JP2000273121A - 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法 - Google Patents

塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000273121A
JP2000273121A JP29384199A JP29384199A JP2000273121A JP 2000273121 A JP2000273121 A JP 2000273121A JP 29384199 A JP29384199 A JP 29384199A JP 29384199 A JP29384199 A JP 29384199A JP 2000273121 A JP2000273121 A JP 2000273121A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl chloride
chlorine
chloride resin
same manner
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29384199A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuki Goto
祐樹 後藤
Yukio Shibazaki
行雄 柴崎
Yoshihiko Eguchi
吉彦 江口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP29384199A priority Critical patent/JP2000273121A/ja
Publication of JP2000273121A publication Critical patent/JP2000273121A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性とゲル化特性に優れた塩素化塩化ビ
ニル系樹脂及びその製造方法及び成形体を提供する。 【解決手段】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
化塩化ビニル系樹脂であって、該塩素化塩化ビニル系樹
脂の塩素含有率が72〜76重量%であり、水銀圧入法
により圧力196MPaで測定した空隙率が30〜40
容量%であり、かつ、0. 001〜0. 1μmの空隙容
積又はBET比表面積が特定の値を有することを特徴と
する塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法及びその
成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素化塩化ビニル
系樹脂及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂(以下、PVCとい
う)は、機械的強度、耐候性、耐薬品性に優れた材料と
して、多くの分野に用いられている。しかしながら、耐
熱性に劣るため、PVCを塩素化することにより耐熱性
を向上させた塩素化塩化ビニル系樹脂(以下、CPVC
という)が開発されている。
【0003】PVCは、熱変形温度が低く使用可能な上
限温度が60〜70℃付近であるため、熱水に対して使
用できないのに対し、CPVCは熱変形温度がPVCよ
りも20〜40℃も高いため、熱水に対しても使用可能
であり、例えば、給湯管に代表される耐熱管、耐熱バル
ブ、耐熱プレートに好適に使用されている。又、CPV
Cを用いることにより、従来使用されてきた金属管、金
属プレート等において問題であった腐食による錆発生も
なくなった。
【0004】しかしながら、CPVCは熱変形温度が高
いため、成形加工時にゲル化させるには高温と強い剪断
力とを必要とし、成形加工時に分解して着色しやすいと
いう傾向があった。したがって、CPVCは成形加工幅
が狭く、不充分なゲル化状態で製品化されることが多
く、素材のもつ性能を充分発揮できているとはいえなか
った。又、これらゲル化性向上の要求に加えて、耐熱管
等の場合、安全装置の作動不良等が原因で、100℃以
上の高温蒸気が発生した場合、これらが膨張して、変
形、破裂することがあり、より高い耐熱性も必要になっ
てきている。
【0005】このような問題を解決するために、例え
ば、特開平5−132602号公報には、CPVCとP
VCを特定の粘度範囲内になるようにブレンドし、高耐
熱性を得る方法が提案されている。しかしながら、この
方法では、耐熱性は、例えば、ビカット軟化温度値で3
〜4℃の向上効果と溶融粘度の改善による若干のゲル化
性能の向上が期待できる程度であり、より高い熱変形温
度とゲル化性能の向上には不十分である。
【0006】更に、例えば、特開平6‐128320号
公報には、塩化ビニル系樹脂の塩素化方法において、2
段階の工程での塩素化(2段階後塩素化法)方法が提案
されている。この方法では塩素の重量%が70〜75重
量%という高い塩素化を達成しており、塩素含有率に応
じて耐熱性の高いCPVCが得られる。しかしながら、
この方法では、高塩素化により予測されるゲル化性の悪
化を抑制する手段が示されていないため、この方法は高
い耐熱性と良好なゲル化性の両方の性質を合わせ持つC
PVCの製造方法を開示するものではない。また、特開
平4‐81446号公報には、特定の塩素含有率の樹脂
組成物と耐衝撃性強化剤とを用いて、高い熱変形温度を
得る方法が開示されているが、我々が目指す高耐熱レベ
ルには十分ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、耐熱性とゲル化性能に優れた塩素化塩化ビニル系
樹脂及びその製造方法及びその成形体を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の塩素化塩化ビニ
ル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素化
塩化ビニル系樹脂であって、塩素含有率は、72〜76
重量%であり、水銀圧入法により圧力196MPaで測
定した空隙率は、30〜40容量%であり、水銀圧入法
により圧力が0〜196MPaで測定した細孔容積分布
において、0.001〜0.1μmの空隙容積は、全空
隙容積の2〜15容積%である。以下に本発明を詳述す
る。
【0009】本発明のCPVCは、塩化ビニル単量体
(以下、VCMという)単独、又は、VCM及びVCM
と共重合可能な他の単量体の混合物を公知の方法で重合
してなる樹脂を塩素化することにより得られる。上記V
CMと共重合可能な他の単量体としては特に限定され
ず、例えば、酢酸ビニル等のアルキルビニルエステル
類;エチレン、プロピレン等のα‐モノオレフィン類;
塩化ビニリデン;スチレン等が挙げられる。これらは単
独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0010】本発明のCPVCの塩素含有率は72〜7
6重量%である。塩素含有率が72重量%未満になると
耐熱性の向上、例えば、ビカット軟化温度値で65〜8
0℃の耐熱性の向上には不十分となり、現在用いられて
いる耐熱製品群よりも更に耐熱性が要求される分野にお
ける使用が難しくなる。また、塩素含有率が76重量%
を超えると成形加工が困難となりゲル化が不十分とな
る。また、反応性を上げるために触媒添加量が多くなる
ため、熱安定性が悪くなる。工業的に製造する場合、品
質と生産性の兼ね合いから塩素含有率の上限は76重量
%である。好ましくは72〜74重量%である。
【0011】本発明のCPVCの空隙率は、30〜40
容量%である。前記空隙率は、水銀圧入法により圧力1
96MPaで測定される。空隙率が30容量%未満にな
ると、成形加工時のゲル化が遅くなり成形加工上好まし
くなく、40容量%を超えると、成形時にスクリューへ
の食い込みが悪くなり、ゲル化性が劣る。好ましくは、
31〜38容量%である。
【0012】本発明のCPVCは、水銀圧入法により圧
力が0〜196MPaで測定した細孔容積分布におい
て、0.001〜0.1μmの空隙容積が、全空隙容積
の2〜15容積%である。樹脂粒子内の空隙細孔径は、
樹脂の空隙細孔部に圧入される水銀の圧力との関数にな
っているため、圧入圧力と水銀重量を連続的に測定すれ
ば、細孔径の分布が測定できる。0.001〜0.1μ
mの範囲の空隙容積が、全空隙容積中の2容積%未満で
あると、粒子内部の微細孔の割合が少ないため成形加工
時のゲル化性に劣り、15容積%を超えると、塩素化時
の塩素の拡散がバランスよく行われておらず、粒子内の
塩素化度分布が大きくなりすぎて、熱安定性がよくな
い。好ましくは、0.001〜0.1μmの範囲の空隙
容積が、全空隙容積中の3〜13容積%である。
【0013】本発明2のCPVCは、BET比表面積値
が2〜12m2 /gである。BET比表面積が2m2
g未満になると、粒子内部の微細孔の割合が少ないた
め、成形加工時に、粒子内溶融が起こりにくくなりゲル
化性に劣る。BET比表面積値が12m2 /gを超える
と、内部からの摩擦熱の発生が急激に起こり成形時の熱
安定性が劣る。好ましいBET比表面積値は3〜10m
2 /gである。
【0014】本発明3の塩素化塩化ビニル系樹脂は、更
に、ESCA分析(電子分光化学分析)による粒子表面
分析において、炭素元素と塩素元素との1S結合エネル
ギー値(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク/炭
素元素ピーク)が、0.6を超えるものである本発明1
又は2のCPVCである。
【0015】上記ピーク比が0.6以下であると、CP
VC粒子表面に分散剤等の添加剤が吸着していると考え
られるため、成形加工上好ましくない。上記ピーク比
は、好ましくは、0.7を超えるものである。
【0016】上記ピーク比が0.6を超えるCPVCの
中には、CPVC粒子表面の表皮(以下、スキンとい
う)面積が少なく、粒子内部の微細構造(1次粒子)が
露出している粒子(スキンレスCPVCという)が存在
する。
【0017】上記CPVCの化学的構造の原子存在比
は、塩素含有率72重量%の場合、塩素原子/炭素原子
=1.89/2であり(末端構造、分岐を考慮しないと
き)、上記1S結合エネルギー値(eV)におけるピー
ク比が0.945であれば、CPVC粒子表面が、完全
に塩素化塩化ビニル成分のみで覆われていることを意味
する。
【0018】上記に示した空隙率、細孔分布、BET比
表面積値及び1S結合エネルギー値(eV)におけるピ
ーク比を有するCPVCは、例えば、分散剤として高ケ
ン化度(60〜90モル%)若しくは低ケン化度(20
〜60モル%)又はその両方のポリ酢酸ビニル、高級脂
肪酸エステル類等を、乳化剤としてアニオン系乳化剤、
ノニオン系乳化剤等を添加して、水懸濁重合することに
より得られるPVCを塩素化することにより得られる。
【0019】本発明のCPVCの製造方法は、上記の性
質を有するCPVCが得られる方法であれば、特に限定
されるわけではないが、例えば、本発明4の塩素化塩化
ビニル系樹脂の製造方法が挙げられる。
【0020】本発明4の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造
方法は、塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素化塩化
ビニル系樹脂の製造方法であって、前記塩化ビニル系樹
脂は、BET比表面積値が1.3〜8m2 /gであり、
ESCA分析(電子分光化学分析)による粒子表面分析
において、炭素元素と塩素元素との1S結合エネルギー
値(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク×2/炭
素元素ピーク)が、0.6を超えるものであり、前記塩
素化において、塩化ビニル系樹脂を水性媒体中で懸濁状
態となした状態で、反応器内に液体塩素又は気体塩素を
導入し、反応温度を70〜135℃の範囲で塩素含有率
72〜76重量%まで塩素化反応を行うものである。
【0021】本発明4の製造方法で用いられるPVCと
は、VCM単独、又は、VCM及びVCMと共重合可能
な他の単量体の混合物を公知の方法で重合してなる樹脂
である。上記VCMと共重合可能な他の単量体としては
特に限定されず、例えば、酢酸ビニル等のアルキルビニ
ルエステル類;エチレン、プロピレン等のα‐モノオレ
フィン類;塩化ビニリデン;スチレン等が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用され
てもよい。
【0022】上記PVCの平均重合度は特に限定され
ず、通常用いられる400〜3,000のものが使用で
きる。
【0023】本発明4で用いられるPVCのBET比表
面積値は、1.3〜8m2 /gに限定される。BET比
表面積値が1.3m2 /g未満であると、PVC粒子内
部に0.1μm以下の微細孔が少なくなるため、塩素化
が均一になされなくなり、熱安定性が向上しなくなる。
また、ゲル化が遅く、成形加工上好ましくない。BET
比表面積値が8m2 /gを超えると、塩素化前のPVC
粒子自体の熱安定性が低下するため、得られるCPVC
の加工性が悪くなる。好ましくは、1.5〜5m2 /g
である。
【0024】上記PVCは、ESCA分析(電子分光化
学分析)による粒子表面分析において、炭素元素と塩素
元素との1S結合エネルギー値(eV)におけるピーク
比(塩素元素ピーク×2/炭素元素ピーク)が、0.6
を超えるものに制限される。0.6以下であると、PV
C粒子表面に分散剤等の添加剤が吸着していると考えら
れるため、後工程での塩素化速度が遅くなるだけでな
く、得られるCPVCの成形加工性に問題を生じ、ま
た、熱安定性が劣るようになる。好ましくは、上記ピー
ク比が0.7を超えるものである。
【0025】上記ピーク比が0.6を超えるPVCの中
には、PVC粒子表面の表皮(以下、スキンという)面
積が少なく、粒子内部の微細構造(1次粒子)が露出し
ている粒子(スキンレスPVC)が存在する。同じエネ
ルギー比である場合は、スキンレスPVCを用いること
が好ましい。
【0026】上記PVCの化学的構造の原子存在比は、
塩素原子/炭素原子=1/2であり(末端構造、分岐を
考慮しないとき)、上記1S結合エネルギー値(eV)
におけるピーク比(塩素元素ピーク×2/炭素元素ピー
ク)は0〜1の値となる。ピーク比が0の場合は、PV
C粒子表面がPVC以外の物質で、かつ、塩素を含まな
い他の物質により覆われていることを意味し、ピーク比
が1の場合は、PVC粒子表面が、完全にPVC成分の
みで覆われていることを意味する。
【0027】上記のBET比表面積値及び1S結合エネ
ルギー値(eV)におけるピーク比を有するPVCは、
例えば、分散剤として高ケン化度(60〜90モル%)
若しくは低ケン化度(20〜60モル%)又はその両方
のポリ酢酸ビニル、高級脂肪酸エステル類等を、乳化剤
としてアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤等を添加し
て水懸濁重合することにより得ることができる。
【0028】本発明4で上記PVCを重合する際に用い
ることができる重合器(耐圧オートクレーブ)の形状及
び構造としては特に限定されず、従来よりPVCの重合
に使用されているもの等を用いることができる。また、
攪拌翼としては特に限定されず、例えば、ファウドラー
翼、パドル翼、タービン翼、ファンタービン翼、ブルマ
ージン翼等の汎用的に用いられているもの等が挙げられ
るが、特にファウドラー翼が好適に用いられ、邪魔板
(バッフル)との組み合わせも特に限定されない。
【0029】上記PVCを塩素化する方法としては、P
VCを水性媒体中で懸濁状態となした状態で、反応器内
に液体塩素又は気体塩素を導入し、反応温度を70〜1
35℃の範囲で、得られるCPVCの塩素含有率が、7
2〜76重量%となるまで行う。
【0030】本発明4に使用する塩素化反応器の材質
は、グラスライニングが施されたステンレス製反応器の
他、チタン製反応器等、一般に使用されるものが適用で
きる。本発明4では、塩素化において、PVCを水性媒
体により懸濁状態になした状態で、液体塩素又は気体塩
素を導入することにより、塩素源を塩素化反応器内に導
入するが、液体塩素を用いることが工程上からも効率的
である。反応途中の圧力調整や、また、塩素化反応の進
行に伴う塩素の補給のためには、液体塩素の他、気体塩
素を適宜吹き込むこともできる。
【0031】本発明4において、PVCを水性媒体中で
懸濁状態に調製する方法としては特に限定されず、重合
の後、PVCを脱モノマー処理したケーキ状の樹脂を用
いても、乾燥させたものを再度、水性媒体で懸濁化して
もよく、あるいは、重合系中より、塩素化反応に好まし
くない物質を除去した懸濁液を使用しても良い。好まし
くは、重合の後、PVCを脱モノマー処理したケーキ状
の樹脂を用いるのが良い。
【0032】反応器内に仕込む水性媒体の量は、特に限
定されないが、一般にPVCの重量1に対して2〜10
倍(重量)量を仕込む。
【0033】本発明4では、上記懸濁した状態で塩素化
する方法は特に限定されず、熱により樹脂の結合や塩素
を励起させて塩素化を促進する方法(以下、熱塩素化と
いう)と、光を照射して光反応的に塩素化を促進する方
法(以下、光塩素化という)等が挙げられるが、好まし
くは熱塩素化が使用される。熱塩素化する場合は、加熱
方法としては特に限定されず、例えば、反応器壁からの
外部ジャケット方式の他、内部ジャケット方式、スチー
ム吹き込み方式等が挙げられ、通常は、外部ジャケット
方式又は内部ジャケット方式が効果的である。光塩素化
する場合は、光源としては、紫外光線;水銀灯、アーク
灯、白熱電球、蛍光灯、カーボンアーク灯などの可視光
線が好適に使用され、特に紫外光線が効果的である。ま
た、熱エネルギーに紫外光線等の光エネルギーを併用し
てもよいが、この場合は、高温、高圧下の条件下で紫外
線照射が可能な装置が必要になる。
【0034】上記塩素化の工程で、得られるCPVCの
塩素含有率は、72〜76重量%となるように調整し、
好ましくは72〜74重量%になるよう調整する。塩素
含有率が72重量%未満になると耐熱性の向上、例え
ば、ビカット軟化温度値で65〜80℃の耐熱性の向上
には不十分となり、現在用いられている耐熱製品群より
も更に耐熱性が要求される分野における使用が難しくな
る。また、塩素含有率が76重量%を超えると成形加工
が困難となりゲル化が不十分となる。また、反応性を上
げるために触媒添加量が多くなるため、熱安定性が悪く
なる。工業的に製造する場合、品質と生産性の兼ね合い
から塩素含有率の上限は76重量%である。好ましくは
72〜74重量%である。
【0035】本発明4において、塩素化反応温度は、7
0〜135℃であり、好ましくは90〜125℃であ
る。反応温度が70℃未満では塩素化反応速度が低いた
め、反応に長時間を要する。また、光を照射しない場
合、反応を進行させるには、過酸化物に代表される反応
触媒を多量に添加する必要があり、その結果、得られる
樹脂の熱安定性が劣るようになる。反応温度が135℃
を超えると、高温反応による熱エネルギーによって樹脂
が劣化し、得られるCPVCが着色する。
【0036】本発明5〜7の塩素化塩化ビニル樹脂系成
形体は、請求項1〜3いずれかに記載の塩素化塩化ビニ
ル系樹脂を成形して得られる成形体であって、JIS
K7206に準拠した方法で測定した9.8N荷重時の
ビカット軟化温度が145℃以上である。
【0037】本発明5〜7の塩素化塩化ビニル樹脂系成
形体ビカット軟化温度は、好ましくは155℃以上であ
り、管や継ぎ手であれば蒸気戻り配管に用いることがで
き、より好ましくは170℃以上である。前記ビカット
軟化温度は成形体の耐熱性の指標であり、ビカット軟化
温度が145℃未満であると給湯管に代表される現状の
使用分野よりも高い耐熱性が要求される分野として10
0℃以上の液体気体と接触する場合での使用が難しい。
前記ビカット軟化点の上限は高い方が好ましいが、実際
の成形を考慮すると185℃が限界である。
【0038】本発明6は、更にJIS K 7111に
準拠した方法で測定したシャルピー衝撃値が10kJ/
2 以上であるCPVC成形体である。前記シャルピー
衝撃値は成形体の耐衝撃性の指標であり,シャルピー衝
撃値が10kJ/m2 以上であると100℃以上の液体
気体と接触する場合での使用に好ましい。
【0039】本発明6のCPVC成形体は、請求項1〜
3のいずれかに記載のCPVC系樹脂を用いて成形する
が、一般には高塩素化度の樹脂を用いると、成形時のゲ
ル化が不十分なために、得られる成形体が脆くなり、衝
撃強度が低くなる。そのため、耐衝撃改質剤の添加量を
増やして成形することになるが、反面、耐熱性を低下さ
せる原因にもなる。よって好ましい範囲は10〜60k
J/m2 で、より好ましくは、15〜50kJ/m2
ある。
【0040】本発明7は、更にJIS K 7111に
準拠した方法で測定したシャルピー衝撃値が20kJ/
2 以上であるCPVC成形体である。前記シャルピー
衝撃値は成形体の耐衝撃性の指標であり、シャルピー衝
撃値が20kJ/m2 以上であると、100℃以上の液
体、気体と接触する場合での使用に好ましい。
【0041】本発明のCPVCは、粒子構造に特徴を有
する。通常、塩素含有率72重量%以上では成形加工が
困難になるが、本発明では、特定のCPVC粒子の内部
多孔状態、及び粒子表面状態を有することにより成形加
工時の易ゲル化性を発現させることができる。こうし
て、本発明により、高耐熱性と易ゲル化性を併せ持つ樹
脂が提供される。
【0042】本発明の製造方法では、まず、PVCの粒
子構造が特徴を有する。すなわち、特定の表面状態及び
内部多孔状態を有することにより成形加工時の易ゲル化
ポテンシャルを高めておく。次に、特定の反応温度と塩
素化度でPVCを塩素化する。通常、塩素含有率72重
量%以上では成形加工が困難になるが、本発明4では、
構造に特徴を持ったPVCと塩素化方法の組み合わせに
より成形加工時の易ゲル化性を発現させることができ
る。こうして、本発明4によると、高耐熱性と易ゲル化
性を併せ持つ樹脂を製造することが可能となる。
【0043】本発明のCPVC成形体は、まず、CPV
Cの粒子構造に特徴を有する。通常、塩素含有率72重
量%以上では成形が困難になるが、本発明では、特定の
CPVCの内部多孔状態及び粒子表面状態を有すること
により成形加工時の易ゲル化性を発現させることができ
る。こうして、本発明5〜7によると、高耐熱性と耐衝
撃性に優れるCPVC成形体が供給される。
【0044】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0045】実施例1 〔PVCの調製〕内容積100リットルの重合器(耐圧
オートクレーブ)に脱イオン水50kg、塩化ビニル単
量体に対して、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化
度72モル%、重合度700)400ppm、ソルビタ
ンモノラウレート(HLB8.6)1,600ppm、
ラウリン酸1,500ppm、ポリアクリルアミド(2
0℃、101325Paで0.1重量%水溶液のブルッ
クフィールズ粘度が51mPa・s)100ppm並び
にt−ブチルパーオキシネオデカノエート500ppm
を投入した。 次いで、重合器内を6KPaまで脱気し
た後、塩化ビニル単量体33kgを仕込み攪拌を開始し
た。重合器を57℃に昇温して重合を開始し、重合反応
終了までこの温度を保った。
【0046】重合転化率が90%になった時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収し。次いで、重
合体をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してPV
Cを得た。
【0047】〔CPVCの調製〕内容積300リットル
のグラスライニング製耐圧反応槽に脱イオン水150k
gと上記で得たPVC40kgとを入れ、攪拌してPV
Cを水中に分散させ、真空ポンプにて内部空気を吸引
し、ゲージ圧が−78.4kPaになるまで減圧した。
窒素ガスで圧戻し(ゲージ圧が0になるまで戻すこと)
を行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素を除
去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通して
反応槽内を加温した。
【0048】反応槽内の温度が90℃に達したとき、塩
素ガスを供給し始め、110℃定温で反応を進行させ
た。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素化度を計算
し、塩素化度63重量%の時点で濃度100ppmの過
酸化水素水を0.5kg/hrで連続添加しながら反応
を継続した。塩素化度が72.1重量%に達した時点で
塩素ガスの供給を停止し、塩素化反応を終了した。反応
中添加した過酸化水素の量は、仕込み樹脂量に対し30
ppmであった。
【0049】更に、反応槽内に窒素ガスを吹き込んで未
反応塩素を除去し、得られた樹脂を水で洗浄し脱水、乾
燥して粉末状のCPVCを得た。
【0050】実施例2 PVCの調製は、部分ケン化ポリ酢酸ビニルを550p
pmにした以外は実施例1と同様に実施した。CPVC
の調製は、実施例1と同様に実施した。
【0051】実施例3 PVCの調製は、実施例1と同様に実施した。CPVC
の調製は、反応温度を130℃にした以外は実施例1と
同様に実施した。反応中添加した過酸化水素の量は、仕
込み樹脂量に対して15ppmであった。
【0052】実施例4 PVCの調製は、実施例2と同様に実施した。CPVC
の調製は、最終塩素化度を75.7重量%としたこと以
外は、実施例1と同様に実施した。反応中添加した過酸
化水素の量は、仕込み樹脂量に対し50ppmであっ
た。
【0053】比較例1 〔PVCの調製〕内容積100リットルの重合器(耐圧
オートクレーブ)に脱イオン水50kg、塩化ビニル単
量体に対して、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(平均ケン化
度72モル%、重合度750)1,300ppmを懸濁
分散剤として添加後、t−ブチルパーオキシネオデカノ
エート550ppmを投入した。次いで、重合器内を6
kPaまで脱気した後、塩化ビニル単量体33kgを仕
込み攪拌を開始した。重合器を57℃に昇温して重合を
開始し、重合反応終了までこの温度を保った。
【0054】重合転化率が90%になった時点で反応を
終了し、重合器内の未反応単量体を回収した。次いで、
重合体をスラリー状で系外へ取り出し、脱水乾燥してP
VCを得た。
【0055】CPVCの調製は、実施例1と同様に実施
した。
【0056】比較例2 PVCの調製は、実施例1と同様に実施した。CPVC
の調製は、反応温度を137℃にしたこと、及び、過酸
化水素を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実
施した。
【0057】比較例3 PVCの調製は、実施例2と同様に実施した。CPVC
の調製は、最終塩素化度を70.5重量%としたこと以
外は、実施例1と同様に実施した。反応中添加した過酸
化水素の量は、仕込み樹脂量に対して16ppmであっ
た。
【0058】上記実施例1〜4、比較例1〜3で得られ
たPVC、について後記の方法により、BET批評面
積、ESCA分析値を、又CPVCについて、後記の測
定方法により、塩素含有率、空隙率、空隙容積、BET
批評面積、ESCA分析値の測定を行った。結果を表1
に示す。
【0059】実施例5 〔PVCの調整〕実施例1と同様に実施した。 〔CPVCの調整〕最終塩素化度を70.5重量%とし
たこと以外は、実施例1と同様に実施した。 〔配合〕上記で得られたCPVC100重量部に対し
て、表2の配合1に示す各種添加剤を添加し、ヘンシェ
ルミキサーにて加熱混合した。 〔成形〕上記混合分を用い、下記の押出条件で成形を行
い、口径20mmの管を得た。 ・押出機:SLM50(2軸異方向コニカル押出機、長
田製作所社製) ・金型:パイプ用金型(出口部外半径;11. 66m
m、出口部内半径;9. 4mm、樹脂流動面クロムメッ
キ、Rmax=5μm、Ra=0. 1μm(出口部周方
向4カ所平均)、3本ブルッジ) ・押出量:25〜30kg/hr ・樹脂温度:215〜217℃ ・回転数:20〜30rpm ・バレル温度:185〜210℃ ・金型温度:200〜215℃
【0060】実施例6 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例5で反応温度120℃で、過酸化
水素水添加を塩素化度が65重量%の時点で行うこと以
外は実施例5と同様にして実施した。配合、成形は実施
例5と同様にして実施した。
【0061】実施例7 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例5で最終塩素化度を71. 5重量
%としたこと以外は実施例5と同様にして実施した。配
合、成形は実施例5と同様にして実施した。
【0062】実施例8 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例5で最終塩素化度を72. 1重量
%としたこと以外は実施例5と同様にして実施した。配
合、成形は樹脂温度を220〜223℃としたこと以外
は実施例5と同様にして実施した。
【0063】実施例9 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例6で最終塩素化度を72. 1重量
%としたこと以外は実施例5と同様にして実施した。配
合、成形は実施例3と同様にして実施した。
【0064】実施例10 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例5で最終塩素化度を73. 5重量
%としたこと以外は実施例5と同様にして実施した。配
合、成形は実施例3と同様にして実施した。
【0065】実施例11 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例5で最終塩素化度を74. 6重量
%としたこと以外は実施例5と同様にして実施した。配
合は、安定剤の量を2. 5phrとした以外は実施例5
と同様にして実施した。成形は、樹脂温度を225〜2
28℃とした以外は実施例5と同様にして実施した。
【0066】実施例12 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例6で最終塩素化度を74. 6重量
%としたこと以外は実施例5と同様にして実施した。配
合、成形は実施例11と同様にして実施した。
【0067】比較例4 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例5で最終塩素化度を69. 0重量
%としたこと以外は実施例5と同様にして実施した。配
合、成形は実施例5と同様にして実施した。
【0068】上記実施例5〜12、比較例4で得られた
CPVCについて、後記の測定方法により、塩素含有
率、空隙率、空隙容積、BET批評面積、ESCA分析
値の測定を行った。又、管について後記の測定方法によ
り、ビカット軟化点を測定した、結果を表3に示す。
【0069】実施例13 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例5と同様にして実施した。配合、
成形は実施例5と同様にして実施した。
【0070】実施例14 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例6と同様にして実施した。配合、
成形は実施例5と同様にして実施した。
【0071】実施例15 PVCの調整は、実施例7と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例7と同様にして実施した。配合、
成形は実施例8と同様にして実施した。
【0072】実施例16 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例8と同様にして実施した。配合、
成形は実施例8と同様にして実施した。
【0073】実施例17 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例9と同様にして実施した。配合、
成形は実施例8と同様にして実施した。
【0074】実施例18 PVCの調整は、実施例10と同様にして実施した。C
PVCの調整は、実施例10と同様にして実施した。配
合、成形は実施例8と同様にして実施した。
【0075】実施例19 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例11と同様にして実施した。配
合、成形は実施例11と同様にして実施した。
【0076】実施例20 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例12と同様にして実施した。配
合、成形は実施例19と同様にして実施した。
【0077】比較例5 PVCの調整は、比較例1と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例5と同様にして実施した。配合、
成形は実施例5と同様にして実施した。
【0078】比較例6 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例1で反応温度を140℃とし、最
終塩素化度を70. 5重量%としたこと以外は実施例1
と同様にして実施した。配合、成形は実施例5と同様に
して実施した。
【0079】比較例7 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、比較例6で反応温度を135℃とし、最
終塩素化度を72. 1重量%としたこと以外は比較例6
と同様にして実施した。配合、成形は実施例8と同様に
して実施した。
【0080】比較例8 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、比較例7で最終塩素化度を74. 6重量
%としたこと以外は比較例7と同様にして実施した。配
合、成形は実施例19と同様にして実施した。
【0081】比較例9 PVCの調整は、比較例4と同様にして実施した。CP
VCの調整は、比較例4と同様にして実施した。配合、
成形は実施例5と同様にして実施した。
【0082】上記実施例13〜20、比較例5〜9で得
られたCPVCについて、後記の測定方法により、塩素
含有率、空隙率、空隙容積、BET批評面積、ESCA
分析値の測定を行った。又、管について後記の測定方法
により、ビカット軟化点、シャルピー衝撃値を測定し
た、結果を表4に示す。
【0083】実施例21 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例5で最終塩素化度を71. 5重量
%としたこと以外は実施例5と同様にし実施した。配合
は表2の配合2に示す各種配合剤を添加して、ヘンシェ
ルミキサーにて加熱混合を行った。成形は実施例5と同
様にして実施した。
【0084】実施例22 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例6で最終塩素化度を71. 5重量
%としたこと以外は実施例6と同様にして実施した。配
合、成形は実施例21と同様にして実施した。
【0085】実施例23 PVCの調整は、実施例7と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例7で最終塩素化度を72. 5重量
%としたこと以外は実施例7と同様にして実施した。配
合は実施例21と同様にして実施した。成形は実施例8
と同様にして実施した。
【0086】実施例24 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例8で最終塩素化度を73. 1重量
%としたこと以外は実施例8と同様にして実施した。配
合は実施例21と同様にして実施した。成形は実施例8
と同様にして実施した。
【0087】実施例25 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、比較例8で最終塩素化度を74. 5重量
%としたこと以外は比較例8と同様にして実施した。配
合、成形は実施例24と同様にして実施した。
【0088】実施例26 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例11で最終塩素化度を75. 6重
量%としたこと以外は比較例8と同様にして実施した。
配合は安定剤を2. 5phr、MBSを12. 0phr
とした以外は実施例5と同様にして実施した。成形は実
施例11と同様にして実施した。
【0089】実施例27 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例11で最終塩素化度を75. 6重
量%としたこと以外は比較例8と同様にして実施した。
配合、成形は実施例27と同様にして実施した。
【0090】比較例10 PVCの調整は、比較例1と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例21と同様にして実施した。配
合、成形は実施例21と同様にして実施した。
【0091】比較例11 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例1で反応温度を140℃、最終塩
素化度を71. 5重量%としたこと以外は実施例1と同
様にして実施した。配合、成形は実施例21と同様にし
て実施した。
【0092】比較例12 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、実施例1で反応温度を135℃、最終塩
素化度を73. 1重量%としたこと以外は実施例1と同
様にして実施した。配合、成形は実施例24と同様にし
て実施した。
【0093】比較例13 PVCの調整は、実施例5と同様にして実施した。CP
VCの調整は、比較例12で最終塩素化度を75. 6重
量%としたこと以外は比較例12と同様にして実施し
た。配合、成形は実施例27と同様にして実施した。
【0094】比較例14 PVCの調整は、比較例4と同様にして実施した。CP
VCの調整は、比較例4と同様にして実施した。配合、
成形は実施例21と同様にして実施した。
【0095】上記実施例21〜27、比較例10〜14
で得られたCPVCについて、後記の測定方法により、
塩素含有率、空隙率、空隙容積、BET批評面積、ES
CA分析値の測定を行った。又、管について後記の測定
方法により、ビカット軟化点、シャルピー衝撃値を測定
した、結果を表5に示す。
【0096】〔PVC評価方法〕 (1)BET比表面積値の測定 試料管に測定サンプル約2gを投入し、前処理として7
0℃で3時間サンプルを真空脱気した後、サンプル重量
を正確に測定した。前処理の終了したサンプルを測定部
(40℃恒温槽)に取り付けて測定を開始した。測定終
了後、吸着等温線の吸着側のデータからBETプロット
を行い、比表面積を算出した。なお、測定装置として比
表面積測定装置「BELSORP 28SA」(日本ベ
ル社製)を使用し、測定ガスとして窒素ガスを使用し
た。
【0097】(2)ESCA分析 PVC粒子の表面をESCA(Electoron Spectoroscop
y for Chemical Analysys :電子分光化学分析)でスキ
ャンし、C1S(炭素)、Cl1S(塩素)、O1S(酸素)
の各ピーク面積より塩素量を基準に粒子表面の塩化ビニ
ル樹脂成分を定量分析した。 ・使用機器:日本電子社製「JPS−90FX」 ・使用条件:X線源(Mg Kα線)、12kV−15
mA ・スキャン速度:200ms/0.1eV/scan ・パスエネルギー:30eV
【0098】〔CPVC評価方法〕 (1)塩素含有率測定 JIS K 7229に準拠して行った。
【0099】(2)空隙率、細孔分布測定 水銀圧入ポロシメーターを用いて、196MPaでCP
VC100gに圧入される水銀の容量を測定して空隙率
を求めた。空隙率とは樹脂粒子体積に占める空隙の容積
である。細孔分布は、空隙率を測定するために0〜19
6MPaまで圧力を上げるが、その際に水銀圧入量を連
続的に測定し、細孔径の分布を測定した。
【0100】(3)空隙容積 水銀圧入ポロシメーターを用いて、0〜196MPaま
で圧力を上げ、その際の水銀圧入量を連続的に測定し、
細孔径の分布を測定した。細孔径分布より、全空隙容積
中の0. 001〜0. 1μmの範囲の空隙容積をを算出
した。
【0101】(4)BET比表面積値の測定 上記PVCのBET比表面積値の測定方法と同様であ
る。
【0102】(5)ESCA分析 測定サンプルをCPVCとする以外は、上記PVC粒子
表面のESCA分析の方法と同様である。
【0103】〔性能評価〕 (1)加工性(ゲル化温度の測定) Haake社製プラストミル「レオコード90」を使用
して、下記樹脂組成物55gを、回転数40rpmで、
温度を150℃から毎分5℃の昇温速度で上昇させなが
ら混練し、混練トルクが最大になる時の温度を測定し
た。なお、樹脂組成物としては、CPVC100重量部
に対して、三塩基性硫酸鉛3重量部、二塩基性ステアリ
ン酸鉛1重量部及びMBS樹脂(メタクリル酸メチル−
ブタジエン−スチレン共重合体)10重量部からなるも
のを使用した。
【0104】(2)ビカット軟化温度 JIS K 7206(荷重9.8N)に準拠して測定
した。サンプルは、測定しようとするCPVC100重
量部に対して、三塩基性硫酸鉛3重量部、二塩基性ステ
アリン酸鉛1重量部及びMBS樹脂(メタクリル酸メチ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体)10重量部からな
る樹脂組成物を、8インチロール2本からなる混練機に
混練してシートを作成し、そのシートをプレスすること
により準備した。
【0105】(3)シャルピー衝撃値 JISK7111に準拠して測定した。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】
【発明の効果】本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の構成
は、上記の通りであり、本発明によると、耐熱性とゲル
化発現性に優れた塩素化塩化ビニル系樹脂が提供され
る。本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法の構成
は、上記の通りであり、本発明によると、耐熱性とゲル
化発現性に優れた塩素化塩化ビニル系樹脂を製造するこ
とができる。本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂成形体の
構成は上記の通りであり、耐熱性とゲル化発現性に優れ
た塩素化塩化ビニル系樹脂成形体を提供することができ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA79 AA85 AF23Y BC07 4J002 BD181 4J100 AA02Q AA03Q AB02Q AC03P AC04Q AG04Q CA01 CA04 CA31 DA22 DA23 EA13 HA21 HA61 HB04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
    化塩化ビニル系樹脂であって、塩素含有率が、72〜7
    6重量%であり、水銀圧入法により圧力196MPaで
    測定した空隙率が、30〜40容量%であり、水銀圧入
    法により圧力が0〜196MPaで測定した細孔容積分
    布において、0.001〜0.1μmの空隙容積が、全
    空隙容積の2〜15容積%であることを特徴とする塩素
    化塩化ビニル系樹脂。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
    化塩化ビニル系樹脂であって、塩素含有率が、72〜7
    6重量%であり、水銀圧入法により圧力196MPaで
    測定した空隙率が、30〜40容量%であり、BET比
    表面積値が、2〜12m2 /gであることを特徴とする
    塩素化塩化ビニル系樹脂。
  3. 【請求項3】 更に、ESCA分析(電子分光化学分
    析)による粒子表面分析において、炭素元素と塩素元素
    との1S結合エネルギー値(eV)におけるピーク比
    (塩素元素ピーク/炭素元素ピーク)が、0.6を超え
    るものであることを特徴とする請求項1又は2記載の塩
    素化塩化ビニル系樹脂。
  4. 【請求項4】 塩化ビニル系樹脂を塩素化してなる塩素
    化塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、前記塩化ビニ
    ル系樹脂は、BET比表面積値が1.3〜8m 2 /gで
    あり、ESCA分析(電子分光化学分析)による粒子表
    面分析において、炭素元素と塩素元素との1S結合エネ
    ルギー値(eV)におけるピーク比(塩素元素ピーク×
    2/炭素元素ピーク)が、0.6を超えるものであり、
    前記塩素化において、塩化ビニル系樹脂を水性媒体中で
    懸濁状態となした状態で、反応器内に液体塩素又は気体
    塩素を導入し、反応温度を70〜135℃の範囲で塩素
    含有率72〜76重量%まで塩素化反応を行うことを特
    徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3いずれかに記載の塩素化塩
    化ビニル系樹脂を成形して得られる成形体であって、J
    IS K 7206に準拠した方法で測定した9.8N
    荷重時のビカット軟化点温度が145℃以上であること
    を特徴とする塩素化塩化ビニル系樹脂成形体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3いずれかに記載の塩素化塩
    化ビニル系樹脂を成形して得られる成形体であって、J
    IS K 7206に準拠した方法で測定した9.8N
    荷重時のビカット軟化点温度が145℃以上、及びJI
    SK7111に準拠した方法で測定したシャルピー衝撃
    値が10kJ/m2 以上であることを特徴とする塩素化
    塩化ビニル系樹脂成形体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3いずれかに記載の塩素化塩
    化ビニル系樹脂を成形して得られる成形体であって、J
    IS K 7206に準拠した方法で測定した9.8N
    荷重時のビカット軟化点温度が145℃以上、及びJI
    SK7111に準拠した方法で測定したシャルピー衝撃
    値が20kJ/m2 以上であることを特徴とする塩素化
    塩化ビニル系樹脂成形体。
JP29384199A 1998-10-16 1999-10-15 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法 Pending JP2000273121A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29384199A JP2000273121A (ja) 1998-10-16 1999-10-15 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29517798 1998-10-16
JP1317599 1999-01-21
JP11-13175 1999-01-21
JP10-295177 1999-01-21
JP29384199A JP2000273121A (ja) 1998-10-16 1999-10-15 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000273121A true JP2000273121A (ja) 2000-10-03

Family

ID=27280146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29384199A Pending JP2000273121A (ja) 1998-10-16 1999-10-15 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000273121A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002284950A (ja) * 2001-03-26 2002-10-03 Sekisui Chem Co Ltd 塩化ビニル系樹脂組成物
WO2009134694A3 (en) * 2008-05-02 2009-12-23 3M Innovative Properties Company Gel composition, method for preparing the same, and impact resistant absorbing material using the same
CN115298252A (zh) * 2020-03-24 2022-11-04 株式会社钟化 发泡性氯化氯乙烯系树脂颗粒、其发泡颗粒、使用其的氯化氯乙烯系树脂发泡成型体和发泡性氯化氯乙烯系树脂颗粒的制造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002284950A (ja) * 2001-03-26 2002-10-03 Sekisui Chem Co Ltd 塩化ビニル系樹脂組成物
JP4555494B2 (ja) * 2001-03-26 2010-09-29 積水化学工業株式会社 塩化ビニル系樹脂組成物
WO2009134694A3 (en) * 2008-05-02 2009-12-23 3M Innovative Properties Company Gel composition, method for preparing the same, and impact resistant absorbing material using the same
AU2009241418B2 (en) * 2008-05-02 2012-08-23 3M Innovative Properties Company Gel composition, method for preparing the same, and impact resistant absorbing material using the same
US8461237B2 (en) 2008-05-02 2013-06-11 3M Innovative Properties Company Gel composition, method of preparing the same, and impact resistant absorbing material using the same
CN115298252A (zh) * 2020-03-24 2022-11-04 株式会社钟化 发泡性氯化氯乙烯系树脂颗粒、其发泡颗粒、使用其的氯化氯乙烯系树脂发泡成型体和发泡性氯化氯乙烯系树脂颗粒的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100627122B1 (ko) 염소화 염화 비닐계 수지 및 성형품
JP2000273121A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法
JP4331813B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂粒子の製造方法及びそれにより得られた樹脂粒子
JPH11209425A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP3487742B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP3802668B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2001181340A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂、その製造方法及びその成形体
JP2000186113A (ja) 耐熱塩化ビニル系樹脂成形品及び耐熱塩化ビニル系樹脂管
JP2002060421A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP3481099B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂及び製造方法
JP2006322013A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11158221A (ja) 塩化ビニル系樹脂及び塩素化塩化ビニル系樹脂
JP3863279B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11124407A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11140122A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH1135627A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH1192525A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11263808A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2000344830A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2000136213A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂及びその製造方法
JP2000352481A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂管、継手、プレート、及び、ライニング管
JP2001278992A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂成形体及び樹脂管
JP2818101B2 (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JP2006104485A (ja) 塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法
JPH11189606A (ja) 塩化ビニル系樹脂の懸濁重合方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060721

A977 Report on retrieval

Effective date: 20081104

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081210

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090415