JP2012157293A - 哺乳動物細胞内で目的遺伝子の増幅構造を制御し、高発現させる方法 - Google Patents

哺乳動物細胞内で目的遺伝子の増幅構造を制御し、高発現させる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、遺伝子増幅法において生じる逆位反復配列に起因する目的遺伝子の発現抑制を起こりにくくし、目的遺伝子を高発現させる手段を提供する。
【解決手段】本発明は、哺乳動物細胞において目的遺伝子を発現させる方法であって、プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含み、且つ両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチドを複数個連結することによって直列反復配列を作製する連結工程;当該連結工程によって得られた直列反復配列を哺乳動物細胞へ導入する遺伝子導入工程;当該遺伝子導入工程によって得られた形質転換細胞において目的遺伝子を発現させる発現工程を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、哺乳動物細胞内で目的遺伝子の増幅構造を制御し、目的遺伝子を高発現させる方法に関する。より具体的には、あらかじめ作製しておいた目的遺伝子を含む直列反復配列を哺乳動物細胞に導入することによって、逆位反復配列が原因で誘導される目的遺伝子の発現抑制が起こりにくくし、目的遺伝子を高発現させる方法に関する。
従来公知の遺伝子増幅法は、宿主細胞あたりの目的遺伝子のコピー数を増加させる技術である。しかし、遺伝子増幅構造の形成過程で逆位反復配列が生じ、これが目的遺伝子のジーンサイレンシングによる発現抑制を誘導するため、目的遺伝子の発現量は増幅した目的遺伝子のコピー数に比例しないという問題があった。このため、目的遺伝子が細胞内で発現抑制されにくい手法、または発現抑制を受けてもヒストン脱アセチル化酵素阻害剤等の作用で容易に発現抑制が解除されるような形態で遺伝子増幅できる手法がこれまで望まれてきた。
ところで本発明者らは、哺乳動物の複製開始領域(IR;Initiation Region)と核マトリックス結合領域(MAR; Matrix Attachment Region)とを持つプラスミドベクター(「IR/MARベクター」または「IR/MARプラスミド」という)をヒト由来がん細胞(COLO 320 大腸がん細胞株、およびHeLa細胞株)にリポフェクション法で導入し、プラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子(ブラスティサイジン(Blasticidin)あるいはネオマイシン(Neomycine))を利用して選択するだけで、
(1)発現させるべきタンパク質をコードする遺伝子(以下、適宜「目的遺伝子」という)の細胞内コピー数を1万コピー程度にまで増幅できること、および、
(2)目的遺伝子はIR/MARベクターに対して同一の遺伝子構築物(シス)として導入した場合であっても、別の遺伝子構築物(トランス)として導入した場合であっても、高度に増幅することができるということを発見した。
そして、本発明者らは当該知見に基づいて、IR/MARベクターと目的遺伝子とを、哺乳動物細胞(例えば、ヒト由来がん細胞(COLO320 大腸がん細胞株、およびHeLa細胞株)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)等)にリポフェクション法で導入し、プラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子(BlasticidinあるいはNeomycine)を利用して選択するだけで、目的遺伝子を1万コピー程度に増幅できる系(以下、「高度遺伝子増幅系」という)を完成させるに至った(例えば、特許文献1および4、並びに非特許文献1参照)。
上記高度遺伝子増幅系においても、上述の逆位反復配列に起因する目的遺伝子の発現抑制を受ける場合があり、巨大な遺伝子増幅領域の中のほんの一部からしか目的遺伝子が発現せず、目的タンパク質の生産量は、増幅した目的遺伝子のコピー数に比例しないという問題点があった。そこで本発明者らは、上記高度遺伝子増幅系を用いた際に起こる遺伝子の反復配列に起因する転写抑制を解除するための手段を開発した(特許文献2を参照のこと)。特許文献2にかかる方法は、(a)目的タンパク質をコードする遺伝子を増幅する際に、λ−ファージDNA等の10kb以上のポリヌクレオチド、またはインシュレーター配列を共増幅する、(b)遺伝子増幅が起こった細胞を漸増濃度の薬剤を含有する培地で培養し選抜する、(c)目的タンパク質をコードする遺伝子の発現を誘導するプロモーター活性を向上させる、(d)増幅した遺伝子領域をCre-LoxP Systemを用いて染色体外に切り出す、(e)遺伝子増幅が起こった細胞を5-aza-2’-deoxycytidineで処理を行いDNAのメチル化のレベルを低下させる、(f)遺伝子増幅がダブルマイニュート染色体上で起こっている上記哺乳動物細胞を選択する、のいずれか1つ以上の手段を含む方法である。
上記の他、本発明者らは上記高度遺伝子増幅系の改良に関する研究を行っており、導入遺伝子の安定化に関する発明(例えば特許文献3おおび5を参照のこと)、遺伝子の増幅形態の制御に関する発明(例えば特許文献6、9、および10を参照のこと)、および遺伝子の増幅効率または発現効率を増加させる方法(例えば特許文献7および8を参照のこと)を見出した。
特開2003−245083号公報(公開日:平成15(2003)年9月2日) 国際公開第2006/054561号パンフレット(国際公開日:平成18(2006)年5月26日) 特開2004−337066号公報(公開日:平成16(2004)年5月15日) 特開2006−55175号公報(公開日:平成18(2006)年3月2日) 特開2006−320332号公報(公開日:平成18(2006)年11月30日) 特開2007−312655号公報(公開日:平成19(2007)年12月6日) 特開2007−312656号公報(公開日:平成19(2007)年12月6日) 国際公開第2008/023671号パンフレット(国際公開日:平成20(2008)年2月28日) 国際公開第2009/048024号パンフレット(国際公開日:平成21(2009)年4月16日) 国際公開2010/110340号パンフレット(国際公開日:平成20(2008)年2月28日)
Noriaki Shimizu, et al. (2001) Plasmids with a Mammalian Replication Origin and a Matrix Attachment Region Initiate the Event Similar to Gene Amplification. Cancer Research vol.61, no.19, p6987-6990.
本発明は、従来公知の遺伝子増幅法において生じる逆位反復配列に起因して起こる目的遺伝子の発現抑制が起こりにくくし、目的遺伝子を高発現させる手段を提供することを目的とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、非パリンドローム型制限酵素認識配列を導入したIR/MARプラスミドを非パリンドローム型制限酵素で消化して直鎖状にした後、この直鎖状ポリヌクレオチドを連結して直列反復化した後、これを哺乳動物細胞に導入して得られた形質転換細胞は、閉環スーパーコイル状のIR/MARプラスミドが導入されてなる形質転換細胞に比して目的遺伝子の発現量が顕著に高いということを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
本発明にかかる遺伝子発現方法は、
哺乳動物細胞において目的遺伝子を発現させる方法であって、
プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含み、且つ両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチドを複数個連結することによって直列反復配列を作製する連結工程;
当該連結工程によって得られた直列反復配列を哺乳動物細胞へ導入する遺伝子導入工程;
当該遺伝子導入工程によって得られた形質転換細胞において目的遺伝子を発現させる発現工程を含むことを特徴としている。
本発明にかかる遺伝子発現方法において、上記直鎖状のポリヌクレオチドは、遺伝子発現カセット、および当該遺伝子発現カセットの領域外に非パリンドローム型制限酵素認識配列を含む環状ポリヌクレオチドを、当該非パリンドローム型制限酵素認識配列を認識して切断する非パリンドローム型制限酵素で消化して得られたものであってもよい。
また本発明にかかる遺伝子発現方法において、上記環状ポリヌクレオチドは、遺伝子発現カセットを含む環状ポリヌクレオチドに対して、遺伝子発現カセットの領域外に非パリンドローム型制限酵素認識配列が1つ含まれるように非パリンドローム型制限酵素認識配列が導入されてなるものであってもよい。
また本発明にかかる遺伝子発現方法は、上記直鎖状のポリヌクレオチドがさらに選択マーカー遺伝子を含んでいる場合、上記遺伝子導入工程の後に形質転換細胞を選択する選択工程を含んでいてもよい。
また本発明にかかる遺伝子発現方法において、上記直鎖状のポリヌクレオチドは、哺乳動物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域と、哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域とをさらに含むものであってもよい。
ここで上記哺乳動物複製開始領域は、c−myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ−グロビン遺伝子座のいずれか1つに由来するものであってもよい。
また上記核マトリックス結合領域は、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座のいずれか1つに由来するものであってもよい。
上記のように本発明によれば、IR/MARプラスミドを用いた高度遺伝子増幅系の場合のみならず、一般に逆位反復配列に起因して起こる目的遺伝子の発現抑制の問題を解決することが可能となる。よって目的遺伝子の増幅コピー数に比例した目的遺伝子からのタンパク質発現量を得ることができ、目的遺伝子がコードするタンパク質(「目的タンパク質」)を大量に生産することができるという効果を本発明は奏する。
(a)は従来の遺伝子増幅方法による遺伝子増幅構造の形成過程を説明するための模式図であり、(b)は本発明の遺伝子発現方法における遺伝子増幅構造の形成過程を説明するための模式図である。 実施例において使用したIR/MARプラスミドであるpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドの構造を示す図であり、図中の「PSRα」はSRαプロモーターを示し、「BS」はブラストサイジン耐性遺伝子を示し、「AR1」は核マトリックス結合領域(MAR)を示し、「D1」はジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座(DHFR)由来のIRと同等のIR活性を有するDHFRの部分断片を示し、「PCMV」はCMVプロモーターを示し、「MycL」は c-Myc 9E10のL鎖抗体遺伝子を示し、「TKpA」はHSVTKのpolyA配列を示し、「MycH」はc-Myc 9E10のH鎖抗体遺伝子を示し、「ColE1ori」は大腸菌複製開始配列を示し、「Amp」はアンピシリン耐性遺伝子を示す。 pΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドを制限酵素Rsr IIで消化した後、ΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドのRsr II消化産物をライゲーションした時、直列反復配列のみができることを説明するための図である。 アガロースゲル電気泳動像であり、「M」はサイズマーカー、「SC」は閉環スーパーコイルのpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミド、「LIN」は直鎖状DNA断片、「LIG」は直鎖状DNA断片のライゲーション産物をそれぞれアガロース電気泳動した結果を示す。 直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)が導入されたCOLO 320DM♯3株のポリクローン集団をFISH法で観察した結果を示す図である。 直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)または閉環状スーパーコイル(SC)のpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドが導入されたCOLO 320DM♯3株のポリクローン集団において形成された各遺伝子増幅構造(DM、点状シグナル、小HSR、大HSR、ラダー状HSR)の形成頻度を示すグラフである。なお、本明細書において「DM」は染色体外のダブルマイニュート染色体を意味し、「HSR」は均一染色領域(Homogeneously staining regeonを意味する。 直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)が導入されたCHO-DG44株のポリクローン集団をFISH法で観察した結果を示す図である。 直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)または閉環状スーパーコイル(SC)のpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドが導入されたCHO-DG44株のポリクローン集団において形成された各遺伝子増幅構造(DM、点状シグナル、小HSR、大HSR、ラダー状HSR)の形成頻度を示すグラフである。 直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)または閉環状スーパーコイル(SC)のpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドが導入されたCHO-DG44株のポリクローン集団をトランスフェクション後2.5ヶ月間培養し、培養後のCHO-DG44株のポリクローン集団について、ELISA (Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay) 法でc-Myc抗体タンパク質の発現量を定量した結果を示すグラフである。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。また、本明細書中に記載された公知文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
〔本発明の遺伝子発現方法〕
本発明の遺伝子発現方法は、
哺乳動物細胞において目的遺伝子を発現させる方法であって、
プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含み、且つ両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチドを複数個連結することによって直列反復配列を作製する連結工程;
当該連結工程によって得られた直列反復配列を哺乳動物細胞へ導入する遺伝子導入工程;
当該遺伝子導入工程によって得られた形質転換細胞において目的遺伝子を発現させる発現工程を含むことを特徴としている。
本発明者らは、既述の通り、IR/MARプラスミドを用いた高度遺伝子増幅系において、目的遺伝子が高度に増幅されるものの、目的遺伝子が発現抑制を受け、コピー数に比例した目的遺伝子の発現量が得られない場合があるという問題を抱えていた。この遺伝子発現抑制の原因の一つとして遺伝子増幅構造の形成過程で生じる逆位反復配列(「インバーティッドリピート」ともいう)が考えられた。そこで、この逆位反復配列が原因で起こる目的遺伝子の発現抑制が起こりにくくすることができ、目的遺伝子の発現量を増加させることができる手段を鋭意検討した。
その結果、プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含み、且つ両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチドを複数個連結することによって、遺伝子発現カセットを含む直列反復配列(「タンデムリピート配列」、または「ダイレクトリピート」ともいう)をあらかじめ作製しておき、これを哺乳動物細胞へ遺伝子導入(トランスフェクト)することによって、この逆位反復配列が原因で起こる目的遺伝子の発現抑制が起こりにくくなり、目的遺伝子を高発現させることができるということを見出した。
つまり、従来の方法では、遺伝子増幅構造の形成過程においては、遺伝子発現カセットを含むポリヌクレオチドが一単位となって、これらが目的遺伝子の転写方向が同方向となるように連結されるごとく増幅されるか、または転写方向が逆向きになるように連結されるごとく増幅されるかは50%の確率で起こる。それゆえ、形成された遺伝子増幅構造において逆位反復配列が多く形成されれば、これが原因となって目的遺伝子の発現抑制が起こることになる。図1(a)を用いて従来の遺伝子増幅方法による遺伝子増幅構造の形成過程を説明する。図1(a)における遺伝子発現カセットを含むポリヌクレオチド(10)における矢印の方向は目的遺伝子の転写方向を示す。このポリヌクレオチド(10)について遺伝子増幅が行われると、遺伝子発現カセットを含むポリヌクレオチド(10)が一単位となって、これらが目的遺伝子の転写方向が同方向となるように連結されるごとく遺伝子増幅構造が形成されるか、または転写方向が逆向きになるように連結されるごとく遺伝子増幅構造が形成される。図1(a)に示される遺伝子増幅構造(11)においては、10個のポリヌクレオチド(10)によって逆位反復配列が形成されていることが示されている。よってこの遺伝子増幅構造においては、逆位反復配列による遺伝子の発現抑制が起こるものといえる。
これに対して上記本発明の方法ではあらかじめ直列反復配列を作製しておくことで、当該直列反復配列が一単位となって増幅されるため、形成された遺伝子増幅構造中の直列反復配列の割合がおのずと高くなる。それゆえ、遺伝子増幅構造中の逆位反復配列の割合を減らし、直列反復配列が形成される割合を増加させることができ、逆位反復配列による目的遺伝子の発現抑制が起こりにくくすることが可能となる。図1(b)を用いて本発明の方法による遺伝子増幅構造の形成過程を説明する。図1(b)における遺伝子発現カセットを含むポリヌクレオチド(20)における矢印の方向は、図1(a)と同様に目的遺伝子の転写方向を示す。このポリヌクレオチド(20)を非パリンドローム型制限酵素で一箇所切断し、この直鎖状のポリヌクレオチドをライゲーションして直列反復配列(21)を作製する。この直列反復配列(21)について遺伝子増幅が行われると、当該直列反復配列(21)が一単位となって、これらが目的遺伝子の転写方向が同方向となるように連結されるごとく増幅されるか、または転写方向が逆向きになるように連結されるごとく増幅される。これにより、遺伝子増幅構造(22)が形成される。図1(b)に示される遺伝子増幅構造(22)においては、2つの直列反復配列(21)が、転写方向が逆向きになるような形態で遺伝子増幅構造が形成されていることが示されている。ただし、遺伝子増幅構造(22)においては、5個のポリヌクレオチド(20)による直列反復配列が既に形成されているため、逆位反復配列による遺伝子の発現抑制が起こりにくいといえる。
なお、本発明者らはIR/MARプラスミドを用いた高度遺伝子発現系において本発明を見出したが、上記原理に鑑みれば遺伝子増幅過程を伴う系(例えばジヒドロ葉酸還元酵素dhfrベクターとジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤メトトキセレート(MTX)を用いた遺伝子増幅系(PNAS(1983) vol. 80 no. 9 2495-2499を参照のこと)において本発明の方法が適用されることを当業者は理解する。つまり本発明の方法はIR/MARプラスミドを用いた高度遺伝子発現系にのみ適用されるものではない。
次に本発明の遺伝子発現方法に含まれる各工程について説明する。なお、本発明の遺伝子発現方法においては、以下で説明される各工程以外に遺伝子増幅および遺伝子発現で通常実施される工程が含まれていてもよい。
〔1.連結工程〕
本発明の遺伝子発現方法に含まれる連結工程は、プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含み、且つ両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチドを複数個連結することによって直列反復配列を作製する連結工程である。
上記「目的遺伝子」とは発現させるべきタンパク質をコードするポリヌクレオチドを意味する。目的遺伝子は、DNAであってもRNAであってもよい。また上記目的遺伝子は、特に限定されるものではなく、所望のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを適宜選択の上、採用すればよい。目的遺伝子であるポリヌクレオチドは、その塩基配列情報を元にPCR等の公知の技術を用いて取得すればよい。
上記目的遺伝子は、プロモーターに制御可能に連結されている。上記プロモーターは、導入される哺乳動物細胞において機能するものであれば特に限定されるものではなく、転写因子等による所定の操作によって、プロモーターの転写活性が活性化または不活性化されるプロモーター(以下、「転写活性調節型プロモーター」という)であっても、恒常的に転写活性が活性化されている恒常型プロモーターであってもよい。「転写活性調節型プロモーター」は、上記特性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、TREプロモーター(クロンテック社製)、T−REXプロモーター(インビトロジェン社製)等の市販品が本発明にかかる方法において利用可能である。恒常型プロモーターとしては、CMVプロモーター、SV40プロモーター、SRalphaプロモーター、LTRプロモーター、MMTVプロモーター等が利用可能である。
上記「遺伝子発現カセット」は、目的遺伝子の発現に必要なポリヌクレオチドが含まれていれば特に限定されるものではなく、プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を少なくとも含むのであればよい。遺伝子発現カセットには、プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子の他、ターミナーター、IRES配列などが含まれ得る。
上記「両末端が非パリンドローム突出末端となっている」とは、2重鎖DNA末端が突出末端となっており、且つその突出末端を同じ方向(5’末端→3'末端)から見たときの塩基配列が異なる塩基配列となっていることを意味する。かかる「両末端が非パリンドローム突出末端」は、例えば環状ポリヌクレオチドを非パリンドローム型制限酵素で1箇所切断したときに生じる。例えば、後述する実施例で用いた非パリンドローム型制限酵素RsrIIで環状ポリヌクレオチドを消化して直鎖状のポリヌクレオチドを作製した場合、一方がGAC-5’突出となり、他方がGTC-5’突出となる。つまりこれが非パリンドローム突出末端の一例ということになる。ただし、本発明において「両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチド」は、環状ポリヌクレオチドを非パリンドローム型制限酵素で1箇所切断したときに生じる直鎖状ポリヌクレオチドのみに限定されるものではなく、直鎖状ポリヌクレオチドの両末端に塩基を付加して調製されたものであってもよい。
ここで非パリンドローム型制限酵素は既に公知である。表1に、非パリンドローム型、その認識配列、および切断箇所を示す。なお、表中の一文字表記は、それぞれ「B = C or G or T」、「D = A or G or T」、「H = A or C or T」、「K = G or TM = A or C」、「N = A or C or G or T」、「R = A or G」、「S = C or G」、「V = A or C or G」、「W = A or T」、「Y = C or T」である。また表中の「/」は切断箇所を示す。なお、「A」がグアニン、「T」がチミン、「G」がグアニン、「C」がシトシンを意味することは言うまでもない。
表1に挙げる酵素の他、11塩基認識の非パリンドローム型制限酵素としてApaBI、BglI、BglI、BslI、BstAPI、MwoI、PflMIが知られており、13塩基認識の非パリンドローム型制限酵素としてSfiIが知られている。ただし本発明の遺伝子発現方法はこれらの制限酵素を利用する態様に限定されるものではない。
「プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含み、且つ両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチド」は、例えば遺伝子発現カセットを含む環状ポリヌクレオチドが、当該遺伝子発現カセットの領域外に非パリンドローム型制限酵素認識配列を含んでいる場合には、当該環状ポリヌクレオチドを、当該非パリンドローム型制限酵素認識配列を認識して切断する非パリンドローム型制限酵素で消化することによって調製され得る。
なお環状ポリヌクレオチドにおいて非パリンドローム型制限酵素認識配列が遺伝子発現カセット内に存在する場合には、当該非パリンドローム型制限酵素によって遺伝子発現に必要な領域が切断されるため、このような場合は、この非パリンドローム型制限酵素認識配列を利用して直鎖状のポリヌクレオチドを作製することは適当でない。また遺伝子発現カセットの領域のほか、遺伝子増幅や遺伝子発現、選択マーカー遺伝子など重要な機能を備える領域内に非パリンドローム型制限酵素認識配列が存在する場合は、この非パリンドローム型制限酵素認識配列を利用して直鎖状のポリヌクレオチドを作製することは適当でない。特にIR/MARプラスミドの場合は、IRやMAR以外の領域内に非パリンドローム認識配列が存在する場合は、この非パリンドローム型制限酵素認識配列を利用して直鎖状のポリヌクレオチドを作製することは適当でない。
この場合は、遺伝子発現カセットを含む環状ポリヌクレオチドに対して、遺伝子発現カセットの領域外に非パリンドローム型制限酵素認識配列が1つ含まれるように非パリンドローム型制限酵素認識配列を導入すればよい。また遺伝子発現カセットを含む環状ポリヌクレオチドが非パリンドローム型制限酵素認識配列を含まない場合にも同様に、遺伝子発現カセットの領域外に非パリンドローム型制限酵素認識配列が1つ含まれるように非パリンドローム型制限酵素認識配列を導入すればよい。この時、非パリンドローム型制限酵素認識配列の導入位置は、遺伝子発現カセットの領域のほか、遺伝子増幅や遺伝子発現、選択マーカー遺伝子など重要な機能を備える領域外に導入することが好ましい。特にIR/MARプラスミドの場合は、IRやMAR以外の領域に非パリンドローム認識配列が導入されることが好ましい。上記遺伝子発現カセットの他、非パリンドローム型制限酵素認識配列が導入された環状ポリヌクレオチドを、当該非パリンドローム型制限酵素認識配列を認識して切断する非パリンドローム型制限酵素で消化することによって、「プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含み、且つ両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチド」が調製され得る。非パリンドローム型制限酵素認識配列の導入には、従来公知の遺伝子工学的手法が適宜利用され得る。なお本発明の遺伝子発現方法は、上述の「プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含み、且つ両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチド」(以下「非パリンドローム突出末端−直鎖状ポリヌクレオチド」という)」を調製する調製工程が、連結工程の前に含まれていてもよい。
連結工程では、このようにして得られた非パリンドローム突出末端−直鎖状ポリヌクレオチドを、複数個連結(「ライゲーション」)することによって直列反復配列を作製する。非パリンドローム突出末端−直鎖状ポリヌクレオチドは、末端が非パリンドローム突出末端となっているため、非パリンドローム突出末端−直鎖状ポリヌクレオチドをライゲーションすれば、目的遺伝子の転写方向が同一になるように連結されることになる。このことを、図2および3を用いてより具体的に説明する。図2にはIR/MARプラスミドであるIR/MAR-MycLHのベクター構造が示されており、図3にはIR/MAR-MycLHをRsrIIで消化し、この消化産物を複数分子間でライゲーションした様子が示されている。IR/MAR-MycLHは非パリンドローム型制限酵素であるRsrIIの認識配列を1箇所含むベクターである。表1によれば非パリンドローム型制限酵素であるRsrIIは「CG/GWCCG」の塩基配列を認識して、「/」の箇所で切断するため、IR/MAR-MycLHのRsrII消化産物のポリヌクレオチドは、一方の5’末端がGAC-突出となっており、他方の5’末端がGTC-突出となっている(図3を参照のこと)。このIR/MAR-MycLHのRsrII消化産物を複数分子間でライゲーションすれば転写方向が同一となる方向でしか連結することができない。つまり、非パリンドローム突出末端−直鎖状ポリヌクレオチドを分子間でライゲーションすれば、直列反復配列がおのずと形成されるということになる。
本連結工程において、非パリンドローム突出末端−直鎖状ポリヌクレオチドを複数個連結して直列反復配列を作製するが、その連結コピー数は2コピー以上であればよい。ただし、直列反復配列のサイズが大きくなりすぎると宿主の哺乳動物細胞への導入効率が低下するために、その上限は10〜100コピー程度が好ましい場合がある。換言すれば、本連結工程によって作製される直列反復配列のサイズの上限は、宿主の哺乳動物細胞への導入効率の観点から、100kbp〜1000kbp程度が好ましい場合がある。
これに対して、例えばパリンドローム型制限酵素のEcoRIを用いて、あるプラスミドを消化すれば、2本鎖DNAの両方末端がAATT-となる(「パリンドローム末端」という)。よってこのパリンドローム末端の2本鎖DNAを、複数分子間でライゲーションすれば、転写方向が同一となる方向、または転写方向が逆向きになる方向のいずれの方向でも連結することができる。つまり、パリンドローム末端−直鎖状ポリヌクレオチドを分子間でライゲーションすれば、直列反復配列または逆位反復配列が50:50の割合で形成されるということになる。
ライゲーションは、従来公知の方法を用いて実施すればよい。ライゲーションについては各種キットが市販されているため、当該キットを利用し、そのマニュアルにしたがってライゲーションを行えばよい。なお、一般にライゲーション反応において反応液中のポリヌクレオチド濃度が高い(好ましくは20nM以上)と、複数の分子間でのライゲーションがセルフライゲーションに優先して起こることが知られている。よって、本発明の連結工程においては、非パリンドローム突出末端−直鎖状ポリヌクレオチド1分子のセルフライゲーションを少なくし、複数の分子間でライゲーションを多く起こさせるために、ライゲーションの反応液中の非パリンドローム突出末端−直鎖状ポリヌクレオチドの濃度を高く(好ましくは20nM以上)にしておくことが好ましい。
本発明の遺伝子発現方法における「直鎖状ポリヌクレオチド」には、哺乳動物細胞内で機能する複製開始領域、および哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域が含まれていてもよい。つまり、本発明の遺伝子発現方法は、IR/MARプラスミドを用いた高度遺伝子増幅系に好ましく適用される。IR/MARプラスミドについては、背景技術の項で挙げた特許文献および非特許文献が参照され得る。
ここで上記哺乳動物複製開始領域としては、例えばc−myc遺伝子座由来、ジヒドロ葉酸リダクターゼ(DHFR)遺伝子座由来、β-グロビン遺伝子座由来等の複製開始領域が挙げられる。なおc−myc遺伝子座由来の複製開始領域については、参考文献「McWhinney, C. et al., Nucleic Acids Res. vol. 18, p1233-1242 (1990)」を参照のこと。またジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の複製開始領域については、参考文献「Dijkwel, P.A. et al., Mol. Cell. Biol. vol.8, p5398-5409 (1988) 」を参照のこと。またβ−グロビン遺伝子座の複製開始領域については、参考文献「Aladjem, M. et al., Science vol. 281, p1005-1009 (1998) 」を参照のこと。
また上記核マトリックス結合領域としては、例えば、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座等の核マトリックス結合領域に由来するポリヌクレオチドが挙げられる。なお、Igκ遺伝子座の核マトリックス結合領域については、参考文献「Tsutsui, K. et al., J. Biol. Chem. vol. 268, p12886-12894 (1993) 」を参照のこと。またSV40初期領域の核マトリックス結合領域については、参考文献「Pommier, Y. et al., J. Virol., vol 64, p419-423 (1990) 」を参照のこと。またジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域については、参考文献「Shimizu N. et al., Cancer Res. vol. 61, p6987-6990 」を参照のこと。
また本発明の遺伝子発現方法における「直鎖状ポリヌクレオチド」には、大腸菌内でクローニングを行うために必要な配列、薬剤耐性遺伝子(ブラスティサイジン抵抗性遺伝子、ネオマイシン抵抗性遺伝子、ヒグロマイシン抵抗性遺伝子等)または緑色蛍光タンパク質遺伝子等の選択マーカー遺伝子、ヒスチジンタグ等の精製用タグ遺伝子が含まれていてもよい。上記選択マーカーを指標とすることによって、直列反復配列が導入された形質転換哺乳動物細胞を選択できる。すなわち「直鎖状ポリヌクレオチド」に選択マーカー遺伝子が含まれることによって、後述する選択工程が実施され易くなる。また「直鎖状ポリヌクレオチド」に含まれる遺伝子発現カセットが精製用タグを伴って目的遺伝子が発現するようにデザインされている場合には、後述する精製工程が実施され易くなる。
〔2.導入工程〕
本発明の遺伝子発現方法における遺伝子導入工程は、上述の連結工程によって得られた直列反復配列を哺乳動物細胞へ導入する工程である。
上記哺乳動物細胞としては哺乳動物由来の細胞であれば特に限定されるものではなく、哺乳動物から採取された各種培養細胞、例えば各種ヒト大腸がんCOLO 320DM細胞(入手先:例えば、ATCC CCL−220)等の腫瘍細胞や、CHO細胞(入手先:例えば、ATCC CCL−61、RIKEN RCB0285、RIKEN RCB0403等)等の各種細胞が挙げられる。ただし、上記哺乳動物細胞としては、無限増殖能を有する腫瘍細胞が好ましい場合がある。上記腫瘍細胞としては、例えば、HeLa細胞(入手先:例えば、ATCC CCL−2、ATCC CCL−2.2、RIKEN RCB0007、RIKEN RCB0191等)、ヒト大腸がんCOLO 320HSR細胞(入手先:例えば、ATCC CCL−220.1)、NS0細胞(入手先:例えば、RIKEN RCB0213)等が挙げられる。なおヒト大腸がんCOLO 320DM細胞については、参考文献「Shimizu, N.et al. Nat. Genet., 12: 65−71, 1996.」を参照のこと。また、上記CHO細胞は、既に医薬等の有用タンパク質の生産に利用されている細胞であるため、安全性や信頼性の面で優れている。
また直列反復配列の哺乳動物細胞への導入方法は、特に限定されるものではなく、リポフェクション、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法等公知の方法を適宜選択の上、採用すればよい。
〔3.選択工程〕
本発明の遺伝子発現方法には、上記遺伝子導入工程において直列反復配列が導入された形質転換細胞を選択する選択工程が含まれていてもよい。
当該選択工程は、薬剤耐性遺伝子等の選択マーカー遺伝子を利用すれば容易に実施することができる。例えば、上述のごとく「直鎖状ポリヌクレオチド」に薬剤耐性遺伝子(選択マーカー遺伝子)が含まれている場合、その薬剤耐性を利用して形質転換物細胞を選抜すればよい。なお、薬剤耐性を指標として選択工程を行う場合には、遺伝子導入工程後の哺乳動物細胞を薬剤を含む培地で培養すればよい。
なお、本発明の遺伝子増幅方法における選抜工程は、PCR法やサザンブロット法によって、直列反復配列に含まれるヌクレオチド鎖を検出することによっても行われ得る。また上記薬剤耐性を指標とした方法、PCR法を用いた方法、サザンブロット法を用いた方法の具体的な方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が適宜利用され得る。
〔4.発現工程〕
本発明の遺伝子発現方法における「発現工程」は、遺伝子導入工程によって得られた形質転換細胞において目的遺伝子を発現させる工程である。かかる発現工程は、例えば、上記選択工程によって既に選択された哺乳動物細胞(すなわち「形質転換細胞」)を培養することによって実施され得る。形質転換細胞を培養する(必要に応じて所定の操作(転写誘導操作等)を行う)ことによって、目的遺伝子を発現させることができる。本発明の遺伝子発現方法によれば、形質転換細胞は直列反復配列が導入されているため、逆位反復配列に起因する目的遺伝子の発現抑制が起こりにくくなる。それゆえ目的タンパク質を大量に生産することができる。
細胞培養の具体的方法は特に限定されるものではなく、培養する哺乳動物細胞に最適な条件を検討の上、適宜採用すればよい。特に、細胞培養を行う際に用いられる培地に、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤およびDNAメチル化阻害剤のいずれか一つ以上を含ませることが好ましい。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤およびDNAメチル化阻害剤によれば、目的遺伝子の発現量をさらに向上させることが可能であることを本発明者らは既に見出している(特許文献9を参照のこと)。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤はヒストンのアセチル化レベルを上昇させることにより、またDNAメチル化阻害剤はDNAメチル化レベルを低下させることにより、目的遺伝子が受けているエピジェネティックな発現抑制を解除することにより、目的遺伝子を高発現させることができる。
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤およびDNAメチル化阻害剤は、特に限定されるものではないが、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤としては、ブチレート(butyrate)、Trichostatin A(TSA)、MS−275、Oxamflatin、DMSOなどが挙げられ、DNAメチル化阻害剤としては、5-aza-2’-deoxycytidine、5-aza-2’-cytidineなどが挙げられる。上記各阻害剤の培地への添加量については、培養される形質転換細胞の増殖に影響を与えない範囲内で、目的遺伝子の発現量が向上する添加量を検討の上、採用すればよい。
〔5.精製工程〕
本発明の遺伝子発現方法には、上記発現工程によって生産された目的タンパク質を精製する「精製工程」が含まれていてもよい。
本精製工程におけるタンパク質精製の具体的方法としては、例えば、哺乳動物細胞をPBS(Phosphate Buffered Saline)等の緩衝溶液に懸濁した後、ホモジェナイザーまたは超音波等で細胞を破砕し、遠心分離をして上清を回収する。上記緩衝溶液には、タンパク質の可溶化を促進するための界面活性剤や、タンパク質の立体構造を安定化するための還元剤、タンパク質の分解を防止するためのプロテアーゼインヒビターを適宜添加することもできる。上記界面活性剤としては、CHAPS(3−[(3−cholamidopropyl)−dimethylammonio−1−propanesulfonate]、Triton X−100、Nikkol、n―オクチルグリコシド等を利用することができる。また、上記還元剤としては、DTT(dithiothreitol)、DET(dithioerythritol)等を利用することができる。また、上記プロテアーゼインヒビターとしては、アプロチニンや、ロイペプチンを利用することができる。
上記上清から、目的タンパク質をアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ろ過クロマトグラフィー等のカラムクロマトグラフィーを用いて、精製することができる。また、精製されたタンパク質溶液を適当な緩衝液に透析することで不要な塩を除去することもできる。上記のタンパク質の精製工程は、タンパク質の分解を抑えるために低温条件下で行われることが好ましい。特に4℃下で精製工程が行われることが好ましい。なお、上記精製工程の具体的方法は、この限りではなく、公知の方法を適宜利用され得る。
以下実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
〔方法および結果〕
c-Myc抗体タンパク質のL鎖とH鎖の遺伝子発現カセットを挿入したIR/MAR-MycLH ベクター(pΔBM AR1 MCS MycLH (D1):pΔBM AR1 MCSのSwaI部位にMycLH (抗体遺伝子L鎖H鎖発現カセット)をライゲーションで導入後、DHFR IR部分を制限酵素MfeI、KpnI消化で取り出した後、D1 IR部分を In-fusion(クロンテック社製)で導入後、当該ベクターを制限酵素BsmIで切断することによって、当該ベクターに非パリンドローム型制限酵素Rsr IIの認識配列(CG/GWCCG)を含むリンカーDNAを挿入し、pΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドを構築した(図2を参照のこと)。
このpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドを制限酵素Rsr II(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)で消化した。反応条件は制限酵素Rsr II濃度0.5 U/μl、pΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr II濃度0.3 μg/μl、37℃で8時間保温であった。pΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドのRsr II消化産物(以下「直鎖状DNA断片」という)は、GACもしくはGTCの5’突出末端となる(図3を参照のこと)。それゆえ、これをDNAリガーゼで連結すると逆位反復配列は形成されず、直列反復配列のみができる(図3を参照のこと)。
この直鎖状DNA断片を、T4 DNAリガーゼ(TAKARA社製)でライゲーションを行った。反応条件は直鎖状DNA断片濃度 150 nM、T4 DNA リガーゼ濃度 35 U/μl、酵素添付のT4 DNA リガーゼバッファーを混合し、16℃で18時間であった。反応液中の直鎖状DNAの濃度を150 nMとしたのは、セルフラゲーションにより元のpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドに戻ることを防止し、複数の直鎖状DNA間でライゲーションを起こり易くするためである。
直鎖状DNA断片のライゲーション結果を図4に示す。図4はアガロースゲル電気泳動像であり、図4中の「M」はサイズマーカー、「SC」は閉環スーパーコイルのpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミド、「LIN」は直鎖状DNA断片、「LIG」は直鎖状DNA断片のライゲーション産物をアガロース電気泳動した結果を示す。図4から、直鎖状DNA断片のライゲーション産物(LIG)の移動度は、直鎖状DNA断片(LIN)と比較して極めて小さくなっていた。しかも直鎖状DNA断片のライゲーション産物(LIG)の大部分は、スメア状に泳動されていただけでなく、その一部はウエルからゲルに侵入できない状態であった。以上のことから、直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)は高分子構造をとっており、試験管内で巨大な直列反復配列を形成していると考えられる。
次に、直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)、または閉環状スーパーコイル(SC)のpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドを、COLO 320DM♯3細胞(入手先:ATCC CCL-220)またはCHO-DG44細胞(コロンビア大学のLawrence Chasin博士より入手)にリポフェクション法により導入し、濃度100μg/ml のブラストサイジンによる薬剤選択条件下でCOLO 320DM♯3細胞は約1ヶ月間、CHO-DG44細胞は約2ヶ月間培養することにより、安定形質転換体のポリクローン集団を得た。このポリクローン集団から***中期染色体標本を作製し、導入したプラスミドを特異的に認識するプローブを用いて遺伝子増幅構造をFISH (Fluorescence in situ hybridization) 法で解析を行った。
その結果を図5〜8に示す。図5は直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)が導入されたCOLO 320DM♯3株のポリクローン集団をFISH法で観察した結果を示す。図6は直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)または閉環状スーパーコイル(SC)のpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドが導入されたCOLO 320DM♯3株のポリクローン集団において形成された各遺伝子増幅構造(DM、点状シグナル、小HSR、大HSR、ラダー状HSR)の形成頻度を示すグラフである。
また図7は直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)が導入されたCHO-DG44株のポリクローン集団をFISH法で観察した結果を示す。図8は直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)または閉環状スーパーコイル(SC)のpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドが導入されたCHO-DG44株のポリクローン集団において形成された各遺伝子増幅構造(DM、点状シグナル、小HSR、大HSR、ラダー状HSR)の形成頻度を示すグラフである。
その結果、COLO 320DM♯3株に、試験管内で連結した直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)を導入すると、閉環状スーパーコイル(SC)の場合と比べて巨大なHSRと、一本の染色体の端から端まで広がるような、非常に長大なラダー状のHSRの割合が顕著に増加する一方、DMの形成頻度は著しく減少した(図5および6を参照のこと)。具体的には、COLO 320DM♯3株に、試験管内で連結した直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)を導入した場合の各増幅構造の形成頻度は、DM 0%、点状シグナル 0%、小HSR 8%、大HSR 68%、ラダー状HSR 20%であった。COLO 320DM♯3株に、閉環状スーパーコイル(SC)のpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドを導入した場合の各増幅構造は、DM 20%、点状シグナル 30%、小HSR 25%、大HSR 0%、ラダー状HSR 0%であった。
また、CHO-DG44株に、試験管内で連結した直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)を導入すると、COLO 320DM♯3株の場合と同様に、ラダー状のHSRの形成頻度が顕著に増加した(図7および8を参照のこと)。具体的には、CHO-DG44株に、試験管内で連結した直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)を導入した場合の各増幅構造の形成頻度は、点状シグナル 12%、小HSR 18%、大HSR 3%、ラダー状HSR 67%であった。CHO-DG44株に、閉環状スーパーコイル(SC)のpΔBM AR1 MCS MycLH (D1) Rsr IIプラスミドを導入した場合の各増幅構造の形成頻度は、点状シグナル 48%、小HSR 21%、大HSR 0%、ラダー状HSR 7%であった。なおラダー状のHSRは一般的に遺伝子の発現量が高いことが知られている。
次に、トランスフェクションから2.5ヶ月間培養したCHO-DG44株の細胞集団について、ELISA (Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay) 法でc-Myc抗体タンパク質の発現量を定量した。
その結果を図9に示す。図9によれば直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)が導入されたポリクローン集団のc-Myc抗体タンパク質の生産量は664ng/mlであり、閉環状スーパーコイル(SC)が導入されたポリクローン集団のc-Myc抗体タンパク質の生産量は162ng/mlであった。つまり前者は後者よりもc-Myc抗体タンパク質の生産量が4.1倍高いということが分かった。また、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるブチレート存在下ではc-Myc抗体タンパク質の生産量は顕著に増加し、直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)が導入されたポリクローン集団の場合、c-Myc抗体タンパク質の生産量は1557ng/mlとなり、ブチレート非存在化の2.3倍となった。また、閉環状スーパーコイル(SC)が導入されたポリクローン集団の場合は、c-Myc抗体タンパク質の生産量は298ng/mlとなり、ブチレート非存在化の1.8倍となった。
以上の結果により、直列反復配列である直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)を哺乳動物細胞に導入することにより、タンパク質の発現量を顕著に増加させることが可能となるということが示された。またヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるブチレート存在下で細胞培養を行うことによって、タンパク質の発現量をさらに顕著に増加させることができるということが確認された。
なお、直列反復配列である直鎖状DNAのライゲーション産物(LIG)を哺乳動物細胞に導入することにより、ラダー状のHSRの形成頻度が顕著に増加するということは発明者も予想できず、これはまさに当業者が予想し得ない結果であったといえる。
上記説示したように、本発明によれば、従来公知の遺伝子増幅法において生じる逆位反復配列に起因する目的遺伝子の発現抑制が起こりにくくし、目的遺伝子を高発現させることが可能となった。それゆえ、目的タンパク質(例えば、医薬として有用タンパク質)を従来法よりも大量に生産することが可能になるという効果を奏する。
したがって本発明は、タンパク質の生産を伴う産業、例えば、医薬品、化学、食品、化粧品、繊維等種々広範な産業において利用可能である。
10、20 ポリヌクレオチド
11、22 遺伝子増幅構造
21 直列反復配列

Claims (7)

  1. 哺乳動物細胞において目的遺伝子を発現させる方法であって、
    プロモーターに制御可能に連結された目的遺伝子を含む遺伝子発現カセットを含み、且つ両末端が非パリンドローム突出末端となっている直鎖状のポリヌクレオチドを複数個連結することによって直列反復配列を作製する連結工程;
    当該連結工程によって得られた直列反復配列を哺乳動物細胞へ導入する遺伝子導入工程;
    当該遺伝子導入工程によって得られた形質転換細胞において目的遺伝子を発現させる発現工程を含むことを特徴とする遺伝子発現方法。
  2. 上記直鎖状のポリヌクレオチドは、遺伝子発現カセット、および当該遺伝子発現カセットの領域外に非パリンドローム型制限酵素認識配列を含む環状ポリヌクレオチドを、当該非パリンドローム型制限酵素認識配列を認識して切断する非パリンドローム型制限酵素で消化して得られたものである、請求項1に記載の遺伝子発現方法。
  3. 上記環状ポリヌクレオチドは、遺伝子発現カセットを含む環状ポリヌクレオチドに対して、遺伝子発現カセットの領域外に非パリンドローム型制限酵素認識配列が1つ含まれるように非パリンドローム型制限酵素認識配列が導入されてなる、請求項2に記載の遺伝子発現方法。
  4. 上記直鎖状のポリヌクレオチドは、さらに選択マーカー遺伝子を含み、
    上記遺伝子導入工程の後に形質転換細胞を選択する選択工程を含む、請求項1ないし3にいずれか1項に記載の遺伝子発現方法。
  5. 上記直鎖状のポリヌクレオチドは、哺乳動物細胞内で機能する哺乳動物複製開始領域と、哺乳動物細胞内で機能する核マトリックス結合領域とをさらに含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の遺伝子発現方法。
  6. 上記哺乳動物複製開始領域は、c−myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、およびβ−グロビン遺伝子座のいずれか1つに由来する、請求項5に記載の遺伝子発現方法。
  7. 上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、およびジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座のいずれか1つに由来する、請求項5または6に記載の遺伝子発現方法。
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