JP2000282080A - 配合食用油およびその利用 - Google Patents

配合食用油およびその利用

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JP2000282080A
JP2000282080A JP11092640A JP9264099A JP2000282080A JP 2000282080 A JP2000282080 A JP 2000282080A JP 11092640 A JP11092640 A JP 11092640A JP 9264099 A JP9264099 A JP 9264099A JP 2000282080 A JP2000282080 A JP 2000282080A
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palm
rapeseed
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Rika Tanaka
利佳 田中
Shinsuke Kozono
伸介 小薗
Hiroshi Shirasago
尋士 白砂
Hiroshi Nishimura
浩 西村
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Yoshihara Oil Mill Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 改善された酸化安定性を備え、かつ加熱臭の
少ない、菜種油とパーム油を含んだ配合食用油を提供す
る。 【解決手段】 キャノーラ(Canola)種に属する菜種種
子、特に、Canola 46A40(キャノーラ 46A40)の菜種種
子から得られた菜種油と、パーム油、特に、パームスー
パーオレイン油を、10:90〜90:10、好ましくは、30:
70〜70:30の重量比率で混合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、菜種油およびパー
ム油を含む配合食用油、特に、改善された酸化安定性を
備え、かつ加熱臭の少ない新規の配合油とその利用に関
する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】菜種
とは、アブラナ科(Cruciferae)、アブラナ属(Brassica)
に属する植物であって、北欧、シベリア、カスピ海近辺
などが原産地とされており、主なものに、Brassica cam
pestris(在来種、和種)とBrassica napus(西洋種)
の二種がある。
【0003】菜種油の風味は淡白で軽く、酸化安定性が
高い上に、加熱安定性も大豆油よりも優れており、しか
も健康に対する良好なイメージが消費者に定着している
こともあって、わが国における菜種油の需要は着実な伸
びを見せている。
【0004】ところで、わが国で現在使用されている食
用菜種油の原料菜種種子は、そのほぼ全量を海外からの
輸入品、特に、総輸入量の約96%がカナダからの輸入品
で占められている。 これらカナダから輸入される菜種
種子の中でも、品種改良によって作り出された、エルカ
酸およびグルコシノレート双方の含量の低い、いわゆる
ダブル・ロー・タイプ(Doube Low Type)のキャノーラ(C
anola)種の菜種種子が、菜種油の原料種子の主流となっ
ている。 この「キャノーラ種」とは、油脂中のエルカ
酸含量が2%以下で、かつ乾燥粕中のグルコシノレート
含量が30μg/ml以下のBrassica campestris系またはBra
ssica napus系品種の菜種である、とする旨が定義され
ている(カナダ・キャノーラ協会)。
【0005】菜種油の一般的な脂肪酸組成は、オレイン
酸が最も多くて約60重量%、次いで、リノール酸が約20
重量%、そして、リノレン酸は9〜13重量%程度であ
る。そして、キャノーラ種子由来の菜種油(「キャノー
ラ油」とも称する)には、その脂肪酸組成が、これら一
般的な脂肪酸組成とほぼ同様であるか、あるいはオレイ
ン酸含量がさらに多いものや、リノレン酸含量がさらに
少ないものなど、様々な脂肪酸組成のものがある。 ま
た、菜種種子の脂肪酸組成の改変についても活発に研究
が行われており、これまでに、例えば、リノレン酸含量
を3%程度にまで低減させた菜種油(R. Scarth et al.,
Can. J. Plant Sci., 68. p.509 (1988))や、ラウリン
酸含量が高く、ヤシ油に匹敵する性状を備えた菜種油
(Inform.5. p.716 (1994))なども開発されている。
【0006】さらに、従来の菜種油にあっては、菜種油
を高温に加熱し、そこに揚げ種(食材)を投入して加熱
調理(フライ調理)する場合、熱や水分、揚げ種の構成
成分等の影響によって、菜種油に様々な劣化現象が引き
起こされる。 これにより、トリグリセリドから脂肪酸
が遊離する加水分解反応のみならず、酸化反応の二次生
成物である様々なケトンやアルデヒド等の化合物が、異
臭(加熱臭)の原因物質となって空気中に揮散し、喫食
者の食欲減退などを招くのである。
【0007】また、これまで当該業界にあっては、例え
ば、菜種油の安定性を高めるために水素添加を行った場
合に、LDLコレステロールの増加や、心臓疾患の発症
との関連が指摘されている飽和酸やトランス酸含量の増
大などの弊害が報告されるなど(食品と開発、Vol. 34.
No. 1, p.64 (1999))、菜種油(油脂)の安定性の改善
とヒトの健康増進は両立し得ないとする認識があった。
【0008】一方で、パームとは、シュロ科(Elaeis gu
ineensis Jacq.)に属する植物であって、特に、マレー
シア国をはじめとした熱帯地方に植生する植物である。
パーム油は、これらパームの果実の果肉を蒸熱させた
後に、これを圧搾することによって得られる油脂であっ
て、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などを豊
富に含んだ天然油脂である。 このパーム油は、酸化安
定性が高く、風味が淡白なことから、フライ調理用油脂
など、食用油として主に利用されている。 その他、近
年の環境保護に対する関心が高まるにつれて、石鹸、洗
剤、洗髪料などの日用品や、さらには、各種燃料や潤滑
剤などへの工業的利用も図られている。
【0009】一般に、パーム油は、その融点が約27〜約
43℃と高く、分別されたパームスーパーオレインでも、
約13℃以下で粘性を呈してクリーム状になり、約4℃以
下でバター状になって完全に固化する。 従って、通常
のパーム油は、熱帯地方の温暖な気候地ならまだしも、
寒冷な気候地、例えば、わが国の冬季気候下などでは常
温下で固化してしまい、取り扱いが不便な側面がある。
このようなパーム油の低温域での流動性の乏しさが故
に、有用天然成分に富んだ優れた栄養バランスを有しな
がらも、とりわけ、家庭用食用油としての普及が進んで
いないのが実情である。 また、パーム油は独特の粉質
感があり、好ましくない油味が経時的に強まるという欠
点を有する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の菜
種油とパーム油のそれぞれにおいて認識されていた上掲
の問題点に鑑みて鋭意研究を行った。 特に、菜種油と
パーム油の所定の組み合わせの研究において、食用油と
して好適な性能・性状を発現する組み合わせを突き止
め、そして、改善された酸化安定性を備え、かつ加熱臭
の発生が抑えられた新規の配合食用油が得られることを
知見して、本発明を完成するに至ったのである。
【0011】すなわち、本発明の要旨とするところは、
菜種油およびパーム油を含む配合食用油であって、特
に、キャノーラ(Canola)種に属する菜種種子から得られ
た菜種油、すなわち、その全脂肪酸組成が、約70重量%
以上、好ましくは約70重量%〜約85重量%のオレイン酸
と、約5重量%以下、好ましくは0.5重量%〜約5重量
%、さらに好ましくは0.5重量%〜約3重量%のリノレ
ン酸を含む菜種油を利用した配合食用油にある。 な
お、この脂肪酸組成での重量%表示は、該菜種油を構成
する全脂肪酸の重量に基づいて得た数値である。 ま
た、本発明の好ましい実施態様によれば、該菜種油の全
脂肪酸組成は、約5重量%以下、好ましくは、約1重量
%〜約5重量%のパルミチン酸をさらに含む。
【0012】前述した本発明の構成によって、改善され
た酸化安定性を備え、かつ加熱臭の少ない配合油が得ら
れるのである。 ところで、油脂の酸化を促す因子とし
て、一般に、光、熱、保存期間、酵素などが知られてい
る。 この内、本発明の配合食用油は、後述する実施例
の記載から明らかな通り、光酸化安定性、加熱安定性お
よび保存安定性の3つの性能において向上した安定性を
示し、これにより、優れた利便性を兼ね備えた食用油が
提供される。 また、本発明の配合食用油で食材をフラ
イ処理することで、良好な風味と食味を呈するフライ食
品も得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0014】本発明で使用する菜種油をもたらす菜種種
子とは、リノレン酸含量が低く、かつオレイン酸含量が
高い菜種種子、具体的には、70重量%以上のオレイン酸
と5重量%以下のリノレン酸を含む脂肪酸組成を有する
菜種油をもたらす菜種種子であればいずれも使用可能で
あるが、好ましくは、キャノーラ種に属し、かつ同脂肪
酸組成を有する菜種油をもたらす菜種種子が好適に利用
できる。 これはすなわち、オレイン酸含量が70重量%
より小さくなると、加熱時の油脂の安定性が低下し、ま
た、リノレン酸含量が5重量%より大きくなると、加熱
臭の発生が強くなることによる。 また、前述の脂肪酸
組成を有する菜種油をもたらすキャノーラ種の菜種種子
である限りは、その産出国(産地)は、特に限定されな
い。
【0015】ところで、キャノーラ種の菜種種子は、カ
ナダで初めて品種改良された後に、カナダの他に、米
国、欧州、豪州などでも生産されている。 また、その
種子から得られる菜種油の飽和脂肪酸含量(約6%)が
他の植物油と比較しても非常に小さいものであり、ま
た、各種脂肪酸の配合バランスが理想的である等の理由
から、食用油市場での流通量を着実に拡大し続けてい
る。
【0016】また、キャノーラ種由来の菜種油の栄養価
や酸化安定性を改善すべく、構成脂肪酸の組成改変に着
眼した種子の品種改良も続けられている。 例えば、パ
イオニア・ハイブレッド社(Pioneer Hi-Bred Producti
ons Ltd、米国)では、交配、突然変異、遺伝子組み換
え等の技術を利用して、すでに様々な脂肪酸組成の油脂
をもたらすキャノーラ種の菜種種子を開発している。
特に、同社が保有している Canola 46A40(キャノーラ
46A40)の菜種種子は、本発明において特に有用であ
り、この種子は、カナダ食品検査庁植物衛生生産部品種
課品種登録局(VarietyRegistration Office, Variety S
ection, Plant Health and Production Division, Cana
dian Food Inspection Agency)に登録済の菜種種子であ
る。
【0017】これら菜種種子を出発原料として、本発明
の菜種油は、通常の菜種油と実質的に同様の圧搾および
精製の工程を含んだ製油工程を経て製造される。
【0018】菜種種子から菜種油の粗油を取得すべく、
菜種種子を圧搾工程または抽出工程に適用する。 好ま
しくは、本願発明にあっては、これら圧搾工程または抽
出工程は、菜種種子の精選、粗砕、水分調整、圧扁およ
び圧搾の一連の工程を含む。
【0019】まず、菜種種子の精選(選別)を行う。
つまり、製油所に運び込まれた菜種種子に混在する異種
植物の種子に茎や葉、傷の付いた種子、未熟種子などを
除去する。 この種子の精選は、フルイ(篩)分け、種
子の比重差を利用する風別、磁石による鉄片の除去など
を適宜組み合わせて実施する。 また、傾斜した振動篩
板上に均一な空気層を形成することで、種子のわずかな
比重差に基づいて正確に優良な菜種種子だけを選抜する
方法(キップケリー方式)や、グレンセパレーターなど
も利用できる。
【0020】次に、精選された菜種種子を粗砕する。
この粗砕工程とは、種子内部に包含された油脂部分を取
り出すために、油脂部分を取り囲む細胞膜を物理的に圧
壊または裂開するための工程であって、好ましくは、荒
割りロール(クラッキンロール:Cracking Roll)と呼
ばれるスジロール(一段式のペアロール)で、菜種種子
を4〜8分割程度に砕く。
【0021】粗砕したこれら菜種種子に関して、次に、
その水分の調整を行う。 粗油(圧搾油)の性状は、菜
種種子の水分含量と加熱温度に大きく影響されることか
ら、この水分調整は、粗油の収率・収量と品質を高める
作業工程でもある。 ところで、通常、菜種種子にはミ
ロシナーゼが多く含まれており、これは種子中の水分が
13%以上の場合、40〜70℃の温度条件下で酵素活性が最
も高く、また、水分が6〜10%になると、70〜80℃の温
度条件下で酵素活性が高くなる。 この酵素は、グルコ
シノレートを加水分解して、グルコース、硫酸塩、イソ
チオシアネートおよびl-5-ビニル-2-オキサゾリジンチ
オンを生成する作用を呈するものであって、その失活に
は、80℃以上の温度が必要であるため、クッカーなどの
加熱手段によって可及的速やかに種子片を80〜90℃に加
熱し、ミロシナーゼの失活を図ることも肝要である。
これら加熱手段としては、掃き寄せ・かき混ぜ式(Sweep
Type)の撹拌機を備えたスチームジャケット釜を数段に
積み上げてなるタイプ、あるいはロータリーキルンのよ
うなスチームチューブ式ドライヤーなどが使用できる。
【0022】水分調整を行って得られたこれら原料種子
片は、次に、圧扁ロール(フレーキングロール:Flakin
g Roll)と呼ばれる滑面ロール(一段式ペアロール)に
通されて、さらに粉砕される。 なお、菜種種子の種子
片の場合、水分量が高い時などは、菜種種子が本質的に
保有しているミロシナーゼが粉砕時に作用して、グルコ
シノレートの加水分解が始まってしまうので、粉砕前の
種子片の水分を9%以下に調整しておくことが望まし
い。
【0023】次に、圧扁した種子片を、圧搾工程(搾油
処理工程)に適用して粗油を得る。この工程で用いられ
る圧搾(採油)方法には、物理的な圧搾方法(バッチ式
または連続式圧搾方法)と、ヘキサン(ノルマルヘキサ
ン)等の有機溶剤を用いた化学抽出法とがあり、これら
いずれの方法も本発明にあっては利用できる。 これら
物理的圧搾方法の内でも、連続式圧搾方法が粗油の工業
的な大量取得に適しており、本発明にあっても、この方
式が好適に利用できる。 この連続式圧搾法とは、通
常、種子片を連続的にエキスペラーに供給し、スクリュ
ープレスの原理を利用して効率良く粗油を取得するもの
である。 この方法にあっては、プレスケーク(圧搾
粕)中の残油分が4〜7%程度になるように圧搾するこ
とが一応の目安とされている。 なお、連続式圧搾法に
引き続いて溶剤抽出を実施して採油する場合、残油分を
12〜20%程度にとどめる。 このように、連続式圧搾法
と溶剤抽出を組み合わせることで、比較的低圧の押圧負
荷による圧搾の場合でも、大容量の採油が可能となる。
圧搾粕の残油分が12〜14%以下の時は、圧搾粕は砕け
やすく、改めて圧扁を行わなくとも、直ちに溶剤抽出の
工程に導入することが可能となる。
【0024】前述の物理的圧搾法に加えて、溶剤による
粗油の化学的溶出を併用することができる。 溶剤抽出
の態様には、バッチ式抽出法と連続式抽出法とがあり、
これらいずれの方法も本発明にあっては利用できる。
これらの内でも、連続式抽出方法が工業的な大量製油ラ
インへの組み込みが容易で、粗油の大量処理に適してい
ることから、本発明にあっても、この方式が好適に利用
できる。 この連続式抽出方法には、溶剤と圧搾粕との
接触のさせ方の違いによって、貫流式(Percolation Sys
tem)と浸漬式(Immersion System)に大別される。 貫流
式の抽出装置では、種子片自体がミセラ中に浮遊する微
粉の濾過剤として機能しており、ミセラの清澄は保たれ
るが、浸漬式の抽出装置では、抽出装置上部にミセラ中
の微粉の沈降に配慮した構造となっている。 この溶剤
抽出に用いる溶剤としては、菜種粗油の溶剤抽出にて通
常用いられているものであれば、いずれも使用可能であ
るが、粗油収量、精製の容易さ、コスト面などの点から
して、本発明にあっては、ヘキサン、特に、ノルマルヘ
キサンが好ましい。
【0025】圧搾および抽出の工程を経て得られた(圧
搾および抽出直後の)粗油は、圧搾および抽出時に混入
した脱脂粕の微粉や水分、さらに水和して析出しはじめ
た水和性ガム質など、非油溶性の夾雑物が懸濁するのみ
ならず、遊離脂肪酸や、モノグリセリド、ジグリセリ
ド、そして、各種の着色物質や有臭成分に、脂質の酸化
生成物など、菜種油の色調や風味、それに菜種油の保存
性を損ねる油溶性の不純物質が混在している。 また、
原料種子に付着した農薬や、汚染物質が粗油に溶解して
いる場合もある。 これら菜種油の品質に悪影響を与え
うる物質を可能な限り除去するために、圧搾および抽出
の工程を経て得られた粗油の精製を行う。
【0026】粗油の精製は、その方法および条件は特に
限定されるものではないが、JAS(日本農林規格)に
定める精製油あるいはサラダ油の規格に適合する程度の
食用油を得るに充分な精製条件であることが望ましい。
好ましくは、本願発明の菜種油の精製工程は、粗油の
脱ガム、脱酸、脱色および脱臭の一連の工程を含む。
【0027】まず、粗油に含まれるガム質を除去するた
めの脱ガム工程を行う。 この工程は、圧搾して得られ
た粗油に関しては必須工程ではなく、溶剤抽出して得た
粗油に対しては効果的に利用できる。 すなわち、溶剤
抽出して得た粗油からガム質が除去されていないと、清
澄な菜種油の取得が難しくなり、菜種油の品質を低下さ
せる原因となる。 この脱ガム工程は、ガム質やリン脂
質を水和するのに必要な量の水、本発明にあっては、約
0.5〜約5%、好ましくは、約1〜約3%の水分に調整
されるように粗油に対して水を加え、撹拌しながら、約
50〜約90℃にまで加熱し、ガム質を水和膨潤させる。
その後、温度を少し下げてガム質成分を集合(凝集)さ
せて後、ガム質と油脂分との比重差を利用して、遠心分
離機などを用いて両者を分離する。 なお、油溶性のガ
ム質は、金属塩の形態になりやすいので、リン酸、酢
酸、シュウ酸またはクエン酸などを、例えば、約0.01〜
約1.0%の濃度で添加することで、水和性ガム質に変化
せしめてから分離することも可能である。
【0028】脱ガム処理した粗油または圧搾油を、次
に、脱酸工程に適用する。 粗油中の遊離脂肪酸(Free
Fatty Acid)の量は、通常、酸価として表現され、この
酸価は、原料の良否、保存状態の適否、採油方法の適否
など、粗油の性状・由来を指し示す指標でもある。 色
調と風味が良好で、劣化の少ない菜種油を得る上で、こ
の脱酸工程(遊離脂肪酸の除去工程)は必須であり、油
脂の精製工程の中で最も重要な工程である。 菜種種子
を対象とする場合、脱ガム処理した粗油または圧搾油
を、まず、約40〜約110℃、好ましくは、約70〜約90℃
に加熱し、次いで、リン酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸
などを、例えば、約0.01〜約2.0%の濃度で添加して、
よく撹拌する。 そして、中和量〜100%過剰量のアル
カリをこれに添加し、水層(石けん水層)と油層の分離
ならびに水層(石けん水層)の除去を行う。この作業を
繰り返して油中の遊離脂肪酸の除去を進める。 本発明
で使用可能なアルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウムなどが使用できる。 な
お、前述した脱酸方法の他にも、ゼニスプロセスによる
脱酸や、ミセラ脱酸法なども、本発明にて利用すること
ができる。
【0029】そして、脱酸した粗油(脱酸油)は、吸着
剤を用いた吸着脱色法で処理される。すなわち、この吸
着脱色法とは、粗油に固体微粒子の吸着剤などを添加
し、そして、真空下で加熱攪拌して、粗油中の色素類な
どの不純物を吸着分離するための方法である。
【0030】活性炭や活性白土などを吸着剤として利用
する場合には、約40〜約100℃、好ましくは、約70〜約9
0℃の温度下、大気圧下または減圧下で、約10〜約90分
間、好ましくは、約30〜約60分間、粗油と吸着剤を接触
せしめる。 この吸着処理に用いる吸着剤としては、濾
過助剤的な機能を備えたものであれば特に限定されるも
のではなく、酸性白土、活性白土、活性炭などが使用で
きるが、油の付着損失を最小ならしめる上で、活性白土
が好ましい。 また、吸着剤の添加量は、粗油中の不溶
性物質などの不純物を吸着・回収するに十分な量であっ
て、吸着剤の種類によっても所要量は変化するが、活性
白土の場合には、粗油重量の約0.5重量%以上、好まし
くは、約1〜約5重量%の量の活性白土が使用される。
吸着脱色処理を終えた後、粗油中に混在している吸着
剤、吸着物質、不溶性物質および夾雑物を除去すべく、
例えば、フィルタープレス、密閉型濾過機、完全自動型
濾過機、フンダフィルターなどの加圧濾過、あるいは減
圧濾過や吸引濾過をはじめとする真空濾過などの濾過手
段に粗油を通す。 この濾過処理工程によって、粗油は
脱色され、清澄な油になる。 なお、前述してきた吸着
脱色法に代えて、工業用原料としての動物脂やパーム脂
の脱色に利用されている酸化剤を用いて、着色物質を化
学的に酸化破壊して脱色する化学脱色法を利用すること
もできる。
【0031】なお、必要に応じて、脱色した粗油(脱色
油)の清澄度を高めるために、ウィンタリング処理(脱
ロウ処理)を適用することもできる。
【0032】次に、脱色された粗油(脱色油)を脱臭工
程に適用する。 本発明に好適な脱臭方法として、減圧
水蒸気蒸留法、すなわち、粗油中に含まれているグリセ
リドより揮発性が大きな有臭物質を、減圧下、高温条件
下で揮発性を高めて蒸留除去する方法がある。 この方
法によると、脱色済みの粗油に連続的に反応容器内に水
蒸気が吹き込まれ、そこから発生する水蒸気と共に遊離
脂肪酸をはじめとする臭気成分(臭気物質)が除去され
る。 この減圧水蒸気蒸留法の場合、良好な脱臭効果を
得る観点から、反応容器内の圧力は、約0.5〜約6mmH
g、好ましくは、約2〜約4mmHgとし、また、粗油の油
温を約180〜約280℃、好ましくは、約230〜約270℃に設
定して、約30〜約120分、好ましくは、約60〜約90分間
反応せしめる。粗油に対して吹き込まれる水蒸気の量
は、(真空度または吹き込み水蒸気量に比例する)粗油
と水蒸気との接触効率に依存している。 脱臭効率を上
げるために必要な吹き込み蒸気量は、粗油の流量、油中
揮発蒸留物の量および真空度に比例する反面、操作温度
における揮発蒸留物の蒸気圧と脱臭装置の蒸留効率に反
比例する。 このような粗油と水蒸気との接触効率を向
上させる上で、上記真空度(圧力条件)にあっては、粗
油の重量に対して約0.5〜約6重量%、好ましくは、約
1〜約3重量%の量の水蒸気を吹き込む。 なお、この
水蒸気吹き込みに代えて、主に成分分留の目的で使用さ
れている、高真空下で粗油を蒸留する分子蒸留法など、
当該技術分野で周知のその他の脱臭手段も利用できる。
そして、この脱臭処理を終えて得られた油が、本発明
の菜種油となる。
【0033】なお、この脱臭処理時に、最終製品である
菜種油の品質に嗜好性・多様性を付与すべく、風味安定
剤、消泡剤、酸化防止剤、固化防止剤、脂肪結晶調整
剤、金属キレート剤、色素、ビタミン、香辛料、香料な
ど、通常のサラダ油、天ぷら油、それにクッキングオイ
ルなどに利用されている加工助剤や添加物を適宜任意に
使用できる。
【0034】風味安定剤とは、油脂中に天然に含まれる
抗酸化物質であるトコフェロールの抗酸化作用の補助、
すなわち、金属の酸化促進物質と金属複塩を生成してそ
の酸化促進作用を抑制し、その相互作用によって抗酸化
性を高めるものであり、クエン酸やリンゴ酸などが本発
明において使用できる。 本発明にあっては、例えば、
クエン酸の場合、菜種油の0〜約50重量ppm、好ましく
は、約10〜約20重量ppmの量が用いられる。
【0035】消泡剤とは、油の劣化に伴う泡立ちに対し
て消泡効果を呈するものであり、例えば、シリコン樹脂
がこれに該当し、それによれば、油の熱重合を本質的に
改善して油の酸価・粘度の上昇を抑え、油の消費量を低
減ならしめる熱安定剤としての機能も果たす。 シリコ
ン樹脂を用いる場合、粗油の0〜約6重量ppm、好まし
くは、約2〜約3重量ppmの量で使用される。
【0036】酸化防止剤としては、食品衛生法で使用許
可されている抗酸化物質が使用でき、例えば、グアヤク
脂、ジエチルヒドロキシトリエン(BHT)、ノルジヒドロ
グアヤレチック酸(NDGA)、ブチルヒドロキシアニソール
(BHA)、没食子酸プロピル・クエン酸プロピル、L−ア
スコルビン酸、L−アスコルビン酸−ステアリン酸エス
テル、L−アスコルビン酸−パルミチン酸エステルや、
例えば、ローズマリー抽出物、茶抽出物、甘草抽出物な
どの天然物の抽出物などが使用できる。 また、他の酸
化防止剤として、トコフェロールなどが使用でき、この
場合、粗油の0〜約400重量ppm、好ましくは、約100〜
約200重量ppmの濃度で添加する。
【0037】ここまで説明してきた菜種粗油の化学精製
に代えて、物理精製を利用することも可能である。 す
なわち、スーパーデガミング法やアルコンプロセスのよ
うに、精製処理の前段階や脱ガム工程にて、油溶性のガ
ム質(非水和性リン脂質)の量を減らすことで、前出の
脱酸工程を省くことが可能となり、これによって、蒸留
脱酸法による物理精製法(Physical Refining)に適用
することもできる。
【0038】本明細書で使用する「パーム油」の語は、
原料パームから通常の分別工程を経て得られたパーム油
を総称するものであって、パーム油の他に、パームオレ
イン、パームスーパーオレイン、パームステアリン、パ
ーム油中融点分別脂(PMF)などの分別油(圧濾過分
別油)をも包含する。
【0039】フライ調理にあっては、安定性(酸化安定
性/加熱安定性)の高いパーム油、とりわけ、フライ調
理した後の油ぎれが良く、ベタツキの少ないものが好ま
れており、特に、フライ調理した後に迅速に固化する性
質をもった常温で固型の油脂が特に好まれることも多
い。 このような、常温下では固体で、かつ加熱時に液
体を呈する油脂には様々なものがあり、例えば、温度上
昇に伴って油脂中の固体脂の含量が減少するが、この固
体脂含量値は、油脂を構成する脂肪酸の種類、つまりト
リグリセライドの分子種によって変化する。
【0040】パーム油は、精製したものをそのまま使用
する場合もあるが、用途に応じて、パーム油を構成する
トリグリセリドの融点で分別した分画油として用いられ
ることが多く、通常、高融点成分(パームステアリ
ン)、中融点成分(PMF:Palm MidFraction)、低融点成
分(パームオレイン、スーパーオレイン)に分別され
る。食用油としては、主に中融点画分に分別されたパー
ム油(PMF;パーム油中融点分別脂)と低融点画分に
分別されたパーム油(パームオレイン、スーパーオレイ
ン)が用いられている。 パームオレインやスーパーオ
レインなどの低融点画分に分別されるパーム油は液状の
油脂であるのに対して、PMFは固型脂である。PMF
は、約10〜約25℃の温度範囲では固型脂含量が多い(油
脂が硬い)が、約30℃にて固型脂含量が減少する(油脂
が柔軟になる)。 よって、PMFにあっては、このよ
うな温度変化に伴う油脂の硬軟の変化を利用して、カカ
オ代用脂としてよく利用されている。
【0041】以下に、本発明の配合油で利用するパーム
油の精製および分別の方法について詳述する。
【0042】原産地より入荷されたパーム原油(以下、
単に「原油」と称する)には、原油に混入した夾雑物や
水分のみならず、遊離脂肪酸などの他の油脂成分などの
不純物質が混在しており、パーム油の品質に悪影響を与
えうるこれら物質を可能な限り除去するために、原油の
精製を行う。
【0043】原油の精製は、その方法および条件は特に
限定されるものではないが、当該技術分野にて通常利用
されている精製条件で充分であるが、好ましくは、本願
発明のパーム油の精製工程は、原油の脱ガム、脱酸、脱
色および脱臭の一連の工程を含む。
【0044】まず、原油に含まれるガム質を除去するた
めの脱ガム工程を行う。 この脱ガム工程は、原油中に
含まれるガム質やリン脂質を水和するのに必要な量の水
を原油に加え、撹拌しながら、ガム質を水和膨潤させ
る。 その後、ガム質成分を集合(凝集)させて後、ガ
ム質と油脂成分との比重差を利用して、遠心分離機など
を用いて油脂からガム質を分離する。 なお、これらガ
ム質の水和をより効果的に進行せしめるべく、リン酸、
酢酸、シュウ酸、クエン酸などの有機酸を使用する。
例えば、リン酸の場合、原油に対して、約0.05〜約0.2
%の濃度で添加し、約60〜約90℃の温度で処理する。
パーム原油は、他の植物油に比べて、リン脂質含量は少
ないが、次工程のアルカリ脱酸工程での油脂と水層(石
けん水層)との分離をより円滑に行う上からして、この
脱ガム工程は重要である。
【0045】脱ガム処理した原油を、次に、脱酸工程に
適用する。 この脱酸工程には、アルカリ脱酸法と物理
的脱酸法とがあるが、本発明のパーム油はいずれの脱酸
工程にも適用することができる。
【0046】アルカリ脱酸法とは、油脂中に含まれる遊
離脂肪酸を、アルカリ水溶液を用いて中和し、生じたセ
ッケンを分離する方法である。 この方法によれば、リ
ン脂質の他に、タンパク質や色素までもがセッケンに吸
着/包含され、同時に分離される。 原油からの脱酸を
効果的に行い、かつ脱酸した油の収率を高めるべく、ア
ルカリの選択、アルカリ水溶液の濃度および量などが決
定される。 なお、アルカリとしては、水酸化ナトリウ
ムがよく利用されているが、ソーダ灰や水酸化アンモニ
ウムなども利用可能である。 脱酸装置としては、バッ
チ式、半連続式、それに連続式の装置などが利用されて
いるが、本発明にあってはいずれのタイプの装置であっ
ても使用可能である。 なお、原油を大量かつ工業的に
脱酸処理する場合には、連続式の脱酸装置が好適に利用
される。
【0047】これに対して、物理的脱酸法とは、油脂を
高温・高減圧条件下に置き、そこに水蒸気を吹き込みな
がら遊離脂肪酸を蒸留して除去する方法である。 この
方法の原理や装置は、後述する脱臭工程で利用する原理
・装置とほぼ同様であるため、脱酸と同時に脱臭を行う
ことができ、パーム油にあっては、この物理的脱酸法が
比較的良く利用される。 なお、この物理的脱酸法は、
通常、脱ガム工程と脱色工程を行った後に実施され、こ
の方法は、比較的良質な原油の精製に適している。
【0048】そして、脱酸した粗油(脱酸油)は脱色処
理に供される。 原油の脱色方法には、吸着剤を用いた
吸着法、化学的な酸化による脱色法、そして、加熱分解
法などがある。 この内、最も一般的な脱色方法は、吸
着剤を用いた吸着脱色法である。 すなわち、この吸着
脱色法とは、原油に固体微粒子の吸着剤などを添加し、
減圧下で攪拌して、原油中の色素類などの不純物を吸着
分離するための工程である。 活性炭や活性白土などを
吸着剤として利用する場合には、約60〜約120℃、好ま
しくは、約70〜約100℃の温度下、大気圧下または減圧
下で、約10〜約90分間、好ましくは、約30〜約60分間、
原油と吸着剤を接触せしめる。 この吸着処理に用いる
吸着剤としては、濾過助剤的な機能を備えたものであれ
ば特に限定されるものではなく、酸性白土、活性白土、
活性炭などが使用できるが、油の付着損失を最小ならし
める上で、活性白土が好ましい。 また、吸着剤の添加
量は、粗油中の不溶性物質などの不純物を吸着・回収す
るに十分な量であって、吸着剤の種類によっても所要量
は変化するが、活性白土の場合には、粗油重量の約0.5
重量%以上、好ましくは、約0.5〜約5重量%の量の活
性白土が使用される。
【0049】なお、原油中の主要色素であるβ−カロチ
ンは、熱の影響を受けて分解し、脱色されやすい性質を
有しているので、前述の加熱分解法による脱色は、パー
ム原油の場合は特に効果的に利用できる。
【0050】脱色装置としては、バッチ式と連続式の装
置があるが、本発明にあってはいずれのタイプの装置で
あっても使用可能である。 なお、原油を大量かつ工業
的に脱酸処理する場合には、連続式の脱色装置が好適に
利用される。
【0051】次に、脱色された原油を脱臭工程に適用す
る。 パーム脱色油での脱臭方法は、減圧下での水蒸気
蒸留が主流である。 この方法によれば、原油が減圧
下、高温条件に設定した反応容器内に置かれ、そこに水
蒸気が吹き込まれて、水蒸気と共に遊離脂肪酸をはじめ
とする臭気成分(臭気物質)が除去される。 この減圧
水蒸気蒸留法の場合、良好な脱臭効果を得る上で、脱臭
の温度、真空度、水蒸気の吹き込み量が重要な因子とな
る。 すなわち、反応容器内の圧力は、約0.5〜約6mmH
g、好ましくは、約2〜約4mmHg、原油の油温を約180〜
約280℃、好ましくは、約230〜約270℃に設定する。
そして、原油に対して吹き込まれる水蒸気の量は、原油
の重量に対して約0.5〜6重量%、好ましくは、約1〜
約3重量%の水蒸気を吹き込む。 脱臭装置としては、
バッチ式、半連続式、それに連続式の装置があるが、本
発明にあってはいずれのタイプの装置であっても使用可
能である。 なお、原油を大量かつ自動化して工業的に
処理する場合には、連続式の脱臭装置が好適に利用され
る。 そして、この脱臭処理を終えて得られた原油が、
次の分別工程に導入されることとなる。
【0052】精製工程を経た原油(パーム油)(ヨウ素価
約52)の分別方法として、大別して、自然分別法、界面
活性剤分別法および溶剤分別法があり、本発明にあって
は、いずれの方法も利用可能である。 いずれの分別方
法も、獲得しようとする成分の純度が高く、分離しやす
い形状のパーム油結晶を得ることを目的としており、よ
って、原油の組成を考慮した分別条件と、結晶化手段の
選択が重要になってくる。特に、結晶化手段、つまり、
結晶化槽は、密度の高い均質な結晶を得るために、十分
な冷却能力を備え、槽内を均一に撹拌できる構造の結晶
化槽の利用が好ましい。 ところで、通常、パーム油
は、常温で半固体・半液状の油脂であり、分別されたパ
ーム油を構成するトリグリセリドの融点に基づいて、高
融点成分、中融点成分および低融点成分に分類されてお
り、高融点成分はパームステアリン(ヨウ素価約43)、
中融点成分をPMF、そして、低融点成分はパームオレ
イン(ヨウ素価約56)およびスーパーオレイン(ヨウ素
価約60)と称されている。 本発明の配合食用油でのパ
ーム油としては、これらいずれのパーム油でも使用可能
であるが、配合相手となる菜種油との相溶性や、配合し
た時に生じる風味などの点を考慮すれば、スーパーオレ
インパーム油(パームスーパーオレイン油)が好まし
い。
【0053】このようにして得られた菜種油とパーム油
を混合する。 菜種油とパーム油との配合比率(重量比
率)は、後出の実施例の結果から明らかなように、好適
な酸化安定性と保存安定性を維持しつつ、かつ混合して
得られた配合油の加熱臭を抑える観点からして、菜種
油:パーム油=10:90〜90:10、好ましくは、30:70〜
70:30の重量比率で混合する。
【0054】これら一連の製油プロセスを経て得られる
本発明の配合油は、缶、ガラス瓶、プラスチック、紙な
どの公知の食用油用の収納容器に充填・収容される。
【0055】また、本発明の配合油は、フライ食品の製
造に好適に利用できる。 本発明の配合油にてフライ調
理可能な食材として、食肉類、野菜、魚介類、キノコ類
などの惣菜種、あるいはパン生地などがあり、これら食
材をフライ調理することで、コロッケ、天ぷら、唐揚
げ、豚カツ、ドーナツ、揚げ菓子、揚げパンなどを、風
味良好にフライ調理することができる。
【0056】
【実施例】以下に、本願発明の実施例を具体的に説明す
るが、本願発明はこれら実施例の開示によって限定的に
解釈されるべきものではない。
【0057】実施例1:配合食用油の構成油脂の混合比
率の検討 パイオニア・ハイブレッド社(米国)から入手したキャ
ノーラ種子、すなわち、Canola 46A40(キャノーラ 46A
40)を圧搾処理して、1kgの菜種粗油を得た。
【0058】次に、この菜種粗油(1kg)を80℃の温度
にまで加熱し、そして、20gの水を加えた。 加水した
菜種粗油を30分間撹拌して、粗油中のガム質を水和膨潤
させ、次いで、菜種粗油を、遠心分離機にかけて遠心分
離(4000rpm、20分間)を行って、ガム質を分離・除去
した。
【0059】脱ガム処理した菜種粗油を、次に、脱酸処
理した。 すなわち、脱ガム処理した菜種粗油を、70℃
の温度にまで加熱し、そして、加熱した菜種粗油に、菜
種粗油の0.1重量%の量の75%リン酸水溶液と、中和相
当量(または50%過剰量)の18度ボーメの水酸化ナトリウ
ムを加えた。 次に、この菜種粗油を30分間撹拌した後
に水洗を行った。 なお、菜種粗油の水洗作業は、水洗
液(水)が中性になるまで継続した。
【0060】脱酸した粗油(脱酸油)に、活性白土30g
(白土量3重量%/脱酸油g)を添加し、真空下、80℃
で、30分間加熱攪拌して、脱酸油と吸着剤を接触せしめ
て、脱酸油中の不純物を吸着分離して脱色した。
【0061】次に、250℃に加熱された脱色済の粗油を
収容した2l容の反応容器(反応容器内の圧力:2Tor
r)に、90分間、水蒸気を吹き込んだ。 そして、最後
に、脱酸油に対して20ppmのクエン酸と、2ppmのシリコ
ーンを添加した。
【0062】このようにして得た菜種油の脂肪酸組成
を、基準油脂分析法 (2.4.2.1-脂肪酸組成(FID恒温ガス
クロマトグラフ法)、基準油脂分析試験法(I)、日本油化
学会制定、1996年版、社団法人日本油化学会)に従っ
て、水素炎イオン化検出器(FID)を具備した恒温ガスク
ロマトグラフィー(GC-14A、株式会社島津製作所)を利
用して、メチルエステルの形態で脂肪酸を分離・定量す
ることで決定した。 その結果を、以下の表1に示し
た。 表1に示した脂肪酸組成の分析結果から、前出の
菜種油は、オレイン酸含量が高く、かつリノレン酸含量
が低いという特徴のある脂肪酸組成を有していたので、
これを「H.O.L.L.キャノーラ油 (High Oleic Acid-Low
Linolenic Acid Canola Oil)」と称することにし、後続
の実施例でも使用することとした。 なお、比較の目的
で、市販の菜種油(ゴールデン菜種白絞油、吉原製油株
式会社;以下、単に「市販菜種油」と称する)と、市販
の大豆油(ゴールデン大豆白絞油、吉原製油株式会社)
の脂肪酸組成も同様にして決定し、その結果を表1に並
記した。
【0063】
【表1】
【0064】H.O.L.L.キャノーラ油と、パーム油(パー
ムスーパーオレイン油、オパレスコSO(商品名)、吉原
製油株式会社;以下、単に「市販パーム油」と称する)
とを、以下の表2に記載の重量比率で混合して、5種類
のパーム配合油(本発明油1〜5;各0.1kg)を得た。
なお、対照として、市販パーム油に、市販の米油(米
サラダ油、築野食品工業株式会社;以下、単に「市販米
油」と称する)、市販のコーン油(ゴールデンサラダ油
コーン(商品名)、吉原製油株式会社)、または市販菜
種油を、50:50の重量比率で混合して得た、3種類の配
合油(対照油1〜3;各0.1kg)を準備した。
【0065】そして、サンプル油(本発明油1〜5およ
び対照油1〜3)に関して、CDM(Conductometric De
termination Method)値を測定した。 このCDM値
は、基準油脂分析法 (2.5.1.2-CDM試験、基準油脂分
析試験法(I)、日本油化学会制定、1996年版、社団法人
日本油化学会)で指示されたCDM値測定システム(そ
の概略を図1に示した)によって測定した。 すなわ
ち、サンプル油(3g)を反応容器3に仕込み、そし
て、空気吹き込み管4を容器3に接続した。 測定容器
5にイオン交換水50mlを入れ、電極を設定して、記録計
7の記録紙のベースラインを合わせた。 そして、恒温
槽2を100℃に調整した。 反応容器3を恒温槽2に入
れ、測定容器5に接続した。 10分間放置した後に、空
気流量計1で流量制御された空気を20 L/hrで吹き込
み、導電率の測定を開始した。 そして、電導度測定セ
ル6で計測された導電率の測定値が300μS/cmに至った
時点で、測定を終了した。 得られた測定データから、
測定開始から導電率が急激に変化する変曲点に至るまで
に要した時間を求め、これをCDM値(hr)とした。 こ
のCDM値は、数値が大きいほど、サンプル油の酸化安
定性が大きいことを示すものであり、その測定結果も併
せて表2に示した。
【0066】
【表2】
【0067】表2に記載の結果から、いずれの本発明油
においても、対照油からして改善された酸化安定性が認
められた。
【0068】実施例2:配合食用油の性能の検討 本発明の配合食用油について、光酸化安定性、加熱安定
性、酸化安定性および加熱臭の各性状について検討を行
った。
【0069】(1) 光酸化安定性 油脂あるいは油脂を含む食品に光線を照射すると、油脂
の酸化が進行する。一般に、油脂の酸化は、過酸化物価
値の上昇や油脂からの異臭発生などの現象によって化学
的または官能的に検出できる。 そして、本発明の配合
食用油の光酸化安定性についても、以下の手順に従って
検討を行った。
【0070】まず、H.O.L.L.キャノーラ油と市販パーム
油を、60:40の重量比率で混合してパーム配合油(本発
明油)を調製した。また、市販菜種油も準備した。
【0071】本発明油と市販菜種油の各100gを、100ml
容のビーカーに個別に注いだ。 次に、すべてのビーカ
ーを蛍光灯下に置き、1000ルクスの光を照射し続けた。
そして、サンプル油(本発明油または市販菜種油)の
過酸化物価を、経日的に、基準油脂分析法 (2.5.2-過酸
化物価、基準油脂分析試験法(I)、日本油化学会制定、1
996年版、社団法人日本油化学会)に従って測定した。
すなわち、サンプル油にヨウ化カリウムを加えた際に
遊離した、サンプル油1kg当たりのヨウ素のミリ当量数
(meq/kg)を求めた。 なお、本明細書の実施例におけ
る過酸化物価の決定は、すべてこの方法によったもので
ある。 また、熟練したパネラー7名によってサンプル
油の風味について官能評価を行った。 風味の評価方法
は、5段階(++:良好な風味、+:希薄な風味、−:風
味無し、--:異臭発生、×:強烈な変敗臭発生)で風味
を評価して、その平均的な意見をとりまとめた。 過酸
化物価(meq/kg)の測定値と官能評価の結果を、以下の表
2に示した。 なお、過酸化物価(meq/kg)が、30meq/kg
になるまでに要する日数(POV30)も併せて表3に示し
た。
【0072】
【表3】
【0073】表3に記載の結果から、本発明油は、対照
の市販菜種油と比較して、光酸化安定性に優れ、また良
好な風味が長く維持されていることが認められた。
【0074】(2) 加熱安定性 油脂の加熱によっても油脂の酸化は進行し、油脂が酸化
すると、油揚げされたフライ食品の風味が落ちるなどの
悪影響が出てくる。 加熱による油脂の酸化とは、食材
をフライ処理するために加熱した油脂で認められる油脂
の熱酸化であり、粘度上昇率、加熱後の油脂のCDM値
の低下などによって定量的に検出することができる。
一方で、加熱酸化に対する抵抗性を示す「加熱安定性」
なる性能は、油脂を加熱する間に起こる加水分解反応に
よって生じる脂肪酸量と相関する酸価(Acid Value)や、
熱酸化や加水分解反応などが複合的に作用して生じる油
脂の着色や粘度上昇率などを基にして判断される。 加
熱による油脂の酸化の程度は、加熱した油脂で食材を油
揚げしている間に測定することも多く、また、CDM値
を測定する手段も信頼のある測定手段として汎用されて
いる。 そして、本発明の配合食用油の加熱安定性につ
いても、以下の手順に従って検討を行った。
【0075】まず、H.O.L.L.キャノーラ油と市販パーム
油を、60:40の重量比率で混合してパーム配合油(本発
明油)を調製した。 また、市販菜種油も準備した。
【0076】本発明油と市販菜種油の各200gを個別の5
00ml容ビーカーにそれぞれ入れて、215℃に加熱した。
そして、加熱したサンプル油(本発明油または市販菜
種油)に、加熱当初、加熱開始後1時間の時点、以後2
時間の間隔を開けて、ジャガイモスライス片(20g×3
個)を投入し、併せて先に投入したジャガイモスライス
片を回収した。 つまり、加熱当初に投入したジャガイ
モスライス片のフライ調理時間は1時間、それ以後に投
入したジャガイモスライス片のフライ調理時間は2時間
とした。 各サンプル油は、計11時間にわたって加熱さ
れ続け、11時間目に最後のジャガイモスライス片を回収
した。
【0077】フライ調理を終えた後の各サンプル油に関
して、フライ調理開始前と終了後での粘度上昇率とCD
M値を測定・評価した。 まず、サンプル油の粘度は、
E型粘度計(VISCONIC ED形;株式会社トキメック社
製)を用いて、サンプル油(1.2ml)を、50℃で、10rpm
で2分間回転させた後に測定した。 そして、フライ調
理後の粘度[A]とフライ調理前の粘度[B]との粘度
差[A−B]を、フライ調理前の粘度[B]で割って得
た数値(すなわち、[(A−B)/B]の式で導かれた
数値)を、サンプル油の粘度上昇率とした。 また、C
DM値は実施例1に記載の手順と同様にして行った。
これら測定値を、以下の表4に示した。
【0078】
【表4】
【0079】表4に記載の結果から、粘度上昇率とCD
M値の双方に関して、本発明油は、市販菜種油に対して
改善された数値が得られており、本発明油の加熱安定性
の高さが確認された。
【0080】(3) 保存安定性 油脂あるいは油脂を含む食品を常温下で保存しても、経
時的に油脂の酸化が進行する。 一般に、油脂が酸化す
ると、過酸化物価が上昇して、風味や栄養価の低下など
の不都合な現象を招くことが多い。 このため、特に、
食用油などの油脂を用いて調理(フライ調理)した食品
にあっては、酸化しにくい油脂が要求されている。 こ
の保存期間中の油脂の酸化傾向をいち早く把握する手段
として、油脂を約60℃の温度条件下において、酸化の進
行を加速せしめて被験油脂の酸化傾向(保存安定性)を
決定する手法がよく利用されている。 そして、本発明
の配合食用油の保存安定性についても、以下の手順に従
って保存安定性について検討を行った。
【0081】まず、H.O.L.L.キャノーラ油と市販パーム
油を、60:40の重量比率で混合してパーム配合油(本発
明油)を調製した。 また、市販菜種油も準備した。
【0082】そして、本発明油と市販菜種油の各100ml
を、300ml容のビーカーに個別に注いだ。 次に、各ビ
ーカーを、55℃に設定された暗所に置いた。 そして、
サンプル油(本発明油または市販菜種油)について、過
酸化物価(meq/kg)を測定すると共に、熟練したパネラー
6名によってそれらの風味について官能評価を行った。
【0083】風味の評価方法は、5段階(++:良好な風
味、+:希薄な風味、−:風味無し、--:異臭発生、
×:強烈な変敗臭発生)で評価して、その平均的な意見
をとりまとめた。 なお、過酸化物価(meq/kg)が、30me
q/kgになるまでに要する日数(POV30)も併せて表5に示
した。
【0084】
【表5】
【0085】表5に記載の結果から明らかなように、本
発明油は、対照の市販菜種油と比較して、保存安定性に
優れ、また良好な風味が長期にわたって維持されること
が認められた。
【0086】(4) 加熱臭 通常、食用油などの油脂は食品調理(フライ調理)を繰
り返すことで、加熱臭が強くなってくる。 これらフラ
イ調理時の油脂から発生する臭い(加熱臭)は、ガスク
ロマトグラフィーや化学的ガス検知管を利用して定量的
に判断することも可能であるが、加熱臭の評価にあって
は、臭いの有無・程度などを熟練したパネラーによって
主観的に判断してもらう官能検査法も有効に利用でき
る。 そこで、本発明の配合食用油の加熱臭について
も、以下の手順に従って検討を行うこととした。
【0087】まず、H.O.L.L.キャノーラ油と市販パーム
油を、60:40の重量比率で混合してパーム配合油(本発
明油)を調製した。 さらに、市販菜種油と市販パーム
油を、60:40の重量比率で混合して対照のパーム配合油
(対照配合油)も準備した。
【0088】本発明油と対照配合油の各100gを、300ml
容のビーカーに注ぎ、180℃で加熱した。 油温が180℃
に達すると直ちに、各サンプル油の加熱臭について、熟
練したパネラー12名によって官能評価を行ってもらい、
加熱臭のしないサンプル油を選択してもらった。 その
結果、油臭を感じる配合油として、3名のパネラーが本
発明油を、そして、9名のパネラーが対照配合油を選択
した。 これら結果から、本発明油による加熱臭は穏や
かで、台所や厨房で発生する加熱臭の解消が期待され
る。
【0089】実施例3:配合食用油のフライ適性の検討 本発明の配合食用油に関して、食品のフライ調理におけ
る有用性について検討を行った。
【0090】(5) フライ菓子での保存安定性 H.O.L.L.キャノーラ油と市販のパーム油(オパレスコS
O、吉原製油株式会社)とを、60:40の重量比率で混合
してパーム配合油(本発明油)を得た。 また、市販米
油と市販のパーム油(オパレスコSO、吉原製油株式会
社)とを60:40の重量比率で混合して調製した米配合油
も準備した。
【0091】これら本発明油と米配合油を、それぞれ18
0℃に加熱し、加熱された油にジャガイモスライス片を
投入して、2分間フライ調理した(計100g)。 そし
て、フライ調理したポテトチップスについて、ウマジオ
シーズニングパウダー FL-A2233(稲畑香料社製)で味
付けしたものを「うま塩味ポテトチップス」とし、ま
た、ウメシーズニングパウダー FL-A8544(稲畑香料社
製)とウメシーズニングKG-237(ヤスマ社製)の1:1
の重量割合で調合した調合香料で味付けしたものを「う
め味ポテトチップス」とした。
【0092】まず、うま塩味ポテトチップスに関して、
フライ調理直後のポテトチップスと、55℃に設定された
暗所で3日間保存した後のポテトチップスを、熟練した
パネラー6名による3点識別法によって風味について官
能評価を行った。 その結果、フライ調理直後のポテト
チップスでは4名のパネラーが識別し、また、3日間保
存した後のポテトチップスでは3名のパネラーが識別可
能となっていた(いずれのポテトチップスでも5%の危
険率で有意差なし)。
【0093】同様に、うめ味ポテトチップスに関して
も、フライ調理直後のポテトチップスを、熟練したパネ
ラー6名による2点嗜好法によって、風味について官能
評価を行った。 その結果、フライ調理直後のポテトチ
ップスでは6名全員のパネラーが本発明油によるポテト
チップスを風味良好として選択した(5%の危険率で有
意差あり)。
【0094】これらの結果から、うめ味のように風味の
強い香料を利用した食品において、本発明油は、良好な
風味を顕著に発現する傾向にあることが認められた。
【0095】同時に、暗所(55℃)に置かれた本発明油と
米配合油の過酸化物価(meq/kg)が、30meq/kgに至るまで
に要する日数(POV30)を測定したところ、本発明油が18.
5日であったのに対して、米配合油は11.2日であり、本
発明油の保存安定性は米配合油からして、驚くべきこと
に、実に約65%も改善されていた。
【0096】(6) 米菓での保存安定性 H.O.L.L.キャノーラ油と市販パーム油とを、60:40の重
量比率で混合してパーム配合油(本発明油)を得た。
また、市販菜種油と市販パーム油とを、60:40の重量比
率で混合して調製した対照の配合油(対照配合油)も準
備した。 さらに、市販米油も準備した。
【0097】本発明油、対照配合油、そして市販米油の
いずれかで、米菓生地(各15個、計45個)をフライ調理
し、米菓を得た。 そして、サンプル油(本発明油、対
照配合油または市販米油)を用いてフライ調理して得た
米菓を、55℃に設定された暗所に置いた。 そして、各
米菓について、過酸化物価(meq/kg)を経日的に測定する
と共に、暗所に置いてから6日目と10日目に、熟練した
パネラー8名によってそれらの風味について官能評価を
行った。 風味の評価方法は、3段階(5点:風味良
好、3点:希薄な風味、1点:変敗臭発生)で評価し
て、その平均点をとりまとめた。 なお、過酸化物価(m
eq/kg)が、30meq/kgになるまでに要する日数も併せて測
定し、その結果を以下の表6に示した。
【0098】
【表6】
【0099】表6に記載の結果から明らかなように、本
発明油は、対照配合油や市販米油と比較して、酸化安定
性に優れ、また良好な風味が長期にわたって維持される
ことが認められた。
【0100】実施例4:配合食用油の利用例 本発明の配合食用油を用いて、天ぷらとドーナツを製造
した。
【0101】(7) 天ぷら H.O.L.L.キャノーラ油と市販パーム油とを、60:40の重
量比率で混合してパーム配合油(本発明油)を得た。
それに、市販菜種油も準備した。
【0102】これら本発明油と市販菜種油を、それぞれ
180℃に加熱し、各々にしし唐(各約3.5g、計20個)を
投入して、2分間フライ調理した。 そして、フライ調
理してできたしし唐の天ぷらを、熟練したパネラー14名
による2点嗜好法によって風味について官能評価を行っ
た。 その結果、11名のパネラーが、本発明油による天
ぷらの方が風味良好として選択した(5%の危険率で有
意差あり)。
【0103】同様に、本発明油と市販菜種油を、それぞ
れ180℃に加熱し、各々にまいたけ(各約10g、計20
個)を投入して、3分間フライ調理した。 そして、フ
ライ調理してできたまいたけの天ぷらを、熟練したパネ
ラー14名による2点嗜好法によって風味について官能評
価を行った。 その結果、10名のパネラーが、本発明油
による天ぷらの方が風味良好として選択した。
【0104】(8) ドーナツ H.O.L.L.キャノーラ油と市販パーム油とを、60:40の重
量比率で混合してパーム配合油(本発明油)を得た。
それに、市販菜種油も準備した。
【0105】これら本発明油と市販菜種油を、それぞれ
180℃に加熱し、これらにドーナツ生地(各約40g、計2
00g)を投入して、3分間フライ調理した。 そして、
フライ調理して得たドーナツを、熟練したパネラー14名
による2点嗜好法によって風味について官能評価を行っ
た。 その結果、13名ものパネラーが、本発明油による
ドーナツの方が風味良好として選択した(1%の危険率
で有意差あり)。
【0106】これら結果から明らかなように、いずれの
フライ食品にあっても、本発明油によってフライ調理し
た食品の方が、良好な風味を呈していた。 この傾向
は、ドーナツなどの揚げ菓子で特に顕著であった。 ま
た、本発明油は長時間加熱しても、その油切れは良好で
あり、カラッとした調理感が得られた。
【0107】このように、本発明油はフライ調理に好適
に利用できるのみならず、従来の市販の植物油によって
は得られない優れた風味・食味を発現するフライ食品が
実現できたのである。
【0108】
【発明の効果】このように本発明によると、所期の目的
であった、改善された酸化安定性を備え、かつ加熱臭の
少ない配合食用油が実現される。 すなわち、本発明の
配合食用油は、食品(食材)のフライ調理に適するのみ
ならず、調理環境を快適なものとし、ひいては、油脂の
酸化劣化が小さいので、良好な風味や食感が長持ちする
フライ食品が提供できる。
【0109】これまで実証してきた通り、本発明の配合
食用油は、風味面や安定性などの面において大きな改善
が認められているものであり、マーガリン、スプレッ
ド、ドレッシング、フライ油、スプレー油などの多様な
用途への応用が期待される他、パーム油の新用途を切り
開くものである。
【0110】油脂は三大栄養素の一つであり、栄養源と
しても、また、エネルギー源としても重要な位置を占め
ていることからして、本発明の配合食用油が、人類の豊
かな食生活の構築に役立つものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 CDM値測定システムの概略図である。
【符号の説明】
1 …… 空気流量計 2 …… 恒温槽 3 …… 反応容器 4 …… 空気吹き込み管 5 …… 測定容器 6 …… 電導度測定セル 7 …… 記録計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白砂 尋士 兵庫県西宮市今津巽町8番8号 吉原製油 株式会社研究開発室内 (72)発明者 西村 浩 兵庫県西宮市今津巽町8番8号 吉原製油 株式会社研究開発室内 Fターム(参考) 4B014 GG02 GG03 GG05 GG14 GP01 GY04 4B016 LC06 LE03 LG06 LK06 LP07 4B026 DC04 DG02 DG04 DP01 DX01 4H059 BA33 BB03 BB05 BB06 BC13 CA51 DA30 EA03 EA25 EA40

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 菜種油およびパーム油を含む配合油であ
    って、前記菜種油が、キャノーラ(Canola)種に属する菜
    種種子から得られた菜種油であって、該菜種油の全脂肪
    酸組成が、70重量%〜85重量%のオレイン酸および0.5
    重量%〜5重量%のリノレン酸を含む、ことを特徴とす
    る菜種油およびパーム油を含む配合油。
  2. 【請求項2】 前記全脂肪酸組成が、1重量%〜5重量
    %のパルミチン酸をさらに含む請求項1に記載の配合
    油。
  3. 【請求項3】 前記菜種種子が、Canola 46A40(キャノ
    ーラ 46A40)の菜種種子である請求項1または2に記載
    の配合油。
  4. 【請求項4】 前記パーム油が、パーム油、パームオレ
    イン、パームスーパーオレインおよびパーム油中融点分
    別脂(PMF)からなるグループから選択される請求項
    1乃至3のいずれかに記載の配合油。
  5. 【請求項5】 前記菜種油とパーム油の配合比率が、菜
    種油:パーム油=10:90〜90:10の重量比率である請求
    項1乃至4のいずれかに記載の配合油。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の配合
    油で食材をフライ処理して得られたことを特徴とするフ
    ライ食品。
  7. 【請求項7】 前記フライ食品が、ポテトチップス、油
    揚げ米菓およびドーナツからなるグループから選択され
    る請求項6に記載のフライ食品。
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