JPWO2012001856A1 - リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2012001856A1
JPWO2012001856A1 JP2012522428A JP2012522428A JPWO2012001856A1 JP WO2012001856 A1 JPWO2012001856 A1 JP WO2012001856A1 JP 2012522428 A JP2012522428 A JP 2012522428A JP 2012522428 A JP2012522428 A JP 2012522428A JP WO2012001856 A1 JPWO2012001856 A1 JP WO2012001856A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
lithium ion
ion secondary
secondary battery
resin layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012522428A
Other languages
English (en)
Inventor
樹 平岡
樹 平岡
泰右 山本
泰右 山本
克巨 柏木
克巨 柏木
宇賀治 正弥
正弥 宇賀治
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Publication of JPWO2012001856A1 publication Critical patent/JPWO2012001856A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/13Electrodes for accumulators with non-aqueous electrolyte, e.g. for lithium-accumulators; Processes of manufacture thereof
    • H01M4/134Electrodes based on metals, Si or alloys
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/38Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of elements or alloys
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/62Selection of inactive substances as ingredients for active masses, e.g. binders, fillers
    • H01M4/621Binders
    • H01M4/622Binders being polymers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/64Carriers or collectors
    • H01M4/70Carriers or collectors characterised by shape or form
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/052Li-accumulators
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/38Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of elements or alloys
    • H01M4/386Silicon or alloys based on silicon
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/38Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of elements or alloys
    • H01M4/387Tin or alloys based on tin
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)

Abstract

表面に複数の凸部が形成された負極集電体と、凸部に支持された、リチウムイオンを吸蔵及び放出する合金系活物質を含む複数の粒状体と、を備え、各粒状体は、それぞれの表面に樹脂層を有し、樹脂層は、ポリイミド及びポリアクリル酸から選ばれる少なくとも1種の第1樹脂成分と、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを含む共重合体からなる第2樹脂成分と、を含有するリチウムイオン二次電池用負極。この負極を備えるリチウムイオン二次電池。

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池に関する。更に詳しくは、本発明は、負極活物質として合金系活物質を用いたリチウムイオン二次電池における、負極の改良に関する。
負極活物質として合金系活物質を用いたリチウムイオン二次電池(以下「合金系二次電池」とする)は、負極活物質として黒鉛を用いた従来のリチウムイオン二次電池よりも高い容量及びエネルギー密度を有している。従って、合金系二次電池は、電子機器の電源としてだけでなく、輸送機器や工作機器等の主電源又は補助電源としても期待されている。合金系活物質としては、珪素、珪素酸化物、珪素合金等の珪素系活物質、錫、錫酸化物等の錫系活物質等が知られている。
特許文献1は、珪素粒子及び/又は珪素合金粒子を、ポリイミド又はイミド化合物により負極集電体表面に結着させたリチウムイオン二次電池用負極を開示する。特許文献2は、珪素系活物質粒子を、ポリイミド及びポリアクリル酸により負極集電体表面に結着させた非水電解液二次電池用負極を開示する。
特許文献1及び特許文献2に開示の負極を用いると、珪素系活物質粒子が充電時に著しく膨張して内部応力を発生することにより、負極活物質層の負極集電体からの脱離や負極の変形等が起こり、サイクル特性が低下する。
特許文献3は、合金系活物質からなる複数のミクロンサイズの柱状体が、負極集電体表面に形成された複数の凸部に支持され、隣り合う柱状体間に空隙が形成された負極を開示する。このような空隙により、合金系活物質を含む柱状体が膨張する際に発生する内部応力が緩和される。その結果、負極集電体から柱状体が脱離したり、負極が変形したりすること等が抑制される。
特開2007−242405号公報 特開2007−95670号公報 国際公開第2008/026595号公報
特許文献3に開示された負極を用いると、従来の合金系二次電池に比べて、サイクル特性が顕著に優れた合金系二次電池が得られる。しかしながら、特許文献3に開示の負極を備えた合金系二次電池においても、充放電回数が増加するにしたがって、サイクル特性の低下が起こる場合がある。本発明者らは、この原因について、検討を重ねた結果、次のような知見を得た。
特許文献3に開示の負極では、柱状体は、長期にわたって安定的にリチウムイオンの吸蔵及び放出を繰り返す。しかし、柱状体の膨張及び収縮に伴って、柱状体内部に極めて微細な空隙が発生することが明らかになった。これにより、それまで非水電解液に直接触れていなかった面(以下「新生面」とする)が柱状体内部に新たに生成する。生成した直後の新生面は、高い反応性を有している。
そして、生成した直後の新生面と非水電解液とが接触すると、新生面において充放電反応以外の副反応が起こり、副生物が生成する。この副生物は、柱状体表面に充放電反応を妨げる被膜を形成することにより、柱状体を劣化させる。柱状体の劣化が進行すると、柱状体の凸部表面からの脱離が起こり易くなる。また、非水電解液が新生面での副反応で消費されることにより、電池内の非水電解液の量が不足する。これらの結果、サイクル特性が急激に低下する。
本発明の目的は、負極活物質として合金系活物質を含む負極を備え、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明の一局面は、表面に複数の凸部が形成された負極集電体と、凸部に支持された、リチウムイオンを吸蔵及び放出する合金系活物質を含む複数の粒状体と、を備え、各粒状体は、ポリイミド及びポリアクリル酸から選ばれる少なくとも1種の第1樹脂成分と、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを含む共重合体からなる第2樹脂成分と、を含有する樹脂層を有するリチウムイオン二次電池用負極に関する。
本発明の他の一局面は、リチウムイオンを吸蔵及び放出する正極と、上記負極と、正極と負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池に関する。
本発明によれば、高容量及び高エネルギー密度を有し、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が提供される。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本願の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す縦断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池に備えられる負極の構成を模式的に示す縦断面図である。 図2に示す負極に備えられる粒状体の構成を模式的に示す縦断面図である。 電子ビーム式真空蒸着装置の内部構成を模式的に示す正面図である。 別形態の真空蒸着装置の内部構成を模式的に示す正面図である。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、表面に複数の凸部が形成された負極集電体と、凸部に支持された、リチウムイオンを吸蔵及び放出する合金系活物質を含む複数の粒状体と、を備えている。そして、各粒状体は、それぞれの表面に樹脂層を有している。樹脂層は、ポリイミド及びポリアクリル酸から選ばれる少なくとも1種の第1樹脂成分と、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを含む共重合体からなる第2樹脂成分と、を含有する。
このように、粒状体(例えば、柱状体)の表面を樹脂層で被覆することにより、粒状体の内部で生成した直後の新生面と非水電解液との接触が抑制される。その結果、新生面と非水電解液との接触による副反応及び粒状体の劣化が抑制され、粒状体の凸部からの脱離及び非水電解液の余分な消費が少なくなる。このため、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が一層向上する。
そして、樹脂層が、第1樹脂成分と第2樹脂成分とを含有しているため、粒状体が膨張及び収縮を繰り返しても、樹脂層の耐久性、粒状体の膨張及び収縮に対する樹脂層の追従性(以下単に「追従性」とする)、並びに、粒状体表面と樹脂層との密着性(以下単に「密着性」とする)が維持される。それと共に、樹脂層が適度なリチウムイオン伝導性を有している。これにより、リチウムイオン二次電池の負荷特性や出力特性などの低下を抑制しつつ、サイクル特性をさらに向上させることができる。
各粒状体の表面は、樹脂層によりばらつきなく被覆されることが好ましい。その結果、樹脂層の効果が負極のほぼ全域に行き渡り、負極の局所的な劣化がより効果的に抑制される。
樹脂層の厚みは、0.1μm〜5μmであることが好ましい。これにより、樹脂層の粒状体表面に対する追従性及び密着性と、樹脂層のリチウムイオン伝導性とが、よりバランス良く保持される。
樹脂層の第1樹脂成分の含有量は50質量%〜99質量%であり、第2樹脂成分の含有量が1質量%〜50質量%であることが好ましい。第1樹脂成分の含有量と第2樹脂成分の含有量との比率が、質量比で、1:0.2〜1:1であることがさらに好ましい。このように第1樹脂成分と第2樹脂成分とを特定の比率で樹脂層に含有させることにより、粒状体の膨張および収縮、非水電解液との接触などがあっても、樹脂層の機能が、より十分に発揮される。
第2樹脂成分である共重合体の非水電解液に対する膨潤度は、15%以上であることが好ましい。これにより、樹脂層のリチウムイオン伝導性が適度な範囲に保持され、電池の負荷特性などの低下がさらに抑制される。
粒状体の表面に対する樹脂層の被覆率(以下単に「樹脂層の被覆率」とする)は、好ましくは30%〜100%である。また、満充電時における樹脂層の被覆率が50%〜100%であることが好ましい。これにより、樹脂層による、生成した直後の新生面と非水電解液との接触を抑制する効果がより十分に発揮される。
合金系活物質は、珪素系活物質及び錫系活物質から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような合金系活物質は、高容量を有するだけでなく、取り扱い性にも優れている。
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出する正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出する上記負極と、正極と負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を備える。このようなリチウムイオン二次電池は、合金系活物質を用いることから高容量を有し、低出力型又は高出力型のいずれに設定しても、サイクル特性に優れている。
本発明のリチウムイオン二次電池では、非水電解液に対する膨潤度が15%以上である共重合体を第2樹脂成分として含む樹脂層を有する負極を用いることが好ましい。これにより、本発明のリチウムイオン二次電池の負荷特性や出力特性を損なうことなく、サイクル特性を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池1の構成を模式的に示す縦断面図である。図2は、図1に示すリチウムイオン二次電池1に備えられる負極4の構成を模式的に示す縦断面図である。
リチウムイオン二次電池1は、正極3と負極4との間にセパレータ5を介在させて、これらを捲回することにより得られる捲回型電極群2(以下単に「電極群2」とする)を備えている。電極群2は、その長手方向の両端に上部絶縁板12及び下部絶縁板13が装着され、非水電解液(不図示)と共に有底円筒型の電池ケース14に収容される。電池ケース14は、長手方向の一端に開口を有し、他端(底面)が負極端子として機能する。封口板15は、絶縁ガスケット16を介して電池ケース14の開口に装着され、正極端子として機能する。正極リード10は、正極3の正極集電体と封口板15とを導通させる。負極リード11は、図2に示す負極4の負極集電体20と電池ケース14とを導通させる。
負極4は、図2に示すように、両方の表面20aに複数の凸部21を有する負極集電体20と、凸部21の表面に支持された複数の粒状体23からなる負極活物質層22と、各粒状体23の表面に形成される樹脂層24と、を備える。そして、樹脂層24は、ポリイミド及びポリアクリル酸から選ばれる少なくとも1種の第1樹脂成分と、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを含む共重合体(以下「VDF−HFP共重合体」とする)からなる第2樹脂成分と、を含有する。第1樹脂成分は、比較的高い機械的強度及び弾性を有している。第2樹脂成分は、非水電解液との接触によりリチウムイオン伝導性を示す。
樹脂層24は、粒状体23の表面に密着するように形成されている。したがって、樹脂層24は、粒状体23の表面を被覆している。これにより、粒状体23の内部で生成した直後の新生面と非水電解液との接触が抑制される。その結果、新生面と非水電解液とによる副反応が抑制され、粒状体23の凸部21からの脱離及び非水電解液の余分な消費が顕著に少なくなる。このため、電池1のサイクル特性が向上する。
樹脂層24が、機械的強度及び弾性の比較的高い第1樹脂成分を含有することにより、樹脂層24の耐久性、粒状体23の体積変化に対する樹脂層24の追従性及び樹脂層24の粒状体23表面に対する密着性が向上する。その結果、樹脂層24の粒状体23表面への密着性が、長期間にわたって安定的に維持され、樹脂層24の粒状体23表面からの剥離が抑制される。これにより、粒状体23表面に樹脂層24を形成した効果が、長期間にわたって持続する。
樹脂層24が、非水電解液との接触によりリチウムイオン伝導性を示す第2樹脂成分を含有することにより、粒状体23が樹脂層24を介して円滑に且つ安定的にリチウムイオンを吸蔵及び放出できる。従って、粒状体23の表面を樹脂層24で被覆することにより、電池1の負荷特性、出力特性等を損なうことなく、サイクル特性を更に向上させることができる。
第1樹脂成分であるポリイミド及びポリアクリル酸は、いずれも、高い機械的強度と良好な弾性とを有する樹脂である。ポリイミド及びポリアクリル酸としては特に限定されないが、数平均分子量が1万〜200万であるポリイミド、及び、数平均分子量が1万〜400万であるポリアクリル酸が好ましい。
このような数平均分子量を有するポリイミド及びポリアクリル酸は、高い機械的強度と良好な弾性とをバランス良く併せ持ち、有機溶媒中での第2樹脂成分との相溶性に優れている。従って、このようなポリイミド及び/又はポリアクリル酸を用いることにより、第1樹脂成分と第2樹脂成分とが良く混ざり合い、良好な耐久性、追従性及び密着性を有する樹脂層24を形成できる。さらに、樹脂層24のリチウムイオン伝導性を良好に維持できる。
ポリイミド及びポリアクリル酸の数平均分子量が小さすぎないようにすることで、その機械的強度及び弾性の低下をより効果的に抑制し、樹脂層24の耐久性、追従性等の低下もより効果的に抑制される。また、ポリイミド及びポリアクリル酸の数平均分子量が大きすぎないようにすることで、有機溶媒中での第2樹脂成分との相溶性の低下をより効果的に抑制し、樹脂層24の効果が小さくなるのをより有効に防ぐことができる。
第2樹脂成分であるVDF−HFP共重合体としては、特に限定されないが、電池1において負極4と共に用いられる非水電解液(以下単に「非水電解液」とする)に対する膨潤度が15%以上であり、且つ非水電解液に溶解しないものが好ましい。VDF−HFP共重合体の非水電解液に対する膨潤度は、15%〜160%であることが更に好ましい。このようなVDF−HFP共重合体は、HFP単位の含有量を、好ましくは0.1モル%以上、更に好ましくは2モル%〜8モル%となるように、VDFとHFPとを共重合させることにより、得ることができる。
このような膨潤度を有するVDF−HFP共重合体は、非水電解液との接触により、良好なリチウムイオン伝導性を示し、樹脂層24の形成による電池1の負荷特性や出力特性の低下を抑制する。また、このような膨潤度を有するVDF−HFP共重合体は、樹脂層24の粒状体23表面への密着性や追従性をさらに向上させ、樹脂層24の耐久性などを損なうことを有効に防止できる。
VDF−HFP共重合体の非水電解液に対する膨潤度が低すぎないようにすることで、樹脂層24のリチウムイオン伝導性をより十分に確保でき、電池1の負荷特性や出力特性などの低下をさらに抑制できる。VDF−HFP共重合体の非水電解液に対する膨潤度が高すぎないようにすることで、VDF−HFP共重合体の非水電解液への溶解をより有効に防止し、樹脂層24の形状や粒状体23の表面に対する密着状態などをより確実に維持することができる。
非水電解液に対する膨潤度は、次のようにして測定される。まず、樹脂を有機溶媒に溶解させて樹脂溶液を調製し、この樹脂溶液を平坦なガラス表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥させて厚み100μmのシートを作製する。このシートを10mm×10mmに切り出し、試料とする。一方、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:1の割合で混合し、得られた混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させ、非水電解液を調製する。密閉容器内に非水電解液を入れ、液温を25℃に保ちながら、試料をこの非水電解液に24時間浸漬する。そして、非水電解液への浸漬前の試料の質量(G)に対する、非水電解液への浸漬後の試料の質量(H)の増加率として、下記式に従い膨潤度を求める。
膨潤度(%)={(H−G)/G}×100
なお、上記の組成を有する非水電解液に対して、15%以上の膨潤度を有するVDF−HFP共重合体は、電池1において用いられる各種組成の非水電解液に対しても、同様に15%以上の膨潤度を示すと考えられる。すなわち、上記組成を有する非水電解液は、負極4の設計において、VDF−HFP共重合体を選定する基準になる。
VDF−HFP共重合体の数平均分子量は、好ましくは10万〜70万である。このような数平均分子量を有するVDF−HFP共重合体は、非水電解液との接触により優れたリチウムイオン伝導性を示し、有機溶媒中での第1樹脂成分との相溶性が良好である。また、主に第1樹脂成分により維持される樹脂層24の耐久性、追従性、密着性などが低下するのをより有効に防止できる。数平均分子量が小さすぎないようにすることで、樹脂層24の耐久性の低下をより有効に抑制できる。数平均分子量が大きすぎないようにすることで、樹脂層24のリチウムイオン伝導性をより十分に確保し、第1樹脂成分との相溶性の低下をより有効に抑制できる。
樹脂層24の第1樹脂成分の含有量及び第2樹脂成分の含有量は特に限定されないが、好ましくは、第1樹脂成分の含有量が50質量%〜99質量%であり、第2樹脂成分の含有量が1質量%〜50質量%であり、更に好ましくは、第1樹脂成分の含有量が56質量%〜76質量%であり、第2樹脂成分の含有量が24質量%〜44質量%である。これにより、高水準の耐久性、追従性及び密着性と、良好なリチウムイオン伝導性とを有する樹脂層24が得られる。その結果、電池1のサイクル特性がさらに向上する。
第1樹脂成分の含有量が少なすぎるか又は第2樹脂成分の含有量が多すぎないようにすることで、樹脂層24の機械的強度及び弾性の低下をより効果的に抑制でき、これにより樹脂層24の耐久性、追従性及び密着性をより効果的に高めることができる。また、第1樹脂成分の含有量が多すぎるか又は第2樹脂成分の含有量が少なすぎないようにすることで、樹脂層24のリチウムイオン伝導性をより十分に確保し、電池1の負荷特性や出力特性をより効果的に維持できる。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の含有量を前述の範囲から選択すると共に、第1樹脂成分の含有量と第2樹脂成分との含有量との比率(第1樹脂成分:第2樹脂成分、質量比)を、1:0.2〜1:1とするのが好ましい。これにより、電池1の負荷特性、出力特性等を低下させることなく、サイクル特性を更に向上させることができる。
樹脂層24は、粒状体23の表面に、連続膜又は不連続膜として形成されている。連続膜とは、粒状体23表面の一部又は全部を覆い、その膜内において粒状体23表面が露出する欠損部分(例えば切れ目)を有しない膜である。不連続膜とは、粒状体23表面の一部又は全部を覆い、その膜内において少なくとも1つの欠損部分を有する膜である。粒状体23の表面に対する樹脂層24の被覆率は、粒状体23毎に異なるが、好ましくは30%〜100%、さらに好ましくは50%〜100%である。ここでの被覆率は電池組立前の値である。被覆率とは、粒状体23表面の全面積に対する、粒状体23表面の樹脂層24で被覆された部分の面積の百分率である。被覆率は、粒状体23の表面を、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、レーザ顕微鏡などで観察することにより、求めることができる。
また、電池組み立て後の満充電時における樹脂層24の被覆率が、50%〜100%になることにより、電池1内におけるリチウムイオン伝導性がより良好な水準に維持され、粒状体23内部の生成直後の新生面と非水電解液との副反応がより効果的に抑制される。その結果、サイクル特性の向上と、負荷特性や出力特性の低下抑制とがバランス良く起る。電池組立前の被覆率が小さすぎないようにすることで、粒状体23内部の生成直後の新生面と非水電解液との副反応をより有効に抑制し、電池1のサイクル特性の低下をより効果的に抑制できる。
樹脂層24の厚みは、好ましくは0.1μm〜5μm、さらに好ましくは0.1μm〜3μmである。このような厚みを有する樹脂層24は、耐久性、追従性及び密着性と、リチウムイオン伝導性とをバランス良く有している。樹脂層24の厚みが小さすぎないようにすることで、樹脂層24の耐久性、追従性及び密着性の低下をより有効に抑制できる。樹脂層24の厚みが大きすぎないようにすることで、樹脂層24のリチウムイオン伝導性をより有効に確保できる。
樹脂層24は、例えば、第1樹脂成分と第2樹脂成分と有機溶媒とを含有する樹脂溶液を負極活物質層22の表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥させることにより形成できる。樹脂溶液は、例えば、第1樹脂成分及び第2樹脂成分を有機溶媒に溶解することにより調製できる。有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアミン、アセトン、シクロヘキサノン等を使用できる。
樹脂溶液における樹脂成分(第1樹脂成分と第2樹脂成分との合計量)の含有量は、第1樹脂成分の含有量と第2樹脂成分の含有量との比率、得ようとする樹脂層24の厚み等に応じて選択できるが、好ましくは樹脂溶液全量の0.1質量%〜25質量%、より好ましくは樹脂溶液全量の1質量%〜10質量%である。樹脂成分の含有量が前記範囲であれば、全体的に均一な組織を有する樹脂層24を形成できる。また、樹脂層24の粒状体23の表面への密着性が良好になる。
樹脂溶液は、更に、リチウム塩を含んでいてもよい。リチウム塩としては、非水電解液用リチウム塩を使用でき、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiAsF、LiB10Cl10、LiCl、LiBr、LiI、LiCOCF、LiSOCF、Li(SOCF)等が挙げられる。
樹脂溶液の負極活物質層22の表面への塗布は、例えば、スクリーン印刷、ダイコート、コンマコート、ローラコート、バーコート、グラビアコート、カーテンコート、スプレーコート、エアーナイフコート、リバースコート、ディップスクイズコート、ディップコート等の、公知の液状物の塗布方法により実施できる。これらの塗布方法の中でも、ディップコートが好ましい。
樹脂層24の厚み及び被覆率は、例えば、樹脂溶液の粘度、塗布量、塗布時間(例えばディップコートにおける浸漬時間)等を選択することにより調整できる。樹脂溶液の粘度は、樹脂溶液における樹脂成分濃度、樹脂溶液の液温等を選択することにより調整できる。樹脂溶液からなる塗膜の乾燥温度は、樹脂溶液に含有される樹脂成分や有機溶媒の種類等に応じて、例えば、20℃〜300℃の範囲から選択される。塗膜を乾燥させることにより、各粒状体23の表面に樹脂層24が形成される。
負極集電体20は、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル等の金属材料からなる金属箔であり、両方の表面20aに複数の凸部21を有している。凸部21は、負極集電体20の表面20aから外方に延びる突起物である。複数の凸部21は互いに離隔し、複数の凸部21から任意に選択される隣り合う一対の凸部21間には、所定寸法の空隙が存在する。負極集電体20の凸部21が形成されない部分の厚みは、好ましくは5μm〜30μmである。なお、本実施形態の負極集電体20は、両方の表面に凸部21を有しているが、片方の表面のみに凸部21を有していてもよい。また、本実施形態では、負極集電体20は帯状である。
凸部21の高さは、負極4の断面において、凸部21の最先端点から表面20aに降ろした垂線の長さである。凸部21の高さは、好ましくは3μm〜15μmである。凸部21の高さは、負極4の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、例えば100個の凸部21の高さを測定し、得られた測定値の平均値として求めることができる。
凸部21の幅は、負極4の断面において、表面20aに平行な方向における凸部21の最大長さである。凸部21の幅は、好ましくは5μm〜40μmである。凸部21の幅は、負極4の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、例えば100個の凸部21の幅を測定し、得られた測定値の平均値として求めることができる。
全ての凸部21を、同じ高さ又は同じ幅に形成する必要はない。
負極集電体20の鉛直方向上方からの正投影図における凸部21の形状としては、例えば、3角形〜8角形の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。多角形には、菱形、平行四辺形、台形等も含まれる。
負極集電体20の表面20aにおける、複数の凸部21の配置としては、例えば、千鳥状配置、格子状配置が挙げられる。また、複数の凸部21を不規則に配置してもよい。粒状体は、充電により膨張したときの応力を緩和できる空隙を、互いに隣り合う粒状体間に確保できる程度に密に配列するのが好ましい。
凸部21の個数は、好ましくは1万個/cm〜1000万個/cmである。また、隣り合う凸部21間の軸線間距離は、好ましくは10μm〜100μmである。凸部21の軸線は、凸部21の形状が多角形である場合、対角線の交点を通り、表面20aに垂直な方向に延びている。凸部21の形状が楕円形である場合、長軸と短軸との交点を通り、表面20aに垂直な方向に延びている。凸部21の形状が円形である場合、凸部21の軸線は、円の中心を通り、表面20aに垂直な方向に延びている。
負極集電体20の作製は、例えば、表面に複数の凹部が形成された凸部用ローラ2本を、これらの軸線が平行になるように圧接させてニップ部を形成し、このニップ部に金属箔を通過させて加圧成形することにより行われる。これにより、前記凹部の内部空間の形状及び寸法にほぼ対応する形状及び寸法を有し、表面20aにほぼ平行な平面状の頂部を有する凸部21が、凸部用ローラ表面における凹部の配置に対応する配置で、金属箔の両方の表面に形成され、負極集電体20が得られる。ここで使用する凸部用ローラは、例えば、少なくとも表面が鍛鋼からなるローラの表面に、レーザ加工で凹部を形成することにより作製できる。
負極活物質層22は、負極集電体20の凸部21表面に支持された複数の粒状体23を含む。合金系活物質を含む粒状体23は、凸部21表面から負極集電体20の外方に延びる。粒状体23は、合金系活物質を含有する複数のクラスターから構成されていてもよい。複数のクラスターは互いに離隔していてもよい。本実施形態では、1つの凸部21に1つの粒状体23が形成されている。放電状態において、互いに隣り合う2個の粒状体23間には、空隙25が存在する。すなわち、複数の粒状体23は互いに離隔し、複数の粒状体23から任意に選択される隣り合う一対の粒状体23間には、空隙25が存在する。
この空隙25により、合金系活物質の体積変化に伴って発生する応力が緩和される。その結果、粒状体23の凸部21からの剥離、負極集電体20及び負極4の変形等が抑制される。したがって、このような構成を有する負極4を用いることにより、合金系活物質の膨張及び収縮に起因するサイクル特性の低下を顕著に抑制することができる。そして、粒状体23の表面に樹脂層24を形成することにより、サイクル特性が更に向上する。
粒状体23を構成する合金系活物質は、リチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵し、負極電位下でリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する物質である。合金系活物質は、非晶質又は低結晶性であることが好ましい。合金系活物質としては公知の合金系活物質を使用できるが、珪素系活物質及び錫系活物質が好ましい。合金系活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
珪素系活物質としては特に限定されないが、珪素、珪素化合物、珪素合金等が挙げられる。珪素化合物の具体例としては、式:SiO(0.05<a<1.95)で表される珪素酸化物、式:SiC(0<b<1)で表される珪素炭化物、式:SiN(0<c<4/3)で表される珪素窒化物などが挙げられる。珪素および珪素化合物に含まれる珪素原子の一部が、異種元素(I)で置換されていてもよい。異種元素(I)の具体例としては、B、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N、Sn等が挙げられる。珪素合金としては、珪素と異種元素(J)との合金等が挙げられる。異種元素(J)としては、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Ti等が挙げられる。これらの珪素系活物質の中でも、珪素及び珪素酸化物が好ましい。
錫系活物質としては、錫、錫化合物、錫合金などが挙げられる。錫化合物の具体例としては、式SnO(0<d<2)で表される錫酸化物、二酸化錫(SnO)、SnSiO、錫窒化物などが挙げられる。錫合金としては、錫と異種元素(K)との合金などが挙げられる。異種元素(K)は、Ni、Mg、Fe、CuおよびTiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。このような合金の具体例として、例えば、NiSn、MgSnなどが挙げられる。
複数の粒状体23は、気相法により、複数の凸部21表面に同時に形成できる。気相法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、溶射法等が挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法が好ましい。
図3は、粒状体23の構成を模式的に示す縦断面図である。粒状体23は、真空蒸着法により、図3に示す塊23a〜23hの積層体として形成される。なお、塊の積層数は8個に限定されず、2個以上の任意の個数の塊を積層できる。
塊23a〜23hの積層体である粒状体23を形成するに際しては、まず、凸部21の表面に支持される塊23aを形成する。次に、凸部21の残りの表面及び塊23aの表面に支持される塊23bを形成する。塊23aの残りの表面及び塊23bの表面に支持される塊23cを形成する。更に、塊23bの残りの表面及び塊23cの表面に支持される塊23dを形成する。以下同様にして、塊23e、23f、23g、23hを交互に積層することにより、粒状体23が得られる。粒状体23の立体形状としては、例えば、柱状、紡錘状、ほぼ球状等が挙げられる。柱状には、円柱状、角柱状などが含まれる。
粒状体23の高さは、負極4の断面において、粒状体23の最先端点から凸部21の平坦な頂部表面に降ろした垂線の長さである。粒状体23の高さは、好ましくは5μm〜30μmである。粒状体23の幅は、負極4の断面において、表面20aに平行な方向の粒状体23の最大長さである。粒状体23の幅は、好ましくは5μm〜50μmである。粒状体23の高さ及び幅は、凸部21の高さ及び幅と同様にして、負極4の断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより求めることができる。
正極3は、正極集電体と、正極集電体の両面に形成される正極活物質層と、を備える。本実施形態では、正極活物質層は、正極集電体の両面に形成されるが、正極集電体の片面に形成されてもよい。
正極集電体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン等の金属材料からなる金属箔等を使用できる。前記金属材料の中でも、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。正極集電体の厚みは特に限定されないが、好ましくは10μm〜30μmである。本実施形態の正極集電体は、帯状である。
正極活物質層は、正極活物質、結着剤及び導電剤を含有する。正極活物質層は、例えば、正極合剤スラリーを正極集電体の表面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延することにより形成できる。正極合剤スラリーは、例えば、正極活物質、結着剤及び導電剤と、分散媒と、を混合することにより調製できる。
正極活物質としては、公知の正極活物質を使用できるが、その中でも、リチウム含有複合酸化物及びオリビン型リチウム塩が好ましい。
リチウム含有複合酸化物は、リチウムと遷移金属元素とを含む金属酸化物、又は前記金属酸化物中の遷移金属元素の一部が異種元素により置換された金属酸化物である。遷移金属元素としては、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Cr等が挙げられる。遷移金属元素の中では、Mn、Co、Ni等が好ましい。遷移金属元素は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。異種元素としては、Na、Mg、Zn、Al、Pb、Sb、B等が挙げられる。異種元素の中では、Mg、Al等が好ましい。異種元素は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
リチウム含有複合酸化物の具体例としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−m、LiCo1−m、LiNi1−m、LiMn、LiMn2−m(前記各式中、MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。0<X≦1.2、0≦m≦0.9、2.0≦n≦2.3である。)等が挙げられる。これらの中でも、LiCo1−mが好ましい。
オリビン型リチウム塩の具体例としては、例えば、LiZPO、LiZPOF(前記各式中、ZはCo、Ni、Mn及びFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)等が挙げられる。
リチウム含有複合酸化物及びオリビン型リチウム塩を示す前記各式において、リチウムのモル数は、これらを合成した直後の値であり、充放電により増減する。正極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂材料、アクリル酸モノマーを含有するスチレンブタジエンゴム(商品名:BM−500B、日本ゼオン(株)製)、スチレンブタジエンゴム(商品名:BM−400B、日本ゼオン(株)製)等のゴム材料等が挙げられる。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック類、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛類等が挙げられる。結着剤及び導電剤の含有量は、例えば、正極3及び電池1の設計等に応じて適宜変更できる。
正極活物質、結着剤及び導電剤と混合する分散媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水等を使用できる。
正極3と負極4との間に配置されるセパレータ5としては、細孔を有する多孔質シート、樹脂繊維の不織布、樹脂繊維の織布等を使用できる。これらの中でも、多孔質シートが好ましく、細孔径が0.05μm〜0.15μm程度である多孔質シートが更に好ましい。多孔質シート、不織布及び織布の厚みは、好ましくは、5μm〜30μmである。多孔質シート及び樹脂繊維を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリアミドイミド等が挙げられる。本実施形態のセパレータ5は、帯状である。
非水電解液は、リチウム塩と、非水溶媒と、を含有する。リチウム塩としては、LiPF、LiClO、LiBF、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiAsF、LiB10Cl10、LiCl、LiBr、LiI、LiCOCF、LiSOCF、Li(SOCF、LiN(SOCF、リチウムイミド塩等が挙げられる。リチウム塩は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。非水溶媒1L中のリチウム塩の濃度は、好ましくは0.2モル〜2モル、更に好ましくは0.5モル〜1.5モルである。
非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等の鎖状エーテル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル、酢酸メチル等の鎖状エステル等が挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前述した実施形態のリチウムイオン二次電池は、捲回型電極群を備える円筒型電池であるが、それに限定されず、本発明のリチウムイオン二次電池は各種形態を採ることができる。前記形態としては、例えば、捲回型電極群、非水電解液等を収容した電池ケースを、正極端子を支持する絶縁材料製の封口板により封口した円筒型電池、捲回型電極群、扁平状電極群又は積層型電極群を角型電池ケースに収容した角型電池、捲回型電極群、扁平状電極群又は積層型電極群をラミネートフィルム製電池ケースに収容したラミネートフィルム電池、積層型電極群をコイン型電池ケースに収容したコイン型電池等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
(a)正極の作製
正極活物質(LiNi0.80Co0.15Al0.05)85質量部、黒鉛粉末10質量部及びポリフッ化ビニリデン粉末5質量部を、適量のN−メチル−2−ピロリドンと混合し、正極合剤スラリーを調製した。得られた正極合剤スラリーを、厚み15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布し、得られた塗膜を乾燥及び圧延し、厚み130μmの正極を作製した。得られた正極を、14400円筒型電池(直径約14mm、高さ約40mm)の電池ケースに挿入可能な幅に裁断した。
(b)負極の作製
(b−1)負極集電体の作製
開口形状が菱形である複数の凹部が表面に千鳥状配置された鍛鋼ローラ2本を、それぞれの軸線が平行になるように圧接させ、ニップ部を形成した。このニップ部に、厚み35μmの電解銅箔(古河サーキットフォイル(株)製)を線圧1000N/cmで通過させ、両方の表面に複数の凸部21が形成された負極集電体20を作製した。
複数の凸部21は、平均高さが8μmであり、千鳥状配置されていた。また、凸部21の頂部は、負極集電体20の表面20aにほぼ平行な平面であった。また、負極集電体20の鉛直方向上方からの正投影図において、凸部21の形状はほぼ菱形であった。また、凸部21の軸線間距離は、負極集電体20の長手方向では20μm、幅方向では40μmであった。
(b−2)負極活物質層の形成
図4は、電子ビーム式真空蒸着装置30((株)アルバック製、以下「蒸着装置30」とする)の内部構成を模式的に示す正面図である。図4では、蒸着装置30の内部に配置されている各部材を実線で示している。蒸着装置30を用い、上記で得られた負極集電体20の各凸部21(図4では不図示)の表面に粒状体23を形成し、負極前駆体を作製した。
蒸着装置30では、耐圧性容器であるチャンバ31の外部に、チャンバ31内を減圧状態にする真空ポンプ39が配置されている。また、チャンバ31内部には、次のような各部材が収容されている。送り出しローラ32には、帯状の負極集電体20が巻き付けられる。搬送ローラ33a、33b、33c、33d、33e、33fは、送り出しローラ32から供給される負極集電体20を搬送する。成膜ローラ34a、34bは、その内部に図示しない冷却装置を備え、その表面を走行する負極集電体20の表面に合金系活物質を堆積させる。巻き取りローラ35は、搬送されてきた負極集電体20を巻き取る。
蒸着源36a、36bは、合金系活物質の原料を収容する。蒸着源36a、36bに対し、電子ビーム発生装置(不図示)から電子ビームを照射することにより、合金系活物質原料の蒸気が発生する。遮蔽板37、38は、合金系活物質原料の蒸気の負極集電体20表面への供給領域を規制する。遮蔽板37は、遮蔽片37a、37b、37cを備える。遮蔽板38は、遮蔽片38a、38b、38cを備える。負極集電体20の搬送方向において、遮蔽片37a、37b間に第1蒸着領域が形成され、遮蔽片37b、37c間に第2蒸着領域が形成され、遮蔽片38c、38b間に第3蒸着領域が形成され、遮蔽片38b、38a間に第4蒸着領域が形成される。各蒸着領域の近傍にはそれぞれ酸素ノズル(不図示)が配置され、酸素が供給される。
合金系活物質原料としては、スクラップシリコン(シリコン単結晶、純度99.9999%、信越化学工業(株)製)を用い、これを蒸発源36a、36bに収容した。チャンバ31内を真空ポンプ39により5×10−3Paまで排気した後、酸素ノズルからチャンバ31内に酸素を供給し、圧力3.5Paの酸素雰囲気とした。次に、蒸発源36a、36bに収容されたスクラップシリコンに電子ビーム(加速電圧:10kV、エミッション:500mA)を照射し、シリコン蒸気を発生させた。シリコン蒸気が上昇する途中で酸素と混ざり合い、シリコン蒸気と酸素との混合気体を生成させた。
一方、送り出しローラ32から負極集電体20を速度2cm/分で供給し、第1蒸着領域を走行する負極集電体20の凸部21表面に、シリコン蒸気と酸素との混合物を蒸着させ、図3に示す塊23aを形成した。次に、第2蒸着領域を走行する負極集電体20の凸部21の表面及び塊23aの表面に塊23bを形成した。更に、第3及び第4蒸着領域において、第1及び第2蒸着領域で塊23a、23bを形成したのとは反対側の面の凸部21表面に塊23a、23bを積層した。
次に、送り出しローラ32及び巻き取りローラ35の回転方向を逆転させることにより、負極集電体20の送り方向を逆転させ、負極集電体20の両面の塊23a、23bの表面に、塊23c、23dを積層した。以下、同様にして1往復の蒸着を行い、負極集電体20の両方の凸部21表面に、塊23a、23b、23c、23d、23e、23f、23g、23hの積層体である粒状体23を形成し、負極前駆体を作製した。図5では、この負極前駆体を4aで示している。
粒状体23は、凸部21の表面により支持され、負極集電体20の外方に延びるように成長していた。粒状体23は、ほぼ円柱状の立体形状を有していた。粒状体23の平均高さは15μm、平均幅は15μmであった。また、粒状体23に含まれる酸素量を燃焼法により定量したところ、粒状体23の組成はSiO0.5であった。
図5は、別形態の真空蒸着装置40(以下「蒸着装置40」とする)の内部構成を模式的に示す正面図である。図5では、蒸着装置40の内部に配置されている各部材を実線で示している。上記で得られた負極前駆体4aの両側表面の複数の粒状体23からなる負極活物質層22に、蒸着装置40を用いて、不可逆容量分のリチウムを補填した。蒸着装置40は、耐圧性容器であるチャンバ41を備え、チャンバ41の内部には次の各部材が配置されている。
送り出しローラ42には、帯状の負極前駆体4aが巻き付けられている。キャン43は、内部に冷却装置(不図示)を備え、その表面を走行する負極前駆体4aの表面にリチウムを堆積させる。巻き取りローラ44は負極前駆体4aを巻き取る。搬送ローラ45a、45bは、送り出しローラ42から供給される負極前駆体4aを、キャン43を経由して巻き取りローラ44に向けて搬送する。タンタル製蒸発源46a、46bは、金属リチウムを収容する。蒸発源46a、46bを加熱することにより、リチウム蒸気が生成する。遮蔽板47は、リチウム蒸気の負極前駆体4a表面への供給を制限する。
チャンバ41内をアルゴン雰囲気に置換し、真空ポンプ(不図示)によりチャンバ41内の真空度を1×10−1Paとした。次に、電源(不図示)から蒸発源46a、46bに50Aの電流を通電してリチウム蒸気を発生させると共に、負極前駆体4aを2cm/分の速度で送り出しローラ42から供給し、負極前駆体4aがキャン43表面を通過する際に、負極前駆体4aの負極活物質層22表面に不可逆容量分のリチウムを蒸着させた。リチウムの蒸着は、負極前駆体4aの両方の負極活物質層22に対して実施した。リチウム蒸着後の負極前駆体4aを、14400円筒型電池(直径約14mm、高さ約40mm)の電池ケースに挿入可能な幅に裁断した。
(c)樹脂層の形成
VDF−HFP共重合体(1)(HFP含有量:0.1モル%、膨潤度15%、数平均分子量40万)及びポリイミド(数平均分子量:10万)を、N−メチル−2−ピロリドンに溶解し、前記VDF−HFP共重合体を固形分全量の33質量%の割合で含有し、且つ、前記ポリイミドを固形分全量の67質量%の割合で含有する樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液を120℃に加熱し、これに、上記で得られた負極前駆体を1分間浸漬して引き上げた。浸漬後の負極前駆体を、85℃で10分間真空乾燥し、VDF−HFP共重合体(1)を33質量%含有し且つポリイミドを67質量%含有する樹脂層を粒状体の表面に形成した。
上記で得られた負極を、走査型電子顕微鏡で観察した。各粒状体の表面には、樹脂層が形成されていた。10個の粒状体を選択し、各粒状体の表面に形成された樹脂層の厚みを測定したところ、樹脂層の厚みはいずれも0.1μm〜5μmの範囲に入っていた。また、粒状体毎に任意の3点で樹脂層の厚みを測定し、得られた30個の測定値を平均したところ、樹脂層の平均厚みは0.6μmであった。
更に、各粒状体について、表面の全面積及び樹脂層で被覆された表面の面積を測定したところ、樹脂層の被覆率は30%〜100%の範囲に入っていた。また、10個の粒状体における樹脂層の被覆率の平均値を求めたところ、95%であった。
(d)非水電解液の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。
(e)電池の組み立て
上記で得られた正極と、上記で得られた負極とを、これらの間に、厚み20μmのセパレータ(商品名:ハイポア、ポリエチレン製多孔質膜、旭化成(株)製)を介在させて捲回し、捲回型電極群を作製した。正極集電体にアルミニウムリードの一端を接続し、負極集電体にニッケルリードの一端を接続した。捲回型電極群の長手方向両端にポリプロピレン製の上部絶縁板及び下部絶縁板をそれぞれ装着した。次に、この捲回型電極群を、有底円筒型の鉄製電池ケースに収容すると共に、アルミニウムリードの他端をステンレス鋼製封口板に接続し、ニッケルリードの他端を電池ケースの底部内面に接続した。
次に、減圧方式により、電池ケースの内部に非水電解液を注液した。安全弁を支持した封口板の周縁部にポリプロピレン製ガスケットを装着し、この状態で、封口板を電池ケースの開口に装着した。電池ケースの開口端部を封口板に向けてかしめることにより、電池ケースを気密封口した。こうして、外径14mm、高さ40mmである14400円筒型のリチウムイオン二次電池を3セル作製した。
(実施例2)
(c)樹脂層の形成において、ポリイミドに代えてポリアクリル酸(数平均分子量:20万)を用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒型のリチウムイオン二次電池を3セル作製した。
(実施例3)
(c)樹脂層の形成において、VDF−HFP共重合体(1)に代えてVDF−HFP共重合体(2)(HFP含有量:8モル%、膨潤度:160%、数平均分子量:50万)を用いる以外は、実施例1と同様にして、円筒型のリチウムイオン二次電池を3セル作製した。
(実施例4)
(c)樹脂層の形成において、VDF−HFP共重合体(1)及びポリイミドの使用割合を変更し、VDF−HFP共重合体(1)を60質量%含有し、且つポリイミドを40質量%含有する樹脂層を形成する以外は、実施例1と同様にして、円筒型のリチウムイオン二次電池を3セル作製した。
(比較例1)
樹脂層を形成しない以外は、実施例1と同様にして、円筒型のリチウムイオン二次電池を3セル作製した。
(比較例2)
(c)樹脂層の形成において、VDF−HFP共重合体(1)とポリイミドとを併用せず、VDF−HFP共重合体(1)のみを使用する以外は、実施例1と同様にして、円筒型のリチウムイオン二次電池を3セル作製した。
(比較例3)
(c)樹脂層の形成において、VDF−HFP共重合体(1)とポリイミドとを併用せず、ポリアミドのみを使用する以外は、実施例1と同様にして、円筒型のリチウムイオン二次電池を3セル作製した。
[電池容量]
実施例1〜4及び比較例1〜3の電池を、それぞれ25℃の恒温槽に収容し、以下の充放電条件で充電(定電流充電及びそれに続く定電圧充電)及び放電(定電流放電)の充放電を3サイクル繰返し、3回目の放電容量(0.2C容量)を求め、電池容量とした。
定電流充電:充電電流0.3C、充電終止電圧4.15V。
定電圧充電:充電電圧4.15V、充電終止電流0.05C、休止時間20分。
定電流放電:放電電流0.2C、放電終止電圧2.5V、休止時間20分。
[サイクル特性]
実施例1〜4及び比較例1〜3の電池、各1セルを、それぞれ25℃の恒温槽に収容し、電池容量評価と同じ条件で1サイクルの充放電を行い、1サイクル放電容量を求めた。その後、定電流放電の電流値を0.2Cから1Cに変更する以外は、1サイクル目と同じ条件で2サイクル〜199サイクルの充放電を行った。次に、1サイクル目と同じ条件で1サイクルの充放電を行い、200サイクル後の0.2C放電容量を求めた。更に、2サイクル目と同じ条件で1サイクルの充放電を行ない、201サイクル後の1C放電容量を求めた。
1サイクル放電容量に対する200サイクル後の0.2C放電容量の百分率として、容量維持率A(%)を求めた。容量維持率Aは、200サイクル後の0.2C放電時の容量維持率である。また、1サイクル放電容量に対する201サイクル後の1C放電容量の百分率として、容量維持率B(%)を求めた。容量維持率Bは、201サイクル後の1C放電時の容量維持率である。更に、容量維持率Aに対する容量維持率Bの百分率として、容量維持率Cを求めた。結果を表1に示す。
Figure 2012001856
表1から、合金系活物質を含む複数の粒状体の集合体である負極活物質層を備えるリチウムイオン二次電池において、粒状体の表面を第1樹脂成分と第2樹脂成分とからなる樹脂層で被覆することにより、電池のサイクル特性が向上し、充放電回数が増加しても、サイクル特性の急激な低下が抑制されることが判る。
実施例1〜3の電池は、比較例1〜2の電池に比べて、低出力でのサイクル特性を示す容量維持率A及び高出力でのサイクル特性を示す容量維持率Bが更に向上していた。特に、実施例2の電池は、容量維持率A及びBが、比較例1〜2の電池よりも顕著に向上していた。これは、実施例1〜3の電池における樹脂層が、第1樹脂成分であるポリイミド又はポリアクリル酸と第2樹脂成分であるVDF−HFP共重合体とをそれぞれ適切な割合で含有していたことによるものと推測される。これにより、リチウムイオン伝導性と耐久性、追従性及び密着性とを高水準で併せ持った樹脂層が得られ、サイクル特性が向上したものと推測される。
また、実施例1及び3の電池と、実施例2の電池との比較から、第1樹脂成分としてポリアクリル酸を用いることにより、サイクル特性が更に向上することが判る。
一方、樹脂層を形成しない比較例1の電池及びVDF−HFP共重合体のみからなる樹脂層を形成した比較例2の電池も、粒状体に対するリチウムイオン伝導性が確保されていたため、ある程度のサイクル特性を有していた。しかし、ポリイミドのみからなる樹脂層を形成した比較例3の電池は、充放電を行うことができなかった。これは、ポリイミドのみからなる樹脂層により、粒状体へのリチウムイオンの供給が著しく抑制されたためであると推測される。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来のリチウムイオン二次電池と同様の用途に使用でき、特に、電子機器、電気機器、工作機器、輸送機器、電力貯蔵機器等の主電源又は補助電源として有用である。電子機器には、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末、携帯用ゲーム機器等がある。電気機器には、掃除機、ビデオカメラ等がある。工作機器には、電動工具、ロボット等がある。輸送機器には、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインHEV、燃料電池自動車等がある。電力貯蔵機器には、無停電電源等がある。
1 リチウムイオン二次電池
2 捲回型電極群
3 正極
4 負極
5 セパレータ
10 正極リード
11 負極リード
12 上部絶縁板
13 下部絶縁板
14 電池ケース
15 封口板
16 ガスケット
20 負極集電体
21 凸部
22 負極活物質層
23 粒状体
24 樹脂層
25 空隙
30 電子ビーム式真空蒸着装置
40 真空蒸着装置

Claims (9)

  1. 表面に複数の凸部が形成された負極集電体と、前記凸部に支持された、リチウムイオンを吸蔵及び放出する合金系活物質を含む複数の粒状体と、を備えるリチウムイオン二次電池用負極であって、
    前記各粒状体は、ポリイミド及びポリアクリル酸から選ばれる少なくとも1種の第1樹脂成分と、フッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とを含む共重合体からなる第2樹脂成分と、を含有する樹脂層を有するリチウムイオン二次電池用負極。
  2. 前記樹脂層の厚みが、0.1μm〜5μmである請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  3. 前記樹脂層の前記第1樹脂成分の含有量が50質量%〜99質量%であり、前記第2樹脂成分の含有量が1質量%〜50質量%である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  4. 前記第1樹脂成分の含有量と前記第2樹脂成分の含有量との比率が、質量比で、1:0.2〜1:1である請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  5. 前記共重合体は、非水電解液に対する膨潤度が15%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  6. 前記粒状体の表面に対する前記樹脂層の被覆率が30%〜100%である請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  7. 満充電時における、前記粒状体の表面に対する前記樹脂層の被覆率が50%〜100%である請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  8. 前記合金系活物質が、珪素系活物質及び錫系活物質から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  9. リチウムイオンを吸蔵及び放出する正極と、リチウムイオンを吸蔵及び放出する負極と、前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、非水電解液と、を備えたリチウムイオン二次電池であって、
    前記負極が、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極であるリチウムイオン二次電池。
JP2012522428A 2010-06-29 2011-04-26 リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 Pending JPWO2012001856A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010148154 2010-06-29
JP2010148154 2010-06-29
PCT/JP2011/002451 WO2012001856A1 (ja) 2010-06-29 2011-04-26 リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2012001856A1 true JPWO2012001856A1 (ja) 2013-08-22

Family

ID=45401606

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012522428A Pending JPWO2012001856A1 (ja) 2010-06-29 2011-04-26 リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20120208084A1 (ja)
JP (1) JPWO2012001856A1 (ja)
KR (1) KR20120047315A (ja)
CN (1) CN102549815A (ja)
WO (1) WO2012001856A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2502345B (en) * 2012-05-25 2017-03-15 Nexeon Ltd Composite material
JP5827261B2 (ja) * 2013-03-28 2015-12-02 信越化学工業株式会社 珪素含有粒子、非水電解質二次電池の負極材、および、非水電解質二次電池
KR102471728B1 (ko) 2014-10-24 2022-11-29 가부시키가이샤 한도오따이 에네루기 켄큐쇼 이차 전지, 및 이차 전지의 제작 방법
JP6680244B2 (ja) * 2017-03-03 2020-04-15 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池およびその製造方法
KR102223721B1 (ko) * 2017-07-28 2021-03-05 주식회사 엘지화학 이차전지용 양극 및 이를 포함하는 리튬 이차전지
JP7113227B2 (ja) * 2018-03-09 2022-08-05 パナソニックIpマネジメント株式会社 リチウム二次電池
JP7297529B2 (ja) * 2018-06-29 2023-06-26 三洋化成工業株式会社 リチウムイオン電池用被覆負極活物質、リチウムイオン電池用負極スラリー、リチウムイオン電池用負極、及び、リチウムイオン電池

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4221774B2 (ja) * 1998-06-23 2009-02-12 宇部興産株式会社 非水二次電池
JP2001313025A (ja) * 2000-04-28 2001-11-09 Mitsubishi Electric Corp 電 池
JP2004164896A (ja) * 2002-11-11 2004-06-10 Nissan Motor Co Ltd 全固体高分子電池用電極とその製造方法
KR100542198B1 (ko) * 2003-10-23 2006-01-11 삼성에스디아이 주식회사 리튬 폴리머 이차 전지
JP5112636B2 (ja) * 2005-02-22 2013-01-09 パナソニック株式会社 非水電解質二次電池およびその負極活物質の被膜形成方法
JP2006269361A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Hitachi Cable Ltd リチウムイオン二次電池用負極及びその製造方法
JP4329743B2 (ja) * 2005-08-09 2009-09-09 宇部興産株式会社 非水二次電池とその製造方法
JP2008103148A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Sony Corp 負極および電池
KR100913176B1 (ko) * 2007-11-28 2009-08-19 삼성에스디아이 주식회사 리튬 이차 전지용 음극 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지
JP2009301945A (ja) * 2008-06-16 2009-12-24 Panasonic Corp 負極およびリチウムイオン二次電池
JP2010097843A (ja) * 2008-10-17 2010-04-30 Panasonic Corp リチウムイオン二次電池
JP5313761B2 (ja) * 2009-05-08 2013-10-09 パナソニック株式会社 リチウムイオン電池

Also Published As

Publication number Publication date
KR20120047315A (ko) 2012-05-11
WO2012001856A1 (ja) 2012-01-05
US20120208084A1 (en) 2012-08-16
CN102549815A (zh) 2012-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5313761B2 (ja) リチウムイオン電池
JP5219339B2 (ja) リチウム二次電池
JP5173181B2 (ja) リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法
JP4837614B2 (ja) リチウム二次電池
WO2012002380A1 (ja) 電解銅箔、リチウムイオン二次電池用電解銅箔、該電解銅箔を用いたリチウムイオン二次電池用電極、該電極を使用したリチウムイオン二次電池
WO2010092815A1 (ja) 非水電解質二次電池用負極及び非水電解質二次電池
WO2011105002A1 (ja) リチウムイオン二次電池
CN108292779A (zh) 锂离子二次电池
JP2011028883A (ja) 非水電解質二次電池
JP2003123740A (ja) 二次電池用負極およびそれを用いた二次電池
WO2012001856A1 (ja) リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池
JP2007200862A (ja) 非水電解質二次電池
JP2007026926A (ja) 二次電池用負極およびこれを用いた二次電池
JP5119584B2 (ja) 非水電解質二次電池およびその負極の製造法
JPWO2015015883A1 (ja) リチウム二次電池及びリチウム二次電池用電解液
JP2011258351A (ja) リチウムイオン二次電池
JPWO2012029578A1 (ja) 二次電池
US20240047680A1 (en) Positive electrode material and battery
JP6319092B2 (ja) 二次電池
JP5289585B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP6807321B2 (ja) 正極活物質、正極およびリチウムイオン二次電池
JP2006066370A (ja) 非水電解質二次電池用負極及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池
JP5708333B2 (ja) 二次電池用負極およびこれを用いた二次電池
JP6931986B2 (ja) 二次電池用負極、および二次電池
JP2012009152A (ja) リチウムイオン二次電池