WO2014119366A1 - クリップの装着構造 - Google Patents

Abstract

　クリップ（１）の装着構造は、クリップ（１）とクリップ（１）によってパネル部材に取り付けられる取付部材（２）を有する。クリップ（１）は、アンカー部（１０）と一対の弾性爪（１４ａ）を有する。アンカー部（１０）は、取付部材（２）に回転可能に装着されかつパネル部材に形成された長孔状のクリップ孔に挿し込まれる。一対の弾性爪（１４ａ）は、アンカー部（１０）に形成されかつクリップ孔の向かい合う両長縁に係合する。一対の弾性爪（１４ａ）がクリップ孔の長縁に係合した取り付け状態からクリップ（１）をクリップ孔に対して略９０°回転させると、一対の弾性爪（１４ａ）が長縁から係合解除される。取付部材（２）は、一対のリブ（３６）を有する。一対のリブ（３６）は、クリップ（１）の一対の弾性爪（１４ａ）がクリップ孔の長縁に係合する向きとなるようにクリップ（１）の取付部材（２）に対する装着方向を規制する。

Description

クリップの装着構造

　本発明は、クリップの装着構造に関する。

　クリップは、例えば取付部材に装着されて、取付部材をパネル部材に取付ける。パネル部材には向かい合う両縁を備えるクリップ孔が形成される。クリップは、アンカー部とアンカー部に形成された一対の弾性爪を有する。アンカー部がクリップ孔に挿し込まれ、弾性爪がクリップ孔の両縁に係合する。

　特開２００６－２１１２１１号公報には、長孔状のクリップ孔が形成されたパネル部材が開示されている。クリップは、取付状態において一対の弾性爪がクリップ孔の長縁に係合している。クリップをクリップ孔に対して略９０°回転させることで、クリップがクリップ孔から外れる。これによりクリップをパネル部材から取外すことができる。クリップをパネル部材から取外すとき、一対の弾性爪の係合力に抗して弾性爪をクリップ孔から引き抜く必要がない。したがって一対の弾性爪が強固にパネル部材に係合しても、クリップを取外すために必要な力が小さい。

　クリップ孔にアンカー部を挿し込む際、一対の弾性爪をクリップ孔の長縁に向けて移動させる。誤って一対の弾性爪をクリップ孔の短縁に向けて移動させた場合、弾性爪がクリップ孔の縁に係合しない。そのためクリップの取付部材に対する角度に注意しつつクリップを取付部材に装着する必要がある。

　したがって従来パネル部材から容易に取外すことができ、かつ取付部材に対して容易に正しく装着され得るクリップが必要とされている。

　本発明の１つの特徴によると、クリップの装着構造は、クリップとクリップによってパネル部材に取り付けられる取付部材を有する。クリップは、アンカー部と一対の弾性爪を有する。アンカー部は、取付部材に回転可能に装着されかつパネル部材に形成された長孔状のクリップ孔に挿し込まれる。一対の弾性爪は、アンカー部に形成されかつクリップ孔の向かい合う両長縁に係合する。一対の弾性爪がクリップ孔の長縁に係合した取り付け状態からクリップをクリップ孔に対して略９０°回転させると、一対の弾性爪が長縁から係合解除される。取付部材は、一対のリブを有する。一対のリブは、クリップの一対の弾性爪がクリップ孔の長縁に係合する向きとなるようにクリップの取付部材に対する装着方向を規制する。

　したがってクリップをクリップ孔に対して略９０°回転させることで一対の弾性爪が長縁から係合解除され得る。そのため従来技術と同様にクリップをパネル部材から取り外す際に必要な操作力を小さくできる。誤った方向にクリップを取付部材に装着しようとした場合には、クリップが取付部材のリブに干渉する。したがってクリップの取付部材に対する誤装着を防止できる。

　他の特徴によると、アンカー部には、リブに干渉することでクリップが取付部材から抜け出ることを防止する脱落防止片が設けられていても良い。したがってクリップが取付部材に装着された状態から外される方向に外力を受けても、脱落防止片がリブに干渉する。これによりクリップが取付部材から抜け出ることを防止できる。

　他の特徴によると、アンカー部には、取付部材の第１の窪みに入り込むことでクリップの取付部材に対する空転を防止する突起が設けられていても良い。したがって例えば、客先に納品するときの輸送時の振動により、クリップが取付部材から外れることを防止できる。

　他の特徴によると、取付部材には、クリップをクリップ孔に対して略９０°回転させると、第１の窪みから脱した突起が取付部材の表面を乗り越えて入り込む第２の窪みが設けられていても良い。したがって取付部材をパネル部材から取り外すために、クリップをクリップ孔に対して略９０°回転させると、クリップの突起が第１の窪みから第２の窪みへ移動する。突起は、第１の窪みから脱した後に取付部材の表面を乗り越えて第２の窪みへ入り込む。したがって突起が第２の窪みへ入り込むことで、作業者はクリップを略９０°回転させたという節度感を得ることができる。

インナーパネルとカバー部材とクリップの組付け前の斜視図である。 クリップの上方斜視図である。 クリップの下方斜視図である。 カバー部材の一部拡大図である。 クリップをカバー部材に装着する手順を示すクリップとカバー部材の斜視図である。 図５のVI―VI線断面矢視図である。 クリップをカバー部材に誤って装着する例を示すクリップとカバー部材の斜視図である。 図７のVIII―VIII線断面矢視図である。 図５の次手順を示すクリップとカバー部材の斜視図である。 図９のX―X線断面矢視図である。 図９の次手順を示すクリップとカバー部材の斜視図である。 図１１のXII―XII線断面矢視図である。 クリップの装着部の抜け防止作用を説明するためのクリップとカバー部材の斜視図である。 図１３のXIV―XIV線断面矢視図である。 インナーパネルとカバー部材とクリップの組付け後の斜視図である。 図１５におけるクリップとインナーパネルのクリップ孔との関係を示す模式図である。 図１５におけるクリップとカバー部材の取付孔との関係を示す模式図である。 インナーパネルからカバー部材を取外す手順を説明するためのインナーパネルとカバー部材とクリップの斜視図である。 図１８におけるクリップとインナーパネルのクリップ孔との関係を示す模式図である。 図１８におけるクリップとカバー部材の取付孔との関係を示す模式図である。

　図１～２０を用いて本発明の１つの実施形態を説明する。図１に示すようにクリップの装着構造は、クリップ１と取付部材とパネル部材を有する。取付部材は、例えば車両ドアの内装部材であるカバー部材２である。パネル部材は、例えば車両ドアのインナーパネル３である。クリップ１によってカバー部材２がインナーパネル３に組付けられる。

　図２，３に示すようにクリップ１は、アンカー部１０と装着部２０を有する。アンカー部１０は、インナーパネル３に取付けられる。装着部２０は、カバー部材２に装着される。アンカー部１０は、ベースプレート１２と一対の弾性爪１４ａを有する。ベースプレート１２は、矩形状である。ベースプレート１２の中央から支柱１４が延出し、支柱１４から弾性爪１４ａが延出する。ベースプレート１２の各長縁から一対の脱落防止片１２ａが延出する。脱落防止片１２ａは、長縁の略中央からベースプレート１２の上面と略並行に延出する。

　図２，３に示すようにベースプレート１２には一対の弾性片１２ｂが設けられる。弾性片１２ｂは、支柱１４が延出する方向と反対方向にベースプレート１２から斜めに延出する。弾性片１２ｂは、ベースプレート１２の各短縁の近傍に設けられる。短縁は、長縁よりも短く、長手方向に直交する方向に延出する。弾性片１２ｂは、ベースプレート１２の反対側の反対面を有する。その反対面に突起１２ｃが設けられる。突起１２ｃは、弾性片１２ｂが弾性変形することで弾性的に移動し得る（弾性突起）。

　図２，３に示すように装着部２０は、支柱２２とフランジ２４とスタビライザー２６を有する。支柱２２は、円柱状である。支柱２２は、支柱１４が延出する方向と反対方向にベースプレート１２から延出する。フランジ２４は、支柱２２の外周面から突出する。スタビライザー２６は、支柱２２の先端に形成される。

　図１０，１２を参照するようにフランジ２４と弾性片１２ｂは、取付部３０を挟む。取付部３０の表面３０ａに弾性片１２ｂの撓みの反力が作用する。これにより装着部２０が取付部３０から抜けることを抑制できる。

　カバー部材２の取付部３０に装着部２０を装着したとき、スタビライザー２６の撓みの反力が取付部３０の底面３０ｂに作用する。これにより装着部２０がカバー部材２に対してガタつくことが抑制され得る。スタビライザー２６の下面には、工具（図示しない）を挿し込んでクリップ１を回転させることができる工具挿込孔２６ａが形成される。

　図４を参照するようにカバー部材２の適宜の位置には、クリップ１の装着部２０が装着される取付部３０が形成される。取付部３０は、案内溝３２と円状の取付孔３４を有する。取付孔３４は、案内溝３２の底に形成される。取付孔３４は、クリップ１の支柱２２より僅かに大きい。取付部３０には、取付孔３４を境にして案内溝３２と対向する位置に第１の窪み３４ａが形成される。取付部３０には、案内溝３２と第１の窪み３４ａを結ぶ線と直交する位置に第２の窪み３４ｂと第３の窪み３４ｃが形成される。

　取付部３０には、案内溝３２の入口近傍に一対のリブ３６が形成される。一対のリブ３６の間隔は、クリップ１のベースプレート１２の短縁長さより僅かに広く、長縁よりも狭い。これによりクリップ１の装着部２０は、所定の方向（ベースプレート１２の長手方向）のみにおいてカバー部材２の取付部３０に受け入れられ得る。この装着方向において装着部２０を取付部３０に装着すると、一対の弾性爪１４ａがインナーパネル３のクリップ孔４０の向かい合う長縁を待ち受けるようにクリップ１の向きが設定される。

　装着部２０を取付部３０に対してこの装着方向と直交する方向（ベースプレート１２の短手方向）に装着しようとした場合、クリップ１のベースプレート１２が一対のリブ３６に干渉する。これにより装着部２０を取付部３０に装着できない。

　図１０に示すようにリブ３６は、クリップ１の装着部２０を受け入れる側に緩やかな傾斜壁３６ａを有し、その反対側に直立する立壁３６ｂを有する。これにより装着部２０を取付部３０に装着するときのみにおいて、ベースプレート１２の脱落防止片１２ａがリブ３６を乗り越えることができる。

　図１に示すようにインナーパネル３には、長孔状のクリップ孔４０が形成される。クリップ孔４０にカバー部材２に装着されたクリップ１のアンカー部１０が挿入される。これによりインナーパネル３にカバー部材２が組み付けられる。クリップ孔４０の短縁長さは、アンカー部１０の一対の弾性爪１４ａが各長縁に係合するように設定される。

　クリップ１を略９０°回転させると長縁に係合した一対の弾性爪１４ａが長縁から係合解消するようにクリップ孔４０の長縁長さが設定される。したがってクリップ１を略９０°回転させるとクリップ１がインナーパネル３から脱落可能になる。

　図１，５～１７を参照してクリップ１によってカバー部材２をインナーパネル３に組み付ける手順を説明する。作業者は、図１に示す状態から図５，６に示すようにカバー部材２の案内溝３２にクリップ１の支柱２２を挿し込む。これによりクリップ１のフランジ２４と弾性片１２ｂによって取付部３０を挟む。

　図６に示す支柱２２を図５に示す案内溝３２に対してベースプレート１２の長手方向に挿し込む。図７，８に示すように誤って支柱２２を案内溝３２に対してベースプレート１２の短手方向に挿し込んだ場合、ベースプレート１２がカバー部材２のリブ３６に干渉する。そのため支柱２２を案内溝３２に挿し込むことができない。これによりクリップ１のカバー部材２に対する誤装着を防止できる。

　図５に示すように挿し込み作業を行うと、図９，１０に示すようにクリップ１の脱落防止片１２ａが傾斜壁３６ａを利用してリブ３６を乗り越える。さらにこの挿し込み作業を行うと、図１１，１２に示すようにクリップ１の支柱２２が取付孔３４に到達する。これによりクリップ１の装着部２０がカバー部材２の取付部３０に装着される。

　図１１，１２に示すようにクリップ１の弾性片１２ｂは、カバー部材２の取付部３０の表面３０ａによって撓む。これにより装着部２０が取付部３０から抜けることが抑制され得る。クリップ１のスタビライザー２６の撓みの反力がカバー部材２の底面３０ｂに作用する。これにより装着部２０が取付部３０に対してガタつくことが抑制され得る。

　図１１，１２に示すように装着部２０が取付部３０に装着された状態から外される方向に外力が作用した場合、図１３，１４に示すようにクリップ１の脱落防止片１２ａがカバー部材２のリブ３６の立壁３６ｂに干渉する。したがって装着部２０がカバー部材２の取付部３０から抜け出ることを防止できる。

　図１１，１２に示す状態から、図１５～１７に示すようにクリップ１のアンカー部１０をインナーパネル３のクリップ孔４０に挿し込む。一対の弾性爪１４ａがクリップ孔４０の両長縁に係合する。これによりカバー部材２がクリップ１によってインナーパネル３に組み付けられる。クリップ１の突起１２ｃは、それぞれ案内溝３２と第１の窪み３４ａに入り込む。

　カバー部材２をインナーパネル３から取り外す手順を説明する。まず図３，１２を参照するようにカバー部材２の貫通孔３０ｃから工具をクリップ１の工具挿込孔２６ａに挿し込む。工具によってクリップ１をクリップ孔４０に対して略９０°回転させる。これにより図１８，１９に示すようにアンカー部１０の一対の弾性爪１４ａがインナーパネル３から係合解消される。そのためクリップ孔４０からアンカー部１０を引き抜くことができる。これによりカバー部材２をインナーパネル３から取り外すことができる。

　図２０に示すようにクリップ１の回転に伴って、突起１２ｃが案内溝３２と第１の窪み３４ａから第２の窪み３４ｂと第３の窪み３４ｃへ移動する。したがって突起１２ｃは、案内溝３２と第１の窪み３４ａから脱した後に取付部３０の表面３０ａを乗り越えて第２の窪み３４ｂと第３の窪み３４ｃへ入り込む。

　クリップ１の回転には、突起１２ｃが取付部３０の表面を乗り越えることが必要となる。したがってクリップ１の空回りを防止できる。突起１２ｃが取付部３０の表面を越えて第２の窪み３４ｂと第３の窪み３４ｃへ入り込む。これにより作業者は、クリップ１を略９０°回転させたという節度感を得ることができる。

　インナーパネル３のクリップ孔４０は、長孔状である。したがってクリップ１をクリップ孔４０に対して略９０°回転させることで一対の弾性爪１４ａが長縁から係合解除され得る。そのため従来技術と同様にクリップ１をインナーパネル３から取り外す際に必要な操作力を小さくできる。取付部３０には、案内溝３２の入口近傍に一対のリブ３６が形成される。一対のリブ３６の間隔は、クリップ１のベースプレート１２の短縁より僅かに長い。そのためカバー部材２の案内溝３２にクリップ１の支柱２２を誤った方向に挿し込もうとする時、すなわちクリップ１の装着方向が所定の方向に対して直交する方向に挿し込もうとする時、クリップ１のベースプレート１２がカバー部材２のリブ３６に干渉する。したがって、カバー部材２に対するクリップ１の誤装着を防止できる。

　ベースプレート１２の両長縁には、ベースプレート１２から延出する脱落防止片１２ａが形成される。装着部２０が取付部３０に装着させた状態から外れる方向に外力を受けた場合、脱落防止片１２ａがカバー部材２のリブ３６の立壁３６ｂに干渉する。したがって装着部２０がカバー部材２の取付部３０から抜け出ることを防止できる。

　弾性片１２ｂは、ベースプレート１２に向く面とその反対面を有する。反対面に突起１２ｃが形成される。クリップ１によってカバー部材２をインナーパネル３に組み付けた際、突起１２ｃは、案内溝３２と第１の窪み３４ａに入り込む。そのためカバー部材２に装着したクリップ１が空周りすることを防止できる。したがって例えば客先に納品するときの輸送時の振動により、クリップ１がカバー部材２から外れることを防止できる。

　取付部３０には、案内溝３２と第１の窪み３４ａとを結ぶ線と直交する位置に第２の窪み３４ｂと第３の窪み３４ｃが形成されている。カバー部材２をインナーパネル３から取り外すために、クリップ孔４０に対してクリップ１を略９０°回転させると、この回転に伴ってクリップ１の突起１２ｃは、案内溝３２と第１の窪み３４ａから第２の窪み３４ｂと第３の窪み３４ｃへ移動する。突起１２ｃは、案内溝３２と第１の窪み３４ａから脱した後に取付部３０の表面３０ａを乗り越えて、第２の窪み３４ｂ、第３の窪み３４ｃへ入り込む。したがって突起１２ｃが第２の窪み３４ｂと第３の窪み３４ｃへ入り込むことで、作業者はクリップ１を略９０°回転させたという節度感を得ることができる。

　本発明の形態を上記構造を参照して説明したが、本発明の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。したがって本発明の形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。例えば本発明の形態は、前記特別な構造に限定されず、下記のように変更が可能である。

　取付部材は、上述するように車両ドアの内装部材であるカバー部材２であっても良い。パネル部材は、上述するように車両ドアのインナーパネル３でも良い。これに代えて取付部材が各種の取付部材であり、パネル部材が各種のパネル部材であっても良い。

　カバー部材２は、上述するようにクリップ１を取り付けるための１個の取付部３０を有していても良い。これに代えてカバー部材２は、取付部３０を複数、例えば２個、４個等有していても良い。

Claims (4)

1. 　クリップの装着構造であって、
   　クリップと、
   　前記クリップによってパネル部材に取り付けられる取付部材を有し、
   　前記クリップは、前記取付部材に回転可能に装着されかつ前記パネル部材に形成された長孔状のクリップ孔に挿し込まれるアンカー部と、前記アンカー部に形成されかつ前記クリップ孔の向かい合う両長縁に係合する一対の弾性爪を有し、一対の前記弾性爪が前記クリップ孔の前記長縁に係合した取り付け状態から前記クリップを前記クリップ孔に対して略９０°回転させると、一対の前記弾性爪が前記長縁から係合解除される構成であり、
   　前記取付部材は、前記クリップの一対の前記弾性爪が前記クリップ孔の前記長縁に係合する向きとなるように前記クリップの前記取付部材に対する装着方向を規制する一対のリブを有するクリップの装着構造。
2. 　請求項１に記載のクリップの装着構造であって、
   　前記アンカー部には、前記リブに干渉することで前記クリップが前記取付部材から抜け出ることを防止する脱落防止片が設けられるクリップの装着構造。
3. 　請求項１または２に記載のクリップの装着構造であって、
   　前記アンカー部には、前記取付部材の第１の窪みに入り込むことで前記クリップの前記取付部材に対する空転を防止する突起が設けられるクリップの装着構造。
4. 　請求項３に記載のクリップの装着構造であって、
   　前記取付部材には、前記クリップを前記クリップ孔に対して略９０°回転させると、前記第１の窪みから脱した前記突起が前記取付部材の表面を乗り越えて入り込む第２の窪みが設けられるクリップの装着構造。

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