JPWO2020090494A1 - 中空糸膜紡糸口金および中空糸膜の製造方法 - Google Patents

中空糸膜紡糸口金および中空糸膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020090494A1
JPWO2020090494A1 JP2019558641A JP2019558641A JPWO2020090494A1 JP WO2020090494 A1 JPWO2020090494 A1 JP WO2020090494A1 JP 2019558641 A JP2019558641 A JP 2019558641A JP 2019558641 A JP2019558641 A JP 2019558641A JP WO2020090494 A1 JPWO2020090494 A1 JP WO2020090494A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
fiber membrane
discharge
spinning
stock solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019558641A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020090494A5 (ja
Inventor
竜太 田宮
竜太 田宮
誠之 山田
誠之 山田
上野 良之
良之 上野
和実 田中
和実 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JPWO2020090494A1 publication Critical patent/JPWO2020090494A1/ja
Publication of JPWO2020090494A5 publication Critical patent/JPWO2020090494A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D69/08Hollow fibre membranes
    • B01D69/085Details relating to the spinneret
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D67/00Processes specially adapted for manufacturing semi-permeable membranes for separation processes or apparatus
    • B01D67/0002Organic membrane manufacture
    • B01D67/0009Organic membrane manufacture by phase separation, sol-gel transition, evaporation or solvent quenching
    • B01D67/0016Coagulation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D69/08Hollow fibre membranes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D69/00Semi-permeable membranes for separation processes or apparatus characterised by their form, structure or properties; Manufacturing processes specially adapted therefor
    • B01D69/08Hollow fibre membranes
    • B01D69/087Details relating to the spinning process
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01DMECHANICAL METHODS OR APPARATUS IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS
    • D01D5/00Formation of filaments, threads, or the like
    • D01D5/24Formation of filaments, threads, or the like with a hollow structure; Spinnerette packs therefor
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2323/00Details relating to membrane preparation
    • B01D2323/42Details of membrane preparation apparatus
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2323/00Details relating to membrane preparation
    • B01D2323/50Control of the membrane preparation process

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

本発明は、吐出口が衝撃に対して破損する懸念の少なく、ドラフト比が大きくても糸切れが発生しにくい中空糸膜紡糸口金を提供することを目的とする。さらに、本発明の中空糸膜紡糸口金を備え、浄水器に必要な分画性能と透水性能を有する中空糸膜の製造方法を提供することを目的とする。そのための構成は、次のとおりである。中空糸膜紡糸口金は、吐出面に、注入液体を吐出するための注入液体吐出口と、この注入液体吐出口を囲む紡糸原液を吐出するための環状のスリット(紡糸原液吐出口)とが形成された二重管構造の中空糸膜紡糸口金であって、前記吐出面に、前記環状のスリットを包囲する環状の凹みがさらに形成される構成である。

Description

本発明は、中空糸膜紡糸口金、およびこの中空糸膜紡糸口金を備えた紡糸機を用いて紡糸を行う中空糸膜の製造方法に関する。
中空糸膜は、腎不全患者の血液浄化器などの医療用途や、浄水器用などの水処理用途に広く用いられている。中空糸膜の製造方法は、溶融紡糸・延伸開孔法、熱誘起相分離法、非溶媒誘起相分離法、等がある。非溶媒誘起相分離法による製造方法では、外管の内側に内管が挿入された二重管構造の口金を用い、外管より紡糸原液を内管より注入液体を同時に吐出させた後、乾式部と呼ばれる空走区間を通過させ、凝固浴中に導入して中空糸膜を得て、その中空糸膜を巻き取る。非溶媒誘起相分離法にはポリスルホン系ポリマーが多く用いられる。
また、浄水器用のカートリッジに要求される特性は、高い濾過流量を有すること、高い物質除去特性を有すること、長いカートリッジ寿命を有することである。そのために、浄水器用途では、高い透水性能およびシャープな物質分画性能を有する中空糸膜の開発が行われてきた。
浄水器用途で用いられる中空糸膜は、単位容積あたりの膜面積を多くとれるという観点から、中空糸膜の外側から内側方向に通液する形態で多く用いられる。そして、耐ファウリング性という観点から、中空糸膜の外表面部分に緻密層を設けることが多い。さらに、浄水器用カートリッジの製品寿命という観点からは、中空糸膜の外径を細径化して、浄水器用カートリッジの単位容積あたりの膜面積を大きくすることが有効だと知られている。しかしながら、中空糸膜の外径を細径化するに伴い、糸切れの懸念が高まることから、多様な糸径の中空糸膜を安定して紡糸可能な二重管構造の口金が求められる。
通常、二重管構造の紡糸口金において、内管による吐出口と外管による吐出口とは同じ高さの吐出面に形成されることが多い。しかしながら、例えば、特許文献1には、中空糸膜の機械的強度の低減による糸切れを抑制すべく、紡糸口金の内管の吐出口が、外管の吐出口より0.3〜20mm突出した二重管構造の紡糸口金が開示されている。さらに、0.95〜1.3のドラフト率で紡糸することで、紡糸速度を高くしても十分な機械的特性を持った中空糸膜を得る方法が開示されている。
また、特許文献2には、二重管構造の紡糸口金に電界をかけた中空糸膜の製法が開示されている。具体的には、内管と外管とが絶縁体で隔てられた二重管構造の口金で、各管には電極が設けられている。内管と外管は吐出面から飛び出していないが、吐出面は、外管の外側に拡がっておらず、狭い領域である。
特開2004−305953号公報 特公平7−53925号公報
ところで、中空糸膜の細径化のために、二重管構造の口金から吐出している紡糸原液と注入液体の吐出量を変動させると吐出線速度が低下する。そうすると、紡糸原液と注入液体を含む吐出される溶液が、二重管構造の口金の吐出面で外管より外側の金属部分に、張り付く現象が起こる。つまり、吐出された溶液が、表面張力によって吐出面に拡がる。この張り付きによりドラフト比が大きくなることで、凝固浴に到達する前に糸切れする場合がある。ここで、ドラフト比とは、紡糸口金から吐出する吐出線速度に対する引取速度の比である。
特許文献1に開示されている紡糸方法では、ドラフト比の範囲が非常に狭く、多様な糸径の中空糸膜を採取することは難しい。特許文献1では、内管の吐出口は突出しているが、外管の吐出口は吐出面に形成されているので、吐出された溶液が表面張力によって吐出面に拡がってしまい、紡糸安定性に課題があった。また、特許文献1に開示されている紡糸口金は、内管の吐出口が突出しており、原液および注入液体吐出口の間の薄い金属部がむき出しになっているため、外部からのわずかな衝撃に対しても破損する懸念がある。
特許文献2に開示されている紡糸口金は、原液および注入液体の吐出口を突出させた構造(吐出口は吐出面から突出していないが、吐出面は狭く、突き出たように見える)となっているが、突出させることによる効果については、何も開示されていない。外管と内管を自立させるために外管のパイプ厚みを厚くし吐出面が拡がるので、吐出溶液が吐出面に張り付き、ドラフト比が大きくなって糸切れ発生する課題がある。また、突出している金属部がむき出しとなることから、特許文献1と同様に、外部からのわずかな衝撃に対しても破損する懸念がある。
上記課題を解決する中空糸膜紡糸口金は、吐出面に、注入液体を吐出するための注入液体吐出口と、この注入液体吐出口を包囲する紡糸原液を吐出するための環状のスリット(紡糸原液吐出口)とが形成された二重管構造の中空糸膜紡糸口金であって、前記吐出面に、前記環状のスリットを包囲する環状の凹みがさらに形成された、中空糸膜紡糸口金である。
そして、中空糸膜紡糸口金は、吐出面における前記環状の凹みの内径と前記環状のスリットの内径とで囲まれたリングの面積S1、および、前記吐出面における前記環状のスリットの面積S2が、S2/S1≧0.4を満たす中空糸膜紡糸口金である。
また、上記課題を解決する中空糸膜製造方法は、前記のいずれかの中空糸膜紡糸口金を備えた紡糸機を用い、前記注入液体吐出口から注入液体を、前記環状のスリットから紡糸原液を吐出し、仮吐出線速度V1[m/分]と中空糸が引き取られる速度V2[m/分]との比である仮吐出ドラフトV2/V1が30以下となるように紡糸する、中空糸膜の製造方法である。
ただし、仮吐出線速度V1=Q/S3
Q[cm/分]:紡糸原液と注入液体の合計吐出量
S3[mm]:環状の凹みの内径で囲まれた面積 とする。
さらに、前記の中空糸膜の製造方法は、上記注入液体の凝固価が10以上であることが好ましい。
本発明によれば、口金における吐出口から吐出された溶液が吐出直後に、吐出面に張り付く現象が発生しにくく、吐出された溶液が表面張力によって吐出面に拡がることを抑制でき、糸切れが発生することなく安定な紡糸ができる中空糸膜紡糸口金が提供される。また、吐出口が衝撃に対して破損する懸念の少ない中空糸膜紡糸口金が提供される。この中空糸膜紡糸口金備えた紡糸機を用いることで、浄水器に必要な分画性能(0.3μm以上の粒子の除去性能)と透水性能を有する様々な糸径の中空糸膜を、安定的に製造することができる。
本発明の中空糸膜紡糸口金の一例を、吐出面から観察した概略平面図である。 本発明の中空糸膜紡糸口金の一例を、吐出面に垂直な面で切断したときの概略断面図である。 本発明の中空糸膜紡糸口金から紡糸原液と注入液体が吐出した状態を示す模式図である。 従来の中空糸膜紡糸口金の一例を、吐出面から観察した概略平面図である。 従来の中空糸膜紡糸口金の一例を、吐出面に垂直な面で切断したときの概略断面図である。 従来の中空糸膜紡糸口金から紡糸原液と注入液体が吐出した状態を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
浄水器用に用いられる中空糸膜に求められる性能には、主に透水性能と分画性能がある。浄水器用の中空糸膜の透水性能としては、例えば中空糸膜の外径が450μm以上であれば、80ml/(Pa・hr・m)以上であることが好ましい。より好ましくは90ml/(Pa・hr・m)以上、さらに好ましくは100ml/(Pa・hr・m)以上である。中空糸膜の外径を細くすると、単位容積あたりの膜面積を多くとれるため、長寿命化の観点からは、細径化することが好ましい。外径を300μmに細径化した中空糸膜であれば、透水性能は30ml/(Pa・hr・m)以上が好ましい。より好ましくは40ml/(Pa・hr・m)以上、さらに好ましくは50ml/(Pa・hr・m)以上である。
浄水器用の中空糸膜は、細菌を除去できることが求められる。そのため、分画性能としては、中空糸膜の外径に関わらず、粒子径0.3μmのラテックスビーズ粒子の除去率が99%以上であることが好ましい。
本発明の中空糸膜の製造方法は、例えば非溶媒誘起相分離法によって、二重管構造の中空糸膜紡糸口金を用いて液体注入法で非対称構造の中空糸膜を製造する。非溶媒誘起相分離法では、中空糸膜紡糸口金の環状のスリット1部に紡糸原液を、注入液体吐出口に非凝固性等の液体を注入して、中空糸膜の中空形状を形成する。紡糸原液は、例えば非凝固性等の液体とともに中空糸膜紡糸口金の環状のスリット1部から吐出され、所定の区間を空走した後、下流側に設けられている凝固浴に導かれる。そして、紡糸原液は凝固浴によって中空形状に凝固され中空糸膜となる。そしてこの中空糸膜は水洗され、その後、かせに巻き取られる。
中空糸膜紡糸口金について、構成および構造を以下に説明する。
本発明において、「二重管構造の中空糸膜紡糸口金」とは、注入液体吐出口と紡糸原液吐出口(環状のスリット1)を含み、紡糸原液吐出口(環状のスリット1)が、注入液体吐出口を包囲し、吐出口が二重構造になっている口金をいう。
本発明において、「吐出面」とは、溶液の吐出を行う吐出口を含む平面のことである。内管の下端部と外管の下端部、および、注入液体吐出口と紡糸原液吐出口(環状のスリット1)を含み、さらにその周囲の部分を含む面を指す。口金において、吐出面は下端部に含まれることが多い。吐出面は、吐出口の周辺に広がる同一高さの平面部をいう。
口金には、溶液が吐出される注入液体吐出口と紡糸原液吐出口(環状のスリット1)が開いており、注入液体吐出口から溶液を吐出すると同時に、紡糸原液吐出口(環状のスリット1)から別の溶液を吐出する。通常、紡糸原液吐出口(環状のスリット1)から吐出する溶液が、製膜工程を経て中空膜、すなわち、中心が空洞の中空糸膜を形成する。
二重管構造の中空糸膜紡糸口金は、吐出面に、紡糸原液吐出口(環状のスリット1)を形成する孔を設け、その内側に注入液体吐出口を形成する内管を有する構造である。ここで、外管は、紡糸原液吐出口(環状のスリット1)の外周を形成している。すなわち、外管は、環状の形態でも、吐出面および/または口金と一体となった広い平面の形態であってもよい。
本発明において、環状のスリット1とは、注入液体吐出口を包囲し、紡糸原液を吐出するためのリング状の間隙をいう。代表的には、内管と外管の間にあるリング状の間隙を、「環状のスリット1」と呼ぶ。構造上、環状のスリット1は、中空糸の断面における中心からみて、内管の外側と外管の内側とで囲まれた空間である。
口金には、前述の、注入液体吐出口と紡糸原液吐出口(環状のスリット1)と吐出面のほかに、吐出溶液を流す流路、フィルター等を含む。複数の口金が1つの構造体に設けられている場合、全体を口金構造体という。口金構造体の各口金は、少なくとも、各吐出面と、各注入液体吐出口と各紡糸原液吐出口(環状のスリット1)を含んでいる。複数の口金が形成された口金構造体において、吐出面は、一様に拡がっており、隣接する口金と共通の平面であってもよい。
さらに、本発明における、吐出面に、環状のスリット1を包囲する「環状の凹み2」について、図面を用いて説明する。
図1は、中空糸膜紡糸口金を、溶液が吐出される方向から観察した概略平面図である。図中、符号4は金属部であるが、中心から最内層にある1番目のリング状の金属部4が内管である。中心から2番目にあるリング状の金属部4が外管である。外管は、吐出面上で、紡糸原液吐出口の外周を形成している。
そして、図1に示すように、吐出面は円形でもよいし、多角形状でもかまわない。
図1において、各金属部4で区切られた領域について説明する。中心から最内層にある1番目のリング状の金属部4の内側までの空間は、注入液体吐出口3であり、注入液体を吐出する孔である。最内層にある1番目のリング状の金属部4と2番目にあるリング状の金属部4とに挟まれた間隙は、環状のスリット1で、ここから紡糸原液が吐出される紡糸原液吐出口である。2番目にあるリング状の金属部4の中心からみて外側にある外壁と3番目のリング状の金属部4とに挟まれた領域は、環状の凹み2である。環状の凹み2は、吐出平面から口金内部方向(図1では紙面奥に向けて)に、低く凹んでいる。図1において、中心から2番目にあるリング状の金属部4の高さは、凹みより高くなっているが、吐出面と同じ高さの平面上にあって吐出面からは突出していない(図2参照)。環状の凹み2の作用と効果については、後述する。
さらに、図1において、中心から3番目のリンク状の金属部4は、吐出面に、環状の凹み2の外側をさらに包囲する保護部である。保護部は、吐出面上にあって環状の凹み2の外側で、吐出面と同じ高さが好ましい。同じ高さとは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、1mm程度違ってもよい。図2では、保護部が吐出面と同じ高さの態様を示している。
次に、中空糸膜の材質と環状のスリット1(すなわち紡糸原液吐出口)から吐出する紡糸原液、さらに、注入液体吐出口から吐出する注入液体について説明する。
上記の中空糸膜は疎水性高分子を含んでおり、この疎水性高分子が中空糸膜の基材を構成する。疎水性高分子としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレートなどのポリスルホン系高分子を用いることが好ましい。これらの中でも、ポリスルホンがより好ましく用いられる。また、ポリビニリデンジフルオリドなどのフッ素系樹脂、セルローストリアセテート、セルロースジアセテートなどのセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミドも適宜選択できる。
紡糸原液には、ポリスルホン系ポリマー等の中空糸膜構成成分が溶解されている。ポリマーを溶解する溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジオキサン等、多種の溶媒が用いられる。特にN,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましく、紡糸原液の粘度や注入液体の凝固性に応じて適宜選択すればよい。
二重管構造の中空糸膜紡糸口金の中心の注入液体吐出口3に注入される液体は、所望する中空糸膜の形態に合わせて、凝固性であるもの、もしくは非凝固性であるものを適宜選択することができる。
中空糸膜の紡糸工程で、貧溶媒で中空糸膜の相分離を誘起する場合には、貧溶媒を含有する注入液体を注入液体吐出口3から吐出し、紡糸原液に接触させて、貧溶媒からなる凝固浴で固化させる。貧溶媒は拡散によって中空糸膜の内部に供給されるため、中空糸膜の膜厚方向で貧溶媒の供給量が変化する。よって、中空糸膜の膜厚方向断面の孔径が中空糸膜の一方の表面から他方の表面に向けて大きくなる構造となる。そのため、貧溶媒を含有する注入液体と紡糸原液とを吐出直後に接触させることが好ましい。注入液体を貧溶媒と良溶媒の混合液として濃度を調製すれば、凝固性が変わり、注入液体と接触する側の表面の孔の短径と緻密層の厚みを制御できる。
注入液体に凝固性の液体を用いた場合、内表面から凝固が始まるため、中空糸膜の内表面側に緻密層が形成される。一方、注入液体に非凝固性の液体を用いた場合には、凝固浴までの空走部分で供給される貧溶媒を含む冷風、下流側に設けられる貧溶媒からなる凝固浴によって凝固が始まるため、中空糸膜の外表面側に緻密層が形成される。そのため、中空糸膜の外表面側から内表面側にろ過する流れで用いられる浄水器用途の場合には、非凝固性の液体が注入液体として好適に用いられる。
本発明の製造方法では、紡糸原液の組成、注入液体の組成、口金から紡糸原液や注入液体を吐出させる際の吐出量、吐出後の乾式部の冷風の露点・温度・速度、紡糸原液吐出時のドラフト比、凝固浴温度などを制御することにより、所望の特性の中空糸膜が得られる。
凝固浴での貧溶媒濃度は凝固液全体に対し30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
ここで、原液の表面張力や粘弾性性質や紡糸温度等によるが、環状のスリット1より紡糸原液を吐出すると、紡糸原液が吐出面に張付く現象が発生することがある。非凝固性の液体を注入液体として用いる際は、口金の直下で紡糸原液の固化が進みにくく、紡糸原液の固体表面への濡れ性が強くなり、環状のスリット1(紡糸原液吐出口)の外周を形成する外管や吐出面に張付く現象が起こりやすい。特に膜面積向上を目的として、細径の中空糸膜を紡糸する場合には、紡糸原液の吐出量が小さくなるため、この現象が発生しやすくなる。紡糸原液の吐出量が小さい場合、吐出直後の紡糸原液の表面張力が弱く、紡糸原液の自重も軽くなるため、固化の進まない紡糸原液が吐出面にぬれ拡がり、吐出面に張り付く現象が発生する。
この現象を図面を使って説明する。図4、5は従来の中空糸膜紡糸口金の一例を図示した模式図である。図4は中空糸膜紡糸口金について、溶液が吐出される方向から吐出面を観察した概略図で、図5は吐出面に垂直な面で切断したときの断面図である。
注入液体吐出口3の周りを囲むように紡糸原液吐出口となる環状のスリット1があり、環状のスリット1からは紡糸原液5が吐出される。また、注入液体吐出口3からは注入液体6が吐出される。注入液体吐出口3と環状のスリット1との間、および、環状のスリット1の周りは金属部4になっている。つまり、吐出面において、注入液体吐出口3と環状のスリット1との間の金属部4が内管で、環状のスリット1の外側が外管である。図4において、環状のスリット1の外側に拡がる外管は、吐出面とは高さが均一な平面である。
図6は、従来の中空糸膜紡糸口金から紡糸原液5と注入液体6が吐出した状態を示す模式図である。図6から分かるように、環状のスリット1の外周を形成しその外側の金属部4が、凹みなく、同一高さの吐出面であるため、この部分に紡糸原液5が拡がるようにして張り付いている。
紡糸原液5の吐出面への張り付きにより、吐出直後の見かけの吐出径が大きくなり、高ドラフト条件となる。その結果、糸が引き伸ばされることで強く延伸され、膜構造が破壊され、所望する除去性能を満たさない場合がある。特に延伸が著しい場合は糸が引き伸ばされることにより、糸切れが発生する。
さらに、この張り付き現象の発生は、注入液体の凝固性とも関連している。注入液体の凝固性の指標として、凝固価がある。この凝固価とは、膜を構成する主ポリマーの濃度が1質量%の溶液50gに対し、注入液体を少量ずつ添加し、系内が白濁した時点の注入液体の添加質量を表す。この凝固価の値が小さい程、注入液体の凝固性が高いことを示す。凝固価が10以上のときに、張り付き現象が発生しやすくなり、凝固価が30以上となると、条件によっては紡糸原液が吐出された後にすぐに張り付きが発生し、糸切れ発生につながる。凝固価が10未満の凝固性の注入液体を用いれば、口金の直下で紡糸原液の凝固が進むので、吐出面への紡糸原液の張り付き現象は起こりづらくなり、仮吐出ドラフトも高くならない。しかし、内表面から凝固が始まるため、中空糸膜の外表面だけでなく、内表面側にも孔径が小さい緻密層が形成されることから、浄水器用途等の高い透水性能が必要な場合、所望する透水性能を満たすことができない。すなわち、本発明において、凝固価が10以上である注入液体が、より好ましく用いられる。
ここで、吐出面への紡糸原液の張り付きを抑制するためには、吐出面の環状のスリット1の外周の金属部を狭くし、紡糸原液の張り付くことができる面積を小さくすればよい。ところが、環状のスリット1の外周の金属部を狭くすると、紡糸原液と注入液体が吐出する部分、すなわち、注入液体吐出口3の外周を形成する内管と環状のスリット1の外周を形成する外管のみが、吐出面から突出してしまう。このような紡糸口金にすると、薄い管壁の内管および外管がむき出しになるため、軽微な衝撃で容易に破損してしまう。
そこで、本発明の中空糸膜紡糸口金では、環状のスリット1の外周の金属部を狭くする際、環状のスリット1の外周の金属部、すなわち環状のスリット1の外周を形成する吐出面に、環状のスリット1を包囲するように環状の凹み2を形成している。図面を使って具体的に説明をする。
図1、2は本発明の中空糸膜紡糸口金を図示した模式図である。図1は溶液が吐出される方向から吐出面を観察した図で、図2は吐出面に垂直な面で切断したときの断面図である。吐出面には、注入液体吐出口3の周りを包囲するように環状のスリット1があり、さらに環状のスリット1の周りを包囲する環状の凹み2が形成されている。さらに、環状の凹み2を包囲するように保護部(図1中、中心から3番目の金属部4)が吐出面に形成されているので、吐出面の面積は広い。
つまり、外管には、環状の凹み2が吐出面から一段低く形成されている。そのため、紡糸原液は、環状のスリットの外周の金属部4(図1では中心から2番目にあるリング状の金属部4)までは拡がるが、環状のスリット1を包囲する環状の凹み2部には拡がることはない。また、このような構造であれば、環状のスリット1と環状の凹み2との間の金属部4の幅が薄くなっていたとしても、内管および外管は吐出面から突出しておらず、環状の凹み2のさらに外側にある中心から3番目のリング状の金属部4(吐出面に形成された保護部)で保護されているので、衝撃により破損する恐れがなくなる。
図3は本発明の中空糸膜紡糸口金から紡糸原液5と注入液体6が吐出した状態を示す模式図である。図3から分かるように、環状のスリット1の外周の金属部が狭いので、紡糸原液5の拡がりが抑制される。
本発明の中空糸膜紡糸口金は、紡糸原液が拡がる面積を小さくするという観点から、吐出面における環状の凹みの内径と環状のスリット1の内径とで囲まれた部分の面積S1、および吐出面における環状のスリット1の面積S2が、S2/S1≧0.4を満たすことが好ましい。S2/S1が0.4以上であると、環状のスリットの面積S2、つまり紡糸原液の吐出量に対して、外周の金属部の面積S1が十分に小さくなるので、紡糸原液の広がりが抑制され、中空糸膜の膜構造の破壊が起こらなくなり、目的とする分画性能が得られる。また、紡糸原液の拡がりが抑制され、糸切れが発生しにくく、安定に中空糸膜を紡糸することができる。
なお、面積S1[mm]は、環状のスリット1の面積とその外周を形成する金属部4の面積の合計である。面積S2[mm]を面積S1で除した、S2/S1の比は、外管の管壁の厚みに関連する。外管の管壁の厚みが厚く、吐出面への拡がりが大きくなると、S2/S1の比は小さくなる。上述のとおり、S2/S1の比が0.4より大きければ、外管の管壁の厚みが薄く、吐出面への拡がりが抑えられる。また、S2/S1の比の上限は、1.0未満であるが、外管の厚みを考慮すると0.95以下が好ましい。
吐出部である環状のスリット1の外周部に環状の凹み2を設ける場合、環状の凹み2の内径と環状のスリット1の外径の間の金属部分の幅、すなわち外管の管壁の厚みが、50μm以上であることが、物理的強度を維持できる点から好ましい。さらに250μm以下であることが、高ドラフト条件による糸切れを抑制できる点から好ましい。
環状の凹み2の形状であるが、凹みの幅は、吐出溶液が外側の吐出面に拡がらないように距離をとればよく、一般的には数100μmから数mmの幅である。また、凹みを形成する溝状のくぼみの深さは、吐出される溶液が、吐出面に拡がらない段差を形成すればよく、一般的には、0.3mmから30mm程度の深さでよい。外管の外側となる凹みの壁の形状は、特に限定されないが、垂直でも、図2のように、傾斜面を含むテーパー形状、R加工されたものでも構わない。
また、環状の凹み2の外側の直径(d4)は、環状の凹み2の内側の直径(d3)に対する比、すなわち、d4/d3の比は、1.5倍〜7.5倍が好ましい。吐出面は、環状の凹み2のさらに外側に拡がっていてもよい。吐出面は、環状の凹み2のさらに外側に広く形成されることが好ましい。
本発明の中空糸膜紡糸口金を用いた中空糸膜の製造方法では、仮吐出線速度V1[m/分]と中空糸が引き取られる速度V2[m/分]との比である仮吐出ドラフトV2/V1が30以下となるように紡糸することが、吐出面への紡糸原液張り付き防止の観点から好ましい。仮吐出ドラフトが30より大きくなると、吐出直後の見かけ吐出径が大きくなり、高ドラフト条件となることで、糸が引き伸ばされて強く延伸され、膜構造が破壊される場合がある。より好ましくは仮吐出ドラフトV2/V1が20以下、特に好ましくは15以下となるように紡糸することである。また特に、仮吐出ドラフトが100以上になると、著しく延伸されて糸が縦に引き伸ばされることにより、糸切れが発生する場合がある。
ここで、一般に仮吐出線速度V1[m/分]は、紡糸原液と注入液体の合計吐出量Q[cm/分] と、紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が口金吐出面に拡がっている面積とから算出する。この拡がったポリマー溶液の面積は、環状スリット1の外径で囲まれている部分と環状スリット1の外径を超えてポリマー溶液が口金の吐出面に張り付いている部分とを合わせた面積である。本発明の中空糸膜紡糸口金から紡糸原液および注入液体を吐出すると、ポリマー溶液の拡がりは環状凹み2の内径までに抑えられるので、拡がったポリマー溶液の面積と環状凹み2の内径で囲まれる部分の面積S3[mm]とは同じ値となる。そのため、本発明の中空糸膜紡糸口金を用いて紡糸原液および注入液体を吐出する場合は、面積S3[mm]および紡糸原液と注入液体の合計吐出量Q[cm/分]から下記式(1)のように仮吐出線速度V1[m/分]を算出できる。
式(1):仮吐出線速度V1=(Q×10−6)/(S3×10−6)=Q/S3。
また、中空糸膜の製造方法において、吐出されたポリマー溶液は、紡糸口金直下から凝固浴までの乾式部を走行する。乾式部では、温度と湿度を積極的に調湿した走行区間を設けることも中空糸膜の開孔の制御に対して有効であり、得られる中空糸膜の性能のばらつきを少なくできることから好ましい。
さらに、乾式部において、乾式部雰囲気をより積極的に調湿することも好ましい。この調湿方法として、中空糸膜紡糸口金から吐出された紡糸原液の両側に冷風筒を設ける方法や、二重管構造口金から吐出された紡糸原液の周囲を環状型冷風筒で囲む方法などがある。二重管構造口金から吐出された紡糸原液の両側に冷風筒を設ける場合には、冷風筒の片側から冷風を給気し、もう片側から冷風を排気する方法や、両側から冷風を給気する方法が、乾式部雰囲気をより積極的に調湿できることから好ましい。また、二重管構造口金から吐出された紡糸原液の周囲を環状型冷風筒で囲む場合についても、乾式部が外気の影響を受けにくくなり、得られる中空糸膜の性能ばらつきを低減できることから好ましい。
乾式部では、冷風の露点温度および風速を調整し、貧溶媒である水分を適度に供給することが、外側表面の孔の孔径を大きくし、開孔率を高くしたい場合に有効である。乾式部の露点温度は、18℃以上が好ましく、21℃以上がより好ましい。また、乾式部の長さは、中空糸膜の表面の孔径を好適なものにする一方で、製膜中の糸揺れを防ぐために、200mm以下が好ましい。
浄水器用の中空糸膜は乾燥状態で用いられることが多い。乾燥を行う際に、中空糸膜中の親水性高分子が多く含まれている状態で乾燥を行うと、中空糸膜の表面に親水性高分子が偏在し、それにより中空糸膜の透水性能やモジュール化したときの濾過流量が低下する。そのため、前処理として、得られた中空糸膜中を温水で洗浄することが好ましい。温水の温度としては、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。
上記のとおり、本発明の中空糸膜紡糸口金を用いて紡糸される中空糸膜は、浄水器用カートリッジに好適に用いることができる。また、この中空糸膜を搭載する浄水器用カートリッジは、従来から用いられている方法により製作できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(分析方法および評価方法)
(1)注入液体の凝固価
注入液体を25℃でポリスルホン系樹脂1質量%のN,N‐ジメチルアセトアミド溶液50mlに添加し、沈澱を生じた時の添加量(ml)を凝固価とした。
(2)中空糸膜の糸径
中空糸膜を外径測定器(KEYENCE社製、コントローラ部:LS−5500、センサヘッド部:LS−5040)にセットし、中空糸膜の外径を測定した。中空糸膜20本について同じ測定を行い、計20の測定データの平均値を算出し、中空糸膜の外径(OD)とした。
中空糸膜を膜厚方向に片刃で切断し、マイクロウォッチャー(KEYENCE社製、VH−Z100)にセットした。切断により中空糸断面が潰れてしまった場合には、略真円になるまで切断をやり直した。中空糸膜断面を1000倍レンズで観察し、断面を投影させたモニター画面上で中空糸膜の膜厚幅を範囲指定し、モニター画面上に表示された数値を読み取った。また、中空糸膜内径は中空部幅を範囲指定することで、モニター画面上に数値が表示される。中空糸膜30本について同じ測定を行い、計30の測定データの平均値を算出し、中空糸膜の内径(ID)および膜厚(WT)とした。
(3)紡糸原液と注入液体の吐出流量
40℃に保温した中空糸膜紡糸口金から注入液体を吐出し、ガラス管に1分間計量した。電子天秤で注入液体の吐出流量(g/分)を測定した。注入液体の組成比率と比重から、1分間当たりの吐出流量(cm/分)を算出した。続けて、紡糸原液の吐出流量を求める場合は、注入液体の吐出流量は変更せずに、同時に紡糸原液を吐出した。注入液体の場合と同様に、電子天秤で吐出流量(g/分)を測定し、注入液体の吐出流量(g/分)を差し引いた残りを紡糸原液の吐出流量(g/分)とした。紡糸原液の組成比率と比重から、1分間当たりの吐出流量(cm/分)を算出した。上記について、同じ測定を5回行い、計5ずつの測定データの平均値を算出し、注入液体の吐出量(cm/分)、紡糸原液の吐出流量(cm/分)とした。
(4)中空糸膜の引取速度
本発明における中空糸膜の引取速度は、中空糸膜紡糸口金から吐出された紡糸原液と注入液体からなるポリマー溶液が凝固浴で固化し、最初に引き取られる凝固浴ローラーの引取速度を言う。すなわち、中空糸膜の引取速度(m/分)は下記の式で算出した。
・中空糸膜の引取速度(m/分)=(L×C)/M
L:凝固浴ローラーの周長(m)
C:凝固浴ローラーの回転数(回)
M:回転時間(分)。
(5)中空糸膜の透水性能
両端に還流液用の孔を備えたケースに中空糸膜を挿入し、両端をコニシ(株)製エポキシ樹脂系接着剤“クイックメンダー”(登録商標)でポッティングし、ケース両端部からはみ出た中空糸膜およびポッティング剤をカットすることで有効長12cmの小型モジュールを作製した。恒温水槽で37℃に保って中空糸膜の内側に水圧をかけて中空糸膜を透過して中空糸膜の外側へ一定時間内に通過する水の量、有効膜面積および膜間圧力差から算出する方法で透水性能を測定する。水は、水温37℃の浄水器ろ過水を用いた。すなわち、中空糸膜の透水性能(UFRS)は下記の式で算出した。
・UFRS(mL/(hr・Pa・m))=Qw/(T・P・A)
Qw:(通過)濾過量(mL)、
T:流出時間(hr)、
P:膜間圧力差(Pa)、
A:中空糸膜の膜面積(m)。
(6)中空糸膜の0.3μm粒子除去率の測定
上記(5)と同様にして小型モジュールを作製した。中空糸膜外側から200ppmの濃度のポリスチレン製ラテックスビーズ懸濁液(invitrogen社製、Sulfate latex)を供給し、中空糸膜を通して内側に透過してきた懸濁液の濃度を測定した。供給側濃度200ppmと透過側濃度の値を用いて阻止率を下記式により求めた。ラテックスビーズの粒子径は0.3μmのものを使用した。
・阻止率(%)=(1−Cp/Cf)×100
Cp:透過側濃度
Cf:供給側濃度
260nmの吸光度とラテックスビーズ濃度の関係をあらかじめ測定しておき、透過側の懸濁液の吸光度を測定することで濃度を求めた。吸光度の測定は分光光度計(日立社製、U−5100)を用いて求めた。
(実施例1)
図1、2に図示する二重管構造の中空糸膜紡糸口金を使用した。注入液体吐出口3は直径0.5mm、環状のスリット1は内径0.7mm、外径1.0mm、環状の凹み2は内径1.1mm、外径4.7mmであった。吐出面は、環状の凹み2の外側にさらに拡がっていた。吐出面における環状スリット1の内径と環状の凹み2の内径とに囲まれた部分の面積をS1、吐出面における環状のスリット1の内径と外径に囲まれた部分の面積をS2とした時のS2/S1は0.71であった(表1に示す)。
疎水性高分子(ポリスルホン(ソルベイ社製ユーデルポリスルホン(登録商標)P−3500))15質量部と親水性高分子(ポリビニルピロリドン(ISP社製K90))7質量部とN,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)75質量部と水3質量部を溶解攪拌し、紡糸原液を調製した。この紡糸原液を2.0cm/分で環状のスリット1から吐出した。DMAc55質量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製K30、重量平均分子量4万)30質量部およびグリセリン15質量部からなる非凝固性の液体を注入液体とした。注入液体の凝固価は61であった。この注入液体を1.1cm/分で注入液体吐出口3から吐出した。口金は40℃に保温した。
乾式部に冷風筒を設置し、冷風を供給しながら所定の乾式長を通過させ、90部の水及び10部のDMAcからなる混合溶液を入れた85℃の凝固浴に浸漬して凝固させた後、水洗工程を経て、引取速度40m/分でカセ枠に巻き取り、湿潤状態の中空糸膜を得た。巻き取られた中空糸膜は、外径305μm、膜厚55μmであった(表3に示す)。
紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が吐出面に張り付いた様子を写真撮影し、写真から張り付いている部分の外径を算出したところ1.1mmであった。図3に図示したように、吐出直後の注入液体は環状スリット1の内径まで、紡糸原液は環状のスリット1の内径から環状の凹み2の内径まで拡がっていた。環状のスリット1の外径で囲まれている部分の面積と環状のスリット1の外径を超えてポリマー溶液が吐出面に張り付いている部分の面積とを合わせて、以後、「吐出直後のポリマー溶液の吐出面積」とする。吐出直後のポリマー溶液の吐出面積と紡糸原液及び注入液体の合計流量とから仮吐出線速度を算出すると3.26m/分であり、引取速度を仮吐出線速度で除した仮吐出ドラフトは12.3であった(表2に示す)。S2/S1を0.71とし、仮吐出ドラフトを12.3としたことで、5時間のサンプル採取中に糸切れは発生せず、安定して中空糸膜を採取することができた。
得られた中空糸膜を長手方向に30cmに切断し、80℃温水で5時間洗浄した。乾燥器内において中空糸膜を乾燥して乾燥状態の中空糸膜を得た。得られた乾燥状態の中空糸膜の透水性能は61(mL/(hr・Pa・m))、0.3μmの粒子除去率は100%であった(表3に示す)。
(実施例2)
図1、2に図示する二重管構造の中空糸膜紡糸口金を使用した。注入液体吐出口3は直径0.5mm、環状のスリット1は内径0.7mm、外径1.0mm、環状凹み2は内径1.2mm、外径4.8mmであった。吐出面は、環状の凹み2の外側にさらに拡がっていた。吐出面における環状のスリット1の内径と環状の凹み2の内径とに囲まれた部分の面積をS1、吐出面における環状のスリット1の内径と外径に囲まれた部分の面積をS2とした時のS2/S1は0.54であった。
実施例1と同じ紡糸原液および注入液体を調整し、環状のスリット1および注入液体吐出口3からそれぞれ吐出した。このときの紡糸原液の流量は2.0cm/分、注入液体の流量は1.1cm/分であった。口金は40℃に保温した。
実施例1と同様の方法で所定の乾式長、凝固浴を通過させた後、水洗工程を経てカセ枠に引取速度40m/分で巻き取り、湿潤状態の中空糸膜を得た。巻き取られた中空糸膜は、外径305μm、膜厚55μmであった。
紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が吐出面に張り付いた様子を写真撮影し、写真から張り付き外径を算出したところ1.2mmであった。図3に図示したように、吐出直後の注入液体は環状スリット1の内径まで、紡糸原液は環状のスリット1の内径から環状凹み2の内径まで拡がっていた。吐出直後のポリマー溶液の吐出面積と紡糸原液及び注入液体の合計流量とから仮吐出線速度を算出すると2.74m/分であり、引取速度を仮吐出線速度で除した仮吐出ドラフトは14.6であった。S2/S1を0.54とし、仮吐出ドラフトを14.6としたことで、5時間のサンプル採取中に糸切れは発生せず、安定して中空糸膜を採取することができた。
得られた中空糸膜を実施例1と同様の方法で乾燥して乾燥状態の中空糸膜を得た。得られた乾燥状態の中空糸膜の透水性能は61(mL/(hr・Pa・m))、0.3μmの粒子除去率は100%であった。
(実施例3)
実施例2と同じ中空糸膜紡糸口金を使用した。実施例1と同じ紡糸原液を調整し、環状スリット1から2.0cm/分で吐出した。DMAc92質量部、水8質量部からなる非凝固性の液体を注入液体とした。注入液体の凝固価は61であった。この注入液体を1.1cm/分で注入液体吐出口3から吐出した。口金は40℃に保温した。
実施例1と同様の方法で所定の乾式長、凝固浴を通過させた後、水洗工程を経てカセ枠に引取速度40m/分で巻き取り、湿潤状態の中空糸膜を得た。巻き取られた中空糸膜は、外径300μm、膜厚55μmであった。
紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が吐出面に張り付いた様子を写真撮影し、写真から張り付き外径を算出したところ1.2mmであった。図3に図示したように、吐出直後の注入液体は環状のスリット1の内径まで、紡糸原液は環状のスリット1の内径から環状の凹み2の内径まで拡がっていた。吐出直後のポリマー溶液の吐出面積と紡糸原液及び注入液体の合計流量とから仮吐出線速度を算出すると2.74m/分であり、引取速度を仮吐出線速度で除した仮吐出ドラフトは14.6であった。S2/S1を0.54とし、仮吐出ドラフトを14.6としたことで、5時間のサンプル採取中に糸切れは発生せず、安定して中空糸膜を採取することができた。
得られた中空糸膜を実施例1と同様の方法で乾燥して乾燥状態の中空糸膜を得た。得られた乾燥状態の中空糸膜の透水性能は61(mL/(hr・Pa・m))、0.3μmの粒子除去率は100%であった。
(実施例4)
実施例2と同じ中空糸膜紡糸口金を使用した。実施例1と同じ紡糸原液および注入液体を調整し、環状のスリット1および注入液体吐出口3からそれぞれ吐出した。このときの紡糸原液の流量は2.9cm/分、注入液体の流量は1.4cm/分であった。口金は40℃に保温した。
実施例1と同様の方法で所定の乾式長、凝固浴を通過させた後、水洗工程を経てカセ枠に引取速度50m/分で巻き取り、湿潤状態の中空糸膜を得た。巻き取られた中空糸膜は、外径310μm、膜厚60μmであった。
紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が吐出面に張り付いた様子を写真撮影し、写真から張り付き外径を算出したところ1.2mmであった。図3に図示したように、吐出直後の注入液体は環状のスリット1の内径まで、紡糸原液は環状のスリット1の内径から環状の凹み2の内径まで拡がっていた。吐出直後のポリマー溶液の吐出面積と紡糸原液及び注入液体の合計流量とから仮吐出線速度を算出すると3.80m/分であり、引取速度を仮吐出線速度で除した仮吐出ドラフトは13.2であった。S2/S1を0.54とし、仮吐出ドラフトを13.2としたことで、5時間のサンプル採取中に糸切れは発生せず、安定して中空糸膜を採取することができた。
得られた中空糸膜を実施例1と同様の方法で乾燥して乾燥状態の中空糸膜を得た。得られた乾燥状態の中空糸膜の透水性能は54(mL/(hr・Pa・m))、0.3μmの粒子除去率は100%であった。
(実施例5)
図1、2に図示する二重管構造の中空糸膜紡糸口金を使用した。注入液体吐出口3は直径0.3mm、環状のスリット1は内径0.5mm、外径0.7mm、環状凹み2は内径0.9mm、外径4.5mmであった。吐出面は、環状の凹み2の外側にさらに拡がっていた。吐出面における環状の凹み2の内径と環状のスリット1の内径に囲まれた部分の面積をS1、吐出面における環状スリット1の内径と外径に囲まれた部分の面積をS2とした時のS2/S1は0.43であった。
実施例1と同じ紡糸原液および注入液体を調整し、環状のスリット1および注入液体吐出口3からそれぞれ吐出した。このときの紡糸原液の流量は2.0cm/分、注入液体の流量は1.1cm/分であった。
実施例1と同様の方法で所定の乾式長、凝固浴を通過させた後、水洗工程を経てカセ枠に引取速度40m/分で巻き取り、湿潤状態の中空糸膜を得た。巻き取られた中空糸膜は、外径290μm、膜厚55μmであった。
紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が吐出面に張り付いた様子を写真撮影し、写真から張り付き外径を算出したところ0.9mmであった。図3に図示したように、吐出直後の注入液体は環状のスリット1の内径まで、紡糸原液は環状のスリット1の内径から環状の凹み2の内径まで拡がっていた。吐出直後のポリマー溶液の吐出面積と紡糸原液及び注入液体の合計流量とから仮吐出線速度を算出すると4.72m/分であり、引取速度を仮吐出線速度で除した仮吐出ドラフトは8.5であった。S2/S1を0.43とし、仮吐出ドラフトを8.5としたことで、5時間のサンプル採取中に糸切れは発生せず、安定して中空糸膜を採取することができた。
得られた中空糸膜を実施例1と同様の方法で乾燥して乾燥状態の中空糸膜を得た。得られた乾燥状態の中空糸膜の透水性能は51(mL/(hr・Pa・m))、0.3μmの粒子除去率は100%であった。
(比較例1)
図4、5に図示する二重管構造の中空糸膜紡糸口金を使用した。注入液体吐出口3は直径0.5mm、環状のスリット1は内径0.7mm、外径1.0mmであった。吐出面は、環状のスリット1の外側に拡がっていたが、環状のスリット1の外側には環状の凹みは設けられていなかった。
実施例1と同じ紡糸原液および注入液体を調整し、環状のスリット1および注入液体吐出口3からそれぞれ吐出した。このときの紡糸原液の流量は2.0cm/分、注入液体の流量は1.1cm/分であった。
実施例1と同様の方法で所定の乾式長、凝固浴を通過させた後、水洗工程を経て引取速度40m/分でカセ枠に巻き取ろうとしたが、吐出面に原液が張り付いた影響で糸が切れて中空糸膜を採取できなかった。
紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が吐出面に張り付いた様子を写真撮影し、写真から張り付き外径を算出したところ9mmであった。図6に図示したように、吐出直後の注入液体は環状のスリット1の内径まで、紡糸原液は環状のスリット1の内径から環状のスリット1の外径を超えて外側に大きく拡がっていた。吐出直後のポリマー溶液の吐出面積と紡糸原液及び注入液体の合計流量とから仮吐出線速度を算出すると0.05m/分であり、引取速度を仮吐出線速度で除した仮吐出ドラフトは800であった。仮吐出ドラフトが800となったことで、紡糸原液が吐出面に大きく張り付き、糸切れが発生して安定した中空糸膜の採取ができなかった。
環状のスリット1の開口の面積と紡糸原液が吐出面に張り付いている面積とを合わせた面積(以後、「吐出直後の紡糸原液の吐出面積」とする)を、実施例1〜5の中空糸膜紡糸口金における面積S1に相当するとして仮に面積S1’とすると、S2/S1’は0.006であった。
(比較例2)
比較例1と同じ中空糸膜紡糸口金を使用した。実施例1と同じ紡糸原液および注入液体を調整し、環状スリット1および注入液体吐出口3からそれぞれ吐出した。このときの紡糸原液の流量は2.9cm/分、注入液体の流量は1.4cm/分であった。
実施例1と同様の方法で所定の乾式長、凝固浴を通過させた後、水洗工程を経て引取速度50m/分でカセ枠に巻き取ろうとしたが、吐出面に原液が張り付いた影響で糸が切れて中空糸膜を採取できなかった。
紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が吐出面に張り付いた様子を写真撮影し、写真から張り付き外径を算出したところ8mmであった。図6に図示したように、吐出直後の注入液体は環状のスリット1の内径まで、紡糸原液は環状のスリット1の内径から環状のスリット1の外径を超えて外側に大きく拡がっていた。吐出直後のポリマー溶液の吐出面積と紡糸原液及び注入液体の合計流量とから仮吐出線速度を算出すると0.08m/分であり、引取速度を仮吐出線速度で除した仮吐出ドラフトは625であった。仮吐出ドラフトが625となったことで、紡糸原液が吐出面に張付き、糸切れが発生して安定した中空糸膜の採取ができなかった。
吐出直後の紡糸原液の吐出面積を、実施例1〜5の中空糸膜紡糸口金における面積S1に相当するとして仮に面積S1’とすると、S2/S1’は0.008であった。
(比較例3)
図4、5に図示する二重管構造の中空糸膜紡糸口金を使用した。注入液体吐出口3は直径0.3mm、環状のスリット1は内径0.5mm、外径0.7mmであった。吐出面は、環状のスリット1の外側に拡がっていたが、環状のスリット1の外側には環状の凹みは設けられていなかった。
実施例1と同じ紡糸原液および注入液体を調整し、口金の環状のスリット1および注入液体吐出口3からそれぞれ吐出した。このときの紡糸原液の流量は2.0cm/分、注入液体の流量は1.1cm/分であった。
実施例1と同様の方法で所定の乾式長、凝固浴を通過させた後、水洗工程を経て引取速度40m/分でカセ枠に巻き取ろうとしたが、吐出面に原液が張り付いた影響で糸が切れて中空糸膜を採取できなかった。
紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が吐出面に張り付いた様子を写真撮影し、写真から張り付き外径を算出したところ8mmであった。図6に図示したように、吐出直後の注入液体は環状のスリット1の内径まで、紡糸原液は環状のスリット1の内径から環状のスリット1の外径を超えて外側に大きく拡がっていた。吐出直後のポリマー溶液の吐出面積と紡糸原液及び注入液体の合計流量とから仮吐出線速度を算出すると0.06m/分であり、引取速度を仮吐出線速度で除した仮吐出ドラフトは666.7であった。仮吐出ドラフトが666.7となったことで、紡糸原液が吐出面に張付き、糸切れが発生して安定した中空糸膜の採取ができなかった。
吐出直後の紡糸原液の吐出面積を、実施例1〜5の中空糸膜紡糸口金における面積S1に相当するとして仮に面積S1’とすると、S2/S1’は0.004であった。
(参考例1)
比較例1と同じ中空糸膜紡糸口金を使用した。疎水性高分子(ポリスルホン(ソルベイ社製ユーデルポリスルホン(登録商標)P−3500))15質量部と親水性高分子(ポリビニルピロリドン(ISP社製K90))7質量部とN,N‐ジメチルアセトアミド(DMAc)75質量部と水3質量部を溶解攪拌し、紡糸原液を調製した。この紡糸原液を2.0cm/分で口金の環状スリットから吐出した。DMAc68質量部、水32質量部からなる凝固性の液体を注入液体とした。注入液体の凝固価は8であった。この注入液体を1.3cm/分で注入液体吐出口3から吐出した。口金は50℃に保温した。
実施例1と同様の方法で所定の乾式長、凝固浴を通過させた後、水洗工程を経て引取速度40m/分でカセ枠に巻き取り、湿潤状態の中空糸膜を得た。巻き取られた中空糸膜は、外径310μm、膜厚55μmであり、5時間のサンプル採取中に糸切れは発生しなかった。
紡糸原液と注入液体とを合わせたポリマー溶液が吐出されている口金の表面を写真撮影し観察した。吐出直後の注入液体は環状のスリット1の内径まで拡がっていた。一方、吐出直後の紡糸原液は環状のスリット1の開口部から拡がっておらず、吐出面の金属部分に張り付いていなかった。吐出直後のポリマー溶液の吐出面積と紡糸原液及び注入液体の合計流量とから仮吐出線速度を算出すると4.20m/分であり、引取速度を仮吐出線速度で除した仮吐出ドラフトは9.5であった。
得られた中空糸膜を実施例1と同様の方法で乾燥して乾燥状態の中空糸膜を得た。得られた乾燥状態の中空糸膜の透水性能は27(mL/(hr・Pa・m))で低い値であった。0.3μmの粒子除去率は100%であった。
吐出直後の紡糸原液の吐出面積を、実施例1〜5の中空糸膜紡糸口金における面積S1に相当するとして仮に面積S1’とすると、紡糸原液は環状スリット1の開口部から拡がっていないのでS1’=S2であり、S2/S1’は1.0であった。
Figure 2020090494
Figure 2020090494
Figure 2020090494
本発明は、乾湿式紡糸法に用いられる紡糸口金に適用できる。
1 環状のスリット(紡糸原液吐出口)
2 環状の凹み
3 注入液体吐出口
4 金属部
5 紡糸原液
6 注入液体
S1 環状の凹みの内径と環状のスリットの内径とで囲まれた部分の面積
S2 環状のスリットの面積
S3 環状の凹みの内径で囲まれた部分の面積

Claims (4)

  1. 吐出面に、注入液体を吐出するための注入液体吐出口と、この注入液体吐出口を包囲する紡糸原液を吐出するための環状のスリット(紡糸原液吐出口)とが形成された二重管構造の中空糸膜紡糸口金であって、
    前記吐出面に、前記環状のスリットを包囲する環状の凹みがさらに形成された、中空糸膜紡糸口金。
  2. 前記吐出面における前記環状の凹みの内径と前記環状のスリットの内径とで囲まれたリングの面積S1、および、前記吐出面における前記環状のスリットの面積S2が、S2/S1≧0.4を満たす、請求項1に記載の中空糸膜紡糸口金。
  3. 請求項1または請求項2に記載の中空糸膜紡糸口金を備えた紡糸機を用い、
    前記注入液体吐出口から注入液体を、前記環状のスリットから紡糸原液を吐出し、
    仮吐出線速度V1[m/分]と中空糸が引き取られる速度V2[m/分]との比である仮吐出ドラフトV2/V1が30以下となるように紡糸する、中空糸膜の製造方法。
    ただし、仮吐出線速度V1=Q/S3
    Q[cm/分]:紡糸原液と注入液体の合計吐出量
    S3[mm]:環状の凹みの内径で囲まれた面積
  4. 前記注入液体の凝固価が10以上である、請求項3に記載の中空糸膜の製造方法。
JP2019558641A 2018-10-30 2019-10-17 中空糸膜紡糸口金および中空糸膜の製造方法 Pending JPWO2020090494A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018203478 2018-10-30
JP2018203478 2018-10-30
PCT/JP2019/040860 WO2020090494A1 (ja) 2018-10-30 2019-10-17 中空糸膜紡糸口金および中空糸膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2020090494A1 true JPWO2020090494A1 (ja) 2021-09-24
JPWO2020090494A5 JPWO2020090494A5 (ja) 2022-10-03

Family

ID=70464549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019558641A Pending JPWO2020090494A1 (ja) 2018-10-30 2019-10-17 中空糸膜紡糸口金および中空糸膜の製造方法

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JPWO2020090494A1 (ja)
KR (1) KR20210079297A (ja)
CN (1) CN112789103B (ja)
WO (1) WO2020090494A1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6147079U (ja) * 1984-08-31 1986-03-29 ユニチカ株式会社 紡糸用ノズルプレ−ト
JPS6197412A (ja) * 1984-10-12 1986-05-15 Toa Nenryo Kogyo Kk 炭素繊維用ピッチのための紡糸口金
JP2001254221A (ja) * 2000-03-10 2001-09-21 Toray Ind Inc 中空糸紡糸口金の製造方法および中空糸紡糸口金
JP2008231639A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Toray Ind Inc 紡出糸条の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61133390A (ja) * 1984-12-03 1986-06-20 Hitachi Cable Ltd めつきされた金の剥離方法
JP2527465B2 (ja) * 1988-07-05 1996-08-21 ダイセル化学工業株式会社 膜製造装置
JP2805873B2 (ja) * 1989-08-04 1998-09-30 東洋紡績株式会社 中空糸型血漿分離膜
JP3418430B2 (ja) 1993-08-11 2003-06-23 日東電工株式会社 マイクロカプセルの処理方法
JP2004305953A (ja) 2003-04-09 2004-11-04 Asahi Medical Co Ltd 中空糸膜の製造法
JP2009000614A (ja) * 2007-06-21 2009-01-08 Toray Ind Inc 中空糸膜の製造方法
JPWO2010029908A1 (ja) * 2008-09-10 2012-02-02 東レ株式会社 中空糸膜及び中空糸膜の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6147079U (ja) * 1984-08-31 1986-03-29 ユニチカ株式会社 紡糸用ノズルプレ−ト
JPS6197412A (ja) * 1984-10-12 1986-05-15 Toa Nenryo Kogyo Kk 炭素繊維用ピッチのための紡糸口金
JP2001254221A (ja) * 2000-03-10 2001-09-21 Toray Ind Inc 中空糸紡糸口金の製造方法および中空糸紡糸口金
JP2008231639A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Toray Ind Inc 紡出糸条の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
KR20210079297A (ko) 2021-06-29
CN112789103A (zh) 2021-05-11
WO2020090494A1 (ja) 2020-05-07
CN112789103B (zh) 2023-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4401567A (en) Microporous polyethylene hollow fibers
JPH05137982A (ja) ポリスルホン多孔質中空糸
JP4940576B2 (ja) 中空糸膜および血液浄化器
WO2007102528A1 (ja) 性能安定性に優れた中空糸膜および血液浄化器および中空糸膜の製造方法
JP5440332B2 (ja) 中空糸膜
US4530809A (en) Process for making microporous polyethylene hollow fibers
JPWO2010029908A1 (ja) 中空糸膜及び中空糸膜の製造方法
JP2736992B2 (ja) ポリスルホン系中空糸膜及びその製造方法
JP6973071B2 (ja) 中空糸膜
JP2542572B2 (ja) 中空繊維
JP2011050881A (ja) 中空糸膜の紡糸方法
JP2815405B2 (ja) 紡糸口金及び中空繊維の製造方法
KR100581206B1 (ko) 폴리불화비닐리덴계 다공성 중공사막과 그 제조방법
JPWO2020090494A1 (ja) 中空糸膜紡糸口金および中空糸膜の製造方法
JP2008246402A (ja) 中空糸型血液浄化膜およびその製造方法
JP2010142747A (ja) 中空糸膜の紡糸方法および中空糸膜
JP4036740B2 (ja) 中空糸型血液浄化膜の製造方法
JP6155908B2 (ja) 中空糸膜の製造方法
JP2004174408A (ja) 中空糸膜の製造方法および製造装置
JPS62269706A (ja) ポリオレフイン多孔質中空糸複合膜及びその製法
JP6707880B2 (ja) 中空糸膜および中空糸膜モジュール
JP3473202B2 (ja) 中空糸膜の製造方法
JP4760017B2 (ja) 中空糸膜の製造方法および中空糸膜モジュールの製造方法
JP5423326B2 (ja) 中空糸膜の製造方法
RU2676991C1 (ru) Мембрана половолоконная

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220916

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220916

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230627

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230818

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231121