JPWO2014167808A1 - モータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

本発明のモータ駆動装置は、実動作が指令に追従するようにフィードバック制御しながらモータを駆動するモータ駆動装置である。本モータ駆動装置は、トルク指令を出力してフィードバック制御を行うフィードバック制御部と、速度指令に粘性摩擦係数を乗じて粘性摩擦トルク補償値を算出する粘性摩擦算出部とを備える。そして、本モータ駆動装置は、粘性摩擦トルク補償値をトルク指令に加算した駆動信号に基づきモータを駆動する。さらに、本モータ駆動装置は、位置指令とモータ位置あるいは負荷位置を入力してオーバーシュート量や位置決め整定時間を測定する評価指標測定部と、粘性摩擦係数を変化させて、複数回位置決め動作を行い、オーバーシュート量が指定値となるか、位置決め整定時間が最小値となる粘性摩擦係数を決定するサーボ調整部を備える。

Description

本発明は、サーボモータを制御駆動するモータ駆動装置に関し、特に、粘性摩擦補償の機能を備えたモータ駆動装置に関する。
サーボモータの制御において、モータや負荷の動作に伴い発生する摩擦トルクを適切に補償することは、位置決め整定時間の短縮や軌跡追従精度の向上に対し、重要な役割を持つ。この摩擦トルクのうち、偏荷重や動摩擦トルクなど一定値を持つものについては、フィードバック制御系の積分項で補償できる。しかし、粘性摩擦はモータ速度に比例して変化するため積分補償が間に合わず、位置決め整定時にはオーバーシュートの発生、軌跡制御時には追従精度の悪化を引き起こす。
この粘性摩擦トルクに対する補償手法としては、例えば特許文献1で提案されている。この補償手法は、モータ速度と粘性摩擦トルクの比である粘性摩擦係数を推定する手段を備える。そして、この補償手法は、実際のモータ速度に粘性摩擦係数推定値を乗じた結果の粘性摩擦トルク補償値を、トルク指令に加算するように構成している。また、特許文献2では、摩擦係数推定値に基づき速度積分項フィードフォワードゲインを決定し、これにモデル速度を乗じた結果を積分補償手段の入力から減算することで、摩擦補償を実現している。
しかしながら、特許文献1の技術では、実際のモータ速度を基準としているため、速度の符号に応じて粘性補償トルク推定値の符号が反転する速度零近傍で制御が不安定となりやすい。また、特許文献2の技術では、フィードフォワード処理が生成すべきトルク指令が、等価的に減少することとなる。トルク指令は、位置指令へ追従するために必要であるが、このように等価的に減少するため、位置決め整定時間が長くなり、軌跡追従精度も悪化する。
さらに、いずれの従来例でも粘性摩擦係数の推定値を使用しているが、制御目的によってはこの推定値が最適値とは限らない。例えば、位置決め制御を目的とする場合、この推定値をそのまま使用しても、位置決め整定時間は最短とはならない。この課題に対して従来の技術は、なんら解決の手段を提供してはいない。
特開平7−333084号公報 国際公開第2006/011203号
本発明のモータ駆動装置は、実動作が指令に追従するようにフィードバック制御しながらモータを駆動するモータ駆動装置である。本モータ駆動装置は、トルク指令を出力してフィードバック制御を行うフィードバック制御部と、速度指令に粘性摩擦係数を乗じて粘性摩擦トルク補償値を算出する粘性摩擦算出部とを備える。そして、本モータ駆動装置は、粘性摩擦トルク補償値をトルク指令に加算した駆動信号に基づきモータを駆動する構成である。
また、本モータ駆動装置は、位置指令を平滑化して、フィルタ後位置指令を生成する指令応答フィルタ部をさらに備える。そして、速度指令をフィルタ後位置指令の差分から生成する構成である。
また、本モータ駆動装置は、位置指令とモータ位置あるいは負荷位置を入力してオーバーシュート量や位置決め整定時間を測定する評価指標測定部と、粘性摩擦係数を変化させて、複数回位置決め動作を行い、オーバーシュート量が指定値となるか、位置決め整定時間が最小値となる粘性摩擦係数を決定するサーボ調整部とをさらに備えた構成であってもよい。
本発明のモータ駆動装置によれば、このような構成としているため、モータ速度を用いた従来の粘性摩擦補償よりも遅れが少なく、外乱の影響を受けない安定した補償が可能となる。さらに、位置決め制御において、粘性摩擦推定値をそのまま適用する場合にくらべて、整定時間を短縮することができる。
図1Aは、本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置のブロック図である。 図1Bは、本発明の実施の形態1における粘性摩擦算出部の構成例を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態2におけるモータ駆動装置のブロック図である。 図3は、本発明の実施の形態2における評価指標測定部の概念を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態2におけるサーボ調整部が実行する粘性摩擦の補償処理のフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態2における位置決め整定時波形の図である。 図6は、本発明の実施の形態2における位置決め整定時波形(縦軸を拡大)の図である。 図7は、本発明の実施の形態2における位置決め整定時波形(さらに縦軸を拡大)の図である。 図8は、本発明の実施の形態3におけるサーボ調整部のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1Aは、本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置12を含むブロック図である。
図1Aに示すように、上位コントローラ11で位置を指令するために生成された位置指令Prcは、モータ駆動装置12に入力される。モータ駆動装置12は、位置指令Prcに応じて駆動信号Ddを生成し、駆動信号Ddによってモータ13を駆動する。これにより、モータ13の可動部の位置が制御される。エンコーダ14は、このように制御された可動部の位置を検出し、モータ位置情報Pdとしてモータ駆動装置12に通知する。
また、モータ駆動装置12において、指令応答フィルタ部21は、入力された位置指令Prcを平滑化し、フィルタ後の位置指令であるフィルタ後位置指令Prfを出力する。この平滑化は、高周波数帯域を減衰させる一次遅れフィルタや2次フィルタ、あるいは移動平均フィルタなどを用いて実現している。なお、位置指令Prcの差分に対して指令応答フィルタ処理を行い、必要に応じて積和処理で位置の次元に戻すような構成としてもよい。このような構成とすることで、計算量を低減できる。
フィルタ後位置指令Prfは、エンコーダ14からのモータ位置情報Pdと比較され、これらの差である位置偏差dPをもとにフィードバック制御部22でトルク指令Trが生成される。このフィードバック制御部22は、PID(比例、積分、微分)制御に代表されるさまざまな制御構成が考えられる。また、位置偏差dPだけでなく、位置指令Prcまたはモータ位置情報Pd、およびその微分である速度・加速度の情報に基づいて、位置・速度のカスケードループ構成や、指令応答と外乱応答を個別に設定する2自由度構成など、さまざまなバリエーションが存在する。しかし、いずれも目的として、フィードバック制御部22が、位置偏差を0に近づけるようなトルク指令Trを生成する、という点で共通しており、モータ駆動装置12は、実動作が指令に追従するようにフィードバック制御しながらモータを駆動している。なお、エンコーダ14からのモータ位置情報Pdの代わりに、モータ13に接続した負荷の位置を検出する図示しない外部スケールを備えたフルクローズ構成としてもよい。これにより、外部スケールと位置指令との差である位置偏差をより高精度に計算できる。
次に、粘性摩擦算出部23は、入力のフィルタ後位置指令Prfを用いて、粘性摩擦トルク補償値twを生成し、出力する。図1Bは、粘性摩擦算出部23の構成例を示すブロック図である。図1Bに示すように、粘性摩擦算出部23は、速度指令算出部231によって、まず、位置指令Prfの時間的な差分を算出することで、位置指令Prfを速度指令Srに変換している。すなわち、速度指令算出部231は、位置指令Prfに対する微分などにより、位置指令Prfの時間的な変化量から速度指令Srを算出している。その後、乗算器232によって、速度指令Srに対し、別途手段で推定した粘性摩擦係数Kwを乗じることで、粘性摩擦トルク補償値twを生成し、出力する。なお、速度指令算出部231は粘性摩擦算出部23に備えてもよいが、前述のように、指令応答フィルタ部21を差分で計算した場合はこの差分が利用でき、速度指令算出部231を省くことができる。
本実施の形態では、粘性摩擦トルク補償値twは、実際のモータ速度ではなく、指令のための速度指令Srに基づき生成される。しかも、指令応答フィルタ部21の出力である位置指令Prfを用いて、粘性摩擦トルク補償値twを生成している。このように、本実施の形態では、平滑化された速度指令Srを用いているため、外乱トルクや負荷の共振特性で乱されるモータ速度と比べて、粘性摩擦トルク補償値twが安定する。なお、速度指令Srに対して不感帯を設ける、さらに粘性摩擦算出部23でフィルタ処理を施して平滑化するなどで、さらなる安定化を図ることもできる。
最後に、粘性摩擦トルク補償値twをトルク指令Trに加算して駆動信号Ddとしている。上述したように、粘性摩擦はモータ速度に比例して変化する。このような粘性摩擦に対し、本実施の形態では、速度指令Srに基づく粘性摩擦トルク補償値twを駆動信号Ddに含ませた構成とすることで、実際のモータ13および接続される負荷に存在する粘性摩擦トルク分を補償している。このような補償の機能を設けることで、モータ速度を用いた粘性摩擦補償と比較して遅れが少なく、外乱の影響を受けない安定した補償が可能となる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2におけるモータ駆動装置32を含むブロック図である。
図2において、図1Aと同じ構成要素については同じ符号を付しており詳細な説明は省略する。図2に示す実施の形態2のモータ駆動装置32は、図1Aの構成に加えて、さらに、評価指標測定部24と、サーボ調整部15とを備えている。
評価指標測定部24は、位置指令Prcおよびモータ位置情報Pdを入力として評価指標を出力する。
また、サーボ調整部15は、粘性摩擦算出部23の粘性摩擦係数Kwを変更し、位置決め動作を行うたびに評価指標測定部24から得られる評価指標を取得して、粘性摩擦係数Kwの最適値を決定する。
図3は、本実施の形態における評価指標測定部24の概念を示す図である。
評価指標測定部24は、サーボ調整部15から、オーバーシュート量および位置決め整定時間の2つの評価指標を測定するのに必要な制御信号Cntと測定閾値Thとを受け取る。評価指標の定義や計算方法は多岐にわたるが、ここでは下記で定義する。
位置決め整定時間は、上位コントローラ11からの位置指令Prcが停止したあと、位置指令Prfとモータ位置情報Pdとの差である位置偏差dPが、サーボ調整部15から与えられる位置決め完了範囲以内となるまでの時間として測定している。位置決め完了範囲に一旦入ったあと、範囲から外れてしまう場合には、最後に位置決め完了範囲に入るまでの時間を位置決め整定時間と定義する。
また、オーバーシュート量は、位置偏差dPの最大・最小のうち、位置指令Prcの方向と逆向きのものを選び、その絶対値で定義する。したがって、この定義ではオーバーシュート量は必ず0以上の値となる。また、複数のオーバーシュートが発生している場合は、最も絶対値の大きなピークがオーバーシュート量となる。
図4は、本実施の形態におけるサーボ調整部15が実行する粘性摩擦の補償処理のフローチャートである。
サーボ調整部15は、ステップ1で粘性摩擦算出部23に粘性摩擦係数Kwの初期値を設定する。その後、ステップ2で位置決め動作を実行する。位置決め動作が終わると、ステップ3で評価指標測定部24がオーバーシュート量を算出する。ステップ4では必要な試行回数だけ位置決め動作が行われたかを判定する。必要な試行回数だけ位置決め動作が行われていない(NO)の場合は、ステップ4−1で粘性摩擦係数Kwを変更してステップ2に戻る。ステップ4で、必要な試行回数だけ位置決め動作が行われた(YES)の場合は、ステップ5に移行する。そして、サーボ調整部15は、ステップ5において、各試行におけるオーバーシュート量を指定値と比較し、粘性摩擦係数Kwをオーバーシュート量が指定値以下で最も近い値であった試行時のものに決定する。
このように、本実施の形態では、サーボ調整部15は、オーバーシュート量が指定値以下で最も近い値であった試行時のものとなるような粘性摩擦係数Kwの最適値を決定する。そして、サーボ調整部15は、このように決定した最適な粘性摩擦係数Kwを粘性摩擦算出部23に設定する。
図5から図7は、本実施の形態における位置決め整定時波形を示す波形図である。
この例では、最高速度3000[回転/分]=50[回転/s]の速度指令を、時定数が2[ms]の指令応答フィルタ部21で平滑化し、さらに、フィードバック制御部22において、速度応答周波数50[Hz]で代表される位置比例・速度比例積分制御にフィードフォワード制御を併用した構成による制御結果を示している。図5と図6では粘性摩擦算出部23の粘性摩擦係数Kwは0とし、粘性摩擦補償が無効の場合の波形を表している。
図5では、位置指令Prcの差分から計算した速度指令Sr[回転/s]を実線で、モータ位置情報Pdの差分から計算したモータ速度Sd[回転/s]を破線で表している。モータ速度Sdは、指令応答フィルタ部21により平滑化されたフィルタ後速度指令Prfに従うため、遅延が生じている。これら速度指令Srとモータ速度Sdの差を積分したものが位置偏差dP[回転]となる。
図6は、この位置偏差dP[回転]が見やすいように、図5の縦軸を拡大したものである。位置偏差dPは速度指令Srとほぼ比例して発生している。また、実機に存在する粘性摩擦トルクにより、位置決め整定時にモータ速度Sdがオーバーシュートしていることが分かる。これにより、この図ではまだ分かりにくいが、位置偏差dPにもオーバーシュートが発生している。
図7は、図6よりさらに縦軸を拡大するとともに、横軸の時間軸を、0.105[s]の位置指令停止時点tsから、位置偏差dPが位置決め完了範囲内に入るまでの挙動を見やすいよう拡大した。また、モータ速度Sdは省略するとともに、粘性摩擦算出部23の粘性摩擦係数Kwを0から変化させたときの位置偏差波形を重ねがきした。サーボ調整部15から与えられる位置決め完了範囲は1/1000[回転]とし、図7ではちょうど1目盛りに相当する。
図6までと同じ粘性摩擦補償が無効時の波形は、一番下の粘性摩擦係数Kw=0の波形(点線)である。この設定では、図6に示すように、位置偏差dPが正の値から一旦位置決め完了範囲に入るが、負方向にオーバーシュートして位置決め完了範囲を外れてしまう。そのため、位置決め整定時間は、再び位置決め完了範囲に入るA点の時点となり、38msと非常に長い時間がかかっている。
粘性摩擦係数Kw=5(点線)と大きくすると、オーバーシュート量が小さくなり、位置決め整定時間も短くなる。
粘性摩擦係数Kw=8(実線)にて、初めてオーバーシュート量が位置決め完了範囲未満となる。このとき、位置偏差dPが負側では位置決め完了範囲を越えなくなるため、位置決め整定時間は正方向のB点に移動し、位置決め整定時間が4msと急激に短くなる。
粘性摩擦係数Kw=10(破線)は、制御対象の粘性摩擦係数推定値に最も近い値だが、このときの位置決め整定時間はC点で6msとなり、Kw=8にくらべて2msほど遅くなる。さらに、粘性摩擦係数Kwを12、15、20(すべて破線)と大きくしていくと、位置決め整定時間は再び遅くなってしまう。
以上の知見より、図4のステップ5におけるオーバーシュート量の指定値を、位置決め完了範囲とすることで、位置決め動作における整定時間を最短にできることが分かる。実際の運用においては、位置指令の動作パターンや位置決め完了範囲がさまざまに異なり、粘性摩擦係数の最適値も異なったものとなる。これを探索することで、各動作に最適な設定値を見つけることができる。
なお、位置決め動作において、オーバーシュート量が位置決め完了範囲を越えるのは通常望ましくないため、これを考慮するなら上記指定値にマージンを持たせるのがよい。また、同じ粘性摩擦係数による位置決め動作を複数回実行して、オーバーシュート量の平均値をとって測定ばらつきの影響を抑えるのもよい。さらに、オーバーシュート量の最大値をとって、ばらつきを考慮したマージンの代用とするのもよい。
ステップ1における粘性摩擦係数Kwの初期値の選択には、粘性摩擦を推定する各種アルゴリズムの推定結果を使用するのがよい。例えば、モータ速度とトルク指令を入力とする最小二乗法を用いれば、粘性摩擦係数は容易に推定できる。また、動作波形を観測することで、加速開始時点から加速終了時点までのトルク指令変化をモータ速度変化で除することでも、粘性摩擦係数の推定は可能である。
ステップ2の位置決め動作実行は、本実施の形態では上位コントローラ11より与えられる位置指令Prcで行われるが、位置指令生成部を内蔵するモータ駆動装置12であれば、これを自ら作り出したほうが、位置決め動作や評価指標測定の制御を行いやすいことはいうまでもない。
ステップ4−1における粘性摩擦係数の変更では、上記の例によるように、推定値Kw=10を中心に0から推定値の2倍の20までを振るといった方法のほかにも、最初から一定の刻み値で粘性摩擦係数を0から変えていく、あるいは2分探索を用いて粘性摩擦係数を探索するなど、さまざまな探索方法が考えられる。
(実施の形態3)
図8は実施の形態3におけるサーボ調整部15が実行する粘性摩擦の補償処理のフローチャートである。
ステップ1、2、4、4−1については図4と同じだが、本実施の形態では、ステップ3で評価指標測定部24は位置決め整定時間を測定する。また、試行回数実行後に、ステップ5では位置決め整定時間が最小となる粘性摩擦係数Kwを出力する。
このように、本実施の形態では、サーボ調整部15は、位置決め整定時間が最小となるような粘性摩擦係数Kwの最適値を決定する。そして、サーボ調整部15は、このように決定した最適な粘性摩擦係数Kwを粘性摩擦算出部23に設定する。
この方法でも、図7の位置決め整定時間の変化とあわせてみると分かるように、実施の形態2と同じ粘性摩擦係数Kw=8が選択される。この方法の利点は、低周波数域の共振点が存在する場合などで位置偏差が振動的となり、オーバーシュート量が位置決め完了範囲内に収まらない場合でも、位置決め整定時間を基準とした最適値を算出できることにある。したがって、実施の形態2の方法と併用するのもよい。
以上、本発明のモータ駆動装置は、平滑化された速度指令を用いた粘性摩擦補償を行うことで、モータ速度を用いた粘性摩擦補償より遅れが少なく、外乱の影響を受けない安定した補償が可能となる。また、位置決め制御においては、粘性摩擦推定値をそのまま適用する場合にくらべて、整定時間を短縮することができる。
なお、本発明で述べたサーボ調整部15は、各実施の形態でモータ駆動装置の内部に設けた一例を挙げて説明したが、すべての機能をモータ駆動装置の外部に設けてもなんら発明の効果を妨げるものではない。
本発明のモータ駆動装置は、サーボモータの制御において、適切な粘性摩擦補償ができるため、サーボモータを制御するモータ駆動装置として有用である。
11 上位コントローラ
12,32 モータ駆動装置
13 モータ
14 エンコーダ
15 サーボ調整部
21 指令応答フィルタ部
22 フィードバック制御部
23 粘性摩擦算出部
24 評価指標測定部
本発明は、サーボモータを制御駆動するモータ駆動装置に関し、特に、粘性摩擦補償の機能を備えたモータ駆動装置に関する。
サーボモータの制御において、モータや負荷の動作に伴い発生する摩擦トルクを適切に補償することは、位置決め整定時間の短縮や軌跡追従精度の向上に対し、重要な役割を持つ。この摩擦トルクのうち、偏荷重や動摩擦トルクなど一定値を持つものについては、フィードバック制御系の積分項で補償できる。しかし、粘性摩擦はモータ速度に比例して変化するため積分補償が間に合わず、位置決め整定時にはオーバーシュートの発生、軌跡制御時には追従精度の悪化を引き起こす。
この粘性摩擦トルクに対する補償手法としては、例えば特許文献1で提案されている。この補償手法は、モータ速度と粘性摩擦トルクの比である粘性摩擦係数を推定する手段を備える。そして、この補償手法は、実際のモータ速度に粘性摩擦係数推定値を乗じた結果の粘性摩擦トルク補償値を、トルク指令に加算するように構成している。また、特許文献2では、摩擦係数推定値に基づき速度積分項フィードフォワードゲインを決定し、これにモデル速度を乗じた結果を積分補償手段の入力から減算することで、摩擦補償を実現している。
しかしながら、特許文献1の技術では、実際のモータ速度を基準としているため、速度の符号に応じて粘性補償トルク推定値の符号が反転する速度零近傍で制御が不安定となりやすい。また、特許文献2の技術では、フィードフォワード処理が生成すべきトルク指令が、等価的に減少することとなる。トルク指令は、位置指令へ追従するために必要であるが、このように等価的に減少するため、位置決め整定時間が長くなり、軌跡追従精度も悪化する。
さらに、いずれの従来例でも粘性摩擦係数の推定値を使用しているが、制御目的によってはこの推定値が最適値とは限らない。例えば、位置決め制御を目的とする場合、この推定値をそのまま使用しても、位置決め整定時間は最短とはならない。この課題に対して従来の技術は、なんら解決の手段を提供してはいない。
特開平7−333084号公報 国際公開第2006/011203号
本発明のモータ駆動装置は、実動作が指令に追従するようにフィードバック制御しながらモータを駆動するモータ駆動装置である。本モータ駆動装置は、トルク指令を出力してフィードバック制御を行うフィードバック制御部と、速度指令に粘性摩擦係数を乗じて粘性摩擦トルク補償値を算出する粘性摩擦算出部とを備える。そして、本モータ駆動装置は、粘性摩擦トルク補償値をトルク指令に加算した駆動信号に基づきモータを駆動する構成である。
また、本モータ駆動装置は、位置指令を平滑化して、フィルタ後位置指令を生成する指令応答フィルタ部をさらに備える。そして、速度指令をフィルタ後位置指令の差分から生成する構成である。
また、本モータ駆動装置は、位置指令とモータ位置あるいは負荷位置を入力してオーバーシュート量や位置決め整定時間を測定する評価指標測定部と、粘性摩擦係数を変化させて、複数回位置決め動作を行い、オーバーシュート量が指定値となるか、位置決め整定時間が最小値となる粘性摩擦係数を決定するサーボ調整部とをさらに備えた構成であってもよい。
本発明のモータ駆動装置によれば、このような構成としているため、モータ速度を用いた従来の粘性摩擦補償よりも遅れが少なく、外乱の影響を受けない安定した補償が可能となる。さらに、位置決め制御において、粘性摩擦推定値をそのまま適用する場合にくらべて、整定時間を短縮することができる。
図1Aは、本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置のブロック図である。 図1Bは、本発明の実施の形態1における粘性摩擦算出部の構成例を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態2におけるモータ駆動装置のブロック図である。 図3は、本発明の実施の形態2における評価指標測定部の概念を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態2におけるサーボ調整部が実行する粘性摩擦の補償処理のフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態2における位置決め整定時波形の図である。 図6は、本発明の実施の形態2における位置決め整定時波形(縦軸を拡大)の図である。 図7は、本発明の実施の形態2における位置決め整定時波形(さらに縦軸を拡大)の図である。 図8は、本発明の実施の形態3におけるサーボ調整部のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1Aは、本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置12を含むブロック図である。
図1Aに示すように、上位コントローラ11で位置を指令するために生成された位置指令Prcは、モータ駆動装置12に入力される。モータ駆動装置12は、位置指令Prcに応じて駆動信号Ddを生成し、駆動信号Ddによってモータ13を駆動する。これにより、モータ13の可動部の位置が制御される。エンコーダ14は、このように制御された可動部の位置を検出し、モータ位置情報Pdとしてモータ駆動装置12に通知する。
また、モータ駆動装置12において、指令応答フィルタ部21は、入力された位置指令Prcを平滑化し、フィルタ後の位置指令であるフィルタ後位置指令Prfを出力する。この平滑化は、高周波数帯域を減衰させる一次遅れフィルタや2次フィルタ、あるいは移動平均フィルタなどを用いて実現している。なお、位置指令Prcの差分に対して指令応答フィルタ処理を行い、必要に応じて積和処理で位置の次元に戻すような構成としてもよい。このような構成とすることで、計算量を低減できる。
フィルタ後位置指令Prfは、エンコーダ14からのモータ位置情報Pdと比較され、これらの差である位置偏差dPをもとにフィードバック制御部22でトルク指令Trが生成される。このフィードバック制御部22は、PID(比例、積分、微分)制御に代表されるさまざまな制御構成が考えられる。また、位置偏差dPだけでなく、位置指令Prcまたはモータ位置情報Pd、およびその微分である速度・加速度の情報に基づいて、位置・速度のカスケードループ構成や、指令応答と外乱応答を個別に設定する2自由度構成など、さまざまなバリエーションが存在する。しかし、いずれも目的として、フィードバック制御部22が、位置偏差を0に近づけるようなトルク指令Trを生成する、という点で共通しており、モータ駆動装置12は、実動作が指令に追従するようにフィードバック制御しながらモータを駆動している。なお、エンコーダ14からのモータ位置情報Pdの代わりに、モータ13に接続した負荷の位置を検出する図示しない外部スケールを備えたフルクローズ構成としてもよい。これにより、外部スケールと位置指令との差である位置偏差をより高精度に計算できる。
次に、粘性摩擦算出部23は、入力のフィルタ後位置指令Prfを用いて、粘性摩擦トルク補償値twを生成し、出力する。図1Bは、粘性摩擦算出部23の構成例を示すブロック図である。図1Bに示すように、粘性摩擦算出部23は、速度指令算出部231によって、まず、位置指令Prfの時間的な差分を算出することで、位置指令Prfを速度指令Srに変換している。すなわち、速度指令算出部231は、位置指令Prfに対する微分などにより、位置指令Prfの時間的な変化量から速度指令Srを算出している。その後、乗算器232によって、速度指令Srに対し、別途手段で推定した粘性摩擦係数Kwを乗じることで、粘性摩擦トルク補償値twを生成し、出力する。なお、速度指令算出部231は粘性摩擦算出部23に備えてもよいが、前述のように、指令応答フィルタ部21を差分で計算した場合はこの差分が利用でき、速度指令算出部231を省くことができる。
本実施の形態では、粘性摩擦トルク補償値twは、実際のモータ速度ではなく、指令のための速度指令Srに基づき生成される。しかも、指令応答フィルタ部21の出力である位置指令Prfを用いて、粘性摩擦トルク補償値twを生成している。このように、本実施の形態では、平滑化された速度指令Srを用いているため、外乱トルクや負荷の共振特性で乱されるモータ速度と比べて、粘性摩擦トルク補償値twが安定する。なお、速度指令Srに対して不感帯を設ける、さらに粘性摩擦算出部23でフィルタ処理を施して平滑化するなどで、さらなる安定化を図ることもできる。
最後に、粘性摩擦トルク補償値twをトルク指令Trに加算して駆動信号Ddとしている。上述したように、粘性摩擦はモータ速度に比例して変化する。このような粘性摩擦に対し、本実施の形態では、速度指令Srに基づく粘性摩擦トルク補償値twを駆動信号Ddに含ませた構成とすることで、実際のモータ13および接続される負荷に存在する粘性摩擦トルク分を補償している。このような補償の機能を設けることで、モータ速度を用いた粘性摩擦補償と比較して遅れが少なく、外乱の影響を受けない安定した補償が可能となる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2におけるモータ駆動装置32を含むブロック図である。
図2において、図1Aと同じ構成要素については同じ符号を付しており詳細な説明は省略する。図2に示す実施の形態2のモータ駆動装置32は、図1Aの構成に加えて、さらに、評価指標測定部24と、サーボ調整部15とを備えている。
評価指標測定部24は、位置指令Prcおよびモータ位置情報Pdを入力として評価指標を出力する。
また、サーボ調整部15は、粘性摩擦算出部23の粘性摩擦係数Kwを変更し、位置決め動作を行うたびに評価指標測定部24から得られる評価指標を取得して、粘性摩擦係数Kwの最適値を決定する。
図3は、本実施の形態における評価指標測定部24の概念を示す図である。
評価指標測定部24は、サーボ調整部15から、オーバーシュート量および位置決め整定時間の2つの評価指標を測定するのに必要な制御信号Cntと測定閾値Thとを受け取る。評価指標の定義や計算方法は多岐にわたるが、ここでは下記で定義する。
位置決め整定時間は、上位コントローラ11からの位置指令Prcが停止したあと、位置指令Prfとモータ位置情報Pdとの差である位置偏差dPが、サーボ調整部15から与えられる位置決め完了範囲以内となるまでの時間として測定している。位置決め完了範囲に一旦入ったあと、範囲から外れてしまう場合には、最後に位置決め完了範囲に入るまでの時間を位置決め整定時間と定義する。
また、オーバーシュート量は、位置偏差dPの最大・最小のうち、位置指令Prcの方向と逆向きのものを選び、その絶対値で定義する。したがって、この定義ではオーバーシュート量は必ず0以上の値となる。また、複数のオーバーシュートが発生している場合は、最も絶対値の大きなピークがオーバーシュート量となる。
図4は、本実施の形態におけるサーボ調整部15が実行する粘性摩擦の補償処理のフローチャートである。
サーボ調整部15は、ステップ1で粘性摩擦算出部23に粘性摩擦係数Kwの初期値を設定する。その後、ステップ2で位置決め動作を実行する。位置決め動作が終わると、ステップ3で評価指標測定部24がオーバーシュート量を算出する。ステップ4では必要な試行回数だけ位置決め動作が行われたかを判定する。必要な試行回数だけ位置決め動作が行われていない(NO)の場合は、ステップ4−1で粘性摩擦係数Kwを変更してステップ2に戻る。ステップ4で、必要な試行回数だけ位置決め動作が行われた(YES)の場合は、ステップ5に移行する。そして、サーボ調整部15は、ステップ5において、各試行におけるオーバーシュート量を指定値と比較し、粘性摩擦係数Kwをオーバーシュート量が指定値以下で最も近い値であった試行時のものに決定する。
このように、本実施の形態では、サーボ調整部15は、オーバーシュート量が指定値以下で最も近い値であった試行時のものとなるような粘性摩擦係数Kwの最適値を決定する。そして、サーボ調整部15は、このように決定した最適な粘性摩擦係数Kwを粘性摩擦算出部23に設定する。
図5から図7は、本実施の形態における位置決め整定時波形を示す波形図である。
この例では、最高速度3000[回転/分]=50[回転/s]の速度指令を、時定数が2[ms]の指令応答フィルタ部21で平滑化し、さらに、フィードバック制御部22において、速度応答周波数50[Hz]で代表される位置比例・速度比例積分制御にフィードフォワード制御を併用した構成による制御結果を示している。図5と図6では粘性摩擦算出部23の粘性摩擦係数Kwは0とし、粘性摩擦補償が無効の場合の波形を表している。
図5では、位置指令Prcの差分から計算した速度指令Sr[回転/s]を実線で、モータ位置情報Pdの差分から計算したモータ速度Sd[回転/s]を破線で表している。モータ速度Sdは、指令応答フィルタ部21により平滑化されたフィルタ後速度指令Prfに従うため、遅延が生じている。これら速度指令Srとモータ速度Sdの差を積分したものが位置偏差dP[回転]となる。
図6は、この位置偏差dP[回転]が見やすいように、図5の縦軸を拡大したものである。位置偏差dPは速度指令Srとほぼ比例して発生している。また、実機に存在する粘性摩擦トルクにより、位置決め整定時にモータ速度Sdがオーバーシュートしていることが分かる。これにより、この図ではまだ分かりにくいが、位置偏差dPにもオーバーシュートが発生している。
図7は、図6よりさらに縦軸を拡大するとともに、横軸の時間軸を、0.105[s]の位置指令停止時点tsから、位置偏差dPが位置決め完了範囲内に入るまでの挙動を見やすいよう拡大した。また、モータ速度Sdは省略するとともに、粘性摩擦算出部23の粘性摩擦係数Kwを0から変化させたときの位置偏差波形を重ねがきした。サーボ調整部15から与えられる位置決め完了範囲は1/1000[回転]とし、図7ではちょうど1目盛りに相当する。
図6までと同じ粘性摩擦補償が無効時の波形は、一番下の粘性摩擦係数Kw=0の波形(点線)である。この設定では、図6に示すように、位置偏差dPが正の値から一旦位置決め完了範囲に入るが、負方向にオーバーシュートして位置決め完了範囲を外れてしまう。そのため、位置決め整定時間は、再び位置決め完了範囲に入るA点の時点となり、38msと非常に長い時間がかかっている。
粘性摩擦係数Kw=5(点線)と大きくすると、オーバーシュート量が小さくなり、位置決め整定時間も短くなる。
粘性摩擦係数Kw=8(実線)にて、初めてオーバーシュート量が位置決め完了範囲未満となる。このとき、位置偏差dPが負側では位置決め完了範囲を越えなくなるため、位置決め整定時間は正方向のB点に移動し、位置決め整定時間が4msと急激に短くなる。
粘性摩擦係数Kw=10(破線)は、制御対象の粘性摩擦係数推定値に最も近い値だが、このときの位置決め整定時間はC点で6msとなり、Kw=8にくらべて2msほど遅くなる。さらに、粘性摩擦係数Kwを12、15、20(すべて破線)と大きくしていくと、位置決め整定時間は再び遅くなってしまう。
以上の知見より、図4のステップ5におけるオーバーシュート量の指定値を、位置決め完了範囲とすることで、位置決め動作における整定時間を最短にできることが分かる。実際の運用においては、位置指令の動作パターンや位置決め完了範囲がさまざまに異なり、粘性摩擦係数の最適値も異なったものとなる。これを探索することで、各動作に最適な設定値を見つけることができる。
なお、位置決め動作において、オーバーシュート量が位置決め完了範囲を越えるのは通常望ましくないため、これを考慮するなら上記指定値にマージンを持たせるのがよい。また、同じ粘性摩擦係数による位置決め動作を複数回実行して、オーバーシュート量の平均値をとって測定ばらつきの影響を抑えるのもよい。さらに、オーバーシュート量の最大値をとって、ばらつきを考慮したマージンの代用とするのもよい。
ステップ1における粘性摩擦係数Kwの初期値の選択には、粘性摩擦を推定する各種アルゴリズムの推定結果を使用するのがよい。例えば、モータ速度とトルク指令を入力とする最小二乗法を用いれば、粘性摩擦係数は容易に推定できる。また、動作波形を観測することで、加速開始時点から加速終了時点までのトルク指令変化をモータ速度変化で除することでも、粘性摩擦係数の推定は可能である。
ステップ2の位置決め動作実行は、本実施の形態では上位コントローラ11より与えられる位置指令Prcで行われるが、位置指令生成部を内蔵するモータ駆動装置12であれば、これを自ら作り出したほうが、位置決め動作や評価指標測定の制御を行いやすいことはいうまでもない。
ステップ4−1における粘性摩擦係数の変更では、上記の例によるように、推定値Kw=10を中心に0から推定値の2倍の20までを振るといった方法のほかにも、最初から一定の刻み値で粘性摩擦係数を0から変えていく、あるいは2分探索を用いて粘性摩擦係数を探索するなど、さまざまな探索方法が考えられる。
(実施の形態3)
図8は実施の形態3におけるサーボ調整部15が実行する粘性摩擦の補償処理のフローチャートである。
ステップ1、2、4、4−1については図4と同じだが、本実施の形態では、ステップ3で評価指標測定部24は位置決め整定時間を測定する。また、試行回数実行後に、ステップ5では位置決め整定時間が最小となる粘性摩擦係数Kwを出力する。
このように、本実施の形態では、サーボ調整部15は、位置決め整定時間が最小となるような粘性摩擦係数Kwの最適値を決定する。そして、サーボ調整部15は、このように決定した最適な粘性摩擦係数Kwを粘性摩擦算出部23に設定する。
この方法でも、図7の位置決め整定時間の変化とあわせてみると分かるように、実施の形態2と同じ粘性摩擦係数Kw=8が選択される。この方法の利点は、低周波数域の共振点が存在する場合などで位置偏差が振動的となり、オーバーシュート量が位置決め完了範囲内に収まらない場合でも、位置決め整定時間を基準とした最適値を算出できることにある。したがって、実施の形態2の方法と併用するのもよい。
以上、本発明のモータ駆動装置は、平滑化された速度指令を用いた粘性摩擦補償を行うことで、モータ速度を用いた粘性摩擦補償より遅れが少なく、外乱の影響を受けない安定した補償が可能となる。また、位置決め制御においては、粘性摩擦推定値をそのまま適用する場合にくらべて、整定時間を短縮することができる。
なお、本発明で述べたサーボ調整部15は、各実施の形態でモータ駆動装置の内部に設けた一例を挙げて説明したが、すべての機能をモータ駆動装置の外部に設けてもなんら発明の効果を妨げるものではない。
本発明のモータ駆動装置は、サーボモータの制御において、適切な粘性摩擦補償ができるため、サーボモータを制御するモータ駆動装置として有用である。
11 上位コントローラ
12,32 モータ駆動装置
13 モータ
14 エンコーダ
15 サーボ調整部
21 指令応答フィルタ部
22 フィードバック制御部
23 粘性摩擦算出部
24 評価指標測定部

Claims (4)

  1. 実動作が指令に追従するようにフィードバック制御しながらモータを駆動するモータ駆動装置であって、
    トルク指令を出力して前記フィードバック制御を行うフィードバック制御部と、
    速度指令に粘性摩擦係数を乗じて粘性摩擦トルク補償値を算出する粘性摩擦算出部とを備え、
    粘性摩擦トルク補償値を前記トルク指令に加算した駆動信号に基づき前記モータを駆動することを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 前記指令としての位置指令を平滑化して、フィルタ後位置指令を生成する指令応答フィルタ部をさらに備え、
    前記速度指令を、前記フィルタ後位置指令の差分から生成することを特徴とする、請求項1に記載のモータ駆動装置。
  3. 前記位置指令とモータ位置あるいは負荷位置とを入力してオーバーシュート量を測定する評価指標測定部と、
    前記粘性摩擦係数を変化させて、複数回位置決め動作を行い、オーバーシュート量が指定値となる粘性摩擦係数を決定するサーボ調整部とをさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載のモータ駆動装置。
  4. 前記位置指令とモータ位置あるいは負荷位置とを入力して位置決め整定時間を測定する評価指標測定部と、
    前記粘性摩擦係数を変化させて、複数回位置決め動作を行い、位置決め整定時間が最小となる粘性摩擦係数を決定するサーボ調整部とをさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載のモータ駆動装置。
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