JPWO2019168090A1 - 光学フィルター、カメラモジュールおよび電子機器 - Google Patents

光学フィルター、カメラモジュールおよび電子機器 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、カメラ画像の色シェーディング抑制とゴースト抑制を高いレベルで両立可能な光学フィルターを提供することにある。本発明の光学フィルターは要件(a)及び(b)を満たす:(a)波長430〜580nmの領域において、垂直方向から入射する光の透過率の最小値Tb-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-60とが、いずれも55%以上90%未満である;(b)波長700〜780nmの領域において、垂直方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-60とが、いずれも1.8以上である。

Description

本発明は、光学フィルター、カメラモジュールおよび電子機器に関する。より詳しくは、特定の光学特性を有する光学フィルター、該光学フィルターを用いたカメラモジュール、および、該カメラモジュールを有する電子機器に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などの固体撮像装置にはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されている。これら固体撮像素子は、その受光部において人間の目では感知できない近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードが使用されている。これらの固体撮像素子では、人間の目で見て自然な色合いにさせる視感度補正を行うことが必要であり、特定の波長領域の光線を選択的に透過もしくはカットする光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)を用いることが多い。
このような近赤外線カットフィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたものが使用されている。例えば、基材として透明樹脂を用い、透明樹脂中に近赤外線吸収色素を含有させた近赤外線カットフィルターが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載された近赤外線カットフィルターは、近赤外線吸収特性が必ずしも充分ではない場合があった。
本出願人は、特許文献2において、特定の波長領域に吸収極大がある近赤外線吸収色素を含有する透明樹脂製基板を用いることで、入射角度を変化させても光学特性の変化が少なく、かつ、高い可視光透過率を有する近赤外線カットフィルターを提案している。また、特許文献3には、特定の構造を有するフタロシアニン系色素を用いることで、従来の課題であった優れた可視光透過率と吸収極大波長の長波長化とを高いレベルで両立した近赤外線カットフィルターを得ることができる旨が記載されている。
しかし、特許文献2および3に記載の近赤外線カットフィルターでは、適用されている基材が、700nm付近には十分な強度の吸収帯を持っているものの、例えば900〜1200nmといった近赤外線波長領域にはほぼ吸収を持たない。そのため、近赤外線波長領域の光線は、ほぼ誘電体多層膜の反射でのみカットしているが、このような構成では光学フィルター中の内部反射や、光学フィルターとレンズ間の反射によるわずかな迷光が、暗い環境下で撮影を行う際にゴーストやフレアの原因となる場合があった。特に、近年はスマートフォンなどのモバイル機器であってもカメラの高画質化が強く求められており、従来の光学フィルターでは好適に使用できない場合があった。
一方、近赤外線波長領域に幅広い吸収をもつ基材を用いた光学フィルターとして、特許文献4のような赤外線遮蔽フィルターが提案されている。特許文献4では、主にジチオレン構造を有する化合物を適用することで近赤外線波長領域の幅広い吸収を達成しているが、700nm付近の吸収強度は十分ではない。特に、近年のカメラモジュール低背化に伴う高入射角条件(例えば45度入射)での使用では、色シェーディングによる画像劣化が起こる場合があった。
また、特許文献5には、近赤外線吸収ガラス基材と近赤外線吸収色素を含有する層とを有する近赤外線カットフィルターが開示されているが、特許文献5に記載の構成でも色シェーディングを十分改良することができない場合があった。例えば、特許文献5の図5には、0度入射時と30度入射時の光学特性グラフが示されているが、30度入射時においても可視光透過帯の裾部分の領域(630〜700nm)で大きな波長シフトが観測されている。
特開平6−200113号公報 特開2011−100084号公報 国際公開2015/025779号パンフレット 国際公開2014/168190号パンフレット 国際公開2014/030628号パンフレット
上述した課題とともに、最近では、カメラモジュールのさらなる高性能化を目的として、色素による吸収と誘電体多層膜による反射とを組み合わせた従来の光学フィルターの機能を別部材に分けた新規モジュール構成も検討されており、そのような構成にも対応可能な光学フィルターが求められている。
本発明は、従来の光学フィルターでは十分になし得なかった、カメラ画像の色シェーディング抑制とゴースト抑制を高いレベルで両立可能な光学フィルターを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の波長領域において、光学フィルターの垂直方向、垂直方向に対して30度斜め方向および垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の最小値がいずれも特定の範囲であり、かつ、特定の波長領域において、光学フィルターの垂直方向、垂直方向に対して30度斜め方向および垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光に対する光学濃度(OD値)の平均値がいずれも特定の範囲である光学フィルターを用いることにより、目的とする近赤外線カット特性、可視光透過率、色シェーディング抑制効果およびゴースト抑制効果を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の態様の例を以下に示す。
[1] 下記要件(a)および(b)を満たす光学フィルター:
(a)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の最小値Tb-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-60とが、いずれも55%以上90%未満である;
(b)波長700〜780nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-60とが、いずれも1.8以上である。
[2] さらに下記要件(c)を満たす項[1]に記載の光学フィルター:
(c)波長900〜1200nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の平均値TIRが60%以上である。
[3] さらに下記要件(d)を満たす項[1]または[2]に記載の光学フィルター:
(d)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の平均値Ta-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光の透過率の平均値Ta-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の平均値Ta-60とが、いずれも65%以上90%未満である。
[4] 下記要件(e)を満たす基材を含む項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光学フィルター:
(e)波長650〜800nmの領域に吸収極大を有する化合物(A)を含む層を有する。
[5] 前記基材が、さらに下記要件(f)を満たす項[4]に記載の光学フィルター:
(f)波長600〜900nmにおいて、基材の垂直方向から入射する光に対する透過率が、短波長側から長波長側に向かって10%超から10%以下になる最も長波長側の波長Xaと、基材の垂直方向から入射する光に対する透過率が、短波長側から長波長側に向かって10%以下から10%超になる最も短波長側の波長Xbとの差の絶対値|Xb−Xa|が100nm以上である。
[6] 前記化合物(A)が、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、およびシアニン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする項[4]または[5]に記載の光学フィルター。
[7] 前記基材が、前記化合物(A)として、波長650m以上715nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−a)、波長715nm超750nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−b)、および波長750nm超800nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−c)を含有することを特徴とする項[4]〜[6]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[8] 前記化合物(A)を含む層が透明樹脂層である項[4]〜[7]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[9] 前記透明樹脂層を構成する樹脂が、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、マレイミド系樹脂、脂環エポキシ熱硬化型樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂、およびゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする項[8]に記載の光学フィルター。
[10] 前記透明樹脂層を構成する樹脂の屈折率(n20d)が、1.50〜1.53である項[8]または[9]に記載の光学フィルター。
[11] 項[1]〜[10]のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備することを特徴とするカメラモジュール。
[12] カメラモジュールの内部機構を外部から保護するカバー部材を有し、前記カバー部材が近赤外線反射機能を有することを特徴とする項[10]に記載のカメラモジュール。
[13] 項[10]に記載のカメラモジュールを有することを特徴とする電子機器。
本発明によれば、近赤外線カット特性に優れ、入射角依存性が少なく、可視光波長域での透過率特性、色シェーディング抑制効果およびゴースト抑制効果に優れた光学フィルターを提供することができる。
透過スペクトルを垂直方向、斜め30度の方向および斜め60度の方向から測定する構成を示した図である。 実施例および比較例で行った色シェーディング評価に用いたカメラモジュールの構成を示した模式図である。 実施例および比較例で行ったカメラ画像の色シェーディング評価を説明するための模式図である。 実施例および比較例で行ったカメラ画像のゴースト評価を説明するための模式図である。 実施例1で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例2で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例3で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例4で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例5で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例6で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例7で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例8で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例9で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例10で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例11で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例15で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 実施例16で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 比較例1で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 比較例2で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 比較例3で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。 比較例4で得られた光学フィルターの分光透過スペクトルである。
以下、本発明に係る光学フィルター、該光学フィルターを用いたカメラモジュールおよび該カメラモジュールを有する電子機器について詳細に説明する。
[光学フィルター]
本発明の光学フィルターは、下記要件(a)および(b)を満たすことを特徴とし、さらに下記要件(C)および/または(D)を満たすことが好ましい。
(a)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の最小値Tb-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-60とが、いずれも55%以上90%未満である。
(b)波長700〜780nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-60とが、いずれも1.8以上である。
(c)波長900〜1200nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の平均値TIRが60%以上である。
(d)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の平均値Ta-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光の透過率の平均値Ta-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の平均値Ta-60とが、いずれも65%以上90%未満である。
以下、各要件について説明する。
<要件(a)>
前記Tb-0および前記Tb-30は、好ましくは63%以上86%以下、より好ましくは67%以上82%以下であり、前記Tb-60は、好ましくは58%以上80%以下、より好ましくは60%以上75%以下である。
要件(a)を満たす方法、すなわち各透過率の最小値の調整方法としては、例えば、規定の範囲の透過率の最小値が得られるように、後述する化合物(A)の種類および添加量を適宜選定および調整する方法が挙げられる。
要件(a)を満たすことにより、入射角度30度や60度といった高角度入射時においてもRGBバランスの変化が小さいため、高品質なカメラ画像を得ることができる。
<要件(b)>
前記ODa-0および前記ODa-30は、好ましくは1.8以上4.0以下、より好ましくは1.9以上3.5以下であり、前記ODa-60は、好ましくは2.1以上4.5以下、より好ましくは2.2以上4.0以下である。
要件(b)を満たす方法、すなわち光学濃度(OD値)の平均値の調整方法としては、例えば、規定の範囲の透過率の平均値が得られるように、後述する化合物(A)の種類および添加量を適宜選定および調整する方法が挙げられる。
要件(b)を満たすことにより、光学フィルターは、垂直方向で透過する近赤外線のみでなく、高入射角で透過する近赤外線も十分にカットすることができるため、色シェーディングがない若しくは低減されたカメラ画像を得ることができる。
ここで、OD値は透過率の常用対数値であり、下記式(1)にて算出できる。指定の波長範囲の平均OD値が高いと、光学フィルターはその波長領域の光のカット特性が高いことを表す。
ある波長域における平均OD値=−Log10(ある波長域における平均透過率(%)/100)・・・式(1)
<要件(c)>
前記TIRは、好ましくは70%〜98%、より好ましくは80%〜95%、さらに好ましくは85%〜94%、特に好ましくは89%〜93%である。
要件(c)を満たす方法、すなわち光の透過率の平均値の調整方法としては、例えば、規定の範囲の透過率が得られるように後述する化合物(A)の種類および添加量を適宜選定および調整する方法が挙げられる。
要件(c)を満たすことにより、近赤外線領域の透過率が高く、近赤外線領域の反射光を低減させることができるため、ゴーストが低減されたカメラ画像を得ることができる。
<要件(d)>
前記Ta-0は、好ましくは73%以上88%以下、より好ましくは76%以上86%以下であり、前記Ta-30は、好ましくは72%以上87%以下、より好ましくは75%以上85%以下であり、前記Ta-60は、好ましくは68%以上85%以下、より好ましくは70%以上80%以下である。
要件(d)を満たす方法、すなわち各透過率の平均値の調整方法としては、例えば、規定の範囲の透過率の平均値が得られるように、後述する化合物(A)の種類および添加量を適宜選定および調整する方法が挙げられる。
要件(d)を満たすことにより、入射角度30度や60度といった高角度入射時においてもRGBバランスの変化が小さいため、高品質なカメラ画像を得ることができる。
<光学フィルターの厚み>
本発明の光学フィルターの厚みは、好ましくは210μm以下、より好ましくは190μm以下、さらに好ましくは160μm以下、特に好ましくは130μm以下であり、下限は特に制限されないが、20μm以上であることが好ましい。
[基材]
本発明の光学フィルターの構成は、上述した光学特性を示す光学フィルターが得られる限り特に限定されないが、下記要件(e)を満たす基材を含むことが好ましく、該基材は、さらに下記要件(f)を満たすことが好ましい。
(e)波長650〜800nmの領域に吸収極大を有する化合物(A)を含む層を有する。
(f)波長600〜900nmにおいて、基材の垂直方向から入射する光に対する透過率が、短波長側から長波長側に向かって10%超から10%以下になる最も長波長側の波長Xaと、基材の垂直方向から入射する光に対する透過率が、短波長側から長波長側に向かって10%以下から10%超になる最も短波長側の波長Xbとの差の絶対値|Xb−Xa|が100nm以上である。
以下、各要件について説明する。
<要件(e)>
要件(e)において、化合物(A)を含む層を構成する成分は特に限定されないが、例えば、透明樹脂、ゾルゲル材料、低温硬化ガラス材料などが挙げられるが、取扱いが容易であることや化合物(A)との相溶性の観点から透明樹脂であることが好ましい。
前記基材は、化合物(A)を含む層を有していれば、単層であっても多層であってもよい。
<要件(f)>
前記波長XaとXbとの差|Xb−Xa|は、好ましくは110nm以上、より好ましくは115nm以上、さらに好ましくは120nm以上、特に好ましくは125nm以上である。上限は特に限定されないが、化合物(A)やその他の近赤外線吸収剤の特性によっては値が大きすぎると可視光透過率が低下する場合があるため、例えば300nm以下であることが好ましい。前記差|Xb−Xa|が上記のような範囲にあると、可視光領域に近い近赤外線波長領域において十分な強度(幅)の吸収帯を有することとなり、例えば入射角度30度や60度などのような入射角度が大きい条件においても色シェーディングを抑制できるため好ましい。
aとXbの中間にあたる波長の値(Xa+Xb)/2は、可視光領域に近い近赤外線波長領域における吸収帯の中心波長ということができ、好ましくは650nm以上850nm以下、より好ましくは680nm以上820nm以下、さらに好ましくは700nm以上800nm以下である。(Xa+Xb)/2で表される波長の値が上記範囲にあると、可視光領域の長波長端付近の波長領域の光をより効率的にカットできるため好ましい。
前記Xaは、好ましくは波長610nm以上720nm以下、より好ましくは波長625nm以上710nm以下、さらに好ましくは波長630nm以上700nm以下である。Xaがこのような範囲にあると、ノイズが少なく色再現性に優れたカメラ画像を得られる傾向にあるため好ましい。
<基材の厚み>
基材の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜180μm、さらに好ましくは25〜150μmである。基材の厚みが前記範囲にあると、該基材を用いた光学フィルターを薄型化および軽量化することができ、固体撮像装置等の様々な用途に好適に用いることができる。特に、前記透明樹脂製基板からなる基材をカメラモジュール等のレンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化、軽量化を実現することができるため好ましい。
≪化合物(A)≫
化合物(A)は、波長650〜800nmの領域に吸収極大があれば特に限定されないが、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物およびシアニン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、特にスクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物およびシアニン系化合物が好ましい。なお、化合物(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スクアリリウム系化合物は、優れた可視光透過性、急峻な吸収特性および高いモル吸光係数を有するが、光線吸収時に散乱光の原因となる蛍光を発生させる場合がある。そのような場合、スクアリリウム系化合物とその他の化合物(A)とを組み合わせて使用することにより、散乱光が少なくカメラ画質がより良好な光学フィルターを得ることができる。
化合物(A)の吸収極大波長は、好ましくは660nm以上795nm以下、より好ましくは680nm以上790nm以下である。
化合物(A)は、波長650〜800nmの領域に吸収極大を有すれば特に限定されないが、光学フィルターの耐熱性の観点から、波長650nm以上715nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−a)、波長715nm超750nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−b)、および波長750nm超800nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−c)をそれぞれ1種以上含むことがより好ましい。化合物(A)がこのような構成の場合、可視光透過率の低下を最小限に留めつつ近赤外線吸収帯を効率的に広くできる他、化合物(A)同士の分子間相互作用により耐熱性や耐候性を向上できる傾向にあり好ましい。
化合物(A)が2種以上の化合物の組み合わせである場合、適用する化合物(A)のうち最も吸収極大波長が短いものと最も吸収極大波長の長いものの吸収極大波長の差は、好ましくは20〜100nm、より好ましくは30〜90nm、さらに好ましくは40〜80nmである。吸収極大波長の差が上記範囲にあると、蛍光による散乱光を十分低減できるとともに、700nm付近の幅広い吸収帯と優れた可視光透過率を両立できるため好ましい。
化合物(A)全体の含有量は、前記基材として、例えば、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板からなる基材や、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材を用いる場合には、透明樹脂100質量部に対して、好ましくは0.04〜2.0質量部、より好ましくは0.06〜1.5質量部、さらに好ましくは0.08〜1.0質量部であり、前記基材として、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体上に化合物(A)を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの透明樹脂層が積層された基材を用いる場合には、化合物(A)を含む透明樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.4〜5.0質量部、より好ましくは0.6〜4.0質量部、さらに好ましくは0.8〜3.5質量部である。
(スクアリリウム系化合物)
前記スクアリリウム系化合物としては、特に限定されるものではないが、下記式(I)で表されるスクアリリウム系化合物および下記式(II)で表されるスクアリリウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。以下、それぞれ「化合物(I)」および「化合物(II)」ともいう。
Figure 2019168090
式(I)中、Ra、RbおよびYaは、下記条件(α)または(β)を満たす。
条件(α):
複数あるRaはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRef基を表し;
複数あるRbはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRgh基を表し;
複数あるYaはそれぞれ独立に、−NRjk基を表し;
1は、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、LgまたはLhを表し;
eおよびRfはそれぞれ独立に、水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表し;
gおよびRhはそれぞれ独立に、水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ld、−Leまたは−C(O)Ri基(Riは、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表す。)を表し;
jおよびRkはそれぞれ独立に、水素原子、−La、−Lb、−Lc、−Ldまたは−Leを表し;
aは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基を表し;
bは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基を表し;
cは、置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の脂環式炭化水素基を表し;
dは、置換基Lを有してもよい炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を表し;
eは、置換基Lを有してもよい炭素数3〜14の複素環基を表し;
fは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシ基を表し;
gは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアシル基を表し;
hは、置換基Lを有してもよい炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基を表し;
Lは、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基、炭素数3〜14の脂環式炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数3〜14の複素環基、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を表す。
条件(β):
1つのベンゼン環上の2つのRaのうちの少なくとも1つが、同じベンゼン環上のYと相互に結合して、窒素原子を少なくとも1つ含む構成原子数5または6の複素環を形成する;
前記複素環は置換基を有していてもよく、Rbおよび前記複素環の形成に関与しないRaは、それぞれ独立に前記条件(α)のRbおよびRaと同義である。
前記La〜Lhは、置換基を含めた炭素数の合計が、それぞれ50以下であることが好ましく、炭素数40以下であることがさらに好ましく、炭素数30以下であることが特に好ましい。炭素数がこの範囲よりも多いと、化合物の合成が困難となる場合があるとともに、単位質量あたりの光の吸収強度が小さくなる傾向がある。
前記LaおよびLにおける炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基(Me)、エチル基(Et)、n−プロピル基(n−Pr)、イソプロピル基(i−Pr)、n−ブチル基(n−Bu)、sec−ブチル基(s−Bu)、tert−ブチル基(t−Bu)、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基およびドデシル基等のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−ペンテニル基、ヘキセニル基およびオクテニル基等のアルケニル基;ならびに、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−メチル−1−プロピニル基、ヘキシニル基およびオクチニル基等のアルキニル基を挙げることができる。
前記LbおよびLにおける炭素数1〜12のハロゲン置換アルキル基としては、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタクロロプロピル基およびヘプタフルオロプロピル基を挙げることができる。
前記LcおよびLにおける炭素数3〜14の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基等のシクロアルキル基;ノルボルナン基およびアダマンタン基等の多環脂環式基を挙げることができる。
前記LdおよびLにおける炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、アセナフチル基、フェナレニル基、テトラヒドロナフチル基、インダニル基およびビフェニリル基を挙げることができる。
前記LeおよびLにおける炭素数3〜14の複素環基としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、インドリン、インドレニン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、モルホリンおよびフェナジン等の複素環からなる基を挙げることができる。
前記Lfにおける炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基を挙げることができる。
前記Lgにおける炭素数1〜9のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基およびベンゾイル基を挙げることができる。
前記Lhにおける炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基およびオクチルオキシカルボニル基を挙げることができる。
前記Laとしては、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、4−フェニルブチル基、2−シクロヘキシルエチルであり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
前記Lbとしては、好ましくはトリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、5−シクロヘキシル−2,2,3,3−テトラフルオロペンチル基であり、より好ましくはトリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基である。
前記Lcとしては、好ましくはシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基、4−フェニルシクロヘプチル基であり、より好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基である。
前記Ldとしては、好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、2,3,6−トリフェニルフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフェニルフェニル基であり、より好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、2,3,4,5,6−ペンタフェニルフェニル基である。
前記Leとしては、好ましくはフラン、チオフェン、ピロール、インドール、インドリン、インドレニン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、モルホリンからなる基であり、より好ましくはフラン、チオフェン、ピロール、モルホリンからなる基である。
前記Lfとしては、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、2−フェニルエトキシ基、3−シクロヘキシルプロポキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基である。
前記Lgとしては、好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、4−プロピルベンゾイル基、トリフルオロメチルカルボニル基であり、より好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基である。
前記Lhとしては、好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2−トリフルオロメチルエトキシカルボニル基、2−フェニルエトキシカルボニル基であり、より好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基である。
前記La〜Lhは、さらに、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を有していてもよい。このような例としては、4−スルホブチル基、4−シアノブチル基、5−カルボキシペンチル基、5−アミノペンチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ホスホリルエチル基、6−アミノ−2,2−ジクロロヘキシル基、2−クロロ−4−ヒドロキシブチル基、2−シアノシクロブチル基、3−ヒドロキシシクロペンチル基、3−カルボキシシクロペンチル基、4−アミノシクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、4−ヒドロキシフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−ヒドロキシナフチル基、4−アミノフェニル基、4−ニトロフェニル基、3−メチルピロールからなる基、2−ヒドロキシエトキシ基、3−シアノプロポキシ基、4−フルオロベンゾイル基、2−ヒドロキシエトキシカルボニル基、4−シアノブトキシカルボニル基を挙げることができる。
前記条件(α)におけるRaとしては、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ニトロ基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、水酸基である。
前記条件(α)におけるRbとしては、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、N−メチルアセチルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、t−ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、水酸基、ジメチルアミノ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、t−ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基である。
前記Yaとしては、好ましくはアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ基であり、より好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基である。
前記式(I)の条件(β)における、1つのベンゼン環上の2つのRaのうちの少なくとも1つが、同じベンゼン環上のYと相互に結合して形成される、窒素原子を少なくとも1つ含む構成原子数5または6の複素環としては、例えば、ピロリジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピペリジン、ピリジン、ピペラジン、ピリダジン、ピリミジンおよびピラジン等を挙げることができる。これらの複素環のうち、当該複素環を構成し、かつ、前記ベンゼン環を構成する炭素原子の隣の1つの原子が窒素原子である複素環が好ましく、ピロリジンがさらに好ましい。
Figure 2019168090
式(II)中、Xは独立に、O、S、Se、N−RcまたはC(Rdd)を表し;複数あるRcはそれぞれ独立に、水素原子、La、Lb、Lc、LdまたはLeを表し;複数あるRdはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、−L1または−NRef基を表し、隣り合うRd同士は連結して置換基を有していてもよい環を形成してもよく;La〜Le、L1、ReおよびRfは、前記式(I)において定義したLa〜Le、L1、ReおよびRfと同義である。
前記式(II)中のRcとしては、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基である。
前記式(II)中のRdとしては、好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、4−アミノシクロヘキシル基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基である。
前記Xとしては、好ましくはO、S、Se、N−Me、N−Et、CH2、C−Me2、C−Et2であり、より好ましくはS、C−Me2、C−Et2である。
前記式(II)において、隣り合うRd同士は連結して環を形成してもよい。このような環としては、例えば、ベンゾインドレニン環、α−ナフトイミダゾール環、β−ナフトイミダゾール環、α−ナフトオキサゾール環、β−ナフトオキサゾール環、α−ナフトチアゾール環、β−ナフトチアジアゾール環、α−ナフトセレナゾール環、β−ナフトセレナゾール環を挙げることができる。
化合物(I)および化合物(II)は、下記式(I−1)および下記式(II−1)のような記載方法に加え、下記式(I−2)および下記式(II−2)のように共鳴構造を取るような記載方法でも構造を表すことができる。つまり、下記式(I−1)と下記式(I−2)との違い、および下記式(II−1)と下記式(II−2)との違いは構造の記載方法のみであり、どちらも同一の化合物を表す。本発明中では特に断りのない限り、下記式(I−1)および下記式(II−1)のような記載方法にてスクアリリウム系化合物の構造を表すものとする。
Figure 2019168090
さらに、例えば、下記式(I−3)で表される化合物と下記式(I−4)で表される化合物は、同一の化合物であると見なすことができる。
Figure 2019168090
前記化合物(I)および(II)は、それぞれ前記式(I)および(II)の要件を満たせば特に構造は限定されない。例えば前記式(I−1)および(II−1)のように構造を表した場合、中央の四員環に結合している左右の置換基は同一であっても異なっていてもよいが、同一であった方が合成上容易であるため好ましい。
前記化合物(I)および(II)の具体例としては、下記式(I−A)〜(I−H)で表される基本骨格を有する、下記表1〜3に記載の化合物(a−1)〜(a−36)を挙げることができる。
Figure 2019168090
Figure 2019168090
Figure 2019168090
Figure 2019168090
Figure 2019168090
前記化合物(I)および(II)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、例えば、特開平1−228960号公報、特開2001−40234号公報、特許第3196383号公報等に記載されている方法などを参照して合成することができる。
(フタロシアニン系化合物)
前記フタロシアニン系化合物は、特に限定されるものではないが、下記式(III)で表される化合物(以下「化合物(III)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2019168090
式(III)中、Mは、2個の水素原子、2個の1価の金属原子、2価の金属原子、または3価もしくは4価の金属原子を含む置換金属原子を表し、複数あるRa、Rb、RcおよびRdはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4、または、RaとRb、RbとRcおよびRcとRdのうち少なくとも1つの組み合わせが結合した、下記式(A)〜(H)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。但し、同じ芳香環に結合したRa、Rb、RcおよびRdのうち少なくとも1つが水素原子ではない。
前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記式(I)において定義した置換基Lを有してもよく、
1は、前記式(I)において定義したL1と同義であり、
2は、水素原子または前記式(I)において定義したLa〜Leのいずれかを表し、
3は、水酸基または前記La〜Leのいずれかを表し、
4は、前記La〜Leのいずれかを表す。
Figure 2019168090
式(A)〜(H)中、RxおよびRyは炭素原子を表し、複数あるRA〜RLはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4を表し、前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記式(I)において定義した置換基Lを有してもよく、L1〜L4は前記式(III)において定義したL1〜L4と同義である。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、置換基Lを有してもよいアミノ基としては、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、置換基Lを有してもよいアミド基としては、アミド基、メチルアミド基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基、ジイソプロピルアミド基、ジブチルアミド基、α−ラクタム基、β−ラクタム基、γ−ラクタム基、δ−ラクタム基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、置換基Lを有してもよいイミド基としては、イミド基、メチルイミド基、エチルイミド基、ジエチルイミド基、ジプロピルイミド基、ジイソプロピルイミド基、ジブチルイミド基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、置換基Lを有してもよいシリル基としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、−S−L2としては、チオール基、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、プロピルスルフィド基、ブチルスルフィド基、イソブチルスルフィド基、sec−ブチルスルフィド基、tert−ブチルスルフィド基、フェニルスルフィド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルスルフィド基、2,6−ジフェニルフェニルスルフィド基、4−クミルフェニルスルフィド基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、−SS−L2としては、ジスルフィド基、メチルジスルフィド基、エチルジスルフィド基、プロピルジスルフィド基、ブチルジスルフィド基、イソブチルジスルフィド基、sec−ブチルジスルフィド基、tert−ブチルジスルフィド基、フェニルジスルフィド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルジスルフィド基、2,6−ジフェニルフェニルジスルフィド基、4−クミルフェニルジスルフィド基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、−SO2−L3としては、スルホ基、メシル基、エチルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基などが挙げられる。
前記Ra〜RdおよびRA〜RLにおいて、−N=N−L4としては、メチルアゾ基、フェニルアゾ基、p−メチルフェニルアゾ基、p−ジメチルアミノフェニルアゾ基などが挙げられる。
前記Mにおいて、1価の金属原子としては、Li、Na、K、Rb、Csなどが挙げられる。
前記Mにおいて、2価の金属原子としては、Be、Mg、Ca、Ba、Ti、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Zn、Cd、Hg、Sn、Pbなどが挙げられる。
前記Mにおいて、3価の金属原子を含む置換金属原子としては、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−F、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−I、In−F、In−Cl、In−Br、In−I、Tl−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Fe−Cl、Ru−Cl、Mn−OHなどが挙げられる。
前記Mにおいて、4価の金属原子を含む置換金属原子としては、TiF2、TiCl2、TiBr2、TiI2、ZrCl2、HfCl2、CrCl2、SiF2、SiCl2、SiBr2、SiI2、GeF2、GeCl2、GeBr2、GeI2、SnF2、SnCl2、SnBr2、SnI2、Zr(OH)2、Hf(OH)2、Mn(OH)2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、GeR2、SnR2、Ti(OR)2、Cr(OR)2、Si(OR)2、Ge(OR)2、Sn(OR)2(Rは脂肪族基または芳香族基を表す。)、TiO、VO、MnOなどが挙げられる。
前記Mとしては、周期表5族〜11族、かつ、第4周期〜第5周期に属する、2価の遷移金属、3価もしくは4価の金属ハロゲン化物または4価の金属酸化物であることが好ましく、その中でも、高い可視光透過率や安定性を達成することができることから、Cu、Ni、CoおよびVOが特に好ましい。
前記フタロシアニン系化合物は、下記式(V)のようなフタロニトリル誘導体の環化反応により合成する方法が一般的に知られているが、得られるフタロシアニン系化合物は下記式(VI−1)〜(VI−4)のような4種の異性体の混合物となっている。本発明では、特に断りのない限り、1種のフタロシアニン系化合物につき1種の異性体のみを例示しているが、他の3種の異性体についても同様に用いることができる。なお、これらの異性体は必要に応じて分離して用いることも可能であるが、本発明では異性体混合物を一括して取り扱っている。
Figure 2019168090
Figure 2019168090
前記化合物(III)の具体例としては、下記式(III−A)〜(III−J)で表わされる基本骨格を有する、下記表4〜7に記載の(b−1)〜(b−61)などを挙げることができる。
Figure 2019168090
Figure 2019168090
Figure 2019168090
Figure 2019168090
Figure 2019168090
化合物(III)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、たとえば、特許第4081149号公報や「フタロシアニン −化学と機能―」(アイピーシー、1997年)に記載されている方法を参照して合成することができる。
(シアニン系化合物)
前記シアニン系化合物は、特に限定されるものではないが、下記式(IV−1)〜(IV−3)のいずれかで表される化合物(以下「化合物(IV−1)〜(IV−3)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2019168090
式(IV−1)〜(IV−3)中、Xa -は1価の陰イオンを表し、複数あるDは独立に、炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、複数あるRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、RhおよびRiはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L3、−SO2−L3、−N=N−L4、または、RbとRc、RdとRe、ReとRf、RfとRg、RgとRhおよびRhとRiのうち少なくとも1つの組み合わせが結合した、前記式(A)〜(H)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、前記アミノ基、アミド基、イミド基およびシリル基は、前記式(I)において定義した置換基Lを有してもよく、
1は、前記式(I)において定義したL1と同義であり、
2は、水素原子または前記式(I)において定義したLa〜Leのいずれかを表し、
3は、水素原子または前記La〜Leのいずれかを表し、
4は、前記La〜Leのいずれかを表し、
a〜ZcおよびYa〜Ydはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、シリル基、−L1、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4(L1〜L4は、前記Ra〜RiにおけるL1〜L4と同義である。)、または、これらのうち隣接した二つから選ばれるZ同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基;窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含んでもよい5乃至6員環の脂環式炭化水素基;もしくは、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含む、炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基を表し、これらの芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基および複素芳香族炭化水素基は、炭素数1〜9の脂肪族炭化水素基またはハロゲン原子を有してもよい。
前記Za〜ZcおよびYa〜Ydにおける、Z同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、例えば、前記置換基Lにおける芳香族炭化水素基で例示した化合物が挙げられる。
前記Za〜ZcおよびYa〜Ydにおける、Z同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含んでもよい5乃至6員環の脂環式炭化水素基としては、例えば、前記置換基Lにおける脂環式炭化水素基および複素環で例示した化合物(複素芳香族炭化水素基を除く。)が挙げられる。
前記Za〜ZcおよびYa〜Ydにおける、Z同士もしくはY同士が相互に結合して形成される、炭素数3〜14の複素芳香族炭化水素基としては、例えば、前記置換基Lにおける複素環基として例示した化合物(窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を少なくとも1つ含む脂環式炭化水素基を除く。)が挙げられる。
前記式(IV−1)〜(IV−3)において、−S−L2、−SS−L2、−SO2−L3、−N=N−L4、置換基Lを有してもよいアミノ基、アミド基、イミド基、シリル基としては、前記式(III)で例示した基と同様の基などが挙げられる。
a -は1価の陰イオンであれば特に限定されないが、I-、Br-、PF6 -、N(SO2CF32 -、B(C654 -、ニッケルジチオラート系錯体、銅ジチオラート系錯体などが挙げられる。
前記化合物(IV−1)〜(IV−3)の具体例としては、下記表8に記載の(c−1)〜(c−24)などを挙げることができる。
Figure 2019168090
前記化合物(IV−1)〜(IV−3)は、一般的に知られている方法で合成すればよく、たとえば特開2009−108267号公報に記載されている方法で合成することができる。
<透明樹脂>
前記透明樹脂としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、例えば、熱安定性およびフィルムへの成形性を確保するため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110〜380℃、より好ましくは110〜370℃、さらに好ましくは120〜360℃である樹脂が挙げられる。また、リフロー工程に好適であるため前記樹脂のガラス転移温度が140℃以上であると好ましく、230℃以上であるとより好ましい。
前記透明樹脂の屈折率(n20d)は、1.53以下であることが特に好ましい。屈折率(n20d)が1.53超となる透明樹脂は分子内に芳香環を多く有する傾向にあるが、当該構造の樹脂では化合物(A)分子内のπ共役系との相互作用が強くなり過ぎ、耐候性を悪化させる場合がある。
透明樹脂としては、当該樹脂からなる厚さ0.1mmの樹脂板を形成した場合に、この樹脂板の全光線透過率(JIS K7105)が、好ましくは75〜95%、さらに好ましくは78〜95%、特に好ましくは80〜95%となる樹脂を用いることができる。全光線透過率がこのような範囲となる樹脂を用いれば、得られる基板は光学フィルムとして良好な透明性を示す。
透明樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は、通常15,000〜350,000、好ましくは30,000〜250,000であり、数平均分子量(Mn)は、通常10,000〜150,000、好ましくは20,000〜100,000である。
透明樹脂としては、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、マレイミド系樹脂、脂環エポキシ熱硬化型樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂およびゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂を挙げることができる。これらの内、環状ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリエーテル樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂を用いることが、透明性(光学特性)、耐熱性、耐リフロー性等のバランスに優れた光学フィルターを得られる点で好ましく、さらに樹脂の屈折率の観点から環状ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。透明樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
≪環状ポリオレフィン系樹脂≫
環状ポリオレフィン系樹脂としては、下記式(X0)で表される単量体および下記式(Y0)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体から得られる樹脂、および当該樹脂を水素添加することで得られる樹脂が好ましい。
Figure 2019168090
式(X0)中、Rx1〜Rx4はそれぞれ独立に、下記(i')〜(ix')より選ばれる原子または基を表し、kx、mxおよびpxはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
(i')水素原子
(ii')ハロゲン原子
(iii')トリアルキルシリル基
(iv')酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(v')置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(vi')極性基(但し、(ii')および(iv')を除く。)
(vii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(viii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
(ix')Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環または複素環(但し、前記結合に関与しないRx1とRx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す。)
Figure 2019168090
式(Y0)中、Ry1およびRy2はそれぞれ独立に、前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表すか、Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環を表し、kyおよびpyはそれぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
≪芳香族ポリエーテル系樹脂≫
芳香族ポリエーテル系樹脂は、下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 2019168090
式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示す。
Figure 2019168090
式(2)中、R1〜R4およびa〜dはそれぞれ独立に、前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは、単結合、−SO2−または−CO−を示し、R7およびR8はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0のとき、R7はシアノ基ではない。
また、前記芳香族ポリエーテル系樹脂は、さらに下記式(3)で表される構造単位および下記式(4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 2019168090
式(3)中、R5およびR6はそれぞれ独立に、炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfはそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。
Figure 2019168090
式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhはそれぞれ独立に、前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfはそれぞれ独立に、前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。
≪ポリイミド系樹脂≫
ポリイミド系樹脂としては、特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよく、例えば、特開2006−199945号公報や特開2008−163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリカーボネート系樹脂≫
フルオレンポリカーボネート系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよく、例えば、特開2008−163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリエステル系樹脂≫
フルオレンポリエステル系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよく、例えば、特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フッ素化芳香族ポリマー系樹脂≫
フッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては、特に制限されないが、フッ素原子を少なくとも1つ有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーであることが好ましく、例えば特開2008−181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪アクリル系紫外線硬化型樹脂≫
アクリル系紫外線硬化型樹脂としては、特に制限されないが、分子内に一つ以上のアクリル基もしくはメタクリル基を有する化合物と、紫外線によって分解して活性ラジカルを発生させる化合物を含有する樹脂組成物から合成されるものを挙げることができる。アクリル系紫外線硬化型樹脂は、前記基材として、ガラス支持体上やベースとなる樹脂製支持体上に化合物(A)および硬化性樹脂を含む透明樹脂層が積層された基材や、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材を用いる場合、該硬化性樹脂として特に好適に使用することができる。
≪エポキシ系樹脂≫
エポキシ系樹脂としては、特に制限されないが、紫外線硬化型と熱硬化型に大別することができる。紫外線硬化型エポキシ系樹脂としては、例えば、分子内に一つ以上のエポキシ基を有する化合物と、紫外線によって酸を発生させる化合物(以下「光酸発生剤」ともいう)を含有する組成物から合成されるものを挙げることができ、熱硬化型エポキシ系樹脂としては、例えば、分子内に一つ以上のエポキシ基を有する化合物と、酸無水物を含有する組成物から合成されるものを挙げることができる。エポキシ系紫外線硬化型樹脂は、前記基材として、ガラス支持体上やベースとなる樹脂製支持体上に化合物(A)を含む透明樹脂層が積層された基材や、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板上に硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材を用いる場合、該硬化性樹脂として特に好適に使用することができる。
≪ゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂≫
ゾルゲル法によるシリカを主成分とする樹脂としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシラン、メトキシトリエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのフェニルアルコキシシラン等から選ばれる1種以上のシラン類の加水分解によるゾルゲル反応により得られる化合物を樹脂として使用することができる。
≪市販品≫
透明樹脂の市販品としては、以下の市販品等を挙げることができる。環状ポリオレフィン系樹脂の市販品としては、JSR(株)製アートン、日本ゼオン(株)製ゼオノア、三井化学(株)製APEL、ポリプラスチックス(株)製TOPASなどを挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、住友化学(株)製スミカエクセルPESなどを挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ネオプリムLなどを挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、帝人(株)製ピュアエースなどを挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学(株)製ユピゼータEP−5000などを挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、大阪ガスケミカル(株)製OKP4HTなどを挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、(株)日本触媒製アクリビュアなどを挙げることができる。シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂の市販品としては、新日鐵化学(株)製シルプラスなどを挙げることができる。
<その他の色素(X)>
前記基材には、さらに、前記化合物(A)に該当しない、その他の色素(X)が含まれていてもよい。
その他の色素(X)としては、吸収極大波長が波長650nm未満もしくは波長800nm超1250nm以下の領域にある色素であれば特に制限されず、例えば、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、シアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、オクタフィリン系化合物、ジイモニウム系化合物、ピロロピロール系化合物、ボロンジピロメテン(BODIPY)系化合物、ペリレン系化合物および金属ジチオラート系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。このような色素を用いることにより、幅広い近赤外線波長領域における吸収特性と優れた可視光透過率を達成することができる。
その他の色素(X)の吸収極大波長は、好ましくは805nm以上1200nm以下、より好ましくは810nm以上1150nm以下、さらに好ましくは815nm以上1100nm以下、特に好ましくは820nm以上1050nm以下である。その他の色素(X)の吸収極大波長がこのような範囲にあると、不要な近赤外線を効率よくカットすることができるとともに、入射光の入射角依存性を低くすることができる。
その他の色素(X)の含有量は、前記基材として、例えば、その他の色素(X)を含有する透明樹脂製基板からなる基材を用いる場合には、透明樹脂100質量部に対して、好ましくは0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.9質量部、特に好ましくは0.02〜0.8質量部であり、前記基材として、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体上にその他の色素(X)を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの透明樹脂層が積層された基材や、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板上にその他の色素(X)を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの樹脂層が積層された基材を用いる場合には、その他の色素(X)を含む透明樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜4.0質量部、より好ましくは0.1〜3.0質量部、特に好ましくは0.2〜2.0質量部である。
<その他成分>
前記基材は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他成分として、さらに酸化防止剤、近紫外線吸収剤および蛍光消光剤などを含有してもよい。これらその他成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記近紫外線吸収剤としては、例えばアゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。
なお、これらその他成分は、基材を製造する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を合成する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、樹脂100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部、好ましくは0.05〜2.0質量部である。
<基材の製造方法>
前記基材が、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板を含む基材である場合、該透明樹脂製基板は、例えば、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、さらに、必要により、成形後に、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングすることで、オーバーコート層が積層された基材を製造することができる。
前記基材が、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体上または化合物(A)を含有しない透明樹脂製基板上に化合物(A)を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの透明樹脂層が積層された基材である場合、例えば、前記支持体または前記透明樹脂製基板上に化合物(A)を含む樹脂溶液を溶融成形またはキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、インクジェットなどの方法にて塗工した後に溶媒を乾燥除去し、必要に応じてさらに光照射や加熱を行うことで、前記支持体または前記透明樹脂製基板上に化合物(A)を含む透明樹脂層が形成された基材を製造することができる。
≪溶融成形≫
前記溶融成形としては、具体的には、樹脂と化合物(A)と必要に応じて他の成分とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂と化合物(A)と必要応じて他の成分とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、化合物(A)、樹脂、溶剤および必要に応じて他の成分を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などが挙げられる。溶融成形方法としては、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形などを挙げることができる。
≪キャスト成形≫
前記キャスト成形としては、化合物(A)、樹脂、溶剤および必要に応じて他の成分を含む樹脂組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;または化合物(A)と、光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂と、必要に応じて他の成分とを含む硬化性組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶媒を除去した後、紫外線照射や加熱などの適切な手法により硬化させる方法などにより製造することもできる。
前記基材が、化合物(A)を含有する透明樹脂製基板からなる基材である場合には、該基材は、キャスト成形後、支持体から塗膜を剥離することにより得ることができ、また、前記基材が、ガラス支持体やベースとなる樹脂製支持体などの支持体上または化合物(A)を含有しない透明樹脂製基板上に化合物(A)を含有する硬化性樹脂等からなるオーバーコート層などの透明樹脂層が積層された基材である場合には、該基材は、キャスト成形後、塗膜を剥離しないことで得ることができる。
前記支持体としては、例えば、近赤外線吸収ガラス板(例えば、松浪硝子工業社製「BS−11」やAGC テクノグラス社製「NF−50T」などのような銅成分を含有するリン酸塩系ガラス板)、透明ガラス板(例えば、日本電気硝子社製「OA−10G」や旭硝子社製「AN100」などのような無アルカリガラス板)、スチールベルト、スチールドラムおよび透明樹脂(例えば、ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム)製支持体が挙げられる。
さらに、ガラス板、石英または透明プラスチック製等の光学部品に、前記樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させる方法、または、前記硬化性組成物をコーティングして硬化および乾燥させる方法などにより、光学部品上に透明樹脂層を形成することもできる。
前記方法で得られた透明樹脂層(透明樹脂製基板)中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよい。具体的には、前記残留溶剤量は、透明樹脂層(透明樹脂製基板)の重さ100質量部に対して、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。残留溶剤量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる透明樹脂層(透明樹脂製基板)が得られる。
[誘電体多層膜]
本発明の光学フィルターは、誘電体多層膜を有さないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、前記基材の少なくとも一方の面に誘電体多層膜を有してもよい。本発明における誘電体多層膜とは、可視光領域における反射防止効果を有する膜である。
前記誘電体多層膜は、好ましくは波長400〜610nm、より好ましくは波長410〜600nm、さらに好ましくは420〜590nmの範囲全体にわたって反射防止特性を有することが望ましい。
基材の両面に誘電体多層膜を有する形態として、光学フィルターの垂直方向から測定した場合に、主に波長400〜610nm付近の反射防止特性を有する誘電体多層膜を基材の両面に有する形態などが挙げられる。
前記可視光領域における反射防止効果を有する誘電体多層膜の厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、好ましくは0.01〜1.0μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μmである。厚みを上記範囲とすることによって、反りや歪みの少ない光学フィルターを得ることができる。
誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層したものが挙げられる。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.7〜2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分100質量部に対して0〜10質量部)含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2〜1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、基材上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ〜0.5λの厚さが好ましい。λ(nm)の値としては、例えば700〜1400nm、好ましくは750〜1300nmである。厚さがこの範囲であると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学的膜厚と、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さとがほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、光学フィルター全体として1〜20層であることが好ましく、2〜12層であることがより好ましい。積層数を上記範囲とすることによって、反りや歪みの少ない光学フィルターを得ることができる。
本発明では、化合物(A)やその他の色素(X)などの吸収特性に合わせて高屈折率材料層および低屈折率材料層を構成する材料種、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さ、積層の順番、積層数を適切に選択することで、可視光領域に十分な透過率を確保した上で近赤外線波長域に十分な光線カット特性を有し、且つ、斜め方向から近赤外線が入射した際の反射率を低減することができる。
ここで、前記条件を最適化するには、例えば、光学薄膜設計ソフト(例えば、Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用い、可視光領域の反射防止効果と近赤外線領域の光線カット効果を両立できるようにパラメーターを設定すればよい。上記ソフトの場合、例えば第一光学層の設計にあたっては、波長400〜700nmの目標透過率を100%、Target Toleranceの値を1とした上で、波長705〜950nmの目標透過率を0%、Target Toleranceの値を0.5にするなどのパラメーター設定方法が挙げられる。これらのパラメーターは基材(i)の各種特性などに合わせて波長範囲をさらに細かく区切ってTarget Toleranceの値を変えることもできる。
[その他の機能膜]
本発明の光学フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、基材の少なくとも一方の面、基材と誘電体多層膜との間、基材の誘電体多層膜が設けられた面と反対側の面、または誘電体多層膜の基材が設けられた面と反対側の面に、基材や誘電体多層膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を適宜設けることができる。
本発明の光学フィルターは、前記機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明の光学フィルターが前記機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
機能膜を積層する方法としては、特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基材または誘電体多層膜に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、前記コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で基材または誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
また、前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性が優れ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を得ることができる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知のものを使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.7〜5μmである。
また、基材と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、基材、機能膜または誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
[光学フィルターの用途]
本発明の光学フィルターは、視野角が広く、優れた近赤外線カット能等を有する。したがって、カメラモジュールのCCDやCMOSイメージセンサー等の固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビゲーション、携帯情報端末、ビデオゲーム機、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。さらに、自動車や建物等のガラス板等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSイメージセンサー等といった固体撮像素子を備えたイメージセンサーであり、具体的にはデジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、デジタルビデオカメラ等の用途に用いることができる。例えば、本発明のカメラモジュールは、本発明の光学フィルターを具備する。ここで、カメラモジュールとは、イメージセンサーや焦点調整機構、あるいは位相検出機構、距離測定機構等を備え、画像や距離情報を電気信号として出力する装置である。
前記カメラモジュールとしては、内部機構を外部から保護するカバー部材を有し、前記カバー部材が近赤外線反射機能を有するものであることが特に好ましい。カバー部材が、カバー部材の垂直方向から入射する光に対して反射機能を有する近赤外線波長帯としては、好ましくは900〜1100nm、さらに好ましくは850〜1150nm、特に好ましくは800〜1200nmである。カバー部材に近赤外反射機能を付与する手段は特に限定されないが、高屈折率材料と低屈折率材料を交互に積層した誘電体多層膜をCVT法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法などによってカバー部材上に形成する方法が好ましい。
カメラモジュールが上記のような構成の場合、カバー部材によって近赤外線の一部がカットされた状態で光線がカメラモジュール内に入光することとなるため、レンズ−レンズ間、レンズ−光学フィルター間、光学フィルター−固体撮像素子間の不要な近赤外線反射を低減することができ、カメラ画像のノイズやゴーストを低減できる傾向にあるため好ましい。さらに、本発明のカメラモジュールでは、700〜780nmの波長の近赤外線を化合物(A)の吸収によって効率的にカットする光学フィルターを備えるため、従来のカメラモジュールでは実現困難な高画質化を達成することができる。
また、本発明の電子機器は、本発明のカメラモジュールを有する。電子機器としては、特に限定されないが、例えば、上述した用途におけるスマートフォン、携帯電話、PCなどが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、「部」は、特に断りのない限り「質量部」を意味する。また、各物性値の測定方法および物性の評価方法は以下のとおりである。
<分子量>
樹脂の分子量は、各樹脂の溶剤への溶解性等を考慮し、下記の(a)または(b)の方法にて測定を行った。
(a)ウォターズ(WATERS)社製のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型、カラム:東ソー社製Hタイプカラム、展開溶剤:o−ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(b)東ソー社製GPC装置(HLC−8220型、カラム:TSKgelα‐M、展開溶剤:THF)を用い、標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
なお、後述する樹脂合成例3で合成した樹脂については、上記方法による分子量の測定ではなく、下記方法(c)による対数粘度の測定を行った。
(c)ポリイミド樹脂溶液の一部を無水メタノールに投入してポリイミド樹脂を析出させ、ろ過して未反応単量体から分離した。80℃で12時間真空乾燥して得られたポリイミド0.1gをN−メチル−2−ピロリドン20mLに溶解し、キャノン−フェンスケ粘度計を使用して30℃における対数粘度(μ)を下記式により求めた。
μ={ln(ts/t0)}/C
0:溶媒の流下時間
s:希薄高分子溶液の流下時間
C:0.5g/dL
<ガラス転移温度(Tg)>
エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<分光透過率>
基材および光学フィルターの各波長における透過率は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。
ここで、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率では、図1(A)のように光学フィルター2に対して垂直に透過した光1を分光光度計3で測定し、光学フィルターの垂直方向に対して30度の角度から測定した場合の透過率では、図1(B)のように光学フィルター2の垂直方向に対して30度の角度で透過した光1’を分光光度計3で測定し、光学フィルターの垂直方向に対して60度の角度から測定した場合の透過率では、図1(C)のように光学フィルター2の垂直方向に対して60度の角度で透過した光1’’を分光光度計3で測定した。
<カメラ画像の色シェーディング評価>
光学フィルターをカメラモジュールに組み込んだ際の色シェーディング評価は下記の方法で行った。特開2016−110067号公報と同様の方法で、図2に示すようなカメラモジュールを作製し、得られたカメラモジュールを用いて300mm×400mmサイズの白色板をD65光源(X−Rite社製標準光源装置「マクベスジャッジII」)下で撮影し、カメラ画像における白色板の中央部と端部における色目の違いを以下の基準で評価した。
全く問題がなく許容可能なレベルをA、若干色目の違いは認められるが高画質カメラモジュールとして実用上問題がなく許容可能なレベルをB、色目の違いが有り高画質カメラモジュール用途としては許容不可能なレベルをC、明らかな色目の違いが有り一般的なカメラモジュール用途としても許容不可能なレベルをDと判定した。
なお、図3に示すように、撮影を行う際はカメラ画像111の中で白色板112が面積の90%以上を占めるように白色板112とカメラモジュールの位置関係を調節した。また、図2におけるカバー部材210として、下記表9に示す膜構成を有するカバー部材を用い、光学フィルター240として、下記実施例および比較例で作製した光学フィルターを用いた。
Figure 2019168090
<カメラ画像のゴースト評価>
光学フィルターをカメラモジュールに組み込んだ際のゴースト評価は下記の方法で行った。カメラ画像の色シェーディング評価と同様の方法でカメラモジュールを作成し、作成したカメラモジュールを用いて暗室中ハロゲンランプ光源(林時計工業社製「ルミナーエースLA−150TX」)下で撮影し、カメラ画像における光源周辺のゴースト発生具合を以下の基準で評価した。
全く問題がなく許容可能なレベルをA、若干のゴーストは認められるが高画質カメラモジュールとして実用上問題がなく許容可能なレベルをB、ゴーストが発生しており高画質カメラモジュール用途としては許容不可能なレベルをC、ゴーストの度合いがひどく一般的なカメラモジュール用途としても許容不可能なレベルをDと判定した。
なお、図4に示すように、撮影を行う際は、光源122がカメラ画像121の右上端部となるように調節した。
[合成例]
下記実施例で用いた化合物(A)および近赤外線吸収色素(X)は、一般的に知られている方法で合成した。一般的合成方法としては、例えば、特開昭60−228448号公報、特開平1−146846号公報、特開平1−228960号公報、特許第4081149号公報、特開昭63−124054号公報、「フタロシアニン −化学と機能―」(アイピーシー、1997年)、特開2007−169315号公報、特開2009−108267号公報、特開2010−241873号公報などに記載されている方法を挙げることができる。
<樹脂合成例1>
下記式(a)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下「DNM」ともいう。)100部、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部およびトルエン(開環重合反応用溶媒)300部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 2019168090
このようにして得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。得られた樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が32,000、質量平均分子量(Mw)が137,000であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃、屈折率(n20d)が1.51であった。
<樹脂合成例2>
3Lの4つ口フラスコに2,6−ジフルオロベンゾニトリル35.12g(0.253mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、ディーンスターク管および冷却管を取り付けた。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をディーンスターク管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(以下「樹脂B」ともいう。)を得た(収率95%)。得られた樹脂Bは、数平均分子量(Mn)が75,000、質量平均分子量(Mw)が188,000であり、ガラス転移温度(Tg)が285℃、屈折率(n20d)が1.66であった。
<樹脂合成例3>
温度計、撹拌器、窒素導入管、側管付き滴下ロート、ディーンスターク管および冷却管を備えた500mLの5つ口フラスコに、窒素気流下、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン27.66g(0.08モル)および4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル7.38g(0.02モル)を入れて、γ―ブチロラクトン68.65g及びN,N−ジメチルアセトアミド17.16gに溶解させた。得られた溶液を、氷水バスを用いて5℃に冷却し、同温に保ちながら1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物22.62g(0.1モル)およびイミド化触媒としてトリエチルアミン0.50g(0.005モル)を一括添加した。添加終了後、180℃に昇温し、随時留出液を留去させながら、6時間還流させた。反応終了後、内温が100℃になるまで空冷した後、N,N−ジメチルアセトアミド143.6gを加えて希釈し、攪拌しながら冷却し、固形分濃度20質量%のポリイミド樹脂溶液264.16gを得た。このポリイミド樹脂溶液の一部を1Lのメタノール中に注ぎいれてポリイミドを沈殿させた。濾別したポリイミドをメタノールで洗浄した後、100℃の真空乾燥機中で24時間乾燥させて白色粉末(以下「樹脂C」ともいう。)を得た。得られた樹脂CのIRスペクトルを測定したところ、イミド基に特有の1704cm-1、1770cm-1の吸収が見られた。樹脂Cはガラス転移温度(Tg)が310℃、屈折率(n20d)が1.68であり、対数粘度を測定したところ、0.87であった。
[実施例1]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、化合物(A−a)として下記式(A−a−1)で表わされる化合物(A−a−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長712nm)0.05部、化合物(A−b)として、下記式(A−b−1)で表わされる化合物(A−b−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長738nm)0.12部、および化合物(A−c)として下記式(A−c−1)で表わされる化合物(A−c−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長776nm)0.05部、および塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの透明樹脂製基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図5および表15に示す。
Figure 2019168090
Figure 2019168090
Figure 2019168090
[実施例2]
実施例1において、化合物(A−a)として下記式(A−a−2)で表わされる化合物(A−a−2)(ジクロロメタン中での吸収極大波長686nm)0.03部を用いたこと、化合物(A−b)を用いなかったこと、ならびに、化合物(A−c)として化合物(A−c−1)0.04部および下記式(A−c−2)で表わされる化合物(A−c−2)(ジクロロメタン中での吸収極大波長760nm)0.06部を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で透明樹脂製基板を得た。
Figure 2019168090
Figure 2019168090
得られた透明樹脂製基板の片面に、下記組成の樹脂組成物(1)をバーコーターで塗布し、オーブン中70℃で2分間加熱して溶剤を揮発除去した。この際、乾燥後の厚みが2μmとなるように、バーコーターの塗布条件を調整した。次に、コンベア式露光機を用いて露光(露光量:500mJ/cm2,200mW)を行って樹脂組成物(1)を硬化させ、透明樹脂製基板上に樹脂層を形成した。同様に、透明樹脂製基板のもう一方の面にも樹脂組成物(1)からなる樹脂層を形成して透明樹脂製基板の両面に樹脂層を有する基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図6および表15に示す。
樹脂組成物(1):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート 60部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 40部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 5部、メチルエチルケトン(溶剤、固形分濃度(TSC):30質量%)
[実施例3]
実施例1において、化合物(A−a)として化合物(A−a−1)0.04部および化合物(A−a−2)0.03部を用いたこと、化合物(A−b)として化合物(A−b−1)0.10部を用いたこと、ならびに、化合物(A−c)として化合物(A−c−1)0.04部および化合物(A−c−2)0.05部を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で透明樹脂製基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図7および表15に示す。
[実施例4]
実施例1において、化合物(A−a)として化合物(A−a−1)0.04部および化合物(A−a−2)0.03部を用いたこと、化合物(A−b)として化合物(A−b−1)0.01部を用いたこと、化合物(A−c)として化合物(A−c−1)0.03部および化合物(A−c−2)0.04部を用いたこと、ならびに、その他の近赤外線吸収色素(X)として下記式(X−1)で表わされる近赤外線吸収色素(X−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長813nm)0.04部を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で、化合物(A)および近赤外線吸収色素(X)を含む透明樹脂製基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図8および表15に示す。
Figure 2019168090
[実施例5]
縦60mm、横60mmの大きさにカットした透明ガラス基板「OA−10G(厚み150um)」(日本電気硝子(株)製)上に下記組成の樹脂組成物(2)をスピンコーターで塗布し、ホットプレート上80℃で2分間加熱して溶剤を揮発除去した。この際、乾燥後の厚みが2μmとなるように、スピンコーターの塗布条件を調整した。次に、コンベア式露光機を用いて露光(露光量:500mJ/cm2,200mW)を行って樹脂組成物(2)を硬化させ、化合物(A)を含む透明樹脂層を有する透明ガラス基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図9および表15に示す。
樹脂組成物(2):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート 20部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 80部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4部、化合物(A−a−1)3.00部、化合物(A−a−2)1.00部、化合物(A−b−1)7.00部、化合物(A−c−1)4.00部、メチルエチルケトン(溶剤、TSC:35%)
[実施例6]
実施例1において、化合物(A−a)として化合物(A−a−1)0.04部および化合物(A−a−2)0.03部を用いたこと、化合物(A−b)として化合物(A−b−1)0.34部を用いたこと、化合物(A−c)として化合物(A−c−1)0.04部を用いたこと、ならびに、透明樹脂製基板の厚さを0.08mmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で透明樹脂製基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図10および表15に示す。
[実施例7]
実施例1において、化合物(A−a)として化合物(A−a−1)0.05部を用いたこと、化合物(A−b)として化合物(A−b−1)0.85部を用いらこと、化合物(A−c)として化合物(A−c−1)0.05部を用いたこと、ならびに、透明樹脂製基板の厚さを0.04mmとしたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で透明樹脂製基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図11および表15に示す。
[実施例8]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂Aおよび塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製し、得られた溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂製支持体を作成した。
得られた樹脂製支持体の両面に、実施例2と同様にして、下記組成の樹脂組成物(3)からなる樹脂層を形成し、樹脂製支持体の両面に化合物(A)および近赤外線吸収色素(X)を含む透明樹脂層を有する基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図12および表15に示す。
樹脂組成物(3):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート 100部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4部、化合物(A−a−1)0.50部、化合物(A−c−1)0.50部、化合物(A−c−2)2.50部、近赤外線吸収色素(X−1)1.40部、メチルエチルケトン(溶剤、TSC:25%)
[実施例9]
縦60mm、横60mmの大きさにカットした近赤外線吸収ガラス基板「BS−11(厚み120um)」(松浪硝子工業(株)製)上に下記組成の樹脂組成物(4)をスピンコーターで塗布し、ホットプレート上80℃で2分間加熱して溶剤を揮発除去した。この際、乾燥後の厚みが2μmとなるように、スピンコーターの塗布条件を調整した。次に、コンベア式露光機を用いて露光(露光量:500mJ/cm2,200mW)を行って樹脂組成物(4)を硬化させ、化合物(A)を含む透明樹脂層を有する近赤外線吸収ガラス基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図13および表15に示す。
樹脂組成物(4):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート 20部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 80部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 4部、化合物(A−a−1)1.00部、化合物(A−c−1)1.00部、化合物(A−c−2)5.00部、メチルエチルケトン(溶剤、TSC:35質量%)
[実施例10]
実施例1において、化合物(A−a)として化合物(A−a−1)0.04部および化合物(A−a−2)0.03部を用いたこと、化合物(A−b)として化合物(A−b−1)0.14部を用いたこと、化合物(A−c)として化合物(A−c−1)0.04部を用いたこと、ならびに、近赤外線吸収色素(X−1)0.04部を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で、化合物(A)および近赤外線吸収色素(X)を含む透明樹脂製基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図14および表15に示す。
[実施例11]
実施例1において、化合物(A−a)として化合物(A−a−1)0.04部および化合物(A−a−2)0.03部を用いたこと、化合物(A−b)として化合物(A−b−1)0.34部を用いたこと、ならびに、化合物(A−c)として化合物(A−c−1)0.04部を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で透明樹脂製基板からなる基材を得た。
得られた基材の片面に第一光学層として誘電体多層膜(I)を形成し、さらに基材のもう一方の面にも同様の誘電体多層膜(I)を形成して光学フィルターを得た。
誘電体多層膜(I)として、蒸着温度120℃でシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とを交互に積層させた(合計4層)。誘電体多層膜(I)のシリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層され、光学フィルターの最外層をシリカ層とした。
ここで、誘電体多層膜(I)は、膜厚33〜88nmのシリカ層と膜厚13〜111nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数4の多層蒸着膜とした。膜構成を下記表10に示す。
Figure 2019168090
得られた基材および光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図15および表15に示す。
[実施例12〜14]
樹脂、溶媒、樹脂製基板の乾燥条件、化合物(A)を表15に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして基材を作成した。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を表15に示す。
[実施例15、16]
樹脂、溶媒、樹脂製基板の乾燥条件、化合物(A)および近赤外線吸収色素(X)を表15に示すように変更したこと以外は、実施例2と同様にして基材を作成した。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図16、図17および表15に示す。
[比較例1]
実施例1において、化合物(A−a)として化合物(A−a−1)0.07部を用いたこと、および、化合物(A−b)として化合物(A−b−1)0.08部を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順および条件で透明樹脂製基板からなる基材を得た。得られた基材の|Xb−Xa|は61nmであり、100nm未満であった。
続いて、得られた基材の片面に第一光学層としてシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計26層)誘電体多層膜(II)を形成し、さらに基材のもう一方の面に第二光学層としてシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計20層)誘電体多層膜(III)を形成し、厚さ約0.105mmの光学フィ
ルターを得た。
誘電体多層膜(II)および(III)の設計は、以下のようにして行った。
各層の厚さと層数については、可視光領域の反射防止効果と近赤外線領域の選択的な透過・反射性能を達成できるよう基材屈折率の波長依存特性や、適用した化合物(A)の吸収特性に合わせて光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。最適化を行う際、本比較例においてはソフトへの入力パラメーター(Target値)を下記表11の通りとした。
Figure 2019168090
膜構成最適化の結果、比較例1では、誘電体多層膜(II)は、膜厚31〜155nmのシリカ層と膜厚10〜94nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数26の多層蒸着膜となり、誘電体多層膜(III)は、膜厚38〜189nmのシリカ層と膜厚11〜109nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数20の多層蒸着膜となった。最適化を行った膜構成の一例を下記表12に示す。
Figure 2019168090
得られた光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図18および表15に示す。比較例1で得られた光学フィルターは、比較的良好な光学濃度を示すものの、高角度入射時の透過率の低下が大きく、誘電体多層膜による近赤外線反射に起因すると考えられるゴーストの発生が確認され、さらに色シェーディング抑制効果が劣ることが確認された。
[比較例2]
比較例1と同様の手順および条件で透明樹脂製基板からなる基材を得た。得られた基材の片面に第一光学層としてシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計30層)誘電体多層膜(IV)を形成し、さらに基材のもう一方の面に第二光学層としてシリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計20層)誘電体多層膜(V)を形成し、厚さ約0.105mmの光学フィルターを得た。
最適化を行う際、本比較例においてはソフトへの入力パラメーター(Target値)を下記表13の通りとした。
Figure 2019168090
膜構成最適化の結果、比較例2では、誘電体多層膜(IV)は、膜厚22〜467nmのシリカ層と膜厚6〜130nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数30の多層蒸着膜となり、誘電体多層膜(V)は、膜厚84〜206nmのシリカ層と膜厚8〜109nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数20の多層蒸着膜となった。最適化を行った膜構成の一例を下記表14に示す。
Figure 2019168090
得られた光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図19および表15に示す。比較例2で得られた光学フィルターは、高角度入射時の透過率の低下が大きく、さらに近赤外線波長領域の吸収も十分ではないため、色シェーディング抑制効果やゴースト抑制効果に劣ることが確認された。
[比較例3]
比較例1と同様の手順および条件で透明樹脂製基板からなる基材を得た。続いて、実施例11と同様の手順および条件で、得られた基材の片面に第一光学層として誘電体多層膜(I)を形成し、さらに基材のもう一方の面にも同様の誘電体多層膜(I)を形成し、厚さ約0.101mmの光学フィルターを得た。
得られた光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図20および表15に示す。比較例3で得られた光学フィルターは、近赤外線波長領域の吸収が十分ではなく、ゴースト抑制効果に劣ることが確認された。
[比較例4]
比較例1と同様の手順および条件で透明樹脂製基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図21および表15に示す。比較例4で得られた光学フィルターは、近赤外線波長領域の吸収が十分ではなく、ゴースト抑制効果に劣ることが確認された。
[比較例5]
光学フィルターを用いず、カバー部材のみ用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を表15に示す。比較例5で得られたカメラモジュールは近赤外線領域を吸収する光学フィルターを有さないため、色シェーディングおよびゴーストともに度合いがひどく、一般的なカメラモジュール用途としても許容不可能なレベルであることが確認された。
Figure 2019168090
Figure 2019168090
上記表15中の基材の構成、各種化合物などの記号、および、フィルム[(透明)樹脂製基板もしくは樹脂製支持体]の乾燥条件は下記の通りである。
<基材の形態>
形態(1):化合物(A)を含む透明樹脂製基板
形態(2):化合物(A)を含む透明樹脂製基板の両面に樹脂層を有する
形態(3):樹脂製支持体の両面に化合物(A)を含む透明樹脂層を有する
形態(4):透明ガラス基板の片方の面に化合物(A)を含む透明樹脂層を有する
形態(5):近赤外線吸収ガラス基板の片方の面に化合物(A)を含む透明樹脂層を有する
形態(6):化合物(A)を含む透明樹脂製基板の両面に反射防止層を有する
形態(7):化合物(A)および近赤外線吸収色素(X)を含む透明樹脂製基板
形態(8):化合物(A)を含む、|Xb−Xa|が100nm未満の透明樹脂製基板の両面に近赤外線反射層を有する(比較例)
形態(9):化合物(A)を含む、|Xb−Xa|が100nm未満の透明樹脂製基板の両面に反射防止層を有する(比較例)
形態(10):化合物(A)を含む、|Xb−Xa|が100nm未満の透明樹脂製基板(比較例)
<透明樹脂>
樹脂A:環状ポリオレフィン系樹脂(樹脂合成例1)
樹脂B:芳香族ポリエーテル系樹脂(樹脂合成例2)
樹脂C:ポリイミド系樹脂(樹脂合成例3)
樹脂D:環状オレフィン系樹脂「ゼオノア 1420R」(日本ゼオン(株)製)
<ガラス基板>
ガラス基板(1):縦60mm、横60mmの大きさにカットした透明ガラス基板「OA−10G(厚み150μm)」(日本電気硝子(株)製)
ガラス基板(2):縦60mm、横60mmの大きさにカットした近赤外線吸収ガラス基板「BS−11(厚み120μm)」(松浪硝子工業(株)製)
<樹脂製支持体>
樹脂製支持体(1):厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂Aからなる透明樹脂製基板
<近赤外線吸収色素>
≪化合物(A)≫
化合物(A−a−1):式(A−a−1)で表される化合物(ジクロロメタン中での吸収極大波長712nm)
化合物(A−a−2):式(A−a−2)で表される化合物(ジクロロメタン中での吸収極大波長686nm)
化合物(A−b−1):式(A−b−1)で表される化合物(ジクロロメタン中での吸収極大波長738nm)
化合物(A−c−1):式(A−c−1)で表される化合物(ジクロロメタン中での吸収極大波長776nm)
化合物(A−c−2):式(A−c−2)で表される化合物(ジクロロメタン中での吸収極大波長760nm)
化合物(A−c−3):下記式(A−c−3)で表される化合物(ジクロロメタン中での吸収極大波長773nm)
Figure 2019168090
≪その他の色素(X)≫
近赤外線吸収色素(X−1):式(X−1)で表される化合物(ジクロロメタン中での吸収極大波長813nm)
近赤外線吸収色素(X−2):下記式(X−2)で表される化合物(ジクロロメタン中での吸収極大波長870nm)
Figure 2019168090
<溶媒>
溶媒(1):塩化メチレン
溶媒(2):N,N−ジメチルアセトアミド
溶媒(3):シクロヘキサン/キシレン(質量比:7/3)
<フィルム乾燥条件>
条件(1):20℃/8hr→減圧下 100℃/8hr
条件(2):60℃/8hr→80℃/8hr→減圧下 140℃/8hr
条件(3):60℃/8hr→80℃/8hr→減圧下 100℃/24hr
なお、減圧乾燥前に塗膜をガラス板から剥離した。
条件(4):80℃/2min
条件(5):70℃/2min
1、1’、1’’:光
2:光学フィルター
3:分光光度計
111:カメラ画像
112:白色板
113:白色板の中央部の例
114:白色板の端部の例
121:カメラ画像
122:光源
123:光源周辺のゴーストの例
200:撮像装置
210:カバー部材
220:レンズ群
230:絞り
240:光学フィルター
250:固体撮像素子
260:筐体
[7] 前記基材が、前記化合物(A)として、波長650m以上715nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−a)、波長715nm超750nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−b)、および波長750nm超800nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−c)を含有することを特徴とする項[4]〜[6]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[12] カメラモジュールの内部機構を外部から保護するカバー部材を有し、前記カバー部材が近赤外線反射機能を有することを特徴とする項[11]に記載のカメラモジュール。
[光学フィルター]
本発明の光学フィルターは、下記要件(a)および(b)を満たすことを特徴とし、さらに下記要件()および/または()を満たすことが好ましい。
(a)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の最小値Tb-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-60とが、いずれも55%以上90%未満である。
(b)波長700〜780nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-60とが、いずれも1.8以上である。
(c)波長900〜1200nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の平均値TIRが60%以上である。
(d)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の平均値Ta-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光の透過率の平均値Ta-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の平均値Ta-60とが、いずれも65%以上90%未満である。
Figure 2019168090
前記化合物(III)の具体例としては、下記式(III−A)〜(III−J)で表わされる基本骨格を有する、下記表4〜7に記載の(b−1)〜(b−56)などを挙げることができる。
Figure 2019168090
≪ゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂≫
ゾルゲル法によるシリカを主成分とする樹脂としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメトキシジエトキシラン、メトキシトリエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのフェニルアルコキシシラン等から選ばれる1種以上のシラン類の加水分解によるゾルゲル反応により得られる化合物を樹脂として使用することができる。
誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層したものが挙げられる。高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.7〜2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウム等を主成分とし、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分100質量部に対して0〜10質量部)含有させたものが挙げられる。
Figure 2019168090
<カメラ画像のゴースト評価>
光学フィルターをカメラモジュールに組み込んだ際のゴースト評価は下記の方法で行った。カメラ画像の色シェーディング評価と同様の方法でカメラモジュールを作成し、作成したカメラモジュールを用いて暗室中ハロゲンランプ光源(林時計工業社製「ルミナーエースLA−150TX」)下で撮影し、カメラ画像における光源周辺のゴースト発生具合を以下の基準で評価した。
[実施例1]
容器に、樹脂合成例1で得られた樹脂A 100部、化合物(A−a)として下記式(A−a−1)で表わされる化合物(A−a−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長712nm)0.05部、化合物(A−b)として、下記式(A−b−1)で表わされる化合物(A−b−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長738nm)0.12部、および化合物(A−c)として下記式(A−c−1)で表わされる化合物(A−c−1)(ジクロロメタン中での吸収極大波長776nm)0.05部、および塩化メチレンを加えて樹脂濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの透明樹脂製基板からなる基材を得た。この基材からなる光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図5および表15−1(以下、表15−1および表15−2のいずれについても、便宜的に「表15」と称する。)に示す。
Figure 2019168090
得られた基材および光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図15および表15に示す。
Figure 2019168090
得られた光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図18および表15に示す。比較例1で得られた光学フィルターは、比較的良好な光学濃度を示すものの、高角度入射時の透過率の低下が大きく、誘電体多層膜による近赤外線反射に起因すると考えられるゴーストの発生が確認され、さらに色シェーディング抑制効果が劣ることが確認された。
Figure 2019168090
膜構成最適化の結果、比較例2では、誘電体多層膜(IV)は、膜厚22〜467nmのシリカ層と膜厚6〜130nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数30の多層蒸着膜となり、誘電体多層膜(V)は、膜厚84〜206nmのシリカ層と膜厚8〜109nmのチタニア層とが交互に積層されてなる、積層数20の多層蒸着膜となった。最適化を行った膜構成の一例を下記表14に示す。
Figure 2019168090
得られた光学フィルターの分光透過率を測定して光学特性を評価した。また、得られた光学フィルターを用いてカメラモジュールを作成し、カメラ画像の色シェーディングおよびゴーストの評価を行った。結果を図19および表15に示す。比較例2で得られた光学フィルターは、高角度入射時の透過率の低下が大きく、さらに近赤外線波長領域の吸収も十分ではないため、色シェーディング抑制効果やゴースト抑制効果に劣ることが確認された。

Claims (13)

  1. 下記要件(a)および(b)を満たす光学フィルター:
    (a)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の最小値Tb-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の最小値Tb-60とが、いずれも55%以上90%未満である;
    (b)波長700〜780nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光に対する光学濃度の平均値ODa-60とが、いずれも1.8以上である。
  2. さらに下記要件(c)を満たす請求項1に記載の光学フィルター:
    (c)波長900〜1200nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の平均値TIRが60%以上である。
  3. さらに下記要件(d)を満たす請求項1または2に記載の光学フィルター:
    (d)波長430〜580nmの領域において、光学フィルターの垂直方向から入射する光の透過率の平均値Ta-0と、垂直方向に対して30度斜め方向から入射する光の透過率の平均値Ta-30と、垂直方向に対して60度斜め方向から入射する光の透過率の平均値Ta-60とが、いずれも65%以上90%未満である。
  4. 下記要件(e)を満たす基材を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルター:
    (e)波長650〜800nmの領域に吸収極大を有する化合物(A)を含む層を有する。
  5. 前記基材が、さらに下記要件(f)を満たす請求項4に記載の光学フィルター:
    (f)波長600〜900nmにおいて、基材の垂直方向から入射する光に対する透過率が、短波長側から長波長側に向かって10%超から10%以下になる最も長波長側の波長Xaと、基材の垂直方向から入射する光に対する透過率が、短波長側から長波長側に向かって10%以下から10%超になる最も短波長側の波長Xbとの差の絶対値|Xb−Xa|が100nm以上である。
  6. 前記化合物(A)が、スクアリリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム系化合物、およびシアニン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項4または5に記載の光学フィルター。
  7. 前記基材が、前記化合物(A)として、波長650m以上715nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−a)、波長715nm超750nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−b)、および波長750nm超800nm以下の領域に吸収極大を有する化合物(A−c)を含有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  8. 前記化合物(A)を含む層が透明樹脂層である請求項4〜7のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  9. 前記透明樹脂層を構成する樹脂が、環状ポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シルセスキオキサン系紫外線硬化型樹脂、マレイミド系樹脂、脂環エポキシ熱硬化型樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ビニル系紫外線硬化型樹脂、およびゾルゲル法により形成されたシリカを主成分とする樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の光学フィルター。
  10. 前記透明樹脂層を構成する樹脂の屈折率(n20d)が、1.50〜1.53である請求項8または9に記載の光学フィルター。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備することを特徴とするカメラモジュール。
  12. カメラモジュールの内部機構を外部から保護するカバー部材を有し、前記カバー部材が近赤外線反射機能を有することを特徴とする請求項10に記載のカメラモジュール。
  13. 請求項11または12に記載のカメラモジュールを有することを特徴とする電子機器。
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