JPH11140350A - 抗菌性塗料用樹脂組成物 - Google Patents

抗菌性塗料用樹脂組成物

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JPH11140350A
JPH11140350A JP30859097A JP30859097A JPH11140350A JP H11140350 A JPH11140350 A JP H11140350A JP 30859097 A JP30859097 A JP 30859097A JP 30859097 A JP30859097 A JP 30859097A JP H11140350 A JPH11140350 A JP H11140350A
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acid
hydrophilic
antibacterial
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JP30859097A
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Hiroshi Tachika
弘 田近
Masami Oka
正美 岡
Juji Konagaya
重次 小長谷
Hideto Ohashi
英人 大橋
Satoshi Hayakawa
聡 早川
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホスホニウム塩基含有高分子物質が本来持つ
抗菌性を著しく向上させ、かつ物理的特性に優れた抗菌
性塗料用樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ホスホニウム塩基、親水基および反応性
基を含むことを特徴とする抗菌性塗料用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はホスホニウム塩基を
有する高分子物質からなる抗菌性塗料用樹脂に関し、優
れた抗菌性と実用的な塗料物性を合わせ持つ抗菌性塗料
用樹脂組成物として好適である。
【0002】
【従来の技術】工業用、農業等、食品関係の分野で多く
の抗菌剤が用いられている。現在使用されている抗菌剤
はキチン、キトサン等の天然品、酸化亜鉛超微粒子、銀
含有ゼオライト等の無機品、及び種々の合成品が用いら
れている。天然品及び無機品は安全性の面で最近注目を
集めている。他方、合成品は抗菌能が天然品、無機品よ
り優れるのが一般的だが、抗菌性付与法として表面処理
加工が採用されているため、抗菌剤が揮発、分離しやす
く、その毒性のためにかえって敬遠されがちである。こ
れは抗菌剤が水や有機溶媒等に溶解しやすいためで、最
近では不溶性で毒性を示さない固定化抗菌剤が開発され
ている。
【0003】この改善法として以下の開示例がある。特
開昭54−86584号公報には、カルボキシル基やス
ルホン酸基等の酸性基とイオン結合している4級アンモ
ニウム塩基を有する抗菌剤成分を含有する高分子物質を
主体とした抗菌性材料が記載されている。特開昭61−
245378号公報には、アミジン基などの塩基性基や
4級アンモニウム塩基を有する抗菌剤成分を含有したポ
リエステル共重合体からなる繊維が記載されている。特
開昭57−204286、63−609030、62−
114903、特開平1−93596、特開平2−24
0090等には種々の含窒素化合物と同様、ホスホニウ
ム塩化合物は細菌類に対して広い活性スペクトルを持っ
た生物学的活性化学物質として知られている。上記のホ
スホニウム塩を高分子物質に固定化し用途の拡大を試み
た発明が開示されている。
【0004】特開平4−266912号公報にはホスホ
ニウム塩系ビニル重合体の抗菌剤について、特開平4−
814365号公報にはビニルベンジルホスホニウム塩
系ビニル重合体の抗菌剤について開示されている。さら
には、特開平5−310820号公報には、酸性基およ
びこの酸性基とイオン結合したホスホニウム塩基を有す
る抗菌成分を含有する高分子物質を主体とした抗菌性材
料が記載されている。その実施例中でスルホイソフタル
酸のホスホニウム塩を用いたポリエステルが開示されて
いる。また、特開平6−41408号公報には抗菌作用
には一切言及していないが、写真用支持体、包装用、一
般工業用、磁気テープ用等にスルホン酸ホスホニウム塩
の共重合ポリエステルとアルキレングリコールとからな
る改質ポリエステル及びフィルムが開示されている。本
発明の明細書に記されたホスホニウム塩に結合したアル
キル基は、前記特開平5−310820号公報とは異な
り、ブチル基やフェニル基、ベンジル基と比較的炭素数
の短いタイプである。
【0005】特開平4−266912、特開平4−81
4365、特開平5−310820を鋭意検討し、その
実施例に従いホスホニウム塩基含有ビニル重合体及び共
重合ポリエステルを合成し、繊維やフィルム等の構造体
を形成したり、またそれを母材上に塗布し、それらの抗
菌性を検討したが、抗菌活性は不十分で、抗菌材料とし
て改善の必要が生じた。さらには、抗菌性を向上させよ
うとトリノルマルブチルドデシルホスホニウム塩基を5
0モル%以上ポリエステルに結合しようとしても、ポリ
マーの着色及びガラス転移点の低下による力学物性の低
下等が顕著になるのみならず、充分な抗菌性が得られな
い問題が生じた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】塗料用に用いる場合、
銀含有ゼオライトなどの銀系抗菌剤は黒く着色するため
好ましくなく、その他公知の有機系化合物は前述した欠
点の他、塗料焼き付け時の熱に耐えることができず、変
質、変色したりして使用に耐えない。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは高
分子物質中の抗菌成分であるホスホニウム塩基量をむや
みに増やすことなく、抗菌性の向上策を鋭意検討した結
果、本発明に至った。すなわち、本発明はホスホニウム
塩基、親水基および反応性基を含むことを特徴とする抗
菌性塗料用樹脂組成物である。本発明の抗菌性塗料用樹
脂組成物は、ホスホニウム塩基と親水基が存在すること
により、その抗菌活性が著しく高められ、また反応性基
を含有することにより、塗料焼き付け等の硬化処理を行
った場合には力学物性の優れた硬化皮膜が得られるとこ
ろに特徴がある。次に本発明を詳しく説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の抗菌性塗料用樹脂組成物
はホスホニウム塩基、親水基、反応性基を含有していれ
ばいかなる組成物でもよい。また、以下に具体例を示す
が、これに限定されるものではない。本発明のホスホニ
ウム塩基は高分子物質の主鎖または側鎖に結合している
状態がこのましい。好適な実施形態においては、酸性基
及び酸性基とイオン結合しているホスホニウム塩基を含
む高分子物質であり、さらなる好適な実施形態において
は、ジカルボン酸成分及びグリコール成分を主成分と
し、下記一般式で表されるスルホン酸基含有芳香族ジカ
ルボン酸のホスホニウム塩基を全酸成分に対し1〜50
モル%共重合して得られるポリエステル樹脂、またはこ
のポリエステルとイソシアネート化合物と必要により鎖
延長剤とを反応して得られるポリウレタン樹脂である。
【0009】
【化1】
【0010】(化1の、Aは芳香族基、X1、X2はエス
テル形成性官能基、R1、R2、R3、R4はアルキル基で
そのうちの少なくとも1個は炭素数10以上20以下の
アルキル基を示す。)
【0011】該ポリエステル樹脂に使用するジカルボン
酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボ
ン酸、脂肪族ジカルボン酸、複素環式ジカルボン酸など
が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸
として1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−
シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸とし
ては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン
酸、ドデカンジカルボン酸、アゼライン酸、エイコ酸、
ダイマー酸及びその誘導体等が挙げられる。複素環式ジ
カルボン酸としては、ピリジンジカルボン酸及びその誘
導体が挙げられる。また、発明の内容を損なわない範囲
で、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、無水
トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多価のカルボ
ン酸を併用しても良い。この内、塗膜物性より芳香族ジ
カルボン酸を70モル%以上含むことが好ましい。その
他のジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等が特に好まし
い。
【0012】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペン
チルグリコール,1,6−ヘキサンジオール、3−メチ
ル−1、5−ペンタンジオール,2−メチル−1,5−
ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパ
ンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパ
ンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカ
ンジオールなどのアルキレングリコール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメ
タノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等の脂
環族グリコール、ビスフェノールAまたはFのアルキレ
ンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ヒドロキシピバリン酸のネオペンチル
グリコールエステル(HPN)、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
この他少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結
合、カーボネート結合を含有する化合物を含んでいても
よい。塗膜の物性面から好ましいのは、エチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−
プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5
−ペンタンジオ−ル、3−メチル−1、5−ペンタンジ
オール、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
また、発明の内容を損なわない範囲で、トリメチロール
エタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタ
エリスリトールなどの多価ポリオールを併用しても良
い。
【0013】スルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸のホ
スホニウム塩としては、スルホイソフタル酸トリ−n−
ブチルデシルホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ
−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホイソ
フタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチル
ドデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n
−ブチルデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸ト
リ−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、スルホテ
レフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム
塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ−n−ブチル
ドデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,
7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルデシルホスホニウム
塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ
−n−ブチルオクタデシルホスホニウム塩、4−スルホ
ナフタレン−2,7ージカルボン酸トリ−n−ブチルヘ
キサデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルテトラデシルホ
スホニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカル
ボン酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、等が
挙げられ、抗菌活性の点からはスルホイソフタル酸トリ
−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、スルホイソ
フタル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホス
ホニウム塩が特に好ましい。
【0014】上記芳香族ジカルボン酸ホスホニウム塩は
芳香族ジカルボン酸またはそのナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩に、トリ−n−ブチルヘキサデシル
ホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルテトラデシ
ルホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブチルドデシル
ホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩を反応させ
ることにより得られる。反応溶媒は特に限定しないが、
水が最も好ましい。該共重合ポリエステルには着色度及
びゲル発生度の改善の目的で、酢酸マグネシウム、塩化
マグネシウム等のMg塩、酢酸カルシウム、塩化カルシ
ウム等のCa塩、酢酸マンガン塩化マンガン等のMn塩
を各々金属イオンとして20ppm以上300ppm以
下、リン酸またはリン酸トリメチルエステル、リン酸ト
リエチルエステル等のリン酸エステル誘導体をPとして
20ppm以上200ppm添加することも可能であ
る。上記金属イオンが300ppmを越えるとポリマー
の着色が顕著になる、また20ppm未満ではポリマー
の耐熱性の向上が見られない。また、耐熱性の点で、P
と金属イオンとのモル比は、0.4〜1.0であること
が好ましい。
【0015】
【数1】
【0016】上記モル比が0.4未満または1.0を越
える場合には、ポリマーの着色、粗大粒子発生が顕著と
なり、塗料への適用が好ましくなくなる。
【0017】該ポリエステルの製造法としては、芳香族
ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる、いわゆ
る直接重合法、芳香族カルボン酸のジメチルエステルと
グリコールとをエステル交換反応させる、いわゆるエス
テル交換法等任意の製造法を適用することができる。上
記金属イオン及びリン酸及びその誘導体の添加時期は特
に限定しないが、金属イオンは原料仕込み時に、リン酸
類の添加は重合反応前に添加するのが好ましい。
【0018】この他、本発明のホスホニウム塩基の好適
な実施形態の一つに下記一般式で示される化合物を構成
単位の一つとするホスホニウム塩系ビニル重合体が挙げ
られる。
【0019】
【化2】
【0020】(化2の、R1、R2、R3 は水素原子、炭
素原子数1−18個の直鎖または分岐のアルキル基、ア
リール基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基で置換さ
れたアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表
し、X- はアニオン、nは自然数を示す) 化2のR1、R2、R3 の具体例としてはメチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、ト
リル、キシリル等のアリール基、ベンジル、フェニチル
等のアラルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基等で
置換されたもので、アルキル基、アリール基が特に好ま
しい。R1、R2、R3は同一の基でも、異なった基でも
よい。X-はアニオンであり、たとえばフッ素、塩素、
臭素またはヨウ素等のハロゲンイオン、硫酸イオン、リ
ン酸イオン、過塩素酸イオン等があげられ、ハロゲンイ
オンが好ましい。nは特に限定しないが、2〜500、
好ましくは10〜300である。
【0021】本発明の親水基とは、例えばヒドロキシル
基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基またはそ
れらの誘導体や金属塩基、エーテル基などであり、これ
らの親水基を1分子内に2個以上含みかつ水に溶解また
は分散可能な親水性物質の形態で抗菌性塗料用樹脂組成
物に含まれていることが好適な実施形態の一つである。
また、この親水性物質はホスホニウム塩基を含む高分子
物質とは別の化合物として抗菌性塗料用樹脂組成物中に
混合されていても良いし、ホスホニウム塩基を含む高分
子物質と化学的に結合していてもかまわない。本発明の
抗菌性塗料用樹脂はホスホニウム塩基を含む高分子物質
と親水性物質の両者の存在により、著しく抗菌性が向上
する。
【0022】本発明における親水性物質の具体例として
は、ポリビニルアルコール、澱粉、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコールなどのアルキレングリコール、
グリセリン、ポリグリセリン、水溶性変性セルロースと
してはヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロー
ス、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、セルロースナイトレ
ートカルボキシメチルエーテル、5−スルホイソフタル
酸が挙げられる。また、他の親水性物質として4−スル
ホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホ
フェノキシ)イソフタル酸などの金属塩又は2−スルホ
−1,4−ブタンジオ−ル、2,5−ジメチル−3−ス
ルホ−2,5−ヘキサンジオ−ル等の金属塩などのスル
ホン酸金属塩基を含有するジカルボン酸又はグリコ−ル
等やポリエチレングリコール等を共重合した親水性ポリ
エステルやこの親水性ポリエステルをイソシアネート化
合物と反応させたポリウレタンが挙げられる。これらを
該ホスホニウム塩基を含む高分子物質に混合して使用す
ることができる。これらの中でも、ポリエチレングリコ
ールなどのポリアルキレンオキサイドやポリアルキレン
オキサイドの誘導体、ポリビニルアルコール部分ケン化
物、スルホン酸金属塩基を含有するジカルボン酸又はグ
リコ−ル等やポリエチレングリコール等を共重合した親
水性ポリエステルやこの親水性ポリエステルをイソシア
ネート化合物と反応させたポリウレタンが特に好ましい
【0023】該親水性物質の分子量は特に限定しない
が、数平均分子量で200〜30000が好ましく、さ
らに好ましくは1000〜15000である。該親水性
物質の好ましい添加量は高分子物質に対して0.1〜2
0重量%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ま
しくは1〜5重量%である。親水性物質が0.1重量%
未満では抗菌活性増大効果が不充分で、20重量%を越
えると塗膜物性が低下し好ましくない。
【0024】抗菌性の発現の際に重要な高分子物質と親
水性物質との混合方法は特に限定せず、高分子物質の製
造方法、化学的性質、物理的性質により、任意の方法を
採用できる。例えば、両者を押し出し機などを用いて加
熱溶融混合する方法、高分子物質の製造時、重合反応前
にモノマー中に、反応の途中もしくは反応終了後に反応
系内に親水性物質を添加する方法、また、高分子物質と
親水性物質類を適当な溶媒中、例えば水、水/アルコー
ル混合溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノンなどの有機溶媒などに混合溶解または分散した
後、該溶媒を乾固する方法がある。
【0025】ホスホニウム塩基を含む高分子物質に親水
性物質を化学的に結合させる方法としては、ホスホニウ
ム塩基を含む高分子物質にヒドロキシル基、アミノ基、
カルボキシル基、スルホン酸金属塩基、エーテル基など
の親水基を持つ化合物を主鎖または側鎖に共重合する方
法が挙げられる。親水性物質を共重合することにより、
相溶性が改善され塗膜外観、貯蔵安定性、塗膜物性など
が改善される。また、耐水性も改善される。
【0026】これらの親水性物質を共重合する好ましい
方法としては、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナ
フタレン−2,7−ジカルボン酸、5(4−スルホフェ
ノキシ)イソフタル酸などの金属塩又は2−スルホ−
1,4−ブタンジオ−ル、2,5−ジメチル−3−スル
ホ−2,5−ヘキサンジオ−ル等の金属塩などのスルホ
ン酸金属塩基を含有するジカルボン酸又はグリコ−ルを
前記のホスホニウム塩基含有芳香族ジカルボン酸と共に
共重合させポリエステル樹脂にスルホン酸又はスルホン
酸塩基を結合させる方法、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ルなどのアルキレングリコールをホスホニウム塩基含有
芳香族ジカルボン酸と共に共重合させてポリエステル樹
脂にエーテル基を結合させる方法、または前記のホスホ
ニウム塩基およびエーテル基含有ポリエステル樹脂をイ
ソシアネート化合物と反応させ、又はホスホニウム塩基
含有ポリエステル樹脂をアルキレングリコールと共にイ
ソシアネート化合物と反応させてポリウレタン樹脂にエ
ーテル基を結合させる方法、ホスホニウム塩基含有ポリ
エステル樹脂をイソシアネート化合物と反応させる際に
ジメチロールプロピオン酸などのカルボキシル基含有ジ
オール又はポリオールを鎖延長剤に用いてポリウレタン
樹脂にカルボキシル基又はその塩を結合させる方法、親
水基を含むビニル系モノマーをホスホニウム塩基含有ポ
リエステル樹脂にグラフト重合させ各種親水基を結合さ
せる方法などが挙げられる。
【0027】本発明における高分子物質にグラフトさせ
ることができる親水基を有するビニル系モノマーとして
は、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド基
などを含むもの、親水基に変化させることができる基と
して酸無水物基、グリシジル基、クロル基などを含むも
のが挙げられる。そのなかでカルボキシル基を有するも
のが最も好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸
及びそれらの塩等のカルボキシル基又はその塩を含有す
るモノマーである。そのほかの親水性基を有するビニル
系モノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテ
ル等のエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、
ビニルスルホン酸及びそれらの塩等のスルホン酸基又は
その塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、
マレイン酸、フマール酸及びそれらの塩等のカルボキシ
ル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン
酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマーが
挙げられる。
【0028】これらは他のビニル系モノマーと併用する
ことができる。他のビニル系モノマーとしては、例え
ば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プ
ロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−
ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート等のアル
キルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピ
ルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブ
チルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー、アクリル
アミド、メタクリルアミド、Nーメチルアクリルアミ
ド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタ
クリルアミド、N、N−ジメチロールアクリルアミド、
N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマ
ー、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエ
ーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化
ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられ、こ
れらの中から1種類または2種類以上を用いて共重合す
ることができる。
【0029】親水性基を有するビニル系モノマーとそれ
以外のビニル系モノマーとの比率はモル比で30/70
〜100/0の範囲が好ましい。親水性基を有するモノ
マーの比率が30モル%未満では抗菌性を高める効果が
十分に発揮されない。親水性基を含有するビニル系モノ
マーを高分子物質にグラフトさせる方法としては公知の
グラフト重合法を用いることが出来る。その代表例とし
て以下の方法があげられる。例えば、光、熱、放射線等
によって主鎖の高分子物質にラジカルを発生させてから
ビニル系モノマーをグラフト重合させるラジカル重合
法、或いはAlCl3、TiCl4 等の触媒を用いてカ
チオンを発生させるカチオン重合法、或いは金属Na、
金属Li等を用いてアニオンを発生させるアニオン重合
法等がある。
【0030】また、あらかじめ主鎖の高分子物質に重合
性不飽和二重結合を導入しこれにビニル系モノマーを反
応させる方法があげられる。これに用いられる重合性不
飽和二重結合を有するエステル結合可能な化合物として
は、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコ
ン酸、シトラコン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン
酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等をあげることが
できる。このうち最も好ましいものはフマール酸、マレ
イン酸、及び2,5−ノルボルネンジカルボン酸であ
る。
【0031】また、側鎖に官能基を導入した主鎖の高分
子物質と、末端に前記の官能基と反応する基を有する枝
ポリマーを反応させる方法があげられる。例えば側鎖に
−OH基、−SH基、−NH2基、−COOH基、−C
ONH2 基等の水素供与基を有する高分子物質と、片末
端が−N=C=O基、−C=C=O基、
【0032】
【化3】
【0033】
【化4】
【0034】等の水素受容基であるビニル系重合体とを
反応させる方法、この逆の組み合わせで反応させる方法
があげられる。本発明の主鎖となる高分子物質とグラフ
トされるビニル系モノマーの好ましい重量比は95/5
〜40/60の範囲であり、さらに好ましくは93/7
〜55/45、最も好ましくは90/10〜60/40
の範囲である。主鎖の高分子物質の重量比が40%未満
であると、グラフト重合性ビニル系モノマーが完全に反
応しないまま残るため従来の高分子物質の持つ耐熱性、
加工性、耐水性等の特性が損なわれる。また主鎖の高分
子物質の重量比が95%を越えるときは、本発明の目的
である抗菌性の向上効果が充分に発揮されない。親水性
物質が該高分子物質に混合した場合と共重合した場合
で、両者に抗菌性の効果に大差はなく、良好な抗菌性が
得られる。
【0035】このように本発明のホスホニウム塩基含有
高分子物質と親水性物質の組合せ、化学結合の有無、結
合の状態には様々な場合があり、いずれも本発明の実施
形態として用いられるが、好ましい例としてまとめる
と、ホスホニウム塩基含有高分子物質が前記一般式(化
1)で表されるスルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸の
ホスホニウム塩基を全酸成分に対し1〜50モル%共重
合して得られるポリエステル樹脂、またはこのポリエス
テルとイソシアネート化合物と必要により鎖延長剤とを
反応して得られるポリウレタン樹脂である場合、親水性
物質がポリアルキレンオキサイド又は部分ケン化ポリビ
ニルアルコールでホスホニウム塩基含有高分子物質とは
別の化合物として配合されている場合、この中でも特に
好ましくはホスホニウム塩基含有高分子物質が前記ポリ
エステル又はポリウレタンである組合せの場合、親水性
物質が側鎖に親水基を含むビニル系重合体グラフトした
ものである場合、この中でも特に好ましくはホスホニウ
ム塩基含有高分子物質が前記ポリエステルである組合せ
の場合、スルホン酸金属塩を含有するエステル形成可能
な化合物を主鎖に共重合してなる高分子物質であり、こ
の主鎖又は側鎖中にホスホニウム塩基含有高分子物質が
結合されている場合、この中でも特に好ましくは、ホス
ホニウム塩基含有高分子物質が前記ポリエステルである
組合せの場合、親水性物質がカルボキシル基含有のジオ
ールまたはポリオールでありこれを鎖延長剤としてホス
ホニウム塩基含有高分子物質用とイソシアネート化合物
とを反応させたポリウレタン樹脂である場合、この中で
も特に好ましくはイソシアネート化合物を反応させる際
にホスホニウム含有高分子物質が前記ポリエステルであ
り、必要により鎖延長剤を添加して得られたポリウレタ
ン樹脂である組合せの場合が挙げられる。
【0036】本発明の抗菌性塗料用樹脂組成物は良好な
塗膜物性を得るために親水基とは異なる反応性基を含有
する必要がある。反応性基とは高分子物質もしくは親水
性物質中のヒドロキシ基、カルボキシル基、重合性不飽
和二重結合基などと化学結合反応し得る官能基であっ
て、具体的にはエポキシ基、イソシアネート基、ビニル
基、アリル基などの重合性不飽和二重結合基、N,N−
ビス(アルコキシメチル)アミノ基、N,N−ビス(ヒ
ドロキシメチル)アミノ基、N−アルコキシメチル−N
−ヒドロキシメチルアミノ基、ヒドロキシメチルアミノ
基などのアルキロール変性アミノ基またはそのアルキル
エーテル化物の基が挙げられる。
【0037】これらの反応性基はホスホニウム塩基と親
水基の両方を含む高分子物質に結合している場合、ホス
ホニウム塩基を含む高分子物質もしくは親水性物質の一
方または両方に結合している場合、硬化剤としてホスホ
ニウム塩基含有高分子物質や親水性物質とは別に添加す
る化合物に結合している場合、いずれも好適に用いるこ
とが出来る。
【0038】エポキシ基をホスホニウム塩基を含む高分
子物質または親水性物質に結合させる方法としては、親
水性物質を重合またはグラフトさせる際にグリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基
含有ビニルモノマーを併用する方法、すでに合成された
親水性物質またはホスホニウム塩基を含むポリエステル
等に含有するカルボキシ基に、またはヒドロキシ基を無
水フタル酸、無水トリメリット酸と反応させて得られた
カルボキシ基に、例えばビスフェノールA型エポキシ樹
脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エ
ポキシ樹脂やフェノール系化合物変性エポキシ樹脂等の
エポキシ基を1分子内に2個以上含有するエポキシ化合
物をエポキシ基がカルボキシ基に対して過剰量になるよ
うに反応させる方法等が挙げられる。
【0039】イソシアネート基をホスホニウム塩基を含
む高分子物質または親水性物質に結合させる方法として
は、親水性物質を重合またはグラフト重合させる際にビ
ニルイソシアネート、アリルイソシアネート等のイソシ
アネート基含有モノマー併用する方法、すでに合成され
た親水性物質またはホスホニウム塩基を含むポリエステ
ル等にヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメ
タンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、な
どのイソシアネート基を1分子内に2個以上含有するイ
ソシアネート化合物をイソシアネート基がイソシアネー
ト基と反応する官能基に対して過剰量になるように反応
させる方法等が挙げられる。
【0040】重合性不飽和二重結合基をホスホニウム塩
基を含む高分子物質または親水性物に結合させる方法と
しては前記の方法によってイソシアネート基を結合させ
た親水性物質またはホスホニウム塩基を含むポリエステ
ル等に2−ヒドロキシメチルアクリレート、2−ヒドロ
キシメチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有アク
リレート類を反応させる方法等が挙げられる。
【0041】反応性基を含有した化合物をホスホニウム
塩基含有高分子物質や親水性物質とは別に硬化剤として
添加する方法は硬化剤の種類、添加量等により硬化後の
塗膜物性を調製することができ、本発明の最も好適な実
施形態の一つである。硬化剤の好ましい配合量は該高分
子物質と親水性物質の合計に対して5〜35重量%、さ
らに好ましくは10〜25重量%である。アルキロール
変性アミノ基またはそのアルキルエーテル化物の基を含
む硬化剤としてはアルキルエーテル化アミノホルムアル
デヒド樹脂、エポキシ基を含む硬化剤としては各種のエ
ポキシ化合物、およびイソシアネート基を含む硬化剤と
しては各種のイソシアネート化合物等、および、重合性
不飽和二重結合基を含む硬化剤としては各種のビニル基
含有モノマー類が挙げられる。
【0042】アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒ
ド樹脂とは、たとえばメタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの
炭素原子数1〜4のアルコールによってアルキルエーテ
ル化されたホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデ
ヒド等と尿素、N,N−エチレン尿素、ジシアンジアミ
ド、アミノトリアジン等との縮合生成物であり、メトキ
シ化メチロール−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メ
チロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールベン
ゾグアナミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミ
ン、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロ
ールメラミン、メトキシ化/ブトキシ化混合型メチロー
ルメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン等
が挙げられるが、加工性の面から好ましいのは、メトキ
シ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミ
ン、またはメトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメ
ラミンであり、それぞれ単独、または併用して使用する
ことができる。
【0043】エポキシ化合物としてはビスフェノールA
のジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオ
リゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソ
フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシ
ジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステ
ル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘ
キサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸
ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステ
ル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、1、4−ブタンジオールジグリシジ
ルエーテル、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエ
ーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエ
ーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ト
リグリシジルイソシアヌレート、1、4−ジグリシジル
オキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセ
ロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタン
トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリ
グリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリ
シジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付
加物のトリグリシジルエーテル等を挙げることができ
る。
【0044】さらにイソシアネート化合物としては芳香
族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシ
アネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれ
でもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素
化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネ
ート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化
合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピ
レングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等
の低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオ
ール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高
分子活性水素化合物等とを反応させて得られる末端イソ
シアネート基含有化合物が挙げられる。
【0045】イソシアネート化合物としてはブロック化
イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロッ
ク化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、
メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾ
ール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノー
ル、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシ
ム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキ
シムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンク
ロルヒドリン、1、3−ジクロロ−2−プロパノールな
どのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−
ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロ
ラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、
β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、そ
の他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセト
ン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなど
の活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿
素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げら
れる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート
化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適
宜の方法より付加反応させて得られる。
【0046】ビニル基含有モノマー類としては、前記し
たグラフト反応に用いることができるビニル系モノマー
の他、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコー
ルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリ
レート等の一つの分子内にビニル基を2個以上含有する
多官能モノマーが挙げられる。重合性不飽和二重結合基
を結合させたホスホニウム塩基を含む高分子物質または
親水性物を本発明の抗菌性塗料用樹脂組成物として使用
する場合は、効率よく硬化反応を行うためにこのビニル
基含有モノマー類を添加することが好ましい。なお、こ
れらの反応性基、硬化剤は必要に応じて2種類以上を混
合併用してもかまわない。
【0047】本発明の抗菌性塗料用樹脂組成物には、そ
の反応性基の種類に応じて選択された公知の硬化反応開
始剤あるいは促進剤を触媒として併用することもでき
る。また、本発明の抗菌性塗料用樹脂組成物は酸化チタ
ン、ベンガラ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜
鉛などの無機顔料、カーボンブラック、各種有機着色顔
料、各種滑材などを分散して使用できる。また、母材に
直接または既存の塗膜の上にクリアー塗料として塗布し
てもよい。
【0048】本発明の抗菌性塗料用樹脂組成物には、さ
らなる抗菌性の向上を目的として、銀/ゼオライト粒
子、銀/リン酸ジルコニウム粒子、酸化亜鉛微粒子、光
酸化触媒機能を有した酸化チタン微粒子等の無機粒子を
添加することも可能である。また、抗菌性を付与する目
的で、本発明の抗菌性塗料用樹脂を通常の塗料用樹脂に
配合して使用することができる。本発明の抗菌性塗料用
樹脂組成物は金属板、樹脂版、木版、成型物など任意の
被塗工物に塗布後、加熱、自然放置、放射線照射等抗菌
性樹脂組成物中の反応性基および触媒に応じて公知の方
法で硬化反応を行うことができる。
【0049】
【実施例】次に実施例及び比較例を用いて本発明を更に
詳しく説明するが、以下の実施例に限定されるものでは
ない。実施例において単に部とあるものは重量部を示
す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0050】1.還元粘度ηsp/c(dl/g) ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂を0.10g
をフェノール/テトラクロロエタン(容量比6/4)の
混合溶媒25ccに溶かし、30℃で測定した。
【0051】2.ガラス転移点温度 示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/分の昇温
速度で測定した。サンプルは試料5mgをアルミニウム
押え蓋型容器に入れ、クリンプして用いた。
【0052】3.酸価 試料0.2gを精秤し20mlのクロロホルムに溶解し
た。ついで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール
溶液)で滴定して求めた。指示薬には、フェノールフタ
レインを用いた。
【0053】5.マジック耐汚染性 塗面に赤色のマジックインキで線を書き2時間放置後、
エタノ−ルにより拭き取った後のマジックインキの痕跡
を5段階評価した。(5:痕跡なし、1:完全に跡が残
る)
【0054】6.硬度 鋼板の塗面をJIS S−6006に規定された高級鉛
筆を用い、JISK−5400に従って測定し、キズの
有無で判断した。
【0055】7.加工性 塗装鋼板を180度折り曲げ、屈曲部に発生する割れを
10倍のルーペで観察し判定した。3Tとは折り曲げ部
に同じ板厚のものを3枚挟んだ場合をさし、0Tは板を
挟まなくて180度折り曲げた場合をさす。
【0056】8.光沢 60度反射率を測定した。
【0057】9.抗菌性テスト 1/50ブロースで希釈したS.aureus(黄色ブ
ドウ球菌)の菌液、またはE.Coli(大腸菌)の菌
液(濃度107個/ml)の0.1mlを予め高圧蒸気
殺菌した5cm×6cmの大きさにカットした試料塗板
上に滴下し、その上に高圧蒸気殺菌したポリ塩化ビニリ
デンフィルムを密着させた。その試験片を滅菌シャーレ
に移し、37℃(黄色ブドウ球菌)または30℃(大腸
菌)で24時間培養した。ついで、試料塗板及びフィル
ム上の菌をSCDLP培地10mlで洗い出し、10倍
希釈し、普通寒天平板にまいた。24時間後に菌数を計
測した。
【0058】ホスホニウム塩含有ジカルボン酸としては
以下のものを使用した。 C−12:5−スルホイソフタル酸ジメチルエステルの
トリ−n−ブチル、ドデシルホスホニウム塩 C−16:5−スルホイソフタル酸ジメチルエステルの
トリ−n−ブチル、ヘキサデシルホスホニウム塩
【0059】試料塗板の作成 1)クリヤー塗料の場合 あらかじめ市販のプライマー、上塗り(ホワイト)を塗
布した加工性が2Tの塗装鋼板に作成したクリアー塗料
を膜厚が10μmになるように塗布し、80℃で10分
セッティングした後に、240℃で1分焼き付けたもの
を使用した。 2)ホワイト塗料の場合 あらかじめ市販のプライマーを塗布したプライマー鋼板
に作成したホワイト塗料を膜厚が15μmになるように
塗布し、クリヤーと同様にセッティング、焼き付けをお
こなったものを使用した。
【0060】高分子物質(A−1)の製造例 攪拌機、温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレ
ススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート
485部、ジメチルイソフタレート437部、C−12
を161部、エチレングリコール409部、ネオペンチ
ルグリコール354部、及びテトラ−n−ブチルチタネ
ート0.52部を仕込み、160〜220℃まで4時間
かけてエステル交換反応を行った。ついで、200〜2
20℃に昇温し、反応系を徐々に減圧したのち、240
℃、0.2mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、
ポリエステル樹脂(A)を得た。ポリエステル樹脂
(A)の還元粘度は0.45dl/g、酸価は10当量
/106gであり、NMRスペクトル等で分析したとこ
ろ、その組成は酸成分がテレフタル酸50モル%、イソ
フタル酸45モル%、C−12が5モル%、グリコール
成分がエチレングコール48モル%、ネオペンチルグリ
コール52モル%であった。結果を表−1に示す。
【0061】高分子物質(A−2)〜(A−5)の製造
例 高分子物質(A−1)と同様に合成した。結果を表−1
に示す。
【0062】高分子物質(A−6)の製造例 攪拌機、温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレ
ススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート
437部、ジメチルイソフタレート437部、C−12
を161部、エチレングリコール512部、ネオペンチ
ルグリコール237部、及びテトラ−n−ブチルチタネ
ート0.52部を仕込み、160〜220℃まで4時間
かけてエステル交換反応を行った。ついでフマル酸29
部を加え、200〜220℃まで1時間かけて昇温し、
反応系を徐々に減圧したのち、0.2mmHgの減圧化
で1時間30分反応させ、ポリエステル(A−5)を得
た。結果を表−1に示す。
【0063】高分子物質(A−7)の比較製造例 比較として、高分子物質(A−1)と同様に、ホスホニ
ウム塩を含まないポリエステル樹脂(A−7)を合成し
た。結果を表−1に示す。
【0064】ポリウレタン系高分子物質(A−8)の製
造例 攪拌機、温度計および冷却管を備えた反応器に高分子物
質(A−5)100部、鎖延長剤としてのカルボキシル
基含有グリコールとしてのジメチロールブタン酸15部
を窒素気流下でシクロヘキサノンに溶解し、60℃に加
熱した。ついで、イソホロンジイソシアネート32.6
を仕込み、緩やかに80℃まで加熱した。1時間反応後
にジブチルチンジラウレートを0.01部添加し、さら
に2時間反応させてポリウレタン樹脂(A−8)を得
た。得られたポリウレタン樹脂は還元粘度が0.82d
l/g、酸価が690eq/106gであった。
【0065】グラフト重合体系高分子物質(A−9)の
製造例 攪拌機、温度計、環流装置と定量滴下装置を備えた反応
器にポリエステル(A−5)300部、メチルエチルケ
トン360部、イソプロピルアルコール120部を入
れ、加熱、攪拌し環流状態で樹脂を溶解した。樹脂が完
全に溶解した後、アクリル酸35部とアクリル酸エチル
65部オクチルメルカプタン1.5部の混合物、アゾビ
スイソブチロニトリル6部を、メチルエチルケトン90
部、イソプロピルアルコール30部の混合液に溶解した
溶液とを1.5時間かけてポリエステル溶液中にそれぞ
れ滴下し、さらに3時間反応させ、グラフト重合体溶液
を得た。このグラフト重合体溶液を室温まで冷却した
後、トリエチルアミン59部を添加し中和した後にイオ
ン交換水800部を添加し30分攪拌した。その後、加
熱により溶媒中に残存する溶媒を留去し水分散体を得
た。この水分散体は透明性のある乳白色で良好な安定性
のものであった。結果を表−3に示す。
【0066】実施例1 高分子物質(A−1)97部、親水性物質としての分子
量5000のポリエチレングリコール3部をメチルエチ
ルケトン106部、イソプロピルアルコール27部の混
合溶媒に加熱溶解した。冷却後にメチル化メラミンであ
るサイメル303(三井サイテック(株))25部、硬
化触媒としてのパラトルエンスルホン酸0.25部を配
合しクリヤー塗料を得た。この塗料は数ヶ月の貯蔵後も
安定であり、前述した方法で評価したところ、光沢の良
い良好な塗膜外観、物性が得られ、抗菌性は非常に良好
であった。結果を表−2に示した。
【0067】実施例2 高分子物質(A−2)97部、親水性物質としての部分
けん化ポリビニールアルコール、商品名PVA205
(クラレ(株))3部、メチルエチルケトン106部、
イソプロピルアルコール27部の混合溶媒に加熱溶解し
た。冷却後にメチル化メラミンであるサイメル303
(三井サイテック(株))25部、硬化触媒としてのパ
ラトルエンスルホン酸0.25部、酸化チタン125を
配合し、ガラスビーズ型高速振とう機で5時間分散して
ホワイト塗料を得た。この塗料を前述した方法で評価し
たところ、光沢の良い良好な塗膜外観が得られ、抗菌性
は非常に良好であった。結果を表−2に示した。
【0068】実施例2〜6 実施例1または2と同様に塗料化、評価した。結果を表
−2に示す。
【0069】比較例1〜4 実施例と同様に塗料化、評価した。結果を表−3に示
す。
【0070】
【発明の効果】本発明の抗菌性塗料用樹脂組成物は抗菌
性が著しく優れ、また良好な塗膜物性を有しており、抗
菌性塗料、コーティングの材料として好適である。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 英人 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 早川 聡 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスホニウム塩基、親水基および前記親
    水基以外の反応性基を含むことを特徴とする抗菌性塗料
    用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のホスホニウム塩基が高
    分子物質の主鎖または側鎖に結合されていることを特徴
    とする抗菌性塗料用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のホスホニウム塩基、親
    水基および反応性基が同一の化合物中に含まれているこ
    とを特徴とする抗菌性塗料用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載のホスホニウム塩基およ
    び親水基が同一の化合物中に含まれ、かつ請求項2に記
    載の反応性基がこれとは異なる化合物中に含まれている
    ことを特徴とする抗菌性塗料用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載のホスホニウム塩基およ
    び親水基がそれぞれ異なる化合物中に含まれ、かつ請求
    項2に記載の反応性基がホスホニウム塩基が含まれる化
    合物中かまたは親水基が含まれる化合物中のいずれかに
    含まれることを特徴とする抗菌性塗料用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載のホスホニウム塩基およ
    び親水基がそれぞれ異なる化合物中に含まれ、かつ請求
    項2に記載の反応性基がホスホニウム塩基が含まれる化
    合物中かまたは親水基が含まれる化合物中の両方の化合
    物中に含まれることを特徴とする抗菌性塗料用樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載のホスホニウム塩基、親
    水基および反応性基がそれぞれ異なる化合物中に含まれ
    ることを特徴とする抗菌性塗料用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項3、4、5、6または7のいずれ
    かに記載の抗菌性塗料用樹脂組成物の少なくとも2種類
    以上を混合したことを特徴とする抗菌性塗料用樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】 請求項2、3、4、5、6、7または8
    のいずれかに記載の高分子物質が酸性基及び酸性基とイ
    オン結合しているホスホニウム塩基を含むことを特徴と
    する抗菌性塗料用樹脂組成物。
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JP30859097A Pending JPH11140350A (ja) 1997-11-11 1997-11-11 抗菌性塗料用樹脂組成物

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JP (1) JPH11140350A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007506826A (ja) * 2003-09-25 2007-03-22 ロディア・シミ 表面改質剤又は表面処理剤としての複合体コアセルベートコアミセル

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