WO2016063973A1 - 家具、椅子用荷重支持部材及び椅子 - Google Patents

Abstract

操作プレート（７ｂ２）あるいはフランジ（７ａ５）に設けられ、操作プレート（７ｂ２）が操作姿勢とされたときに操作プレート（７ｂ２）とフランジ（７ａ５）とによって生じる隙間を閉塞する遮蔽片（７ｂ５）を備える家具及び椅子と、一対の杆材（１９）を備える枠部材と、袋状に形成されて枠部材に被せられた張材（２２）とを備え、一対の杆材（１９）には、互いに対向する内側面にそれぞれ支持部（２６）が設けられ、一対の杆材（１９）間には、面直方向の荷重に対して反発力を有する内装材（２１）が支持部（２６）に支持されることによって架設されている椅子用荷重支持部材を有する椅子。

Description

家具、椅子用荷重支持部材及び椅子

本発明は、家具、椅子用荷重支持部材及び椅子に関する。
本願は、２０１４年１０月３０日に、日本に出願された特願２０１４－２２１２５６号、２０１４年１０月２４日に、日本出願された特願２０１４－２１７２４９号および２０１５年１月１６日に、日本に出願された特願２０１５－００６７３２号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　例えば、オフィス等で使用される椅子には、座面高さ調節やロッキングの強弱調節が可能なタイプがある。このような椅子には、これらの調整を行うための操作部材が設けられており、例えば着座者が操作部材の姿勢を変更することによって種々の調整が可能である（例えば特許文献１参照）。

　一方、強度部材としての枠部材に、面直方向からの荷重に対して弾性抵抗力（反発力）を有する張材が支持されてなる椅子用荷重支持部材、及びこれを備える椅子が、例えば特許文献２に開示されている。この特許文献２に開示された椅子では、張材の組織を構成する経糸群によって上下方向の高張力を確保するとともに、モール糸及び弾性糸からなる緯糸群によって左右方向の伸縮力を確保している。

　特許文献２に開示されている椅子は適度な弾性抵抗と伸縮が両立した、良好な着座感を有する。しかし、その反面、最低限の強度を維持するために経糸群が必須となり、これに伸縮力を加えるために左右方向に延びる緯糸を付加させるため、張設されることによって経糸と緯糸との間にドット形状の隙間が多数形成されたデザインになり易く、外観を構成する部材でありながら、デザイン面での自由度が低くなる傾向がある。

　このような課題を解決するため、特許文献３に開示された構成が考えられる。特許文献３に開示された椅子では、杆材に向きの異なる２つの溝が形成されており、各々の溝に異なる張材を止着することにより、枠部材に複数の張材が張設されている。
　このような構成により、例えば裏面側の張材として張力の強い素材を採用し、表面側の張材には張力の弱い素材を採用するなどの変則的なデザインが可能になり、デザイン面での自由度が高まる。

日本国特開２００２－１１９３５５号公報 日本国特許第４０６１１６７号公報 日本国特開２０１３－１９８５６５号公報

　ところで、上述のような操作部材を備える椅子においては、一体感を出して美観を備えるために、外観において操作部材に滑らかに繋がる部材を操作部材に隣接して配置させたり、操作性を向上させるために操作部材を隣接して配置させたりする場合がある。つまり、操作部材を備える椅子においては、操作部材に隣接して他の部材（隣接部材）が設けられる場合がある。このように、隣接部材が設けられている操作部材の姿勢を変更するように移動させると、操作部材と隣接部材との間に隙間が生じる場合がある。椅子の利用者が上記隙間に指を差し込むと、操作部材の姿勢が元の姿勢に戻るときに、利用者の指が操作部材と隣接部材とに挟まれることになる。通常、操作部材が元の姿勢に戻すための付勢力は弱く設定されており、利用者が指を痛めることがないように設計されてはいる。しかしながら、操作部材と隣接部材とに指が挟まれると、利用者に対して不快感を与える。

　なお、このような問題は、椅子に限られず、例えば天板の高さを調節可能な机等の姿勢が変更される操作部材を備える家具全般に生じる。

　一方、特許文献３に開示された構成では、枠部材上で異なる向きに複数の溝を形成していることから、枠部材の形状、及びそれを成形する金型の形状が複雑化するという課題がある。

　本発明は、上述する問題点に鑑みてなされ、姿勢が変更される操作部材を備える家具において、操作部材と操作部材に隣接して配置される隣接部材との隙間に利用者の指が挟まれることによって、利用者に不快感を与えることを防止することを目的とする。

　また、本発明は上記、枠部材の形状を複雑化することなく複数の張材を支持可能とすることにより、張材のデザイン面での自由度を高くした椅子用荷重支持部材と、これを備える椅子を提供することを目的とする。

　本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。

　第１の発明は、利用者の操作によって定常姿勢から操作姿勢に変更される操作部材と、操作部材に隣接して配置される隣接部材とを備える家具であって、上記操作部材あるいは上記隣接部材に設けられ、上記操作部材が上記操作姿勢とされたときに上記操作部材と隣接部材とによって生じる隙間を閉塞する遮蔽部を備える。

　この構成によれば、操作部材が操作姿勢とされたときに操作部材と隣接部材とによって生じる隙間が遮蔽部によって閉塞される。このため、利用者の指が操作部材と隣接部材との間に挟まれることを防止することができ、利用者に不快感を与えることを防止することができる。

　第２の発明は、上記第１の発明において、上記操作部材が、水平方向に延びる枢軸と、表裏面を上下に向ける板状とされると共に枢軸を中心として先端側が上昇されることで上記操作姿勢とされる操作プレートとを備え、上記隣接部材が、上記定常姿勢の上記操作部材における上記操作プレートと同一高さに配置されると共に表裏面を上下に向けるフランジを備える。

　この構成によれば、操作部材が備える操作プレートと隣接部材のフランジとが、操作部材が定常姿勢である場合に同一高さに並んで配列されるため、操作部材と隣接部材との一体感が増し、美観を備える。一方で、操作プレートの先端が上下動することによって操作部材が姿勢変更されるため、操作プレートとフランジとの間に隙間が生じやすい。これに対して、この構成は、上記遮蔽部を備えていることから、このような一体感に優れた家具においても、利用者の指が操作部材と隣接部材とに挟まれることを防止することができ、利用者に不快感を与えることを防止することができる。

　第３の発明は、上記第２の発明において、上記遮蔽部が、上記操作プレートの上記フランジ側の縁部から下方に突出すると共に、操作部材と上記隣接部材との配列方向に表裏面を向ける遮蔽片からなる。

　この構成によれば、操作プレートと一体化して設けることができるため、部品点数を増加させることなく遮蔽部を設けることが可能となる。さらに、上方から操作プレートを視認した場合に、遮蔽片が外観上目立ちにくくなり、遮蔽片により美観が損なわれることがない。

　第４の発明は、上記第３の発明において、上記遮蔽片が、上記操作プレートの奥側から先端側に向かうに連れて下方に向かう傾斜辺を有する。

　例えば、操作プレートが利用者にとって目視し難い位置に配置される場合には、利用者の指先が操作プレートの根元に掛かる可能性が高まる。操作プレートの根元が、枢軸に近いことから、操作プレートの根元に指先が掛かった状態で操作プレートの姿勢変更を行う場合には非常に強い力で操作プレートを操作する必要があり、利用者に対して操作性が悪い印象を与える原因となる。これに対して、この構成によれば、遮蔽片が、操作プレートの奥側から先端側に向かうに連れて下方に向かう傾斜辺を有する。このため、操作プレートの奥側（すなわち根元側）に大きな力を掛けようとすると、利用者の指先が操作プレートの縁部に設けられた遮蔽片の傾斜辺に沿って操作プレートの先端側に移動しやすくなり、利用者が意識することなく、利用者の指先が操作の行いやすい操作プレートの先端側に誘導される。したがって、この構成によれば、弱い力で操作部材の操作を行うことができ、操作性に優れる。

　第５の発明は、上記第２～第４いずれかの発明において、上記操作部材が、上記操作プレートと上記枢軸とを連結する連結部と、連結部の下面に設けられる突出部とを備える。

　この構成によれば、連結部を有していることから操作プレートをより枢軸から離して設けることができ、操作プレートの操作をより弱い力で行うことが可能となる。さらに、連結部の下面に突出部が設けられている。このため、操作プレートが利用者にとって目視し難い位置に配置される場合であっても、突出部が邪魔をすることによって利用者の指先が枢軸に近い連結部の下面に掛かることを防止し、利用者の指先をより操作しやすい操作プレートの先端側に誘導させることができる。

　第６の発明は、上記第２～第５いずれかの発明において、上記フランジの上面に沿って移動されるレバーを有すると共にレバーを利用者が移動することによって回動可能とされる第２操作部材を備える。

　この構成によれば、操作部材と第２操作部材とを近接して設けることができるため、操作性に優れる。さらに、この構成によれば、このような操作性に優れた家具において、利用者の指が操作部材と隣接部材とに挟まれることを防止することが可能となる。

　第７の発明は、座の側部あるいは下方に設けられる操作部材と、操作部材に隣接して配置される隣接部材とを備える椅子であって、上記第１～第６いずれかの発明である家具からなる。

　この構成によれば、利用者の指が操作部材と隣接部材とに挟まれることを防止し、利用者に不快感を与えない椅子となる。

　第８の発明は、椅子用荷重支持部材が、椅子に備えられる椅子用荷重支持部材であって、椅子の幅方向に離間して略平行に配置された一対の杆材を備える強度部材としての枠部材と、椅子の荷重受面側に配置される表側張材と荷重受面の反対側に配置される裏側張材とが、杆材の長さ方向における一端縁及び幅方向の両方の側端縁において接合されるとともに、長さ方向における他端縁側に、幅方向に連続する開口部を有した袋状に形成されて、開口部を通して枠部材に枠部材の長さ方向における一端側から被せられた外装材と、を備え、一対の杆材には、互いに対向する内側面にそれぞれ支持部が設けられ、一対の杆材間には、面直方向の荷重に対して反発力を有する内装材が支持部に支持されることによって架設されている。

　この椅子用荷重支持部材によれば、枠部材に被せられた、表側張材と裏側張材とが接合されて袋状に形成された外装材とは別に、一対の杆材間に面直方向の荷重に対して反発力を有する内装材を架設している。したがって、例えば内装材の強度を、着座者の荷重を支持しうる大きさに設定することにより、外装材の素材等を適宜選択することが可能になり、デザイン面での自由度が大幅に高まる。また、外装材はそれ自体の形状及び張力で杆材に巻きつくようにして枠部材に支持されるので、専用の支持部を必要としないため、杆材の形状を複雑化することなく安価に枠部材を成形することが可能となる。加えて、杆材の内側面に形成された支持部が外装材で隠されることにより、支持部による外観の悪化を防止することができる。

　第９の発明は、椅子用荷重支持部材において、支持部は、荷重受面側へ開口する嵌合凹部を有している。
　この構成によれば、支持部が、各杆材の内側面に形成された、椅子の荷重受面側へ開口する嵌合凹部である。したがって、このような嵌合凹部を有する杆材の形状を作る際に、２つの金型を荷重受面の面直方向に並べて成型することによって容易に成形することができ、枠部材をより安価に成形することが可能になる。

　第１０の発明は、椅子用荷重支持部材において、支持部は、杆材と杆材の内側面側に隙間をあけて配設された支持材とからなるとともに、杆材と支持材との間の隙間が嵌合凹部とされ、支持材の荷重受面側の端部は、杆材における嵌合凹部を形成する部位の荷重受面側の端部よりも、荷重受面側と反対の側寄りに位置している。
　この構成によれば、支持材の荷重受面側の端部が、杆材における嵌合凹部を形成する部位の荷重受面側の端部よりも、荷重受面側と反対の側寄りに位置しているので、内装材の位置が杆材の荷重受面側の端部よりも椅子の背面側にオフセットされる。したがって、内装材が外装材の表側張材に裏から当接し、外装材の変形が防止されるため、より外観が良くなる。

　第１１の発明は、椅子用荷重支持部材において、外装材の面直方向の荷重に対しての反発力は、内装材の面直方向の荷重に対しての反発力よりも相対的に小さい。
　この構成によれば、袋状の外装材の反発力が内装材の反発力よりも小さいことから、外装材は内装材よりも相対的に柔らかく（弾性抵抗力が小さく）なり、したがって着座者の体重等により外装材に荷重がかかっても、外装材と杆材との間で摩擦抵抗が生じにくくなる。また、外装材が柔らかいため杆材に密着することなく接し、したがって面直方向からの荷重に対しても杆材に対して回転しないため、摩擦音の発生が防止、あるいは抑制される。また、相対的に硬い内装材によって着座者の身体を支持する力が確保されるが、この内装材は杆材の対向面間に架設されているので、袋状の外装材と干渉することがない。

　第１２の発明は、椅子用荷重支持部材においては、表側面材と内装材との間にスペーサ面材が配設されており、スペーサ面材の面直方向の荷重に対しての反発力は、内装材の面直方向の荷重に対しての反発力よりも相対的に小さい。
　この構成によれば、内装材よりも反発力が小さいスペーサ面材が表側張材と内装材との間に配設されている。したがって、着座者が表側張材を介してその体重を椅子用荷重支持部材に加えた際、椅子用荷重支持部材は外装材の撓みにスペーサ面材の撓みを加えた状態で内装材によって着座者の体重を支えるので、スペーサ面材の撓みが加わった分着座時の柔らかさが増し、着座感がより良好になる。また、スペーサ面材が介在することで外装材の上縁部が内装材の上縁部に直接的に当たりにくくなり、したがって長い間連続的に使用しても外装材の上縁部が伸びることが抑制される。

　第１３の発明は、椅子用荷重支持部材において、スペーサ面材は、内装材の表面側から杆材の表面側までを連続して覆っている。
　この構成によれば、スペーサ面材が内装材の表面側から杆材の表面側までを連続して覆っているので、スペーサ面材が内装材と杆材との間を埋めるため、これらの間の段差の影響が少なくなる。したがって、この段差により着座者の背中に違和感が生じる可能性が無くなる。

　第１４の発明は、椅子用荷重支持部材において、スペーサ面材は、表側張材の裏面に一体的に取り付けられている。
　この構成によれば、スペーサ面材が表側張材の裏面に一体的に取り付けられているので、予めスペーサ面材を表側張材に一体的に取り付けておくことにより、枠部材に外装材を被せて椅子用荷重支持部材を組み立てる工程を支障なく容易に行うことができる。

　第１５の発明は、椅子は、椅子用荷重支持部材を、杆材が上下方向に沿って配置されるとともに、開口部が下端部に配置される背凭れとして備える。
　この椅子によれば、デザイン面での自由度が大幅に高くなるとともに、杆材の形状を複雑化することなく安価に枠部材を成形することが可能となる。

　本発明によれば、操作部材が操作姿勢とされたときに操作部材と隣接部材とによって生じる隙間が遮蔽部によって閉塞され、利用者の指が操作部材と隣接部材との間に挟まれることを防止することができ、利用者に不快感を与えることを防止することができる。

　また、本発明の椅子用荷重支持部材によれば、枠部材の形状を複雑化することなく枠部材で外装材と内装材とを支持することができ、デザイン面での自由度を高くすることができる。
　さらに、本発明の椅子によれば、デザイン面での自由度が大幅に高まるとともに、杆材の形状を複雑化することなく安価に枠部材を成形することができる。

本発明の一実施形態における椅子を正面側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態における椅子を背面側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える操作ユニットを含む拡大側面図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える操作ユニットの平面図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える操作ユニットを椅子の右側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える操作ユニットを椅子の左側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える操作ユニットを含む下面図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える操作ユニットを下方から見た分解斜視図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える操作ユニットを上方から見た分解斜視図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える昇降操作部材を椅子の右側から見た側面図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える遮蔽片を椅子の前方から見た正面図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える昇降操作部材の操作について説明するための、操作プレートが定常姿勢とされている状態の模式図である。 本発明の一実施形態における椅子が備える昇降操作部材の操作について説明するための、操作プレートが操作姿勢とされている状態の模式図である。 本発明に係る椅子用荷重支持部材の一実施形態となる背凭れの分解斜視図である。 枠部材の概略構成を示す正面図である。 枠部材の概略構成を示す側面図である。 図１４ＡのＡ－Ａ線矢視断面図である。 図１４ＡのＢ－Ｂ線矢視要部断面図である。 張材と張材に設けられる部材の分解斜視図である。 図１４ＢのＣ－Ｃ線矢視断面図である。 図１４ＢのＤ－Ｄ線矢視断面図である。 本発明に係る椅子用荷重支持部材の他の実施形態となる背凭れの要部断面図である。

　以下、本発明に係る椅子の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下の説明においては、椅子１に正規姿勢で着座した人の正面が向く向きを「前」または「正面」と呼び、それと逆側の向きを「後」または「背面」と呼ぶ。また、「上」，「下」と「左」，「右」については、椅子に正規姿勢で着座した人の上方の向きを「上」、それと逆側の向きを「下」と呼び、椅子１に正規姿勢で着座した人の左側の向きを「左」、それと逆側の向きを「右」と呼ぶ。すなわち、鉛直方向を上下方向と呼び、水平方向を左右方向と呼ぶ。

　図１は本発明に係る椅子の一実施形態の正面側から見た斜視図、図２は同じく背面側から見た斜視図であり、これらの図において符号１は椅子である。この椅子１は、フロア上に載置される脚部２と、脚部２の上端に設置される支基３と、着座者が着座する座（座体）４と、支基３の上面に取り付けられて座４を支持する座受部材１５と、支基３から後部上方側に延びた座４に着座した着座者の背中を支持する背凭れ５と、を備えている。

　脚部２は、キャスタ２ａ１付きの多岐脚２ａと、多岐脚２ａの中央部より起立している脚柱２ｂとを備え、脚柱２ｂの上端部に支基３が取り付けられている。この脚柱２ｂは、ガススプリングを内蔵しており、ロッド２ｂ１を昇降可能としている。このような脚部２は、キャスタ２ａ１を床に当接することによって椅子１を床面上において移動可能としている。支基３には、脚柱２ｂの昇降調整機構と背凭れ５の傾動調整機構とが内蔵されている。

　支基３は、脚柱２ｂのロッド２ｂ１の上端に固定されており、座４を下方から支持すると共に、背凭れ５をロッキング可能に支持している。座４は、椅子１の利用者である着座者を下方から支持する部位であり、支基３によって下方から支えられている。背凭れ５は、着座者を後方から支える部位であり、支基３に対して傾動可能に接続されている。肘掛６は、着座者の腕を下方から支える部位であり、座４を左右方向から挟むように背凭れ５に固定されて２つ設けられている。

　本実施形態の椅子１は、さらに操作ユニット７を備え、操作ユニット７は、図２に示すように、座４の右側の側部に設けられている。図３は、操作ユニット７を含む拡大側面図である。また、図４は、操作ユニット７の平面図である。図５は、椅子１の右側から見た操作ユニット７の斜視図である。図６は、椅子１の左側から見た操作ユニット７の斜視図である。図７は、操作ユニット７を含む下面図である。
　図８は、操作ユニット７を下方から見た分解斜視図である。図９は、操作ユニット７を上方から見た分解斜視図である。なお、図４～図６、図８、図９においては、後述するカバー７ｄは省略して図示している。

　これらの図に示すように、操作ユニット７は、ホルダ７ａと、昇降操作部材７ｂ（操作部材）と、ロッキング調整操作部材７ｃ（第２操作部材）と、カバー７ｄ（図４参照）とを備えている。

　ホルダ７ａは、座４の側部に対して不図示のボルト等によって固定されており、昇降操作部材７ｂ及びロッキング調整操作部材７ｃを移動可能に下方から支持している。このホルダ７ａは、ベース部７ａ１と、ベース部７ａ１から上方に突出すると共に昇降操作部材７ｂの後述する枢軸７ｂ１を回転可能に支持する軸受部７ａ２とを備えている。

　ベース部７ａ１には、ロッキング調整操作部材７ｃの後述する胴部７ｃ１を鉛直軸周りに回動可能に支持する収容溝７ａ３が設けられている。さらに、この収容溝７ａ３の内壁面には、ロッキング調整操作部材７ｃの後述するノック機構７ｃ３の先端部７ｃ３２を案内するための波型部７ａ４が形成されている。

　また、ベース部７ａ１には、収容溝７ａ３の形成箇所から椅子１の右側に向けて延びるフランジ７ａ５（隣接部材）が設けられている。このフランジ７ａ５は、ロッキング調整操作部材７ｃの後述するレバー７ｃ２の下方に設けられており、表裏面を上下に向ける板状の部位である。このフランジ７ａ５の上面には、例えばロッキングの強弱を示す表示が描かれる。このフランジ７ａ５は、昇降操作部材７ｂの後述する操作プレート７ｂ２に隣接して設けられており、本発明の隣接部材に相当し、定常姿勢の操作プレート７ｂ２と同一高さとなるように配置されている。

　昇降操作部材７ｂは、不図示の駆動ワイヤ等によって脚柱２ｂと接続されており、ロッド２ｂ１の伸縮量（すなわち座４の高さ）を調節するための操作部材である。この昇降操作部材７ｂは、ホルダ７ａによって下方から支えられると共に上方に設けられるカバー７ｄによって押さえられることによって位置決めされている。

　図１０は、昇降操作部材７ｂを椅子１の右側から見た側面図である。この図、また図８及び図９に示すように、昇降操作部材７ｂは、枢軸７ｂ１と、操作プレート７ｂ２と、連結部７ｂ３と、突出部７ｂ４と、遮蔽片７ｂ５（遮蔽部）とを備えている。

　枢軸７ｂ１は、椅子１の前後方向に水平に延びる軸部であり、ホルダ７ａの軸受部７ａ２に下方から回転可能に支持されている（例えば図４～図６参照）。操作プレート７ｂ２は、連結部７ｂ３を介して枢軸７ｂ１と接続されており、先端７ｂ６が椅子１の右側に向けて突出された板状である。この操作プレート７ｂ２は、表裏面を上下に向けて配置されており、先端７ｂ６側が上下動するように枢軸７ｂ１を中心として回動可能とされている。この操作プレート７ｂ２は、着座者が座４の昇降を行うときに操作される部位であり、着座者の指先が掛かりやすいよう、下面側に窪み７ｂ７が設けられている。

　連結部７ｂ３は、上述のように枢軸７ｂ１と操作プレート７ｂ２とを連結する部位であり、下面が操作プレート７ｂ２の下面と連続するように設けられている。突出部７ｂ４は、連結部７ｂ３の下面に設けられており、連結部７ｂ３の下面から下方に向けて突出されている。このような突出部７ｂ４は、昇降操作部材７ｂの操作時に着座者の指先が連結部７ｂ３の下面に掛かった場合に、着座者に違和感を与えるための構成であり、この違和感を利用して着座者の指先を操作プレート７ｂ２に誘導する。

　図１１は、遮蔽片７ｂ５の椅子１の前方から見た正面図である。遮蔽片７ｂ５は、操作プレート７ｂ２のフランジ７ａ５側の縁部から下方に突出すると共に、椅子１の前後方向（昇降操作部材７ｂとフランジ７ａ５の配列方向）に表裏面を向ける板状の部位である。
　この遮蔽片７ｂ５は、椅子１の正面側から見て、図１１に示すように、操作プレート７ｂ２の先端７ｂ６側の端部（前端７ｂ５１）から奥側に向かうに連れて操作プレート７ｂ２の下面からの突出量が増し、最大突出部７ｂ５２から奥側に向かうに連れて突出量が減少し、途中から突出量が略一定とされた形状とされている。このような遮蔽片７ｂ５は、図１１に示すように、最大突出部７ｂ５２よりも前端７ｂ５１側に位置する湾曲辺７ｂ５３と、最大突出部７ｂ５２よりも操作プレート７ｂ２に奥側に位置する傾斜辺７ｂ５４とを有している。

　湾曲辺７ｂ５３は、操作プレート７ｂ２が枢軸７ｂ１を中心として先端７ｂ６が回動したときに、椅子１の前方から見て、湾曲辺７ｂ５３の一部が常にフランジ７ａ５の先端に重なるように弧長及び曲率が設定されている。これによって、操作プレート７ｂ２が回動された場合であっても、椅子１の前方から見て、常にフランジ７ａ５の先端が遮蔽片７ｂ５から突出することを防止することができる。

　傾斜辺７ｂ５４は、操作プレート７ｂ２の奥側から先端７ｂ６側に向かうに連れて下方に向かうように傾斜されている。この傾斜辺７ｂ５４は、操作プレート７ｂ２の操作時に着座者の指先が遮蔽片７ｂ５に掛かった場合に、着座者の指先を操作プレート７ｂ２の先端側に誘導する。

　このような遮蔽片７ｂ５を有する昇降操作部材７ｂは、操作プレート７ｂ２がフランジ７ａ５と同一高さとされている状態（図５等に示す状態）が座４の昇降を行わない定常姿勢とされ、操作プレート７ｂ２の先端７ｂ６側が上昇される状態が座４の昇降を行う操作姿勢とされている。この昇降操作部材７ｂを着座者が定常姿勢から操作姿勢に変更することによって、座４の昇降が可能となる。

　また、昇降操作部材７ｂに設けられた遮蔽片７ｂ５によって、操作プレート７ｂ２側から着座者の指先が、操作姿勢の操作プレート７ｂ２とフランジ７ａ５との隙間に入り込むことを防止することができる。図１２Ａ、Ｂは、昇降操作部材７ｂの操作について説明するための模式図である。図１２Ａは、操作プレート７ｂ２が定常姿勢とされている状態を示し、図１２Ｂは、操作プレート７ｂ２が操作姿勢とされている状態を示す。これらの図に示すように、遮蔽片７ｂ５は、昇降操作部材７ｂが操作姿勢とされたときに操作プレート７ｂ２とフランジ７ａ５とによって生じる隙間を閉塞する。これによって、着座者側に操作プレート７ｂ２とフランジ７ａ５との間に形成される隙間が露出することが防止され、操作プレート７ｂ２側から着座者の指先が隙間に入り込むことを防止することができる。

　ロッキング調整操作部材７ｃは、図８及び図９に示すように、円柱状の胴部７ｃ１と、胴部７ｃ１の周面から突出するレバー７ｃ２と、胴部７ｃ１に設けられるノック機構７ｃ３とを備えている。胴部７ｃ１は、ホルダ７ａのベース部７ａ１に設けられた収容溝７ａ３に鉛直軸周りに回動可能に収容されている。この胴部７ｃ１は、ホルダ７ａによって下方から支えられると共に上方に設けられるカバー７ｄによって押さえられることによって位置決めされている。

　レバー７ｃ２は、フランジ７ａ５側に突出している。着座者がレバー７ｃ２を摘まんで回すことによって胴部７ｃ１が回動される。胴部７ｃ１は、不図示の駆動ワイヤ等によって支基３と接続されており、回動位置によってロッキングの強弱を調節する。ノック機構７ｃ３は、先端が側方に突出するように胴部７ｃ１に埋設されたバネ７ｃ３１と、バネ７ｃ３１の先端に設けられる先端部７ｃ３２とを備えている。このノック機構７ｃ３は、バネ７ｃ３１の付勢力によって先端部７ｃ３２をホルダ７ａの波型部７ａ４に押し当ており、波型部７ａ４の波形状の先端を先端部７ｃ３２が乗り越えたときに生じる打撃音によってロッキング調整操作部材７ｃの回動位置を着座者に知らせる。

　このように構成された本実施形態の椅子１においては、昇降操作部材７ｂの操作プレート７ｂ２を持ち上げるように回動することによって座４が昇降可能となる。また、ロッキング調整操作部材７ｃの胴部７ｃ１をレバー７ｃ２によって回動させることによってロッキングの強弱が調節される。

　以上のような本実施形態の椅子１においては、着座者の操作によって定常姿勢から操作姿勢に変更する昇降操作部材７ｂと、昇降操作部材７ｂに隣接して配置されるフランジ７ａ５とを備えている。さらに、昇降操作部材７ｂに、昇降操作部材７ｂが操作姿勢とされたときに昇降操作部材７ｂの操作プレート７ｂ２とフランジ７ａ５とによって生じる隙間を閉塞する遮蔽片７ｂ５を備えている。このため、昇降操作部材７ｂが着座者から目視し難い位置に設けられ、目視することなく昇降操作部材７ｂを操作する場合であっても、着座者の指が昇降操作部材７ｂとフランジ７ａ５との間に挟まれることを防止することができ、着座者に不快感を与えることを防止することができる。

　また、本実施形態の椅子１においては、昇降操作部材７ｂが、水平方向に延びる枢軸７ｂ１と、表裏面を上下に向ける板状とされると共に枢軸７ｂ１を中心として先端７ｂ６側が上昇されることで操作姿勢とされる操作プレート７ｂ２とを備えている。また、本実施形態の椅子１においては、操作プレート７ｂ２に隣接して、定常姿勢の昇降操作部材７ｂにおける操作プレート７ｂ２と同一高さに配置されると共に表裏面を上下に向けるフランジ７ａ５が設けられている。本実施形態の椅子１によれば、昇降操作部材７ｂに備えられる操作プレート７ｂ２とフランジ７ａ５とが、昇降操作部材７ｂが定常姿勢である場合に同一高さに並んで配列されるため、昇降操作部材７ｂとフランジ７ａ５との一体感が増し、美観を備える。
　一方で、操作プレート７ｂ２の先端７ｂ６が上下動されることによって昇降操作部材７ｂが姿勢変更されるため、操作プレート７ｂ２とフランジ７ａ５との間に隙間が生じやすい。これに対して、本実施形態の椅子１は、上記遮蔽片７ｂ５を備えていることから、このような一体感のある構造においても、着座者の指が昇降操作部材７ｂとフランジ７ａ５とに挟まれることを防止することができ、着座者に不快感を与えることを防止することができる。

　また、本実施形態の椅子１においては、遮蔽片７ｂ５が、操作プレート７ｂ２のフランジ７ａ５側の縁部から下方に突出すると共に、昇降操作部材７ｂとフランジ７ａ５との配列方向に表裏面を向けて設けられている。このため、操作プレート７ｂ２と遮蔽片７ｂ５とが一体化されており、部品点数を増加させることなく遮蔽片７ｂ５を設けることが可能となる。さらに、上方から操作プレート７ｂ２を視認した場合に、遮蔽片７ｂ５が外観上目立ちにくくなり、遮蔽片７ｂ５により美観が損なわれることがない。

　また、本実施形態の椅子１においては、遮蔽片７ｂ５が、操作プレート７ｂ２の奥側から先端７ｂ６側に向かうに連れて下方に向かう傾斜辺７ｂ５４を有する。例えば、本実施形態の椅子１のように、操作プレート７ｂ２が着座者にとって目視し難い位置に配置される場合には、着座者の指先が操作プレート７ｂ２の根元に掛かる可能性が高くなる。操作プレート７ｂ２の根元が、枢軸７ｂ１に近いことから、操作プレート７ｂ２の根元に指先が掛かった状態で操作プレート７ｂ２の姿勢変更を行う場合には非常に強い力で操作プレート７ｂ２を操作する必要があり、着座者が、操作性が悪いと感じる可能性がある。これに対して、本実施形態の椅子１によれば、操作プレート７ｂ２の奥側（すなわち根元側）に大きな力を掛けようとすると、着座者の指先が傾斜辺７ｂ５４に沿って操作プレート７ｂ２の先端７ｂ６側に移動しやすくなり、着座者が意識することなく、着座者の指先を操作の行いやすい操作プレート７ｂ２の先端７ｂ６側に誘導することができる。したがって、本実施形態の椅子１によれば、弱い力で昇降操作部材７ｂの操作を行うことができ、操作性に優れる。

　また、本実施形態の椅子１においては、昇降操作部材７ｂが、操作プレート７ｂ２と枢軸７ｂ１とを連結する連結部７ｂ３と、連結部７ｂ３の下面に設けられる突出部７ｂ４とを備えている。このような本実施形態の椅子１によれば、連結部７ｂ３を有していることから操作プレート７ｂ２をより枢軸７ｂ１から離して設けることができ、操作プレート７ｂ２の操作をより弱い力で行うことが可能となる。さらに、連結部７ｂ３の下面に突出部７ｂ４が設けられているため、操作プレート７ｂ２が着座者にとって目視し難い位置に配置される場合であっても、突出部７ｂ４が邪魔をすることによって着座者の指先が枢軸７ｂ１に近い連結部７ｂ３の下面に掛かることを防止することができる。よって、着座者の指先をより操作の行いやすい操作プレート７ｂ２の先端７ｂ６側に誘導させることができる。

　また、本実施形態の椅子１は、フランジ７ａ５の上面に沿って移動するレバー７ｃ２を有すると共にレバー７ｃ２を利用者が移動させることによって回動可能とされるロッキング調整操作部材７ｃを備えている。このため、昇降操作部材７ｂとロッキング調整操作部材７ｃとを近接して設けることができるため、本実施形態の椅子１は操作性に優れる。
　さらに、本実施形態の椅子１によれば、このような操作性に優れた椅子１において、着座者の指が昇降操作部材７ｂとフランジ７ａ５との間に挟まれることを防止することが可能となる。

　以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。

　例えば、上記実施形態においては、本発明の操作部材が昇降操作部材７ｂであり、本発明の隣接部材がフランジ７ａ５である構成について説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されない。例えば、座の奥行位置を調整するための奥行調整操作部材を備えるときに、この奥行調整操作部材を昇降操作部材７ｂに対する隣接部材とし、昇降操作部材７ｂと奥行調整操作部材との隙間を閉塞するための遮蔽片を備えても良い。

　また、上記実施形態においては、遮蔽片７ｂ５が操作プレート７ｂ２に設けられた構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、フランジ７ａ５に上向きの遮蔽片を設けても良い。

　また、上記実施形態においては、板状の遮蔽片７ｂ５が本発明の遮蔽部として機能する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。

　また、上記実施形態においては、本発明を椅子に適用した例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、椅子以外の家具に適用することも可能である。

　背凭れ５は、本発明に係る椅子用荷重支持部材の一実施形態であり、背凭れ５の分解斜視図である図１３に示すように、椅子１の幅方向（左右方向）に離間して略平行に配置された一対の杆材１９、１９を備える枠部材２０と、一対の杆材１９、１９間に架設された面材２１（内装材）と、一対の杆材１９、１９に被せられた袋状の張材２２（外装材）と、枠部材２０の幅方向両側にそれぞれ取り付けられた肘掛け６と、を備える。

　枠部材２０は、その概略構成図である図１４Ａ、Ｂに示すように、一対の杆材１９、１９と、これらの下端部（他端部）に一体に設けられた下枠部２４とを有し、一対の杆材１９、１９の上端部（一端部）に連結フレーム２５が取り付けられている。
　また、本実施形態では、上記のように枠部材２０の幅方向両側、すなわち一対の杆材１９、１９と下枠部２４との接続部に、それぞれ肘掛け６が取り付けられている。ただし、本発明に係る椅子用荷重支持部材（背凭れ５）では、枠部材２０に肘掛け６が取り付けられない構成となっていてもよい。

　面材２１は、図１３に示すように略矩形状に形成され、メッシュ材やエラストマー等からなる面材本体２１ａと、面材本体２１ａの幅方向両側にそれぞれ設けられた側部支持フレーム２１ｂ、２１ｂ（嵌合凸部）と、面材本体２１ａの下端に設けられた下部支持フレーム２１ｃとからなっている。側部支持フレーム２１ｂや下部支持フレーム２１ｃは、縫合等によって面材２１の後方（背面方向）に向けて取り付けられている。面材２１は、側部支持フレーム２１ｂ、２１ｂが図１４Ａに示す杆材１９の側部支持部２６（支持部）に取り付けられて支持され、下部支持フレーム２１ｃが下枠部２４の下部支持部２７に取り付けられて支持されることにより、枠部材２０に固定されている。

　側部支持部２６は、一対の杆材１９、１９の、互いに対向する内側面にそれぞれ設けられており、図１４ＡのＡ－Ａ線矢視断面図である図１５に示すように、杆材１９と、杆材１９の内側面側に隙間をあけて杆材１９に沿って配設された細板状の支持材２８とによって形成されている。すなわち、杆材１９と支持材２８との間に形成された隙間が、面材２１の側部支持フレーム２１ｂを取り付けるための嵌合凹部２９となっている。なお、杆材１９と支持材２８との間には、図１４Ａに示すように支持材２８を杆材１９に取り付けるための取付板３０が、これら杆材１９及び支持材２８の後側（背面側）に設けられている。各取付板３０には、それぞれ取付口３０ａが複数（図１４Ａでは６つ）ずつ、上下方向に略等間隔で設けられている。

　嵌合凹部２９は、椅子１の前側（正面側）、すなわち着座者の荷重を受ける側（荷重受面側）へ開口しており、図１５に示すようにこの嵌合凹部２９内に、面材２１の側部支持フレーム２１ｂが嵌入している。側部支持フレーム２１ｂには、図１３に示すようにその後端部に爪部３１が複数（図１３では６つ）形成されている。これら爪部３１は、それぞれ取付板３０の取付口３０ａに入り込み、図１５に示す杆材１９の抜け止め凸部３０ｂに係止している。

　すなわち、爪部３１は、側部支持フレーム２１ｂの後端から後側に突出し、さらに椅子１の幅方向外側に折れ曲がった後、前側に返されて形成される。また、折り返された部位（折り返し部３１ａ）が杆材１９の背面側の最奥部に形成された抜け止め凸部３０ｂに係止されることにより、側部支持フレーム２１ｂが嵌合凹部２９内から抜け出るのが規制される。つまり、折り返し部３１ａを嵌合凹部２９内に入れると、折り返し部３１ａは抜け止め凸部３０ｂを乗り越える際に、奥行方向と直交する方向に弾性変形する。そして、抜け止め凸部３０ｂを乗り越えた後、折り返し部３１ａは弾性復帰して抜け止め凸部３０ｂに係止される。これにより、折り返し部３１ａを嵌合凹部２９内に押し入れるだけで、嵌合凹部２９への嵌合を完了することができる。このような側部支持フレーム２１ｂの後端部に形成された爪部３１の折り返し部３１ａと嵌合凹部２９の最奥部に形成された抜け止め凸部３０ｂとにより、本発明に係る抜け止め部、すなわち互いに係止されることで側部支持フレーム２１ｂが嵌合凹部２９内から抜け出るのを規制する抜け止め部が形成されている。

　なお、複数の爪部３１は、側部支持フレーム２１ｂが嵌合凹部２９内に嵌め入れられた際に、それぞれ対応する取付口３０ａに嵌め込まれ、折り返し部３１ａが抜け止め凸部３０ｂに係止させられている。

　ここで、杆材１９の側部支持部２６（支持部）には、嵌合凹部２９の開口の外周部における、椅子１の幅方向外側に、側部支持フレーム２１ｂを嵌合凹部２９に案内するための移行面３２が形成されている。移行面３２は、本実施形態では杆材１９の正面側（椅子１の正面側）の端部から嵌合凹部２９の開口端に至る部位に形成される。杆材１９の後側（椅子１の背面側）に行くにしたがって、嵌合凹部２９の開口を狭めるべく、嵌合凹部２９の開口端に近づくように傾斜して形成されている。本実施形態では、移行面３２は嵌合凹部２９を形成する杆材１９の内側面側に設けられて、杆材１９の正面側（椅子１の正面側）で、かつ杆材１９の内側面側に向けて膨出する横断面視円弧形に形成されている。

　このような構成のもとに、面材２１の側部支持フレーム２１ｂを嵌合凹部２９内に嵌め入れる際には、例えば側部支持フレーム２１ｂの爪部３１側を嵌合凹部２９の外側の移行面３２に突き当てる。その後、側部支持フレーム２１ｂの爪部３１側を移行面３２の傾斜に沿って滑らせることにより、この傾斜（移行面３２）に案内させることで側部支持フレーム２１ｂを嵌合凹部２９に容易に嵌め入れることができる。したがって、側部支持フレーム２１ｂを嵌合凹部２９に嵌め入れた後、爪部３１を取付口３０ａ内に入れて折り返し部３１ａを抜け止め凸部３０ｂに係止させることにより、側部支持フレーム２１ｂを側部支持部２６に固定することができる。

　また、支持材２８は、嵌合凹部２９の開口側（椅子１の正面側）が揺動可能に形成された自由端（遊端）となっている。これによって側部支持フレーム２１ｂは、嵌合凹部２９に容易に嵌め入れることが可能になっている。すなわち、面材２１を持った手と逆の手を使って自由端（支持材２８）を押し広げ、その状態で側部支持フレーム２１ｂを嵌合凹部２９に嵌め入れることができる。

　さらに、支持材２８の自由端における先端部（椅子１の正面側の端部）は、杆材１９における嵌合凹部２９を形成する部位の正面側（椅子１の正面側）の端面（端部）よりも、椅子１の背面側寄りに位置している。これにより、面材２１の位置が杆材１９の正面側（荷重受面側）の端部よりも椅子１の背面側に後退する（オフセットされる）。したがって、面材２１が後述する張材２２の正面側に裏から当接するため、張材２２の変形が防止される。また、自由端の先端部と杆材１９の正面側の端部との間の段差を埋めるように面材２１を取り付けることにより、面材２１と杆材１９とを、これらが相互に支持された状態において段差なく連続させることができる。

　また、図１３に示すように下部支持フレーム２１ｃにも爪部３３が形成されており、この爪部３３が下枠部２４の下部支持部２７における取付口３４に嵌め入れることにより、下部支持フレーム２１ｃが下枠部２４に固定されている。すなわち、下部支持フレーム２１ｃの爪部３３と下部支持部２７の取付口３４との間にも、必要に応じて爪部３１の折り返し部３１ａ及び抜け止め凸部３０ｂと同様の構成からなる抜け止め部が形成されており、これによって下部支持フレーム２１ｃは下枠部２４に固定されている。このように、側部支持フレーム２１ｂ、２１ｂと下部支持フレーム２１ｃとが枠部材２０に固定されることにより、面材２１も枠部材２０に固定される。

　枠部材２０に固定された面材２１は、本実施形態では面材本体２１ａが着座者の背中によって加えられる荷重（体重）、すなわち面直方向（面と直交する方向）の荷重を受けて反発する弾性体（弾性抵抗体）となっている。面材本体２１ａは、メッシュ材やエラストマーからなり、弾性変形可能に形成されて、面直方向の荷重を受けた際に反発力を発現するように構成されている。なお、側部支持フレーム２１ｂや下部支持フレーム２１ｃは、弾性変形可能な樹脂によって形成されている。

　また、枠部材２０には、その幅方向両側のそれぞれの下端縁側（他端縁側）、すなわち下枠部２４と交差する部位に、幅方向の外側に開口する凹部３５が形成されている。凹部３５は、図１４ＡのＢ－Ｂ線矢視要部断面図である図１６に示すように、杆材１９の内部にまで形成されており、本実施形態では凹部３５の開口を閉塞して、肘掛け６（閉塞部材）が取り付けられている。すなわち、凹部３５内に埋め込まれたナット３６に対して肘掛け６がボルト３７によって着脱可能に固定されている。

　なお、この凹部３５内には、後述する張材２２の側部開口を連結する連結板４２が設けられている。また、肘掛け６には、その内部にボルト３７を取り付けるための貫通孔２３ａが形成されており、この貫通孔２３ａの外側の開口部には、これを閉塞するカバープレート２３ｂが取り付けられている。貫通孔２３ａの外側の開口部は、肘掛け６が取り付けられる凹部３５と同じ開口形状に形成されている。このように構成とした場合、凹部３５に肘掛け６を取り付けないときに、凹部３５にカバープレート２３ｂを取り付けることでその開口を閉塞することができる。

　張材２２は、図１７に示すように椅子１の正面側（荷重受面側）に配置される略矩形状の表側張材３８と、椅子１の背面側（荷重受面の反対側）に配置される略矩形状の裏側張材３９とが袋状に形成される。例えば、アクリルやウール（これらの混合材を含む）、ポリエステル等によって形成されており、図１、図２に示したように一対の杆材１９、１９に被せられている。この張材２２は、図１３に示すように表側張材３８と裏側張材３９とが、杆材１９の長さ方向における上端縁（一端縁）及び幅方向の両方の側端縁にて縫合され、接合されており、これによって長さ方向における下端縁側（他端縁側）に、幅方向に連続する開口部４０を形成している。

　ただし、この張材２２は、図１７に示すように表側張材３８と裏側張材３９との両方の側端縁における接合部位４１の、下端縁側の端部４１ａが、側端縁の下端縁よりも側端縁の上端縁寄りに位置させられている。これによって開口部４０は、張材２２の両方の側端縁の下端縁側に開口する側部開口４０ａを有して形成されている。

　側部開口４０ａには、図１３、図１７に示すように、側部開口４０ａを形成する表側張材３８の下端縁側と裏側張材３９の下端縁側とを連結する連結板４２が設けられている。連結板４２は、張材２２の上端縁側が凸となり、下端縁側が凹となるように長さ方向の中央部でＬ字状に弾性変形させられて、屈曲させられた樹脂等からなる細板である。連結板４２は、図１７に示す屈曲部４２ａを挟んだ一方の側が表側張材３８の下端縁側に連結し、他方の側が裏側張材３９の下端縁側に連結している。

　連結板４２は、その長さ方向の中央部に屈曲部４２ａが形成されていることにより、屈曲部４２ａを挟んだ一方の側の長さと他方の長さとが略同一に形成されている。これにより、連結板４２は一方の側の長さが、表側張材３８の側部開口４０ａを形成する部分の長さと略同一とされ、他方の側の長さが、裏側張材３９の側部開口４０ａを形成する部分の長さと略同一とされている。すなわち、連結板４２はその一方の側の長さが、表側張材３８の、接合部位４１の下端縁側の端部４１ａから下端縁までの長さと略同一に形成されている。また、連結板４２の他方の側の長さが、裏側張材３９の、接合部位４１の下端縁側の端部４１ａから下端縁までの長さと略同一に形成されている。

　表側張材３８や裏側張材３９と連結板４２との連結は、例えば縫合によってなされている。ここで、表側張材３８や裏側張材３９への連結板４２の連結は、例えば以下の手順でなされる。まず、表側張材３８と裏側張材３９とのうちの一方をめくってその裏面側を表に出す。続いて、裏面側を表にした張材の上に連結板４２の一方の側を置き、張材が下、連結板４２が上という状態、すなわち連結板４２を視認できる状態で、連結板４２を張材に対して縫合する。このとき、連結板４２の他方の側（他方の張材に縫合する側）の端部は浮いた状態になっている。次いで、張材を反転させ、以下、上記の一方の張材のときと同様にして、他方の張材の裏面側に連結板４２の他方の側を縫合する。その後、連結板４２に縫合した表側張材３８、裏側張材３９の側部開口４０ａを形成する部分を、図１６に示すように連結板４２とともに外側から内側に向けて折り込み、凹部３５内に入れる。これにより、連結板４２を凹部３５の内面に当接させて配置することができる。すなわち、弾性変形により屈曲させた連結板４２を復元させることにより、連結板４２を拡げてその両側を凹部３５の内面に当接させる。なお、連結板４２については弾性変形させることなく屈曲形状に成形してもよい。その場合には、連結板４２を凹部３５に入れた際に、この凹部３５の内面に連結板４２を当接させることなく、近接した状態で連結板４２を配置していてもよい。

　また、図１３に示すように張材２２の開口部４０には、表側張材３８の下端部後面に前側背張り芯材４３が取り付けられ、裏側張材３９の下端部前面に後側背張り芯材４４が取り付けられている。これら前側背張り芯材４３、後側背張り芯材４４は、樹脂等によって細板状に形成され、表側張材３８あるいは裏側張材３９に縫合等によって取り付けられている。前側背張り芯材４３には、その内面（後面）に複数の係合部（図示せず）が形成されている。これら係合部が下枠２４の下部支持部２７に形成された係合部（図示せず）に係合させられることにより、前側背張り芯材４３は下部支持部２７に取り付けられ、支持されている。また、後側背張り芯材４４には、その内面（前面）に複数の係合部（図示せず）が形成されている。これら係合部が下枠２４の下部支持部２７に形成された係合部（図示せず）に係合させられることにより、後側背張り芯材４４も下部支持部２７に取り付けられ、支持されている。このように前側背張り芯材４３、後側背張り芯材４４が下部支持部２７に取り付けられることにより、袋状の張材２２はその開口部４０が下枠部２４によって閉じられ、開口部４０が露出しない。

　また、張材２２には、その上端縁側（一端縁側）の端縁部（上端縁部）に、椅子１の幅方向における外側端よりやや内側に表側張材３８と裏側張材３９とが接合されてなる余長部４５が形成されている。そして、図１４ＢのＣ－Ｃ線矢視断面図である図１８に示すように、余長部４５の幅方向における内側には、杆材１９を露出させる露出口４６が形成されている。

　杆材１９には、露出口４６側の端部、すなわち上端部に、露出口４６に連通する開口を有する嵌合穴１９ａと、杆材１９の長さ方向に突出して余長部４５に当接する突縁部１９ｂとが形成されている。突縁部１９ｂは、本実施形態では嵌合穴１９ａを囲む外周部にその周方向全周に亘って連続して環状に形成されている。したがって、この突縁部１９ｂは、張材２２の余長部４５だけでなく、露出口４６の外周部全周に当接している。

　そして、このように露出口４６に露出するとともに露出口４６に連通する杆材１９の嵌合穴１９ａに対して、連結フレーム２５が取り付けられている。連結フレーム２５は、露出口４６を通って嵌合穴１９ａに嵌合し、露出口４６を閉塞する閉塞部４７と、図１３に示すように一対の閉塞部４７、４７間を連結する連結部４８とを備える。一対の閉塞部４７、４７がそれぞれ対応する杆材１９に取り付けられることにより、一対の杆材１９、１９間を連結している。

　閉塞部４７は、図１８に示すように露出口４６を通って嵌合穴１９ａに嵌合する嵌合突起４７ａと、嵌合突起４７ａの根本側（上端側）に位置して嵌合突起４７ａの外方に拡がる覆い部４７ｂとからなっている。覆い部４７ｂは、嵌合突起４７ａが嵌合穴１９ａに嵌合した状態で、張材２２の余長部４５を含む露出口４６の外周部を介して、杆材１９の突縁部１９ｂに突き当たっている。嵌合突起４７ａは、内部に孔部を有した筒状を有しており、後述するように孔部にナットが収容される。

　このような閉塞部４７は杆材１９（嵌合穴１９ａ）へ、図１４ＢのＤ－Ｄ線矢視断面図である図１９に示したように、杆材１９の後側（背面側）から挿通されたビス４９によって固定されている。すなわち、杆材１９の後側（背面側）に形成されたビス孔（図示せず）を通ってビス４９が嵌合穴１９ａ内に挿通される。そして、ビス４９はさらに嵌合穴１９ａ内に嵌合した嵌合突起４７ａ内に挿通され、その孔部に収容されたナット５０に螺着される。
　これにより、嵌合突起４７ａが杆材１９の嵌合穴１９ａ内にビス止めされ、固定される。

　なお、このようなビス止めを含む、連結フレーム２５及び張材２２の一対の杆材１９、１９への取り付けは、以下のようにして行う。
　まず、袋状の張材２２に対して図１３に示すようにその側部開口４０ａにそれぞれ連結板４２を取り付けておくとともに、表側張材３８に前側背張り芯材４３を、裏側張材３９に後側背張り芯材４４をそれぞれ取り付けておく。ただし、前側背張り芯材４３や後側背張り芯材４４の取付は後で行ってもよい。

　次に、この張材２２の上端縁の露出口４６、４６に、その上方からそれぞれ連結フレーム２５の閉塞部４７の嵌合突起４７ａを挿通し、嵌合突起４７ａを露出口４６、４６から張材２２内に突き出させる。続いて、このように嵌合突起４７ａを露出口４６、４６から突き出させた状態で、張材２２を裏返す。すなわち、嵌合突起４７ａを下側にして裏返した張材２２を上方に引っ張り上げ、この裏返した張材２２内に連結フレーム２５の連結部４８を収容するとともに、嵌合突起４７ａを下端側に突き出させた状態で露出させる。

　次いで、下端側に突き出た一対の嵌合突起４７ａをそれぞれ対応する杆材１９の嵌合穴１９ａに嵌合し、続いて図１９に示したように嵌合突起４７ａを杆材１９にビス止めする。なお、嵌合突起４７ａを杆材１９の嵌合穴１９ａに嵌合する前に、枠部材２０に対して面材２１を取り付けておく。嵌合突起４７ａを杆材１９の嵌合穴１９ａに嵌合させた際、図１８に示すように嵌合突起４７ａが張材２２の露出口４６を通って杆材の嵌合穴１９ａに嵌合し、覆い部４７ｂが露出口４６の外周部全周に当接することで余長部４５等を介して杆材１９の突縁部１９ｂに突き当たる。したがって、杆材１９の突縁部１９ｂに対して張材２２の余長部４５等が位置合わせされる。これにより、張材２２を大きく引き伸ばした場合でも、露出口４６と杆材１９との間の位置ずれが抑制される。

　このようにして嵌合突起４７ａがビス止めされ、連結フレーム２５を一対の杆材１９、１９に取り付け、固定させたら、裏返していた張材２２を元に戻して一対の杆材１９、１９に被せる。
　その際、張材２２の開口部４０が側部開口４０ａを有しているので、袋状の張材２２の開口を大きく拡げることができ、張材２２を枠部材２０に容易に被せることができる。このようにして裏返していた張材２２を元に戻すことにより、袋状の張材２２は、その開口部４０を通して杆材１９、１９（枠部材２０）にその長さ方向における一端側（上端側）から被せられた状態となる。したがって、嵌合突起４７ａを固定したビス４９は露出されることなく張材２２に隠される。

　このようにして張材２２を枠部材２０に被せたら、張材２２の側部開口４０ａに取り付けられた連結板４２を図１６に示したように枠部材２０の凹部３５内に押し込む。これにより、連結板４２に連結された表側張材３８、裏側張材３９のそれぞれの側部開口４０ａを形成する部位も、凹部３５内に収容される。したがって、この凹部３５に肘掛け６が取り付けられることにより、張材２２の側部開口４０ａや連結板４２が露出されることなく隠される。

　また、張材２２の開口部４０に取り付けた前側背張り芯材４３及び後側背張り芯材４４も、下部支持部２７に取り付ける。これにより、張材２２は枠部材２０に固定される。
　このようにして固定された張材２２は、本実施形態では着座者の背中によって加えられる荷重（体重）、すなわち面直方向の荷重に対しての反発力が、面材２１の同じ反発力より相対的に小さくなっている。すなわち、本実施形態では、強度部材としての枠部材２０に取り付けられた面材２１が、着座者の背中によって加えられる荷重（体重）に対して反発する反発体（弾性抵抗体）となっている。これにより、張材２２を構成する表側張材３８及び裏側張材３９の素材やデザインなどについては、反発力についての制限がないことから、求められる性質等に基づいて自由に選択される。すなわち、デザイン面等において高い自由度を有する。

　このような構成からなる背凭れ５（椅子用荷重支持部材）は、図１３に示す下枠部２４の取付部５１が、図１、図２に示す支基３に取り付けられることにより、椅子１が組み立てられる。また、このようにして背凭れ５が支基３に取り付けられたことにより、張材２２の開口部４０に取り付けた前側背張り芯材４３や後側背張り芯材４４は露出することなく張材２２内に納められる。

　本実施形態の椅子用荷重支持部材（背凭れ５）にあっては、枠部材２０に被せられた張材２２とは別に、杆材１９、１９間に面直方向の荷重に対して反発力を有する面材２１を架設しているので、例えば面材２１の強度を、着座者の荷重を支持しうる大きさに設定することにより、張材２２の素材等を適宜選択することが可能になる。したがって、デザイン面での自由度を大幅に高めることができる。また、張材２２はそれ自体の形状及び張力で杆材１９に巻きつくようにして枠部材２０に支持されるので、専用の支持部を必要とせず、杆材１９の形状を複雑化させることなく安価に枠部材２０を成形することができる。加えて、杆材１９の内側面に形成された側部支持部２６が張材２２で隠されることにより、側部支持部２６によって外観が悪くなることを防止することができる。

　また、側部支持部２６が、各杆材１９の内側面に形成された嵌合凹部２９であるので、このような嵌合凹部２９を有する杆材１９の形状を作る際に、２つの金型を荷重受面の面直方向に並べて成型することによって容易に成形することができる。したがって、枠部材２０をより安価に成形することができる。

　また、支持材２８の荷重受面側の端部が、杆材１９における嵌合凹部２９を形成する部位の荷重受面側の端部よりも、荷重受面側と反対の側寄りに位置しているので、面材２１の位置が杆材１９の荷重受面側の端部よりも椅子１の背面側に後退する（オフセットされる）。したがって、面材２１が張材２２の表側張材３８に裏から当接することで張材２２の変形が防止されるため、外観をより良くすることができる。

　また、袋状の張材２２が面材２１よりも反発力が小さいことから、張材２２は面材２１よりも相対的に柔らかく（弾性抵抗力が小さく）なり、したがって着座者の体重等により張材２２に荷重がかかっても、張材２２と杆材１９との間で摩擦抵抗が生じにくくなる。
　また、張材２２は柔らかいため、張材２２が杆材１９に密着することなく接するため、面直方向から荷重が張材２２にかかっても杆材１９と干渉しないため、摩擦音の発生が防止、あるいは抑制される。また、相対的に硬い面材２１によって着座者の身体を支持する力が確保されるが、この面材２１は杆材１９の対向面間に架設されているので、袋状の張材２２と干渉することがない。

　本実施形態の椅子１にあっては、デザイン面での自由度が高い背凭れ５を備えるので、椅子１自体のデザイン面での自由度も大幅に高まる。また、杆材１９の形状を複雑化させることなく安価に枠部材２０を成形することができるため、椅子１自体のコストの低減化を図ることができる。

　次に、本発明に係る椅子用荷重支持部材の他の実施形態について説明する。
　図２０は、本発明に係る椅子用荷重支持部材となる背凭れ６０の要部断面図、すなわち上記実施形態における図１５に対応する横断面図（図１４ＡのＡ－Ａ線矢視断面図）である。

　本実施形態の背凭れ６０が上記実施形態の背凭れ５と異なるところは、図２０に示すように表側張材３８と面材（内装材）２１との間にスペーサ面材６１が配設されている点である。スペーサ面材６１は、例えば不織布やエラストマーなどによって形成され、着座者の背中によって加えられる荷重（体重）、すなわち面直方向の荷重に対してのスペーサ面材の反発力が、面材２１における面材本体２１ａの反発力より相対的に小さくなるように形成されている。なお、スペーサ面材６１の反発力は、表側張材３８における反発力に対して、相対的に大きくても、小さくても、同等であってもよい。

　このようなスペーサ面材６１は、図１３や図１７に示す表側張材３８とほぼ同形状で同寸法の矩形状に形成され、その四辺、すなわち上端縁部と両側端縁部と下端縁部とが表側張材３８に縫合されて、表側張材３８に一体的に取り付けられている。すなわち、図２０に示すように表側張材３８の両側端縁部においては、スペーサ面材６１の各側端縁部が表側張材３８の各側端縁部と共に折り返されてその状態で縫合され、これによって表側張材３８に一体的に取り付けられている。

　また、スペーサ面材６１の上端縁部及び下端縁部も、両側端縁部と同様に表側張材３８の上端縁部や下端縁部に一体的に取り付けられている。そして、このようにスペーサ面材６１を一体的に取り付けた表側張材３８の各側端縁部及び上端縁部と、同様に折り返され、縫合された裏側張材３９の各側端縁部及び上端縁部とがさらに縫合され、一体化されていることにより、スペーサ面材６１を一体的に取り付けた張材２２が形成される。

　このようにして形成されたスペーサ面材６１を有する張材２２は、上記実施形態と同様に枠部材２０に被せられる。すなわち、図１３に示した開口部４０を通して枠部材２０に枠部材２０の上端側から被せられ、被着される。

　本実施形態の椅子用荷重支持部材（背凭れ６０）にあっては、上記実施形態の背凭れ５と同じ作用効果に加えて、以下の作用効果を有する。
　すなわち、面材２１（面材本体２１ａ）よりも反発力が小さいスペーサ面材６１を表側張材３８と面材２１との間に配設しているので、着座者が表側張材３８を介してその体重を背凭れ６０に加える際、背凭れ６０は表側張材３８の撓みにスペーサ面材６１の撓みを加えた状態で面材２１によって着座者の体重を支える。したがって、スペーサ面材６１の撓みが加わった分、着座時により柔らかさを感じることができ、着座感がより良好になる。また、スペーサ面材６１が介在することで張材２２の上縁部が面材２１の上縁部に直接的に当たりにくくなり、長時間連続的に使用しても面材２１の上縁部が伸びることが抑制される。

　また、スペーサ面材６１が面材２１の表面側から杆材１９の表面側までを連続して覆っているので、スペーサ面材６１が面材２１と杆材１９との間を埋めるため、これらの間の段差の影響がほとんどなくなる。したがって、この段差により着座者の背中に違和感が生じる可能性がなくなる。
　また、予めスペーサ面材６１が表側張材３８の裏面に一体的に取り付けられているので、枠部材２０に張材２２を被せて背凭れ６０を組み立てる工程を容易に行うことができる。

　なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
　例えば、上記実施形態では袋状の張材２２が面材２１よりも反発力が小さくなるようにしたが、張材２２の反発力が面材２１の反発力と同等であってもよく、さらには面材２１の反発力より大きくしてもよい。

　また、上記実施形態では、前側背張り芯材４３や後側背張り芯材４４を介して表側張材３８の下端部、裏側張材３９の下端部をそれぞれ下枠部２４に取り付けたが、表側張材３８の下端部や裏側張材３９の下端部の下枠部２４への取り付けについては、前側背張り芯材４３や後側背張り芯材４４以外の適宜な部材を用いて行ってもよい。

　また、面材２１（内装材）としては、図１３に示したように面材本体２１ａが連続した一様の面を形成することなく、例えば面材本体がスリットを有した形状となっていてもよい。具体的には、左右方向に長いスリットを、上下方向に複数（例えば２本～５本）略等間隔で形成し、これらスリット間を帯状に形成してもよい。このようにスリットを形成することで面材（内装材）の柔軟性を高めることができる。なお、このようにスリットを形成した場合でも、面材本体は、例えばナイロンやポリプロピレン等の樹脂（エラストマー）によって形成されることができる。また、面材（内装材）を構成する側部支持フレーム２１ｂや下部支持フレーム２１ｃは、面材本体の端部を折曲することで面材本体と一体に形成されてもよい。

　本発明によれば、操作部材が操作姿勢とされたときに操作部材と隣接部材とによって生じる隙間が遮蔽部によって閉塞され、利用者の指が操作部材と隣接部材との間に挟まれることを防止することができ、利用者に不快感を与えることを防止することができる。
　また、本発明の椅子用荷重支持部材によれば、枠部材の形状を複雑化することなく枠部材で外装材と内装材とを支持することができ、デザイン面での自由度を高くすることができる。
　さらに、本発明の椅子によれば、デザイン面での自由度が大幅に高まるとともに、杆材の形状を複雑化することなく安価に枠部材を成形することができる。

１　椅子
２　脚部
３　支基
４　座（座体）
５、６０　背凭れ（椅子用荷重支持部材）
６　肘掛
７　操作ユニット
７ａ　ホルダ
７ａ１　ベース部
７ａ２　軸受部
７ａ３　収容溝
７ａ４　波型部
７ａ５　フランジ
７ｂ　昇降操作部材（操作部材）
７ｂ１　枢軸
７ｂ２　操作プレート
７ｂ３　連結部
７ｂ４　突出部
７ｂ５　遮蔽片（遮蔽部）
７ｂ５１　前端
７ｂ５２　最大突出部
７ｂ５３　湾曲辺
７ｂ５４　傾斜辺
７ｂ６　先端
７ｂ７　窪み
７ｃ　ロッキング調整操作部材（第２操作部材）
７ｃ１　胴部
７ｃ２　レバー
７ｃ３　ノック機構
７ｃ３１　バネ
７ｃ３２　先端部
７ｄ　カバー
１９　杆材
２０　枠部材
２１　面材（内装材）
２２　張材（外装材）
２６　側部支持部（支持部）
２８　支持材
２９　嵌合凹部
３８　表側張材
３９　裏側張材
６１　スペーサ面材

Claims (8)

1. 　椅子に備えられる椅子用荷重支持部材であって、
   　前記椅子の幅方向に離間して略平行に配置された一対の杆材を備える強度部材としての枠部材と、
   　前記椅子の荷重受面側に配置される表側張材と前記荷重受面の反対側に配置される裏側張材とが、前記杆材の長さ方向における一端縁及び前記幅方向の両方の側端縁において接合されるとともに、前記長さ方向における他端縁側に、前記幅方向に連続する開口部を有した袋状に形成されて、前記開口部を通して前記枠部材に該枠部材の前記長さ方向における一端側から被せられた外装材と、を備え、
   　前記一対の杆材には、互いに対向する内側面にそれぞれ支持部が設けられ、
   　前記一対の杆材間には、面直方向の荷重に対して反発力を有する内装材が前記支持部に支持されることによって架設されている椅子用荷重支持部材。
2. 　前記支持部は、前記荷重受面側へ開口する嵌合凹部を有している請求項１記載の椅子用荷重支持部材。
3. 　前記支持部は、前記杆材と該杆材の内側面側に隙間をあけて配設された支持材とからなるとともに、前記杆材と前記支持材との間の前記隙間が前記嵌合凹部とされ、
   　前記支持材の前記荷重受面側の端部は、前記杆材における前記嵌合凹部を形成する部位の前記荷重受面側の端部よりも、前記荷重受面側と反対の側寄りに位置している請求項２記載の椅子用荷重支持部材。
4. 　前記外装材の前記面直方向の荷重に対しての反発力は、前記内装材の前記面直方向の荷重に対しての反発力よりも相対的に小さい請求項１～３のいずれか一項に記載の椅子用荷重支持部材。
5. 　前記表側面材と前記内装材との間にスペーサ面材が配設されており、
   　前記スペーサ面材の前記面直方向の荷重に対しての反発力は、前記内装材の前記面直方向の荷重に対しての反発力よりも相対的に小さい請求項１～４のいずれか一項に記載の椅子用荷重支持部材。
6. 　前記スペーサ面材は、前記内装材の表面側から前記杆材の表面側までを連続して覆っている請求項５記載の椅子用荷重支持部材。
7. 　前記スペーサ面材は、前記表側張材の裏面に一体的に取り付けられている請求項５または６に記載の椅子用荷重支持部材。
8. 　請求項１～７のいずれか一項に記載の椅子用荷重支持部材を、前記杆材が上下方向に沿って配置されるとともに、前記開口部が下端部に配置される背凭れとして備える椅子。

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