JPWO2017119118A1 - 標本形状測定方法及び標本形状測定装置 - Google Patents

標本形状測定方法及び標本形状測定装置 Download PDF

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寿 大出
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Abstract

標本形状測定方法は、所定の照明領域を通過する照明光を準備するステップS10と、照明光を標本に照射するステップS20と、所定の処理ステップS30と、を有し、所定の照明領域は、照明光学系の瞳位置にて光軸を含まないように設定されると共に、照明光が観察光学系の瞳位置にて該瞳の内側の一部分と該瞳の外側に照射されるように設定され、所定の照明領域に入射する照明光の光強度は中央と周辺とで異なり、照明光は標本を透過し、標本から出射した光は観察光学系に入射し、所定の処理ステップS30は、観察光学系から出射した光を受光するステップS31と、受光した光の光量を求めるステップS32と、光量と基準の光量との差又は比を算出するステップS33と、差又は比から、標本の表面における傾き量を算出するステップS34と、を有する。

Description

本発明は、標本面の傾きや形状を測定する方法及び装置に関する。
標本の3次元形状を測定する装置として、特許文献1に開示された装置や、特許文献2に開示された装置がある。
特許文献1の装置では、縞投影法によって標本の3次元形状を測定している。特許文献1の装置では、撮像手段は、投光部、受光部、照明光出力部、ステージ及び測定制御部を含む。投光部はパターン生成部を有し、パターン生成部で生成されたパターンが標本に照射される。標本に照射されたパターンは受光部で撮像され、これにより縞画像が得られる。特許文献1の装置では、縞画像を用いて、標本の3次元形状を測定している。
特許文献2の装置では、像のコントラストが、合焦点位置よりも合焦点位置の前後で高くなる現象を利用している。この現象は、非回折光と回折光との干渉によって生じる。特許文献2の装置では、合焦点位置の前後の画像から差分画像を取得する。そして、差分画像のコントラスト値を算出し、コントラスト値が最大となる位置を合焦点位置としている。特許文献2の装置では、標本面の各位置について合焦点位置を検出することで、標本の3次元形状を測定することができる。
特開2014−109492号公報 特開2008−20498号公報
特許文献1の装置では、標本から反射した光を検出している。そのため、透明で表面の反射率の低い標本、例えば、細胞については、高い精度で形状を測定することが困難である。
特許文献2の装置では、非回折光と回折光との干渉を利用している。ここで、表面形状が滑らかな標本、例えば、細胞では、非回折光の光強度に比べて回折光の光強度が小さくなる。そのため、表面形状が滑らかになっている標本に対して、合焦点位置を正確に求めることは難しい。このようなことから、表面形状が滑らかな標本については、高い精度で形状を測定することが困難である。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、簡単に照明光を準備することができ、しかも、表面の反射率が低く、表面形状が滑らかな標本であっても、高い精度で標本面の傾きや形状を測定できる標本形状測定方法及び標本形状測定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の標本形状測定方法は、
所定の照明領域を通過する照明光を準備するステップと、
照明光を標本に照射するステップと、
所定の処理ステップと、を有し、
所定の照明領域は、照明光学系の瞳位置にて光軸を含まないように設定されると共に、照明光が観察光学系の瞳位置にて該瞳の内側の一部分と該瞳の外側に照射されるように設定され、
所定の照明領域に入射する照明光の光強度は中央と周辺とで異なり、
照明光は標本を透過し、
標本から出射した光は観察光学系に入射し、
所定の処理ステップは、
観察光学系から出射した光を受光するステップと、
受光した光の光量を求めるステップと、
光量と基準の光量との差又は比を算出するステップと、
差又は比から、標本の表面における傾き量を算出するステップと、を有することを特徴とする。
また、本発明の標本形状測定装置は、
照明光学系と、観察光学系と、保持部材と、検出素子と、処理装置と、を備え、
照明光学系は、光源と、コンデンサレンズと、開口部材と、を有し、
観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、
保持部材は標本を保持すると共に、照明光学系と観察光学系との間に配置され、
開口部材は、遮光部と、開口部と、を有し、
遮光部は、コンデンサレンズの光軸を含むように設けられ、
開口部は、光軸に対して偏心した位置に設けられ、
開口部の像は、観察光学系の瞳位置の近傍に形成されると共に、観察光学系の瞳の外縁の一部と重なるように形成され、
開口部材に入射する照明光の光強度は、光軸と垂直な面内の中央と周辺とで異なり、
照明光学系により標本に照射された照明光は、標本を透過し、
標本から出射した光は観察光学系に入射し、
検出素子は、観察光学系から出射した光を受光し、
処理装置は、
受光した光に基づく光量を求め、
光量と基準の光量との差又は比を算出し、
差又は比から、標本の表面における傾き量を算出することを特徴とする。
本発明によれば、簡単に照明光を準備することができ、しかも、表面の反射率が低く、表面形状が滑らかな標本であっても、高い精度で標本面の傾きや形状を測定できる標本形状測定方法及び標本形状測定装置を提供することができる。
第1の状態における照明光の様子と結像光の様子を示す図である。 第1の状態における照明光の様子を示す図である。 第1の状態における結像光の様子を示す図である。 第2の状態における照明光の様子と結像光の様子を示す図である。 第2の状態における照明光の様子を示す図である。 第2の状態における結像光の様子を示す図である。 第3の状態における照明光の様子と結像光の様子を示す図である。 第3の状態における照明光の様子を示す図である。 第3の状態における結像光の様子を示す図である。 傾斜角θsと面積Sの関係を表すグラフである。 本実施形態の標本形状測定方法のフローチャートである。 照明光の光強度分布を示す図である。 照明光の様子を示す図である。 結像光の様子を示す図である。 照明光の光強度分布を示すグラフである。 タイプ1の境界線における結像光の様子を示す図である。 タイプ1の境界線における相関特性を示す図である。 結像光の光強度分布を示すグラフである。 照明光の光強度分布を示す図である。 照明光の光強度分布を示すグラフである。 タイプ1の境界線における結像光の様子を示す図である。 タイプ1の境界線における相関特性を示す図である。 タイプ1の境界線における結像光の様子を示す図である。 タイプ1の境界線における相関特性を示す図である。 第1の開口部材を用いたときの照明光の様子を示す図である。 第1の開口部材を用いたときの結像光の様子を示す図である。 タイプ2の境界線における結像光の様子を示す図である。 タイプ2の境界線におけるX方向の相関特性を示す図である。 タイプ2の境界線におけるY方向の相関特性を示す図である。 対物レンズの瞳位置における光強度を示す図である。 対物レンズの瞳位置における第2の境界線の様子を示す図である。 タイプ1の境界線における結像光の様子を示す図である。 タイプ1の境界線における相関特性を示す図である。 第2の開口部材を用いたときの照明光の様子を示す図である。 第2の開口部材を用いたときの結像光の様子を示す図である。 タイプ3の境界線における結像光の様子を示す図である。 タイプ3の境界線におけるX方向における相関特性を示す図である。 タイプ3の境界線におけるY方向における相関特性を示す図である。 対物レンズの瞳位置における光強度を示す図である。 対物レンズの瞳位置における第3の境界線の様子を示す図である。 照明光の光強度分布を示す図である。 照明光の様子を示す図である。 結像光の様子を示す図である。 照明光学系の第1例を示す図である。 照明光学系の第2例を示すである。 第1の位置における照明光の様子を示す図である。 第2の位置における照明光の様子を示す図である。 本実施形態の標本形状測定方法のフローチャートである。 本実施形態の標本形状測定装置の構成を示す図である。 ステップS32の実行結果(X方向)を示す電子画像である。 ステップS32の実行結果(Y方向)を示す電子画像である。 ステップS50の実行結果を示す電子画像である。 ステップS50の実行結果を示す画像である。 対物レンズの瞳位置における光束の様子を示す図である。
以下に、本発明に係る標本形状測定方法及び標本形状測定装置の実施形態及び実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態及び実施例によりこの発明が限定されるものではない。
まず、本実施形態の標本形状測定方法における測定原理について説明する。本実施形態の標本形状測定方法では、偏射照明光を標本に照射している。そのために、照明光学系の絞り(開口絞り)に、照明光の光束の一部を遮光する遮光部材を用いている。
まず、第1の状態における照明光と結像光の関係について説明する。第1の状態における照明光の様子と結像光の様子を、図1に示す。第1の状態では、標本の表面が平坦で、標本の表面の法線(以下、「面の法線」という)が光軸と平行になっている。
図1に示すように、照明光学系1と観察光学系2が、ステージ3を挟んで対向するように配置されている。照明光学系1は、遮光部材4とコンデンサレンズ5とを有する。観察光学系2は対物レンズ6を有する。対物レンズ6は絞り7を有する。
遮光部材4には、例えば、矩形状の金属板が用いられる。遮光部材4は、遮光領域4aと透過領域4bとで構成されている。遮光領域4aは金属板で形成されている。透過領域4bには何も存在しない。
遮光部材4は、光軸10を含むように配置されている。よって、遮光領域4aには光軸10が含まれるが、透過領域4bには光軸10は含まれない。透過領域4bは、光軸10から離れた位置に形成される。
遮光部材4が光路中に配置されることで、照明光LIL1は、遮光領域4aで遮光される光と、透過領域4bを通過する光とに分かれる。
遮光部材4に、透明板が用いられても良い。この場合、例えば、遮光塗料の塗布や、遮光部材の貼付によって、遮光領域4aが形成される。一方、透過領域4bには、遮光塗料の塗布や遮光部材の貼付は行わない。よって、透過領域4bには、透明板のみが存在することになる。
遮光部材4の形状は矩形で無くても良い。例えば、遮光部材4の形状は円形、楕円形、多角形であっても良い。
絞り7は、遮光部7aと透過部7bとを有する。絞り7には、例えば、円形状の金属板や透明板が用いられる。絞り7に金属板が用いられた場合、遮光部7aは金属板で、透過部7bは金属板に形成された孔である。絞り7に透明板が用いられた場合、遮光塗料の塗布や、遮光部材の貼付によって、遮光部7aが形成される。透過部7bには透明板のみが存在する。
絞り7は、対物レンズ6の瞳と光学的に等価である。よって、この位置に、光束の通過を制限する部材、例えば、上述の金属板や透明板が存在していなくても良い。
ステージ3の上には、標本8が載置されている。標本8と対物レンズ6との間は、液浸媒質9(以下「浸液9」という)で満たされている。ここでは、標本8は屈折率がnの液体、浸液9は屈折率がn’の液体としている。また、n>n’である。
照明光LIL1は平行な光束であって、光束中に光軸10が含まれるように形成されている。照明光LIL1は、照明光学系1の光路を標本8に向かって進行する。照明光学系1の光路中には、遮光部材4とコンデンサレンズ5が配置されている。
第1の状態における照明光の様子を、図2Aに示す。図2Aでは、照明光LIL1の領域が実線の円で示されている。照明光LIL1は、遮光領域4aで遮光される光と透過領域4bを通過する光とに分かれる。遮光領域4aが光軸10を含むように、遮光部材4は配置されている。そのため、透過領域4bには光軸10は含まれていない。透過領域4bを通過したとき、照明光LIL2の領域の形状は弓形になる。
遮光部材4は、コンデンサレンズ5と対物レンズ6によって、絞り7と共役になっている。よって、遮光部材4の位置には、絞りの像7’が形成される。図2Aには、遮光部材4の位置に形成された絞りの像7’が破線で示されている。絞りの像7’は、破線で示すように円形の像である。絞りの像7’は、対物レンズ6の瞳の像でもある。
図2Aに示すように、実線で示す円は、破線で示す円よりも大きい。これは、絞りの像7’よりも広い範囲を照明するように、照明光LIL1の光束径が設定されていることを意味している。照明光LIL2についても、同じことが言える。すなわち、照明光LIL2は、絞りの像7’の外側にも分布するような大きさに設定されている。
図1に戻って説明を続ける。透過領域4bを通過した照明光LIL2は、コンデンサレンズ5に入射する。照明光LIL2は、光軸10から離れた位置を進むため、照明光LIL2は、コンデンサレンズ5の周辺部に入射する。
コンデンサレンズ5に入射した照明光LIL2は、コンデンサレンズ5で屈折される。コンデンサレンズ5からは、照明光LIL3が出射する。照明光LIL3は標本8上の観察点11に入射し、これにより観察点11が照明される。
観察点11では、照明光LIL3が光軸10と交差するように照明が行われる。これは、特定の方向に偏斜された照明光による照明、すなわち、偏射照明光による照明が行われていることを意味する。
照明光LIL3は、標本8を透過する。標本8から出射した光(以下、「結像光」という)は、対物レンズ6に到達する。対物レンズ6に到達した結像光LSP1のうち、一部の結像光は対物レンズ6の有効径によってけられ、残りの結像光が対物レンズ6に入射する。対物レンズ6に入射した結像光LSP2のうち、一部の結像光は絞り7によってけられ、残りの結像光LSP3が対物レンズ6から出射する。
第1の状態における結像光の様子を、図2Bに示す。絞り7には、結像光LSP2が入射する。結像光LSP2を示す領域の形状は弓形である。結像光LSP2のうち、一部の結像光は透過部7bの外側に位置している。よって、この一部の結像光は遮光部7aで遮光される。結像光LSP2のうち、残りの結像光が透過部7bを通過する。
透過部7bは、結像光が通過する領域と結像光が存在しない領域に分かれる。結像光が通過する領域の形状は、弓形である。この弓形の領域を結像光LSP3が通過する。
図2Bにおいて、Rは透過部7bの半径を示している。絞り7は対物レンズ6の瞳と光学的に等価なので、Rは対物レンズの瞳の半径を表しているといえる。Lは光軸10から結像光LSP3までの距離のうち、最も短い距離を示している。
第1の状態では、所定の光線について、以下の式(1)が成立する。所定の光線は、標本に入射する光のうち、光軸から最も近い位置を通過する光線である。
Figure 2017119118
ここで、
θ’inは、所定の光線と光軸とのなす角、
θminは、所定の光線と光軸とのなす角、
nは標本の屈折率、
n’は浸液の屈折率、
である。
このとき、対物レンズから出射する結像光の面積S0は、以下の式(2)で表される。
Figure 2017119118
また、RとLは、各々以下の式(3)、(4)で表される。
Figure 2017119118
Figure 2017119118
ここで、
fは対物レンズの焦点距離、
θNAは対物レンズの標本側開口数、
である。
次に、第2の状態における照明光と結像光の関係について説明する。第2の状態における照明光の様子と結像光の様子を図3に示す。第2の状態では、標本の表面は平坦であるが、面の法線が光軸と非平行になっている。
面の法線が光軸と非平行な状態では、標本の表面が傾斜している。図3に示すように、面の法線12と光軸10とのなす角はθsであるので、標本8の表面は傾斜角θsで傾斜していることになる。角度の正負は、光軸10を基準にして、反時計周りの方向に面の法線12が位置する場合を正、時計周りの方向に面の法線12が位置する場合を負とする。第2の状態では、θsは正の値である。
標本8から出射した結像光は、対物レンズ6に到達する。対物レンズ6に到達した結像光LSP1のうち、一部の結像光は対物レンズ6の有効径によってけられ、残りの結像光が対物レンズ6に入射する。
ここで、第2の状態では、標本8の表面が傾斜角+θsで傾斜している。この場合、標本8の表面における屈折角が大きくなる。そのため、対物レンズ6に入射する結像光LSP1の位置は、第1の状態と比べてより外側の方向にシフトする。その結果、対物レンズ6に入射した結像光LSP2の光束の大きさは、第1の状態と比べて小さくなる。
対物レンズ6に入射した結像光LSP2のうち、一部の結像光は絞り7によってけられ、残りの結像光LSP3が対物レンズ6から出射する。結像光LSP2の光束の大きさは第1の状態と比べて小さいので、結像光LSP3の光束の大きさも第1の状態と比べて小さくなる。
第2の状態における結像光の様子を、図4Aに示す。また、比較のために、第1の状態における結像光の様子を、図4Bに示す。図4Aと図4Bでは、遮光部7aの図示は省略している。
図4Aと図4Bを比較して分かるように、第2の状態における結像光LSP3の光束は、第1の状態における結像光LSP3の光束の位置よりも、光軸10から更に離れる方向にΔS1だけシフトした状態になっている。そのため、第2の状態における結像光LSP3の光束の大きさは第1の状態と比べて小さくなる。よって、第2の状態では、絞り7を通過する光量が第1の状態から減少する。
次に、第3の状態における照明光と結像光の関係について説明する。第3の状態における照明光の様子と結像光の様子を図5に示す。第3の状態では、標本の表面は平坦であるが、面の法線が光軸と非平行になっている。
第3の状態でも面の法線が光軸と非平行な状態になっている。図5に示すように、法線12と光軸10とのなす角はθsであるので、標本8の表面は傾斜角θsで傾斜している面のことになる。ただし、第2の状態とは異なり、第3の状態ではθsは負の値になっている。
標本8から出射した結像光は、対物レンズ6に到達する。対物レンズ6に到達した結像光LSP1のうち、一部の結像光は対物レンズ6の有効径によってけられ、残りの結像光が対物レンズ6に入射する。
ここで、第3の状態では、標本8の表面が傾斜角−θsで傾斜している。この場合、標本8の表面における屈折角が小さくなる。そのため、対物レンズ6に入射する結像光LSP1の位置は、第1の状態と比べてより内側の方向にシフトする。その結果、対物レンズ6に入射した結像光LSP2の光束の大きさは、第1の状態と比べて大きくなる。
対物レンズ6に入射した結像光LSP2のうち、一部の結像光は絞り7によってけられ、残りの結像光LSP3が対物レンズ6から出射する。結像光LSP2の光束の大きさは第1の状態と比べて大きいので、結像光LSP3の光束の大きさも第1の状態と比べて大きくなる。
第3の状態における結像光の様子を、図6Aに示す。また、比較のために、第1の状態における結像光の様子を、図6Bに示す。図6Aと図6Bでは、遮光部7aの図示は省略している。
図6Aと図6Bを比較して分かるように、第3の状態における結像光LSP3の光束は、第1の状態における結像光LSP3の光束の位置から、光軸10に近づく方向にΔS2だけシフトした状態になっている。そのため、第3の状態における結像光LSP3の光束の大きさは第1の状態と比べて大きくなる。よって、第3の状態では、絞り7を通過する光量が第1の状態から増加する。
第2の状態と第3の状態では、所定の光線について、以下の式(5)が成立する。
Figure 2017119118
ここで、
θ’inは、所定の光線と光軸とのなす角、
θsは、標本の表面の法線と光軸とのなす角、
θminは、所定の光線と光軸とのなす角、
nは標本の屈折率、
n’は浸液の屈折率、
角度の正負は、光軸を基準にして、反時計周りの方向に標本の表面の法線が位置する場合が正、時計周りの方向に標本の表面の法線が位置する場合が負、
である。
例えば、図3に示した方向に標本が傾斜している場合、面の法線の回転方向は正方向となり、θsは正の値をとる。一方、図5に示した方向に標本が傾斜している場合、面の法線の回転方向は負方向となり、θsは負の値をとる。
このとき、対物レンズから出射する結像光の面積Sは、以下の式(6)で表される。
Figure 2017119118
ここで、Rは上記の式(3)で表され、Lは下記の式(7)で表される。
Figure 2017119118
式(7)においてθin=θmin、θs=0とすれば、式(7)の右辺は式(4)の右辺と同じになる。この場合、式(6)の右辺も式(2)の右辺と同じになる。よって、面積Sと傾斜角θsは、式(3)、(6)及び(7)で表すことができる。
傾斜角θsと面積Sの関係を表すグラフを図7に示す。対物レンズから出射した結像光は、例えば、結像レンズで集光される。集光位置には標本8の像が形成される。対物レンズから出射する結像光の面積Sが変化すると、標本8の像の輝度が変化する。また、傾斜角θsが変化すると、標本の表面の光軸に対する傾き角が変化する。そこで、図7に示すグラフでは、傾き角を傾斜角θsに置き換え、像の輝度を面積Sに置き換えて、傾き角と像の輝度との関係を示している。
また、各パラメータの値は、以下の通りである。
n’=1.33、
n=1.35、
f=18[mm]、
θNA=9.2[deg.](NA=0.16)、
θmin=6.5[deg.]
傾斜角θsと面積Sの関係を表す曲線(以下、「特性曲線」という)から分かるように、傾斜角θsの値が大きくなるに従って、像の輝度は単調に減少する。このように、像の輝度と傾斜角θsは一対一で対応する。
そこで、特定の方向に偏斜された照明光を標本に照射し、標本の2次元画像を取得する。そして、取得した2次元画像の各画素について、光量(輝度)の情報を取得する。ここで、標本の屈折率(平均的屈折率)n、浸液の屈折率n’、対物レンズの焦点距離f、対物レンズの標本側開口数θNA、及び角度θminは既知である。よって、これらを用いて、画素ごとに傾斜角θsを導出することが可能となる。すなわち、標本の表面における傾き量の分布を導出することが可能となる。
このように、本実施形態の標本形状測定方法における測定原理では、特定の方向に偏斜された照明光を標本に照射しているだけである。そのため、標本の表面における傾き量の分布の導出では、標本から出射した光、すなわち、標本を透過した光を利用しているだけで、像のコントラストや非回折光と回折光との干渉を利用していない。よって、本実施形態の標本形状測定方法によれば、表面の反射率が低く、表面形状が滑らかな標本であっても、高い精度で標本の表面における傾き量を測定できる。また、測定した傾き量を用いることで、高い精度で標本の表面形状を測定できる。
本実施形態の標本形状測定方法について説明する。以下の説明では、絞り7の代わりに、対物レンズの瞳7を用いている。
本実施形態の標本形状測定方法は、所定の照明領域を通過する照明光を準備するステップと、照明光を標本に照射するステップと、所定の処理ステップと、を有し、所定の照明領域は、照明光学系の瞳位置にて光軸を含まないように設定されると共に、照明光が観察光学系の瞳位置にて該瞳の内側の一部分と該瞳の外側に照射されるように設定され、所定の照明領域に入射する照明光の光強度は中央と周辺とで異なり、照明光は標本を透過し、標本から出射した光は観察光学系に入射し、所定の処理ステップは、観察光学系から出射した光を受光するステップと、受光した光の光量を求めるステップと、光量と基準の光量との差又は比を算出するステップと、差又は比から、標本の表面における傾き量を算出するステップと、を有することを特徴とする。
図8は、本実施形態の標本形状測定方法のフローチャートである。本実施形態の標本形状測定方法は、照明光を準備するステップS10と、照明光を照射するステップS20と、所定の処理ステップS30と、を有し、所定の処理ステップS30は、結像光を受光するステップS31と、結像光の光量を求めるステップS32と、差又は比を算出するステップS33と、傾き量を算出するステップS34と、を有する。
基本測定方法では、まず、ステップS10が実行される。ステップS10は、照明光を準備するステップである。ステップS10では、照明光学系内に、所定の照明領域が設定される。所定の照明領域は、照明光が通過する領域である。所定の照明領域は、図1に示す透過領域4bである。照明光学系1の光路に遮光部材4を配置することで、所定の照明領域の設定が行われる。このとき、光軸10を含み、且つ照明光LIL1の光束の一部を遮光するように、遮光部材4が配置される。
また、遮光部材4は、照明光学系1の瞳位置、具体的には、コンデンサレンズ5の瞳位置に配置されている。コンデンサレンズ5の瞳の位置は、観察光学系2の瞳位置、具体的には、対物レンズの瞳7の位置と共役になっている。よって、対物レンズの瞳7の位置に、所定の照明領域の像が形成される。このとき、所定の照明領域の像は、対物レンズの瞳7の内側と外側の両方に分布するように形成される。
このように、所定の照明領域は、照明光学系の瞳位置にて光軸を含まないように設定されると共に、所定の照明領域を通過した照明光が、観察光学系の瞳位置にて該瞳の内側の一部分と該瞳の外側に照射されるように設定される。
ステップS10が終わると、ステップS20が実行される。ステップS20は、照明光を照射するステップである。ステップS20では、照明光が標本に照射される。このとき、標本には、偏射照明光が照射される。すなわち、光束が標本位置において光軸と交差するように、照明光は標本に照射され、標本を透過する。標本が照明されることで、標本から結像光が出射する。標本から出射した光は、観察光学系に入射する。
ステップS20が終わると、ステップS30が実行される。ステップS30は、所定の処理を行うステップである。ステップS30では、ステップS31、ステップS32、ステップS33及びステップS34が実行される。
ステップS30では、まず、ステップS31が実行される。ステップS31は、結像光を受光するステップである。結像光は、観察光学系から出射した光である。
ステップS31が終わると、ステップS32が実行される。ステップS32は、結像光の光量を求めるステップである。結像光の光量は、ステップS31で受光した光の光量である。
ステップS32が終わると、ステップS33が実行される。ステップS33は、差又は比を算出するステップである。ステップS33では、ステップS31で受光した光の光量、すなわち、結像光の光量と基準の光量との差又は比が算出される。
ステップS33が終わると、ステップS34が実行される。ステップS34は、傾き量を算出するステップである。ステップS34では、ステップS33で算出された結果から、標本の表面における傾き量が算出される。
傾き量を算出するステップでは、予め求めておいた対応関係に基づいて傾き量を算出することができる。
対応関係は、光量と傾き量とをパラメータとするルックアップテーブルで表わされていれば良い。ステップS33では、結像光の光量と基準の光量との差又は比が算出される。算出された値は、結像光の光量を表している。そこで、算出された値と一致する値を、ルックアップテーブルの輝度の中から探す。算出された値と一致した値があれば、その値に対応する傾斜角を、ルックアップテーブルから求める。これにより、標本の表面における傾き量を迅速に求めることができる。
一方、算出された値と一致する値が、ルックアップテーブルの中に存在しない場合もある。この場合、算出された値に対して最も近い2つの値を、ルックアップテーブルの輝度の中から抽出する。そして、抽出した2つの値を用いて、傾斜角を求めればよい。これにより、標本の表面における傾き量を求めることができる。
また、対応関係は、光量と傾き量とをパラメータとする式で表わされていても良い。上述のように、対物レンズから出射する結像光の面積Sと傾斜角θsは式(3)、(6)及び(7)で表される。面積Sは結像光の光量を表し、傾斜角θsは標本の表面における傾き量を表している。
ステップS33では、結像光の光量と基準の光量との差又は比が算出される。算出された値は、結像光の光量を表している。そこで、算出された値を面積Sに代入して、傾斜角θsを求める。このようにすることで、標本の表面における傾き量を求めることができる。
上述のように、本実施形態の標本形状測定方法では、所定の照明領域に入射する照明光の光強度が中央と周辺とで異なる。
多くの光源では、光源から出射した光の光強度は、中央と周辺とで異なる。光源から出射した光は、照明光学系によって、所望の光束径を持つ照明光に変換される。そこで、上述のようにすることで、照明光学系を、基本的にレンズのみで構成することができる。その結果、照明光を簡単に準備することができる。
このように本実施形態の標本形状測定方法では、特定の方向に偏斜された照明光を標本に照射しているだけである。そのため、標本の表面における傾き量の分布の導出では、標本から出射した光、すなわち、標本を透過した光を利用しているだけで、像のコントラストや非回折光と回折光との干渉を利用していない。よって、本実施形態の標本形状測定方法によれば、簡単に照明光を準備することができ、しかも、表面の反射率が低く、表面形状が滑らかな標本であっても、高い精度で標本の表面における傾き量を測定できる。また、後述のように、測定した傾き量を用いることで、高い精度で標本の表面形状を測定できる。
以下、好ましい実施形態について説明する。以下の説明では、開口部材を用いて説明する場合がある。この場合、上述の遮光部材、遮光領域及び透過領域には、各々、開口部材、遮光部及び開口部が対応する。
本実施形態の標本形状測定方法では、所定の照明領域に入射する照明光の光強度分布は、軸対称に分布していることが好ましい。
所定の照明領域、例えば、図1に示す透過領域4bは、光軸10を中心とする円周上に位置させることができる。そこで、照明光の光強度分布を軸対称にすることで、透過領域4bが円周上のどこに位置しても、所定の照明領域における光強度分布は同じになる。そのため、透過領域4bが円周上のどこに位置していても、同じ測定結果が得られる。その結果、標本の表面の傾き量を素早く、高い再現性で測定できる。また、後述のように、測定した傾き量を用いることで、標本の表面形状を素早く、高い再現性で測定できる。
軸対称な光強度分布は、光軸10を含む断面における光強度分布を、光軸10を回転軸として回転させたときに得られる分布である。この場合、対物レンズの瞳7を通過する光束における光強度分布は、透過領域4bが円周上のどこに位置しても同じになる。よって、透過領域4bが円周上のどこに位置しても、同じ測定結果が得られる。
また、上述のルックアップテーブルを用いて、標本の表面における傾き量を求める場合、ルックアップテーブルの数を1つにすることができる。
本実施形態の標本形状測定方法では、観察光学系から出射した光は、光束透過領域を通過した光であり、光束透過領域は、外側境界線と第1の境界線とで囲まれた領域であり、外側境界線は、観察光学系の瞳の外縁の一部で構成され、第1の境界線は、光軸と直交する一本の直線と平行な線で構成されていることが好ましい。
本実施形態の標本形状測定方法を用いて測定を行う場合、本実施形態の標本形状測定装置では、開口部材は、遮光部と開口部とを区分する境界線を有し、境界線は光軸と直交する一本の直線と平行な線で構成されていることが好ましい。
このようにすることで、開口部材を容易に作製することができる。光束透過領域や、外側境界線や第1の境界線等の境界線については、後述する。
本実施形態の標本形状測定方法では、所定の照明領域に入射する照明光の光強度は、光束の中央から周辺に向かって小さくなっていることが好ましい。
図9は、照明光の光強度分布を示す図である。照明光20は、光強度が不均一に分布している照明光である。開口部材に入射する直前では、照明光20の形状は円である。
照明光20では、光束の中央21と光束の周辺22とで光強度が異なる。中央21における光強度は、周辺22における光強度よりも大きい。また、光強度は、中央21から周辺22に向かって小さくなっている。
照明光20は所定の照明領域を通過する。更に、照明光20は標本を透過する。標本から出射した光は、観察光学系に入射する。所定の照明領域における様子と、観察光学系の瞳位置における様子について説明する。
図10Aは、照明光の様子を示す図である。図10Bは、結像光の様子を示す図である。図10Aには、開口部材30に照射された照明光20の様子が示されている。照明光20の照射範囲は、照明光学系の瞳と見なすことができる。よって、図10Aでは、開口部材30に照明光学系の瞳を重ねた状態が示されていることになる。
開口部材30は、遮光部30aと開口部30bとを有する。開口部材30が照明光学系の光路に挿入された場合、開口部材30は、遮光部30aが光軸10を含むように配置される。開口部30bは、光軸10に対して偏心した場所に位置している。光軸10は、標本形状測定装置200(後述)における光学系全体の光軸である。よって、光軸10は、必要に応じて「コンデンサレンズの光軸」と読み替えることができる。
遮光部30aと開口部30bとの間には、境界線31が形成されている。境界線31によって、遮光部30aと開口部30bとが区分されている。境界線31は、光軸10と直交する一本の直線と平行な線である。
図10Bには、対物レンズの瞳7の位置における結像光の様子が示されている。境界線32は、第1の境界線である。境界線32は、境界線31の像である。境界線33は、外側境界線である。境界線33は、対物レンズの瞳7の外縁の一部で構成されている。光束透過領域34は、境界線32と境界線33とで囲まれている。光束透過領域とは、対物レンズの瞳7を通過する光の領域のことである。
光軸側に位置する境界線が、光軸と直交する一本の直線と平行な線で構成されている場合、その境界線を「タイプ1の境界線」とする。境界線31や境界線32は、タイプ1の境界線になる。
標本の表面における傾き量と結像光の光量との相関関係を示す特性(以下、「相関特性」という)は、光強度が均一に分布している照明光(以下、「照明光Luni」という)と、光強度が不均一に分布している照明光(以下、「照明光Lnon-uni」という)とで異なる。照明光Lnon-uniとしては、例えば、照明光20がある。
図11Aは、照明光の光強度分布を示すグラフである。実線は、照明光20の光強度分布を示し、破線は、照明光Luniの光強度分布を示している。図11Aに示すように、照明光20では、光束の中央での光強度が、周辺での光強度よりも大きい。また、光強度は、光束の中央から周辺に向かって小さくなっている。
図11Bは、タイプ1の境界線における結像光の様子を示す図である。境界線41は、第1の境界線である。境界線40は、外側境界線である。境界線40は、対物レンズの瞳7の外縁の一部で構成されている。光束透過領域42は、境界線40と境界線41とで囲まれている。
シフト量とは、光束透過領域の移動量のことである。図11Bでは、光束透過領域42のシフト量がΔHで示されている。光束透過領域42が光軸10に近づく向きを正としている。ここでは、紙面内の左右方向(以下、「X方向」という)に光束透過領域が移動するものとする。
標本の表面における傾き量に応じて、光束透過領域がシフトする。そして、光束透過領域のシフトに応じて、光束透過領域の面積が変化する。結像光の光量は、光束透過領域内の光強度の総和(以下、「光強度の総和」という)である。よって、上述の相関特性は、光束透過領域のシフト量を変化させたときの光強度の総和の変化で示すことができる。光強度の総和は、光束透過領域内の各点における光強度を積算することで求めることができる。
図11Cは、タイプ1の境界線における相関特性を示す図である。Isumは、光強度の総和を表している。図11Cには、照明光Luniにおける相関特性と照明光20における相関特性とが示されている。図11Cのグラフは、シミュレーションの結果を示したグラフである。
タイプ1の境界線におけるシミュレーションでは、図11Bに示すように、対物レンズの瞳7の半径をr、光軸10から境界線41までの距離を0.8×rとしている。光軸10から境界線41までの距離は、光束透過領域がシフトする方向における距離である。
図11Cのグラフでは、照明光20におけるシミュレーション結果が実線で示され、照明光Luniにおけるシミュレーション結果が破線で示されている。どちらのシミュレーションにおいても、縦軸の値は、ΔH/2r=0のときの値で規格化されている。
図11Cに示すように、実線における傾きは、破線における傾きより小さい。これは、照明光20における検出感度が、照明光Luniにおける検出感度よりも低いことを意味している。この点について説明する。
図1において、例えば、結像光LSP1が紙面の左方向にシフトすると、結像光LSP2における一部の領域が対物レンズの瞳7の内側に入ってくる。対物レンズの瞳7の内側に入ってくる領域(以下、「移動領域MA」という)の光強度を図12に示す。
図12は、結像光の光強度分布を示すグラフである。実線は、照明光20で照明したときの結像光の光強度分布を示し、破線は、照明光Luniで照明したときの結像光の光強度分布を示している。
照明光Luniでは、移動領域MA内における光強度は、光束透過領域42(移動領域MAの右側に位置する領域)の光強度と等しい。これに対して、照明光20では、移動領域MA内における光強度は、光束透過領域42の光強度よりも小さい。
照明光Luniでは、光束透過領域42と同じ光強度を持つ移動領域MAが、光束透過領域42に加わる。これに対して、照明光20では、光束透過領域42よりも小さい光強度を持つ移動領域MAが、光束透過領域42に加わることになる。
この場合、照明光20における光強度の変化率は、照明光Luniにおける光強度の変化率よりも小さくなる。そのため、照明光20における検出感度は、照明光Luniにおける検出感度よりも低くなる。
しかしながら、検出感度が低いと、検出範囲は広くなる。よって、照明光20における検出範囲は、照明光Luniにおける検出範囲よりも広くなる。その結果、照明光20では、照明光Luniに比べて、より大きな傾き量を検出することができる。
このように、照明光20を用いた場合では、照明光Luni(光強度分布が均一な照明光)を用いた場合に比べて、傾き量の変化に対する結像光の光量変化が小さくなる。そのため、照明光20を用いると、傾き量を測定できる範囲が広くなる。よって、本実施形態の標本形状測定方法によれば、より大きな傾き量を持つ標本の表面を測定することができる。
照明光20では、光強度が光束の中央から周辺に向かって減少している。光強度が減少する割合(以下、「減少割合」という)を変化させると、検出範囲や検出感度が変化する。そこで、予め複数の照明光を準備しておき、各々の照明光で減少割合が異なっているようにする。あるいは、1つの照明光で、減少割合が変化するようにする。このようにすることで、検出範囲や検出感度を変化させることができる。その結果、表面における傾き量が大きい場合や表面における傾き量が小さい場合であっても、標本の表面における傾き量を測定することができる。
照明光20と照明光Luniを予め準備しておいても良い。あるいは、1つの照明光で、照明光20から照明光Luniへの変化、またはその逆の変化が生じるようにしても良い。このようにすることで、検出範囲や検出感度を変化させることができる。その結果、表面における傾き量が大きい場合や表面における傾き量が小さい場合であっても、標本の表面における傾き量を測定することができる。
本実施形態の標本形状測定方法では、所定の照明領域に入射する照明光の光強度は、光束の中央から周辺に向かって大きくなっていることが好ましい。
図13は、照明光の光強度分布を示す図である。照明光50は、光強度が不均一に分布している照明光である。開口部材に入射する直前では、照明光50の形状は円である。
照明光50では、光束の中央51と光束の周辺52とで光強度が異なる。中央51における光強度は、周辺52における光強度よりも小さい。また、光強度は、中央51から周辺52に向かって大きくなっている。
上述のように、相関特性は、照明光Luniと照明光Lnon-uniとで異なる。照明光Lnon-uniとしては、例えば、照明光50がある。
図14Aは、照明光の光強度分布を示すグラフである。実線は、照明光50の光強度分布を示し、破線は、照明光Luniの光強度分布を示している。図14Aに示すように、照明光50では、光束の中央での光強度が、周辺での光強度よりも小さい。また、光強度は、光束の中央から周辺に向かって大きくなっている。
図14Bに示す図は、図11Bに示す図と同じである。よって、図14Bについての説明は省略する。
図14Cは、タイプ1の境界線における相関特性を示す図である。図14Cには、照明光Luniにおける相関特性と照明光50における相関特性とが示されている。図14Cのグラフは、シミュレーションの結果を示したグラフである。
図14Cのグラフでは、照明光50におけるシミュレーション結果が実線で示され、照明光Luniにおけるシミュレーション結果が破線で示されている。どちらのシミュレーションにおいても、縦軸の値は、ΔH/2r=0のときの値で規格化されている。
図14Cに示すように、実線における傾きは、破線における傾きより大きい。これは、照明光50における検出感度が、照明光Luniにおける検出感度よりも高いことを意味している。この点について説明する。
照明光50を用いたときの結像光の光強度分布は、照明光20を用いたときの結像光の光強度分布を上下方向に反転したものになる。この場合、上述のように、照明光Luniでは、移動領域MA内における光強度は、光束透過領域42(移動領域MAの右側に位置する領域)の光強度と等しい。これに対して、照明光50では、移動領域MA内における光強度は、光束透過領域42の光強度よりも大きい。
照明光Luniでは、光束透過領域42と同じ光強度を持つ移動領域MAが、光束透過領域42に加わる。これに対して、照明光50では、光束透過領域42よりも大きい光強度を持つ移動領域MAが、光束透過領域42に加わることになる。
この場合、照明光50における光強度の変化率は、照明光Luniにおける光強度の変化率よりも大きくなる。そのため、照明光50における検出感度は、照明光Luniにおける検出感度よりも高くなる。
ただし、検出感度が高いと、検出範囲は狭くなる。よって、照明光50における検出範囲は、照明光Luniにおける検出範囲よりも狭くなる。
このように、照明光50を用いた場合では、照明光Luni(光強度分布が均一な照明光)を用いた場合に比べて、傾き量の変化に対する結像光の光量変化が大きくなる。そのため、照明光50を用いることで、検出感度が高くなる。よって、本実施形態の測定方法によれば、より小さな傾き量を持つ標本の表面を測定することができる。
照明光50では、光強度が光束の中央から周辺に向かって増大している。光強度が増大する割合(以下、「増大割合」という)を変化させると、検出範囲や検出感度が変化する。そこで、予め複数の照明光を準備しておき、各々の照明光で増大割合が異なっているようにする。あるいは、1つの照明光で、増大割合が変化するようにする。このようにすることで、検出範囲や検出感度を変化させることができる。その結果、表面における傾き量が大きい場合や表面における傾き量が小さい場合であっても、標本の表面における傾き量を測定することができる。
照明光50と照明光Luniを予め準備しておいても良い。あるいは、1つの照明光で、照明光50から照明光Luniへの変化、またはその逆の変化が生じるようにしても良い。このようにすることで、検出範囲や検出感度を変化させることができる。その結果、表面における傾き量が大きい場合や表面における傾き量が小さい場合であっても、標本の表面における傾き量を測定することができる。
上述のように、本実施形態の標本形状測定方法では、標本の表面における傾き量に応じて、光束透過領域が移動する。標本の表面における傾きがX方向で生じている場合、図11Bに示すように、光束透過領域42はX方向に移動する。しかしながら、標本の表面における傾きは、X方向だけでなく、紙面内の上下方向(以下、「Y方向」という)にも生じている場合がある。
このような標本でX方向の傾き量をする場合も、図10Aに示すように、開口部30bをX方向に位置させる。これにより、X方向に生じた標本の表面における傾きを測定することができる。その後、光軸10を回転軸にして、開口部30bを90°回転させる。この回転により、開口部30bはY方向に位置するので、この状態で測定を行う。これにより、Y方向に生じた標本の表面における傾きを測定することができる。
X方向の傾きとY方向の傾きとが混在している場合であっても、X方向の測定では、X方向の傾き量のみを測定できることが好ましい。しかしながら、Y方向の傾きが原因となって、図15Aに示すように、光束透過領域はY方向にも移動する。
図15Aは、タイプ1の境界線における結像光の様子を示す図である。標本の光束透過領域42は、対物レンズの瞳7の外側に位置する光束と共に移動する。図15Aでは、見易さのために、光束の外縁53を使って、シフト量ΔVを示している。
図15Bは、タイプ1の境界線における相関特性を示す図である。図15Bには、照明光Luniにおける相関特性と照明光20における相関特性とが示されている。図15Bのグラフは、シミュレーションの結果を示したグラフである。
図15Bのグラフでは、照明光20におけるシミュレーション結果が実線で示され、照明光Luniにおけるシミュレーション結果が破線で示されている。どちらのシミュレーションにおいても、縦軸の値は、ΔV/2r=0のときの値で規格化されている。
図15Bに示すように、照明光Luniでは、シフト量ΔVが変化しても、光束透過領域の大きさは変化していない。これは、タイプ1の境界線を用いた場合、測定場所にY方向の傾きが存在していても、照明光Luniを用いたX方向の測定では、Y方向の傾きは測定されず、X方向の傾きだけが測定できることを意味している。
これに対して、照明光20では、シフト量ΔVが大きくなるにつれて、光束透過領域の大きさが小さくなっている。これは、タイプ1の境界線を用いた場合、測定場所にY方向の傾きが存在していると、照明光Luniを用いたX方向の測定において、Y方向の傾きの影響を受けることを意味している。この場合、本来のX方向の傾きに誤差が加わることになる。
本実施形態の標本形状測定方法では、観察光学系から出射した光は、光束透過領域を通過した光であり、光束透過領域は、外側境界線と第2の境界線とで囲まれた領域であり、外側境界線は、観察光学系の瞳の外縁の一部で構成され、外側境界線と第2の境界線は、共に凸状であり、凸の向きは、外側境界線と第2の境界線とで同一であることが好ましい。
本実施形態の標本形状測定方法を用いて測定を行う場合、本実施形態の標本形状測定装置は、開口部材として、第1の開口部材を有し、第1の開口部材は、遮光部と開口部とを区分する境界線を有し、所定の2点を結ぶ直線が、境界線と光軸との間に位置することが好ましい。ここで、所定の2点は、第1の開口部材に照明光学系の瞳を重ねたときに、所定の線と照明光学系の瞳の外縁とが交わる2点である。
図16Aは、第1の開口部材を用いたときの照明光の様子を示す図である。図16Bは、第1の開口部材を用いたときの結像光の様子を示す図である。図16Aには、第1の開口部材60に照射された照明光の様子が示されている。照明光の照射範囲は、照明光学系の瞳と見なすことができる。よって、図16Aでは、第1の開口部材60に照明光学系の瞳を重ねた状態が示されていることになる。
第1の開口部材60は、遮光部60aと開口部60bとを有する。第1の開口部材60が照明光学系の光路に挿入された場合、第1の開口部材60は、遮光部60aが光軸10を含むように配置される。開口部60bは、光軸10に対して偏心した場所に位置している。
遮光部60aと開口部60bとの間には、境界線61が形成されている。境界線61によって、遮光部60aと開口部60bとが区分されている。
第1の開口部材60に照明光学系の瞳を重ねたとき、境界線61と照明光学系の瞳の外縁とが、点62と点63とで交わっている。点62と点63は所定の2点である。直線64は、点62と点63とを通過する直線である。
境界線61は、円弧で構成されている。円弧は、遮光部60aから開口部60bに向かって凸となるように形成されている。よって、第1の開口部材60では、直線64が、境界線61と光軸10との間に位置する。
第1の開口部材60では、境界線61は、1本の曲線で構成された線である。しかしながら、境界線61は、複数の直線で構成された線、複数の曲線で構成された線、あるいは曲線と直線とで構成された線のいずれでも良い。
図16Bには、対物レンズの瞳7の位置における結像光の様子が示されている。境界線65は、第2の境界線である。境界線65は、境界線61の像である。境界線66は、外側境界線である。境界線66は、対物レンズの瞳7の外縁の一部で構成されている。光束透過領域67は、境界線65と境界線66とで囲まれている。
境界線65と境界線66は、共に凸状になっている。そして、凸の向きは、境界線65と境界線66とで同一になっている。この場合、光束透過領域67の形状は、光軸10側に凹部を向けたメニスカス形状になっている。よって、境界線65は、光軸10側に向かって凹の線で構成されているということができる。
光軸側に位置する境界線が、光軸側に向かって凹の線で構成されている場合、その境界線を「タイプ2の境界線」とする。境界線61や境界線65は、タイプ2の境界線になる。
相関特性は、上述のように、照明光における光強度の分布パターンで異なるが、境界線の形状によっても異なる。
図17Aは、タイプ2の境界線における結像光の様子を示す図である。タイプ2の境界線におけるシミュレーションでは、図17Aに示すように、対物レンズの瞳7の半径をr、光軸10から境界線65までの距離を0.8×rとしている。境界線65は、半径が5×rの円の円弧で構成されている。光軸10から境界線65までの距離は、光束透過領域67がシフトする方向における距離である。
図17Bと図17Cは、タイプ2の境界線における相関特性を示す図である。X方向の相関特性は、図17Bに示すグラフのようになる。Y方向の相関特性は、図17Cに示すグラフのようになる。図17Bと図17Cのグラフは、シミュレーションの結果を示したグラフである。
図17Bと図17Cには、照明光Luniにおける相関特性と照明光20における相関特性とが示されている。照明光20におけるシミュレーション結果が実線で示され、照明光Luniにおけるシミュレーション結果が破線で示されている。X方向の相関特性では、縦軸の値は、ΔH/2r=0のときの値で規格化されている。Y方向の相関特性では、縦軸の値は、ΔV/2r=0のときの値で規格化されている。
図11Cと図17Bを用いて、X方向における相関特性を比較する。図11Cと図17Bに示すように、どちらの図においても、実線における傾きは、破線における傾きより小さい。これは、タイプ1の境界線であってもタイプ2の境界線であっても、照明光20における検出感度は、照明光Luniにおける検出感度よりも低いことを意味している。
次に、図15Bと図17Cを用いて、Y方向における相関特性を比較する。照明光Lnon-uniでは、光束透過領域のシフトに応じて、光束透過領域内の光強度の分布が変化する。光束透過領域内の光強度の分布が変化すると、光強度の総和が変化する。そのため、光強度の総和が変動すると、結像光の光量が変動する。よって、以下の説明では、「光強度の総和の変動」の代わりに「光量変動」を用いている。
図15Bと図17Cに示すように、実線は、図15Bでは曲線であるのに対して、図17Cでは直線になっている。これは、照明光20を用いた場合、タイプ1の境界線を用いると、Y方向において光量変動が発生するが、タイプ2の境界線を用いると、Y方向における光量変動の発生を防止できることを意味している。
また、図15Bと図17Cに示すように、破線は、図15Bでは直線であるのに対して、図17Cでは曲線になっている。これは照明光Luniを用いた場合、タイプ1の境界線を用いると、Y方向における光量変動の発生を防止できるが、タイプ2の境界線を用いると、Y方向において光量変動が発生することを意味している。
Y方向における光量変動が発生するということは、X方向の傾き量の測定結果がY方向の傾きに対して依存するということである。また、Y方向における光量変動が発生しないということは、X方向の傾き量の測定結果がY方向の傾きに対して依存しないということである。Y方向の傾き量を測定する場合も同様である。
以上の比較結果を纏めると、以下の表1のようになる。第1の方向は、直交する2つの方向のうちの一方の方向であって、開口部材の開口部(光束透過領域)が位置する方向である。第2の方向は、第1の方向と直交する方向である。
Figure 2017119118
第1の方向で傾き量の測定を行う際に、第2の方向で光量変動が生じると、測定誤差が発生する。本実施形態の標本形状測定方法では、照明光20を用いる場合に、タイプ2の境界線を使用している。そのため、傾き量の測定範囲が広いにもかかわらず、第1の方向で傾き量の測定を行う際に、第2の方向で光量変動が生じない。よって、誤差の少ない傾き量の測定が可能になる。
また、測定誤差の発生を防止するためには、照明光Luniとタイプ1の境界線の組み合わせを用いるか、又は、照明光20とタイプ2の境界線の組み合わせを用いれば良いことが、表1から分かる。これら2つの組み合わせでは、検出感度(測定範囲)が異なる。よって、標本や測定目的に応じて、いずれかの組み合わせを用いれば良い。
タイプ2の境界線を用いる場合は、境界線は円弧であって、以下の条件式(8)を満足することが好ましい。
Figure 2017119118
ここで、
α=Lα/r、β=Lβ/r(β>1)、
αは、対物レンズの瞳の中心から第2の境界線までの距離のうち、最小となる距離、
βは、第2の境界線の半径、
rは、対物レンズの瞳の半径、
dは、対物レンズの瞳の中心における光強度と、対物レンズの瞳の外縁における光強度との差、
である。
あるいは、以下の条件式(8’)を満たすことがより好ましい。
Figure 2017119118
図18Aと図18Bは、条件式(8)のパラメータを説明する図である。条件式(8)と(8’)は、以下の(IA)、(IB)、(IC)を前提としている。
(IA)標本の表面における傾き量がゼロである。
(IB)開口部材の開口部から対物レンズの瞳までの間で、光量損失は発生しない。
(IC)対物レンズの瞳全体が、照明光で満たされている。
図18Aは、対物レンズの瞳位置における光強度を示す図である。開口部材が光路中に配置された場合、対物レンズの瞳の中心に結像光は到達しない。この場合、dの値を設定することができない。そこで、(IC)で述べたように、対物レンズの瞳全体が、照明光で満たされているものと仮定してdの値を設定する。
図18Bは、対物レンズの瞳位置における第2の境界線の様子を示す図である。図18Bに示すように、αの値によって、第2の境界線の位置が決まり、βの値によって、第2の境界線の円弧の半径が決まる。
上述のように、X方向の傾きとY方向の傾きがとが混在している場合であっても、X方向の測定では、X方向の傾き量のみを測定できることが好ましい。しかしながら、Y方向の傾きによって、図19Aに示すように、光束透過領域はY方向にも移動する。
図19Aは、タイプ1の境界線における結像光の様子を示す図である。図19Aは図15Aと同じなので、図19Aについての説明は省略する。
図19Bは、タイプ1の境界線における相関特性を示す図である。図19Bには、照明光Luniにおける相関特性と照明光50における相関特性とが示されている。図19Bのグラフは、シミュレーションの結果を示したグラフである。
図19Bのグラフでは、照明光50におけるシミュレーション結果が実線で示され、照明光Luniにおけるシミュレーション結果が破線で示されている。どちらのシミュレーションにおいても、縦軸の値は、ΔV/2r=0のときの値で規格化されている。
図19Bに示すように、照明光Luniでは、シフト量ΔVが変化しても、光束透過領域の大きさは変化していない。この点については、図15Bで既に説明したので、ここでの説明は省略する。
これに対して、照明光50では、シフト量ΔVが大きくなるにつれて、光束透過領域の大きさが大きくなっている。これは、タイプ1の境界線を用いた場合、測定場所にY方向の傾きが存在していると、照明光Luniを用いたX方向の測定において、Y方向の傾きの影響を受けることを意味している。この場合、本来のX方向の傾きに誤差が加わることになる。
そこで、本実施形態の標本形状測定方法では、観察光学系から出射した光は、光束透過領域を通過した光であり、光束透過領域は、外側境界線と第3の境界線とで囲まれた領域であり、外側境界線は、観察光学系の瞳の外縁の一部で構成され、外側境界線と第3の境界線は、共に凸状であり、凸の向きは、外側境界線と第3の境界線とで正反対であることが好ましい。
本実施形態の標本形状測定方法を用いて測定を行う場合、本実施形態の標本形状測定装置は、開口部材として、第2の開口部材を有し、第2の開口部材は、遮光部と開口部とを区分する境界線を有し、境界線が、所定の2点を結ぶ直線と光軸との間に位置することが好ましい。ここで、所定の2点は、第2の開口部材に照明光学系の瞳を重ねたときに、所定の線と照明光学系の瞳の外縁とが交わる2点である。
図20Aは、第2の開口部材を用いたときの照明光の様子を示す図である。図20Bは、第2の開口部材を用いたときの結像光の様子を示す図である。図20Aには、第2の開口部材70に照射された照明光の様子が示されている。照明光の照射範囲は、照明光学系の瞳と見なすことができる。よって、図20Aでは、第2の開口部材70に照明光学系の瞳を重ねた状態が示されていることになる。
第2の開口部材70は、遮光部70aと開口部70bとを有する。第2の開口部材70が照明光学系の光路に挿入された場合、第2の開口部材70は、遮光部70aが光軸10を含むように配置される。開口部70bは、光軸10に対して偏心した場所に位置している。
遮光部70aと開口部70bとの間には、境界線71が形成されている。境界線71によって、遮光部70aと開口部70bとが区分されている。
第2の開口部材70に照明光学系の瞳を重ねたとき、境界線71と照明光学系の瞳の外縁とが、点72と点73とで交わっている。点72と点73は所定の2点である。直線74は、点72と点73とを通過する直線である。
境界線71は、円弧で構成されている。円弧は、開口部70bから遮光部70aに向かって凸となるように形成されている。よって、第2の開口部材70では、境界線71が、直線74と光軸10との間に位置する。
第2の開口部材70では、境界線71は、1本の曲線で構成された線である。しかしながら、境界線71は、複数の直線で構成された線、複数の曲線で構成された線、あるいは曲線と直線とで構成された線のいずれでも良い。
図20Bには、対物レンズの瞳7の位置における結像光の様子が示されている。境界線75は、第3の境界線である。境界線75は境界線71の像である。境界線76は、外側境界線である。境界線76は、対物レンズの瞳7の外縁の一部で構成されている。光束透過領域77は、境界線75と境界線76とで囲まれている。
境界線75と境界線76は、共に凸状になっている。そして、凸の向きは、境界線75と境界線76とで正反対になっている。この場合、光束透過領域77の形状は、両凸形状になっている。よって、境界線75は、光軸10側に向かって凸の線で構成されているということができる。
光軸側に位置する境界線が、光軸側に向かって凸の線で構成されている場合、その境界線を「タイプ3の境界線」とする。境界線71や境界線75は、タイプ3の境界線になる。
相関特性は、上述のように、照明光における光強度の分布パターンで異なるが、境界線の形状によっても異なる。図21Aは、タイプ3の境界線における結像光の様子を示す図である。
タイプ3の境界線におけるX方向の相関特性は、図21Bに示すグラフのようになる。タイプ3の境界線におけるY方向の相関特性は、図21Cに示すグラフのようになる。図21Bと図21Cのグラフは、シミュレーションの結果を示したグラフである。
タイプ3の境界線におけるシミュレーションでは、図21Aに示すように、対物レンズの瞳7の半径をr、光軸10から境界線75までの距離を0.8×rとしている。境界線75は、半径が10×rの円の円弧で構成されている。光軸10から境界線75までの距離は、光束透過領域77がシフトする方向における距離である。
図21Bと図21Cは、タイプ3の境界線における相関特性を示す図である。図21Bは、X方向における相関特性を示す図である。図21Cは、Y方向における相関特性を示す図である。図21Bと図21Cには、照明光Luniにおける相関特性と照明光50における相関特性とが示されている。
図21Bと図21Cのグラフは、シミュレーションの結果を示したグラフである。図21Bと図21Cのグラフでは、照明光50におけるシミュレーション結果が実線で示され、照明光Luniにおけるシミュレーション結果が破線で示されている。どちらのシミュレーションにおいても、縦軸の値は、ΔH/2r=0のときの値、又は、ΔV/2r=0のときの値で規格化されている。
図14Cと図21Bを用いて、X方向における相関特性を比較する。図14Cと図21Bに示すように、どちらの図においても、実線における傾きは、破線における傾きより大きい。これは、タイプ1の境界線であってもタイプ2の境界線であっても、照明光50における検出感度は、照明光Luniにおける検出感度よりも高いことを意味している。
次に、図19Bと図21Cを用いて、Y方向における相関特性を比較する。以下の説明においても、「光強度の総和の変動」の代わりに「光量変動」を用いている。
図19Bと図21Cに示すように、実線は、図19Bでは曲線であるのに対して、図21Cでは直線になっている。これは、照明光50を用いた場合、タイプ1の境界線を用いると、Y方向において光量変動が発生するが、タイプ3の境界線を用いると、Y方向における光量変動の発生を防止できることを意味している。
また、図19Bと図21Cに示すように、破線は、図19Bでは直線であるのに対して、図21Cでは曲線になっている。これは照明光Luniを用いた場合、タイプ1の境界線を用いると、Y方向における光量変動の発生を防止できるが、タイプ3の境界線を用いると、Y方向において光量変動が発生することを意味している。
以上の比較結果を纏めると、以下の表2のようになる。第1の方向は、開口部材の開口部(光束透過領域)が位置する方向である。第2の方向は、第1の方向と直交する方向である。
Figure 2017119118
上述のように、第1の方向で傾き量の測定を行う際に、第2の方向で光量変動が生じると、測定誤差が発生する。本実施形態の標本形状測定方法では、照明光50を用いる場合に、タイプ3の境界線を使用している。そのため、検出感度が高いにもかかわらず、第1の方向で傾き量の測定を行う際に、第2の方向で光量変動が生じない。よって、誤差の少ない傾き量の測定が可能になる。
また、測定誤差の発生を防止するためには、照明光Luniとタイプ1の境界線の組み合わせを用いるか、又は、照明光50とタイプ3の境界線の組み合わせを用いれば良いことが、表1から分かる。これら2つの組み合わせでは、検出感度(測定範囲)が異なる。よって、標本や測定目的に応じて、いずれかの組み合わせを用いれば良い。
タイプ3の境界線を用いる場合は、境界線は円弧であって、以下の条件式(9)を満足することが好ましい。
Figure 2017119118
ここで、
α=Lα/r、β=Lβ/r(β>1)、
αは、対物レンズの瞳の中心から第2の境界線までの距離のうち、最小となる距離、
βは、第2の境界線の半径、
rは、対物レンズの瞳の半径、
dは、対物レンズの瞳の中心における光強度と、対物レンズの瞳の外縁における光強度との差、
である。
あるいは、以下の条件式(9’)を満たすことがより好ましい。
Figure 2017119118
図22Aと図22Bは、条件式(9)のパラメータを説明する図である。条件式(9)と(9’)は、上述の(IA)、(IB)、(IC)を前提としている。
図22Aは、対物レンズの瞳位置における光強度を示す図である。開口部材が光路中に配置された場合、対物レンズの瞳の中心に結像光は到達しない。この場合、dの値を設定することができない。そこで、(IC)で述べたように、対物レンズの瞳全体が、照明光で満たされているものと仮定してdの値を設定する。
図22Bは、対物レンズの瞳位置における第3の境界線の様子を示す図である。図22Bに示すように、αの値によって、第3の境界線の位置が決まり、βの値によって、第3の境界線の円弧の半径が決まる。
本実施形態の標本形状測定方法では、所定の照明領域に入射する照明光の光強度は、直交する2つの方向のうち、一方の方向で変化し、他方の方向では一定になっていることが好ましい。
図23は、照明光の光強度分布を示す図である。照明光80は、光強度が不均一に分布している照明光である。開口部材に入射する直前では、照明光80の形状は円である。図23に示す照明光80では、X方向では光強度が変化し、Y方向では光強度が一定になっている。
X方向では、光束の中央81での光強度が、光束の周辺82での光強度よりも大きい。また、光強度は、中央81から周辺82に向かって小さくなっている。Y方向では、中央81での光強度と周辺82での光強度は同じになっている。Y方向の光強度は同一であるのが好ましいが、光強度を完全に同一にすることは難しい。よって、Y方向の光強度は、略同一になっていれば良い。
図24Aは、照明光の様子を示す図である。図24Bは、結像光の様子を示す図である。図24Aには、開口部材90に照射された照明光80の様子が示されている。照明光80の照射範囲は、照明光学系の瞳と見なすことができる。よって、図24Aでは、開口部材90に照明光学系の瞳を重ねた状態が示されていることになる。
開口部材90は、遮光部90aと開口部90bとを有する。開口部材90が照明光学系の光路に挿入された場合、開口部材90は、遮光部90aが光軸10を含むように配置される。開口部90bは、光軸10に対して偏心した場所に位置している。
遮光部90aと開口部90bとの間には、境界線91が形成されている。境界線91によって、遮光部90aと開口部90bとが区分されている。境界線91は、光軸10と直交する1本の直線と平行な線である。
図24Bには、対物レンズの瞳7の位置における結像光の様子が示されている。境界線93は、第1の境界線である。境界線93は、境界線91の像である。境界線92は、外側境界線である。境界線92は、対物レンズの瞳7の外縁の一部で構成されている。光束透過領域94は、境界線92と境界線93とで囲まれている。
照明光80を生成するための照明光学系を図25に示す。図25は、照明光学系の第1例である。照明光学系100は、光源101と、レンズ102と、第1の光学フィルタ103と、第2の光学フィルタ104と、を有する。
光源101は、点光源である。図25では、見易さのために、発光部を大きく描いている。光源101は、面光源であっても良い。
光源101から照明光L101が出射する。照明光L101は、図9に示す照明光20と同じ光強度分布105を有する。光強度の大きさも、照明光20における光強度と同じである。照明光L101は、レンズ102に入射する。
レンズ102から、照明光L102が平行光束となって出射する。照明光L102における光強度分布105は、照明光20における光強度分布と同じになる。光強度の大きさも、照明光20における光強度と同じである。レンズ102から出射した照明光L102は、第1の光学フィルタ103に入射する。
第1の光学フィルタ103は、第1の透過率特性103aを有する。第1の透過率特性103aでは、中央と周辺とで透過率が異なる。中央における透過率は、周辺における透過率よりも低い。また、透過率は、中央から周辺に向かって高くなっている。そのため、照明光L102では、中央に近い場所を通過する光ほど大きく減光される。
第1の光学フィルタ103から、照明光L103が出射する。例えば、光強度分布105では、中央における光強度が1、中間における光強度が0.8、周辺における光強度が0.5になっている。また、第1の透過率特性103aでは、中央における透過率が50%、中間における光強度が62.5%、周辺における透過率が100%になっている。この場合、照明光L103の光強度は、中央、中間及び周辺のいずれにおいても0.5になる。
そこで、第1の透過率特性103aを表す曲線の形を、光強度分布105を表す曲線の形と逆にする。このようにすることで、光強度分布106を有する照明光L103が、第1の光学フィルタ103から出射する。光強度分布106では、どの方向においても、光強度は中央から周辺まで一定になっている。第1の光学フィルタ103から出射した照明光L103は、第2の光学フィルタ104に入射する。
第2の光学フィルタ104は、第2の透過率特性104aを有する。第2の透過率特性104aでは、直交する2つの方向のうち、一方の方向では光強度が変化し、他方の方向では光強度が一定になっている。
具体的には、X方向では、中央と周辺とで透過率が異なる。中央における透過率は、周辺における透過率よりも高い。また、透過率は、中央から周辺に向かって低くなっている。これに対して、Y方向では、中央と周辺とで透過率は同じである。そのため、照明光L103は、X方向については、周辺に近い場所を通過する光ほど大きく減光されるが、Y方向については減光されない。
第2の光学フィルタ104から、照明光L104が出射する。照明光L104は、光強度分布107を有する。光強度分布107では、X方向において光強度が中央から周辺に向かって小さくなるが、Y方向における光強度は中央から周辺まで一定になっている。
照明光80を生成するための別の照明光学系を図26に示す。図26は、照明光学系の第2例である。照明光学系110は、光源111と、レンズ112と、開口部材113と、シリンドリカルレンズ114と、レンズ115と、を有する。
光源111は、点光源である。図26では、見易さのために、発光部を大きく描いている。光源111は、面光源であっても良い。
光源111から照明光L111が出射する。照明光L111は、図9に示す照明光20と同じ光強度分布116を有する。ただし、光強度の大きさは、照明光20における光強度と異なっている。照明光L111は、レンズ112に入射する。
レンズ112から、照明光L112が平行光束となって出射する。照明光L112における光強度分布116は、照明光20における光強度分布と同じになる。ただし、光強度の大きさは、照明光20における光強度と異なっている。レンズ112から出射した照明光L112は、開口部材113に入射する。
開口部材113は、中央部に長方形の開口113aを有する。開口113aの形状は長方形で、長辺がX方向と平行になるように設けられている。開口部材113では、照明光L112の一部の領域が開口113aを通過し、残りの領域は遮光される。開口部材113から、照明光L113が出射する。照明光L113の形状は長方形である。
照明光L112では、光強度はX方向とY方向の両方で変化している。開口113aでは、長辺がX方向と平行になるように位置している。長辺の長さは、照明光L112の光束径とほぼ同じである。そのため、照明光L113のX方向では、光強度の変化が生じている。これに対して、Y方向と平行になるように位置している短辺では、辺の長さが非常に短くなっている。そのため、照明光L113のY方向では、光強度の変化がほとんど生じない。
このように、照明光L113では、直交する2つの方向のうち、一方の方向では光強度が変化し、他方の方向では光強度が一定になっている。照明光L113は、シリンドリカルレンズ114に入射する。
照明光L113では、X方向における光束の長さは、照明光L112の光束径とほぼ同じである。これに対して、Y方向における光束の長さは、照明光L112の光束径よりも短くなっている。シリンドリカルレンズでは、直交する2つの方向のうち、一方の方向だけ光の屈折が生じる。そこで、シリンドリカルレンズ114は、Y方向で屈折が生じるように配置する。このようにすることで、X方向における光束の長さを変えることなく、Y方向における光束の長さを長くすることができる。
シリンドリカルレンズ114から、照明光L114が出射する。照明光L114の形状は円形である。また、照明光L114は、光強度分布117を有する。光強度分布117では、X方向において光強度が中央から周辺に向かって小さくなるが、Y方向における光強度は中央から周辺まで一定になっている。
このように、照明光学系100や照明光学系110を用いることで、照明光80を生成することができる。
本実施形態の標本形状測定方法は、所定の照明領域の位置を変更するステップを有し、変更前の所定の照明領域と変更後の所定の照明領域は、光軸を中心とする円周上に位置し、光軸を中心として変更前の所定の照明領域を回転させて、変更後の所定の照明領域に重ね合わせたとき、変更前の所定の照明領域における光強度の分布方向と変更後の所定の照明領域における光強度の分布方向が一致することが好ましい。
ステップS10では、照明光学系内の任意の位置に、所定の照明領域が設定される。ここでは、ステップS10で設定した位置を、第1の位置とする。第1の位置における照明光の様子を図27Aに示す。図27Aにおいて、開口部90bが所定の照明領域に対応する。
図27Aに示すように、第1の位置では、開口部90bはX方向に位置している。よって、第1の位置では、X方向について、標本の表面における傾き量を求めることができる。また、開口部における照明光の光強度分布は、X方向で変化しているが、Y方向では一定になっている。
第1の位置で、ステップS20とステップS30が実行される。このステップS20とステップS30は、1回目の所定の処理ステップである。これにより、X方向について、標本の表面における傾き量を求めることができる。
第1の位置での所定の処理ステップが終わった後に、所定の照明領域の位置を変更するステップが実行される。このステップの実行によって、所定の照明領域が、第2の位置に移動する。第2の位置は、第1の位置と異なる位置である。第2の位置における照明光の様子を、図27Bに示す。
図27Bに示すように、第2の位置は、第1の位置を、光軸10を中心として90°回転させた位置である。第2の位置では、開口部90bはY方向に位置している。よって、第2の位置では、Y方向について、標本の表面における傾き量を求めることができる。また、開口部における照明光の光強度分布は、Y方向で変化しているが、X方向では一定になっている。
第2の位置で、ステップS20とステップS30が実行される。このステップS20とステップS30は、2回目の所定の処理ステップである。これにより、Y方向について、標本の表面における傾き量を求めることができる。
第1の位置は、開口部90bの位置を変更する前の位置である。第2の位置は、開口部90bの位置を変更した後の位置である。上述のように、第2の位置は、第1の位置を、光軸10を中心として90°回転させた位置である。よって、第1の位置における開口部90bと第2の位置における開口部90bは、光軸10を中心とする円周上に位置している。
また、第1の位置における開口部90bを、光軸10を中心として回転させると、第1の位置における開口部90bは、第2の位置における開口部90bと重なる。このとき、光強度の分布方向は一致している。
このようにすることで、開口部90bの位置に関わらず、測定感度や測定範囲を一定に保ったままで傾き量の測定ができる。また、上述のルックアップテーブルを用いて、標本の表面における傾き量を求める場合、ルックアップテーブルの数を1つにすることができる。
照明光80では、開口部90bの位置を変更した場合、照明光における光強度の分布の方向を変更しなくてはならない。光強度の分布の方向の変更は、照明光学系100(図25)では、第2の光学フィルタ104を、光軸10の周りに回転させれば良い。照明光学系110(図26)では、開口部材113とシリンドリカルレンズ114を、光軸10の周りに回転させれば良い。
本実施形態の標本形状測定方法では、傾き量から標本の形状を計算し、計算した形状から標本の形状を画像化するステップを有することが好ましい。
本実施形態の標本形状測定方法について説明する。図28は、本実施形態の標本形状測定方法のフローチャートである。図8のフローチャートと同じステップについては同じ番号を付し、説明は省略する。本実施形態の標本形状測定方法は、基本測定方法を備え、標本の形状を画像化するステップS50を有する。
本実施形態の標本形状測定方法では、ステップS34が終わると、ステップS50が実行される。ステップS50では、傾き量から標本8の形状を計算し、計算した形状から標本8の形状を画像化する。このようにすることで、標本の形状を視覚的に把握することができる。ステップS30がステップS50を含んでいても良い。
また、本実施形態の標本形状測定方法では、基準の光量は、標本が存在していない状態での光量であることが好ましい。
同じ標本を、異なる光量の照明光で照明すると、結像光の光量も異なる。そのため、結像光の光量だけを用いて傾き量を算出すると、標本が同じであっても、面形状は照明光の光量によって変化してしまう。そこで、本実施形態の標本形状測定方法では、結像光の光量と基準の光量との差又は比を算出している。このようにすることで、照明光の光量が変化しても、標本の表面形状を正しく求めることができる。
基準の受光量は、標本が存在していない状態の光量なので、照明光の光量になる。よって、基準の光量を用いて結像光の光量との差又は比を算出することで、照明光の光量が変化しても、標本の表面形状を正しく求めることができる。
また、本実施形態の標本形状測定方法では、照明光を準備するステップと照明光を標本に照射するステップとの間に、基準の光量を設定するステップを有することが好ましい。
基準の光量は、上述のように、標本が存在していない状態での光量である。ステップS33では、基準の光量を用いて結像光の光量との差又は比を算出する。これにより、照明光の光量が変化しても、標本の表面形状を正しく求めることができる。
また、本実施形態の標本形状測定方法では、基準の光量を設定するステップは、照明光学系から出射した照明光を観察光学系に入射させて光量を測定し、測定した光量に基づいて基準の光量を設定することが好ましい。
ステップS60では、標本が存在していない状態で、照明光学系から出射した照明光を観察光学系に入射させて光量を測定する。これにより、標本が存在していない状態での光量を求めることができる。そして、測定した光量に基づいて基準の光量を設定する。
また、本実施形態の標本形状測定方法では、光量の測定を、最初の標本の測定よりも前に行うことが好ましい。
このようにすると、標本形状を測定する直前に、基準の光量が測定されることになる。そのため、ステップS33で算出した差又は比の精度を高めることができる。その結果、正確に傾き量を算出することができる。
また、本実施形態の標本形状測定方法では、測定した光量を記憶しておき、最初の標本の測定よりも前に記憶した光量を読み出して、基準の光量を設定することが好ましい。
このようにすると、標本形状を測定するたびに、基準の光量を測定する必要がなくなる。よって、測定時間を短縮することができる。
本実施形態の標本形状測定装置について説明する。本実施形態の標本形状測定装置は、照明光学系と、観察光学系と、保持部材と、検出素子と、処理装置と、を備え、照明光学系は、光源と、コンデンサレンズと、開口部材と、を有し、観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、保持部材は標本を保持すると共に、照明光学系と観察光学系との間に配置され、開口部材は、遮光部と、開口部と、を有し、遮光部は、コンデンサレンズの光軸を含むように設けられ、開口部は、光軸に対して偏心した位置に設けられ、開口部の像は、観察光学系の瞳位置の近傍に形成されると共に、観察光学系の瞳の外縁の一部と重なるように形成され、開口部材に入射する照明光の光強度は、光軸と垂直な面内の中央と周辺とで異なり、照明光学系により標本に照射された照明光は、標本を透過し、標本から出射した光は観察光学系に入射し、検出素子は、観察光学系から出射した光を受光し、処理装置は、受光した光に基づく光量を求め、光量と基準の光量との差又は比を算出し、差又は比から、標本の表面における傾き量を算出することを特徴とする。
本実施形態の標本測定装置について、図29を用いて説明する。図29は本実施形態の標本形状測定装置の構成を示す図である。
標本形状測定装置200は、例えば、正立型顕微鏡であって、照明光学系と観察光学系とを備える。照明光学系は、光源201と、コンデンサレンズ204と、開口部材205とを有する。なお、必要に応じて、照明光学系は、レンズ202やレンズ203を有する。一方、観察光学系は、対物レンズ208と結像レンズ210とを有する。
光源201から出射した光は、レンズ202とレンズ203を通過して、コンデンサレンズ204に到達する。コンデンサレンズ204には、開口部材205が設けられている。ここでは、コンデンサレンズ204と開口部材205とが、一体で構成されている。しかしながら、開口部材205とコンデンサレンズ204とを、それぞれ別体で構成しても良い。開口部材205は、図1における遮光部材4に相当する。開口部材205には、金属板が用いられている。
開口部材205に、例えば、図10Aに示す開口部材30を用いても良い。上述のように、開口部材30は、遮光部30aと開口部30bとを有する。遮光部30aは、光軸10を含むように設けられている。開口部30bは、光軸から離れた位置に設けられている。
光軸10に対する遮光部30aの位置や開口部30bの位置は、開口部材30を照明光学系の光路に配置することで決まる。よって、遮光部30aが光軸10を含むように開口部材30を配置することで、開口部30bは、光軸に対して偏心した場所に位置することになる。
図10Bに示すように、開口部の像は、観察光学系の瞳位置の近傍に形成される。図41Bは、結像光の様子を示す図である。図10Bでは、開口部30bを通過した光束は図示されているが、開口部30bの輪郭の図示は省略されている。輪郭は図示されていないが、開口部30bの像は、対物レンズの瞳の外縁の一部と重なるように形成されている。
また、コンデンサレンズ204の代わりに、反射面を有するコンデンサ部を用いても良い。コンデンサ部は、例えば、円錐ミラーと凹面ミラーとで構成できる。円錐ミラーは光軸上に配置されている。凹面ミラーは円環状の反射面を有し、円錐ミラーを取り囲むように配置されている。
開口部材205と光源201とは共役な関係になっている。よって、光源201から出射した照明光は、開口部材205の位置で集光する。すなわち、開口部材205の位置に光源201の像が形成される。
開口部材205から出射した照明光は、コンデンサレンズ204に入射する。ここで、開口部材205の位置は、コンデンサレンズ204の焦点位置(あるいは、コンデンサレンズ204の瞳位置)と一致している。そのため、コンデンサレンズ204から出射する照明光は、平行光になる。コンデンサレンズ204から出射する照明光は、観察光学系の光軸(照明光学系の光軸)と交差するように出射する。
コンデンサレンズ204から出射した照明光は、標本207に到達する。標本207は保持部材206上に載置されている。標本207は、例えば細胞であって、無色透明である。
標本207を透過した光、すなわち、結像光は顕微鏡対物レンズ208(以下、「対物レンズ」という)に入射する。この対物レンズ208は、例えば、明視野観察用の顕微鏡対物レンズである。よって、対物レンズ208の光路中にはレンズが存在するだけで、位相板や変調板のように光の強度や位相を変化させる光学部材は存在していない。
図1に示すように、標本207を透過した平行光は、対物レンズの瞳209に集光する。このように、対物レンズの瞳209と開口部材205とは共役な関係になっている。よって、対物レンズの瞳209の位置に開口部材205の像が形成される。
対物レンズ208から出射した結像光は、結像レンズ210に入射する。そして、結像レンズ210を出射した結像光によって、像位置211に標本207の光学像が形成される。
像位置211には、検出素子212が配置されている。検出素子212は光電変換素子である。検出素子212としては、例えば、フォトダイオード、CCD、COMS等がある。
光学像の光強度は、検出素子212によって電気信号に変換される。変換された電気信号は、標本207の画像データとして処理装置213に送信される。画像データは、光学像の光量を表している。
処理装置213では、図8に示すフローチャートに従って処理が実行される。すなわち処理装置213では、結像光の光量を求め(ステップS32)、光量と基準の光量との差又は比を算出し(ステップS33)、算出結果から、標本の表面における傾き量を算出する(ステップS34)。ここで、所定の領域が設定されているので、ステップS32では、画像データのうちの所定の領域について、光量を求める処理が行われる。
上述のように、本実施形態の標本形状測定装置では、開口部材に入射する照明光の光強度が中央と周辺とで異なる。
多くの光源では、光源から出射した光の光強度は、中央と周辺とで異なる。そのため、上述のようにすると、光源から出射した光をそのまま照明光として使用することや、光学系を介して照明光として使用することができる。そのため、簡単に照明光を準備することができる。
このように、本実施形態の標本測定装置では、特定の方向に偏斜された照明光を標本に照射しているだけである。そのため、標本の表面における傾き量の分布の導出では、標本から出射した光、すなわち、標本を透過した光を利用しているだけで、像のコントラストや非回折光と回折光との干渉を利用していない。よって、本実施形態の標本測定装置によれば、表面の反射率が低く、表面形状が滑らかな標本であっても、高い精度で標本の表面形状を測定できる。
本実施形態の標本形状測定装置では、開口部材に入射する照明光の光強度分布は、軸対称に分布していることが好ましいことが好ましい。
本実施形態の標本形状測定装置では、開口部材に入射する照明光の光強度は、光束の中央から周辺に向かって小さくなっていることが好ましい。
本実施形態の標本形状測定装置では、開口部材に入射する照明光の光強度は、光束の中央から周辺に向かって大きくなっていることが好ましい。
本実施形態の標本形状測定装置では、開口部材に入射する照明光の光強度は、直交する2つの方向のうち、一方の方向で変化し、他方の方向では一定になっていることが好ましい。
本実施形態の標本形状測定装置は、遮光部と開口部とを区分する境界線を有し、境界線は光軸と直交する一本の直線と平行な線で構成されていることが好ましい。
本実施形態の標本形状測定装置は、開口部の位置を変更する機構を有し、変更前の開口部と変更後の開口部は、光軸を中心とする円周上に位置し、光軸を中心として変更前の開口部を回転させて、変更後の開口部に重ね合わせたとき、変更前の開口部における光強度の分布方向と変更後の開口部における光強度の分布方向が一致することが好ましい。
これらの本実施形態の標本形状測定装置の技術的意義については既に説明したので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の標本測定装置による測定例を図30A、図30B、図30C及び、図30Dに示す。図30Aは、ステップS32の実行結果(X方向)を示す電子画像、図30Bは、ステップS32の実行結果(Y方向)を示す電子画像、図30Cは、ステップS50の実行結果を示す電子画像、図30Dは、ステップS50の実行結果を示す画像である。
図30Aの電子画像の取得では、図10Aに示すように、開口部30をX方向に位置させて、結像光の光量を求めている。図30Bの電子画像の取得では、開口部30をY方向に位置させて、結像光の光量を求めている。
この測定例では、標本はiPS細胞である。対物レンズの倍率は20倍、開口数は0.4である。光源はハロゲンランプを使用している。よって、照明光における光強度分布は、概ね図9に示す光強度分布になっている。
対物レンズの瞳位置における光束の様子を、図31に示す。rin=0.80r、rout=1.65rである。
この測定例では、標本の測定に先だって、標準試料の測定を行っている。標準試料では、標本の表面における傾き量が既知である。標準試料の測定を行うことで、光量と傾き量との関係を示すデータが得られる。
このデータを用いて、ルックアップテーブルを作成する。また、既にルックアップテーブルが作成されている場合は、必要に応じて、ルックアップテーブルのデータの更新を行う。ルックアップテーブルの使用方法については既に説明したので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の標本形状測定方法を用いる装置では、装置を構成する部材の各々に、製造公差の範囲内でばらつきが発生する。例えば、対物レンズの開口数の値や倍率の値は、製造公差の範囲内でばらつく。また、開口部と遮光部との境界も、製造公差の範囲内でばらつく。
標本の形状測定では、標本に応じて、観察光学系の構成や照明光学系の構成の変更が行われる。観察光学系では、例えば、最適な視野や分解能を得るために、標本Aの測定では対物レンズAが用いられ、標本Bの測定では対物レンズBが用いられる。同様に、照明光学系では、例えば、標本Aの測定では開口部材Aが用いられ、標本Bの測定では開口部材Bが用いられる。
そのため、装置を構成する部材の各々に、製造公差の範囲内でのばらつきが存在すると、結像光の光量と傾き量との対応関係が、理想状態での対応関係と異なってしまう。その結果、測定誤差が生じる。
また、個々の部材、例えば、開口部と遮光部との境界にばらつきが無い場合であっても、開口部材を照明光学系の光路に配置するたびに、配置位置にばらつきが生じる。その結果、開口部と遮光部との境界にばらつきが生じる。その結果、測定誤差が生じる。
また、例えば、光源、光学フィルタ又はコンデンサレンズが変更されることもある。このような構成の変更が生じると、観察光学系の構成や照明光学系の構成ごとで、結像光の光量と傾き量との対応関係が異なってしまう。
そこで、標準試料の測定を実行することで、実際の測定に即した対応関係を得ることができる。その結果、標本の表面における傾き量をより正確に求めることができる。また、標本の表面における傾き量はルックアップテーブルを用いて算出されるので、煩雑な計算の工程を省くことができる。
標準試料の測定の実行は、最初の測定時に行えば良い。しかしながら、測定を行うたびに、標準試料の測定を実行しても良い。
上述のばらつきが非常に小さい場合、標準試料の測定の実行を、装置の製造時に行っても良い。この場合、観察光学系の構成と照明光学系の構成の組み合わせを様々に変えて、標準試料の測定の実行を行う。そして各組み合わせで得た結果に基づいて、ルックアップテーブルを作成すれば良い。
標準試料の測定の実行で得た結果を、基準の光量で校正しても良い。このようにすることで、標本の表面における傾き量を更に正確に求めることができる。
以上のように、本発明は、簡単に照明光を準備することができ、しかも、表面の反射率が低く、表面形状が滑らかな標本であっても、高い精度で標本面の傾きや形状を測定できる標本形状測定方法及び標本形状測定装置に適している。
1 照明光学系
2 観察光学系
3 ステージ
4 遮光部材
4a 遮光領域
4b 透過領域
5 コンデンサレンズ
6 対物レンズ
7 絞り(対物レンズの瞳)
7a 遮光部
7b 透過部
7’ 絞りの像(対物レンズの瞳の像)
8 標本
9 液浸媒質(浸液)
10 光軸
11 観察点
12 面の法線
20 照明光
21 光束の中央
22 光束の周辺
30 開口部材
30a 遮光部
30b 開口部
31、32、33 境界線
34 光束透過領域
40、41 境界線
42 光束透過領域
50 照明光
51 光束の中央
52 光束の周辺
53 光束の外縁
60 第1の開口部材
70 第2の開口部材
60a、70a 遮光部
60b、70b 開口部
61、71 境界線
62、63、72、73 点
64、74 直線
65、66、75、76 境界線
67、77 光束透過領域
80 照明光
81 光束の中央
82 光束の周辺
90 開口部材
90a 遮光部
90b 開口部
91、92、93 境界線
94 光束透過領域
100、110 照明光学系
101、111 光源
102、112、115 レンズ
103 第1の光学フィルタ
103a 第1の透過率特性
104 第2の光学フィルタ
104a 第2の透過率特性
105、106、107 光強度分布
113 開口部材
113a 開口
114 シリンドリカルレンズ
116、117 光強度分布
200 標本形状測定装置
201 光源
202、203 レンズ
204 コンデンサレンズ
205 開口部材
206 保持部材
207 標本
208 対物レンズ
209 対物レンズの瞳
210 結像レンズ
211 像位置
212 検出素子
213 処理装置
IL1、LIL2、LIL3 照明光
SP1、LSP2、LSP3 結像光
101、L102、L103、L104、L111、L112、L113、L114 照明光

Claims (14)

  1. 所定の照明領域を通過する照明光を準備するステップと、
    前記照明光を標本に照射するステップと、
    所定の処理ステップと、を有し、
    前記所定の照明領域は、照明光学系の瞳位置にて光軸を含まないように設定されると共に、前記照明光が観察光学系の瞳位置にて該瞳の内側の一部分と該瞳の外側に照射されるように設定され、
    前記所定の照明領域に入射する前記照明光の光強度は中央と周辺とで異なり、
    前記照明光は前記標本を透過し、
    前記標本から出射した光は前記観察光学系に入射し、
    前記所定の処理ステップは、
    前記観察光学系から出射した光を受光するステップと、
    前記受光した光の光量を求めるステップと、
    前記光量と基準の光量との差又は比を算出するステップと、
    前記差又は比から、前記標本の表面における傾き量を算出するステップと、を有することを特徴とする標本形状測定方法。
  2. 前記所定の照明領域に入射する前記照明光の光強度分布は、軸対称に分布していることを特徴とする請求項1に記載の標本形状測定方法。
  3. 前記所定の照明領域に入射する照明光の光強度は、光束の中央から周辺に向かって小さくなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の標本形状測定方法。
  4. 前記所定の照明領域に入射する照明光の光強度は、光束の中央から周辺に向かって大きくなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の標本形状測定方法。
  5. 前記観察光学系から出射した光は、光束透過領域を通過した光であり、
    前記光束透過領域は、外側境界線と第2の境界線とで囲まれた領域であり、
    前記外側境界線は、前記観察光学系の瞳の外縁の一部で構成され、
    前記外側境界線と前記第2の境界線は、共に凸状であり、
    凸の向きは、前記外側境界線と前記第2の境界線とで同一であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の標本形状測定方法。
  6. 前記観察光学系から出射した光は、光束透過領域を通過した光であり、
    前記光束透過領域は、外側境界線と第3の境界線とで囲まれた領域であり、
    前記外側境界線は、前記観察光学系の瞳の外縁の一部で構成され、
    前記外側境界線と前記第3の境界線は、共に凸状であり、
    凸の向きは、前記外側境界線と前記第2の境界線とで正反対であることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか一項に記載の標本形状測定方法。
  7. 前記所定の照明領域に入射する前記照明光の光強度は、直交する2つの方向のうち、一方の方向で変化し、他方の方向で一定になっていることを特徴とする請求項1に記載の標本形状測定方法。
  8. 照明光学系と、観察光学系と、保持部材と、検出素子と、処理装置と、を備え、
    前記照明光学系は、光源と、コンデンサレンズと、開口部材と、を有し、
    前記観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、
    前記保持部材は標本を保持すると共に、前記照明光学系と前記観察光学系との間に配置され、
    開口部材に入射する照明光の光強度は、光軸と垂直な面内の中央と周辺とで異なり、
    前記照明光学系により前記標本に照射された照明光は、前記標本を透過し、
    前記標本から出射した光は前記観察光学系に入射し、
    前記検出素子は、前記観察光学系から出射した光を受光し、
    前記処理装置は、
    前記受光した光に基づく光量を求め、
    前記光量と基準の光量との差又は比を算出し、
    前記差又は比から、前記標本の表面における傾き量を算出することを特徴とする標本形状測定装置。
  9. 前記開口部材に入射する前記照明光の光強度分布は、軸対称に分布していることを特徴とする請求項1に記載の標本形状測定装置。
  10. 前記開口部材に入射する照明光の光強度は、光束の中央から周辺に向かって小さくなっていることを特徴とする請求項8又は9に記載の標本形状測定装置。
  11. 前記開口部材に入射する照明光の光強度は、光束の中央から周辺に向かって大きくなっていることを特徴とする請求項8又は9に記載の標本形状測定装置。
  12. 前記開口部材は第1の開口部材であって、
    前記第1の開口部材は、遮光部と開口部とを区分する境界線を有し、
    所定の2点を結ぶ直線が、境界線と光軸との間に位置することを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の標本形状測定装置。
    ここで、所定の2点は、第1の開口部材に照明光学系の瞳を重ねたときに、所定の線と照明光学系の瞳の外縁とが交わる2点である。
  13. 前記開口部材は第2の開口部材であって、
    前記第2の開口部材は、遮光部と開口部とを区分する境界線を有し、
    境界線が、所定の2点を結ぶ直線と光軸との間に位置することを特徴とする請求項8、9及び11のいずれか一項に記載の標本形状測定装置。
    ここで、所定の2点は、第2の開口部材に照明光学系の瞳を重ねたときに、所定の線と照明光学系の瞳の外縁とが交わる2点である。
  14. 前記開口部に入射する前記照明光の光強度は、直交する2つの方向のうち、一方の方向で変化し、他方の方向で一定になっていることを特徴とする請求項1に記載の標本形状測定装置。
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