明 細 書
パターン決定方法及びシステム、 マスクの製造方法、 結像性能調整方法、 露光 方法及び装置、 並びにプログラム及び情報記録媒体 技術分野
本発明は、 パターン決定方法及びシステム、 マスクの製造方法、 結像性能調 整方法、 露光 法及び装置、 並びにプログラム及び情報記録媒体に係り、 更に 詳しくは、 マスクに形成すべきパターンの情報を決定するパターン決定方法及 びパターン決定システム、前記パターン決定方法を利用したマスクの製造方法、 マスクに形成されたパターンを物体上に投影する投影光学系の結像性能調整方 法、 該結像性能調整方法を利用した露光方法及び該露光方法を実施するのに好 適な露光装置、 並びにマスクを設計するための所定の処理をコンピュータに実 行させるプログラム及び該プログラムが記録された情報記録媒体に関する。 背景技術
従来より、 半導体素子、 液晶表示素子あるいは薄膜磁気ヘッド等をフォトリ ソグラフィ工程で製造する際に、フォトマスク又はレチクル(以下、 rレチクル」 と総称する) のパターンを、 投影光学系を介して表面にフォトレジスト等の感 光剤が塗布されたウェハ又はガラスプレート等の物体(以下、 「ウェハ」と総称 する) 上に転写する投影露光装置、 例えばステップ'アンド■ リピート方式の 縮小投影露光装置 (いわゆるステツバ) や、 ステップ 'アンド■スキャン方式 の走査型投影露光装置 (いわゆるスキャニング 'ステツパ) 等が用いられてい る。
ところで、 半導体素子等を製造する場合には、 異なる回路パターンをウェハ 上に幾層にも積み重ねて形成する必要があるため、 回路パターンが形成された
レチクルと、 ウェハ上の各ショッ卜領域に既に形成されたパターンとを正確に 重ね合わせることが重要である。 かかる重ね合せを精度良く行うためには、 投 影光学系の結像性能が所望の状態 (例えば、 ウェハ上のショット領域 (パター ン) に対するレチクルパターンの転写像の倍率誤差などを補正するよう) に調 整されることが必要不可欠である。 なお、 ウェハ上の各ショット領域に第 1層 目のレチクルパターンを転写する場合にも、 第 2層目以降のレチクルパターン を精度良く各ショット領域に転写するために、 投影光学系の結像性能を調整し ておくことが望ましい。
また、 近時における半導体素子等の高集積化に伴い、 回路パターンがますま す微細化しており、 近時の露光装置ではザイデルの 5収差 (低次収差) を補正 するのみでは、 不十分である。 このため、 従来においても、 露光装置の投影光 学系の収差や光近接効果などに起因して生じるレチクルパターンの転写像の線 幅変化などを補正するために、 例えばレチクル上のパターンの一部でその線幅 を設計値と異ならせてレチクルにパターンを形成することが行われていた (例 えば日本国特許第 3 3 4 3 9 1 9号公報及び対応する米国特許第 5, 5 4 6, 2 2 5号参照)。
また、 投影光学系によるパターンの結像性能ないしは結像状態の調整には、 例えば投影光学系を構成するレンズエレメン卜などの光学素子の位置や傾きな どを調整する結像性能調整機構などが用いられる。 しかるに、 結像性能は、 露 光条件、 例えば照明条件 (照明 σなど)、 投影光学系の N . Α . (開口数)、 使用 するパターンなどにより変化する。 従って、 ある露光条件で最適な結像性能調 整機構による各光学素子の調整位置が、 他の露光条件の下では、 最適な調整位 置とはならない場合がある。
かかる点に鑑み、 最近になって、 照明条件 (照明びなど)、 投影光学系の Ν .
Α- (開口数)、 使用するパターンなどに応じて定まる露光条件に応じて、 投影 光学系によるパターンの結像特性 (結像性能) ないしは結像状態を最適化する
調整機構の調整方法ないしは結像特性調整方法及びそのプログラムに関する発 明が、 提案されている (例えば国際公開 0 2 0 5 4 0 3 6号パンフレット及 ぴ対応する米国特許出願公開第 2 0 0 4 0 0 5 9 4 4 4号参照)。
しかしながら、 上記日本国特許第 3 3 4 3 9 1 9号公報に記載の発明を複数 の露光装置に適用する場合には、 複数の露光装置で個別にその特許公報に記載 の発明を用いて、各露光装置で使用されるレチクルのパターンの補正(最適化) が行われるので、 ある露光装置に対して最適化されたレチクルを、 他の露光装 置で使用することができないことがある。 すなわち、 複数の露光装置でレチク ルを共用するのが困難となり得る。 これは、 露光装置の投影光学系の収差状態 は、 露光装置 (号機) 毎に異なるため、 号機間の収差の差 (相違) の分、 バタ ーンの像の位置ずれや線幅差が発生し、 事実上、 そのようなレチクルの共用化 は困難だからである。
一方、 上記国際公開 0 2 0 5 4 0 3 6号パンフレツ卜に記載の発明を用い て、 あるパターンに対して、 複数の露光装置の投影光学系の結像特性 (結像性 能) を最適化する場合、 要求される結像性能の誤差の許容範囲が比較的大きい 場合などには、 それぞれの露光装置が備える調整機構の調整可能な範囲内であ れば、 同一のパターンに対していずれの露光装置でも投影光学系の結像性能を 最適化することができる。しかしながら、上記パンフレツ卜に記載の発明では、 レチクルのパターンは与えられたものとして、 露光装置の投影光学系の結像特 性 (結像性能あるいは収差) を最適化することがなされていたため、 上記の調 整機構の調整が限界に達しやすく、 特に多くの号機や異なる性能の号機で同一 のレチクルを共用するような場合には、 いずれかの露光装置で結像性能の調整 が困難となる事態が生じる蓋然性が高くなつている。 特に、 要求される結像性 能の誤差の許容範囲が小さくなると、 上記の事態が一層生じ易くなる。
この一方、 同一の半導体工場内では、 より多くの露光装置で、 同一のレチク ルを共用できれば、 結果的に半導体素子等の電子デバイスの製造コス卜の低減
が可能であるとともに、 露光装置 (号機) の運用面における自由度 (柔軟性) が向上するといぅメリツ卜が現実に存在する。
本発明は、 かかる事情の下になされたもので、 その第 1の目的は、 複数の露 光装置で共通に使用することができるマスクの製造 (製作) を容易にする、 パ ターン決定方法及びパターン決定システムを提供することにある。
本発明の第 2の目的は、 複数の露光装置で共通に使用することができるマス クを容易に製造することが可能なマスクの製造方法を提供することにある。 本発明の第 3の目的は、 マスク上のパターンに対する投影光学系の結像性能 の調整能力を実質的に向上させることが可能な結像性能調整方法を提供するこ とにある。
本発明の第 4の目的は、 マスク上のパターンを物体上に精度良く転写するこ とが可能な露光方法及び露光装置を提供することにある。
本発明の第 5の目的は、 複数台の露光装置で用いられるマスクを、 コンビュ 一夕を用いて容易に設計することを可能にするプログラム及び情報記録媒体を 提供することにある。 発明の開示
本発明は、 第 1の観点からすると、 マスクに形成されたパターンの投影像を 投影光学系を介して物体上に形成する複数台の露光装置で用いられる、 前記マ スクに形成すべきパターンの情報を決定するパターン決定方法であって、 前記 パターンの情報を含む所定露光条件下における前記パターンの投影像の物体上 での形成状態を調整する調整装置の調整情報及びこれに対応する前記投影光学 系の結像性能に関する情報と、 前記パターンの補正情報と、 結像性能の許容範 囲の情報と、 を含む複数種類の情報に基づいて、 前記パターンの補正情報を考 した目標露光条件下における前記調整装置の適正調整量を、 露光装置毎に算 出する第 1工程と、 前記第 1工程で算出された各露光装置の適正調整量に従う
前記調整装置の調整の結果、 前記目標露光条件下において、 少なくとも 1台の 露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外となるか否かを判断 し、 その判断の結果、 許容範囲外となる結像性能に基づき、 所定の基準に従つ て前記補正情報を設定する第 2工程と、を、前記第 2工程における判断の結果、 全ての露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲内であると判断されるまで 繰り返す最適化処理工程と ;前記全ての露光装置の投影光学系の結像性能が許 容範囲内となったとき、 前記最適化処理工程で設定されている補正情報を、 パ ターンの補正情報として決定する決定工程と ; を含む第 1のパターン決定方法 である。
本明細書において、 パターンの補正情報は、 補正値が零の場合を含み得る。 また、 「露光条件」 とは、 照明条件 (照明 σ (コヒ一レンスファクタ)、 輪帯比 あるいは照明光学系の瞳面における光量の分布など)、投影光学系の開口数(Ν . Α . )、 対象パターン種別 (抜きパターンか残しパターンか、 密集パターンか孤 立パターンか、 ラインアンドスペースパターンの場合のピッチ, 線幅、 デュー ティ比、孤立線パターンの場合の線幅、コンタク トホールの場合の縦幅,横幅、 ホールパターン間の距離(ピッチなど)、位相シフトパターンであるか否か、投 影光学系に瞳フィルタがあるか否かなど) の組み合わせにより決定される露光 に関する条件を意味する。 また、 適正調整量は、 投影対象のパターンを投影す る際の投影光学系の結像性能が調整可能な範囲でほぼ最善となる調整装置の調 整量を意味する。
これによれば、 まず、 最適化処理工程において、 次のような最適化処理が行 われる。
パターンの情報 (既知のパターンの情報であれば良く、 例えば設計値であつ ても良い) を含む所定露光条件下における前記パターンの投影像の物体上での 成状態を調整する調整装置の調整情報及びこれに対応する前記投影光学系 (最適化対象の露光装置の投影光学系) の結像性能に関する情報と、 前記バタ
ーンの補正情報と、 結像性能の許容範囲の情報と、 を含む複数種類の情報に基 づいて、前記パターンの補正情報を考慮した目標露光条件下 (前記パターンを、 前記補正情報によって補正した補正後のパターンに置き換えた目標露光条件 下)における前記調整装置の適正調整量を、露光装置毎に算出する第 1工程と、 該第 1工程で算出された各露光装置の適正調整量に従う前記調整装置 (各露光 装置の調整装置) の調整の結果、 上記の目標露光条件下において、 少なくとも 1台の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外となるか否か を判断し、 その判断の結果、 許容範囲外となる結像性能がある場合には、 その 結像性能に基づき、 所定の基準に従って前記補正情報を設定する第 2工程と、 を、 その第 2工程における判断の結果、 全ての露光装置の投影光学系の結像性 能が許容範囲内であると判断されるまで繰り返す。
そして、 上記の最適化処理工程において、 全ての露光装置の投影光学系の結 像性能が許容範囲内となったとき、 すなわち、 補正情報の設定により許容範囲 外となる結像性能がなくなった場合、 又は当初から全ての露光装置の投影光学 系の結像性能が許容範囲内であった場合に、 上記最適化処理工程で設定されて いる補正情報を、 パターンの補正情報として決定する (決定工程)。
従って、 本発明の第 1のパターン決定方法によって決定されたパターンの補 正情報又はその補正情報を用いてもとのパターンを補正したパターンの情報を、 マスクの製造の際に用いることで、 複数の露光装置で共通に使用することがで きるマスクの製造 (製作) を容易に実現することが可能となる。
この場合において、 前記第 2工程は、 前記第 1工程で算出された各露光装置 の前記適正調整量と、 前記所定露光条件下における前記調整装置の調整情報及 びこれに対応する前記投影光学系の結像性能に関する情報とに基づいて、 前記 適正調整量に従う前記調整装置の調整の結果、 前記目標露光条件下において、 少なくとも 1つの露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外と なるか否かを判断する第 1判断工程と、 前記第 1判断工程の判断の結果、 少な
くとも 1台の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外となる 場合に、 その許容範囲外となる結像性能に基づき、 所定の基準に従って前記補 正情報を設定する設定工程と、 を含むこととすることができる。
この場合において、 前記第 2工程は、 前記第 1工程で算出された各露光装置 の適正調整量と、 前記設定工程で設定された補正情報と、 前記所定露光条件下 における前記調整装置の調整情報及びこれに対応する前記投影光学系の結像性 能に関する情報と、 前記結像性能の許容範囲の情報とに基づいて、 前記適正調 整量に従う前記調整装置の調整の結果、 前記目標露光条件下において、 少なく とも 1台の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外となるか 否かを判断する第 2判断工程を、 更に含むこととすることができる。
かかる場合には、設定工程で補正情報を設定した後、第 2判断工程において、 その設定された補正情報と、 その他の情報 (第 1工程で算出された各露光装置 の適正調整量、 所定露光条件下における調整装置の調整情報及びこれに対応す る前記投影光学系の結像性能に関する情報、並びに結像性能の許容範囲の情報) とに基づいて、 前記補正情報の設定に先立って第 1工程で算出されている適正 調整量に従う調整装置の調整の結果、 前記目標露光条件下 (前記パターンを、 前記補正情報によって補正した補正後のパターンに置き換えた目標露光条件 下) において、 少なくとも 1台の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が許 容範囲外となるか否かを判断する。 このため、 第 2判断工程で、 全ての露光装 置の投影光学系の所定の結像性能が許容範囲内であった場合には、 第 1工程に 戻ることなく、 決定工程に移行してそのとき設定されている補正情報をバタ一 ンの補正情報として決定することとなる。 従って、 第 1工程に戻って再度適正 調整量を算出した後に、 全ての露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲内 であることを確認して、 パターンの補正情報を決定する場合に比べて、 短時間 パターンの補正情報を決定することが可能となる。
本発明の第 1のパターン決定方法において、 補正情報を決定するための所定
の基準としては、 許容範囲外となった結像性能に基づく基準であり、 かつその 結像性能が許容範囲内になるようなパターンの補正を行う基準であることとす ることができる。 従って、 例えばその許容範囲外となった結像性能の 1 Z 2を 補正情報 (補正値) とすることができる。
本発明の第 1のパターン決定方法では、 前記補正情報は、 前記複数の露光装 置の所定の結像性能の残留誤差の平均値に基づいて設定されることとすること ができる。
本発明の第 1のパターン決定方法において、 前記結像性能に関する情報は、 調整装置の調整情報とともに、 目標露光条件下における調整装置の最適な調整 量の算出の基礎となる情報であれば良いので、種々の情報を含むことができる。 例えば、 前記結像性能に関する情報は、 前記所定露光条件下における調整後の 前記投影光学系の波面収差の情報を含むこととすることもできるし、あるいは、 前記結像性能に関する情報は、 前記投影光学系の単体の波面収差と前記所定露 光条件下における前記投影光学系の結像性能との情報を含むこととすることも できる。 後者の場合、 投影光学系単体 (例えば、 露光装置に投影光学系を組み 込む前) での波面収差 (単体波面収差) と、 基準となる露光条件下における調 整後のオン■ボディ (on body, すなわち露光装置に投影光学系を組み込んだ 後) での投影光学系の波面収差のずれが調整装置の調整量のずれに対応するも のと仮定し、 演算によリ結像性能の理想状態からのずれに基づいてその調整量 の補正量を求め、 この補正量に基づいて波面収差の補正量を求めることができ る。 そして、 この波面収差の補正量と単体波面収差と基準となる露光条件下に おける調整装置の位置基準の波面収差変換値の情報とに基づいて基準となる露 光条件下における調整後の投影光学系の波面収差を求めることができる。
本発明の第 1のパターン決定方法において、 前記結像性能に関する情報は、 剪記所定露光条件下における、 前記投影光学系の結像性能と該結像性能の所定 の目標値との差の情報であり、 前記調整装置の調整情報は、 前記調整装置の調
整量の情報である場合、 前記第 1工程では、 前記差と、 前記目標露光条件下に おける前記投影光学系の結像性能とフリンジ■ツェル二ケ多項式 (以下、 ツエ ルニケ多項式と呼ぶ) の各項の係数との関係を示すツェルニケ感度表と、 前記 調整装置の調整と前記投影光学系の波面収差の変化との関係を示すパラメータ 群から成る波面収差変化表と、 前記調整量との関係式を用いて、 前記適正な調 整量を、 露光装置毎に算出することとすることができる。
ここで、 結像性能の所定の目標値は、 結像性能 (例えば収差) の目標値が零 の場合をも含む。
この場合において、 前記関係式は、 前記ツェルニケ多項式の各項の内の任意 の項に重み付けを行うための重み付け関数を含む式であることとすることがで さる。
この場合において、 前記重みは、 前記目標露光条件下における前記投影光学 系の結像性能のうち、 許容範囲外となる部分の重みが高くなるように設定され ることとすることができる。
本発明の第 1のパターン決定方法では、 前記第 2工程における、 前記少なく とも 1台の露光装置の投影光学系の結像性能が前記許容範囲外となるか否かの 判断は、 前記所定露光条件下における前記調整装置の調整情報及びこれに対応 する前記投影光学系の波面収差の情報と、 前記第 1工程で算出された適正調整 量とに基づいて得られる調整後の波面収差の情報と、 前記目標露光条件下にお けるツェルニケ感度表と、 に基づいて、 各露光装置について算出される、 前記 目標露光条件下における前記投影光学系の結像性能と、該結像性能の目標値と、 の差に基づいて行われることとすることができる。
本発明の第 1のパターン決定方法では、 前記目標露光条件下におけるツェル ニケ感度表として、 前記第 2工程で前記補正情報を設定した後に計算によリ作 された前記補正情報を考慮した目標露光条件下におけるッヱルニケ感度表が 用いられることとすることができる。
本発明の第 1のパターン決定方法では、 前記所定の目標値は、 前記投影光学 系の少なくとも 1つの評価点における結像性能の目標値であることとすること ができる。
この場合において、 前記結像性能の目標値は、 選択された代表点における結 像性能の目標値であることとすることができる。
本発明の第 1のパターン決定方法では、 前記最適化処理工程では、 前記調整 装置による調整量の限界によって定まる制約条件を更に考慮して、 前記適正な 調整量を算出することとすることができる。
本発明の第 1のパターン決定方法では、 前記最適化処理工程では、 前記投影 光学系の視野内の少なくとも一部を最適化フィールド範囲として前記適正調整 量を算出することとすることができる。
本発明の第 1のパターン決定方法では、 前記第 1工程と第 2工程とを所定回 数繰リ返したか否かを判断し、 前記第 2工程で全ての露光装置の投影光学系の 結像性能が許容範囲内であると判断される前に、 前記所定回数繰り返したと判 断した場合に、 処理を終了する繰り返し回数制限工程を、 更に含むこととする ことができる。 例えば、 結像性能の許容範囲が非常に小さかった場合や、 バタ ーンの補正値をあまり大きくしたくない場合などでは、 前述した最適化処理工 程において、 補正情報 (補正値) の設定を何度行っても、 要求される条件を満 たした状態で全ての露光装置の適正調整量を算出できない場合が生じ得る。 こ のような場合に、 第 1工程と第 2工程とを所定回数繰り返した時点で処理が終 了されるので、 無駄な時間を費やすことを防止することが可能となる。
本発明は、第 2の観点からすると、本発明の第 1のパターン決定方法によリ、 マスクに形成すべきパターンの情報を決定するパターン決定工程と ;該決定さ れたパターンの情報を用いて、 マスクブランクス上にパターンを形成するバタ 一,ン形成工程と ; を含む第 1のマスクの製造方法である。
これによれば、 パターン決定工程において、 本発明の第 1のパターン決定方
法により、 複数台の露光装置の投影光学系により投影像を形成した際に、 いず れの露光装置においても結像性能が許容範囲内となるパターンの情報が、 マス クに形成すべきパターンの情報として、 決定される。 次いで、 パターン形成ェ 程において、 その決定されたパターンの情報を用いて、 マスクブランクス上に パターンが形成される。 従って、 複数の露光装置で共通に使用することができ るマスクを容易に製造することが可能となる。
本発明は、 第 3の観点からすると、 本発明の第 1のマスクの製造方法により 製造されたマスクを、 前記複数台の露光装置のうちの 1台の露光装置に搭載す る工程と ;前記 1台の露光装置の備える投影光学系の結像性能を前記マスクの パターンに合わせて調整した状態で、 前記マスク及び前記投影光学系を介して 物体を露光する工程と ; を含む第 1の露光方法である。
これによれば、本発明の第 1のマスクの製造方法により製造されたマスクが、 前記複数台の露光装置のうちの 1台の露光装置に搭載され、 該 1台の露光装置 の備える投影光学系の結像性能をマスクのパターンに合わせて調整した状態で, マスク及び投影光学系を介して物体が露光される。 ここで、 マスクに形成され たパターンは、 そのパターンの情報の決定段階で、 複数台の露光装置のいずれ でも投影光学系による結像性能が許容範囲内になるように決定されているので, 上記のマスクのパターンに合わせた投影光学系の結像性能の調整により、 結像 性能は確実に許容範囲内に調整される。 この場合の結像性能の調整は、 パター ンの情報の決定の段階で求めた結像性能の調整パラメータ (例えば、 調整機構 の調整量など) の値を記憶しておいて、 その値をそのまま用いて調整を行って も良いし、 結像性能の調整パラメータの適正な値を再度求めても良い。 いずれ にしても、 上記の露光により、 物体上にはパターンが精度良く転写される。 本発明は、 第 4の観点からすると、 マスクに形成されたパターンの投影像を 影光学系を介して物体上に形成する複数台の露光装置で用いられる、 前記マ スクに形成すべきパターンの情報を決定するパターン決定方法であって、 前記
複数台の露光装置の投影光学系による前記パターンの投影像の形成時の所定の 結像性能がともに許容範囲内となるように、 前記パターンの情報を決定する第 2のパターン決定方法である。
これによれば、 マスクに形成すべきパターンの情報を決定するに当たり、 複 数台の露光装置の投影光学系による前記パターンの投影像の形成時の所定の 像性能がともに許容範囲内となるように、 前記パターンの情報を決定する。 従 つて、 本発明の第 2のパターン決定方法によって決定されたパターンの情報を マスクの製造の際に用いることで、 複数の露光装置で共通に使用することがで きるマスクの製造 (製作) を容易に実現することが可能となる。
本発明は、第 5の観点からすると、本発明の第 2のパターン決定方法によリ、 マスクに形成すべきパターンの情報を決定するパターン決定工程と ;該決定さ れたパターンの情報を用いて、 マスクブランクス上にパターンを形成するバタ ーン形成工程と ; を含む第 2のマスクの製造方法である。
これによれば、 パターン決定工程において、 本発明の第 2のパターン決定方 法により、 複数台の露光装置の投影光学系により投影像を形成した際に、 いず れの露光装置においても結像性能が許容範囲内となるパターンの情報が、 マス クに形成すべきパターンの情報として、 決定される。 次いで、 パターン形成ェ 程において、 その決定されたパターンの情報を用いて、 マスクブランクス上に パターンが形成される。 従って、 複数の露光装置で共通に使用することができ るマスクを容易に製造することが可能となる。
本発明は、 第 6の観点からすると、 本発明の第 2のマスクの製造方法により 製造されたマスクを、 前記複数台の露光装置のうちの 1台の露光装置に搭載す る工程と ;前記 1台の露光装置の備える投影光学系の結像性能を前記マスクの パターンに合わせて調整した状態で、 前記マスク及び前記投影光学系を介して ¾体を露光する工程と ; を含む第 2の露光方法である。
これによれば、 前述の第 1の露光方法と同様の理由により、 物体上にはバタ
ーンが精度良く転写される。
本発明は、 第 7の観点からすると、 マスクに形成されたパターンを物体上に 投影する投影光学系の結像性能を調整する結像性能調整方法であって、 所定露 光条件下における、 前記投影光学系による前記パターンの投影像の物体上での 形成状態を調整する調整装置の調整情報及び前記投影光学系の結像性能に関す る情報、 並びにマスクの製造段階での前記パターンの補正情報を用いて、 前記 パターンの補正情報を考慮した目標露光条件下における前記調整装置の適正な 調整量を算出する工程と ;前記適正調整量に従って前記調整装置を調整するェ 程と ; を含む投影光学系の結像性能調整方法である。
これによれば、 所定露光条件 (投影条件) 下における、 調整装置の調整情報 及び投影光学系の結像性能に関する情報とともに、 マスクの製造段階でのバタ ーンの補正情報を用いて、そのパターンの補正情報を考慮した目標露光条件 (投 影条件) 下における調整装置の適切な調整量が算出される。 このため、 パター ンの補正情報を考慮しない場合に比べてより投影光学系の結像性能が良好とな るような調整量の算出が可能となる。 また、 パターンの補正情報を考慮しない 場合に目標露光条件下で、 投影光学系の結像性能が予め定められた許容範囲内 に収まるような調整量の算出が困難な場合であっても、 パターンの補正情報を 考慮した目標露光条件下における調整装置の調整量を算出することにより、 投 影光学系の結像性能が予め定められた許容範囲内に収まるような調整量の算出 が可能となる場合がある。
ここで、 マスクの製造段階におけるパターンの補正情報は、 一例として前述 したパターンの決定方法などを用いることにより取得することができる。 そして、 算出された適正調整量に従って前記調整装置が調整されることによ リ、 投影光学系の結像性能が、 パターンの補正情報を考慮しない場合に比べて 鸟好に調整される。 従って、 マスク上のパターンに対する投影光学系の結像性 能の調整能力を実質的に向上させることが可能となる。
この場合において、 前記結像性能に関する情報は、 前記所定露光条件下にお ける調整後の前記投影光学系の波面収差の情報を含むこととすることができる。 あるいは、 前記結像性能に関する情報は、 前記投影光学系の単体の波面収差と 前記所定露光条件下における前記投影光学系の結像性能との情報を含むことと することもできる。
本発明の結像性能調整方法では、 前記結像性能に関する情報は、 前記所定露 光条件下における前記投影光学系の結像性能と該結像性能の所定の目標値との 差の情報であり、 前記調整装置の調整情報は、 前記調整装置の調整量の情報で ある場合、 前記算出する工程では、 前記差と、 前記目標露光条件下における前 記投影光学系の結像性能とツェルニケ多項式の各項の係数との関係を示すツエ ルニケ感度表と、 前記調整装置の調整と前記投影光学系の波面収差の変化との 闋係を示すパラメータ群から成る波面収差変化表と、 前記調整量との関係式を 用いて、 前記適正な調整量を算出することとすることができる。
この場合において、 前記関係式は、 前記ッヱルニケ多項式の各項の内の任意 の項に重み付けを行うための重み付け関数を含む式であることとすることがで さる。
本発明は、 第 8の観点からすると、 マスクに形成されたパターンを投影光学 系を用いて物体上に転写する露光方法であって、 本発明の結像性能調整方法を 用いて、 前記目標露光条件下における前記投影光学系の結像性能を調整するェ 程と ;結像性能が調整された投影光学系を用いて、 前記パターンを前記物体上 に転写する工程と ; を含む第 3の露光方法である。
これによれば、 本発明の結像性能調整方法を用いて、 投影光学系の結像性能 が良好に調整され、 その結像性能が良好に調整された投影光学系を用いて、 前 記目標露光条件下で、 前記パターンが物体上に転写される。 従って、 物体上に ターンを精度良く転写することが可能となる。
本発明は、 第 9の観点からすると、 マスクに形成されたパターンの投影像を
投影光学系を介して物体上に形成する複数台の露光装置で用いられる、 前記マ スクに形成すべきパターンの情報を決定するパターン決定システムであって、 投影光学系と、 前記パターンの投影像の物体上での形成状態を調整する調整装 置とをそれぞれ有する、 複数台の露光装置と ;前記複数台の露光装置に通信路 を介して接続されたコンピュータと ; を備え、 前記コンピュータは、 前記複数 台の露光装置のうちから選択された最適化対象の露光装置について、 露光装置 毎に、 前記パターンの情報を含む所定露光条件下における前記調整装置の調整 情報及びこれに対応する前記投影光学系の結像性能に関する情報と、 前記バタ ーンの補正情報と、 結像性能の許容範囲の情報と、 を含む複数種類の情報に基 づいて、 前記パターンの補正情報を考慮した目標露光条件下における前記調整 装置の適正調整量をそれぞれ算出する第 1ステップと、 前記第 1ステップで算 出された各露光装置の適正調整量に従う前記調整装置の調整の結果、 前記目標 露光条件下において、 少なくとも 1台の最適化対象の露光装置の投影光学系の 所定の結像性能が前記許容範囲外となるか否かを判断し、 その判断の結果、 許 容範囲外となる結像性能に基づき、 所定の基準に従って前記補正情報を設定す る第 2ステップと、 を、 前記第 2ステップにおける判断の結果、 全ての最適化 対象の露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲内であると判断されるまで 繰り返す最適化処理ステップと ;前記全ての最適化対象の露光装置の投影光学 系の結像性能が許容範囲内となったとき、 前記最適化処理ステツプで設定され た補正情報を、 パターンの補正情報として決定する決定ステップと ; を実行す ることを特徴とするパターン決定システムである。
これによれば、 コンピュータは、 通信路を介して接続された複数台の露光装 置のうちから選択された最適化対象の露光装置について、 最適化処理ステップ で、 次のような最適化処理を行う。
すなわち、 パターンの情報 (既知のパターンの情報であれば良く、 例えば設 計値であっても良い) を含む所定露光条件下における、 前記パターンの投影像
の物体上での形成状態を調整する調整装置の調整情報及びこれに対応する前記 投影光学系 (最適化対象の露光装置の投影光学系)の結像性能に関する情報と、 前記パターンの補正情報と、 結像性能の許容範囲の情報と、 を含む複数種類の 情報に基づいて、 前記パターンの補正情報を考慮した目標露光条件下 (前記パ ターンを、 前記補正情報によって補正した補正後のパターンに置き換えた目標 露光条件下) における前記調整装置の適正調整量を、 露光装置毎に算出する第 1ステップと、 該第 1ステップで算出された各露光装置の適正調整量に従う前 記調整装置 (各露光装置の調整装置) の調整の結果、 上記の目標露光条件下に おいて、 少なくとも 1台の最適化対象の露光装置の投影光学系の所定の結像性 能が前記許容範囲外となるか否かを判断し、 その判断の結果、 許容範囲外とな る結像性能がある場合には、 その結像性能に基づき、 所定の基準に従って前記 補正情報を設定する第 2ステップと、 を、 その第 2ステップにおける判断の結 果、 全ての最適化対象の露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲内である と判断されるまで繰り返す。
そして、 上記の最適化処理ステップにおいて、 全ての最適化対象の露光装置 の投影光学系の結像性能が許容範囲内となったとき、 すなわち、 補正情報の設 定により許容範囲外となる結像性能がなくなった場合、 又は当初から全ての露 光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲内であった場合に、コンピュータは、 決定ステップで、 上記最適化処理ステップで設定されている補正情報をパター ンの補正情報として決定する。
従って、 本発明のパターン決定システムによって決定されたパターンの補正 情報又はその補正情報を用いてもとのパターンを補正したパターンの情報を、 マスクの製造の際に用いることで、 複数の露光装置で共通に使用することがで きるマスクの製造 (製作) を容易に実現することが可能となる。
この場合において、 前記第 1ステップで算出された各露光装置の適正調整量 と、 前記所定露光条件下における前記調整装置の調整情報及びこれに対応する
前記投影光学系の結像性能に関する情報とに基づいて、 前記適正調整量に従う 前記調整装置の調整の結果、 前記目標露光条件下において、 少なくとも 1台の 最適化対象の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外となる か否かを判断する第 1判断ステップと、前記第 1判断ステップでの判断の結果、 少なくとも 1台の最適化対象の露光装置の投影光学系の結像性能が前記許容範 囲外となる場合に、 その許容範囲外となる結像性能に基づき、 所定の基準に従 つて補正情報を設定する設定ステップと、を実行することとすることができる。 この場合において、 前記第 1ステップで算出された各露光装置の適正調整量 と、 前記設定ステップで設定された補正情報と、 前記所定露光条件下における 前記調整装置の調整情報及びこれに対応する前記投影光学系の結像性能に関す る情報と、 前記結像性能の許容範囲の情報とに基づいて、 前記適正調整量に従 う前記調整装置の調整の結果、 前記目標露光条件下において、 少なくとも 1台 の最適化対象の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外とな るか否かを判断する第 2判断ステツプを、 更に実行することとすることができ る。
本発明のパターン決定システムでは、 前記所定の基準は、 許容範囲外となつ た結像性能に基づく基準であり、 かつその結像性能が許容範囲内になるような パターンの補正を行う基準であることとすることができる。
本発明のパターン決定システムでは、 前記コンピュータは、 前記最適化処理 ステップにおいて、 前記複数の最適化対象の露光装置の結像性能の残留誤差の 平均値に基づいて前記補正情報を設定することとすることができる。
本発明のパターン決定システムでは、 前記投影光学系の結像性能に関する情 報は、 前記所定露光条件下における前記投影光学系の結像性能と該結像性能の 所定の目標値との差の情報であり、 前記調整装置の調整情報は、 前記調整装置
9調整量の情報である場合に、 前記コンピュータは、 前記第 1ステップにおい て、 前記差と、 前記目標露光条件下における前記投影光学系の結像性能とツエ
ルニケ多項式の各項の係数との関係を示すツェルニケ感度表と、 前記調整装置 の調整と前記投影光学系の波面収差の変化との関係を示すパラメータ群から成 る波面収差変化表と、 前記調整量との関係式を用いて、 前記適正な調整量を、 露光装置毎に算出することとすることができる。
この場合において、 前記所定の目標値は、 外部から入力された、 前記投影光 学系の少なくとも 1つの評価点におけ 4)結像性能の目標値であることとするこ とができる。
この場合において、 前記結像性能の目標値は、 選択された代表点における結 像性能の目標値であることとすることができるし、 あるいは前記結像性能の目 標値は、 前記投影光学系の結像性能を収差分解法によって成分分解し、 その分 解後の分解係数を基に悪い成分を改善すべく設定された係数の目標値が変換さ れた結像性能の目標値であることとすることもできる。
本発明のパターン決定システムでは、 前記関係式は、 前記ツェルニケ多項式 の各項の内の任意の項に重み付けを行うための重み付け関数を含む式であるこ ととすることができる。
この場合において、 前記コンピュータは、 前記所定露光条件下における前記 投影光学系の結像性能を許容範囲の内部と外部とで色分け表示するとともに、 前記重みの設定画面を表示する手順を、更に実行することとすることができる。 本発明のパターン決定システムでは、 前記重みは、 前記目標露光条件下にお ける前記投影光学系の結像性能のうち、 許容範囲外となる部分の重みが高くな るように設定されることとすることができる。
本発明のパターン決定システムでは、 前記コンピュータは、 前記第 2ステツ プにおいて、 前記所定露光条件下における前記調整装置の調整情報及びこれに 対応する前記投影光学系の波面収差の情報と前記第 1ステップで算出された適 調整量とに基づいて得られる調整後の波面収差の情報と、 前記目標露光条件 下における前記投影光学系の結像性能とツェルニケ多項式の各項の係数との関
係を示すツェルニケ感度表と、 に基づいて露光装置毎に算出される、 前記目標 露光条件下における前記投影光学系の結像性能と、 該結像性能の前記目標値と の差に基づいて、 前記少なくとも 1台の露光装置の投影光学系の所定の結像性 能が前記許容範囲外となるか否かを判断することとすることができる。
本発明のパターン決定システムでは、 前記コンピュータは、 前記第 2ステツ プにおいて、 前記補正情報を設定した後に前記補正情報を考慮した目標露光条 件下におけるツェルニケ感度表を計算により作成し、 その後、 そのツェルニケ 感度表を、 前記目標露光条件下におけるツェルニケ感度表として用いることと することができる。
本発明のパターン決定システムでは、 前記所定の目標値は、 外部から入力さ れた、 前記投影光学系の少なくとも 1つの評価点における結像性能の目標値で あることとすることができる。
この場合において、 前記結像性能の目標値は、 選択された代表点における結 像性能の目標値であることとすることができる。
本発明のパターン決定システムでは、 前記コンピュータは、 前記最適化処理 ステップにおいて、 前記調整装置による調整量の限界によって定まる制約条件 を更に考慮して、 前記適正な調整量を算出することとすることができる。 本発明のパターン決定システムでは、 前記コンピュータには、 前記投影光学 系の視野内の少なくとも一部を最適化フィールド範囲として外部から設定可能 であることとすることができる。
本発明のパターン決定システムでは、 前記コンピュータは、 前記第 1ステツ プと第 2ステップとを所定回数繰り返したか否かを判断し、 前記第 2ステップ で全ての最適化対象の露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲内であると 判断される前に、 前記所定回数繰り返したと判断した場合に、 処理を終了する ςととすることができる。
本発明のパターン決定システムでは、 前記コンピュータは、 前記複数台の露
光装置のいずれかの構成各部を制御する制御用コンピュータであることとする ことができる。
本発明は、 第 1 0の観点からすると、 マスクに形成されたパターンを投影光 学系を介して物体上に転写する露光装置であって、 前記投影光学系による前記 パターンの投影像の物体上での形成状態を調整する調整装置と ;前記調整装置 に信号線を介して接続され、 所定露光条件下における、 前記調整情報及び前記 投影光学系の結像性能に関する情報、 並びにマスクの製造段階での前記パター ンの補正情報を用いて、 前記パターンの補正情報を考慮した目標露光条件下に おける前記調整装置の適正な調整量を算出し、その算出した調整量に基づいて、 前記調整装置を制御する処理装置と ; を備える露光装置である。
これによれば、 処理装置によリ、 所定露光条件下における前記調整情報及び 前記投影光学系の結像性能に関する情報、 並びにマスクの製造段階での前記パ ターンの補正情報を用いて、 前記パターンの補正情報を考慮した目標露光条件 下における前記調整装置の適正な調整量が算出され、 その算出した調整量に基 づいて、 前記調整装置が制御される。
ここで、 マスクの製造段階におけるパターンの補正情報は、 一例として前述 したパターンの決定方法などを用いる.ことにより取得することができる。 この 場合、 処理装置は、 パターンの補正情報を考慮しない場合に比べて投影光学系 の結像性能がより良好となるような調整量の算出が可能となる。 また、 パター ンの補正情報を考慮しない場合に目標露光条件下で、 投影光学系の結像性能が 予め定められた許容範囲内に収まるような調整量の算出が困難な場合であって も、 処理装置は、 パターンの補正情報を考慮した目標露光条件下における調整 装置の調整量を算出することにより、 投影光学系の結像性能が予め定められた 許容範囲内に収まるような調整量の算出が可能となる場合がある。 そして、 算 出された調整量に従って処理装置が前記調整装置を制御することにより、 投影 光学系の結像性能が、 パターンの補正情報を考慮しない場合に比べて良好に調
整される。 従って、 この調整後の投影光学系を介してマスク上のパターンを物 体上に転写することにより、 パターンを物体上に精度良く転写することが可能 になる。
本発明は、 第 1 1の観点からすると、 マスクに形成されたパターンの投影像 を投影光学系を介して物体上に形成する複数台の露光装置で用いられる前記マ スクを設計するための所定の処理をコンピュータに実行させるプログラムであ つて、 前記パターンの情報を含む所定露光条件下における、 前記パターンの投 影像の物体上での形成状態を調整する調整装置の調整情報及びこれに対応する 前記投影光学系の結像性能に関する情報と、 前記パターンの補正情報と、 結像 性能の許容範囲の情報とを含む複数種類の情報に基づいて、 前記パターンの補 正情報を考慮した目標露光条件下における前記調整装置の適正調整量を、 露光 装置毎に算出する第 1手順と、 前記第 1手順で算出された各露光装置の適正調 整量に従う前記調整装置の調整の結果、 前記目標露光条件下において、 少なく とも 1台の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外となるか 否かを判断し、 その判断の結果、 許容範囲外となる結像性能に基づき、 所定の 基準に従って前記補正情報を設定する第 2手順と、 を、 前記第 2手順における 判断の結果、 全ての露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲内であると判 断されるまで繰り返す最適化処理手順と ;前記全ての露光装置の投影光学系の 結像性能が許容範囲内となったとき、 前記最適化処理手順で設定された前記補 正情報をパターンの補正情報として決定する決定手順と ; を前記コンピュータ に実行させるプログラムである。
このプログラムがインス | ^一ルされたコンピュータに、 各露光装置について の、 所定露光条件下における調整装置の調整情報及びこれに対応する前記投影 光学系の結像性能に関する情報と、 前記パターンの補正情報と、 結像性能の許 窨範囲の情報とを含む複数種類の情報が入力されると、 この入力に応答して、 コンピュータでは、 次のような最適化処理手順の処理を行う。
すなわち、 パターンの情報 (既知のパターンの情報であれば良く、 例えば設 計値であっても良い) を含む所定露光条件下における、 前記パターンの投影像 の物体上での形成状態を調整する調整装置の調整情報及びこれに対応する前記 投影光学系の結像性能に関する情報と、 前記パターンの補正情報と、 結像性能 の許容範囲の情報とを含む複数種類の情報に基づいて、 前記パターンの補正情 報を考慮した目標露光条件下 (前記パターンを、 前記補正情報によって補正し た補正後のパターンに置き換えた目標露光条件下) における前記調整装置の適 正調整量を、 露光装置毎に算出する第 1手順と、 該第 1手順で算出された各露 光装置の適正調整量に従う前記調整装置 (各露光装置の調整装置) の調整の結 果、 上記の目標露光条件下において、 少なくとも 1台の露光装置の投影光学系 の所定の結像性能が前記許容範囲外となるか否かを判断し、 その判断の結果、 許容範囲外となる結像性能がある場合には、 その結像性能に基づき、 所定の基 準に従って前記補正情報を設定する第 2手順と、 を、 前記第 2手順における判 断の結果、 全ての露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲内であると判断 されるまで繰り返す。
そして、 上記の最適化処理手順において、 前記全ての露光装置の投影光学系 の結像性能が許容範囲内となったとき、 すなわち、 補正情報の設定により許容 範囲外となる結像性能がなくなった場合、 又は当初から全ての露光装置の投影 光学系の結像性能が許容範囲内であった場合に、 コンピュータは、 上記最適化 処理手順で設定されている前記補正情報をパターンの補正情報として決定する
(決定手順)。
従って、 上記のようにして決定されたパターンの補正情報又はその補正情報 を用いてもとのパターンを補正したパターンの情報を、 マスクの製造の際に用 いることで、 前述と同様に、 複数の露光装置で共通に使用することができるマ クの製造 (製作) を容易に実現することが可能となる。 すなわち、 本発明の プログラムによれば、 複数台の露光装置で用いられるマスクを、 コンピュータ
を用いて容易に設計することが可能になる。
この場合において、 前記第 2手順として、 前記第 1手順で算出された各露光 装置の適正調整量と、 前記所定露光条件下における前記調整装置の調整情報及 びこれに対応する前記投影光学系の結像性能に関する情報とに基づいて、 前記 適正調整量に従う前記調整装置の調整の結果、 前記目標露光条件下において、 少なくとも 1台の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外と なるか否かを判断する第 1判断手順と、 前記第 1判断手順の判断の結果、 少な くとも 1台の露光装置の投影光学系の結像性能が前記許容範囲外となる場合に、 その許容範囲外となる結像性能に基づき、 所定の基準に従って補正情報を設定 する設定手順と、 を前記コンピュータに実行させることとすることができる。 この場合において、 前記第 2手順として、 前記第 1手順で算出された各露光 装置の適正調整量と、 前記設定手順で設定された補正情報と、 前記所定露光条 件下における前記調整装置の調整情報及びこれに対応する前記投影光学系の翁 像性能に関する情報と、 前記結像性能の許容範囲の情報とに基づいて、 前記適 正調整量に従う前記調整装置の調整の結果、 前記目標露光条件下において、 少 なくとも 1台の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外とな るか否かを判断する第 2判断手順を、 更に前記コンビユーダに実行させること とすることができる。
本発明のプログラムでは、 前記所定の基準は、 許容範囲外となった結像性能 に基づく基準であり、 かつその結像性能が許容範囲内になるようなパターンの 補正を行う基準であることもできるし、 前記補正情報を、 前記複数の露光装置 の結像性能の残留誤差の平均値に基づいて設定する基準であることとすること もできる。
本発明のプログラムでは、 前記結像性能に関する情報は、 前記所定露光条件 下における調整後の前記投影光学系の波面収差の情報を含むこととすることも できるし、 あるいは、 前記結像性能に関する情報は、 前記投影光学系の単体の
波面収差と前記所定露光条件下における前記投影光学系の結像性能との情報を 含むこととすることもできる。
本発明のプログラムでは、 前記投影光学系の結像性能に関する情報は、 前記 所定露光条件下における前記投影光学系の結像性能と該結像性能の所定の目標 値との差の情報であり、 前記調整装置の調整情報は、 前記調整装置の調整量の 情報である場合に、 前記第 1手順として、 前記差と、 前記目標露光条件下にお ける前記投影光学系の結像性能とツェルニケ多項式の各項の係数との関係を示 すツェルニケ感度表と、 前記調整装置の調整と前記投影光学系の波面収差の変 化との関係を示すパラメータ群から成る波面収差変化表と、 前記調整量との関 係式を用いて、 前記適正な調整量を、 露光装置毎に算出する手順を、 前記コン ピュータに実行させることとすることができる。
この場合において、 前記投影光学系の視野内の各評価点における前記目標値 の設定画面を表示する手順を、 前記コンピュータに更に実行させることとする こともできるし、 あるいは、 前記投影光学系の結像性能を収差分解法によって 成分分解し、 その分解後の分解係数とともに前記目標値の設定画面を表示する 手順と ;前記設定画面の表示に応答して設定された係数の目標値を前記結像性 能の目標値に変換する手順と ; を前記コンピュータに更に実行させることとす ることもできる。
本発明のプログラムでは、 前記関係式は、 前記ツェルニケ多項式の各項の内 の任意の項に重み付けを行うための重み付け関数を含む式であることとするこ とができる。
この場合において、 前記基準となる露光条件下における前記投影光学系の結 像性能を許容範囲の内部と外部とで色分け表示するとともに、 前記重みの設定 画面を表示する手順を、 前記コンピュータに更に実行させることとすることが できる。
本発明のプログラムでは、 前記第 2手順において、 前記所定露光条件下にお
ける前記調整装置の調整情報及びこれに対応する前記投影光学系の波面収差の 情報と、 前記第 1手順で算出された適正調整量と、 に基づいて得られる調整後 の波面収差の情報と、 前記目標露光条件下における前記投影光学系の結像性能 とツェルニケ多項式の各項の係数との関係を示すツェルニケ感度表とに基づい て、 露光装置毎に算出される、 前記目標露光条件下における前記投影光学系の 結像性能と、 該結像性能の前記目標値との差に基づいて、 前記少なくとも 1台 の露光装置の投影光学系の所定の結像性能が前記許容範囲外となるか否かを、 前記コンピュータに判断させることとすることができる。
本発明のプログラムでは、 前記第 2手順において、 前記補正情報を設定した 後に前記補正情報を考慮した目標露光条件下におけるツェルニケ感度表を計算 により作成させるとともに、 その後、 そのッ: ルニケ感度表を、 前記目標露光 条件下におけるッヱルニケ感度表として用いる手順を、 前記コンピュータに実 行させることとすることができる。
本発明のプログラムでは、 前記最適化処理手順において、 前記調整装置によ る調整量の限界によって定まる制約条件を更に考慮して、前記適正な調整量を、 前記コンピュータに算出させることとすることができる。
本発明のプログラムでは、 前記最適化処理手順において、 外部からの指定に 応じて、 前記投影光学系の視野内の少なくとも一部を最適化フィールド範囲と して前記適正調整量を前記コンピュータに算出させることとすることができる 本発明のプログラムでは、 前記第 1手順と第 2手順とを所定回数繰り返した か否かを判断し、 全ての露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲内である と判断される前に、 前記所定回数繰り返したと判断した場合に、 処理を終了す る手順を前記コンピュータに更に実行させることとすることができる。
本発明は、 第 1 2の観点からすると、 本発明のプログラムが記録されたコン I ^ユータによる読み取リが可能な情報記録媒体である。
また、 リソグラフイエ程において、 本発明の第 1〜第 3の露光方法のいずれ
かを用いてデバイスパターンを感応物体上に転写することにより、 感応物体上 にデバイスパターンを精度良く形成することができ、 これにより、 より高集積 度のマイクロデバイスを歩留まり良く製造することができる。 従って、 本発明 は、 更に別の観点からすると、 本発明の第 1〜第 3の露光方法を用いてデバイ スパターンを感応物体上に転写する工程を含むデバイス製造方法であるとも言 える。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の一実施形態に係るデバイス製造システムの構成を示す図で 。
図 2は、 図 1の第 1の露光装置 9 2 2 の構成を概略的に示す図である。 図 3は、 波面収差計測器の一例を示す断面図である。
図 4 Aは、 光学系に収差が存在しない場合においてマイクロレンズアレイか ら射出される光束を示す図、 図 4 Bは、 光学系に収差が存在する場合において マイクロレンズアレイから射出される光束を示す図である。
図 5は、 第 2コンピュータ内の C P Uによって実行される処理アルゴリズム の一例を示すフローチヤ一トである。
図 6は、図 5のステップ 1 1 4における処理を示すフローチヤ一卜 (その 1 ) である。
図 7は、図 5のステップ 1 1 4における処理を示すフローチヤ一卜 (その 2 ) である。
図 8は、図 5のステップ 1 1 4における処理を示すフローチヤ一卜 (その 3 ) である。
図 9は、図 5のステップ 1 1 4における処理を示すフローチヤ一ト (その 4 ) ある。
図 1 0は、 図 5のステップ 1 1 4における処理を示すフローチャート (その
5 ) である。
図 1 1は、 制約条件違反時における処理を模式的に示す図である。
図 1 2は、 複数の号機 (A号機、 B号機) の収差最適化及びパターン補正の 実験に際して、 対象としたワーキングレチクルの一例を示す平面図である。 図 1 3 Aは、 図 1 2のワーキングレチクルを用い、 そのパターン補正を行わ ない場合の A号機、 B号機の収差最適化の結果の一例を示す図、 図 1 3 Bは、 図 1 3 Aの場合と同じ A号機、 B号機の収差最適化状態で、 パターン補正を行 つた場合の結果の一例を示す図、 図 1 3 Cは、 図 1 3 Bと同じパターン補正を 行い、 その補正後のパターンに対して A号機、 B号機の収差を最適化した結果 の一例を示す図である。
図 1 4は、 レチクル設計システム及びレチクル製造システムを用いてヮーキ ングレチクルを製造する際の動作の一例を示すフローチャート (その 1 ) であ る。
図 1 5は、 レチクル設計システム及びレチクル製造システムを用いてヮ一キ ングレチクルを製造する際の動作の一例を示すフローチャート (その 2 ) であ る。
図 1 6は、 レチクル設計システム及びレチクル製造システムを用いてヮーキ ングレチクルを製造する際の動作の一例を示すフローチャート (その 3 ) であ る。
図 1 7は、 図 1 2のワーキングレチクルを製造する際に用いる、 既存のマス ターレチクルの一例を示す平面図である。
図 1 8は、 図 1 7のマスターレチクル、 新たに製造した 2種類のマスターレ チクルを用いたつなぎ露光の様子を概念的に示す図である。
図 1 9は、 第 2コンピュータ内の C P Uによって実行される処理アルゴリズ の他の一例を示すフローチヤ一卜である。
図 2 0は、 変形例に係るコンピュータシステムの構成を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の一実施形態を図 1〜図 1 8に基づいて説明する。
図 1には、 一実施形態に係るパターン決定システムとしてのデバイス製造シ ステム 1 0の全体構成が一部省略して示されている。
この図 1に示されるデバイス製造システム 1 0は、 露光装置等のデバイス製 造装置のユーザであるデバイスメーカ (以下、 適宜 「メーカ AJ と呼ぶ) の半 導体工場内に構築された社内 LANシステムである。 このコンピュータシス亍 ム 1 0は、 第 1コンピュータ 920を含みクリーンルーム内に設置されたリソ グラフィシステム 91 2と、 該リソグラフィシステム 91 2を構成する第 1コ ンピュータ 920に通信路としてのローカルエリアネットワーク (LAN) 9 26を介して接続された第 2コンピュータ 930を含むレチクル設計システム 932と、 第 2コンピュータ 930に LAN 936を介して接続された工程管 理用のコンピュータ 940を含み別のクリーンルーム内に設置されたレチクル 製造システム 942とを備えている。
前記リソグラフィシステム 91 2は、 LAN 91 8を介して相互に接続され た中型コンピュータより成る第 1コンピュータ 920、 第 1露光装置 922ι, 第 2露光装置 9222, …… ' 第 N露光装置 922N (以下においては、適宜「露 光装置 922」 と総称する) を含んで構成されている。
図 2には、 前記第 1露光装置 922ι の概略構成が示されている。 この露光 装置 922 は、 露光用光源 (以下 「光源」 という) にパルスレーザ光源を用 いたステップ'アンド 'スキャン方式の走査型投影露光装置、 すなわちいわゆ るスキャニング 'ステツバ (スキャナ) である。
露光装置 922 は、 光源 1 6及び照明光学系 1 2から成る照明系、 この照 明系からのエネルギビームとしての露光用照明光 E Lにより照明されるマスク としてのレチクル Rを保持するマスクステージとしてのレチクルステージ RS
T、レチクル Rから射出された露光用照明光 E Lを物体としてのウェハ W上(像 面上) に投射する投影光学系 P L、 ウェハ Wを保持する Zチルトステージ 5 8 が搭載されたウェハステージ W S丁、 及びこれらの制御系等を備えている。 前記光源 1 6としては、 ここでは、 F2 レーザ (出力波長 1 5 7 n m) ある いは A r Fエキシマレーザ (出力波長 1 9 3 n m) 等の真空紫外域のパルス光 を出力するパルス紫外光源が用いられている。 なお、 光源 1 6として、 K r F エキシマレ一ザ (出力波長 2 4 8 n m) などの遠紫外域あるいは紫外域のパル ス光を出力する光源を用いても良い。
前記光源 1 6は、 実際には、 照明光学系 1 2の各構成要素及びレチクルステ ージ R S T、 投影光学系 P L、 及びウェハステージ W S T等から成る露光装置 本体が収納されたチャンバ 1 1が設置されたクリーンルームとは別のクリーン 度の低いサービスルームに設置されており、 チャンバ 1 1にビームマッチング ュニッ卜と呼ばれる光軸調整用光学系を少なくとも一部に含む不図示の送光光 学系を介して接続されている。 この光源 1 6では、 主制御装置 5 0からの制御 情報 T Sに基づいて、 内部のコントローラにより、 レーザビーム L Bの出力の オン 'オフ、 レーザビーム L Bの 1パルスあたりのエネルギ、 発振周波数 (繰 リ返し周波数)、 中心波長及びスぺクトル半値幅(波長幅) などが制御されるよ うになつている。
前記照明光学系 1 2は、 シリンダレンズ、 ビームエキスパンダ (いずれも不 図示) 及びオプティカルインテグレータ (ホモジナイザ) 2 2等を含むビーム 整形 '照度均一化光学系 2 0、 照明系開口絞り板 2 4、 第 1 リレーレンズ 2 8 A、 第 2リレーレンズ 2 8 B、 固定レチクルブラインド 3 O A、 可動レチクル ブラインド 3 0 B、 光路折り曲げ用のミラー M及びコンデンサレンズ 3 2等を 備えている。なお、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、 gッドインテグレータ (内面反射型インテグレータ)、あるいは回折光学素子な どを用いることができる。 本実施形態では、 オプティカルインテグレータ 2 2
としてフライアイレンズが用いられているので、 以下ではフライアイレンズ 2 2とも呼ぶものとする。
前記ビーム整形■照度均一化光学系 2 0は、 チャンバ 1 1に設けられた光透 過窓 1 7を介して不図示の送光光学系に接続されている。 このビーム整形 -照 度均一化光学系 2 0は、 光源 1 6でパルス発光され光透過窓 1 7を介して入射 したレーザビームし Bの断面形状を、 例えばシリンダレンズやビームエキスパ ンダを用いて整形する。 そして、 ビーム整形■照度均一化光学系 2 0内部の射 出端側に位置するフライアイレンズ 2 2は、 レチクル Rを均一な照度分布で照 明するために、 前記断面形状が整形されたレーザビーム L Bの入射により、 照 明光学系 1 2の瞳面とほぼ一致するように配置されるその射出側焦点面に多数 の点光源 (光源像) から成る面光源 (2次光源) を形成する。 この 2次光源か ら射出されるレーザビームを以下においては、 「照明光 E L」と呼ぶものとする c フライアイレンズ 2 2の射出側焦点面の近傍に、 円板状部材から成る照明系 開口絞り板 2 4が配置されている。 この照明系開口絞り板 2 4には、 ほぼ等角 度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り (通常絞り)、小さな円形開 口より成リコヒーレンスファクタである σ値を小さくするための開口絞り (小 σ絞り)、 輪帯照明用の輪帯状の開口絞り (輪帯絞り)、 及び変形光源法用に複 数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り (図 1ではこのうちの 2種類 の開口絞りのみが図示されている) 等が配置されている。 この照明系開口絞り 板 2 4は、 主制御装置 5 0により制御されるモータ等の駆動装置 4 0により回 転されるようになっており、 これによりいずれかの開口絞リが照明光 E Lの光 路上に選択的に設定され、後述するケーラー照明における光源面形状が、輪帯、 小円形、 大円形、 あるいは四つ目等に制限される。
なお、 照明系開口絞り板 2 4の代わりに、 あるいはそれと組み合わせて、 例 ば照明光学系の瞳面上で異なる領域に照明光を分布させる、 照明光学系内に 交換して配置される複数の回折光学素子、 照明光学系の光軸 I Xに沿って少な
くとも 1つが可動、 すなわち照明光学系の光軸方向に関する間隔が可変である 複数のプリズム (円錐プリズム、 多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少 なくとも 1つを含む光学ユニット (成形光学系) を、 光源 1 6とオプティカル インテグレータ 2 2との間に配置し、 オプティカルインテグレータ 2 2がフラ ィアイレンズであるときはその入射面上での照明光の強度分布を、 ォプティカ ルインテグレータ 2 2が内面反射型インテグレータであるときはその入射面に 対する照明光の入射角度範囲などを可変とすることで、 照明光学系の瞳面上で の照明光の光量分布(2次光源の大きさや形状)、すなわちレチクル Rの照明条 件の変更に伴う光量損失を抑えることが望ましい。 なお、 本実施形態では内面 反射型インテグレータによって形成される複数の光源像 (虚像) をも 2次光源 と呼ぶものとする。 また、 照明光学系の瞳面上での照明光の光量分布の設定で はなくフレアの減光を目的とする可変開口絞り (虹彩絞り) を、 その成形光学 系と併用しても良い。
照明系開口絞り板 2 4から出た照明光 E Lの光路上に、 固定レチクルブライ ンド 3 O A及び可動レチクルブラインド 3 0 Bを介在させて第 1 リレーレンズ 2 8 A及び第 2リレーレンズ 2 8 Bから成るリレー光学系が配置されている。 固定レチクルブラインド 3 O Aは、 レチクル Rのパターン面に対する共役面 から僅かにデフォーカスした面に配置され、 レチクル R上で照明領域 I A Rを 規定する矩形開口が形成されている。 また、 この固定レチクルブラインド 3 0 Aの近傍に走査方向に対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動 レチクルブラインド 3 0 Bが配置され、 走査露光の開始時及び終了時にその可 動レチクルブラインド 3 O Bを介して照明領域 I A Rを更に制限することによ つて、 不要な部分の露光が防止されるようになっている。 さらに、 可動レチク ルブラインド 3 0 Bは走査方向と直交する非走査方向に対応する方向に関して も開口部の幅が可変であり、 ウェハ上に転写すべきレチクル Rのパターンに応 じて照明領域 I A Rの非走査方向の幅を調整できるようになつている。 なお、
本実施形態では固定レチクルブラインド 3 0 Aをデフォーカスして配置するこ とで、 レチクル R上での照明光 I しの走査方向に関する強度分布をほぼ台形状 としているが、 他の構成を採用する、 例えば周辺部で減光率が徐々に高くなる 濃度フィルタ、 あるいは照明光を部分的に回折させる回折光学素子などを照明 光学系内に配置して、 照明光 I Lの強度分布を台形状としても良い。 また、 本 実施形態では固定レチクルブラインド 3 0 Aと可動レチクルブラインド 3 0 B とを設けているが、 固定レチクルブラインドを設けないで可動レチクルブライ ンドのみとしても良い。 さらに、 矩形の射出面がレチクルのパターン面との共 役面から僅かに離れて配置される内面反射型インテグレータを、 オプティカル インテグレータ 2 2として用いることで、 固定レチクルブラインドを不要とし ても良い。 このとき、 例えばレチクルのパターン面との共役面とほぼ一致する ように、 内面反射型イン亍グレータの射出面に近接して、 可動レチクルブライ ンド (マスクキング ·ブレード) を配置する。
リレー光学系を構成する第 2リレーレンズ 2 8 B後方の照明光 E Lの光路上 には、 当該第 2リレーレンズ 2 8 Bを通過した照明光 E Lをレチクル Rに向け て反射する折り曲げミラー Mが配置され、 このミラー M後方の照明光 E Lの光 路上にコンデンサレンズ 3 2が配置されている。
以上の構成において、 フライアイレンズ 2 2の入射面、 可動レチクルブライ ンド 3 0 Bの配置面、及びレチクル Rのパターン面(投影光学系 P Lの物体面) は、 光学的に互いに共役に設定され、 フライアイレンズ 2 2の射出側焦点面に 形成される光源面 (照明光学系の瞳面)、投影光学系 P Lのフーリエ変換面 (射 出瞳面) は光学的に互いに共役に設定され、 ケーラー照明系となっている。 このようにして構成された照明系の作用を簡単に説明すると、 光源 1 6から パルス発光されたレーザビーム L Bは、 ビーム整形■照度均一化光学系 2 0に 入、射して断面形状が整形された後、 フライアイレンズ 2 2に入射する。 これに より、フライアイレンズ 2 2の射出側焦点面に前述した 2次光源が形成される。
上記の 2次光源から射出された照明光 E Lは、 照明系開口絞り板 2 4上のい ずれかの開口絞りを通過した後、 第 1 リレーレンズ 2 8 Aを経て固定レチクル ブラインド 3 O A及び可動レチクルブラインド 3 0 Bの開口を通過した後、 第 2リレーレンズ .2 8 Bを通過してミラー Mによって光路が垂直下方に折り曲げ られた後、 コンデンサレンズ 3 2を経て、 レチクルステージ R S T上に保持さ れたレチクル R上の長方形又は矩形のスリツト状の照明領域 I A Rを均一な照 度分布で照明する。 照明領域 I A Rは、 X軸方向に細長く伸び、 その中心は投 影光学系 P Lの光軸 A Xにほぼ一致しているものとする。
前記レチクルステージ R S T上にはレチクル Rが装填され、 不図示の静電チ ャック (又はバキュームチャック) 等を介して吸着保持されている。 レチクル ステージ R S Tは、 リニアモータ等を含む不図示のレチクルステージ駆動部に よって、 水平面 (X Y平面) 内で微小駆動可能であるとともに、 走査方向 (こ こでは図 1の紙面左右方向である Y軸方向とする) に所定ストローク範囲で走 査されるようになつている。 レチクルステージ R S Tの X Y面内の位置は、 該 レチクルステージ R S Tに設けられ、 あるいは形成された反射面を介してレチ クルレーザ干渉計 5 4 Rによって、 所定の分解能 (例えば 0 . 5〜 1 n m程度 の分解能) で計測され、 この計測結果が主制御装置 5 0に供給されるようにな つている。
なお、 レチクル Rに用いる材質は、 使用する光源によって使い分ける必要が ある。 すなわち、 A r Fエキシマレーザ、 K r Fエキシマレーザを光源とする 場合は、 合成石英、 ホタル石等のフッ化物結晶、 あるいはフッ素ドープ石英等 を用いることができるが、 F 2 レーザを用いる場合には、 ホタル石等のフッ化 物結晶や、 フッ素ドープ石英等で形成する必要がある。
前記投影光学系 P Lとしては、 例えば両側テレセントリックな縮小系が用い れている。 この投影光学系 P Lの投影倍率は例えば 1 4、 1 5あるいは 1 Z 6等である。 このため、 前記の如くして、 照明光 E Lによリレチクル R上
の照明領域 I ARが照明されると、 そのレチクル Rに形成されたパターンが投 影光学系 P Lによって前記投影倍率で縮小された像が表面にレジス卜(感光剤) が塗布されたウェハ W上のスリット状の露光領域 (照明領域 I A Rに共役な領 域) I Aに形成される。
投影光学系 P Lとしては、 図 2に示されるように、 複数枚、 例えば 1 0〜2 0枚程度の屈折光学素子 (レンズ素子) 1 3のみから成る屈折系が用いられて いる。 この投影光学系 P Lを構成する複数枚のレンズ素子 1 3のうち、 物体面 側 (レチクル R側) の複数枚(ここでは、説明を簡略化するために 5枚とする) のレンズ素子 1 3 1 32, 1 33, 1 34, 1 35 は、 結像性能補正コント口 —ラ 48によって外部から駆動可能な可動レンズとなっている。 レンズ素子 1 3丄〜1 35 は、不図示の二重構造のレンズホルダをそれぞれ介して鏡筒に保持 されている。これらレンズ素子 1 3ι〜 1 35 は、内側レンズホルダにそれぞれ 保持され、 これらの内側レンズホルダが不図示の駆動素子、 例えばピエゾ素子 などにより重力方向に 3点で外側レンズホルダに対して支持されている。 そし て、 上記駆動素子に対する印加電圧を独立して調整することにより、 レンズ素 子 1 3ι〜 1 35 のそれぞれを投影光学系 P Lの光軸方向である Z軸方向にシ フト駆動、及び XY面に対する傾斜方向 (すなわち X軸回りの回転方向 (S X ) 及び Y軸回りの回転方向 (0 y)) に駆動可能(チルト可能) な構成となってい る。
その他のレンズ素子 1 3は、 通常のレンズホルダを介して鏡筒に保持されて いる。 なお、 レンズ素子 1 3ι〜1 35 に限らず、 投影光学系 P Lの瞳面近傍、 又は像面側に配置されるレンズ、 あるいは投影光学系 P Lの収差、 特にその非 回転対称成分を補正する収差補正板 (光学プレート) などを駆動可能に構成し ても良い。 更に、 それらの駆動可能な光学素子の自由度 (移動可能な方向) は つに限られるものではなく 1つ、 2つあるいは 4つ以上でも良い。 また、 投 影光学系 P Lの鏡筒構造やレンズ素子の駆動機構は上記構成に限られるもので
なく任意で構わない。
また、 投影光学系 P Lの瞳面の近傍には、 開口数 (N . A . ) を所定範囲内で 連続的に変更可能な瞳開口絞り 1 5が設けられている。 この曈開口絞り.1 5と しては、 例えばいわゆる虹彩絞りが用いられている。 この瞳開口絞り 1 5は、 主制御装置 5 0によって制御される。
なお、 照明光 E Lとして A r Fエキシマレ一ザ光、 K r Fエキシマレーザ光 を用いる場合には、 投影光学系 P Lを構成する各レンズ素子としてはホタル石 等のフッ化物結晶や前述したフッ素ドープ石英の他、 合成石英をも用いること ができるが、 F2 レーザ光を用いる場合には、 この投影光学系 P Lに使用され るレンズの材質は、 全てホタル石等のフッ化物結晶やフッ素ドープ石英が用い られる。
前記ウェハステージ W S Tは、 リニアモータ等を含むウェハステージ駆動部 5 6によリ X Y 2次元面内で自在に駆動されるようになっている。 このウェハ ステージ W S T上に搭載された Zチルトステージ 5 8上には不図示のウェハホ ルダを介してウェハ Wが静電吸着 (あるいは真空吸着) 等により保持されてい る。
また、 Zチルトステージ 5 8は、 ウェハステージ WS T上で不図示の駆動系 により Z軸方向の移動及び X Y平面に対する傾斜方向 (すなわち X軸回りの回 転方向 (0 X ) 及び Y軸回りの回転方向 (0 y ) ) に駆動可能 (チルト可能) な 構成となっている。 これによつて Zチルトステージ 5 8上に保持されたウェハ Wの面位置 (Z軸方向位置及び X Y平面に対する傾斜) が所望の状態に設定さ れるようになっている。
さらに、 Zチルトステージ 5 8上には移動鏡 5 2 Wが固定され、 外部に配置 されたウェハレーザ干渉計 5 4 Wにより、 Zチル卜ステージ 5 8の X軸方向、 X、軸方向及び 0 Z方向 (Z軸回りの回転方向) の位置が計測され、 干渉計 5 4 Wによって計測された位置情報が主制御装置 5 0に供給されている。 主制御装
置 5 0は、この干渉計 5 4 Wの計測値に基づいてウェハステージ駆動部 5 6 (こ れは、 ウェハステージ W S Tの駆動系及び Zチル卜ステージ 5 8の駆動系の全 てを含む) を介してウェハステージ W S T (及ぴ Zチルトステージ 5 8 ) を制 御する。なお、移動鏡 5 2 Wに代えて、例えば Zチル卜ステージ 5 8の端面(側 面) を鏡面加工して形成される反射面を用いても良い。
また、 Zチルトステージ 5 8上には、 後述するァライメント系 A L Gのいわ ゆるベースライン計測用の基準マーク等の基準マークが形成された基準マーク 板 F Mが、 その表面がほぼウェハ Wの表面と同一高さとなるように固定されて いる。
また、 Zチルトステージ 5 8の + Y側 (図 2における紙面内右側) の側面に は、 着脱自在のポータブルな波面計測装置としての波面収差計測器 8 0が取り 付けられている。
この波面収差計測器 8 0は、 図 3に示されるように、 中空の筐体 8 2と、 該 筐体 8 2の内部に所定の位置関係で配置された複数の光学素子から成る受光光 学系 8 4と、 筐体 8 2の内部の一 X側端部に配置された受光部 8 6とを備えて いる。
前記筐体 8 2は、 X Z断面 L字状で内部に空間が形成された部材から成り、 その最上部 (+ Z方向端部) には、 筐体 8 2の上方からの光が筐体 8 2の内部 空間に向けて入射するように、 平面視 (上方から見て) 円形の開口 8 2 aが形 成されている。 また、 この開口 8 2 aを筐体 8 2の内部側から覆うようにカバ 一ガラス 8 8が設けられている。 カバーガラス 8 8の上面には、 クロム等の金 属の蒸着により中央部に円形の開口を有する遮光膜が形成され、 該遮光膜によ つて、 投影光学系 P Lの波面収差の計測の際に周囲からの不要な光が受光光学 系 8 4に入射するのが遮られている。
前記受光光学系 8 4は、 筐体 8 2の内部のカバーガラス 8 8の下方に、 上か ら下に順次配置された、 対物レンズ 8 4 a , リレーレンズ 8 4 b及び折リ曲げ
ミラ一 8 4 cと、 該折り曲げミラー 8 4 cの一 X側に順次配置されたコリメ一 タレンズ 8 4 d及びマイクロレンズアレイ 8 4 eとから構成されている。 折り 曲げミラ一 8 4 cは、 4 5 ° で斜設されており、 該折り曲げミラー 8 4 cによ つて、 上方から鉛直下向きに対物レンズ 8 4 aに対して入射した光の光路がコ リメ一タレンズ 8 4 dに向けて折り曲げられるようになつている。 なお、 この 受光光学系 8 4を構成する各光学部材は、 筐体 8 2の壁の内側に不図示の保持 部材を介してそれぞれ固定されている。 前記マイクロレンズアレイ 8 4 eは、 複数の小さな凸レンズ (レンズ素子) が光路に対して直交する面内にアレイ状 に配置されて構成されている。
前記受光部 8 6は、 2次元 C C D等から成る受光素子と、 例えば電荷転送制 御回路等の電気回路等から構成されている。 受光素子は、 対物レンズ 8 4 aに 入射し、 マイクロレンズアレイ 8 4 eから出射される光束のすべてを受光する のに十分な面積を有している。 なお、 受光部 8 6による計測データは、 不図示 の信号線を介して、 あるいは無線送信にて主制御装置 5 0に出力される。 上述した波面収差計測器 8 0を用いることにより、 投影光学系 P Lの波面収 差の計測を、 オン■ポディにて行うことができる。 なお、 この波面収差計測器 8 0を用いた投影光学系 P Lの波面収差の計測方法については後述する。 図 2に戻り、 本実施形態の露光装置 9 2 2 i には、 主制御装置 5 0によって オン■オフが制御される光源を有し、 投影光学系 P Lの結像面に向けて多数の ピンホール又はスリッ卜の像を形成するための結像光束を光軸 A Xに対して斜 め方向より照射する照射系 6 0 aと、 それらの結像光束のウェハ W表面での反 射光束を受光する受光系 6 0 bとからなる射入射方式の多点焦点位置検出系 (以下、 単に 「焦点位置検出系」 と呼ぶ) が設けられている。 この焦点位置検 出系 (6 0 a , 6 0 b ) としては、 例えば特開平 6— 2 8 3 4 0 3号公報及び ς,れに対応する米国特許第 5 , 4 4 8 , 3 3 2号などに開示されるものと茼様 の構成のものが用いられる。 本国際出願で指定した指定国 (又は選択した選択
国) の国内法令が許す限りにおいて、 上記公報及び米国特許における開示を援 用して本明細書の記載の一部とする。
なお、 上記公報及び米国特許に開示された焦点位置検出系では、 前述の露光 領域 I A内だけでなくその外側にも、 結像光束が照射される計測点が設定され るが、 実質的に露光領域 I Aの内部のみに複数の計測点を設定するだけでも良 し、。 また、 各計測点における結像光束の照射領域の形状はピンホールゃスリツ 卜に限定されるものでなく他の形状、 例えば平行四辺形や菱形などでも良い。 主制御装置 5 0では、 露光時等に、 受光系 6 0 bからの焦点ずれ信号 (デフ オーカス信号)、例えば Sカーブ信号に基づいて焦点ずれが零となるようにゥェ / \\Nの Z位置及び X Y面に対する傾斜をウェハステージ駆動部 5 6を介して制 御することにより、 オートフォーカス (自動焦点合わせ) 及びオートレベリン グを実行する。 また、 主制御装置 5 0では、 後述する波面収差の計測の際に、 焦点位置検出系 (6 0 a, 6 0 b ) を用いて波面収差計測器 8 0の Z位置の計 測及び位置合わせを行う。 このとき、 必要に応じて波面収差計測器 8 0の傾斜 計測も行うようにしても良い。
さらに、 露光装置 9 2 2 i は、 ウェハステージ W S T上に保持されたウェハ W上のァライメントマ一ク及び基準マーク板 F M上に形成された基準マークの 位置計測等に用いられるオフ■ァクシス (off-axis) 方式のァライメン卜系 A L Gを備えている。 このァライメント系 A L Gとしては、 例えばウェハ上のレジ ス卜を感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、 その対 象マークからの反射光によリ受光面に結像された対象マークの像と不図示の指 標の像とを撮像素子 (C C D等) を用いて撮像し、 それらの撮像信号を出力す る画像処理方式の F I A (Field Image Alignment)系のセンサが用いられる。 なお、 F I A系に限らず、 コヒーレントな検出光を対象マークに照射し、 その 対象マークから発生する散乱光又は回折光を検出したり、 その対象マークから 発生する 2つの回折光 (例えば同次数) を干渉させて検出したりするァラィメ
ントセンサを単独であるいは適宜組み合わせて用いることは勿論可能である。 さらに、 本実施形態の露光装置 9 2 2 i では、 図示は省略されているが、 レ チクル Rの上方に、投影光学系 P Lを介してレチクル R上のレチクルマーク(あ るいはレチクルステージ R S Tの基準マーク) と、 対応する基準マーク板上の 基準マークとを同時に観察するための露光波長の光を用いた T T R (Through The Reticle)ァライメン卜系から成る一対のレチクルァライメント系が設けら れている。 本実施形態では、 ァライメント系 A L G及びレチクルァライメント 系として、 例えば特開平 7— 1 7 6 4 6 8号公報及びこれに対応する米国特許 第 5 , 6 4 6, 4 1 3号などに開示されるものと同様の構成のものが用いられ ている。 本国際出願で指定した指定国 (又は選択した選択国) の国内法令が許 す限りにおいて、 上記公報及び米国特許における開示を援用して本明細書の記 載の一部とする。
前記制御系は、 図 2中、 前記主制御装置 5 0によって主に構成される。 主制 御装置 5 0は、 C P U (中央演算処理装置)、 R O M (リード 'オンリ 'メモリ)、 R A M (ランダム■アクセス■メモリ) 等からなるいわゆるワークステーショ ン (又はマイクロコンピュータ) 等から構成され、 前述した種々の制御動作を 行う他、 装置全体を統括して制御する。
また、 主制御装置 5 0には、 例えばハードディスクから成る記憶装置 4 2、 キーポード, マウス等のポインティングデバイス等を含んで構成される入力装 置 4 5, C R Tディスプレイ (又は液晶ディスプレイ) 等の表示装置 4 4、 及 び C D (compact disc) , D V D (digital versatile disc) , M O (magneto-optical disc) あるいは F D (flexible disc) 等の情報記録媒体のドライブ装置 4 6が、 外付けで接続されている。 さらに、 主制御装置 5 0は、 前述した L A N 9 1 8 に接続されている。
前記記憶装置 4 2には、 露光装置の製造段階で投影光学系 P Lが露光装置本 体に組み込まれる前に、 例えば P M I (Phase Measurement Interferometer)
と呼ばれる波面収差計測機で計測された投影光学系 P L単体での波面収差 (以 下、 「単体波面収差」 と呼ぶ) の計測データが、 格納されている。
また、 この記憶装置 42には、 後述するように複数の基準となる露光条件下 で例えば投影光学系 Pしによつてウェハ W上に投影される投影像の形成状態が 適正 (例えば収差が零あるいは許容値以下) となるように、 前述の可動レンズ 1 3ι〜1 35 それぞれの 3自由度方向の位置及びウェハ W(Zチルトステージ 58) の Z位置及び傾斜、 並びに照明光の波長; Iを調整した状態で、 波面収差 計測器 80で計測された波面収差のデータあるいは波面収差補正量 (波面収差 と前述の単体波面収差との差) のデータと、 そのときの調整量の情報、 すなわ ち可動レンズ 1 3ι〜1 35 それぞれの 3自由度方向の位置情報、ウェハ Wの 3 自由度方向の位置情報、 照明光の波長; Iの情報が、 格納されている。 ここで、 上述の基準となる露光条件は、 それぞれが識別情報として I Dにて管理されて いるので、 以下においては、 各基準となる露光条件を基準 I Dと呼ぶものとす る。 すなわち、 記憶装置 42には複数の基準 I Dにおける調整量の情報、 波面 収差又は波面収差補正量のデータが格納されている。
ドライブ装置 46にセッ卜された情報記録媒体 (以下の説明では便宜上 CD 一 ROMとする) に、 後述するようにして波面収差計測器 80を用いて計測さ れた位置ずれ量をツェルニケ多項式の各項の係数に変換する変換プログラムが 格納されている。
残りの露光装置 9222、 9223、…… 922N は、 上述した露光装置 92 2.1 と同様に構成されている。
図 1に戻り、 前記レチクル設計システム 932は、 マスクとしてのレチクル (のパターン) を設計するためのシステムである。 このレチクル設計システム 932は、 中型コシピュータ (又は大型コンピュータ) より成る第 2コンビュ タ 930と、 該第 2コンピュータ 930に LAN 934を介して接続された 小型コンピュータよりなる設計用の端末 936A〜936 Dと、 光学シミュレ
一夕用のコンピュータ 938とを備えている。 端末 936 A〜936 Dにおい て、 それぞれ半導体素子等の各レイヤの回路パターン (チップパターン) に対 応ずるレチクルパターンの部分的な設計が行われる。 第 2コンピュータ 930 は、 本実施形態では、 回路設計集中管理装置を兼ねておリ、 この第 2コンビュ ータ 930により、 各端末 936 A〜936 Dにおける設計領域の分担等が管 理されている。
端末 936 A-936 Dのそれぞれで設計されるレチクルパターンには線幅 精度の厳しい部分と比較的緩い部分とがあり、 端末 936 A〜936 Dのそれ ぞれにおいて回路の分割が可能な位置 (例えば線幅精度の緩い部分) を識別す るための識別情報が生成され、 この識別情報が部分的なレチクルパターンの設 計データと共に第 2コンピュータ 930に伝送される。 第 2コンピュータ 93 0は、 各レイヤで使用されるレチクルパターンの設計データの情報、 及び分割 可能な位置を示す識別情報を、 LAN936を介してレチクル製造システム 9 42中の工程管理用のコンピュータ 940に伝送する。
前記レチクル製造システム 942は、 レチクル設計システム 932によって 設計された転写用のパターンが形成されたワーキングレチクルを製造するため のシステムである。 このレチクル製造システム 942は、 中型コンピュータよ リ成る工程管理用のコンピュータ 940、 該コンピュータ 940に LAN 94 8を介して相互に接続された EB (電子線) 露光装置 944、 コータ 'デベロ ツバ(以下、 「CZD」 と略述する) 946及び光露光装置 945等を備えてい る。 E B露光装置 944と CZD 946との間、 及び CZD 946と光露光装 置 945との間は、 インタフェース部 947、 949をそれぞれ介してインラ インにて接続されている。
前記 EB露光装置 944は、 合成石英等の石英 (S i 02)、 フッ素 (F) を 混入した石英、 あるいは蛍石 (Ca F2) 等から成り所定の電子線レジストが 塗布されたレチクルプランクス上に電子ビームを用いて所定のパターンを描画
する。
前記 C Z D 9 4 6は、 マスターレチクル又はワーキングレチクルとなる基板 (レチクルプランクス) 上へのレジス卜の塗布及びその基板の露光後の現像を 行う。
前記光露光装置 9 4 5としては、 前述した露光装置 9 2 2 と同様のスキヤ ニング 'ステツパが用いられている。 但し、 この光露光装置 9 4 5では、 ゥェ ハホルダに代えて、 基板としてのレチクルプランクスを保持するための基板ホ ルダが設けられている。
前記インタフェース部 9 4 7の内部には、 E B露光装置 9 4 4中の真空の雰 囲気中と、 ほぼ大気圧の所定の気体の雰囲気中にある CZ D 9 4 6との間で基 板 (マスターレチクル用のレチクルプランクス) の受け渡しを行う基板搬送系 が設けられている。 また、 前記インタフェース部 9 4 9の内部には、 ともにほ ぼ大気圧の所定の気体の雰囲気中にある C Z Dと、 光露光装置 9 4 5との間で 基板 (マスタ一レチクル又はワーキングレチクル用のレチクルプランクス) の 受け渡しを行う基板搬送系が設けられている。
この他、 不図示ではあるが、 このレチクル製造システム 9 4 2は、 マスター レチクルやワーキングレチクル用の複数のレチクルプランクス (基板) を収納 するブランクス収納部、 及び予め製造 (製作) されている複数のマスターレチ クルを収納するレチクル収納部が設けられている。 本実施形態では、 マスター レチクルとしては、 後述するようにしてこのレチクル製造システム 9 4 2で製 造されたマスターレチクルの他、 クロム蒸着等によって所定の基板上に既存パ ターンが形成されているものなどが用いられる。
このようにして構成されたレチクル製造システム 9 4 2では、 コンピュータ 9 4 0が、 第 2コンピュータ 9 3 0から送られてきた、 レチクルパターンの設 計データの情報、 及び分割可能な位置を示す識別情報に基づき、 レチクルバタ ーンを所定の倍率 (αは例えば 4倍、 又は 5倍等) で拡大した原版パターン
を、 上記の識別情報によって定められる分割位置で複数の原版パターンに分割 し、 その分割した原版パターンのうち、 前述したレチクル収納部に収納された マスターレチクルとは異なるパターン (今までに作成していないパターンを含 む) のデータを作成する。
次いで、 コンピュータ 9 4 0は、 その作成した新規な原版パターンのデータ に基づき、 E B露光装置 9 4 4を用いて、 CZ D 9 4 6によって所定の電子線 レジス卜が塗布されたマスターレチクル用の異なるレチクルプランクス上にそ の新規な原版バターンをそれぞれ描画する。
このようにして、 新規な原版バターンがそれぞれ描画された複数のレチクル ブランクスが、 C Z D 9 4 6によってそれぞれ現像され、 例えば電子線レジス 卜がポジ型である場合には、電子線の照射されない領域のレジストパターンが、 原版パターンとして残される。 本実施形態では、 電子線レジストとして、 光露 光装置 9 4 2で使用される露光光を吸収する (又は反射する) 色素が含まれる ものが用いられているので、 その現像後にレジストパターンが形成されたレチ クルプランクスに対して金属膜としてのクロム膜の蒸着、 及びエッチングのェ 程を施すことなく、そのレジス卜パターンが形成されたレチクルプランクスを、 例えばマスタ一レチクル (以下、 適宜 「親レチクル」 とも記述する) として使 用できる。
そして、 光露光装置 9 4 5が、 コンピュータ 9 4 0の指示に応じ、 複数のマ スターレチクル (上述のようにして製造された新規なマスターレチクル及び予 め用意されていたマスターレチクル) を用いて、 画面継ぎを行いながら露光を 行う (つなぎ露光を行う) ことにより、 複数のマスターレチクル上のパターン を 1 / で縮小した像を、 所定の基板、 すなわち表面にフォトレジストが塗布 されたワーキングレチクル用のレチクルプランクス上に転写する。 このように て、 半導体素子等の各レイヤの回路パターンを製造する際に使用されるヮー キングレチクルが製造される。 なお、 このワーキングレチクルの製造に関して
は、 更に後述する。
次に、 メンテナンス時や、 前述の複数の基準となる露光条件下で、 投影光学 系 P Lによってウェハ W上に投影される投影像の形成状態が適正となるように 投影光学系 Pしが調整された状態などのときに行われる、 第 1〜第 N露光装置 9 2 2 ι〜9 2 2 Ν における波面収差の計測方法について説明する。 なお、 以 下の説明においては、 説明の簡略化のため、 波面収差計測器 8 0内の受光光学 系 8 4の収差は無視できる程小さいものとする。
前提として、 ドライブ装置 4 6にセッ卜された C D— R O M内の変換プログ ラムは、 記憶装置 4 2にインス I ·一ルされているものとする。
通常の露光時には、 波面収差計測器 8 0は、 Zチルトステージ 5 8から取り 外されているため、 波面計測に際しては、 まず、 オペレータあるいはサービス エンジニア等 (以下、 適宜 「オペレータ等」 という) により Zチルトステージ 5 8の側面に対して波面収差計測器 8 0を取り付ける作業が行われる。 この取 リ付けに際しては、 波面計測時に波面収差計測器 8 0が、 ウェハステージ W S T ( Zチルトステージ 5 8 ) の移動ストローク内に収まるように、 所定の基準 面(ここでは + Y側の面)にポルトあるいはマグネット等を介して固定される。 上記の取り付け終了後、 オペレータ等による計測開始のコマンドの入力に応 答して、 主制御装置 5 0は、 ァライメント系 A L Gの下方に波面収差計測器 8 0が位置するように、 ウェハステージ駆動部 5 6を介してウェハステージ W S Tを移動させる。 そして、 主制御装置 5 0は、 ァライメント系 A L Gにより波 面収差計測器 8 0に設けられた不図示の位置合わせマークを検出し、 その検出 結果とそのときのレーザ干渉計 5 4 Wの計測値とに基づいて位置合わせマーク の位置座標を算出し、 波面収差計測器 8 0の正確な位置を求める。 そして、 波 面収差計測器 8 0の位置計測後、 主制御装置 5 0は、 以下のようにして波面収 の計測を実行する。
まず、 主制御装置 5 0は、 不図示のレチクルローダによリピンホールパター
ンが形成された不図示の計測用レチクル(以下、 Γピンホールレチクル」と呼ぶ) をレチクルステージ R S T上にロードする。 このピンホールレチクルは、 その パターン面の前述の照明領域 I A Rに対応する領域内の複数点にピンホール (ほぼ理想的な点光源となって球面波を発生するピンホール) が形成されたレ チクルである。
なお、 ここで用いられるピンホールレチクルには、 上面に拡散面を設けるな どして、 投影光学系 P Lの瞳面のほぼ全面にピンホールパターンからの光を分 布させることで、 投影光学系 P Lの瞳面の全面で波面収差が計測されるように なっているものとする。 なお、 本実施形態では投影光学系 P Lの瞳面近傍に開 口絞り 1 5が設けられているので、 実質的に開口絞り 1 5で規定されるその瞳 面で波面収差が計測されることになる。
ピンホールレチクルのロード後、 主制御装置 5 0は、 前述のレチクルァライ メン卜系を用いて、 ピンホールレチクルに形成されたレチクルァライメントマ —クを検出し、 その検出結果に基づいて、 ピンホールレチクルを所定の位置に 位置合わせする。 これにより、 ピンホールレチクルの中心と投影光学系 P Lの 光軸とがほぼ一致する。
この後、 主制御装置 5 0は、 光源 1 6に制御情報 T Sを与えてレーザビーム L Bを発光させる。 これにより、 照明光学系 1 2からの照明光 Eしが、 ピンホ —ルレチクルに照射される。 そして、 ピンホールレチクルの複数のピンホール から射出された光が投影光学系 P Lを介して像面上に集光され、 ピンホールの 像が像面に結像される。
次に、主制御装置 5 0は、ピンホールレチクル上のいずれかのピンホール(以 下においては、 着目するピンホールと呼ぶ) の像が結像する結像点に波面収差 計測器 8 0の開口 8 2 aのほぼ中心が一致するように、 ウェハレーザ干渉計 5 4 Wの計測値をモニタしつつ、 ウェハステージ駆動部 5 6を介してウェハステ ージ W S Tを移動する。 この際、主制御装置 5 0は、焦点位置検出系(6 0 a ,
6 0 b ) の検出結果に基づいて、 ピンホール像が結像される像面に波面収差計 測器 8 0のカバーガラス 8 8の上面を一致させるベく、 ウェハステージ駆動部 5 6を介して Zチルトステージ 5 8を Z軸方向に微少駆動する。 このとき、 必 要に応じてウェハステージ W S Tの傾斜角も調整する。 これにより、 着目する ピンホールの像光束がカバーガラス 8 8の中央の開口を介して受光光学系 8 4 に入射し、 受光部 8 6を構成する受光素子によって受光される。
これを更に詳述すると、 ピンホールレチクル上の着目するピンホールからは 球面波が発生し、 この球面波が、 投影光学系 P L、 及び波面収差計測器 8 0の 受光光学系 8 4を構成する対物レンズ 8 4 a、 リレーレンズ 8 4 b、 ミラー 8 4 c、 コリメータレンズ 8 4 dを介して平行光束となって、 マイクロレンズァ レイ 8 4 eを照射する。 これにより、 投影光学系 P Lの瞳面がマイクロレンズ アレイ 8 4 eにリレーされ、 分割される。 そして、 このマイクロレンズアレイ 8 4 eの各レンズ素子によってそれぞれの光 (分割された光) が受光素子の受 光面に集光され、 該受光面にピンホールの像がそれぞれ結像される。
このとき、投影光学系 P Lが、波面収差の無い理想的な光学系であるならば、 投影光学系 P Lの瞳面における波面は理想的な波面 (ここでは平面) になり、 その結果マイク口レンズァレイ 8 4 eに入射する平行光束が平面波となリ、 そ の波面は理想的な波面となる箬である。 この場合、 図 4 Aに示されるように、 マイクロレンズアレイ 8 4 eを構成する各レンズ素子の光軸上の位置にスポッ ト像 (以下、 「スポット」 とも呼ぶ) が結像する。
しかるに、 投影光学系 P Lには通常、 波面収差が存在するため、 マイクロレ ンズアレイ 8 4 eに入射する平行光束の波面は理想的な波面からずれ、 そのず れ、すなわち波面の理想波面に対する傾きに応じて、図 4 Bに示されるように、 各スポッ卜の結像位置がマイクロレンズアレイ 8 4 eの各レンズ素子の光軸上 の位置からずれることとなる。 この場合、 各スポットの基準点 (各レンズ素子 の光軸上の位置) からの位置のずれは、 波面の傾きに対応している。
そして、 受光部 8 6を構成する受光素子上の各集光点に入射した光 (スポッ ト像の光束) が受光素子でそれぞれ光電変換され、 該光電変換信号が電気回路 を介して主制御装置 5 0に送られる。 主制御装置 5 0では、 その光電変換信号 に基づいて各スポットの結像位置を算出し、 更に、 その算出結果と既知の基準 点の位置データとを用いて、 位置ずれ (Δ , Δ 7? ) を算出して R A Mに格納 する。 このとき、 主制御装置 5 0には、 レーザ干渉計 5 4 Wのそのときの計測 値 (Xi, Yi ) が供給されている。
上述のようにして、 1つの着目するピンホール像の結像点における波面収差 計測器 8 0による、 スポット像の位置ずれの計測が終了すると、 主制御装置 5 0では、 次のピンホール像の結像点に、 波面収差計測器 8 0の開口 8 2 aのほ ぼ中心が一致するように、 ウェハステージ WS Tを移動する。 この移動が終了 すると、 前述と同様にして、 主制御装置 5 0により、 光源 1 6からレーザビー ム L Bの発光が行われ、 同様にして主制御装置 5 0によって各スポッ卜の結像 位置が算出される。 以後、 他のピンホール像の結像点で同様の計測が順次行わ れる。
このようにして、 必要な計測が終了した段階では、 主制御装置 5 0の R A M には、前述した各ピンホール像の結像点における位置ずれデータ (Δ ^ , Δ 77 ) と、 各結像点の座標データ (各ピンホール像の結像点における計測を行った際 のレーザ干渉計 5 4 Wの計測値 (Xi, Yi ) ) とが格納されている。 なお、 上記 計測時に可動レチクルブラインド 3 0 Bを用いて、 レチクル上の着目するピン ホールのみ、 あるいは少なくとも着目するピンホールを含む一部領域のみが照 明光 E Lで照明されるように、 例えばピンホール毎に、 レチクル上での照明領 域の位置ゃ大きさなどを変更しても良い。
次に、 主制御装置 5 0では、 変換プログラムをメインメモリにロードし、 R AM内に格納されている各ピンホール像の結像点における位置ずれデータ (△ , Δ 7? ) と、 各結像点の座標データとに基づいて、 以下に説明する原理に従
つてピンホール像の結像点に対応する、 すなわち投影光学系 P Lの視野内の第 1計測点〜第 n計測点にそれぞれ対応する波面(波面収差)、 ここでは、後述す る式 (3 ) のツェルニケ多項式の各項の係数、 例えば第 1項の係数 〜第 3 7項の係数 Z37 を変換プログラムに従って演算する。
本実施形態では、 上記の位置ずれ (Δ , Δ 7?) に基づいて、 変換プログラ 厶に従った演算により投影光学系 P Lの波面を求める。すなわち、位置ずれ(Δ Δ 77) は、 波面の理想波面に対する傾斜をそのまま反映した値になり、 逆 に位置ずれ 、 , Α η) に基づいて波面を復元することができる。 なお、 上 述した位置ずれ (Δ , Α η ) と波面との物理的な関係から明らかなように、 本実施形態における波面の算出原理は、 周知の Shack-Hartmannの波面算出 原理そのものである。
次に、 上記の位置ずれに基づいて、 波面を算出する方法について、 簡単に説 明する。
上述の如く、 位置ずれ (Δ , Δ 77) は波面の傾きに対応しており、 これを 積分することにより波面の形状 (厳密には基準面 (理想波面) からのずれ) が 求められる。 波面 (波面の基準面からのずれ) の式を W ( x , y) とし、 比例 係数を kとすると、 次式 (1 )、 (2) のような関係式が成立する。
Λ , dW ,
Α^Λ— …ひ)
dx
スポット位置のみでしか与えられていない波面の傾きをそのまま積分するの は容易ではないため、 面形状を級数に展開して、 これにフィットするものとす る。 この場合、 級数は直交系を選ぶものとする。 ツェルニケ多項式は軸対称な 面の展開に適した級数で、 円周方向は三角級数に展開する。 すなわち、 波面 w を極座標系 (p , Θ) で表すと、 次式 (3) のように展開できる。
W
PI0)= Z f p 〜(3) 直交系であるから各項の係数 Zi を独立に決定することができる。 ί を適当 な値で切ることはある種のフィルタリングを行うことに対応する。 なお、 一例 として第 1項〜第 37項までの f i を Zi とともに例示すると、次の表 1のよう になる。 但し、 表 1中の第 37項は、 実際のツェルニケ多項式では、 第 49項 に相当するが、 本明細書では、 ί =37の項 (第 37項) として取り扱うもの とする。 すなわち、 本発明において、 ツェルニケ多項式の項の数は、 特に限定 されるものではない。
p cos8 Z20 (5p5-4p3) sin 3Θ
Z3 p sinO Z21 (15p6-20p4+6p2) cos 2Θ
TA 2p2-l Z22 (15p6-20p+6p2) sin 2Θ
Zs p2 cos 2Θ Z23 (35p7-60p5+30p3-4p) cos Θ
Z6 p2 sin 2Θ Z24 (35p7-60p5+30p3-4p) sin Θ
Z7 (3p3-2p) cos Θ Z25 70p8-140p6+90p4-20p2+l
Zs (3p3-2p)sin0 Z26 p5 cos 5Θ
Z9 6p4-6p2+l Z27 ps sin 5Θ
Zio P3 cos 3Θ Z28 (6p6-5p4) cos 4Θ
Zn P3 sin 3Θ Z29 (6p6-5p4) sin 4Θ
Zi2 (4p4-3p2) cos 2Θ Z30 (21p7-30p5+10p3) cos 3Θ
Zis (4p4-3p2)sin29 Z31 (21p7-30p5+10p3) sin 3Θ
Zi4 (10p5-12p3+3p) cos Θ Z32 (Sep^lOSp^Op^lOp2) cos 2Θ
Zis (10p5-12p3+3p)sin9 Z33 (δόρ^ΙΟδρ^βΟρ^ΙΟρ2) sin 2Θ
Zi6 20p6-30p4+12p2-l Z34 (126p9-280p7+210ps-60p3+5p) cos Θ
Zi7 P4 cos 4Θ Z35 (126p9-280p7+210p5-60p3+5p) sin Θ
Zis P4 sin 4Θ Z36 252p10-630p8+560p6-210p4+30p2-l
Z37 924p12-2772p10+3150p8-1680p6+420p4-42p2+l 実際には、 その微分が上記の位置ずれとして検出されるので、 フイツティン ク:は微係数について行う必要がある。 極座標系 (Χ=ρ <= Ο 30, y =p s i n Θ ) では、 次式 (4)、 (5) のように表される。
dW dW a \ dW . n
cos ^ - -r— ssiinn^ -(4)
dx dp p δθ
dW dW . a 1 dW a
= sin ^ + cos6> (5)
dy dp p 6Θ ツェルニケ多項式の微分形は直交系ではないので、 フィッティングは最小自 乗法で行う必要がある。 1つのスポット像の結像点の情報 (ずれ量) は X方向 と Y方向につき与えられるので、 ピンホールの数を n ( nは、 本実施形態では 例えば 3 3とする) とすると、 上記式 (1 ) 〜 (5 ) で与えられる観測方程式 の数は 2 n ( = 6 6 ) となる。
ツェルニケ多項式のそれぞれの項は光学収差に対応する。しかも低次の項( i の小さい項)は、ザイデル収差にほぼ対応する。 ツェルニケ多項式を用いること により、 投影光学系 P Lの波面収差を求めることができる。
上述のような原理に従って、 変換プログラムの演算手順が決められており、 この変換プログラムに従った演算処理により、 投影光学系 P Lの視野内の第 1 計測点〜第 n計測点に対応する波面の情報(波面収差)、 ここでは、 ツェルニケ 多項式の各項の係数、 例えば第 1項の係数 〜第 3フ項の係数 Z 3 7 が求めら れる。
図 1に戻り、第 1コンピュータ 9 2 0が備えるハードディスク等の内部には、 第 1〜第 3露光装置 9 2 2 ι〜9 2 2 3 で達成すべき目標情報、 例えば解像度 (解像力)、 実用最小線幅 (デバイスルール)、 照明光 E Lの波長 (中心波長及 び波長幅など)、 転写対象のパターンの情報、 その他の露光装置 9 2 2 ι〜9 2 2 3 の性能を決定する投影光学系に関する何らかの情報であって目標値となり 得る情報が格納されている。 また、 第 1コンピュータ 9 2 0が備えるハードデ イスク等の内部には、 今後導入する予定の露光装置での目標情報、 例えば使用 を計画しているパターンの情報なども目標情報として格納されている。
一方、 第 2コンピュータ 9 3 0が備えるハードディスク等の記憶装置の内部
には、 パターンに応じた目標露光条件下において、 所定のパターンの投影像の ウェハ面 (像面) 上での形成状態が、 露光装置 922ι〜9223 などのいずれ においても適正となるような、 レチクルパターンの設計プログラムなどがイン ストールされるとともに、 前記設計プログラムに付属する第 1データベース及 び第 2データベースなどが格納されている。 すなわち、 前記設計プログラムに 付属する第 1データベース及び第 2データベースは、 例えば CD— ROMなど の情報記録媒体に記録されており、 この情報記録媒体が、 第 2コンピュータ 9 30が備える CD— ROMドライブなどのドライブ装置に挿入され、 該ドライ ブ装置から設計プログラムがハードディスク等の記憶装置にインストールされ るとともに、 第 1データベース及び第 2データベースがコピーされている。 前記第 1データベースは、 露光装置 922ι〜922N などの露光装置が備 える投影光学系 (投影レンズ) の種類毎の波面収差変化表のデータベースであ る。 ここで、 波面収差変化表とは、 投影光学系 P Lと実質的に等価なモデルを 用いて、シミュレーションを行い、このシミュレーション結果として得られた、 パターンの投影像のウェハ上での形成状態を最適化するのに使用できる調整パ ラメータの単位調整量の変化と、 投影光学系 P Lの視野内の複数の計測点それ ぞれに対応する結像性能、 具体的には波面のデータ、 例えばツェルニケ多項式 の第 1項〜第 37項の係数の変動量との関係を示すデータを所定の規則に従つ て並べたデータ群から成る変化表である。
本実施形態では、上記の調整パラメータとしては、可動レンズ 1 3 1 32, 1 33, 1 34、 1 35 の各自由度方向(駆動可能な方向)の駆動量 z i、 θ X I ,
Θ y 1 Z 2、 0 X2、 Θ y 2 v Ζ 3 ν θ X 3 θ y 3 ν Ζ " θ X 4 θ y 4 > Ζ 5、
0 Χ 5、 0 ys と、 ウェハ W表面 (Zチルトステージ 58) の 3自由度方向の駆 動量 Wz、 W0 x、 W0 y、 及び照明光 E Lの波長のシフト量 の合計 1 9 のパラメータが用いられる。
ここで、 この第 1データベースの作成手順について、 簡単に説明する。 特定
の光学ソフ卜がインス I ^一ルされているシミュレーション用コンピュータに、 まず、 投影光学系 P Lの設計値 (開口数 N . に、 コヒーレンスファクタ σ値、 照明光の波長 I、 各レンズのデータ等) を入力する。 次に、 シミュレーション 用コンピュータに、 投影光学系 P Lの視野内の任意の第 1計測点のデータを入 力する。
次いで、 可動レンズ 1 3 ι ~ 1 3 5 の各自由度方向 (可動方向)、 ウェハ W表 面の上記各自由度方向、 照明光の波長のシフト量のそれぞれについての単位量 のデータを入力する。 例えば可動レンズ 1 3 ]L を Z方向シフトの +方向に関し て単位量だけ駆動するという指令を入力すると、 シミュレーション用コンビュ ータにより、 投影光学系 P Lの視野内の予め定めた第 1計測点についての第 1 波面の理想波面からの変化量のデ タ、 例えばツェルニケ多項式の各項 (例え ば第 1項〜第 3 7項) の係数の変化量が算出され、 その変化量のデータがシミ ユレーシヨン用コンピュータのディスプレイの画面上に表示されるとともに、 その変化量がパラメータ P A R A 1 P 1としてメモリに記憶される。
次いで、 可動レンズ 1 3 ι を Y方向チルト (乂軸回リの回転0乂) の +方向 に関して単位量だけ駆動するという指令を入力すると、 シミュレーション用 ンピュータにより、 第 1計測点についての第 2波面のデータ、 例えばツェル二 ケ多項式の上記各項の係数の変化量が算出され、 その変化量のデータが上記デ イスプレイの画面上に表示されるとともに、 その変化量がパラメータ P A R A
2 P 1 としてメモリに記憶される。
次いで、 可動レンズ 1 3 ι を X方向チルト ( 軸回リの回転0 ) の +方向 に関して単位量だけ駆動するという指令を入力すると、 シミュレーション用コ ンピュータにより、 第 1計測点についての第 3波面のデータ、 例えばツェル二 ケ多項式の上記各項の係数の変化量が算出され、 その変化量のデータが上記デ ィ、スプレイの画面上に表示されるとともに、 その変化量がパラメータ P A R A
3 P 1としてメモリに記憶される。
以後、 上記と同様の手順で、 第 2計測点〜第 n計測点までの各計測点の入力 が行われ、 可動レンズ 1 3ι の Z方向シフト、 Y方向チルト, X方向チルトの 指令入力がそれぞれ行われる度毎に、 シミュレーション用コンピュータによつ て各計測点における第 1波面、 第 2波面、 第 3波面のデータ、 例えばッヱル二 ケ多項式の上記各項の係数の変化量が算出され、 各変化量のデータがディスプ レイの画面上に表示されるとともに、 パラメータ PARA 1 P 2, PARA2 P 2, PARA3 P 2、 ……、 P A R A 1 P n , P A RA 2 P n , P A R A 3 P nとしてメモリに記憶される。
他の可動レンズ 1 32, 1 33, 1 34, 1 35 についても、 上記と同様の手 順で、 各計測点の入力と、 各自由度方向に関してそれぞれ単位量だけ +方向に 駆動する旨の指令入力が行われ、 これに応答してシミュレーション用コンビュ ータにより、 可動レンズ 1 32, 1 33, 1 34, 1 35 を各自由度方向に単位 量だけ駆動した際の第 1〜第 n計測点のそれぞれについての波面のデータ、 例 えばッヱルニケ多項式の各項の変化量が算出され、 パラメータ (PARA4 P 1 , PARA5 P 1 , PARA6 P 1 , …… ' P A R A 1 5 P 1 )、ノ ラメータ (PARA4 P 2, PARA5 P 2, PARA6 P 2, ……, P A R A 1 5 P 2)、 ……、 パラメータ (PARA4 P n, P A R A 5 P n , P A R A 6 P n , …… , P ARA 1 5 P n) がメモリ内に記憶される。
また、 ウェハ Wについても、 上記と同様の手順で、 各計測点の入力と、 各自 由度方向に関してそれぞれ単位量だけ +方向に駆動する旨の指令入力が行われ, これに応答してシミュレーション用コンピュータにより、ウェハ Wを Z、0 x、 Θ yの各自由度方向に単位量だけ駆動した際の第 1〜第 n計測点のそれぞれに ついての波面のデータ、 例えばッヱルニケ多項式の各項の変化量が算出され、 パラメータ (PARA 1 6 P 1 , P A RA 1 7 P 1 , PARA 1 8 P 1 )、 パラ ータ (PARA 1 6 P 2, PARA 1 7 P 2, PARA 1 8 P 2)、 ……、 パ ラメータ (PARA 1 6 P n, P A R A 1 7 P n , PARA 1 8 P n) がメモ
リ内に記憶される。
さらに、 波長シフトに関しても、 上記と同様の手順で、 各計測点の入力と、 単位量だけ +方向に波長をシフ卜する旨の指令入力が行われ、 これに応答して シミュレーション用コンピュータにより、 波長を +方向に単位量だけシフ卜し た際の第 1〜第 n計測点のそれぞれについての波面のデータ、 例えばツェル二 ケ多項式の各項の変化量が算出され、 PARA 1 9 P 1、 P ARA 1 9 P 2, 、 P ARA 1 9 P nがメモリ内に記憶される。
ここで、 上記パラメータ P A R A i P j ( i = 1〜1 9、 j = 1〜n) のそ れぞれは、 1行 37列の行マトリックス (ベクトル) である。 すなわち、 n = 33とすると、調整パラメータ P A RA 1について、次式(6)のようになる。
PARA1PI
PARAIP2
PARAlPn
また、 調整パラメータ PARA2について、 次式 (7) のようになる,
PARA2P1
PARA2P2
PARAlPn
同様に、他の調整パラメータ P ARA3~P ARA 1 9についても、次式(8) のようになる。
そして、 このようにしてメモリ内に記憶されたツェルニケ多項式の各項の係 数の変化量から成る PARA 1 P 1〜PARA 1 9 P nは、 調整パラメータ毎 に纏められ、 1 9個の調整パラメータ毎の波面収差変化表として並べ替えが行 われている。 すなわち、 次式 (9) で調整パラメータ PARA 1について代表 的に示されるような調整パラメータ毎の波面収差変化表が作成され、 メモリに 内に格納される。
Z 1,1 z 1,36 ^1,37
PARAIP1
z 2,1 z 2,37
PARA1P2
(9)
ム 32,1 z 3,2»37
PARAlPn
z 33,1 z 33,2 z 33,36 z 33,37 そして、 このようにして作成された、 投影光学系の種類毎の波面収差変化表 から成るデータベースが、 第 1データベースとして、 第 2コンピュータ 930 が備えるハードディスク等の内部に格納されている。 なお、 本実施形態では、 同一種類 (同じ設計データ) の投影光学系では 1つの波面収差変化表を作成す るものとしたが、 その種類に関係なく、 投影光学系毎に (すなわち露光装置単 位で) 波面収差変化表を作成しても良い。
次に、 第 2データベースについて説明する。
この第 2データベースは、 それぞれ異なる露光条件、 すなわち光学条件 (露 光波長、 投影光学系の開口数 N.A. (最大 Ν.Α·、 露光時に設定される Ν. Α.な ど)、 及び照明条件 (照明 N. A. (照明光学系の開口数 N.A.) 又は照明 σ (コ ヒーレンスファクタ)、照明系開口絞り板 24の開口形状(照明光学系の曈面上 での照明光の光量分布、 すなわち 2次光源の形状)) など)、 評価項目 (マスク 種、 線幅、 評価量、 パターンの情報など) と、 これら光学条件と評価項目との 組み合わせにより定まる複数の露光条件の下でそれぞれ求めた、 投影光学系の 結像性能、例えば諸収差(あるいはその指標値)の、ツェルニケ多項式の各項、 例えば第 1項〜第 37項それぞれにおける 1 λ当たりの変化量から成る計算表、 すなわちツェルニケ感度表 (Zernike Sensitivity)とを含むデータベースである。 なお、以下の説明ではツェルニケ感度表を Zemike Sensitivit あるいは Z S とも呼ぶ。 また、 複数の露光条件下におけるツェルニケ感度表から成るフアイ ルを、 以下においては適宜 「Z Sファイル」 とも呼ぶ。 また、 ツェル二ケ多項 式の各項における変化量は 1 λ当たりに限られるものでなく他の値 (例えば、 0. 5 λなど) でも構わない。
本実施形態では、 各ツェルニケ感度表には、 結像性能として次の 1 2種類の 収差、 すなわち、 X軸方向、 Υ軸方向のデイス! ^一シヨン Disx、 Disy、 4種類 のコマ収差の指標値である線幅異常値 CMV、 CMH、 CMR、 CML 4種類 の像面湾曲である C FV、 C FH、 C FR、 C FL、 及び 2種類の球面収差であ る S AV、 S AHが含まれている。
次に、 前述のレチクルパターンの設計プログラムを用いて、 複数台の露光装 置で共通に用いられる、 レチクルに形成すべきパターンを設計する方法などに ついて、 第 2コンピュータ 930が備えるプロセッサの処理アルゴリズムを示 す図 5 (及び図 6〜図 1 0) のフローチャートに沿って説明する。
この図 5に示されるフローチヤ一卜がスター卜するのは、 例えばクリーンル ーム内の第 1コンピュータ 920のオペレータから、 電子メールなどにょリ最
適化の対象となる露光装置 (号機) の指定その他の必要な情報 (後述する結像 性能の許容値の指定に関する情報、 制約条件の入力に関する情報、 重みの設定 に関する情報、 及び結像性能の目標値 (ターゲット) の指定に関する情報など も必要に応じて含まれる) などを含む、 最適化の指示が送られ、 第 2コンビュ ータ 9 3 0側のオペレータが、 処理開始の指示を第 2コンピュータ 9 3 0に入 力したときである。 ここで、 「最適化の対象となる露光装置」 とは、本実施形態 の場合、 後述するように、 上記のレチクルに形成すべきパターンを設計する過 程で、 選択された各露光装置 9 2 2が備える投影光学系 P Lによるパターンの 投影像の像面上での形成状態が最適となるような結像性能の調整 (投影光学系 の結像性能の最適化)が行われることから、このように呼んでいるものである。 まず、 ステップ 1 0 2において、 ディスプレイ上に対象号機の指定画面を表 示する。
次のステップ 1 0 4では、 号機の指定がなされるのを待ち、 オペレータによ リ先の電子メールで指定された号機、例えば露光装置 9 2 2 9 2 22 などが、 例えばマウス等のポインティングデバイスを介して指定されると、 ステップ 1 0 6に進んでその指定された号機を記憶する。 この号機の記憶は、 例えば装置 N o . を記憶することによりなされる。
次のステップ 1 0 8では、補正情報としてのパターン補正値をクリアする(零 にする) とともに、 ステップ 1 1 0で後述する号機毎の投影光学系の結像性能 の最適化、 最適化の結果評価 (判断) 等の実行回数を示すカウンタ mを初期化 する (m— 1
次のステップ 1 1 2では、 投影光学系の結像性能の最適化の対象となる号機 の番号を示すカウンタ kを初期化する (k— 1
次のステップ 1 1 4では、 k番目 (ここでは第 1番目) の号機の最適化処理 のサブルーチンに移行する。
この最適化処理のサブルーチン 1 1 4では、まず、図 6のステップ 2 0 2で、
最適化の対象となる露光条件 (以下、 適宜 「最適化露光条件」 とも記述する) の情報を取得する。 具体的には、 第 1コンピュータ 9 2 0に対して、 対象バタ ーンの種別、 及びこのパターンの最適な転写のために対象号機で設定可能な投 影光学系の N . に、 照明条件 (照明 N . A .又は照明び、 開口絞りの種類など) の情報を問い合わせ、 取得する。 ここで、 本実施形態の場合、 複数台の対象号 機で共通に使用できる、 レチクルに形成すべきパターンの設計を行うことが目 的であるから、第 1コンピュータ 9 2 0からは、対象パターンの情報としては、 いずれの対象号機についても同一の目的とするパターンの情報が第 2コンビュ ータに回答されることになる。
次のステップ 2 0 4では、 第 1コンピュータ 9 2 0に対して、 上記の最適化 露光条件に最も近い対象号機の基準 I Dを問い合わせて、 その基準 I Dにおけ る投影光学系の N . A . や照明条件 (例えば、 照明 N . A .又は照明び、 開口絞 りの種類) などの設定情報を取得する。
次のステップ 2 0 6では、 第 1コンピュータ 9 2 0から、 対象号機の単体波 面収差及び上記基準 I Dにおける必要情報、 具体的には、 基準 I Dにおける調 整量 (調整パラメータ) の値、 基準 I Dにおける単体波面収差に対する波面収 差補正量 (又は結像性能の情報) などを取得する。
ここで、 波面収差補正量 (又は結像性能の情報) としているのは、 基準 I D における波面収差補正量が未知の場合、 結像性能から波面収差補正量 (又は波 面収差) を推定することができるからである。 なお、 この結像性能からの波面 収差補正量の推定については、 後に詳述する。
通常、 投影光学系の単体波面収差と、 露光装置に組み込まれた後の投影光学 系 P Lの波面収差 (以下では on bodyでの波面収差と呼ぶ) は何らかの原因に よリー致しないが、 ここでは、 説明の簡略化のため、 この修正は露光装置の立 ち上げ時あるいは製造段階における調整で基準 I D (基準となる露光条件) 毎 に行われているものとする。
次のステップ 2 0 8では、 第 1コンピュータ 9 2 0から対象号機の機種名、 露光波長、 投影光学系の最大 N . などの装置情報を取得する。
次のステップ 2 1 0では、 前述の最適化露光条件に対応する Z Sファイルを 第 2データベースから検索する。
次のステップ 2 1 4では、 最適化露光条件に対応する Z Sファイルは見つか つたか否かを判断し、 見つかった場合には、 その Z Sファイルを R A Mなどの メモリ内に読み込む。 一方、 ステップ 2 1 4における判断が否定された場合、 すなわち、 最適化露光条件に対応する Z Sフアイルが第 2データベース内に存 在しなかった場合には、 ステップ 2 1 8に移行して、 前述した光学シミュレ一 タ用のコンピュータ 9 3 8に必要な情報とともに最適化露光条件に対応する Z Sファイルを作成する旨の指示を与える。 これにより、 コンピュータ 9 3 8に よってその最適化露光条件に対応する Z Sファイルが作成され、 その作成後の Z Sファイルが、 第 2データベースに追加される。
なお、 最適化露光条件に対応する Z Sファイルは、 最適化露光条件に近い複 数の露光条件下における Z Sデータベースを用いてその Z Sフアイルを、 補完 法によって作成することも可能である。
次に、 図 7のステップ 2 2 0で、 結像性能 (前述の 1 2種類の収差) の許容 値の指定画面をディスプレイ上に表示した後、 ステップ 2 2 2で許容値が入力 されたか否かを判断し、 この判断が否定された場合には、 ステップ 2 2 6に移 行して上記の許容値の入力画面を表示してから一定時間が経過したか否かを判 断し、 この判断が否定された場合には、 ステップ 2 2 2に戻る。 一方、 ステツ プ 2 2 2で、 オペレータにより、 キーボード等を介して許容値が指定されてい る場合には、 その指定された収差の許容値を R A Mなどのメモリ内に記憶した 後、 ステップ 2 2 6に移行する。 すなわち、 このようなステップ 2 2 2→2 2 のループ、 又はステップ 2 2 2→2 2 4→2 2 6のループを繰り返して、 許 容値が指定されるのを一定時間だけ待つ。
ここで、 許容値は、 最適化計算そのもの (本実施形態では、 後述の如くメリ ット関数 Φを用いる調整パラメータの調整量の算出) には必ずしも用いなくて も良いが、 例えば後述するステップ 1 2 0などで計算結果を評価する際に必要 となる。さらに本実施形態では、この許容値は後述する結像性能のウェイ ト(重 み) の設定でも必要となる。 なお、 本実施形態では、 許容値は、 結像性能 (そ の指標値を含む) がその性質上正負の値となり得る場合には、 その結像性能の 許容範囲の上限、 下限を規定し、 結像性能がその性質上正の値のみとなる場合 には、 その結像性能の許容範囲の上限値を規定する (この場合の下限は零)。 そして、 一定時間が経過した時点で、 ステップ 2 2 8に移行して、 デフオル ト設定に従い、 指定されなかった収差の許容値を、 第 2データベース内の Z S データベースから読み取る。 この結果、 R A Mなどのメモリ内には、 指定され た収差の許容値と、 Z Sデータベースから読み取られた残リの収差の許容値と が、 号機の識別情報、 例えば号機 N o . と対応付けて格納される。 なお、 この 許容値が格納される領域を以下においては、 「一時格納領域」 と呼ぶ。
次のステップ 2 3 0では、 調整パラメータの制約条件の指定画面をディスプ レイ上に表示した後、ステップ 2 3 2で制約条件が入力されたか否かを判断し、 この判断が否定された場合には、 ステップ 2 3 6に移行して、 上記の制約条件 の指定画面を表示してから一定時間が経過したか否かを判断する。 そして、 こ の判断が否定された場合には、 ステップ 2 3 2に戻る。 一方、 ステップ 2 3 2 において、 オペレータによりキーボード等を介して制約条件が指定された場合 には、 ステップ 2 3 4に移行して、 その指定された調整パラメータの制約条件 を R A Mなどのメモリ内に記憶した後、ステップ 2 3 6に移行する。すなわち、 このようなステップ 2 3 2→2 3 6のループ、 又はステップ 2 3 2→2 3 4→ 2 3 6のループを繰り返して制約条件が指定されるのを一定時間だけ待つ。
ここで、制約条件とは、前述の可動レンズ 1 3 i〜 1 3 5 の各自由度方向の許 容可動範囲、 Zチルトステージ 5 8の 3自由度方向の許容可動範囲、 及び波長
シフトの許容範囲などの前述の各調整量 (調整パラメータ) の許容可変範囲を 意味する。
そして、 一定時間が経過した時点で、 ステップ 2 3 8に移行して、 デフオル ト設定に従い、 指定されなかった調整パラメータの制約条件として、 各調整パ ラメータの上記基準 I Dにおける値 (又は現在値) に基づいて計算される可動 可能な範囲を算出し、 R A Mなどのメモリ内に記憶する。 この結果、 メモリ内 には、 指定された調整パラメータの制約条件と、 算出された残りの調整パラメ 一タの制約条件とが格納されることとなる。
次に、 図 8のステップ 2 4 0では、 結像性能のウェイト指定画面をディスプ レイ上に表示する。 ここで、 結像性能のウェイ ト (重み) の指定は、 本実施形 態の場合、 投影光学系の視野内の 3 3点の評価点 (計測点) について、 前述の 1 2種類の収差について指定する必要があるので、 3 3 X 1 2 = 3 9 6個のゥ エイ トの指定が必要である。 このため、 ウェイ トの指定画面では、 2段階でゥ エイ 卜の指定が可能となるように、 まず、 1 2種類の結像性能のゥ Iィ 卜の指 定画面を表示した後、 視野内の各評価点におけるウェイ 卜の指定画面が表示さ れるようになっている。 また、 結像性能のウェイト (重み) の指定画面では、 自動指定の選択ポタンが併せて表示されるようになっている。
そして、 ステップ 2 4 2において、 いずれかの結像性能のウェイ トが指定さ れたか否かを判断する。 そして、 オペレータによりキーポードなどを介してゥ エイ 卜が指定されている場合には、 ステップ 2 4 4に進んで指定された結像性 能 (収差) のウェイ トを R A Mなどのメモリ内に記憶した後、 ステップ 2 4 8 に進む。 このステップ 2 4 8では、 前述のゥ: rイ ト指定画面の表示開始から一 定時間が経過したか否かを判断し、 この判断が否定された場合には、 ステップ 2 4 2に戻る。
,一方、 上記ステップ 2 4 2における判断が否定された場合には、 ステップ 2 4 6に移行して自動指定が選択されたか否かを判断する。 そして、 この判断が
否定された場合には、 ステップ 248に移行する。 一方、 オペレータがマウス 等を介して自動選択ボタンをポインティングした場合には、 ステップ 250に 移行して次式 (1 0) に基づいて現在の結像性能を算出する。
f =Wa · Z S + C "- ( 1 0)
ここで、 f は、 次式 (1 1 ) で表される結像性能であり、 Waは前記ステツ プ 206で取得した単体波面収差と基準 I Dにおける波面収差補正量とから算 出される次式 (1 2) で示される波面収差のデータである。 また、 ZSは、 ス テツプ 21 6又は 21 8で取得した次式 (1 3) で示される ZSファイルのデ ータである。 また、 Cは、 次式 (1 4) で示されるパターン補正値のデータで あ 。
'2,1 Z 2,37
Wa •(12)
32,1 Z 32,37
33,1 Z 33,2 Z 33,36 Z 33,37
1,1 b\,2 Mi 1,12
ZS •(13)
b36,l わ 36,12
37,1 ひ 37,2 わ 37,11 わ 37,12
c
式 (1 1 ) において、 f i,i ( i = 1〜3 3) は、 i番目の計測点における Dis
x、 f i , 2 は i番目の計測点における Dis
y、 f i ,
3 は i番目の計測点におけ る CM
V、 f i, 4 は i番目の計測点における CM
H、 f i,5 は i番目の計測点に おける CM
R、 f i,
6 は ί番目の計測点における CM
L、 f i, 7 は i番目の計測 点における C F
V、 f i,
8 は i番目の計測点における C F
H、 f i,
9 は i番目の 計測点における C FR、 f i,io は i番目の計測点における C F
L、 f i,ii は i 番目の計測点における S A
V、 f
i;12 は i番目の計測点における S AH を、 そ れぞれ示す。
また、 式 (1 2) において、 Zij は、 i番目の計測点における波面収差を展 開したツェルニケ多項式の第 j項 ( j = 1〜3 7 ) の係数を示す。
また、 式 (1 3 ) において、 bp,q ( p = 1〜3 7、 q = 1〜 1 2) は、 Z Sファイルの各要素を示し、 このうち bp, i は波面収差を展開したッ: nルニケ 多項式の第 P項の 1 λ当たりの Disx の変化、 bp, 2 は第 p項の 1ス当たりの Disyの変化、 bp,3 は第 p項の 1ス当たりの CMVの変化、 bp, 4は第 P項の 1 λ当たりの C MH の変化、 bp,5 は第 p項の 1 λ当たりの C MR の変化、 b p, 6 は第 P項の 1ス当たりの C ML の変化、 bp,7 は第 p項の 1 λ当たりの C Fv の変化、 bp,8 は第 p項の 1 λ当たりの C FH の変化、 bp, 9 は第 p項の 1 λ当たりの C FRの変化、 bp,10 は第 p項の 1 λ当たりの C FLの変化、 b ρ,ιι は第 p項の 1 当たりの S Av の変化、 bp,12 は第 p項の 1ス当たりの
S AHの変化をそれぞれ示す。
また、 式 ( 1 4) において、 右辺の 33行 1 2列のマトリックスとしては、 一例として、各行の 3、 4、 5、 6列目の要素、すなわち Ci,3、 Ci,4、 Ci,5、 CI) 6 ( i = 1〜33) 以外の要素が全て零であるものが用いられる。 これは、 本実施形態においては、 レチクルに形成すべきパターンの補正によリコマ収差 の指標値である線幅異常値を補正することを目的としているからである。
上式 (1 4) において、 Ci,3 は、 i番目の計測点における縦線の線幅異常 値 CMVの補正値 (すなわち縦線パターンの線幅差の補正値)、 Ci,4は、 i番 目の計測点における横線の線幅異常値 CMHの補正値 (すなわち横線パターン の線幅差の補正値)、 Ci;5 は、 ί番目の計測点における右上がリ斜め線 (傾斜 角 45° ) の線幅異常値 CMR の補正値 (すなわち右上がリ斜め線パターンの 線幅差の補正値)、 Ci,6 は、 ί番目の計測点における左上がリ斜め線 (傾斜角 45° ) の線幅異常値 CML の補正値 (すなわち左上がリ斜め線パターンの線 幅差の補正値) を、 それぞれ示す。 なお、 これらのパターン補正値は、 ステツ プ 1 08においてクリアされているので、 初期値はいずれも零となっている。 すなわち、 マトリックス Cの全ての要素は、 当初零である。
次のステップ 252では、 算出した 1 2種類の結像性能 (収差) のうち、 先 に指定された許容値に基づいて規定される許容範囲から外れる量 (許容範囲か らの乖離量) が多い結像性能のウェイトを大きく (1より大きく) した後、 ス テツプ 254に移行する。 なお、 必ずしもこのようにしなくても、 許容範囲か ら外れる量が多い結像性能を色分けして画面上に表示することとしても良い。 このようにすると、 オペレータによる結像性能のウェイト指定のアシス卜が可 能である。
本実施形態では、 ステップ 242→246→248のループ、 又はステップ 42→244→248のループを繰り返すことにより、 結像性能のウェイ卜 が指定されるのを前述の結像性能のウェイ卜の指定画面の表示開始から一定時
間だけ待つ。 そして、 この間に自動指定が選択された場合には、 自動指定を行 う。 一方、 自動指定が選択されなかった場合においては、 少なくとも 1つ以上 の結像性能のウェイ 卜が指定された場合には、 その指定された結像性能のゥェ イ トを記憶する。 そして、 このようにして一定時間が経過すると、 ステップ 2 5 3に移行して、 指定されなかった各結像性能のウェイトをデフォルトの設定 に従って 1に設定した後、 ステップ 2 5 4に移行する。
この結果、 メモリ内には、 指定された結像性能のウェイ トと、 残りの結像性 能のウェイ ト (= 1 ) とが格納されることとなる。
次のステップ 2 5 4では、 視野内の評価点 (計測点) におけるウェイ トを指 定する画面をディスプレイに表示し、 ステップ 2 5 6において評価点における ウェイ トが指定されたか否かを判断し、 この判断が否定された場合には、 ステ ップ 2 6 0に移行して、 上記の評価点 (計測点) におけるウェイ トを指定する 画面の表示開始から一定時間を経過したか否かを判断する。 そして、 この判断 が否定された場合には、 ステップ 2 5 6に戻る。
一方、 ステップ 2 5 6において、 オペレータによりキーボードなどを介して いずれかの評価点 (通常は、 特に改善を希望する評価点が選択される) につい てのウェイトが指定されると、 ステップ 2 5 8に進んで、 その評価点における ウェイ 卜を設定し R A Mなどのメモリに記憶した後、 ステップ 2 6 0に移行す る。
すなわち、 ステップ 2 5 6— 2 6 0のループ、 又はステップ 2 5 6→2 5 8 →2 6 0のループを繰り返すことによリ、 評価点のウェイ 卜が指定されるのを 前述の評価点におけるウェイ 卜の指定画面の表示開始から一定時間だけ待つ。 そして、 上記の一定時間が経過すると、 ステップ 2 6 2に移行して、 指定さ れなかった全ての評価点におけるウェイ トをデフオル卜の設定に従って 1に設 定した後、 図 9のステップ 2 6 4に移行する。
この結果、 メモリ内には、 指定された評価点におけるウェイ トの指定値と、
残りの評価点におけるウェイ ト (= 1 ) が格納されることとなる。
図 9のステップ 2 6 4では、 視野内の各評価点における結像性能 (前述の 1 2種類の収差) の目標値 (ターゲット) の指定画面をディスプレイ上に表示す る。 ここで、 結像性能のターゲットの指定は、 本実施形態の場合、 投影光学系 の視野内の 3 3点の評価点 (計測点) について、 前述の 1 2種類の収差につい て指定する必要があるので、 3 3 X 1 2 = 3 9 6個のターゲッ卜の指定が必要 である。 このため、 ターゲットの指定画面では、 マニュアル指定の表示部分と ともに、 設定補助ポタンが表示されるようになっている。
次のステップ 2 6 6では、 ターゲットが指定されるのを所定時間待ち (すな わち、ターゲッ卜が指定されたか否かを判断し)、ターゲッ卜が指定されなかつ た場合 (その判断が否定された場合) には、 ステップ 2 7 0に移行して、 設定 補助が指定されたか否かを判断する。そして、この判断が否定された場合には、 ステップ 2 7 2に移行して、 上記のターゲッ卜の指定画面の表示開始から一定 時間が経過したか否かを判断する。 そして、 この判断が否定されると、 ステツ プ 2 6 6に戻る。
一方、 ステップ 2 7 0において、 オペレータがマウス等により設定補助ボタ ンをポインティングすることにより設定補助が指定されると、 ステップ 2 7 6 に移行して収差分解法を実行する。
ここで、 この収差分解法について説明する。
まず、 前述した結像性能 f の要素である各結像性能 (収差) を、 x、 yにつ いて次式 (1 5 ) で示されるように、 べき乗展開する。
f = G ■ A ( 1 5 )
上式 (1 5 ) において、 Gは次式 (1 6 ) で示される 3 3行 1 7列の行列 (マ 卜リックス) である。
( い ) g2 ) 8l6 g17 ; y
( 33, ;y33) g2(¾,: y33) 6(¾,y33) SniX33' 33) ここで、 g l = 1 s g2 = x s g3 = y、 4 = x 2 s g5 = x y、 g6 = y 2 s g7 = x 3 s g8 = x2 y s g9 = x y 2 s 10 = y 3 s gii = x4、 gi2 = x3 y、 i3 = x2 y2 i4 = x y 3 s gis = y4、 gi6 = χ ( x2 + y2)、 gi7 = y ( x2 + y2) である。 また、 (xi、 yi) は、 第 i番目の評価点の x y座標であ る。
また、 上記式 (1 5) において、 Aは、 次式 (1 7) で示される 1 7行 1 2 列の分解項目係数を要素とするマトリックスである。 a 1,1 a 1,2 a ΙΛΙ a 1,12
a 2,1 a 2,12
A (17)
a 16,1 a 16,12
a 17,1 a 17,2 a 17,11 a 17,12 上式 (1 5) を最小自乗法が可能となるように、 次式 (1 8) のように変形 する。
GT . f =GT - G■ A …… (1 8)
ここで、 GT は、 マトリックス Gの転置行列である。
次に、上式(1 8)に基づいて最小自乗法により、マトリックス Aを求める。
A= (GT ■ G) ·! ■ GT ■ f (1 9)
このようして収差分解法が実行され、分解後の各分解項目係数が求められる。 図 9の説明に戻り、 次のステップ 278では、 上記のようにして求めた分解 後の各分解項目係数とともに、 その係数の目標値の指定画面をディスプレイ上
に表示する。
次のステップ 2 8 0では、 全ての分解項目係数の目標値 (ターゲット) が指 定されるのを待つ。 そして、 オペレータによりキーボードなどを介して全ての 分解係数のターゲッ卜が指定されると、ステップ 2 8 2に進んで、次式 (2 0 ) により、 分解項目係数のターゲットを結像性能のターゲットに変換する。 この 場合において、 オペレータは、 改善したい係数のターゲットのみを変更したタ 一ゲッ卜指定を行い、 残りの係数のターゲットについては、 表示された係数を そのままターゲッ卜として指定しても勿論良い。
f t = G ■ A ' ■ -'… ( 2 0 )
上式 (2 0 ) において、 f t は、 指定された結像性能のターゲットであり、 A ' は、指定された分解項目係数(改善後) を要素とするマトリックスである。 なお、 収差分解法により算出した各分解項目係数を必ずしも画面上に表示す る必要はなく、 その算出された各分解項目係数を基に、 改善が必要な係数のタ ーゲットを自動的に設定することとすることも可能である。
この一方、 上記ステップ 2 6 6において、 オペレータによりキーボードなど を介していずれかの評価点におけるいずれかの結像性能のターゲッ卜が指定さ れると、ステップ 2 6 6における判断が肯定され、ステップ 2 6 8に移行して、 その指定されたターゲットを設定して R A Mなどのメモリ内に記憶した後、 ス テツプ 2 7 2に移行する。
すなわち、 本実施形態では、 ステップ 2 6 6→2 7 0→2 7 2のループ、 又 はステップ 2 6 6— 2 6 8→2 7 2のループを繰り返すことにより、 ターゲッ 卜が指定されるのを前述のターゲッ卜の指定画面の表示開始から一定時間だけ 待つ。 そして、 この間に設定補助が指定された場合には、 前述のようにして分 解項目係数の算出及び表示並びに分解項目係数のターゲッ卜の指定という流れ でターゲット指定を行う。 設定補助が指定されなかった場合には、 1つ以上の 評価点における 1つ以上の結像性能のターゲッ卜が指定された場合に、 その指
定された評価点における指定された結像性能のターゲットを記憶する。そして、 このようにして一定時間が経過すると、 ステップ 2 7 4に移行して、 指定され なかった各評価点における各結像性能のターゲットを、 デフォルトの設定に従 つて全て 0に設定した後、 ステップ 2 8 4に移行する。
この結果、 メモリ内には、 指定された評価点における指定された結像性能の ターゲッ卜と、 残りの結像性能のターゲット (= 0 ) とが、 例えば次式 (2 1 ) のような 3 3行 1 2列のマトリックス f t の形式で格納される。 f 1,1 f 1,2 f Ι,Π J 1,12
f 2,12
(21)
J 32,1 f 32,12
ノ 33,1 33,2 f 33,11 f 33,12 本実施形態では、ターゲッ卜が指定されなかった評価点における結像性能は、 最適化計算では考慮しないこととなっている。 従って、 解を得てから、 再度結 像性能を評価する必要がある。
次のステップ 2 8 4では、 最適化フィールド範囲を指定する画面をディスプ レイ上に表示した後、 ステップ 2 8 6→ステップ 2 9 0のループを繰り返し、 最適化フィールド範囲の指定画面の表示開始から一定時間だけそのフィールド 範囲が指定されるのを待つ。 ここで、 最適化フィールド範囲を指定可能とした のは、本実施形態のようなスキャニング'ステツパなどの走査型露光装置では、 投影光学系の視野の全域で結像性能あるいはウェハ上のパターンの転写状態を, 必ずしも最適化する必要がないことや、 例えばステツバであっても使用するレ チクル又はそのパターン領域 (すなわち、 ウェハの露光時に用いられるパター ン領域の全体あるいはその一部) の大きさによっては投影光学系の視野の全域 結像性能あるいはウェハ上のパターンの転写状態を、 必ずしも最適化する必 要がないことなどを考慮したものである。
そして、 一定時間内に最適化フィールド範囲の指定がなされた場合には、 ス テツプ 2 8 8に移行してその指定された範囲を R A Mなどのメモリに記憶した 後、 図 1 0のステップ 2 9 4に移行する。 一方、 最適化フィールド範囲の指定 がない場合には、 特に何も行うことなく、 ステップ 2 9 4に移行する。
ステップ 2 9 4では、 前述の式 (1 0 ) に基づいて、 現在の結像性能を演算 する。
次のステップ 2 9 6では、調整パラメータ毎の波面収差変化表(前述の式(9 ) 参照) と、 調整パラメータ毎の Z S (Zernike Sensitivity) ファイル、 すなわ ちツエルニケ感度表とを用いて、 調整パラメータ毎の結像性能変化表を作成す る。 これを式で示せば、 次式 (2 2 ) のようになる。
結像性能変化表=波面収差変化表 ' Z Sファイル …… (2 2 ) この式 (2 2 ) の演算は、 波面収差変化表 (3 3行 3 7列のマトリックス) と Z Sファイル (3 7行 1 2列のマトリックス) との掛け算であるから、 得ら れる結像性能変化表 B 1は、 例えば次式 (2 3 ) で示される 3 3行 1 2列のマ 卜リックスとなる。
h •.2,1 h ■2,12
B1 •(23)
32,1 32,12
33,1 h 33,2 h "33,11 h "33,12 かかる結像性能変化表を、 1 9個の調整パラメータ毎に算出する。この結果、 それぞれが 3 3行 1 2列のマトリックスから成る 1 9個め結像性能変化表 B 1 〜B 1 9が得られる。
次のステップ 2 9 8では、 結像性能 f 及びそのターゲット f t の一列化 ( 1 次元化) を行う。 ここで、 一列化とは、 3 3行 1 2列のマトリックスであるこ れら f 、 f t を、 3 9 6行 1列のマトリックスに形式変換することを意味する。
-列化後の f 、 f t は、 それぞれ次式 (24)、 (25) のようになる <
W,
f 2,1
… )
Γ 33,2
f 1,12
f 2,12
33,12 I
次のステップ 3 0 0では、 上記ステップ 2 9 6で作成した 1 9個の調整パラ メータ毎の結像性能変化表を 2次元化する。 ここで、 この 2次元化とは、 それ ぞれが 3 3行 1 2列のマトリックスである 1 9種類の結像性能変化表を、 1つ の調整パラメータに対する各評価点の結像性能変化を一列化して、 3 9 6行 1 9列に形式変換することを意味する。 この 2次元化後の結像性能変化表は例え ば次式 (2 6 ) で示される Bのようになる。
上記のようにして、 結像性能変化表の 2次元化を行った後、 ステップ 3 0 2 に移行し、 前述の制約条件を考慮することなく、 調整パラメータの変化量 (調 整量) を計算する。
以下、 このステップ 3 0 2における処理を詳述する。 前述の一列化後の結像 性能のターゲット f t と、 一列化後の結像性肯 2次元化後の結像性能変 化表 Bと、 調整パラメータの調整量 d Xとの間には、 ウェイ トを考慮しない場 合には、 次式 (2 7 ) の関係がある。
( f t- f ) =B ■ d x …… (27)
ここで、 d xは、 各調整パラメータの調整量を要素とする次式 (28) で示 される 1 9行 1列のマトリックスである。 また、 ( f t— f ) は、 次式 (29) で示される 396行 1列のマトリックスである。
dx = … )
(/ /) (29)
k上式 (27) を最小自乗法で解くと、 次式のようになる。
d X = (BT ■ B) ·ι ■ Βτ ■ ( f t- f ) …… (30)
ここで、 BT は、 前述の結像性能変化表 Βの転置行列であり、 (ΒΤ . B) "I は、 (ΒΤ ■ Β) の逆行列である。
しかし、 ウェイ トの指定がない (全てのウェイ ト = 1 ) 場合は、 稀であり、 通常は、 ウェイ トの指定があるので、 次式 (31 ) で示されるような重み付け 関数であるメリット関数 Φを最小自乗法で解くこととなる。 =∑W (f ti- f i) 2 〜(31) ここで、 fti は、 ft の要素であり、 は f の要素である。 上式を変形す ると、 次のようになる。
Φ = Σ (Wi'/2. f ti_Wi1/2. f 2 (32) 従って、 Wil" . f i を新たな結像性能 (収差) f i' とし、 Wil/2 - f ti を 新たなターゲート f ti' とすると、 メリット関数 Φは、 次のようになる。
Φ = Σ (f ti, 一 f ) 2 〜(33) 従って、 上記式 (33) を最小自乗法で解いても良い。 但し、 この場合、 結 像性能変化表として、 次式で示される結像性能変化表を用いる必要がある。 d f i' /d = w{ - d i jd Xj - (34) このようにして、 ステップ 302では、 制約条件を考慮することなく、 最小 自乗法により、 d xの 1 9個の要素、 すなわち前述の 1 9個の調整パラメータ の調整量を求める。
次のステップ 304では、 その求めた 1 9個の調整パラメータの調整量を、 例えば上述の式 (27) などに代入して、 マトリックス ft一 f の各要素、 すな ねち全ての評価点における 1 2種類の収差 (結像性能) のターゲット (目標値) に対する差、 又はマトリックス f の各要素、 すなわち全ての評価点における 1
2種類の収差 (結像性能) を算出して、 例えば RAMなどのメモリ内の前述の 一時格納領域に、前述した収差の許容値(及びターゲット (目標値)) に対応づ けて記憶した後、 ステップ 306に進む。
ステップ 306では、 上記ステップ 302で算出された 1 9個の調整パラメ 一夕の調整量が、 先に設定した制約条件に違反しているか否かを判断する (こ の判断手法については、後に更に説明する)。そして、 この判断が肯定された場 合には、 ステップ 308に移行する。
以下、 このステップ 308を含む制約条件侵害時における処理について説明 する。
この制約条件侵害時におけるメリット関数は、 次式 (35) で表せる。 φ = Φι +φ2 …… (35)
上式において、 Φι は式 (30) で表される通常のメリット関数であり、 Φ2 はペナルティ関数 (制約条件違反量) である。 制約条件を gj、 境界値を bj と した場合に、 Φ2 は次式 (36) で示される境界値侵害量 (gj— bj) のゥェ イト (重み) 付き自乗和であるものとする。 2=∑Wj, · (g「 bj) 2 - (36) ここで、 Φ2 を境界値侵害量の 2乗和にするのは、 Φ2 を侵害量の 2乗和の 形式とすると、 最小自乗法の計算で、 次式 (37) が d xについて解けるから である。
3,Φ/Θ Χ= d Φ./Θ Χ+ d Φ2/9 Χ= 0 - (37) すなわち、 通常の最小自乗法と同様に、 d xが求まる。
次に、 制約条件侵害時の具体的処理について説明する。
制約条件は、物理的には、可動レンズ 1 3i~1 35 などの 3軸の駆動軸(圧 電素子など) それぞれの可動範囲及びチルト (0 x,0 y) のリミツ卜で決定さ
れる。
z I , z 2, z 3を各軸の位置として、 各軸の可動範囲は、 次の式 (38 a) 〜 (38 c) のように表される。
z la≤ z 1≤ z lb (38 a)
z2a≤ z2≤ z2b (38 b)
z3a≤ z3≤ z3b (38 c)
また、 チルト独自のリミットは、 一例として次式 (38 d) のように表され る。
( Θ χ2 + Θ γ2 ) ι/2≤ + 40" …… (38 d)
なお、 40" としたのは、 次のような理由による。 40" をラジアンに変換 すると、
40" =40/3600度
=兀/ (90 X 1 80) ラジアン
= 1. 93925 X 1 0-4 ラジアン
となる。
従って、 例えば可動レンズ 1 3ι〜 1 35 の半径 rを約 20 Ommとすると、 各軸の移動量は、
軸移動量 = 1. 93925 X 1 0-4 X 20 Omm
= 0. 03878 mm
となる。 すなわち、 チル卜が 40" あると水平位置より周辺が約 40 m移動 する。 各軸の移動量は、 20 O m程度が平均のストロークであるから、 軸の ストローク 200〃 mと比べて、 40〃 mは無視できない量だからである。 な お、 チルトのリミットは 40" に限られるものではなく、 例えば駆動軸のスト
—クなどに応じて任意に設定すれば良い。 また、 制約条件は前述の可動範囲 ゃチル卜のリミットだけでなく、 照明光 E Lの波長のシフト範囲やウェハ (Z
チルトステージ 58)の Z方向及び傾斜に関する可動範囲をも考慮しても良い。 制約条件違反とならないためには、 上式 (38 a) 〜 (38 d) が同時に満 たされる必要がある。
そこで、 まず、 上記ステップ 302で説明したように、 制約条件を考慮しな いで、 最適化を行い、 調整パラメータの調整量 d Xを求める。 この d xが、 図 1 1の模式図に示されるような移動べク トル k 0 (Zi、 Θ xi Θ yi ί = 1 〜7) で表せるものとする。 ここで、 ί = 1 ~5は、 可動レンズ 1 31~ 1 35 にそれぞれ対応し、 ί =6は、 ウェハ (Ζチルトステージ) に対応し、 i =7 は照明光の波長シフ卜に対応する。 照明光の波長は 3自由度あるわけではない が、 便宜上 3自由度あるものとする。
次に、 上式 (38 a) 〜 (38 d) の条件の少なくとも 1つが満たされない か否かを判断し (ステップ 306)、 この判断が否定された場合、すなわち上式 (38 a) 〜 (38 d) が同時に満たされる場合には、 制約条件侵害時処理が 不要なので、 制約条件侵害時処理を終了する。 一方、 上式 (38 a) 〜 (38 d) の条件の少なくとも 1つが満たされない場合には、 ステップ 308に移行 する。
このステップ 308では、 図 1 1に示されるように、 得られた移動べク トル k Oをスケールダウンして、 最初に制約条件違反する条件と点を見つける。 そ のべク トルを k 1 とする。
次に、その条件を制約条件として、制約条件違反量を収差とみなして追加し、 再度最適化計算を行う。 そのとき制約条件違反量に関する結像性能変化表は k 1の点で計算する。 このようにして、 図 1 1の移動ベク トル k 2を求める。 ここで、 制約条件違反量を収差とみなすとは、 制約条件違反量は、 例えば、 zl- zlb, z2— z2b、 z3— z3b、 (θ χ^ + θ y2) i — 40などと表せる 力:、 この制約条件違反量が制約条件収差となり得るという意味である。
例えば、 z2が z2≤ z2bの制約条件に違反した場合、 制約条件違反量 (z2
- z 2b) を収差とみなし、 通常の最適化処理を行う。 従って、 この場合結像性 能変化表には制約条件の部分の行が追加される。 結像性能 (収差) とそのター ゲットにも制約条件の部分が追加される。 このとき、 ウェイ トを大きく設定す れぱ、 z 2は結果的に境界値 z 2bに固定される。
なお、 制約条件は z, θ X , 0 yに関する非線形関数であるので、 結像性能 変化表を取る場所により異なる微係数が得られる。 従って、 逐次、 調整量 (移 動量) と結像性能変化表を計算する必要がある。
次に、 図 1 1に示されるように、 べク トル k 2をスケーリングして、 最初に 制約条件違反をする条件と点を見つける。 そして、 その点までのベク トルを k 3とする。
以降、 上述の制約条件の設定を逐次行い (移動べク トルが制約条件に違反す る順に制約条件を追加し)、 再度最適化して移動量 (調整量) を求める処理を、 制約条件に違反しなくなるまで繰り返す。
これにより、 最終的移動べク トルとして
k = k I + k 3 + k 5 + ( 3 9 ) を求めることができる。
なお、 この場合、 簡易的には k 1を解 (答え) とする、 すなわち 1次近似を 行うこととしても良い。 あるいは、 厳密に制約条件の範囲内での最適値を探索 する場合、 逐次計算で上式 (3 9 ) の kを求めることとしても良い。
次に、 制約条件を考慮した最適化について更に説明する。
前述の如く、 一般的には、
( f t ~ f ) = B ■ d X …… ( 2 7 )
が成立する。
これを最小自乗法で解くことにより、 調整パラメータの調整量 d Xを求める とができる。
しかるに、 結像性能変化表は、 次式 (4 0 ) に示されるように、 通常の変化
表と、 制約条件の変化表とに分けることができる ,
ここで、 B i は通常の結像性能変化表で、 場所に依存しない。 一方、 B
2 は 制約条件の変化表で、 場所に依存する。
また、 これに対応して上式 (2 7 ) の左辺 ( f t— f ) も、 次式 (4 1 ) のよ うに 2つに分けることができる。 ft ft\ ー i
••(41) ここで、 f t i は通常の収差のターゲットであり、 f i は現在収差である。 ま た、 f t 2 は制約条件であり、 f 2 は現在の制約条件違反量である。
制約条件の変化表 B2、 現在の収差 f i、 現在の制約条件違反量 f 2 は場所に 依存するので、 移動べク トル毎に新たに計算する必要がある。
その後は、 この変化表を使って、 通常と同じように最適化計算すれば、 制約 条件を考慮した最適化となる。
ステップ 3 0 8では、 上述したようにして制約条件を考慮した調整量を求め た後、 ステップ 3 0 4に戻る。
この一方、 ステップ 3 0 6の判断が否定された場合、 すなわち制約条件違反 がない場合及び制約条件違反が解消された場合には、 この号機の最適化処理の サブルーチンの処理を終了して、 図 5のメインルーチンのステップ 1 1 6にリ ターンする。
図 5の説明に戻り、 ステップ 1 1 6では、 前述のステップ 1 0 4で指定され お全ての号機について最適化が終了したか否かを判断し、 この判断が否定され た場合には、ステップ 1 1 8に移行してカウンタ kを 1インクリメントした後、
ステップ 1 1 4に移行して k番目 (ここでは、 第 2番目) の号機について前述 と同様の結像性能の最適化処理を行う。
その後、 ステップ 1 1 6における判断が肯定されるまで、 ステップ 1 1 8→ ステップ 1 1 4→ステップ 1 1 6の処理 (判断を含む) を繰り返す。
なお、 上記の説明では、 カウンタ mが同一の値 (ここでは、 初期値 1 ) のと きに、 ステップ 1 1 4のサブルーチンなどの処理が 3回以上行われるような説 明をしたが、 これはステップ 1 0 4において、 3台以上の号機が指定 (選択) された場合を想定したもので、 2台の号機が指定 (選択) された場合には 2回 行われ、 1台の号機のみが指定 (選択) された場合には、 1回のみ行われるこ とは勿論である。 すなわち、 ステップ 1 1 4、 1 1 6は、 カウンタ mの同一の 値のときに、 指定された号機の数と同一回数だけ行われるようになつている。 そして、 指定された (選択された) すべての号機について前述の最適化が終 了すると、 ステップ 1 1 6における判断が肯定され、 ステップ 1 2 0に移行し て全ての号機の最適化が良好か否かを判断する。 このステップ 1 2 0における 判断は、 前述した R A Mなどのメモリ内の一時格納領域に格納されている号機 N o . と結像性能 (1 2種類の収差) の許容値と、 各評価点における結像性能 ( 1 2種類の収差)の算出値及び対応するターゲット(目標値) (又は各評価点 における結像性能 (1 2種類の収差) とそのターゲット (目標値) との差) と に基づいて、 いずれの号機についても、 いずれの評価点でも、 各収差の許容値 で規定される許容範囲内に、 対応する収差の算出値が、 全て収まっているか否 かを判断することにより行われる。
そして、 このステップ 1 2 0における判断が否定された場合、 すなわち、 少 なくとも 1台の号機で、 少なくとも 1つの評価点において、 1 2種類の収差の うちの少なくとも 1つの収差が、 許容範囲外にある場合には、 ステップ 1 2 2 移行してカウンタ mの値が M以上であるか否かを判断する。 そして、 この判 断が否定された場合には、 ステップ 1 2 4に移行する。 この場合、 mは初期値
1であるからここでの判断は否定される。
ステップ 1 24では、 上記ステップ 1 20の判断の結果に基づき、 収差の算 出値が許容範囲外となった号機(NG号機)、収差の算出値が許容範囲外となつ た評価点 (NG位置) 及びその収差の種類 (NG項目) を全て特定する。 次のステップ 1 26では、 NG位置における NG項目の残留誤差の号機間の 平均値を、 前述したパターン補正値として算出し、 パターン補正データ C (前 述した式 (1 4) で示されるマトリックスの対応する要素) を設定 (更新) す る。
例えば、 A号機と B号機とが、 最適化対象の号機としてステップ 1 04で選 択されており、 i番目の計測点 (評価点) において例えば縦線の線幅異常値 C My が、 Α号機のみで許容範囲外となった場合、 パターン補正値は、 一例とし て次のようにして算出される。
Ci,3=- {(CMv) A'i + (CMv) B,i} Z (2 ) ……(42) ここで、 (CMv) A,i は、 A号機の i番目の計測点における縦線の線幅異常 値、 (CMv) B,i は、 B号機の i番目の計測点における縦線の線幅異常値であ る。また、 βは、最適化対象号機として選択される露光装置の投影倍率である。 なお、 最適化対象の号機の台数が少ない場合には、 i番目の評価点において、 線幅異常値 CMV が許容範囲内であった B号機については、 (CMv) B,i = 0 として、 上式 (42) によりパターン補正値 Ci,3 を算出することとしても良 い。
次のステップ 1 28では、 前述した光学シミュレータ用のコンピュータ 93 8に必要な情報を与えるとともに、 前述のステップ 202で取得したパターン の情報をパターン補正値を用いて補正した、 目標露光条件 (前述のステップ 2 02で情報を取得した最適化露光条件とは、 パターンの情報のみが異なる露光 条、件) に対応する ZSファイルを作成する旨の指示を与える。 これにより、 コ ンピュータ 938によってその目標露光条件に対応する ZSファイルが作成さ
れ、 その作成後の ZSファイルが、 第 2データベースに追加される。
次にステップ 1 32に移行してカウンタ mを 1インクリメントした後、 ステ ップ 1 1 2に戻り、以後、上記ステップ 1 1 6における判断が肯定されるまで、 ステップ 1 1 4—1 1 6→1 1 8のループを繰り返すことにより、 全ての号機 について前述した最適化を再度行う。 但し、 この 2回目 (m=2) のときに行 われる、 ステップ 1 1 4の処理では、 パターン補正値データ Cとして、 前述の ステップ 1 26で設定された値に、 要素 Ci,3、 Ci,4、 Ci,5、 Ci>6 の少なく とも一部が更新されたマトリックスデータが用いられる。 また、 ZSファイル としては、 前述のステップ 1 28で作成された ZSファイルがステップ 21 6 で読み込まれ用いられることとなる。
そして、 全ての号機について、 前述の最適化が終了すると、 ステップ 1 1 6 における判断が肯定され、 ステップ 1 20に移行して前述のようにして全ての 号機の最適化が良好か否かを判断する。
そして、 このステップ 1 20における判断が否定された場合には、 ステップ 1 22に移行し、 その後ステップ 1 22〜 1 32の処理を順次行った後、 ス亍 ップ 1 1 2に戻り、 以後、 前述したステップ 1 1 2→ (1 1 4— 1 1 6→1 1 8のループ) →1 20—1 22→1 24→ 1 26—1 28→ 1 32のループの 処理を繰り返す。
一方、 上記ステップ 1 20における判断が肯定された場合、 すなわち当初か ら指定された (選択された) 全ての号機の前述の最適化結果が良好であった場 合、 又はステップ 1 26におけるパターン補正値の更新設定により全ての号機 の前述の最適化結果が良好となった場合には、 ステップ 1 38に移行する。 これとは異なり、 上記のループ (ステップ 1 1 2〜 1 32) の処理を M回繰 リ返す間、 ステップ 1 20における判断が否定され続けた場合には、 M回目の ループでステップ 1 22における判断が肯定され、 ステップ 1 34に移行して 最適化不能をディスプレイの画面上に表示した後、 強制終了する。 このように
したのは、 上記のループをある程度の回数繰り返しても、 全ての号機の最適化 結果が良好にならなかった場合には、 パターン補正値の設定では最適化が殆ど 不可能な場合と考えられるので処理を打ち切ることとしたものである。 M回は、 例えば 1 0回に設定される。
ステップ 1 3 8では、 要素が全て零のマトリックス Cのデータ、 又は前述の ステップ 1 2 6でその一部の要素が更新されたパターン補正値 (パターン補正 データ) を、 第 1コンピュータ 9 2 0に出力 (伝送) するとともに、 R A Mな どのメモリ内にパターンの情報に対応付けて記憶する。
次のステップ 1 4 0では、 指定された (選択された) 全ての号機の適正調整 量 (ステップ 1 1 4において算出された号機毎の調整量) を、 第 1コンビユー タ 9 2 0に対してそれぞれ出力する。 第 1コンピュータ 9 2 0では、 それらの 情報を受け取り、 前述の最適化露光条件における、 パターンの情報をパターン 補正値を用いて補正した露光条件を、 各号機の新たな基準 I Dとし、 その新た な基準 I Dと受け取った号機毎の適正調整量の情報とを関連付けて R A Mなど のメモリ内に格納する。
次のステップ 1 4 2では、 終了か、 続行かの選択画面をディスプレイ上に表 示する。 そして、 ステップ 1 4 4において、 続行が選択されると、 ステップ 1 0 2に戻る。 一方、 終了が選択された場合には、 本ルーチンの一連の処理を終 了する。
ここで、 上述したレチクルパターンの設計プログラムと同様のプ口グラムが インストールされたコンピュータを用いた実験結果の一例、 具体的には、 投影 光学系の視野 (スタティックフィールド) 内の波面収差が計測された A号機と B号機とに対して、 レチクルパターンの補正と、 結像性能 (収差) の最適化を 実施した場合について説明する。
レチクルとしては、 図 1 2に示されるように、 縦方向の微細な二本のライン パターンがパターン領域 P A内に一様に分布して形成されたワーキングレチク
ル R 1を想定した。 この場合、 投影光学系の視野 (スタティックフィールド) 内には、 3行 1 1列のマトリックス状の配置で前述の波面収差の計測点 (評価 点) が配置され、 ワーキングレチクル R 1上には各計測点にそれぞれ対応可能 な状態で 2本 1組の縦方向 (Y軸方向) に延びるラインパターンが、 3行 1 1 列のマトリックス状の配置で形成されている。 なお、 図 1 2は、 ワーキングレ チクル R 1をパターン面側から見た図である。
(ステップ 1 )
レチクル R 1では、パターンの線幅均一性とパターン位置が問題となるので、 所定の露光条件における、 評価する結像性能として、 フォーカス依存性と、 左 右線幅差と、パターン中心位置とにつきそれぞれ Zernike Sensitivityの表 ( Z Sファイル) を予め求めておく。
(ステップ 2 )
上記の Z Sファイルと、 A号機, B号機それぞれの投影光学系の視野内の波 面収差データ、 波面収差変化表、 レンズ位置変化可能範囲データ、 及び上記各 結像性能(フォーカス均一性、左右線幅差、パターン位置ずれ)の許容範囲 (許 容値) を設定し、 パターン補正値を全て零として、 前述のステップ 1 1 4と同 様にして、 A号機、 B号機それぞれの結像性能の最適化 (適正調整量の算出な ど) を行い、 その過程で、 前述のステップ 3 0 4と同様にして、 各結像性能を 算出した。
この結果、 左右線幅差 (縦線の線幅異常値) として、 図 1 3 Aに示されるよ うな結果が得られた。 なお、 この図 1 3 Aは、 非スキャン方向 (X軸方向) の ほぼ同一位置に存在する各 3つの計測点 (この場合、 2本 1組の縦線パターン の投影位置) における左右線幅差の平均値を示すものである。 ここで、 このよ うな平均値を求めているのは、 スキャン露光を前提としているためである。 ゾよお、ステツバなどのように静止露光を前提とする場合には、各計測点毎に、 各結像性能を求めることとなる。
図 1 3 Aにおいて、 參は、 A号機の左右線幅差を示し、 園は、 B号機の左右 線幅差を示す。 また、 斜線部は、 許容範囲内を示す。
この図 1 3 Aから明らかなように、 A号機のみ、 露光領域 (投影光学系のス タティックフィールド) 右端において、 左お線幅差の値 (D n ) Aが許容範囲 外となっていることがわかる。 ここで、 左右線幅差 (Dj ) A ( D) ) B ( j =
1〜 1 1 ) は、 正の値のとき、 右側のラインの線幅が左側のラインの線幅より 大きいことを示す。 なお、 A号機、 B号機とも、 全ての点において、 フォー力 ス均一性、 パターン位置ずれは、 許容範囲内になった。
(ステップ 3 )
そこで、 上記値 (D n ) Aの一 1 Z ( 2 ■ j8 ) をパターン補正値 (この補正 値は、 図 1 3 A中の矢印 Fに対応) として、 マスク設計ツールにて該当位置の 左右線幅差を補正する (この補正の結果、 パターン領域内の左端 (投影光学系 が屈折光学系であることを前提として) に位置する各 2本 1組のラインパター ンは、 左側のラインパターンが右側のラインパターンより幅が狭くなる) もの として、 その補正後のパターンのデータを用いて、 上記 (ステップ 2 ) で算出 した各号機の適正調整量 (及び対応する波面収差) をそのまま用いて、 前述の ステップ 3 0 4と同様にして、 再度、 各結像性能を算出した。 なお、 上記の補 正値の算出方法は、 許容範囲内にある B号機の露光領域右端における左右線幅 差の値 (D u ) B が零であるものとして、 前述の式 (4 2 ) と同様の式で算出 する方法と実質的に同じである。
このとき、 図 1 3 Aがスキャン露光を前提としている関係から、 この結像性 能の算出に当たっても、 スキャン方向に波面を平均化して、 その平均化した波 面を用いて、 各点の波面のデータとした。
その結果、 図 1 3 Bに示されるような結果が得られた。 なお、 この図 1 3 B は、 前述の図 1 3 Aと同様に、 非スキャン方向 (X軸方向) のほぼ同一位置に 存在する各 3つの計測点(この場合、各 2本 1組のラインパターンの投影位置)
における左お線幅差の平均値を示すものである。
この図 1 3 Bから、 A号機、 B号機ともに、 露光領域内の全域で線幅左右差 の値が、 許容範囲内になっていることがわかる。
(ステップ 4 )
念のため、 上記のパターン補正値を、 露光領域内右端の各計測点における線 幅異常値の項目に対応する補正値に代入し、 残りの補正値を全て零として、 前 述のステップ 1 1 4と同様にして、 A号機、 B号機それぞれの結像性能の最適 化 (適正調整量の算出など) を行い、 その過程で、 前述のステップ 3 0 4と同 様にして、 各結像性能を算出した。
この結果、 図 1 3 Cに示されるような結果が得られた。 なお、 この図 1 3 C は、 前述の図 1 3 Aと同様に、 非スキャン方向 (X軸方向) のほぼ同一位置に 存在する各 3つの計測点における左お線幅差の平均値を示すものである。 この図 1 3 Cから、 A号機、 B号機ともに、 露光領域内の全域で左右線幅差 の値が、 許容範囲内になっていることがわかる。 この図 1 3 0と図1 3 Bとを 比較すると、 パターン補正後に再度収差の最適化を行った方が、 より良好な結 像性能が得られることが確認できる。 なお、 この場合も、 左右線幅差以外のフ オーカス均一性、 パターン位置ずれは、 A号機、 B号機とも良好である。 ところで、 前述した如く、 上記ステップ 1 1 4の処理において、 基準 I Dに おける波面収差補正量が未知の場合も考えられ、 この場合には、 基準 I Dにお ける結像性能から波面収差補正量を推定することができる。 以下、 これについ て説明する。
ここでは、 単体波面収差と on bodyの波面収差のずれが前述の可動レンズ 1 3丄〜1 3 5 などの調整パラメータの調整量のずれ Δ χ 'と対応すると仮定して 波面収差の補正量を推定する。
単体波面収差と on bodyでの波面収差とがー致すると仮定したときの調整量 を△ x、調整量の補正量を Δ x '、 Z Sファイルを Z S、基準 I Dでの理論結像
性能 (on bodyの波面収差のずれが無い場合の理論的結像性能) を KQ、基準 I D (同じ調整パラメータの値) での実際の結像性能を Κι、 波面収差変化表を Η、 結像性能変化表を Η'、 単体波面収差を WP、 波面収差補正量を AWpとす ると、 次の 2式 (43)、 (44) が成り立つ。
K0 = ZS - (Wp + H - Δ χ) (43)
Ki = ZS - (Wp+H - (Δ χ+Δ χ')) (44)
これより、
Ki-K0 = ZS ■ Η■ Δ χ' =Η, , Δ χ' …… (45)
これより、 上式 (45) を最小自乗法で解くと、
調整量の補正量 Δ χ' は、 次式 (46) のように表せる。
Δ X ' = (Η'τ ' Η') ·! ■ Η'Τ ■ (Κι— Κ0) (46)
また、 波面収差の補正量 AW ρは、 次式 (47) のように表せる。
△ Wp =Η■ Δ χ' …… (47)
各基準 I Dは、 この波面収差補正量 AWpを持つこととなる。
また、 実際の on body波面収差は、 次式 (48) のようになる。
実際の onbody波面収差 =Wp + H■ Δ X +AWp …… (48) 次に、 図 1のレチクル設計システム 932及ぴレチクル製造システム 942 を用いてワーキングレチクルを製造する際の動作の一例について、 図 1 4〜図 1 6のフローチャートに沿って説明する。 なお、 以下では、 図 1 2に示される ワーキングレチクル R 1を製造する場合を例として説明する。
まず、 図 1 4のステップ 701において、 図 1に示される端末 936 A~9 36 Dより第 2コンピュータ 930に、 製造対象のワーキングレチクルの部分 的な設計データ、 及び分割可能な箇所 (本実施形態では、 線幅制御精度の緩い 部分) を示す識別情報を、 LAN 934を介して入力する。 これらの情報の入 力に応答して、 第 2コンピュータ 930は、 全部の部分的な設計データを統合 した 1つのレチクルパターンの設計データ、 及びこれに対応する識別情報を L
A N 9 3 6を介してレチクル製造システム 9 4 2のコンピュータ 9 4 0に伝送 する。
次のステップ 7 0 2において、 コンピュータ 9 4 0は、 受け取ったレチクル パターンの設計データ、 及び識別情報に基づいて、 そのレチクルパターンを P 枚の既存パターン部と Q枚 (P , Qは 1以上の整数) の新規パターン部とに分 割する。
この場合、 既存パターン部とは、 既に製造済みのデバイス用のマスターレチ クルのパターンを光露光装置 9 4 5の投影倍率 r ( = 1 ) 倍で縮小したの と同一のパターンであり、 Of倍で既存パターン部が形成されたマスタ一レチク ルは、 不図示のレチクル収納部に収納されている。
これに対して、 新規パターン部とは、 それまでに作成したことが無いか、 又 はレチクル収納部内のマスタ一レチクルには形成されていないデバイスのバタ ーンである。
図 1 2には、 ここでの製造対象のワーキングレチクル R 1のパターンの分割 方法 (各分割線が点線で示されている) の一例が示されている。 この図 1 2に おいて、 ワーキングレチクル R 1上の枠状の遮光帯 E Sに囲まれたパターン領 域 P Aが、 既存パターン部 S 1〜S 1 0、 新規パターン部 N 1〜N 1 0、 及び 新規パターン部 P 1 ~ P 5よりなる 2 5個の部分パターンに分割されている。 本実施形態の場合、 既存パターン部 S 1 ~ S 1 0は、 相互に同一のパターンで あり、 新規パターン部 N 1〜N 1 0も相互に同一のパターンであり、 新規バタ ーン部 P 1〜P 5も相互に同一のパターンである。
この場合、 コンピュータ 9 4 0は、 不図示のレチクル搬送機構を用いて、 既 存パターン部 S 1〜S 1 0を拡大したパターンが形成されている所定枚数、 こ こでは 1枚のマスターレチクル M Rを不図示の既存レチクル収納部から搬出し, : の 1枚のマスターレチクルを光露光装置 9 4 5のレチクルライブラリに格納 する。
図 1 7には、 上記のマスターレチクル MRが示されている。 この図 1 7にお いて、 マスターレチクル MRには既存パターン部 S 1〜S 1 0を Of倍に拡大し た原版パターン SBが形成されている。 この原版パターン SBは、 例えばクロ ム (C r) 膜等の遮光膜のエッチングにより形成されている。 また、 マスタ一 レチクル MRの原版パターン S Bはそれぞれクロム膜よりなる遮光帯 ES巳に よって囲まれ、 遮光帯 E S Bの外側にァライメントマーク RMA, RMBが形 成されている。
マスタ一レチクル MRの基板 (レチクルプランクス) としては、 光露光装置 945の露光光が K r Fエキシマレーザ光又は A r Fのエキシマレーザ光等で あれば石英 (例えば合成石英) を使用できる。 また、 その露光光が F2 レーザ 光等であれば、 その基板として蛍石やフッ素を混入した石英等が使用できる。 次に、 コンピュータ 940は、 図 1 2の新規パターン部 N "!〜 N 1 0, P 1 ~P 5を投影倍率 rの逆数 Οί倍 (例えば 4倍、 又は 5倍等) で拡大した新規の 原版パターンのデータを作成する。
そして、 図 1 4のステップ 703〜7 1 0において、 それらの新規の原版パ ターンが形成されたマスターレチクルが製造される。
すなわち、 まず、 ステップ 703において、 コンピュータ 940は、 新規パ ターン部の順序を示すカウンタ ηの値を 0にリセッ卜する (η— 0)。
次のステップ 704では、 コンピュータ 940は、 カウンタ ηの値が Ν (こ の場合、新規のマスターレチクルは 2種類(2枚)のみ製造すれば足りるので、 Ν = 2である) に達したかどうかを調べる。 そして、 ηが Νに達していないと きにはステップ 705に移行してコンピュータ 940は、 カウンタ ηを 1イン クリメン卜する (η— η + 1 )。
次のステップ 706では、 基板搬送系により不図示のブランクス収納部から 取り出された蛍石、 又はフッ素入りの石英等の η番目の基板 (レチクルブラン クス) に CZD 946において電子線レジストが塗布され、 この基板は、 基板
搬送系により C Z D 9 4 6からインタフェース部 9 4 7を介して E B露光装置 9 4 4に搬送される。
なお、上記の基板には、所定のァライメン卜マークが形成されている。また、 このとき、 E B露光装置 9 4 4には、 コンピュータ 9 4 0より N枚の新規パタ ーンの拡大された原版パターンの設計データが供給されている。
そこで、 ステップ 7 0 7において、 E B露光装置 9 4 4は、 その基板のァラ ィメントマークを用いて、 その基板の描画位置の位置決めを行った後、 ステツ プ 7 0 8に進み、 その基板上に n番目の原版パターンを直接描画する。
その後、 ステップフ 0 9において、 原版パターンが描画された基板は、 基板 搬送系によりインタフヱース部 9 4 7を介して C Z D 9 4 6に搬送され、 現像 処理が行われる。 本実施形態の場合、 電子線レジストは、 光露光装置 9 4 5で 使用される露光光 (エキシマレーザ光) を吸収する特性を有するため、 その現 像で残されたレジス卜パターンをそのまま原版パターンとして使用することが できる。
次のステップ 7 1 0では、現像後の n番目 (この場合、第 1番目)の基板は、 n番目の新規パターン部用のマスターレチクルとして、 基板搬送系によりイン タフヱース部 9 4 9を介して光露光装置 9 4 5のレチクルライブラリに搬送さ れる。
その後、 処理はステップ 7 0 4に戻り、 コンピュータ 9 4 0は、 再びカウン タ nの値が N ( = 2 ) に達したかどうかを判断するが、 ここでの判断は否定さ れ、 以後、 ステップ 7 0 5〜7 1 0の処理を繰り返すことで、 n番目 (第 2番 目) の新規パターン部に対応するマスターレチクルが製造される。 すなわち、 このようにして、 必要な数の新規パターン部に対応するマスターレチクルが製 造される。
図 1 8には、 このようにして製造された新規のマスタ一レチクル N M R 1、 N M R 2が、 マスターレチクル M Rとともに示されている。 これらのマスター
レチクル N M R 1、 N M R 2にも、 原版パターンの周囲に遮光帯が形成されて いる。
次に、 図 1 5のステップ 7 1 1において、 コンピュータ 9 4 0の指示に基づ き、基板搬送系により、不図示のブランクス収納部からワーキングレチクル(R 1 ) 用の基板、 すなわちレチクルプランクス (石英、 蛍石、 フッ素を混入した 石英等から成る) が取り出され、 C Z D 9 4 6に搬送される。 この基板 (レチ クルプランクス) には予めクロム膜等の金属膜が蒸着されると共に、 大まかな 位置合わせ用のマークも形成されている。 ただし、 この位置合わせ用のマーク は必ずしも必要ではない。
次のステップ 7 1 3において、 コンピュータ 9 4 0の指示に基づき、 C / D 9 4 6によりその基板上に光露光装置 9 4 5の露光光に感光するフォトレジス 卜が塗布される。
次に、 ステップ 7 1 5において、 コンピュータ 9 4 0は、 基板搬送系を用い てインタフヱ一ス部 9 4 9を介してその基板を光露光装置 9 4 5に搬送し、 該 光露光装置 9 4 5の主制御装置に対して複数のマスターレチクルを用いてつな ぎ露光 (スティツチング露光) を行うように指令を発する。 このとき、 図 1 2 のパターン領域 P A内での新規パターン部、 及び既存パターン部の位置関係の 情報も主制御装置に供給される。
次のステップ 7 1 6では、 上記の指令に応じて、 光露光装置 9 4 5の主制御 装置は、 不図示の基板ローダ系でその基板を外形基準で位置合わせ (プリァラ ィメン卜) した後に、 その基板を基板ホルダ上にロードする。 この後、 必要に 応じて、 更に例えばその基板上の位置合わせ用のマーク、 及びァライメント検 出系を用いてステージ座標系に対する位置合わせが行われる。
次のステップ 7 1 7では、光露光装置 9 4 5の主制御装置は、新規の N枚(こ ;;では 2枚) のマスターレチクルの露光順序を示すカウンタ sを 0にリセッ卜 した後、 次のステップ 7 1 9に進んでカウンタ nの値が Nに達したかどうかを
調べる。そして、この判断が否定された場合には、次のステップ 7 2 1に進み、 カウンタ sを 1インクリメント (s— s + 1 ) した後、 ステップ 7 2 3に移行 する。
ステップ 7 2 3では、 主制御装置は、 レチクルライブラリより s番目 (ここ では 1番目) のマスターレチクルを取り出してレチクルステージ上に載置した 後、 そのマスターレチクルのァライメン卜マーク、 及びレチクルァライメント 系を用いて、 そのマスターレチクルをステージ座標系、 ひいてはワーキングレ チクル (R 1 ) の基板に対する位置合わせを行う。
次のステップ 7 2 5では、 主制御装置は、 ワーキングレチクル (R 1 ) の基 板上の露光領域が、 s番目の新規なマスターレチクルの設計上の露光位置とな るようにウェハステージの位置を制御した後、 走査露光を開始させてそのマス ターレチクルの原版パターンをその基板上の所定領域に転写する。 ここで、 そ の新規なマスターレチクルが、 前述の図 1 2の新規パターン部 N 1〜N 1 0の 原版パターンを有するマスターレチクル N M R 1である場合、 ワーキングレチ クル (R 1 ) の基板上の上記新規パターン部 N 1〜N 1 0に対応する領域に、 そのマスタ一レチクルのパターンの r倍の縮小像がつなぎ露光によって順次転 写される (図 1 8参照)。
その後、 処理は、 ステップ 7 1 9に戻り、 主制御装置は、 カウンタ nの値が Nに達したかどうかを再度調べ、 この判断が否定された場合には、 ステップ 7 2 1〜7 2 5の処理が繰り返される。 このとき、 ステップ 7 2 5において、 ヮ 一キングレチクル (R 1 ) の基板上の新規パターン部 P 1 ~ P 5に対応する領 域に、 新規パターン部の原版パターンを有する別のマスターレチクル N M R 2 のパターンの 7·倍の縮小像がつなぎ露光によって順次転写される(図 1 8参照) c このようにして、 N枚 (ここでは 2枚) の新規なマスターレチクルを用いた つ/よぎ露光が終わると、 処理はステップ 7 1 9から図 1 6のステップ 7 2 7に 移行する。
このステップ 7 2 7では、 主制御装置は、 所定枚数 T (ここでは、 既存のマ スターレチクルは 1種類 (1枚) のみでたりるので、 T = 1である) の既存の マスターレチクルの露光順序を示すカウンタ tの値を 0にリセット ( t—0 ) した後、次のステップ 7 2 9でカウンタ tの値が Tに達したかどうかを調べる。 そして、 この判断が否定された場合には、 ステップ 7 3 1でカウンタ tを 1ィ ンクリメント ( t— t + 1 ) した後、 ステップ 7 3 3に移行して、 t番目 (こ こでは 1番目) の既存のマスタ一レチクル M Rをレチクルステージ上に載置し て位置合わせを行い、 ステップ 7 3 5でそのマスターレチクル M Rのパターン の縮小像をワーキングレチクル (R 1 ) の基板上の既存パターン部 S 1〜S 1 0に対応する領域に走査露光方式によるつなぎ露光により、 それぞれ転写する (図 1 8参照)。
このようにして全部のマスタ一レチクルのつなぎ露光が終わると、 処理はス テツプ 7 2 9からステップ 7 3 7に移行する。
ステップ 7 3 7において、 ワーキングレチクル (R 1 ) の基板は、 図 1の C Z D 9 4 6に搬送されて現像処理が行われる。
その後、 その現像後の基板は不図示のエッチング部に搬送され、 残されたレ ジス卜パターンをマスクとしてエッチングが行われる(ステップ 7 3 9 )。更に、 レジスト剥離などの処理を行うことでワーキングレチクル、 例えば図 1 2のヮ 一キングレチクル R 1の製造が完了する。
更に、 ステップ 7 1 "!〜 7 3 9を繰り返すだけで、 ワーキングレチクル R 1 と同じパターンを持つワーキングレチクルが、 必要な枚数だけ短時間に製造さ れる。
本実施形態において、 E B露光装置 9 4 4で描画する原版パターンはヮーキ ングレチクル R 1のパターンに比べて粗いと共に、 描画するパターンは、 ヮー キ グレチクル R 1のパターン全体の 1 2程度以下である。 従って、 E B露 光装置 9 4 4の描画時間は、 ワーキングレチクル R 1のパターンの全部を直接
描画する場合に比べて大幅に短縮される。
更に、 光露光装置 9 4 5 (投影露光装置) としては、 一般に K r Fエキシマ レーザ又は A r Fエキシマレーザを光源として用いて 1 5 0 〜 1 8 0 n m程度 の最小線幅に対応したステップ'アンド 'スキャン方式の投影露光装置をその まま使用できる。
本実施形態のレチクル設計システム 9 3 2及びレチクル製造システム 9 4 2 によって、 上述したようにして、 ワーキングレチクル R 1、 その他のヮ一キン グレチクルが製造される。
これまでの説明から容易に想像されるように、 本実施形態においては、 前述 の実験における A号機が露光装置 9 2 2 i であり、 B号機が露光装置 9 2 22 であるとすると、 前述のレチクルパターンの設計プログラムを用いて、 複数台 の露光装置で共通に用いられる、 レチクルに形成すべきパターンを設計する際 に、 ワーキングレチクル R 1のパターンを対象パターンとし、 前述のステップ 1 0 4において最適化の対象号機としてこれらの露光装置 9 2 2 ι 、 9 2 2 2 を指定 (選択) することにより、 ステップ 1 3 8において、 前述の実験結果と 同様のパターン補正値が得られ、 ステップ 1 4 0において、 その補正後のバタ ーンの転写に適した露光装置 9 2 2 9 2 22 の各調整パラメータの調整量が 1 bれる。
ここで、 現実のワーキングレチクル R 1の製造後に、 上記のパターン補正値 を求めるための処理が行われた場合に、露光装置 9 2 2 i 及び露光装置 9 2 22 で共通に用いられる、 ワーキングレチクル R 1 と同様のパターンを有するヮー キングレチクルを製造する場合について考える。
この場合には、 上述のステップ 7 0 2の処理に先立って、 レチクルパターン の設計データとして、 ワーキングレチクル R 1の設計データのうち、 パターン 領域 P A内の図 1 2における右端に位置するパターン部 S 2 、 S 4 、 S 6 、 S 8 、 S 1 0のパターンの設計データが、 上述のパターン補正値に基づいて補正
されたパターンデータ (パターン領域 PAの左端部に位置する各組 2本のライ ンパターンの線幅差が補正されたデータ) が第 2コンピュータ 930からレチ クル製造システム 942のコンピュータ 940に伝送される。
そして、 レチクル製造システム 942では、 パターン部 S 2、 S4、 S 6、 S 8、S 1 0のパターンを拡大した原版パターンを有するマスターレチクルを、 前述した新規なマスターレチクルとして製造する。
そして、 この新たに製造したマスタ一レチクルと、 既に製造している残りの パターン部 S 1、 S 3、 S 5、 S7、 S 9、 N 1〜N 1 0、 P 1 ~ P 5に対応 するマスタ一レチクルとを用いて、 前述のつなぎ露光などを行うことによリ、 ワーキングレチクル R 1のパターンをパターン補正値に基づいて補正したパタ ーンを有するワーキングレチクルが、 短時間で確実に、 必要な枚数だけ製造さ れることとなる。
なお、 本実施形態のレチクル設計システム及びレチクル製造システムと同様 のシステムを用いたレチクル製造方法については、 例えば、 WO 99/342 55号 (対応する米国特許第 6, 677, 088号)、 WO 99Z66370号 (対応する米国特許第 6, 653, 025号)、 及び米国特許第 6, 607, 8 63号などに詳細に開示されており、 本実施形態においてもこの国際公開公報 や米国特許に開示される種々の手法をそのまま、 あるいは一部変更して用いる ことができる。 本国際出願で指定した指定国 (又は選択した選択国) の国内法 令が許す限りにおいて、 上記各公報及び米国特許の開示を援用して本明細書の 記載の一部とする。また、レチクル製造システム 942の光露光装置 945は、 スキャニング .ステツパ (スキャナ) であるものとしたが、 静止露光型の露光 装置 (ステツパなど) でも良く、 このステツパでも同様にステップ■アンド ' スティツチ方式にて前述のつなぎ露光を行うことができる。
ところで、 本実施形態に係る露光装置 92 Zi^g 22N では、 半導体デバ イスの製造時には、 デバイス製造用のワーキングレチクルがレチクルステージ
RS T上に装填され、 その後、 レチクルァライメント及びウェハァライメント 系のいわゆるベースライン計測、 並びに EG Α (ェンハンスト .グローバル■ ァライメント) 等のウェハァライメン卜などの準備作業が行われる。
なお、 上記のレチクルァライメン卜、 ベースライン計測等の準備作業につい ては、 例えば前述の特開平 7— 1 76468号公報及びこれに対応する米国特 許第 5, 646, 41 3号に詳細に開示されており、 また、 これに続く EGA については、特開昭 61 -44429号公報及びこれに対応する米国特許第 4, 780, 61 7号などに詳細に開示されている。 本国際出願で指定した指定国 (又は選択した選択国) の国内法令が許す限りにおいて、 上記各公報並びにこ れらに対応する上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部と する。
その後、 ウェハァライメント結果に基づいて、 ステップ■アンド■スキャン 方式の露光が行われる。 なお、 露光時の動作等は通常のスキャニング■ステツ パと異なることがないので、 詳細説明については省略する。
ここで、 前述の如くして製造された、 複数台の露光装置での共通使用を目的 としたワーキングレチクルをその最適化対象の複数の露光装置で使用する場合 などには、 第 1コンピュータ 920では、 各露光装置 922の主制御装置 50 に対して、 前述のステップ 1 40で RAMなどのメモリ内に格納した、 各号機 (露光装置 922) の新たな基準 I Dと対応する適正調整量の情報とを与える ようになつている。 各露光装置 922の主制御装置 50では、 その情報に基づ いて、 その新たな基準 I Dに従う露光条件の設定を行うとともに、 次のように してワーキングレチクルのパターンの転写像の最適化を実行する。
すなわち、 適正調整量の情報として与えられた可動レンズ 1 3 1 32, 1 33, 1 34、 1 35 の各自由度方向 (駆動可能な方向) の駆動量 zi、 Θ xl yi、 Z 2、 0 X 2、 Θ y 2 s Z 3 s 0 X 3、 3、 Z " 0 X4、 θ Y 4 s Z 5 s θ Χ 5、 Θ y5 の指令値に基づき、所定の演算を行って各可動レンズを駆動する
各 3つの駆動素子それぞれの駆動指令値を算出し、 結像性能補正コン卜ローラ 4 8に与える。 これにより、 結像性能補正コントローラ 4 8により、 可動レン ズ 1 3 ^ 1 3 5 をそれぞれの自由度方向に駆動する各駆動素子に対する印加 電圧が制御される。 また、 照明光 E Lの波長のシフト量 に基づいて光源 1 6に制御情報 T Sを与えて中心波長の調整を行う。
そして、 このような各部の調整がなされた状態で、 ステップ■アンド■スキ ヤン方式の露光が行われるが、 この露光 (走査露光) 中に、 適正調整量として 与えられたウェハ W表面 (Ζチルトステージ 5 8 ) の 3自由度方向の駆動量 W z、 W 0 x、 W 0 yに基づいて、 前述の焦点位置検出系 (6 0 a , 6 0 b ) を 用いるウェハ Wのフォーカス ' レべリング制御が実行される。
これにより、 いずれの号機 (露光装置 9 2 2 ) においても、 そのワーキング レチクルのパターンをウェハ W上に精度良く転写することができるようになる c また、 パターンの転写状態の最適化のための投影光学系 P Lの結像性能の調整 などもごく短時間で行うことができる。
しかし、 上記の場合において、 第 1コンピュータ 9 2 0が、 必ずしも調整量 の情報などを与える必要はない。 かかる場合には、 各露光装置 9 2 2の主制御 装置 5 0が、 そのワーキングレチクルをレチクルステージ R S T上に搭載した 状態で、 そのワーキングレチクルのパターンを基準として最適露光条件の設定 や、投影光学系 P Lの結像性能の調整などを行うこととなるが、この場合にも、 必ず、 いずれの露光装置でも、 そのワーキングレチクルのパターンを精度良く 転写するための露光条件の設定や投影光学系 P Lの結像性能の調整はできる。 これは、 前述の如く、 レチクル設計システムにより、 最適化が良好であること が確認されているからである。
これまでの説明から明らかなように、 本実施形態では、 可動レンズ 1 3 ι〜 J 3 5、 Zチルトステージ 5 8、 光源 1 6によって調整部が構成され、 可動レ ンズ 1 3 ι〜 1 3 5、 Zチルトステージ 5 8の Ζ、 θ X , Θ y方向の位置 (ある
いはその変化量)、及び光源 1 6からの照明光の波長のシフト量が調整量となつ ている。 そして、 上記各調整部と、 可動レンズを駆動する駆動素子及び結像性 能補正コントローラ 4 8、 並びに Zチルトステージ 5 8を駆動するウェハステ ージ駆動部 5 6によって調整装置が構成されている。 しかしながら、 調整装置 の構成は、 これに限定されるものではなく、 例えば調整部として可動レンズ 1 3 ι ~ 1 3 5 のみを含んでいても良い。かかる場合であっても、投影光学系の結 像性能 (諸収差) の調整は可能だからである。
以上詳細に説明したように、 本実施形態のデバイス製造システム 1 0による と、 複数台の露光装置で用いられる、 レチクル (ワーキングレチクル) に形成 すべきパターンの情報を決定するに際し、 第 2コンピュータ 9 3 0は、 L A N
9 2 6、 9 1 8を介して接続された複数台の露光装置 9 2 2 i〜9 2 2 N のう ちから選択された最適化対象の露光装置について、 最適化処理ステップ (図 5 のステップ 1 1 0〜 1 3 2 ) で、 次のような最適化処理を行う。
すなわち、 図 6のステップ 2 0 2で取得したパターンの情報を含む所定露光 条件下における、 調整装置の調整情報及びこれに対応する前記投影光学系 P L の結像性能に関する情報と、パターンの補正値の情報(初期値は例えば零)と、 ステップ 2 2 0〜 2 2 8で指定された許容値に基づいて規定される結像性能の 許容範囲の情報とを含む複数種類の情報に基づいて、 前記パターンの補正値を 考慮した目標露光条件下 (前記パターンを、 補正値によって補正した補正後の パターンに置き換えた目標露光条件下)における前記調整装置の適正調整量を、 露光装置毎に、 算出する第 1ステップ (ステップ 1 1 4〜 1 1 8 ) と、 該第 1 ステツプで算出された各露光装置の適正調整量に従う各露光装置の調整装置の 調整の結果、 上記の目標露光条件下において、 少なくとも 1台の露光装置の投 影光学系 P Lの結像性能が前記許容範囲外となるか否かを判断し、 その判断の 結果、 許容範囲外となる結像性能がある場合には、 その結像性能に基づき、 所 定の基準に従って前記補正値を設定する第 2ステップ (ステップ 1 2 0、 1 2
4、 1 2 6 ) と、 を、 その第 2ステップにおける判断の結果、 全ての露光装置 の投影光学系の結像性能が許容範囲内となってステップ 1 2 0における判断が 肯定されるまで、 繰り返す。
すなわち、 a . まず、 パターン補正値を所定の初期値、 例えば零とし、 既知 のパターンを投影対象のパターンとして、 そのパターンを投影する際の調整装 置の適正調整量を、 複数の露光装置のそれぞれについて算出し、 b . それぞれ の適正調整量に基づいて各露光装置の調整装置を調整した場合に、 少なくとも
1台の露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲外となるか否かを判断する c その判断の結果、 1台又は複数台の露光装置で投影光学系の結像性能が許 容範囲外となった場合には、 その許容範囲外となった結像性能に応じて所定の 基準に従ってパターンの補正値を設定する。 d . その設定されたパターンの補 正値により上述の既知のパターンが補正されたパターンを投影対象のパターン として、 そのパターンを投影する際の調整装置の適正調整量を、 複数の露光装 置のそれぞれについて算出し、 以後、 上記 b .、 c .、 d . を繰り返す。
そして、 上記の最適化処理ステップにおいて、 全ての露光装置の投影光学系 P Lの結像性能が許容範囲内となったとき、 すなわち、 補正値の設定により許 容範囲外となる結像性能がなくなった場合、 又は当初から全ての露光装置の投 影光学系の結像性能が許容範囲内であった場合に、第 2コンピュータ 9 3 0は、 決定ステップ (ステップ 1 3 8 ) で、 上記最適化処理ステップで設定されてい る補正値をパターンの補正情報として決定し、 第 1コンピュータ 9 2 0に出力 (伝送) するとともに、 R A Mなどのメモリ内にパターンの情報に対応付けて 記憶する。
従って、 上記の如くして決定されたパターンの補正情報又はその補正情報を 用いてもとのパターンを補正したパターンの情報を、 ワーキングレチクルの製 瑋の際に用いることで、 複数の露光装置で共通に使用することができるヮーキ ングレチクルの製造 (製作) を容易に実現することが可能となる。 なお、 本実
施形態のステップ 1 2 6で説明したパターン補正値の算出基準 (設定基準)は、 一例に過ぎず、 例えば許容範囲外となった結像性能の 1 2の値などをパター ン補正値としても良く、 要は、 許容範囲外となった結像性能に応じ、 その結像 性能が許容範囲内となるように設定できる基準であっても良い。。
また、 本実施形態のデバイス製造システム 1 0によると、 第 2コンピュータ 9 3 0は、 上記第 1ステップと第 2ステップとを M回 (所定回数) 繰り返した か否かを判断し (ステップ 1 2 2 )、前記第 2ステップで全ての露光装置の投影 光学系の結像性能が許容範囲内であると判断される前に、 M回繰り返したと判 断した場合に、 最適化不能を表示して (ステップ 1 3 4 ) 処理を終了する。 これは、 例えば、 結像性能の許容範囲が非常に狭い場合や、 パターンの補正 値をあまり大きくしたくない場合などでは、 前述した最適化処理ステップにお いて、 パターン補正値の設定を何度行っても、 要求される条件を満たした状態 で全ての露光装置の適正調整量を算出できない場合が生じ得ることを考慮した ものである。 すなわち、 このような場合に、 第 1ステップと第 2ステップとを 所定回数繰り返した時点で処理を終了 (強制終了) することにより、 無駄な時 間を費やすことを防止するのである。 但し、 結像性能の許容範囲がそれ程狭く ない場合や、 結像性能の許容範囲の広狭によらずパターン補正値が大きくなつ ても良い場合などもあり、 このような場合には、 上記の M回の繰り返しを判断 するステップ 1 2 2などは必ずしも必要ではない。
ここで、 上記の強制終了後の対応方法について簡単に説明する。 例えば A号 機と B号機とで共用可能なレチクルの設計の際に、 上記の強制終了が行われた 場合には、 例えば A号機、 B号機それぞれに最適化したレチクルをそれぞれ設 計 (又は製造) する。 あるいは、 新たに C号機を最適化の候補に加え、 A号機 と C号機、 及び B号機と C号機とを、 それぞれ最適化対象の号機に指定して、 前述の図 5のフローチヤ一卜に従う処理を行うなどの対応が考えられる。 この 場合、 A号機と C号機とで共用可能なレチクルと、 B号機と C号機とで共用可
能なレチクルとがそれぞれ設計 (又は製造) 可能となる。
また、 本実施形態のデバイス製造システム 1 0では、 上述の如く、 レチクル 設計システムを構成する第 2コンピュータ 9 3 0によって図 5のフローチヤ一 卜に従う処理により、 パターンの補正値の情報が決定され、 その決定された補 正値の情報に基づいてもとのパターンを補正することにより、 複数台の露光装 置の投影光学系 P Lにより投影像を形成した際に、 いずれの露光装置において も結像性能が許容範囲内となるパターンの情報が決定される。
そして、 このパターンの情報 (又は上記の補正値の情報) が、 レチクル製造 システム 9 4 2の工程管理用のコンピュータ 9 4 0に与えられることによリ、 レチクル製造システム 9 4 2において、 そのパターンの情報を用いて、 レチク ルブランクス上にパターンが形成され、 複数の露光装置で共通に使用すること ができるワーキングレチクルが容易に製造される。
また、 本実施形態のデバイス製造システム 1 0によると、 レチクル製造シス テム 9 4 2により上記の如くして製造されたワーキングレチクルが、 上記の複 数台の露光装置のうち、 最適化対象の号機として指定された露光装置それぞれ に搭載され、 該露光装置の備える投影光学系 P Lの結像性能をワーキングレチ クルのパターンに合わせて調整した状態で、 そのワーキングレチクル及び投影 光学系 Pしを介してウェハ Wが露光される。 ここで、 そのワーキングレチクル に形成されたパターンは、 そのパターンの情報の決定段階で、 最適化対象とし て指定された (選択された) 複数台の露光装置 (号機) のいずれでも投影光学 系 P Lによる結像性能が許容範囲内になるように決定されているので、 上記の ワーキングレチクルのパターンに合わせた投影光学系 P Lの結像性能の調整に よリ、その結像性能は確実に許容範囲内に調整される。この場合、前述の如く、 パターン補正値の決定のための各露光装置の結像性能の最適化の段階で求めた 調整機構の調整量の値を記憶しておいて、 その値をそのまま用いて投影光学系 の結像性能を調整することとしても良いし、 結像性能の調整パラメータの適正
な値を再度求めても良い。 いずれにしても、 上記の露光により、 ウェハ上には パターンが精度良く転写される。
これまでの説明からもわかるように、 本実施形態では、 ワーキングレチクル の製造時に、 そのパターンの設計に際して、 そのワーキングレチクルの使用が 予定されている複数台の露光装置 (前述の最適化対象として指定された複数台 の号機) の結像性能の最適化を併せて行うので、 次のようなメリットも得られ る。
すなわち、 あるパターン (該パターンが形成されたワーキングレチクル) に 着目すると、そのパターンを使用できる露光装置の範囲が広がる。この反対に、 ある露光装置に着目すれば、 同一のレチクル (マスク) を使用し、 露光装置毎 に結像性能 (収差) の最適化のみを行う場合に比べて、 良好な状態で転写でき る、 他の露光装置と共用が可能なパターンの範囲を広げることが可能となる。 また、 前述した日本国特許第 3 3 4 3 9 1 9号公報に記載のパターンの補正 方法は、 露光装置毎に投影光学系の収差などに起因するパターンの像の線幅差 などの補正を行っていたため、 結果的に各号機毎に別々のパターンが形成され たワーキングレチクルが製造される傾向が高かったのに対し、本実施形態では、 複数の号機でワーキングレチクルの共用が可能となる結果、 レチクルコス卜の 低減、 及び号機の柔軟な運用が可能となる。
なお、 上記実施形態において、 露光装置 9 2 2 ι〜9 2 2 N のうち最適化対 象の号機として指定された少なくとも 1台の露光装置の主制御装置 5 0が、 所 定露光条件下、 例えば前述の最適化露光条件に最も近い基準 I Dにおける調整 情報及び投影光学系 P Lの結像性能に関する情報、 レチクル設計システム 9 3 2及びレチクル製造システム 9 4 2によるワーキングレチクルの製造段階での パターンの補正情報 (この情報は、 第 1コンピュータに問い合わせることによ 入手が可能である) を用いて、 前記パターンの補正情報を考慮した目標露光 条件下における調整装置の適正調整量を算出し、 その算出した調整量に基づい
て、 調整装置を制御することとしても良い。 この場合、 その適正調整量の算出 には、 例えば、 上記実施形態におけるステップ 1 1 4における号機の最適化と 同様の手法を採用することができる。また、この場合、主制御装置 5 0により、 調整装置に信号線を介して接続された処理装置が構成される。
このようにしても、 パターンの補正情報を考慮しない場合に比べてより投影 光学系 P Lの結像性能が良好となるような調整量の算出が可能となる。 また、 パターンの補正情報を考慮しない場合に目標露光条件下で、 投影光学系の結像 性能が予め定められた許容範囲内に収まるような調整量の算出が困難な場合で あっても、 パターンの補正情報を考慮した目標露光条件下における調整装置の 調整量を算出することにより、 投影光学系の結像性能が予め定められた許容範 囲内に収まるような調整量の算出が可能となる場合がある。
そして、 算出された適正調整量に従って調整装置が調整されることにより、 投影光学系の結像性能が、 パターンの補正情報を考慮しない場合に比べて良好 に調整される。 従って、 ワーキングレチクル上のパターンに対する投影光学系 の結像性能の調整能力を実質的に向上させることが可能となる。
なお、 これまでは、 適宜、 説明の便宜上から A号機と B号機とを最適化対象 の号機として採りあげ説明したが、本実施形態のデバイス製造システム 1 0が、 2台の露光装置間でのみワーキングレチクルの共用化を行うものでないことは、 図 5のフローチャートから明らかである。 すなわち、 本実施形態のデバイス製 造システム 1 0によると、 複数台の露光装置 9 2 2丄〜9 2 2 N のうちの任意 の複数台、 最大 N台の露光装置で共通に使用ができるワーキングレチクルの製 造が可能である。
なお、 上記実施形態では、 図 6のステップ 2 0 6において取得した単体波面 収差の情報、 最適化露光条件に最も近い基準 I Dにおける調整量 (調整パラメ タ) の値、 基準 I Dにおける単体波面収差に対する波面収差補正量などを用 いて算出される投影光学系 P Lの波面収差のデータを、 結像性能の算出に用い
るものとしたが(ステップ 2 5 0参照)、 これに限らず、前述した結像性能の最 適化の直前における各号機の調整装置の調整情報及び投影光学系の結像性能の 実測データ、 例えば前述した波面収差計測器 8 0を用いて計測された波面収差 の実測データを、結像性能の算出に用いることとしても良い。かかる場合には、 最適化直前に実際に計測された投影光学系の波面収差の実測データに基づいて、 最適化露光条件下又は目標露光条件下における調整装置の適正調整量が算出さ れるので、 正確な調整量の算出が可能となる。 この場合算出される調整量は、 実測値を基礎とするので、 前述した実施形態で算出されるものに比べても同等 以上の精度の高いものとなる。
この場合において、 実測データとしては、 調整装置の調整情報とともに最適 化露光条件下 (又は目標露光条件下) における調整装置の適正調整量の算出の 基礎となるものであれば如何なるデータをも用いることができる。 例えば、 実 測データは、 波面収差の実測データを含んでいても良いが、 これに限らず、 実 測データは、 最適化露光条件下における任意の結像性能の実測データを含んで いても良い。 かかる場合にも、 その結像性能の実測データと前述したツェル二 ケ感度表 ( Z Sファイル) とを用いることにより、 簡単な演算で波面収差を求 めることが可能である。
なお、 上記実施形態で説明した第 2コンピュータ 9 3 0の処理アルゴリズム は、 一例であって本発明がこれに限定されないことは勿論である。
次に、 上記実施形態の変形例について説明する。 この変形例は、 前述した実 施形態における第 2コンピュータ 9 3 0の処理アルゴリズムに対応するプログ ラムとして、 図 1 9のフローチャートで示されるプログラムを採用した点に特 徴を有し、 システム全体の構成などは、 上記実施形態と同様である。
この図 1 9のフローチャートは、 全体的には、 前述した図 5のフローチヤ一 I 略同様であるが、 パターン補正後の Z Sを計算するステップ (ステップ 1 2 8 ) とカウンタ mをインクリメントするステップ (ステップ 1 3 2 ) との間
に、 ステップ 1 2 9とステップ 1 3 0とが追加されている点が異なる。 以下で は、 この相違点について説明する。
図 1 9のステップ 1 2 9では、 ステップ 1 2 6におけるパターン補正値の更 新前に求められた各号機の適正調整量( 1 9個の調整パラメータの調整量)と、 ステップ 1 2 6でその一部の要素が更新されたパターン補正値 (パターン補正 データ (前述のマトリックス C ) と、 ステップ 1 2 8で更新された Z Sフアイ ルとを用いて、 各号機の全ての評価点における 1 2種類の収差 (結像性能) を 次のようにして算出する。
すなわち、 1 9個の調整パラメータの調整量と、前述した波面収差変化表と、 単体波面収差とに基づいて前述の式 (1 2 ) のマトリックス W aの各要素を求 め、 そのマトリックス W aと、 ステップ 1 2 8で更新された Z Sファイルと、 一部の要素が更新されたマトリックス Cとを用いて、 前述した式 (1 0 ) の演 算を行う。 このようにして、 算出された各号機の全ての評価点における 1 2種 類の収差 (結像性能) が、 例えば R A Mなどのメモリ内の前述の一時格納領域 に、 対応するターゲット (目標値) と許容値とに対応づけて記憶される。
次のステップ 1 3 0では、 上記ステップ 1 2 9で算出された全ての評価点に おける 1 2種類の収差 (結像性能) と対応するターゲットとの差が、 許容値で 規定される許容範囲内であるか否かを、 号機毎に判断することにより、 全ての 号機の結像性能が良好であるか否かを判断する。この場合、ステップ 1 3 0が、 第 2判断ステップに相当し、 ステップ 1 2 0が第 1判断ステップに相当する。 そして、 上記ステップ 1 3 0における判断が否定された場合には、 ステップ 1 3 2に戻り、 カウンタ mを 1インクリメントした後、 前述のステップ 1 1 2 以降の各号機の最適化処理を繰り返し行うこととなるが、 この反対に、 ステツ プ 1 3 0における判断が肯定された場合には、ステップ 1 3 8にジャンプして、 \、テップ 1 2 6でその一部の要素が更新されたパターン補正値 (パターン補正 データ) を、 第 1コンピュータ 9 2 0に出力 (伝送) するとともに、 R A Mな
どのメモリ内にパターンの情報に対応付けて記憶する。
その他のステップの処理は、 前述した図 5のフローチャートと同様である。 この図 1 9のフローチャートに対応するプログラムを、 第 2コンピュータ 9 3 0の処理アルゴリズムに対応するプログラムとして採用した場合には、 ステ ップ 1 3 0で、 全ての露光装置の投影光学系 P Lの結像性能が許容範囲内であ つた場合には、 前述の第 1ステップに戻ることなく、 ステップ 1 3 8 (決定ス テツプに相当) に移行してそのとき設定されている補正値をパターンの補正情 報として決定し、 出力することとなる。 従って、 第 1ステップに戻って再度適 正調整量を算出した後に、 全ての露光装置の投影光学系の結像性能が許容範囲 内であることを確認して、 パターンの補正値を決定する、 前述の実施形態に比 ベて、 短時間でパターン補正値 (パターンの補正情報) を決定し、 出力するこ とが可能となる。
なお、 上記実施形態及び上記変形例においては、 パターン補正値の更新後、 そのパターンの情報をパターン補正値を用いて補正した目標露光条件に対応す る Z Sファイルを新たに計算するものとしたが、 パターン補正値が小さい場合 には、 パターンの補正の前後で Z Sは殆ど変化しないものと考えられるので、 前述のステップ 1 2 8は、 必ずしも設けなくても良い。 あるいは、 パターン補 正値の大小に応じて、 Z Sの再計算の要否を判断することとしても良い。 また、上記実施形態及び上記変形例において、例えば、前述したゥヱイ 卜 (翁 像性能のゥ: I:ィ ト、 視野内の各評価点のゥ: cィ ト) の指定や、 ターゲット (視 野内の各評価点における結像性能の目標値) の指定や、 最適化フィールド範囲 の指定などは、 必ずしもできるようになっていなくても良い。 これらは、 前述 した如くデフォルト設定により予め指定しておくことで対応が可能だからであ る。
同様の理由によリ、 許容値や制約条件の指定も必ずしもできるようにする必 要もない。
この反対に、 上述しなかった他の機能を付加しても良い。 例えば、 評価モー ドの指定ができるようにしても良い。 具体的には、 例えば絶対値モード、 最大 最小幅モード (軸毎、 全体) など評価の仕方を指定できるようにする。 この場 合、最適化計算そのものは常に結像性能の絶対値を目標として、計算するので、 絶対値モードをデフオルト設定とし、 最大■最小幅モードをオプショナルモー ドとする。
具体的には、 例えばディストーションなど、 X軸、 Y軸の軸方向毎に平均値 をオフセットとして差し引いても良い結像性能については、 最大最小幅モード (レンジ,軸毎オフセット) の指定が可能なようにする。 また、 T F D (非点 収差の面内均一性と像面湾曲に依存する総合焦点差) 等の X Y面全体の平均値 をオフセットとして差し引いて良い結像性能については、最大最小幅モード(レ ンジ '全体オフセット) の指定が可能なようにする。
この最大最小幅モードは、計算結果を評価するときに必要となる。すなわち、 幅が許容範囲内か否かを判断することにより、幅が許容範囲内でない場合には、 計算条件 (ウェイ ト等) を変えて再度最適化計算することが可能となる。
また、 上記実施形態では、 複数組の 2本のラインパターンから成るパターン を対象パターンとして想定し、 このパターンのうち少なくとも 1組でその 2本 のラインパターンの線幅差 (すなわち、 コマ収差の指標値である線幅異常値に 対応)を補正するためのパターン補正値を、算出する場合について説明したが、 本発明がこれに限定されるものではない。 すなわち、 例えば、 上記のパターン における各 2本のラインパターンの位置ずれ (X Y面内での位置ずれ) の補正 を、前述の線幅差の補正とともに行うことを目的とする場合には、前述の式( 1 4 ) で示されるマトリックス Cに代えて、 次式 (4 9 ) で示されるマトリック ス C ' を用いて、 前述の式 (1 0 ) の計算を行うこととすれば良い。
上式 (4 9 ) において、 Ci ^ は、 i番目の計測点における X軸方向のディ ストーシヨン Dis
x の補正値 (すなわちパターンの X軸方向の位置ずれ量の補 正値)、 C
i > 2 は、 ί番目の計測点における Y軸方向のディストーション Dis
y の補正値 (すなわちパターンの Y軸方向の位置ずれ量の補正値) である。 勿論、 上記のパターンにおける各 2本のラインパターンの位置ずれ (X Y面 内での位置ずれ) の補正のみを行うことを目的とする場合には、 上述のマトリ ックス C ' 中の 3 4 5 6列目の要素を全て 0としたマトリックスを、 マ トリックス Cに代えて用いることとすれば良い。
第 2コンピュータ 9 3 0の処理アルゴリズムの上述した種々の変更は、 ソフ トウエアを変更することにより容易に実現できる。
なお、 上記実施形態で説明したシステム構成は、 一例であって、 本発明に係 るパターン決定システムがこれに限定されるものではない。 例えば、 図 2 0に 示されるコンピュータシステムの如く、 公衆回線 9 2 6 ' をその一部に含む通 信路を有するシステム構成を採用しても良い。
この図 2 0に示されるシステム 1 0 0 0は、 露光装置等のデバイス製造装置 のユーザであるデバイスメーカ (以下、 適宜 「メーカ A」 と呼ぶ) の半導体ェ 場内のリソグラフィシステム 9 1 2と、 該リソグラフィシステム 9 1 2にその 一^ 5に公衆回線 9 2 6 'を含む通信路を介して接続されたマスクメーカ(以下、 適宜 「メーカ B」 と呼ぶ) 側のレチクル設計システム 9 3 2及ぴレチクル製造
システム 9 4 2と、 を含んで構成されている。
この図 2 0のシステム 1 0 0 0は、 例えばメーカ Bが、 メーカ Aからの依頼 を受け、 露光装置 9 2 2 i〜 9 2 2 N のうちの複数台で共通に使用が予定され ているワーキングレチクルを製造する場合などに、 特に好適である。
また、 上記実施形態で説明したリソグラフィシステム 9 1 2とレチクル製造 システム 9 4 2とを、 同一のクリーンルーム内に設置しても良い。 この場合、 レチクル製造システム 9 4 2を構成する光露光装置 9 4 5を設けることなく、 C Z D 9 4 6と少なくとも 1台の露光装置 9 2 2とをインラインにて接続し、 その露光装置 9 2 2を、 前述の光露光装置 9 4 5の代わりにしても良い。 この 場合、 その露光装置のウェハステージ W S Tとして、 ウェハホルダと基板ホル ダとを交換可能な構造を有するものを採用する。
また、 上記実施形態及び図 2 0の変形例では、 第 2コンピュータ 9 3 0内に 前述のレチクル設計システムが格納されている場合について説明したが、 これ に限らず、 例えば少なくとも 1台の露光装置 9 2 2が備えるドライブ装置 4 6 にレチクル設計プログラム及びこれに付属するデータベースを記録した C D— R O Mを装填し、 C D— R O Mドライブからレチクル設計プログラム及びこれ に付属するデータベースをハードディスクなどの記憶装置 4 2内にインストー ル及びコピーしておいても良い。 このようにすれば、 露光装置 9 2 2のォペレ ータが、 前述した第 2コンピュータ 9 3 0のオペレータと同様の操作を行うこ とにより、 自装置とレチクルの共用化を図りたい他の露光装置とのいずれでも 使用できるパターン補正値 (パターンの補正情報) を得ることが可能になり、 そのパターンの補正情報を、 電話、 ファクシミリ、 電子メールなどで、 自社の マスク製造部門、 又はマスクメーカなどに送るなどすることで複数台の露光装 置で共用を予定しているワーキングレチクルを確実に製造させることができる ( た、 パターン補正値の決定、 レチクルの製造、 露光装置における投影光学系 の結像性能の最適化などの各種の処理アルゴリズムに対応するプログラムは、
単一のコンピュータ (例えばリソグラフイエ程を一括管理するコンピュータな ど) によって実行される構成としても良いし、 処理アルゴリズム毎あるいは処 理アルゴリズムの任意の組み合わせに対応するプログラムを、 複数のコンビュ —タがそれぞれ実行する構成としても良い。
なお、 上記実施形態及び変形例で説明したパターン補正値の決定方法は、 本 発明のパターン決定方法の一例であり、 本発明のパターン決定方法がこれに限 定されないことは勿論である。 すなわち、 本発明のパターン決定方法は、 複数 台の露光装置で用いられるマスクに形成すべきパターンの情報を決定するバタ ーン決定方法であって、 前記複数台の露光装置の投影光学系によるパターンの 投影像の形成時の所定の結像性能がともに許容範囲内となるように、 パターン の情報を決定するものであれば良い。 かかる場合には、 その決定されたパター ンの情報をマスクの製造の際に用いることで、 複数の露光装置で共通に使用す ることができるマスクの製造 (製作) を容易に実現することが可能となる。 この結果、 上述した 2つのメリット、 すなわち、 同一のマスクを使用し、 露 光装置毎に結像性能 (収差) の最適化のみを行う場合に比べて、 良好な状態で 転写できる、 他の露光装置と共用が可能なパターンの範囲を広げることができ るメリット、 及び複数の露光装置でマスクの共用が可能となる結果、 マスクコ ス卜の低減、 及び露光装置の柔軟な運用が可能になるというメリットを、 得る ことができる。
なお、 上記実施形態及び変形例のレチクル製造システム 9 4 2では、 E B露 光装置 9 4 4にてマスターレチクルを製造し、 このマスターレチクルを用いて 光露光装置 9 4 5にてワーキングレチクルを製造するものとしたが、 レチクル 製造システム 9 4 2はこの構成に限られるものでなく、 例えば光露光装置 9 4 5を設けないで E B露光装置 9 4 4のみを用いてワーキングレチクルを製造す るシステムでも構わない。
また、 上記実施形態及び変形例では、 オペレータが各種条件の入力などを行
うものとしたが、 例えば必要な各種露光条件の設定情報をデフオル卜の設定値 として設定しておき、 この設定値に従って第 2コンピュータ 9 3 0が、 前述し た各種処理を行うものとしても良い。 このようにすると、 オペレータを介在さ せることなく各種処理を行うことが可能になる。 この場合、 表示画面上の表示 は、 前述と同様に行うものとしても良い。 あるいは、 上記のデフォルト設定と 異なる各種条件の設定のためのファイルを予めオペレータが作成しておき、 こ のファイルの設定データを第 2コンピュータ 9 3 0の C P Uが必要に応じて読 み込み、 その読み込んだデータに従って前述の各種処理を行うようにしても良 い。 このようにする場合には、 上記と同様、 オペレータを介在させる必要がな くなるのに加え、 デフォルト設定とは異なる、 オペレータが希望する条件設定 に従って各種処理を第 2コンピュータ 9 3 0に行わせることが可能になる。 なお、 上記実施形態では、 投影光学系の結像性能の実測データとして波面収 差の実測データを用いる場合、 その波面収差の計測に例えば波面収差計測器を 用いることができるが、 その波面収差計測器として全体形状がウェハホルダと 交換可能な形状を有する波面収差計測器を用いても良い。 かかる場合には、 こ の波面収差計測器は、 ウェハ又はウェハホルダをウェハステージ WS T ( Zチ ルトステージ 5 8 ) 上に搬入し、 ウェハステージ W S T ( Zチルトステージ 5 8 ) から搬出する搬送系 (ウェハローダなど) を用いて自動搬送することが可 能である。 また、 波面収差計測器は図 3、 図 4 A、 図 4 Bの構成に限られるも のでなく任意で構わない。 なお、 ウェハステージに搬入される波面収差計測器 は、 例えば前述の波面収差計測器 8 0の全てが組み込まれていなくても良く、 その一部のみが組み込まれ、 残りがウェハステージの外部に設けられていても 良い。 さらに、 上記実施形態では、 ウェハステージに対して波面収差計測器 8 0を着脱自在としたが、 常設としても良い。 このとき、 波面収差計測器 8 0の 了部のみをウェハステージに設置し、 残りをウェハステージの外部に配置して も良い。 さらに上記実施形態では、 波面収差計測器 8 0の受光光学系の収差を
無視するものとしたが、 その波面収差を考慮して投影光学系の波面収差を決定 しても良い。 また、 波面収差の計測に例えば米国特許第 5 , 9 7 8,0 8 5号に 開示された計測用レチクルを用いる場合には、 ウェハ上のレジスト層に転写さ れ形成された計測用パターンの潜像の基準パターンの潜像に対する位置ずれを、 例えば露光装置が備えるァライメント系 A L Gによって検出することとしても 良い。 なお、 計測用パターンの潜像を検出する場合には、 ウェハなどの物体上 の感光層としてフォトレジストを用いても良いし、 あるいは光磁気材料などを 用いても良い。さらに、露光装置とコ一タ 'デベロツバとをインライン接続し、 前述の計測用パターンが転写されたウェハなどの物体を現像処理して得られる レジスト像、 さらにはエッチング処理をして得られるエッチング像を露光装置 のァライメント系 A L Gで検出しても良い。 また、 露光装置とは別に専用の計 測装置を設けて計測用パターンの転写像 (潜像、 レジスト像など) を検出し、 この結果を L A N、 インターネットなどを介して、 あるいは無線通信により露 光装置に送るようにしても良い。
なお、 上記実施形態及び変形例では、 通信路として L A N、 あるいは L A N 及び公衆回線、 その他の信号線を用いる場合について説明したが、 これに限ら ず、 信号線や通信路は有線でも無線でも良い。
なお、 上記実施形態及び変形例では 1 2種類の結像性能を最適化するものと したが、 結像性能の種類 (数) はこれに限られるものではなく、 最適化の対象 となる露光条件の種類を変更することで、 更に多くの結像性能、 あるいはより 少ない結像性能を最適化しても良し、。例えば前述のツェルニケ感度表(Zernike Sensitivity) に評価量としても含まれる結像性能の種類を変更することとすれ ば良い。
また、 上記実施形態及び変形例ではツェルニケ多項式の第 1項〜第 n項の各 係数を全て用いるものとしているが、 第 1項〜第 n項の少なくとも 1つの項で その係数を用いなくても良い。例えば、第 2項〜第 4項の各係数を用いないで、
対応する結像性能を従来通りに調整しても良い。 この場合、 これら第 2項〜第 4項の各係数を用いない場合、 対応する結像性能の調整を、 前述の可動レンズ 1 3 ι〜 1 3 5 の少なくとも 1つの 3自由度方向の位置の調整で行っても良い が、 ウェハ W ( Zチルトステージ 5 8 ) の Z位置及び傾斜の調整で行っても良 い。
また、 上記実施形態及び変形例では、 波面計測装置で、 ツェルニケ多項式の 第 8 1項まで、波面収差計測器の場合に第 3 7項までを算出するものとしたが、 これに限定されるものではなくその項は任意で構わない。 例えば、 いずれの場 合にも第 8 2項以上の項をも算出するものとして良い。 同様に、 前述した波面 収差変化表なども、第 1項〜第 3 7項に関するものに限定されるものではない。 さらに、 上記実施形態及び変形例では最小自乗法 (Least Square Method)ま たは減衰最小自乗法 (Damped Least Square Method)によリ最適化を行うもの としたが、 例えば (1) 最急降下法 (Steepest Decent Method)や共役勾配法 (Conjugate Gradient Method)などの勾配法、(2) Flecible Method, (3) Variable bv Variable Methods (4) Orthonomalization Methods (5) Adaptive Method (6) 2次微分法、 (7) Grobal Optimization by Simulated annealings (8) Grobal Optimazation by Biological evolution、 及び (9)這伝的ァゾレ コ リ ズム (US2001/0053962Aを参照) などを用いることが可能である。
また、 上記実施形態及び変形例では、 照明条件の情報として、 通常照明では σ値 (コヒーレンスファクタ)、輪帯照明では輪帯比を用いるものとしたが、輪 帯照明で輪帯比に加えて、あるいはその代わりに内径や外径を用いても良いし、 4極照明などの変形照明 (S H R I N C又は多極照明とも呼ばれる) では、 照 明光学系の瞳面上における照明光の光量分布はその一部、 すなわち照明光学系 の光軸との距離がほぼ等しい位置にその光量重心が設定される複数の部分領域 で 量が高められるので、 照明光学系の瞳面における複数の部分領域 (光量重 心) の位置情報 (例えば、 照明光学系の瞳面で光軸を原点とする座標系におけ
る座標値など)、複数の部分領域 (光量重心) と照明光学系の光軸との距離、 及 び部分領域の大きさ (σ値に相当) などを用いても良い。
さらに、 上記実施形態及び変形例では、 投影光学系 P Lの光学素子を移動し て結像性能を調整するものとしたが、 結像性能調整機構は光学素子の駆動機構 に限られるものではなく、 その駆動機構に加えて、 あるいはその代わりに、 例 えば投影光学系 P Lの光学素子間での気体の圧力を変更する、 レチクル Rを投 影光学系の光軸方向に移動又は傾斜させる、 あるいはレチクルとウェハとの間 に配置される平行平面板の光学的な厚さを変更する機構などを用いても良い。 但し、 この場合には上記実施形態又は変形例における自由度の数が変更され得 る。
なお、 上記実施形態では、 露光装置としてスキャナを用いる場合について説 明したが、 これに限らず、 例えば米国特許第 5 , 2 4 3 , 1 9 5号等に開示さ れるマスクと物体とを静止した状態でマスクのパターンを物体上に転写する静 止露光方式の露光装置 (ステツパなど) を用いても良い。
さらに、 上記実施形態及び変形例では複数台の露光装置が同一構成であるも のとしたが、 照明光 E Lの波長が異なる露光装置を混用しても良いし、 あるい は構成が異なる露光装置、 例えば静止露光方式の露光装置 (ステツパなど) と 走査露光方式の露光装置 (スキャナなど) とを混用しても良い。 また、 複数台 の露光装置の一部を、 電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光 装置と、 X線又は E U V光を用いる露光装置との少なくとも一方としても良い。 また、 例えば国際公開 WO 9 9 4 9 5 0 4号などに開示される、 投影光学系 P Lとウェハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置を用いても良い。 液浸 型露光装置は、 反射屈折型の投影光学系を用いる走査露光方式でも良いし、 あ るいは投影倍率が 1 Ζ 8の投影光学系を用いる静止露光方式でも良い。 後者の 浸型露光装置では、 基板上に大きなパターンを形成するために、 ステップ ' アンド■スティツチ方式を採用することが好ましい。 さらに、 例えば特開平 1
0— 2 1 4 7 8 3号公報及び対応する米国特許第 6, 3 4 1 , 0 0 7号、 及び 国際公開第 9 8 X 4 0 7 9 1号パンフレツト及び対応する米国特許第 6 , 2 6 2 , 7 9 6号などに開示されているように、 それぞれ独立に可動な 2つのゥェ ハステージを有する露光装置を用いても良い。
なお、 図 1中に示した露光装置 9 2 2 Nは半導体製造用の露光装置に限定さ れることなく、 例えば、 角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写 する液晶用の露光装置、 プラズマディスプレイ又は有機 E Lなどの表示装置、 撮像素子( C C Dなど)、薄膜磁気へッド、マイクロマシーン及び D N Aチップ などを製造するための露光装置などでも良い。 また、 半導体素子などのマイク 口デバイスだけでなく、 光露光装置、 E U V露光装置、 X線露光装置、 及び電 子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、 ガラス 基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置でも良い。 また、 上記実施形態の露光装置の光源は、 F 2 レーザ、 A r Fエキシマレー ザ、 K r Fエキシマレーザなどの紫外パルス光源に限らず、 連続光源、 例えば g線 (波長 4 3 6 n m)、 i線 (波長 3 6 5 n m) などの輝線を発する超高圧水 銀ランプを用いることも可能である。 さらに、 照明光 E Lとして、 X線、 特に E U V光などを用いても良い。
また、 D F B半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、 又 は可視域の単一波長レーザ光を、 例えばエルビウム (又はエルビウムとイツテ ルビゥムの両方) がドープされたファイバーアンプで増幅し、 非線形光学結晶 を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。 また、 投影光学系の倍 率は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良い。 また、 投影光学系と しては、 屈折系に限らず、 反射光学素子と屈折光学素子とを有する反射屈折系 (力タツディオプトリック系) あるいは反射光学素子のみを用いる反射系を用 し VTも良い。 なお、 投影光学系 P Lとして反射屈折系又は反射系を用いるとき は、 前述した可動の光学素子として反射光学素子 (凹面鏡や反射鏡など) の位
置などを変更して投影光学系の結像性能を調整する。また、照明光 E Lとして、 特に A r 2 レーザ光、 又は E U V光などを用いる場合には、 投影光学系 P Lを 反射光学素子のみから成るオール反射系とすることもできる。 但し、 A r 2 レ 一ザ光や E U V光などを用いる場合にはレチクル Rも反射型とする。
なお、 半導体デバイスは、 前述の如くしてワーキングレチクルを製造するス テツプ、 シリコン材料からウェハを製造するステップ、 前述した実施形態に係 る露光装置によりレチクルのパターンをウェハに転写するステップ、 デバイス 組み立てステップ (ダイシング工程、 ボンディング工程、 パッケージ工程を含 む)、検査ステップ等を経て製造される。 このデバイス製造方法によると、 リソ グラフイエ程で、 前述した実施形態に係る露光装置を用いて露光が行われるの で、 対象パターンに応じて結像性能が調整された投影光学系 P Lを介してヮー キングレチクルのパターンがウェハ上に転写され、 これにより、 微細パターン を重ね合せ精度良くウェハ (感応物体) 上に転写することが可能となる。 従つ て、 最終製品であるデバイスの歩留まりが向上し、 その生産性の向上が可能と なる。
産業上の利用可能性
以上説明したように、 本発明のパターン決定方法及びパターン決定システム 、 並びに本発明のマスク製造方法は、 複数の露光装置で共通に使用できるマス クの製造 (製作) に適している。 また、 本発明の結像性能調整方法は、 投影光 学系の結像性能の調整に適している。また、本発明の露光方法及び露光装置は、 マスク上のパターンを物体上に転写するのに適している。 また、 本発明のプロ グラム及び情報記録媒体は、 複数台の露光装置で用いられるマスクを、 コンビ ユータを用いて設計するのに適している。