JP7059729B2 - 光学フィルタ、近赤外線吸収色素および撮像装置 - Google Patents

光学フィルタ、近赤外線吸収色素および撮像装置 Download PDF

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Description

本発明は、可視光を透過し近赤外光を遮蔽する光学フィルタ、該光学フィルタに好適に用いられる近赤外線吸収色素、および該光学フィルタを備えた撮像装置に関する。
固体撮像素子を用いた撮像装置には、色調を良好に再現し鮮明な画像を得るため、可視域の光(以下「可視光」ともいう)を透過し近赤外域の光(以下「近赤外光」ともいう)を遮蔽する光学フィルタが用いられる。該光学フィルタにおいては、遮蔽が求められる近赤外光波長域の全域を十分に遮蔽するために、各種吸収層や反射層が適宜組み合わせた構成が知られている。
例えば、フツリン酸塩系ガラスや、リン酸塩系ガラスにCuO等を添加したガラスは、概ね800~1050nmの波長域に吸収を有することから、光学フィルタに吸収層として使用されている。しかし、このような吸収型のガラスは高価である上に、近年の撮像装置の小型化・薄型化の要求に対しては吸収性の点で十分に応えることができないという懸念があった。
そこで上記吸収型のガラスに替わってあるいは組み合せて、吸収型のガラスの吸収波長領域に吸収波長を有する色素を透明樹脂中に均一に分散させた吸収層を使用することが行われるようになった。このような色素を用いた光学フィルタとして、具体的には、ジイモニウム系色素(例えば、特許文献1)、クロモン型スクアリリウム系色素(例えば、特許文献2、3)、フタロシアニン系色素(例えば、特許文献4)、ナフタレン系色素(例えば、特許文献5)等を用いた光学フィルタが知られている。さらには、例えば、スクアリリウム系色素とシアニン系色素、フタロシアニン系色素等を組み合わせた光学フィルタ(例えば、特許文献6)が知られている。
特開2010-266870号公報 特開2016-142891号公報 特許第5853927号公報 特許第5909936号公報 特許第4596019号公報 国際公開第2013/054864号
しかしながら、上記いずれの光学フィルタにおいても、可視光の高い透過性と、吸収型のガラスに対応する波長域の近赤外光の遮蔽を高いレベルで両立できるものはない。
本発明は、可視光の透過性を良好に維持しながら、近赤外光の遮蔽性において、吸収型のガラスに対応する波長域の近赤外光の遮蔽を高いレベルで達成できる光学フィルタ、該光学フィルタに好適に用いられる色素、および該光学フィルタを用いた色再現性に優れる撮像装置の提供を目的とする。
本発明の一態様に係る光学フィルタは、下式(A1)または(A2)で表される色素(A)を含む吸収層を有する。
Figure 0007059729000001
ただし、式(A1)および(A2)中の記号は以下のとおりである。
101~R109およびR111~R117は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、または、-NR128129(R128およびR129は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。R102~R107およびR112~R117は、隣り合う2つが互いに連結して員数5~8の環を形成していてもよい。
式(A1)および(A2)は、ZおよびZを任意に有する。ZおよびZは5員環または6員環である。
は一価のアニオンを示し、m1およびm2はXの個数を示し、0または1である。
m1およびm2が0の場合、R110およびR118は、一価のアニオン性基である。
m1およびm2が1の場合、R110およびR118は、水素原子、ハロゲン原子、または、-Y-R130(Yは単結合、エーテル結合(-O-)、スルホニル結合(-SO-)、エステル結合(-C(=O)-O-または-O-C(=O)-)またはウレイド結合(-NH-C(=O)-NH-)であり、R130は、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基または炭素数6~30のアリール基である。)を示す。
本発明はまた、式(A1)または(A2)で表される色素を提供する。
本発明はまた、本発明の光学フィルタを備えた撮像装置を提供する。
本発明によれば、可視光の透過性を良好に維持しながら、近赤外光の遮蔽性において、吸収型のガラスに対応する波長域、特には、800~1050nmの波長域の近赤外光の遮蔽を高いレベルで達成できる光学フィルタを提供できる。また、本発明によれば、該光学フィルタに好適に用いられる色素(A)を提供できる。さらに、本発明によれば、該光学フィルタを用いた色再現性に優れる撮像装置を提供できる。
実施形態の光学フィルタの一例を概略的に示す断面図である。 実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。 実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。 実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。 実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。 実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。 実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本明細書において、近赤外線吸収色素を「NIR色素」、紫外線吸収色素を「UV色素」と略記することもある。
本明細書において、例えば、式(A1)で示される化合物を化合物(A1)という。他の式で表される化合物も同様である。化合物(A1)が色素である場合、化合物(A1)を色素(A1)ともいい、他の化合物についても同様である。また、例えば、式(1x)で表される基を基(1x)とも記し、他の式で表される基も同様である。
本明細書において、特定の波長域について、透過率が例えば90%以上とは、その全波長領域において透過率が90%を下回らないことをいい、同様に透過率が例えば1%以下とは、その全波長領域において透過率が1%を超えないことをいう。
本明細書において、数値範囲を表す「~」では、上下限を含む。
本明細書において、色素を樹脂に含有させたときの質量吸光係数[/cm・質量%]は、次のとおり算出できる。すなわち、色素を樹脂に含有させた樹脂層(測定試料)について、内部透過率T[%](=実測透過率[%]/(100-実測反射率[%])×100[%])を算出し、-log10(T/100)によって吸光係数を算出する。得られた吸光係数を、測定試料として用いた樹脂層の膜厚[cm]と樹脂層中の樹脂に対する色素の含有量[質量%]で割った値を、色素を樹脂に含有させたときの質量吸光係数とする。本明細書において、色素を樹脂に含有させたときの質量吸光係数は、波長350~1200nmの範囲において算出され、前記範囲における質量吸光係数の最大値を最大質量吸光係数と言う。
<光学フィルタ>
本発明の一実施形態の光学フィルタ(以下、「本フィルタ」ともいう)は、上記式(A1)または(A2)で表される色素(A)を含む吸収層を有する。吸収層は、好ましくは色素(A)と透明樹脂を含有する。
本フィルタは、上記吸収層に加えて、誘電体多層膜からなる反射層をさらに有してもよい。以下の、説明において「反射層」は、誘電体多層膜からなる反射層を指す。
本フィルタは、透明基板をさらに有してもよい。この場合、吸収層は透明基板の主面上に設けられる。本フィルタが透明基板と吸収層および反射層を有する場合、吸収層および反射層は、透明基板の主面上に設けられる。本フィルタは、吸収層と反射層を、透明基板の同一主面上に有してもよく、異なる主面上に有してもよい。吸収層と反射層を同一主面上に有する場合、これらの積層順は特に限定されない。
本フィルタは、また他の機能層を有してもよい。他の機能層としては、例えば可視光の透過率損失を抑制する反射防止層が挙げられる。特に、吸収層が最表面の構成をとる場合には、吸収層と空気との界面で反射による可視光透過率損失が発生するため、吸収層上に反射防止層を設けるとよい。
次に、図面を用いて本フィルタの構成例について説明する。図1は、吸収層11からなる光学フィルタ10Aを示す断面図である。吸収層11は、色素(A)と透明樹脂とを含有する層で構成できる。光学フィルタ10Aにおいて、吸収層11はフィルムや基板の形態を取り得る。
図2は、吸収層11の一方の主面上に反射層12を備えた光学フィルタ10Bの構成例である。光学フィルタ10Bにおいて、吸収層11は、色素(A)と透明樹脂とを含有する層で構成できる。なお、「吸収層11の一方の主面(上)に、反射層12を備える」とは、吸収層11に接触して反射層12が備わる場合に限らず、吸収層11と反射層12との間に、別の機能層が備わる場合も含み、以下の構成も同様である。
図3および図4は、それぞれ、透明基板と吸収層を有する、透明基板と吸収層と反射層を有する、実施形態の光学フィルタの一例を概略的に示す断面図である。光学フィルタ10Cは、透明基板13と透明基板13の一方の主面上に配置された吸収層11を有する。光学フィルタ10Dは、透明基板13と透明基板13の一方の主面上に配置された吸収層11と透明基板13の他方の主面上に設けられた反射層12を有する。光学フィルタ10C、10Dにおいて、吸収層11は、色素(A)と透明樹脂とを含有する層で構成できる。
図5は、透明基板13の一方の主面に吸収層11を備え、透明基板13の他方の主面上および吸収層11の主面上に、反射層12aおよび12bを備えた光学フィルタ10Eの構成例である。図6は、透明基板13の両主面に吸収層11aおよび11bを備え、さらに吸収層11aおよび11bの主面上に、反射層12aおよび12bを備えた光学フィルタ10Fの構成例である。
図5および図6において、組み合わせる2層の反射層12a、12bは、同一でも異なってもよい。例えば、反射層12a、12bは、紫外光および近赤外光を反射し、可視光を透過する特性を有し、反射層12aが、紫外光と第1の近赤外域の光を反射し、反射層12bが、紫外光と第2の近赤外域の光を反射する構成でもよい。
また、図6において、2層の吸収層11aと11bは、同一でも異なってもよい。吸収層11aと11bが異なる場合、例えば、吸収層11aと11bが、各々、近赤外線吸収層と紫外線吸収層の組合せでもよく、紫外線吸収層と近赤外線吸収層の組合せでもよい。
図7は、図4に示す光学フィルタ10Dの吸収層11の主面上に反射防止層14を備えた光学フィルタ10Gの構成例である。反射防止層14は、吸収層11の最表面だけでなく、吸収層11の側面全体も覆う構成でもよい。その場合、吸収層11の防湿の効果を高められる。
以下、吸収層、反射層、透明基板および反射防止層について説明する。
(吸収層)
吸収層は、色素(A)を含有する。色素(A)は、式(A1)または(A2)で表される色素(A)である。なお、式(A1)または(A2)で表される色素(A)は本発明者により合成された新規な化合物である。
[色素(A)]
色素(A)は、下式(A1)または(A2)で表される。色素(A)は色素(A1)であってもよく、色素(A2)であってもよい。
Figure 0007059729000002
ただし、式(A1)および(A2)中の記号は以下のとおりである。
101~R109およびR111~R117は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、または、-NR128129(R128およびR129は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。
置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基における置換基としては、ハロゲン原子または炭素数1~10のアルコキシ基が挙げられる。
ここで、本明細書において、特に断りのない限り、アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状またはこれらの構造を組み合わせた構造でもよい。アルコキシ基が有するアルキル基についても同様である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子および塩素原子が好ましい。
101、R108、R109およびR111は、合成の簡便性等の観点から、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
102~R107およびR112~R117は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、-NR128129(R128およびR129は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~15の置換基(ハロゲン原子または炭素数1~10のアルコキシ基)を有してもよいアルキル基である。)が好ましい。これらは、合成の簡便性等の観点からは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10のアルキル基が好ましい。
102~R107およびR112~R117は、それぞれ、モル吸光係数を高くし易い点から、少なくとも1つが、-NR128129であるのが好ましい。その場合、-NR128129は、R128およびR129の一方が水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基であり、他方は置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である、アルキルアミノ基が好ましい。該アルキルアミノ基は、R128およびR129の両方が、炭素数1~15のアルキル基であるのが好ましく、透明樹脂や溶媒への溶解性の観点から、上記アルキル基は直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
102~R107においてはR104が、R112~R117においてはR114が、それぞれ上記アルキルアミノ基であるのが、合成の簡便性等の観点から好ましい。
106およびR107、R116およびR117は、透明樹脂や溶媒への溶解性の観点から、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数10以下の2級もしくは3級の分岐したアルキル基がより好ましく、ターシャリーブチル基、イソプロピル基、イソブチル基がさらに好ましい。
102~R107およびR112~R117は、隣り合う2つが互いに連結して員数5~8の環を形成していてもよい。環は脂肪族であっても芳香族であってもよい。例えば、R102およびR103、R112およびR113は、互いに連結して芳香族6員環を形成してもよい。
式(A1)および(A2)は、ZおよびZを任意に有する。ZおよびZは5員環または6員環である。色素(A1)および色素(A2)は、それぞれZおよびZを有する場合、耐久性の点で好ましい。なお、ZおよびZを構成する炭素原子に結合する水素原子は、炭素数1~10のアルキル基または炭素数6~10のアリール基に置換されていてもよい。構造上、化合物(A1)は、Zを有する構造を取りやすい。
本明細書において、特に断りのない限り、アリール基は芳香族化合物が有する芳香環、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル、フラン環、チオフェン環、ピロール環等を構成する炭素原子を介して結合する基をいう。
は一価のアニオンを示し、m1およびm2はXの個数を示し、0または1である。Xとしては、I、BF4-、PF 、ClO 、式(X1)、(X2)で示されるアニオン等が挙げられ、好ましくは、BF4-、PF 、アニオン(X1)である。
Figure 0007059729000003
m1およびm2が1の場合、R110およびR118は、水素原子、ハロゲン原子、または、-Y-R130(Yは単結合、エーテル結合(-O-)、スルホニル結合(-SO-)、エステル結合(-C(=O)-O-または-O-C(=O)-)またはウレイド結合(-NH-C(=O)-NH-)であり、R130は、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基または炭素数6~30のアリール基である。)を示す。置換基としてはハロゲン原子または炭素数1~10のアルコキシ基が挙げられる。
110およびR118は、水素原子、ハロゲン原子、Yが単結合である-Y-R130が好ましく、水素原子、塩素原子、炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6~10のアリール基がより好ましい。
m1およびm2が0の場合、R110およびR118は、一価のアニオン性基である。一価のアニオン性基としては、例えば、以下の(B1)~(B6)のいずれかで示されるアニオン性基が挙げられる。
Figure 0007059729000004
式(B1)~(B6)中、R201~R214はそれぞれ独立に水素原子、炭素数5~20のアリール基、または、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。置換基としてはハロゲン原子または炭素数1~10のアルコキシ基が挙げられる。
色素(A1)および色素(A2)においては、合成の簡便性の観点から、m1およびm2は1が好ましい。
式(A1)および式(A2)において、m1およびm2が1の場合の化合物として、より具体的には、それぞれ、各骨格に結合する原子または基が、以下の表1、表2に示される化合物が挙げられる。表1に示す全ての化合物において、R101~R107は式の左右で全て同一である。表2に示す全ての化合物において、R111~R117は式の左右で同一である。
表1、表2には、Xを示さないが、いずれの化合物においてもXはBF4-、PF またはアニオン(X1)が好ましい。色素(A1-1)においてXが、BF4-の場合を色素(A1-1B)、PF の場合を色素(A1-1P)、アニオン(X1)の場合を色素(A1-1X1)と示す。表1、表2に示す他の色素においても同様である。表1、表2において、Phはフェニル基または1,4-フェニレン基を示す。-nCは、直鎖のブチル基を示す。
およびZの欄において、「-」はZ、Zを有しないことを示し、「-(CH-」はZ、Zが5員環であることを示し、「-(CH-」はZ、Zが6員環であることを示す。
Figure 0007059729000005
これらの中でも、色素(A1)としては、合成の簡便性の観点から、色素(A1-1)~色素(A1-4)のそれぞれBF4-、PF またはアニオン(X1)との塩が好ましく、BF4-またはPF との塩が特に好ましい。
Figure 0007059729000006
これらの中でも、色素(A2)としては、合成の簡便性の観点から、色素(A2-1)~色素(A2-6)のそれぞれBF4-、PF またはアニオン(X1)との塩が好ましく、BF4-またはPF との塩が特に好ましい。
色素(A1)は、例えば、以下の色素(A1)において、R104が-NR128129、R101~R103、R105、R107が水素原子であり、XがBF4-である色素(f1)を得る際の反応経路(F1)に示すようにして合成できる。反応経路(F1)において、R106、R128、R129、R108~R110、Zは、式(A1)におけるのと同じ意味である。また、反応経路(F1)においてMeはメチル基を示す。他の式においても同様である。
Figure 0007059729000007
反応経路(F1)は、基本的に以下のステップ1~3からなる。
<ステップ1>
128およびR129で置換されたアミノ基を3位に有するフェノール(a)に、化合物(b1)を添加し加熱撹拌する。反応終了後、室温に冷却し酢酸エチルと塩酸を添加した後、ヘキサンと酢酸エチルで抽出する。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて化合物(c1)を単離する。
<ステップ2>
ステップ1で得られた生成物(c1)をテトラヒドロフランに溶解させ、臭化メチルマグネシウムを滴下し撹拌する。反応終了後に反応溶液を氷水に注いだのち、テトラフルオロホウ酸水溶液を添加し撹拌する。ジクロロメタンで抽出したのち無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ溶媒を除去する。得られた固体をヘキサンで洗浄し化合物(d1)を得る。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物(d1)をピリジンに溶解させて、公知の方法で合成したR108~R110に置換基を有してもよく、環Zを有してもよいアルデヒドジアニリド塩酸塩(e1)を添加し、還流条件下で撹拌する。反応溶液を濾過した後、得られた茶色固体をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し目的の化合物(f1)を得る。
同様に、色素(A2)は、例えば、以下の色素(A2)において、R114が-NR128129であり、R111~R113、R115、R117が水素原子であり、XがBF4-である色素(f2)を得る際の反応経路(F2)に示すようにして合成できる。反応経路(F2)において、R116、R128、R129、R118、Zは、式(A2)におけるのと同じ意味である。
Figure 0007059729000008
反応経路(F2)は、反応経路(F1)において、ステップ1で、化合物(b1)に代えて、化合物(b2)を、ステップ3で、R108~R110に置換基を有してもよく、環Zを有してもよいアルデヒドジアニリド塩酸塩(e1)に代えて、R118に置換基を有してもよく、環Zを有してもよいアルデヒドジアニリド塩酸塩(e2)をそれぞれ用いる以外は、反応経路(F1)と同様にして行われる。
色素(A)は、ジクロロメタンに溶解して測定される波長350~1200nmの分光透過率において、最大吸収波長λmax(A)DCMが800~1050nmの波長領域にあるNIR色素であることが好ましい。また、色素(A)は、最大吸収波長λmax(A)DCMにおける透過率が10%となるようにジクロロメタンに溶解させて測定される波長350~1200nmの分光透過率において、400~480nmの波長領域の光の平均透過率T400-480ave(A)DCMが95%以上であることが好ましい。
色素(A1)については、置換基の種類により、λmax(A)DCMを概ね900~1050nmとすることができる。さらに、色素(A1)については、T400-480ave(A)DCMを概ね95%以上とすることができる。色素(A1)はNIR色素のうちでも特に長波長域の吸収特性に優れる色素である。ジクロロメタン中の最大吸収波長が色素(A1)と同等の長波長域にある従来のNIR色素において、400~480nmの波長領域の光の平均透過率が色素(A1)ほど高い色素は知られていない。
色素(A2)については、置換基の種類により、λmax(A)DCMを概ね800~850nmとすることができる。さらに、色素(A2)については、T400-480ave(A)DCMを概ね95%以上とすることができる。色素(A2)は、特に、λmax(A)DCMにおける吸収性と400~480nmの波長領域の光の透過性の両立を非常に高いレベルで達成できるNIR色素である。
吸収層は、色素(A)の1種を単独で含有してもよく、2種以上を組み合せて含有してもよい。吸収層は、典型的には、透明樹脂中に色素(A)が均一に溶解または分散した構成である。
色素(A)は、吸収層にともに含有される透明樹脂に含有させたときの、波長350~1200nmの光における、最大質量吸光係数が1500/(cm・質量%)以上であるのが好ましい。以下の説明において、「透明樹脂」は、色素(A)とともに吸収層に含有される透明樹脂を意味する。
色素(A1)については、透明樹脂に含有させたときの最大質量吸光係数は、1800/(cm・質量%)以上がより好ましい。色素(A2)については、透明樹脂に含有させたときの最大質量吸光係数は、2000/(cm・質量%)以上がより好ましい。
色素(A)において、透明樹脂に含有させて測定される波長350~1200nmの分光透過率曲線から得られる最大吸収波長λmax(A)TRは、通常、ジクロロメタン中の最大吸収波長λmax(A)DCMの±10nm以内である。色素(A)は、最大吸収波長λmax(A)TRにおける透過率が10%となるように透明樹脂に含有させて測定される、波長350~1200nmの分光透過率曲線において、400~480nmの波長領域の光の平均透過率T400-480ave(A)TRが82%以上であるのが好ましい。
色素(A1)については、T400-480ave(A)TRは83.5%以上がより好ましい。色素(A2)については、T400-480ave(A)TRは87%以上がより好ましい。
吸収層は、本発明の効果を損なわない範囲で色素(A)以外にその他のNIR色素を含有してもよい。さらに、吸収層は、本発明の効果を損なわない範囲でNIR色素以外の色素、特にはUV色素を含有してもよい。
その他のNIR色素としては、ジクロロメタンに溶解させた溶液で測定される波長350~1200nmの分光透過率において、600~750nmに最大吸収波長λmax(D)DCMを有する色素(D)が好ましい。
さらに、色素(D)は、最大吸収波長λmax(D)DCMにおける光の透過率が10%となるようにジクロロメタンに溶解させたとき溶液で測定される、波長400~1100nmの分光透過率において、550~650nmの光の波長領域における平均透過率T550-650ave(D)DCMが90%以上であるのが好ましい。
また、色素(D)の光吸収スペクトルにおいて、λmax(D)DCMに吸収の頂点を有する吸収ピークは、可視光側の傾きが急峻であるとよい。さらに、λmax(D)DCMに吸収の頂点を有する吸収ピークは長波長側では傾きは緩やかであるとよい。
[色素(D)]
色素(D)として、λmax(D)DCMが上記範囲にあり、好ましくは、さらにT550-650ave(D)DCMが上記要件を満たす、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ジチオール金属錯体色素、ジイモニウム色素、ポリメチン色素、フタリド色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、インドフェノール色素、スクアリリウム色素からなる群から選ばれる少なくとも1種の色素が挙げられる。
これらの中ではλmax(D)DCMが上記範囲にあり、好ましくは、さらにT550-650ave(D)DCMが上記要件を満たす、スクアリリウム色素が特に好ましい。スクアリリウム色素からなる色素(D)は、上記吸収スペクトルにおいて、可視光の吸収が少なく、λmax(D)DCMに吸収の頂点を有する吸収ピークが可視光側で急峻な傾きを有するとともに、保存安定性および光に対する安定性が高い。
スクアリリウム色素である色素(D)は、λmax-DCM(A)が600~750nmの波長領域にある式(I)~(III)のいずれかで示される化合物が好ましい。また、透明樹脂中の色素(D)の質量吸光係数は、波長600~750nmの光において最大値を示し、最大質量吸光係数は1000/(cm・質量%)以上が好ましく、1500/(cm・質量%)以上がより好ましい。
Figure 0007059729000009
ただし、式(I)中の記号は以下のとおりである。
24およびR26は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~10のアシルオキシ基、-NR2728(R27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、-C(=O)-R29(R29は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基もしくは炭素数6~11のアリール基または、置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18のアルアリール基)、-NHR30、または、-SO-R30(R30は、それぞれ1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~25の炭化水素基)を示す。)、または、下記式(S)で示される基(R41、R42は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。kは2または3である。)を示す。
Figure 0007059729000010
21とR22、R22とR25、およびR21とR23は、互いに連結して窒素原子と共に員数が5または6のそれぞれ複素環A、複素環B、および複素環Cを形成してもよい。
複素環Aが形成される場合のR21とR22は、これらが結合した2価の基-Q-として、水素原子が炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基または置換基を有していてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基で置換されてもよいアルキレン基、またはアルキレンオキシ基を示す。
複素環Bが形成される場合のR22とR25、および複素環Cが形成される場合のR21とR23は、これらが結合したそれぞれ2価の基-X-Y-および-X-Y-(窒素に結合する側がXおよびX)として、XおよびXがそれぞれ下記式(1x)または(2x)で示される基であり、YおよびYがそれぞれ下記式(1y)~(5y)から選ばれるいずれかで示される基である。XおよびXが、それぞれ下記式(2x)で示される基の場合、YおよびYはそれぞれ単結合であってもよく、その場合、炭素原子間に酸素原子を有してもよい。
Figure 0007059729000011
式(1x)中、4個のZは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基、または-NR3839(R38およびR39は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を示す)を示す。R31~R36はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を、R37は炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を示す。
27、R28、R29、R31~R37、複素環を形成していない場合のR21~R23、およびR25は、これらのうちの他のいずれかと互いに結合して5員環または6員環を形成してもよい。R31とR36、R31とR37は直接結合してもよい。
複素環を形成していない場合の、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基もしくはアリル基、または置換基を有していてもよい炭素数6~11のアリール基もしくはアルアリール基を示す。複素環を形成していない場合の、R23およびR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
Figure 0007059729000012
ただし、式(II)中の記号は以下のとおりである。
環Zは、それぞれ独立して、ヘテロ原子を環中に0~3個有し、かつ置換されていてもよい、5員環または6員環であり、
とR、RとR、およびRと環Zを構成する炭素原子またはヘテロ原子は、互いに連結して窒素原子とともにそれぞれヘテロ環A1、ヘテロ環B1およびヘテロ環C1を形成していてもよく、ヘテロ環を形成していない場合、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよく、置換基を有してもよい炭化水素基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
Figure 0007059729000013
ただし、式(III)中の記号は以下のとおりである。
51は、それぞれ独立にハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~3のアルキル基を示し、
52~R58は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。
52とR53は、互いに連結して、炭素数5~15の飽和または不飽和の炭化水素環B2を形成していてもよく、炭化水素環B2の水素原子は炭素数1~10のアルキル基に置換されていてもよく、
54とR55は、互いに連結してベンゼン環A2を形成していてもよく、ベンゼン環A2の水素原子は炭素数1~10のアルキル基に置換されていてもよい。
化合物(I)としては、例えば、式(I-1)~(I-4)のいずれかで示される化合物が挙げられる。
Figure 0007059729000014
ただし、式(I-1)~式(I-4)中の記号は、式(I)における同記号の各規定と同じであり、好ましい態様も同様である。
化合物(I-1)~(I-4)のうちでも、色素(D)としては、吸収層の可視光透過率を高くできる観点から化合物(I-1)~(I-3)が好ましく、化合物(I-1)が特に好ましい。
化合物(I-1)において、Xとしては、基(2x)が好ましく、Yとしては、単結合または基(1y)が好ましい。この場合、R31~R36としては、水素原子または炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。なお、-Y-X-として、具体的には、式(11-1)~(12-3)で示される2価の有機基が挙げられる。
-C(CH-CH(CH)- …(11-1)
-C(CH-CH- …(11-2)
-C(CH-CH(C)- …(11-3)
-C(CH-C(CH)(nC)- …(11-4)
-C(CH-CH-CH- …(12-1)
-C(CH-CH-CH(CH)- …(12-2)
-C(CH-CH(CH)-CH- …(12-3)
また、化合物(I-1)において、R21は、溶解性、耐熱性、さらに分光透過率における可視域と近赤外域の境界付近の変化の急峻性の観点から、独立して、式(4-1)または(4-2)で示される基がより好ましい。
Figure 0007059729000015
式(4-1)および式(4-2)中、R71~R75は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~4のアルキル基を示す。
化合物(I-1)において、R24は-NR2728が好ましい。-NR2728としては、ホスト溶媒や透明樹脂への溶解性の観点から、-NH-C(=O)-R29が好ましい。化合物(I-1)において、R24が-NH-C(=O)-R29の化合物を式(I-11)に示す。
Figure 0007059729000016
化合物(I-11)における、R23およびR26は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基が好ましく、いずれも水素原子がより好ましい。
化合物(I-11)において、R29としては、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基、または置換基を有していてもよく、炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18のアルアリール基が好ましい。置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のフロロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基等が挙げられる。
29としては、フッ素原子で置換されてもよい直鎖状、分岐鎖状、環状の炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~6のフロロアルキル基および/または炭素数1~6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基、および炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18の、末端に炭素数1~6のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基および/または、炭素数1~6のアルコキシ基で置換されてもよいフェニル基を有するアルアリール基から選ばれる基が好ましい。
29としては、独立して1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい、少なくとも1以上の分岐を有する炭素数5~25の炭化水素基である基も好ましく使用できる。このようなR29としては、例えば、下記式(1a)、(1b)、(2a)~(2e)、(3a)~(3e)で示される基が挙げられる。
Figure 0007059729000017
Figure 0007059729000018
化合物(I-11)としては、より具体的に、以下の表3に示す化合物が挙げられる。なお、表3において、基(11-1)を(11-1)と示す。他の基についても同様である。以下の他の表においても基の表示は同様である。また、表3に示す化合物は、いずれもスクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。以下の他の表に示すスクアリリウム色素においても同様である。
Figure 0007059729000019
化合物(I-1)において、R24は、可視光の透過率、特に波長430~550nmの光の透過率を高める観点から、-NH-SO-R30が好ましい。化合物(I-1)において、R24が-NH-SO-R30の化合物を式(I-12)に示す。
Figure 0007059729000020
化合物(I-12)における、R23およびR26は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基が好ましく、いずれも水素原子がより好ましい。
化合物(I-12)において、R30は耐光性の点から、独立して、分岐を有してもよい炭素数1~12のアルキル基もしくはアルコキシ基、または不飽和の環構造を有する炭素数6~16の炭化水素基が好ましい。不飽和の環構造としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、フラン、ベンゾフラン等が挙げられる。R30は、独立して、分岐を有してもよい炭素数1~12のアルキル基もしくはアルコキシ基がより好ましい。なお、R30を示す各基において、水素原子の一部または全部がハロゲン原子、特にはフッ素原子に置換されていてもよい。なお、本フィルタが透明基板を含む構成の場合、水素原子のフッ素原子へ置換は、色素(I-12)を含有する吸収層と透明基板との密着性が落ちない程度とする。
不飽和の環構造を有するR30として具体的には、下記式(P1)~(P8)で示される基が挙げられる。
Figure 0007059729000021
化合物(I-12)としては、より具体的に、以下の表4に示す化合物が挙げられる。
Figure 0007059729000022
化合物(II)としては、例えば、式(II-1)~(II-3)のいずれかで示される化合物が挙げられる。
Figure 0007059729000023
ただし、式(II-1)、式(II-2)中、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基を示し、R~Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。
ただし、式(II-3)中、R、R、およびR~R12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基を示し、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~5のアルキル基を示す。
化合物(II-1)および化合物(II-2)におけるRおよびRは、透明樹脂への溶解性、可視光透過性等の観点から、独立して、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数7~15のアルキル基がより好ましく、RとRの少なくとも一方が、炭素数7~15の分岐鎖を有するアルキル基がさらに好ましく、RとRの両方が炭素数8~15の分岐鎖を有するアルキル基が特に好ましい。
は、透明樹脂への溶解性、可視光透過性等の観点から、独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。Rは、可視域と近赤外域の境界付近の変化の急峻性の観点から、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子がとくに好ましい。化合物(II-1)におけるRおよび化合物(II-2)におけるRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~5のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。
化合物(II-1)および化合物(II-2)としては、より具体的に、それぞれ以下の表5および表6に示す化合物が挙げられる。表5および表6において、-C17、-C、-C13は、直鎖のオクチル基、ブチル基、ヘキシル基をそれぞれ示す。
Figure 0007059729000024
Figure 0007059729000025
化合物(II-3)におけるRは、透明樹脂への溶解性、可視光透過性等の観点から、独立して、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、エチル基、イソプロピル基が特に好ましい。
は、可視光透過性、合成容易性の観点から、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。RおよびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~5のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。
~R12は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~5のアルキル基が好ましい。-CR10-CR1112-として、上記基(11-1)~(11-3)または、以下の式(11-5)で示される2価の有機基が挙げられる。
-C(CH)(CH-CH(CH)-CH(CH)-…(11-5)
化合物(II-3)としては、より具体的に、以下の表7に示す化合物が挙げられる。
Figure 0007059729000026
化合物(III)としては、例えば、式(III-1)または式(III-2)のいずれかで示される化合物が挙げられる。
Figure 0007059729000027
ただし、(III-1)、(III-2)中、R52~R62は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基を示す。
化合物(III-1)、化合物(III-2)中、R52、R53は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。R58は、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基が好ましく、合成容易性の観点から、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。R56、R57、R59~R62は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基が好ましく、合成容易性の観点から、水素原子がより好ましい。化合物(III-1)、化合物(III-2)としては、より具体的に、以下の表8、表9にそれぞれ示す化合物が挙げられる。
Figure 0007059729000028
Figure 0007059729000029
色素(D)は、1種の化合物からなってもよく、2種以上の化合物からなってもよい。2種以上の化合物からなる場合は、個々の化合物が色素(D)の性質を必ずしも有する必要はなく、混合物として、色素(D)の性質を有すればよい。
化合物(I)~(III)は、それぞれ公知の方法で、合成できる。化合物(I)について、化合物(I-11)は、例えば、米国特許第5,543,086号明細書に記載された方法で合成できる。化合物(I-12)は、例えば、米国特許出願公開第2014/0061505号明細書、国際公開第2014/088063号明細書に記載された方法で合成可能である。化合物(II)については、国際公開第2017/135359号明細書に記載された方法で合成可能である。
色素(D)は、本フィルタの設計に応じて適宜構成を選択できる。色素(D)は、例えば、以下の特性を有する色素(D1)と色素(D2)の混合物であってよく、色素(D1)のみからなってもよい。
(a-1)色素(D1)は、化合物(I)~(III)から選ばれる1種以上であって、透明樹脂に含有させて測定される波長400~1100nmの分光透過率において、最大吸収波長λmax(D1)TRが680~730nmの波長領域にあり、最大吸収波長λmax(D1)TRの透過率を10%に濃度調整したときに最大吸収波長λmax(D1)TRより短波長側での光の透過率が80%を示す波長(以下、「λSH80(D1)」で示す。)と最大吸収波長λmax(D1)TRの差が100nm以下である。
(a-2)色素(D2)は、化合物(I)~(III)から選ばれる1種以上であって、透明樹脂に含有させて測定される波長400~1100nmの分光透過率において、最大吸収波長λmax(D2)TRが720~770nmの波長領域にある。
(a-3)最大吸収波長λmax(D2)TRから最大吸収波長λmax(D1)TRを引いた値が30nm以上85nm以下である。
色素(D1)としては、化合物(I)~(III)のうちの化合物(I)、化合物(II-1)、化合物(II-2)が挙げられ、化合物(I-11-7)、化合物(I-12-15)、化合物(I-12-23)、化合物(I-12-24)、化合物(II-1-7)等が好ましい。色素(D2)としては、化合物(I)~(III)のうちの化合物(II-3)、化合物(III-1)、化合物(III-2)が挙げられる。
色素(D)は、色素(A)と共に用いた場合に、得られる吸収層が、後述の(ii-1)~(ii-3)の要件を満たす化合物が好ましい。
UV色素は、具体例に、オキサゾール系、メロシアニン系、シアニン系、ナフタルイミド系、オキサジアゾール系、オキサジン系、オキサゾリジン系、ナフタル酸系、スチリル系、アントラセン系、環状カルボニル系、トリアゾール系等の色素が挙げられる。この中でも、オキサゾール系、メロシアニン系の色素が好ましい。また、UV色素は、吸収層に1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
透明樹脂は、波長400~900nmの光を透過する樹脂であれば、種類は特に制限されない。透明樹脂がこのような性質を有することで、上記色素(A)、色素(D)は、透明樹脂の吸収を考慮せずに、上記評価が可能である。
透明樹脂として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルイミド樹脂およびポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記透明樹脂は、透明性、および色素(A)、さらには色素(D)の溶解性、ならびに耐熱性の観点からは、ガラス転移点(Tg)が高い、例えば、Tgが140℃以上の樹脂が好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリルイミド樹脂およびエポキシ樹脂から選ばれる1種以上が好ましく、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂およびアクリルイミド樹脂から選ばれる1種以上がより好ましい。
吸収層は、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、密着性付与剤、色調補正色素、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤等の任意成分を有してもよい。
吸収層において色素(A)の含有量は、本フィルタの設計に応じて適宜選択できる。吸収層における色素(A)の含有量は、可視光の透過率を確保しつつ、近赤外光を遮光する観点から、透明樹脂100質量部に対して0.01~20質量部が好ましく、溶解性の観点から0.03~10質量部がより好ましい。
吸収層が色素(A)と色素(D)を含有する場合、その含有量は、それぞれ、本フィルタの設計に応じて適宜選択される。吸収層における色素(A)の含有量は上記と同様であり、色素(D)の含有量は、可視光の透過率を確保しつつ、色素(D)の特性を発揮できる観点から、透明樹脂100質量部に対して0.01~20質量部が好ましく、0.03~15質量部がより好ましい。さらに色素(A)と色素(D)の合計含有量は、透明樹脂100質量部に対して0.03~20質量部が好ましく、0.03~15質量部がより好ましい。
本フィルタにおいて、吸収層の厚さは、0.1~100μmが好ましい。吸収層が複数層からなる場合、各層の合計の厚さは、0.1~100μmが好ましい。厚さが0.1μm未満では、所望の光学特性を十分に発現できないおそれがあり、厚さが100μm超では、層の平坦性が低下し、吸収率の面内バラツキが生じるおそれがある。吸収層の厚さは、0.3~50μmがより好ましい。また、反射層や、反射防止層等の他の機能層を備えた場合、その材質によっては、吸収層が厚すぎると割れ等が生ずるおそれがある。そのため、吸収層の厚さは、0.3~10μmがより好ましい。
吸収層は、例えば、色素(A)と、好ましくは色素(A)および色素(D)と、透明樹脂または透明樹脂の原料成分と、必要に応じて配合される各成分とを、溶媒に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを基材に塗工し乾燥させ、さらに必要に応じて硬化させて形成できる。上記基材は、本フィルタに含まれる透明基板でもよいし、吸収層を形成する際にのみ使用する剥離性の基材でもよい。また、溶媒は、安定に分散できる分散媒または溶解できる溶媒であればよい。
また、塗工液は、微小な泡によるボイド、異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじき等の改善のため界面活性剤を含んでもよい。さらに、塗工液の塗工には、例えば、浸漬コーティング法、キャストコーティング法、またはスピンコート法等を使用できる。上記塗工液を基材上に塗工後、乾燥させることにより吸収層が形成される。また、塗工液が透明樹脂の原料成分を含有する場合、さらに熱硬化、光硬化等の硬化処理を行う。
また、吸収層は、押出成形によりフィルム状に製造可能でもあり、このフィルムを他の部材に積層し熱圧着等により一体化させてもよい。例えば、本フィルタが透明基板を含む場合、このフィルムを透明基板上に貼着してもよい。
吸収層は、本フィルタの中に1層有してもよく、2層以上有してもよい。2層以上有する場合、各層は同じ構成であっても異なってもよい。吸収層が色素(A)、色素(D)およびUV色素を含む場合を例とすれば、一方の層を、色素(A)および色素(D)と透明樹脂を含む近赤外吸収層とし、もう一方の層を、UV色素と透明樹脂を含む近紫外吸収層としてもよい。他の例として、一方の層を色素(D)と透明樹脂を含む第1の近赤外吸収層とし、もう一方の層を、色素(A)とUV色素と透明樹脂を含む第2の近赤外吸収層としてもよい。また、吸収層は、それ自体が基板(樹脂基板)として機能するものでもよい。
(透明基板)
本フィルタに透明基板を用いる場合、透明基板は、略400~700nmの可視光を透過すれば、構成する材料は特に制限されず、近赤外光や近紫外光を吸収する材料でもよい。例えば、ガラスや結晶等の無機材料や、透明樹脂等の有機材料が挙げられる。
透明基板に使用できるガラスとしては、フツリン酸塩系ガラスやリン酸塩系ガラス等に銅イオンを含む吸収型のガラス(近赤外線吸収ガラス)、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられる。なお、「リン酸塩系ガラス」は、ガラスの骨格の一部がSiOで構成されるケイリン酸塩ガラスも含む。
ガラスとしては、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換により、ガラス板主面に存在するイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(例えば、Liイオン、Naイオン)を、イオン半径のより大きいアルカリイオン(例えば、Liイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオンである。)に交換して得られる化学強化ガラスを使用してもよい。
透明基板として使用できる透明樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、透明基板に使用できる結晶材料としては、水晶、ニオブ酸リチウム、サファイア等の複屈折性結晶が挙げられる。透明基板の光学特性は、上記吸収層、反射層等と積層して得られる光学フィルタとして、前述した光学特性を有するとよい。結晶材料としてはサファイアが好ましい。
透明基板は、光学フィルタとしての光学特性、機械特性等の長期にわたる信頼性に係る形状安定性の観点、フィルタ製造時のハンドリング性等から、無機材料が好ましく、特にガラス、サファイアが好ましい。
透明基板の形状は特に限定されず、ブロック状、板状、フィルム状でもよく、その厚さは、例えば、0.03~5mmが好ましく、薄型化の観点からは、0.03~0.5mmがより好ましい。加工性の観点から言えば、ガラスからなる板厚0.05~0.5mmの透明基板が好ましい。
(反射層)
反射層は、誘電体多層膜からなり、特定の波長域の光を遮蔽する機能を有する。反射層としては、例えば、可視光を透過し、吸収層の遮光域以外の波長の光を主に反射する波長選択性を有するものが挙げられる。反射層は、近赤外光を反射する反射領域を有することが好ましい。この場合、反射層の反射領域は、吸収層の近赤外域における遮光領域を含んでもよい。反射層は、上記特性に限らず、所定の波長域の光、例えば、近紫外域をさらに遮蔽する仕様に適宜設計してよい。
吸収層が色素(A)に加えて色素(D)を含有し、反射層が近赤外光を反射する反射領域を有する場合、吸収層と反射層は以下の関係を有することが好ましい。
吸収層は、入射角0度の吸収領域において透過率が20%を示す波長の短波長側の波長λAB-SHT20が630~690nmの波長領域に有り、反射層は、入射角0度の反射領域において透過率が20%を示す短波長側の波長λRE-SHT20が以下の関係を満足するとよい。
λAB-SHT20+30nm≦λRE-SHT20≦λAB-SHT20+70nm
反射層は、λRE-SHT20からλRE-SHT20+300nmまでの波長領域の光における平均透過率が10%以下であるのが好ましい。
反射層は、低屈折率の誘電体膜(低屈折率膜)と高屈折率の誘電体膜(高屈折率膜)とを交互に積層した誘電体多層膜から構成される。高屈折率膜は、好ましくは、屈折率が1.6以上であり、より好ましくは2.2~2.5である。高屈折率膜の材料としては、例えばTa、TiO、Nbが挙げられる。これらのうち、成膜性、屈折率等における再現性、安定性等の点から、TiOが好ましい。
一方、低屈折率膜は、好ましくは、屈折率1.6未満であり、より好ましくは1.45以上1.55未満である。低屈折率膜の材料としては、例えばSiO、SiO等が挙げられる。成膜性における再現性、安定性、経済性等の点から、SiOが好ましい。
さらに、反射層は、透過域と遮光域の境界波長領域で透過率が急峻に変化することが好ましい。この目的のためには、反射層を構成する誘電体多層膜の合計積層数は、15層以上が好ましく、25層以上がより好ましく、30層以上がさらに好ましい。ただし、合計積層数が多くなると、反り等が発生したり、膜厚が増加したりするため、合計積層数は100層以下が好ましく、75層以下がより好ましく、60層以下がより一層好ましい。また、誘電体多層膜の膜厚は、2~10μmが好ましい。
誘電体多層膜の合計積層数や膜厚が上記範囲内であれば、反射層は小型化の要件を満たし、高い生産性を維持しながら入射角依存性を低くできる。また、誘電体多層膜の形成には、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等の真空成膜プロセスや、スプレー法、ディップ法等の湿式成膜プロセス等を使用できる。
反射層は、1層(1群の誘電体多層膜)で所定の光学特性を与えたり、2層で所定の光学特性を与えたりしてもよい。2層以上有する場合、各反射層は同じ構成でも異なる構成でもよい。反射層を2層以上有する場合、通常、反射帯域の異なる複数の反射層で構成される。
例として、2層の反射層を設ける場合、一方を、近赤外域のうち短波長帯の光を遮蔽する近赤外反射層とし、他方を、該近赤外域の長波長帯および近紫外域の両領域の光を遮蔽する近赤外・近紫外反射層としてもよい。また、例えば、本フィルタが透明基板を有する場合に、2層以上の反射層を設ける際には、全てを透明基板の一方の主面上に設けてもよく、各反射層を、透明基板を挟んでその両主面上に設けてもよい。
(反射防止層)
反射防止層としては、誘電体多層膜や中間屈折率媒体、屈折率が漸次的に変化するモスアイ構造などが挙げられる。中でも光学的効率、生産性の観点から誘電体多層膜が好ましい。反射防止層は、反射層と同様に誘電体膜を交互に積層して得られる。
本フィルタは、他の構成要素として、例えば、特定の波長域の光の透過と吸収を制御する無機微粒子等による吸収を与える構成要素(層)などを備えてもよい。無機微粒子の具体例としては、ITO(Indium Tin Oxides)、ATO(Antimony-doped Tin Oxides)、タングステン酸セシウム、ホウ化ランタン等が挙げられる。ITO微粒子、タングステン酸セシウム微粒子は、可視光の透過率が高く、かつ1200nmを超える赤外波長領域の広範囲に光吸収性を有するため、かかる赤外光の遮蔽性を必要とする場合に使用できる。
本フィルタは、吸収層が、色素(A)を含有することで、可視光の透過性を良好に維持しながら、近赤外光の遮蔽性において、吸収型のガラスに対応する波長域、特には、800~1050nmの波長域の近赤外光の遮蔽を高いレベルで達成できる。さらに、耐光性に優れる。吸収層が、色素(A)に加えて色素(D)を含有する場合、上記波長域に加えて、可視光との境界付近の近赤外光の遮蔽が可能となる。
本フィルタは、さらに、反射層を有する場合、反射層による高い角度で入射した光に対する反射層の入射角依存性を抑制できる、特に、高入射角での800~1050nmの波長域の光漏れを低減できる。
本フィルタは、色素(A)および色素(D)を含有する吸収層と反射層を有する場合、以下の(i-1)~(i-6)の光学特性を満足するのが好ましい。
(i-1)入射角0度における435~480nmの波長領域における平均透過率が75%以上である。
(i-2)入射角0度における703~739nmの波長領域における平均透過率が3%以下である。
(i-3)入射角30度における703~739nmの波長領域における平均透過率が3%以下である。
(i-4)入射角0度における703~739nmの平均透過率から入射角30度における703~739nmの平均透過率を引いた値の絶対値が3%以下である。
(i-5)入射角0度における846nmの透過率が3%以下である。
(i-6)入射角50度における846nmの透過率が3%以下である。
本フィルタは、例えば、デジタルスチルカメラ等の撮像装置に使用した場合に、色再現性に優れる撮像装置を提供できる。本フィルタを用いた撮像装置は、固体撮像素子と、撮像レンズと、本フィルタとを備える。本フィルタは、例えば、撮像レンズと固体撮像素子との間に配置されたり、撮像装置の固体撮像素子、撮像レンズ等に粘着剤層を介して直接貼着されたりして使用できる。
以下に本発明の実施例を説明する。まず、実施例の吸収層に用いる色素(A)、色素(D)、比較のためのその他の色素の例および特性を説明する。次いで、光学フィルタの実施例について説明する。
<色素の合成・準備>
実施例で使用する色素(A)として、色素(A2)である色素(A2-2B)、(A2-2X1)、(A2-3B)、(A2-4B)、(A2-5B)、(A2-6B)、色素(A1)である色素(A1-1B)、(A1-2B)、比較例で使用する色素(A)として、色素(A2)である色素(A2-1B)、(A2-1X1)を以下の方法で、色素(D)として色素(I-12-24)を常法により合成した。式中、「Et」はエチル基を、「tBu」はターシャリーブチル基をそれぞれ示す。「N(SOCF 」は、式(X1)で示されるアニオンである。
また、比較例で使用する色素として、下式(Acf1)で示されるシアニン色素(Acf1)を常法により合成した。さらに、市販品の色素として、下式(Acf2)で示されるシアニン色素S0734(Few Chemicals社製の商品名)、下式(Acf4)で示されるジイモニウム色素Dim01(特開2014-25016号明細書に記載の方法で合成した。)、およびフタロシアニン色素を4種類、FDN-002、FDN-003、FDN-015、FDN-021(いずれも、山田化学社製の商品名)準備した。
なお、これらの色素の光学特性の評価には、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ社製、U-4100形)を用い、以下の光学特性(分光透過率)の評価にも同様に、U-4100を用いた。
Figure 0007059729000030
Figure 0007059729000031
(1)色素(A2-1B)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-1B)を合成した。
Figure 0007059729000032
<ステップ1>
200mlのナスフラスコにN,N-ジエチル-3-アミノフェノール(5g、30.3mmol)と4,4-ジメチル-3-オキソ吉草酸メチル(6.1g、60.6mmol)と添加し窒素雰囲気化、180℃で35時間加熱撹拌した後、再び4,4-ジメチル-3-オキソ吉草酸メチル(6.1g、60.6mmol)を添加し15時間加熱撹拌した。室温まで冷却し酢酸エチルと0.5Mの塩酸を添加した後、ヘキサンと酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて茶色の油状物質(4.6g、21.2mmol、収率70%)を単離した。
<ステップ2>
ステップ1で得られた茶色の油状物質(4g、18.5mmol)を500mlのナスフラスコにいれテトラヒドロフラン40mlに溶解させた。窒素雰囲気化、0℃にて10mlの1M臭化メチルマグネシウムを滴下し、室温に昇温した後20時間撹拌した。再び10mlの1M臭化メチルマグネシウムを室温で滴下した後12時間撹拌し、さらに10mlの1M臭化メチルマグネシウムを追加し1時間撹拌した。反応終了後に反応溶液を氷水50mlにゆっくり注いだのち、42%テトラフルオロホウ酸水溶液40mlを添加し室温にて1時間撹拌した。ジクロロメタンで抽出したのち無水硫酸マグネシウムにて乾燥させ溶媒を除去した。得られた固体をヘキサンで洗浄し朱色固体の化合物1(4.6g、15.2mmol、83%)を得た。
<ステップ3>
ステップ2で得られた化合物1(3g、9.9mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、80mlのピリジンに溶解させた後、マロンアルデヒドジアニリド塩酸塩(1.3g、4.9mmol)を加え還流条件下で1時間反応させた。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し、茶色固体(1.1g、2.0mmol、収率40%)を単離した。
得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、色素(A2-1B)であることを確認した。
(2)色素(A2-1X1)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-1X1)を合成した。
Figure 0007059729000033
<ステップ1>
色素(A2-1B)と同様の合成法にて得た化合物1(4g、13.2mmol)を500mlのナスフラスコにいれ、アセトン25mlとメタノール40mlの混合溶媒に溶解させた。室温にてビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドのカリウム塩(5.5g、17.2mmol)を加え80℃に昇温し撹拌させた。反応終了後、溶媒を除去し、水とジクロロメタンを加え目的物を抽出し、溶媒を除去した。得られた固体をヘキサンで洗浄し、化合物2(5.68g、11.5mmol)を得た。
<ステップ2>
ステップ1で得られた化合物2(3g、6.1mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、100mlのピリジンに溶解させたのちマロンアルデヒドジアニリド塩酸塩(0.8g、3.0mmol)を加え還流条件下で1時間反応させた。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン/メタノール)にて精製し固体を得た。得られた固体を酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒で洗浄し、茶色固体(0.8g、1.1mmol、収率35%)を単離した。
得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、色素(A2-1X1)であることを確認した。
(3)色素(A2-2B)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-2B)を合成した。
Figure 0007059729000034
<ステップ1>
Journal of the American Chemical Society, 133(17), 6626-6635; 2011に記載の方法に従って、化合物3を合成した。
<ステップ2>
色素(A2-1B)と同様の合成法にて得た化合物1(6g、19.9mmol)とステップ1で得た化合物3(2.9g、9.9mmol)を500mlのナスフラスコにいれ、200mlのピリジンに溶解させた後、1時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し固体を得た。得られた固体をヘキサン/ジクロロメタンにて再沈殿し、茶色固体(2.74g、4.7mmol、収率47%)を単離した。
得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、色素(A2-2B)であることを確認した。
(4)色素(A2-2X1)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-2X1)を合成した。
Figure 0007059729000035
色素(A2-1X1)と同様の合成法にて得た化合物2(3.0g、6.1mmol)と化合物3(0.92g、3.0mmol)を500mlのナスフラスコにいれ、60mlのピリジンに溶解させた後、1時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し固体を得た。得られた固体をヘキサン/ジクロロメタンにて再沈殿し、茶色固体(1.2g、1.5mmol、収率51%)を単離した。
得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、色素(A2-2X1)であることを確認した。
(5)色素(A2-3B)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-3B)を合成した。
Figure 0007059729000036
<ステップ1>
U.S. Pat. Appl. Publ., 20070244330, 18 Oct 2007, Heterocycles, 24(3), 755-69; 1986に記載の方法に従って化合物4を合成した。
<ステップ2>
色素(A2-1B)と同様の合成法にて得た化合物1(3g、9.9mmol)とステップ1で得た化合物4(1.4g、5.0mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、100mlのピリジンに溶解させた後、1時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し固体を得た。得られた固体をヘキサン/ジクロロメタンにて再沈殿し、茶色固体(1.4g、2.5mmol、収率50%)を単離した。
得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、色素(A2-3B)であることを確認した。
(6)色素(A2-4B)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-4B)を合成した。
Figure 0007059729000037
<ステップ1>
PCT Int. Appl., 2012054367, 26 Apr 2012に記載の方法に従って化合物5を合成した。
<ステップ2>
色素(A2-1B)と同様の合成法にて得た化合物1(3g、9.9mmol)とステップ1で得た化合物5(0.8g、4.9mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、100mlのピリジンに溶解させた後、少量のトリエチルアミンを加え1時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し固体を得た。得られた固体をヘキサン/ジクロロメタンにて再沈殿し、茶色固体(1.0g、1.6mmol、収率31%)を単離した。
得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、色素(A2-4B)であることを確認した。
(7)色素(A2-5B)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-5B)を合成した。
Figure 0007059729000038
4-メチルフェニル酢酸の代わりに4-ブロモフェニル酢酸を用いたこと以外は、色素(A2-4B)と同様の方法で合成を行い、茶色固体を得た。
得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、色素(A2-5B)であることを確認した。
(8)色素(A2-6B)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A2-6B)を合成した。
Figure 0007059729000039
色素(A2-1B)のステップ1において、N,N-ジエチル-3-アミノフェノールの代わりに、N,N-ジブチル-3-アミノフェノールを用いて、同様の方法でステップ2まで行い、化合物1の代わりに化合物7を得た。色素(A2-3B)のステップ2において、化合物1の代わりに化合物7を用いた以外は同様にして、色素(A2-6B)を得た。
色素(A2-6B)は茶色固体で、1H NMRにより構造を確認した。
(9)色素(A1-1B)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A1-1B)を合成した。
Figure 0007059729000040
<ステップ1>
500mlナスフラスコにN-メチルホルムアニリド(48.7g、0.36mmol)をいれ50mlのジクロロメタンに溶解させた後、0℃にて塩化ホスホリル(55g、1.36mol)を1時間かけて滴下した。0℃にてさらに3時間撹拌した後、シクロペンタ-1-エン-1-イルベンゼン(18.7g、0.13mmol)をゆっくり滴下し、45℃に昇温して20時間撹拌した。反応溶液に400mlの水を加えたのち、室温にて50gの炭酸カリウム、40gの塩化アニリン、50gの炭酸カリウムを順に加え撹拌した後、濾過にて赤色個体の化合物8(32g、82.7mmol、61%)を得た。
<ステップ2>
色素(A2-1B)の反応経路のステップ2において得られた化合物1(4g、13.2mmol)と上記のステップ1で得た化合物8(2.6g、6.6mmol)を300mlのナスフラスコにいれ、130mlのピリジンに溶解させた後1時間加熱還流させた。反応終了後、溶媒を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)にて精製し固体を得た。得られた固体をヘキサン/ジクロロメタンにて再沈殿し、茶色固体(2.65g、3.9mmol、収率59%)を単離した。
得られた茶色固体を1H NMRにより同定し、色素(A1-1B)であることを確認した。
(10)色素(A1-2B)の合成
以下に示す反応経路にしたがい、色素(A1-2B)を合成した。
Figure 0007059729000041
色素(A1-1B)の反応経路のステップ1において、シクロペンタ-1-エン-1-イルベンゼンの代わりに1-フェニル-1-シクロヘキセンを用いたこと以外は同様の方法で反応を行い、化合物9を得た。色素(A1-1B)の合成法のステップ2において、化合物8のかわりに化合物9を用いた以外は同様にして、色素(A1-2B)を得た。
色素(A1-2B)は茶色固体であり、1H NMRにより構造を同定した。
<光学特性>
以下のようにして色素(A)、比較のためのその他の色素の光学特性を評価した。結果を表10に示す。
(ジクロロメタン(DCM)中)
(1)λmax[nm]
色素(A)をジクロロメタンに溶解させた溶液を用いて、波長350~1200nmの分光透過率における最大吸収波長λmax(A)DCMを測定した。同様にしてその他の色素の最大吸収波長λmax(O)DCMを測定した。
(2)Tave400-480[%]
λmax(A)DCMまたはλmax(O)DCMにおける透過率が10%となるように色素(A)をジクロロメタンに溶解させた溶液を用いて、波長350~1200nmの分光透過率を測定し、400~480nmの波長領域の光における平均透過率を求めた。
(透明樹脂中)
透明樹脂として、ポリイミド樹脂であるネオプリム(登録商標)C3G30(三菱ガス化学(株)製、商品名)、アクリルイミド樹脂であるPLEXIMID8817(エボニック社製、商品名)、ポリエステル樹脂であるOKP-850(大阪ガスケミカル(株)製、商品名)、ポリカーボネート樹脂であるSP3810(帝人(株)製、商品名)を使用して、以下の光学特性を評価した。
(1)質量吸光係数[/(cm・質量%)]
上記で準備した色素(A)、比較のためのその他の色素のそれぞれについて、透明樹脂、シクロヘキサノン中で十分に撹拌し、均一に溶解した。得られた溶液をガラス板(D263;SCHOTT製)上に塗布し、乾燥後に膜厚1.0μmの吸収層を得た。波長350~1200nmの光における最大質量吸光係数を、上記の方法で算出した。
(2)λmax[nm]
上記と同様にして、膜厚1.0μmの吸収層付きガラス板を得た。波長350~1200nmの吸収層付きガラス板の分光透過率とガラス板の分光透過率を用いて、吸収層の分光透過率を得た。該分光透過率における、最大吸収波長λmax(A)TR(色素(A))、最大吸収波長λmax(O)TR(その他の色素)を測定した。
(3)Tave400-480[%]
上記において色素(A)、その他の色素の添加量をλmax(A)TR(色素(A))、λmax(O)TRでの光の透過率が10%になるように調整して吸収層付きガラス板を得た。波長350~1200nmの吸収層付きガラス板の分光透過率とガラス板の分光透過率を用いて、吸収層の分光透過率を得、400~480nmの波長領域における光の平均透過率を求めた。
Figure 0007059729000042
[例1~6]
例1~5については、ガラス板(D263;SCHOTT製、厚さ;0.21mm)の一方の主面上に表11に示す吸収層をそれぞれ作製した。透明樹脂はポリイミド樹脂C3G30(商品名;三菱ガス化学製)を用い、吸収層の膜厚は1μmとした。表11中の色素の含有量は、透明樹脂100質量部に対する質量部であり、色素(A)またはその他の色素、および色素(D)のそれぞれについて、添加量をλmax(A)TR、λmax(D)TRでの光の透過率が10%になるように調整した量である。得られた吸収層付きガラス板の他方の主面に誘電体多層膜からなる近赤外線反射領域を有する反射層を設計して光学フィルタとした。例1、2は実施例であり、例3~5は比較例である。
また、例6としてガラス板(D263;SCHOTT製、厚さ;0.21mm)の一方の主面上に例1~5と同様の誘電体多層膜からなる近赤外線反射領域を有する反射層を設計して光学フィルタとした。例6の光学フィルタは、吸収層を有しないガラス板と誘電体多層膜のみからなる比較例の光学フィルタである。
なお、用いた反射層の光学特性は、入射角0度において550~650nmの波長領域における光の平均透過率が94[%]、入射角50度において810~870nmの波長領域における光の透過面積が61[%nm]、入射角50度において846nmの波長領域における光の透過率が6.4[%]であった。
得られた光学フィルタについて、入射角0度、入射角30度、および入射角50度において、波長350~1200nmの分光透過率を測定し、以下の光学特性を評価した。結果を表11に示す。
(i-1)入射角0度で測定された435~480nmの波長領域における平均透過率。
(i-2)入射角0度で測定された703~739nmの波長領域における平均透過率。
(i-3)入射角30度で測定された703~739nmの波長領域における平均透過率。
(i-4)入射角0度で測定された703~739nmの平均透過率から入射角30度で測定された703~739nmの平均透過率を引いた値の絶対値。
(i-5)入射角0度で測定された846nmの透過率。
(i-6)入射角50度で測定された846nmの透過率。
Figure 0007059729000043
本発明の光学フィルタは、可視光の透過性を良好に維持しながら、近赤外光の遮蔽性において、吸収型のガラスに対応する波長域、特には、800~1050nmの波長域の近赤外光の遮蔽を高いレベルで達成できるので、近年、高性能化が進むデジタルスチルカメラ等の撮像装置等の用途に有用である。
10A~10G…光学フィルタ、11…吸収層、12…反射層、13…透明基板、14…反射防止層。

Claims (12)

  1. 下式(A1)または(A2)で表される色素(A)と透明樹脂を含む吸収層を有する光学フィルタ。
    Figure 0007059729000044
    ただし、式(A1)および(A2)中の記号は以下のとおりである。
    101 103 、R 105 109およびR111 113 、R 115 117は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、または、-NR128129(R128およびR129は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。 102 とR 103 、R 106 とR 107 、R 112 とR 113 、R 116 とR 117 は、互いに連結して員数5~8の環を形成していてもよい。
    104 およびR 114 は、-NR 128 129 (R 128 およびR 129 は一方が水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基であり、他方は置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。
    110 およびR 118 は、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基もしくは炭素数6~30のアリール基を示す。
    式(A1)および(A2)は、ZおよびZを任意に有する。ZおよびZは5員環または6員環である。
    は一価のアニオンであり、I 、BF 、PF 、ClO 、下式(X1)、または(X2)で示される。m1およびm2はXの個数を示し、1である。
    Figure 0007059729000045
  2. 前記色素(A)は、前記透明樹脂に含有させたときの、波長350~1200nmの光における、最大質量吸光係数が1500/(cm・質量%)以上である請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記色素(A)は、ジクロロメタンに溶解して測定される波長350~1200nmの分光透過率において、最大吸収波長λmax(A)DCMが800~1050nmの波長領域にある請求項1または2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記色素(A)は、最大吸収波長λmax(A)DCMにおける透過率が10%となるようにジクロロメタンに溶解させて測定される、波長350~1200nmの分光透過率において、400~480nmの波長領域の光の平均透過率T400-480ave(A)DCMが95%以上である請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記色素(A)は、前記透明樹脂に含有させて測定される波長350~1200nmの分光透過率から得られる最大吸収波長λmax(A)TRにおいて透過率が10%となるように前記透明樹脂に含有させて測定される400~480nmの波長領域の光の平均透過率T400-480ave(A)TRが82%以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  6. 前記透明樹脂は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルイミド樹脂およびポリスチレン樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1~5のいずれか1項記載の光学フィルタ。
  7. 前記透明樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂およびアクリルイミド樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる請求項6に記載の光学フィルタ。
  8. 前記吸収層は、ジクロロメタンに溶解させた溶液で測定される波長350~1200nmの分光透過率において、600~750nmに最大吸収波長λmax(D)DCMを有する色素(D)をさらに含む請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  9. さらに、誘電体多層膜からなる反射層を有する請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  10. さらに、透明基板を有し前記透明基板上に前記吸収層を備えた請求項1~のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  11. 請求項1~10のいずれか1項記載の光学フィルタを備える撮像装置。
  12. 下式(A1)または(A2)で表される色素。
    Figure 0007059729000046
    ただし、式(A1)および(A2)中の記号は以下のとおりである。
    101 103 、R 105 109およびR111 113 、R 115 117は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、リン酸基、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基、または、-NR128129(R128およびR129は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。 102 とR 103 、R 106 とR 107 、R 112 とR 113 、R 116 とR 117 は、互いに連結して員数5~8の環を形成していてもよい。
    104 およびR 114 は、-NR 128 129 (R 128 およびR 129 は一方が水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基であり、他方は置換基を有してもよい炭素数1~15のアルキル基である。)である。
    110 およびR 118 は、置換基を有してもよい炭素数6~30のアリール基を示す。
    式(A1)および(A2)は、ZおよびZを任意に有する。ZおよびZは5員環または6員環である。
    は一価のアニオンであり 、BF 、PF 、ClO 、下式(X1)、または(X2)で示される。m1およびm2はXの個数を示し、1である。
    Figure 0007059729000047
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