WO2011068113A1

WO2011068113A1 - 速結端子装置

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Publication number: WO2011068113A1
Application number: PCT/JP2010/071435
Authority: WO
Inventors: 裕寿奥野; 究柴田; 洋子藤原; 国康島岡; 真樹近藤; 直樹金本; 哲靖川本; 克哉今井
Original assignee: パナソニック電工株式会社
Priority date: 2009-12-04
Filing date: 2010-12-01
Publication date: 2011-06-09
Also published as: CN102725911A; JP2011119161A; CN102725911B; JP5491837B2; TWI451646B; TW201136076A

Abstract

　速結端子装置は、端子ブロックと、電線挿入孔を有し上記端子ブロックを収納する器体とを備える。上記端子ブロックは、端子板と、錠ばねとを備える。上記端子板は、上記電線挿入孔を介して上記器体内に挿入された上記電線の側面に接触する接触面を有する接触片を備える。上記錠ばねは、中央片と、鎖錠片と、当接片と、連結片とを備える。上記中央片は、上記接触面に対向するように配置される。上記鎖錠片は、上記中央片において上記電線挿入孔に近い第１端から上記接触片の上記接触面に向かって延設され、上記電線を上記端子板とで保持するように構成される。上記当接片は、上記接触片における上記接触面とは反対側の面に接触するように配置される。上記連結片は、上記当接片を上記中央片において上記電線挿入孔から遠い第２端に一体に連結するように構成される。

Description

速結端子装置

　本発明は、速結端子装置に関するものである。

　従来より、スイッチやコンセント等の配線器具への電線の結線を容易にしたり、接続の均一化を行って接続信頼性を確保する等の目的で、ねじによらずに結線可能な所謂速結端子装置（ねじ無し端子装置とも呼ばれる。）が提供されている。

　従来の速結端子装置は、略コ字状に形成された端子板と、端子板の内側に配設される錠ばねとを備えている。錠ばねは端子板の一方の脚と当接する中央片と、中央片の一端側よりＳ字状に延設された押圧片と、中央片の他端側よりＪ字状に延設された鎖錠片とが一体に形成されている。そして、端子板の他方の脚と押圧片並びに鎖錠片との間に電線（導体）が差し込まれると、押圧片によって電線が端子板に押圧されるとともに、鎖錠片の先端が電線に当接して電線が抜け止めされるものである。

　また、この種の速結端子装置は解除釦を備えている。すなわち、速結端子装置に接続された電線を外す場合、マイナスドライバなどの工具を用いて解除釦を移動させれば、解除釦が鎖錠片を押圧して鎖錠片の先端を電線から離すことにより、電線を容易に引き抜くことができる。

　しかしながら、日本国公開特許公報２００２－１５１１７２に記載されているような従来周知の速結端子装置においては、錠ばねが端子板に対して固定されておらず、比較的自由に姿勢が変わってしまう。そのため、電線の挿入時に鎖錠片が電線側に巻き込まれてしまい、押圧片による押圧力が電線に十分に作用しなくなって端子板と電線との接触信頼性が低下してしまう虞があった。

　本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、電線と端子板との接触信頼性を向上した速結端子装置を提供することにある。

　本発明の第１の態様の速結端子装置は、端子ブロックと、上記端子ブロックを収納する器体と、を備え、上記器体は、電線を上記器体内に挿入するための電線挿入孔を有し、上記端子ブロックは、端子板と、錠ばねとを備え、上記端子板は、接触片を有し、上記接触片は、上記電線挿入孔を介して上記器体内に挿入された上記電線の側面に接触する接触面を有し、上記錠ばねは、弾性を有する金属材料により形成され、中央片と、鎖錠片と、当接片と、連結片とを備え、上記中央片は、上記接触面に対向するように配置され、上記電線挿入孔に近い第１端と、上記電線挿入孔から遠い第２端とを有し、上記鎖錠片は、上記中央片の上記第１端から上記接触片の上記接触面に向かって上記中央片との角度が鋭角となるように延設され、上記電線挿入孔から上記器体内に挿入された上記電線により押圧されると上記接触面から離れるように弾性変形して、上記電線を上記端子板とで保持するように構成され、上記当接片は、上記接触片における上記接触面とは反対側の面に接触するように配置され、上記連結片は、上記当接片を上記中央片の上記第２端に一体に連結するように構成される。

　本発明の第２の態様の速結端子装置は、上記第１の態様において、上記端子板は、上記接触面が上記電線挿入孔の内周面より上記電線挿入孔の中心側に位置するように上記接触片を付勢するように構成されている。
　本発明の第３の態様の速結端子装置は、上記第１または第２の態様において、上記接触片は、上記電線挿入孔に近い第１端と、上記電線挿入孔から遠い第２端とを有し、上記連絡片は、上記電線挿入孔に近い第１面と、上記電線挿入孔から遠い第２面とを有し、上記端子板は、上記連絡片の上記第２面に接触するように上記接触片の上記第２端から延設される支持片を備える。

　本発明の第４の態様の速結端子装置は、上記第３の態様において、上記支持片は、上記接触片の上記第２端に近い基端部と上記接触片の上記第２端から遠い先端部との間に切り欠きを有し、上記連絡片は、上記第１面が上記支持片の上記基端部に接触する第１片と、上記第２面が上記支持片の上記先端部に接触する第２片と、上記支持片の上記切り欠きを通過して上記第１片と上記第２片とを一体に連結する連結片と、を有する。

　本発明の第５の態様の速結端子装置は、上記第１～第４の態様のいずれか１つにおいて、上記端子板は、上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向における上記接触片の両端から上記中央片側に延設された一対の囲み片を有している。

　本発明の第６の態様の速結端子装置は、上記第５の態様において、上記囲み片は、上記接触片から上記中央片側に延設された基部と、上記基部の先端から上記電線挿入孔から離れる向きに延設された先部と、を有する。

　本発明の第７の態様の速結端子装置は、上記第３～第６の態様のいずれか１つにおいて、上記端子板は、第２の囲み片を有し、上記第２の囲み片は、上記電線挿入孔から上記器体内に挿入された上記電線が、上記接触片と上記第２の囲み片との間に位置するように、上記支持片から上記電線挿入孔側に延設されている。

　本発明の第８の態様の速結端子装置は、上記第７の態様において、上記各囲み片において上記電線と対向する面の法線方向と、上記第２の囲み片において上記電線と対向する面の法線方向とは互いに直交している。

　本発明の第９の態様の速結端子装置は、上記第７または第８の態様において、上記端子板は、金属板を用いて形成され、上記各囲み片および上記第２の囲み片は、上記金属板の一部を曲げることで形成され、上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向における上記第２の囲み片の長さは、上記一対の囲み片間の距離よりも短い。

　本発明の第１０の態様の速結端子装置は、上記第１～第９の態様のいずれか１つにおいて、上記端子板は、上記鎖錠片が上記電線により押圧されて所定位置まで移動した際に上記鎖錠片に接触することで上記錠ばねが塑性変形しないように上記鎖錠片の移動を制限する規制部を有する。

　本発明の第１１の態様の速結端子装置は、上記第１～第１０の態様のいずれか１つにおいて、複数の上記端子ブロックを備え、上記器体は、上記端子ブロック間を絶縁する絶縁壁を有する。

　本発明の第１２の態様の速結端子装置は、上記第２の態様において、上記接触片が上記電線により押圧されて所定位置まで移動した際に上記接触片に接触することで上記端子板が塑性変形しないように上記接触片の移動を制限する規制手段を有する。

　本発明の第１３の態様の速結端子装置は、上記第２または第１２の態様において、上記接触片にはスリットが形成されている。

　本発明の第１４の態様の速結端子装置は、上記第１～第１３の態様のいずれか１つにおいて、上記接触面には、上記鎖錠片で押された上記電線の一部が入り込む凹部が形成されている。

　本発明の第１５の態様の速結端子装置は、上記第１～第１３の態様のいずれか１つにおいて、上記接触面には、上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向に沿って溝が形成されている。

　本発明の第１６の態様の速結端子装置は、上記第１～第１３の態様のいずれか１つにおいて、上記鎖錠片は、その先端が上記接触面に接触するように延設されている。

　本発明の第１７の態様の速結端子装置は、上記第１～第１６の態様のいずれか１つにおいて、上記接触面には突起が形成されている。

　本発明の第１８の態様の速結端子装置は、上記第１７の態様において、上記突起は、上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向に沿った中心軸を有する半円筒形に形成されている。

　本発明の第１９の態様の速結端子装置は、上記第１８の態様において、上記接触面には、２つの上記突起が、上記電線を上記端子板と上記鎖錠片とで保持している状態において上記鎖錠片の先端が上記電線挿入孔の上記中心軸方向において上記２つの突起の間に位置するように、形成されている。

　本発明の第２０の態様の速結端子装置は、上記第２の態様において、上記端子ブロックから上記電線を取り外すための解除部材を備え、上記解除部材は、初期位置と解除位置との間で移動自在に上記器体内に収納される本体部と、上記器体外に配置されて上記本体部を手動により移動させるための操作部と、上記本体部の上記初期位置から上記解除位置への移動に伴って上記鎖錠片を上記接触片から離れる向きに押圧して上記電線から離す第１の押動部と、上記本体部の上記初期位置から上記解除位置への移動に伴って上記接触片を上記鎖錠片から離れる向きに押圧して上記電線から離す第２の押動部と、を有する。

　本発明の第２１の態様の速結端子装置は、上記第２０の態様において、上記解除部材に接触することで、上記第１の押動部が上記錠ばねを塑性変形させる位置まで移動すること、および、上記第２の押動部が上記端子板を塑性変形させる位置まで移動することを、防止する規制手段を有する。

　本発明の第２２の態様の速結端子装置は、上記第２１の態様において、上記本体部は、上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向において上記端子ブロックに隣接するように配置される平板部を有し、上記平板部は、上記端子ブロックと対向する対向面を有し、上記第１の押動部および上記第２の押動部は上記対向面に形成され、上記対向面には、上記本体部の上記初期位置から上記解除位置への移動時に上記端子板に接触して上記本体部を上記錠ばねから離間させる突部が形成されている。

　本発明の第２３の態様の速結端子装置は、上記第２２の態様において、上記本体部は、上記平板部を２つ備え、上記２つの平板部は、上記直交方向において互いに対向するとともに、上記平板部間に上記端子ブロックが位置するように配置され、上記操作部は、上記２つの平板部を一体に連結するように構成される。

本発明に係る速結端子装置の実施形態を示す断面図である。同上の電線を接続した状態の要部断面図である。同上における端子板及び錠ばねの平面図である。同上の一部破断した斜視図である。同上における端子板及び錠ばねの斜視図である。同上における解除部材の斜視図である。同上を組み込んだ配線器具の斜視図である。同上を組み込んだ配線器具の一部省略した断面斜視図である。同上における端子板の要部平面図である。同上の断面図である。同上における接触片及び鎖錠片を示し、（ａ）は一部省略した断面図、（ｂ）は一部省略した平面図である。

　以下、図面を参照して本発明に係る速結端子装置の実施形態を詳細に説明する。図７は本実施形態の速結端子装置が組み込まれた埋込形の配線器具（以下、配線器具と略す。）を後方から見た斜視図である。この配線器具では、合成樹脂材料によって前面が開口する矩形箱状に形成されたボディ１００と、合成樹脂材料によって後面が開口する矩形箱状に形成されて前面開口を塞ぐようにボディ１００と結合されるカバー１１０とで器体５が構成されている。そして、ボディ１００の長手方向における両端部にそれぞれ収納室１０１が設けられ（図１参照）、その収納室１０１内に本実施形態の速結端子装置の端子ブロック４が収納されている。ボディ１００の後面には、各収納室１０１と連通して外部から電線１２０が挿入される一対の電線挿入孔１０２，１０２がボディ１００の短手方向に沿って並設されている。このように、器体５は、電線１２０を器体５内に挿入するための電線挿入孔１０２を有している。本実施形態における配線器具では、送り配線用を含めて最多で４本の電線が接続可能なように２つの端子ブロック４が２つの収納室１０１，１０１内にそれぞれ収納されている。

　本実施形態の速結端子装置は、複数（４つ）の端子ブロック４と、複数の端子ブロック４を収納する器体５と、を備える。尚、端子ブロック４の数は特に限定されない。

　各端子ブロック４は、図１に示すように端子板１と、電線挿入孔１０２より挿入される電線１２０を径方向から端子板１に接触させるとともに電線１２０を反挿入向き（図１における下向き）に抜け止めする錠ばね２とを備える。本実施形態の速結端子装置は、さらに、電線１２０の接続状態を解除するための解除部材３を備えている。尚、以下の説明では図１において上下左右の方向を定め、図１の紙面に垂直な方向を前後方向と定める。

　端子板１は、接触片１０と、支持片１１と、一対の囲み片（第１の囲み片）１２，１２と、第２の囲み片１３と、を有する。

　接触片１０は、電線挿入孔１０２を介して器体５内に挿入された電線１２０の側面に接触する接触面１０ｅを有する。接触片１０における接触面１０ｅと反対側の面１０ｆは器体５の内面と対向する。接触片１０は、電線挿入孔１０２に近い第１端（下端）１０ｇと、電線挿入孔１０２から遠い第２端（上端）１０ｈとを有する。

　支持片１１は、接触片１０ａの第２端１０ｈより延設される。支持片１１は、接触片１０の第２端１０ｈに近い基端部１１ｂと接触片１０の第２端１０ｈから遠い先端部１１ｂとの間に切り欠き１１ａを有している。

　錠ばね２は、弾性を有する金属材料により形成され、中央片２０と、鎖錠片２１と、当接片２２と、連結片２３とを備える。

　中央片２０は、接触面１０ｅに対向するように配置され、電線挿入孔１０２に近い第１端２０ａと、電線挿入孔１０２から遠い第２端２０ｂとを有する。

　鎖錠片２１は、中央片２０の第１端２０ａから接触片１０の接触面１０ｅに向かって中央片２０との角度が鋭角となるように延設され、電線挿入孔１０２から器体５内に挿入された電線１２０により押圧されると接触面１０ｅから離れるように弾性変形して、電線１２０を端子板１とで保持するように構成される。

　当接片２２は、接触片１０における接触面１０ｅとは反対側の面１０ｆに接触するように配置される。

　連結片２３は、当接片２２を中央片２０の第２端２０ｂに一体に連結するように構成される。

　以下、本実施形態の速結端子装置についてさらに詳細に説明する。

　端子板１は、収納室１０１内において電線１２０の軸方向（上下方向）に沿って垂下されて電線１２０と接触する接触片１０と、接触片１０における電線挿入孔１０２と反対側の端部（上側の端部）である第２端１０ｈから横方向（左右方向）に延設された帯板状の支持片１１と、接触片１０の側端縁より突設され、電線１２０の径方向であり且つ後述する鎖錠片２１が電線１２０に当接する方向（左右方向）と交差する方向（前後方向）から電線１２０を囲む一対の囲み片（第１の囲み片）１２，１２と、支持片１１より突設され、電線１２０の径方向であり且つ鎖錠片２１が電線１２０に当接する方向と同じ方向（左右方向）から電線１２０を囲む第２の囲み片１３とを具備し、金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工することで接触片１０、支持片１１、第１の囲み片１２，１２、第２の囲み片１３が一体に形成されている。すなわち、接触片１０、支持片１１、第１の囲み片１２，１２、第２の囲み片１３は一部材として形成されている。特に、本実施形態では、端子板１は、弾性を有する金属材料（例えば、銅又は銅合金）製の金属板を用いて形成されている。但し、配線器具が送り配線用の端子を備えるものである場合には、図４に示すように２組の端子板１，１が互いの支持片１１で連結された構造の端子板１が用いられる。

　端子板１は、図５に示すように接触片１０と支持片１１との連結部分に略長方形状の貫通孔（スリット）１４が貫設されている（接触片１０にはスリット１４が形成されている）。つまり、貫通孔１４を貫設することによって接触片１０に左右方向（電線１２０との当接方向）の可撓性（弾性）を持たせており、端子板１を構成する金属材料の弾性が弱い（硬い）場合でも接触片１０に十分な弾性を持たせることができる。但し、適当な金属材料を選択し、貫通孔１４を設けずに端子板１に十分な弾性を持たせることも可能である。

　接触片１０の下端部は、図３～図５に示すように略へ字形に屈曲され、下端（第１端）１０ｇが左向き（電線１２０から離れる向き）に傾斜するとともに下端部の上に右向き（電線１２０に近付く向き）に突出する突起１０ａが形成されている。また、接触片１０の上端部における貫通孔１４の下方には、前後方向を軸方向とし右向き（電線１２０に近付く向き）に突出する半円筒形状の突起１０ｂが打ち出し加工によって突設されている。すなわち、接触面１０ｅには、突起１０ａ，１０ｂが形成されている。また、突起１０ｂは、接触面１０ｅの法線方向および電線挿入孔１０２の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向に沿った中心軸を有する半円筒形に形成されている。

　第１の囲み片１２，１２は、図１及び図３に示すように前後方向から見て略台形の部分（基部）１２ａと当該台形の部分の先端（右端）から上向きに突出する略正方形の部分（先部）１２ｂとが一体に構成されている。すなわち、第１の囲み片１２は、接触片１０から中央片２０側に延設された基部１２ａと、基部１２ａの先端から電線挿入孔１０２から離れる向きに延設された先部１２ｂと、を有する。

　第２の囲み片１３は、図４及び図５に示すように支持片１１の左右方向における略中央部が切り起こされて構成されている。第２の囲み片１３は、電線挿入孔１０２から器体５内に挿入された電線１２０が、接触片１０と第２の囲み片１３との間に位置するように、支持片１１から電線挿入孔１０２側に延設されている。故に、電線挿入孔１０２から挿入される電線１２０は、接触片１０と一対の第１の囲み片１２，１２と第２の囲み片１３とに前後左右から囲まれた空間に配置されることとなる（図９参照）。

　第１の囲み片１２，１２並びに第２の囲み片１３はそれぞれ端子板１を構成する金属板の一部が曲げ起こされてなり、図９に示すように、第１の囲み片１２，１２間の間隔よりも第２の囲み片１３の幅が狭くなっている。すなわち、端子板１は、金属板を用いて形成されている。各囲み片（第１の囲み片）１２，１２および第２の囲み片１３は、上記金属板の一部を曲げることで形成されている。接触面１０ｅの法線方向および電線挿入孔１０２の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向における第２の囲み片１３の長さは、一対の囲み片１２，１２間の距離よりも短い。これにより、順送プレス加工で端子板１を形成する際、第２の囲み片１３を曲げ加工するためのパンチを、先に加工された第１の囲み片１２，１２と干渉しない幅に設定できるために加工金型の設計が容易になるという利点がある。また、一対の囲み片１２，１２並びに第２の囲み片１３の曲げ加工が容易になる。尚、支持片１１においては、第２の囲み片１３が切り起こし形成されることにより、上下方向から見た形状が略矩形であり且つ前方に開口した切欠溝１１ａが設けられている。

　錠ばね２は、弾性を有する金属材料により形成されている。例えば、錠ばね２は、図３～図５に示すように弾性を有する導電性の板材（例えば、金属板）を略Ｃ字形状に曲成することにより、電線１２０が挿入される空間を挟んで端子板１の接触片１０と対向する中央片２０と、中央片２０における電線挿入孔１０２側（下側）の端部である第１端２０ａから電線１２０の挿入向き（上向き）に沿って接触片１０に近づく向きに傾斜し且つ先端部分が電線１２０に当接する鎖錠片２１と、接触片１０における電線１２０との接触面（右側面）１０ｅと反対側の面（左側面）１０ｆに当接する当接片２２と、当接片２２並びに中央片２０における電線挿入孔１０２と反対側（上側）の端部同士を連結する連結片２３とが一体に形成されてなる。錠ばね２では、中央片２０と、鎖錠片２１と、当接片２２と、連結片２３とは一部材として形成されている。

　中央片２０と鎖錠片２１との連結部分２４が半円弧状に湾曲しており、鎖錠片２１に右向きの力が加わると当該湾曲部分（連結部分）２４が縮径することで鎖錠片２１が撓む（変位する）ことになる。

　連結片２３は、端子板１の支持片１１に設けられた切り欠き（切欠溝）１１ａを通過して支持片１１と上下方向に交差する段部（連結片）２３ａを有している。換言すれば、連絡片２３は、電線挿入孔１０２に近い第１面（下面）２３ｄと、電線挿入孔１０２から遠い第２面（上面）２３ｅとを有する。第２面２３ｅは、第１面２３ｄとは反対側の面である。連結片２３は、第１面２３ｄが支持片１１の基端部１１ｂに接触する第１片２３ｂと、第２面２３ｅが支持片１１の先端部１１ｃに接触する第２片２３ｃと、支持片１１の切り欠き１１ａを通過して第１片２３ｂと第２片２３ｃとを一体に連結する連結片２３ａと、を有する。

　すなわち、ボディ１００の収納室１０１内に端子ブロック４が収納された状態においては、段部２３ａが支持片１１の切欠溝１１ａに挿通されるため、連結片２３の段部２３ａより左側の部分（第１片）２３ｂが端子板１の支持片１１によって下方から支持され、連結片２３の段部２３ａより右側の部分（第２片）２３ｃが端子板１の支持片１１を下方から支持することになる。ここで、電線１２０が接続されていない状態において、錠ばね２の鎖錠片２１の先端２１ａを端子板１の接触片１０の接触面１０ｅに当接させている。接触片１０において鎖錠片２１の先端２１ａが当接する部位には鎖錠片２１の先端２１ａと嵌合する溝（凹部）１０ｄが形成されている。端子ブロック４では、当接片２２が接触片１０の面１０ｆに当接し、鎖錠片２１の先端が接触片１０の溝１０ｄに入り込み、さらに、連結片２３の第２片２３ｃが支持片１１の先端部１１ｃに当接している。そのため、錠ばね２を端子板１に固定でき、端子ブロック４を一部材として扱うことができ、容易に器体５に収納できる。

　上述のように構成される端子板１と錠ばね２を備える端子ブロック４は、図１及び図８に示すようにボディ１００の収納室１０１内に収納される。そして、電線挿入孔１０２を通して外部から収納室１０１内に電線１２０が挿入されると、電線１２０の先端で押された鎖錠片２１が接触片１０から離れる向き（右向き）に撓み、鎖錠片２１が撓むにつれて電線１２０の先端が上へ移動する。電線１２０が所定の位置まで挿入されると、図２に示すように鎖錠片２１の先端が電線１２０に当接して反挿入向き（下向き）に抜け止めされるとともに、錠ばね２の湾曲部分２４の復元力（ばね力）により鎖錠片２１が電線１２０を接触片１０の接触面１０ｅに弾接させて電線１２０と接触片１０を接触させることができる。

　以上述べたように、本実施形態の速結端子装置は、端子ブロック４と、端子ブロック４を収納する器体５とを備える。器体５は、電線１２０を器体５内に挿入するための電線挿入孔１０２を有する。端子ブロック４は、端子板１と、錠ばね２とを備える。端子板１は、接触片１０を有し、接触片１０は、電線挿入孔１０２を介して器体５内に挿入された電線１２０の側面に接触する接触面１０ｅを有する。錠ばね２は、弾性を有する金属材料により形成され、中央片２０と、鎖錠片２１と、当接片２２と、連結片２３とを備える。中央片２０は、接触面１０ｅに対向するように配置され、電線挿入孔１０２に近い第１端２０ａと、電線挿入孔１０２から遠い第２端２０ｂとを有する。鎖錠片２１は、中央片２０の第１端２０ａから接触片１０の接触面１０ｅに向かって中央片２０との角度が鋭角となるように延設され、電線挿入孔１０２から器体５内に挿入された電線１２０により押圧されると接触面１０ｅから離れるように弾性変形して、電線１２０を端子板１とで保持するように構成される。当接片２２は、接触片１０における接触面１０ｅとは反対側の面１０ｆに接触するように配置される。連結片２３は、当接片２２を中央片２０の第２端２０ｂに一体に連結するように構成される。

　ここで、本実施形態の速結端子装置では、電線１２０の接続時において、電線挿入孔１０２より挿入される電線１２０が鎖錠片１０に当たると端子板１の接触片１０に当接している当接片２２を支点として鎖錠片２１が接触片１０から離れる向き（図１における反時計回り）に錠ばね２が回転することになる。すなわち、電線挿入孔１０２より挿入された電線１２０で鎖錠片２１が押圧されると、鎖錠片２１は、先端２１ａが接触片１０から離れる向き（図１における時計回り方向）に弾性変形する。またこのとき、端子板１の接触片１０に当接している当接片２２を支点として錠ばね２を中央片２０の第１端２０ａが接触片１０から離れる向き（図１における反時計回り方向）に回転させる力のモーメントが生じる。そのため、電線１２０の挿入時に鎖錠片２１が電線１２０側に巻き込まれることがなく、電線の挿入時に鎖錠片が電線側に巻き込まれていた従来例と比較して、電線１２０と端子板１との接触信頼性を向上することができる。

　本実施形態の速結端子装置では、接触面１０ｅに突起１０ａ，１０ｂが形成されている。そのため、本実施形態の速結端子装置においては、接触片１０が２つの突起１０ａ，１０ｂの先端面のみで電線１２０と接触することになるので（図２参照）、接触片１０の接触面全体と接触する場合と比較して、電線１２０と接触片１０との接触圧が増大して接触状態を安定させることができる。

　特に、突起１０ｂは、接触面１０ｅの法線方向および電線挿入孔１０２の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向に沿った中心軸を有する半円筒形に形成されている。すなわち、突起１０ｂが半円筒形状に形成されているので、電線１２０が傾いても突起１０ｂと電線１２０との接触角度が変わり難いために接触状態を安定させることができるという利点がある。

　さらに、これら２つの突起１０ａ，１０ｂは、電線１２０が接触片１０に接触している状態で電線１２０を挟んで鎖錠片２１の先端部分と対向する位置に対し、電線１２０の軸方向（上下方向）に沿った両側に分けて設けられている。すなわち、接触面１０ｅには、２つの突起１０ａ，１０ｂが、電線１２０を端子板１と鎖錠片２１とで保持している状態において鎖錠片２１の先端が電線挿入孔１０２の中心軸方向において２つの突起１０ａ，１０ｂの間に位置するように、形成されている。そのため、電線１２０を３点（突起１０ａ，１０ｂと鎖錠片２１の先端２１ａ）で支持することによっても接触状態を安定させることができるものである。

　ところで、接触片１０における第１の囲み片１２，１２の下側には、いわゆるＳＲ形状の案内突部１０ｃ，１０ｃがそれぞれ右向き（電線１２０に近付く向き）に突設されている（図３～図５参照）。言い換えれば、接触面１０ｅには、第１の囲み片１２と先端１０ｇとの間に、一対の案内突部１０ｃ，１０ｃが形成されている。案内突部１０ｃ，１０ｃは、接触面１０ｅの法線方向および電線挿入孔１０２の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向において離間している。そのため、電線１２０（導体）が撚り線である場合、電線１２０の撚りが解けて素線が広がったとしても案内突部１０ｃ，１０ｃに乗り上げることによって鎖錠片と案内突部１０ｃ，１０ｃとの間に電線１２０が確実に挟持され、しかも案内突部１０ｃ，１０ｃがＳＲ形状であることによって電線１２０はできるだけ両案内突部１０ｃ，１０ｃの間を通るように誘導されることになる。要するに、電線１２０が撚り線であってもばらばらに広がる可能性を低減して接触状態を安定させることができる。

　本実施形態の速結端子装置では、端子板１は、接触面１０ｅの法線方向および電線挿入孔１０２の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向における接触片１０の両端から中央片２０側に延設された一対の囲み片（第１の囲み片）１２，１２を有している。このように、第１の囲み片１２，１２が接触片１０に設けられていることにより、電線１２０が単線であれば径方向（前後方向）における電線１２０の移動範囲を第１の囲み片１２，１２で規制することができる。さらに、電線１２０が撚り線であれば素線のばらける範囲を第１の囲み片１２，１２で規制することができるので、電線１２０と端子板１との接触信頼性がさらに向上するという利点がある。

　しかも本実施形態では、各第１の囲み片１２は、接触片１０から中央片２０側に延設された基部１２ａと、基部１２ａの先端から電線挿入孔１０２から離れる向きに延設された先部１２ｂと、を有する。つまり、第１の囲み片１２，１２を先端部分が上向きに突出する形状に形成しているため、電線１２０の移動範囲やばらける範囲をより確実に規制することができる。

　また、端子板１０は、第２の囲み片１２を有している。第２の囲み片１２は、電線挿入孔１０２から器体５内に挿入された電線１２０が、接触片１０と第２の囲み片１２との間に位置するように、支持片１１から電線挿入孔１０２側に延設されている。このように、端子板１の支持片１１に第２の囲み片１３が設けられているため、接触片１０から離れる向きの電線１２０の移動を第２の囲み片１３で規制することができる。

　尚、第２の囲み片１３が第１の囲み片１２，１２と相互に直交している。すなわち、各第１の囲み片１２，１２において電線１２０と対向する面の法線方向と、第２の囲み片１３において電線１２０と対向する面の法線方向とは互いに直交している。そのため、電線１２０の移動範囲やばらける範囲をさらに確実に規制することができる。

　本実施形態の速結端子装置では、鎖錠片２１は、その先端２１ａが接触面１０ｅに接触するように延設されている。そのため、電線１２０を確実に抜け止めすることができる。

　また、接触片１０において鎖錠片２１の先端２１ａが当接する部位に鎖錠片２１の先端２１ａと嵌合する溝１０ｄが形成されている。つまり、接触面１０ｅには、鎖錠片２１で押された電線１２０の一部が入り込む溝（凹部）１０ｄが形成されている。したがって、鎖錠片２１に押された電線１２０（特に撚り線の素線）が溝１０ｄ（凹部）に落ち込む。そのため、電線１２０を確実に抜け止めすることができるものである（図１１参照）。

　なお、このような凹部（溝１０ｄ）を設ける代わりに、接触片１０において電線１２０を挟んで鎖錠片２１の先端部分と対向する位置に、電線１２０の軸方向（上下方向）と交差する方向（前後方向）に沿った複数の溝（図示せず）を設けてもよい。すなわち、接触面１０ｅには、接触面１０ｅの法線方向および電線挿入孔１０２の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向に沿って複数の溝（保持溝）が形成されていてもよい。これら複数の溝（保持溝）によって撚り線からなる電線１２０を確実に抜け止めすることができる。なお、上記保持溝は１つだけ設けられていても良い。

　本実施形態の速結端子装置では、端子板１は、連絡片２３の第２面２３ｅに接触するように接触片１０の第２端１０ｈから延設される支持片１１を備える。したがって、ボディ１００の収納室１０１内に収納された状態においては、連結片２３の段部２３ａより左側の部分が端子板１の支持片１１によって下方から支持される。そのため、ボディ１００によらず、端子板１のみで錠ばね２を固定（支持）することができる。

　また、支持片１１は、接触片１０の第２端１０ｈに近い基端部１１ｂと接触片１０の第２端１０ｈから遠い先端部１１ｃとの間に切り欠き１１ａを有する。連絡片２３は、第１面２３ｄが支持片１１の基端部１１ｂに接触する第１片２３ｂと、第２面２３ｅが支持片１１の先端部１１ｃに接触する第２片２３ｃと、支持片１１の切り欠き１１ａを通過して第１片１２ｂと第２片２３ｃとを一体に連結する連結片２３ａと、を有する。このように、ボディ１００の収納室１０１内に収納された状態においては、段部２３ａが支持片１１の切欠溝１１ａに挿通される。そのため、錠ばね２と端子板１を位置決めすることができる。

　本実施形態の速結端子装置では、端子板１は、接触面１０ｅが電線挿入孔１０２の内周面（特に電線挿入孔１０２において最も内径が小さい部分における内周面）１０２ａより電線挿入孔１０２の中心側に位置するように接触片１０を付勢するように構成されている。例えば、本実施形態の速結端子装置では、弾性を有する金属板を折り曲げて接触片１０と支持片１１とを連続一体に形成することで、接触片１０を付勢している。よって、本実施形態の速結端子装置では、端子板１の接触片１０が電線１２０との当接方向（左右方向）において可撓性を有している。そのため、電線挿入孔１０２に対して電線１２０が傾いた場合においても接触片１０が電線１２０の動きに追従して常に安定した接触状態を確保することができる。さらに、撚り線からなる電線１２０がばらけている場合や径の小さい（細い）電線１２０であっても接触片１０と鎖錠片２１とで電線１２０を弾性挟持することにより、端子板１と錠ばね２の接触状態を安定させることができる。

　また、本実施形態の速結端子装置では、接触片１０が撓む範囲はボディ１００における収納室１０１の内壁によって規制されている。すなわち、本実施形態の速結端子装置は、接触片１０が電線１２０により押圧されて（中央片２０から遠ざかる方向へ）所定位置まで移動した際に接触片１０に接触することで端子板１が塑性変形しないように接触片１０の移動を制限する規制手段（収納室１０１の内壁）を有する。そのため、電線１２０が傾いたりした場合であっても接触片１０の塑性変形が防止できるものである。

　次に解除部材３について説明する。解除部材３は合成樹脂成型品からなり、図６に示すように半円板状の支持部３０，３０と、矩形平板状の操作部３１と、支持部３０，３０と操作部３１を連結する略三角形板状の連結部３２，３２とを有して全体が略コ字形に形成されている。また、一対の連結部３２，３２にはそれぞれ押動部３３，３３が突設されている。押動部３３，３３は扁平な略三角柱状に形成され、後述するように鎖錠片２１と対向する側（右側）の斜面３３ａで鎖錠片２１に接離自在に当接するとともに、当該斜面と反対側（左側）の角部３３ｂで接触片１０に接離自在に当接する。

　換言すれば、解除部材３は、図６に示すように、初期位置と解除位置との間で移動自在に器体５内に収納される本体部３５と、器体５外に配置されて本体部３５を手動により移動させるための操作部３１と、を備える。なお、上記初期位置は、電線１２０の端子ブロック４への接続が維持される本体部３５の位置である。上記解除位置は、電線１２０の端子ブロック４への接続を解除部材３が解除する本体部３５の位置である。

　本体部３５は、接触面１０ｅの法線方向および電線挿入孔１０２の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向において端子ブロック４に隣接するように配置される平板部３６を有する。本実施形態では、本体部３５は、平板部３６を２つ備える。各平板部３６は、支持部３０と、連結部３２とで構成される。各支持部３０，３０は、半円板状に形成される。各連結部３２，３２は、対応する支持部３０，３０と操作部３１を連結する略三角形板状に形成される。

　２つの平板部３６，３６は、上記直交方向において互いに対向するとともに、平板部３６，３６間に端子ブロック４が位置するように配置される。すなわち、平板部３６，３６は上記直交方向において互いに重複するように配置される。

　各平板部３６は、端子ブロック４と対向する対向面を有し、第１の押動部３３ａおよび第２の押動部３３ｂは上記対向面に形成されている。また、上記対向面には、本体部３５の上記初期位置から上記解除位置への移動時に端子板１に接触して本体部３５（平板部３６）を錠ばね２から離間させる突部３４が形成されている。
　操作部３１は、２つの平板部３６，３６を一体に連結するように構成される。そのため、解除部材３は、全体が略コ字形に形成されている。

　押動部３３の斜面３３ａは、本体部３５の上記初期位置から上記解除位置への移動に伴って鎖錠片２１を接触片１０から離れる向きに押圧して電線１２０から離す第１の押動部である。押動部３３の角部３３ｂは、本体部３５の上記初期位置から上記解除位置への移動に伴って接触片１０を鎖錠片２１から離れる向きに押圧して電線１２０から離す第２の押動部である。すなわち、本実施形態においては第１及び第２の押動部３３ａ，３３ｂが押動部３３として一体に形成されている。

　一方、ボディ１００の長手方向の両側面には各収納室１０１，１０１と通じる縦溝１０３，１０３が各一対ずつ並設されている（図７参照）。そして、解除部材３は縦溝１０３，１０３を通して操作部３１がボディ１００の外に露出され、一対の連結部３２，３２の間に接触片１０と錠ばね２が配置されるようにしてボディ１００の収納室１０１内に収納される。ここで、収納室１０１内には半円弧状の摺動面を有した軸受け台１０４，１０４が設けられており（図１参照）、収納室１０１内に収納された解除部材３の支持部３０，３０が軸受け台１０４，１０４に載置されることにより、支持部３０，３０を支点として解除部材３が回動自在にボディ１００に支持される。

　而して、速結端子装置に接続された電線１２０を取り外すには、縦溝１０３，１０３を通して器体の側面に露出している操作部３１を指で押し上げるように（本体部３５が上記初期位置から上記解除位置まで移動するように）操作すればよい。すなわち、図１に示すように操作部３１を上方へ押し上げるように操作すれば、支持部３０，３０を支点にして解除部材３が時計回りに回動し、初めに押動部３３，３３の上側の角部（第２の押動部）３３ｂ、３３ｂがそれぞれ接触片１０の前後方向両端部を押圧することで接触片１０の下端部を電線１２０から離れる向き（左向き）に変位させる。解除部材３が時計回りにさらに回動すると、今度は押動部３３，３３の右側の斜面（第１の押動部）３３ａ，３３ａがそれぞれ鎖錠片２１の前後方向両端部を押圧することにより、電線１２０に当接している鎖錠片２１を電線１２０から離す向きに変位させて電線１２０の取り外しが可能となる。

　上述したように、本実施形態の速結端子装置は、端子ブロック４から電線１２０を取り外すための解除部材３を備える。解除部材３は、本体部３５と、操作部３１と、第１の押動部３３ａおよび第２の押動部３３ｂを有する一対の押動部３３，３３と、を有する。本体部３５は、上記初期位置と上記解除位置との間で移動自在に器体５内に収納される。操作部３１は、器体５外に配置されて本体部３５を手動により移動させるために用いられる。第１の押動部３３ａは、本体部３５の上記初期位置から上記解除位置への移動に伴って鎖錠片２１を接触片１０から離れる向きに押圧して電線１２０から離すように構成される。第２の押動部３３ｂは、本体部３５の上記初期位置から上記解除位置への移動に伴って接触片１０を鎖錠片２１から離れる向きに押圧して電線１２０から離すように構成される。

　そのため、本実施形態の速結端子装置によれば、解除部材３の操作部３１を手動操作すると第１の押動部３３ａが鎖錠片２１を押動するとともに第２の押動部３３ｂが接触片１０を押動して電線１２０から引き離すので、工具を使用せずに電線１２０を簡単に外すことができる。

　従来の速結端子装置では工具を使って解除釦を操作しながら電線を引き抜かなければならないため、一方の手で配線器具の器体を持ち、他方の手に持った工具を操作孔に挿入して解除釦を操作した状態では両手が塞がれてしまうために電線を電線挿入孔から引き抜くことが困難であった。これに対して本実施形態の速結端子装置では、器体を持った手の指（例えば、親指）で器体の側面に露出する解除部材３の操作部３１を操作して解除部材３を回動させると電線１２０を抜け止めしている鎖錠片２１を電線１２０から離すことができ、一方の手で器体の保持と解除部材３の操作を同時に行い、他方の手で電線１２０を引き抜くことができる。そのため、従来の速結端子装置に比較して電線１２０の取り外し作業が容易に行える。また鎖錠片２１だけでなく接触片１０も解除部材３で変位させているため、線径の細い単線あるいは撚り線からなる電線１２０を取り外す際の作業性を向上できるものである。尚、撚り線の素線が細い場合、解除部材３を操作して接触片１０と鎖錠片２１をそれぞれ反対方向に変位させた状態で電線挿入孔１０２から電線１２０を挿入すれば、鎖錠片２１の先端が接触片１０から離れた状態で両者の間に電線１２０を挿入することができるので、電線接続時の作業性も向上できる。尚、接触片１０は収納室１０１の内壁（図１における左側の内壁）に当接することで変位量（撓む範囲）が規制される。

　また、上述したように、本体部３５は、平板部３６を２つ備える。２つの平板部３６，３６は、上記直交方向において互いに対向するとともに、平板部３６，３６間に１つの端子ブロック４が位置するように配置される。操作部３１は、２つの平板部３６，３６を一体に連結するように構成される。すなわち、本実施形態の速結端子装置では、解除部材３を略コ字状に形成し、一対の連結部３２，３２に設けられている押動部３３，３３で鎖錠片２１並びに接触片１０を押動しているので、鎖錠片２１並びに接触片１０をよりスムーズに電線１２０から引き離すことができるものである。

　ところで、解除部材３が回動する際に支持部３０，３０並びに操作部３１と反対側の端部（右上の端部）が錠ばね２と干渉してしまう虞がある。そのために本実施形態の速結端子装置では、平板部３６の上記対向面に、本体部３５の上記初期位置から上記解除位置への移動時に端子板１に接触して本体部３５を錠ばね２から離間させる突部３４が形成されている。換言すれば、操作部３１が手動操作されて連結部３３，３３が支持部３０を支点として回動する際に端子板１の第１の囲み片１２，１２に乗り上げる突部３４，３４が連結部３３，３３に各々設けられている。つまり、突部３４，３４を第１の囲み片１２，１２に乗り上げさせることにより、連結部３２，３２の間隔を前後方向に拡げて錠ばね２との干渉を防止し、解除部材３をスムーズに回動させることができる。

　また接触片１０や鎖錠片２１の変位量が多すぎると塑性変形してしまう虞があるため、押動部３３，３３が変位する範囲、すなわち、解除部材３の回動範囲を規制する必要がある。そのために本実施形態の速結端子装置では、図１に示すようにボディ１００の縦溝１０３，１０３に対向するカバー１１０の下面からリブ１１１を垂下させ、解除部材３の連結部３２，３２をリブ１１１の下面に当接させることで解除部材３の回動範囲を規制している。すなわち、本実施形態の速結端子装置は、解除部材３に接触することで、第１の押動部３３ａが錠ばね２を塑性変形させる位置まで移動すること、および、第２の押動部３３ｂが端子板１を塑性変形させる位置まで移動することを、防止する規制手段（リブ１１１）を有する。但し、回動範囲を規制するためのリブを器体（カバー１１０）ではなく端子板１に設けても構わない。

　ここで、鎖錠片２１の塑性変形を防止するに当たって、解除部材３の回動範囲を規制する方法以外にも、図１０に示すように端子板１の第２の囲み片１３を下方に延長して規制部１５を形成する方法がある。すなわち、図１０に示す例では、端子板１は、鎖錠片２１が電線１２０により押圧されて所定位置まで移動した際に鎖錠片２１に接触することで錠ばね２が塑性変形しないように鎖錠片２１の移動を制限する規制部１５を有する。つまり、規制部１５が鎖錠片２１に当接することで鎖錠片２１の撓み量（変位量）を規制することができるのである。

　ここで、ボディ１００の短手方向に隣接する収納室１０１，１０１内にそれぞれ収納される速結端子装置の端子ブロック４，４が送り配線用でない場合には、これら端子ブロック４，４間を電気的に絶縁する必要がある。そのために本実施形態の速結端子装置では、図７及び図８に示すように隣接する収納室１０１，１０１の間を隔絶する絶縁壁１０５をボディ１００に設けている。すなわち、器体５は、端子ブロック４間を絶縁する絶縁壁１０５を有する。これにより、隣接する複数の収納室１０１内に収納されている端子板１や錠ばね２同士の絶縁距離を大きくして短絡事故を防ぐことができる。

Claims

　端子ブロックと、上記端子ブロックを収納する器体と、を備え、
　　上記器体は、電線を上記器体内に挿入するための電線挿入孔を有し、
　　上記端子ブロックは、端子板と、錠ばねとを備え、
　　　上記端子板は、接触片を有し、
　　　　上記接触片は、上記電線挿入孔を介して上記器体内に挿入された上記電線の側面に接触する接触面を有し、
　　　上記錠ばねは、弾性を有する金属材料により形成され、中央片と、鎖錠片と、当接片と、連結片とを備え、
　　　　上記中央片は、上記接触面に対向するように配置され、上記電線挿入孔に近い第１端と、上記電線挿入孔から遠い第２端とを有し、
　　　　上記鎖錠片は、
　　　　　上記中央片の上記第１端から上記接触片の上記接触面に向かって上記中央片との角度が鋭角となるように延設され、上記電線挿入孔から上記器体内に挿入された上記電線により押圧されると上記接触面から離れるように弾性変形して、上記電線を上記端子板とで保持するように構成され、
　　　　上記当接片は、上記接触片における上記接触面とは反対側の面に接触するように配置され、
　　　上記連結片は、上記当接片を上記中央片の上記第２端に一体に連結するように構成される
　ことを特徴とする速結端子装置。
　上記端子板は、上記接触面が上記電線挿入孔の内周面より上記電線挿入孔の中心側に位置するように上記接触片を付勢するように構成されている
　ことを特徴とする請求項１記載の速結端子装置。
　上記接触片は、上記電線挿入孔に近い第１端と、上記電線挿入孔から遠い第２端とを有し、
　上記連絡片は、上記電線挿入孔に近い第１面と、上記電線挿入孔から遠い第２面とを有し、
　上記端子板は、上記連絡片の上記第２面に接触するように上記接触片の上記第２端から延設される支持片を備える
　ことを特徴とする請求項１又は２記載の速結端子装置。
　上記支持片は、上記接触片の上記第２端に近い基端部と上記接触片の上記第２端から遠い先端部との間に切り欠きを有し、
　上記連絡片は、上記第１面が上記支持片の上記基端部に接触する第１片と、上記第２面が上記支持片の上記先端部に接触する第２片と、上記支持片の上記切り欠きを通過して上記第１片と上記第２片とを一体に連結する連結片と、を有する
　ことを特徴とする請求項３記載の速結端子装置。
　上記端子板は、上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向における上記接触片の両端から上記中央片側に延設された一対の囲み片を有している
　ことを特徴とする請求項１～４のうちいずれか１項記載の速結端子装置。
　上記囲み片は、上記接触片から上記中央片側に延設された基部と、上記基部の先端から上記電線挿入孔から離れる向きに延設された先部と、を有する
　ことを特徴とする請求項５記載の速結端子装置。
　上記端子板は、第２の囲み片を有し、
　上記第２の囲み片は、上記電線挿入孔から上記器体内に挿入された上記電線が、上記接触片と上記第２の囲み片との間に位置するように、上記支持片から上記電線挿入孔側に延設されている
　ことを特徴とする請求項３～６のうちいずれか１項記載の速結端子装置。
　上記各囲み片において上記電線と対向する面の法線方向と、上記第２の囲み片において上記電線と対向する面の法線方向とは互いに直交している
　ことを特徴とする請求項７記載の速結端子装置。
　上記端子板は、金属板を用いて形成され、
　上記各囲み片および上記第２の囲み片は、上記金属板の一部を曲げることで形成され、
　上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向における上記第２の囲み片の長さは、上記一対の囲み片間の距離よりも短い
　ことを特徴とする請求項７又は８記載の速結端子装置。
　上記端子板は、上記鎖錠片が上記電線により押圧されて所定位置まで移動した際に上記鎖錠片に接触することで上記錠ばねが塑性変形しないように上記鎖錠片の移動を制限する規制部を有する
　ことを特徴とする請求項１～９のうちいずれか１項記載の速結端子装置。
　複数の上記端子ブロックを備え、
　上記器体は、上記端子ブロック間を絶縁する絶縁壁を有する
　ことを特徴とする請求項１～１０のうちいずれか１項記載の速結端子装置。
　上記接触片が上記電線により押圧されて所定位置まで移動した際に上記接触片に接触することで上記端子板が塑性変形しないように上記接触片の移動を制限する規制手段を有する
　ことを特徴とする請求項２記載の速結端子装置。
　上記接触片にはスリットが形成されている
　ことを特徴とする請求項２又は１２記載の速結端子装置。
　上記接触面には、上記鎖錠片で押された上記電線の一部が入り込む凹部が形成されている
　ことを特徴とする請求項１～１３のうちいずれか１項記載の速結端子装置。
　上記接触面には、上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向に沿って溝が形成されている
　ことを特徴とする請求項１～１３のうちいずれか１項記載の速結端子装置。
　上記鎖錠片は、その先端が上記接触面に接触するように延設されている
　ことを特徴とする請求項１～１３のうちいずれか１項記載の速結端子装置。
　上記接触面には突起が形成されている
　ことを特徴とする請求項１～１６のうちいずれか１項記載の速結端子装置。
　上記突起は、上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向に沿った中心軸を有する半円筒形に形成されている
　ことを特徴とする請求項１７記載の速結端子装置。
　上記接触面には、２つの上記突起が、上記電線を上記端子板と上記鎖錠片とで保持している状態において上記鎖錠片の先端が上記電線挿入孔の上記中心軸方向において上記２つの突起の間に位置するように、形成されている
　ことを特徴とする請求項１８記載の速結端子装置。
　上記端子ブロックから上記電線を取り外すための解除部材を備え、
　上記解除部材は、
　　初期位置と解除位置との間で移動自在に上記器体内に収納される本体部と、
　　上記器体外に配置されて上記本体部を手動により移動させるための操作部と、
　　上記本体部の上記初期位置から上記解除位置への移動に伴って上記鎖錠片を上記接触片から離れる向きに押圧して上記電線から離す第１の押動部と、
　　上記本体部の上記初期位置から上記解除位置への移動に伴って上記接触片を上記鎖錠片から離れる向きに押圧して上記電線から離す第２の押動部と、
　を有する
　ことを特徴とする請求項２記載の速結端子装置。
　上記解除部材に接触することで、上記第１の押動部が上記錠ばねを塑性変形させる位置まで移動すること、および、上記第２の押動部が上記端子板を塑性変形させる位置まで移動することを、防止する規制手段を有する
　ことを特徴とする請求項２０記載の速結端子装置。
　上記本体部は、上記接触面の法線方向および上記電線挿入孔の中心軸方向のそれぞれに直交する直交方向において上記端子ブロックに隣接するように配置される平板部を有し、
　上記平板部は、上記端子ブロックと対向する対向面を有し、
　上記第１の押動部および上記第２の押動部は上記対向面に形成され、
　上記対向面には、上記本体部の上記初期位置から上記解除位置への移動時に上記端子板に接触して上記本体部を上記錠ばねから離間させる突部が形成されている
　ことを特徴とする
　請求項２１記載の速結端子装置。
　上記本体部は、上記平板部を２つ備え、
　上記２つの平板部は、上記直交方向において互いに対向するとともに、上記平板部間に上記端子ブロックが位置するように配置され、
　上記操作部は、上記２つの平板部を一体に連結するように構成される
　ことを特徴とする請求項２２記載の速結端子装置。