JP7059729B2 - 光学フィルタ、近赤外線吸収色素および撮像装置 - Google Patents
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Description
R101~R109およびR111~R117は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、または、-NR128R129(R128およびR129は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。R102~R107およびR112~R117は、隣り合う2つが互いに連結して員数5~8の環を形成していてもよい。
式(A1)および(A2)は、Z1およびZ2を任意に有する。Z1およびZ2は5員環または6員環である。
X-は一価のアニオンを示し、m1およびm2はX-の個数を示し、0または1である。
m1およびm2が0の場合、R110およびR118は、一価のアニオン性基である。
m1およびm2が1の場合、R110およびR118は、水素原子、ハロゲン原子、または、-Y5-R130(Y5は単結合、エーテル結合(-O-)、スルホニル結合(-SO2-)、エステル結合(-C(=O)-O-または-O-C(=O)-)またはウレイド結合(-NH-C(=O)-NH-)であり、R130は、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基または炭素数6~30のアリール基である。)を示す。
本発明はまた、本発明の光学フィルタを備えた撮像装置を提供する。
本明細書において、近赤外線吸収色素を「NIR色素」、紫外線吸収色素を「UV色素」と略記することもある。
本明細書において、例えば、式(A1)で示される化合物を化合物(A1)という。他の式で表される化合物も同様である。化合物(A1)が色素である場合、化合物(A1)を色素(A1)ともいい、他の化合物についても同様である。また、例えば、式(1x)で表される基を基(1x)とも記し、他の式で表される基も同様である。
本明細書において、数値範囲を表す「~」では、上下限を含む。
本発明の一実施形態の光学フィルタ(以下、「本フィルタ」ともいう)は、上記式(A1)または(A2)で表される色素(A)を含む吸収層を有する。吸収層は、好ましくは色素(A)と透明樹脂を含有する。
(吸収層)
吸収層は、色素(A)を含有する。色素(A)は、式(A1)または(A2)で表される色素(A)である。なお、式(A1)または(A2)で表される色素(A)は本発明者により合成された新規な化合物である。
色素(A)は、下式(A1)または(A2)で表される。色素(A)は色素(A1)であってもよく、色素(A2)であってもよい。
R101~R109およびR111~R117は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、または、-NR128R129(R128およびR129は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。
<ステップ1>
R128およびR129で置換されたアミノ基を3位に有するフェノール(a)に、化合物(b1)を添加し加熱撹拌する。反応終了後、室温に冷却し酢酸エチルと塩酸を添加した後、ヘキサンと酢酸エチルで抽出する。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて化合物(c1)を単離する。
ステップ1で得られた生成物(c1)をテトラヒドロフランに溶解させ、臭化メチルマグネシウムを滴下し撹拌する。反応終了後に反応溶液を氷水に注いだのち、テトラフルオロホウ酸水溶液を添加し撹拌する。ジクロロメタンで抽出したのち無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ溶媒を除去する。得られた固体をヘキサンで洗浄し化合物(d1)を得る。
ステップ2で得られた化合物(d1)をピリジンに溶解させて、公知の方法で合成したR108~R110に置換基を有してもよく、環Z1を有してもよいアルデヒドジアニリド塩酸塩(e1)を添加し、還流条件下で撹拌する。反応溶液を濾過した後、得られた茶色固体をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し目的の化合物(f1)を得る。
色素(D)として、λmax(D)DCMが上記範囲にあり、好ましくは、さらにT550-650ave(D)DCMが上記要件を満たす、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ジチオール金属錯体色素、ジイモニウム色素、ポリメチン色素、フタリド色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、インドフェノール色素、スクアリリウム色素からなる群から選ばれる少なくとも1種の色素が挙げられる。
R24およびR26は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~10のアシルオキシ基、-NR27R28(R27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、-C(=O)-R29(R29は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基もしくは炭素数6~11のアリール基または、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18のアルアリール基)、-NHR30、または、-SO2-R30(R30は、それぞれ1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~25の炭化水素基)を示す。)、または、下記式(S)で示される基(R41、R42は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。kは2または3である。)を示す。
複素環Aが形成される場合のR21とR22は、これらが結合した2価の基-Q-として、水素原子が炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基または置換基を有していてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基で置換されてもよいアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を示す。
複素環を形成していない場合の、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基もしくはアリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6~11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。複素環を形成していない場合の、R23およびR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
環Zは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を環中に0~3個有し、かつ置換されていてもよい、5員環または6員環であり、
R1とR2、R2とR3、およびR1と環Zを構成する炭素原子またはヘテロ原子は、互いに連結して窒素原子とともにそれぞれヘテロ環A1、ヘテロ環B1およびヘテロ環C1を形成していてもよく、ヘテロ環を形成していない場合、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよく、置換基を有してもよい炭化水素基を示し、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
R51は、それぞれ独立にハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~3のアルキル基を示し、
R52~R58は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。
R52とR53は、互いに連結して、炭素数5~15の飽和または不飽和の炭化水素環B2を形成していてもよく、炭化水素環B2の水素原子は炭素数1~10のアルキル基に置換されていてもよく、
R54とR55は、互いに連結してベンゼン環A2を形成していてもよく、ベンゼン環A2の水素原子は炭素数1~10のアルキル基に置換されていてもよい。
-C(CH3)2-CH2- …(11-2)
-C(CH3)2-CH(C2H5)- …(11-3)
-C(CH3)2-C(CH3)(nC3H7)- …(11-4)
-C(CH3)2-CH2-CH2- …(12-1)
-C(CH3)2-CH2-CH(CH3)- …(12-2)
-C(CH3)2-CH(CH3)-CH2- …(12-3)
-C(CH3)(CH2-CH(CH3)2)-CH(CH3)-…(11-5)
本フィルタに透明基板を用いる場合、透明基板は、略400~700nmの可視光を透過すれば、構成する材料は特に制限されず、近赤外光や近紫外光を吸収する材料でもよい。例えば、ガラスや結晶等の無機材料や、透明樹脂等の有機材料が挙げられる。
反射層は、誘電体多層膜からなり、特定の波長域の光を遮蔽する機能を有する。反射層としては、例えば、可視光を透過し、吸収層の遮光域以外の波長の光を主に反射する波長選択性を有するものが挙げられる。反射層は、近赤外光を反射する反射領域を有することが好ましい。この場合、反射層の反射領域は、吸収層の近赤外域における遮光領域を含んでもよい。反射層は、上記特性に限らず、所定の波長域の光、例えば、近紫外域をさらに遮蔽する仕様に適宜設計してよい。
λAB-SHT20+30nm≦λRE-SHT20≦λAB-SHT20+70nm
反射防止層としては、誘電体多層膜や中間屈折率媒体、屈折率が漸次的に変化するモスアイ構造などが挙げられる。中でも光学的効率、生産性の観点から誘電体多層膜が好ましい。反射防止層は、反射層と同様に誘電体膜を交互に積層して得られる。
(i-1)入射角0度における435~480nmの波長領域における平均透過率が75%以上である。
(i-2)入射角0度における703~739nmの波長領域における平均透過率が3%以下である。
(i-3)入射角30度における703~739nmの波長領域における平均透過率が3%以下である。
(i-4)入射角0度における703~739nmの平均透過率から入射角30度における703~739nmの平均透過率を引いた値の絶対値が3%以下である。
(i-5)入射角0度における846nmの透過率が3%以下である。
(i-6)入射角50度における846nmの透過率が3%以下である。
実施例で使用する色素(A)として、色素(A2)である色素(A2-2B)、(A2-2X1)、(A2-3B)、(A2-4B)、(A2-5B)、(A2-6B)、色素(A1)である色素(A1-1B)、(A1-2B)、比較例で使用する色素(A)として、色素(A2)である色素(A2-1B)、(A2-1X1)を以下の方法で、色素(D)として色素(I-12-24)を常法により合成した。式中、「Et」はエチル基を、「tBu」はターシャリーブチル基をそれぞれ示す。「N(SO2CF3)2 -」は、式(X1)で示されるアニオンである。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-1B)を合成した。
200mlのナスフラスコにN,N-ジエチル-3-アミノフェノール(5g、30.3mmol)と4,4-ジメチル-3-オキソ吉草酸メチル(6.1g、60.6mmol)と添加し窒素雰囲気化、180℃で35時間加熱撹拌した後、再び4,4-ジメチル-3-オキソ吉草酸メチル(6.1g、60.6mmol)を添加し15時間加熱撹拌した。室温まで冷却し酢酸エチルと0.5Mの塩酸を添加した後、ヘキサンと酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて茶色の油状物質(4.6g、21.2mmol、収率70%)を単離した。
ステップ1で得られた茶色の油状物質(4g、18.5mmol)を500mlのナスフラスコにいれテトラヒドロフラン40mlに溶解させた。窒素雰囲気化、0℃にて10mlの1M臭化メチルマグネシウムを滴下し、室温に昇温した後20時間撹拌した。再び10mlの1M臭化メチルマグネシウムを室温で滴下した後12時間撹拌し、さらに10mlの1M臭化メチルマグネシウムを追加し1時間撹拌した。反応終了後に反応溶液を氷水50mlにゆっくり注いだのち、42%テトラフルオロホウ酸水溶液40mlを添加し室温にて1時間撹拌した。ジクロロメタンで抽出したのち無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ溶媒を除去した。得られた固体をヘキサンで洗浄し朱色固体の化合物1(4.6g、15.2mmol、83%)を得た。
ステップ2で得られた化合物1(3g、9.9mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、80mlのピリジンに溶解させた後、マロンアルデヒドジアニリド塩酸塩(1.3g、4.9mmol)を加え還流条件下で1時間反応させた。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し、茶色固体(1.1g、2.0mmol、収率40%)を単離した。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-1X1)を合成した。
色素(A2-1B)と同様の合成法にて得た化合物1(4g、13.2mmol)を500mlのナスフラスコにいれ、アセトン25mlとメタノール40mlの混合溶媒に溶解させた。室温にてビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドのカリウム塩(5.5g、17.2mmol)を加え80℃に昇温し撹拌させた。反応終了後、溶媒を除去し、水とジクロロメタンを加え目的物を抽出し、溶媒を除去した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、化合物2(5.68g、11.5mmol)を得た。
ステップ1で得られた化合物2(3g、6.1mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、100mlのピリジンに溶解させたのちマロンアルデヒドジアニリド塩酸塩(0.8g、3.0mmol)を加え還流条件下で1時間反応させた。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン/メタノール)にて精製し固体を得た。得られた固体を酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒で洗浄し、茶色固体(0.8g、1.1mmol、収率35%)を単離した。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-2B)を合成した。
Journal of the American Chemical Society, 133(17), 6626-6635; 2011に記載の方法に従って、化合物3を合成した。
色素(A2-1B)と同様の合成法にて得た化合物1(6g、19.9mmol)とステップ1で得た化合物3(2.9g、9.9mmol)を500mlのナスフラスコにいれ、200mlのピリジンに溶解させた後、1時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し固体を得た。得られた固体をヘキサン/ジクロロメタンにて再沈殿し、茶色固体(2.74g、4.7mmol、収率47%)を単離した。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-2X1)を合成した。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-3B)を合成した。
U.S. Pat. Appl. Publ., 20070244330, 18 Oct 2007, Heterocycles, 24(3), 755-69; 1986に記載の方法に従って化合物4を合成した。
色素(A2-1B)と同様の合成法にて得た化合物1(3g、9.9mmol)とステップ1で得た化合物4(1.4g、5.0mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、100mlのピリジンに溶解させた後、1時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し固体を得た。得られた固体をヘキサン/ジクロロメタンにて再沈殿し、茶色固体(1.4g、2.5mmol、収率50%)を単離した。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-4B)を合成した。
PCT Int. Appl., 2012054367, 26 Apr 2012に記載の方法に従って化合物5を合成した。
色素(A2-1B)と同様の合成法にて得た化合物1(3g、9.9mmol)とステップ1で得た化合物5(0.8g、4.9mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、100mlのピリジンに溶解させた後、少量のトリエチルアミンを加え1時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し固体を得た。得られた固体をヘキサン/ジクロロメタンにて再沈殿し、茶色固体(1.0g、1.6mmol、収率31%)を単離した。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-5B)を合成した。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-6B)を合成した。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A1-1B)を合成した。
500mlナスフラスコにN-メチルホルムアニリド(48.7g、0.36mmol)をいれ50mlのジクロロメタンに溶解させた後、0℃にて塩化ホスホリル(55g、1.36mol)を1時間かけて滴下した。0℃にてさらに3時間撹拌した後、シクロペンタ-1-エン-1-イルベンゼン(18.7g、0.13mmol)をゆっくり滴下し、45℃に昇温して20時間撹拌した。反応溶液に400mlの水を加えたのち、室温にて50gの炭酸カリウム、40gの塩化アニリン、50gの炭酸カリウムを順に加え撹拌した後、濾過にて赤色個体の化合物8(32g、82.7mmol、61%)を得た。
色素(A2-1B)の反応経路のステップ2において得られた化合物1(4g、13.2mmol)と上記のステップ1で得た化合物8(2.6g、6.6mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、130mlのピリジンに溶解させた後1時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し固体を得た。得られた固体をヘキサン/ジクロロメタンにて再沈殿し、茶色固体(2.65g、3.9mmol、収率59%)を単離した。
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A1-2B)を合成した。
以下のようにして色素(A)、比較のためのその他の色素の光学特性を評価した。結果を表10に示す。
(ジクロロメタン(DCM)中)
(1)λmax[nm]
色素(A)をジクロロメタンに溶解させた溶液を用いて、波長350~1200nmの分光透過率における最大吸収波長λmax(A)DCMを測定した。同様にしてその他の色素の最大吸収波長λmax(O)DCMを測定した。
λmax(A)DCMまたはλmax(O)DCMにおける透過率が10%となるように色素(A)をジクロロメタンに溶解させた溶液を用いて、波長350~1200nmの分光透過率を測定し、400~480nmの波長領域の光における平均透過率を求めた。
透明樹脂として、ポリイミド樹脂であるネオプリム(登録商標)C3G30(三菱ガス化学(株)製、商品名)、アクリルイミド樹脂であるPLEXIMID8817(エボニック社製、商品名)、ポリエステル樹脂であるOKP-850(大阪ガスケミカル(株)製、商品名)、ポリカーボネート樹脂であるSP3810(帝人(株)製、商品名)を使用して、以下の光学特性を評価した。
上記で準備した色素(A)、比較のためのその他の色素のそれぞれについて、透明樹脂、シクロヘキサノン中で十分に撹拌し、均一に溶解した。得られた溶液をガラス板(D263;SCHOTT製)上に塗布し、乾燥後に膜厚1.0μmの吸収層を得た。波長350~1200nmの光における最大質量吸光係数を、上記の方法で算出した。
上記と同様にして、膜厚1.0μmの吸収層付きガラス板を得た。波長350~1200nmの吸収層付きガラス板の分光透過率とガラス板の分光透過率を用いて、吸収層の分光透過率を得た。該分光透過率における、最大吸収波長λmax(A)TR(色素(A))、最大吸収波長λmax(O)TR(その他の色素)を測定した。
上記において色素(A)、その他の色素の添加量をλmax(A)TR(色素(A))、λmax(O)TRでの光の透過率が10%になるように調整して吸収層付きガラス板を得た。波長350~1200nmの吸収層付きガラス板の分光透過率とガラス板の分光透過率を用いて、吸収層の分光透過率を得、400~480nmの波長領域における光の平均透過率を求めた。
例1~5については、ガラス板(D263;SCHOTT製、厚さ;0.21mm)の一方の主面上に表11に示す吸収層をそれぞれ作製した。透明樹脂はポリイミド樹脂C3G30(商品名;三菱ガス化学製)を用い、吸収層の膜厚は1μmとした。表11中の色素の含有量は、透明樹脂100質量部に対する質量部であり、色素(A)またはその他の色素、および色素(D)のそれぞれについて、添加量をλmax(A)TR、λmax(D)TRでの光の透過率が10%になるように調整した量である。得られた吸収層付きガラス板の他方の主面に誘電体多層膜からなる近赤外線反射領域を有する反射層を設計して光学フィルタとした。例1、2は実施例であり、例3~5は比較例である。
(i-2)入射角0度で測定された703~739nmの波長領域における平均透過率。
(i-3)入射角30度で測定された703~739nmの波長領域における平均透過率。
(i-4)入射角0度で測定された703~739nmの平均透過率から入射角30度で測定された703~739nmの平均透過率を引いた値の絶対値。
(i-5)入射角0度で測定された846nmの透過率。
(i-6)入射角50度で測定された846nmの透過率。
Claims (12)
- 下式(A1)または(A2)で表される色素(A)と透明樹脂を含む吸収層を有する光学フィルタ。
R101~R 103 、R 105 ~R109およびR111~R 113 、R 115 ~R117は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、または、-NR128R129(R128およびR129は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。R 102 とR 103 、R 106 とR 107 、R 112 とR 113 、R 116 とR 117 は、互いに連結して員数5~8の環を形成していてもよい。
R 104 およびR 114 は、-NR 128 R 129 (R 128 およびR 129 は一方が水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基であり、他方は置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。
R 110 およびR 118 は、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基もしくは炭素数6~30のアリール基を示す。
式(A1)および(A2)は、Z1およびZ2を任意に有する。Z1およびZ2は5員環または6員環である。
X-は一価のアニオンであり、I - 、BF 4 - 、PF 6 - 、ClO 4 - 、下式(X1)、または(X2)で示される。m1およびm2はX-の個数を示し、1である。
- 前記色素(A)は、前記透明樹脂に含有させたときの、波長350~1200nmの光における、最大質量吸光係数が1500/(cm・質量%)以上である請求項1に記載の光学フィルタ。
- 前記色素(A)は、ジクロロメタンに溶解して測定される波長350~1200nmの分光透過率において、最大吸収波長λmax(A)DCMが800~1050nmの波長領域にある請求項1または2に記載の光学フィルタ。
- 前記色素(A)は、最大吸収波長λmax(A)DCMにおける透過率が10%となるようにジクロロメタンに溶解させて測定される、波長350~1200nmの分光透過率において、400~480nmの波長領域の光の平均透過率T400-480ave(A)DCMが95%以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- 前記色素(A)は、前記透明樹脂に含有させて測定される波長350~1200nmの分光透過率から得られる最大吸収波長λmax(A)TRにおいて透過率が10%となるように前記透明樹脂に含有させて測定される400~480nmの波長領域の光の平均透過率T400-480ave(A)TRが82%以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- 前記透明樹脂は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルイミド樹脂およびポリスチレン樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- 前記透明樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂およびアクリルイミド樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる請求項6に記載の光学フィルタ。
- 前記吸収層は、ジクロロメタンに溶解させた溶液で測定される波長350~1200nmの分光透過率において、600~750nmに最大吸収波長λmax(D)DCMを有する色素(D)をさらに含む請求項1~7のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- さらに、誘電体多層膜からなる反射層を有する請求項1~8のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- さらに、透明基板を有し前記透明基板上に前記吸収層を備えた請求項1~9のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
- 請求項1~10のいずれか1項記載の光学フィルタを備える撮像装置。
- 下式(A1)または(A2)で表される色素。
R101~R 103 、R 105 ~R109およびR111~R 113 、R 115 ~R117は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、または、-NR128R129(R128およびR129は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。R 102 とR 103 、R 106 とR 107 、R 112 とR 113 、R 116 とR 117 は、互いに連結して員数5~8の環を形成していてもよい。
R 104 およびR 114 は、-NR 128 R 129 (R 128 およびR 129 は一方が水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基であり、他方は置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。
R 110 およびR 118 は、置換基を有してもよい炭素数6~30のアリール基を示す。
式(A1)および(A2)は、Z1およびZ2を任意に有する。Z1およびZ2は5員環または6員環である。
X-は一価のアニオンであり、I - 、BF 4 - 、PF 6 - 、ClO 4 - 、下式(X1)、または(X2)で示される。m1およびm2はX-の個数を示し、1である。
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