WO2014102941A1

WO2014102941A1 - スライドファスナー開具及びファスナーチェーン

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Publication number: WO2014102941A1
Application number: PCT/JP2012/083723
Authority: WO
Inventors: 剛高荷
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2012-12-26
Filing date: 2012-12-26
Publication date: 2014-07-03
Also published as: TW201433277A

Abstract

　一対のファスナーテープ（４）の対向する側縁部（４１）に沿って配置された複数のエレメント（５）を含むエレメント列（６）を備えた一対のファスナーストリンガー（３）の端部に配置されるスライドファスナー開具（１０）であって、一方のファスナーテープ（４）のエレメント列（６）の端部に配置された蝶棒（１１）と、他方のファスナーテープ（４）のエレメント列（６）の端部において双方のファスナーテープ（４）を跨ぐようにファスナーテープ（４）の幅方向に延設され、蝶棒（１１）を内部に収容可能な箱体（１２）と、他方のファスナーテープ（４）上において蝶棒（１１）と対向し、エレメント列（６）と箱体（１２）との間に配置され、箱体（１２）との間に第１の隙間（１４）を形成するように箱体（１２）から離間して配置された箱棒（１３）とを備えることを特徴とするスライドファスナー開具（１０）である。　

Description

スライドファスナー開具及びファスナーチェーン

　本発明は、スライドファスナー開具及びこれを用いたファスナーチェーンに関する。

　スライドファスナーの端部には、ファスナーチェーンの連結及び分離を可能とする開具（開離嵌挿具）が取り付けられることがある。開具は一般に、箱棒、箱体及び蝶棒から構成される。例えば、米国特許第２，０９８，３３８号は、ファスナーテープの終端に金属製の開具が取り付けられたスライドファスナーの例を開示している。この開具は、ピン状の蝶棒と、蝶棒からエレメント列に向けて延び、蝶棒とスペースを空けて配置された筒状の補強部と、蝶棒を収納するための凹部を有する箱型のソケットと、ソケットからエレメント列に向けて延び、補強部と噛み合って位置ずれを抑制する箱棒とを備えている。

米国特許第２，０９８，３３８号明細書

　このような開具は、外部との接触、長年の使用、或いは開閉時における作業者の操作等により破損又は変形が生じる場合がある。また、ファスナーチェーンが連結された状態でファスナーテープが撓むと、箱棒と箱体との連結部分に外力が加わり、場合によっては箱棒が変形又は破損することがある。

　そこで、本発明は、開具の変形及び破損を抑制可能なスライドファスナー開具及びこれを用いたファスナーチェーン及びスライドファスナーを提供する。

　上記課題を解決するために、本発明の態様によれば、一対のファスナーテープの対向する側縁部に沿って配置された複数のエレメントを含むエレメント列を備えた一対のファスナーストリンガーの端部に配置されるスライドファスナー開具であって、一方のファスナーテープのエレメント列の端部に配置された蝶棒と、他方のファスナーテープのエレメント列の端部において双方のファスナーテープを跨ぐようにファスナーテープの幅方向に延設され、蝶棒を内部に収容可能な箱体と、他方のファスナーテープ上において蝶棒と対向し、エレメント列と箱体との間に配置され、箱体との間に第１の隙間を形成するように箱体から離間して配置された箱棒とを備えるスライドファスナー開具が提供される。

　本発明に係るスライドファスナー開具は一実施態様において、蝶棒が、第２の隙間を介して少なくとも２つに分割されていることを含む。

　本発明に係るスライドファスナー開具は別の一実施態様において、第２の隙間は、蝶棒を箱体内に収容したときに箱体の外部に露出した蝶棒の一部に形成されていることを含む。

　本発明に係るスライドファスナー開具は更に別の一実施態様において、箱棒は、蝶棒と対向する蝶棒対向面から蝶棒側に向けて突出する係止凸部を備え、蝶棒は、箱棒と対向する箱棒対向面に設けられ係止凸部を収容可能な収容凹部を備えることを含む。

　本発明に係るスライドファスナー開具は更に別の一実施態様において、蝶棒が、ファスナーテープの幅方向に延在する蝶棒補強部を、ファスナーテープの長手方向の終端に備えることを含む。

　本発明に係るスライドファスナー開具は更に別の一実施態様において、箱体が、ファスナーテープの幅方向に延在する箱体補強部を、ファスナーテープの長手方向の終端に備えることを含む。

　本発明に係るスライドファスナー開具は更に別の一実施態様において、蝶棒、箱棒の表面上に、孔部が形成されていることを含む。

　本発明に係るスライドファスナー開具は更に別の一実施態様において、蝶棒、箱棒及び箱体が樹脂製である。

　本発明に係るスライドファスナー開具は更に別の一実施態様において、蝶棒、箱棒及び箱体が金属製である。

　本発明の別の態様によれば、一対のファスナーテープの対向する側縁部に沿って配置された複数のエレメントを含むエレメント列を備えた一対のファスナーストリンガーと、エレメント列の端部に配置されるスライドファスナー開具とを備えるファスナーチェーンであって、一方のファスナーテープのエレメント列の端部に配置された蝶棒と、他方のファスナーテープのエレメント列の端部において双方のファスナーテープを跨ぐようにファスナーテープの幅方向に延設され、蝶棒を内部に収容可能な箱体と、他方のファスナーテープ上において蝶棒と対向し、エレメント列と箱体との間に配置され、箱体との間に第１の隙間を形成するように箱体から離間して配置された箱棒と備えるファスナーチェーンが提供される。

　本発明に係るファスナーチェーンは一実施態様において、蝶棒が、第２の隙間を介して少なくとも２つに分割されていることを含む。

　本発明に係るファスナーチェーンは別の一実施態様において、第２の隙間は、蝶棒を箱体内に収容したときに箱体の外部に露出した蝶棒の一部に形成されていることを含む。

　本発明に係るファスナーチェーンは更に別の一実施態様において、箱棒は、蝶棒と対向する蝶棒対向面から蝶棒側に向けて突出する係止凸部を備え、蝶棒は、箱棒と対向する箱棒対向面に設けられ係止凸部を収容可能な収容凹部を備えることを含む。

　本発明に係るファスナーチェーンは更に別の一実施態様において、蝶棒が、ファスナーテープの幅方向に延在する蝶棒補強部を、ファスナーテープの長手方向の終端に備え、箱体が、ファスナーテープの幅方向に延在する箱体補強部を、ファスナーテープの長手方向の終端に備えることを含む。

　本発明に係るファスナーチェーンは更に別の一実施態様において、ファスナーテープの長手方向の終端に補強層が形成されていることを含む。

　本発明によれば、開具の変形及び破損を抑制可能なスライドファスナー開具及びこれを用いたファスナーチェーン及びスライドファスナーが提供できる。

本発明の第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具つきファスナーチェーン及びスライドファスナーの一例を表す平面図である。本発明の第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具の一例を表す部分拡大図である。本発明の第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具の蝶棒、箱体、箱棒の詳細形状を表す斜視図である。本発明の第１の実施の形態に係るスライドファスナーのエレメント列を噛合させるときの操作を表す説明図である。本発明の第１の実施の形態に係るスライドファスナーのエレメント列を噛合させるときの操作を表す説明図である。本発明の第１の実施の形態に係るスライドファスナーのエレメント列を噛合させるときの操作を表す説明図である。本発明の第１の実施の形態に係るスライドファスナーの噛合状態のエレメント列の例を表す平面図である。本発明の第２の実施の形態に係るスライドファスナーを表す平面図である。本発明の第２の実施の形態に係るスライドファスナー開具の蝶棒、箱体、箱棒の詳細形状を表す斜視図である。本発明の第３の実施の形態に係るスライドファスナーを表す平面図である。本発明の第３の実施の形態に係るスライドファスナーのエレメント列を噛合させた状態を表す平面図である。本発明の第４の実施の形態に係るスライドファスナー開具の箱棒及び箱体を表す斜視図である。本発明の第４の実施の形態に係るスライドファスナー開具の蝶棒を表す斜視図である。本発明の第４の実施の形態に係るスライドファスナーのエレメント列を噛合させた状態を表す平面図である。本発明の変形例に係るスライドファスナー開具を表す平面図である。

　以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載においては、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお以下に示す実施の形態はこの発明の技術的思想を具体化するための具体例を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部品の構造、配置、材質等を下記のものに特定するものではない。

（第１の実施の形態）
　図１は、本発明の第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具１０を備えたファスナーチェーン２上にスライダー８を取り付けて得られるスライドファスナー１の正面図である。ファスナーチェーン２は、一対のファスナーテープ４の対向する側縁部４１に沿って列設された複数のエレメント５を含むエレメント列６を備える一対のファスナーストリンガー３と、エレメント列６の一方の端部に配置された止具７と、エレメント列６の他方の端部に配置されたスライドファスナー開具１０とを備える。

　図７に示すように、複数のエレメント５はそれぞれ平面視がファスナーテープ４の長手方向に長円形状を有する噛合頭部５１と、噛合頭部５１からファスナーテープ４の幅方向へ延びる首部５２と、首部５２から更にファスナーテープ４の幅方向へと延びる基部５３とを備えている。向かい合うエレメント５の噛合頭部５１と首部５２とがファスナーテープ４の側縁部４１上でスライダー８を用いて噛合又は噛合解除させることにより、スライドファスナー１の開閉が行われる。

　スライドファスナー開具１０は、図２に示すように、一方のファスナーテープ４（図２の紙面左側のファスナーテープ４）のエレメント列６の端部に配置された蝶棒１１と、他方のファスナーテープ４（図２の紙面右側のファスナーテープ４）のエレメント列６の端部において双方のファスナーテープ４を跨ぐように延設され、蝶棒１１を内部に収容可能な箱体１２と、他方のファスナーテープ４上において蝶棒１１と対向し、エレメント列６と箱体１２との間に配置され、箱体１２との間に第１の隙間１４を形成するように箱体１２から離間して配置された箱棒１３とを備える。

　蝶棒１１は、第２の隙間１５を介して少なくとも２つに分割されていることが好ましい。図２においては、第２の隙間１５を介して蝶棒１１を２つの蝶棒１１ａ、１１ｂに分割した例が示されている。蝶棒１１は、一般的には、エレメント５、止具７等の部品に比べて細長い形状を有する部品であり、ファスナーテープ４の端部に配置されるため、強度が強い原材料を用いて製造しないと、手でつまんだ場合に折れたり、長年の使用又は外部との接触により破損が生じたりする場合がある。第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具１０によれば、蝶棒１１が複数の小さな部品に分割されているため、従来の細長い蝶棒と比べて外力に強く、原材料として比較的強度の弱い材料を用いて蝶棒１１を製造した場合であっても破損や変形が生じにくくなる。

　ここで、第２の隙間１５は、図１に示すように、蝶棒１１を箱体１２内に収容したときに箱体１２の外部に露出されるように、箱体１２から露出した蝶棒１１の一部上に配置されることが好ましい。これにより、ファスナーテープ４の撓み等によって箱体１２付近に外力が加わる場合も、箱体１２付近に設けられた第１の隙間１４及び第２の隙間１５においてファスナーテープ４が曲がることでその外力が蝶棒１１や箱棒１３に伝わりにくくなるため、蝶棒１１や箱棒１３の破損又は変形が抑制される。

　第１の隙間１４及び第２の隙間１５の大きさには、特に制限はない。しかしながら、隙間が大きすぎると、蝶棒１１ａ及び箱棒１３と隣接するエレメント５の噛合が外れたり異物が挟まったりするおそれがある。隙間が小さすぎると、蝶棒１１及び箱棒１３の破損抑制の効果が小さい。そのため、隙間の大きさは、ファスナーテープ４の長手方向に配置されたエレメント５とエレメント５との間隔程度とするのが好ましい。エレメント５の大きさとそれに応じたスライドファスナー開具１０の大きさによって、第１の隙間１４及び第２の隙間１５をそれぞれ任意に設定することができる。

　図２に示すように、箱体１２は、ファスナーテープ４の長手方向の終端において、ファスナーテープ４の幅方向（図２の紙面左右方向）に延設されている。図３に示すように、箱体１２は、蝶棒１１と対向する蝶棒対向面１２１上に、ファスナーテープ４の長手方向に沿ってスリット１２２が刻まれている。このスリット１２２の奥には、図４に示すように蝶棒１１ｂを収容するための空洞を有する空洞部１２４が形成されている。蝶棒１１ｂはこの空洞部１２４内に収容される。図２に示すように、箱棒１３は更に、ファスナーテープ４の長手方向の終端において、ファスナーテープ４の幅方向に延在する箱体補強部１２３を備えている。箱体補強部１２３は箱体１２と一体成形により形成されている。この箱体補強部１２３により、ファスナーテープ４の終端の強度向上が図れる。同様の目的で、箱棒１３と対向する蝶棒１１ｂにも、ファスナーテープ４の幅方向に延在する蝶棒補強部１１３が、蝶棒１１ｂと一体成形により形成されている。

　箱棒１３は、箱体１２との間に第１の隙間１４を有して配置されている。箱棒１３は、一般的には、箱体１２と連結されていることが多い。そのため、開具１０付近のファスナーテープ４が撓んだ場合には、箱体１２と箱棒１３との連結部分で割れや亀裂が発生する場合がある。第１の実施の形態では、第１の隙間１４が形成されているため、開具１０付近のファスナーテープ４が撓んだ場合でも、箱棒１３に不要な力がかからなくなるため、箱棒１３の破損又は変形が抑制される。

　箱棒１３は、図３に示すように、蝶棒１１と対向する蝶棒対向面１３１から蝶棒１１側に向けて突出する係止凸部１３２を備える。図２に示すように、係止凸部１３２は、ファスナーテープ４の長手方向に沿って配置されており、蝶棒対向面１３１の箱棒１３側からエレメント列６側に向けて徐々に蝶棒１１側へ突出するように配置されている。この係止凸部１３２を収容するために、蝶棒１１ａの箱棒１３と対向する箱棒対向面１１１には、溝状の収容凹部１１２が刻まれている。収容凹部１１２は、ファスナーテープ４の長手方向に沿って蝶棒１１ａの箱棒対向面１１１全体に延びて配置されている。

　箱棒１３と対向する蝶棒１１ａには、蝶棒１１ａの表面１１５及び裏面１１６からそれぞれ箱棒１３側に突出し、対向するファスナーテープ４のエレメント列６の最端部にあるエレメント５ａ（図２参照）の首部５２と噛み合う突片部１１７と、蝶棒１１ａの表面１１５及び裏面１１６に設けられ、突片部１１７と隣接する凹みであって最端部にあるエレメント５ａの噛合頭部５１を収容する切り欠き部１１８とを備える。突片部１１７及び切り欠き部１１８がエレメント５ａの噛合頭部５１及び首部５２と噛み合うことにより、ファスナーテープ４を幅方向へ引っ張る力が働いても、エレメント５同士の噛合が外れにくくなる。また、ファスナーテープ４の表裏方向から突き上げるような力が加わった場合でも、板状の係止凸部１３２が収容凹部１１２内に収容された状態で突片部１１７及び切り欠き部１１８がエレメント５ａの噛合頭部５１及び首部５２と噛み合っているため、エレメント５同士の噛合が外れにくくなる。

　このように、第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具１０によれば、箱体１２と箱棒１３とが第１の隙間１４を介して配置され、蝶棒１１が第２の隙間１５を介して蝶棒１１ａ、蝶棒１１ｂに分割される。これにより、ファスナーテープ４が外力により撓んだり変形したりした場合でも、蝶棒１１、箱体１２、及び箱棒１３にそれぞれ余計な力が加わらなくなる。その結果、スライドファスナー開具１０の材料として、比較的強度の弱い材料を用いた場合でも開具１０の破損が生じにくくなり、スライドファスナー開具１０の材料として様々な種類の樹脂を使用できるようになるため、生産性が向上する。スライドファスナー開具１０の材料として環境を考慮した材料を使用すれば、スライドファスナー１として使用した後の廃棄処理も容易になる。例えば、スライドファスナー開具１０に用いられる材料としては、例えば従来のポリアセタール等の樹脂、鉄、銅合金、亜鉛合金、アルミニウム合金、ステンレス等の金属の他に、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の熱可塑性合成樹脂も好適に用いることができる。

　更に、第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具１０及びこれを用いたファスナーチェーン２及びスライドファスナー１によれば、箱体１２の周辺に、第１の隙間１４及び第２の隙間１５が形成される。第１の隙間１４及び第２の隙間１５は、スライダー８を摺動させてエレメント５同士を噛合させる際に、誤って砂、泥、糸くず又はホコリなどの異物が挟まった場合に、異物を排出させるための空間としても機能させることができる。

　次に、第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具１０を備えるスライドファスナー１を用いて、一対のエレメント列６を噛合させるときの操作について、図４～図６を用いて説明する。まず、図４に示すように、スライダー８をエレメント列６に沿ってスライドさせて箱体１２のエレメント列６側の端面１２７と当接させる。これにより、ファスナーテープ４の箱棒１３、最端部のエレメント５ａはスライダー８の側面にあるフランジ８１に係止された状態でスライダー８内に収容される。この状態で、ファスナーテープ４上に取り付けられた蝶棒１１を、スライダー８の側面のフランジ８２に形成されたファスナーテープ４を挿入するための溝（図示せず）に沿ってスライダー８の内部へ収容させる。

　図５に示すように、蝶棒１１ｂは、フランジ８２に案内されながら箱棒１３に形成されている係止凸部１３２を通過し、図６に示すように、箱体１２の空洞部１２４内に収容されて箱体１２内で停止する。このとき、図６に示すように、蝶棒１１ａに形成された収容凹部１１２が箱棒１３の係止凸部１３２と対向し、係止凸部１３２が収容凹部１１２内に収容される。その後、スライダー８をエレメント列６方向へスライドさせると、蝶棒１１ｂの突片部１１７がエレメント列６の最端部にあるエレメント５ａの首部５２の凹みに収容される。これと同時に、エレメント列６の最端部にあるエレメント５ａの噛合頭部５１が、蝶棒１１ｂの切り欠き部１１８内に収容される。これにより、図１に示すように、蝶棒１１ｂと最端部にあるエレメント５ａの噛合頭部５１及び首部５２とが噛合される。その後、スライダー８をエレメント列６の止具７の方向にそのままスライドさせることにより、エレメント５同士の噛合が行われる。

（第２の実施の形態）
　第２の実施の形態に係るスライドファスナー開具１０及びこれを用いたファスナーチェーン２、スライドファスナー１は、図８及び図９に示すように、蝶棒１１ａ、１１ｂ、箱体１２、箱棒１３上にそれぞれ孔部１１９ａ、１１９ｂ、１２８、１３８が形成されている点が、第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具１０と異なる。他は、第１の実施の形態に係るスライドファスナー開具１０と同様であるので重複した記載を省略する。

　孔部１１９ａ、１１９ｂは、それぞれ蝶棒１１ａ、１１ｂの表面１１５上に形成された、ファスナーテープ４の長手方向に細長い形状を有する溝である。孔部１１９ａ、１１９ｂは、ファスナーテープ４の側縁部４１上に並んで配置されている。箱体１２のファスナーテープ４の終端側の端面１２９上は孔部１２８が形成されている。孔部１２８は、箱体１２内部に形成された空洞部１２４を貫通する孔である。孔部１３８は、箱棒１３の表面１３５上に形成された、ファスナーテープ４の長手方向に細長い形状を有する溝である。孔部１１９ａ、１１９ｂ、１３８が配置されることにより、蝶棒１１、箱棒１３及び箱体１２を射出成形により成形するときに、蝶棒１１と箱棒１３とを位置決めするためのピンを孔部１１９ａ、１１９、１３８に挿入できるため、蝶棒１１、箱棒１３及び箱体１２の位置決めがし易くなる。また、箱体１２に孔部１２８が形成されることにより、箱体１２の軽量化を行うことができる。

（第３の実施の形態）
　第３の実施の形態に係るスライドファスナー１は、図１０及び図１１に示すように、エレメント５がコイル状を有している。このコイル状のエレメント５上には、エレメント５をファスナーテープ４上に縫着するための縫着部５５が取り付けられている。図１０に示すエレメント５はポリエステル等の樹脂で形成され、縫着部５５の糸はポリアミド（ナイロン）やＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）で形成することができる。エレメント５は、噛合頭部５６と、噛合頭部５６から延びるコイル部５７を備えている。

　蝶棒１１ａには、表面１１５上から箱棒１３側へ突出する突片部１１７と、突片部１１７と隣接する凹みである切り欠き部１１８が形成されている。箱棒１３には、突片部１１７を収容するための凹みである凹部１３７が形成されている。図１１に示すように、エレメント５同士が噛合される場合に、突片部１１７は凹部１３７内に収容される。図１０及び図１１に示す例では、蝶棒１１ａの箱棒対向面１１１及び箱棒１３の蝶棒対向面１３１は平坦な面になっている。

　スライドファスナー開具１０が配置されたファスナーテープ４の終端には、補強層４２が配置されることが好ましい。補強層４２は、ポリアミド（ナイロン）やアセタール等で形成された層であり、ファスナーテープ４の長手方向の終端から、蝶棒１１ａ及び箱体１２上にまで延在している。補強層４２が配置されることにより、ファスナーテープ４の終端が補強され、長期間の使用によっても破損が生じにくいスライドファスナー１が提供できる。ポリアミドで形成された補強層４２はフィルム状の薄膜、薄い層で形成される。

（第４の実施の形態）
　第４の実施の形態に係るスライドファスナー１は、図１２～図１４に示すように、スライドファスナー開具１０を構成する蝶棒１１、箱体１２及び箱棒１３と、開具１０と隣接するエレメント５がそれぞれ金属製で形成されている点が、図１に示すスライドファスナー１と異なる。蝶棒１１は、図１３に示すように、第２の隙間１５を介して柱状の蝶棒１１ａと蝶棒１１ｂとに分割されている。箱体１２は、蝶棒１１と対向する蝶棒対向面１２１にスリット１２２を有し、内部にはスリット１２２と通じる空洞を有する空洞部１２４が形成されている。図１４に示すように、エレメント５同士が噛合してスライドファスナー１が閉じられる際には、空洞部１２４内に蝶棒１１ｂが収容される。箱棒１３は薄板状であり、箱体１２から第１の隙間１４を有して離間して配置されている。開具１０とエレメント５を構成する金属としては、亜鉛合金、銅合金、丹銅、アルミニウム合金等が使用可能である。このように、第４の実施の形態に示すスライドファスナー１においても、蝶棒１１が少なくとも２つ以上に分割されるとともに、箱棒１３が箱体１２から第１の隙間１４を介して離間しているため、蝶棒１１及び箱棒１３が箱体１２と連結される構成の従来の開具と比べて、蝶棒１１又は箱棒１３に加わる外力を小さくできる。

（その他の実施の形態）
　上記のように本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。

　例えば、図１５に示すように、箱棒１３と箱体１２との間に形成される第１の隙間１４と、蝶棒１１ａと蝶棒１１ｂとの間に形成される第２の隙間１５の位置を揃えてもよい。これにより、箱体１２のエレメント列６側の端面１２７上には、一定の空間が形成されるため、蝶棒１１を箱体１２に差し込んだ状態でファスナーテープ４が変形しても、第１の隙間１４及び第２の隙間１５でファスナーテープ４の変形を吸収できるので、蝶棒１１及び箱棒１３の破損又は変形が抑制される。また、第１の隙間１４と第２の隙間１５がファスナーテープ４上で連続して１つの空間となることにより、砂、泥、糸くずなどの異物も取り出し易くなる。このように、本発明はここでは明示していない様々な態様を含むことは勿論であり、実施段階においてはその要旨を逸脱しない範囲において変形して具体化され得る。　

１…スライドファスナー
２…ファスナーチェーン
３…ファスナーストリンガー
４…ファスナーテープ
５、５ａ…エレメント
６…エレメント列
７…止具
８…スライダー
１０…スライドファスナー開具
１１、１１ａ、１１ｂ…蝶棒
１２…箱体
１３…箱棒
１４…第１の隙間
１５…第２の隙間
４１…側縁部
４２…補強層
５１、５６…噛合頭部
５２…首部
５３…基部
５５…縫着部
５７…コイル部
８１、８２…フランジ
１１１…箱棒対向面
１１２…収容凹部
１１３…蝶棒補強部
１１５、１３５…表面
１１６…裏面
１１７…突片部
１１８…切り欠き部
１１９ａ、１１９ｂ、１２８、１３８…孔部
１２１…蝶棒対向面
１２２…スリット
１２３…箱体補強部
１２４…空洞部
１３１…蝶棒対向面
１３２…係止凸部
１３７…凹部

Claims

　一対のファスナーテープ（４）の対向する側縁部（４１）に沿って配置された複数のエレメント（５）を含むエレメント列（６）を備えた一対のファスナーストリンガー（３）の端部に配置されるスライドファスナー開具（１０）であって、
　一方のファスナーテープ（４）の前記エレメント列（６）の端部に配置された蝶棒（１１）と、
　他方のファスナーテープ（４）の前記エレメント列（６）の端部において双方のファスナーテープ（４）を跨ぐように前記ファスナーテープ（４）の幅方向に延設され、前記蝶棒（１１）を内部に収容可能な箱体（１２）と、
　前記他方のファスナーテープ（４）上において前記蝶棒（１１）と対向し、前記エレメント列（６）と前記箱体（１２）との間に配置され、前記箱体（１２）との間に第１の隙間（１４）を形成するように前記箱体（１２）から離間して配置された箱棒（１３）と
を備えることを特徴とするスライドファスナー開具（１０）。
　前記蝶棒（１１）が、第２の隙間（１５）を介して少なくとも２つに分割されていることを含む請求項１に記載のスライドファスナー開具（１０）。
　前記第２の隙間（１５）は、前記蝶棒（１１）を前記箱体（１２）内に収容したときに前記箱体（１２）の外部に露出した前記蝶棒（１１）の一部に形成されていることを含む請求項２に記載のスライドファスナー開具（１０）。
　前記箱棒（１３）は、前記蝶棒（１１）と対向する蝶棒対向面（１３１）から前記蝶棒（１１）側に向けて突出する係止凸部（１３２）を備え、
　前記蝶棒（１１）は、前記箱棒（１３）と対向する箱棒対向面（１１１）に設けられ前記係止凸部（１３２）を収容可能な収容凹部（１１２）を備えることを含む請求項１～３のいずれか１項に記載のスライドファスナー開具（１０）。
　前記蝶棒（１１）が、前記ファスナーテープ（４）の幅方向に延在する蝶棒補強部（１１３）を、前記ファスナーテープ（４）の長手方向の終端に備えることを含む請求項１～４のいずれか１項に記載のスライドファスナー開具（１０）。
　前記箱体（１２）が、前記ファスナーテープ（４）の幅方向に延在する箱体補強部（１２３）を、前記ファスナーテープ（４）の長手方向の終端に備えることを含む請求項１～５のいずれか１項に記載のスライドファスナー開具（１０）。
　前記蝶棒（１１）、前記箱棒（１３）の表面（１１５、１３５）上に、孔部（１１９ａ、１１９ｂ、１３８）が形成されていることを含む請求項１～６のいずれか１項に記載のスライドファスナー開具（１０）。
　前記蝶棒（１１）、前記箱棒（１３）及び前記箱体（１２）が樹脂製である請求項１～７のいずれか１項に記載のスライドファスナー開具（１０）。
　前記蝶棒（１１）、前記箱棒（１３）及び前記箱体（１２）が金属製である請求項１～７のいずれか１項に記載のスライドファスナー開具（１０）。
　一対のファスナーテープ（４）の対向する側縁部（４１）に沿って配置された複数のエレメント（５）を含むエレメント列（６）を備えた一対のファスナーストリンガー（３）と、
　前記エレメント列（６）の端部に配置されるスライドファスナー開具（１０）と
　を備えるファスナーチェーン（２）であって、
　一方のファスナーテープ（４）の前記エレメント列（６）の端部に配置された蝶棒（１１）と、
　他方のファスナーテープ（４）の前記エレメント列（６）の端部において双方のファスナーテープ（４）を跨ぐように前記ファスナーテープ（４）の幅方向に延設され、前記蝶棒（１１）を内部に収容可能な箱体（１２）と、
　前記他方のファスナーテープ（４）上において前記蝶棒（１１）と対向し、前記エレメント列（６）と前記箱体（１２）との間に配置され、前記箱体（１２）との間に第１の隙間（１４）を形成するように前記箱体（１２）から離間して配置された箱棒（１３）と
　備えることを特徴とするファスナーチェーン（２）。
　前記蝶棒（１１）が、第２の隙間（１５）を介して少なくとも２つに分割されていることを含む請求項１０に記載のファスナーチェーン（２）。
　前記第２の隙間（１５）は、前記蝶棒（１１）を前記箱体（１２）内に収容したときに前記箱体（１２）の外部に露出した前記蝶棒（１１）の一部に形成されていることを含む請求項１１に記載のファスナーチェーン（２）。
　前記箱棒（１３）は、前記蝶棒（１１）と対向する蝶棒対向面（１３１）から前記蝶棒（１１）側に向けて突出する係止凸部（１３２）を備え、
　前記蝶棒（１１）は、前記箱棒（１３）と対向する箱棒対向面（１１１）に設けられ前記係止凸部（１３２）を収容可能な収容凹部（１１２）を備えることを含む請求項１０～１２のいずれか１項に記載のファスナーチェーン（２）。
　前記蝶棒（１１）が、前記ファスナーテープ（４）の幅方向に延在する蝶棒補強部（１１３）を、前記ファスナーテープ（４）の長手方向の終端に備え、前記箱体（１２）が、前記ファスナーテープ（４）の幅方向に延在する箱体補強部（１２３）を、前記ファスナーテープ（４）の長手方向の終端に備えることを含む請求項１０～１３のいずれか１項に記載のファスナーチェーン（２）。
　前記ファスナーテープ（４）の長手方向の終端に補強層（４２）が形成されていることを含む請求項１０～１４のいずれか１項に記載のファスナーチェーン（２）。