JPWO2018105454A1 - 電気化学測定方法および電気化学測定装置 - Google Patents

電気化学測定方法および電気化学測定装置 Download PDF

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Abstract

生体試料の状態を以下の電気化学測定方法により電気化学的に測定する。作用電極を備え、測定液が作用電極と接するように測定液が充填された電気化学測定デバイスを準備する。測定液に生体試料を入れる。作用電極に測定電位を印加して作用電極に流れる電流値を測定する。作用電極に酸化電位を印加して作用電極の表面を酸化させる。この電気化学測定方法により、生体試料の周囲の環境の測定を安定して行うことができる。

Description

本開示は、細胞又は組織等の活動状態を測定、解析するための電気化学測定方法および電気化学測定装置に関する。
細胞や組織は、様々な物質を輸送、消費することによって活動している。例えば、胚は、周囲の酸素を消費しながら細胞***を行う。そのため、細胞や組織等の試料の周囲の環境を測定することにより、その試料の活動状態について解析することができる。
試料の周囲の環境を測定する方法としては、例えば、作用電極が設けられた電気化学測定デバイスを用いて、試料を含む溶液の電気化学測定を行う方法がある(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2010/055942号
生体試料の状態を以下の電気化学測定方法により電気化学的に測定する。作用電極を備え、測定液が作用電極と接するように測定液が充填された電気化学測定デバイスを準備する。測定液に生体試料を入れる。作用電極に測定電位を印加して作用電極に流れる電流値を測定する。作用電極に酸化電位を印加して作用電極の表面を酸化させる。
この電気化学測定方法により、生体試料の周囲の環境の測定を安定して行うことができる。
図1は実施の形態における電気化学測定デバイスの斜視図である。 図2は実施の形態における電気化学測定装置の概念図である。 図3Aは図1に示す電気化学測定デバイスの線3A−3Aにおける断面図である。 図3Bは図3Aに示す電気化学測定デバイスの拡大上面図である。 図4は実施の形態における電気化学測定方法を示すフローチャートである。 図5は図4に示す電気化学測定方法での電位印加プロトコルを示す図である。 図6は図4に示す電気化学測定方法の他の電位印加プロトコルを示す図である。 図7は図4に示す電気化学測定方法のさらに他の電位印加プロトコルを示す図である。 図8は実施の形態における他の電気化学測定方法を示すフローチャートである。 図9は図8に示す電気化学測定方法の電位印加プロトコルを示す図である。 図10は実施の形態における他の電気化学測定デバイスの上面図である。 図11は実施の形態におけるさらに他の電気化学測定方法を示すフローチャートである。 図12は図11に示す電気化学測定方法の電位印加プロトコルを示す図である。 図13Aは図11に示す電気化学測定方法の電位印加プロトコルの拡大図である。 図13Bは図13Aに示す電位印加プロトコルにおいて1つの作用電極に印加される電位を示す図である。 図14Aは図11に示す電気化学測定方法の他の電位印加プロトコルの拡大図である。 図14Bは図14Aに示す電位印加プロトコルにおいて1つの作用電極に印加される電位を示す図である。
以下では、本開示の実施の形態に係る電気化学測定方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本開示を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構造については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化している。
図1は実施の形態における電気化学測定デバイス10の斜視図である。図2は実施の形態における電気化学測定装置30を模式的に示した概念図である。図3Aは図1に示す電気化学測定デバイス10の線3A−3Aにおける断面図であり、電気化学測定デバイス10の動作を模式的に示す。
電気化学測定デバイス10は胚等の細胞または生体の組織などの生体試料101の活動状態を測定するためのデバイスである。
電気化学測定デバイス10は、容器11と電極チップ12とを備える。容器11は、上容器11aと下容器11bとを有する。
容器11は、容器11の内部に実装された電極チップ12を有する。容器11は、測定液102を溜めるための貯留部13を有する容器である。貯留部13の底面13bには逆円錐形状の複数のウェル14が設けられている。生体試料101はウェル14の内部に配置される。容器11は、例えば、樹脂成型等により作製される。
電極チップ12は、互いに反対側の上面12aと下面12bとを有する。電極チップ12の上面12aは領域15を有する。電極チップ12の上面12aには作用電極16が設けられている。領域15は、電極チップ12の上面12aに生体試料101を載置するための載置部である。作用電極16は、生体試料の電気化学測定に用いられる。
載置部である領域15は、例えば電極チップ12の上面12aに設けられる凹部で構成されている。なお、領域15は、電極チップ12に設けられる凹部に限られない。例えば、領域15は、電極チップ12の上面12aの平坦な部分に設けられていてもよい。
作用電極16は、領域15の周囲を取り囲むように設けられている。作用電極16は電極チップ12の上面12aに設けられる。電極チップ12に領域15の周囲を取り囲む作用電極16を設けることにより、領域15に配置される生体試料101と作用電極16との距離を一定に保つことができる。
図2に示すように、電気化学測定装置30は、電気化学測定デバイス10と、電気化学測定デバイス10に接続された制御部34と、制御部34に接続された測定部36と、測定部36に接続された演算部37とを有する。
図3Bは電気化学測定デバイス10の拡大上面図であり、ウェル14の底面14bを示す。図3Aと図3Bに示すように、複数の作用電極16は領域15を中心とする実質的に同心円形状を有し、領域15の中心からの距離が異なる位置に配置されている。これにより、電気化学測定デバイス10は、生体試料101から距離の異なる複数の位置で電気化学測定を行うことができる。
電気化学測定デバイス10において、下容器11bと、電極チップ12と、上容器11aがこの順に積層されている。ウェル14は、貯留部13の底面13bに繋がる側壁面14aと、側壁面14aに繋がる底面14bとを有する。ウェル14の底面14bには貫通孔53が形成されている。つまり、貫通孔53は、上容器11aの下部を貫通している。ウェル14の底面14bにおいて、電極チップ12の作用電極16は貫通孔53から露出している。電極チップ12はウェル14の下方に配置される。
下容器11bには、電極チップ12の下方に位置する貫通孔54が設けられている。電極チップ12の下面12bには、作用電極16と電気的に接続された接続端子17が設けられている。接続端子17は、貫通孔54を介して下容器11bの下面すなわち電気化学測定デバイス10の外部に露出している。接続端子17は電気化学測定装置30の制御部34等の外部の計測機器に接続される。
上容器11aと電極チップ12との間には、測定液102の漏出を抑制するため、シール材18が設けられている。
なお、作用電極16は、領域15の中に設けられていてもよい。また、接続端子17は、容器11の側面に設けられていてもよい。
また、電気化学測定デバイス10は、ウェル14の底面14bに形成される貫通孔53および電極チップ12を有しなくてもよい。この場合、領域15および作用電極16は、電極チップ12上ではなく、上容器11aのウェル14の底面14bに直接的に設けられる。
電気化学測定装置30は、電気化学測定デバイス10を用いて、生体試料101の電気化学測定を行う。電気化学測定装置30の制御部34は、例えば、作用電極16へ電圧を印加し、作用電極16に流れる電流を測定する。
電気化学測定装置30は、ステージ31、設置部32、端子33およびカバー35をさらに有する。
電気化学測定デバイス10は、ステージ31上の設置部32に設置される。設置部32は、例えば、ステージ31の上面に設けられる凹部である。電気化学測定デバイス10は、設置部32の凹部に固定される。
ステージ31には端子33が設けられている。端子33は、電気化学測定デバイス10の接続端子17と接触する。これにより、作用電極16は、端子33と電気的に接続される。また、端子33は、制御部34と電気的に接続される。
制御部34は、作用電極に印加する電位の大きさおよび電位の印加のタイミングを制御する。制御部34は、電源回路および電位印加回路などを含む。これにより、制御部34は、電位を印加する指令信号の生成や作用電極への電位の印加を行うことができる。
測定部36は、例えば、印加された電位により作用電極16に流れる電流を測定する。演算部37は、測定した電流値に基づいて、例えば、生体試料101の活性度を算出する。
図2に示すように、制御部34、測定部36および演算部37は、それぞれ独立した回路で構成されていてもよい。あるいは、制御部34と、測定部36と、演算部37とは1つの集積回路で構成されていてもよい。
電気化学測定装置は、設置部32を覆うカバー35を有してもよい。カバー35はステージ31の上方に設けられる。カバー35とステージ31とは、電気化学測定デバイス10が配置される空間を形成している。これにより、設置部32に設置される電気化学測定デバイス10はカバー35に完全に覆われる。カバー35は、生体試料101の測定環境を適切な環境に保持するために設けられる。つまり、カバー35は、外気と隔離された測定環境を形成する。カバー35を設けることにより、電気化学測定装置30は、適切な環境で生体試料101を測定できる。適切な環境とは、例えば、インキュベーター内と同様の環境である。インキュベーター内の環境とは、例えば、37℃で空気中に5%の二酸化炭素を有する環境である。
なお、電気化学測定装置30は、カバー35を備えていなくてもよい。この場合には、電気化学測定デバイス10を設置した電気化学測定装置30のステージ31をインキュベーター内に配置した状態で測定を行うことができる。
以下、図3Aを参照して、生体試料101を測定する際の電気化学測定デバイス10の動作を説明する。
生体試料101は、例えば、胚である。胚は、未分化および卵割した受精卵を含む。
胚は、周囲の酸素を消費しながら卵胞内部で分割している。電気化学測定デバイス10は、作用電極16を用いて胚周辺の測定液102の部分に溶存する酸素量を計測できる。そして、計測した酸素量により、胚の酸素消費の活動状態を確認することができる。
貯留部13には、参照電極23および対極24が設けられている。
測定液102は、作用電極16と参照電極23と対極24とに接するように、貯留部13およびウェル14に充填される。
作用電極16、参照電極23および対極24は、電気化学測定装置30の制御部34に電気的に接続される。
電気化学測定装置30は、例えばポテンショスタットである。ポテンショスタットは、参照電極23に対する作用電極16の電位を一定にする装置である。
生体試料101は、電極チップ12の上面12aに設けられた領域15に配置される。
生体試料101の周辺の測定液102の部分に溶存する酸素量を計測する際は、ポテンショスタットを用いて作用電極16に酸素還元電位を印加する。これにより、作用電極16の周辺の測定液102に溶存する酸素が還元される。酸素が還元されることにより、作用電極16に電流が流れる。作用電極16に流れる電流は、測定部36により測定される。
作用電極16に流れる電流値は、作用電極16の周囲の測定液102の部分に溶存する酸素量と相関がある。そのため、生体試料101の周囲に配置された作用電極16の電流値を計測することで、生体試料101の周辺の測定液102の部分の溶存酸素量である溶存酸素濃度を検出することができる。
なお、対極24は設けなくてもよい。この場合、参照電極23は、参照電極23としての役割のほかに、対極24としての役割を有してもよい。
図4は実施の形態における電気化学測定方法のフローチャートである。図5は、図4に示す電気化学測定方法において作用電極16に印加される電位の印加のタイミングを示す電位印加プロトコルである。図5において、縦軸は作用電極16に印加される電位を示し、横軸は時間を示す。
以下、図4および図5を参照して、胚等の単一の生体試料101の酸素消費量の電気化学測定方法について説明する。ここで、単一の生体試料101は、1つの細胞、1つの細胞塊および1つの組織である。測定液102中で分散した状態で含まれている複数の細胞は単一の生体試料101に含まない。
電極チップ12の上面12aには、領域15から異なる距離に配置される複数の作用電極16が設けられている。
図4に示す電気化学測定方法では、容器11に測定液102を注入する(ステップS010)。その後、作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入する前のブランク状態の電流値I1を測定する(ステップS020)。その後、作用電極16に酸化電位を印加して、作用電極16の表面を酸化させる(ステップS030)。その後、生体試料101を投入する(ステップS040)。その後、作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入した後の電流値I2を測定する(ステップS050)。その後、作用電極16に酸化電位を印加して、作用電極16の表面を酸化させる(ステップS060)。その後、生体試料101を回収する(ステップS070)。その後、作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を回収した後のブランク状態の電流値I3を測定する(ステップS080)。その後、作用電極16に酸化電位を印加して、作用電極16の表面を酸化させる(ステップS090)。その後、測定した電流値I1、I2、I3から測定液102中の物質の濃度である溶存酸素量すなわち溶存酸素濃度を算出する(ステップS100)。算出された溶存酸素濃度から、生体試料101の活性度を計ることができる。
以下に各ステップにつき詳述する。
ステップS010では、容器11の貯留部13及びウェル14に測定液102を入れる。測定液102は、作用電極16、参照電極23および対極24と接触している。そして、電気化学測定デバイス10を電気化学測定装置30の設置部32に設置する。このとき、接続端子17は端子33と接触している。なお、実施の形態においては、作用電極16および対極24として白金電極を用いて説明する。また、参照電極23として、白金の擬似参照電極を用いて説明する。ただし、電極材料は、これらに限定されるものではない。例えば、参照電極は、銀電極または塩化銀電極でもよい。
なお、測定液102が容器11に予め充填されている場合には、ステップS020から始めてもよい。
生体試料101を測定液102に入れる前に、ステップS020では図5に示す期間T1のうちの期間T1aにおいて作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入する前の作用電極16に流れる電流値I1を測定する。測定電位Vmは、酸素還元電位である。実施の形態において、測定電位Vmは参照電極23に対して負の電位である。例えば、測定電位Vmは−0.6Vである。測定電位Vmは60秒から100秒までの40秒の期間T1aに作用電極16に印加される。期間T1aの長さは、例えば、10秒間から120秒間である。測定電位Vmが作用電極16に印加されることにより、作用電極16の周辺の測定液102の部分中の溶存酸素が還元されるため、作用電極16に酸素還元電流が流れる。電気化学測定装置30は、作用電極16に流れるこの酸素還元電流の電流値I1を測定する。なお、測定電位Vmの正負の極性は、測定対象となる物質により異なる。測定電位Vmが参照電極23に対して正の電位となる場合もある。例えば、測定液102中の過酸化水素の濃度を測定する場合は、測定電位Vmは参照電極23に対して正の電位である。
ステップS020では、生体試料101の影響を受けないブランク状態の測定液102に含まれる溶存酸素の量すなわち溶存酸素の濃度に起因する電流値I1を測定できる。
なお、期間T1aの前には作用電極16に電位が印加されていない。つまり、作用電極16は電気的に参照電極23から浮いている。
ステップS030では、作用電極16に酸化電位Voを印加する。酸化電位Voは、作用電極16の表面を酸化させるために必要な電位である。酸化電位Voは、例えば、+0.7Vである。酸化電位Vo大きさは、測定液102の電気分解が生じない電位の最大値より小さく、作用電極16の表面の酸化が十分に生じる電位の最小値より大きいことが好ましい。好ましくは、酸化電位Voは、0.1V以上、1.3V以下である。
酸化電位Voは、期間T1aに続く100秒から104秒までの4秒の期間T1bにおいて作用電極16に印加される。これにより、作用電極16の表面は酸化する。作用電極16の表面を酸化することにより、作用電極16の表面状態を一定の状態で維持することができる。これにより、その後の測定を安定して行うことができる。
期間T1は、測定電位Vmを印加する期間T1aと酸化電位Voを印加する期間T1bとの合計の期間である。
ステップS040では、期間T1に続く期間T2において、生体試料101を電気化学測定デバイス10に投入する。期間T2は、104秒から164秒までの60秒間である。期間T2の長さは、操作者が生体試料101の投入に必要な時間が設定される。例えば、期間T2の長さは30秒間から120秒間である。
期間T2において、作用電極16は電気的に参照電極23から浮いている。図5において、期間T2の点線は特定の電位を示すものではなく、作用電極16が電気的に浮いており作用電極16に電位が印加されていないことを示す。つまり、生体試料101は、作用電極16に電位を印加していない期間T2に測定液102に入れられる。このとき、作用電極16には電流が流れないため、生体試料101の投入に伴う電流ノイズの発生を抑えることができる。また、生体試料101が作用電極16に接触してしまった場合でも、生体試料101には電流が流れず、したがって、生体試料101が電流に起因するダメージを受けるということを防止できる。
ステップS050では、期間T2に続く期間T3aにおいて作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入した後の生体試料101が測定液102に入っている状態で作用電極16に流れる電流の電流値I2を測定する。測定電位Vmは、酸素還元電位である。実施の形態において、測定電位Vmは、例えば−0.6Vである。測定電位Vmは、164秒から204秒までの40秒の期間T3aにおいて作用電極16に印加される。期間T3aの長さは、生体試料101の大きさや種類によって適宜決められ、実施の形態では、例えば、10秒間から120秒間である。測定電位Vmが作用電極16に印加されることにより、作用電極16の周辺の測定液102の部分の中の溶存酸素が還元されるため、作用電極16に酸素還元電流が流れる。電気化学測定装置30は、作用電極16に流れるこの酸素還元電流の電流値I2を測定する。
ステップS050では、生体試料101の呼吸活動の影響を受ける溶存酸素量(溶存酸素濃度)に起因する電流値I2を測定することができる。
載置された生体試料101は、呼吸活動に伴い、測定液102に含まれる周囲の溶存酸素を消費する。そのため、測定液102中の溶存酸素は、生体試料101の近傍では薄い状態になる。また、測定液102中の溶存酸素の量は、生体試料101から遠くなるほど測定液102の飽和溶存酸素の量に近づく。
生体試料101の呼吸活動が活発であるほど、生体試料101の近傍では酸素が多く消費される。すなわち、生体試料101の周辺に形成される酸素濃度の勾配の大きさは、生体試料101である受精卵の呼吸活動量によって決定される。
ステップS060では、204秒から208秒までの4秒間の期間T3aに続く期間T3bにおいて作用電極16に酸化電位Voを印加する。酸化電位Voは、作用電極16の表面を酸化させるために必要な電位である。酸化電位Voは、例えば、+0.7Vである。これにより、作用電極16の表面は酸化する。作用電極16の表面を酸化することにより、作用電極16の表面状態を一定の状態で維持することができる。これにより、その後の測定を安定して行うことができる。
期間T3は、測定電位Vmを印加する期間T3aと酸化電位Voを印加する期間T3bとの合計の期間である。
ステップS070では、期間T3に続く期間T4において、生体試料101を電気化学測定デバイス10から回収する、すなわち測定液102から生体試料101を出す。期間T4は、208秒から268秒までの60秒間である。期間T4の長さは、操作者が生体試料101の回収に必要な時間が設定される。例えば、30秒間から120秒間である。
期間T4において、作用電極16は参照電極23から電気的に浮いている。図5において、期間T4の点線は作用電極16に電位が印加されていないことを示し、特定の電位を示すものではない。つまり、期間T4では生体試料101は作用電極16に電位を印加していない状態で回収され、測定液102から出される。このとき、作用電極16には電流が流れないため、生体試料101の回収に伴う電流ノイズの発生を抑えることができる。また、生体試料101が作用電極16に接触してしまった場合でも、生体試料101には電流が流れないので、生体試料101が電流に起因するダメージを受けるということを防止できる。
ステップS080では、期間T4に続く268秒から308秒までの40秒間の期間T5aにおいて作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を回収した後の作用電極16に流れる電流の電流値I3を測定する。測定電位Vmは、酸素還元電位である。実施の形態において、測定電位Vmは、例えば−0.6Vである。期間T5aの長さは、例えば、10秒間から120秒間である。測定電位Vmが作用電極16に印加されることにより、作用電極16の周辺の測定液102の部分の中の溶存酸素が還元されるため、作用電極16に酸素還元電流が流れる。電気化学測定装置30は、作用電極16に流れるこの酸素還元電流の電流値I3を測定する。
ステップS080では、生体試料101の影響を受けないブランク状態の測定液102に含まれる溶存酸素量(溶存酸素濃度)に起因する電流値I3を測定できる。
ステップS090では、期間T5aに続く308秒から312秒までの4秒間の期間T5bにおいて作用電極16に酸化電位Voを印加する。酸化電位Voは、作用電極16の表面を酸化させるために必要な電位である。酸化電位Voは、例えば、+0.7Vである。これにより、作用電極16の表面は酸化する。作用電極16の表面を酸化することにより、作用電極16の表面状態を一定の状態で維持することができる。これにより、その後の測定を安定して行うことができる。
期間T5は、測定電位Vmを印加する期間T5aと酸化電位Voを印加する期間T5bとの合計の期間である。
なお、ステップS080の後に、作用電極16に電位を印加して電流値の測定を行わない場合は、作用電極16の表面状態を維持する必要がないのでステップS090を行わなくてもよい。
なお、ステップS020、S050、S080の測定電位Vmは同じ値であることが好ましい。また、ステップS030、S060、S090の酸化電位Voは同じ値であることが好ましい。
さらに、期間T1、T3、T5において、測定電位Vmを印加する期間T1a、T3a、T5aの長さは同じであることが好ましい。また、期間T1、T3、T5において、酸化電位Voを印加する期間T1b、T3b、T5bの長さは同じであることが好ましい。
ステップS100では、測定した電流値I1、I2、I3を用いて、生体試料101の周囲の測定液102の部分の溶存酸素濃度を算出する。
以下に、ステップS050で計測した電流値I2を用いて、ステップS050における生体試料101の周囲の溶存酸素濃度の算出方法について説明する。
まず、複数の作用電極16のうちの或る作用電極16で測定した電流値I1で、その作用電極16の電流値I2を割ることにより、その作用電極16での電流変化率I*2を求める。
I*2=I2/I1 ・・・(1)
複数の作用電極16に流れる電流値I1、I2の絶対値が異なっても、電流変化率I*2として規格化できる。
ステップS050において、各作用電極で消費された酸素濃度C*は、測定液102のバルク部分の溶存酸素濃度Cを用いて式(2)で表せる。
C*=I*2×C=(I2/I1)×C ・・・(2)
先述のように、ステップS050では、生体試料101の酸素消費に伴い生体試料101の近傍で溶存酸素濃度が薄い状態になる。また、生体試料101から遠くなるほど、生体試料101が測定液102中の溶存酸素に及ぼす影響は小さくなる。
よって、ステップS050では、複数の作用電極16のうち、生体試料101により近い作用電極16の電流変化率I*2は大きくなる。また、複数の作用電極16のうち、生体試料101からより遠い作用電極16の電流変化率I*2は小さくなる。
作用電極16での電流変化率I*2は、作用電極16の生体試料101からの距離に反比例する。
したがって、生体試料101の酸素消費に伴い形成される酸素濃度勾配ΔCは生体試料101の半径rと、生体試料101の中心から作用電極16の中心までの距離Rとを用いて式(3)で表される。
ΔC=(C−C*)×R/r ・・・(3)
距離Rは、上面視における、生体試料101の中心から作用電極16の中心までの距離であってもよい。また、生体試料101の中心は、領域15である載置部の中心であってもよい。
胚などの球形の生体試料101においては、呼吸活動により、生体試料101の中心から球面状に酸素濃度勾配が形成される。そのため、球形の生体試料101の表面への酸素流束の総和である酸素消費量FはFickの第一法則に従うので、測定液102中の溶存酸素の拡散係数Dを用いて式(4)で表される。
F=4×π×r×D×ΔC ・・・(4)
実施の形態では、生体試料101は平面である電極チップの上面12aの領域15に配置されているので、溶存酸素は領域15の中心から半球面状に拡散している。
したがって、実施の形態における生体試料101の酸素消費量Fは式(5)で表される。
F=2×π×r×D×ΔC ・・・(5)
ステップS020、S080での溶存酸素濃度および酸素流束も、上記と同じようにして求められる。
なお、実際には、作用電極16の表面の付着物等により、各作用電極16に流れる酸素還元電流の値は経時的に減少する。
また、ウェル14の内部の測定液102の対流の影響により、ブランク状態においてもウェル14の内部に酸素流束が形成されている場合がある。
そのため、算出された生体試料101の酸素消費量Fの精度を上げるため、ステップS050で求めた酸素流束を、ステップS020、ステップS080のブランク状態での酸素流束で補正してもよい。
また、生体試料101を測定液102に入れた状態において作用電極16に流れる電流値を複数回測定してもよい。この場合は、ステップS040、S070の間で、ステップS050、S060を交互に繰り返し行うことにより、生体試料101を測定液102入れた状態における電流値を複数回測定することができる。
また、上記の電気化学測定方法をインキュベーター内で実施してもよい。
なお、算出する物質の濃度は、溶存酸素濃度に限られない。例えば、物質の濃度は、生体試料101の活性を示す物質の濃度であってもよい。
また、生体試料101の電気化学測定は、実施の形態における電気化学測定方法のステップS010〜S100のうちの一部のステップのみを行い、他の一部のステップは行わなくてもよい。例えば、ステップS080〜S090における電流値I3の測定は行わず、ステップS010〜S070で電流値I1、I2だけを測定してもよい。また、ステップS020、S030での電流値I1の測定を行わず、ステップS010、S040からS100で電流値I2、I3だけを測定してもよい。もしくは、ステップS020、S030、S080、S090での電流値I1、I3の測定は行わず、ステップS010、S040〜S070、S100で電流値I2だけを測定してもよい。
前述のように、電気化学測定装置30の制御部34は、上述の実施の形態における電気化学測定方法を行うために、作用電極16に測定電位Vmを印加して生体試料101を投入する前の電流値I1を測定するステップと、作用電極16に酸化電位Voを印加するステップと、作用電極16に測定電位Vmを印加して生体試料101を投入した後の電流値I2を測定するステップと、作用電極16に酸化電位Voを印加するステップと、作用電極16に測定電位Vmを印加して生体試料101を回収した後の電流値I3を測定するステップとを行う。
制御部34は、上記ステップの少なくとも一部は行わなくてもよい。
前述の従来の電気化学測定において、生体試料の周囲の環境の測定は、生体試料の投入の前後、または、回収の前後で作用電極に測定電位を印加する方法により行われる。しかしながら、この方法では、生体試料の投入または回収の前後での測定、または、試料の経時的な測定において、測定電位の印加により作用電極に流れる電流値が安定せず、測定結果の再現性が低い。そのため、生体試料の周囲の環境の測定を安定して行うことができない場合がある。
前述のように、実施の形態における電気化学測定方法により、生体試料101の周囲の環境の測定を安定して行うことができる。
(実施の形態における変形例1)
図6は実施の形態における図4に示す電気化学測定方法での他の電位印加プロトコルを示す。
この電位印加プロトコルは、図5に示す電位印加プロトコルに対して、期間T1、T3、T5(T1a、T3a、T5a)における測定電位Vmの印加方法が異なり、各期間において測定電位Vmは複数のパルスよりなるパルス状の波形で印加される。すなわち、ステップS020、S050、S090にそれぞれ対応する期間T1、T3、T5のうちの期間T1a、T3a、T5aのそれぞれにおいて、制御部34は測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して作用電極16に印加する。非測定電位Vnは、電気化学測定装置30の開回路電位であり、すなわち、作用電極16を開放したときの作用電極16の電位である。非測定電位Vnが印加された状態では、作用電極16に電流が流れない。非測定電位Vnは、例えば、0.05Vである。各期間において、測定電位Vmの1つのパルスの幅は1秒から10秒であることが好ましい。
制御部34は、期間T1a、T3a、T5aにおいて測定電位Vmと非測定電位Vnからなるパルス状の波形の測定電位Vmを作用電極16に印加した後、引き続き期間T1b、T3b、T5bにおいて酸化電位Voを作用電極16に印加する。
期間T1a、T3a、T5aで印加される測定電位Vmのパルス波形は互いに同じであることが好ましい。つまり、図5に示す測定電位Vmのパルス波形の複数のパルスの幅および周期は互いに等しいことが好ましい。
パルス形状を有する測定電位Vmを印加することにより、計測される電流値I1、I2、I3の波形もパルス形状を有する。例えば、期間T1aの測定電位Vmの最初のパルスにより得られた電流値I1を用いて、他の電流値I2、I3を規格化してもよい、すなわち電流値I1、I2、I3をそれぞれ電流値1、I2/I1、I3/I1で置き換えてもよい。これにより、規格化された酸素還元電流の値を得ることができる。
測定電位Vmをパルス状にすることで、生体試料101が領域15に配置された状態で測定電位Vmを印加する時間の積算時間を短くすることができる。
測定電位Vmの印加の積算時間を短くすることにより、酸素の還元によって生じる還元物が作用電極16の表面に蓄積することを抑えることができる。また、生体試料101が還元物によって受けうる影響も小さくすることができる。
なお、期間T1a、T3a、T5aにおいて、制御部34は、測定電位Vmと0Vとを交互に繰り返すパルス形状の波形の電位を作用電極16に印加してもよい。
(実施の形態における変形例2)
図7は実施の形態における図4に示す電気化学測定方法でのさらに他の電位印加プロトコルを示す。
この電位印加プロトコルは、図5に示す電位印加プロトコルに対して、期間T1、T3、T5における酸化電位Voを印加するタイミングが異なる。
図7に示す電位印加プロトコルにおいて、酸化電位Voは期間T1のはじめに印加される。つまり、期間T1において制御部34は測定電位Vmを作用電極16に印加する前に、酸化電位Voを作用電極16に印加する。実施の形態では、酸化電位Voは、期間T1が始まる60秒から64秒までの4秒間の期間T1bにおいて作用電極16に印加され、期間T1bに続く期間T1aにおいて酸化電位Voが作用電極16に印加される。作用電極16に酸化電位Voを印加することにより、作用電極16の表面は酸化する。これにより、電流値I1を測定する前に作用電極16の表面に付着した汚染物等の物質を取り除くことができる。また、作用電極16の表面の状態をリセットすることができる。
期間T3、T5においても期間T1と同様に酸化電位Voと測定電位Vmが印加される。つまり、期間T3では、期間T3が始まる期間T3bにおいて酸化電位Voが作用電極16に印加され、期間T3bに続く期間T3aにおいて酸化電位Voが作用電極16に印加される。期間T5では、期間T5が始まる期間T5bにおいて酸化電位Voが作用電極16に印加され、期間T5bに続く期間T5aにおいて酸化電位Voが作用電極16に印加される。
なお、最初の作用電極16の表面に汚染物等の物質が付着しておらず表面の状態が好ましい場合は、期間T1aにおいて酸化電位Voを作用電極16に印加しなくてもよい。
なお、図7に示す電位印加プロトコルにおいて、期間T1a、T2a、T5aにおいて印加される測定電位Vmの波形は図6に示す電位印加プロトコルと同様に、複数のパルスよりなるパルス波形であってもよい。
(実施の形態における変形例3)
図8は実施の形態における他の電気化学測定方法のフローチャートである。図9は図8に示す電気化学測定方法での電位印加プロトコルを示す。図8と図9において図4と図6と同じ部分には同じ参照番号を付す。図8に示す電気化学測定方法と図9に示す電位印加プロトコルでは、図4に示す電気化学測定方法と図6に示す電位印加プロトコルに対して、期間T1の前に還元電位Vrと酸化電位Voとを交互に作用電極16に印加する期間T110がさらに設けられている点で異なる。
図8に示す電気化学測定方法では、測定液102を注入するステップ101の後でかつ電流値I1を測定するステップS020の前に、作用電極16を安定化させる(ステップS015)。ステップS015を行うことにより、作用電極16の表面状態が改善され、測定される電流値が安定する。
ステップS015では、期間T1の前の期間T110において制御部34は作用電極16に還元電位Vrを印加する。具体的には、ステップS015では、期間T1の前の期間T110において制御部34は還元電位Vrと酸化電位Voとを交互に繰り返して複数のパルスよりなるパルス波形で作用電極16に印加する。還元電位Vrは、例えば、−0.6Vである。還元電位Vrと測定電位Vmとは同じ値であってもよく、異なる値であってもよい。酸化電位Voは、例えば、+0.7Vである。
図8に示す電気化学測定方法では、ステップS015を行った後、図4に示す電気化学測定方法と同様にステップS020以降のステップを順に行う。
期間T110は、作用電極16が安定化するために必要な時間である。期間T110において、制御部34は作用電極16に流れる電流の値をモニタリングしながら、還元電位Vrと酸化電位Voを印加する時間を決定してもよい。
作用電極16に流れる電流値は、しばらくの間、作用電極16に電位を印加することにより安定する。そのため、電流値I1を測定する前に予め酸化電位Voと還元電位Vrを作用電極16に印加することにより、ステップS020において計測される電流値I1の電流変動を小さくすることができる。
また、ステップS015を設けることで、作用電極16および電気化学測定装置30の異常を、ステップS020の測定を行う前に検出することができる。例えば、制御部34はステップS015で得られる電流値を元にエラーを示す指標を表示することができる。
なお、制御部34は、ステップS015に対応する期間T110においてパルス波形で作用電極16に電位を印加しなくてもよい。例えば、制御部34は期間T110において酸化電位Voを所定の長さの期間T110に作用電極16に印加し続けてもよい。
なお、図9に示す電位印加プロトコルにおいて、期間T1a、T2a、T5aにおいてパルス波形ではなく、制御部34は測定電位Vmを作用電極16に印加し続けてもよい。
(実施の形態における変形例4)
図10は実施の形態における他の電気化学測定デバイス50の上面図である。図10において、図1から図3Bに示す電気化学測定デバイス10と同じ部分には同じ参照番号を付す。
電気化学測定デバイス50では、貯留部13の底面13bに複数のウェル41、42、43、44が設けられている。ウェル41、42、43、44を総称して、ウェル14とする。ウェル14の数は2〜6個が好ましい。複数のウェル14(41〜44)のそれぞれは、図3Aと図3Bに示す電気化学測定デバイス10のウェル14と同様の構造を有する。各ウェル14の下方に電極チップ12がそれぞれ配置されている。ウェル41の内部には作用電極61が設けられる。ウェル42の内部には作用電極62が設けられる。ウェル43の内部には作用電極63が設けられる。ウェル44の内部には作用電極64が設けられる。作用電極61、62、63、64を総称して作用電極16とする。電気化学測定デバイス50では複数のウェル14に配置された複数の生体試料101を並列して測定することができる。
生体試料101は、それぞれのウェル14内の領域15に1つずつに配置される。
電気化学測定デバイス50は電気化学測定デバイス10と同様に動作する。
図11は電気化学測定デバイス50を用いた電気化学測定方法を示すフローチャートである。以下に、本変形例における複数の生体試料101の活性状態を測定する方法を説明する。
図11に示す電気化学測定方法では、容器11に測定液102を注入する(ステップS011)。その後、各ウェル14において測定液102に生体試料101を投入する前のブランク状態の電流値I1xを測定する(ステップS021)。その後、各作用電極16に酸化電位Voを印加する(ステップS031)。その後、複数の生体試料101を各ウェル14に1つずつ投入する(ステップS041)。その後、各ウェル14において生体試料101を投入した後の電流値I2xを測定する(ステップS051)。その後、各作用電極16に酸化電位Voを印加する(ステップS061)。その後、各ウェル14から生体試料101を回収して出す(ステップS071)。その後、各ウェル14において生体試料101を回収した後のブランク状態の電流値I3xを測定する(ステップS081)。その後、測定した電流値I1x、I2x、I3xから各ウェル14の測定液102中の溶存酸素濃度を算出する(ステップS101)。
図12は図11に示す電気化学測定方法での電位印加プロトコルを示す。図12において、縦軸は作用電極16に印加される電位を示し、横軸は時間を示す。
以下に、図11に示す電気化学測定方法を詳述する。
ステップS011では、容器11の貯留部13に測定液102を注入し、複数のウェル14に測定液102を充填する。
ステップS021では、複数のウェル14のそれぞれに配置された作用電極16に順に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入する前の電流値I1xを複数のウェル14のそれぞれの作用電極16で測定する。ここで、電流値I1xは、各ウェル14におけるそれぞれの電流値を示す。測定電位Vmは、期間T121において、作用電極16に印加される。
図13Aは、図12における期間T121を拡大して示す。図13Aに示す電位印加プロトコルは、期間T121において、各ウェル14の作用電極16に流れる電流値I1xを1回ずつ測定する。
期間T121は、期間T121aと、期間T121aに続く期間T121bよりなる。期間T121aは、期間TaAと、期間TaAに続く期間TaBと、期間TaBに続く期間TaCと、期間TaCに続く期間TaDよりなる。期間T121bは、期間TbAと、期間TbAに続く期間TbBと、期間TbBに続く期間TbCと、期間TbCに続く期間TbDよりなる。
期間TaAでは、複数のウェル14のうちの1つのウェル41に配置された作用電極61に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaAでは、作用電極61に非測定電位Vnと測定電位Vmとを交互に繰り返して印加する。制御部34は、期間TaAにおいて作用電極61に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル41内の作用電極61に流れる電流値I11を測定する。期間TaAでは、複数のウェル14のうちの他のウェル42〜44に配置された作用電極62〜64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaBでは、複数のウェル14のうちの1つのウェル42に配置される作用電極62に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaBでは、作用電極62に非測定電位Vnと測定電位Vmとを交互に繰り返して印加する。制御部34は、期間TaBにおいて作用電極62に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル42内の作用電極62に流れる電流値I12を測定する。期間TaBでは、複数のウェル14のうちの他のウェル41、43、44に配置された作用電極61、63、64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaCでは、複数のウェル14のうちの1つのウェル43に配置される作用電極63に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaCでは、作用電極63に非測定電位Vnと測定電位Vmとを交互に繰り返して印加する。制御部34は、期間TaCにおいて作用電極63に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル43内の作用電極63に流れる電流値I13を測定する。期間TaCでは、複数のウェル14のうちの他のウェル41、42、44に配置された作用電極61、62、64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaDでは、複数のウェル14のうちの1つのウェル44に配置される作用電極64に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaDでは、非測定電位Vnと測定電位Vmとを交互に繰り返して印加する。制御部34は、期間TaDにおいて作用電極64に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル44内の作用電極64に流れる電流値I14を測定する。期間TaDでは、複数のウェル14のうちの他のウェル41〜43に配置された作用電極61〜63は参照電極23から電気的に浮いている。
上述のように、それぞれの期間において、作用電極16に印加する測定電位Vmはパルス形状の波形で印加されている。なお、それぞれの期間において、作用電極16に印加する測定電位Vmは、パルス形状ではない一定の電位であってもよい。
このように、測定電位Vmを印加する作用電極16を順に切り替えることにより、各作用電極16に流れる電流値I1xを順に測定できる。
ステップS031では、期間T121aに続く期間T121bにおいて、複数のウェル14のそれぞれの作用電極16に酸化電位Voを印加する。これにより、各作用電極16の表面を酸化させる。酸化電位Voは、各作用電極16での電流値I1xを測定した後、各作用電極16に順に印加される。
詳細には、期間T121a中の最後の期間TaDに続く期間TbAにおいて、作用電極61に酸化電位Voを印加し、他の作用電極62〜64は参照電極23から電気的に浮いている。期間TbAに続く期間TbBでは、作用電極62に酸化電位Voを印加し、他の作用電極61、63、64は参照電極23から電気的に浮いている。期間TbBに続く期間TbCでは、作用電極63に酸化電位Voを印加し、他の作用電極61、62、64は参照電極23から電気的に浮いている。期間TbCに続く期間TbDでは、作用電極64に酸化電位Voを印加し、他の作用電極61〜63は参照電極23から電気的に浮いている。
図13Bは図13Aに示す電位印加プロトコルでの期間T121において作用電極61に印加される電位を示す。前述のように、期間T121aの最初の期間TaAにおいて、制御部34は作用電極61に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極61に流れる電流値I11を測定する。期間TaAに続く期間TaB〜TaDにおいて、制御部34は作用電極61を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaDに続く期間T121bの最初の期間TbAにおいて、制御部34は作用電極61に酸化電位Voを印加する。期間TbAに続く期間TbB〜TbDにおいて、制御部34は作用電極61を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaAにおいて作用電極61に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
制御部34は、他の作用電極62〜64にも作用電極61とタイミングをずらして測定電位Vmと非測定電位Vnと酸化電位Voとを印加する。
すなわち、期間TaAにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaAに続く期間TaBにおいて、制御部34は作用電極62に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極62に流れる電流値I12を測定する。期間TaBに続く期間TaC、TaDにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaDに続く期間TbAにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaAに続く期間TbBにおいて、制御部34は作用電極62に酸化電位Voを印加する。期間TbBに続く期間TbC、TbDにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaBにおいて作用電極62に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
期間TaA、TaBにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaBに続く期間TaCにおいて、制御部34は作用電極62に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極63に流れる電流値I13を測定する。期間TaCに続く期間TaDにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaDに続く期間TbA、TbBにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaBに続く期間TbCにおいて、制御部34は作用電極63に酸化電位Voを印加する。期間TbCに続く期間TbDにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaCにおいて作用電極63に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
期間TaA〜TaCにおいて、制御部34は作用電極64を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaCに続く期間TaDにおいて、制御部34は作用電極62に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極64に流れる電流値I14を測定する。期間TaDに続く期間TbA〜TbCにおいて、制御部34は作用電極64を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TbCに続く期間TbDにおいて、制御部34は作用電極64に酸化電位Voを印加する。前述のように、制御部34は期間TaCにおいて作用電極64に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
ステップS041では、期間T122において、複数の生体試料101を複数のウェル14のそれぞれに1つずつ投入する。ステップS041において、各作用電極16は、電気的に浮いている状態である。
ステップS051では、複数のウェル14のそれぞれに配置された作用電極16に順に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入した後の電流値I2xを複数のウェル14のそれぞれの作用電極16で測定する。ここで、電流値I2xは、各ウェル14におけるそれぞれの電流値を示す。測定電位Vmは、期間T123において、作用電極16に印加される。ステップS051において測定電位Vmは、ステップS021と同じ電位印加方法により作用電極16に印加される。これによりに、電流値I2xを測定することができる。
ステップS061では、複数のウェル14のそれぞれの作用電極16に酸化電位Voを印加する。これにより、各作用電極16の表面を酸化させる。酸化電位Voは、各作用電極16での電流値I2xを測定した後、各作用電極16に順に印加される。ステップS061において、酸化電位Voは、ステップS031と同じ電位印加方法により作用電極16に印加される。これによりに、各作用電極16の表面は、順に酸化される。
ステップS071では、期間T124において、複数のウェル14のそれぞれから生体試料101を回収する。ステップS071において、各作用電極16は、電気的に浮いている状態である。
ステップS081では、複数のウェル14のそれぞれに配置された作用電極16に順に測定電位Vmを印加して、生体試料101を回収した後の電流値I3xを複数のウェル14のそれぞれの作用電極16で測定する。ここで、電流値I3xは、各ウェル14におけるそれぞれの電流値を示す。測定電位Vmは、期間T125において、作用電極16に印加される。ステップS081において測定電位Vmは、ステップS021と同じ電位印加方法により作用電極16に印加される。これによりに、電流値I3xを測定することができる。
ステップS091では、複数のウェル14のそれぞれの作用電極16に酸化電位Voを印加する。これにより、各作用電極16の表面を酸化させる。酸化電位Voは、各作用電極16での電流値I2xを測定した後、各作用電極16に順に印加される。ステップS061において、酸化電位Voは、ステップS031と同じ電位印加方法により作用電極16に印加される。これによりに、各作用電極16の表面は、順に酸化される。
なお、ステップS081の後に、各作用電極16に電位を印加して電流値の測定を行わない場合は作用電極16の表面状態を維持する必要がないので、ステップS091を設けなくてもよい。
ステップS101では、測定した電流値I1x、I2x、I3xから各ウェル14の測定液102中の溶存酸素濃度を算出する。
なお、ステップS031、S061、S091において、各ウェルで電流値を測定する前または測定した後に、複数のウェル14に酸化電位Voを一度に同時に印加してもよい。
図14Aは図11と図12に示す電気化学測定方法での他の電位印加プロトコルの期間T121を拡大して示す。図14Aにおいて、縦軸は作用電極16に印加される電位を示し、横軸は時間を示す。図14Aに示す電位印加プロトコルでは、期間T121aは、この順で続く期間TaA1、TaB1、TaC1、TaD1、TaA2、TaB2、TaC2、TaD2、TaA3、TaB3、TaC3、TaD3よりなる。
図14Aに示す電位印加プロトコルでは、図11に示すステップS021、S051、ステップS081において、複数のウェル14のそれぞれに配置された作用電極16に順に測定電位Vmを印加する操作を複数回繰り返す。これにより、電流値I1x、I2x、I3xを測定する。つまり、各ステップにおける電流値の計測において期間TaA〜TaDが複数回繰り返される。以下にその動作を詳述する。
期間TaA1、TaA2、TaA3では、複数のウェル14のうちの1つのウェル41に配置された作用電極61に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaA1、TaA2、TaA3では非測定電位Vnを印加した後で測定電位Vmを印加する。制御部34は、期間TaA1、TaA2、TaA3において作用電極61に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル41内の作用電極61に流れる電流値I11を測定する。期間TaA1、TaA2、TaA3では、複数のウェル14のうちの他のウェル42〜44に配置された作用電極62〜64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaA1、TaA2、TaA3にそれぞれ続く期間TaB1、TaB2、TaB3では、複数のウェル14のうちの1つのウェル42に配置された作用電極62に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaB1、TaB2、TaB3では非測定電位Vnを印加した後で測定電位Vmを印加する。制御部34は、期間TaB1、TaB2、TaB3において作用電極62に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル42内の作用電極62に流れる電流値I12を測定する。期間TaB1、TaB2、TaB3では、複数のウェル14のうちの他のウェル41、43、44に配置された作用電極61、63、64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaB1、TaB2、TaB3にそれぞれ続く期間TaC1、TaC2、TaC3では、複数のウェル14のうちの1つのウェル43に配置された作用電極63に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaC1、TaC2、TaC3では非測定電位Vnを印加した後で測定電位Vmを印加する。制御部34は、期間TaC1、TaC2、TaC3において作用電極63に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル43内の作用電極63に流れる電流値I13を測定する。期間TaC1、TaC2、TaC3では、複数のウェル14のうちの他のウェル41、42、44に配置された作用電極61、62、64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaC1、TaC2、TaC3にそれぞれ続く期間TaD1、TaD2、TaD3では、複数のウェル14のうちの1つのウェル44に配置された作用電極64に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaD1、TaD2、TaD3では非測定電位Vnを印加した後で測定電位Vmを印加する。制御部34は、期間TaD1、TaD2、TaD3において作用電極64に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル44内の作用電極64に流れる電流値I14を測定する。期間TaD1、TaD2、TaD3では、複数のウェル14のうちの他のウェル41〜43に配置された作用電極61〜63は参照電極23から電気的に浮いている。
図14Aに示す電位印加プロトコルでは制御部34は期間T121bにおいて図13Aと図13Bに示す電位印加プロトコルと同様に作用電極26(61〜64)に酸化電位Voを印加する。
図14Bは図14Aに示す電位印加プロトコルでの期間T121において作用電極61に印加される電位を示す。前述のように、期間T121aの最初の期間TaA1、TaA2、TaA3において、制御部34は作用電極61に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に印加して作用電極61に流れる電流値I11を測定する。期間TaA1、TaA2、TaA3にそれぞれ続く期間TaB1〜TaD1において、制御部34は作用電極61を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaD3に続く期間T121bの最初の期間TbAにおいて、制御部34は作用電極61に酸化電位Voを印加する。期間TbAに続く期間TbB〜TbDにおいて、制御部34は作用電極61を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaA1、TaA2、TaA3において作用電極61に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
制御部34は、他の作用電極62〜64にも作用電極61とタイミングをずらして測定電位Vmと非測定電位Vnと酸化電位Voとを印加する。
すなわち、期間TaA1、TaA2、TaA3において、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaA1、TaA2、TaA3にそれぞれ続く期間TaB1、TaB2、TaB3において、制御部34は作用電極62に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に印加して作用電極62に流れる電流値I12を測定する。期間TaB1、TaB2、TaB3に続く期間TaC1、TaD1、TaC2、TaD2、TaC3、TaD3において、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaD3に続く期間TbAにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaAに続く期間TbBにおいて、制御部34は作用電極62に酸化電位Voを印加する。期間TbBに続く期間TbC、TbDにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaBにおいて作用電極62に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
期間TaA1、TaA2、TaA3、TaB1、TaB2、TaB3において、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaB1、TaB2、TaB3にそれぞれ続く期間TaC1、TaC2、TaC3において、制御部34は作用電極62に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極63に流れる電流値I13を測定する。期間TaC1、TaC2、TaC3にそれぞれ続く期間TaD1、TaD2、TaD3において、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaD3に続く期間TbA、TbBにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaBに続く期間TbCにおいて、制御部34は作用電極63に酸化電位Voを印加する。期間TbCに続く期間TbDにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaC1、TaC2、TaC3において作用電極63に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
期間TaA1、TaA2、TaA3、TaB1、TaB2、TaB3、TaC1、TaC2、TaC3において、制御部34は作用電極64を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaC1、TaC2、TaC3にそれぞれ続く期間TaD1、TaD2、TaD3において、制御部34は作用電極62に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極64に流れる電流値I14を測定する。期間TaD3に続く期間TbA〜TbCにおいて、制御部34は作用電極64を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TbCに続く期間TbDにおいて、制御部34は作用電極64に酸化電位Voを印加する。前述のように、制御部34は期間TaC1、TaC2、TaC3において作用電極64に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
電気化学測定装置30は、各ウェル14の作用電極16に印加する測定電位Vmの1つのパルス毎に作用電極16を切り替えて印加する。このように、1パルス毎にウェル14の切り替えを行うことによって、ステップS021、S081でのブランク測定およびステップS051での生体試料の活性測定における各ウェル14の測定の時間間隔を、ほぼ同じにすることができる。なお、1回の操作のそれぞれの区間に作用電極16に印加される測定電位Vmは、1つパルスに限らず、複数のパルスを有してもよい。
測定電位Vmのパルス数の総和は測定する生体試料101の数の整数倍である。
なお、1つの作用電極61に印加される測定電位Vmのパルスの数と幅は、他の作用電極62、63、64に印加される測定電位Vmのパルスの数と幅とそれぞれ等しいことが好ましい。
上記した実施の形態では、溶存酸素濃度を測定するにあたり測定電位Vmは還元電位Vrである。しかし、電気化学測定においては、測定電位Vmとして酸化電位Voを用いる場合がある。この場合、作用電極16に酸化電位Voの代わりに還元電位Vrを印加する、すなわち上述の電位印加プロファイルにおいて、測定電位Vmと酸化電位Voとを互いに入れ替えることで、作用電極16の表面の状態を一定に維持することができる。
以上、一つまたは複数の態様に係る電気化学測定方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
上記の実施の形態において、「上面」「下面」「上容器」「下容器」等の方向を示す用語は電極チップや容器等の電気化学測定デバイスの構成部材の相対的な位置関係でのみ決まる相対的な方向を示し、鉛直方向等の絶対的な方向を示すものではない。
10,50 電気化学測定デバイス
11 容器
12 電極チップ
13 貯留部
14,41〜44 ウェル
15 領域
16,61〜64 作用電極
17 接続端子
18 シール材
101 生体試料
102 測定液
23 参照電極
24 対極
30 電気化学測定装置
33 端子
34 制御部
35 カバー
36 測定部
37 演算部
本開示は、細胞又は組織等の活動状態を測定、解析するための電気化学測定方法および電気化学測定装置に関する。
細胞や組織は、様々な物質を輸送、消費することによって活動している。例えば、胚は、周囲の酸素を消費しながら細胞***を行う。そのため、細胞や組織等の試料の周囲の環境を測定することにより、その試料の活動状態について解析することができる。
試料の周囲の環境を測定する方法としては、例えば、作用電極が設けられた電気化学測定デバイスを用いて、試料を含む溶液の電気化学測定を行う方法がある(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2010/055942号
生体試料の状態を以下の電気化学測定方法により電気化学的に測定する。作用電極を備え、測定液が作用電極と接するように測定液が充填された電気化学測定デバイスを準備する。測定液に生体試料を入れる。作用電極に測定電位を印加して作用電極に流れる電流値を測定する。作用電極に酸化電位を印加して作用電極の表面を酸化させる。
この電気化学測定方法により、生体試料の周囲の環境の測定を安定して行うことができる。
図1は実施の形態における電気化学測定デバイスの斜視図である。 図2は実施の形態における電気化学測定装置の概念図である。 図3Aは図1に示す電気化学測定デバイスの線3A−3Aにおける断面図である。 図3Bは図3Aに示す電気化学測定デバイスの拡大上面図である。 図4は実施の形態における電気化学測定方法を示すフローチャートである。 図5は図4に示す電気化学測定方法での電位印加プロトコルを示す図である。 図6は図4に示す電気化学測定方法の他の電位印加プロトコルを示す図である。 図7は図4に示す電気化学測定方法のさらに他の電位印加プロトコルを示す図である。 図8は実施の形態における他の電気化学測定方法を示すフローチャートである。 図9は図8に示す電気化学測定方法の電位印加プロトコルを示す図である。 図10は実施の形態における他の電気化学測定デバイスの上面図である。 図11は実施の形態におけるさらに他の電気化学測定方法を示すフローチャートである。 図12は図11に示す電気化学測定方法の電位印加プロトコルを示す図である。 図13Aは図11に示す電気化学測定方法の電位印加プロトコルの拡大図である。 図13Bは図13Aに示す電位印加プロトコルにおいて1つの作用電極に印加される電位を示す図である。 図14Aは図11に示す電気化学測定方法の他の電位印加プロトコルの拡大図である。 図14Bは図14Aに示す電位印加プロトコルにおいて1つの作用電極に印加される電位を示す図である。
以下では、本開示の実施の形態に係る電気化学測定方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本開示を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構造については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化している。
図1は実施の形態における電気化学測定デバイス10の斜視図である。図2は実施の形態における電気化学測定装置30を模式的に示した概念図である。図3Aは図1に示す電気化学測定デバイス10の線3A−3Aにおける断面図であり、電気化学測定デバイス10の動作を模式的に示す。
電気化学測定デバイス10は胚等の細胞または生体の組織などの生体試料101の活動状態を測定するためのデバイスである。
電気化学測定デバイス10は、容器11と電極チップ12とを備える。容器11は、上容器11aと下容器11bとを有する。
容器11は、容器11の内部に実装された電極チップ12を有する。容器11は、測定液102を溜めるための貯留部13を有する容器である。貯留部13の底面13bには逆円錐形状の複数のウェル14が設けられている。生体試料101はウェル14の内部に配置される。容器11は、例えば、樹脂成型等により作製される。
電極チップ12は、互いに反対側の上面12aと下面12bとを有する。電極チップ12の上面12aは領域15を有する。電極チップ12の上面12aには作用電極16が設けられている。領域15は、電極チップ12の上面12aに生体試料101を載置するための載置部である。作用電極16は、生体試料の電気化学測定に用いられる。
載置部である領域15は、例えば電極チップ12の上面12aに設けられる凹部で構成されている。なお、領域15は、電極チップ12に設けられる凹部に限られない。例えば、領域15は、電極チップ12の上面12aの平坦な部分に設けられていてもよい。
作用電極16は、領域15の周囲を取り囲むように設けられている。作用電極16は電極チップ12の上面12aに設けられる。電極チップ12に領域15の周囲を取り囲む作用電極16を設けることにより、領域15に配置される生体試料101と作用電極16との距離を一定に保つことができる。
図2に示すように、電気化学測定装置30は、電気化学測定デバイス10と、電気化学測定デバイス10に接続された制御部34と、制御部34に接続された測定部36と、測定部36に接続された演算部37とを有する。
図3Bは電気化学測定デバイス10の拡大上面図であり、ウェル14の底面14bを示す。図3Aと図3Bに示すように、複数の作用電極16は領域15を中心とする実質的に同心円形状を有し、領域15の中心からの距離が異なる位置に配置されている。これにより、電気化学測定デバイス10は、生体試料101から距離の異なる複数の位置で電気化学測定を行うことができる。
電気化学測定デバイス10において、下容器11bと、電極チップ12と、上容器11aがこの順に積層されている。ウェル14は、貯留部13の底面13bに繋がる側壁面14aと、側壁面14aに繋がる底面14bとを有する。ウェル14の底面14bには貫通孔53が形成されている。つまり、貫通孔53は、上容器11aの下部を貫通している。ウェル14の底面14bにおいて、電極チップ12の作用電極16は貫通孔53から露出している。電極チップ12はウェル14の下方に配置される。
下容器11bには、電極チップ12の下方に位置する貫通孔54が設けられている。電極チップ12の下面12bには、作用電極16と電気的に接続された接続端子17が設けられている。接続端子17は、貫通孔54を介して下容器11bの下面すなわち電気化学測定デバイス10の外部に露出している。接続端子17は電気化学測定装置30の制御部34等の外部の計測機器に接続される。
上容器11aと電極チップ12との間には、測定液102の漏出を抑制するため、シール材18が設けられている。
なお、作用電極16は、領域15の中に設けられていてもよい。また、接続端子17は、容器11の側面に設けられていてもよい。
また、電気化学測定デバイス10は、ウェル14の底面14bに形成される貫通孔53および電極チップ12を有しなくてもよい。この場合、領域15および作用電極16は、電極チップ12上ではなく、上容器11aのウェル14の底面14bに直接的に設けられる。
電気化学測定装置30は、電気化学測定デバイス10を用いて、生体試料101の電気化学測定を行う。電気化学測定装置30の制御部34は、例えば、作用電極16へ電圧を印加し、作用電極16に流れる電流を測定する。
電気化学測定装置30は、ステージ31、設置部32、端子33およびカバー35をさらに有する。
電気化学測定デバイス10は、ステージ31上の設置部32に設置される。設置部32は、例えば、ステージ31の上面に設けられる凹部である。電気化学測定デバイス10は、設置部32の凹部に固定される。
ステージ31には端子33が設けられている。端子33は、電気化学測定デバイス10の接続端子17と接触する。これにより、作用電極16は、端子33と電気的に接続される。また、端子33は、制御部34と電気的に接続される。
制御部34は、作用電極に印加する電位の大きさおよび電位の印加のタイミングを制御する。制御部34は、電源回路および電位印加回路などを含む。これにより、制御部34は、電位を印加する指令信号の生成や作用電極への電位の印加を行うことができる。
測定部36は、例えば、印加された電位により作用電極16に流れる電流を測定する。演算部37は、測定した電流値に基づいて、例えば、生体試料101の活性度を算出する。
図2に示すように、制御部34、測定部36および演算部37は、それぞれ独立した回路で構成されていてもよい。あるいは、制御部34と、測定部36と、演算部37とは1つの集積回路で構成されていてもよい。
電気化学測定装置は、設置部32を覆うカバー35を有してもよい。カバー35はステージ31の上方に設けられる。カバー35とステージ31とは、電気化学測定デバイス10が配置される空間を形成している。これにより、設置部32に設置される電気化学測定デバイス10はカバー35に完全に覆われる。カバー35は、生体試料101の測定環境を適切な環境に保持するために設けられる。つまり、カバー35は、外気と隔離された測定環境を形成する。カバー35を設けることにより、電気化学測定装置30は、適切な環境で生体試料101を測定できる。適切な環境とは、例えば、インキュベーター内と同様の環境である。インキュベーター内の環境とは、例えば、37℃で空気中に5%の二酸化炭素を有する環境である。
なお、電気化学測定装置30は、カバー35を備えていなくてもよい。この場合には、電気化学測定デバイス10を設置した電気化学測定装置30のステージ31をインキュベーター内に配置した状態で測定を行うことができる。
以下、図3Aを参照して、生体試料101を測定する際の電気化学測定デバイス10の動作を説明する。
生体試料101は、例えば、胚である。胚は、未分化および卵割した受精卵を含む。
胚は、周囲の酸素を消費しながら卵胞内部で分割している。電気化学測定デバイス10は、作用電極16を用いて胚周辺の測定液102の部分に溶存する酸素量を計測できる。そして、計測した酸素量により、胚の酸素消費の活動状態を確認することができる。
貯留部13には、参照電極23および対極24が設けられている。
測定液102は、作用電極16と参照電極23と対極24とに接するように、貯留部13およびウェル14に充填される。
作用電極16、参照電極23および対極24は、電気化学測定装置30の制御部34に電気的に接続される。
電気化学測定装置30は、例えばポテンショスタットである。ポテンショスタットは、参照電極23に対する作用電極16の電位を一定にする装置である。
生体試料101は、電極チップ12の上面12aに設けられた領域15に配置される。
生体試料101の周辺の測定液102の部分に溶存する酸素量を計測する際は、ポテンショスタットを用いて作用電極16に酸素還元電位を印加する。これにより、作用電極16の周辺の測定液102に溶存する酸素が還元される。酸素が還元されることにより、作用電極16に電流が流れる。作用電極16に流れる電流は、測定部36により測定される。
作用電極16に流れる電流値は、作用電極16の周囲の測定液102の部分に溶存する酸素量と相関がある。そのため、生体試料101の周囲に配置された作用電極16の電流値を計測することで、生体試料101の周辺の測定液102の部分の溶存酸素量である溶存酸素濃度を検出することができる。
なお、対極24は設けなくてもよい。この場合、参照電極23は、参照電極23としての役割のほかに、対極24としての役割を有してもよい。
図4は実施の形態における電気化学測定方法のフローチャートである。図5は、図4に示す電気化学測定方法において作用電極16に印加される電位の印加のタイミングを示す電位印加プロトコルである。図5において、縦軸は作用電極16に印加される電位を示し、横軸は時間を示す。
以下、図4および図5を参照して、胚等の単一の生体試料101の酸素消費量の電気化学測定方法について説明する。ここで、単一の生体試料101は、1つの細胞、1つの細胞塊および1つの組織である。測定液102中で分散した状態で含まれている複数の細胞は単一の生体試料101に含まない。
電極チップ12の上面12aには、領域15から異なる距離に配置される複数の作用電極16が設けられている。
図4に示す電気化学測定方法では、容器11に測定液102を注入する(ステップS010)。その後、作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入する前のブランク状態の電流値I1を測定する(ステップS020)。その後、作用電極16に酸化電位を印加して、作用電極16の表面を酸化させる(ステップS030)。その後、生体試料101を投入する(ステップS040)。その後、作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入した後の電流値I2を測定する(ステップS050)。その後、作用電極16に酸化電位を印加して、作用電極16の表面を酸化させる(ステップS060)。その後、生体試料101を回収する(ステップS070)。その後、作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を回収した後のブランク状態の電流値I3を測定する(ステップS080)。その後、作用電極16に酸化電位を印加して、作用電極16の表面を酸化させる(ステップS090)。その後、測定した電流値I1、I2、I3から測定液102中の物質の濃度である溶存酸素量すなわち溶存酸素濃度を算出する(ステップS100)。算出された溶存酸素濃度から、生体試料101の活性度を計ることができる。
以下に各ステップにつき詳述する。
ステップS010では、容器11の貯留部13及びウェル14に測定液102を入れる。測定液102は、作用電極16、参照電極23および対極24と接触している。そして、電気化学測定デバイス10を電気化学測定装置30の設置部32に設置する。このとき、接続端子17は端子33と接触している。なお、実施の形態においては、作用電極16および対極24として白金電極を用いて説明する。また、参照電極23として、白金の擬似参照電極を用いて説明する。ただし、電極材料は、これらに限定されるものではない。例えば、参照電極は、銀電極または塩化銀電極でもよい。
なお、測定液102が容器11に予め充填されている場合には、ステップS020から始めてもよい。
生体試料101を測定液102に入れる前に、ステップS020では図5に示す期間T1のうちの期間T1aにおいて作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入する前の作用電極16に流れる電流値I1を測定する。測定電位Vmは、酸素還元電位である。実施の形態において、測定電位Vmは参照電極23に対して負の電位である。例えば、測定電位Vmは−0.6Vである。測定電位Vmは60秒から100秒までの40秒の期間T1aに作用電極16に印加される。期間T1aの長さは、例えば、10秒間から120秒間である。測定電位Vmが作用電極16に印加されることにより、作用電極16の周辺の測定液102の部分中の溶存酸素が還元されるため、作用電極16に酸素還元電流が流れる。電気化学測定装置30は、作用電極16に流れるこの酸素還元電流の電流値I1を測定する。なお、測定電位Vmの正負の極性は、測定対象となる物質により異なる。測定電位Vmが参照電極23に対して正の電位となる場合もある。例えば、測定液102中の過酸化水素の濃度を測定する場合は、測定電位Vmは参照電極23に対して正の電位である。
ステップS020では、生体試料101の影響を受けないブランク状態の測定液102に含まれる溶存酸素の量すなわち溶存酸素の濃度に起因する電流値I1を測定できる。
なお、期間T1aの前には作用電極16に電位が印加されていない。つまり、作用電極16は電気的に参照電極23から浮いている。
ステップS030では、作用電極16に酸化電位Voを印加する。酸化電位Voは、作用電極16の表面を酸化させるために必要な電位である。酸化電位Voは、例えば、+0.7Vである。酸化電位Vo大きさは、測定液102の電気分解が生じない電位の最大値より小さく、作用電極16の表面の酸化が十分に生じる電位の最小値より大きいことが好ましい。好ましくは、酸化電位Voは、参照電極23に対して0.1V以上、1.3V以下である。
酸化電位Voは、期間T1aに続く100秒から104秒までの4秒の期間T1bにおいて作用電極16に印加される。これにより、作用電極16の表面は酸化する。作用電極16の表面を酸化することにより、作用電極16の表面状態を一定の状態で維持することができる。これにより、その後の測定を安定して行うことができる。
期間T1は、測定電位Vmを印加する期間T1aと酸化電位Voを印加する期間T1bとの合計の期間である。
ステップS040では、期間T1に続く期間T2において、生体試料101を電気化学測定デバイス10に投入する。期間T2は、104秒から164秒までの60秒間である。期間T2の長さは、操作者が生体試料101の投入に必要な時間が設定される。例えば、期間T2の長さは30秒間から120秒間である。
期間T2において、作用電極16は電気的に参照電極23から浮いている。図5において、期間T2の点線は特定の電位を示すものではなく、作用電極16が電気的に浮いており作用電極16に電位が印加されていないことを示す。つまり、生体試料101は、作用電極16に電位を印加していない期間T2に測定液102に入れられる。このとき、作用電極16には電流が流れないため、生体試料101の投入に伴う電流ノイズの発生を抑えることができる。また、生体試料101が作用電極16に接触してしまった場合でも、生体試料101には電流が流れず、したがって、生体試料101が電流に起因するダメージを受けるということを防止できる。
ステップS050では、期間T2に続く期間T3aにおいて作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入した後の生体試料101が測定液102に入っている状態で作用電極16に流れる電流の電流値I2を測定する。測定電位Vmは、酸素還元電位である。実施の形態において、測定電位Vmは、例えば−0.6Vである。測定電位Vmは、164秒から204秒までの40秒の期間T3aにおいて作用電極16に印加される。期間T3aの長さは、生体試料101の大きさや種類によって適宜決められ、実施の形態では、例えば、10秒間から120秒間である。測定電位Vmが作用電極16に印加されることにより、作用電極16の周辺の測定液102の部分の中の溶存酸素が還元されるため、作用電極16に酸素還元電流が流れる。電気化学測定装置30は、作用電極16に流れるこの酸素還元電流の電流値I2を測定する。
ステップS050では、生体試料101の呼吸活動の影響を受ける溶存酸素量(溶存酸素濃度)に起因する電流値I2を測定することができる。
載置された生体試料101は、呼吸活動に伴い、測定液102に含まれる周囲の溶存酸素を消費する。そのため、測定液102中の溶存酸素は、生体試料101の近傍では薄い状態になる。また、測定液102中の溶存酸素の量は、生体試料101から遠くなるほど測定液102の飽和溶存酸素の量に近づく。
生体試料101の呼吸活動が活発であるほど、生体試料101の近傍では酸素が多く消費される。すなわち、生体試料101の周辺に形成される酸素濃度の勾配の大きさは、生体試料101である受精卵の呼吸活動量によって決定される。
ステップS060では、204秒から208秒までの4秒間の期間T3aに続く期間T3bにおいて作用電極16に酸化電位Voを印加する。酸化電位Voは、作用電極16の表面を酸化させるために必要な電位である。酸化電位Voは、例えば、+0.7Vである。これにより、作用電極16の表面は酸化する。作用電極16の表面を酸化することにより、作用電極16の表面状態を一定の状態で維持することができる。これにより、その後の測定を安定して行うことができる。
期間T3は、測定電位Vmを印加する期間T3aと酸化電位Voを印加する期間T3bとの合計の期間である。
ステップS070では、期間T3に続く期間T4において、生体試料101を電気化学測定デバイス10から回収する、すなわち測定液102から生体試料101を出す。期間T4は、208秒から268秒までの60秒間である。期間T4の長さは、操作者が生体試料101の回収に必要な時間が設定される。例えば、30秒間から120秒間である。
期間T4において、作用電極16は参照電極23から電気的に浮いている。図5において、期間T4の点線は作用電極16に電位が印加されていないことを示し、特定の電位を示すものではない。つまり、期間T4では生体試料101は作用電極16に電位を印加していない状態で回収され、測定液102から出される。このとき、作用電極16には電流が流れないため、生体試料101の回収に伴う電流ノイズの発生を抑えることができる。また、生体試料101が作用電極16に接触してしまった場合でも、生体試料101には電流が流れないので、生体試料101が電流に起因するダメージを受けるということを防止できる。
ステップS080では、期間T4に続く268秒から308秒までの40秒間の期間T5aにおいて作用電極16に測定電位Vmを印加して、生体試料101を回収した後の作用電極16に流れる電流の電流値I3を測定する。測定電位Vmは、酸素還元電位である。実施の形態において、測定電位Vmは、例えば−0.6Vである。期間T5aの長さは、例えば、10秒間から120秒間である。測定電位Vmが作用電極16に印加されることにより、作用電極16の周辺の測定液102の部分の中の溶存酸素が還元されるため、作用電極16に酸素還元電流が流れる。電気化学測定装置30は、作用電極16に流れるこの酸素還元電流の電流値I3を測定する。
ステップS080では、生体試料101の影響を受けないブランク状態の測定液102に含まれる溶存酸素量(溶存酸素濃度)に起因する電流値I3を測定できる。
ステップS090では、期間T5aに続く308秒から312秒までの4秒間の期間T5bにおいて作用電極16に酸化電位Voを印加する。酸化電位Voは、作用電極16の表面を酸化させるために必要な電位である。酸化電位Voは、例えば、+0.7Vである。これにより、作用電極16の表面は酸化する。作用電極16の表面を酸化することにより、作用電極16の表面状態を一定の状態で維持することができる。これにより、その後の測定を安定して行うことができる。
期間T5は、測定電位Vmを印加する期間T5aと酸化電位Voを印加する期間T5bとの合計の期間である。
なお、ステップS080の後に、作用電極16に電位を印加して電流値の測定を行わない場合は、作用電極16の表面状態を維持する必要がないのでステップS090を行わなくてもよい。
なお、ステップS020、S050、S080の測定電位Vmは同じ値であることが好ましい。また、ステップS030、S060、S090の酸化電位Voは同じ値であることが好ましい。
さらに、期間T1、T3、T5において、測定電位Vmを印加する期間T1a、T3a、T5aの長さは同じであることが好ましい。また、期間T1、T3、T5において、酸化電位Voを印加する期間T1b、T3b、T5bの長さは同じであることが好ましい。
ステップS100では、測定した電流値I1、I2、I3を用いて、生体試料101の周囲の測定液102の部分の溶存酸素濃度を算出する。
以下に、ステップS050で計測した電流値I2を用いて、ステップS050における生体試料101の周囲の溶存酸素濃度の算出方法について説明する。
まず、複数の作用電極16のうちの或る作用電極16で測定した電流値I1で、その作用電極16の電流値I2を割ることにより、その作用電極16での電流変化率I*2を求める。
I*2=I2/I1 ・・・(1)
複数の作用電極16に流れる電流値I1、I2の絶対値が異なっても、電流変化率I*2として規格化できる。
ステップS050において、各作用電極で消費された酸素濃度C*は、測定液102のバルク部分の溶存酸素濃度Cを用いて式(2)で表せる。
C*=I*2×C=(I2/I1)×C ・・・(2)
先述のように、ステップS050では、生体試料101の酸素消費に伴い生体試料101の近傍で溶存酸素濃度が薄い状態になる。また、生体試料101から遠くなるほど、生体試料101が測定液102中の溶存酸素に及ぼす影響は小さくなる。
よって、ステップS050では、複数の作用電極16のうち、生体試料101により近い作用電極16の電流変化率I*2は大きくなる。また、複数の作用電極16のうち、生体試料101からより遠い作用電極16の電流変化率I*2は小さくなる。
作用電極16での電流変化率I*2は、作用電極16の生体試料101からの距離に反比例する。
したがって、生体試料101の酸素消費に伴い形成される酸素濃度勾配ΔCは生体試料101の半径rと、生体試料101の中心から作用電極16の中心までの距離Rとを用いて式(3)で表される。
ΔC=(C−C*)×R/r ・・・(3)
距離Rは、上面視における、生体試料101の中心から作用電極16の中心までの距離であってもよい。また、生体試料101の中心は、領域15である載置部の中心であってもよい。
胚などの球形の生体試料101においては、呼吸活動により、生体試料101の中心から球面状に酸素濃度勾配が形成される。そのため、球形の生体試料101の表面への酸素流束の総和である酸素消費量FはFickの第一法則に従うので、測定液102中の溶存酸素の拡散係数Dを用いて式(4)で表される。
F=4×π×r×D×ΔC ・・・(4)
実施の形態では、生体試料101は平面である電極チップの上面12aの領域15に配置されているので、溶存酸素は領域15の中心から半球面状に拡散している。
したがって、実施の形態における生体試料101の酸素消費量Fは式(5)で表される。
F=2×π×r×D×ΔC ・・・(5)
ステップS020、S080での溶存酸素濃度および酸素流束も、上記と同じようにして求められる。
なお、実際には、作用電極16の表面の付着物等により、各作用電極16に流れる酸素還元電流の値は経時的に減少する。
また、ウェル14の内部の測定液102の対流の影響により、ブランク状態においてもウェル14の内部に酸素流束が形成されている場合がある。
そのため、算出された生体試料101の酸素消費量Fの精度を上げるため、ステップS050で求めた酸素流束を、ステップS020、ステップS080のブランク状態での酸素流束で補正してもよい。
また、生体試料101を測定液102に入れた状態において作用電極16に流れる電流値を複数回測定してもよい。この場合は、ステップS040、S070の間で、ステップS050、S060を交互に繰り返し行うことにより、生体試料101を測定液102入れた状態における電流値を複数回測定することができる。
また、上記の電気化学測定方法をインキュベーター内で実施してもよい。
なお、算出する物質の濃度は、溶存酸素濃度に限られない。例えば、物質の濃度は、生体試料101の活性を示す物質の濃度であってもよい。
また、生体試料101の電気化学測定は、実施の形態における電気化学測定方法のステップS010〜S100のうちの一部のステップのみを行い、他の一部のステップは行わなくてもよい。例えば、ステップS080〜S090における電流値I3の測定は行わず、ステップS010〜S070で電流値I1、I2だけを測定してもよい。また、ステップS020、S030での電流値I1の測定を行わず、ステップS010、S040からS100で電流値I2、I3だけを測定してもよい。もしくは、ステップS020、S030、S080、S090での電流値I1、I3の測定は行わず、ステップS010、S040〜S070、S100で電流値I2だけを測定してもよい。
前述のように、電気化学測定装置30の制御部34は、上述の実施の形態における電気化学測定方法を行うために、作用電極16に測定電位Vmを印加して生体試料101を投入する前の電流値I1を測定するステップと、作用電極16に酸化電位Voを印加するステップと、作用電極16に測定電位Vmを印加して生体試料101を投入した後の電流値I2を測定するステップと、作用電極16に酸化電位Voを印加するステップと、作用電極16に測定電位Vmを印加して生体試料101を回収した後の電流値I3を測定するステップとを行う。
制御部34は、上記ステップの少なくとも一部は行わなくてもよい。
前述の従来の電気化学測定において、生体試料の周囲の環境の測定は、生体試料の投入の前後、または、回収の前後で作用電極に測定電位を印加する方法により行われる。しかしながら、この方法では、生体試料の投入または回収の前後での測定、または、試料の経時的な測定において、測定電位の印加により作用電極に流れる電流値が安定せず、測定結果の再現性が低い。そのため、生体試料の周囲の環境の測定を安定して行うことができない場合がある。
前述のように、実施の形態における電気化学測定方法により、生体試料101の周囲の環境の測定を安定して行うことができる。
(実施の形態における変形例1)
図6は実施の形態における図4に示す電気化学測定方法での他の電位印加プロトコルを示す。
この電位印加プロトコルは、図5に示す電位印加プロトコルに対して、期間T1、T3、T5(T1a、T3a、T5a)における測定電位Vmの印加方法が異なり、各期間において測定電位Vmは複数のパルスよりなるパルス状の波形で印加される。すなわち、ステップS020、S050、S090にそれぞれ対応する期間T1、T3、T5のうちの期間T1a、T3a、T5aのそれぞれにおいて、制御部34は測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して作用電極16に印加する。非測定電位Vnは、電気化学測定装置30の開回路電位であり、すなわち、作用電極16を開放したときの作用電極16の電位である。非測定電位Vnが印加された状態では、作用電極16に電流が流れない。非測定電位Vnは、例えば、0.05Vである。各期間において、測定電位Vmの1つのパルスの幅は1秒から10秒であることが好ましい。
制御部34は、期間T1a、T3a、T5aにおいて測定電位Vmと非測定電位Vnからなるパルス状の波形の測定電位Vmを作用電極16に印加した後、引き続き期間T1b、T3b、T5bにおいて酸化電位Voを作用電極16に印加する。
期間T1a、T3a、T5aで印加される測定電位Vmのパルス波形は互いに同じであることが好ましい。つまり、図5に示す測定電位Vmのパルス波形の複数のパルスの幅および周期は互いに等しいことが好ましい。
パルス形状を有する測定電位Vmを印加することにより、計測される電流値I1、I2、I3の波形もパルス形状を有する。例えば、期間T1aの測定電位Vmの最初のパルスにより得られた電流値I1を用いて、他の電流値I2、I3を規格化してもよい、すなわち電流値I1、I2、I3をそれぞれ電流値1、I2/I1、I3/I1で置き換えてもよい。これにより、規格化された酸素還元電流の値を得ることができる。
測定電位Vmをパルス状にすることで、生体試料101が領域15に配置された状態で測定電位Vmを印加する時間の積算時間を短くすることができる。
測定電位Vmの印加の積算時間を短くすることにより、酸素の還元によって生じる還元物が作用電極16の表面に蓄積することを抑えることができる。また、生体試料101が還元物によって受けうる影響も小さくすることができる。
なお、期間T1a、T3a、T5aにおいて、制御部34は、測定電位Vmと0Vとを交互に繰り返すパルス形状の波形の電位を作用電極16に印加してもよい。
(実施の形態における変形例2)
図7は実施の形態における図4に示す電気化学測定方法でのさらに他の電位印加プロトコルを示す。
この電位印加プロトコルは、図5に示す電位印加プロトコルに対して、期間T1、T3、T5における酸化電位Voを印加するタイミングが異なる。
図7に示す電位印加プロトコルにおいて、酸化電位Voは期間T1のはじめに印加される。つまり、期間T1において制御部34は測定電位Vmを作用電極16に印加する前に、酸化電位Voを作用電極16に印加する。実施の形態では、酸化電位Voは、期間T1が始まる60秒から64秒までの4秒間の期間T1bにおいて作用電極16に印加され、期間T1bに続く期間T1aにおいて測定電位Vmが作用電極16に印加される。作用電極16に酸化電位Voを印加することにより、作用電極16の表面は酸化する。これにより、電流値I1を測定する前に作用電極16の表面に付着した汚染物等の物質を取り除くことができる。また、作用電極16の表面の状態をリセットすることができる。
期間T3、T5においても期間T1と同様に酸化電位Voと測定電位Vmが印加される。つまり、期間T3では、期間T3が始まる期間T3bにおいて酸化電位Voが作用電極16に印加され、期間T3bに続く期間T3aにおいて測定電位Vmが作用電極16に印加される。期間T5では、期間T5が始まる期間T5bにおいて酸化電位Voが作用電極16に印加され、期間T5bに続く期間T5aにおいて測定電位Vmが作用電極16に印加される。
なお、最初の作用電極16の表面に汚染物等の物質が付着しておらず表面の状態が好ましい場合は、期間T1bにおいて酸化電位Voを作用電極16に印加しなくてもよい。
なお、図7に示す電位印加プロトコルにおいて、期間T1a、T2a、T5aにおいて印加される測定電位Vmの波形は図6に示す電位印加プロトコルと同様に、複数のパルスよりなるパルス波形であってもよい。
(実施の形態における変形例3)
図8は実施の形態における他の電気化学測定方法のフローチャートである。図9は図8に示す電気化学測定方法での電位印加プロトコルを示す。図8と図9において図4と図6と同じ部分には同じ参照番号を付す。図8に示す電気化学測定方法と図9に示す電位印加プロトコルでは、図4に示す電気化学測定方法と図6に示す電位印加プロトコルに対して、期間T1の前に還元電位Vrと酸化電位Voとを交互に作用電極16に印加する期間T110がさらに設けられている点で異なる。
図8に示す電気化学測定方法では、測定液102を注入するステップS010の後でかつ電流値I1を測定するステップS020の前に、作用電極16を安定化させる(ステップS015)。ステップS015を行うことにより、作用電極16の表面が洗浄され、測定される電流値が安定する。
ステップS015では、期間T1の前の期間T110において制御部34は作用電極16に還元電位Vrを印加する。具体的には、ステップS015では、期間T1の前の期間T110において制御部34は還元電位Vrと酸化電位Voとを交互に繰り返して複数のパルスよりなるパルス波形で作用電極16に印加する。還元電位Vrは、例えば、−0.6Vである。還元電位Vrと測定電位Vmとは同じ値であってもよく、異なる値であってもよい。酸化電位Voは、例えば、+0.7Vである。
図8に示す電気化学測定方法では、ステップS015を行った後、図4に示す電気化学測定方法と同様にステップS020以降のステップを順に行う。
期間T110は、作用電極16が安定化するために必要な時間である。期間T110において、制御部34は作用電極16に流れる電流の値をモニタリングしながら、還元電位Vrと酸化電位Voを印加する時間を決定してもよい。
作用電極16に流れる電流値は、しばらくの間、作用電極16に電位を印加することにより安定する。そのため、電流値I1を測定する前に予め酸化電位Voと還元電位Vrを作用電極16に印加することにより、ステップS020において計測される電流値I1の電流変動を小さくすることができる。
また、ステップS015を設けることで、作用電極16および電気化学測定装置30の異常を、ステップS020の測定を行う前に検出することができる。例えば、制御部34はステップS015で得られる電流値を元にエラーを示す指標を表示することができる。
なお、制御部34は、ステップS015に対応する期間T110においてパルス波形で作用電極16に電位を印加しなくてもよい。例えば、制御部34は期間T110において酸化電位Voを所定の長さの期間T110に作用電極16に印加し続けてもよい。
なお、図9に示す電位印加プロトコルにおいて、期間T1a、T3a、T5aにおいてパルス波形ではなく、制御部34は測定電位Vmを作用電極16に印加し続けてもよい。
(実施の形態における変形例4)
図10は実施の形態における他の電気化学測定デバイス50の上面図である。図10において、図1から図3Bに示す電気化学測定デバイス10と同じ部分には同じ参照番号を付す。
電気化学測定デバイス50では、貯留部13の底面13bに複数のウェル41、42、43、44が設けられている。ウェル41、42、43、44を総称して、ウェル14とする。ウェル14の数は2〜6個が好ましい。複数のウェル14(41〜44)のそれぞれは、図3Aと図3Bに示す電気化学測定デバイス10のウェル14と同様の構造を有する。各ウェル14の下方に電極チップ12がそれぞれ配置されている。ウェル41の内部には作用電極61が設けられる。ウェル42の内部には作用電極62が設けられる。ウェル43の内部には作用電極63が設けられる。ウェル44の内部には作用電極64が設けられる。作用電極61、62、63、64を総称して作用電極16とする。電気化学測定デバイス50では複数のウェル14に配置された複数の生体試料101を並列して測定することができる。
生体試料101は、それぞれのウェル14内の領域15に1つずつに配置される。
電気化学測定デバイス50は電気化学測定デバイス10と同様に動作する。
図11は電気化学測定デバイス50を用いた電気化学測定方法を示すフローチャートである。以下に、本変形例における複数の生体試料101の活性状態を測定する方法を説明する。
図11に示す電気化学測定方法では、容器11に測定液102を注入する(ステップS011)。その後、各ウェル14において測定液102に生体試料101を投入する前のブランク状態の電流値I1xを測定する(ステップS021)。その後、各作用電極16に酸化電位Voを印加する(ステップS031)。その後、複数の生体試料101を各ウェル14に1つずつ投入する(ステップS041)。その後、各ウェル14において生体試料101を投入した後の電流値I2xを測定する(ステップS051)。その後、各作用電極16に酸化電位Voを印加する(ステップS061)。その後、各ウェル14から生体試料101を回収して出す(ステップS071)。その後、各ウェル14において生体試料101を回収した後のブランク状態の電流値I3xを測定する(ステップS081)。その後、測定した電流値I1x、I2x、I3xから各ウェル14の測定液102中の溶存酸素濃度を算出する(ステップS101)。
図12は図11に示す電気化学測定方法での電位印加プロトコルを示す。図12において、縦軸は作用電極16に印加される電位を示し、横軸は時間を示す。
以下に、図11に示す電気化学測定方法を詳述する。
ステップS011では、容器11の貯留部13に測定液102を注入し、複数のウェル14に測定液102を充填する。
ステップS021では、複数のウェル14のそれぞれに配置された作用電極16に順に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入する前の電流値I1xを複数のウェル14のそれぞれの作用電極16で測定する。ここで、電流値I1xは、各ウェル14におけるそれぞれの電流値を示す。測定電位Vmは、期間T121において、作用電極16に印加される。
図13Aは、図12における期間T121を拡大して示す。図13Aに示す電位印加プロトコルは、期間T121において、各ウェル14の作用電極16に流れる電流値I1xを1回ずつ測定する。
期間T121は、期間T121aと、期間T121aに続く期間T121bよりなる。期間T121aは、期間TaAと、期間TaAに続く期間TaBと、期間TaBに続く期間TaCと、期間TaCに続く期間TaDよりなる。期間T121bは、期間TbAと、期間TbAに続く期間TbBと、期間TbBに続く期間TbCと、期間TbCに続く期間TbDよりなる。
期間TaAでは、複数のウェル14のうちの1つのウェル41に配置された作用電極61に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaAでは、作用電極61に非測定電位Vnと測定電位Vmとを交互に繰り返して印加する。制御部34は、期間TaAにおいて作用電極61に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル41内の作用電極61に流れる電流値I11を測定する。期間TaAでは、複数のウェル14のうちの他のウェル42〜44に配置された作用電極62〜64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaBでは、複数のウェル14のうちの1つのウェル42に配置される作用電極62に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaBでは、作用電極62に非測定電位Vnと測定電位Vmとを交互に繰り返して印加する。制御部34は、期間TaBにおいて作用電極62に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル42内の作用電極62に流れる電流値I12を測定する。期間TaBでは、複数のウェル14のうちの他のウェル41、43、44に配置された作用電極61、63、64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaCでは、複数のウェル14のうちの1つのウェル43に配置される作用電極63に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaCでは、作用電極63に非測定電位Vnと測定電位Vmとを交互に繰り返して印加する。制御部34は、期間TaCにおいて作用電極63に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル43内の作用電極63に流れる電流値I13を測定する。期間TaCでは、複数のウェル14のうちの他のウェル41、42、44に配置された作用電極61、62、64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaDでは、複数のウェル14のうちの1つのウェル44に配置される作用電極64に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaDでは、非測定電位Vnと測定電位Vmとを交互に繰り返して印加する。制御部34は、期間TaDにおいて作用電極64に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル44内の作用電極64に流れる電流値I14を測定する。期間TaDでは、複数のウェル14のうちの他のウェル41〜43に配置された作用電極61〜63は参照電極23から電気的に浮いている。
上述のように、それぞれの期間において、作用電極16に印加する測定電位Vmはパルス形状の波形で印加されている。なお、それぞれの期間において、作用電極16に印加する測定電位Vmは、パルス形状ではない一定の電位であってもよい。
このように、測定電位Vmを印加する作用電極16を順に切り替えることにより、各作用電極16に流れる電流値I1xを順に測定できる。
ステップS031では、期間T121aに続く期間T121bにおいて、複数のウェル14のそれぞれの作用電極16に酸化電位Voを印加する。これにより、各作用電極16の表面を酸化させる。酸化電位Voは、各作用電極16での電流値I1xを測定した後、各作用電極16に順に印加される。
詳細には、期間T121a中の最後の期間TaDに続く期間TbAにおいて、作用電極61に酸化電位Voを印加し、他の作用電極62〜64は参照電極23から電気的に浮いている。期間TbAに続く期間TbBでは、作用電極62に酸化電位Voを印加し、他の作用電極61、63、64は参照電極23から電気的に浮いている。期間TbBに続く期間TbCでは、作用電極63に酸化電位Voを印加し、他の作用電極61、62、64は参照電極23から電気的に浮いている。期間TbCに続く期間TbDでは、作用電極64に酸化電位Voを印加し、他の作用電極61〜63は参照電極23から電気的に浮いている。
図13Bは図13Aに示す電位印加プロトコルでの期間T121において作用電極61に印加される電位を示す。前述のように、期間T121aの最初の期間TaAにおいて、制御部34は作用電極61に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極61に流れる電流値I11を測定する。期間TaAに続く期間TaB〜TaDにおいて、制御部34は作用電極61を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaDに続く期間T121bの最初の期間TbAにおいて、制御部34は作用電極61に酸化電位Voを印加する。期間TbAに続く期間TbB〜TbDにおいて、制御部34は作用電極61を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaAにおいて作用電極61に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
制御部34は、他の作用電極62〜64にも作用電極61とタイミングをずらして測定電位Vmと非測定電位Vnと酸化電位Voとを印加する。
すなわち、期間TaAにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaAに続く期間TaBにおいて、制御部34は作用電極62に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極62に流れる電流値I12を測定する。期間TaBに続く期間TaC、TaDにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaDに続く期間TbAにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TbAに続く期間TbBにおいて、制御部34は作用電極62に酸化電位Voを印加する。期間TbBに続く期間TbC、TbDにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaBにおいて作用電極62に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
期間TaA、TaBにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaBに続く期間TaCにおいて、制御部34は作用電極63に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極63に流れる電流値I13を測定する。期間TaCに続く期間TaDにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaDに続く期間TbA、TbBにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TbBに続く期間TbCにおいて、制御部34は作用電極63に酸化電位Voを印加する。期間TbCに続く期間TbDにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaCにおいて作用電極63に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
期間TaA〜TaCにおいて、制御部34は作用電極64を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaCに続く期間TaDにおいて、制御部34は作用電極64に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極64に流れる電流値I14を測定する。期間TaDに続く期間TbA〜TbCにおいて、制御部34は作用電極64を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TbCに続く期間TbDにおいて、制御部34は作用電極64に酸化電位Voを印加する。前述のように、制御部34は期間TaDにおいて作用電極64に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
ステップS041では、期間T122において、複数の生体試料101を複数のウェル14のそれぞれに1つずつ投入する。ステップS041において、各作用電極16は、電気的に浮いている状態である。
ステップS051では、複数のウェル14のそれぞれに配置された作用電極16に順に測定電位Vmを印加して、生体試料101を投入した後の電流値I2xを複数のウェル14のそれぞれの作用電極16で測定する。ここで、電流値I2xは、各ウェル14におけるそれぞれの電流値を示す。測定電位Vmは、期間T123において、作用電極16に印加される。ステップS051において測定電位Vmは、ステップS021と同じ電位印加方法により作用電極16に印加される。これによりに、電流値I2xを測定することができる。
ステップS061では、複数のウェル14のそれぞれの作用電極16に酸化電位Voを印加する。これにより、各作用電極16の表面を酸化させる。酸化電位Voは、各作用電極16での電流値I2xを測定した後、各作用電極16に順に印加される。ステップS061において、酸化電位Voは、ステップS031と同じ電位印加方法により作用電極16に印加される。これによりに、各作用電極16の表面は、順に酸化される。
ステップS071では、期間T124において、複数のウェル14のそれぞれから生体試料101を回収する。ステップS071において、各作用電極16は、電気的に浮いている状態である。
ステップS081では、複数のウェル14のそれぞれに配置された作用電極16に順に測定電位Vmを印加して、生体試料101を回収した後の電流値I3xを複数のウェル14のそれぞれの作用電極16で測定する。ここで、電流値I3xは、各ウェル14におけるそれぞれの電流値を示す。測定電位Vmは、期間T125において、作用電極16に印加される。ステップS081において測定電位Vmは、ステップS021と同じ電位印加方法により作用電極16に印加される。これによりに、電流値I3xを測定することができる。
ステップS091では、複数のウェル14のそれぞれの作用電極16に酸化電位Voを印加する。これにより、各作用電極16の表面を酸化させる。酸化電位Voは、各作用電極16での電流値I3xを測定した後、各作用電極16に順に印加される。ステップS091において、酸化電位Voは、ステップS031と同じ電位印加方法により作用電極16に印加される。これによりに、各作用電極16の表面は、順に酸化される。
なお、ステップS081の後に、各作用電極16に電位を印加して電流値の測定を行わない場合は作用電極16の表面状態を維持する必要がないので、ステップS091を設けなくてもよい。
ステップS101では、測定した電流値I1x、I2x、I3xから各ウェル14の測定液102中の溶存酸素濃度を算出する。
なお、ステップS031、S061、S091において、各ウェルで電流値を測定する前または測定した後に、複数のウェル14に酸化電位Voを一度に同時に印加してもよい。
図14Aは図11と図12に示す電気化学測定方法での他の電位印加プロトコルの期間T121を拡大して示す。図14Aにおいて、縦軸は作用電極16に印加される電位を示し、横軸は時間を示す。図14Aに示す電位印加プロトコルでは、期間T121aは、この順で続く期間TaA1、TaB1、TaC1、TaD1、TaA2、TaB2、TaC2、TaD2、TaA3、TaB3、TaC3、TaD3よりなる。
図14Aに示す電位印加プロトコルでは、図11に示すステップS021、S051、ステップS081において、複数のウェル14のそれぞれに配置された作用電極16に順に測定電位Vmを印加する操作を複数回繰り返す。これにより、電流値I1x、I2x、I3xを測定する。つまり、各ステップにおける電流値の計測において期間TaA〜TaDが複数回繰り返される。以下にその動作を詳述する。
期間TaA1、TaA2、TaA3では、複数のウェル14のうちの1つのウェル41に配置された作用電極61に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaA1、TaA2、TaA3では非測定電位Vnを印加した後で測定電位Vmを印加する。制御部34は、期間TaA1、TaA2、TaA3において作用電極61に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル41内の作用電極61に流れる電流値I11を測定する。期間TaA1、TaA2、TaA3では、複数のウェル14のうちの他のウェル42〜44に配置された作用電極62〜64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaA1、TaA2、TaA3にそれぞれ続く期間TaB1、TaB2、TaB3では、複数のウェル14のうちの1つのウェル42に配置された作用電極62に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaB1、TaB2、TaB3では非測定電位Vnを印加した後で測定電位Vmを印加する。制御部34は、期間TaB1、TaB2、TaB3において作用電極62に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル42内の作用電極62に流れる電流値I12を測定する。期間TaB1、TaB2、TaB3では、複数のウェル14のうちの他のウェル41、43、44に配置された作用電極61、63、64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaB1、TaB2、TaB3にそれぞれ続く期間TaC1、TaC2、TaC3では、複数のウェル14のうちの1つのウェル43に配置された作用電極63に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaC1、TaC2、TaC3では非測定電位Vnを印加した後で測定電位Vmを印加する。制御部34は、期間TaC1、TaC2、TaC3において作用電極63に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル43内の作用電極63に流れる電流値I13を測定する。期間TaC1、TaC2、TaC3では、複数のウェル14のうちの他のウェル41、42、44に配置された作用電極61、62、64は参照電極23から電気的に浮いている。
期間TaC1、TaC2、TaC3にそれぞれ続く期間TaD1、TaD2、TaD3では、複数のウェル14のうちの1つのウェル44に配置された作用電極64に測定電位Vmを印加する。実施の形態では、期間TaD1、TaD2、TaD3では非測定電位Vnを印加した後で測定電位Vmを印加する。制御部34は、期間TaD1、TaD2、TaD3において作用電極64に測定電位Vmを印加し続けて、非測定電位Vnを印加しなくてもよい。これにより、ウェル44内の作用電極64に流れる電流値I14を測定する。期間TaD1、TaD2、TaD3では、複数のウェル14のうちの他のウェル41〜43に配置された作用電極61〜63は参照電極23から電気的に浮いている。
図14Aに示す電位印加プロトコルでは制御部34は期間T121bにおいて図13Aと図13Bに示す電位印加プロトコルと同様に作用電極26(61〜64)に酸化電位Voを印加する。
図14Bは図14Aに示す電位印加プロトコルでの期間T121において作用電極61に印加される電位を示す。前述のように、期間T121aの最初の期間TaA1、TaA2、TaA3において、制御部34は作用電極61に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に印加して作用電極61に流れる電流値I11を測定する。期間TaA1、期間TaA2、期間TaA3にそれぞれ続く期間TaB1〜TaD1、期間TaB2〜TaD2、期間TaB3〜TaD3において、制御部34は作用電極61を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaD3に続く期間T121bの最初の期間TbAにおいて、制御部34は作用電極61に酸化電位Voを印加する。期間TbAに続く期間TbB〜TbDにおいて、制御部34は作用電極61を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaA1、TaA2、TaA3において作用電極61に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
制御部34は、他の作用電極62〜64にも作用電極61とタイミングをずらして測定電位Vmと非測定電位Vnと酸化電位Voとを印加する。
すなわち、期間TaA1、TaA2、TaA3において、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaA1、TaA2、TaA3にそれぞれ続く期間TaB1、TaB2、TaB3において、制御部34は作用電極62に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に印加して作用電極62に流れる電流値I12を測定する。期間TaB1、TaB2、TaB3に続く期間TaC1、TaD1、TaC2、TaD2、TaC3、TaD3において、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaD3に続く期間TbAにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TbAに続く期間TbBにおいて、制御部34は作用電極62に酸化電位Voを印加する。期間TbBに続く期間TbC、TbDにおいて、制御部34は作用電極62を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaB1、TaB2、TaB3において作用電極62に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
期間TaA1、TaA2、TaA3、TaB1、TaB2、TaB3において、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaB1、TaB2、TaB3にそれぞれ続く期間TaC1、TaC2、TaC3において、制御部34は作用電極63に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極63に流れる電流値I13を測定する。期間TaC1、TaC2、TaC3にそれぞれ続く期間TaD1、TaD2、TaD3において、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaD3に続く期間TbA、TbBにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TbBに続く期間TbCにおいて、制御部34は作用電極63に酸化電位Voを印加する。期間TbCに続く期間TbDにおいて、制御部34は作用電極63を参照電極23から電気的に浮かせる。前述のように、制御部34は期間TaC1、TaC2、TaC3において作用電極63に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
期間TaA1、TaA2、TaA3、TaB1、TaB2、TaB3、TaC1、TaC2、TaC3において、制御部34は作用電極64を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TaC1、TaC2、TaC3にそれぞれ続く期間TaD1、TaD2、TaD3において、制御部34は作用電極64に測定電位Vmと非測定電位Vnとを交互に繰り返して印加して作用電極64に流れる電流値I14を測定する。期間TaD3に続く期間TbA〜TbCにおいて、制御部34は作用電極64を参照電極23から電気的に浮かせる。期間TbCに続く期間TbDにおいて、制御部34は作用電極64に酸化電位Voを印加する。前述のように、制御部34は期間TaD1、TaD2、TaD3において作用電極64に非測定電位Vnを印加せず測定電位Vmを印加し続けてもよい。
電気化学測定装置30は、各ウェル14の作用電極16に印加する測定電位Vmの1つのパルス毎に作用電極16を切り替えて印加する。このように、1パルス毎にウェル14の切り替えを行うことによって、ステップS021、S081でのブランク測定およびステップS051での生体試料の活性測定における各ウェル14の測定の時間間隔を、ほぼ同じにすることができる。なお、1回の操作のそれぞれの区間に作用電極16に印加される測定電位Vmは、1つパルスに限らず、複数のパルスを有してもよい。
測定電位Vmのパルス数の総和は測定する生体試料101の数の整数倍である。
なお、1つの作用電極61に印加される測定電位Vmのパルスの数と幅は、他の作用電極62、63、64に印加される測定電位Vmのパルスの数と幅とそれぞれ等しいことが好ましい。
上記した実施の形態では、溶存酸素濃度を測定するにあたり測定電位Vmは還元電位Vrである。しかし、電気化学測定においては、測定電位Vmとして酸化電位Voを用いる場合がある。この場合、作用電極16に酸化電位Voの代わりに還元電位Vrを印加する、すなわち上述の電位印加プロファイルにおいて、測定電位Vmと酸化電位Voとを互いに入れ替えることで、作用電極16の表面の状態を一定に維持することができる。
以上、一つまたは複数の態様に係る電気化学測定方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
上記の実施の形態において、「上面」「下面」「上容器」「下容器」等の方向を示す用語は電極チップや容器等の電気化学測定デバイスの構成部材の相対的な位置関係でのみ決まる相対的な方向を示し、鉛直方向等の絶対的な方向を示すものではない。
10,50 電気化学測定デバイス
11 容器
12 電極チップ
13 貯留部
14,41〜44 ウェル
15 領域
16,61〜64 作用電極
17 接続端子
18 シール材
101 生体試料
102 測定液
23 参照電極
24 対極
30 電気化学測定装置
33 端子
34 制御部
35 カバー
36 測定部
37 演算部

Claims (12)

  1. 生体試料の状態を電気化学的に測定する電気化学測定方法であって、
    作用電極を備え、測定液が前記作用電極と接するように前記測定液が充填された電気化学測定デバイスを準備するステップと、
    前記測定液に前記生体試料を入れるステップと、
    前記作用電極に測定電位を印加して前記作用電極に流れる電流値を測定するステップと、
    前記作用電極に酸化電位を印加して前記作用電極の表面を酸化させるステップと、
    を含む電気化学測定方法。
  2. 前記作用電極に流れる前記電流値を測定する前記ステップは、
    前記測定液に前記生体試料を入れる前記ステップの前に前記作用電極に前記測定電位を印加して前記作用電極に流れる第1の電流値を測定するステップと、
    前記測定液に前記生体試料が入っている間に前記作用電極に前記測定電位を印加して前記作用電極に流れる第2の電流値を測定するステップと、
    を含み、
    前記作用電極の前記表面を酸化させる前記ステップは、前記第1の電流値を測定する前記ステップの後で前記作用電極に前記酸化電位を印加して、前記作用電極の前記表面を酸化させるステップを含む、請求項1に記載の電気化学測定方法。
  3. 前記測定液から前記生体試料を出すステップをさらに含み、
    前記作用電極の前記表面を酸化させる前記ステップは、前記第2の電流値を測定する前記ステップの後で前記作用電極に前記酸化電位を印加して前記作用電極の前記表面を酸化させるステップをさらに含み、
    前記作用電極に流れる前記電流値を測定する前記ステップは、前記測定液から前記生体試料を出す前記ステップの後で前記作用電極に前記測定電位を印加して前記作用電極に流れる第3の電流値を測定するステップをさらに含む、請求項2に記載の電気化学測定方法。
  4. 前記作用電極の前記表面を酸化させる前記ステップは、前記第3の電流値を測定する前記ステップの後で前記作用電極に前記酸化電位を印加して前記作用電極の前記表面を酸化させるステップをさらに含む、請求項3に記載の電気化学測定方法。
  5. 前記第1の電流値を測定する前記ステップの前に前記作用電極に前記酸化電位を印加して前記作用電極の前記表面を酸化させるステップをさらに含む、請求項2に記載の電気化学測定方法。
  6. 前記第1の電流値を測定する前記ステップの前に前記作用電極に前記酸化電位を印加して前記作用電極の前記表面を酸化させる前記ステップは、前記第1の電流値を測定する前に前記作用電極を還元させる還元電位と前記酸化電位とを交互に前記作用電極に印加するステップを含む、請求項5に記載の電気化学測定方法。
  7. 前記測定電位はパルス状の波形を有する、請求項1に記載の電気化学測定方法。
  8. 前記測定電位は負の電位であり、前記酸化電位は正の電位である、請求項1に記載の電気化学測定方法。
  9. 前記電気化学測定デバイスは参照電極をさらに備え、
    前記電気化学測定デバイスを準備するステップは、前記測定液が前記作用電極と前記参照電極とに接するように前記測定液が充填された電気化学測定デバイスを準備するステップを含み、
    前記測定電位は前記参照電極に対して負の電位であり、前記酸化電位は前記参照電極に対して正の電位である、請求項8に記載の電気化学測定方法。
  10. 生体試料の状態を電気化学的に測定する電気化学測定方法であって、
    作用電極を備え、前記作用電極と接するように測定液が充填された電気化学測定デバイスを準備するステップと、
    前記測定液に前記生体試料を入れるステップと、
    前記作用電極に測定電位を印加して前記作用電極に流れる電流値を測定するステップと、
    前記作用電極に還元電位を印加して前記作用電極の表面を還元させるステップと、
    を含む、電気化学測定方法。
  11. ウェルと、前記ウェル内に設けられた作用電極とを有する電気化学測定デバイスと、
    前記電気化学測定デバイスの前記作用電極に電気的に接続された端子と、
    前記作用電極に流れる電流値を計測するために前記作用電極に測定電位を印加して前記作用電極に流れる電流値を計測し、
    前記作用電極の表面を酸化させるために前記作用電極に酸化電位を印加して前記作用電極の表面を酸化させる、
    ように構成された制御部と、を備えた電気化学測定装置。
  12. 前記電気化学測定デバイスを覆うカバーをさらに備えた、請求項11に記載の電気化学測定装置。
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