JPWO2005116995A1 - 情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びに記録制御用のコンピュータプログラム - Google Patents

Abstract

情報記録装置は、記録情報を情報記録媒体の第1記録層及び第２記録層に書込可能な書込手段と、オフセット量に関する情報を取得する取得手段と、この取得された情報に基づいて、第２記録層において、記録情報を記録可能な開始位置を算出する算出手段と、記録情報を、（ｉ）第１記録層に、第１記録トラックに沿って書き込み、（ｉｉ）第２記録層に、算出された開始位置から第２記録トラックに沿って書き込むように、書込手段を制御する制御手段とを備える。

Description

本発明は、例えばＤＶＤ、ＣＤ（Compact Disc）等の情報記録媒体、そのような情報記録媒体に情報を記録するためのＤＶＤレコーダ等の情報記録装置及び方法、並びに、記録制御用のコンピュータプログラムの技術分野に関する。

例えば、ＣＤ−ＲＯＭ（Compact Disc−Read Only Memory）、ＣＤ−Ｒ（Compact Disc−Recordable）、ＤＶＤ−ＲＯＭ、ＤＶＤ−Ｒ、ＤＶＤ−Ｒ／Ｗ、及び、ＤＶＤ＋Ｒ等の情報記録媒体では、特許文献１、２等に記載されているように、同一基板上に複数の記録層が積層、または貼り合わされてなる多層型若しくはデュアルレイヤ型の光ディスク等の情報記録媒体も開発されている。そして、このようなデュアルレイヤ型、即ち、２層型の光ディスクに記録を行う、ＤＶＤレコーダ等の情報記録装置では、レーザ光の照射側から見て最も手前側（即ち、光ピックアップに近い側）に位置する記録層（本願では適宜「Ｌ０層」と称する）に対して記録用のレーザ光を集光することで、Ｌ０層に対して情報を加熱などによる非可逆変化記録方式や書換え可能方式で記録し、Ｌ０層等を介して、レーザ光の照射側から見てＬ０層の奥側（即ち、光ピックアップから遠い側）に位置する記録層（本願では適宜「Ｌ１層」と称する）に対して該レーザ光を集光することで、Ｌ１層に対して情報を加熱などによる非可逆変化記録方式や書換え可能方式で記録することになる。

特開２０００−３１１３４６号公報 特開２００１−２３２３７号公報 特開２００１−３２９３３０号公報 特開２００１−３２９３３１号公報

このような２層型の光ディスクにおいては、Ｌ１層にデータを記録する場合には、Ｌ０層を介してレーザ光を照射することになる。この場合、レーザ光を介するＬ０層には記録データが記録されていることもあるし、或いは記録データが記録されていないことがある。このようにＬ０層の記録状態は必ずしも統一されておらず、それによってＬ１層に照射されるレーザ光の状態が変化してしまう。このため、先に、Ｌ０層を記録済み状態にすることによって、Ｌ１層に適切に記録データを記録するという方法も本願発明者等により考えられている。

しかしながら、ＤＶＤ−ＲＯＭや、ＤＶＤ−Ｒ／ＲＷ等の２層型の光ディスクの製造工程においては、解けたポリカーボネート樹脂を、スタンパディスク（以下「スタンパ」と称す）を使って成型することによってＬ０層とＬ１層とが別々に形成され、最後にこれらＬ０層とＬ１層との基板が貼り合わせられる。よって、Ｌ０層及びＬ１層において、積層誤差（貼り合わせ誤差）によって偏心が生じてしまう可能性がある。或いは、Ｌ０層とＬ１層とが別々のスタンパによって形成されているため、夫々の記録層におけるトラックピッチに偏差が生じてしまう可能性がある。これらの原因によって、Ｌ０層の一の記録領域に、例えばプリフォーマットアドレス等の位置情報によって対応されるＬ１層の他の記録領域の位置にズレが生じてしまい、レーザ光が、Ｌ０層の記録済み状態である一の記録領域を介して、Ｌ１層の他の記録領域に必ず照射されるとは限らないという技術的な問題点を有している。仮に、Ｌ０層が未記録状態である記録領域と、記録済み状態である記録領域との境界領域の影響をなくすために、Ｌ１層において、記録可能な記録領域を制限した場合、この制限された記録領域、即ち、記録を禁止した記録領域に相当する記録容量だけ無駄にしてしまうという技術的な問題点も有している。

或いは、Ｌ０層及びＬ１層における積層誤差によって生じる偏心等に起因した２層型光ディスクにおける所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差が大きくなり、層間ジャンプ時のサーチ時間（所謂、ジャンプパフォーマンス）が、単層型光ディスクと比較して大きく遅延してしまい、例えば、２層間を跨る再生が途切れてしまう等の現象が発生してしまうという技術的な問題点を有している。

本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば複数の記録層を有する情報記録媒体であっても、適切に情報の記録を行うことを可能とならしめる情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータをこのような情報記録装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。

（情報記録媒体）
以下、本発明の情報記録媒体について説明する。

本発明の情報記録媒体は上記課題を解決するために、少なくとも記録情報を記録するための第１記録トラックが形成されたディスク状の第１記録層と、該第１記録層を介して、前記記録情報を記録するための第２記録トラックが形成されたディスク状の第２記録層とを少なくとも備えており、前記第１記録層及び前記第２記録層のうち少なくとも一方は、前記第１及び第２記録層間又は前記第１及び第２記録トラック間の半径方向の相対的なずれを示すオフセット量に関する情報が記録される管理エリアを備える。

本発明の情報記録媒体によれば、例えば、ディスク状の基板の一方の面上に、第１及び第２記録層が積層されており、二層型或いは多層型の例えばＤＶＤ或いは光ディスク等である。第１記録層には、例えばグルーブ（案内溝）から構成された第１記録トラックに沿って、例えば音声、映像情報或いはコンテンツ情報等の記録情報が記録可能とされている。第２記録層には、例えばグルーブ（案内溝）から構成された第２記録トラックに沿って、例えば音声、映像情報或いはコンテンツ情報等の記録情報が記録可能とされている。このように構成されているので、記録又は再生用レーザ光は、基板、第１記録層及び第２記録層の順番に照射される。

より具体的には、特に、第１記録トラックは、前述した基板の内周側及び外周側のうち一方側から他方側へと向かい、第２記録トラックも、第１記録トラックと同様に、一方側から他方側へと向かうように構成してもよい。即ち、当該二層型或いは多層型の情報記録媒体では、記録トラックが二つの記録層の間で同一方向を向いている”パラレル方式”による連続記録が可能とされる。この”パラレル方式”では、第１記録層における記録又は再生が終了されると、第２記録層における記録又は再生が開始される時に、例えば、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要があるため、”オポジット方式”と比較して、第１記録層から第２記録層への切り換え時間がその分だけ掛かってしまう。或いは、また、第１記録トラックは、例えば、ディスク状の基板の内周側及び外周側のうち一方側から他方側へと向かい、これとは逆に、第２記録トラックは、他方側から一方側へと向かうように構成してもよい。即ち、当該二層型或いは多層型の情報記録媒体では、記録トラックが二つの記録層の間で逆方向を向いている”オポジット方式”による連続記録が可能とされる。従って、第１記録層の終了端、即ち、外周側端部等の他方側端部に続いて第２記録層の開始端、即ち、外周側端部等の他方側端部へと、記録を連続的に行うようにすれば、情報に係る記録処理或いは再生処理の対象としての記録層を切り換える際に、基板面内におけるレーザ光の照射位置を半径方向に殆ど又は全く変えないで済むので、迅速な層間ジャンプ（即ち、層間切替動作）が可能となる。これは、例えば映画などの連続した記録情報を記録する際に、記録層の切り換えのために特別なバッファ機能を必要とすることなく、途切れのない再生を行うことが容易となるという意味で、実践上大変便利である。

特に、本発明の情報記録媒体によれば、第１記録層及び第２記録層のうち少なくとも一方において、オフセット量が記録される管理エリアを備える。ここに、「オフセット量」とは、第１及び第２記録層間の又は第１及び第２記録トラック間の半径方向の相対的なずれを示した物理量である。このオフセット量は、アドレスの所定単位であるセクタ数やＥＣＣブロック数で示されてもよいし、光ディスクの半径方向の長さ（μｍ）として示され、セクタ数やＥＣＣブロック数に換算可能としてもよい。

従って、後述される情報記録装置によって、このオフセット量が取得され、参照されることで、このオフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。

本発明の情報記録媒体の一態様では、前記管理エリアには、前記オフセット量として、前記第１記録トラックにおけるプリフォーマットアドレスの基準となる第１場所（例えば、Ｌ０層におけるアドレスが３００００ｈの円周）と、前記第２記録トラックにおける前記プリフォーマットアドレスの基準となる第２場所（例えば、Ｌ１層におけるアドレスが３００００ｈの円周）との半径位置における差を示した第１オフセット量に関する情報が記録される。

この態様によれば、管理エリアには、第１オフセット量が記録される。ここに、「第１オフセット量」とは、Ｌ０層におけるプリフォーマットアドレスの基準となる第１場所（例えば、第１記録層のセクタ番号が“３００００ｈ”の円周）と、Ｌ１層におけるプリフォーマットアドレスの基準となる第２場所（例えば、第２記録層のセクタ番号が“３００００ｈ”の円周）との半径位置における差である。また、第１オフセット量は、第１記録層及び第２記録層における積層誤差によって生じる偏心の大きさ（後述される「第２オフセット量」）を考慮するように構成してもよい。より具体的には、例えば、この偏心の大きさの半分の大きさを第１オフセット量に加算して、又は、第１オフセット量から差し引いてもよい。この第１オフセット量は、アドレスの所定単位であるセクタ数やＥＣＣブロック数で示されてもよいし、光ディスクの半径方向の長さ（μｍ）として示され、セクタ数やＥＣＣブロック数に換算可能としてもよい。

従って、後述される情報記録装置によって、この第１オフセット量が取得され、参照されることで、この第１オフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。

本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記管理エリアには、前記オフセット量として、前記第１記録層及び前記第２記録層における積層誤差によって生じる偏心の大きさを示す第２オフセット量に関する情報が記録される。

この態様によれば、管理エリアには、第２オフセット量が記録される。ここに、「第２オフセット量」とは、第１記録層及び第２記録層における積層誤差によっても生じる偏心の大きさである。より具体的には、この偏心は、貼り合わせ構造をもつ２層型光ディスクの製造時における、貼りあわせ装置の精度により、第１記録層と第２記録層が少しずれて貼りあわされることによって生じる。この第２オフセット量は、アドレスの所定単位であるセクタ数やＥＣＣブロック数で示されてもよいし、光ディスクの半径方向の長さ（μｍ）として示され、セクタ数やＥＣＣブロック数に換算可能としてもよい。

従って、後述される情報記録装置によって、この第２オフセット量が取得され、参照されることで、この第２オフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。

本発明の情報記録媒体の他の態様では、前記管理エリアには、前記オフセット量として、前記第１記録層及び前記第２記録層におけるトラックピッチが異なることによって生じる、前記第２記録層の記録領域の最外周位置と前記第１記録層の記録領域の最外周位置との半径位置における差を示した第３オフセット量に関する情報が記録される。

この態様によれば、管理エリアには、第３オフセット量が記録される。ここに、「第３オフセット量」とは、例えば、２層型情報記録媒体の第１記録層及び第２記録層におけるトラックピッチが異なることによって生じる、第２記録層の記録領域の最外周位置と、第１記録層の記録領域の最外周位置との半径位置における差である。尚、第３オフセット量は、第１及び第２オフセット量と同様にして、光ディスクの半径方向の長さ（μｍ）として示され、セクタ数やＥＣＣブロック数に換算可能としてもよいし、アドレスの所定単位であるセクタ数やＥＣＣブロック数で直接的に示されてもよい。

従って、後述される情報記録装置によって、この第3オフセット量が取得され、参照されることで、この第3オフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。

（情報記録装置）
以下、本発明の第１及び第２情報記録装置について説明する。

本発明の第１情報記録装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録媒体（但し、その各種態様を含む）に対して、前記記録情報を記録するための情報記録装置であって、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第２記録層に書込可能な書込手段と、前記オフセット量に関する情報を取得する取得手段と、前記取得された情報に基づいて、前記第２記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置を算出する算出手段と、前記記録情報を、（ｉ）前記第１記録層に、前記第１記録トラックに沿って書き込み、（ｉｉ）前記第２記録層に、前記算出された開始位置から前記第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御手段とを備える。

本発明の第１情報記録装置によれば、先ず、例えば、ドライブディスク又はホストコンピュータのＣＰＵ（Central Processing Unit）等の算出手段は、記録動作以前に、例えば、取得手段によって取得されているオフセット量に基づいて、記録情報のうち一部を第１記録トラックに沿って第１記録層に書き込む場合、及び、記録情報のうち他部を第２記録トラックに沿って書き込む場合における、第２記録層における記録可能な開始位置を算出する。

次に、例えばＣＰＵ等の制御手段の制御下で、記録情報を第１及び第２記録層に書き込む光ピックアップ等の書込手段は、記録情報の一部を第１記録層に第１記録トラックに沿って書き込み、算出された開始位置から、記録情報の他部を第２記録層に第２記録トラックに沿って書き込む。

このように、本発明の第１情報記録装置による記録動作においては、オフセット量に関する情報が取得され、参照されることで、オフセット量に基づいて、第２記録層における開始位置が算出され、この開始位置から記録動作が行われることが可能となる。即ち、第２記録層におけるプリフォーマットされたアドレス体系から、少なくとも第１オフセット量だけ差し引いて又は加算することによって、第１記録層におけるプリフォーマットされたアドレス体系を基準とする第２記録層において新しく規定されたアドレス体系の下で、記録動作が行われることが可能となる。と同時に、第２記録層における物理又は論理的アドレス体系が、第１記録層における物理又は論理的アドレス体系を基準として再構築されて、記録動作が行われることが可能となる。

以上より、本発明の第１情報記録装置の記録動作によれば、層間ジャンプ（層間切換）時のサーチ時間（所謂、ジャンプパフォーマンス）は、２層型光ディスク等の情報記録媒体において、オフセット量が存在することに起因される、所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差に影響されることは殆ど又は完全になくなる。即ち、本発明の記録動作によれば、第１記録層におけるプリフォーマットされたアドレス体系を基準とした、第２記録層において新しく規定された物理的アドレス体系の下で、所望のアドレスへ遅延なくアクセスすることが可能となり、層間ジャンプ時のサーチ時間を遅延させることは殆ど又は完全になくなる。

更に、本発明の第１情報記録装置による記録動作によれば、例えば、第１記録層及び第２記録層に交互に記録データの記録が行われる場合、第１記録層において記録データが記録された後で、第２記録層の記録領域の最内周側又は最外周側の記録開始又は記録終了位置付近において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光は、第１記録層及び第２記録層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態の第１記録層を透過するように記録動作を制御することが可能である。即ち、記録データが記録済み状態の第１記録層を介して照射されるレーザ光により第２記録層に記録データを記録することができる。よって、記録済み状態の第１記録層を介して第２記録層に記録データを記録する場合における最適な記録レーザパワーによって、第２記録層の最内周側又は最外周側の記録開始位置又は記録終了位置付近を含む全ての記録領域において、適切な記録を行うことが可能となる。その結果、第２記録層の記録領域において記録された記録データを再生する場合にも、再生特性（例えば、アシンメトリ値、ジッタ値、変調度や再生エラーレート等）を安定させ、良好な再生特性を得ることが可能である。加えて、記録レーザパワーが切り換えられる必要もなく、新しく規定されたアドレス体系下で記録データを記録していけばよいため、記録動作自体も簡略化されるという利点も有する。更に、第２記録層において、記録可能な記録領域を制限する必要もなくなるという利点も有する。更に、第１記録層の記録済み状態の記録領域と未記録状態の記録領域との境界の領域が第２記録層の記録再生特性に影響を与える第２記録層の記録領域の最内周側に対応される第１記録層において、例えばリードインエリア等の緩衝用エリアを記録する必要もなくなるという利点も有する。更に、第２記録層の例えば、データエリアの途中における記録においても張り合わせずれ誤差とトラックピッチ又は線速度誤差だけを考えればよくなる。

本発明の第２情報記録装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録媒体（但し、その各種態様を含む）に対して、前記記録情報を記録するための情報記録装置であって、前記記録情報を前記第1記録層及び前記第２記録層に書込可能な書込手段と、前記オフセット量を検出する検出手段と、前記検出されたオフセット量に関する情報を、前記管理エリアに、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御手段とを備える。

本発明の第２情報記録装置によれば、先ず、例えばＣＰＵ等の制御手段の制御下で、光ピックアップ等の検出手段は、オフセット量を検出する。

次に、例えばＣＰＵ等の制御手段の制御下で、記録情報を第１及び第２記録層に書き込む光ピックアップ等の書込手段は、検出されたオフセット量に関する情報を、第１記録層及び第２記録層のうち少なくとも一方における、管理エリアに、第１又は第２記録トラックに沿って書き込む。具体的には、例えば、２層型ＤＶＤ＋Ｒ等の光ディスクにおいては、最初に記録動作を行う情報記録装置が、第１記録層の管理エリアの一部において、各種の制御情報や管理情報を記録する時に、層間ジャンプを行い、２層間のオフセット量を検出する。そして、この情報記録装置は、この検出したオフセット量に関する情報を、後述されるセッションディスクコントロールブロック（ＳＤＣＢ：Session Disc Control Block）に各種制御情報等といっしょに記録する。ここに、セッションディスクコントロールブロックとは、ＤＶＤ−Ｒのインクリメンタルライトにおけるボーダに対応されるセッションの記録を制御する情報が記録される領域の一部分である。

従って、例えば、２層型の情報記録媒体に固有のオフセット量が、各情報記録媒体の管理エリアに記録されていることで、情報記録装置によって、この記録されたオフセット量に関する情報が、読み出され、取得されることによって、第２記録層における開始位置が算出され、この開始位置から記録動作がより簡便に行われることが可能となる。加えて、情報記録装置によって、別手順によって、検出されたオフセット量との比較を行うことで、情報記録媒体に記録されているオフセット量の信頼性を向上させることが可能となる。

本発明の第２情報記録装置の一態様では、前記検出されたオフセット量に基づいて、前記第２記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置を算出する算出手段を更に備え、前記制御手段は、前記記録情報を、（ｉ）前記第１記録層の前記第１記録トラックに沿って書き込み、（ｉｉ）前記算出された開始位置から、前記第２記録層の前記第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。

この態様によれば、情報記録媒体に記録されているオフセット量に基づいて記録動作が行なわれる場合と比較して、一連の記録動作が複数の情報記録装置において行われた場合においても、複数の情報記録装置によって、最適且つ正確なオフセット量が夫々検出され、この検出された最適且つ正確なオフセット量に基づいて、第２記録層において記録動作が行われることが可能となる。

加えて、前述した本発明の第１情報記録装置と同様の効果を得ることが可能となる。

本発明の第１情報記録装置の他の態様では、前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、前記記録情報を、第１開始位置から第１終了位置まで記録可能なデータエリアを更に備えており、前記算出手段は、前記取得されたオフセット量に基づいて、前記第１開始位置及び前記第１終了位置を算出し、前記制御手段は、前記第１開始位置から前記第１終了位置までにおいて、前記記録情報を、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。

この態様によれば、取得されたオフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層の少なくとも一方において、記録情報を、第１開始位置から第１終了位置まで記録可能なデータエリアが適切に形成されることが可能となる。ここに、「第１開始位置」とは、データエリアにおける記録可能な開始位置である。同様にして、「第１終了位置」とは、データエリアにおける記録可能な終了位置である。

本発明の第２情報記録装置の他の態様では、前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、前記記録情報を、第１開始位置から第１終了位置まで記録可能なデータエリアを更に備えており、前記算出手段は、前記検出されたオフセット量に基づいて、前記第１開始位置及び前記第１終了位置を算出し、前記制御手段は、前記第１開始位置から前記第１終了位置までにおいて、前記記録情報を、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。

この態様によれば、検出されたオフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層の少なくとも一方におけるデータエリアが適切に形成されることが可能となる。

この態様では、前記算出手段は、前記第２記録層におけるデータエリアの最内周位置が、前記第１記録層におけるデータエリアの最内周位置から、少なくとも前記オフセット量だけ外周側に相対的に位置するように、前記第１開始位置を算出するように構成してもよい。

このように構成すれば、オフセット量に基づいて、第２記録層における第１開始位置が算出され、この第１開始位置から記録動作が行われることが可能となる。

以上より、第２記録層の記録領域の最内周位置の付近において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光は、第１記録層及び第２記録層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態の第１記録層を透過するように記録動作を制御することが可能である。

この態様では、前記算出手段は、前記第２記録層におけるデータエリアの最外周位置が、前記第１記録層におけるデータエリアの最外周位置から、少なくとも前記オフセット量だけ内周側に相対的に位置するように、前記第１開始位置を算出するように構成してもよい。

このように構成すれば、第２記録層の記録領域の最外周位置の付近において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光は、第１記録層及び第２記録層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態の第１記録層を透過するように記録動作を制御することが可能である。

また、オフセット量として、第３オフセット量に基づいて、第２記録層における第１開始位置が算出され、この第１開始位置から記録動作が行われることによって、第２記録層の記録領域の最外周位置の付近において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光は、第１記録層及び第２記録層のトラックピッチが異なることによって生じる位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態の第１記録層を透過するように記録動作を制御することが可能である。

本発明の第１情報記録装置の他の態様では、前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、前記記録情報の少なくとも一部である緩衝用データを第２開始位置から第２終了位置まで記録可能なリードインエリアに加えて又は代えてリードアウトエリアを更に備えており、前記算出手段は、前記取得されたオフセット量に基づいて、前記開始位置として、前記第２開始位置及び前記第２終了位置を算出し、前記制御手段は、前記情報記録媒体に対するファイナライズ指示に応答して、前記第２開始位置から前記第２終了位置までにおいて、前記緩衝用データを、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。

この態様によれば、取得されたオフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層の少なくとも一方において、緩衝用データを、第２開始位置から第２終了位置まで記録可能なリードインエリアに加えて又は代えてリードアウトエリアが適切に形成されることが可能となる。ここに、「第２開始位置」とは、リードインエリアに加えて又は代えてリードアウトエリアにおける記録可能な開始位置である。同様にして、「第２終了位置」とは、リードインエリアに加えて又は代えてリードアウトエリアにおける記録可能な終了位置である。

本発明の第２情報記録装置の他の態様では、前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、前記記録情報の少なくとも一部である緩衝用データを第２開始位置から第２終了位置まで記録可能なリードインエリアに加えて又は代えてリードアウトエリアを更に備えており、前記算出手段は、前記検出されたオフセット量に基づいて、前記開始位置として、前記第２開始位置及び前記第２終了位置を算出し、前記制御手段は、前記情報記録媒体に対するファイナライズ指示に応答して、前記第２開始位置から前記第２終了位置までにおいて、前記緩衝用データを、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。

この態様によれば、検出されたオフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層の少なくとも一方におけるリードインエリアに加えて又は代えてリードアウトエリアが適切に形成されることが可能となる。

本発明の第１情報記録装置の他の態様では、前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、記録用レーザ光の最適記録パワーを求めるために、前記記録情報の少なくとも一部である試し書き用データを第３開始位置から第３終了位置まで記録可能な較正用エリアを更に備えており、前記算出手段は、前記取得されたオフセット量に基づいて、前記開始位置として、前記第３開始位置及び前記第３終了位置を算出し、前記制御手段は、前記情報記録媒体に対する前記最適記録パワーを求める指示に応答して、前記第３開始位置から前記第３終了位置までにおいて、前記試し書き用データを、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。

この態様によれば、取得されたオフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層の少なくとも一方において、試し書き用データを第３開始位置から第３終了位置まで記録可能な較正用エリアが適切に形成されることが可能となる。ここに、「第３開始位置」とは、較正用エリアにおける記録可能な開始位置である。同様にして、「第３終了位置」とは、較正用エリアにおける記録可能な終了位置である。

本発明の第２情報記録装置の他の態様では、前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、記録用レーザ光の最適記録パワーを求めるために、前記記録情報の少なくとも一部である試し書き用データを第３開始位置から第３終了位置まで記録可能な較正用エリアを更に備えており、前記算出手段は、前記検出されたオフセット量に基づいて、前記開始位置として、前記第３開始位置及び前記第３終了位置を算出し、前記制御手段は、前記情報記録媒体に対する前記最適記録パワーを求める指示に応答して、前記第３開始位置から前記第３終了位置までにおいて、前記試し書き用データを、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する。

この態様によれば、検出されたオフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層の少なくとも一方における較正用エリアが適切に形成されることが可能となる。

本発明の第１及び第２情報記録装置の他の態様では、前記制御手段は、前記第１記録層における記録済み領域と未記録領域の境界近傍に対応される前記第２記録層における記録領域においては、前記記録情報を書き込まないように、前記書込手段を制御する。

この態様によれば、第２記録層の記録領域において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光は、第１記録層及び第２記録層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態の第１記録層を透過するように記録動作を制御することが可能である。

（情報記録方法）
以下、本発明の情報記録方法について説明する。

本発明の第１情報記録方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録媒体（但し、その各種態様を含む）に前記記録情報を書込可能な情報記録装置における情報記録方法であって、前記オフセット量に関する情報を取得する取得工程と、前記取得された情報に基づいて、前記第２記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置を算出する算出工程と、前記記録情報を、（ｉ）前記第１記録層に、前記第１記録トラックに沿って書き込み、（ｉｉ）前記第２記録層に、前記算出された開始位置から前記第２記録トラックに沿って書き込む書込工程とを備える。

本発明の第１情報記録方法によれば、上述した本発明の第１情報記録装置と同様に、制御工程の制御下で、取得工程、算出工程、及び、書込工程を経て、層間ジャンプ（層間切換）時のサーチ時間（所謂、ジャンプパフォーマンス）は、２層型光ディスク等の情報記録媒体において、例えば、第１オフセット量等のオフセット量が存在することに起因される所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差に影響されることは殆ど又は完全になくなる。

更に、例えば、第１記録層及び第２記録層に交互に記録データの記録が行われる場合、第１記録層において記録データが記録された後で、第２記録層の記録領域の最内周側又は最外周側の記録開始又は記録終了位置付近において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光は、第１記録層及び第２記録層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態の第１記録層を透過するように記録手順を制御することが可能である。その結果、上述した本発明の情報記録装置の場合と同様に、記録済み状態の第１記録層を介して第２記録層に記録データを記録する場合における最適な記録レーザパワーによって、第２記録層の最内周側又は最外周側の記録開始位置又は記録終了位置付近を含む全ての記録領域において、適切な記録を行うことが可能となる。その結果、第２記録層の記録領域において記録された記録データを再生する場合にも、再生特性を安定させ、良好な再生特性を得ることが可能である。

尚、上述した本発明の第１情報記録装置における各種態様に対応して、本発明の第１情報記録方法も各種態様を採ることが可能である。

本発明の第２情報記録方法は上記課題を解決するために、上述した本発明の情報記録媒体（但し、その各種態様を含む）に前記記録情報を書込可能な情報記録装置における情報記録方法であって、前記オフセット量を検出する検出工程と、前記検出されたオフセット量に関する情報を、前記管理エリアに、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込む書込工程とを備える。

本発明の第２情報記録方法によれば、上述した本発明の第２情報記録装置の場合と同様に、制御工程の制御下で、検出工程を経て、オフセット量が検出される。

次に、例えばＣＰＵ等の制御手段の制御下で、記録情報を第１及び第２記録層に書き込む書込工程によって、検出されたオフセット量に関する情報を、第１記録層及び第２記録層のうち少なくとも一方における、管理エリアに、第１又は第２記録トラックに沿って書き込む。

従って、例えば、２層型の情報記録媒体に固有のオフセット量が、各情報記録媒体の管理エリアに記録されていることで、例えば、情報記録装置によって、この記録されたオフセット量に関する情報が、読み出され、取得されることによって、第２記録層における開始位置が算出され、この開始位置から記録動作がより簡便に行われることが可能となる。加えて、例えば、情報記録装置によって、別手順によって、検出されたオフセット量との比較を行うことで、情報記録媒体に記録されているオフセット量の信頼性を向上させることが可能となる。

（コンピュータプログラム）
本発明の第１のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、上述した本発明の第１情報記録装置（但し、その各種態様を含む）に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記書込手段、前記取得手段、前記算出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。

本発明の第１コンピュータプログラムによれば、当該第１コンピュータプログラムを格納するＲＯＭ、ＣＤ−ＲＯＭ、ＤＶＤ−ＲＯＭ、ハードディスク等の情報記録媒体から、当該第１コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該第１コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の第１情報記録装置を比較的簡単に実現できる。

尚、上述した本発明の第１情報記録装置における各種態様に対応して、本発明の記録制御用の第１コンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。

本発明の第２のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、上述した本発明の第２情報記録装置（但し、その各種態様を含む）に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記書込手段、前記検出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。

本発明の第２コンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するＲＯＭ、ＣＤ−ＲＯＭ、ＤＶＤ−ＲＯＭ、ハードディスク等の情報記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の第２情報記録装置を比較的簡単に実現できる。

尚、上述した本発明の第２情報記録装置における各種態様に対応して、本発明の第２コンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。

コンピュータ読取可能な媒体内の第１コンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、本発明の第１情報記録装置（但し、その各種態様を含む）に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記書込手段、前記取得手段、前記算出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。

本発明の第１コンピュータプログラム製品によれば、当該第１コンピュータプログラム製品を格納するＲＯＭ、ＣＤ−ＲＯＭ、ＤＶＤ−ＲＯＭ、ハードディスク等の記録媒体から、当該第１コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該第１コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の前記書込手段、前記取得手段、前記算出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該第１コンピュータプログラム製品は、上述した本発明の前記書込手段、前記取得手段、前記算出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させるコンピュータ読取可能なコード（或いはコンピュータ読取可能な命令）から構成されてよい。

コンピュータ読取可能な媒体内の第２コンピュータプログラム製品は上記課題を解決するために、本発明の第２情報記録装置（但し、その各種態様を含む）に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記書込手段、前記検出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させる。

本発明の第２コンピュータプログラム製品によれば、当該第２コンピュータプログラム製品を格納するＲＯＭ、ＣＤ−ＲＯＭ、ＤＶＤ−ＲＯＭ、ハードディスク等の記録媒体から、当該第２コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該第２コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の前記書込手段、前記検出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該第２コンピュータプログラム製品は、上述した本発明の前記書込手段、前記検出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させるコンピュータ読取可能なコード（或いはコンピュータ読取可能な命令）から構成されてよい。

本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。

以上説明したように、本発明の情報記録媒体によれば、第１記録層と、第２記録層と、オフセット量が記録される管理エリアとを備える。従って、後述される情報記録装置によって、このオフセット量に基づいて、第１記録層及び第２記録層において、適切な記録動作が行われることが可能となる。

又、本発明の情報記録装置及び方法、並びに、該情報記録装置に備えられたコンピュータを制御する第１コンピュータプログラムによれば、書込手段、取得手段及び工程、算出手段及び工程、並びに、制御手段及び工程を備えるので、層間ジャンプ（層間切換）時のサーチ時間（所謂、ジャンプパフォーマンス）は、２層型光ディスク等の情報記録媒体において、オフセット量が存在することに起因される所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差に影響されることは殆ど又は完全になくなると共に、記録済み状態の第１記録層を介して第２記録層に記録データを記録する場合における最適な記録レーザパワーによって、第２記録層の最内周側又は最外周側の記録開始位置又は記録終了位置付近を含む全ての記録領域において、適切な記録を行うことが可能となる。或いは、本発明の情報記録装置及び方法、並びに、該情報記録装置に備えられたコンピュータを制御する第２コンピュータプログラムによれば、書込手段、検出手段及び工程、並びに、制御手段及び工程を備えるので、オフセット量に関する情報を、記録することが可能である。

本発明の情報記録媒体の実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図（図１（ａ））、及び、該光ディスクの概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図（図１（ｂ））である。 本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスクのデータ構造、該光ディスクの記録領域におけるＥＣＣブロックを構成するセクタ番号、並びに、該光ディスクのパラレル方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフ図である。 本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスクのデータ構造、該光ディスクの記録領域におけるＥＣＣブロックを構成するセクタ番号、並びに、該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフ図である。 本発明の情報記録装置に係る実施例における情報記録再生装置及び、ホストコンピュータの基本構成を示したブロック図である。 本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる光ディスクにおける第１オフセット量を示した概略平面図である。 本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる光ディスクにおける第２オフセット量（偏心の大きさ）を示した概略平面図（図６（ａ））、及び、該光ディスクに対応する概略断面図（図６（ｂ））である。 本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置によって、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量が検出される態様を図式的に示す概念図である。 本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置によって、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量が加算される又は差し引かれる前後の記録領域を図式的に示す概念図である。 比較例に係るＬ０層が未記録状態である場合、及び、記録済み状態である場合のＬ１層に記録された記録データの品質が異なることを示した図式的な概念図である。 比較例に係るＬ０層が未記録状態である場合、及び、記録済み状態である場合の光透過率が変わることを示した図式的な概念図である。 本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置の第２記録動作によって、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量に加えて第２オフセット量が加算される又は差し引かれる前後の内周側の記録領域を図式的に示す概念図である。 本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置の第２記録動作によって、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量に加えて第２オフセット量が加算される又は差し引かれた後の外周側の記録領域を図式的に示す概念図である。 本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の一具体例を示した概念図である。 本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置の記録対象となる光ディスクのトラックピッチの誤差の影響による、Ｌ０層及びＬ１層の同一セクタ番号における半径方向の位置の差を示したグラフである。 比較例に係る情報記録再生装置による、Ｌ０層及びＬ１層のトラックピッチが０．７４μｍである２層型光ディスクに対する記録動作を示した概念図である。 比較例に係る情報記録再生装置による、Ｌ０層のトラックピッチが０．７４μｍであり、Ｌ１層のトラックピッチが０．７５μｍである２層型光ディスクに対する記録動作を示した概念図である。 本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の他の具体例を示した概念図である。 本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による、第１及び第２記録動作の一具体例であるインクリメンタルライト方式による一の記録動作を図式的に示す概念図（図１８（ａ））及び他の記録動作を図式的に示す概念図（図１８（ｂ））である。 本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による、第１及び第２記録動作の他の具体例であるＬ０層において、例えば、リードアウトエリア等の緩衝用エリアが形成された後の外周側の記録領域を図式的に示す概念図である。

符号の説明

１００…光ディスク、１０１−０（１０１−１）…リードインエリア、１０２−０（１０２−１）…データエリア、１０３−０（１０３−１）…リードアウトエリア、１０４−０（１０４−１）…ミドルエリア、３００…情報記録再生装置、３０６（３０８）…データ入出力制御手段、３０７…操作制御手段、３１０…操作ボタン、３１１…表示パネル、３５１…スピンドルモータ、３５２…光ピックアップ、３５３…信号記録再生手段、３５４…ＣＰＵ（ドライブ制御手段）、３５５（３６０）…メモリ、３５９…ＣＰＵ（ホスト用）、４００…ホストコンピュータ、ＬＢ…レーザ光

以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例毎に順に図面に基づいて説明する。

（情報記録媒体の実施例）
先ず、図１から図３を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例について詳細に説明する。

先ず図１を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る光ディスクの基本構造について説明する。ここに、図１（ａ）は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る複数の記録領域を有する光ディスクの基本構造を示した概略平面図であり、図１（ｂ）は、該光ディスクの概略断面図と、これに対応付けられた、その半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。

図１（ａ）及び図１（ｂ）に示されるように、光ディスク１００は、例えば、ＤＶＤと同じく直径１２ｃｍ程度のディスク本体上の記録面に、センターホール１を中心として本実施例に係るリードインエリア１０１、データエリア１０２並びにリードアウトエリア１０３又はミドルエリア１０４が設けられている。そして、光ディスク１００の例えば、透明基板１０６に、記録層等が積層されている。そして、この記録層の各記録領域には、例えば、センターホール１を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えば、グルーブトラック及びランドトラック等のトラック１０が交互に設けられている。また、このトラック１０上には、データがＥＣＣブロック１１という単位で分割されて記録される。ＥＣＣブロック１１は、記録情報がエラー訂正可能なプリフォーマットアドレスによるデータ管理単位である。

尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。例えば、リードインエリア１０１、リードアウトエリア１０３又はミドルエリア１０４が存在せずとも、以下に説明するデータ構造等の構築は可能である。また、後述するように、リードインエリア１０１、リードアウト１０３又はミドルエリア１０４は更に細分化された構成であってもよい。

特に、本実施例に係る光ディスク１００は、図１（ｂ）に示されるように、例えば、透明基板１０６に、後述される本発明に係る第１及び第２記録層の一例を構成するＬ０層及びＬ１層が積層された構造をしている。このような二層型の光ディスク１００の記録再生時には、図１（ｂ）中、下側から上側に向かって照射されるレーザ光ＬＢの集光位置をいずれの記録層に合わせるかに応じて、Ｌ０層における記録再生が行なわれるか又はＬ１層における記録再生が行われる。また、本実施例に係る光ディスク１００は、２層片面、即ち、デュアルレイヤに限定されるものではなく、２層両面、即ちデュアルレイヤーダブルサイドであってもよい。更に、上述の如く２層の記録層を有する光ディスクに限られることなく、３層以上の多層型の光ディスクであってもよい。

尚、２層型光ディスクにおけるオポジット方式及びパラレル方式による記録再生手順及び各層におけるデータ構造については、後述される。

次に、図２を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスクのデータ構造、該光ディスクの記録領域におけるＥＣＣブロックを構成する物理的セクタ番号、該光ディスクの記録領域におけるランドプリピットアドレス、並びに、該光ディスクのパラレル方式による記録又は再生手順について説明する。ここに、物理的セクタ番号（以下適宜、「セクタ番号」と称す）とは、光ディスクの記録領域における絶対的な物理的アドレスを示した位置情報である。ランドプリピットアドレス（以下適宜、「ＬＰＰアドレス」と称す）とは、セクタ番号に対応するプリフォーマットされた位置情報である。また、図２は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスクのデータ構造、該光ディスクの記録領域におけるＥＣＣブロックを構成するセクタ番号、並びに、該光ディスクのパラレル方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフ図である。尚、図２中の縦軸は、１６進数で表現されたセクタ番号に加えてランドプリピットアドレスを示し、横軸は、光ディスクの半径方向の相対的な位置を示す。

図２に示されるように、本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスク１００は、図示しない透明基板に積層された２層の記録層、即ち、Ｌ０層とＬ１層とを備えて構成されている。

具体的には、Ｌ０層には、内周側から外周側にかけて、ＯＰＣ（Optimum Power Calibration）処理のためのＰＣ（Power Calibration）エリアＰＣＡ、記録管理情報が記録されているＲＭ（Recording Management）エリアＲＭＡ、リードインエリア１０１−０、データエリア１０２−０、及び、リードアウトエリア１０３−０が設けられている。このリードインエリア１０１−０には、記録管理情報が記録されている本発明に係る「第１、第２、又は第３管理エリア」の一例を構成するコントロールデータゾーン（Control Data Zone）ＣＤＺを備えて構成されている。

他方、Ｌ１層には、内周側から外周側にかけて、リードインエリア１０１−１、データエリア１０２−１、及び、リードアウト１０３−１が設けられている。このリードインエリア１０１−１にも、図示しないコントロールデータゾーンが設けられていてもよい。

以上のように２層型光ディスク１００は構成されているので、該光ディスク１００の記録又は再生の際には、後述される本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置の図示しない光ピックアップによって、レーザ光ＬＢは、図示しない基板の側から、即ち、図２中の下側から上側に向けて照射され、その焦点距離等が制御されると共に、光ディスク１００の半径方向における移動距離及び方向が制御される。これにより、夫々の記録層にデータが記録され、又は、記録されたデータが再生される。

特に、本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスクの記録又は再生手順としてパラレル方式が採用されていてもよい。このパラレル方式では、Ｌ０層における記録又は再生が終了されると、Ｌ１層における記録又は再生が開始される時に、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要があるため、後述される”オポジット方式”と比較して、Ｌ０層からＬ１層への切り換え時間がその分だけ掛かってしまう。

具体的には、先ず、Ｌ０層において、光ピックアップがリードインエリア１０１−０、データエリア１０２−０及びリードアウトエリア１０３−０を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク１００の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、セクタ番号が”０２ＦＦＦＦｈ”のリードインエリア１０１−０の終了位置（図２中のＡ地点を参照）、セクタ番号が”０３００００ｈ”のデータエリア１０２−０の開始位置（図２中のＢ地点を参照）、セクタ番号が”１ＡＦＦＦＦｈ”のデータエリア１０２−０の終了位置（図２中のＣ地点を参照）に順次アクセスして、緩衝の役目を果たすリードアウトエリア１０３−０へと移動されることによって、Ｌ０層における記録又は再生が行われる。他方、Ｌ１層において、具体的には、光ピックアップがリードインエリア１０１−１、データエリア１０２−１及びリードアウトエリア１０３−１を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク１００の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、緩衝の役目を果たすリードインエリア１０１−１、セクタ番号が”０３００００ｈ”のデータエリア１０２−１の開始位置（図２中のＢ地点を参照）、セクタ番号が”１ＡＦＦＥＦｈ”のデータエリア１０２−１の終了位置（図２中のＤ地点を参照）に順次アクセスして、リードアウトエリア１０３−１へと移動されることによって、Ｌ１層における記録又は再生が行われる。

よって、コンテンツ情報は、例えば、Ｌ０層のデータエリア１０２−０のセクタ番号“０３００００ｈ”から”１ＡＦＦＦＦｈ”及びＬ１層のデータエリア１０２−１のセクタ番号”０３００００ｈ”から”１ＡＦＦＥＦｈ”において、光ピックアップが連続して移動されると同時に記録又は再生される。

以上説明したセクタ番号に対して、論理ブロックアドレス（ＬＢＡ：Logical Block Address）が、１対１に割り付けられている。より具体的には、例えば、Ｌ０層におけるセクタ番号”０３００００ｈ”には”００００００ｈ”ＬＢＡが対応し、セクタ番号“１ＡＦＦＦＦｈ”には、”１７ＦＦＦＦｈ”ＬＢＡが対応する。他方、Ｌ１層におけるセクタ番号”０３００００ｈ”には”１８００００ｈ”ＬＢＡが対応し、セクタ番号”１ＡＦＦＥＦｈ”には、”２ＦＦＦＥＦｈ”ＬＢＡが対応する。

次に、図３を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるＥＣＣブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生手順について説明する。図３は、本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスクのデータ構造及び該光ディスクの記録領域におけるＥＣＣブロックを構成する物理的セクタ番号並びに該光ディスクのオポジット方式による記録又は再生方法を示した概念的グラフ図である。尚、図３中の縦軸及び横軸等は、前述した図２と同様である。

図３に示されるように、本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスク１００は、図示しない透明基板に積層された２層の記録層、即ち、Ｌ０層とＬ１層とを備えて構成されている。

具体的には、Ｌ０層には、内周側から外周側にかけて、リードインエリア１０１−０、データエリア１０２−０及びミドルエリア１０４−０が設けられている。このリードインエリア１０１−０には、前述したＰＣエリアＰＣＡ及び前述したＲＭエリアＲＭＡ等が設けられている。

具体的には、Ｌ０層には、内周側から外周側にかけて、前述したＯＰＣ処理のためのＰＣエリアＰＣＡ、記録管理情報が記録されているＲＭエリアＲＭＡ、リードインエリア１０１−０、データエリア１０２−０、及び、ミドルエリア１０４−０が設けられている。このリードインエリア１０１−０には、前述した本発明に係る「管理エリア」の一例を構成するコントロールデータゾーンＣＤＺを備えて構成されていてもよい。また、ミドルエリア１０４−０は、Ｌ０層及びＬ１層に対する記録又は再生位置が基板外へ外れることを防止する基本機能を有するが、層間ジャンプの際に記録又は再生位置が基板外に外れることを防止する、言わば”ジャンプ緩衝用エリア”としての機能も有する。

他方、Ｌ１層には、外周側から内周側にかけて、ミドルエリア１０４−１、データエリア１０２−１、及び、リードアウト１０３−１が設けられている。このリードアウトエリア１０３−１にも、図示しないコントロールデータゾーンが設けられていてもよい。

以上のように２層型光ディスク１００は構成されているので、該光ディスク１００の記録又は再生の際の焦点距離等の制御は、前述したパラレル方式と同様である。

特に、本発明の情報記録媒体の実施例に係る２層型光ディスクの記録又は再生手順としてオポジット方式が採用されていてもよい。ここに、オポジット方式とは、より詳細には、２層型光ディスクの記録又は再生手順として、後述される情報記録再生装置の光ピックアップが、Ｌ０層において、内周側から外周側へ向かって、即ち、図３中の矢印の右方向へ移動するのとは逆に、Ｌ１層においては、光ピックアップが外周側から内周側へ向かって、即ち、図３中の矢印の左方向へ移動することによって、２層型光ディスクにおける記録又は再生が行われる方式である。このオポジット方式では、Ｌ０層における記録又は再生が終了されると、Ｌ１層における記録又は再生が開始される時に、光ディスクの最外周にある光ピックアップが再度、最内周へ向かって移動する必要はなく、Ｌ０層からＬ１層への焦点距離だけを切り換えればよいため、Ｌ０層からＬ１層への切り換え時間がパラレル方式と比較して短いという利点があるため大容量のコンテンツ情報の記録には採用されている。

具体的には、先ず、Ｌ０層において、光ピックアップがリードインエリア１０１−０、データエリア１０２−０及びミドルエリア１０４−０を内周側から外周側へ移動するにつれて光ディスク１００の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、セクタ番号が”０２ＦＦＦＦｈ”のリードインエリア１０１−０の終了位置（図３中のＡ地点を参照）、セクタ番号が”０３００００ｈ”のデータエリア１０２−０の開始位置（図３中のＢ地点を参照）、セクタ番号が”１ＡＦＦＦＦｈ”のデータエリア１０２−０の終了位置（以下、適宜、Ｌ０層の「折り返し点」と称す：図３中のＣ地点を参照）に順次アクセスして、緩衝の役目を果たすミドルエリア１０４−０へと移動されることによって、Ｌ０層における記録又は再生が行われる。尚、本実施例において、”３００００ｈ”等の末尾の”ｈ”とは１６進数で表現されていることを示す。他方、Ｌ１層において、具体的には、光ピックアップがミドルエリア１０４−１、データエリア１０２−１及びリードアウトエリア１０３−１を外周側から内周側へ移動するにつれて光ディスク１００の記録領域におけるセクタ番号は増加していく。より具体的には、光ピックアップが、緩衝の役目を果たすミドルエリア１０４−１、セクタ番号が”Ｅ５００００ｈ”のデータエリア１０２−１の開始位置（以下、適宜、Ｌ１層の「折り返し点」と称す：図３中のＤ地点を参照）、セクタ番号が”ＦＣＦＦＥＦｈ”のデータエリア１０２−１の終了位置（図３中のＥ地点を参照）に順次アクセスして、リードアウトエリア１０３−１へと移動されることによって、Ｌ１層における記録又は再生が行われる。

以上説明したＬ０層とＬ１層とにおけるセクタ番号はすべて、１６進数における１５の補数の関係にある。より具体的には、例えば、Ｌ０層における折り返し点（セクタ番号”１ＡＦＦＦＦｈ”）とＬ１層における折り返し点（セクタ番号”Ｅ５００００ｈ”）は１５の補数の関係にある。形式的には、”１ＡＦＦＦＦｈ”の補数は、１６進数のセクタ番号”１ＡＦＦＦＦｈ”を２進数”０００１１０１０１１１１１１１１１１１１１１１１”に変換してからビット反転（インバート：invert）”１１１００１０１００００００００００００００００”させ、１６進数”Ｅ５００００ｈ”に再変換させることによって求められる。

よって、コンテンツ情報は、例えば、Ｌ０層のデータエリア１０２−０のセクタ番号“０３００００ｈ”から”１ＡＦＦＦＦｈ”及びＬ１層のデータエリア１０２−１のセクタ番号”Ｅ５００００ｈ”から”ＦＣＦＦＥＦｈ”において、光ピックアップが連続して移動されると同時に記録又は再生される。

以上説明した物理的セクタ番号に対して、論理ブロックアドレス（ＬＢＡ：Logical Block Address）が、１対１に割り付けられている。より具体的には、例えば、セクタ番号”０３００００ｈ”には”００００００ｈ”ＬＢＡが対応し、セクタ番号”ＦＣＦＦＥＦｈ”には、”Ｆ９ＦＦＥＦｈ”ＬＢＡが対応する。よって、例えば、ホストコンピュータは、物理的セクタ番号に意識することなく、例えば、ファイルシステムによって管理された論理ブロックアドレスに従って記録及び再生動作を行うことが可能となる。

（情報記録装置の実施例）
次に、図４から図１９を参照して、本発明の情報記録装置の実施例の構成及び動作について詳細に説明する。特に、本実施例は、本発明に係る情報記録装置を光ディスク用の情報記録再生装置に適用した例である。

（１）基本構成
先ず、図４を参照して、本発明の情報記録装置に係る実施例における情報記録再生装置３００及び、ホストコンピュータ４００の基本構成について説明する。ここに、図４は、本発明の情報記録装置に係る実施例における情報記録再生装置及び、ホストコンピュータの基本構成を示したブロック図である。尚、情報記録再生装置３００は、光ディスク１００に記録データを記録する機能と、光ディスク１００に記録された記録データを再生する機能とを備える。

図４を参照して情報記録再生装置３００の内部構成を説明する。情報記録再生装置３００は、ドライブ用のＣＰＵ（Central Processing Unit）３５４の制御下で、光ディスク１００に情報を記録すると共に、光ディスク１００に記録された情報を読み取る装置である。

情報記録再生装置３００は、光ディスク１００、スピンドルモータ３５１、光ピックアップ３５２、信号記録再生手段３５３、ＣＰＵ（ドライブ制御手段）３５４、メモリ３５５、偏心検出器３５６、データ入出力制御手段３０６、及びバス３５７を備えて構成されている。また、ホストコンピュータ４００は、ＣＰＵ３５９、メモリ３６０、操作制御手段３０７、操作ボタン３１０、表示パネル３１１、及びデータ入出力制御手段３０８を備えて構成される。

特に、情報記録再生装置３００と、ホストコンピュータ４００を同一筐体内に収めることにより、或いは、ＣＰＵ（ドライブ制御手段）３５４、データ入出力制御手段３０６、及びバス３５７によって、本発明に係る通信手段が構成されていてもよい。

スピンドルモータ３５１は光ディスク１００を回転及び停止させるもので、光ディスクへのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ３５１は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク１００を回転及び停止させるように構成されている。

光ピックアップ３５２は光ディスク１００への記録再生を行うもので、半導体レーザ装置とレンズから構成される。より詳細には、光ピックアップ３５２は、光ディスク１００に対してレーザービーム等の光ビームを、再生時には読み取り光として第１のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第２のパワーで且つ変調させながら照射する。

信号記録再生手段３５３は、スピンドルモータ３５１と光ピックアップ３５２を制御することで光ディスク１００に対して記録再生を行う。より具体的には、信号記録再生手段３５３は、例えば、レーザダイオード（ＬＤ）ドライバ及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバ（ＬＤドライバ）は、光ピックアップ３５２内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ３５２の出力信号、即ち、光ビームの反射光を増幅し、該増幅した信号を出力する。より詳細には、信号記録再生手段３５３は、ＯＰＣ（Optimum Power Calibration）処理時には、ＣＰＵ３５４の制御下で、図示しないタイミング生成器等と共に、ＯＰＣパターンの記録及び再生処理により最適なレーザパワーの決定が行えるように、光ピックアップ３５２内に設けられた図示しない半導体レーザを駆動する。特に、信号記録再生手段３５３は、光ピックアップ３５２と共に、本発明に係る「書込手段」の一例を構成する。

メモリ３５５は、記録再生データのバッファ領域や、信号記録再生手段３５３で使用出来るデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域など情報記録再生装置３００におけるデータ処理全般及びＯＰＣ処理において使用される。また、メモリ３５５はこれらレコーダ機器としての動作を行うためのプログラム、即ちファームウェアが格納されるＲＯＭ領域と、記録再生データの一時格納用バッファや、ファームウェアプログラム等の動作に必要な変数が格納されるＲＡＭ領域などから構成される。

ＣＰＵ（ドライブ制御手段）３５４は、信号記録再生手段３５３及びメモリ３５５と、バス３５７を介して接続され、各種制御手段に指示を行うことで、情報記録再生装置３００全体の制御を行う。通常、ＣＰＵ３５４が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ３５５に格納されている。特に、ＣＰＵ３５４は、本発明に係る「制御手段」及び「算出手段」の一例を構成する。

偏心検出器３５６は、２層型の光ディスク１００の偏心を検出可能に構成されている。例えば、光ディスク１００が、Ｌ０層とＬ１層とを貼り合わせることで製造されていれば、Ｌ０層の中心とＬ１層の中心との積層誤差を検出可能に構成されている。或いは、例えば光ディスク１００の反り返りにより生ずる偏心や光ディスク１００の回転中心軸のズレによる偏心を検出可能に構成されていてもよい。そして、以降の説明において現れる「偏心」とは、特記しない限り、本発明における「偏心」と同様に、これらの偏心をも含めて光ディスク１００全体に生ずる偏心を意味するものである。特に、偏心検出器３５６は、本発明に係る「検出手段」の一例を構成する。

データ入出力制御手段３０６は、情報記録再生装置３００に対する外部からのデータ入出力を制御し、メモリ３５５上のデータバッファへの格納及び取り出しを行う。情報記録再生装置３００とＳＣＳＩや、ＡＴＡＰＩなどのインターフェースを介して接続されている外部のホストコンピュータ４００（以下、適宜ホストと称す）から発行されるドライブ制御命令は、データ入出力制御手段３０６を介してＣＰＵ３５４に伝達される。また、記録再生データも同様にデータ入出力制御手段３０６を介して、ホストコンピュータ４００とやり取りされる。

操作制御手段３０７はホストコンピュータ４００に対する動作指示受付と表示を行うもので、例えば記録又は再生といった操作ボタン３１０による指示をＣＰＵ３５９に伝える。ＣＰＵ３５９は、操作制御手段３０７からの指示情報を元に、データ入出力手段３０８を介して、情報記録再生装置３００に対して制御命令（コマンド）を送信し、情報記録再生装置３００全体を制御する。同様に、ＣＰＵ３５９は、情報記録再生装置３００に対して、動作状態をホストに送信するように要求するコマンドを送信することができる。これにより、記録中や再生中といった情報記録再生装置３００の動作状態が把握できるためＣＰＵ３５９は、操作制御手段３０７を介して蛍光管やＬＣＤなどの表示パネル３１１に情報記録再生装置３００の動作状態を出力することができる。

以上説明した、情報記録再生装置３００とホストコンピュータ４００を組み合わせて使用する一具体例は、映像を記録再生するレコーダ機器等の家庭用機器である。このレコーダ機器は放送受信チューナや外部接続端子からの映像信号をディスクに記録し、テレビなど外部表示機器にディスクから再生した映像信号を出力する機器である。メモリ３６０に格納されたプログラムをＣＰＵ３５９で実行させることでレコーダ機器としての動作を行っている。また、別の具体例では、情報記録再生装置３００はディスクドライブ（以下、適宜ドライブと称す）であり、ホストコンピュータ４００はパーソナルコンピュータやワークステーションである。パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータとドライブはＳＣＳＩやＡＴＡＰＩといったデータ入出力制御手段３０６及び３０８を介して接続されており、ホストコンピュータにインストールされているライティングソフトウェア等のアプリケーションが、ディスクドライブを制御する。

（２）第１記録動作
次に図５から図８を参照して、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量に基づいた第１記録動作について説明する。ここに、図５は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる光ディスクにおける第１オフセット量を示した概略平面図である。図６は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置の記録対象となる光ディスクにおける第２オフセット量（偏心の大きさ）を示した概略平面図（図６（ａ））、及び、該光ディスクに対応する概略断面図（図６（ｂ））である。図７は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置によって、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量が検出される態様を図式的に示す概念図である。図８は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置によって、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量が加算される又は差し引かれる前後の記録領域を図式的に示す概念図である。

本実施例に係る情報記録再生装置の第１記録動作によれば、第１オフセット量に基づいて、Ｌ１層において記録動作が行われることが可能となる。ここに、「第１オフセット量」とは、Ｌ０層におけるプリフォーマットアドレスの基準となる場所（例えば、Ｌ０層のセクタ番号が“３００００ｈ”の円周）と、Ｌ１層におけるプリフォーマットアドレスの基準となる場所（例えば、Ｌ１層のセクタ番号が“３００００ｈ”の円周）との半径位置における差である。より具体的には、図５に示されるように、Ｌ０層及びＬ１層のセクタ番号が“３００００ｈ”の円周の半径位置は、製造工程におけるスタンパの直径の誤差に起因して、夫々１１．８ｍｍから１２．０ｍｍの間にある。よって、第１オフセット量の最大値は、０．２ｍｍである。また、第１オフセット量は、図６（ａ）及び図６（ｂ）で示されるＬ０層及びＬ１層における積層誤差によって生じる偏心の大きさ（後述される「第２オフセット量」）を考慮するように構成してもよい。より具体的には、例えば、この偏心の大きさの半分の大きさを第１オフセット量に加算して、又は、第１オフセット量から差し引いてもよい。この第１オフセット量は、アドレスの所定単位であるセクタ数やＥＣＣブロック数で示されてもよいし、光ディスクの半径方向の長さ（μｍ）として示され、セクタ数やＥＣＣブロック数に換算可能としてもよい。また、第１オフセット量は、Ｌ０層とＬ１との直径の大きさの差で示されてもよい。

即ち、本実施例に係る情報記録再生装置の第１記録動作によれば、Ｌ１層におけるプリフォーマットされたアドレス体系から、第１オフセット量だけ差し引いて又は加算することによって、Ｌ０層におけるプリフォーマットされたアドレス体系を基準とするＬ１層において新しく規定されたアドレス体系の下で、記録動作が行われることが可能となる。尚、プリフォーマットされたアドレス体系とは、具体的には、ＤＶＤ−Ｒディスクの場合は、ランドプリピットアドレスであり、ＤＶＤ＋Ｒディスクの場合は、ＡＤＩＰ（Address In Pre-groove）である。また、本実施例においては、プリフォーマットされたアドレス体系に加えて、後から記録されたＲＦ信号に基づくアドレス体系に基づいて第１記録動作を行ってもよい。この第１記録動作と同時に、本実施例に係る情報記録再生装置の第１記録動作によれば、Ｌ１層における物理又は論理的アドレス体系が、Ｌ０層における物理又は論理的アドレス体系を基準として再構築されて、記録動作が行われることが可能となる。

具体的には、図７に示されるように、２層型ＤＶＤ−Ｒ等の光ディスクの製造時に、プリ記録機（Pre-writer）は、Ｌ０層のコントロールデータゾーンＣＤＺの一部において、各種の制御情報や管理情報をプリ記録する時に、層間ジャンプを行い、２層間の第１オフセット量を検出する。そして、プリ記録機は、この検出した第１オフセット量に関する情報をコントロールデータゾーンＣＤＺに各種制御情報等といっしょに記録する。尚、２層型ＤＶＤ＋Ｒ等の光ディスクにおいては、２層型ＤＶＤ−Ｒのプリ記録機の役割を、最初に記録動作を行う情報記録再生装置が担う。即ち、２層型ＤＶＤ＋Ｒ等の光ディスクにおける最初の記録時に、情報記録再生装置は、上述した第１オフセット量を検出すると共に、この検出された第１オフセット量に関する情報を２層型ＤＶＤ＋Ｒのセッションディスクコントロールブロックに記録する。

より具体的には、第１オフセット量は、以下のようにして検出される。プリ記録機は、パラレル方式の下では、例えば、Ｌ０層のセクタ番号“３００００ｈ”（“００００００”ＬＢＡ）であるデータエリア１０２−０の先頭位置で、Ｌ１層に焦点（フォーカス）を合わせ、層間ジャンプを行う。この層間ジャンプが行なわれると共に、Ｌ１層のセクタがサーチされる。プリ記録機は、最初にサーチされたセクタのセクタ番号を検出する。例えば、検出されたセクタ番号が“２Ｄ０００ｈ”である場合、第１オフセット量は、“３００００ｈ”−“２Ｄ０００ｈ”＝“０３０００ｈ”であると求めることが可能である。尚、この第１オフセット量は、光ディスクの内周側における半径方向の幅（例えば、０．２ｍｍ）に換算することも可能である。この換算方法は、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により求めることが可能である。従って、この最初にサーチされたセクタをＬ１層のデータエリア１０２−１の先頭位置であると認識する。この認識されたセクタに対して、プリフォーマットされたセクタ番号（セクタ番号：“２Ｄ０００ｈ”）に第１オフセット量“０３０００ｈ”だけ加算したセクタ番号である“３００００ｈ”を新しく割り当てることが可能である。言い換えると、ＬＢＡとして、“００００００ｈ”を新しく割り当てることが可能である。他方、プリ記録機は、オポジット方式の下では、最初にサーチされたセクタをＬ１層のデータエリア１０２−１の後尾位置であると認識する。尚、例えば、２層型ＤＶＤ＋Ｒ光ディスクを記録対象とする情報記録再生装置においては、Ｌ１層が未記録状態の場合、ミドルエリアにおける折り返し点となるセクタを記録する場合、この折り返し点となるセクタにおいて第１オフセットを検出してもよい。そして、その折り返し点のセクタ番号にＬ０層と概ね同じ記録容量だけ加算したセクタ番号で示されたセクタをＬ１層のデータエリア１０２−１の後尾位置であると認識するようにしてもよい。この認識されたセクタに対して、プリフォーマットされたセクタ番号（例えば、“ＦＤ２ＦＦＦｈ”）に第１オフセット量“０３０００ｈ”だけ差し引いたセクタ番号である、“ＦＣＦＦＦＦｈ”を新しく割り当てることが可能である、言い換えると、ＬＢＡとして、“Ｆ９ＦＦＦＦｈ”を新しく割り当てることが可能である。この認識された後尾位置から逆算して、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の先頭位置を決定して、プリフォーマットされたセクタ番号の代わりに、例えば“Ｄ９００００ｈ”を新しく割り当てることが可能である、言い換えると、ＬＢＡとして、“Ｄ６００００ｈ”を新しく割り当てることが可能である。

更に、図８に示されるように、本実施例に係る情報記録再生装置の第１記録動作によって新しく規定されたアドレス体系の下では、Ｌ１層におけるデータエリア１０２−１に加えて、ＰＣエリアＰＣＡ、ＲＭエリアＲＭＡ、コントロールデータゾーンを含むリードインエリア１０１−１、及び、リードアウトエリア１０３−１の開始又は終了位置を示す例えばプリフォーマットされたセクタ番号から第１オフセット量だけ加算されたり、又は差し引かれたりする。このように、各記録領域の開始又は終了位置を示したプリフォーマットされたセクタ番号等のアドレスに第１オフセット量だけ加算した又は差し引いたセクタ番号を新しく割り当てることが可能である。

以上より、本実施例に係る情報記録再生装置の第１記録動作によれば、層間ジャンプ（層間切換）時のサーチ時間（所謂、ジャンプパフォーマンス）は、２層型光ディスク等の情報記録媒体において、例えば、前述した第１オフセット量が存在することに起因される、所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差に殆ど又は完全に影響されることない。即ち、情報記録再生装置は、Ｌ０層におけるプリフォーマットされたアドレス体系を基準とした、Ｌ１層において新しく規定された物理的アドレス体系の下で、所望のアドレスへ遅延なくアクセスすることが可能となり、層間ジャンプ時のサーチ時間を遅延させることは殆ど又は完全にない。

更に、本実施例に係る情報記録再生装置の第１記録動作によれば、例えば、Ｌ０層及びＬ１層に交互に記録データの記録が行われる場合、Ｌ０層において記録データが記録された後で、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最内周位置又は最外周位置の付近において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光ＬＢは、Ｌ０層及びＬ１層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態のＬ０層を透過するように記録動作を制御することが可能である。即ち、記録データが記録済み状態のＬ０層を介して照射されるレーザ光ＬＢによりＬ１層に記録データを記録することができる。よって、記録済み状態のＬ０層を介してＬ１層に記録データを記録する場合における最適な記録レーザパワーによって、Ｌ１層の最内周位置又は最外周位置の付近を含む全てのデータエリア１０２−１において、適切な記録を行うことが可能となる。その結果、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最内周位置又は最外周位置の付近を含む全ての記録領域において記録された記録データを再生する場合にも、再生特性（例えば、アシンメトリ値、ジッタ値、変調度や再生エラーレート等）を安定させ、良好な再生特性を得ることが可能である。加えて、記録レーザパワーが切り換えられる必要もなく、新しく規定されたアドレス体系下で記録データを記録していけばよいため、記録動作自体も簡略化されるという利点も有する。

（情報記録再生装置の第１記録動作の作用効果の検討）
次に、図９及び図１０に加えて前述した図５及び図６を適宜参照して、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置の第１記録動作、即ち、Ｌ０層及びＬ１層の第１オフセット量に基づいた記録動作の作用効果について検討を加える。ここに、図９は、比較例に係るＬ０層が未記録状態である場合、及び、記録済み状態である場合のＬ１層に記録された記録データの品質が異なることを示した図式的な概念図である。図１０は、比較例に係るＬ０層が未記録状態である場合、及び、記録済み状態である場合の光透過率が変わることを示した図式的な概念図である。

前述した図５及び図６で示された、Ｌ０層におけるプリフォーマットアドレスの基準となる場所（例えば、Ｌ０層のセクタ番号が“３００００ｈ”の円周）と、Ｌ１層におけるプリフォーマットアドレスの基準となる場所（例えば、Ｌ１層のセクタ番号が“３００００ｈ”の円周）との半径位置における差（即ち、第１オフセット量）、及び、Ｌ０層及びＬ１層における積層誤差によって生じる偏心の大きさ（後述される「第２オフセット量」）を記録動作において考慮しない場合、次の２つの技術的な問題点が生じてしまう。

１つ目に、層間ジャンプ時のサーチ時間が規定することが困難となってしまうという技術的な問題点が生じてしまう。

具体的には、本願発明者の研究によれば、２層型光ディスクにおける所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差は、最大０．６ｍｍであることが判明している。より具体的には、２層型光ディスク等の情報記録媒体における、例えば、前述した第１オフセット量の存在に起因される、所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差は、前述の図５において説明した第１オフセット量の最大値の２倍の０.４ｍｍである。この値に、Ｌ０層及びＬ１層における積層誤差によって生じる偏心の大きさの最大値である０．２ｍｍが合わさって、０．６ｍｍ（＝０．４＋０．２）の誤差が２層間に生じる。一般的に、２層型ＤＶＤ−ＲＯＭでは層間ジャンプ時のサーチ時間（ジャンプパフォーマンス）が規定されていない。仮に、２層型光ディスクにおける所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差が前述した０．６ｍｍ（８３０トラック）である場合、２層型光ディスクの外周側では、約２６６００セクタの差となり、情報記録再生装置におけるトラッキンギサーボの単位時間当たりのアクセス性能が同じであれば、単層型光ディスクのジャンプパフォーマンスの最大値である２００００セクタを超えてしまい、サーチ時間が単層型光ディスクと比較して大きく遅延してしまう。

これに対して、本実施例に係る情報記録再生装置の第１記録動作によれば、層間ジャンプ時のサーチ時間（ジャンプパフォーマンス）は、２層型光ディスク等の情報記録媒体において、前述した第１及び第２オフセット量が存在することに起因される、所望のアドレスと実際にアクセスされる位置との誤差に殆ど又は完全に影響されることない。即ち、情報記録再生装置は、Ｌ０層におけるプリフォーマットされたアドレス体系を基準とした、Ｌ１層において新しく規定された物理的アドレス体系の下で、所望のアドレスへ遅延なくアクセスすることが可能となり、層間ジャンプ時のサーチ時間を遅延させることは殆ど又は完全にない。

２つ目に、Ｌ０層が未記録状態、又は、記録済み状態でＬ１層への光透過率が変わるため、この２つの場合の夫々において、同一の条件で照射されたレーザ光により記録データを記録する場合、いずれか一方は良好な記録特性を得られたとしても、いずれか他方においては必ずしも良好な記録特性が得られるとは限らないという技術的な問題点が生じてしまう。

具体的には、一般に、図１０で示されるように、２層型光ディスクにおいては、記録データが記録済みの状態であるＬ０層を介して照射されるレーザ光によりＬ１層に記録データを記録する場合と、記録データが未記録状態であるＬ０層を介して照射されるレーザ光によりＬ１層に記録データを記録する場合とでは、Ｌ１層に記録された記録データの品質が異なることが知られている。より具体的には、記録済み状態のＬ０層を介してＬ１層に記録データが記録された場合、記録レーザパワーは一般に大きくなる。よって、この記録された記録データを再生する時に、一定の再生レーザパワーに対する再生信号は大きくなる傾向がある。他方、未記録状態のＬ０層を介してＬ１層に記録データが記録された場合、記録レーザパワーは一般に小さくなる。よって、この記録された記録データを再生する時に、一定の再生レーザパワーに対する再生信号も小さくなる傾向がある。このことは、特に、記録パワーにマージンがある程度許容されている低速記録（例えば、１倍速又は２倍速）と比較して、高速記録（例えば、８倍速又は１６倍速）において、Ｌ１層に記録された記録データの品質に大きく影響する。これは、図１０で示されるように、Ｌ０層が未記録状態、又は、記録済み状態でＬ１層への光透過率が変わるためである。本願発明者の研究によれば、Ｌ０層における光透過率は、Ｌ０層が未記録状態の場合は約１５％となり、Ｌ０層が記録済み状態の場合は約１８％となることが判明している。従って、この２つの場合の夫々において、同一の条件で照射されたレーザ光により記録データを記録する場合、いずれか一方は良好な記録特性を得られたとしても、いずれか他方においては必ずしも良好な記録特性が得られるとは限らないという技術的な問題点を有している。

これに対して、本実施例に係る情報記録再生装置の第１記録動作によれば、例えば、Ｌ０層及びＬ１層に交互に記録データの記録が行われる場合、Ｌ０層において記録データが記録された後で、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最内周位置又は最外周位置の付近において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光ＬＢは、Ｌ０層及びＬ１層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態のＬ０層を透過するように記録動作を制御することが可能である。即ち、記録データが記録済み状態のＬ０層を介して照射されるレーザ光ＬＢによりＬ１層に記録データを記録することができる。よって、上述した技術的な問題点を解決することができる。その結果、記録済み状態のＬ０層を介してＬ１層に記録データを記録する場合における最適な記録レーザパワーによって、Ｌ１層の最内周位置又は最外周位置の付近を含む全てのデータエリア１０２−１において、適切な記録を行うことが可能となる。その結果、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最内周位置又は最外周位置の付近を含む全ての記録領域において記録された記録データを再生する場合にも、再生特性（例えば、アシンメトリ値、ジッタ値、変調度や再生エラーレート等）を安定させ、良好な再生特性を得ることが可能である。加えて、記録レーザパワーが切り換えられる必要もなく、新しく規定されたアドレス体系下で記録データを記録していけばよいため、記録動作自体も簡略化されるという利点も有する。

（３）第２記録動作
次に図１１及び図１２を参照して、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量に加えて第２オフセット量に基づいた第２記録動作について説明する。ここに、図１１は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置の第２記録動作によって、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量に加えて第２オフセット量が加算される又は差し引かれる前後の内周側の記録領域を図式的に示す概念図である。図１２は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置の第２記録動作によって、Ｌ０層及びＬ１層における第１オフセット量に加えて第２オフセット量が加算される又は差し引かれた後の外周側の記録領域を図式的に示す概念図である。

本実施例に係る情報記録再生装置の第２記録動作によれば、第１オフセット量に加えて第２オフセット量が取得され、参照されることで、この第１オフセット量に加えて第２オフセット量に基づいて、記録動作が行われることが可能となる。ここに、「第２オフセット量」とは、前述した図６（ａ）及び図６（ｂ）に示されるように、Ｌ０層及びＬ１層における積層誤差によって生じる偏心の大きさである。より具体的には、この偏心は、貼り合わせ構造をもつ２層型光ディスクの製造時における、貼りあわせ装置の精度により、第１層目と第２層目が少しずれて貼りあわされることによって生じる。この第２オフセット量は、アドレスの所定単位であるセクタ数やＥＣＣブロック数で示されてもよいし、光ディスクの半径方向の長さ（μｍ）として示され、セクタ数やＥＣＣブロック数に換算可能としてもよい。尚、本願発明者の研究によれば、この第２オフセット量は、半径方向の長さにして最大約０．２mm、セクタ番号数に換算して最大“０３０００ｈ”であることが判明している。尚、２層型ＤＶＤ−Ｒ等の光ディスク、又は、２層型ＤＶＤ＋Ｒ等の光ディスクに対する第２オフセット量の検出、及び、該第２オフセット量に関する情報の記録媒体への記録は、前述した第１オフセット量と同様にして行われる。

即ち、本実施例に係る情報記録再生装置の第２記録動作によれば、Ｌ１層におけるプリフォーマットされたアドレス体系から、第１オフセット量に加えて第２オフセット量だけ差し引いて又は加算することによって、Ｌ０層におけるプリフォーマットされたアドレス体系を基準とするＬ１層において新しく規定されたアドレス体系の下で、記録動作が行われることが可能となる。より具体的には、図１１で示されるように、例えば、パラレル方式においては、Ｌ１層のセクタ番号が“３００００ｈ”であるデータエリア１０２−１の最内周位置が、Ｌ０層のセクタ番号が“３００００ｈ”であるデータエリア１０２−０の最内周位置から、第２オフセット量、即ち、偏心の大きさだけ外周側に相対的に位置するように、Ｌ１層におけるアドレス体系が新しく規定される。

以上より、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最内周位置の付近において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光ＬＢは、Ｌ０層及びＬ１層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態のＬ０層を透過するように記録動作を制御することが可能である。

より具体的には、第１オフセット量及び第２オフセット量に基づいて新しいアドレス体系は、以下のようにして規定される。前述の図７で説明したように、プリ記録機は、パラレル方式の下で、例えば、Ｌ１層への層間ジャンプ及びサーチの結果、検出されたセクタ番号が“２Ｄ０００ｈ”である場合、第１オフセット量は、“３００００ｈ”−“２Ｄ０００ｈ”＝“０３０００ｈ”であると求めることが可能である。尚、説明の便宜上、第２オフセット量は、セクタ番号数に換算して“０４０００ｈ”とする。従って、この検出されたセクタから第２オフセット量だけ内周側から外周側へズラされたセクタをＬ１層のデータエリア１０２−１の先頭位置であると認識する。即ち、この検出されたセクタに対して、プリフォーマットされたセクタ番号（セクタ番号：“２Ｄ０００ｈ”）に第１オフセット量“０３０００ｈ”だけ加算すると同時に、第２オフセット量“０４０００ｈ”だけ差し引いたセクタ番号である“２Ｃ０００ｈ”を新しく割り当てることが可能である。他方、プリ記録機は、オポジット方式の下では、検出されたセクタから第２オフセット量だけ内周側から外周側へズラされたセクタをＬ１層のデータエリア１０２−１の後尾位置であると認識する。即ち、この検出されたセクタに対して、プリフォーマットされたセクタ番号（例えば、“ＦＤ２ＦＦＦｈ”）に第１オフセット量“０３０００ｈ”だけ差し引くと同時に、第２オフセット量“０４０００ｈ”だけ加算したセクタ番号である、“ＦＤ３ＦＦＦｈ”を新しく割り当てることが可能である。この検出されたセクタの位置から逆算して、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の先頭位置を決定して、プリフォーマットされたセクタ番号の代わりに、例えば“Ｄ９００００ｈ”を新しく割り当てることが可能である。

また、本実施例に係る情報記録再生装置の第２記録動作によれば、図１２に示されるように、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最外周位置が、Ｌ０層のデータエリア１０２−０の最外周位置より、第２オフセット量、即ち、偏心の大きさだけ内周側に相対的に位置するように、Ｌ１層におけるアドレス体系が新しく規定され、該光ディスクに対する記録動作が行なわれるようにしてもよい。

以上より、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最外周位置の付近において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光ＬＢは、Ｌ０層及びＬ１層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態のＬ０層を透過するように記録動作を制御することが可能である。

（４）第３記録動作
次に、図１３から図１７を参照して、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の一具体例及び他の具体例について、その作用効果の検討を含めて説明する。ここに、図１３は、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の一具体例を示した概念図である。図１４は、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置の記録対象となる光ディスクのトラックピッチの誤差の影響による、Ｌ０層及びＬ１層の同一セクタ番号における半径方向の位置の差を示したグラフである。図１５は、比較例に係る情報記録再生装置による、Ｌ０層及びＬ１層のトラックピッチが０．７４μｍである２層型光ディスクに対する記録動作を示した概念図である。図１６は、比較例に係る情報記録再生装置による、Ｌ０層のトラックピッチが０．７４μｍであり、Ｌ１層のトラックピッチが０．７５μｍである２層型光ディスクに対する記録動作を示した概念図である。図１７は、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の他の具体例を示した概念図である。

先ず、図１３から図１６を参照して、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の一具体例について説明する。

図１３に示されるように、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の一具体例によれば、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の記録開始位置Ｂ点（セクタ番号：“３００００ｈ”、半径：２４．１２ｍｍ）は、Ｌ０層のデータエリア１０２−０の記録開始位置Ａ点（セクタ番号：“３００００ｈ”、半径：２４．００ｍｍ）より第１オフセット量（半径方向の幅が１２０μｍ）だけ外周側に位置している。また、Ｌ０層及びＬ１層に交互に記録データの記録を行う一連の該光ディスクに対する記録動作の完了後に、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最外周位置Ｄ点（セクタ番号：“２２２ＥＤ６ｈ”、半径：５７．８８ｍｍ）は、Ｌ０層のデータエリア１０２−０の最外周位置Ｃ点（セクタ番号：“２２Ｄ４３Ｂｈ”、半径：５８．００ｍｍ）より第２オフセット量（半径方向の幅が１２０μｍ）だけ内周側に位置させるようにする。

特に、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の一具体例によれば、Ｌ０層及びＬ１層に交互に記録データの記録を行う該光ディスクに対する記録動作において、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の記録終了位置をＬ０層のデータエリア１０２−０の記録終了位置より、第２オフセット量（半径方向の幅が１２０μｍ）だけ、常に内周側に位置させるようにする。このためには、第２オフセット量に加えて、第１オフセット量による影響を含めて、実際のＬ１層のデータエリア１０２−１の記録終了位置を決定する。尚、この記録終了位置の決定方法は、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により求めることが可能である。

具体的には、前述のように、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の前述した記録開始位置Ｂ点は、Ｌ０層のデータエリア１０２−０の前述した記録開始位置Ａ点より第１オフセット量（半径方向の幅が１２０μｍ）だけ外周側に位置している。更に、図１４に示されるように、記録対象となる光ディスクのトラックピッチや、該光ディスクにおける線速度にも影響され、Ｌ０層及びＬ１層の同一セクタ番号における半径方向の位置の差は最大で４５０μｍ（直径では９００μｍ）になってしまう。従って、この２つの要因によって、Ｌ０層及びＬ１層の同一セクタ番号における半径方向の位置の差は大きくなってしまう。より具体的には、図１５に示されるように、Ｌ０層及びＬ１層のトラックピッチが共に、規格値中心の０．７４μｍである２層型光ディスクに対して、仮に、第２オフセット量を考慮しない記録動作の下では、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最外周位置Ｄ’点（セクタ番号：“２２Ｄ４３Ｂｈ”、半径：５８．０５ｍｍ）は、該最外周位置Ｄ’点と同じセクタ番号を持つＬ０層のデータエリア１０２−０の前述した最外周位置Ｃ点より半径方向で５０μｍだけ外周側に位置してしまう。一般に、光ディスクの最外周へ近づく程、半径が大きくなるため、第１オフセット量（１２０μｍ）である最内周におけるＬ０層とＬ１層との半径方向の位置の差は、最外周においては５０μｍに減少する。また、図１６に示されるように、Ｌ０層のトラックピッチが規格値中心の０．７４μｍであり、Ｌ１層のトラックピッチが規格値上限の０．７５μｍである２層型光ディスクに対して、仮に、第２オフセット量を考慮しない記録動作の下では、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最外周位置Ｄ’’点（セクタ番号：“２２Ｄ４３Ｂｈ”、半径：５８．３７ｍｍ）は、該最外周位置Ｄ’’点と同じセクタ番号を持つＬ０層のデータエリア１０２−０の前述した最外周位置Ｃ点より半径方向で３７０μｍだけ外周側に位置してしまう。

従って、再び、図１３に示されるように、仮に、記録対象となる２層型光ディスクＬ０層のトラックピッチが規格値中心の０．７４μｍであり、Ｌ１層のトラックピッチが規格値上限の０．７５μｍである場合、実際のＬ１層のデータエリア１０２−１の最外周位置Ｄ点が、Ｄ’’点より４９０μｍ（＝３７０＋１２０）だけ内周側に位置するように、該光ディスクに対する記録動作が行なわれる。言い換えると、実際のＬ１層のデータエリア１０２−１の最外周位置Ｄ点のセクタ番号が、Ｄ’’点のセクタ番号より“Ａ５６５ｈ”のセクタ番号数だけ小さくなるように、該光ディスクに対する記録動作が行なわれる。尚、この半径方向の長さからセクタ番号数への換算方法は、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により求めることが可能である。

以下、同様にして、パラレル方式においては、例えば、一番目のコンテンツデータである記録データが、最初にＬ０層のデータエリア１０２−０の前述した記録開始位置Ａ点から記録終了位置Ｅ点（セクタ番号：“６Ｂ２ＥＤｈ”、半径：３０．００ｍｍ）まで記録される。続いて、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の前述した記録開始位置Ｂ点から記録終了位置Ｆ点（セクタ番号：“６８０ＥＤｈ”、半径：２９．８８ｍｍ）まで記録される（図１３中のグレー部分を参照）。よって、Ｅ点とＦ点において、半径方向に、第２オフセット量（１２０μｍ）の差が得られる。言い換えると、Ｌ１層の記録終了位置Ｆ点のセクタ番号が、Ｅ点のセクタ番号より“３４８８ｈ”のセクタ番号数だけ小さくなるように、該光ディスクに対する記録動作が行なわれる。或いは、例えば、三番目のコンテンツデータである記録データが、Ｌ０層の記録終了位置Ｇ点（セクタ番号：“ＥＢ０Ｃ０ｈ”、半径：４０．００ｍｍ）まで記録される。続いて、Ｌ１層の記録終了位置Ｈ点（セクタ番号：“Ｅ５Ｃ８Ｅｈ”、半径：３９．８８ｍｍ）まで記録される（図１３中の斑点部分を参照）。よって、Ｇ点とＨ点において、半径方向に、第２オフセット量（１２０μｍ）の差が得られる。言い換えると、Ｌ１層の記録終了位置Ｈ点のセクタ番号が、Ｇ点のセクタ番号より“４９１１ｈ”のセクタ番号数だけ小さくなるように、該光ディスクに対する記録動作が行なわれる。

尚、オポジット方式においても、該光ディスクに対する記録動作完了後は、パラレル方式と同様の記録領域となるので説明を省略する。

次に、図１７に加えて前述した図１３を適宜参照して、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の他の具体例について説明する。

図１７に示されるように、図１３で説明した一具体例と概ね同様に、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の記録開始位置Ｂ点は、Ｌ０層のデータエリア１０２−０の記録開始位置Ａ点より第１オフセット量（半径方向の幅が１２０μｍ）だけ外周側に位置している。また、Ｌ０層及びＬ１層に交互に記録データの記録を行う該光ディスクに対する記録動作の完了後に、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の最外周位置Ｄ点は、Ｌ０層のデータエリア１０２−０の最外周位置Ｃ点より第２オフセット量（半径方向の幅が１２０μｍ）だけ内周側に位置させるようにする。

特に、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の他の具体例によれば、Ｌ０層及びＬ１層に交互に記録データの記録を行う該光ディスクに対する記録動作において、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の記録終了位置のセクタ番号をＬ０層のデータエリア１０２−０の記録終了位置のセクタ番号より、常に第２オフセット量（一定のセクタ番号数）だけ小さくさせる。尚、この第２オフセット量である一定のセクタ番号数の決定方法は、図８で説明した一具体例と概ね同様に、例えば、実験的、経験的又は理論的若しくはシミュレーション等により求めることが可能である。また、他の具体例によれば、セクタ番号等のプリフォーマットアドレスに応じて記録データを記録していけばよいため、記録手順自体も簡略化されるという利点も有する。

より具体的には、実際のＬ１層のデータエリア１０２−１の最外周位置Ｄ点のセクタ番号が、Ｌ０層のデータエリア１０２−０の最外周位置Ｃ点のセクタ番号より“Ａ５６５ｈ”のセクタ番号数だけ小さくなるように、該光ディスクに対する記録動作が行なわれる。このように、最外周位置において、決定された一定のセクタ番号数を第２オフセット量とすると、この一定のセクタ番号数に対応される半径方向の幅は、半径の小さい内周側に向かうにつれて大きくなることは自明である。

以下、同様にして、パラレル方式においては、例えば、一番目のコンテンツデータである記録データが、最初にＬ０層のデータエリア１０２−０の前述した記録開始位置Ａ点から前述した記録終了位置Ｅ点まで記録される。続いて、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の前述した記録開始位置Ｂ点から記録終了位置Ｉ点（セクタ番号：“６５２２Ｂｈ”、半径：２９．０３ｍｍ）まで記録される（図１７中のグレー部分を参照）。即ち、Ｌ１層の記録終了位置Ｉ点のセクタ番号が、Ｅ点のセクタ番号より“Ａ５６５ｈ”のセクタ番号数だけ小さくなるように、該光ディスクに対する記録動作が行なわれる。よって、Ｅ点とＩ点の半径位置において、第２オフセット量（１２０μｍ）より大きな９７０μｍの差が得られる。或いは、例えば、三番目のコンテンツデータである記録データが、Ｌ０層の前述した記録終了位置Ｇ点まで記録される。続いて、Ｌ１層の記録終了位置Ｊ点（セクタ番号：“ＤＤ２ＣＤｈ”、半径：３９．２８ｍｍ）まで記録される（図１７中の斑点部分を参照）。即ち、Ｌ１層の記録終了位置Ｊ点のセクタ番号が、Ｇ点のセクタ番号より“Ａ５６５ｈ”のセクタ番号数だけ小さくなるように、該光ディスクに対する記録動作が行なわれる。よって、Ｇ点とＪ点の半径位置において、第２オフセット量（１２０μｍ）より大きな半径方向に７２０μｍの差が得られる。

尚、オポジット方式においても、該光ディスクに対する記録動作完了後は、パラレル方式と同様の記録領域となるので説明を省略する。

以上より、本発明の情報記録装置に係る情報記録再生装置によるパラレル方式又はオポジット方式の第３記録動作の一具体例及び他の具体例によれば、Ｌ０層及びＬ１層に交互に記録データの記録が行われる場合、Ｌ０層において記録データが記録された後で、Ｌ１層のデータエリア１０２−１において、記録データが記録される際に、記録用のレーザ光ＬＢは、Ｌ０層及びＬ１層の偏心等に起因される位置の誤差に影響されることなく、記録済み状態のＬ０層を透過するように記録動作を制御することが可能である。即ち、記録データが記録済み状態のＬ０層を介して照射されるレーザ光ＬＢによりＬ１層に記録データを記録することができる。よって、記録済み状態のＬ０層を介してＬ１層に記録データを記録する場合における最適な記録レーザパワーによって、Ｌ１層の全てのデータエリア１０２−１において、適切な記録を行うことが可能となる。その結果、Ｌ１層のデータエリア１０２−１の全ての記録領域において記録された記録データを再生する場合にも、再生特性を安定させ、良好な再生特性を得ることが可能である。

（４）第１及び第２記録動作の具体例
次に図１８及び図１９を参照して、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による、第１及び第２記録動作の一具体例であるインクリメンタルライト方式による記録動作について説明する。ここに、図１８は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による、第１及び第２記録動作の一具体例であるインクリメンタルライト方式による一の記録動作を図式的に示す概念図（図１８（ａ））及び他の記録動作を図式的に示す概念図（図１８（ｂ））である。図１９は、本発明の情報記録装置の実施例に係る情報記録再生装置による、第１及び第２記録動作の他の具体例であるＬ０層において、例えば、リードアウトエリア等の緩衝用エリアが形成された後の外周側の記録領域を図式的に示す概念図である。

図１８（ａ）に示されるように、インクリメンタルライト方式による一の記録動作においては、ボーダを追記する位置を示したＮＷＡ（Next Writable Address）が３つ配置された場合、Ｌ０層において１及び２番目のボーダ（Border）が記録され、２番目のボーダに対応して、Ｌ１層において３番目のボーダが記録される。特に、３番目のボーダの外周側位置は、２番目のボーダの外周側位置より、１２０μｍだけ内周側に位置することが望ましい。また、Ｌ１層における３番目のボーダの記録に際して、Ｌ０層において半径方向に０．２ｍｍ以上の幅（第２オフセット量、即ち、偏心の大きさに相当）の２番目のボーダを記録することが望ましい。より具体的には、情報記録装置がＬ０層とＬ１層の直径の差を検出し、調整し、Ｌ１層においてＬＢＡが“０００００ｈ”となる位置を１２０μｍだけ外周にずらす。この１２０μｍは、偏心の大きさである１１０μｍに対し１０μｍのマージンを加算することによって求められる。尚、この偏心の大きさは、Ｌ０層で４０μｍ以下であり、Ｌ１層で７０μｍであり、それらの偏心の大きさの合計は、１１０μｍ以下であることが望ましい。

図１８（ｂ）に示されるように、インクリメンタルライト方式による他の記録動作においては、Ｌ０層において１番目のボーダ（Border）が記録され、１番目のボーダに対応して、Ｌ１層において２番目のボーダが記録される。特に、２番目のボーダの外周側位置は、１番目のボーダの外周側位置より、１２０μｍだけ内周側に位置することが望ましい。また、Ｌ１層における２番目のボーダの記録に際して、Ｌ０層において半径方向に０．２ｍｍ以上の幅（第２オフセット量、即ち、偏心の大きさに相当）の１番目のボーダを記録することが望ましい。

以上のように、ＮＷＡ、即ち、ボーダは３つだけあることが前提であるので、一旦、Ｌ０層及びＬ１層で対になるＮＷＡ、即ち、ボーダが２つ形成されると、Ｌ１層の記録領域がＬ０層より外周側に位置することは殆ど又は完全にないといえる。言い換えると、Ｌ０層とＬ１層で対になるＮＷＡ、即ち、ボーダの記録領域以外の記録領域は、Ｌ１層と対となるＬ０層の記録領域の内周側に位置するか、又は、外周側に位置することになる。

尚、インクリメンタル方式によるＬ０層及びＬ１層の交互記録においては、他に４つの前提の下で記録が行われる。１つ目の前提は、スタンパは同じ機械を使い作成するのでＬ０層とＬ１層の間に線速度やトラックピッチのずれは殆ど又は完全にない。従って、Ｌ０層の内周（例えば、前述したＬＢＡが“０００００ｈ”の位置）と、Ｌ１層の内周とにおいて、半径方向の位置の差は殆ど又は完全にない。同様に、Ｌ０層の外周と、Ｌ１層の外周とにおいて、半径方向の位置の差は殆ど又は完全にない。２つ目の前提は、物理光学系の誤差等の許容範囲は２層型ＤＶＤ−ＲＯＭと同じかそれ以下であることが望ましい。より具体的には、Ｌ０層の偏心の大きさは７０μｍ以下であり、且つ、Ｌ０層とＬ１層との間における直径の差は最外周で０．５ｍｍ以下であることが望ましい。３つ目の前提は、物理光学系の誤差等の許容範囲をＤＶＤ−Ｒ４倍速と殆ど又は完全に同等にさせることが望ましい。より具体的には、Ｌ０層の偏心は４０μｍ以下、且つ、Ｌ０層とＬ１層とにおける内周の直径の差の合計は０．４ｍｍ以下であることが望ましい。言い換えると、Ｌ０層とＬ１とにおける内周の半径の差の合計は、０．２ｍｍ以下であることが望ましい。４つ目の前提は、４倍速から８倍速記録において、Ｌ０層の未記録状態の記録領域と記録済み状態の記録領域との光透過率の差がＬ１層の記録レーザパワーのパワーマージン幅より大きいことが望ましい。Ｌ０層とＬ１層で内外周の半径の大きさのずれが生じることは殆ど又は完全にないが、仮に、生じたとしてもＬ０層の最外周端に対して、Ｌ１層の最外周端は、半径方向で、＋０μｍから−８０μｍに位置することが望ましい。よって、Ｌ１層の最外周端は、Ｌ０層の最外周端より８０μｍだけ内周側に位置するように記録されるので、中周及び内周において、Ｌ１層の記録領域がＬ０層の記録領域より外周側に位置することはない。

図１９に示されるように、Ｌ１層の記録領域の最外周端から１２０μｍだけ外周側に、Ｌ０層の記録領域の最外周端が位置するように、リードアウトエリア等の緩衝用エリアが形成されることが望ましい。

本実施例では、情報記録媒体の一具体例として、例えば、２層型のＤＶＤ−Ｒ又はＤＶＤ＋Ｒ、或いは、ＤＶＤ−ＲＷ又はＤＶＤ＋ＲＷ等の追記型又は書き換え型光ディスクについて説明したが、本発明は、例えば、３層型等のマルチプルレイヤ型の光ディスクにも適用可能である。更に、ブルーレーザーを記録再生に用いるディスク等の大容量記録媒体にも適用可能である。また、情報記録装置の一具体例として、例えば、２層型ＤＶＤ−Ｒ又はＤＶＤ＋Ｒ等の追記型光ディスクの情報記録再生装置について説明したが、本発明は、例えば、２層型ＤＶＤ−Ｒ／Ｗ又はＤＶＤ＋Ｒ／Ｗ等の書き換え型光ディスクの情報記録再生装置に適用可能である。加えて、例えば、３層型等のマルチプルレイヤ型の光ディスクの情報記録再生装置にも適用可能である。更に、ブルーレーザーを記録再生に用いるディスク等の大容量記録媒体の情報記録再生装置にも適用可能である。

本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。

本発明に係る情報記録媒体、情報記録装置及び方法、並びに記録制御用のコンピュータプログラムは、例えば、ＤＶＤ、ＣＤ等の高密度光ディスクに利用可能であり、更にＤＶＤレコーダ等の情報記録装置に利用可能である。また、例えば民生用或いは業務用の各種コンピュータ機器に搭載される又は各種コンピュータ機器に接続可能な情報記録装置等にも利用可能である。

Claims (23)

1. 少なくとも記録情報を記録するための第１記録トラックが形成されたディスク状の第１記録層と、
   該第１記録層を介して、前記記録情報を記録するための第２記録トラックが形成されたディスク状の第２記録層と
   を少なくとも備えており、
   前記第１記録層及び前記第２記録層のうち少なくとも一方は、前記第１及び第２記録層間又は前記第１及び第２記録トラック間の半径方向の相対的なずれを示すオフセット量に関する情報が記録される管理エリアを備えることを特徴とした情報記録媒体。
2. 前記管理エリアには、前記オフセット量として、前記第１記録トラックにおけるプリフォーマットアドレスの基準となる第１場所と、前記第２記録トラックにおける前記プリフォーマットアドレスの基準となる第２場所との半径位置における差を示した第１オフセット量に関する情報が記録されることを特徴とする請求の範囲第１項に記載の情報記録媒体。
3. 前記管理エリアには、前記オフセット量として、前記第１記録層及び前記第２記録層における積層誤差によって生じる偏心の大きさを示す第２オフセット量に関する情報が記録されることを特徴とする請求の範囲第１項に記載の情報記録媒体。
4. 前記管理エリアには、前記オフセット量として、前記第１記録層及び前記第２記録層におけるトラックピッチが異なることによって生じる、前記第２記録層の記録領域の最外周位置と前記第１記録層の記録領域の最外周位置との半径位置における差を示した第３オフセット量に関する情報が記録されることを特徴とする請求の範囲第１項に記載の情報記録媒体。
5. 請求の範囲第１項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を記録するための情報記録装置であって、
   前記記録情報を前記第1記録層及び前記第２記録層に書込可能な書込手段と、
   前記オフセット量に関する情報を取得する取得手段と、
   前記取得された情報に基づいて、前記第２記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置を算出する算出手段と、
   前記記録情報を、（ｉ）前記第１記録層に、前記第１記録トラックに沿って書き込み、（ｉｉ）前記第２記録層に、前記算出された開始位置から前記第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御手段と
   を備えたことを特徴とする情報記録装置。
6. 請求の範囲第１項に記載の情報記録媒体に対して、前記記録情報を記録するための情報記録装置であって、
   前記記録情報を前記第1記録層及び前記第２記録層に書込可能な書込手段と、
   前記オフセット量を検出する検出手段と、
   前記検出されたオフセット量に関する情報を、前記管理エリアに、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御する制御手段と
   を備えたことを特徴とする情報記録装置。
7. 前記検出されたオフセット量に基づいて、前記第２記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置を算出する算出手段を更に備え、
   前記制御手段は、前記記録情報を、（ｉ）前記第１記録層の前記第１記録トラックに沿って書き込み、（ｉｉ）前記算出された開始位置から、前記第２記録層の前記第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御することを特徴とする請求の範囲第６項に記載の情報記録装置。
8. 前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、前記記録情報を、第１開始位置から第１終了位置まで記録可能なデータエリアを更に備えており、
   前記算出手段は、前記取得されたオフセット量に基づいて、前記第１開始位置及び前記第１終了位置を算出し、
   前記制御手段は、前記第１開始位置から前記第１終了位置までにおいて、前記記録情報を、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御することを特徴とする請求の範囲第５項に記載の情報記録装置。
9. 前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、前記記録情報を、第１開始位置から第１終了位置まで記録可能なデータエリアを更に備えており、
   前記算出手段は、前記検出されたオフセット量に基づいて、前記第１開始位置及び前記第１終了位置を算出し、
   前記制御手段は、前記第１開始位置から前記第１終了位置までにおいて、前記記録情報を、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御することを特徴とする請求の範囲第７項に記載の情報記録装置。
10. 前記算出手段は、前記第２記録層におけるデータエリアの最内周位置が、前記第１記録層におけるデータエリアの最内周位置から、少なくとも前記オフセット量だけ外周側に相対的に位置するように、前記第１開始位置を算出することを特徴とする請求の範囲第８項に記載の情報記録装置。
11. 前記算出手段は、前記第２記録層におけるデータエリアの最内周位置が、前記第１記録層におけるデータエリアの最内周位置から、少なくとも前記オフセット量だけ外周側に相対的に位置するように、前記第１開始位置を算出することを特徴とする請求の範囲第９項に記載の情報記録装置。
12. 前記算出手段は、前記第２記録層におけるデータエリアの最外周位置が、前記第１記録層におけるデータエリアの最外周位置から、少なくとも前記オフセット量だけ内周側に相対的に位置するように、前記第１開始位置を算出することを特徴とする請求の範囲第８項に記載の情報記録装置。
13. 前記算出手段は、前記第２記録層におけるデータエリアの最外周位置が、前記第１記録層におけるデータエリアの最外周位置から、少なくとも前記オフセット量だけ内周側に相対的に位置するように、前記第１開始位置を算出することを特徴とする請求の範囲第９項に記載の情報記録装置。
14. 前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、前記記録情報の少なくとも一部である緩衝用データを第２開始位置から第２終了位置まで記録可能なリードインエリアに加えて又は代えてリードアウトエリアを更に備えており、
    前記算出手段は、前記取得されたオフセット量に基づいて、前記開始位置として、前記第２開始位置及び前記第２終了位置を算出し、
    前記制御手段は、前記情報記録媒体に対するファイナライズ指示に応答して、前記第２開始位置から前記第２終了位置までにおいて、前記緩衝用データを、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御することを特徴とする請求の範囲第５項に記載の情報記録装置。
15. 前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、前記記録情報の少なくとも一部である緩衝用データを第２開始位置から第２終了位置まで記録可能なリードインエリアに加えて又は代えてリードアウトエリアを更に備えており、
    前記算出手段は、前記検出されたオフセット量に基づいて、前記開始位置として、前記第２開始位置及び前記第２終了位置を算出し、
    前記制御手段は、前記情報記録媒体に対するファイナライズ指示に応答して、前記第２開始位置から前記第２終了位置までにおいて、前記緩衝用データを、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御することを特徴とする請求の範囲第７項に記載の情報記録装置。
16. 前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、記録用レーザ光の最適記録パワーを求めるために、前記記録情報の少なくとも一部である試し書き用データを第３開始位置から第３終了位置まで記録可能な較正用エリアを更に備えており、
    前記算出手段は、前記取得されたオフセット量に基づいて、前記開始位置として、前記第３開始位置及び前記第３終了位置を算出し、
    前記制御手段は、前記情報記録媒体に対する前記最適記録パワーを求める指示に応答して、前記第３開始位置から前記第３終了位置までにおいて、前記試し書き用データを、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御することを特徴とする請求の範囲第５項に記載の情報記録装置。
17. 前記情報記録媒体は、前記第１記録層及び前記第２記録層の少なくとも一方において、記録用レーザ光の最適記録パワーを求めるために、前記記録情報の少なくとも一部である試し書き用データを第３開始位置から第３終了位置まで記録可能な較正用エリアを更に備えており、
    前記算出手段は、前記検出されたオフセット量に基づいて、前記開始位置として、前記第３開始位置及び前記第３終了位置を算出し、
    前記制御手段は、前記情報記録媒体に対する前記最適記録パワーを求める指示に応答して、前記第３開始位置から前記第３終了位置までにおいて、前記試し書き用データを、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込むように、前記書込手段を制御することを特徴とする請求の範囲第７項に記載の情報記録装置。
18. 前記制御手段は、前記第１記録層における記録済み領域と未記録領域の境界近傍に対応される前記第２記録層における記録領域においては、前記記録情報を書き込まないように、前記書込手段を制御することを特徴とする請求の範囲第５項に記載の情報記録装置。
19. 前記制御手段は、前記第１記録層における記録済み領域と未記録領域の境界近傍に対応される前記第２記録層における記録領域においては、前記記録情報を書き込まないように、前記書込手段を制御することを特徴とする請求の範囲第６項に記載の情報記録装置。
20. 請求の範囲第１項に記載の情報記録媒体に前記記録情報を書込可能な情報記録装置における情報記録方法であって、
    前記オフセット量に関する情報を取得する取得工程と、
    前記取得された情報に基づいて、前記第２記録層において、前記記録情報を記録可能な開始位置を算出する算出工程と、
    前記記録情報を、（ｉ）前記第１記録層に、前記第１記録トラックに沿って書き込み、（ｉｉ）前記第２記録層に、前記算出された開始位置から前記第２記録トラックに沿って書き込む書込工程と
    を備えたことを特徴とする情報記録方法。
21. 請求の範囲第１項に記載の情報記録媒体に前記記録情報を書込可能な情報記録装置における情報記録方法であって、
    前記オフセット量を検出する検出工程と、
    前記検出されたオフセット量に関する情報を、前記管理エリアに、前記第１又は第２記録トラックに沿って書き込む書込工程と
    を備えたことを特徴とする情報記録方法。
22. 請求の範囲第５項に記載の情報記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記書込手段、前記取得手段、前記算出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
23. 請求の範囲第６項に記載の情報記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記書込手段、前記検出手段、及び、前記制御手段のうち少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
    
    

Images