JP2010202774A - 食用油の製造方法及び該方法により製造された食用油 - Google Patents

食用油の製造方法及び該方法により製造された食用油 Download PDF

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Abstract

【課題】良好且つ安定な風味を有する食用油の製造方法、及び該方法により製造された食用油を提供すること。
【解決手段】本発明の食用油の製造方法は、アルカリによる脱酸処理が施され、且つ脱臭処理が施されていない植物油、及び/又は蒸留による脱酸処理が施され、且つアルカリによる脱酸処理が施されていない植物油から選ばれる2種以上の植物油を混合して得た調合油に、脱臭処理を施すことを特徴とする。かかる方法により製造された食用油は、生風味が良好であるので、そのまま食用に供することができ、また、熱に対する風味安定性に優れるので、加熱調理に使用しても、調理する食品の風味を損なうことがない。
【選択図】なし

Description

本発明は、食用油の製造方法、及び該方法により製造された食用油に関する。
一般に、食用油は、搾油して得られた粗油又は原油に脱酸、脱色、脱ロウ、脱臭の精製処理を施すことで最終製品となる。このような精製処理が施されることによって、食用油の風味は、良好且つ安定なものとなる。
ところで、食用油は種類によって特徴があり、複数の組合せによって、より優れた性質の食用油が得られる場合がある。この性質を利用した食用油が調合油である。従来、調合油は、上述の精製処理を経た食用油を混合することによって製造されてきた。また、搾油前の段階で、数種の原料となる植物種子を混合し、その後、搾油、精製の工程を経ることによって製造する方法も報告されている(特許文献1参照)。これらいずれの方法も、良好且つ安定な風味の調合油を製造することができるが、近年、消費者の食生活の向上に伴い、より高品質な食品が求められており、更に風味を向上させる必要があった。
特開2000−316473号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好且つ安定な風味を有する食用油の製造方法、及び該方法により製造された食用油を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、脱酸の処理を施した植物油を混合して得た調合油に、脱臭の処理を施すことにより、脱臭の処理を施した植物油を混合して調合油とするよりも、風味が良くなることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)アルカリによる脱酸処理が施され、且つ脱臭処理が施されていない植物油、及び/又は蒸留による脱酸処理が施され、且つアルカリによる脱酸処理が施されていない植物油から選ばれる2種以上の植物油を混合して得た調合油に、脱臭処理を施すことを特徴とする食用油の製造方法。
(2)該2種以上の植物油は、脱色処理が施されたものであることを特徴とする(1)に記載の食用油の製造方法。
(3)該2種以上の植物油が、大豆油、菜種油、及びパーム系油から選ばれることを特徴とする(1)又は(2)に記載の食用油の製造方法。
(4)該調合油が、大豆油とヨウ素価58以上のパーム軟質油とからなることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の食用油の製造方法。
(5)該調合油が、菜種油とヨウ素価58以上のパーム軟質油とからなることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の食用油の製造方法。
(6)該調合油が、大豆油を10〜90質量%含むことを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の食用油の製造方法。
(7)(1)〜(6)いずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする食用油。
本発明によれば、アルカリによる脱酸処理が施され、且つ脱臭処理が施されていない植物油、及び/又は蒸留による脱酸処理が施され、且つアルカリによる脱酸処理が施されていない植物油から選ばれる2種以上の植物油を混合して得た調合油に、脱臭処理を施すことで、脱臭処理が施された植物油を混合するよりも、生風味・加熱臭が良好であり、且つ光に対する風味安定性に優れる調合油を得ることができる。
ケミカルリファイニングによる植物油の精製工程を示す図である。 フィジカルリファイニングによる植物油の精製工程を示す図である。 本発明の実施例1と実施例5とに係る食用油の製造工程を示す図である。 本発明の実施例2と実施例6とに係る食用油の製造工程を示す図である。 本発明の実施例3に係る食用油の製造工程を示す図である。 本発明の実施例4に係る食用油の製造工程を示す図である。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
本発明の食用油の製造方法は、アルカリによる脱酸処理が施され、且つ脱臭処理が施されていない植物油、及び/又は蒸留による脱酸処理が施され、且つアルカリによる脱酸処理が施されていない植物油から選ばれる2種以上の植物油を混合して得た調合油に、脱臭処理を施すことを特徴とする。
植物油の精製は、通常、図1に示すケミカルリファイニングにより行われる。すなわち、原料となる植物を圧搾・抽出した原油が、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱ろう処理、脱臭処理を経ることで精製され、精製油となる。一般に、調合油は、最終精製工程である脱臭処理を経た精製油を2種以上混合することによって得られるが、本発明では、良好な風味の調合油を得るために、アルカリによる脱酸処理が施され、且つ脱臭処理が施されていない植物油、及び/又は蒸留による脱酸処理が施され、且つアルカリによる脱酸処理が施されていない植物油から選ばれる2種以上の植物油を混合して得た調合油に、脱臭処理を施す。
本発明において、アルカリによる脱酸処理が施され、且つ脱臭処理が施されていない植物油とは、上記ケミカルリファイニングにおいて行われる、水酸化ナトリウム等のアルカリによる遊離の脂肪酸の除去(脱酸処理)がなされた植物油であって、脱臭処理が施されていないものをいう。例えば、図1に示す脱酸処理が施された植物油、脱酸処理及び脱色処理が施された植物油、脱酸処理、脱色処理、及び脱ろう処理が施された植物油が挙げられる。また、蒸留による脱酸処理が施され、且つアルカリによる脱酸処理が施されていない植物油とは、図2に示すフィジカルリファイニングにおいて行われる、蒸留による遊離の脂肪酸の除去(脱酸・脱臭処理)がなされた植物油をいう。例えば、図2に示す脱酸・脱臭処理が施された植物油、脱酸・脱臭処理が施された後、更に分別された植物油が挙げられる。フィジカルリファイニングとは、パーム油やヤシ油等でよく利用されている精製方法であり、原料となるパームやヤシ等を圧搾した原油が、脱ガム処理、脱色処理、脱酸・脱臭処理を経ることで精製され、精製油となる。フィジカルリファイニングは、ケミカルリファイニングとは異なり、脱酸処理にアルカリを使用せず、最後の脱酸・脱臭処理が薄膜式減圧水蒸気蒸留装置等により行われる。
なお、本願明細書において、「脱酸油」とは、遊離の脂肪酸をアルカリにより除去(脱酸処理)した油脂であって、且つ脱酸処理の後に脱色、脱ろう、及び脱臭の処理が施されていない油脂のことをいう。また、「脱色油」とは、活性白土や活性炭等による脱色処理が施された油脂であって、且つ脱色処理の後に脱臭処理が施されていない油脂のことをいう。更に、「RBD:Refined Bleached Deodorized」とは、図2に示すフィジカルリファイニングによる精製がなされた油脂であり、アルカリによる脱酸処理ではなく、蒸留による脱酸・脱臭処理が施された油脂のことをいう。なお、該油脂は、図2に示すように、脱酸・脱臭処理の後に分別されてもよい。
本発明の製造方法では、植物油は、植物由来の油脂であれば、特に限定されるものではなく、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ヒマワリ油、紅花油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、ブドウ種子油、クルミ油、エゴマ油、小麦胚芽油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、パーム系油等が挙げられる。また、遺伝子組換えの技術を用いて品種改良した植物、例えば、大豆、菜種、コーン、ヤシ、パーム、オリーブ、亜麻仁、ひまわり、紅花、綿実等に由来するものであってもよい。これらの中でも、大豆油、菜種油、及びパーム系油が、本発明の風味改善効果が顕著に発揮される点において好ましい。パーム系油としては、パーム油、パーム油の分別油であるパーム軟質油(パームオレイン)、パーム硬質油(パームステアリン)、これらを水素添加、分別、エステル交換したもの等が挙げられる。
本発明の製造方法では、調合油を構成する植物油は、2種以上であれば、種類数、組合せ、混合比率等、特に限定されるものではない。ここで、2種は、異なる植物に由来する油から選択されてもよいし、また、同じ植物に由来する油であっても、精製方法が異なる油であれば選択されてもよい。更に、同じ植物に由来する油であっても、水素添加、分別、エステル交換等により改質されて物性が異なる油であれば選択されてもよい。本発明の製造方法では、異なる植物に由来する油から選択されることが好ましく、大豆油と菜種油とからなることが好ましい。また、大豆油とヨウ素価58以上のパーム軟質油とからなることが好ましく、更に、菜種油とヨウ素価58以上のパーム軟質油とからなることも好ましい。パーム軟質油は、耐冷性の観点から、ヨウ素価58以上であることが好ましく、より好ましくは63以上、更により好ましくは68以上である。なお、調合油が構成油脂として大豆油を含む場合には、その含有量は10〜90質量%であることが好ましく、50〜70質量%であることがより好ましい。
本発明の製造方法では、上記調合油に対して、最終的に脱臭処理を施せばよく、該脱臭処理の前に、必要に応じて、アルカリによる脱酸処理、脱色処理、及び脱ロウ処理から選ばれる処理を施してもよい。例えば、標準的な植物油の精製工程に従い、調合油に対して、アルカリ脱酸処理、脱色処理、脱ろう処理を施した後、脱臭処理を施してもよく、また、脱色処理、脱ろう処理を施した後、脱臭処理を施してもよい。本発明では、アルカリによる脱酸処理が施され、且つ脱臭処理が施されていない植物油、及び/又は蒸留による脱酸処理が施され、且つアルカリによる脱酸処理が施されていない植物油から選ばれる2種以上の植物油を混合して得た調合油に対して、脱臭処理を施すことにより、脱酸処理を施していない原油の段階で混合した調合油に対して、アルカリ脱酸処理、脱色処理、脱臭処理を施したものや、標準的な精製工程を全て経た精製油を混合して得た調合油に比して、風味が良好となる。
本発明の製造方法では、脱臭処理の方法は、特に限定されるものではなく、油脂の精製において通常行われる減圧水蒸気蒸留が挙げられる。該方法では、例えば、油脂に対して0.5〜10質量%の水蒸気を、220〜260℃で40〜100分間吹き込む。また、該方法では、バッチ式、トレイ式、薄膜式等の装置を用いることができる。
以下、本発明の実施形態に係る食用油の製造方法について、図面(図3〜図6)を参照しながら説明する。なお、本発明は、これらの実施形態によって限定されることはない。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る食用油の製造工程を示す図である。本発明の第1の実施形態に係る食用油は、ケミカルリファイニングにおいて脱ガム処理、脱酸処理を施した、いわゆる脱酸油と、フィジカルリファイニングにおいて脱ガム処理、脱色処理、脱酸・脱臭処理を施し、更に分別した、いわゆるRBDと、を混合して得た調合油に対して、脱色処理、脱臭処理を施すことで得られる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る食用油の製造工程を示す図である。本発明の第2の実施形態に係る食用油は、ケミカルリファイニングにおいて脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理を施した、いわゆる脱色油と、フィジカルリファイニングにおいて脱ガム処理、脱色処理、脱酸・脱臭処理を施し、更に分別した、いわゆるRBDと、を混合して得た調合油に対して、脱臭処理を施すことで得られる。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る食用油の製造工程を示す図である。本発明の第3の実施形態に係る食用油は、ケミカルリファイニングにおいて脱ガム処理、脱酸処理を施した、いわゆる脱酸油と、ケミカルリファイニングにおいて脱ガム処理、脱酸処理を施した、いわゆる脱酸油と、を混合して得た調合油に対して、脱色処理、脱ろう処理、脱臭処理を施すことで得られる。なお、脱ろう処理は、必要に応じて施される。
図6は、本発明の第4の実施形態に係る食用油の製造工程を示す図である。本発明の第4の実施形態に係る食用油は、ケミカルリファイニングにおいて脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理を施した、いわゆる脱色油と、ケミカルリファイニングにおいて脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理を施した、いわゆる脱色油と、を混合して得た調合油に対して、脱ろう処理、脱臭処理を施すことで得られる。なお、脱ろう処理は、必要に応じて施される。
本発明の食用油の製造方法では、例えば、一般的な食用油に用いられる成分(食品添加物等)を含有させることができる。これらの成分としては、例えば、乳化剤、酸化・劣化防止剤、結晶調整剤等が挙げられ、脱臭処理後に添加されることが好ましい。なお、乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセリド等が挙げられる。酸化・劣化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、フラボン誘導体、コウジ酸、没食子酸誘導体、カテキン及びそのエステル、フキ酸、ゴシポール、セサモール、テルペン類、シリコーン等が挙げられる。結晶調整剤としては、例えば、トリアシルグリセロール、ジアシルグルセロール、ワックス類、ステロールエステル類等が挙げられる。また、香辛料や着色成分等も添加することができる。香辛料としては、例えば、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、ジンゲロン等が挙げられる。着色成分としては、例えば、カロテン、アスタキサンチン等が挙げられる。
上述の方法によって製造された食用油は、従来の方法により製造されたものに比して、生風味が良好であるので、生食に供することができる。例えば、マヨネーズやドレッシング等に好適に使用することができる。また、熱に対する風味安定性に優れるので、例えば、炒め物(焼きそば、野菜炒め等)、揚げ物(天ぷら、コロッケ、トンカツ等)、スプレー加熱調理(油を食材にスプレーしてオーブンや電子レンジで加熱する調理)等に使用しても、調理する食品の風味を損なうことがない。更に、食用離型油として使用しても、好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。
[製造例1]大豆油(脱酸油、脱色油、脱臭油)の製造方法
大豆抽出原油に、該大豆抽出原油に対して0.1質量%のリン酸を添加した後、リン酸と遊離脂肪酸とを中和するのに必要な量の1.1倍量の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加し、遠心分離によりガム質と石けんとを除去して、一次脱酸油を得た。次いで、該一次脱酸油に対して0.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加した後、遠心分離によりガム質と石けんとを更に除去し、温水にて洗浄して脱酸油を得た。そして、該脱酸油に対して1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去して脱色油を得た。そして、該脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、脱臭油を得た。
[製造例2]パームオレイン油(RBD、脱色油、脱臭油)の製造方法
パームの原油に対して脱ガム処理、脱色処理を施した後、530パスカルの真空下、210℃で90分水蒸気を約3%吹き込み(脱酸・脱臭処理)、得られた油を分別し、RBDパームオレイン油を得た。次いで、該RBDパームオレイン油に対して1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去して脱色油を得た。そして、該脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、脱臭油を得た。
[製造例3]菜種油(脱酸油、脱色油、脱臭油)の製造方法
菜種圧抽原油に、該菜種圧抽原油に対して0.1質量%のリン酸を添加した後、リン酸と遊離脂肪酸とを中和するのに必要な量の1.1倍量の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加し、遠心分離によりガム質と石けんとを除去して、一次脱酸油を得た。次いで、該一次脱酸油に対して0.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加した後、遠心分離によりガム質と石けんとを更に除去し、温水にて洗浄して脱酸油を得た。そして、該脱酸油に対して1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去して脱色油を得た。そして、該脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、脱臭油を得た。
[実施例1]調合油:大豆油(脱酸油)+パームオレイン油(RBD)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱酸油)900gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(RBD,ヨウ素価:68)600gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去し(脱色処理)、得られた脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、実施例1の食用油を得た。
[実施例2]調合油:大豆油(脱色油)+パームオレイン油(脱色油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱色油)720gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(脱色油,ヨウ素価:68)480gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、実施例2の食用油を得た。
[実施例3]調合油:大豆油(脱酸油)+菜種油(脱酸油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱酸油)900gと製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱酸油)600gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、実施例1と同等の方法により脱色・脱臭処理を行い、実施例3の食用油を得た。
[実施例4]調合油:大豆油(脱色油)+菜種油(脱色油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱色油)720gと製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱色油)480gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、実施例2と同等の方法により脱臭処理を行い、実施例4の食用油を得た。
[実施例5]調合油:菜種油(脱酸油)+パームオレイン油(RBD)
製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱酸油)900gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(RBD,ヨウ素価:68)600gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、実施例1と同等の方法により脱色・脱臭処理を行い、実施例5の食用油を得た。
[実施例6]調合油:菜種油(脱色油)+パームオレイン油(脱色油)
製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱色油)720gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(脱色油,ヨウ素価:68)480gとを3Lのガラス容器に入れて混合し、得られた調合油に対して、実施例2と同等の方法により脱臭処理を行い、実施例6の食用油を得た。
[比較例1]調合油:大豆油(原油)+パームオレイン油(RBD)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(原油)1200gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(RBD,ヨウ素価:68)800gとを混合し、得られた調合油に対して0.1質量%のリン酸を添加した後、リン酸と遊離脂肪酸とを中和するのに必要な量の1.1倍量の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加し、遠心分離によりガム質と石けんとを除去して、一次脱酸油を得た。次いで、該一次脱酸油に対して0.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11%)を添加した後、遠心分離によりガム質と石けんとを更に除去し(脱酸処理)、温水にて洗浄して脱酸油を得た。そして、該脱酸油に対して1.5質量%の活性白土(水澤化学工業株式会社製)を添加し、減圧下110℃で20分間撹拌して色素を吸着させた後、ろ過により白土を除去し(脱色処理)、脱色油を得た。そして、該脱色油に対して約3質量%の水蒸気を約400パスカルの真空下、250℃で90分間吹き込み(脱臭処理)、比較例1の食用油を得た。
[比較例2]調合油:大豆油(脱臭油)+パームオレイン油(脱臭油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱臭油)600gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(脱臭油,ヨウ素価:68)400gとを混合し、比較例2の食用油を得た。
[比較例3]調合油:大豆油(原油)+菜種油(原油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(原油)1200gと製造例3に記載の方法により製造した菜種油(原油)800gとを混合し、得られた調合油に対して、比較例1と同等の方法により、脱酸・脱色・脱臭処理を行い、比較例3の食用油を得た。
[比較例4]調合油:大豆油(脱臭油)+菜種油(脱臭油)
製造例1に記載の方法により製造した大豆油(脱臭油)600gと製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱臭油)400gとを混合し、比較例4の食用油を得た。
[比較例5]調合油:菜種油(原油)+パームオレイン油(RBD)
製造例3に記載の方法により製造した菜種油(原油)1200gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(RBD,ヨウ素価:68)800gとを混合し、得られた調合油に対して、比較例1と同等の方法により、脱酸・脱色・脱臭処理を行い、比較例5の食用油を得た。
[比較例6]調合油:菜種油(脱臭油)+パームオレイン油(脱臭油)
製造例3に記載の方法により製造した菜種油(脱臭油)600gと製造例2に記載の方法により製造したパームオレイン油(脱臭油,ヨウ素価:68)400gとを混合し、比較例6の食用油を得た。
[曝光処理]
上記の食用油(実施例1〜6及び比較例1〜16)について、曝光処理を行った。上記の食用油の新油200gを500mL共詮つき三角フラスコに入れ、蛍光灯(強度:7000lux)の光を40時間照射し、曝光油を得た。
[食用油の評価:風味及び臭気]
上記の食用油(実施例1〜6及び比較例1〜6)について、風味及び臭気の評価を行った。評価は、10名の専門パネラーが常温状態の食用油を1〜2ml程度、口に含み、表1に示す評価基準(1〜5の5段階評価)に従い、行った。そして、パネラー全員の評価点数の平均値を算出し、小数点第2位を四捨五入して評価点とした。評価結果を表2〜4に示す。
Figure 2010202774
Figure 2010202774
大豆油(脱酸油)とパームオレイン油(RBD)との調合油を脱臭処理したもの(実施例1)は、大豆油(脱臭油)とパームオレイン油(脱臭油)との調合油(比較例2)に比して、生風味、加熱臭ともに良好な結果を示した。この傾向は、新油、曝光油ともに認められた。また、大豆油(脱色油)とパームオレイン油(脱色油)との調合油を脱臭処理したもの(実施例2)についても、実施例1と同様の結果を示した。しかしながら、大豆油(原油)とパームオレイン油(RBD)との調合油を脱臭処理したもの(比較例1)は、比較例2と変わらない結果を示した。
Figure 2010202774
大豆油(脱酸油)と菜種油(脱酸油)との調合油を脱臭処理したもの(実施例3)は、大豆油(脱臭油)と菜種油(脱臭油)との調合油(比較例4)に比して、生風味、加熱臭ともに良好な結果を示した。また、大豆油(脱色油)と菜種油(脱色油)との調合油を脱臭処理したもの(実施例4)についても、実施例3と同様の結果を示した。しかしながら、脱酸処理の工程を経ていない大豆油(原油)と菜種油(原油)との調合油を脱臭処理したもの(比較例3)は、比較例4と変わらない結果を示した。
Figure 2010202774
菜種油(脱酸油)とパームオレイン油(RBD)との調合油を脱臭処理したもの(実施例5)は、菜種油(脱臭油)とパームオレイン油(脱臭油)との調合油(比較例6)に比して、生風味、加熱臭ともに良好な結果を示した。また、菜種油(脱色油)とパームオレイン油(脱色油)との調合油を脱臭処理したもの(実施例6)についても、実施例5と同様の結果を示した。しかしながら、菜種油(原油)とパームオレイン油(RBD)との調合油を脱臭処理したもの(比較例5)は、比較例6と変わらない結果を示した。
表2〜4の結果より、脱酸処理の工程を経た油脂を混合して調合油とした後、脱臭処理することにより、脱臭処理した油脂を調合するよりも、風味の良い調合油が得られることが分かった。
[食用油の評価:臭気強度]
上記の食用油(実施例1,2及び比較例1,2)について、臭気強度の評価を行った。上記の食用油1gを密閉容器に入れ、150℃にて5分間インキュベートし、容器内のヘッドスペース中の揮発性物質量を、ニオイセンサー(製品名:ELECTRONIC NOSE SYSTEM,Alpha Mos社製)により測定した。そして、実施例1,2,比較例1の評価値は、対照品である比較例2〜4の測定値を1としたときの相対値で表した。なお、相対値は小数点第3位を四捨五入した。評価結果を表5に示す。
Figure 2010202774

Claims (7)

  1. アルカリによる脱酸処理が施され、且つ脱臭処理が施されていない植物油、及び/又は蒸留による脱酸処理が施され、且つアルカリによる脱酸処理が施されていない植物油から選ばれる2種以上の植物油を混合して得た調合油に、脱臭処理を施すことを特徴とする食用油の製造方法。
  2. 前記2種以上の植物油は、脱色処理が施されたものであることを特徴とする請求項1に記載の食用油の製造方法。
  3. 前記2種以上の植物油が、大豆油、菜種油、及びパーム系油から選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の食用油の製造方法。
  4. 前記調合油が、大豆油とヨウ素価58以上のパーム軟質油とからなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の食用油の製造方法。
  5. 前記調合油が、菜種油とヨウ素価58以上のパーム軟質油とからなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の食用油の製造方法。
  6. 前記調合油が、大豆油を10〜90質量%含むことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の食用油の製造方法。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする食用油。
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