基、ホスホニウム塩
基及びスルホニウム塩基からなる群から選ばれる少なく
とも一種を分子鎖に有する高分子物質を含有する層が、
更に親水性物質を、該高分子物質と混合された形態で含
有していることを特徴とする上記1または2記載の自動
車用内装材。
【0015】4. アンモニウム塩基、ホスホニウム塩
基及びスルホニウム塩基からなる群から選ばれる少なく
とも一種を分子鎖に有する高分子物質を含有する層が、
更に親水性物質を、該高分子物質に化学的に結合されて
いる形態で含有していることを特徴とする上記1又は2
記載の自動車用内装材。
【0016】5. 親水性物質が、ヒドロキシル基、ア
ミノ基、アミド基、カルボキシル基またはそのアルカリ
金属塩、スルホン酸基またはそのアルカリ金属塩、エー
テル結合などの親水基を、1分子内に2個以上含む有機
化合物または高分子化合物である上記3又は4に記載の
自動車用内装材。
【0017】6. 親水性物質が、側鎖に親水性基を有
するビニル系重合体であり、該ビニル系重合体は、その
構成モノマーを上記高分子物質にグラフト重合してなる
ものであることを特徴とする上記3又は4に記載の自動
車用内装材。
【0018】7. アンモニウム塩基、ホスホニウム塩
基及びスルホニウム塩基からなる群から選ばれる少なく
とも一種を分子鎖に有する高分子物質を含有し、更に親
水性物質を含有する層が、更に、高分子物質及び親水性
物質の少なくとも一方と反応し得る硬化剤を更に含有す
ることを特徴とする上記3〜6のいずれかに記載の自動
車用内装材。
【0019】8. 硬化剤が、イソシアネート基を有す
る硬化剤であり、自動車用内装材が、ポリウレタン、ポ
リプロピレン及びポリエステルからなる群から選ばれる
少なくとも1種の樹脂を構成樹脂とするものであること
を特徴とする上記7記載の自動車用内装材。
【0020】次に本発明を詳しく説明する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の自動車用内装材は、基本
的には、前記アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基及び
スルホニウム塩基からなる群から選ばれた少なくとも一
種を分子鎖に有する高分子物質からなる抗菌・防かび性
樹脂組成物の層を、当該自動車用内装材の表面の少なく
とも一部に形成することにより、或いは、該層を表面に
有するシート状部材を当該自動車用内装材の表面の少な
くとも一部に貼着して得られるものである。
【0022】有機抗菌・防かび剤成分 本発明においては、有機抗菌・防かび剤成分は、アンモ
ニウム塩基、ホスホニウム塩基及びスルホニウム塩基か
らなる群から選ばれた少なくとも1種を、分子鎖に有す
る高分子物質である。通常、かかる高分子物質は、抗菌
性を有する低分子有機化合物等を分子鎖に有する高分子
物質である。
【0023】抗菌性を有する低分子有機化合物として
は、従来から抗菌剤として使用されているものが広い範
囲で使用できる。例えば、イソチオシアン酸アリル、ポ
リオキシアルキレントリアルキルアンモニウム、塩化ベ
ンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩、有機シリコ
ン第4級アンモニウム塩、トリ−n−ブチルヘキサデシ
ルホスホニウムクロリド、トリ−n−ブチルテトラデシ
ルホスホニウムクロリド、トリ−n−ブチルヘキサデシ
ルホスホニウムクロリド等の第4級ホスホニウム塩、ス
ルホイソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩又はそ
のジエステル他が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0024】これらの有機系抗菌剤のうちでも、特に、
高い抗菌・防かび活性と巾広い抗菌スペクトルを有する
ホスホニウム塩系化合物が最も好ましい。
【0025】抗菌・防かび性化合物を結合した高分子物
前記抗菌・防かび性化合物を高分子物質に結合するに
は、例えば、特開昭54-86584号に記載されるような公知
の方法に従って行えばよく、前記抗菌・防かび性化合物
中の反応性官能基(例えば酸性基)と、高分子物質とを
反応させればよい。
【0026】いずれにせよ、得られる生成物において、
前記抗菌・防かび性化合物が、得られた抗菌・防かび性
高分子物質に対して、0.01〜10重量%、好ましく
は0.05〜5重量%程度の割合で、結合されているこ
とが好ましい。
【0027】また、前記抗菌・防かび性化合物がオニウ
ム塩基を含有する化合物である場合は、該オニウム塩基
含有化合物と、カルボキシル基、スルホン基、ホスホン
基、ホスフィン基等の酸性基を含有するモノマー(例え
ば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、スチレンスルホ
ン酸、ビニルスルホン酸、アリルホスホン酸、1−フェ
ニルビニルホスホン酸等)とをイオン結合させたモノマ
ーを形成し、これを重合又は共重合する方法が採用でき
る。
【0028】本発明の高分子物質は、分子鎖に有機系抗
菌剤成分を有していれば、いかなる高分子化合物でもよ
い。以下により具体的な例を示すが、これらに限定され
るものではない。
【0029】本発明の好適な実施形態における抗菌・防
かび性高分子物質は、酸性基及び酸性基とイオン結合し
ているホスホニウム塩基を含む高分子物質である。
【0030】さらなる好適な実施形態においては、ジカ
ルボン酸成分及びグリコール成分を主成分とするポリエ
ステル樹脂であって、下記一般式(1)で表されるスル
ホン酸基含有芳香族ジカルボン酸のホスホニウム塩を、
全酸成分に対して1〜50モル%、好ましくは3〜20
モル%共重合したポリエステル樹脂である。
【0031】
【化1】
【0032】(式中、Aは芳香族基を示し、X1及びX
2はエステル形成性官能基を示す。R1、R2、R3及
びR4は、それぞれアルキル基を示すが、そのうちの少
なくとも1個は炭素数10以上20以下のアルキル基で
ある。) 上記Aで表される3価の芳香族基を構成する芳香環とし
ては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を例示でき
る。
【0033】X1及びX2で示されるエステル形成官能
基としては、例えば、カルボキシル基、C1−C4アル
コキシカルボニル基、ヒドロキシル基、C1−C4アル
コキシル基、ハロゲン原子等を例示できる。
【0034】また、R1、R2、R3及びR4で示され
るアルキル基としては、炭素数1〜20のものである。
但し、R1、R2、R3及びR4のうちの少なくとも1
個は、炭素数10〜20、好ましくは炭素数12〜16
のアルキル基である。
【0035】上記一般式(1)で表されるスルホン酸基
含有芳香族ジカルボン酸のホスホニウム塩としては、例
えば、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルデシルホス
ホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルオク
タデシルホスホニウム塩スルホイソフタル酸トリ−n−
ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル
酸トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スル
ホイソフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニ
ウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラデ
シルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸−n−ブチル
ドデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,
7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム
塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ
−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、4−スルホ
ナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルヘ
キサデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルテトラデシルホ
スホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカル
ボン酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩等が挙
げられ、抗菌活性の点からはスルホイソフタル酸トリ−
n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホイソフ
タル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、
スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニ
ウム塩が特に好ましい。
【0036】上記芳香族ジカルボン酸ホスホニウム塩
は、スルホ芳香族ジカルボン酸またはそのナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩等に、トリ−n−ブチ
ルヘキサデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブ
チルテトラデシルホスホニウムブロマイド、トリ−n−
ブチルドデシルホスホニウムブロマイド等のホスホニウ
ム塩を、反応させることにより得られる。
【0037】上記一般式(1)で表されるスルホン酸基
含有芳香族ジカルボン酸のホスホニウム塩を含むポリエ
ステルを形成するジカルボン酸成分及びグリコール成分
としては、広い範囲のものが使用できるが、例えば次の
ものが例示できる。
【0038】(a)ジカルボン酸成分 使用するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3
−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸等が挙げられる。
【0039】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、複素環式ジ
カルボン酸等を併用してもよい。
【0040】(b)グリコール成分 グリコール成分としては、エチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール、2−メチル1,3−プロパンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール等である。
【0041】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリ
セリン、ペンタエリスリトールなどの多価ポリオールを
併用してもよい。
【0042】また、上記一般式(1)のモノマー、上記
(a)及び(b)の成分を共重合する方法は特に限定されない
が、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応させ、
得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合
法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールと
をエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆる
エステル交換法などが挙げられる。
【0043】この他、抗菌・防かび性成分を結合した高
分子物質の1つとして、下記一般式(2)で示されるホ
スホニウム塩系ビニル重合体が挙げられる。
【0044】
【化2】
【0045】(式中、R5、R6及びR7は、水素原
子、炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基、
炭素数6〜18のアリール基(特にフェニル基)である
か、又はヒドロキシ基もしくは炭素数1〜18のアル
コキシ基で置換されたアルキル基、アリール基(特にフ
ェニル基)又はアラルキル基(特にフェニル−C1−C
4アルキル基)を表し、X-はアニオンを示し、nは2
以上の整数を示す。) 上記R5、R6及びR7の具体例としては、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ドデシル等の炭素数1〜18のアルキル
基、フェニル、トリル、キシリル等のアリール基(特
に、フェニル基、又は炭素数1〜3のアルキル基が1〜
3個置換しているフェニル基)、ベンジル、フェネチル
等のアラルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基等で
置換されたアルキル基又はアリール基等が特に好まし
い。R5、R6及びR7は、同一の基でも、異なった基
でもよい。
【0046】X-はアニオンであり、たとえばフッ素、
塩素、臭素又はヨウ素等のハロゲンイオン、硫酸イオ
ン、リン酸イオン、過塩素酸イオン等があげられ、これ
らのうちでもハロゲンイオンが好ましい。nは特に限定
しないが、2〜500、好ましくは10〜300であ
る。
【0047】親水性物質 本発明の好ましい実施形態によれば、前記のように、本
発明の抗菌・防かび性樹脂組成物の成分である有機系抗
菌剤成分を結合した高分子物質に、親水性物質を混合ま
たは化学的に結合する。この好ましい実施形態によれ
ば、該親水性物質の存在により、該親水性物質を使用し
ない場合に比し、更に著しく抗菌性が向上する。
【0048】本発明における親水性物質とは、水との親
和性に優れた物質であり、例えば、ヒドロキシル基、ア
ミノ基、アミド基、カルボキシル基またはそのアルカリ
金属塩、スルホン酸基またはそのアルカリ金属塩、エー
テル結合などの親水基を、1分子内に2個以上含む有機
化合物または高分子化合物である。
【0049】その具体例としては、ポリビニルアルコー
ル、澱粉又は水溶性変性澱粉、アクリル酸のホモポリマ
ーまたは共重合体、メタクリル酸のホモポリマーまたは
共重合体、無水マレイン酸のホモポリマーまたは共重合
体(例えば、無水マレイン酸・スチレン共重合体)、ビ
ニルスルホン酸またはその共重合体またはそれらのアル
カリ金属塩、ポリエチレングリコール(別名 ポリエチ
レンオキサイド)、ポリプロピレングリコール、ポリエ
チレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等のポリアルキレングリコール、グリセリン、
ポリグリセリン等のポリオールまたはその重合体等が例
示できる。
【0050】上記水溶性変性セルロースとしては、例え
ば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、
メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシセル
ロースナトリウム、セルロースナイトレートカルボキシ
ルメチルエーテル等が挙げられる。
【0051】また、上記共重合体を構成するコモノマー
としては、スチレン、アクリル酸C1−C4アルキルエ
ステル、メタクリル酸C1−C4アルキルエステル等を
挙げることができ、これらコモノマーの共重合体中での
含量は、共重合体に対して、好ましくは10〜50重量
%程度の量であることが推奨される。
【0052】本発明では、これら親水性物質の少なくと
も1種を、前記有機系抗菌剤を結合した高分子物質に混
合又は共重合させて使用する。
【0053】該親水性物質の分子量は特に限定しない
が、数平均分子量で、200以上30000以下が好ま
しく、さらには1000以上25000以下が好まし
い。該親水性物質を使用する場合、その含有量は、有機
系抗菌剤を結合した高分子物質に対して、60重量%ま
で、特に5〜60重量%、好ましくは10〜50重量
%、さらに好ましくは15〜35重量%である。一般
に、抗菌効果のさらなる向上は、親水性物質の含有量
が、5重量%を越えると発現される。一方、60重量%
を越えると、抗菌組成物の機械的特性及び耐熱性・耐候
性が低下する傾向がある。
【0054】親水性物質を、有機系抗菌剤を結合した高
分子物質に混合する場合、混合方法は特に限定されず、
製造方法、化学的性質、物理的性質等により任意の方法
を採用できる。例えば、両者を押し出し機などを用いて
加熱溶融混合する方法、また、有機系抗菌剤を結合した
高分子物質と親水性物質を適当な溶媒中、例えば水、水
/アルコール混合溶媒、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノンなどの有機溶媒に混合溶解または
分散した後、該溶媒を留去する方法がある。
【0055】また、親水性物質を、有機系抗菌剤を結合
した高分子物質に共重合する方法について、具体例を挙
げると、例えば、ホスホニウム塩基を含む高分子物質の
主鎖又は側鎖に、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、
カルボキシル基またはそのアルカリ金属塩、スルホン酸
基またはそのアルカリ金属塩などの親水基を含むモノマ
ーを共重合することができる。共重合することにより、
相溶性が改善され、塗膜にした場合の外観、貯蔵安定
性、塗膜にした場合の物性などが改善される。
【0056】これらの親水基含有モノマーを共重合する
方法としては、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナ
フタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェ
ノキシ)イソフタル酸などの金属塩または2−スルホ−
1,4−ブタンジオール、2,5−ジメチル−3−スル
ホ−2,5−ヘキサンジオール等の金属塩などのスルホ
ン酸金属塩基を含有するジカルボン酸またはグリコール
を、抗菌剤成分を結合したポリエステル樹脂に共重合す
る方法、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等のアルキレン
グリコールを、抗菌剤成分を結合したポリエステル樹脂
に共重合する方法等が挙げられる。
【0057】本発明では、親水性基を含むビニル系モノ
マーを、有機系抗菌剤を結合したポリエステル樹脂等の
高分子物質にグラフト重合する方法も使用できる。
【0058】本発明において有機系抗菌剤を結合した高
分子物質にグラフト重合させることができる親水性基を
有するビニル系モノマーとしては、カルボキシル基、水
酸基、スルホン酸基、アミド基などを含むもの、親水性
基に変化させることができる基として酸無水物基、グリ
シジル基、クロル基などを含むものが挙げられる。その
中でカルボキシル基を有するものが最も好ましい。
【0059】親水性基を含むビニル系モノマーとして
は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩
等のカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピル
アクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、t−ブチルアクリレート等のアルキルア
クリレート、特に、C1−C4アルキルアクリレート、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブ
チルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート等のア
ルキルメタクリレート、特に、C1−C4アルキルメタ
クリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシ含有モ
ノマー、特にC1−C4ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレート、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタ
クリルアミド、N,Nジメチロールアクリルアミド、N
−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー、
特に窒素原子上にC1−C4アルキル基、C1−C4ア
ルコキシ基、C1−C4ヒドロキシアルキル基及びフェ
ニル基からなる群から選ばれた1個又は2個の置換基を
有していてもよい(メタ)アクリルアミド、グリシジル
アクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ
含有ビニル系モノマー等が挙げられる。その他の親水性
基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、アリル
グリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー、スチ
レンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩等の
スルホン酸基またはその塩を含有するビニル系モノマ
ー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸及
びそれらの塩等のカルボキシル基またはその塩を含有す
るビニルモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等
の酸無水物を含有するビニルモノマーが挙げられる。
【0060】これら親水性基を有するビニルモノマー
は、必要に応じて、他のモノマーと併用することができ
る。他のモノマーとしては、例えばビニルイソシアネー
ト、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエ
ーテル、ビニルエチルエーテル、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化
ビニル等が挙げられ、これらの中から1種類又は2種類
を用いて共重合することができる。
【0061】親水性基を有するモノマー(Mh)とそれ
以外のモノマー(Ma)との比率はモル比で、Mh/M
a=30/70〜100/0の範囲が好ましい。
【0062】親水性基を含有するモノマー(及び必要に
応じて他のモノマー)を高分子物質にグラフトさせる方
法としては、公知のグラフト重合法を用いることができ
る。その代表例として以下の方法が挙げられる。
【0063】例えば、光、熱、放射線等によって主鎖の
高分子物質にラジカルを発生させてからモノマーをグラ
フト重合させるラジカル重合法、あるいはAlCl3、TiCl4
等の触媒を用いてカチオンを発生させるカチオン重合
法、あるいは金属Na、金属Li等を用いてアニオンを発
生させるアニオン重合法等がある。
【0064】また、あらかじめ主鎖の高分子物質に重合
性不飽和二重結合を導入しこれにビニル系モノマーをグ
ラフト重合させる方法があげられる。これに用いる重合
性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、フマル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水マ
レイン酸等をあげることができる。このうち最も好まし
いものはフマル酸、マレイン酸、及び2,5−ノルボル
ネンジカルボン酸である。
【0065】本発明の主鎖となる高分子物質(P)とグ
ラフトされる親水性ビニル系モノマー(VM)の好まし
い重量比は、P/VM=95/5〜40/60の範囲で
あり、さらに好ましくは93/7〜55/45、最も好
ましくは90/10〜60/40の範囲である。主鎖の
高分子物質の重量比が40%未満であると、グラフト重
合性ビニル系モノマーが完全に反応しないまま残るた
め、耐熱性、加工性、耐水性等の特性が損なわれる。
【0066】また、主鎖の高分子物質の重量比が95%
以下であれば、本発明の目的である抗菌性の向上効果が
充分に発揮される。
【0067】親水性物質が高分子物質に混合した場合と
共重合した場合で、両者に抗菌・防かび性の効果におい
て大差はない。
【0068】硬化剤 また、本発明においては、必要に応じて、本発明の抗菌
・防かび性組成物中の高分子物質又は親水性物質の少な
くとも1種と反応し得る硬化剤を配合してもよい。硬化
剤を配合することによって、より良好な塗膜物性、例え
ば、自動車用内装部材との密着性、耐磨耗性、耐水性、
耐候性を得ることができる。
【0069】硬化剤の好ましい配合量は、該ポリエステ
ル樹脂と親水性物質の合計に対して5〜35重量%、さ
らに好ましくは10〜20重量%である。硬化剤として
は、アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂、
エポキシ化合物及びイソシアネート化合物等が挙げられ
る。
【0070】アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒ
ド樹脂とは、例えばメタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの炭
素数1〜4のアルコールによってアルキルエーテル化さ
れたホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒド等
と尿素、N,N−エチレン尿素、ジシアンジアミド、ア
ミノトリアジン等との縮合生成物であり、メトキシ化メ
チロールベンゾグアナミン、メトキシ化メチロール−
N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアン
ジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化
メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグア
ナミン、メトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラ
ミン等が挙げられるが、加工性の面から好ましいのは、
メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロール
メラミン、又はメトキシ化/ブトキシ化混合型メチロー
ルメラミンであり、それぞれ単独又は併用して使用する
ことができる。
【0071】エポキシ化合物としては、ビスフェノール
Aのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリ
ゴマー、オルソイソフタル酸ジグリシジルエステル、イ
ソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリ
シジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエス
テル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、
ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク
酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエス
テル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリ
コールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジ
グリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシ
ジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジル
エーテル及びポリアルキレングリコールジグリシジルエ
ーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ト
リグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジル
オキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセ
ロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタン
トリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラ
グリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイ
ド付加物のトリグリシジルエーテル類を挙げることがで
きる。
【0072】さらにイソシアネート化合物としては、例
えば、芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上の
ポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合
物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエ
ンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイ
ソシアネート化合物の3量体、及びこれらのイソシアネ
ート化合物の過剰量と、例えばエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセ
リン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン
等の低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリ
オール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の
高分子活性水素化合物等とを反応させて得られる末端イ
ソシアネート基含有化合物等が挙げられる。
【0073】イソシアネート化合物としてはブロックイ
ソシアネートであってもよい。 イソシアネートブロッ
ク化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、
メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾ
ール、キシレノール、レゾシノール、ニトロフェノー
ル、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシ
ム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキ
シムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンク
ロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールな
どのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−
ペンタノールなどの第3級アルコール類、ε−カプロラ
クタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β
−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その
他にも芳香族アミン類、イミド環、アセチルアセトン、
アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活
性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素
類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられ
る。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化
合物とイソシアネートブロック化剤とを公知の適宜の方
法より付加反応させて得られる。
【0074】また、これらの硬化剤には、その種類に応
じて選択された公知の硬化剤あるいは促進剤を併用する
こともできる。
【0075】また、自動車内装材の表層は、主にウレタ
ン、ポリプロピレン及びポリエステルからなる群から選
ばれる少なくとも1種の樹脂を構成樹脂としているが、
かかる材質の内装材に対する塗膜接着の点でイソシアネ
ート系化合物が好ましい。
【0076】イソシアネート化合物の希釈溶媒は活性水
素を含まないものが一般的であるが、本発明の塗料溶剤
にはイソシアネート基との反応性が小さい第2級アルコ
ール又は第3級アルコールを添加することが可能であ
り、例えばイソプロピルアルコール又はt−ブタノール
が挙げられる。
【0077】抗菌・防かび性組成物 本発明の抗菌・防かび性組成物は、前記成分である抗菌
剤成分を結合した高分子物質を単独で、或いは、抗菌剤
成分を結合した高分子物質及び必要に応じて親水性物質
及び必要に応じて硬化剤を、或いは抗菌剤成分を結合
し、更に親水性物質を結合した高分子物質及び必要に応
じて硬化剤を、そのままの形態で又は希釈剤で希釈した
形態で含有しているものである。
【0078】該希釈剤としては、メチルエチルケトン、
アセトン、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコ
ール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン等が
例示できる。
【0079】本発明の抗菌・防かび性組成物には、塗膜
の滑り性、耐摩耗性、耐ブロッキング性、隠蔽性等の物
理的特性の向上を目的として、予め炭酸カルシウム(C
aCO3)、リン酸カルシウム、アパタイト、硫酸バリ
ウム(BaSO4)、フッ化カルシウム(CaF2)、タ
ルク、カオリン、酸化珪素(SiO2)、アルミナ(A
23)、二酸化チタン、酸化ジルコニウム(Zr
2)、酸化鉄(Fe23)、アルミナ/シリカ複合酸
化物などの無機粒子、ポリスチレン、ポリメタクリル酸
エステル、ポリアクリル酸エステル、それらの共重合
体、あるいはそれらの架橋体などの有機粒子等を添加す
ることも可能である。
【0080】更に本発明の抗菌・防かび性組成物に銀含
有ゼオライトなどの銀系抗菌材を添加することも可能で
あるが、銀系抗菌材は光照射による変色及び経時による
抗菌性低下等が挙げられ、添加は好ましくない。
【0081】塗料の固形分濃度としては、特に限定され
ないが、一般には3〜40重量%程度、好ましくは10
〜30重量%程度とするのがよい。
【0082】自動車用内装材 本発明の対象となる自動車内装材としては、例えば、具
体的には、ドアドリム、リアパネル、ピラートリム、イ
ンストルメントパネル、アームレスト、ヘッドレスト、
グローブボックス、コンソールボックス、シート、フロ
アマット、ステアリングホイール、シフトノブ、アシス
トグリップ、ドアグリップ、シートバックル、バックミ
ラー、サンバイザー、コンソールリッド、コンソールパ
ネル、空調用吹出口の風向調節または開閉扉操作用など
のノブ、ホーンスイッチ操作部、天井材などが挙げられ
る。
【0083】本発明の内装材は、ステアリングホイール
やシフトノブである場合には、通常、硬質の芯材とその
芯材を被覆する軟質の被覆部とから構成され、この被覆
層の表面部に抗菌・防かび層が形成されている。被覆部
材として例えばポリウレタン、ポリプロピレン又はポリ
エステルが挙げられる。
【0084】本発明の抗菌・防かび層は、成形された内
装材に対して、抗菌・防かび性成分を結合した高分子物
質、及び必要に応じて使用する親水性物質及び硬化剤及
び無機又は有機粒子等を、希釈剤で希釈して塗料とし、
これを上記自動車内装材に塗布することにより形成する
ことができる。
【0085】塗布膜厚は、特に限定はないが、通常、乾
燥塗膜として5〜50μm、好ましくは10〜40μm
である。塗布後、熱処理を行うが、その場合の温度は通
常60〜160℃、好ましくは70〜80℃、時間は1
0〜30分である。
【0086】別の態様として、内装材の成形の際にイン
モールドコーティングして形成してもよい。
【0087】また、別の態様として本発明の抗菌・防か
び層を最表層とするシート状部材を内装材に添着するこ
とができる。かかるシート状部材は、裏面に接着剤層を
有し、表面に本発明の抗菌・防かび層を有するものであ
る。シート状部材の材質としては、例えば、ポリエステ
ル、ポリウレタン、ポリプロピレン、それらの多層体等
である。接着層としては、各種公知の接着剤を使用でき
る。該シート状部材の最表層への塗布膜厚は、特に限定
はないが、乾燥塗膜として通常5〜50μm、好ましく
は10〜40μmである。塗布後、熱処理を行うが、そ
の場合の温度は、前記と同様に、通常60〜160℃、
時間は10〜30分である。該シート部材は、自動車内
装材の抗菌・防かび処理が必要とされる面に貼着されて
使用される。
【0088】この実施形態によれば、任意の既存の自動
車内装材に対しても、抗菌・防かび効果を極めて容易に
付与することができ、しかも、経時的に抗菌・防かび効
果が低下して来た場合であっても、自動車内装材そのも
のを交換することなく、単に抗菌・防かび層を有する新
しいシート状部材を貼り直すだけでよいので、補修及び
メインテナンスが手軽であり、資源の無駄にもならない
という利点がある。
【0089】
【実施例】次に製造例、実施例及び比較例を用いて本発
明を更に詳細に説明するが、以下の製造例及び実施例に
限定されるものではない。
【0090】製造例1(ポリエステル樹脂の製造) 攪拌機、温度計および部分還流式冷却器を備えたステン
レススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレ
ート485部、ジメチルイソフタレート388部、5−
スルホイソフタル酸ジメチルトリ−n−ブチルドデシル
ホスホニウム塩(以下「C12ホスホニウム塩」とい
う)161部、エチレングリコール443.3部、ネオ
ペンチルグリコール400.4部、およびテトラ−n−
ブチルチタネート0.52部を仕込み、160〜220
℃まで4時間かけてエステル交換反応を行った。ついで
フマル酸29部を加え、200〜220℃まで1時間か
けて昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.2mmHgの
減圧下で1時間30分反応させ、ポリエステルを得た。
ポリエステルの組成は以下に示すとおりである。 ジカルボン酸成分 テレフタル酸 50モル% イソフタル酸 40モル% C12ホスホニウム塩 5モル% フマル酸 5モル% ジオール成分 エチレングリコール 65モル% ネオペンチルグリコール 35モル%。製造例2(グラフト重合体の製造) 攪拌機、温度計、環流装置と定量滴下装置を備えた反応
器に、製造例1で作成したポリエステル300部、メチ
ルエチルケトン360部、イソプロピルアルコール12
0部を入れ、加熱・攪拌し環流状態で樹脂を溶解した。
樹脂が完全に溶解した後、アクリル酸65部、アクリル
酸エチル35部、オクチルメルカプタン1.5部の混合
物、および、アゾビスイソブチロニトリル6部をメチル
エチルケトン90部、イソプロピルアルコール30部の
混合液に溶解した液とを1.5時間かけてポリエステル
溶液中にそれぞれ滴下し、さらに3時間反応させ、グラ
フト重合体溶液を得た。
【0091】製造例3(グラフト重合体溶液の脱イソプ
ロピルアルコール) 製造例2で作成したグラフト重合体溶液中のイソプロピ
ルアルコールを除去する目的で、グラフト重合体溶液を
イオン交換水に滴下し、グラフト重合体を不溶化し、そ
の不溶物を真空乾燥しグラフト重合体固形物を得た。得
られたグラフト重合体固形物をメチルエチルケトンに溶
解せしめ、グラフト重合体溶液を得た。
【0092】実施例1 製造例2において得られたグラフト重合体溶液68.0部、
トリメチロールプロパン変性ヘキサメチレンジイソシア
ネート(商品名「コロネートHL」、日本ポリウレタン工
業(株)製)4.0部およびメチルエチルケトン28.0部を
混合し目的とする抗菌・防かび性コート液を得た。この
コート液を固形分の塗布量が6.0g/m2となるようにウ
レタン板に塗布後、80℃で30分間熱処理し、抗菌・
防かび性樹脂を積層したウレタン板を作成した。この抗
菌・防かび性樹脂を積層したウレタン板の特性を表1〜
3に示す。
【0093】実施例2 製造例3において得られたグラフト重合体溶液68.0部、
トリメチロールプロパン変性ヘキサメチレンジイソシア
ネート(商品名「コロネートHL」、日本ポリウレタン工
業(株)製)4.0部およびメチルエチルケトン28.0部を
混合し、目的とする抗菌・防かび性コート液を得た。こ
のコート液を固形分の塗布量が6.0g/m2となるように
ウレタン板に塗布後、80℃で30分間熱処理し、抗菌
・防かび性樹脂を積層したウレタン板を作成した。この
抗菌・防かび性樹脂を積層したウレタン板の特性を表1
〜3に示す。
【0094】比較例1 ポリウレタン溶液100.0部およびポリウレタン固形分に
対し1重量%の抗菌・防かび性ゼオライト(商品名「ゼ
オミック」、品川燃料(株)製)を混合し、目的とする
抗菌・防かび性コート液を得た。このコート液を固形分
の塗布量が6.0g/m2となるようにウレタン板に塗布
後、80℃で30分間熱処理し、抗菌・防かび性樹脂を
積層したウレタン板を作成した。この抗菌・防かび性樹
脂を積層したウレタン板の特性を表1〜3に示す。
【0095】以下に実施例及び比較例で得られた抗菌・
防かび性組成物の物性の測定方法を示す。
【0096】1.抗菌性テスト 1/50ブロースで希釈したE.Coli(大腸菌)の
菌液(濃度:105個/ml)の0.1mlを、予め高
圧蒸気殺菌した5cm×5cmの大きさの試料ウレタン
板上に滴下し、その試料ウレタン板に高圧蒸気滅菌した
サランラップフィルムを密着させた。その試料ウレタン
板を滅菌シャーレに移し、37℃で24時間培養した。
それから試料ウレタン板上の菌をSCDLP培地10m
lで洗い出し、10倍希釈し、普通寒天平板にまいた後
24時間後に菌数を計測した。
【0097】
【数1】
【0098】本発明の抗菌性とは、抗菌率が50%を達
成することであり、好ましくは90%以上、より好まし
くは95%以上、最も好ましくは99%以上である。
【0099】2.防かび性試験 JIS Z 29116.2.2に準じた方法で、無機
塩寒天培地平板上に5cm×5cmの大きさの試料ウレ
タン板を貼付し、下記のかび5菌株の胞子懸濁液にシュ
クロース5%添加した混合液0.2mlを噴霧して27
±1℃で28日間培養後、かびの生育状態を評価した。 (試験菌株) Aspergillus niger ATCC 62
75 Penicillium citrinum ATCC
9849 Chaetomium globosum ATCC
6205 Rhizopus stolonifer ATCC
10404 Aureobasidium pullulans I
FO 6353 (かび抵抗性表示:防かび性) 1:かびの生育は試料面積の1/3以上 2:かびの生育は試料面積の1/3以内 3:かびの生育を認めない。
【0100】3.耐水性試験 40℃の温水に1日間浸漬した直後の外観変化の様子を
観察した。
【0101】 ◎:異常なし ○:少し白化 △:白化 ×:溶出 更にはその試料ウレタン板について、上記「1.抗菌性
テスト」の方法に従って、抗菌性試験を行った。
【0102】4.耐溶剤性 塗膜をエチルアルコールで20回ラビングした後の状態
を観察した。評価の方法は耐水性の場合と同様である。
【0103】5.付着性 碁盤目試験法に準拠して行った。
【0104】6.耐候性 サンシャインカーボンウェザオメータに600時間照射
した後の様子を観察した。
【0105】 ◎:異常なし ○:薄い変色、しみ △:変色、しみ ×:ひどく変色 更にはその試料ウレタン板について上記「1.抗菌性テ
スト」の方法に従って、抗菌性試験を行った。
【0106】7.耐摩耗性 新フォード式摩耗試験機にて、10,000回の摩擦試
験を行った後の様子を観察した。
【0107】 ◎:異常なし ○:少し白化 △:毛羽立ち ×:剥離
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】表1、2及び3の結果より、実施例1のコ
ート液は抗菌性および防かび性を有し、同時に耐水性、
耐溶剤性を有する耐久性に優れた塗膜を形成する。ま
た、変色、しみの発生は認められず、表面外観を損なう
ことはない。
【0112】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、内装材の表面に抗菌・防かび性を含有する層を有
するので、直接手指などと接触する自動車用内装材を常
に清浄に維持することができる。
【0113】本発明の上記抗菌・防かび剤は、有機抗菌
材成分としてのアンモニウム塩基、ホスホニウム塩基又
はスルホニウム塩基の少なくとも一種を分子鎖に有する
高分子物質であって、高い抗菌・防かび性が継続的に維
持され、また内装材に変色、しみなどを発生させない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 英人 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 小長谷 重次 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 3D023 BA01 BB03 BB08 BB09 BB25 BD01 BD03 BD08 BD29 BD30 BE04 BE31 4F100 AK01C AK01K AK14C AK14J AK21C AK21J AK51 AK51H AL04C AL05C AR00C AT00A AT00B BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C CA02C DC11C DC21C GB33 JB05C JB05K JC00 4J002 BC122 BG012 BN171 BQ002 CK031 ER006 GN00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車室内に装着される自動車用内装材
    であって、少なくともその表面の一部に、アンモニウム
    塩基、ホスホニウム塩基及びスルホニウム塩基からなる
    群から選ばれる少なくとも一種を分子鎖に有する高分子
    物質を含有する層を有することを特徴とする自動車用内
    装材。
  2. 【請求項2】 自動車室内に装着される自動車用内装材
    であって、少なくともその表面の一部に、シート状部材
    が貼着されており、該シート状部材の表面の少なくとも
    一部に、アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基及びスル
    ホニウム塩基からなる群から選ばれる少なくとも一種を
    分子鎖に有する高分子物質を含有する層を有することを
    特徴とする自動車用内装材。
  3. 【請求項3】 アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基及
    びスルホニウム塩基からなる群から選ばれる少なくとも
    一種を分子鎖に有する高分子物質を含有する層が、更に
    親水性物質を、該高分子物質と混合された形態で含有し
    ていることを特徴とする請求項1または2記載の自動車
    用内装材。
  4. 【請求項4】 アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基及
    びスルホニウム塩基からなる群から選ばれる少なくとも
    一種を分子鎖に有する高分子物質を含有する層が、更に
    親水性物質を、該高分子物質に化学的に結合されている
    形態で含有していることを特徴とする請求項1又は2記
    載の自動車用内装材。
  5. 【請求項5】 親水性物質が、ヒドロキシル基、アミノ
    基、アミド基、カルボキシル基またはそのアルカリ金属
    塩、スルホン酸基またはそのアルカリ金属塩、エーテル
    結合などの親水基を、1分子内に2個以上含む有機化合
    物または高分子化合物である請求項3又は4に記載の自
    動車用内装材。
  6. 【請求項6】 親水性物質が、側鎖に親水性基を有する
    ビニル系重合体であり、該ビニル系重合体は、その構成
    モノマーを上記高分子物質にグラフト重合してなるもの
    であることを特徴とする請求項3又は4に記載の自動車
    用内装材。
  7. 【請求項7】 アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基及
    びスルホニウム塩基からなる群から選ばれる少なくとも
    一種を分子鎖に有する高分子物質を含有し、更に親水性
    物質を含有する層が、更に、高分子物質及び親水性物質
    の少なくとも一方と反応し得る硬化剤を更に含有するこ
    とを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の自動車
    用内装材。
  8. 【請求項8】 硬化剤が、イソシアネート基を有する硬
    化剤であり、自動車用内装材が、ポリウレタン、ポリプ
    ロピレン及びポリエステルからなる群から選ばれる少な
    くとも1種の樹脂を構成樹脂とするものであることを特
    徴とする請求項7記載の自動車用内装材。
JP11008526A 1999-01-14 1999-01-14 自動車用内装材 Pending JP2000202953A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11008526A JP2000202953A (ja) 1999-01-14 1999-01-14 自動車用内装材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11008526A JP2000202953A (ja) 1999-01-14 1999-01-14 自動車用内装材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000202953A true JP2000202953A (ja) 2000-07-25

Family

ID=11695599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11008526A Pending JP2000202953A (ja) 1999-01-14 1999-01-14 自動車用内装材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000202953A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007142097A1 (ja) 2006-06-02 2007-12-13 Kaneka Corporation アルミニウム塩含有樹脂粉末、その製造方法、これを含む樹脂組成物、リン吸着剤、抗菌剤及び抗黴剤

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007142097A1 (ja) 2006-06-02 2007-12-13 Kaneka Corporation アルミニウム塩含有樹脂粉末、その製造方法、これを含む樹脂組成物、リン吸着剤、抗菌剤及び抗黴剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4022927B2 (ja) 抗菌性組成物及び抗菌性積層体
CN113088154B (zh) 一种含胍基抗菌防霉水性聚氨酯皮革涂饰材料的制备方法
JPH09151262A (ja) 表面硬化樹脂板
WO2007044366A2 (en) Polyether aliphatic urethane film for protection of exposed surfaces
JP2020045454A (ja) 硬化性組成物、硬化塗膜ならびに硬化塗膜を備えた物品および抗菌方法
JP2000202953A (ja) 自動車用内装材
JP4117539B2 (ja) 易接着性柔軟ポリエステルシート
JP2001026076A (ja) 抗菌性積層体
JP2000265110A (ja) 塗料組成物および塗装方法ならびに塗装された部材
JP2000265085A (ja) 自動車用部材用の抗菌・防かび性被覆用組成物
JP2005097528A (ja) 成型用ポリエステルフィルム及びそれを成型してなる成形部材
JP4411665B2 (ja) 抗菌性組成物および抗菌性組成物積層金属基板
JP2000290340A (ja) ウレタン樹脂組成物
JP2000053873A (ja) 抗菌性および防かび性を有する親水性樹脂組成物
JPH1112479A (ja) 抗菌性樹脂組成物
JPH11277672A (ja) 抗菌性及び防かび性に優れた金属板
JP2000028286A (ja) 抗菌・防カビ性および親水性に優れた熱交換器用フィン
JP2001071411A (ja) 抗菌材料及び抗菌フィルム
JP2001026075A (ja) フィルムラミネート化粧板
JP2001032196A (ja) 壁 紙
JPH11140350A (ja) 抗菌性塗料用樹脂組成物
JP2000329497A (ja) 自動車エアコン熱交換器用フィン
JP2000263709A (ja) 抗菌性積層フィルム
JP2000263706A (ja) 抗菌性積層フィルム
JP2001055518A (ja) 抗菌・防かび性樹脂組成物