JPWO2004070030A1 - 動物細胞用高発現ベクター - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、哺乳動物細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)を宿主として、容易に高レベル生産性株を獲得することを可能にする発現ベクターを提供することである。本発明によれば、上流から順番に強発現誘導性プロモーター、遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト、及びポリアデニレーションシグナル配列を含み、その下流に動物細胞で作動可能なプロモーターを有さない薬剤耐性遺伝子を含む、動物宿主細胞において遺伝子組換タンパク質の高生産性を誘導する発現ベクターが提供される。
Description
本発明は、動物細胞を宿主として組み換え蛋白質の高レベル生産を実現する動物細胞用ベクターDNAに関する。本発明のベクターは、細菌、真核微生物、昆虫細胞を宿主とした場合には活性型蛋白質を生産できない蛋白質を発現させるのに特に有用である。
組み換え蛋白質生産用のベクターは多数開発されており、細菌、真核微生物、昆虫細胞を宿主とした発現系では高い収率が期待できる。しかしながら、これらを宿主とする発現系では蛋白質の修飾に問題があったり、哺乳動物蛋白質に固有の特徴が失われたりすることがある。このため、例えば生物学的活性が糖鎖に依存する蛋白質の場合、哺乳動物細胞を宿主としてその蛋白質を生産することが必要になる。こうした要請にも拘わらず、哺乳動物細胞を宿主とする組換蛋白質発現系の生産性は一般に低く、導入遺伝子の安定性にも問題がある場合が多い。
哺乳動物細胞を宿主とした組換蛋白質生産の事例は、エリスロポイエチン(特表2002−529100)、IFN−β(特開平7−265084)などに見られる。また、遺伝子組み換えモノクローナル抗体の生産に関しても数多くの報告がある(特開平7−67648、特開平6−30788、特開平6−217786)。
哺乳動物細胞を宿主とした組換蛋白質生産の事例は、エリスロポイエチン(特表2002−529100)、IFN−β(特開平7−265084)などに見られる。また、遺伝子組み換えモノクローナル抗体の生産に関しても数多くの報告がある(特開平7−67648、特開平6−30788、特開平6−217786)。
哺乳動物細胞を宿主とした組換蛋白質の生産性を向上は、治療用医薬品や診断薬などの製造において非常に重要であるばかりでなく、それらの開発研究にも大いに寄与している。そのため、哺乳動物細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)を宿主として、容易に高レベル生産性株の獲得を可能にするベクターの開発は急務とされている。
容易に高レベル生産性株の獲得を可能にするためには、より多くの目的物質の高レベル生産性株がより少ない形質転換細胞中に存在するようにできれば良い。それにより高レベル生産性クローンの選択が容易となる。
遺伝子発現のレベルは染色体上の位置により著しく異なることが見出されている(Annu.Rev.Cell Biol.,6,679頁,1990年)。高レベル生産性株の獲得のためには、形質転換に用いるベクターDNAの性質、性能をもって染色体上の遺伝子発現のレベルの高い位置にターゲッティングすることが重用と考えられる。
上記した通り、本発明が解決すべき課題は、哺乳動物細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)を宿主として、容易に高レベル生産性株を獲得することを可能にする発現ベクターを提供することである。
本発明者らは、目的とする遺伝子カセットが宿主細胞染色体上の遺伝子発現のレベルの高い位置に組み込まれたものがネオマイシン耐性株として結果として生き残る仕組みをもつベクターを開発した。染色体上の遺伝子発現のレベルの高い位置へのターゲッティングを可能にするためにはネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ(以下、NPTと記載する)遺伝子発現量を極微量にすることが重要である。また、該ベクターはジヒドロ葉酸還元酵素(以下、DHFRと記載する)遺伝子をもち、その発現量を制限する工夫を施すことによりメトトレキセート刺激により効率的な遺伝子増幅を可能にできる。本発明では上記の両者を可能にするベクターを開発した。結果として、高水準で安定的な蛋白質の産生を可能にするベクターを作製でき、本発明を完成した。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 上流から順番に強発現誘導性プロモーター、遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト、及びポリアデニレーションシグナル配列を含み、その下流に動物細胞で作動可能なプロモーターを有さない薬剤耐性遺伝子を含む、動物宿主細胞において遺伝子組換タンパク質の高生産性を誘導する発現ベクター。
(2) 強発現誘導性プロモーターがヒトサイトメガロウイルスMajorImmeidately−Early抗原プロモーター、CMV5プロモーター(合成キメラープロモーター)、β−アクチンプロモーターまたはSV40初期プロモーターである、(1)に記載の発現ベクター。
(3) 薬剤耐性遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子、コドン非最適化(disoptimized)ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、またはブラストサイジン耐性遺伝子である、(1)または(2)に記載の発現ベクター。
(4) 薬剤耐性遺伝子がネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子である、(1)から(3)の何れかに記載の発現ベクター。
(5) 薬剤耐性遺伝子が大腸菌トランスポゾンTn5に由来するネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子である、(1)から(4)の何れかに記載の発現ベクター。
(6) 薬剤耐性遺伝子がポリアデニレーションシグナル配列により遮断された強発現誘導性プロモーターの下流に存在することによる読み過ごし効果によって、極微量の薬剤耐性遺伝子のメッセンジャーRNAまたは蛋白質が生成する、(1)から(5)の何れかに記載の発現ベクター。
(7) 薬剤耐性遺伝子の下流にさらに、動物細胞で作動可能なプロモーターを有さないジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はコドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を有する、(1)から(6)の何れかに記載の発現ベクター。
(8)薬剤耐性遺伝子の下流にさらに、上流から順番に強発現誘導性プロモーター、遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト、及びポリアデニレーションシグナル配列を含み、その下流に動物細胞で作動可能なプロモーターを有さないジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はコドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を有する、(1)から(7)の何れかに記載の発現ベクター。
(9) 発現誘導性の低いプロモーターの下流に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はコドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を有する、(1)から(6)の何れかに記載の発現ベクター。
(10) 発現誘導性の低いプロモーターが、哺乳動物細胞では通常極微量しか発現しない蛋白質遺伝子に由来するプロモーター、哺乳動物に感染しにくいウイルス抗原遺伝子に由来するプロモーター、または上記プロモーターからエンハンサー配列を除去したプロモーターである、(7)から(9)の何れかに記載の発現ベクター。
(11) (1)から(6)の何れかに記載の発現ベクターの遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトに目的遺伝子を組み込むことによって得られる、組み換え発現ベクター。
(12) (7)から(10)の何れかに記載の発現ベクターの遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトに目的遺伝子を組み込むことによって得られる、組み換え発現ベクター。
(13) (1)から(10)の何れかに記載の発現ベクターあるいは(11)または(12)に記載の組み換え発現ベクターを有する形質転換体。
(14) (11)または(12)に記載の組み換え発現ベクターを宿主動物細胞に導入することを含む、目的遺伝子を高発現する形質転換体の製造方法。
(15) (11)または(12)に記載の組み換え発現ベクターを宿主動物細胞に導入することによって形質転換体を取得し、得られた形質転換体を無血清培地へ馴化させることを含む、無血清培地で安定的に蛋白質を生産できる形質転換体を取得する方法。
(16) (12)に記載の組み換え発現ベクターをジヒドロ葉酸還元酵素欠損CHO細胞へ導入し、次いでメトトレキセートの存在下で該細胞を培養することを含む、目的遺伝子の増幅方法。
容易に高レベル生産性株の獲得を可能にするためには、より多くの目的物質の高レベル生産性株がより少ない形質転換細胞中に存在するようにできれば良い。それにより高レベル生産性クローンの選択が容易となる。
遺伝子発現のレベルは染色体上の位置により著しく異なることが見出されている(Annu.Rev.Cell Biol.,6,679頁,1990年)。高レベル生産性株の獲得のためには、形質転換に用いるベクターDNAの性質、性能をもって染色体上の遺伝子発現のレベルの高い位置にターゲッティングすることが重用と考えられる。
上記した通り、本発明が解決すべき課題は、哺乳動物細胞、特にチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)を宿主として、容易に高レベル生産性株を獲得することを可能にする発現ベクターを提供することである。
本発明者らは、目的とする遺伝子カセットが宿主細胞染色体上の遺伝子発現のレベルの高い位置に組み込まれたものがネオマイシン耐性株として結果として生き残る仕組みをもつベクターを開発した。染色体上の遺伝子発現のレベルの高い位置へのターゲッティングを可能にするためにはネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ(以下、NPTと記載する)遺伝子発現量を極微量にすることが重要である。また、該ベクターはジヒドロ葉酸還元酵素(以下、DHFRと記載する)遺伝子をもち、その発現量を制限する工夫を施すことによりメトトレキセート刺激により効率的な遺伝子増幅を可能にできる。本発明では上記の両者を可能にするベクターを開発した。結果として、高水準で安定的な蛋白質の産生を可能にするベクターを作製でき、本発明を完成した。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 上流から順番に強発現誘導性プロモーター、遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト、及びポリアデニレーションシグナル配列を含み、その下流に動物細胞で作動可能なプロモーターを有さない薬剤耐性遺伝子を含む、動物宿主細胞において遺伝子組換タンパク質の高生産性を誘導する発現ベクター。
(2) 強発現誘導性プロモーターがヒトサイトメガロウイルスMajorImmeidately−Early抗原プロモーター、CMV5プロモーター(合成キメラープロモーター)、β−アクチンプロモーターまたはSV40初期プロモーターである、(1)に記載の発現ベクター。
(3) 薬剤耐性遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子、コドン非最適化(disoptimized)ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、またはブラストサイジン耐性遺伝子である、(1)または(2)に記載の発現ベクター。
(4) 薬剤耐性遺伝子がネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子である、(1)から(3)の何れかに記載の発現ベクター。
(5) 薬剤耐性遺伝子が大腸菌トランスポゾンTn5に由来するネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子である、(1)から(4)の何れかに記載の発現ベクター。
(6) 薬剤耐性遺伝子がポリアデニレーションシグナル配列により遮断された強発現誘導性プロモーターの下流に存在することによる読み過ごし効果によって、極微量の薬剤耐性遺伝子のメッセンジャーRNAまたは蛋白質が生成する、(1)から(5)の何れかに記載の発現ベクター。
(7) 薬剤耐性遺伝子の下流にさらに、動物細胞で作動可能なプロモーターを有さないジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はコドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を有する、(1)から(6)の何れかに記載の発現ベクター。
(8)薬剤耐性遺伝子の下流にさらに、上流から順番に強発現誘導性プロモーター、遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト、及びポリアデニレーションシグナル配列を含み、その下流に動物細胞で作動可能なプロモーターを有さないジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はコドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を有する、(1)から(7)の何れかに記載の発現ベクター。
(9) 発現誘導性の低いプロモーターの下流に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はコドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を有する、(1)から(6)の何れかに記載の発現ベクター。
(10) 発現誘導性の低いプロモーターが、哺乳動物細胞では通常極微量しか発現しない蛋白質遺伝子に由来するプロモーター、哺乳動物に感染しにくいウイルス抗原遺伝子に由来するプロモーター、または上記プロモーターからエンハンサー配列を除去したプロモーターである、(7)から(9)の何れかに記載の発現ベクター。
(11) (1)から(6)の何れかに記載の発現ベクターの遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトに目的遺伝子を組み込むことによって得られる、組み換え発現ベクター。
(12) (7)から(10)の何れかに記載の発現ベクターの遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトに目的遺伝子を組み込むことによって得られる、組み換え発現ベクター。
(13) (1)から(10)の何れかに記載の発現ベクターあるいは(11)または(12)に記載の組み換え発現ベクターを有する形質転換体。
(14) (11)または(12)に記載の組み換え発現ベクターを宿主動物細胞に導入することを含む、目的遺伝子を高発現する形質転換体の製造方法。
(15) (11)または(12)に記載の組み換え発現ベクターを宿主動物細胞に導入することによって形質転換体を取得し、得られた形質転換体を無血清培地へ馴化させることを含む、無血清培地で安定的に蛋白質を生産できる形質転換体を取得する方法。
(16) (12)に記載の組み換え発現ベクターをジヒドロ葉酸還元酵素欠損CHO細胞へ導入し、次いでメトトレキセートの存在下で該細胞を培養することを含む、目的遺伝子の増幅方法。
図1は、ネオマイシン耐性ベクターpSV/GKT−Neo作製のフローチャートを示す。
図2は、ネオマイシン耐性/メトトレキセート耐性ベクターpND作製のフローチャートを示す。
図3は、所望の遺伝子発現のためのカセットプラスミドpCB作製のフローチャートを示す。
図4は、哺乳動物細胞中で活性のある転写プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンを持った外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2の作製のフローチャートを示す。
図5は、プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンの上流に転写終結のためのbGH−polyAを配した外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2Bの作製のフローチャートを示す。
図6は、翻訳効率向上のためのウサギβグロビン遺伝子イントロンを配した外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2Bの作製のフローチャートを示す。
図7は、本発明の発現ベクターpNOS−GKT2Bのマップを示す。
図8は、hG−CSF発現用ベクターpNOS−GKT2B−R/hG−CSFの作製のフローチャートを示す。
図9は、本発明の発現ベクターpNOS−GKT2Bをトランスフェクションしたクローンにより発現されたhG−CSFのドットブロット法による検出例を示す。
図10は、本発明の発現ベクターpNOS−GKT2Bをトランスフェクションした各クローンのhG−CSFの発現量の分布を示す。
図11は、実施例4で用いた本発明の発現ベクターpNOSのマップを示す。
図12は、本発明の発現ベクターpNOS/human G−CSFをトランスフェクションしたクローンにより発現されたhG−CSFのドットブロット法による検出例を示す。
図13は、本発明の発現ベクターpNOS/human G−CSFをトランスフェクションしたクローンにより発現されたhG−CSFのドットブロット法による検出例を示す。
図14は、本発明の発現ベクターpNOS/human G−CSFをトランスフェクションした各クローンのhG−CSFの発現量の分布を示す。
図15は、CMV5プロモーターの作製のフローチャートを示す。
図16は、CMV5プロモーターの作製のフローチャートを示す。
図17は、pCMV5−luciferaseの作製のフローチャートを示す。
図18は、ルシフェラーゼアッセイによるCMVプロモーターとCMV5プロモーターの活性アッセイの比較を示す。
図2は、ネオマイシン耐性/メトトレキセート耐性ベクターpND作製のフローチャートを示す。
図3は、所望の遺伝子発現のためのカセットプラスミドpCB作製のフローチャートを示す。
図4は、哺乳動物細胞中で活性のある転写プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンを持った外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2の作製のフローチャートを示す。
図5は、プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンの上流に転写終結のためのbGH−polyAを配した外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2Bの作製のフローチャートを示す。
図6は、翻訳効率向上のためのウサギβグロビン遺伝子イントロンを配した外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2Bの作製のフローチャートを示す。
図7は、本発明の発現ベクターpNOS−GKT2Bのマップを示す。
図8は、hG−CSF発現用ベクターpNOS−GKT2B−R/hG−CSFの作製のフローチャートを示す。
図9は、本発明の発現ベクターpNOS−GKT2Bをトランスフェクションしたクローンにより発現されたhG−CSFのドットブロット法による検出例を示す。
図10は、本発明の発現ベクターpNOS−GKT2Bをトランスフェクションした各クローンのhG−CSFの発現量の分布を示す。
図11は、実施例4で用いた本発明の発現ベクターpNOSのマップを示す。
図12は、本発明の発現ベクターpNOS/human G−CSFをトランスフェクションしたクローンにより発現されたhG−CSFのドットブロット法による検出例を示す。
図13は、本発明の発現ベクターpNOS/human G−CSFをトランスフェクションしたクローンにより発現されたhG−CSFのドットブロット法による検出例を示す。
図14は、本発明の発現ベクターpNOS/human G−CSFをトランスフェクションした各クローンのhG−CSFの発現量の分布を示す。
図15は、CMV5プロモーターの作製のフローチャートを示す。
図16は、CMV5プロモーターの作製のフローチャートを示す。
図17は、pCMV5−luciferaseの作製のフローチャートを示す。
図18は、ルシフェラーゼアッセイによるCMVプロモーターとCMV5プロモーターの活性アッセイの比較を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
導入される薬剤耐性遺伝子(例えば、NPT遺伝子など)の発現が起こらないかもしくは低すぎると、ベクターDNAが導入された宿主細胞は対応する薬剤(例えば、ネオマイシン(以下、NEO)など)に対する耐性を獲得できない。しかしながら、本発明者らがこれまでに行った研究においては、市販のベクターを含み通常のNPT遺伝子をもつベクターDNAを用いたすべての場合、非常に多くのNEO耐性株が得られた。このような結果に基づく限り、ベクターDNAから供与されたNPT遺伝子の発現は、トランスフェクションの結果得られた細胞が形質転換体であるかどうかの選択マーカーとしては寄与しているが、それ以上の効果はないと推定された。
本発明者らは、NPT発現の発現誘導を極端に制限的にすることにより、NPT遺伝子シストロンが宿主細胞染色体上の遺伝子発現のレベルの高い位置に組み込まれない限りNEO耐性獲得のために必要なレベルのNPT発現が起こらないように設計した。このことにより組み込まれるベクターDNAが染色体上の遺伝子発現のレベルの極めて高い位置に導入されない限り形質転換された宿主細胞がNEOに対して耐性の性質を獲得せず、NEOを一定量以上含んだ培地中では生存できないようにした。ベクターDNAのNPT遺伝子シストロンに弱いプロモーターを使用した報告はいくつかあるが(Mol.Cell Biol.,6,2593頁,1986年;Mol.Cell Biol.,7,1296頁,1987年;DNA,7,651頁,1988年)、これらの事例において高生産性の形質転換体が有効かつ十分に選択されているとは考え難い。
本発明の原理は、大腸菌トランスポゾンTn5に由来するNPT遺伝子シストロンを含むDNA断片を哺乳動物細胞で転写活性を持つプロモーターを持たない状態で、哺乳動物細胞で転写活性を持つプロモーターとそれに引き続いた強い転写終結活性を持つ至適なポリアデニレーションシグナルの下流に配置することにより形質転換された宿主細胞におけるNPTの発現機構を著しく障害させ減衰せしめるものである。本発明の、NPT遺伝子シストロンはプロモーターを持たないため、「プロモーターレスNPT遺伝子シストロン」と定義する。
すなわち、本発明は、上流から順番に強発現誘導性プロモーター、遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト、及びポリアデニレーションシグナル配列を含み、その下流に動物細胞で作動可能なプロモーターを有さない薬剤耐性遺伝子を含む発現ベクターを提供する。本発明の発現ベクターは、動物宿主細胞において遺伝子組換タンパク質の高生産性を誘導することができる。
本発明において、薬剤耐性遺伝子としては、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、またはブラストサイジン耐性遺伝子などを使用でき、特に好ましくは、ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子であり、最も好ましくは大腸菌トランスポゾンTn5に由来するネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子である。また、本発明においては、ネオマイシンホスフォトランスフェラーゼ遺伝子におけるコドンの一部またはすべてをCHO細胞では使用頻度が低いコドンに置き換えることによって構築される配列番号50に記載の塩基配列を有する弱発現性のネオマイシンホスフォトランスフェラーゼ遺伝子(これを、コドン非最適化(disoptimized)ネオマイシン耐性遺伝子とも言う)を薬剤耐性マーカーとして使用することによって、外来遺伝子発現ベクターを構築することもできる。
本発明においては、薬剤耐性遺伝子がポリアデニレーションシグナル配列により遮断された強発現誘導性プロモーターの下流に存在することによる読み過ごし効果によって、極微量の薬剤耐性遺伝子のメッセンジャーRNAまたは蛋白質が生成する。
本発明の発現ベクターの宿主細胞染色体上の強発現性位置への組み込みは薬剤耐性遺伝子シストロンのもつ特性から対応する薬剤を含んだ培地中での生存株の選択により達成されることになるが、染色体上の当該位置における目的蛋白質の発現自体が強力に誘導される必要がある。このため、蛋白質遺伝子を組み込むマルチクローニングサイト(以下、MCSと記載する)のプロモーターおよびポリアデニレーションシグナル(以下、polyAと称する)には最も強い発現誘導性をもつものの中から選択する。プロモーターとしては、ヒトサイトメガロウイルスImmediate Early(hCMV MIE:Cell,41,521頁,1985年)プロモーター、β−アクチンプロモーター(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,4831頁,1987年)またはSV40初期プロモーター等が挙げられる。本発明においては、Massie Bらの文献(Journal of Virology,1998 Mar;72(3):2289−96.Inducible overexpression of a toxic protein by an adenovirus vector with a tetracycline−regulatable expression cassette.Massie B,Couture F,Lamoureux L,Mosser DD,Guilbault C,Jolicoeur P,Belanger F,Langelier Y.)に従って作成した配列番号49に記載の塩基配列を有するCMV5プロモーターを該CMVプロモーターの代替として使用することによって、外来遺伝子発現ベクターを構築することもできる。
polyAシグナルにはヒト成長ホルモン由来のpolyA配列等があげられる。本明細書中ではこの目的とする蛋白質遺伝子を組み込むMCSをもつシストロンを「発現カセット」と称する。
本発明はまた、目的遺伝子を組み込んだ本発明の発現ベクターを宿主に導入した形質転換体、並びに当該形質転換体の製造方法に関する。
本発明の発現ベクターはまた、好ましくはDHFR遺伝子シストロンを有することができる。この発現ベクターは、宿主細胞としてジヒドロ葉酸還元酵素欠損CHO細胞を用い、該ベクターDNAの遺伝子の該宿主細胞への遺伝子導入後にメトトレキセートによる該ベクターDNA中に含まれる遺伝子の効率的な増幅を可能にする。本発明においては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子におけるコドンの一部またはすべてをCHO細胞では使用頻度が低いコドンに置き換えることによって構築される配列番号51に記載の塩基配列を有する弱発現性のジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(これを、コドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子とも言う)を選択マーカーとして使用することによって、外来遺伝子発現ベクターを構築することもできる。また、配列番号51に記載の塩基配列を有する弱発現性のジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子は、配列番号50に記載の塩基配列を有する弱発現性のネオマイシンホスフォトランスフェラーゼ遺伝子と組み合わせて使用することもできる。
DHFR遺伝子シストロンにおいては、NPT遺伝子シストロンに使用するものと同様に哺乳動物細胞中で発現可能なプロモーターを持たない形で強発現誘導性プロモーターを有する遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトとそれに引き続いた至適なポリアデニレーションシグナル配列の下流に配置したものか、あるいはDHFR遺伝子シストロンに発現誘導性を低下させたプロモーター、例えばCHO細胞に対して通常非感染性であるSV40のウイルス抗原プロモーターからエンハンサー領域を除去したものを連結させて用いる。遺伝子増幅を促進するために本発明者らはDHFR遺伝子の発現誘導性を弱くするかまたは抑制的にしておくことにより、培地中に含まれるMTXが宿主細胞染色体に組み込まれたベクターDNAの増幅を促すよう導く方がより効果的と考えた。
本発明はまた、蛋白質遺伝子を組み込んだ上記DHFR遺伝子シストロンも有するベクターDNAを用いた遺伝子導入により宿主細胞を形質転換させ、宿主細胞染色体に組み込まれたベクターDNAの増幅を行なうことを含む、蛋白質の高レベル生産性細胞クローンを得る方法を提供する。
本発明はさらに、蛋白質遺伝子を組み込んだ上記のベクターDNAを用いた遺伝子導入により宿主細胞を形質転換させ、得られた形質転換体を無血清培地へ馴化させることを含む、無血清培地で安定的に高レベルの蛋白質生産をすることのできる高レベル生産性細胞クローンを得る方法を提供する。
本発明はまた、上記のDHFR遺伝子シストロンおよび強発現誘導性プロモーターと至適ポリアデニレーションシグナル間に遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトを有するベクターDNAを提供する。このベクターDNAは上記プロモーターレスNPT遺伝子シストロンを有するベクターDNAの構築のために使用できる。
本発明において「シストロン」とは、プロモーター、構造遺伝子、ポリアデニレーションシグナル(polyA)を基本構成とする転写・翻訳により蛋白質を発現する単位を意味するが、これらのいずれかに関連するかもしくは任意のDNA配列を挿入配列として含んでも良い。「強発現誘導性プロモーター」とは、通常のベクターDNAにおいて、蛋白質発現のために一般的に使用されているプロモーターを意味し、好ましくは、特に発現誘導性が高いヒトサイトメガロウイルスMajorImmeidately−Early抗原プロモーター、β−アクチンプロモーター、SV40初期プロモーターなどのプロモーターを意味する。
本発明ベクターDNAは、バックボーンベクター上に、NPT遺伝子シストロン、発現カセットを組み込むことによって、さらにまた所望によりDHFR遺伝子シストロンを組み込むことによって得ることができる。バックボーンベクターとしての制限は特になく、例えば、大腸菌複製オリジン(ColE1 ori)を有するベクターDNA(pUC系:Gene,33:103頁,1985年等)が使用できる。
本発明のベクターの使用法として、蛋白質遺伝子を本発明のベクターのMCSに組み込んだ後、カチオン系リポソーム法により宿主細胞に遺伝子導入を行い、NEOを含んだ培地中での生存株の選択を行い、蛋白質の高レベル生産性細胞クローンを得る方法が挙げられる。NEOをを含んだ培地中での生存株の選択で得られた細胞の多くは既に相対的に高い発現レベルを達成しているが、その中からさらに高い生産性をもつ細胞を選択するため蛋白質の発現レベルを測定してもよい。得られた高生産性細胞は限界希釈法を繰り返した後、継代して安定化させる。さらに高生産性株を得たい場合は、本発明のベクターとしてDHFR遺伝子シストロンも有するベクターを使用し、培地中にMTXを加え、宿主細胞内に組み込まれたDHFR遺伝子を刺激することにより遺伝子増幅を行う。
さらに、実施例に記載の本発明の発現ベクター(pNOS−GKT2BまたはpNOS−GKT2B−R)のより具体的な利用方法としては、以下の手順によって利用する方法が挙げられる。
(1)目的物質(タンパク質)の遺伝子をクローニングした後、(2)本発明の発現ベクター(pNOS−GKT2BまたはpNOS−GKT2B−R)のマルチクローニングサイト(MCS)に組み込んで、発現構築物を作製する。(3)この発現構築物を大腸菌中で増幅させ、(4)CHO細胞(DHFRネガティブ)にリボフェクチン法またはエレクトロポレーションで遺伝子導入し、(5)培地中にG418を加え培養することによりG418耐性細胞をセレクトする。(6)得られた細胞を培養しながらクローニングを繰り返し、(7)目的物質の産生量の高いクローンを選択し、(8)さらに増殖速度が速くなり安定化するまで培養を継続する。(9)安定化したクローンの培地をFCS添加培地から漸次FCS量を下げ、無血清培地への馴化を行う。(10)高生産性のクローンに対して、培地中にMTX(15nM−1μM)を段階的に加えることにより導入された構築物のDNAを増幅させ、(11)改めて高生産性クローンを選択し、(12)さらに増殖速度が早くなり安定化するまで培養を継続する。(13)安定化したクローンの培地をFCS添加培地から漸次FCS量を下げ、無血清培地への馴化を行う。なお培地の無血清化は(9)と(13)のいずれの段階で行ってもよい。
以下の実施例により本発明の発現ベクターの製造方法および使用方法をさらに具体的に説明する。本実施例で用いられる出発プラスミド、プロモーター等の構成要素を同等のもので置き換えて実施することは当業者にとって容易であり、本発明の範囲は実施例によって限定さてるものではない。
導入される薬剤耐性遺伝子(例えば、NPT遺伝子など)の発現が起こらないかもしくは低すぎると、ベクターDNAが導入された宿主細胞は対応する薬剤(例えば、ネオマイシン(以下、NEO)など)に対する耐性を獲得できない。しかしながら、本発明者らがこれまでに行った研究においては、市販のベクターを含み通常のNPT遺伝子をもつベクターDNAを用いたすべての場合、非常に多くのNEO耐性株が得られた。このような結果に基づく限り、ベクターDNAから供与されたNPT遺伝子の発現は、トランスフェクションの結果得られた細胞が形質転換体であるかどうかの選択マーカーとしては寄与しているが、それ以上の効果はないと推定された。
本発明者らは、NPT発現の発現誘導を極端に制限的にすることにより、NPT遺伝子シストロンが宿主細胞染色体上の遺伝子発現のレベルの高い位置に組み込まれない限りNEO耐性獲得のために必要なレベルのNPT発現が起こらないように設計した。このことにより組み込まれるベクターDNAが染色体上の遺伝子発現のレベルの極めて高い位置に導入されない限り形質転換された宿主細胞がNEOに対して耐性の性質を獲得せず、NEOを一定量以上含んだ培地中では生存できないようにした。ベクターDNAのNPT遺伝子シストロンに弱いプロモーターを使用した報告はいくつかあるが(Mol.Cell Biol.,6,2593頁,1986年;Mol.Cell Biol.,7,1296頁,1987年;DNA,7,651頁,1988年)、これらの事例において高生産性の形質転換体が有効かつ十分に選択されているとは考え難い。
本発明の原理は、大腸菌トランスポゾンTn5に由来するNPT遺伝子シストロンを含むDNA断片を哺乳動物細胞で転写活性を持つプロモーターを持たない状態で、哺乳動物細胞で転写活性を持つプロモーターとそれに引き続いた強い転写終結活性を持つ至適なポリアデニレーションシグナルの下流に配置することにより形質転換された宿主細胞におけるNPTの発現機構を著しく障害させ減衰せしめるものである。本発明の、NPT遺伝子シストロンはプロモーターを持たないため、「プロモーターレスNPT遺伝子シストロン」と定義する。
すなわち、本発明は、上流から順番に強発現誘導性プロモーター、遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト、及びポリアデニレーションシグナル配列を含み、その下流に動物細胞で作動可能なプロモーターを有さない薬剤耐性遺伝子を含む発現ベクターを提供する。本発明の発現ベクターは、動物宿主細胞において遺伝子組換タンパク質の高生産性を誘導することができる。
本発明において、薬剤耐性遺伝子としては、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、またはブラストサイジン耐性遺伝子などを使用でき、特に好ましくは、ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子であり、最も好ましくは大腸菌トランスポゾンTn5に由来するネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子である。また、本発明においては、ネオマイシンホスフォトランスフェラーゼ遺伝子におけるコドンの一部またはすべてをCHO細胞では使用頻度が低いコドンに置き換えることによって構築される配列番号50に記載の塩基配列を有する弱発現性のネオマイシンホスフォトランスフェラーゼ遺伝子(これを、コドン非最適化(disoptimized)ネオマイシン耐性遺伝子とも言う)を薬剤耐性マーカーとして使用することによって、外来遺伝子発現ベクターを構築することもできる。
本発明においては、薬剤耐性遺伝子がポリアデニレーションシグナル配列により遮断された強発現誘導性プロモーターの下流に存在することによる読み過ごし効果によって、極微量の薬剤耐性遺伝子のメッセンジャーRNAまたは蛋白質が生成する。
本発明の発現ベクターの宿主細胞染色体上の強発現性位置への組み込みは薬剤耐性遺伝子シストロンのもつ特性から対応する薬剤を含んだ培地中での生存株の選択により達成されることになるが、染色体上の当該位置における目的蛋白質の発現自体が強力に誘導される必要がある。このため、蛋白質遺伝子を組み込むマルチクローニングサイト(以下、MCSと記載する)のプロモーターおよびポリアデニレーションシグナル(以下、polyAと称する)には最も強い発現誘導性をもつものの中から選択する。プロモーターとしては、ヒトサイトメガロウイルスImmediate Early(hCMV MIE:Cell,41,521頁,1985年)プロモーター、β−アクチンプロモーター(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,4831頁,1987年)またはSV40初期プロモーター等が挙げられる。本発明においては、Massie Bらの文献(Journal of Virology,1998 Mar;72(3):2289−96.Inducible overexpression of a toxic protein by an adenovirus vector with a tetracycline−regulatable expression cassette.Massie B,Couture F,Lamoureux L,Mosser DD,Guilbault C,Jolicoeur P,Belanger F,Langelier Y.)に従って作成した配列番号49に記載の塩基配列を有するCMV5プロモーターを該CMVプロモーターの代替として使用することによって、外来遺伝子発現ベクターを構築することもできる。
polyAシグナルにはヒト成長ホルモン由来のpolyA配列等があげられる。本明細書中ではこの目的とする蛋白質遺伝子を組み込むMCSをもつシストロンを「発現カセット」と称する。
本発明はまた、目的遺伝子を組み込んだ本発明の発現ベクターを宿主に導入した形質転換体、並びに当該形質転換体の製造方法に関する。
本発明の発現ベクターはまた、好ましくはDHFR遺伝子シストロンを有することができる。この発現ベクターは、宿主細胞としてジヒドロ葉酸還元酵素欠損CHO細胞を用い、該ベクターDNAの遺伝子の該宿主細胞への遺伝子導入後にメトトレキセートによる該ベクターDNA中に含まれる遺伝子の効率的な増幅を可能にする。本発明においては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子におけるコドンの一部またはすべてをCHO細胞では使用頻度が低いコドンに置き換えることによって構築される配列番号51に記載の塩基配列を有する弱発現性のジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(これを、コドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子とも言う)を選択マーカーとして使用することによって、外来遺伝子発現ベクターを構築することもできる。また、配列番号51に記載の塩基配列を有する弱発現性のジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子は、配列番号50に記載の塩基配列を有する弱発現性のネオマイシンホスフォトランスフェラーゼ遺伝子と組み合わせて使用することもできる。
DHFR遺伝子シストロンにおいては、NPT遺伝子シストロンに使用するものと同様に哺乳動物細胞中で発現可能なプロモーターを持たない形で強発現誘導性プロモーターを有する遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトとそれに引き続いた至適なポリアデニレーションシグナル配列の下流に配置したものか、あるいはDHFR遺伝子シストロンに発現誘導性を低下させたプロモーター、例えばCHO細胞に対して通常非感染性であるSV40のウイルス抗原プロモーターからエンハンサー領域を除去したものを連結させて用いる。遺伝子増幅を促進するために本発明者らはDHFR遺伝子の発現誘導性を弱くするかまたは抑制的にしておくことにより、培地中に含まれるMTXが宿主細胞染色体に組み込まれたベクターDNAの増幅を促すよう導く方がより効果的と考えた。
本発明はまた、蛋白質遺伝子を組み込んだ上記DHFR遺伝子シストロンも有するベクターDNAを用いた遺伝子導入により宿主細胞を形質転換させ、宿主細胞染色体に組み込まれたベクターDNAの増幅を行なうことを含む、蛋白質の高レベル生産性細胞クローンを得る方法を提供する。
本発明はさらに、蛋白質遺伝子を組み込んだ上記のベクターDNAを用いた遺伝子導入により宿主細胞を形質転換させ、得られた形質転換体を無血清培地へ馴化させることを含む、無血清培地で安定的に高レベルの蛋白質生産をすることのできる高レベル生産性細胞クローンを得る方法を提供する。
本発明はまた、上記のDHFR遺伝子シストロンおよび強発現誘導性プロモーターと至適ポリアデニレーションシグナル間に遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトを有するベクターDNAを提供する。このベクターDNAは上記プロモーターレスNPT遺伝子シストロンを有するベクターDNAの構築のために使用できる。
本発明において「シストロン」とは、プロモーター、構造遺伝子、ポリアデニレーションシグナル(polyA)を基本構成とする転写・翻訳により蛋白質を発現する単位を意味するが、これらのいずれかに関連するかもしくは任意のDNA配列を挿入配列として含んでも良い。「強発現誘導性プロモーター」とは、通常のベクターDNAにおいて、蛋白質発現のために一般的に使用されているプロモーターを意味し、好ましくは、特に発現誘導性が高いヒトサイトメガロウイルスMajorImmeidately−Early抗原プロモーター、β−アクチンプロモーター、SV40初期プロモーターなどのプロモーターを意味する。
本発明ベクターDNAは、バックボーンベクター上に、NPT遺伝子シストロン、発現カセットを組み込むことによって、さらにまた所望によりDHFR遺伝子シストロンを組み込むことによって得ることができる。バックボーンベクターとしての制限は特になく、例えば、大腸菌複製オリジン(ColE1 ori)を有するベクターDNA(pUC系:Gene,33:103頁,1985年等)が使用できる。
本発明のベクターの使用法として、蛋白質遺伝子を本発明のベクターのMCSに組み込んだ後、カチオン系リポソーム法により宿主細胞に遺伝子導入を行い、NEOを含んだ培地中での生存株の選択を行い、蛋白質の高レベル生産性細胞クローンを得る方法が挙げられる。NEOをを含んだ培地中での生存株の選択で得られた細胞の多くは既に相対的に高い発現レベルを達成しているが、その中からさらに高い生産性をもつ細胞を選択するため蛋白質の発現レベルを測定してもよい。得られた高生産性細胞は限界希釈法を繰り返した後、継代して安定化させる。さらに高生産性株を得たい場合は、本発明のベクターとしてDHFR遺伝子シストロンも有するベクターを使用し、培地中にMTXを加え、宿主細胞内に組み込まれたDHFR遺伝子を刺激することにより遺伝子増幅を行う。
さらに、実施例に記載の本発明の発現ベクター(pNOS−GKT2BまたはpNOS−GKT2B−R)のより具体的な利用方法としては、以下の手順によって利用する方法が挙げられる。
(1)目的物質(タンパク質)の遺伝子をクローニングした後、(2)本発明の発現ベクター(pNOS−GKT2BまたはpNOS−GKT2B−R)のマルチクローニングサイト(MCS)に組み込んで、発現構築物を作製する。(3)この発現構築物を大腸菌中で増幅させ、(4)CHO細胞(DHFRネガティブ)にリボフェクチン法またはエレクトロポレーションで遺伝子導入し、(5)培地中にG418を加え培養することによりG418耐性細胞をセレクトする。(6)得られた細胞を培養しながらクローニングを繰り返し、(7)目的物質の産生量の高いクローンを選択し、(8)さらに増殖速度が速くなり安定化するまで培養を継続する。(9)安定化したクローンの培地をFCS添加培地から漸次FCS量を下げ、無血清培地への馴化を行う。(10)高生産性のクローンに対して、培地中にMTX(15nM−1μM)を段階的に加えることにより導入された構築物のDNAを増幅させ、(11)改めて高生産性クローンを選択し、(12)さらに増殖速度が早くなり安定化するまで培養を継続する。(13)安定化したクローンの培地をFCS添加培地から漸次FCS量を下げ、無血清培地への馴化を行う。なお培地の無血清化は(9)と(13)のいずれの段階で行ってもよい。
以下の実施例により本発明の発現ベクターの製造方法および使用方法をさらに具体的に説明する。本実施例で用いられる出発プラスミド、プロモーター等の構成要素を同等のもので置き換えて実施することは当業者にとって容易であり、本発明の範囲は実施例によって限定さてるものではない。
実施例1:本発明の発現ベクターの構築
(1)ネオマイシン耐性ベクター[pSV/GKT−Neo]の作製
NEOベクター[pSV/GKT−Neo]は、プラスミドpUC18(Gene,33,103頁,1985年)由来の大腸菌複製オリジン(ColE1 ori)とネオマイシントスフォトランスフェラーゼ(NPT)遺伝子シストロンを有する。大腸菌複製オリジンをPCR法にてプラスミドpUC18より配列番号1および2に示す塩基配列を有するプライマーを用いて増幅させた。PCRは次の条件で実施した。PCRキットは宝酒造から市販しているものを用い、10倍濃縮反応緩衝液、dNTP溶液は全て添付品を使用した。まず、滅菌蒸留水36.5μlに10倍濃縮反応緩衝液、dNTP溶液、100μMの配列番号1および2に記載のプライマーそれぞれ1μl、鋳型DNA1μl、Pyrobest DNAポリメラーゼ(5U/μl)0.5μlを加えて完全に混合した後、タカラサーマルサイクラーパーソナルにてPCR反応を実施した。すなわち94℃、5分間の加熱処理後、変性(94℃、30秒)、プライマーアニーリング(55℃、30秒)、増幅(72℃、1分)の3ステップを35回繰り返し、更に72℃、5分間の処理をして反応を終了した。以下に記述ののPCR反応は同様の反応サイクルにて実施した。反応終了後得られた約600塩基対からなるPCR産物を製制限酵素(以下に記述の制限酵素は全てNEB社製)のSac II(20000U/μl)、1μlとCla I(5000U/μl)、1μlで37℃2.5時間切断した。制限酵素処理後反応液の全量を1%アガロースゲルに添加し、60mA、25分間電気泳動を行なった。約600塩基対からなるDNAバンドをゲルごと回収し、−135℃、10分間の凍結後に遠心分離を行ないその上清にDNA断片を回収した(ColE1 oriカセット;36ng/μl)。以下の制限酵素処理とDNA断片の回収は同様にして実施した。
次に3μgのプラスミドpSV(D)S/Neo(特開平10−179169)をそれぞれ1μlの制限酵素Sac II(20000U/μl)とCla I(5000U/μl)で切断し、エンハンサー部分を除去したサルウイルス40(SV40)初期プロモーターの下流にNPT遺伝子シストロンを有する約2200塩基対からなるDNA断片(NEOカセット1;28ng/μl)を調製した。この2つの断片をタカラDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)により連結してpSVNEO/Ori’を作成した。実際には1μlのColE1 oriカセットと1μlのNEOカセット1を混合し、そこに混合液と等量のタカラDNAライゲーションキットver.2−solution Iを加え16℃、30分間反応させDNAを連結させた。次いでルビジウム−クロライド法に従い大腸菌(E.coli)XL−1BlueTMコンピーテントセルの中に形質転換した。硫酸カナマイシン(50μg/ml;シグマ)を含むLB−寒天(Difco社)上に得られた大腸菌コロニーを硫酸カナマイシン(50μg/ml;シグマ)を含むTerrificブロス(1リットル中bacto−tryptone(Difco社製)12g、bacto yeast extract(Difco社製)24g、glycerol(和光純薬社製)4ml、KH2PO4(和光純薬社製)2.31g、K2HPO4(和光純薬社製)12.5gを含有する)の中に接種した。約20時間の培養の後集菌し、ブラスミドをアルカリ−SDS法(Current Protocols in Molecular biology,1−6−3頁,1986年)に従い単離し、pSVNEO/Ori’を作成した。これ以降に記述するライゲーション、形質転換、ブラスミド単離は全て同様な方法で行なった。
次にpSVNEO/Ori’をそれぞれ1μlの制限酵素Apa I(1000U/μl)とCla I(5000U/μl)で切断、精製して得られた約2800塩基対からなるDNA断片(38ng/μl)に新しく合成した配列番号3および4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをアニーリングして得られるマルチプルな制限酵素切断サイトを有するリンカー(pSVNEOリンカー)をライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経てpSVNEO/Oriを作成した。リンカー作製は配列番号3および4に記載のオリゴヌクレオチド(100μM)を50μlずつをミクロチューブ(1.5ml;トレフ社製)に取り、ヒートブロックで70℃、5分間加熱後、約1時間かけて25℃まで冷ますことで実施した。これ以降のリンカー作製は同様にして実施した。
一方、プラスミドpSV2Neo(ストラタジーン社製)より配列番号5および6に示す塩基配列を有するプライマーを用いてPCRにてNPT遺伝子シストロンの大腸菌における発現誘導を司るプロモーター配列を含むDNA断片増幅させた。PCRキットは宝酒造から市販しているものを用い、10倍濃縮反応緩衝液、dNTP溶液、10倍濃縮塩化マグネシウム溶液は全て添付品を使用した。まず、滅菌蒸留水31.5μlに5μlの10倍濃縮反応緩衝液、5μlのdNTP溶液、5μlの10倍濃縮塩化マグネシウム溶液、100μMの配列番号5および6に記載のプライマーそれぞれ1μl、鋳型DNA1μl、LAタックDNAポリメラーゼ(5U/μl)0.5μlを加えて完全に混合した後、タカラサーマルサイクラーパーソナルにてPCR反応を実施した。以下のLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCR反応は同様の混合比率にて行なった。得られた約400塩基対からなるPCR産物をアガロースゲルにて展開、分離、精製した後(GKT断片;58ng/μl)、PCR産物クローニング用プラスミドpT7Blue(R)(50ng/μl;ノバジェン社製)とライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経てpT7B−GKTを作成した。
次に6μgのpSVNEO/Oriを1μlの制限酵素Pst I(20000U/μl)で切断して得られた大腸菌複製オリジン、エンハンサー部分を除去したSV40初期プロモーター、NPT遺伝子シストロンの部分配列を持つ約2800塩基対からなる断片(38ng/μl)と6μgのpT7B−GKTをPst Iで切断し得られたNPT遺伝子シストロンの部分配列を持つ約400塩基対からなる断片(GKTカセット;9ng/μl)をライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pSV/GKT−Neoを作成した。[pSV/GKT−Neo]作製のフローチャートを図1に示す。
(2)ネオマイシン耐性/メトトレキセート耐性ベクター[pND]の作製
前述のpSV/GKT−Neoの5μgをそれぞれ1μlの制限酵素EcoR I(20000U/μl)とCla I(5000U/μl)で切断し、アガロースゲルにて展開、分離、精製し約3000塩基対からなる断片pSV/GKT−Neoカセット(44ng/μl)を得た。また、pSVP(D)S/DHFR(特開平10−179169)よりそれぞれ1μlの制限酵素EcoR I(20000U/μl)とCla I(5000U/μl)での切断により得られたエンハンサー部分を除去したSV40初期プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子シストロンを持つ約1800塩基対からなる断片(DHFRカセット;25ng/μl)を得た。pSV/GKT−NeoカセットとDHFRカセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経ててpNDを得た。[pND]作製のフローチャートを図2に示す。
(3)所望の遺伝子発現のためのカセットプラスミド[pCB]の作製
本ベクターはプロモーター、目的とするタンパク質遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト(MCS)およびポリアデニレーションシグナルで構成する。プロモーターには、最も強力な発現誘導性をもつプロモーターの一つとされているヒトサイトメガロウイルス(hCMV)MIE抗原プロモーターを由来として使用する(PCMV)。また、polyAシグナルにも高生産性でかつ再現性に優れているとの報告のあるウシ成長ホルモンpolyAシグナル(bGH−polyA)を採用した。
まず、プラスミドpRc/CMV(インビトロジェン社製)より配列番号7および8に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCRにより増幅させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製した約650塩基対からなるPCMV断片をプラスミドpT7Blue(R)にライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7B−PCMVを作成した。一方pRc/CMVより配列番号9および10に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCRにより増幅させた約650塩基対からなるbGH−polyA断片をアガロースゲルにて展開、分離、精製した後プラスミドpT7Blue(R)ににライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7B−bGH−polyAを作成した。他方、5μgのプラスミドpUC18をそれぞれ1μlの制限酵素EcoR I(20000U/μl)とHind III(20000U/μl)で切断し、新しく合成した配列番号11および12に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをアニーリングして得られるマルチプルな制限酵素切断サイトを有するリンカー(CBリンカー)を連結しpUC18−CB−linkerを作成した。
次に、4.5μgのpUC18−CB−linkerをそれぞれ1μlの制限酵素BamH I(20000U/μl)とHind III(20000U/μl)で開裂させた約2700塩基対からなるDNA断片をアガロースゲルにて展開、分離、精製しpUC18−CB−linkerカセットとした(26ng/μl)。また、4.7μgのpT7B−PCMVをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とHind III(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製しPCMVを含む約650塩基対からなるDNA断片(PCMVカセット;12ng/μl)を得た。さらに1.3μgのpT7B−bGH−polyAをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とBamH I(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し約650塩基対からなるbGH−polyAを含むDNA断片(bGH−polyAカセット;2ng/μl)を得た。pUC18−CB−linkerカセット、PCMVカセット、bGH−polyAカセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て[pCB]を完成させた。所望の遺伝子発現のためのカセットプラスミド[pCB]の作製のフローチャートを図3に示す。
(4)哺乳動物細胞中で活性のある転写プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンを持った外来遺伝子発現ベクター[pNOS−GKT2]の作製
5μgのpCBをそれぞれ1μlの制限酵素BamH I(20000U/μl)とHind III(20000U/μl)で開裂、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約2700塩基対からなるDNA断片pCBカセット(31ng/μl)を得た。次いで配列番号13および14に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼにより増幅させたNPT遺伝子シストロンを含むPCR産物をそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とNhe I(5000U/μl)で切断後アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約2700塩基対からなるDNA断片NEOカセット2(39ng/μl)を得た。pCBカセットとNEOカセット2をライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経てpCB/GKT−Neoを得た。さらに、3μgのpCB/GKT−Neoをそれぞれ1μlの制限酵素Hind III(20000U/μl)とEcoR I(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、PCMV、NPT遺伝子、bGH−polyAを含む約1000塩基対からなるDNA断片(CNBカセット;11ng/μl)を得た。
また、5μgのpNDをそれぞれ1μlの制限酵素Sac II(20000U/μl)、EcoR I(20000U/μl)および1.5μlの制限酵素Nae I(10000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、ColE1−Oriとエンハンサー部分を除去したSV40初期プロモーターを持ったDHFR遺伝子シストロンを含む約2300塩基対からなるDNA断片(DHFRカセット2;33ng/μl)を得た。
更に、新しく合成した配列番号15および16に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをアニーリングして制限酵素切断サイトを有するリンカー(HSリンカー)を得た。それぞれ1μlのCNBカセット、DHFRカセット2、HSリンカーをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、[pNOS−GKT2]を作成した。哺乳動物細胞中で活性のある転写プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンを持った外来遺伝子発現ベクター[pNOS−GKT2]の作製のフローチャートを図4に示す。
(5)プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンの上流に転写終結のためのbGH−polyAを配した外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2Bの作製
pNOW3(特開平10−179169)より配列番号17および18に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCRにより増幅させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約200塩基対からなるDNA断片(bGH−polyA;42ng/μl)を得た。これをpT7Blue(R)とライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7Blue/BGHpAを作成した。2.2μgのpT7Blue/BGHpAをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とNhe I(5000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、bGH−polyAを含む約200塩基対からなるDNA断片bGH−polyAカセット2(3ng/μl)を得た。また、5μgのpNOS−GKT2をそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とXba I(20000U/μl)で開裂させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約4200塩基対からなるDNA断片pNOS−GKT2カセット(13ng/μl)を得た。それぞれ1μlのbGH−polyAカセット2とpNOS−GKT2カセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pNOS−GKT2Bを作成した。プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンの上流に転写終結のためのbGH−polyAを配した外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2Bの作製のフローチャートを図5に示す。
(6)翻訳効率向上のためのウサギβグロビン遺伝子イントロンを配した外来遺伝子発現ベクター[pNOS−GKT2B−R]の作製
ウサギゲノムDNA(CH laboratories社製)より配列番号19および20に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼにを用いたPCRにより増幅させたウサギβグロビン遺伝子のスプライスドナーとスプライスアクセプター配列を含んだイントロンをコードする領域(gloSA)のPCR産物(断片長約600塩基対)をアガロースゲルにて展開、分離、精製し、pT7Blue(R)とライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7B−gloSAを作成した。
5μgのpT7B−gloSAをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とXho I(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、gloSAを含む約600塩基対からなるDNA断片(gloSAカセット;22ng/μl)を得た。また、5μgのpNOS−GKT2Bを制限酵素Not I(10000U/μl)とSal I(20000U/μl)で開裂させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約4400塩基対からなるDNA断片(pNOS−GKT2Bカセット;13ng/μl)を得た。それぞれ1μlのgloSAカセットとpNOS−GKT2Bカセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pNOS−GKT2B−Rを作成した。
翻訳効率向上のためのウサギβグロビン遺伝子イントロンを配した外来遺伝子発現ベクター[pNOS−GKT2B−R]の作製のフローチャートを図6に示す。また、[pNOS−GKT2B−R]の構造を図7に、全塩基配列を配列番号21に示す。
実施例2:本発明の発現ベクターを用いたヒト顆粒球コロニー刺激因子の生産試験
発現ベクターpNOS−GKT2B−Rによるヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG−CSF)遺伝子導入とG418耐性初期クローンの確立目的物質として、コロニー刺激因子の一種であるhG−CSFを選択した。この蛋白質は糖鎖を有しており、大腸菌や酵母を宿主とした生産では正常な形の組み換え蛋白質は得られない。
(1)hG−CSF発現用ベクター[pNOS−GKT2B−R/hG−CSF]の作製
ヒト脾臓cDNAより配列番号22および23に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCRにより増幅させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約600塩基対からなるhG−CSFのcDNAを含む断片(hG−CSF断片;13ng/μl)を得た。これをpT7Blue(R)にライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7Blue/hG−CSFを作成した。pT7Blue/hG−CSFをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とXba I(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約600塩基対からなるhG−CSFのcDNAを含むDNA断片(hG−CSFカセット;6ng/μl)を得た。また、pNOS−GKT2B−Rをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とXba I(20000U/μl)で開裂させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約5000塩基対からなるDNA断片(pNOS−GKT2B−Rカセット;19ng/μl)を得た。それぞれ1μlのhG−CSFカセットとpNOS−GKT2B−Rカセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pNOS−GKT2Bを作成した。hG−CSF発現用ベクター[pNOS−GKT2B−R/hG−CSF]の作製のフローチャートを図8、全塩基配列を配列番号24に示す。
(2)hG−CSF発現用ベクター[pNOS−GKT2B−R/hG−CSF]の哺乳動物細胞への導入とG418による形質導入株の選択
1μgのpNOS−GKT2B−R/hG−CSFをリポフェクチン法(キアゲン社製エフェクテントランスフェクション試薬を使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の1500000個のDHFR欠損CHO細胞(DG44株;Dr.Gail Urlaubから譲受;Somat.Cell Mol.Genet.12,555頁,1986年)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。48時間後トリプシン処理により細胞を剥がし、細胞数の計測の後、300000個の細胞を100mlの0.8mg/mlのG418を含む10%透析ウシ胎児血清添加Iscove’s Modified Dalbecco’s Medium培地ににて希釈後、96ウエルマイクロタイタープレート10枚(960ウエル)中に播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、117ウエルにのみ細胞の生存が見られた(G418耐性株)。生存細胞のうちから任意に61株のG418耐性クローンを選択し、1mlの0.8mg/mlのG418を含む10%透析ウシ胎児血清添加Iscove’s Modified Dalbecco’s Medium培地とともに24ウエルプレートに移しコンフルエントになるまで培養した。培養上清を廃棄した後PBS(インビトロジェン社製)1mlを各ウェルに加えふたたびこれを廃棄した。これに0.5mlのCHO細胞用無血清培地CHO−S−SFM II(インビトロジェン社製)を加えて5%炭酸ガス存在下で37℃、72時間培養した。続いて培養上清中のhG−CSFの生産量の検討を行なった。
(3)pNOS−GKT2B−R/hG−CSF形質導入細胞クローンによるhG−CSFの生産量の検定
生産量の検定はドットブロット法にて実施した。ナイロンメンブレン(ナイトラン0.45μm;Schleicher & Schuell社製)上に72時間培養上清1μlと市販の組み換えhG−CSF(ペプロテック社製)のCHO細胞用無血清培地CHO−S−SFM IIによる2倍希釈系列(8〜0.125ng/μl)とCHO−S−SFM IIそれぞれ1μlをドットし、1時間の風乾、ブロックエースによるブロッキングの後1μg/μlの濃度の抗hG−CSF抗体(ペプロテック社製)とそれに引き続いてホースラッディシュペルオキシダーゼ(HRP)標識抗ウサギIgG抗体(DAKO社製)を反応させた。反応した抗体はスーパーシグナルウエストピコ試薬(ピアス社製)にてHRPの活性を検出する方法でルミノキャプチャー(アトー社製)を用いて行なった。図9にドットブロット法にて得られた結果を示す。
(4)pNOS−GKT2B−R/hG−CSF形質導入細胞クローンによるhG−CSFの生産量
本発明の発現ベクターpNOS−GKT2Bにより発現されたhG−CSFの各クローンごとの発現量の分布を図10に示す。
61株のG418耐性株をhG−CSFのところ約3分の2(39株)はhG−CSFを有意に高いレベル(0.25μg/μl以上)で産生していた。また、61株のうち33株(54.1%)は1μg/μl以上であった。さらに驚くべきことに12株(19.7%)は8μg/μl以上であった。最も高い産生レベルを示したもの178μg/ml/3daysであった。これは文献等で報告されている代表的な発現ベクターによる遺伝子増幅前の初期クローンのデータと比較して最も高い水準であった(DNA,7,651頁,1988年;Biotechnology,10.1455頁,1992年;Biotechnology,8,662頁,1990年;Gene,76,19頁,1989年;Biotechnology,9,64頁,1991年)。
遺伝子増幅による組換細胞のスクリーニングには通常6ヶ月から1年を要しかつ培養条件や増幅刺激剤濃度による差異が大きいため、発現ベクターのプライマリーな性能比較は増幅前の初期クローンの発現レベルで行うのが適当と考えられる。これにより本発明の発現ベクターの性能は極めて高いことが判明した。この結果、「強力なポリアデニレーションシグナルに遮断されたプロモーターレスNPT遺伝子シストロンをもつ発現ベクター」は、得られるG418耐性株の数が極めて低い一方、非常に高い効率で目的物質タンパク質の高生産性細胞株の確立を可能にすることが確かめられた。これにより、本発明の発現ベクターは非常に高いタンパク質発現レベルを可能にすることが証明された。
実施例3:G418耐性細胞株の遺伝子増幅
G418耐性細胞株のうち、hG−CSF産生が77μg/ml/3daysであったクローンを継代培養し安定化させた後に、MTXによる遺伝子増幅を行った。始めに15nMのMTXを含む培地で2週間、60nMのMTXを含む培地で2週間、250nMのMTXを含む培地で2週間、1μMのMTXを含む培地でさらに2週間増幅させたところ、hG−CSFの産生レベルは培地当たり117μg/ml/3daysに上昇した。遺伝子増幅に用いるMTX濃度は一般に10nM〜10μMの間の多段階とされ、最終濃度としては10μMがよく用いられるが、細胞に対する毒性の問題から高濃度暴露は安定な組換細胞株の樹立には問題がある。このため低濃度MTXで高生産性が達成できることも重要な評価基準となり、本実験では1μMまでとした。また通常セレクションを含めたMTX暴露期間は6−12ヶ月とされるのに対して、本実験では約8週間で行った。こうした実験条件にも拘わらず有効なhG−CSFの産生量増加がみられ、遺伝子増幅系に関しても本発現ベクターの高い性能が確かめられた。
実施例4:pNOSを使用した組み換えhuman G−CSFの発現
(1)pNOS/hG−CSF発現ベクターの作製
NEO耐性遺伝子として大腸菌由来のTn5をそのまま使用し、BGHpAの代わりにHGHpAを使用する以外は、実施例1と同様にして発現ベクターをpNOSを構築した。また、実施例2(1)に記載の方法に準じて、クローニング部位にヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG−CSF)遺伝子を挿入して、発現ベクターpNOS/hG−CSFを構築した。pNOS/hG−CSFの構造を図11に、全塩基配列を配列番号25に示す。
(2)pNOSを使用した組み換えhuman G−CSFの発現量の測定
25cm2フラスコで培養しているCHO細胞が40〜80%Confluent状態の時に、Qiagen会社から販売されているトランスフェクション試薬を用いて、pNOS−humanG−CSF発現ベクターをCHO細胞に組み込んだ。2日後、トリプシン処理を行い培養フラスコから細胞を剥がし、血球計算版により細胞数を確認、細胞濃度5×105cell/100mlになるように96well plate×10枚にまいた。2週間後、出現コロニーを数えたところ、146個のコロニーが確認できた。その96well plate×10枚中に出現していたシングルコロニー72個を24well plateに移す。24well plateに移したクローンがConfluentになった時に、1×PBSで1回洗浄、その後、無血清培地を添加し3日後の培養上清を回収した。
メンブレンに3日後培養上清と希釈系列standardを各々1μlずつスポットした。1時間の風乾後、ブロッキングした。その後、TBS/Tで1回洗浄した。洗浄終了後、1μg/mlのrabbit−anti human G−CSF抗体による一次抗体反応を行なった。再度、TBS/Tで3回洗浄した。HRP−anti−rabbit IgGによる二次抗体反応を行なった。再度、TBS/Tで3回洗浄後、Super Signal West Pico reagentによる発光反応によりhuman G−CSFの発現量を確認した。本発明の発現ベクターpNOS/human G−CSFにより発現されたhG−CSFのドットブロット法による検出例を図12および図13に示す。また、pNOS/human G−CSFにより発現されたhG−CSFの各クローンごとの発現量の分布を図14に示す。
pNOS発現ベクターを使用したhuman G−CSF発現量をドットブロットにより確認した結果(濃度検定を実施したクローンは46個)、pNOSは1μg/mlを越すクローンが65%以上の確率で得られ、さらにそのうちの33%は8μg/mlを越す発現量を示した。
実施例5:CMV5 promoterの作製(図15及び図16)
(I−1) adenovirus type2 genome1μlよりL1領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、L1領域のセンスプライマー[配列番号26](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号27](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラ゜ゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ40bp近辺にバンドが確認できた。
(I−2) adenovirus type2 genome1μlよりL2領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、L2領域のセンスプライマー[配列番号28](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号29](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ70bp近辺にバンドが確認できた。
(I−3) adenovirus type2 genome1μlよりL3領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、L3領域のセンスプライマー[配列番号30](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号31](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ200bp近辺にバンドが確認できた。
(I−4) adenovirus type2 genome1μlよりR1,2,3領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、R1,2,3領域のセンスプライマー[配列番号32](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号33](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、98℃1分間の加熱処理後、98℃5秒、55℃20秒、72℃15秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃2分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ100bp近辺にバンドが確認できた。
(I−5) pCMVTnT(10ng/μl)1μlを鋳型としてCMVプロモーター領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTP・MgCl2はすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水31.5μlに2.5mM dNTP 5μl,25mM MgCl2 5μl,10 x LA PCR buffer 5μlを加え、CMVプロモーターのセンスプライマー[配列番号34](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号35](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・LA−Taq(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ650bp近辺にバンドが確認できた。[配列番号41]
(I−6) (I−1)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると40bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL1(抽出濃度=82ng/μl)とした。
(I−7) (I−2)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると70bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL2(抽出濃度=104ng/μl)とした。
(I−8) (I−3)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると200bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL3(抽出濃度=88ng/μl)とした。
(I−9) (I−4)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると100bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をR123とした。
(I−10) (I−5)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると650bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をPCMV(抽出濃度=54ng/μl)とした。
(I−11) I−6,7,8の抽出物それぞれ1μlを使用してL123領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTP・MgCl2はすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水29.5μlに2.5mM dNTP 5μl,25mM MgCl2 5μl,10 x LA PCR buffer 5μlを加え、L1領域のセンスプライマー[配列番号26](100μM)1μlとL3領域のアンチセンスプライマー[配列番号31](100μM)1μl,DNA合計3μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・LA−Taq(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ300bp近辺にバンドが確認できた。
(I−12) I−11のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると300bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL123(抽出濃度=80ng/μl)とした。[配列番号42]
(I−13) I−9の抽出物を使用しR123’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、R123領域のセンスプライマー[配列番号32](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号36](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、98℃1分間の加熱処理後、98℃5秒、55℃20秒、72℃15秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃2分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ150bp近辺にバンドが確認できた。
(I−14) I−13のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると150bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をR123−1(抽出濃度=107ng/μl)とした。
(I−15) I−14の抽出物を使用しR123’’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、R123領域のセンスプライマー[配列番号32](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号37](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、98℃1分間の加熱処理後、98℃5秒、55℃20秒、72℃15秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃2分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ150bp近辺にバンドが確認できた。
(I−16) I−15のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると150bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をR123−2(抽出濃度=95ng/μl)とした。[配列番号43]
(I−17) I−12のPCR由来抽出物(抽出濃度=ng/μl)1μlとpT7Blue 1μl(Novagen社・50ng/μl)を混合。そこに等量のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え12℃・2時間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換体を得た。その後シークエンスを行い塩基置換の無いプラスミドを選択し、これより得られたプラスミドをpT7B−L123とした。
(I−18) I−16のPCR由来抽出物(抽出濃度=ng/μl)1μlとpT7Blue 1μl(Novagen社・50ng/μl)を混合。そこに等量のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え12℃・2時間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換体を得た。その後シークエンスを行い塩基置換の無いプラスミドを選択し、これより得られたプラスミドをpT7B−R123とした。
(I−19) I−10のPCR由来抽出物(抽出濃度=ng/μl)1μlとpT7Blue 1μl(Novagen社・50ng/μl)を混合。そこに等量のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え12℃・2時間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換体を得た。その後シークエンスを行い塩基置換の無いプラスミドを選択し、これより得られたプラスミドをpT7B−CMVとした。
(I−20) I−17のpT7B−L123(10ng/μl)を鋳型としL123’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、L123領域のセンスプライマー[配列番号26](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号38](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、95℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ300bp近辺にバンドが確認できた。
(I−21) I−18のpT7B−R123(10ng/μl)を鋳型としR123−IgG3’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、R123領域のセンスプライマー[配列番号39](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号40](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、95℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ200bp近辺にバンドが確認できた。
(I−22) I−20のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると300bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10XII間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL123−1(抽出濃度=87ng/μl)とした。[配列番号44]
(I−23) I−21のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると300bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチューデに移した。この得られた抽出物をR123−IgG3(抽出濃度=79ng/μl)とした。[配列番号45]
(I−24) I−22,23の抽出物それぞれ1μlを使用してL123−R123−IgG3’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTP・MgCl2はすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水29.5μlに2.5mM dNTP 5μl,25mM MgCl2 5μl,10 x LA PCR buffer 5μlを加え、L1領域のセンスプライマー[配列番号1](100μM)1μlとR123−IgG3’のアンチセンスプライマー[配列番号15](100μM)1μl,DNA合計3μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・LA−Taq(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、98℃1分間の加熱処理後、98℃5秒、55℃20秒、72℃15秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃2分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ500bp近辺にバンドが確認できた。[配列番号46]
(I−25) I−24のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると500bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をLR123(抽出濃度=56ng/μl)とした。
(I−26) I−25のPCR由来抽出物(抽出濃度=ng/μl)1μlとpT7Blue 1μl(Novagen社・50ng/μl)を混合。そこに等量のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え12℃・2時間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換体を得た。その後シークエンスを行い塩基置換の無いプラスミドを選択し、これより得られたプラスミドをpT7B−LR123とした。
(I−26) I−25で得られたプラスミド・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)BamH I 1μl(20000U/ml)とEcoR I 1μl(20000U/ml)で25℃・O/N消化しLR123を切り出した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液1μlをアプライ、50mA・25分間電気泳動した結果、DNAマーカーと比較すると2800bpと400bp辺りにバンドが確認できた。再度1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動後に400bp辺りに確認できるバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をLR123 digest(抽出濃度=16ng/μl)とした。
(I−28) I−19で得られたプラスミド・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)Hind III 1μl(20000U/ml)とBgl II 1μl(10000U/ml)で25℃・O/N消化しCMV promoterを切り出した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液1μlをアプライ、50mA・25分間電気泳動した結果、DNAマーカーと比較すると2800bpと650bp辺りにバンドが確認できた。再度1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動後に650bp辺りに確認できるバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をCMV promoter digest(抽出濃度=14ng/μl)とした。
(I−29) pCB・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)Hind III 1μl(20000U/ml)とNot I 1μl(10000U/ml)で25℃・O/N消化した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると3500bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をpCB digest(抽出濃度=30ng/μl)とした。
(I−30) I−29で得られたpCB digest(30ng/μl)1μl,I−26で得られたLR123 digest(16ng/μl)1μl,I−27で得られたCMV promoter digest(14ng/μl)1μlを混合し、これと等量(3μl)のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え16℃・30分間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換を行い形質転換体を得た。形質転換体より得られたプラスミドをpCMV5とした。[配列番号47]
実施例6:pCMV5−luciferaseの作製(図17)
(II−1) pCMV5・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)Not I 1μl(10000U/ml)とXba I 1μl(20000U/ml)で25℃・O/N消化した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると4000bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をpCMV5 digest(抽出濃度=19ng/μl)とした。
(II−2) pCB−luciferase・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)Not I 1μl(10000U/ml)とXba I 1μl(20000U/ml)で25℃・O/N消化した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液1μlをアプライ、50mA・25分間電気泳動した結果、DNAマーカーと比較すると3500bpと1600bp辺りにバンドが確認できた。再度1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動後に1600bp辺りに確認できるバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物luciferase gene digest(抽出濃度=27ng/μl)とした。[配列番号48]
(II−3) II−1で得られたpCMV5 digest(19ng/μl)1μl,II−2で得られたluciferase gene digest(27ng/μl)1μlを混合し、これと等量(2μl)のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え16℃・30分間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換を行い形質転換体を得た。形質転換体より得られたプラスミドをpCMV5−luciferaseとした。
実施例7:ルシフェラーゼアッセイによるCMV5 promoterの活性測定
(III−1) CMV5 promoterの活性をCHO DG44−SとHEK293RTで測定するために、それぞれ25cm2 flaskで培養した。transfection当日に25cm2 flaskで培養していた細胞を15ml遠心管にて遠心。遠心後、培養上清を廃棄し、一方に100mMヒポキサンチン,10mMチミジンを含んだCHO−S−SFM II培地(GI BCO社)5ml添加。もう一方にFree Style medium(GIBCO社)5mlを添加。共に細胞数を計測した後、24well plateにそれぞれ2.5 x 105cells/wellになるように細胞を添加した。
(III−2) 1well辺り166ngのDNA(pCMV5−luciferase)を含んだトランスフェクション試薬(QIAGEN社)61μlにそれぞれの培地を0.35ml添加し、24well plateに加え48時間培養した。
(III−3) 48時間後に1.5mlチューブに細胞を集め上清を廃棄。そこにPLD−30(ピッカジーンデュアルシーパンジーkitに添付されている試薬、東洋インキ製造株式会社)を100μl添加し、軽く撹拌後に15分静置。15分後、200xgにて10分間遠心。遠心上清5μlを195μl PLD−30試薬に添加し、蛍光測定装置(ATTO社:ルミネッセンサーPSN・R)にてluciferase assayを行ったところCMV promoterより強い活性が確認できた。結果を図18に示す。
(1)ネオマイシン耐性ベクター[pSV/GKT−Neo]の作製
NEOベクター[pSV/GKT−Neo]は、プラスミドpUC18(Gene,33,103頁,1985年)由来の大腸菌複製オリジン(ColE1 ori)とネオマイシントスフォトランスフェラーゼ(NPT)遺伝子シストロンを有する。大腸菌複製オリジンをPCR法にてプラスミドpUC18より配列番号1および2に示す塩基配列を有するプライマーを用いて増幅させた。PCRは次の条件で実施した。PCRキットは宝酒造から市販しているものを用い、10倍濃縮反応緩衝液、dNTP溶液は全て添付品を使用した。まず、滅菌蒸留水36.5μlに10倍濃縮反応緩衝液、dNTP溶液、100μMの配列番号1および2に記載のプライマーそれぞれ1μl、鋳型DNA1μl、Pyrobest DNAポリメラーゼ(5U/μl)0.5μlを加えて完全に混合した後、タカラサーマルサイクラーパーソナルにてPCR反応を実施した。すなわち94℃、5分間の加熱処理後、変性(94℃、30秒)、プライマーアニーリング(55℃、30秒)、増幅(72℃、1分)の3ステップを35回繰り返し、更に72℃、5分間の処理をして反応を終了した。以下に記述ののPCR反応は同様の反応サイクルにて実施した。反応終了後得られた約600塩基対からなるPCR産物を製制限酵素(以下に記述の制限酵素は全てNEB社製)のSac II(20000U/μl)、1μlとCla I(5000U/μl)、1μlで37℃2.5時間切断した。制限酵素処理後反応液の全量を1%アガロースゲルに添加し、60mA、25分間電気泳動を行なった。約600塩基対からなるDNAバンドをゲルごと回収し、−135℃、10分間の凍結後に遠心分離を行ないその上清にDNA断片を回収した(ColE1 oriカセット;36ng/μl)。以下の制限酵素処理とDNA断片の回収は同様にして実施した。
次に3μgのプラスミドpSV(D)S/Neo(特開平10−179169)をそれぞれ1μlの制限酵素Sac II(20000U/μl)とCla I(5000U/μl)で切断し、エンハンサー部分を除去したサルウイルス40(SV40)初期プロモーターの下流にNPT遺伝子シストロンを有する約2200塩基対からなるDNA断片(NEOカセット1;28ng/μl)を調製した。この2つの断片をタカラDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)により連結してpSVNEO/Ori’を作成した。実際には1μlのColE1 oriカセットと1μlのNEOカセット1を混合し、そこに混合液と等量のタカラDNAライゲーションキットver.2−solution Iを加え16℃、30分間反応させDNAを連結させた。次いでルビジウム−クロライド法に従い大腸菌(E.coli)XL−1BlueTMコンピーテントセルの中に形質転換した。硫酸カナマイシン(50μg/ml;シグマ)を含むLB−寒天(Difco社)上に得られた大腸菌コロニーを硫酸カナマイシン(50μg/ml;シグマ)を含むTerrificブロス(1リットル中bacto−tryptone(Difco社製)12g、bacto yeast extract(Difco社製)24g、glycerol(和光純薬社製)4ml、KH2PO4(和光純薬社製)2.31g、K2HPO4(和光純薬社製)12.5gを含有する)の中に接種した。約20時間の培養の後集菌し、ブラスミドをアルカリ−SDS法(Current Protocols in Molecular biology,1−6−3頁,1986年)に従い単離し、pSVNEO/Ori’を作成した。これ以降に記述するライゲーション、形質転換、ブラスミド単離は全て同様な方法で行なった。
次にpSVNEO/Ori’をそれぞれ1μlの制限酵素Apa I(1000U/μl)とCla I(5000U/μl)で切断、精製して得られた約2800塩基対からなるDNA断片(38ng/μl)に新しく合成した配列番号3および4に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをアニーリングして得られるマルチプルな制限酵素切断サイトを有するリンカー(pSVNEOリンカー)をライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経てpSVNEO/Oriを作成した。リンカー作製は配列番号3および4に記載のオリゴヌクレオチド(100μM)を50μlずつをミクロチューブ(1.5ml;トレフ社製)に取り、ヒートブロックで70℃、5分間加熱後、約1時間かけて25℃まで冷ますことで実施した。これ以降のリンカー作製は同様にして実施した。
一方、プラスミドpSV2Neo(ストラタジーン社製)より配列番号5および6に示す塩基配列を有するプライマーを用いてPCRにてNPT遺伝子シストロンの大腸菌における発現誘導を司るプロモーター配列を含むDNA断片増幅させた。PCRキットは宝酒造から市販しているものを用い、10倍濃縮反応緩衝液、dNTP溶液、10倍濃縮塩化マグネシウム溶液は全て添付品を使用した。まず、滅菌蒸留水31.5μlに5μlの10倍濃縮反応緩衝液、5μlのdNTP溶液、5μlの10倍濃縮塩化マグネシウム溶液、100μMの配列番号5および6に記載のプライマーそれぞれ1μl、鋳型DNA1μl、LAタックDNAポリメラーゼ(5U/μl)0.5μlを加えて完全に混合した後、タカラサーマルサイクラーパーソナルにてPCR反応を実施した。以下のLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCR反応は同様の混合比率にて行なった。得られた約400塩基対からなるPCR産物をアガロースゲルにて展開、分離、精製した後(GKT断片;58ng/μl)、PCR産物クローニング用プラスミドpT7Blue(R)(50ng/μl;ノバジェン社製)とライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経てpT7B−GKTを作成した。
次に6μgのpSVNEO/Oriを1μlの制限酵素Pst I(20000U/μl)で切断して得られた大腸菌複製オリジン、エンハンサー部分を除去したSV40初期プロモーター、NPT遺伝子シストロンの部分配列を持つ約2800塩基対からなる断片(38ng/μl)と6μgのpT7B−GKTをPst Iで切断し得られたNPT遺伝子シストロンの部分配列を持つ約400塩基対からなる断片(GKTカセット;9ng/μl)をライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pSV/GKT−Neoを作成した。[pSV/GKT−Neo]作製のフローチャートを図1に示す。
(2)ネオマイシン耐性/メトトレキセート耐性ベクター[pND]の作製
前述のpSV/GKT−Neoの5μgをそれぞれ1μlの制限酵素EcoR I(20000U/μl)とCla I(5000U/μl)で切断し、アガロースゲルにて展開、分離、精製し約3000塩基対からなる断片pSV/GKT−Neoカセット(44ng/μl)を得た。また、pSVP(D)S/DHFR(特開平10−179169)よりそれぞれ1μlの制限酵素EcoR I(20000U/μl)とCla I(5000U/μl)での切断により得られたエンハンサー部分を除去したSV40初期プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子シストロンを持つ約1800塩基対からなる断片(DHFRカセット;25ng/μl)を得た。pSV/GKT−NeoカセットとDHFRカセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経ててpNDを得た。[pND]作製のフローチャートを図2に示す。
(3)所望の遺伝子発現のためのカセットプラスミド[pCB]の作製
本ベクターはプロモーター、目的とするタンパク質遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト(MCS)およびポリアデニレーションシグナルで構成する。プロモーターには、最も強力な発現誘導性をもつプロモーターの一つとされているヒトサイトメガロウイルス(hCMV)MIE抗原プロモーターを由来として使用する(PCMV)。また、polyAシグナルにも高生産性でかつ再現性に優れているとの報告のあるウシ成長ホルモンpolyAシグナル(bGH−polyA)を採用した。
まず、プラスミドpRc/CMV(インビトロジェン社製)より配列番号7および8に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCRにより増幅させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製した約650塩基対からなるPCMV断片をプラスミドpT7Blue(R)にライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7B−PCMVを作成した。一方pRc/CMVより配列番号9および10に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCRにより増幅させた約650塩基対からなるbGH−polyA断片をアガロースゲルにて展開、分離、精製した後プラスミドpT7Blue(R)ににライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7B−bGH−polyAを作成した。他方、5μgのプラスミドpUC18をそれぞれ1μlの制限酵素EcoR I(20000U/μl)とHind III(20000U/μl)で切断し、新しく合成した配列番号11および12に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをアニーリングして得られるマルチプルな制限酵素切断サイトを有するリンカー(CBリンカー)を連結しpUC18−CB−linkerを作成した。
次に、4.5μgのpUC18−CB−linkerをそれぞれ1μlの制限酵素BamH I(20000U/μl)とHind III(20000U/μl)で開裂させた約2700塩基対からなるDNA断片をアガロースゲルにて展開、分離、精製しpUC18−CB−linkerカセットとした(26ng/μl)。また、4.7μgのpT7B−PCMVをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とHind III(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製しPCMVを含む約650塩基対からなるDNA断片(PCMVカセット;12ng/μl)を得た。さらに1.3μgのpT7B−bGH−polyAをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とBamH I(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し約650塩基対からなるbGH−polyAを含むDNA断片(bGH−polyAカセット;2ng/μl)を得た。pUC18−CB−linkerカセット、PCMVカセット、bGH−polyAカセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て[pCB]を完成させた。所望の遺伝子発現のためのカセットプラスミド[pCB]の作製のフローチャートを図3に示す。
(4)哺乳動物細胞中で活性のある転写プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンを持った外来遺伝子発現ベクター[pNOS−GKT2]の作製
5μgのpCBをそれぞれ1μlの制限酵素BamH I(20000U/μl)とHind III(20000U/μl)で開裂、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約2700塩基対からなるDNA断片pCBカセット(31ng/μl)を得た。次いで配列番号13および14に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼにより増幅させたNPT遺伝子シストロンを含むPCR産物をそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とNhe I(5000U/μl)で切断後アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約2700塩基対からなるDNA断片NEOカセット2(39ng/μl)を得た。pCBカセットとNEOカセット2をライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経てpCB/GKT−Neoを得た。さらに、3μgのpCB/GKT−Neoをそれぞれ1μlの制限酵素Hind III(20000U/μl)とEcoR I(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、PCMV、NPT遺伝子、bGH−polyAを含む約1000塩基対からなるDNA断片(CNBカセット;11ng/μl)を得た。
また、5μgのpNDをそれぞれ1μlの制限酵素Sac II(20000U/μl)、EcoR I(20000U/μl)および1.5μlの制限酵素Nae I(10000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、ColE1−Oriとエンハンサー部分を除去したSV40初期プロモーターを持ったDHFR遺伝子シストロンを含む約2300塩基対からなるDNA断片(DHFRカセット2;33ng/μl)を得た。
更に、新しく合成した配列番号15および16に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをアニーリングして制限酵素切断サイトを有するリンカー(HSリンカー)を得た。それぞれ1μlのCNBカセット、DHFRカセット2、HSリンカーをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、[pNOS−GKT2]を作成した。哺乳動物細胞中で活性のある転写プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンを持った外来遺伝子発現ベクター[pNOS−GKT2]の作製のフローチャートを図4に示す。
(5)プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンの上流に転写終結のためのbGH−polyAを配した外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2Bの作製
pNOW3(特開平10−179169)より配列番号17および18に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCRにより増幅させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約200塩基対からなるDNA断片(bGH−polyA;42ng/μl)を得た。これをpT7Blue(R)とライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7Blue/BGHpAを作成した。2.2μgのpT7Blue/BGHpAをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とNhe I(5000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、bGH−polyAを含む約200塩基対からなるDNA断片bGH−polyAカセット2(3ng/μl)を得た。また、5μgのpNOS−GKT2をそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とXba I(20000U/μl)で開裂させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約4200塩基対からなるDNA断片pNOS−GKT2カセット(13ng/μl)を得た。それぞれ1μlのbGH−polyAカセット2とpNOS−GKT2カセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pNOS−GKT2Bを作成した。プロモーターを持たないNPT遺伝子シストロンの上流に転写終結のためのbGH−polyAを配した外来遺伝子発現ベクターpNOS−GKT2Bの作製のフローチャートを図5に示す。
(6)翻訳効率向上のためのウサギβグロビン遺伝子イントロンを配した外来遺伝子発現ベクター[pNOS−GKT2B−R]の作製
ウサギゲノムDNA(CH laboratories社製)より配列番号19および20に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼにを用いたPCRにより増幅させたウサギβグロビン遺伝子のスプライスドナーとスプライスアクセプター配列を含んだイントロンをコードする領域(gloSA)のPCR産物(断片長約600塩基対)をアガロースゲルにて展開、分離、精製し、pT7Blue(R)とライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7B−gloSAを作成した。
5μgのpT7B−gloSAをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とXho I(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、gloSAを含む約600塩基対からなるDNA断片(gloSAカセット;22ng/μl)を得た。また、5μgのpNOS−GKT2Bを制限酵素Not I(10000U/μl)とSal I(20000U/μl)で開裂させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約4400塩基対からなるDNA断片(pNOS−GKT2Bカセット;13ng/μl)を得た。それぞれ1μlのgloSAカセットとpNOS−GKT2Bカセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pNOS−GKT2B−Rを作成した。
翻訳効率向上のためのウサギβグロビン遺伝子イントロンを配した外来遺伝子発現ベクター[pNOS−GKT2B−R]の作製のフローチャートを図6に示す。また、[pNOS−GKT2B−R]の構造を図7に、全塩基配列を配列番号21に示す。
実施例2:本発明の発現ベクターを用いたヒト顆粒球コロニー刺激因子の生産試験
発現ベクターpNOS−GKT2B−Rによるヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG−CSF)遺伝子導入とG418耐性初期クローンの確立目的物質として、コロニー刺激因子の一種であるhG−CSFを選択した。この蛋白質は糖鎖を有しており、大腸菌や酵母を宿主とした生産では正常な形の組み換え蛋白質は得られない。
(1)hG−CSF発現用ベクター[pNOS−GKT2B−R/hG−CSF]の作製
ヒト脾臓cDNAより配列番号22および23に示す塩基配列を有するプライマーを用いてLAタックDNAポリメラーゼを用いたPCRにより増幅させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約600塩基対からなるhG−CSFのcDNAを含む断片(hG−CSF断片;13ng/μl)を得た。これをpT7Blue(R)にライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pT7Blue/hG−CSFを作成した。pT7Blue/hG−CSFをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とXba I(20000U/μl)で切断、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約600塩基対からなるhG−CSFのcDNAを含むDNA断片(hG−CSFカセット;6ng/μl)を得た。また、pNOS−GKT2B−Rをそれぞれ1μlの制限酵素Not I(10000U/μl)とXba I(20000U/μl)で開裂させ、アガロースゲルにて展開、分離、精製し、約5000塩基対からなるDNA断片(pNOS−GKT2B−Rカセット;19ng/μl)を得た。それぞれ1μlのhG−CSFカセットとpNOS−GKT2B−Rカセットをライゲーションにより連結し、形質転換、プラスミド単離を経て、pNOS−GKT2Bを作成した。hG−CSF発現用ベクター[pNOS−GKT2B−R/hG−CSF]の作製のフローチャートを図8、全塩基配列を配列番号24に示す。
(2)hG−CSF発現用ベクター[pNOS−GKT2B−R/hG−CSF]の哺乳動物細胞への導入とG418による形質導入株の選択
1μgのpNOS−GKT2B−R/hG−CSFをリポフェクチン法(キアゲン社製エフェクテントランスフェクション試薬を使用)を用いて25cm2のカルチャーフラスコ中の1500000個のDHFR欠損CHO細胞(DG44株;Dr.Gail Urlaubから譲受;Somat.Cell Mol.Genet.12,555頁,1986年)に遺伝子導入した。導入方法は製造業者の使用説明書に従った。48時間後トリプシン処理により細胞を剥がし、細胞数の計測の後、300000個の細胞を100mlの0.8mg/mlのG418を含む10%透析ウシ胎児血清添加Iscove’s Modified Dalbecco’s Medium培地ににて希釈後、96ウエルマイクロタイタープレート10枚(960ウエル)中に播き、5%炭酸ガス存在下で37℃、約3週間培養したところ、117ウエルにのみ細胞の生存が見られた(G418耐性株)。生存細胞のうちから任意に61株のG418耐性クローンを選択し、1mlの0.8mg/mlのG418を含む10%透析ウシ胎児血清添加Iscove’s Modified Dalbecco’s Medium培地とともに24ウエルプレートに移しコンフルエントになるまで培養した。培養上清を廃棄した後PBS(インビトロジェン社製)1mlを各ウェルに加えふたたびこれを廃棄した。これに0.5mlのCHO細胞用無血清培地CHO−S−SFM II(インビトロジェン社製)を加えて5%炭酸ガス存在下で37℃、72時間培養した。続いて培養上清中のhG−CSFの生産量の検討を行なった。
(3)pNOS−GKT2B−R/hG−CSF形質導入細胞クローンによるhG−CSFの生産量の検定
生産量の検定はドットブロット法にて実施した。ナイロンメンブレン(ナイトラン0.45μm;Schleicher & Schuell社製)上に72時間培養上清1μlと市販の組み換えhG−CSF(ペプロテック社製)のCHO細胞用無血清培地CHO−S−SFM IIによる2倍希釈系列(8〜0.125ng/μl)とCHO−S−SFM IIそれぞれ1μlをドットし、1時間の風乾、ブロックエースによるブロッキングの後1μg/μlの濃度の抗hG−CSF抗体(ペプロテック社製)とそれに引き続いてホースラッディシュペルオキシダーゼ(HRP)標識抗ウサギIgG抗体(DAKO社製)を反応させた。反応した抗体はスーパーシグナルウエストピコ試薬(ピアス社製)にてHRPの活性を検出する方法でルミノキャプチャー(アトー社製)を用いて行なった。図9にドットブロット法にて得られた結果を示す。
(4)pNOS−GKT2B−R/hG−CSF形質導入細胞クローンによるhG−CSFの生産量
本発明の発現ベクターpNOS−GKT2Bにより発現されたhG−CSFの各クローンごとの発現量の分布を図10に示す。
61株のG418耐性株をhG−CSFのところ約3分の2(39株)はhG−CSFを有意に高いレベル(0.25μg/μl以上)で産生していた。また、61株のうち33株(54.1%)は1μg/μl以上であった。さらに驚くべきことに12株(19.7%)は8μg/μl以上であった。最も高い産生レベルを示したもの178μg/ml/3daysであった。これは文献等で報告されている代表的な発現ベクターによる遺伝子増幅前の初期クローンのデータと比較して最も高い水準であった(DNA,7,651頁,1988年;Biotechnology,10.1455頁,1992年;Biotechnology,8,662頁,1990年;Gene,76,19頁,1989年;Biotechnology,9,64頁,1991年)。
遺伝子増幅による組換細胞のスクリーニングには通常6ヶ月から1年を要しかつ培養条件や増幅刺激剤濃度による差異が大きいため、発現ベクターのプライマリーな性能比較は増幅前の初期クローンの発現レベルで行うのが適当と考えられる。これにより本発明の発現ベクターの性能は極めて高いことが判明した。この結果、「強力なポリアデニレーションシグナルに遮断されたプロモーターレスNPT遺伝子シストロンをもつ発現ベクター」は、得られるG418耐性株の数が極めて低い一方、非常に高い効率で目的物質タンパク質の高生産性細胞株の確立を可能にすることが確かめられた。これにより、本発明の発現ベクターは非常に高いタンパク質発現レベルを可能にすることが証明された。
実施例3:G418耐性細胞株の遺伝子増幅
G418耐性細胞株のうち、hG−CSF産生が77μg/ml/3daysであったクローンを継代培養し安定化させた後に、MTXによる遺伝子増幅を行った。始めに15nMのMTXを含む培地で2週間、60nMのMTXを含む培地で2週間、250nMのMTXを含む培地で2週間、1μMのMTXを含む培地でさらに2週間増幅させたところ、hG−CSFの産生レベルは培地当たり117μg/ml/3daysに上昇した。遺伝子増幅に用いるMTX濃度は一般に10nM〜10μMの間の多段階とされ、最終濃度としては10μMがよく用いられるが、細胞に対する毒性の問題から高濃度暴露は安定な組換細胞株の樹立には問題がある。このため低濃度MTXで高生産性が達成できることも重要な評価基準となり、本実験では1μMまでとした。また通常セレクションを含めたMTX暴露期間は6−12ヶ月とされるのに対して、本実験では約8週間で行った。こうした実験条件にも拘わらず有効なhG−CSFの産生量増加がみられ、遺伝子増幅系に関しても本発現ベクターの高い性能が確かめられた。
実施例4:pNOSを使用した組み換えhuman G−CSFの発現
(1)pNOS/hG−CSF発現ベクターの作製
NEO耐性遺伝子として大腸菌由来のTn5をそのまま使用し、BGHpAの代わりにHGHpAを使用する以外は、実施例1と同様にして発現ベクターをpNOSを構築した。また、実施例2(1)に記載の方法に準じて、クローニング部位にヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG−CSF)遺伝子を挿入して、発現ベクターpNOS/hG−CSFを構築した。pNOS/hG−CSFの構造を図11に、全塩基配列を配列番号25に示す。
(2)pNOSを使用した組み換えhuman G−CSFの発現量の測定
25cm2フラスコで培養しているCHO細胞が40〜80%Confluent状態の時に、Qiagen会社から販売されているトランスフェクション試薬を用いて、pNOS−humanG−CSF発現ベクターをCHO細胞に組み込んだ。2日後、トリプシン処理を行い培養フラスコから細胞を剥がし、血球計算版により細胞数を確認、細胞濃度5×105cell/100mlになるように96well plate×10枚にまいた。2週間後、出現コロニーを数えたところ、146個のコロニーが確認できた。その96well plate×10枚中に出現していたシングルコロニー72個を24well plateに移す。24well plateに移したクローンがConfluentになった時に、1×PBSで1回洗浄、その後、無血清培地を添加し3日後の培養上清を回収した。
メンブレンに3日後培養上清と希釈系列standardを各々1μlずつスポットした。1時間の風乾後、ブロッキングした。その後、TBS/Tで1回洗浄した。洗浄終了後、1μg/mlのrabbit−anti human G−CSF抗体による一次抗体反応を行なった。再度、TBS/Tで3回洗浄した。HRP−anti−rabbit IgGによる二次抗体反応を行なった。再度、TBS/Tで3回洗浄後、Super Signal West Pico reagentによる発光反応によりhuman G−CSFの発現量を確認した。本発明の発現ベクターpNOS/human G−CSFにより発現されたhG−CSFのドットブロット法による検出例を図12および図13に示す。また、pNOS/human G−CSFにより発現されたhG−CSFの各クローンごとの発現量の分布を図14に示す。
pNOS発現ベクターを使用したhuman G−CSF発現量をドットブロットにより確認した結果(濃度検定を実施したクローンは46個)、pNOSは1μg/mlを越すクローンが65%以上の確率で得られ、さらにそのうちの33%は8μg/mlを越す発現量を示した。
実施例5:CMV5 promoterの作製(図15及び図16)
(I−1) adenovirus type2 genome1μlよりL1領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、L1領域のセンスプライマー[配列番号26](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号27](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラ゜ゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ40bp近辺にバンドが確認できた。
(I−2) adenovirus type2 genome1μlよりL2領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、L2領域のセンスプライマー[配列番号28](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号29](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ70bp近辺にバンドが確認できた。
(I−3) adenovirus type2 genome1μlよりL3領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、L3領域のセンスプライマー[配列番号30](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号31](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ200bp近辺にバンドが確認できた。
(I−4) adenovirus type2 genome1μlよりR1,2,3領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、R1,2,3領域のセンスプライマー[配列番号32](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号33](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、98℃1分間の加熱処理後、98℃5秒、55℃20秒、72℃15秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃2分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ100bp近辺にバンドが確認できた。
(I−5) pCMVTnT(10ng/μl)1μlを鋳型としてCMVプロモーター領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTP・MgCl2はすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水31.5μlに2.5mM dNTP 5μl,25mM MgCl2 5μl,10 x LA PCR buffer 5μlを加え、CMVプロモーターのセンスプライマー[配列番号34](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号35](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・LA−Taq(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ650bp近辺にバンドが確認できた。[配列番号41]
(I−6) (I−1)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると40bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL1(抽出濃度=82ng/μl)とした。
(I−7) (I−2)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると70bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL2(抽出濃度=104ng/μl)とした。
(I−8) (I−3)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると200bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL3(抽出濃度=88ng/μl)とした。
(I−9) (I−4)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると100bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をR123とした。
(I−10) (I−5)のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると650bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をPCMV(抽出濃度=54ng/μl)とした。
(I−11) I−6,7,8の抽出物それぞれ1μlを使用してL123領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTP・MgCl2はすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水29.5μlに2.5mM dNTP 5μl,25mM MgCl2 5μl,10 x LA PCR buffer 5μlを加え、L1領域のセンスプライマー[配列番号26](100μM)1μlとL3領域のアンチセンスプライマー[配列番号31](100μM)1μl,DNA合計3μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・LA−Taq(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ300bp近辺にバンドが確認できた。
(I−12) I−11のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると300bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL123(抽出濃度=80ng/μl)とした。[配列番号42]
(I−13) I−9の抽出物を使用しR123’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、R123領域のセンスプライマー[配列番号32](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号36](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、98℃1分間の加熱処理後、98℃5秒、55℃20秒、72℃15秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃2分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ150bp近辺にバンドが確認できた。
(I−14) I−13のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると150bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をR123−1(抽出濃度=107ng/μl)とした。
(I−15) I−14の抽出物を使用しR123’’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、R123領域のセンスプライマー[配列番号32](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号37](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、98℃1分間の加熱処理後、98℃5秒、55℃20秒、72℃15秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃2分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ150bp近辺にバンドが確認できた。
(I−16) I−15のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると150bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をR123−2(抽出濃度=95ng/μl)とした。[配列番号43]
(I−17) I−12のPCR由来抽出物(抽出濃度=ng/μl)1μlとpT7Blue 1μl(Novagen社・50ng/μl)を混合。そこに等量のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え12℃・2時間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換体を得た。その後シークエンスを行い塩基置換の無いプラスミドを選択し、これより得られたプラスミドをpT7B−L123とした。
(I−18) I−16のPCR由来抽出物(抽出濃度=ng/μl)1μlとpT7Blue 1μl(Novagen社・50ng/μl)を混合。そこに等量のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え12℃・2時間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換体を得た。その後シークエンスを行い塩基置換の無いプラスミドを選択し、これより得られたプラスミドをpT7B−R123とした。
(I−19) I−10のPCR由来抽出物(抽出濃度=ng/μl)1μlとpT7Blue 1μl(Novagen社・50ng/μl)を混合。そこに等量のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え12℃・2時間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換体を得た。その後シークエンスを行い塩基置換の無いプラスミドを選択し、これより得られたプラスミドをpT7B−CMVとした。
(I−20) I−17のpT7B−L123(10ng/μl)を鋳型としL123’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、L123領域のセンスプライマー[配列番号26](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号38](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、95℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ300bp近辺にバンドが確認できた。
(I−21) I−18のpT7B−R123(10ng/μl)を鋳型としR123−IgG3’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTPはすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水36.5μlに2.5mM dNTP 5μl,10 x Pyrobest PCR buffer 5μlを加え、R123領域のセンスプライマー[配列番号39](100μM)1μlとアンチセンスプライマー[配列番号40](100μM)1μl,DNA 1μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・Pyrobest(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、94℃5分間の加熱処理後、95℃30秒、55℃30秒、72℃30秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃5分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ200bp近辺にバンドが確認できた。
(I−22) I−20のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると300bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10XII間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をL123−1(抽出濃度=87ng/μl)とした。[配列番号44]
(I−23) I−21のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると300bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチューデに移した。この得られた抽出物をR123−IgG3(抽出濃度=79ng/μl)とした。[配列番号45]
(I−24) I−22,23の抽出物それぞれ1μlを使用してL123−R123−IgG3’領域のPCRを行った。(PCR kitは宝酒造から販売されているものでbuffer・dNTP・MgCl2はすべて添付品を使用した。)まず、滅菌蒸留水29.5μlに2.5mM dNTP 5μl,25mM MgCl2 5μl,10 x LA PCR buffer 5μlを加え、L1領域のセンスプライマー[配列番号1](100μM)1μlとR123−IgG3’のアンチセンスプライマー[配列番号15](100μM)1μl,DNA合計3μlを鋳型とし、そこにDNAポリメラーゼ・LA−Taq(5U/μl)を0.5μl加えてピペッティングを行い完全に混合し、次の条件でPCRを行った。すなわち、98℃1分間の加熱処理後、98℃5秒、55℃20秒、72℃15秒間の3ステップを35回繰り返してから、72℃2分間の処理をして反応を終了した。PCR終了後、1%アガロースゲルを用いて電気泳動により目的遺伝子領域の増幅確認を行ったところ500bp近辺にバンドが確認できた。[配列番号46]
(I−25) I−24のPCR反応液に3M NaoAc・5μlと100%エタノール・125μlを加え14000rpm・10分間ほど遠心。遠心終了後ペレットを確認し静かに上清を除いた。そこに1xDSBを10μl加えペレットを完全に溶解。1%アガロースゲルにこの溶液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると500bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収し、−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をLR123(抽出濃度=56ng/μl)とした。
(I−26) I−25のPCR由来抽出物(抽出濃度=ng/μl)1μlとpT7Blue 1μl(Novagen社・50ng/μl)を混合。そこに等量のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え12℃・2時間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換体を得た。その後シークエンスを行い塩基置換の無いプラスミドを選択し、これより得られたプラスミドをpT7B−LR123とした。
(I−26) I−25で得られたプラスミド・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)BamH I 1μl(20000U/ml)とEcoR I 1μl(20000U/ml)で25℃・O/N消化しLR123を切り出した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液1μlをアプライ、50mA・25分間電気泳動した結果、DNAマーカーと比較すると2800bpと400bp辺りにバンドが確認できた。再度1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動後に400bp辺りに確認できるバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をLR123 digest(抽出濃度=16ng/μl)とした。
(I−28) I−19で得られたプラスミド・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)Hind III 1μl(20000U/ml)とBgl II 1μl(10000U/ml)で25℃・O/N消化しCMV promoterを切り出した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液1μlをアプライ、50mA・25分間電気泳動した結果、DNAマーカーと比較すると2800bpと650bp辺りにバンドが確認できた。再度1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動後に650bp辺りに確認できるバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をCMV promoter digest(抽出濃度=14ng/μl)とした。
(I−29) pCB・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)Hind III 1μl(20000U/ml)とNot I 1μl(10000U/ml)で25℃・O/N消化した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると3500bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をpCB digest(抽出濃度=30ng/μl)とした。
(I−30) I−29で得られたpCB digest(30ng/μl)1μl,I−26で得られたLR123 digest(16ng/μl)1μl,I−27で得られたCMV promoter digest(14ng/μl)1μlを混合し、これと等量(3μl)のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え16℃・30分間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換を行い形質転換体を得た。形質転換体より得られたプラスミドをpCMV5とした。[配列番号47]
実施例6:pCMV5−luciferaseの作製(図17)
(II−1) pCMV5・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)Not I 1μl(10000U/ml)とXba I 1μl(20000U/ml)で25℃・O/N消化した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動。DNAマーカーと比較すると4000bp辺りにバンドが確認できたのでそのバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物をpCMV5 digest(抽出濃度=19ng/μl)とした。
(II−2) pCB−luciferase・2.5μgを使用し、制限酵素(NEB社)Not I 1μl(10000U/ml)とXba I 1μl(20000U/ml)で25℃・O/N消化した。制限酵素処理後1%アガロースゲルに反応液1μlをアプライ、50mA・25分間電気泳動した結果、DNAマーカーと比較すると3500bpと1600bp辺りにバンドが確認できた。再度1%アガロースゲルに反応液全量をアプライ、50mA・25分間電気泳動後に1600bp辺りに確認できるバンドを回収。回収したゲル抽出物を−135℃・10分間凍結。その後14000rpm・10分間ほど遠心。この遠心分離上清を新しい1.5mlエッペンドルフチュープに移した。この得られた抽出物luciferase gene digest(抽出濃度=27ng/μl)とした。[配列番号48]
(II−3) II−1で得られたpCMV5 digest(19ng/μl)1μl,II−2で得られたluciferase gene digest(27ng/μl)1μlを混合し、これと等量(2μl)のligation kit ver.2 solution I(宝酒造株式会社)を加え16℃・30分間ライゲーション反応を行い、その後、大腸菌の形質転換を行い形質転換体を得た。形質転換体より得られたプラスミドをpCMV5−luciferaseとした。
実施例7:ルシフェラーゼアッセイによるCMV5 promoterの活性測定
(III−1) CMV5 promoterの活性をCHO DG44−SとHEK293RTで測定するために、それぞれ25cm2 flaskで培養した。transfection当日に25cm2 flaskで培養していた細胞を15ml遠心管にて遠心。遠心後、培養上清を廃棄し、一方に100mMヒポキサンチン,10mMチミジンを含んだCHO−S−SFM II培地(GI BCO社)5ml添加。もう一方にFree Style medium(GIBCO社)5mlを添加。共に細胞数を計測した後、24well plateにそれぞれ2.5 x 105cells/wellになるように細胞を添加した。
(III−2) 1well辺り166ngのDNA(pCMV5−luciferase)を含んだトランスフェクション試薬(QIAGEN社)61μlにそれぞれの培地を0.35ml添加し、24well plateに加え48時間培養した。
(III−3) 48時間後に1.5mlチューブに細胞を集め上清を廃棄。そこにPLD−30(ピッカジーンデュアルシーパンジーkitに添付されている試薬、東洋インキ製造株式会社)を100μl添加し、軽く撹拌後に15分静置。15分後、200xgにて10分間遠心。遠心上清5μlを195μl PLD−30試薬に添加し、蛍光測定装置(ATTO社:ルミネッセンサーPSN・R)にてluciferase assayを行ったところCMV promoterより強い活性が確認できた。結果を図18に示す。
本発明により、哺乳動物細胞を宿主として高水準の遺伝子組換タンパク質生産を可能にする発現ベクターを提供することができる。
Claims (16)
- 上流から順番に強発現誘導性プロモーター、遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト、及びポリアデニレーションシグナル配列を含み、その下流に動物細胞で作動可能なプロモーターを有さない薬剤耐性遺伝子を含む、動物宿主細胞において遺伝子組換タンパク質の高生産性を誘導する発現ベクター。
- 強発現誘導性プロモーターがヒトサイトメガロウイルスMajorImmeidately−Early抗原プロモーター、CMV5プロモーター(合成キメラープロモーター)、β−アクチンプロモーターまたはSV40初期プロモーターである、請求項1に記載の発現ベクター。
- 薬剤耐性遺伝子が、ネオマイシン耐性遺伝子、コドン非最適化(disoptimized)ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、またはブラストサイジン耐性遺伝子である、請求項1または2に記載の発現ベクター。
- 薬剤耐性遺伝子がネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子である、請求項1から3の何れかに記載の発現ベクター。
- 薬剤耐性遺伝子が大腸菌トランスポゾンTn5に由来するネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝子である、請求項1から4の何れかに記載の発現ベクター。
- 薬剤耐性遺伝子がポリアデニレーションシグナル配列により遮断された強発現誘導性プロモーターの下流に存在することによる読み過ごし効果によって、極微量の薬剤耐性遺伝子のメッセンジャーRNAまたは蛋白質が生成する、請求項1から5の何れかに記載の発現ベクター。
- 薬剤耐性遺伝子の下流にさらに、動物細胞で作動可能なプロモーターを有さないジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はコドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を有する、請求項1から6の何れかに記載の発現ベクター。
- 薬剤耐性遺伝子の下流にさらに、上流から順番に強発現誘導性プロモーター、遺伝子組み込み用マルチクローニングサイト、及びポリアデニレーションシグナル配列を含み、その下流に動物細胞で作動可能なプロモーターを有さないジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はコドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を有する、請求項1から7の何れかに記載の発現ベクター。
- 発現誘導性の低いプロモーターの下流に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はコドン非最適化(disoptimized)ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を有する、請求項1から6の何れかに記載の発現ベクター。
- 発現誘導性の低いプロモーターが、哺乳動物細胞では通常極微量しか発現しない蛋白質遺伝子に由来するプロモーター、哺乳動物に感染しにくいウイルス抗原遺伝子に由来するプロモーター、または上記プロモーターからエンハンサー配列を除去したプロモーターである、請求項7から9の何れかに記載の発現ベクター。
- 請求項1から6の何れかに記載の発現ベクターの遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトに目的遺伝子を組み込むことによって得られる、組み換え発現ベクター。
- 請求項7から10の何れかに記載の発現ベクターの遺伝子組み込み用マルチクローニングサイトに目的遺伝子を組み込むことによって得られる、組み換え発現ベクター。
- 請求項1から10の何れかに記載の発現ベクターあるいは請求項11または12に記載の組み換え発現ベクターを有する形質転換体。
- 請求項11または12に記載の組み換え発現ベクターを宿主動物細胞に導入することを含む、目的遺伝子を高発現する形質転換体の製造方法。
- 請求項11または12に記載の組み換え発現ベククーを宿主動物細胞に導入することによって形質転換体を取得し、得られた形質転換体を無血清培地へ馴化させることを含む、無血清培地で安定的に蛋白質を生産できる形質転換体を取得する方法。
- 請求項12に記載の組み換え発現ベクターをジヒドロ葉酸還元酵素欠損CHO細胞へ導入し、次いでメトトレキセートの存在下で該細胞を培養することを含む、目的遺伝子の増幅方法。
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