明 細 書
撥液剤組成物、撥液加工方法、撥液膜を有する物品
技術分野
[0001] 本発明は撥液剤組成物、撥液加工方法、撥液膜を有する物品に関する。
背景技術
[0002] 表面に撥水性および撥油性を同時に付与する技術として、分子内にポリフルォロア ルキル基 (以下、ポリフルォロアルキル基を Rf基と記す。)を含有する重合性単量体 の構成単位を含む共重合体またはこれと他の単量体との共重合体 (合わせて、以下 、 Rf基含有ポリマーとも記す。)を、有機溶媒溶液または水性分散液としたものを用い て物品を処理することが行われている。
[0003] この撥水撥油性の発現は、コーティング膜における Rf基の表面配向により、表面に 臨界表面張力の低!、「低表面エネルギーの表面」が形成されることに起因する。撥水 性および撥油性を両立させるためには、表面における Rf基の配向が重要であり、 Rf 基の表面配向を実現するためには、ポリマー中に Rf基に由来する微結晶の融点が 存在することが必要であるとされてきた。そのために、ホモポリマーにおいて、 Rf基に 由来する微結晶の融点を有する Rf基含有単量体 (結晶性 Rf基含有単量体)が使用 されてさた。
[0004] この結晶性 Rf基含有単量体の構成単位を含む共重合体 (以下、結晶性ポリマーと も記す。)を有効成分とする組成物は、撥水撥油性の発現という観点では目的を達す る力 その他の実用上の機能については改良が行われてきた。例えば、洗濯、ドライ クリーニング、摩擦等に対する耐久性を向上させるために、結晶性 Rf基含有単量体と ともに高硬度を与える単量体または架橋反応基を有する単量体を用いること等の改 良が行われてきた。
[0005] また、硬い風合いを柔軟にする検討、低温キュア条件下における撥水性の発現の ために Rf基の融点を下げる検討、が行われてきた。たとえば、広範な鎖長範囲のパ 一フルォロアルキル基(以下、パーフルォロアルキル基を RF基と記す。)含有単量体 をアルキル基含有単量体と共重合させる例が公知である。
[0006] また、同様に広範な鎖長範囲の RF基を含むシリコーンを使用する方法が公知であ る。
たとえば、フッ素系化合物と特定融点のワックスを配合したィ匕粧用組成物(たとえば 、特許文献 1参照。)、 基 (メタ)アタリレートおよびステアリル (メタ)アタリレートおよ びその他の 2種の単量体を必須成分とする 4元共重合体 (たとえば、特許文献 2参照 。;)、フッ素系撥水撥油剤と特定鎖長の RF基含有アルコールまたはパーフルォロポリ エーテル基含有アルコールの配合物(たとえば、特許文献 3参照。)、アミノ基含有シ リコーンと Rf基含有エステル化合物の反応物 (たとえば、特許文献 4参照。)等が公知 例として挙げられる。一方、使用する Rf基含有単量体の鎖長を限定する例としては、 RF基の鎖長分布を規定したアクリル系 7元共重合体 (たとえば、特許文献 5参照。)等 が挙げられるが、少なくとも結晶性 Rf基含有単量体を 40%含む。これらの公知例に 代表される当分野の技術は、 Rf基が本来有する撥水性'撥油性を損なうことなぐそ れ以外に要求される機能の面力 物性の改良が行われている。しかし、 Rf基を含む 結晶性ポリマーをその主成分としているため、これに起因する後述する欠点を根本的 に改良できていな力つた。
特許文献 1 :特開平 7— 173025号公報
特許文献 2:特開平 10— 237133号公報
特許文献 3 :特開平 10— 81873号公報
特許文献 4:特開平 8 - 109580号公報
特許文献 5:特開昭 62— 179517号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 従来の撥水撥油剤 (撥液剤)においては、撥水撥油性を付与するためには、結晶 性 Rf基含有単量体のうちでも、 Rf基の微結晶に由来する融点が高い (通常の場合 7 0°C以上)結晶性 Rf基含有単量体を用いることが不可欠とされていた。ところが、結晶 性 Rf基含有単量体を用いると、ポリマー全体がそれに由来する高い結晶性を有する ため、そのようなポリマーで被覆、加工された物品は、非常に硬くなる。たとえば、本 来柔軟であるべき繊維製品等の場合には、その柔軟な風合いが損なわれたり、また
、コーティング膜が硬くかつ脆いために、物品を取り扱うときのハンドマーク、チョーク マーク等の傷が最終製品である原反に発生したりする場合があった。
[0008] また、撥水撥油剤を用いて加工した布ゃ不織布などの繊維製品は、初期は高い撥 水撥油性を発現するが、使用中の摩耗または繰り返し行われる洗濯により、その性 能が極端に低下してしまう欠点があった。すなわち、初期の性能を安定して維持でき る撥水撥油剤が望まれていた。さらに、コーティング膜の表面における接着性の不足 、物品の品位を低下させるひび、割れ等が起こりやすい問題があり改善が望まれて いた。
[0009] また、 Rf基を含む結晶性ポリマーを主成分とする場合、撥水撥油性の高!、均一なコ 一ティング膜を得るために、通常は、塗布後に微結晶の融点以上の高温処理を行つ てポリマーを融解させた後、冷却し、皮膜を形成する過程が不可欠であった。しかし 、このような高温処理を行うと、極細繊維ゃ異型断面糸等の素材からなる繊維製品の 場合には、染色堅牢度の低下、風合いの硬化、変色等の問題が起こり、加工物品の 品位をさらに損なうことがあった。
[0010] 従来から、 Rf基を含む結晶性ポリマーの問題点を解決すベぐポリマーの結晶性を 下げたり、ポリマーを柔軟にする技術が公知である。また、低温で造膜させる目的で、 造膜助剤を用いることや、内部可塑効果を有する分岐アルキル基を含有する重合性 単量体を結晶性 Rf基含有単量体と共重合させる技術が公知である。しかし、これらの 場合、撥水撥油性を発現すべき Rf基由来の結晶が部分的に破壊されるため、撥水 撥油性が発現しない、被膜の強度が不足する、基材との密着性が不充分である、耐 久性が低下するなどの問題があった。
[0011] また、 Rf基を含む結晶性ポリマーを有効成分とする撥水撥油剤を用いて加工した 表面において、接着性と風合いが両立しない問題があった。すなわち、結晶性ポリマ 一を含む撥水撥油剤を用いて加工した繊維製品の表面に、各種機能を付与するた めの接着加工、たとえば、防水性能を付与するためにフィルムラミネートまたはシーム テープを接着する加工、透湿防水性能を付与するためにウレタンまたはアクリル榭脂 をコーティング接着する加工等を施そうとしても、結晶性 Rf基が接着性を阻害してし まうため、充分な接着性を確保することが難しかった。結晶性 Rf基含有単量体と塩化
ビュル等の特定の単量体との共重合体を用いることによって接着性を改善することが 行われている力 この方法では繊維の風合いをさらに硬くする傾向があるため、接着 性と風合!、は両立できて!/、なかった。
[0012] また、近年、撥水撥油剤の媒体としては、水を主体とする媒体 (以下、水系媒体と言 う。)、アルコール溶剤、弱溶剤と呼ばれる石油系溶剤またはハイド口フルォロカーボ ン等のオゾン層への影響が小さいフッ素系溶剤など、作業環境、地球環境へ配慮し た媒体の使用が求められている。しかし、従来の結晶性ポリマーを有効成分とする撥 水撥油剤の場合、溶解性、分散性等の点で、芳香族系、ケトン系、エステル系等の いわゆる強溶剤、塩素系溶剤、クロ口フルォロカーボン等のオゾン層への影響が大き いフッ素系溶剤を使用する必要があり、作業環境、地球環境への配慮ができていな かった。
[0013] 本発明の目的は、基材に優れた撥液性および耐久性を付与できる撥液剤組成物と 、該撥液剤組成物を用いた撥液膜を有する物品を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0014] 本発明は、共重合体 (I)および共重合体 (II)を含有する撥液剤組成物であって、 共重合体 (I)は、共重合体 (I)に対する質量割合が、 65〜95質量%の構成単位 (a) および 1〜30質量%の構成単位 (b)を含有しており、共重合体 (Π)は、共重合体 (II )に対する質量割合が、 25〜80質量%の構成単位 (a)および 1〜50質量%の構成 単位 (c)を含有しており、前記共重合体 (I)に含有される構成単位 (a)の共重合体 (I )に対する質量割合を [a ]とし、共重合体 (Π)に含有される構成単位 (a)の共重合体 (II)に対する質量割合を [a ]としたとき、 [a ]— [a ]≥10 (質量%)であり、共重合体
2 1 2
(I)と共重合体 (Π)とが、 [共重合体 (I)の質量割合] / [共重合体 (Π)の質量割合] = 10Z90〜95Z5で含有されて 、ることを特徴とする撥液剤組成物を提供する。
[0015] 構成単位 (a)は、(Z — Y ) Xで表される単量体に由来する構成単位である。た
A A n A
だし、 Zは炭素原子数 6以下のポリフルォロアルキル基である。 nは 1または 2であり、
A
nが 2の場合には、(Z — Y )は、同じであっても異なっていてもよい。 Xは、 nが 1の
A A A
場合は— CR=CH、 -COOCR=CH、— OCOCR=CH、— OCH - φ— CR
2 2 2 2
=CHまたは— OCH = CHであり、 nが 2の場合は = CH (CH ) CR=CH、 =C
H (CH ) COOCR= CH、 = CH (CH ) OCOCR= CHまたは OCOCH = C
2 m 2 2 m 2
HCOO - (Rは水素原子、メチル基またはハロゲン原子。 φはフエ-レン基。 mは 0 〜4の整数。)である。 Yは 2価有機基または単結合である。
A
構成単位 (b)は、 Z —Xで表される単量体に由来する構成単位である。ただし、 Z
B B B
は炭素原子数 14以上の炭化水素基である。 Xは前記 Xと同じである。
B A
構成単位 (C)は、ポリフルォロアルキル基を有さず、架橋しうる官能基を有する単量 体に由来する構成単位である。
[0016] また、本発明の撥液剤組成物は、共重合体 (I)および Zまたは共重合体 (Π)が、構 成単位 (a)、(b)および (c)以外の、重合性基を有する単量体に由来する構成単位( d)を含有するのが好まし 、。
[0017] また、本発明の撥液剤組成物は、さらに界面活性剤 (III)を含むことが好ましい。界 面活性剤 (III)は、下記界面活性剤 (el)および Zまたは界面活性剤 (e2)と、界面活 性剤 (e3)とからなる。
界面活性剤(el)は、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアル キレンモノアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアル力ポリェニルエーテル およびポリオキシアルキレンモノポリフルォロアルキルエーテルのうち力 選択される 少なくとも 1種である。
界面活性剤 (e2)は、分子中に 1個以上の炭素 炭素三重結合および 1個以上の 水酸基を有する化合物からなるノ-オン性界面活性剤である。
界面活性剤 (e3)は、下記式 s71で表されるカチオン性界面活性剤である。
[ (R21) Ν+] ·Χ— …(式 1)
4
ただし、 R21は、水素原子、炭素原子数 1〜22のアルキル基、炭素原子数 2〜22の ァルケ-ル基、炭素原子数 1〜9のフルォロアルキル基または末端が水酸基である Ρ OA鎖であり、 4つの R21は同じでも異なっていてもよいが、 4つの R21は同時に水素原 子ではない。 ΧΊま対イオンを示す。
[0018] また、前記撥液剤組成物を用いた撥液加工方法と、撥液剤組成物を用いて形成さ れた撥液膜を有する物品を提供する。
発明の効果
[0019] 本発明によれば、物品に耐久性に優れた撥水性を付与できる撥液剤組成物を提 供できる。また、本発明の撥液剤組成物を用いて、優れた撥液性を有し、耐久性も高 Vヽ撥液膜を有する物品を提供できる。
図面の簡単な説明
[0020] [図 1]各添加剤の熱重量減少 (TG-DTA)を示す図。
[図 2]動的表面張力の変化を示す図。
発明を実施するための最良の形態
[0021] 本発明の撥液剤組成物は、共重合体 (I)と共重合体 (Π)とを含有し、共重合体 (I) と共重合体 (Π)は、構成単位 (a)〜 (d)を含有できる。ただし、共重合体 (I)は、構成 単位 (a)および構成単位 (b)を含有し、共重合体 (II)は、構成単位 (a)および構成単 位 (c)を含有する。共重合体 (I)が主に撥液剤組成物の撥液性の発現に寄与し、共 重合体 (Π)が主に撥液剤組成物の耐久性に寄与する。
[0022] 本発明において、構成単位 (a)は、(Z — Y ) Xで表される、 Rf基を有する単量体
A A n A
に由来する構成単位である。ただし、 Zは炭素原子数 6以下の Rf基であり、 nは 1ま
A
たは 2であり、 nが 2の場合には、(Z -Y )は、同じであっても異なっていてもよい。 X
A A
は、 nが 1の場合は— CR=CH、 -COOCR=CH、— OCOCR=CH、— OCH
A 2 2 2
- φ -CR=CHまたは— OCH = CHであり、 nが 2の場合は = CH (CH ) CR=
2 2 2 2 m
CH、 =CH (CH ) COOCR=CH、 =CH (CH ) OCOCR = CHまたは一 OC
2 2 m 2 2 m 2
OCH = CHCOO- (Rは水素原子、メチル基またはハロゲン原子。 φはフエ-レン 基。 mは 0〜4の整数。)である。また、 Yは 2価有機基または単結合である。
A
本発明の構成単位 (a)は、上記の Rf基を有する単量体の 2種以上の混合物を由来 としてもよい。構成単位 (a)は、主に撥液剤組成物の撥水性の発現に寄与する。
[0023] Rf基は、アルキル基の水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換された基で あり、炭素原子数は 1〜6である。ただし、 Rf基がエーテル系の酸素を有する場合に は、炭素原子数が 1〜20であってもよい。 Rf基は、アルキル基の水素原子の少なくと も 20〜80%がフッ素原子に置換された基が好ましい。また残余の水素原子の一部 または全部が塩素原子に置換されていてもよい。さらに、該 Rf基は直鎖状か、または 、分岐状でもよい。分岐状の場合には、結合手力も遠い末端またはその近傍に短い
分岐を有するものが好ましい。さらに上記の好ましい Rf基のうちでも、 F(CF ) (h
2 h は 1〜6の整数)で表される直鎖状 RF基、または、 C F (CM'M'CM'M4) (M\
2 5 2
M2、 M3、 M4はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、かつ、 その 1つはフッ素原子である。)で表される基がより好ましい。炭素原子数が少ないも のは、ホモポリマーとした場合に Rf基に由来する微結晶が出現しにくぐまた共重合 体が柔軟な皮膜を形成できるため好ましい。 Rf基としては、炭素—炭素不飽和二重 結合などの不飽和基を 1個以上有する鎖状ポリフルォロ炭化水素基であってもよい。
[0024] 具体的な RF基としては、以下の RF基が挙げられる力 これに限定されない。
F(CF ) 一、 F(CF ) 一、 F(CF ) 一、 (CF ) CF(CF ) 一、 H(CF ) 一、 HCF
2 4 2 5 2 6 3 2 2 2 2 6
CF—、 Cl(CF) —、 F(CF ) (CH CF) —、 F(CF ) (CH CF ) 一、 F(CF )
2 2 2 4 2 4 2 2 3 2 6 2 2 3 2 4
(CFC1CF ) 一、 CF CF = CFCF CF = CF—。
2 2 3 2
また、エーテル系の酸素を含む RF基としては、例えば、 C F 0[CF(CF )CF k 2k+l 3 2
O] CF(CF )—、 C F 0[CF(CF )CF O] (CF ) - (kは 3〜6の整数、 eは 0〜 e 3 3 7 3 2 e 2 k
3の整数。 )が挙げられる。
[0025] R
f基と重合性不飽和基とは、単結合で結合していてもよぐ 2価有機基を介して結 合していてもよい。 2価有機基としては、アルキレン基が含まれる基が好ましい。該ァ ルキレン基としては、直鎖であっても、分岐を有するものであってもよい。また、該 2価 有機基には、 O 、 一 NH 、 一 CO—、 -SO D
2はそ
れぞれ独立して、水素原子またはメチル基を示す。)等が含まれていてもよい。 2価有 機基としては、アルキレン基が好ましい。
[0026] Yとしては、ー1^1 <3—1^ーで表される2価有機基(1^1、 RNはそれぞれ独立して
A
、単結合、 1個以上の酸素原子を含んでいてもよい炭素原子数 1〜22の飽和または 不飽和の炭化水素基を示し、 Qは単結合、—OCONH—、—CONH—、—SO N
2
H または一 NHCONH を示す。)が好ましい。 Yとしては、 -CH―、 一 CH C
A 2 2
H一、 -CH CH CH一、 (CH ) 一、 CH CH CH(CH )一、 CH = CH
2 2 2 2 2 11 2 2 3
CH―、—(CH CHR20) CH CH— (pは 1〜10の整数、 R2は水素原子またはメ
2 2 p 2 2
チル基を示す。)、― C H OCONHC H―、― C H OCOOC H―、― COOC
2 4 2 4 2 4 2 4 2
H一等が好ましく挙げられる。
[0027] Xとしては、エチレン性の重合性不飽和基、すなわち、ォレフィン類の残基、ビニ
A
ルエーテル類の残基、ビュルエステル類の残基、(メタ)アタリレート類の残基、マレイ ン酸エステル類の残基、フマル酸エステル類の残基等が好ましい。ここでォレフィン 類の残基とは CR=CH、ビュルエステル類の残基とは COOCR=CH、ビ-
2 2 ルエーテル類の残基とは— OCR=CH、(メタ)アタリレート類の残基とは— OCOC
2
R=CH、マレイン酸またはフマル酸エステル類の残基とは OCOCH = CHCOO
2
—で表される基を示す。他に、 OCH - φ— CR = CH、— OCH = CH等が挙げ
2 2 2 られる( φはフエ-レン基を示す。 ) 0ただし、 Rは重合性を妨げないために水素原子 、ハロゲン原子 (フッ素原子、塩素原子等)または炭素原子数 1〜3の短鎖のアルキ ル基 (特にメチル基)が好ましい。共重合体の重合性を考慮すると、 Xとしては、(メタ
A
)アタリレート類の残基、マレイン酸またはフマル酸エステルの残基が好ましぐ溶媒 に対する溶解性または乳化重合の容易性等の観点から (メタ)アタリレート類の残基 が特に好ましぐとりわけメタタリレートの残基が好ましい。
[0028] Rf単量体としては、特に Rf基を有する (メタ)アタリレートが好ましぐとりわけ Rf基を 有するメタタリレートが好ましい。このような Rf単量体としては、下記単量体等、種々の 単量体を使用できる。また、これらの単量体としては、公知の単量体を使用できる。本 発明で用いる構成単位 (a)を形成する単量体としては、他の単量体との重合性、形 成皮膜の柔軟性、基材に対する接着性、溶媒に対する溶解性、乳化重合の容易性 等の観点から、上記のように特に (メタ)アタリレート類が好ましぐとりわけメタタリレー ト類が好ましい。
[0029] Rf基が RF基であり、かつ Yが—(CH )—、― (CH CH )—または—(CH ) —で
A 2 2 2 2 3 ある (メタ)アタリレートである場合は、 基の炭素原子数が 7以上であると微結晶の融 点が 55°Cより高くなり目的とする機能が発現しない。本発明の構成単位 (a)の単量 体の Rf基は炭素原子数 6以下の RF基であり、炭素原子数 4〜6の直鎖状 RF基である のが好ましい。
Yがー CH CH CH (CH ) または CH = CH— CH—であり、 X力 (メタ)ァク
A 2 2 3 2 A リレートの場合も、 Rf基の炭素原子数は 4〜6であるのが好ましい。
[0030] 本発明における構成単位 (b)は、 Z —Xで表される単量体に由来する構成単位で
ある。 Zは炭素原子数 14以上の炭化水素基であり、飽和の炭化水素基であっても
B
不飽和の炭化水素基であってもよぐ直鎖であっても分岐であってもよぐ例えば、テ トラデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ィコシル基、ベへニル基、 ラウロン基、テトラコシル基、モンタニル基、ステアロン基が挙げられる。
Xは、エチレン性の重合性不飽和基、すなわち、ォレフィン類の残基、ビニルエーテ
B
ル類の残基、ビニルエステル類の残基、(メタ)アタリレート類の残基、マレイン酸エス テル類の残基、フマル酸エステル類の残基等が好ましい。ここでォレフィン類の残基 とは— CR=CH、ビュルエステル類の残基とは— COOCR = CH、ビュルエーテル
2 2
類の残基とは— OCR=CH、(メタ)アタリレート類の残基とは— OCOCR=CH、マ
2 2 レイン酸またはフマル酸エステル類の残基とは OCOCH = CHCOO で表される 基を示す。他に、—OCH— φ -CR=CH、 -OCH = CH等が挙げられる( φは
2 2 2
フエ-レン基を示す。 ) 0ただし、 Rは重合性を妨げないために水素原子、ハロゲン原 子 (フッ素原子、塩素原子等)または炭素原子数 1〜3の短鎖のアルキル基 (特にメチ ル基)が好ましい。 Xとしては、(メタ)アタリレート類、ビュルエーテル類、ビュルエス
Β
テル類の残基であるのがより好ま 、。構成単位 (b)を形成する単量体は 2種以上の 混合物を用いてもよい。
[0031] 構成単位 (b)を形成する単量体は、炭素原子数が 16〜40の飽和炭化水素基を有 する単量体であるのが好ましぐ炭素原子数 16〜40のアルキル基を含有する (メタ) アタリレートであるのがより好ましぐステアリル (メタ)アタリレート、ベへ-ル (メタ)ァク リレートであるのがさらに好ましい。構成単位 (b)を含む共重合体は、繊維に対して優 れた撥水撥油性が付与できる。
[0032] 本発明における構成単位 (c)は、 Rf基を有さず、架橋しうる官能基を有する単量体 に由来する単量体である。架橋しうる官能基としては、共有結合、イオン結合または 水素結合のうち少なくとも一つ以上の結合を有する力、または、該結合の相互作用に より架橋構造を形成できる官能基が好ましい。前記官能基としては、イソシァネート基 、ブロックドイソシァネート基、アルコキシシリル基、アミノ基、アルコキシメチルアミド基 、シラノール基、アンモ-ゥム基、アミド基、エポキシ基、水酸基、ォキサゾリン基、力 ルポキシル基、アルケニル基、スルホン酸基等が好ましい。また、エポキシ基、水酸
基、ブロックドイソシァネート基、アルコキシシリル基、アミノ基、カルボキシル基がより 好ましい。
構成単位 (c)を形成する単量体としては、(メタ)アタリレート類、共重合可能な基を 2個以上もつ化合物、ビュルエーテル類またはビュルエステル類が好ましく挙げられ る。構成単位 (c)は、 2種以上の混合物を由来としてもよい。構成単位 (c)を形成する 単量体としては、以下の化合物が好ましく挙げられる。
2—イソシアナトェチル (メタ)アタリレート、 3 イソシアナトプロピル (メタ)アタリレー ト、 4—イソシアナトブチル (メタ)アタリレート、 2—イソシアナトェチル (メタ)アタリレート の 2—ブタノンォキシム付加体、 2—イソシアナトェチル (メタ)アタリレートのピラゾー ル付加体、 2 イソシアナトェチル (メタ)アタリレートの 3, 5 ジメチルビラゾール付 加体、 2 イソシアナトェチル (メタ)アタリレートの 3—メチルビラゾール付加体、 2—ィ ソシアナトェチル (メタ)アタリレートの ε—力プロラタタム付加体、 3—イソシアナトプロ ピル (メタ)アタリレートの 2 ブタノンォキシム付カ卩体、 3—イソシアナトプロピル (メタ) アタリレートのピラゾール付加体。
3—イソシアナトプロピル (メタ)アタリレートの 3, 5—ジメチルビラゾール付カ卩体、 3— イソシアナトプロピル(メタ)アタリレートの 3—メチルビラゾール付カ卩体、 3—イソシアナ トプロピル (メタ)アタリレートの ε一力プロラタタム付加体、 4 イソシアナトブチル (メ タ)アタリレートの 2 ブタノンォキシム付カ卩体、 4—イソシアナトブチル (メタ)アタリレ 一トのピラゾール付カ卩体、 4 イソシアナトブチル(メタ)アタリレートの 3, 5—ジメチル ピラゾール付カ卩体、 4 イソシアナトブチル(メタ)アタリレートの 3—メチルピラゾール 付加体、 4—イソシアナトブチル (メタ)アタリレートの ε—力プロラタタム付カロ体。
メトキシメチル (メタ)アクリルアミド、エトキシメチル (メタ)アクリルアミド、ブトキシメチ ル (メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、 y—メタクリロイルォキシプロビルト リメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルアミノエチ ル (メタ)アタリレート、ジェチルアミノエチル (メタ)アタリレート、ジメチルァミノプロピル (メタ)アタリレート、(メタ)アタリロイルモルホリン、(メタ)アタリロイルォキシェチルトリメ チルアンモ -ゥムクロライド、(メタ)アタリロイルォキシプロピルトリメチルアンモ -ゥム クロライド、(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモ -ゥムクロライド、(メタ)アクリル
アミドプロピルトリメチルアンモ -ゥムクロライド。
t—ブチル (メタ)アクリルアミドスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、 N—メチル (メタ)ァ クリルアミド、 N—メチロール (メタ)アクリルアミド、ジアセトン (メタ)アクリルアミド、ダリ シジル (メタ)アタリレート、 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリレート、 2—ヒドロキシプロピ ル (メタ)アタリレート、 4ーヒドロキシブチル (メタ)アタリレート、 3—クロロー 2—ヒドロキ シプロピルメタタリレート、ポリオキシアルキレングリコールモノ (メタ)アタリレート、 (メタ )アクリル酸、 2— (メタ)アタリロイルキシェチルコハク酸、 2— (メタ)アタリロイルキシへ キサヒドロフタル酸、 2—(メタ)アタリロイルォキシェチルアシッドフォスフェート、ァリル (メタ)アタリレート、 2—ビュル— 2—ォキサゾリン、 2—ビュル— 4—メチル—(2—ビ -ルォキサゾリン)ヒドロキシェチル(メタ)アタリレートのポリ力プロラタトンエステル。 トリ(メタ)ァリルイソシァヌレート(T(M)AIC)、トリァリルシアヌレート(TAC)、フエ- ルグリシジルェチルアタリレートトリレンジイソシアナ一 HAT— 600)、 3— (メチルェ チルケトォキシム)イソシアナトメチル一 3, 5, 5—トリメチルシクロへキシル(2—ヒドロ キシェチルメタタリレート)シアナート(HE— 6P)。
単量体 (c)としては、特に N—メチロール (メタ)アクリルアミド、 2—ヒドロキシェチル( メタ)アタリレート、 3—イソシアナトプロピル (メタ)アタリレートの 3, 5—ジメチルビラゾ ール付加体、ダイアセトンアクリルアミド、グリシジルメタタリレート、ヒドロキシェチル (メ タ)アタリレートのポリ力プロラタトンエステル、 AT— 600 (共栄社ィ匕学社製)、テックコ ート HE— 6P (京絹化成社製)が好ま U、。
構成単位 (c)は、主に撥液膜の造膜性、撥液性組成物の基材との接着性や密着 性に影響し、耐久性を高めることに寄与する。
本発明における構成単位 (d)は、構成単位 (a)、 (b)および (c)以外の重合性基を 有する単量体に由来する構成単位である。また、造膜性が良好で、均一な共重合体 溶液または分散液が得られる単量体に由来するものであるのが好ま 、。構成単位 ( d)を形成する単量体としては、下記のものが例として挙げられる。
メチルアタリレート、ェチルアタリレート、プロピルアタリレート、ブチルメタタリレート、 シクロへキシルアタリレート、 2—ェチルへキシル (メタ)アタリレート、ブチルメタクリレ ート、 n—へキシル (メタ)アタリレート、シクロへキシルアタリレート、酢酸ビュル、プロピ
オン酸ビュル、塩化ビ-リデン、ブテン、イソプレン、ブタジエン、エチレン、プロピレン
、ビニルエチレン、ペンテン、ェチル 2—プロピレン、ブチノレエチレン、シクロへキシ ルプロピルエチレン、デシルエチレン、ドデシルエチレン、へキセン、イソへキシルェ チレン、ネオペンチルエチレン、 (1, 2—ジエトキシカルボ-ル)エチレン、 (1, 2—ジ プロポキシカルボニル)エチレン、メトキシエチレン、エトキシエチレン、ブトキシェチレ ン、 2—メトキシプロピレン、ペンチルォキシエチレン、シクロペンタノィルォキシェチレ ン、シクロペンチルァセトキシエチレン、スチレン、 a—メチルスチレン、 p—メチルス チレン、へキシルスチレン、ォクチルスチレン、ノニルスチレン、クロ口プレン、塩化ビ ニル、フッ化ビニリデン。
N, N ジメチル (メタ)アクリルアミド、ビュルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキ ルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブチルアタリレート、プロピルメタタリレート 、シクロへキシルメタタリレート、ベンジル (メタ)アタリレート、ォクチル(メタ)アタリレー ト、デシルメタタリレート、ドデシルアタリレート、シクロドデシルアタリレート、ラウリル (メ タ)アタリレート、 3—エトキシプロピルアタリレート、メトキシ一ブチルアタリレート、 2- ェチルブチルアタリレート、 1、 3 ジメチルブチルアタリレート、 2—メチルペンチルァ タリレート、アジリジ -ルェチル (メタ)アタリレート、 2—ェチルへキシルポリオキシアル キレン (メタ)アタリレート、ポリオキシアルキレンジ (メタ)アタリレート。
クロトン酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエス テル、シトラコン酸アルキルエステル、メサコン酸アルキルエステル、酢酸ァリル、 N— ビュルカルバゾール、マレイミド、 N—メチルマレイミド、側鎖にシリコーンを有する(メ タ)アタリレート、ウレタン結合を有する (メタ)アタリレート、末端が炭素原子数 1〜4の アルキル基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アタリレート、アルキレンジ ( メタ)アタリレート等。
構成単位 (d)としては、特に、塩化ビニル、塩ィ匕ビユリデン、シクロへキシルメタタリ レート、ポリオキシエチレンジ (メタ)アタリレート、ポリオキシエチレンジ (メタ)アタリレー トのアルキルエーテル、ジォクチルマレエートを由来とするのが好ましい。構成単位( d)は、組成物の基材への密着性の改良や、分散性の改良に寄与できる。
本発明の撥液剤組成物の共重合体 (I)および共重合体 (Π)は、以上説明した構成
単位 (a)〜(d)を含有できる。
本発明の撥液剤組成物の共重合体 (I)は、共重合体 (I)の質量を基準として 65〜 95質量%の構成単位 (a)を含有する。共重合体 (I)中の構成単位 (a)の含有量は、 70〜95質量%であるのが好ましぐ 70〜90質量%であるのがさらに好ましい。共重 合体 (I)に含有される構成単位 (a)がこの範囲であれば、撥液性を充分に発現するこ とがでさる。
共重合体 (Π)は、共重合体 (Π)の質量を基準として、 25〜80質量%の構成単位( a)を含有する。共重合体 (Π)中の構成単位 (a)の含有量は、 30〜80質量%である のが好ましぐ 30〜75質量%であるのがさらに好ましい。共重合体 (Π)中の構成単 位 (Π)がこの範囲内であれば、撥液性を高く保つことができる。
また、共重合体 (I)に含まれる構成単位 (a)の共重合体 (I)に対する質量割合を [a ]とし、共重合体 (Π)に含まれる構成単位 (a)の共重合体 (Π)に対する質量割合を [a
]とすると、 [a ]— [a ]≥10 (質量%)でぁる。また、この関係は、 [a ]— [a ]≥30で
2 1 2 1 2 あるのが好ましい。
また、共重合体 (I)は、 1〜30質量%の構成単位 (b)を含有する。共重合体 (I)中 の構成単位 (b)は 1〜27質量%であるのが好ましぐ 3〜27質量%であるのがさらに 好ましい。共重合体 (I)中の構成単位 (b)が、この範囲内であれば撥液性を充分に 発現できる。
また、共重合体 (Π)は、 1〜50質量%の構成単位 (c)を含有する。共重合体 (Π)中 の構成単位 (c)は、 1〜40質量%であるのが好ましぐ 1〜35質量%であるのがさら に好ましい。共重合体 (Π)中の構成単位 (c)がこの範囲内であれば、耐久性を充分 に発現できる。
また、本発明の撥液剤組成物は、共重合体 (I)と共重合体 (Π)とが、 [共重合体 (I) の質量割合] / [共重合体 (Π)の質量割合] = 10Z90〜95Z5で含有される。
本発明の撥液剤組成物では、共重合体 (I)と共重合体 (Π)の形態は、共重合体 (I) と共重合体 (Π)とを別々の粒子としてランダムに混在させる形態としても、共重合体 (I )と共重合体 (Π)とを同一粒子内に存在させる形態 (例えば、コア シェル型)として ちょい。
本発明の共重合体 (I)の粒子と共重合体 (Π)の粒子とを、撥液剤組成物中にラン ダムに混在させる場合には、 [共重合体 (I)の質量割合] Z [共重合体 (π)の質量割 合] = 10Z90〜95Z5で混在させる。また、 [共重合体 (I)の質量割合] Ζ [共重合 体 (Π)の質量割合] = 20Ζ80〜90Ζ10であるのが好ま 、。共重合体 (I)と共重合 体 (Π)とが、この比率で含有されていれば、共重合体 (I)の撥液性に関する機能と共 重合体 (Π)の接着密着性に関する機能を相乗的に発現できるため好ましい。
このとき、全体として構成単位 (a)、(b)、(c)および (d)を含有する場合には、構成 単位 (a)は全共重合体中に 20〜95質量%であるのが好ましぐ 30〜90質量%であ るのがより好ましい。構成単位 (b)は全共重合体中に 0. 1〜80質量%であるのが好 ましぐ 0. 5〜70質量%であるのがより好ましい。構成単位 (c)は全共重合体中に 0. 1〜20質量%であるのが好ましぐ 0. 5〜15質量%であるのがより好ましい。構成単 位 (d)は全共重合体中に、 0. 1〜30質量%であるのが好ましぐ 1〜20質量%であ るのがより好ましい。この範囲内の組成であれば、得られる撥液剤組成物が、より優 れた撥液性および耐久性をもつ。
[0037] 共重合体 (I)と共重合体 (Π)とが同一粒子内に存在する形態では、共重合体 (II) の存在形態は、共重合体 (I)の微粒子分散液に共存する界面活性剤量や、共重合 体 (I)と共重合体 (Π)を構成する単量体の疎水性の大小関係、ある!/、は共重合体 (II )を構成する単量体の水相への分配係数により変化するものである力 共重合体 (I) の微粒子表面、または内部に共重合体 (Π)が存在した形態の共重合体粒子が好ま しい。共重合体粒子においては、共重合体 (I)と共重合体 (Π)とが層状に層分離した コア シェル型が性能上好ましぐ層分離形態が海一島構造や、共重合体の一部が 局在化しているもの、あるいは、他の共重合体分子鎖等がからみあった形態であって もよい。このような形態をとることにより、共重合体 (I)の分散液と共重合体 (Π)の分散 液をそれぞれ製造して混合する手法では到底得ることができない優れた撥水撥油性 能 (撥液性能)が得られると推定される。
[0038] 共重合体 (I)と共重合体 (Π)とが層状に層分離したコア シェル型である場合には 、コア部を共重合体 (I)とし、シェル部を共重合体 (Π)とするのが好ましい。この構造 とした場合、共重合体 (Π)の接着密着性に関する機能を高めることができ、耐久性が
向上し、また、皮膜上に効果的な海島構造を作ることができるため、高い撥液性を得 ることがでさる。
本発明の共重合体 (I)は、構成単位 (a)と構成単位 (b)を含有して!/ヽれば、構成単 位 (c)、構成単位 (d)を含有して!/、てもよ 、。また、本発明の共重合体 (Π)は、構成 単位 (a)と構成単位 (c)を含有して!/ヽれば、構成単位 (b)、構成単位 (d)を含有して いてもよい。本発明の共重合体 (I)と共重合体 (Π)とがコア シェル型である場合に は、共重合体 (I)および共重合体 (Π)が、共に構成単位 (d)を含有していることが好 ましい。
コア シェル型の共重合体 (I)および共重合体 (Π)の構成単位の組み合わせとし ては、構成単位 (a)および (b)からなる共重合体 (I)と、共重合体 (a)および ( から なる共重合体 (Π)の組み合わせ、構成単位 (a)および (b)力もなる共重合体 (I)と、 共重合体 (a)および (c)および (d)力もなる共重合体 (Π)の組み合わせ、構成単位 (a )および (b)および (c)からなる共重合体 (I)と、共重合体 (a)および (c)および (b)か らなる共重合体 (Π)の組み合わせ、構成単位 (a)および (b)および (d)を含む共重合 体 (I)と、構成単位 (a)および (c)および (d)を含む共重合体 (Π)との組み合わせ、構 成単位 (a)および (b)および (c)および (d)を含む共重合体 (I)と、構成単位 (a)およ び (c)および (d)を含む共重合体 (Π)との組み合わせが挙げられる。
共重合体 (I)が、構成単位 (a)および (b)および (c)および (d)含む共重合体である 場合には、共重合体 (I)中の各構成単位の比率は、(a): (b): (c): (d) = 65〜95: 1 〜30 : 0. 1〜20 : 0. 1〜20 (質量%)でぁるのが好ましぃ。また、共重合体 (I)が、構 成単位 (a)および (b)および (d)を含む共重合体である場合には、共重合体 (I)中の 各構成単位の比率は、 (a): (b): (d) = 65〜95 : 1〜30 : 0. 1〜20 (質量%)でぁる のが好ま U、。共重合体 (Π) 1S 構成単位 (a)および (c)および (d)含む共重合体で ある場合には、共重合体 (Π)中の各構成単位の比率は、(a): (c): (d) = 25〜80: 1 〜50: 10〜55 (質量0 /0)であるのが好まし!/ヽ。
本発明の共重合体 (I)と共重合体 (Π)とが同一粒子内に存在する形態とし、粒子内 に構成単位 (a)、(b)、(c)および (d)を含む場合には、構成単位 (a)は全共重合体 中に 55〜95質量%であるのが好ましぐ 60〜90質量%であるのがより好ましい。構
成単位 (b)は全共重合体中に、 0. 1〜30質量%であるのが好ましぐ 0. 5〜15質量 %であるのがより好ましい。構成単位 (c)は全共重合体中に 0. 1〜20質量%である のが好ましぐ 0. 5〜10質量%であるのがより好ましい。構成単位 (d)は共重合体中 に、 0. 1〜30質量0 /0であるのが好ましぐ 1〜20質量0 /0であるのがより好ましい。この 範囲内の組成であれば、得られる撥液剤組成物が、より優れた撥液性および耐久性 をもつ。
[0040] コア シェル型の共重合体 (I)と共重合体 (Π)は、 [共重合体 (I)の質量割合] / [ 共重合体 (Π)の質量割合] =60Z40〜90Z10とするのが好ましい。また、必要に 応じてさらなる共重合体を含有することもできる。例えば、共重合体 (I)と共重合体 (II )とをコア シェル型の粒子とし、さらに別の共重合体 (Π) 'と混合して用いても構わ ない。
また、特に共重合体 (I)と共重合体 (Π)をコア—シェル型とする場合は、構成単位( a)は全共重合体中に 55〜95質量%であるのが好ましぐ 60〜90質量%であるのが より好ましい。構成単位 (b)は全共重合体中に、 0. 1〜30質量%であるのが好ましく 、0. 5〜15質量%であるのがより好ましい。構成単位 (c)は全共重合体中に 0. 1〜2 0質量%であるのが好ましぐ 0. 5〜10質量%であるのがより好ましい。構成単位 (d) は共重合体中に、 0. 1〜30質量%であるのが好ましぐ 1〜20質量%であるのがより 好ましい。この範囲内の組成であれば、得られる撥液剤組成物が、より優れた撥液性 および耐久性をもつ。
[0041] 本発明の撥液剤組成物にお!、て、有効成分となる共重合体 (I)および共重合体 (II )の調製方法は特に限定されない。たとえば、水を分散媒としノ-オン性界面活性剤 および Zまたはカチオン性界面活性剤、ノ-オン性界面活性剤および Zまたは両性 界面活性剤、ノ-オン性界面活性剤および Zまたはァ-オン界面活性剤を含む分 散重合法、乳化重合法、縣濁重合法等通常の重合反応の手法を採用できる。特に、 水を含む媒体中で乳化重合により共重合体を製造するのが好ましい。得られた共重 合体の溶液、分散液、乳化液は、そのまま使用してもよぐまたは、希釈して使用して もよい。また、共重合体を分離した後、溶媒、分散媒、乳化重合媒体に溶解、分散、 乳化してもよい。
[0042] 重合反応の開始前に高圧乳化機等を用いて前乳化するのが好ましい。たとえば、 モノマー、界面活性剤および水系媒体力もなる混合物を、ホモミキサーまたは高圧乳 ィ匕機等で混合分散することが好ましい。重合開始前に重合混合物をあらかじめ混合 分散すると、最終的に得られる共重合体の収率が向上するため好ましい。
[0043] 共重合体 (I)と共重合体 (Π)を別々に混在させる形態とする場合には、共重合体 (I )と共重合体 (Π)を別々に重合反応して、共重合体 (I)と共重合体 (Π)のそれぞれの 分散体を得た後に、該分散体を混合して調製するのが好まし ヽ。
共重合体 (I)と共重合体 (Π)とが同一粒子内に存在する形態とする場合には、重合 性単量体を一度に反応させる方法でもよいし、共重合体 (I)の存在下で、共重合体( Π)を構成する単量体を重合する方法でもよい。後者の方法としては、特に限定され ないが、共重合体 (I)が微粒子として存在する乳濁液または分散液に、共重合体 (II )を構成する単量体を、一括、もしくは数段階に分割して加え、つぎに重合開始剤を 加えて重合させる方法 ( 、わゆるシード乳化重合法)が好ま U、。
共重合体 (Π)を構成する単量体の重合を開始する前に、共重合体 (I)と共重合体( II)を構成する単量体とを含む混合物をよく撹拌するのが好ましぐこれにより、最終 的な収率を向上させることもできる。
共重合体 (I)に対する共重合体 (Π)を構成する単量体の量は、 [共重合体 (I)の質 量割合] Z [共重合体 (Π)の質量割合] = 10Z90〜95Z5であり、 20Ζ80〜90Ζ 10であるのが好ましい。
[0044] 本発明の撥液剤組成物は、共重合体 (I)および共重合体 (II)が媒体中に粒子とし て分散しているのが好ましい。媒体中に分散した共重合体の個数平均粒子径は、 10 〜1000nmが好ましぐ特に 10〜300nm力 S好ましく、とりわけ 10〜200nmが好まし い。平均粒子径が該範囲であると、界面活性剤、分散剤等を多量に使用する必要が なぐ撥水撥油性が良好であり、染色された布帛類に処理した場合に色落ちが発生 せず、媒体中で分散粒子が安定に存在できて沈降することがないため好ましい。本 発明において、平均粒子径は、動的光散乱装置、電子顕微鏡等により測定できる。
[0045] 本発明の撥液剤組成物は、媒体を用いるのが好ま 、。該媒体としては、水、アル コール、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化合物、炭化水素、ケトン、エステ
ル、エーテル、窒素化合物、硫黄化合物、無機溶剤、有機酸等が好ましぐ特に、水 、アルコール、グリコール、グリコールエーテルおよびグリコールエステルからなる群 から選ばれた 1種以上の媒体が、溶解性、取扱いの容易さの観点力 好ましい。以 下に好ま 、媒体の具体例を挙げる。
[0046] アルコールとしては、メタノール、エタノール、 1 プロパノール、 2 プロパノール、 1ーブタノール、 2—ブタノール、 2—メチルプロパノール、 1, 1ージメチルエタノール 、 1 ペンタノール、 2 ペンタノール、 3 ペンタノール、 2—メチルー 1ーブタノール 、 3—メチルー 1ーブタノール、 1, 1ージメチルプロパノール、 3—メチルー 2 ブタノ 一ノレ、 1, 2—ジメチノレプロパノーノレ、 1一へキサノーノレ、 2—メチノレー 1 ペンタノ一 ル、 4ーメチルー 2 ペンタノール、 2 ェチルー 1ーブタノール、 1一へプタノール、 2 ヘプタノール、 3 ヘプタノール等が好ましく挙げられる。
[0047] グリコール、グリコールエーテルとしては、エチレングリコール、エチレングリコール モノメチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモノェチノレエーテノレ、エチレングリコーノレモ ノブチノレエーテノレ、エチレングリコールモノメチルエーテルァセタート、エチレングリコ 一ノレモノェチノレエーテノレァセタート、エチレングリコーノレモノブチノレエーテノレァセタ ート、プロピレングリコール、グリコールエーテルとしては、プロピレングリコールモノメ チノレエ一テル、プロピレングリコーノレモノェチノレエーテル、プロピレングリコールジメ チノレエ一テル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコーノレモノメチノレエーテル、 ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノェチルエーテ ル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピ レングリコール、へキシレングリコール等が好ましく挙げられる。
[0048] ハロゲン化合物としては、ハロゲンィ匕炭化水素、ハロゲンィ匕エーテル等が好ましく 挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、ハイド口クロ口フルォロカーボン、ノ、イド口 フルォロカーボン、ハイドロブロモカーボン等が挙げられる。
ハイド口クロ口フルォロカーボンとしては、 CH CC1 F、 CHC1 CF CF 、 CHC1FC
3 2 2 2 3
F CC1F等が好ましく挙げられる。
2
ハイド口フルォロカーボンとしては、 CF CF CF CHF 、 CF CF CF CH F、 CF
3 2 2 2 3 2 2 2 3
CF CH CF 、 CHF CF CF CHF 、 CHF CH CF CF 、 CF CHFCH CF 、 CF
CH CF CHF 、 CHF CHFCF CHF 、 CF CHFCF CH 、 CHF CHFCHFC
3 2 2 2 2 2 2 3 2 3 2
HF 、 CF CH CF CH 、 CF CF CH CH 、 CHF CH CF CH 、 CHF CF CF
2 3 2 2 3 3 2 2 3 2 2 2 3 2 2 2
CF CF、 CF CF CF CHFCF、 CHF CF CF CF CHF 、 CF CHFCHFCF C
2 3 3 2 2 3 2 2 2 2 2 3 2
F 、 CF CHFCF CH CF、 CF CF (CF ) CH CHF、 CF CH (CF ) CH CF、 C
3 3 2 2 3 3 3 2 2 3 3 2 3
F CH CF CH CF、 CHF CHFCF CHFCHF、 CHF CF CF CHFCH 、 CF
3 2 2 2 3 2 2 2 2 2 2 3 3
CH CH CH CF、 CHF CH CF CH CHF、 CF (CF ) CHF、 CF (CF ) C
2 2 2 3 2 2 2 2 2 3 2 4 2 3 2 4
H F、 CF CF CF CF CH CF 、 CHF CF CF CF CF CHF 、 CF CH (CF ) C
2 3 2 2 2 2 3 2 2 2 2 2 2 3 3
HFCF CF 、 CF CF CH CH (CF ) CF、 CF CH CF CF CH CF 、 CF CF C
2 3 3 2 2 3 3 3 2 2 2 2 3 3 2
H CH CF CF 、 CF CF CF CF CH CH 、 CF CH (CF ) CH CH CF、 CHF
2 2 2 3 3 2 2 2 2 3 3 3 2 2 3 2
CF CH CH CF CHF、 CF CF CF CH CH CH等が好ましく挙げられる。
2 2 2 2 2 3 2 2 2 2 3
ハイドロブ口モカ一ボンとしては、 CH Br、 CH BrCH CH 、 CH CHBrCH 、 C
2 2 2 2 3 3 3
H BrCHBrCH等が好ましく挙げられる。
2 3
ハロゲン化エーテルとしてはハイド口フルォロエーテル等が、ハイド口フルォロエー テルとしては、分離型ハイド口フルォロエーテル、非分離型ハイド口フルォロエーテル 等が好ましく挙げられる。分離型ノ、イド口フルォロエーテルとは、エーテル性酸素原 子を介してペルフルォロアルキル基またはペルフルォロアルキレン基、および、アル キル基またはアルキレン基が結合して 、る化合物である。非分離型ハイド口フルォロ エーテルとは、部分的にフッ素化されたアルキル基またはアルキレン基を含むハイド 口フルォロエーテルである。
分離型ハイド口フルォロエーテルとしては、 CF CF CF OCH 、 (CF ) CFOCH
3 2 2 3 3 2 3
、 CF CF CF OCH CH 、 CF CF CF CF OCH 、 (CF ) CFCF OCH 、 (CF
3 2 2 2 3 3 2 2 2 3 3 2 2 3 3
) COCH 、 CF CF CF CF OCH CH 、 (CF ) CFCF OCH CH 、 (CF ) COC
3 3 3 2 2 2 2 3 3 2 2 3 3 3
H CH 、 CF CF (OCH ) CF (CF ) 、 CF CF (OCH CH ) CF (CF ) 、 C F OC
2 3 3 3 3 2 3 2 3 3 2 5 11
H CH 、 CF CF CF CF (OCH CH ) CF (CF ) 、 CH 0 (CF ) OCH 、 CH OC
2 3 3 2 2 2 3 3 2 3 2 4 3 3
F CF OCH CH 、 C H OCF (CF ) CF OCH等が好ましく挙げられる。
2 2 2 3 3 7 3 2 3
非分離型ハイド口フルォロエーテルとしては、 CHF OCF OCHF 、 CH FCF OC
2 2 2 2 2
HF 、 CF CF CF OCH F、 CF CF OCH CHF、 CHF CF CH OCF、 CF C
2 3 2 2 2 3 2 2 2 2 2 2 3 3
F CH OCHF、 CHF CF OCH CHF、 CF CH OCF CH F、 CF CH OCF C
2 2 2 2 2 2 2 3 2 2 2 3 2 2
HF、 CHF CF CF OCH、 HF CF CH OCH、 CF CF CF OCH CF、 CF C
2 2 2 2 3 2 2 2 3 3 2 2 2 3 3
F CH OCF CF、 CF CF CF OCH CHF、 CF CF CH OCF CHF、 CHF C
2 2 2 3 3 2 2 2 2 3 2 2 2 2 2
F CH OCF CF、 CHF CF CH OCF CHF、 CF CHFCF CH OCF、 CF C
2 2 2 3 2 2 2 2 2 3 2 2 3 3
HFCF CH OCHF、 CF CF CF CH OCH、 (CF ) CHCF OCH、 CF CF C
2 2 2 3 2 2 2 3 3 2 2 3 3 2
F OCH CF CF、 CF CF CF OCH CF CHF、 CF CF CF CF OCF CHF、
2 2 2 3 3 2 2 2 2 2 3 2 2 2 2 2
CF (CF ) OCHF、 CHF OCF CF OCHF、 CHF OCF OCF CF OCHF、
3 2 5 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
CHF OCF OCF OCF OCHF等が好ましく挙げられる。
2 2 2 2 2
[0049] 炭化水素としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等が好ま しく挙げられる。脂肪族炭化水素としては、ペンタン、 2—メチルブタン、 3—メチルぺ ンタン、へキサン、 2, 2—ジメチルブタン、 2, 3—ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン 、 2, 2, 4—トリメチルペンタン、 2, 2, 3—トリメチルへキサン、デカン、ゥンデカン、ド デカン、 2, 2, 4, 6, 6—ペンタメチルヘプタン、トリデカン、テトラデカン、へキサデ力 ン等が好ましく挙げられる。
脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロへキサン、 メチルシクロへキサン、ェチルシクロへキサン等が好ましく挙げられる。芳香族炭化水 素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が好ましく挙げられる。
[0050] ケトンとしては、アセトン、メチルェチルケトン、 2—ペンタノン、 3—ペンタノン、 2— へキサノン、メチルイソブチルケトン等が好ましく挙げられる。
エステルとしては、酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸プチル、プロピオン酸メチル、乳 酸メチル、乳酸ェチル、乳酸ペンチル等が好ましく挙げられる。
エーテルとしては、ジイソプロピルエーテル、ジォキサン、テトラヒドロフラン等が好ま しく挙げられる。
窒素化合物としては、ピリジン、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセ トアミド、 N—メチルピロリドン等が好ましく挙げられる。
硫黄ィ匕合物としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が好ましく挙げられる。 無機溶剤としては液体二酸ィ匕炭素が好ましく挙げられる。
有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、りんご酸、乳酸等が好ましく挙げられる。
[0051] 本発明において媒体は、 2種以上を混合して用いてもよぐ 2種以上を混合する場
合は水と混合して用いるのが好ましい。混合した媒体を用いることにより、共重合体の 溶解性、分散性の制御がしゃすぐ加工時に基材に対する浸透性、濡れ性、溶媒乾 燥速度等の制御がしゃす 、。
[0052] 本発明の撥液剤組成物は、媒体に共重合体を分散しやすくするために界面活性 剤 (ΠΙ)を含むのが好ましい。本発明では、少ない界面活性剤量 (例えば 4部以下)に ぉ ヽても安定なエマルシヨンを得ることができ、界面活性剤量を低減することにより親 水性の影響を除去、ひ 、ては性能の発現にも寄与することができる。
界面活性剤 (III)としては、炭化水素系またはフッ素系の界面活性剤が使用でき、 ァ-オン性、ノ-オン性、カチオン性または両性の界面活性剤が使用できる。分散安 定性の観点から、ノ-オン性界面活性剤とカチオン性または両性界面活性剤との併 用、または、ァニオン性界面活性剤の単独使用が好ましい。特に、ノニオン性界面活 性剤とカチオン性界面活性剤の併用が好ましぐ 97Z3〜40Z60の質量比で併用 するのが好ま 、。ノ-オン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の特定の組み合 わせにおいては、ポリマーに対して合計使用量を 5質量%以下と少なくできるため、 親水性が小さくなり、基材に優れた撥水性を付与できる。
ノ-オン性界面活性剤としては、下記界面活性剤 〜^力もなる群力 選ばれる 1 種以上のノニオン性界面活性剤が好ま 、。
[0053] 界面活性剤 s1 :ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン モノアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアル力ポリェニルエーテル、また はポリオキシアルキレンモノポリフルォロアルキルエーテル。
界面活性剤 s2:分子中に 1個以上の炭素 炭素三重結合および 1個以上の水酸基 を有する化合物からなるノ-オン性界面活性剤。
界面活性剤 s3:ォキシエチレンが 2個以上連続して連なった ΡΟΕ鎖と、炭素原子数 3以上のォキシアルキレンが 2個以上連続して連なった鎖とが連結し、かつ、両末端 が水酸基である化合物力 なるノ-オン性界面活性剤、
界面活性剤お:分子中にアミンォキシド部分を有するノ-オン性界面活性剤、 界面活性剤 s5:ポリオキシエチレンモノ (置換フエニル)エーテルの縮合物またはポ リオキシエチレンモノ (置換フエ-ル)エーテル力もなるノ-オン性界面活性剤、
界面活性剤 sb:ポリオールの脂肪酸エステルカゝらなるノ-オン性界面活性剤。
[0054] 界面活性剤 s1におけるアルキル基、アルケニル基、アル力ポリェニル基またはポリ フルォロアルキル基(以下、 Rs基という)は、炭素原子数 4〜26であるのが好ましい。 Rs基は直鎖状でも分岐状でもよい。分岐構造としては、 2級アルキル基、 2級ァルケ -ル基または 2級アルカポリエ-ル基が好ましい。また、水素原子の一部または全て 力 Sフッ素原子で置換されて 、てもよ!/、。
前記 Rs基の具体例としては、ォクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、へキサデシ ル基、ォクタデシル基、へキサデシル基、ベへ-ル基(ドコシル基)、およびォレイル 基(9ーォクタデセ -ル基)、ヘプタデシルフルォロォクチル基、トリデシルフルォ口へ キシル基、 1H, 1H, 2H, 2H—トリデシルフルォロォクチル基、 1H, 1H, 2H, 2H ーノナフルォ口へキシル基等が挙げられる。
[0055] 界面活性剤 s1としては、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシァ ルキレンモノアルケニルエーテルまたはポリオキシアルキレンモノポリフルォロアルキ ルエーテルが好まし 、。 R1は 1種単独でまたは 2種以上を併用してもよ 、。
界面活性剤 s1のポリオキシアルキレン(以下、 POAという)鎖は、ポリオキシエチレン (以下、 POEという)鎖および Zまたはポリオキシプロピレン(以下、 POPという)鎖が 2 個以上連なった鎖が好ましい。 POA鎖は、 1種単独または 2種以上の POA鎖を併用 してもよい。 2種力もなる場合には、それらの連なり方はブロック状であることが好まし い。
[0056] 界面活性剤 s1としては、下式 S11で表される化合物がより好ましい。
R10O [CH CH (CH ) θ] —(CH CH O) H…式 S11
2 3 q 2 2 r
ただし、 R1C>は炭素原子数 8以上のアルキル基または炭素原子数 8以上のァルケ- ル基、 qは 0または 1〜20の整数、 rは 5〜50の整数、を示す。 qおよび rが 2以上であ る場合、式 S11中の POE鎖と POP鎖とはブロック状に連結される。 R1C)は直鎖構造ま たは分岐構造、 qは 0または 1〜10の整数、 rは 10〜30の整数、が好ましい。 rが 4以 下または qが 21以上となると水に難溶性となり、水系媒体中に均一に溶解しないため 撥液剤組成物の被処理物への浸透効果が低下する。 rが 51以上となると親水性が高 くなり、撥水性を低下させる。
式 s11で表される化合物の具体例としては下記化合物が挙げられる。ただし、 POE 鎖と POP鎖とはブロック状に連結される。
C H 0[CH CH (CH )θ] (CH CH O) Hゝ C H 0[CH CH (CH )θ]
18 37 2 3 2 2 2 30 18 35 2 3 一(CH CH O) Hゝ C H 0[CH CH (CH )θ] - (CH CH O) Hゝ C H
0 2 2 30 16 33 2 3 5 2 2 20 12 25
0[CH CH (CH )θ] (CH CH O) H、 (C H ) (C H ) CHO[CH CH (CH
2 3 2 2 2 15 8 17 6 13 2
)θ] 一(CH CH O) H、 C H 0[CH CH (CH )θ] (CH CH O) H、 C
3 0 2 2 15 10 21 2 3 2 2 2 15 6
F CH CH [CH CH (CH )θ] (CH CH O) Hゝ C F CH CH [CH CH (
13 2 2 2 3 0 2 2 15 6 13 2 2 2
CH )θ] (CH CH O) Hゝ C F CH CH [CH CH(CH )θ] (CH CH O)
3 2 2 2 15 4 9 2 2 2 3 2 2 2
H。
15
[0057] 界面活性剤 s2としては、分子中に 1個の炭素 炭素三重結合、および 1個または 2 個の水酸基を有する化合物であるノ-オン性界面活性剤が好まし 、。界面活性剤 s2 は、分子中に POA鎖を有してもよい。 POA鎖としては、 POE鎖、 POP鎖、 POE鎖と POP鎖とがランダム状に連なった鎖、または POE鎖と POP鎖とがブロック状に連なつ た鎖、が挙げられる。
[0058] 界面活性剤 s2の具体例としては、下式 s21、下式 s22、下式 s23または下式 s24で表され る化合物が好ましい。
HO - CR R12 - C≡ C - CR13R14 - OH - · . s
HO- A'O) — CRUR12— C≡C— CR13R14— (OA2) — ΟΗ· · ·式 s22
HO— CR15R16— C≡C— Η· · ·¾23
HO - (Α3θ) CR15R16— C≡ C H · · ·式 s24。
ただし、 A\ A2および A3はそれぞれ独立にアルキレン基を示し、 uおよび Vはそれ ぞれ 0以上の整数、(u+v)は 1以上の整数、 wは 1以上の整数、を示す。 u、 Vまたは wがそれぞれ 2以上である場合には、 A A2および A3はそれぞれ 1種単独でまたは 2種以上を併用してもよい。
Rn R16は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を示す。アルキル基とし ては炭素原子数 1〜 12のアルキル基が好ましぐ炭素原子数 1〜4のアルキル基がよ り好ましい。具体例としては、メチル基、ェチル基、プロピル基、ブチル基、およびイソ ブチル基等が挙げられる。
POA鎖としては、 POE鎖、 POP鎖または POE鎖と POP鎖とを含む鎖が好ましい。 POA鎖の繰り返し単位の数は 1〜50が好ましい。
界面活性剤 s2としては、下記式 s25で表されるノ-オン性界面活性剤が好ま ヽ。 ただし、 Xおよび yはそれぞれ 0または 1〜: L00の整数を示す。式 s25で表されるノ-ォ ン性界面活性剤は 1種単独でまたは 2種以上を併用してもよい。
[化 1]
(CH3 ) 2 C H C Ha C Ha
H 0 (C Hj C H2 0) C- C = C -C (O C H2 C H2 ) y 0 H · ■ ■式 S Z 5
C H3 C H2 C H (C H3 ) 2
[0060] 式 s のノ-オン性界面活性剤としては、 Xおよび yが 0、 Xと yとの和が平均 1〜4また は Xと yとの和が平均 10〜30であるノ-オン性界面活性剤が好ましい。
[0061] 界面活性剤 s3における炭素原子数 3以上の POA鎖としては、ポリオキシテトラメチ レン(以下、 POTと 、う)および Zまたは POP鎖が好まし 、。
界面活性剤 s3としては、下式 s31または下式 s32で表されるノ-オン性界面活性剤が 好ましい。ここで、 glは 0または 1〜200の整数、 tは 2〜: L00の整数、 g2は 0または 1 〜200の整数を示す。 glが 0である場合には g2は 2以上の整数、 g2が 0である場合 には glは 2以上の整数である。 C H O 単位は、 CH(CH )CH—でも、 C
3 6
H CH(CH )—でも、 CH(CH )CH と一 CH CH(CH )—とが混在してもよい
2 3 3 2 2 3
o POA鎖は、ブロック状である。
HO (CH CH O) (C H O) (CH CH O) H · · ·式 S31、 HO (CH CH O) (C
2 2 gl 3 6 t 2 2 g2 2 2 gl
H CH CH CH O) (CH CH O) Η· · -式532。
2 2 2 2 t 2 2 g2
[0062] 界面活性剤 s3の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
HO—(CH CH O) —(CH O) - (CH CH O) H、 HO—(CH CH O) —
2 2 15 3 6 35 2 2 15 2 2 8
(C H O) 一(CH CH O) H、 HO—(CH CH O) —(C H O) - (CH CH
3 6 35 2 2 8 2 2 45 3 6 17 2 2
O) H、 HO- (CH CH O) (CH CH CH CH O) (CH CH O) H。
45 2 2 34 2 2 2 2 28 2 2 34
[0063] 界面活性剤 s4としては、下式 s41で表されるノ-オン性界面活性剤が好ましい。
(R17) (R18) (R19)N(→0)…式 s41
ここで、 R17、 R18および R19は、それぞれ独立に 1価炭化水素基を示す。本発明に お!ヽては、アミンォキシド (N→0)を有する界面活性剤をノ-オン性界面活性剤とし て扱う。界面活性剤 s4は、 1種単独でまたは 2種以上を併用してもよい。
界面活性剤 s4としては、下式 s42で表されるノ-オン性界面活性剤が、共重合体の 分散安定性の点から好まし ヽ。
(R20) (CH ) ?^ (→0) ' ' '式5 42
3 2
R2Gは、炭素原子数 6〜22のアルキル基、炭素原子数 6〜22のァルケ-ル基、アル キル基 (炭素原子数 6〜22)が結合したフ ニル基またはアルケニル基 (炭素原子数 6〜22)が結合したフエニル基、炭素原子数 6〜 13のフルォロアルキル基を示し、炭 素原子数 8〜22のアルキル基または炭素原子数 8〜22のァルケ-ルまたは炭素原 子数 4〜 9のポリフルォロアルキル基が好まし!/、。
式 s42で表されるノ-オン性界面活性剤の具体例としては、下記の化合物が挙げら れる。
[H (CH ) ] (CH ) N (→0)、 [H (CH ) ] (CH ) N (→0)、 [H (CH ) ] (CH
2 12 3 2 2 14 3 2 2 16
) N (→0)、 [H (CH ) ] (CH ) N (→0)、 [F (CF ) (CH ) ] (CH ) N (→0)、
3 2 2 18 3 2 2 6 2 2 3 2
[F (CF ) (CH ) ] (CH ) N (→0)。
2 4 2 2 3 2
界面活性剤 s5における置換フエ-ル基としては、 1価炭化水素基で置換されたフエ -ル基が好ましぐアルキル基、アルケニル基またはスチリル基で置換されたフエ- ル基がより好ましい。
界面活性剤 s5としては、ポリオキシエチレンモノ(アルキルフエ-ル)エーテルの縮 合物、ポリオキシエチレンモノ(ァルケ-ルフエ-ル)エーテルの縮合物、ポリオキシ エチレンモノ(アルキルフエ-ル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(ァルケ-ルフエ -ル)エーテル、またはポリオキシエチレンモノ [ (アルキル)(スチリル)フエ-ル〕エー テルが好ましい。
ポリオキシエチレンモノ(置換フエ-ル)エーテルの縮合物またはポリオキシェチレ ンモノ(置換フエ-ル)エーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンモノ(ノ -ルフ ェ -ル)エーテルのホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンモノ(ノ -ルフエ-ル )エーテル、ポリオキシエチレンモノ(ォクチルフエ-ル)エーテル、ポリオキシェチレ
ンモノ(ォレイルフエ-ル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ [ (ノニル)(スチリル)フエ -ル]エーテル、ポリオキシエチレンモノ [ (ォレイル)(スチリル)フエ-ル]エーテル等 が挙げられる。
[0065] 界面活性剤 s6におけるポリオールとは、グリセリン、ソルビタン、ソルビット、ポリグリセ リン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシェチ レンソルビタンエーテル、ポリオキシエチレンソルビットエーテルを表わす。
界面活性剤 s6としては、ォクタデカン酸とポリエチレングリコールとの 1: 1 (モル比) エステル、ソルビットとポリエチレングリコールとのエーテルとォレイン酸との 1:4 (モル 比)エステル、ポリオキシエチレングリコールとソルビタンとのエーテルとォクタデカン 酸との 1: 1 (モル比)エステル、ポリエチレングリコールとソルビタンとのエーテルとォレ イン酸との 1: 1 (モル比)エステル、ドデカン酸とソルビタンとの 1: 1 (モル比)エステル 、ォレイン酸とデカグリセリンとの 1: 1または 2 : 1 (モル比)エステル、ォクタデカン酸と デカグリセリンとの 1: 1または 2 : 1 (モル比)エステルが挙げられる。
[0066] 本発明にお ヽて、界面活性剤がカチオン性界面活性剤 s7を含む場合には、置換ァ ンモ-ゥム塩形のカチオン性界面活性剤を用いるのが好まし 、。置換アンモ-ゥム塩 形のカチオン性界面活性剤としては、窒素原子に結合する水素原子の 1個以上が、 アルキル基、ァルケ-ル基または末端が水酸基である POA鎖で置換されたアンモ- ゥム塩が好ましぐ下式 s71で表される化合物がより好ましい。
[ (R21) ?^+ト —…式 1
4
ただし、 R21は、水素原子、炭素原子数 1〜22のアルキル基、炭素原子数 2〜22の ァルケ-ル基、炭素原子数 1〜9のフルォロアルキル基または末端が水酸基である P OA鎖であり、 4つの R21は同じでも異なっていてもよいが、 4つの R21は同時に水素原 子ではない。 ΧΊま対イオンを示す。
R21は炭素原子数 6〜22の長鎖アルキル基、炭素原子数 6〜22の長鎖アルケニル 基または炭素原子数 1〜9のフルォロアルキル基が好ま 、。 R21が長鎖アルキル基 以外のアルキル基である場合には、メチル基またはェチル基が好ましい。 R21が PO A基である場合には、 POE基が好ましい。 X—としては、塩素イオン、ェチル硫酸ィォ ンまたは酢酸イオンが好まし 、。
式 s71で表される化合物としては、モノォクタデシルトリメチルアンモ -ゥムクロリド、モ ノォクタデシルジメチルモノェチルアンモ -ゥムェチル硫酸塩、モノ(ォクタデシル)モ ノメチルジ(ポリエチレングリコール)アンモ-ゥムクロリド、モノナフルォ口へキシルトリ メチルアンモ -ゥムクロリド、ジ(牛脂アルキル)ジメチルアンモ -ゥムクロリド、ジメチル モノココナッツァミン酢酸塩等が挙げられる。
[0067] 本発明にお ヽて、界面活性剤が両性界面活性剤 s8を含む場合には、ァラニン類、 イミダゾリ-ゥムベタイン類、アミドべタイン類または酢酸べタイン等形の両性界面活 性剤が好ましい。疎水基としては、 R21は炭素原子数 6〜22の長鎖アルキル基または 炭素原子数 6〜22の長鎖ァルケ-ル基または炭素原子数 1〜9のフルォロアルキル 基を含むことが好ましい。両性界面活性剤 s8の具体例としては、ドデシルベタイン、ォ クタデシルべタイン、ドデシルカルボキシメチルヒドロキシェチルイミダゾリ-ゥムベタ イン、ドデシルジメチルァミノ酢酸べタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルァミノ酢酸 ベタイン等が挙げられる。
[0068] 本発明にお ヽて、界面活性剤がァ-オン性界面活性剤を含む場合には、例えば、 カルボン酸含有界面活性剤、リン酸含有界面活性剤、スルホン酸含有界面活性剤、 脂肪酸塩が挙げられる。具体的には、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、直鎖アルキ ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファ ォレフインスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム 、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンアルキ ルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウム、ラ ゥロイルメチレンァラニンナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルアミドスル ホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、パーフルォロア ルキルカルボン酸塩などがあげられる。
[0069] 界面活性剤 (III)としては、親水性単量体と炭化水素系疎水性単量体および Zま たはフッ素系疎水性単量体の、ブロック共重合体、ランダム共重合体または親水性 共重合体の疎水性変性物からなる高分子界面活性剤 (s9)でもよ 、。
該界面活性剤(s9)の具体例としては、ポリエチレングリコール (メタ)アタリレートと長 鎖アルキルアタリレートとのブロックまたはランダム共重合体、ポリエチレングリコール(
メタ)アタリレートとフルォロ(メタ)アタリレートとのブロックまたはランダム共重合体、酢 酸ビュルと長鎖アルキルビュルエーテルとのブロックまたはランダム共重合体、酢酸 ビュルと長鎖アルキルビュルエステルとのブロックまたはランダム共重合体、スチレン と無水マレイン酸との重合物、ポリビュルアルコールとステアリン酸との縮合物、ポリビ -ルアルコールとステアリルメルカプタンとの縮合物、ポリアリルァミンとステアリン酸と の縮合物、ポリエチレンィミンとステアリルアルコールとの縮合物、メチルセルロース、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシェチルメチルセルロース等が挙げられ る。
該界面活性剤(s9)としては、クラレ社の MPポリマー(商品番号: MP— 103、 MP— 203)、エルファトケム社の SMAレジン、信越化学社のメトローズ、 日本触媒社のェ ポミン RP、セイミケミカル社のサーフロン(商品番号: S— 381、 S— 393)等がある。
[0070] また、媒体が有機溶剤の場合または有機溶剤の混合比率が多!ヽ場合には、親油 性単量体とフッ素系単量体とのブロック共重合体またはランダム共重合体 (そのポリ フルォロアルキル変性体)カゝらなる高分子界面活性剤を用いることもできる。具体例と しては、アルキルアタリレートとフルォロ(メタ)アタリレートの共重合体、アルキルビ- ルエーテルとフルォロアルキルビュルエーテルの共重合体等が挙げられ、たとえば、 セイミケミカル社のサーフロン(商品番号: S— 383、 SC— 100シリーズ)が挙げられ る。
[0071] 特に、下記界面活性剤 (el)および Zまたは界面活性剤 (e2)と、界面活性剤 (e3) と力もなる界面活性剤 (III)を用いるのが好ましぐポリマーに対して合計 5質量%以 下という少量の使用で安定な水分散液が得られる。また、優れた撥水性、撥水耐久 性を発現する。特に好ましくは、 4質量%以下とするのが効果的である。
界面活性剤(el):ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレ ンモノアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアル力ポリェニルエーテル、ポ リオキシアルキレンモノポリフルォロアルキルエーテルのうち少なくとも 1種。即ち、前 記界面活性剤 31。
界面活性剤 (e2) :分子中に 1個以上の炭素 炭素三重結合および 1個以上の水 酸基を有する化合物からなるノ-オン性界面活性剤。即ち、前記界面活性剤 Λ
界面活性剤 (e3):カチオン性界面活性剤。特に式 s71で表される化合物。
[0072] 本発明の撥液剤組成物は添加剤 (IV)を含有してもよ!/ヽ。添加剤 (IV)は共重合体
(I)および共重合体 (Π)を含む水分散液中に添加することにより、水分散液の動的表 面張力を下げる効果を持つ。また、添加剤 (IV)の熱重量測定における重量減衰が 3 0重量%となる温度は 250°C以下である。
動的表面張力は、動きのある気液界面の表面張力であり、最大泡圧法またはパブ ルプレッシャー差圧法などと呼ばれる方法により測定される。 Journal of Chemica 1 Society、 121、 p858 (1922)、 Journal of Colloid and Interface Scienc e、 166、 p6 (1994)などの文献にその原理や測定方法および側定例が示されており 、専用の測定装置も市販されている。
熱重量測定にっ ヽても市販の熱重量測定装置 (ブルカー ·エイエックスエス社製 T G— DTA2000Sや株式会社パーキンエルマ一社製 PyrislTGA等)を用いて測定 できる。アルミ製のサンプルカップにサンプルを 10mg程度量りとり、室温から 10. 0 °CZ分の昇温速度で 400°Cまで昇温し、重量の変化を調べると!、う方法で測定でき る。
[0073] 添加剤 (IV)は、共重合体 (I)および共重合体 (Π)を含有する水分散液中に添加す ることにより、動的表面張力を引き下げる効果をもっため、撥液剤組成物の基材への 浸透性や濡れ性を改善することができ、優れた撥水撥油性能と耐久性を付与できる 。特にポリエステル繊維表面を持つ基材については、加工時の付着率が向上し、特 に優れた効果が得られる。添加剤 (IV)の使用は、水分散液に対して 1質量%以下で 、動的表面張力が 5mNZm以上引き下げられるようにするのが好ましい。また、添カロ 剤 (IV)は 250°C以下で重量減衰が 30重量%となるため、揮発性が高いという特徴 をもつ。該撥液剤組成物の水分散組成物を基材に塗布、浸漬、スプレー、などの種 々の方法で加工し 40°C以上の加熱条件で加熱乾燥させた場合、基材表面に残存し にく!/ヽため撥液性能を発現しやすくなる。
[0074] 添加剤 (IV)は水溶性溶剤であってもよぐ少なくとも 1つの親水基 (たとえばヒドロキ る化合物、たとえば 2—プロパノール等のアルコールやエーテルが好ましい。また、ポ
リオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエー テルまたはポリオキシアルキレンモノポリフルォロアルキルエーテルまたは下記式 s25 で表される(ただし、 Xおよび yはそれぞれ 0または 1〜: L00の整数を示す。)ような前 述のノ-オン性界面活性剤カゝら選ばれる 1種類または 2種類以上の併用でもよい。
[0075] [化 2]
(C Ha ) 2 C H C H2 C H3
HO (C H2 C H2 0) C— C三 C一 C (O C Hs C H2 ) y O H - ■ -式 S 2 5
C Ha C Hz C H (C H3 ) 2
[0076] 特に、 2—プロパノール、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、式 s25のノ- オン性界面活性剤のうち、 Xおよび y力 、 Xと yとの和が平均 1〜4であるものが好まし い。
[0077] 重合反応の開始にお!ヽては、熱、光、放射線、ラジカル性重合開始剤、イオン性重 合開始剤などが好ましく用いられる。特に、水溶性または油溶性のラジカル重合開始 剤が好ましぐァゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、レドックス系開始剤等の 汎用の開始剤が重合温度に応じて使用できる。重合開始剤としては、特にァゾ系ィ匕 合物が好ましぐ水を使用した媒体中で重合を行なう場合にはァゾ系化合物の塩が より好まし 、。重合温度は 20〜150°Cが好まし!/、。
[0078] 重合反応においては、分子量調整剤を用いてもよい。分子量調節剤としては、芳 香族系化合物またはメルカブタン類が好ましく、特にアルキルメルカブタン類が好ま しい。具体例としては、 n—ォクチルメルカプタン、 n—ドデシルメルカプタン、 tert—ド デシルメルカプタン、ステアリルメルカプタンまたは a—メチルスチレンダイマ(CH =
2
CPhCH C(CH ) Ph、 Phはフエ二ル基を示す。)等が好ましく挙げられる。
2 3 2
[0079] 本発明の撥液剤組成物には必要により、浸透剤、消泡剤、吸水剤、帯電防止剤、 防皺剤、風合い調整剤、造膜助剤、ポリアクリルアミドゃポリビュルアルコールなどの 水溶性高分子、メラミン榭脂、ウレタン榭脂等の熱硬化剤等、イソフタル酸ジヒドラジド 、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカンニ酸ジヒドラジド、 1, 6— へキサメチレンビス(N, N—ジメチルセミカルバジド)、 1, 1, 1', 1, ,一テトラメチル
—4, 4,一(メチレンージ—パラーフエ-レン)ジセミカルバジド、スピログリコールなど のエポキシ硬化剤、合成樹脂や繊維の安定剤として効果のある化合物等、種々の添 加剤を添加してもよい。また、必要に応じて、熱硬化や架橋を促進する目的で触媒を 併用してちょい。
これらの添加剤は、基材の特徴に応じて添加量や添加方法、処理条件などを調整 することにより、より効果を得ることができる。たとえば、布処理においては、性能の耐 久性を向上させる目的で、メラミン榭脂と架橋触媒を用いることは一般的であるが、そ の添加量は布の種類によって最適量が異なる。鋭意検討した結果、本発明の組成物 については、ポリエステル布への触媒添力卩量はナイロン繊維の 1Z20〜: LZ5で高性 能が得られる。
[0080] 本発明の撥液剤組成物は、既知の方法により被処理物に適用することができる。通 常、撥液剤組成物を有機溶剤または水に分散希釈して、浸漬塗布、スプレー塗布、 泡塗布等により被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採用される。必要であ れば、 pHを 7以下程度に調整して、被処理物に処理液を付着させ、加熱処理の後、 水洗脱水することによる Exhaust法による加工方法も採用できる。浸漬塗布の場合、 処理液における含フッ素重合体の濃度は 0. 05〜10質量0 /0であるのがよい。スプレ 一塗布の場合、処理液における含フッ素重合体の濃度は 0. 1〜5質量%であるのが よい。 Exaust法による場合には、処理液における含フッ素重合体の濃度は 0. 05〜 10質量0 /0であるのがよい。
[0081] 本発明の撥液剤組成物を用いて形成された撥液膜を有する物品としては、特に限 定はなぐ天然繊維、合成繊維またはその混紡繊維等からなる繊維、不織布、榭脂、 紙、皮革さらに金属、石、コンクリート、石膏、ガラスなど無機質系材料等が挙げられ る。
本発明の撥液剤組成物を用いて物品を処理すると、皮膜が柔軟であるため繊維製 品においてはその風合いが柔軟になり、高品位な撥水撥油性を物品に付与できる。 また、表面の接着性に優れ、低温でのキュアリングでも撥水撥油性を付与できる。ま た、摩擦や洗濯による性能の低下が少なぐ加工初期の性能を安定して維持できる。 また、紙へ処理した場合は、低温の乾燥条件でも、優れたサイズ性、撥水性および
耐油性を紙に付与できる。榭脂、ガラスまたは金属表面などに処理した場合には、基 材への密着性が良好で造膜性に優れた撥水撥油性皮膜を形成できる。
実施例
[0082] 以下、本発明を具体的に説明するが、これらに限定されない。
[製造例 1]
ガラス製ビーカーに、 C F C H OCOC (CH ) =CH (ホモポリマーの微結晶の
6 13 2 4 3 2
融点(以下、 T と記す。)なし、ホモポリマーのガラス転移点(以下、 Tと記す。) 51. 5 m g
。C。以下、 FMAと記す。)の 98. 6g、アルキルメタタリレート(日本乳ィ匕剤社製、 VM A - 700ただし、アルキル基は直鎖状であって、アルキル鎖長が GC面積比率 C18 : C20 : C22=15Z15Z70である。以下、 VMAと記す。)の 5. 5g、界面活性剤のポ リオキシエチレンォレイルエーテル(エチレンォキシド約 20モル付カ卩物、以下、 PEO 25と記す。)の 2. 19g、アセチレングリコールエチレンオキサイド付カ卩物(エチレン オキサイド付加モル数 10モル、以下 AGE— 10と記す。)の 1. 09g、ステアリルトリメ チルアンモ -ゥムクロリド(以下、 STMACと記す。)の 0. 44g、イオン交換水の 175g 、ジプロピレングリコール(以下、 DPGと記す。)の l lg、ステアリルメルカプタン(以下 、 StSHと記す。)の 0. 5gを入れて、 60°Cで 30分間加温後、ホモミキサー(日本精機 製作所製、バイオミキサー)を用いて混合して混合液を得た。
得られた混合液を、 60°Cに保ちながら高圧乳化機 (APVラニエ社製、ミニラボ)を 用いて、 40MPaで処理して乳化液を得た。得られた乳化液の 250gをステンレス製 反応容器に入れ、開始剤のジメチル 2、 2'ーァゾビス(2—メチルプロピオネート)(以 下、 V601と記す。)の 0. 3gをカ卩えて、 30°C以下に冷却した。気相を窒素置換し、塩 化ビュルモノマ (VCMと記す)の 5. 5gを導入した後、撹拌しながら 65°Cで 15時間 重合反応を行い、固形分濃度 34. 0質量%のエマルシヨンを得た。
[0083] [製造例 2および 3]
表 1に示した組成とする以外は製造例 1と同様にして重合反応を行 、、エマルショ ンを得た。ただし、 VCM以外の単量体は高圧乳化器にて乳化を行う前に仕込み、ホ モミキサーで混合液とした。
[0084] [製造例 4]
界面活性剤を AGE— 10の 3. 27gとする以外は製造例 1と同様にして重合反応を 行い、固形分濃度 34. 2質量%のエマルシヨンを得た。ただし、 VCM以外の単量体 は高圧乳化器にて乳化を行う前に仕込み、ホモミキサーで混合液とした。
[0085] [製造例 5]
界面活性剤をアセチレングリコールエチレンォキシド付加物(エチレンォキシド付カロ モル数 30モル、以下 AGE— 30と記す。;)の 1. 09g、 AGE— 10の 1. 09g、 PEO —25の 1. 09gとする以外は製造例 1と同様にして重合反応を行い、固形分濃度 34 . 2質量%のエマルシヨンを得た。ただし、 VCM以外の単量体は高圧乳化器にて乳 化を行う前に仕込み、ホモミキサーで混合液とした。
[0086] [製造例 6〜9]
表 1に示した組成を用いる以外は製造例 1と同様にして重合反応を行 、、エマルシ ヨンを得た。ただし、 VCM以外の単量体は高圧乳化器にて乳化を行う前に仕込み、 ホモミキサーで混合液とした。
[0087] [表 1]
仕込み重量
[0088] 表 1における略号は以下の意味を示す。
C4FMA: C F C H OCOC (CH ) =CH (Tなし、 T 41°C。)
STA:ステアリルアタリレート
D—BI : 2—イソシァネートェチルメタタリレートの 3, 5—ジメチルビラゾール付カ卩体( 化 3参照)
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド
DOM:ジォクチノレマレエート
GMA:グリシジルメタタリレート
CHMA:シクロへキシルメタタリレート
PEO- 30:ポリオキシエチレンォレイルエーテル(エチレンォキシド約 26モル付カロ 物)
FDMC:ヤシアルキルジメチルァミン酢酸塩
EPO-40:エチレンォキシドプロピレンォキシド重合物(エチレンォキシド 40%含 有)
VA-061A: 2, 2,—ァゾビス [2— (2—イミダゾリン— 2—ィル)プロパン]酢酸塩
[0089] [化 3]
[0090] [製造例 10]
ステンレス製オートクレープに、製造例 1で製造した共重合体組成物を共重合体 (I )として用い、共重合体 (I)の水分散液(固形分濃度 34. 0%)の 203. Og、および共 重合体(II)となる、 FMAの 12. 5g、 CHMAの 8. 28g、 GMAの 8. 8gを仕込んだ。 さらに StSHの 0. 29g、 DPGの 2. 7g、水の 44. 4gをカロえ、総固形分量力 35質量 %になるように調製した。混合物を 60°Cで 1時間撹拌した後、冷却し、 V— 59 (2— 2 ,—ァゾビス(2—メチルブチ口-トリル))の 0. 05gを加え、窒素置換の後、 65°Cで 15 時間重合させた。冷却後、 V— 59の 0. 02gをカ卩え、窒素置換の後、 65°Cで 4時間反 応を熟成させた。冷却後、分散液を取り出した。固形分濃度は 35. 0質量%であった 。共重合体粒子の透過型電子顕微鏡観察の結果、共重合体 (I)は共重合体 (Π)の
内部に存在するコア—シェル型の微粒子として存在し、他に一部水相中で重合した ものも認められた。
[0091] [製造例 11〜14]
共重合体 (Π)に関して、表 2の化合物を表 2の質量 (単位: g)で用いる以外は製造 例 10と同様にして、製造例 11〜14の重合反応を行い、エマルシヨンを得た。ただし 、 VCMは窒素置換の後に反応器内に導入した。表 2において、 C6FMAは C F C
6 13
H OCOC (CH ) =CH、 PE350はポリエチレングリコールメタクリレートを、 M90G
4 3 2
はメトキシポリエチレングリコールメタタリレートを意味する。
[0092] [表 2]
仕:^み 量/ g
[0093] [製造例 15]
共重合体 (I)として製造例 4の共重合体を用いる他は製造例 10と同様にして重合 反応を行い、固形分濃度 34. 8質量%のエマルシヨンを得た。
[0094] [製造例 16]
共重合体 (I)として製造例 5の共重合体を用いる他は製造例 10と同様にして重合 反応を行い、固形分濃度 34. 8質量%のエマルシヨンを得た。
[0095] [製造例 17]
ステンレス製オートクレープに、製造例 5で製造した共重合体を共重合体 (I)として 、共重合体 (I)の水分散液(固形分濃度 34. 2質量%)の 409. 4g、および共重合体 (Π)となる、 FMAの 11. 9g、 CHMAの 7. 7g、 GMAの 8. 4gを仕込んだ。
さらに StSHの 0. 33g、 DPGの 3. 15g、水の 52. 2gをカロえ、総固形分量力 35質 量%になるように調製した。混合物を 60°Cで 1時間撹拌した後、冷却し、 V— 59の 0 . 04gを加え、窒素置換の後、 VCMを 7. Og添カ卩し、 65°Cで 15時間重合させた。冷 却後、 V— 59の 0. 02gを加え、窒素置換の後、 65°Cで 4時間反応を熟成させた。冷 却後、分散液を取り出した。固形分濃度は 35. 0質量%であった。
[0096] [製造例 18]
界面活'性剤として、 PEO— 25の代わりに PEO— 30の 5. 78gと STMACの 0. 66g を用いる他は製造例 3と同様に重合反応を行い、固形分 34. 8質量%のエマルショ ンを得た。
[製造例 19]
FMAの 98. 6gの力わりに、 FMAの 97. 5gとヒドロキシェチルメタタリレートのポリ力 プロラタトンエステル(PFM3と記す。力プロラタトンの平均付カ卩モル数は 3. 7)の 1. 1 gとする他は製造例 5と同様に重合反応を行い、固形分濃度 34. 8質量%のェマル シヨンを得た。
[製造例 20]
製造例 19で製造した共重合体を共重合体 (I)として用いる他は製造例 10と同様に 重合反応を行い、固形分濃度 35. 2質量%のエマルシヨンを得た。
[製造例 21]
製造例 19で製造した共重合体を共重合体 (I)とし、製造例 10における共重合体 (I I)となる FMAの 12. 5gの力わりに、 FMAの 12. 2gと PFM3の 0. 3gとする他は製 造例 10と同様に重合反応を行い、固形分濃度 35. 1質量%のエマルシヨンを得た。
[0097] [製造例 22〜26]
表 3の化合物を表 3の質量 (単位: g)で使用するほかは、製造例 1と同様にして重合 反応を行い、エマルシヨンを得た。表 3において、 EPO— 10とは、エチレンォキシド プロピレンォキシド重合物(エチレンォキシド 10%含有)であり、 DOSHとは、ドデシ ルメルカプタンである。
[0098] [表 3]
仕込み重量 Zg
製造例 1〜21で得られた水分散液を表 4、表 5に従って蒸留水で希釈することによ り、例 1〜24に示す固形分濃度 2質量%の各試験液を 200g調製した。例 1〜5およ び例 22〜24が共重合体 (I)と共重合体 (Π)とを別々の粒子として混合した実施例で あり、例 6〜13、 20、 21および 21が、共重合体 (I)と共重合体 (II)とをコア シェル 型として用いた実施例である。例 14は、コア—シェル型の粒子と共重合体 (Π)とを混 合した実施例である。また、例 17および 18は、共重合体 (I)のみを用いた比較例で あり、例 19、 20は共重合体 (Π)のみを用いた比較例である。
表 4、表 5では、共重合体 (I)を形成する構成単位 (a)および構成単位 (b)の共重 合体 (I)に対する質量割合を、 [a ]および [b ]と示した。また、共重合体 (Π)を形成 する構成単位 (a)および構成単位 (c)の共重合体 (Π)に対する質量割合を、 [a ]お
2 よび [c ]と示した。また、共重合体 ωζ共重合体 (π)は、 [共重合体 ωの質量割合
2
]Ζ [共重合体 (π)の質量割合]である。また、全共重合体 (共重合体 (I) +共重合体
(II) )中の、各構成単位の質量割合を [a]、 [b]、 [c]、 [d]として示した。
また、表 4、表 5の( )内の数字は混合するときの固形分比率を表す。なお、 ADH は 0. 02gを水溶液として試験液に添カ卩した。それ以外の添加剤については、表中の 濃度となるように調製した。ナイロン布の加工においては、スミテックスレジン M— 3 ( 以下 M— 3とする。)およびスミテックスァクセラレータ ACX (以下 ACXとする。)をそ れぞれ 0. 5質量%となるように各処理浴に添加した。また、ポリエステル布の加工で
は、 M— 3の0. 5質量%、 ACXの 0. 05質量%となるように各処理浴を調製した。表 中の略号は以下を示し、 ( )内の数字は混合後の固形分の比率を表す。添加剤とし て用いたサーフィノール 104— PG50 (エアープロダクツジャパン社製、以下 AGEと 記す)はジプロピレングリコールで 5質量%に希釈して、処理浴に対して表中の質量 %となるように添カ卩した。サーフィノール 440 (エアープロダクツジャパン社製、以下 A GE— 4と記す)や PEO— 30については 5質量%水溶液として表中の質量%となるよ うに添カ卩した。
M- 3 :スミテックスレジン M3/住友ィ匕学工業社製
ACX:スミテックスァクセラレータ ACXZ住友ィ匕学工業社製
MF:メイ力ネート MFZ明成化学工業社製
TP— 10:メイ力ネート TP— 10Z明成化学工業社製
NBP:メイ力ネート NBP— 211Z明成化学工業社製
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
[表 4]
例 1 24で得られた試験液を用いて、染色済みナイロン布またはポリエステル布を 浸漬塗布し、それぞれウエットピックアップが 70質量%、 60質量%となるように絞った 。これを、 110°Cで 90秒間乾燥した後、 170°Cで 60秒間乾燥したものを試験布 Aとし た。
[0103] [撥水性の評価方法]
試験布 Aの撥水性の評価は、 JIS— L1092のスプレー試験(ただし、スプレーの水 量は 0. 25リットルまたは 1リットルとした。水温は 27°Cとした。)により行い、表 6に示 す撥水性等級で表した。撥水性等級に + (-)を記したものは、それぞれの性質がわ ずかに良 ヽ(悪 、)ことを示す。
[0104] [表 6]
[0105] [洗濯耐久性の評価方法]
試験布 Aの洗濯耐久性は、 JIS—L0217別表 103の水洗い法に従い、洗濯 5回(H L— 5)を 16回(ナイロン布)繰り返し、または HL— 5を 40回(ポリエステル布)繰り返し た後、 90°Cで 15分間乾燥させた後に撥水性を評価した。
[0106] [降雨試験の評価方法]
試験布 Aの降雨試験の評価は、 JIS— L 1092 (C)法記載の方法 (ブンデスマン 試験)に従い、降雨量を lOOccZ分、降雨水温を 20°C、降雨時間 10分とする条件で 降雨させ、 1〜5の 5段階の等級で表した。洗濯耐久性については、上記と同様の方 法で洗濯を繰り返した後、 130°Cで 15秒間プレスしたものを評価した。プレス機は D KUSUN AF— 43Tを用いた。点数が大きいほど撥水性が良好であることを示す。 + (-)を記したものは、それぞれの性質がわずかに良い(悪い)ことを示す。
例 1〜24の評価結果を表 7、表 8に示す。
[0107] [表 7]
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O
CsJ CO 卜 00 ο CM 00 00 ο SI CO
CSI CM CM CSI
s∞οΐο
ポリエステル
初期 HL- 5 40回
例
0.25L フ'ンテ'スマン 0.25し 1し フ"ン亍スマン
1 100 100 5 100 100- 4+
2 100 100 5 100 100- 4
3 100 100 5 100 90+ 4
4 100 100 5 100- 90 4
5 100 100 5 100 90 4
6 100 100 5 100 100- 4
7 100 100 5 100 90+ 4
8 100 100 5 100- 90+ 4
9 100 100 5 100- 90+ 4
10 100 100 5 100- 90+ 4
1 1 100 100 5 100 100 5
12 100 100 5 100 100 4+
13 100 100 5 100 100 5
14 100 100 5 100 100 5
15 100 100 5 100 100 5
16 100 100 5 100 100 5
17 100 100 5 70 0 1
18 100 90 5 70 0 1
19 100 90 5 90 90 - 3
20 100 90 4 90 80 3
21 100 90 5 100- 80+ 3
22 100 90 4 90 80 3
23 100 100 5 100 100 4一
24 100 100 5 100 100 5 [例 25〜29]
製造例 22〜26で得られた水分散液を表 9に従って、 PET (ポリエチレンテレフタレ ート)では固形分濃度 0. 6質量%、綿では 1. 0質量%となるように調製した。 M- 3 ZACXは加工液中にそれぞれ固形分濃度 0. 3質量%となるように調製した。例 1〜 24と同様の方法で試験布を加工した後、 JIS— L1092のスプレー試験および HL— 5における洗濯耐久性を評価した。ただし、綿のウエットピックアップは 65質量%とな るように絞った。例 25〜28が、共重合体 (I)と共重合体 (Π)とを別々の粒子として用 いた実施例であり、例 29が 1つの粒子に構成単位 (a)、(b)および (c)を含有する共 重合体を用いた比較例である。
表 9では、共重合体 (I)を形成する構成単位 (a)および構成単位 (b)の共重合体 (I
)に対する質量割合を、 [&ι]および [ ]と示した。また、共重合体 (Π)を形成する構 成単位 (a)および構成単位 (c)の共重合体 (Π)に対する質量割合を、 [a ]および [c
2 2
]と示した。また、共重合体 ωζ共重合体 (π)は、 [共重合体 ωの質量割合] ζ [共 重合体 (Π)の質量割合]である。また、全共重合体 (共重合体 (I) +共重合体 (Π) )中 の、各構成単位の質量割合を [a]、 [b]、 [c]、 [d]として示した。また、表 9の( )内の 数字は混合するときの固形分比率を表す。
[0110] [表 9]
[0111] [洗濯耐久性 (HL— 5)の評価方法]
JIS— L0217別表 103の水洗い法に従い洗濯を 5回繰り返した。室温 25°C、湿度 5 5%に調整した屋内で一晩乾燥させた後、前述の評価方法に従い撥水性を評価した 評価結果を表 10に示す。
[0112] [表 10]
[0113] [摩擦耐久試験の評価方法]
JIS—L— 1076 (C)法記載の方法に従い、 1平方センチメートルあたり 28gfの荷重 をかけて、摩擦耐久試験を行った。試験には、例 3、 6、 11 (いずれも実施例である。 ) のナイロンカ卩工布および AG— 415 (旭硝子社製)を用いる他は、例 6と同様に調製し た試験液を用いてカ卩ェしたナイロン力卩工布を用いた。
その後、各加工布にっ ヽて上記の洗濯耐久性と同様の方法で洗濯を繰り返した後 、 90°Cで 15分間乾燥し、試験布を準備した。試験布について X線光電子分光分析 法により布表面の元素分析を行った。フッ素元素濃度につ!、ての結果を表 11に示 す。
[0115] 共重合体 (I)のみを用いた例 17および 18では、初期の撥液性は非常に高いが、洗 濯後の撥液性は著しく低下しており、耐久性が低力つた (表 7、 8)。共重合体 (Π)の みを用いた例 19、 20でも、撥液性と耐久性を兼ね備えていな力つた。また、 1つの粒 子中に構成単位 (a)、 (b)および (c)を含む共重合体を用いた例 29でも、充分な撥 液性が得られず、耐久性も低かった (表 10)。
[0116] 一方、例 25〜28では、全共重合体に含まれる各構成単位の合計の割合が例 29と 同様であるにもかかわらず、充分な撥液性と高い耐久性が得られた (表 10)。このよう に、共重合体 (I)と共重合体 (Π)とを別々の粒子として混合して用いた場合には、充 分な撥液性と高い耐久性が確認できた。また、同様に共重合体 (I)と共重合体 (Π)と を別々の粒子として混合して用いた例 1〜5および 22〜24でも、高 、撥液性および 耐久性が得られた。また、共重合体 (I)と共重合体 (Π)とをコア—シェル型で用いた 場合も(例 6〜13、 15、 16、 21)、充分な撥液性と高い耐久性が得られた。
また、本発明の撥液剤組成物により形成させた撥液膜は摩擦による表面の変化が 少なく耐久性が高い (表 11)。
以上のように、本発明の、共重合体 (I)と共重合体 (Π)を含有する撥液剤組成物は 、撥液性および耐久性に優れた撥液膜を形成できる。
[0117] 例で使用した各添加剤について熱重量測定の結果を図 1に示す。測定にはブル力 一.エイエックスエス社製 TG- DTA2000Sを用いた。 φ 5. 2mm高さ 5. 1mmの深 皿アルミ容器に、測定する添加剤を 10mg量り取り、室温力も毎分 10°Cで 400°Cまで 昇温したときの重量変化を測定した。
例 6を例として添加剤の有無による動的表面張力の変化を図 2に示す。測定は協 和界面科学社製 FACE BP- D3を用いて行った。
産業上の利用可能性
[0118] 本発明の撥液組成物は、充分な撥水撥油性と、その耐久性等、実用上必要な機能 が発現する。これは、 Rf基の表面配向の促進と Rf基の固定化の相乗効果によると推 定される。
この原理に基づく撥水撥油剤 (撥液剤)は、従来の撥水撥油剤より低温でコーティ ング皮膜を形成でき、得られたコーティング皮膜は、柔軟かつ強靭で基材に対する 密着性が優れている。そのため、従来の問題点であった風合いの硬化、皮膜の脆化 等の品位の低下を伴わずに物品に撥水撥油性を付与できる。さらに、得られた物品 は、従来よりも低温での加工においても充分な撥水撥油性を付与できる。さらに、摩 耗または洗濯等によっても性能の低下が少ない。また、ラミネート加工、コーティング 加工時の接着性も従来の撥水撥油剤より格段に向上する。さらに、本発明における 共重合体は、アルコール溶剤、弱溶剤、ハイド口フルォロカーボン等のオゾン層への 影響が小さいフッ素系溶剤等に対して良好な溶解性を有するため、環境'安全面で 問題の少な!/、溶剤を溶媒として使用できる。
[0119] また、本発明の撥液剤組成物は、スポーツウエア、コート、ブルゾン、作業用衣料ま たはユニフォーム等の衣料物品、さらにかばんや産業資材等の繊維製品、不織布、 皮革製品、石材、コンクリート系建築材料等への撥水撥油処理に用いられる。また、 有機溶媒液体またはその蒸気存在下で使用される濾過材料用のコーティング剤、表 面保護剤、エレクトロニクス用コーティング剤、防汚コーティング剤としての用途にも用 いられる。さら〖こ、ポリプロピレン、ナイロン等と混合して成型、繊維化することにより撥 水撥油性を付与する用途にも用いられる。
なお、 2005年 3月 30曰に出願された曰本特許出願 2006— 092929号の明細書 、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開 示として、取り入れるものである。