JPWO2014157257A1 - 細胞の選別方法 - Google Patents

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Abstract

腫瘍リスクの低減された多能性幹細胞由来の分化細胞の提供。未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団から、未分化細胞を除去もしくは低減する方法であって、該分化細胞集団に色素上皮由来因子を接触させて、未分化細胞のアポトーシスを誘導することを含む、方法。該方法により得られる未分化細胞を実質的に含まない分化細胞集団を含有してなる、細胞移植療法剤。色素上皮由来因子を含有してなる、未分化細胞のアポトーシス誘導剤。前記細胞移植療法剤と前記アポトーシス誘導剤との併用。

Description

本発明は、細胞の選別方法、より具体的には、未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団から、未分化細胞を除去もしくは低減することにより、分化細胞を選抜・純化する方法に関する。本発明はまた、前記方法のための未分化細胞除去剤、前記方法により得られる、腫瘍化リスクのない均一で安全な分化細胞からなる細胞移植療法剤に関する。
再生医療の臨床応用が研究されている昨今、iPS細胞やES細胞といった多能性幹細胞から所望の細胞に分化誘導することが盛んに行われている。実際に、シュタルガルト病やドライ型加齢黄斑変性に対するES細胞由来RPE(retinal pigment epithelium:網膜色素上皮)細胞を用いた臨床試験が既に開始されている。またウェット型加齢黄斑変性に対する自己iPS細胞(iPSC)由来RPE細胞を用いた臨床試験も、幾つかのグループによって計画されている。
しかしながら、iPS細胞やES細胞といった多能性幹細胞はしばしばその増殖において癌化が認められ、多能性幹細胞由来の分化細胞においては、残存した未分化のiPS細胞やES細胞に起因する腫瘍形成の有無を注意深く評価する必要がある。この点は、免疫学的障壁の無い自己iPSC由来細胞や組織を移植する場合の、最大の問題となっている。すなわち分化誘導された細胞や組織を実用化する上で、残存する未分化細胞を除き、分化細胞を純化することが極めて重要である。本発明者らは、iPSC由来RPE細胞における残存iPS細胞を高感度で検出する方法を報告している(非特許文献1)。しかしながら、より効率的にインビトロで残存未分化細胞を除く方法が求められていた。
ところで、多能性幹細胞やそれに由来する分化細胞が分泌するサイトカインや細胞外マトリックス、補体因子等の研究もなされている。なかでもPEDF(pigment epithelium-derived factor:色素上皮由来因子)は、RPE細胞が分泌するタンパク質として発見された、Serpin F1としても知られる50kDaの分泌タンパク質であり、血管新生抑制作用(非特許文献2)や神経保護作用(非特許文献3)を有する因子である。PEDFはRPE細胞だけでなく、脂肪細胞や肝細胞、樹状細胞でも分泌が認められる(BioGPS site)。またPEDFは、癌細胞(非特許文献4)、血管内皮細胞(非特許文献5)やヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)(非特許文献6)において、アポトーシスを誘導することが知られており、これらのアポトーシスの誘導経路としては、FAS/FASL経路(非特許文献4)や、p38 MAPK経路が挙げられている(非特許文献5)。しかしながら、PEDFが未分化細胞に与える直接的な影響については、未だ良く知られていない。
Kuroda T. et al., PLoS ONE, 7(5): e37342 (2012) Notari, L. et al., J. Biol. Chem., 281(49): 38022-37 (2006) Cai, J. et al., J. Biol. Chem., 281(6): 3604-13 (2006) Cancer Res., 64(16): 5632-42 (2004) Chen, L. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 348(4): 1288-95 (2006) Cardiovasc. Res., 78(1): 199 (2008)
FACSを応用する手法など様々な細胞分別方法が提唱されているが、容易かつ安価に分化細胞と未分化細胞とを選別する方法が求められている。
本発明者らは、RPE細胞が分泌するPEDFがiPS細胞の増殖を阻害し、アポトーシスを誘導することを発見した。この現象はRPE細胞との共培養でも、組換えPEDF(rPEDF)の投与によっても観察された。さらに本発明者らは、このアポトーシスの経路の一部にp38 MAPKが関与していることや、ES細胞でも同様のアポトーシスが観察されることを発見した。
本発明者らはこれらの発見に基づきさらに鋭意検討し、本願発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団から、未分化細胞を除去もしくは低減する方法であって、該分化細胞集団に色素上皮由来因子を接触させることを含む、方法。
[2]未分化細胞が、三胚葉系列への分化能を有する多能性幹細胞である、上記[1]に記載の方法。
[3]未分化細胞が、さらにLin28、Oct3/4及びNanogからなる群より選択される1以上の未分化マーカーを発現するものである、上記[2]に記載の方法。
[4]未分化細胞が、iPS細胞またはES細胞である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]未分化細胞のアポトーシスを誘導する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]分化細胞のアポトーシスを誘導しないことを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[7]分化細胞が、血管内皮細胞以外の分化細胞である、上記[6]に記載の方法。
[8]分化細胞集団が、未分化細胞から分化誘導して得られたものである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の方法により得られる未分化細胞を実質的に含まない分化細胞集団を含有してなる、細胞移植療法剤。
[10]色素上皮由来因子を含有してなる、未分化細胞のアポトーシス誘導剤。
[11]未分化細胞が、三胚葉系列への分化能を有する多能性幹細胞である、上記[10]に記載の剤。
[12]未分化細胞が、さらにLin28、Oct3/4及びNanogからなる群より選択される1以上の未分化マーカーを発現するものである、上記[11]に記載の剤。
[13]未分化細胞が、iPS細胞またはES細胞である、上記[10]〜[12]のいずれかに記載の剤。
[14]分化細胞のアポトーシスを誘導しないことを特徴とする、上記[10]〜[13]のいずれかに記載の剤。
[15]分化細胞が、血管内皮細胞以外の分化細胞である、上記[14]に記載の剤。
[16]上記[10]〜[15]のいずれかに記載の剤を組み合わせてなる、上記[9]に記載の細胞移植療法剤。
本発明によれば、分化細胞集団に混入する未分化細胞を、分化細胞から分別することなく排除することができるので、容易かつ安価に分化細胞を純化することができる。このようにして得られる未分化細胞を実質的に含有しない分化細胞集団は、腫瘍化リスクが低減された安全な移植細胞のソースとなり得る。
iPS細胞由来の色素上皮細胞の特性解析結果を示す図である。(A)iPSクローンからのRPE分化のプロトコルを示す。(B)初代RPE細胞(左パネル)及びiPSクローン253G1由来のRPE細胞(右パネル)の位相差像を示す。スケールバー=50 μm。(C)定量的RT-PCRにより検出された多能性関連の未分化マーカー遺伝子(Lin28及びOct3/4)及びRPE細胞特異的遺伝子(RPE65、CRALBP及びベストロフィン)の発現を示す。GAPDHを内部標準として用いた。(D)タイトジャンクションタンパク質ZO-1の免疫蛍光染色を示す。2次抗体Alexa488を用いて染色を可視化した。スケールバー=50 μm。 iPS細胞由来のRPE細胞と共培養するとiPS細胞の増殖が阻害されることを示す図である。(A)iPS細胞とRPE細胞との共培養の模式図を示す。(B)マトリゲルコーティングした培養インサート中でiPS細胞を維持し、iPS細胞培地中、ディッシュの底に播種したiPSC由来RPE細胞と共培養した。12-トランスウェル中で単独培養(上パネル)又は253G1由来RPE細胞と共培養(下パネル)したiPS細胞253G1の培養2、4、6及び8日目の位相差像を示す。(C)253G1細胞由来のRPE細胞と共培養した、又は単独培養したiPSクローン253G1の生育曲線を示す。培養0、4、8及び12日目の12-トランスウェル中のiPSクローン253G1の細胞数を計数した。3回の独立した実験の平均値をプロットし、標準偏差を表わすエラーバーとともに、折れ線グラフとして示した。 iPS細胞由来のRPE細胞と共培養するとiPS細胞にアポトーシスが誘導されることを示す図である。(D)TUNELアッセイによりアポトーシス細胞死を調べ、緑色スポット(円内)として可視化した(培養6日目)。(E)単独培養又は253G1由来RPE細胞と共培養した253G1細胞のDAPI陽性細胞に対するTUNEL陽性細胞のパーセンテージを示す。結果は4回の独立した実験の平均値及び標準偏差(エラーバー)で示す。(F)253G1細胞由来のRPE細胞と共培養した253G1細胞は培養6日目で未分化マーカーOct3/4の発現を著しく損なった。培養6日目に細胞を固定し、Oct3/4に対する抗体で染色した後、2次抗体Alexa488(緑色、右パネル)で可視化した。核はDAPI染色した(青色、左パネル)。(G)253G1由来RPE細胞と共培養した253G1におけるLin28、Oct3/4及びNanogのmRNAレベルを、定量的RT-PCRで測定した。GAPDHを内部標準として用い、3遺伝子のmRNAレベルを補正した。3回の独立した実験の結果を示す。単独培養した253G1細胞における各mRNAレベルに対する減少割合(平均値)を標準偏差(エラーバー)とともに示した。 初代RPE細胞と共培養するとiPS細胞の増殖が阻害されることを示す図である。(A)iPS細胞とRPE細胞との共培養の模式図を示す。(B)12-トランスウェル中で単独培養(上パネル)又は初代RPEと共培養(下パネル)したiPS細胞253G1の培養2、4、6及び8日目の位相差像を示す。(C)初代RPE細胞と共培養した、又は単独培養したiPSクローン253G1の生育曲線を示す。培養0、4、8及び12日目の12-トランスウェル中のiPSクローン253G1の細胞数を計数した。3回の独立した実験の平均値をプロットし、標準偏差を表わすエラーバーとともに、折れ線グラフとして示した。 RPE細胞との共培養により誘導されるiPS細胞死が抗PEDF抗体の添加により阻止されることを示す図である。(A)253G1馴化培地(253G1 sup)及び253G1由来RPE馴化培地(253G1 derived-RPE sup)の抗PEDF抗体を用いたウェスタンブロットを示す。iPS細胞培地のみ及び組換えPEDFをそれぞれ陰性対照及び陽性対照として用いた。抗PEDF抗体により検出されたPEDFを矢印で示す。(B)初代RPE細胞又は253G1由来RPE細胞馴化培地中のPEDF量をELISAにて測定した。3回の独立した実験の平均値及び標準偏差(エラーバー)を示す。(C)対照IgG1(上パネル)又は抗PEDF抗体(下パネル)の存在下で、253G1由来RPE細胞と共培養したiPSクローン253G1の、培養2、4、6及び8日目の位相差像を示す。 RPE細胞との共培養により誘導されるiPS細胞死が抗PEDF抗体の添加により阻止されることを示す図である。(D)対照IgG1又は抗PEDF抗体の存在下で、253G1由来RPE細胞と共培養したiPSクローン253G1の、培養6日目の細胞数を計数し、試薬なしで単独培養した253G1の細胞数に対する割合で示した。4回の独立した実験の平均値及び標準偏差(エラーバー)を示す。(E)対照IgG1(中パネル)又は抗PEDF抗体(下パネル)の存在下で、253G1由来RPE細胞と共培養したiPSクローン253G1の、培養6日目におけるアポトーシス細胞死をTUNELアッセイにて調べ、緑色スポット(円内)として可視化した。試薬なしで単独培養したiPSクローン253G1(上パネル)を対照として用いた。(F)対照IgG1又は抗PEDF抗体の存在下で、253G1由来RPE細胞と共培養した253G1の、培養6日目におけるDAPI陽性細胞あたりのTUNELアッセイ陽性細胞のパーセンテージを示す。4回の独立した実験の平均値及び標準偏差(エラーバー)を示す。 (G)253G1由来RPE細胞と共培養した253G1細胞は、培養6日目に未分化マーカーOct3/4の発現を著しく損なった。培養6日目に細胞を固定し、Oct3/4に対する抗体で染色した後、2次抗体Alexa 488(緑色、右パネル)で可視化した。核はDAPI染色した(青色、左パネル)。(H)対照IgG1又は抗PEDF抗体の存在下で、253G1由来RPE細胞と共培養した253G1細胞におけるLin28、Oct3/4及びNanogのmRNAレベルを、定量的RT-PCRで測定した。GAPDHを内部標準として用い、mRNAの発現レベルを補正した。3回の独立した実験の結果を示す。試薬なしで単独培養した253G1細胞における各mRNAレベルに対する減少割合(平均値)を標準偏差(エラーバー)とともに示した。 組換えPEDF(rPEDF)がiPS細胞におけるアポトーシス細胞死を誘導することを示す図である。(A)rPEDF(50 μg/ml)存在下又は非存在下で培養したiPSクローン253G1の、培養4日目における位相差像を示す。(B)rPEDF(50 μg/ml)存在下又は非存在下で培養したiPSクローン253G1の、培養4日目における細胞数の変化を、培養開始時の細胞数に対する割合で示した。3回の独立した実験の結果を平均値及び標準偏差(エラーバー)で示す。(C)rPEDF(50 μg/ml)存在下又は非存在下で培養したiPSクローン253G1の、培養4日目におけるアポトーシス細胞死をTUNELアッセイにて調べ、緑色スポット(円内)として可視化した(右)。DAPI染色像(左)も示す。(D)rPEDF存在下又は非存在下で培養した場合の、DAPI陽性細胞あたりのTUNEL陽性細胞のパーセンテージを、3回の独立した実験の平均値±標準偏差として示す。(E)rPEDF(50 μg/ml)存在下又は非存在下で培養した253G1細胞の、培養4日目におけるLin28、Oct3/4及びNanogのmRNA発現を、定量的RT-PCRにて測定した。GAPDHをmRNAの発現レベルを校正するための内部標準として用いた。rPEDF存在下で培養した場合の各遺伝子のmRNA発現レベルを、rPEDF非存在下で培養した場合の発現レベルに対する割合として示す。3回の独立した実験の結果を平均値及び標準偏差(エラーバー)で示す。 PEDFを介したiPSCに対するアポトーシス誘導に、p38 MAPK及びカスパーゼ-3の経路が関与していることを示す図である。(F)6時間血清飢餓処理したiPSC(-)、PEDFの添加から5分後もしくは15分後のiPSC中のリン酸化p38 MAPK(P-p38)又はp38 MAPK(P38)を、特異抗体を用いたウェスタンブロッティングにより検出した。p38を内部標準として用いた(左パネル)。血清飢餓処理したiPSC(-)、PEDF及びDMSO又はPEDFとp38阻害剤(SB203580)の添加から10分後のiPSC中のリン酸化p38 MAPK(P-p38)又はp38 MAPK(P38)を、ウェスタンブロッティングにより検出した(右パネル)。(G)血清飢餓処理したiPSC(-)、PEDFの添加から5分後もしくは15分後のiPSC中のプロカスパーゼ-3及び活性化カスパーゼ-3を、特異抗体を用いたウェスタンブロッティングにより検出した。 PEDFがヒトES細胞(KhES-1)にアポトーシス細胞死を誘導することを示す図である。50 μg/ml rPEDF存在下(下段)又は非存在下(上段)でKhES-1細胞を培養し、培養4日目におけるKhES-1細胞のアポトーシス細胞死をTUNELアッセイにより調べ、緑色スポットとして可視化した。位相差像(左パネル)、DAPI染色像(中パネル)、TUNELアッセイ像(右パネル)。 PEDFのin vivoでの腫瘍形成抑制効果を示す図である。102、103及び104細胞のiPSCクローン253G1及び454E2を、それぞれ253G1及び454E2由来のRPE細胞シート(約2.5x 105 RPE細胞を含む)と共に、NOGマウス(各群3匹)の皮下に同時移植した。縦軸は、各例で腫瘍が最初に検出された週を示す。横軸にiPSC及びiPSC由来RPE細胞の数を示す。腫瘍形成しなかったマウス個体数は、横軸下方に各記号で示した。右肩に24-ウェルプレート中のRPE細胞シートの写真を示す。RPEあり、RPEなしの場合の50%腫瘍増殖に必要なiPSC細胞数(TPD50log10)を、各グラフの下部に示した。RPE細胞ありとRPE細胞なしとの間のP値は0.001未満であった。P<0.05を有意とみなした。なお30週で腫瘍無しであった個体を31週目で腫瘍形成したものと仮定した上で、統計は、SigmaPlot Ver. 11.0 (Systat Software Inc.製)で行った。 ヒト心筋細胞の増殖に及ぼすPEDFの影響を示す図である。(A)通常の心筋細胞用培地(NC;上パネル)又はiPSC由来RPE細胞馴化培地(RPE sup;下パネル)中で培養したヒト心筋細胞の培養1、3及び6日目の位相差像を示す。(B)iPSC由来RPE細胞馴化培地又は通常の心筋細胞用培地中で培養したヒト心筋細胞の、培養6日目の細胞数を計数した。3回の独立した実験の平均値を、単独培養の細胞数を1とした相対値として、棒グラフで表した。エラーバーは標準偏差を示す。(C)rPEDF(50 μg/ml)存在下(ePEDF;下パネル)又は非存在下(NC;上パネル)で培養したヒト心筋細胞の培養1、3及び6日目の位相差像を示す。(D)rPEDF(50 μg/ml)存在下又は非存在下で培養したヒト心筋細胞の、培養6日目における細胞数を計数した。3回の独立した実験の平均値を、単独培養の細胞数を1とした相対値として、棒グラフで表した。エラーバーは標準偏差を示す。 ヒト軟骨細胞の増殖に及ぼすPEDFの影響を示す図である。(A)通常の軟骨細胞用培地(NC;上パネル)又はiPSC由来RPE細胞馴化培地(RPE sup;下パネル)中で培養したヒト軟骨細胞の培養1、3及び5日目の位相差像を示す。(B)iPSC由来RPE細胞馴化培地又は通常の軟骨細胞用培地中で培養したヒト軟骨細胞の、培養5日目の細胞数を計数した。3回の独立した実験の平均値を、単独培養の細胞数を1とした相対値として、棒グラフで表した。エラーバーは標準偏差を示す。(C)rPEDF(50 μg/ml)存在下(ePEDF;下パネル)又は非存在下(NC;上パネル)で培養したヒト軟骨細胞の培養1、3及び5日目の位相差像を示す。(D)rPEDF(50 μg/ml)存在下又は非存在下で培養したヒト軟骨細胞の、培養5日目における細胞数を計数した。3回の独立した実験の平均値を、単独培養の細胞数を1とした相対値として、棒グラフで表した。エラーバーは標準偏差を示す。 ヒト肝細胞の増殖に及ぼすPEDFの影響を示す図である。(A)通常の肝細胞用培地(NC;上パネル)又はiPSC由来RPE細胞馴化培地(RPE sup;下パネル)中で培養したヒト肝細胞の培養1、3、6及び8日目の位相差像を示す。(B)iPSC由来RPE細胞馴化培地又は通常の肝細胞用培地中で培養したヒト肝細胞の生育曲線を示す。培養1、3、6及び8日目のヒト肝細胞の細胞数を計数した。3回の独立した実験の平均値をプロットし、標準偏差を表わすエラーバーとともに、折れ線グラフとして示した。(C)rPEDF(50 μg/ml)存在下(ePEDF;下パネル)又は非存在下(NC;上パネル)で培養したヒト肝細胞の培養1、3、6及び8日目の位相差像を示す。(D)rPEDF(50 μg/ml)存在下又は非存在下で培養したヒト肝細胞の生育曲線を示す。培養1、3、6及び8日目のヒト肝細胞の細胞数を計数した。3回の独立した実験の平均値をプロットし、標準偏差を表わすエラーバーとともに、折れ線グラフとして示した。
本発明は、未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団から、未分化細胞を除去もしくは低減する方法を提供する。
ここで「未分化細胞」とは、未分化状態(多能性もしくは多分化能)を保持し、かつ生体内に移植された後に腫瘍化(本発明においては、奇形腫形成および発癌の両方を含む概念として用いる)する潜在的能力を有する細胞であれば特に制限されないが、典型的には、移植された場合にその未分化性のために無秩序に分化して、目的細胞以外の細胞種が腫瘤を形成するような細胞であり、より典型的には、未分化状態を保持したまま増殖できる「自己再生能」と三胚葉系列すべてに分化できる「多能性」とを有する多能性幹細胞である。多能性幹細胞は、例えばアルカリホスファターゼ染色陽性、SSEA3染色陽性、SSEA4染色陽性、Tra-1-60染色陽性、Tra-1-81染色陽性、Lin28、Oct3/4、Nanog、Sox2、Cripto、Dax1、ERas、Fgf4、Esg1、Rex1、Zfp296、UTF1、GDF3、Sall4、Tbx3、Tcf3、DNMT3L、DNMT3Bの遺伝子発現、miR-290クラスターのmiRNA、miR-302クラスターのmiRNAの発現等の、1以上の未分化マーカーの発現によって特徴付けられる。より具体的には、本発明における未分化細胞として、少なくともLin28、Oct3/4、Nanogのうちの1以上の未分化マーカーを発現する多能性幹細胞が挙げられる。このような多能性幹細胞としては、例えば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性幹細胞(ES細胞)、骨髄間葉系細胞から単離される多能性成体前駆細胞(MAPC)、骨髄間葉系細胞等から単離されるMuse細胞、始原生殖細胞に由来する胚性生殖細胞(EG細胞)、精巣組織からのGS細胞の樹立培養過程で単離されるmultipotent germline stem細胞(mGS細胞)等が挙げられる。ES細胞は体細胞から核初期化されて生じたntES細胞であってもよい。好ましくはiPS細胞又はES細胞である。
また、本発明における未分化細胞には、上記多能性幹細胞に分化を誘導した際に、多能性は喪失したものの、目的の分化細胞まで分化することなく、未分化状態が保持され、腫瘍化する潜在的能力を有する、多分化能を有する細胞も包含される。
「分化細胞集団」とは、分化細胞を主たる構成細胞とする細胞集団である。ここで「分化細胞」としては、無限増殖能を有さず、且つ胚葉を超えて分化する能力を有さない任意の細胞が挙げられる。例えば、皮膚細胞、視覚細胞、脳細胞、有毛細胞、口腔粘膜、肺細胞、肝細胞、胃粘膜細胞、腸細胞、脾細胞、膵細胞、腎細胞、血液細胞(例、末梢血単核球細胞(T細胞および非T細胞を含む)、末梢血リンパ球、臍帯血細胞など)、上皮細胞、内皮細胞、筋肉細胞(心筋細胞など)、軟骨細胞、線維芽細胞等の最終分化した細胞の他、神経幹細胞、造血幹細胞、智歯などに由来する間葉系幹細胞等の多分化能(複能性)と限定的な自己再生能とを有する組織幹細胞、***幹細胞、筋幹細胞等の単能性の組織前駆細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの初代培養細胞、継代細胞なども含まれる。組織幹細胞の中には多分化能を有するものもあるが、生体内で正常な分化細胞中に混在し、また、従来からの細胞移植療法における移植材料として腫瘍化リスクのない(きわめて低い)ことが確認されているものは、本発明の趣旨に照らして、「分化細胞」に分類されることは言うまでもない。また、本発明の目的に照らせば、脱分化したがん細胞は本発明の「分化細胞」には含まれない。
本発明の未分化細胞を除去もしくは低減する方法では、未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団にPEDFを接触させることを特徴とする。これにより、分化細胞集団から未分化細胞を除去もしくは低減することができる。
PEDFを接触することにより未分化細胞を除去もしくは低減するメカニズムとしては、特に限定されず、PEDFによる未分化細胞の増殖阻害、未分化細胞のアポトーシス誘導などが挙げられるが、好ましいメカニズムとして未分化細胞のアポトーシスの誘導が挙げられる。PEDFの未分化細胞へのアポトーシス誘導効果を利用して、未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団から未分化細胞を除去し、分化細胞を純化することが可能になる。
PEDFによりアポトーシスが誘導される分化細胞は、本発明の対象細胞として好ましくない。例えば、PEDFは分化細胞の中でも血管内皮細胞に対してはアポトーシスを誘導し得ることが既に知られているので、本発明で対象となる分化細胞は、好ましくは血管内皮細胞以外の分化細胞である。また、角膜上皮細胞においても、PEDFにより細胞死が誘導される場合があるので、本発明で対象となる分化細胞は、好ましくは角膜上皮細胞以外の細胞である。但し、未分化細胞と分化細胞との間でのPEDFに対する感受性の差異を利用して、PEDFの濃度を調節することにより、未分化細胞に特異的にアポトーシスを誘導することもできるので、本発明は、未分化細胞よりも低感受性である限り、PEDFに対して感受性である分化細胞への適用を排除しない。
未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団も特に制限されないが、典型的には、上記いずれかの未分化細胞、好ましくは多能性幹細胞に分化を誘導することにより得られた分化細胞集団が挙げられる。当該分化細胞集団は、(1)多能性幹細胞を製造する工程、及び(2)得られた未分化細胞に分化を誘導する工程を通じて調製され、多くの場合、特に生体に投与する場合には、腫瘍リスクを低減するために細胞の純化工程が必要となる。本願発明はこの細胞純化工程において極めて簡便かつ有用な技術となりうる。
(1)多能性幹細胞の製造方法
(a)iPS細胞
iPS細胞は、特定の初期化因子を、DNA又はタンパク質の形態で体細胞に導入することによって作製することができる、ES細胞とほぼ同等の特性、例えば分化多能性と自己複製による増殖能、を有する体細胞由来の人工の幹細胞である(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006), Cell, 126:663-676; K. Takahashi et al. (2007), Cell, 131:861-872; J. Yu et al. (2007), Science, 318:1917-1920; Nakagawa, M.ら,Nat. Biotechnol. 26:101-106 (2008);国際公開WO2007/069666)。初期化因子は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon-coding RNAまたはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon-coding RNA、あるいは低分子化合物によって構成されてもよい。初期化因子に含まれる遺伝子として、例えば、Oct3/4、Sox2、Sox1、Sox3、Sox15、Sox17、Klf4、Klf2、c-Myc、N-Myc、L-Myc、Nanog、Lin28、Fbx15、ERas、ECAT15-2、Tcl1、beta-catenin、Lin28b、Sall1、Sall4、Esrrb、Nr5a2、Tbx3またはGlis1等が例示され、これらの初期化因子は、単独で用いても良く、組み合わせて用いても良い。初期化因子の組み合わせとしては、WO2007/069666、WO2008/118820、WO2009/007852、WO2009/032194、WO2009/058413、WO2009/057831、WO2009/075119、WO2009/079007、WO2009/091659、WO2009/101084、WO2009/101407、WO2009/102983、WO2009/114949、WO2009/117439、WO2009/126250、WO2009/126251、WO2009/126655、WO2009/157593、WO2010/009015、WO2010/033906、WO2010/033920、WO2010/042800、WO2010/050626、WO2010/056831、WO2010/068955、WO2010/098419、WO2010/102267、WO2010/111409、WO2010/111422、WO2010/115050、WO2010/124290、WO2010/147395、WO2010/147612、Huangfu D, et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26: 795-797、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 2: 525-528、Eminli S, et al. (2008), Stem Cells. 26:2467-2474、Huangfu D, et al. (2008), Nat Biotechnol. 26:1269-1275、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3, 568-574、Zhao Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3:475-479、Marson A, (2008), Cell Stem Cell, 3, 132-135、Feng B, et al. (2009), Nat Cell Biol. 11:197-203、R.L. Judson et al., (2009), Nat. Biotech., 27:459-461、Lyssiotis CA, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:8912-8917、Kim JB, et al. (2009), Nature. 461:649-643、Ichida JK, et al. (2009), Cell Stem Cell. 5:491-503、Heng JC, et al. (2010), Cell Stem Cell. 6:167-74、Han J, et al. (2010), Nature. 463:1096-100、Mali P, et al. (2010), Stem Cells. 28:713-720、Maekawa M, et al. (2011), Nature. 474:225-9.に記載の組み合わせが例示される。
上記初期化因子には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤[例えば、バルプロ酸 (VPA)、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、MC 1293、M344等の低分子阻害剤、HDACに対するsiRNAおよびshRNA(例、HDAC1 siRNA Smartpool(登録商標)(Millipore)、HuSH 29mer shRNA Constructs against HDAC1 (OriGene)等)等の核酸性発現阻害剤など]、MEK阻害剤(例えば、PD184352、PD98059、U0126、SL327およびPD0325901)、Glycogen synthase kinase-3阻害剤(例えば、BioおよびCHIR99021)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、5-azacytidine)、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、BIX-01294 等の低分子阻害剤、Suv39hl、Suv39h2、SetDBlおよびG9aに対するsiRNAおよびshRNA等の核酸性発現阻害剤など)、L-channel calcium agonist (例えばBayk8644)、酪酸、TGFβ阻害剤またはALK5阻害剤(例えば、LY364947、SB431542、616453およびA-83-01)、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNAおよびshRNA)、ARID3A阻害剤(例えば、ARID3Aに対するsiRNAおよびshRNA)、miR-291-3p、miR-294、miR-295およびmir-302などのmiRNA、Wnt Signaling(例えばsoluble Wnt3a)、神経ペプチドY、プロスタグランジン類(例えば、プロスタグランジンE2およびプロスタグランジンJ2)、hTERT、SV40LT、UTF1、IRX6、GLISl、PITX2、DMRTBl等の樹立効率を高めることを目的として用いられる因子も含まれており、本明細書においては、これらの樹立効率の改善目的にて用いられた因子についても初期化因子と別段の区別をしないものとする。
初期化因子は、タンパク質の形態の場合、例えばリポフェクション、細胞膜透過性ペプチド(例えば、HIV由来のTATおよびポリアルギニン)との融合、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入してもよい。
一方、DNAの形態の場合、例えば、ウイルス、プラスミド、人工染色体などのベクター、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター(以上、Cell, 126, pp.663-676, 2006; Cell, 131, pp.861-872, 2007; Science, 318, pp.1917-1920, 2007)、アデノウイルスベクター(Science, 322, 945-949, 2008)、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクター(WO2010/008054)などが例示される。また、人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。プラスミドとしては、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる(Science, 322:949-953, 2008)。ベクターには、核初期化物質が発現可能なように、プロモーター、エンハンサー、リボゾーム結合配列、ターミネーター、ポリアデニル化サイトなどの制御配列を含むことができるし、さらに、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などを含むことができる。また、上記ベクターには、体細胞への導入後、初期化因子をコードする遺伝子もしくはプロモーターとそれに結合する初期化因子をコードする遺伝子を共に切除するために、それらの前後にLoxP配列を有してもよい。
また、RNAの形態の場合、例えばリポフェクション、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入しても良く、分解を抑制するため、5-メチルシチジンおよびpseudouridine (TriLink Biotechnologies)を取り込ませたRNAを用いても良い(Warren L, (2010) Cell Stem Cell. 7:618-630)。
iPS細胞誘導のための培養液としては、例えば、10〜15%FBSを含有するDMEM、DMEM/F12又はDME培養液(これらの培養液にはさらに、LIF、penicillin/streptomycin、puromycin、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)または市販の培養液[例えば、マウスES細胞培養用培養液(TX-WES培養液、トロンボX社)、霊長類ES細胞培養用培養液(霊長類ES/iPS細胞用培養液、リプロセル社)、無血清培地(mTeSR、Stemcell Technology社)]などが含まれる。
培養法の例としては、たとえば、37℃、5% CO2存在下にて、10%FBS含有DMEM又はDMEM/F12培養液上で体細胞と初期化因子とを接触させ約4〜7日間培養し、その後、細胞をフィーダー細胞(たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等)上にまきなおし、体細胞と初期化因子の接触から約10日後からbFGF含有霊長類ES細胞培養用培養液で培養し、該接触から約30〜約45日又はそれ以上ののちにiPS様コロニーを生じさせることができる。
あるいは、37℃、5% CO2存在下にて、フィーダー細胞(たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等)上で10%FBS含有DMEM培養液(これにはさらに、LIF、ペニシリン/ストレプトマイシン、ピューロマイシン、L-グルタミン、非必須アミノ酸類、β-メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)で培養し、約25〜約30日又はそれ以上ののちにES様コロニーを生じさせることができる。望ましくは、フィーダー細胞の代わりに、初期化される体細胞そのものを用いる(Takahashi K, et al. (2009), PLoS One. 4:e8067またはWO2010/137746)、もしくは細胞外基質(例えば、Laminin-5(WO2009/123349)およびマトリゲル(BD社))を用いる方法が例示される。
この他にも、血清を含有しない培地を用いて培養する方法も例示される(Sun N, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:15720-15725)。さらに、樹立効率を上げるため、低酸素条件(0.1%以上、15%以下の酸素濃度)によりiPS細胞を樹立しても良い(Yoshida Y, et al. (2009), Cell Stem Cell. 5:237-241またはWO2010/013845)。
上記培養の間には、培養開始2日目以降から毎日1回新鮮な培養液と培養液交換を行う。また、核初期化に使用する体細胞の細胞数は、限定されないが、培養ディッシュ100cm2あたり約5×103〜約5×106細胞の範囲である。
iPS細胞は、形成したコロニーの形状により選択することが可能である。一方、体細胞が初期化された場合に発現する遺伝子(例えば、Oct3/4、Nanog)と連動して発現する薬剤耐性遺伝子をマーカー遺伝子として導入した場合は、対応する薬剤を含む培養液(選択培養液)で培養を行うことにより樹立したiPS細胞を選択することができる。また、マーカー遺伝子が蛍光タンパク質遺伝子の場合は蛍光顕微鏡で観察することによって、発光酵素遺伝子の場合は発光基質を加えることによって、また発色酵素遺伝子の場合は発色基質を加えることによって、iPS細胞を選択することができる。
本明細書中で使用する「体細胞」なる用語は、卵子、卵母細胞、ES細胞などの生殖系列細胞または分化全能性細胞を除くあらゆる動物細胞(好ましくは、ヒトを含む哺乳動物細胞)をいう。体細胞には、非限定的に、胎児(仔)の体細胞、新生児(仔)の体細胞、および成熟した健全なもしくは疾患性の体細胞のいずれも包含されるし、また、初代培養細胞、継代細胞、および株化細胞のいずれも包含される。具体的には、体細胞は、例えば(1)神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、歯髄幹細胞等の組織幹細胞(体性幹細胞)、(2)組織前駆細胞、(3)リンパ球、上皮細胞、内皮細胞、筋肉細胞、線維芽細胞(皮膚細胞等)、毛細胞、肝細胞、胃粘膜細胞、腸細胞、脾細胞、膵細胞(膵外分泌細胞等)、脳細胞、肺細胞、腎細胞および脂肪細胞等の分化した細胞などが例示される。
また、ヒトiPS細胞を移植用細胞の材料として用いる場合、拒絶反応が起こらないという観点から、移植先の個体のHLA遺伝子型が同一もしくは実質的に同一である体細胞を用いることが望ましい。ここで、「実質的に同一」とは、移植した細胞に対して免疫抑制剤により免疫反応が抑制できる程度にHLA遺伝子型が一致していることであり、例えば、HLA-A、HLA-BおよびHLA-DRの3遺伝子座あるいはHLA-Cを加えた4遺伝子座が一致するHLA型を有する体細胞である。
(b)ES細胞
ES細胞は、ヒトやマウスなどの哺乳動物の初期胚(例えば胚盤胞)の内部細胞塊から樹立された、多能性と自己複製による増殖能を有する幹細胞である。
ES細胞は、受精卵の8細胞期、桑実胚後の胚である胚盤胞の内部細胞塊に由来する胚由来の幹細胞であり、成体を構成するあらゆる細胞に分化する能力、いわゆる分化多能性と、自己複製による増殖能とを有している。ES細胞は、マウスで1981年に発見され(M.J. Evans and M.H. Kaufman (1981), Nature 292:154-156)、その後、ヒト、サルなどの霊長類でもES細胞株が樹立された (J.A. Thomson et al. (1998), Science 282:1145-1147; J.A. Thomson et al. (1995), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:7844-7848;J.A. Thomson et al. (1996), Biol. Reprod., 55:254-259; J.A. Thomson and V.S. Marshall (1998), Curr. Top. Dev. Biol., 38:133-165)。
ES細胞は、対象動物の受精卵の胚盤胞から内部細胞塊を取出し、内部細胞塊を線維芽細胞のフィーダー上で培養することによって樹立することができる。また、継代培養による細胞の維持は、白血病抑制因子(leukemia inhibitory factor (LIF))、塩基性線維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor (bFGF))などの物質を添加した培養液を用いて行うことができる。ヒトおよびサルのES細胞の樹立と維持の方法については、例えばUSP5,843,780; Thomson JA, et al. (1995), Proc Natl. Acad. Sci. U S A. 92:7844-7848; Thomson JA, et al. (1998), Science. 282:1145-1147; H. Suemori et al. (2006), Biochem. Biophys. Res. Commun., 345:926-932; M. Ueno et al. (2006), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:9554-9559; H. Suemori et al. (2001), Dev. Dyn., 222:273-279;H. Kawasaki et al. (2002), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 99:1580-1585;Klimanskaya I, et al. (2006), Nature. 444:481-485などに記載されている。
ES細胞作製のための培養液として、例えば0.1mM 2-メルカプトエタノール、0.1mM 非必須アミノ酸、2mM L-グルタミン酸、20% KSRおよび4ng/ml bFGFを補充したDMEM/F-12培養液を使用し、37℃、2% CO2/98% 空気の湿潤雰囲気下でヒトES細胞を維持することができる(O. Fumitaka et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26:215-224)。また、ES細胞は、3〜4日おきに継代する必要があり、このとき、継代は、例えば1mM CaCl2および20% KSRを含有するPBS中の0.25% トリプシンおよび0.1mg/mlコラゲナーゼIVを用いて行うことができる。
ES細胞の選択は、一般に、アルカリホスファターゼ、Oct-3/4、Nanogなどの遺伝子マーカーの発現を指標にしてReal-Time PCR法で行うことができる。特に、ヒトES細胞の選択では、OCT-3/4、NANOG、ECADなどの遺伝子マーカーの発現を指標とすることができる(E. Kroon et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26:443-452)。
ヒトES細胞株は、例えばWA01(H1)およびWA09(H9)は、WiCell Reserch Instituteから、KhES-1、KhES-2およびKhES-3は、京都大学再生医科学研究所(京都、日本)から入手可能である。
(c)その他の多能性幹細胞
EG細胞は、胎生期の始原生殖細胞から樹立される、ES細胞と同様な多能性をもつ細胞であり、LIF、bFGF、幹細胞因子(stem cell factor)などの物質の存在下で始原生殖細胞を培養することによって樹立しうる(Y. Matsui et al. (1992), Cell, 70:841-847; J.L. Resnick et al. (1992), Nature, 359:550-551)。
nt ES細胞は、核移植技術によって作製されたクローン胚由来のES細胞であり、受精卵由来のES細胞とほぼ同じ特性を有している(T. Wakayama et al. (2001), Science, 292:740-743; S. Wakayama et al. (2005), Biol. Reprod., 72:932-936; J. Byrne et al. (2007), Nature, 450:497-502)。すなわち、未受精卵の核を体細胞の核と置換することによって得られたクローン胚由来の胚盤胞の内部細胞塊から樹立されたES細胞がnt ES(nuclear transfer ES)細胞である。nt ES細胞の作製のためには、核移植技術(J.B. Cibelli et al. (1998), Nature Biotechnol., 16:642-646)とES細胞作製技術(上記)との組み合わせが利用される(若山清香ら(2008),実験医学,26巻,5号(増刊), 47〜52頁)。核移植においては、哺乳動物の除核した未受精卵に、体細胞の核を注入し、数時間培養することで初期化することができる。
Muse細胞は、WO2011/007900に記載された方法にて製造された多能性幹細胞であり、詳細には、線維芽細胞または骨髄間質細胞を長時間トリプシン処理、好ましくは8時間または16時間トリプシン処理した後、浮遊培養することで得られる多能性を有した細胞であり、SSEA-3およびCD105が陽性である。
mGS細胞はWO2005/100548に記載される方法に従って、精巣細胞から作製することができる。
MAPCはJ. Clin. Invest. 109:337-346 (2002) に記載される方法に従って、骨髄から単離することができる。
(2)多能性幹細胞から各種分化細胞への分化誘導
幹細胞から各種分化細胞への分化誘導は、自体公知の任意の方法により実施することができる。例えば、ヒトES細胞を放射線照射したC3H10T1/2細胞株と共培養して嚢状構造体(ES-sac)を誘導することにより造血前駆細胞に分化させることができる(Blood, 111: 5298-306, 2008)。ES細胞からの神経幹細胞・神経細胞の分化誘導法としては、胚様体形成法(Mech Div 59(1) 89-102, 1996)、レチノイン酸法(Dev Biol 168(2) 342-57, 1995)、SDIA法(Neuron 28(1) 31-40, 2000)、NSS法(Neurosci Res 46(2) 241-9, 2003)など様々な方法が知られている。ES細胞から心筋細胞への誘導方法としては、これまでにレチノイン酸、TGFβ1、FGF、dynorphin B、アスコルビン酸、一酸化窒素、FGF2とBMP2、Wnt11、PP2、Wnt3a/Wnt阻害剤などの因子を培地に添加する方法や、Nogginによる心筋分化誘導法(Nat Biotechnol 23(5) 611, 2005)などが報告されている。さらに、SDIA法(Proc Natl Acad Sci USA 99 1580-5, 2002)及びSFEB法(Nat Neurosci 8 288-96, 2005)によるES/iPS細胞からの網膜細胞の分化誘導法なども知られている。前者はES細胞コロニーを小さく砕いた細胞塊をマウス間質由来のPA6細胞と共培養するものであり、後者は無血清培地中で浮遊培養して胚様体を形成させる際に、Dkk1/Lefty-Aを添加して網膜前駆細胞を含む前脳領域の細胞の分化誘導効率を高めた方法である。これをさらに接着培養することにより、成熟RPE細胞や視細胞を誘導することができる(Proc Natl Acad Sci USA 102 11331-6, 2005; Nat Biotechnol 26 215-24, 2008)。
また、造血幹細胞から各種造血細胞への分化誘導法、血管内皮前駆細胞から血管細胞への分化誘導法、神経幹細胞からの各種神経細胞への分化誘導法、間葉系幹細胞からの脂肪細胞や筋管細胞などの分化誘導法など、組織幹細胞から体細胞への分化誘導法も当該技術分野において周知である。
本発明の未分化細胞の除去・低減方法は、未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団に色素上皮由来因子(PEDF)を接触させて、未分化細胞のアポトーシスを誘導することを特徴とする。
分化細胞集団にPEDFを接触させる方法としては、(A)分化細胞集団の培地中にPEDFを添加して培養する方法、(B)分化細胞集団をPEDF分泌細胞と共培養する方法、及び(C)分化細胞自体にPEDFを分泌産生させる方法に大別される。
(A)分化細胞集団の培地中にPEDFを添加して培養する方法
培地中に添加されるPEDFは、配列番号2で表されるアミノ酸配列中、アミノ酸番号1-399で示されるアミノ酸配列からなるヒトPEDF(RefSeq Accession No. NP#002606)、或いは他の哺乳動物におけるそのオルソログ(例: マウスPEDF(RefSeq Accession No. NP#035470)、ラットPEDF(RefSeq Accession No. NP#808788)、ウシPEDF(RefSeq Accession No. NP#776565)、イヌPEDF(RefSeq Accession No. XP#854014)、チンパンジーPEDF(RefSeq Accession No. XP#001155004)、ニワトリPEDF(RefSeq Accession No. XP#001234865)等)、さらにはそれらの天然のアレル変異体や多型バリアント(例: 配列番号2のアミノ酸番号53のThrがMetに置換されたバリアント、アミノ酸番号113のProがArgに置換されたバリアント等)、スプライシングバリアント(例: Journal of Neuroscience 15(7): 4992-5003, 1995; Protein Expression and Purification 6(4): 447-456, 1995; Investigative Ophthalmology and Visual Science 43(3): 821-829, 2002)、天然及び人工の活性化型変異体などがあげられる。本発明の方法を用いる対象である分化細胞が由来する動物種に応じて、これと同種のPEDFを用いることが望ましいが、異種PEDFを用いることもできる。
PEDFは、温血動物のRPE細胞、脂肪細胞、肝細胞、樹状細胞等、当該タンパク質を産生する細胞から単離・精製してもよいし、化学合成もしくは無細胞翻訳系で生化学的に合成してもよい。あるいは上記アミノ酸配列をコードする塩基配列を有する核酸を導入された形質転換体から産生される組換え蛋白質であってもよい。
温血動物のRPE細胞、脂肪細胞、肝細胞、樹状細胞等、好ましくはRPE細胞から分泌される天然のPEDFを用いる場合、例えば、初代培養細胞や多能性幹細胞を分化誘導して得られたPEDF産生細胞を適当な培地中で培養した後、濾過または遠心分離等により培養上清を分取し、該上清(馴化培地)をそのまま用いてもよいし、該上清を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー等に付すことにより、PEDFを単離精製もしくは部分精製して用いてもよい。
PEDF産生細胞用の培地としては、動物細胞の培養に通常用いられる基本培地に1-20%の血清または血清代替物を添加した培地が用いられる。基本培地としては、例えばGMEM(Glasgow Minimum Essential Medium)培地、IMDM(Iscove's Modified Dulbecco's Medium)培地、Medium 199培地、Eagle’s Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco’s modified Eagle’s Medium (DMEM)培地、Ham’s F12培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、およびこれらの混合培地などが包含される。また、血清代替物として、アルブミン、トランスフェリン、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、Knockout Serum Replacement(KSR)、ITS−サプリメントおよびこれらの混合物などが包含される。PEDF産生細胞の培養は、例えばRPEの場合、30-40℃、好ましくは37-38.5℃で、6-144時間、好ましくは24-42時間、1-10%、好ましくは2-10% CO2雰囲気下で行うことができる。
PEDF源として天然のPEDFを用いる場合、馴化培地、精製もしくは部分精製PEDFにかかわらず、PEDFの最終濃度が0.01-100 μg/mlとなるように分化細胞集団の培地に添加することができる。
PEDF源として組換えタンパク質(rPEDF)を用いる場合、PEDFをコードする核酸を含有する形質転換体を適当な培地中で培養した後、濾過または遠心分離等により培養上清を分取し、該上清(馴化培地)をそのまま用いてもよいし、該上清を上記と同様のクロマトグラフィー等に付すことにより、rPEDFを単離精製もしくは部分精製して用いてもよい。
PEDFをコードする核酸は、DNAであってもRNAであってもよく、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。好ましくはDNAが挙げられる。また、該核酸は二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の場合は、センス鎖(即ち、コード鎖)であっても、アンチセンス鎖(即ち、非コード鎖)であってもよい。PEDFをコードするDNAとしては、配列番号1で表される塩基配列からなるヒトプレPEDF(RefSeq Accession No. NM#002615)、或いは他の哺乳動物におけるそのオルソログ(例: マウスPEDF(RefSeq Accession No. NM#011340)、ラットPEDF(RefSeq Accession No. NM#177927)、ウシPEDF(RefSeq Accession No. NM#174140)、イヌPEDF(RefSeq Accession No. XM#848921)、チンパンジーPEDF(RefSeq Accession No. XM#001155004)、ニワトリPEDF(RefSeq Accession No. XM#001234864)等)、さらには、それらの天然のアレル変異体や多型バリアント(例: 配列番号2のアミノ酸番号53のThrがMetに置換されたバリアント、アミノ酸番号113のProがArgに置換されたバリアント等)、スプライシングバリアント(例: Journal of Neuroscience 15(7): 4992-5003, 1995; Protein Expression and Purification 6(4): 447-456, 1995; Investigative Ophthalmology and Visual Science 43(3): 821-829, 2002)、並びに天然及び人工の活性化型変異体をコードするDNAなどがあげられる。
PEDFをコードするDNAは、例えば、該DNAの配列情報に基づいて適当なプライマーを合成し、上記のPEDF産生細胞、好ましくはRPE細胞から採取したRNAを鋳型としてRT-PCRを実施することにより、cDNAを単離することができる。あるいは、温血動物のゲノムDNAを常法に従って調製し、ゲノムPCR等を用いてPEDFのゲノムDNAを単離することもできる。PEDFには多くのスプライシングバリアントの存在が知られ、バリアントの種類によって未分化細胞に対するアポトーシス誘導活性に差異がある可能性があるため、ゲノムDNAの使用が有利な場合があり得る。
単離されたDNAは、宿主細胞に適した発現ベクターにクローン化し、常法に従って宿主細胞に導入して形質転換体を作製することができる。宿主細胞は特に制限されず、大腸菌、枯草菌などの細菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞等を用いることができるが、天然PEDFはO-グリコシル化及びN-グリコシル化、リン酸化等の翻訳後修飾を受けており、これらがPEDFの未分化細胞に対するアポトーシス誘導活性に影響する可能性があるため、好ましくは動物細胞、特にPEDFをコードするDNAが由来する動物と同種の動物細胞を用いることができる。動物細胞としては、例えば、サルCOS-7細胞、サルVero細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、dhfr遺伝子欠損CHO細胞、マウスL細胞、マウスAtT-20細胞、マウスミエローマ細胞、ラットGH3細胞、ヒトFL細胞、HEK293細胞などが用いられる。形質転換体の培養は、宿主細胞の種類に応じて自体公知の方法を適宜選択して行うことができる。rPEDFは形質転換体の培養上清を、上記と同様にクロマトグラフィー等に付すことにより、単離することができる。該上清をそのまま分化細胞集団の培地に添加してもよい。
PEDF源としてrPEDFを用いる場合、馴化培地、精製もしくは部分精製rPEDFにかかわらず、rPEDFの最終濃度が0.1-500 μg/mlとなるように分化細胞集団の培地に添加することができる。
(B)分化細胞集団をPEDF分泌細胞と共培養する方法
PEDF分泌細胞としては、上記した温血動物のRPE細胞、脂肪細胞、肝細胞、樹状細胞等、好ましくはRPE細胞の初代培養、あるいはiPS細胞などの多能性幹細胞から分化誘導されたRPE細胞、脂肪細胞、肝細胞、樹状細胞等、好ましくはRPE細胞が挙げられる。分化細胞集団とPEDF分泌細胞とを共培養する方法は特に制限されないが、好ましくは、後述の実施例に記載されるとおり、PEDF分泌細胞を適当なコーティング剤でコーティングした培養ディッシュに播種し、分化細胞集団を培養インサートに播種したトランスウェルプレートを用いて培養する方法が挙げられる。同様の原理でスケールアップすることにより、大量の分化細胞集団を処理することもできる。培養は、例えば、30-40℃、好ましくは37-38.5℃で、6-144時間、好ましくは24-42時間、1-10%、好ましくは2-10% CO2雰囲気下で行うことができる。
(C)分化細胞自体にPEDFを分泌産生させる方法
分化細胞が多能性幹細胞から分化誘導されたRPE細胞、脂肪細胞、肝細胞、樹状細胞等、好ましくはRPE細胞の場合、培地にPEDFを添加したり、PEDF分泌細胞と共培養したりすることなく、分化細胞自体から分泌されるPEDFの作用によって、分化細胞集団に混入した未分化細胞に対してアポトーシスを誘導することができる。
あるいは、iPS細胞等の多能性幹細胞に、上記(A)におけるPEDFをコードするDNAを含む動物細胞用発現ベクターを導入し、該多能性幹細胞に分化を誘導する際に、もしくは分化誘導後に、rPEDFを誘導発現させることにより、残存する未分化細胞を自殺させるか、分化細胞から分泌されるrPEDFのトランス効果により未分化細胞にアポトーシスを誘導することもできる。残存する未分化細胞自身にrPEDFを誘導発現する方法としては、メタロチオネイン-1遺伝子プロモーター(金、亜鉛、カドミウム等の重金属、デキサメサゾン等のステロイド、アルキル化剤、キレート剤またはサイトカインなどにより発現が誘導される)などの誘導性プロモーターを有する発現ベクターを用いる方法、Cre-loxPシステムを用いて、Creリコンビナーゼを作用させた際にPEDFをコードするDNAがプロモーターと機能的に連結されるようにベクターをデザインする方法(例: プロモーターとPEDFをコードするDNAとを同方向に配置した2つのloxP配列で分断する。2つのloxP配列の間に薬剤耐性遺伝子等の選択マーカー遺伝子の発現カセットを挿入しておくことが好ましい。)などが挙げられる。一方、分化細胞から分泌されるrPEDFのトランス効果により未分化細胞にアポトーシスを誘導する方法としては、上記と同様の方法に加えて、分化細胞特異的プロモーターを有する発現ベクターを用いる方法が挙げられる。分化細胞特異的プロモーターとしては、例えば、RPEなどに特異的なPEDFの内因性プロモーター、肝臓などに特異的なアルブミンおよびα-フェトプロテインのプロモーター、前立腺に特異的な前立腺特異的抗原(PSA)のプロモーター、筋肉や脳など様々な臓器に特異的なミトコンドリア型クレアチンキナーゼ(MCK)のプロモーター、ならびに、脳などの神経系に特異的なミエリン塩基性タンパク質(MB)、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)および神経特異的エノラーゼ(NSE)のプロモーターなどを例示できる。
以上のようにして、未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団に色素上皮由来因子(PEDF)を接触させて、未分化細胞のアポトーシスを誘導することにより得られた分化細胞集団は、未分化細胞を実質的に含まない程度まで純化されうる。ここで「未分化細胞を実質的に含まない」とは、移植相当量の分化細胞集団をレシピエントに移植しても、腫瘍を生じない程度に未分化細胞が低減除去されていることを意味する。「未分化細胞を実質的に含まない」ことの検証は、例えば、分化細胞集団を再び未分化条件で培養した後の未分化細胞の発生を、未分化細胞に特異的な性質を利用して検出することにより行うことができる。この特異的な性質として、コロニーの形成、未分化特異的抗原の発現、未分化特異的遺伝子の発現などが挙げられる。ここで、未分化特異的抗原は、限定されないが、SSEA-1、SSEA-3、SSEA-4、Tra1-60およびTra1-81からなる群より選択される。このときヒトでは未分化細胞においてSSEA-1は検出されないことから、SSEA-1に代えて、SSEA-3、SSEA-4、Tra1-60およびTra1-81が好適に用いられる。また、未分化特異的遺伝子は、WO2007/069666に挙げられる遺伝子が例示される。
簡便で、かつ十分な感度および特異度を提供し得るという観点から、コロニーの形成を観察して未分化細胞の発生を検出することが好ましい。コロニーの測定は、特に限定されないが、例えば顕微鏡下で計数され、その数により評価される。この測定は、機械的に行われても、目視で行われてもよい。一方、未分化特異的抗原または遺伝子の発現している細胞は、FACSを用いてそれらの抗原または遺伝子を発現している細胞の数として評価することができる。
未分化細胞を実質的に含まない分化細胞集団は、常套手段にしたがって医薬上許容される担体と混合するなどして、注射剤、懸濁剤、点滴剤等の非経口製剤として製造される。当該非経口製剤に含まれ得る医薬上許容される担体としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)などの注射用の水性液を挙げることができる。本発明の移植療法剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤、酸化防止剤などと配合しても良い。本発明の移植療法剤を水性懸濁液剤として製剤化する場合、上記水性液に約1×106〜約1×108細胞/mLとなるように、分化細胞を懸濁させればよい。
本発明の移植療法剤は、細胞の凍結保存に通常使用される条件で凍結保存された状態で提供され、用時融解して用いることもできる。その場合、血清もしくはその代替物、有機溶剤(例、DMSO)等をさらに含んでいてもよい。この場合、血清もしくはその代替物の濃度は、特に限定されるものではないが約1〜約30% (v/v)、好ましくは約5〜約20% (v/v)であり得る。有機溶剤の濃度は、特に限定されるものではないが0〜約50% (v/v)、好ましくは約5〜約20% (v/v) であり得る。
本発明はまた、PEDFを含有してなる、未分化細胞のアポトーシス誘導剤を提供する。ここでPEDFは、上記(A)及び(B)に記載されるとおり、天然もしくは組換えPEDFを分泌産生する細胞の培養上清(馴化培地)、該上清からの完全もしくは部分精製物、あるいは天然もしくは組換えPEDFを分泌産生する細胞自体であり得る。
本発明のアポトーシス誘導剤は、上記のようなin vitroでの使用に加え、分化細胞集団をレシピエントに移植する際に、併用で投与もしくは移植することにより、in vivoでの腫瘍形成抑制剤としても使用することができる。単離されたPEDFを使用する場合、必要に応じて医薬上許容し得る担体とともに混合して注射剤などの種々の製剤形態とした後に、レシピエントに投与することができる。ここで薬理学的に許容し得る担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤; 液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、乳糖、白糖、D-マンニトール、D-ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、 モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子、ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール、D-ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
着色剤の好適な例としては、水溶性食用タール色素(例: 食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素)、水不溶性レーキ色素(例: 前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩など)、天然色素 (例: β-カロチン、クロロフィル、ベンガラなど) などが挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。
上記のようにして製剤化された本発明のアポトーシス誘導剤は、経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身又は局部的に投与することができる。
本発明のアポトーシス誘導剤の1回投与量は、例えば、PEDF量として0.1〜100 mgの範囲内で選択することができ、これを1〜3日に1回の間隔で、1〜3月間程度反復投与することができる。しかし、本発明のアポトーシス誘導剤の投与量、投与間隔、投与期間はこれらに限定されない。本発明のアポトーシス誘導剤の初回投与は、細胞移植と同時であってもよいし、その前後であってもよい。
一方、本発明のアポトーシス誘導剤がPEDF分泌細胞の形態である場合には、本発明の細胞移植療法剤と同様に製剤化することができるが、移植細胞である分化細胞とPEDF分泌細胞とが異なる細胞種である場合、本発明のアポトーシス誘導剤は生体適合性の固形担体(例: ゲルシート)に包埋して、移植細胞と同時に患部に移植し、PEDFによる未分化細胞に対するアポトーシス誘導効果が十分に達成された後に、容易に除去可能な形態に製剤化することが望ましい。あるいは、PEDF分泌細胞にHSV-tk遺伝子等の自殺遺伝子を導入しておき、これを生分解性ポリマーからなる固形担体に包埋させて移植細胞と同時に患部に移植すれば、アポトーシス誘導効果が十分に達成された後に、例えばHSV-tk遺伝子を用いた場合であれば、ガンシクロビルをレシピエントに投与することによりPEDF分泌細胞は死滅するので、再手術による細胞除去が不要となり、患者への負担を軽減できる。
本発明を以下の実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[材料及び方法]
ヒトサンプル及び動物を用いるすべての実験は、先端医療振興財団(FBRI)の治験審査委員会(IRB)及び理化学研究所 発生再生科学総合研究センター(理研CDB)、並びにFBRIの動物実験委員会にて審査された。
(1)細胞培養
ヒト初代網膜色素上皮(RPE, Lonza)は、添加物(L-グルタミン、GA-1000及びbFGF, Lonza)を含む網膜色素上皮細胞基本培地(Lonza Biologics, バーゼル, スイス)中で維持した。ヒトiPS細胞(iPSC)株253G1(理研バイオリソースセンター, つくば)及び454E2(WO2012/115244参照)は、ヒトES細胞用培地及び5ng/ml bFGF(Peprotech)中、フィーダー細胞SNL(BMC Genomics (2006) 7: 248)上で維持した。iPSCは5ng/ml bFGFを添加したReproFF2(リプロセル)中で培養した。iPSC由来RPE(WO2012/115244参照)はRPE維持培地(B-27添加物(Invitrogen)、2mM L-グルタミン(Invitrogen)、0.5mM SB431542(Sigma-Aldrich)及び10 ng/ml bFGF(和光純薬)を添加したDMEM:F12 (7:3) (Sigma-Aldrich))中で維持した。
(2)組換えPEDF(rPEDF)もしくは抗PEDF抗体の存在下又は非存在下でのiPSCの細胞増殖
253G1細胞は、マトリゲル(BD Bioscience)でコーティングした8μm孔径の12-ウェル トランスウェル細胞培養インサート(BD)に播種し、1-50 μg/ml rPEDF(Millipore;, cat # GF134 lot: DAM 1821182)、5 μg/ml 抗PEDFポリクローナル抗体(BioProducts)もしくは正常ウサギIgG(SantaCruz)の存在下又は非存在下、bFGFを添加したReproFF2培地中で、ディッシュ底面に播種した初代RPEもしくは253G1由来RPEと共培養した。共培養なしでの培養4-6日目における50 μg/ml rPEDF存在下及び非存在下での253G1細胞の細胞増殖を評価した。
(3)チップ解析
253G1もしくは253G1由来RPEから、RNAeasy Plus Mini Kit(Quiagen)を用い、製造者の指示に従って、全RNAを単離し、Gene Chip Human Genome U133 Plus ver 2.0(Affymetrix)とハイブリダイズさせた。解析データはGEOデータセット(accession Nos GSE43257)から検索することができる。
(4)ELISA
初代RPE又はiPSC(253G1)由来RPEの24時間培養物から回収した培養培地(馴化培地)中のPEDFを、ヒトELISAキット(BioVendor)を用い、製造者の指示に従って測定した。
参考例1:iPS細胞からRPE細胞への分化誘導
多能性幹細胞から網膜色素上皮(RPE)への頑強な分化プロトコルを確立しようと、図1Aに示す分化プロトコルを用いた。再現性のあるiPSC由来RPEのプロファイルを提供するために、市販のiPSCクローン253G1(Nakagawa M, et al. (2008) Nat Biotechnol. 26:101-106; 理研バイオリソースセンター, つくば)をRPE分化のための細胞ソースとして用いた。RPEは、ディッシュ中で培養すると、散発的に色素沈着した多角形状の単層細胞である。iPSCクローン253G1由来のRPEと初代RPEとは、顕微鏡観察では同様の形態を示した(図1B)。iPSC由来RPEが初代RPEに特徴的な遺伝子発現を具備しているかどうかを調べるため、RPE65、CRALBP及びベストロフィンの発現をRT-PCRにより分析した。253G1由来RPE細胞は、RPE65、CRALBP及びベストロフィンのmRNAを発現していたが、Lin28やOct3/4等の多能性関連遺伝子は発現していなかった(図1C)。タイトジャンクション特異的タンパク質であるZO-1も、免疫蛍光染色により、253G1由来RPE及び初代RPEの両方で検出された(図1D)。
実施例1:iPSC由来RPE細胞との共培養によるiPS細胞の増殖阻害
iPSC由来RPEから分泌される因子の、in vitroでiPS細胞に及ぼす影響を調べるため、図2Aに示す共培養実験を計画した。即ち、マトリゲル(BD)でコーティングした培養インサート(トランスウェル, Corning)上に播種したiPSCを、iPS細胞用培地(bFGFを添加した無血清のReproFF)中で、CELL start(Invitrogen)でコーティングしたディッシュ上に播種したiPSC由来RPEと共培養した。4日毎に培養インサート中のiPSCを回収し、細胞数を計数した。その結果、iPSC由来RPEと共培養することにより、iPSCの増殖は著しく阻害されることが明らかとなった(図2B、2C)。iPSCを初代RPEと共培養した場合でも、同様のトランス効果が観察された(図3A、B及びC)。iPSC由来RPEと共培養したiPSCの著しい増殖阻害は、少なくとも部分的には、著明なTUNELアッセイ陽性細胞の存在により証明されるとおり、アポトーシス細胞死が介在していた(図2D、2E)。共培養における残存iPSCに関し、さらに免疫染色及び定量的RT-PCR分析を行った結果、Lin28、Oct3/4及びNanog等の多能性関連遺伝子の発現は顕著に低下しており、iPSC由来RPE馴化培地がiPSCの分化を促進することが示唆された(図2F、2G)。
これらの知見に基づき、本発明者らは、iPSCの増殖にトランス効果を及ぼす、iPSC由来RPE及び初代RPE由来の因子を探索すべく、初代RPE及び253G1由来RPE、並びに親株のiPSCクローン253G1について、ジーンチップ解析を行った。結果を表1に示す。初代RPEとiPSC由来RPEの両方で高発現し、且つiPSCにおいて発現が低いもしくは発現してない、いくつかの分泌因子が抽出された。これらの中には、抗腫瘍効果が報告されている色素上皮由来因子(PEDF)、血管内皮増殖因子(VEGF)及び骨形成タンパク質4(BMP4)が含まれていた。
実施例2:PEDFによるiPS細胞のアポトーシス細胞死の誘導
iPSC由来RPE馴化培地中のPEDFタンパク質を、抗PEDF抗体(BioProducts, MD)を用いて、ウェスタンブロッティングにより検出した(図4A)。共培養していない新鮮なiPS細胞用培地を対照サンプルとして用いた。細胞培養24時間(新鮮な培地に交換後24時間)でのPEDF量をELISAにより測定した。初代RPE馴化培地、iPSC由来馴化培地とも相当量(1 μg/ml超)のPEDFを含んでいた(図4B)。
そこで、iPSCの増殖に及ぼすPEDFの影響を試験した。抗PEDF中和抗体(BioProducts, MD)を共培養系に添加し、培養インサート中のiPSCの増殖を調べた。253G1由来RPEと共培養した253G1の増殖は、コントロールIgGの存在下で著しく阻害されたが、かかる細胞増殖阻害は抗PEDF抗体存在下でかなり阻止された(図4C)。抗PEDF中和抗体の用量及び種類を最適化したわけではないが、それでも抗PEDF抗体の添加によりほぼ半数のiPSCがレスキューされた(図4D)。この結果は、iPSCのアポトーシス細胞死が抗PEDF中和抗体によって阻止されることを示唆している(図4E、4F)。しかしながら、抗PEDF抗体の存在下でさえ、多能性関連タンパク質Oct3/4の発現が低下し(図4G)、Lin28、Oct3/4及びNanogのmRNA発現も低下していたので(図4H)、253G1由来RPEと共培養した際に、253G1細胞の分化が抗PEDF抗体の添加により阻止されなかったことは興味深い。これらの結果は、PEDF以外のRPEからの分泌因子が生存したiPSCの分化を促進する可能性を示唆している。
PEDFがiPSCの増殖に及ぼす影響を調べるべく、組換えPEDFタンパク質(rPEDF)を用いた。50 μg/mlのrPEDFはiPSCの増殖を阻害し(図5A、5B)、TUNELアッセイにより実証されるようにアポトーシス細胞死を誘導した(図5C、5D)。50 μg/mlのrPEDFはまた、ヒトES細胞(KhES-1)にもアポトーシス細胞死を誘導した(図6)。rPEDF添加後に残存するiPSCの形態は、未処理のiPSCと同じであった(図5A)。さらに残存細胞において、多能性関連遺伝子Lin28、Oct3/4及びNanogのmRNA発現低下が観察されなかった(図5E)。DAPI陽性細胞の計数により得られたrPEDF処理後の細胞数は一定ではなかった。このことは、rPEDF添加後の多能性関連遺伝子mRNAのアップレギュレーションを説明するかもしれない。次に、PEDFを介してiPSCにアポトーシスを引き起こすシグナル伝達経路について調べた。ウェスタンブロッティングの結果、既報(Gonzaleza R, et al (2010) Proc. Natl. Acad.Sci. USA. 107 3552-3557.)と一致して、iPSCにおけるrPEDF刺激後に、p38 MAPキナーゼのリン酸化と、開裂したカスパーゼ-3分子が検出された(図5F、5G)。
これらの結果を総合すると、PEDFはiPSCのアポトーシス細胞死を誘導するが、iPSCの分化は誘導しないと考えられる。
実施例3:RPE細胞シートの同時移植によるiPSCからの腫瘍形成抑制
臨床の場では、約2-5 x 104 RPE細胞を含む、1.3 mm x 3 mmサイズのRPE細胞シートを1ないし2枚、加齢性黄斑変性患者の網膜に移植することになる。iPSC由来細胞産物中に残存する未分化iPSCもしくは十分に分化していない細胞からの腫瘍形成の可能性を排除することは、移植後の重要な課題である。そこで、本発明者らは、網膜における移植後の残存iPSCに対するRPEのトランス効果を評価すべく、免疫不全動物モデルを用いて、RPEシート存在下でiPSCスパイク試験を行い、iPSCの腫瘍形成能を調べた。RPEシートは、WO2012/115244に記載の方法に準じて、コラーゲンゲル上に調製した。予備実験として、ヌードラット(F344/NJcl-rnu/rnu)及びヌードマウス(BALB/cA, JCl-nu/nu, SCID: C.B-17/Icr-scid/scid, Jcl, NOD-SCID: NOD/ShiJic-scid, Jcl, NOG: NOD/ShiJic-scid, IL-2Rg KO Jic)を含む種々の免疫不全動物モデルに、いくつかの用量でiPSCを皮下もしくは網膜内に注射した。その結果、既報(J Biol Chem 277(11): 9492-7, 2002)と一致して、マトリゲル(BD)とともに皮下注射した場合に、iPSC及びHeLa細胞からの腫瘍形成に関して、NOGマウスが最も感受性が高かった。そこで、102個、103個もしくは104個のiPSC(クローン253G1もしくは454E2)を、253G1もしくは454E2由来のRPE細胞シート(約2 x 105 RPE細胞を含む)とともにNOGマウスの皮下に移植して、腫瘍形成を調べた。その結果、103個もしくは104個のiPSCを移植した場合、RPEを同時移植したマウスでは、RPEを移植しなかったマウスに比べて、腫瘍形成頻度が顕著に低下した(図7)。ANOVAによりRPE移植群とRPE非移植群との有意差検定を行った結果、103個もしくは104個のiPSCを移植した場合に、両群間に有意差がみとめられた(P<0.01)。
実施例4:各種分化細胞のPEDF感受性の検討
種々の培養細胞(分化細胞)としては、以下の細胞(ヒト心筋細胞(Human Cardiac Myocytes, Cat.6200, ScienCell)、ヒト軟骨細胞(NB6)及びヒト肝細胞(Human Hepatocytes, Cat.5200, ScienCell))のP1〜P3を用いた。各細胞用培地(Cardiac Myocytes Medium, Cat.6201、DMEM/F12 containing Gluta Max, 2013-06, Gibco及びHepatocyte Medium, Cat.5201)を用いてmatureな状態のiPSC由来RPE細胞を48時間培養して各馴化培地を得た。並行して上記各分化細胞を8 well chamber slideに20,000個/chamberになるように播種し、各細胞用培地で一晩培養した。次いで培地を上記各馴化培地、あるいは組換えPEDFを50μg/mlの濃度となるように添加した各細胞用培地に交換した。それぞれの培地は48時間ごとに交換した。
心筋細胞については培養1、3及び6日目、軟骨細胞については培養1、3及び5日目、肝細胞については1、3、6及び8日目に、それぞれ細胞を回収し、細胞数を計測した。結果を図8〜10に示す。心筋細胞及び軟骨細胞は、iPSC由来RPE細胞馴化培地及び組換えPEDF添加培地のいずれの培地を用いても、細胞増殖に影響はみられなかった(図8及び9)。一方、肝細胞の場合は、iPSC由来RPE細胞馴化培地及び組換えPEDF添加培地のいずれの培地を用いても、細胞の増殖速度に低下が認められたが、顕著なアポトーシスはみられなかった(図10)。
以上のことから、PEDFを用いた本発明の細胞選別法は、RPEだけでなく、種々の分化細胞集団に混入する未分化細胞の選択的除去に適用可能であることが示された。
本発明の選別方法によれば、PEDFが未分化細胞のアポトーシスを誘導するので、未分化細胞を目的の分化細胞に誘導した後、PEDFで処理することで未分化細胞を除き、得られた分化細胞の純度を高め、安全に投与対象に投与することが可能になる。特に未分化細胞を投与すると癌化する可能性があるため、再生医療における癌化のリスクを低減させる上で本発明は極めて重要なものであるといえる。
本出願は、2013年3月25日付で日本国に出願された特願2013-062765を基礎としており、ここで言及することによって、その内容はすべて本明細書中に包含される。

Claims (16)

  1. 未分化細胞が混入するか、混入のおそれがある分化細胞集団から、未分化細胞を除去もしくは低減する方法であって、該分化細胞集団に色素上皮由来因子を接触させることを含む、方法。
  2. 未分化細胞が、三胚葉系列への分化能を有する多能性幹細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 未分化細胞が、さらにLin28、Oct3/4及びNanogからなる群より選択される1以上の未分化マーカーを発現するものである、請求項2に記載の方法。
  4. 未分化細胞が、iPS細胞またはES細胞である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 未分化細胞のアポトーシスを誘導する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 分化細胞のアポトーシスを誘導しないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 分化細胞が、血管内皮細胞以外の分化細胞である、請求項6に記載の方法。
  8. 分化細胞集団が、未分化細胞から分化誘導して得られたものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により得られる未分化細胞を実質的に含まない分化細胞集団を含有してなる、細胞移植療法剤。
  10. 色素上皮由来因子を含有してなる、未分化細胞のアポトーシス誘導剤。
  11. 未分化細胞が、三胚葉系列への分化能を有する多能性幹細胞である、請求項10に記載の剤。
  12. 未分化細胞が、さらにLin28、Oct3/4及びNanogからなる群より選択される1以上の未分化マーカーを発現するものである、請求項11に記載の剤。
  13. 未分化細胞が、iPS細胞またはES細胞である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の剤。
  14. 分化細胞のアポトーシスを誘導しないことを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の剤。
  15. 分化細胞が、血管内皮細胞以外の分化細胞である、請求項14に記載の剤。
  16. 請求項10〜15のいずれか1項に記載の剤を組み合わせてなる、請求項9に記載の細胞移植療法剤。
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