JPWO2004031009A1 - 車両用緊急制動装置 - Google Patents
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Abstract
第2の制動手段を緊急事態に的確に作動させることができる車両用緊急制動装置を提供するために、路面との摩擦抵抗を上昇させて車両Aを制動する第2の制動手段1と、進行方向の障害物を検出するミリ波レーダ2と、第1の制動手段を作動させるブレーキペダル4の踏み込みスピードを検出するペダルスピードセンサ5と、第2の制動手段1を作動させるコントローラ6とを設け、ペダルスピードセンサ5で第1の制動手段による急制動を検出したときに、レーダ2で検出された障害物に車両Aが衝突するか否かをコントローラ6で判断し、衝突すると判断したときに、第2の制動手段1を作動させることにより、第2の制動手段1を緊急事態に的確に作動させることができるようにした。
Description
本発明は、車両の衝突を緊急に回避するための車両用緊急制動装置に関するものである。
車両が凍結路、濡れた舗装路、砂が介在する乾いた舗装路等の摩擦係数が低い路面を走行するときは、路面に対するタイヤのグリップ力が低下し、車輪がスリップしやすくなる。このため、従来から車両に搭載されている車輪の回転を制動するブレーキ装置(第1の制動手段)では、急制動を作動させても制動距離が著しく長くなり、低高速を問わず、車両が障害物に衝突することがある。
このような低摩擦係数の路面では、車輪毎にスリップ度合いが不均一となりやすいので、車両の走行が不安定となり、車両が斜め方向の障害物に衝突することもある。車両を安定走行させる手段としては、車輪毎にスリップ度合いを検出して、各車輪の制動力を制御するABS(Antilock Brake System)、ヨーレートセンサや横加速度センサで車両のステアリング傾向を検出して、エンジン出力や車輪の制動力を制御するVSC(Vehicle Stability Control)等の装置が実用化されているが、これらの装置が有効に作用するためには、タイヤのグリップ力がある程度残っていることが前提となる。
上述したような低摩擦係数の路面での車両の衝突を防止するために、従来のブレーキ装置とは別に、路面との摩擦抵抗を上昇させて、車両を短い距離で制動する第2の制動手段を搭載することが提案されている。この第2の制動手段としては、砂や氷粒等のスリップ防止材をタイヤと路面との間に散布するもの(例えば、特許文献1乃至3参照。)、タイヤ表面に液状接着剤を塗布してスリップ防止材をタイヤに付着させるもの(例えば、特許文献4参照。)、タイヤに冷気を吹き付けて凍結路の解凍を防止するもの(例えば、特許文献5参照。)、路面に制動板や歯付き制動輪を押圧するもの(例えば、特許文献6乃至8参照。)、気体バッグを車両の外方に膨出させて路面への車両の押し付け力を増加させるもの(例えば、特許文献9参照。)等がある。
(特許文献1;特開平4−38204号公報、特許文献2;特開平7−309101号公報、特許文献3;特開平8−25905号公報、特許文献4;特開昭63−2706号公報、特許文献5;特開昭50−100703号公報、特許文献6;特開昭49−2228号公報、特許文献7;特開昭54−122528号公報、特許文献8;特開平8−40222号公報、特許文献9;特開平6−286586号公報。)
このような低摩擦係数の路面では、車輪毎にスリップ度合いが不均一となりやすいので、車両の走行が不安定となり、車両が斜め方向の障害物に衝突することもある。車両を安定走行させる手段としては、車輪毎にスリップ度合いを検出して、各車輪の制動力を制御するABS(Antilock Brake System)、ヨーレートセンサや横加速度センサで車両のステアリング傾向を検出して、エンジン出力や車輪の制動力を制御するVSC(Vehicle Stability Control)等の装置が実用化されているが、これらの装置が有効に作用するためには、タイヤのグリップ力がある程度残っていることが前提となる。
上述したような低摩擦係数の路面での車両の衝突を防止するために、従来のブレーキ装置とは別に、路面との摩擦抵抗を上昇させて、車両を短い距離で制動する第2の制動手段を搭載することが提案されている。この第2の制動手段としては、砂や氷粒等のスリップ防止材をタイヤと路面との間に散布するもの(例えば、特許文献1乃至3参照。)、タイヤ表面に液状接着剤を塗布してスリップ防止材をタイヤに付着させるもの(例えば、特許文献4参照。)、タイヤに冷気を吹き付けて凍結路の解凍を防止するもの(例えば、特許文献5参照。)、路面に制動板や歯付き制動輪を押圧するもの(例えば、特許文献6乃至8参照。)、気体バッグを車両の外方に膨出させて路面への車両の押し付け力を増加させるもの(例えば、特許文献9参照。)等がある。
(特許文献1;特開平4−38204号公報、特許文献2;特開平7−309101号公報、特許文献3;特開平8−25905号公報、特許文献4;特開昭63−2706号公報、特許文献5;特開昭50−100703号公報、特許文献6;特開昭49−2228号公報、特許文献7;特開昭54−122528号公報、特許文献8;特開平8−40222号公報、特許文献9;特開平6−286586号公報。)
上述した第2の制動手段は、一度作動させると復旧に手間がかかるか、復旧が困難なものが多いので、不必要な作動を避け、本当に作動が必要な緊急事態のみに作動させることが望まれる。
そこで、本発明の課題は、第2の制動手段を緊急事態に的確に作動させることができる車両用緊急制動装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の車両用緊急制動装置は、車輪の回転を制動する第1の制動手段と、路面との摩擦抵抗を上昇させて車両を制動する第2の制動手段と進行方向の障害物を検出する障害物検出手段と、この障害物検出手段で検出された障害物に車両が衝突するか否かを判断する衝突判断手段とを備え、この衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、前記第2の制動手段を作動させる構成を採用した。
前記障害物検出手段としては、レーザ、可視光、赤外線、ミリ波、電波、磁気等の電磁波や超音波等の弾性波の障害物からの反射波、または障害物自体が発するものをセンサ、レーダ、TVカメラ等で検出する方法、また、これらの電磁波や弾性波の発射波をビーコンとする方法や、入射波をステレオ視したり画像処理したりする方法、さらに、GPS(Global Positioning System)やVICS(Vehicle Information Communication System)を利用する方法等を採用することができる。
前記衝突判断手段としては、前記障害物検出手段で検出された障害物と車両との距離と、車両の速度および加減速度から、車両が障害物に衝突するか否かを演算する方法を採用することができる。
前記第1の制動手段による急制動の作動、または運転者の急制動に対する作動要求を検出する急制動検出手段を設け、この急制動検出手段で前記急制動の作動または作動要求が検出されたときに、前記衝突判断手段により車両が衝突するか否かを判断することにより、第2の制動手段をより的確に緊急事態に作動させることができる。
前記第1の制動手段により運転者が行う急制動を自動的に増力する急制動増力手段を設け、前記衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、前記急制動増力手段を作動させて、それでも衝突すると判断されたときに、前記第2の制動手段を作動させることにより、急制動増力手段を活用して、第2の制動手段の作動が必要な事態を減らすことができる。
前記第2の制動手段を複数の異なるタイプのもので構成し、前記路面の状態を検出する路面状態検出手段を設け、この路面状態検出手段で検出された路面状態に応じて、前記第2の制動手段を複数の異なるタイプのものから選択することにより、路面状態に応じて、より効果的なタイプの第2の制動手段を作動させることができる。
すなわち、例えば、タイヤと路面間に砂を散布するタイプの第2の制動手段は、凍結路には有効であるが、砂の介在する乾いた舗装路では、むしろ車輪のスリップを助長する。したがって、複数の異なるタイプの第2の制動手段を搭載して、これらを使い分けることにより、多様な路面状態に対応して、第2の制動手段を有効に作動させることができる。
前記路面状態検出手段としては、特開平7−112659号公報や特開2002−120709号公報に記載されたもののように、各車輪のスリップ値の総和と車体加速度との関係や、路面外乱から車輪速までの伝達特性の周波数応答から、間接的に路面状態を推定する方法や、TVカメラ等により路面状態を直接観察する方法を採用することができる。
前記第2の制動手段が作動されたのち、前記第1の制動手段による急制動の作動がなく、かつ、前記衝突判断手段により車両の障害物への衝突が回避されると判断されたとき、または、車両が停止と判断されたときに、前記第2の制動手段の作動を停止することにより、第2の制動手段作動時における砂や氷粒等のスリップ防止材やタイヤへの吹き付け冷気等の余分な使用を節約することができる。
前記第2の制動手段を作動させるときに警告音を発することにより、運転者や同乗者に第2の制動手段作動時の衝撃等に対する心構えをさせることができる。発した警告音は、車両の衝突回避が判断されたとき、または、第2の制動手段の作動が停止されたときに止めるとよい。
本発明の車両用緊急制動装置は、車輪の回転を制動する第1の制動手段と、路面との摩擦抵抗を上昇させて車両を制動する第2の制動手段と、進行方向の障害物を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段で検出された障害物に車両が衝突するか否かを判断する衝突判断手段とを備え、衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、第2の制動手段を作動させるようにしたので、第2の制動手段を緊急事態に的確に作動させ、復旧に手間がかかる第2の制動手段の不必要な作動を避けることができる。
前記第1の制動手段による急制動の作動、または運転者の急制動に対する作動要求を検出する急制動検出手段を設け、この急制動検出手段で急制動の作動または作動要求が検出されたときに、前記衝突判断手段により車両が衝突するか否かを判断することにより、第2の制動手段をより的確に緊急事態に作動させることができる。
前記第1の制動手段により運転者が行う急制動を自動的に増力する急制動増力手段を設け、前記衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、急制動増力手段を作動させて、それでも衝突すると判断されたときに、第2の制動手段を作動させることにより、急制動増力手段を活用して、第2の制動手段の作動が必要な事態を減らすことができる。
前記第2の制動手段を複数の異なるタイプのもので構成し、路面の状態を検出する路面状態検出手段を設け、この路面状態検出手段で検出された路面状態に応じて、第2の制動手段を複数の異なるタイプのものから選択することにより、路面状態に応じて、より効果的なタイプの第2の制動手段を作動させることができる。
前記第2の制動手段が作動されたのち、第1の制動手段による急制動の作動がなく、かつ、前記衝突判断手段により車両の障害物への衝突が回避されると判断されたとき、または、車両が停止と判断されたときに、第2の制動手段の作動を停止することにより、第2の制動手段作動時における砂や氷粒等のスリップ防止材やタイヤへの吹き付け冷気等の余分な使用を節約することができる。
前記第2の制動手段を作動させるときに警告音を発することにより、運転者や同乗者に第2の制動手段作動時の衝撃等に対する心構えをさせることができる。
そこで、本発明の課題は、第2の制動手段を緊急事態に的確に作動させることができる車両用緊急制動装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の車両用緊急制動装置は、車輪の回転を制動する第1の制動手段と、路面との摩擦抵抗を上昇させて車両を制動する第2の制動手段と進行方向の障害物を検出する障害物検出手段と、この障害物検出手段で検出された障害物に車両が衝突するか否かを判断する衝突判断手段とを備え、この衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、前記第2の制動手段を作動させる構成を採用した。
前記障害物検出手段としては、レーザ、可視光、赤外線、ミリ波、電波、磁気等の電磁波や超音波等の弾性波の障害物からの反射波、または障害物自体が発するものをセンサ、レーダ、TVカメラ等で検出する方法、また、これらの電磁波や弾性波の発射波をビーコンとする方法や、入射波をステレオ視したり画像処理したりする方法、さらに、GPS(Global Positioning System)やVICS(Vehicle Information Communication System)を利用する方法等を採用することができる。
前記衝突判断手段としては、前記障害物検出手段で検出された障害物と車両との距離と、車両の速度および加減速度から、車両が障害物に衝突するか否かを演算する方法を採用することができる。
前記第1の制動手段による急制動の作動、または運転者の急制動に対する作動要求を検出する急制動検出手段を設け、この急制動検出手段で前記急制動の作動または作動要求が検出されたときに、前記衝突判断手段により車両が衝突するか否かを判断することにより、第2の制動手段をより的確に緊急事態に作動させることができる。
前記第1の制動手段により運転者が行う急制動を自動的に増力する急制動増力手段を設け、前記衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、前記急制動増力手段を作動させて、それでも衝突すると判断されたときに、前記第2の制動手段を作動させることにより、急制動増力手段を活用して、第2の制動手段の作動が必要な事態を減らすことができる。
前記第2の制動手段を複数の異なるタイプのもので構成し、前記路面の状態を検出する路面状態検出手段を設け、この路面状態検出手段で検出された路面状態に応じて、前記第2の制動手段を複数の異なるタイプのものから選択することにより、路面状態に応じて、より効果的なタイプの第2の制動手段を作動させることができる。
すなわち、例えば、タイヤと路面間に砂を散布するタイプの第2の制動手段は、凍結路には有効であるが、砂の介在する乾いた舗装路では、むしろ車輪のスリップを助長する。したがって、複数の異なるタイプの第2の制動手段を搭載して、これらを使い分けることにより、多様な路面状態に対応して、第2の制動手段を有効に作動させることができる。
前記路面状態検出手段としては、特開平7−112659号公報や特開2002−120709号公報に記載されたもののように、各車輪のスリップ値の総和と車体加速度との関係や、路面外乱から車輪速までの伝達特性の周波数応答から、間接的に路面状態を推定する方法や、TVカメラ等により路面状態を直接観察する方法を採用することができる。
前記第2の制動手段が作動されたのち、前記第1の制動手段による急制動の作動がなく、かつ、前記衝突判断手段により車両の障害物への衝突が回避されると判断されたとき、または、車両が停止と判断されたときに、前記第2の制動手段の作動を停止することにより、第2の制動手段作動時における砂や氷粒等のスリップ防止材やタイヤへの吹き付け冷気等の余分な使用を節約することができる。
前記第2の制動手段を作動させるときに警告音を発することにより、運転者や同乗者に第2の制動手段作動時の衝撃等に対する心構えをさせることができる。発した警告音は、車両の衝突回避が判断されたとき、または、第2の制動手段の作動が停止されたときに止めるとよい。
本発明の車両用緊急制動装置は、車輪の回転を制動する第1の制動手段と、路面との摩擦抵抗を上昇させて車両を制動する第2の制動手段と、進行方向の障害物を検出する障害物検出手段と、障害物検出手段で検出された障害物に車両が衝突するか否かを判断する衝突判断手段とを備え、衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、第2の制動手段を作動させるようにしたので、第2の制動手段を緊急事態に的確に作動させ、復旧に手間がかかる第2の制動手段の不必要な作動を避けることができる。
前記第1の制動手段による急制動の作動、または運転者の急制動に対する作動要求を検出する急制動検出手段を設け、この急制動検出手段で急制動の作動または作動要求が検出されたときに、前記衝突判断手段により車両が衝突するか否かを判断することにより、第2の制動手段をより的確に緊急事態に作動させることができる。
前記第1の制動手段により運転者が行う急制動を自動的に増力する急制動増力手段を設け、前記衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、急制動増力手段を作動させて、それでも衝突すると判断されたときに、第2の制動手段を作動させることにより、急制動増力手段を活用して、第2の制動手段の作動が必要な事態を減らすことができる。
前記第2の制動手段を複数の異なるタイプのもので構成し、路面の状態を検出する路面状態検出手段を設け、この路面状態検出手段で検出された路面状態に応じて、第2の制動手段を複数の異なるタイプのものから選択することにより、路面状態に応じて、より効果的なタイプの第2の制動手段を作動させることができる。
前記第2の制動手段が作動されたのち、第1の制動手段による急制動の作動がなく、かつ、前記衝突判断手段により車両の障害物への衝突が回避されると判断されたとき、または、車両が停止と判断されたときに、第2の制動手段の作動を停止することにより、第2の制動手段作動時における砂や氷粒等のスリップ防止材やタイヤへの吹き付け冷気等の余分な使用を節約することができる。
前記第2の制動手段を作動させるときに警告音を発することにより、運転者や同乗者に第2の制動手段作動時の衝撃等に対する心構えをさせることができる。
図1は第1の実施形態の車両用緊急制動装置を搭載した車両の模式的な構成図、図2は図1の第2の制動手段を示す模式的構成図、図3は図1の車両用緊急制動装置を作動させるアルゴリズムを示すフローチャート、図4は第2の実施形態の車両用緊急制動装置を搭載した車両の模式的な構成図、図5は図4の車両用緊急制動装置を作動させるアルゴリズムを示すフローチャート、図6は第3の実施形態の車両用緊急制動装置を作動させるアルゴリズムを示すフローチャートである。
以下、図1乃至図6に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1乃至図3は、第1の実施形態を示す。この車両用緊急制動装置は、図1に示すように、タイヤと路面間にスリップ防止材を散布して路面との摩擦抵抗を上昇させる第2の制動手段1と、車両Aの前方の障害物を検出するミリ波を用いたレーダ2と、各車輪3の回転を制動する第1の制動手段(図示省略)を作動させるブレーキペダル4の踏み込みスピードを検出するペダルスピードセンサ5と、第1の制動手段による急制動が作動したときに、レーダ2で検出された障害物に車両Aが衝突するか否かを判断し、衝突すると判断したときに第2の制動手段1を作動させるコントローラ6とで構成されている。
前記コントローラ6には、レーダ2で検出される障害物までの距離Lと、ペダルスピードセンサ5で検出されるブレーペダル4の踏み込みスピードSが入力されており、第1の制動手段の急制動の判定基準とする踏み込みスピードSの閾値STが予め設定されている。また、図示は省略するが、車体速センサで検出される車体速度Vと、車体加速度センサ18で検出される車体加速度αもコントローラ6に入力されるようになっている。
図2に示すように、第2の制動手段1は、ポンプ7で気体をアキュムレータ8に蓄圧し、蓄圧した気体を2つの電磁弁9、10を介して、スリップ防止材が収納された散布材容器11に供給し、コントローラ6からの指令により各電磁弁9、10を開けて、スリップ防止材を車輪3の前方に配置されたノズル12から散布するものである。電磁弁10とノズル12との間に設けられた気体配管のバイパス経路13は、ノズル12から気体のみを噴射させて、ノズル12の目詰まり等がなく、第2の制動手段1が正常に作動することを確認するためのテスト用に設けられている。なお、図示は省略するが、各電磁弁9、10、散布材容器11およびノズル12は、各車輪3毎に設けられている。これらは、制動効果の大きい前輪側のみに設けてもよい。
図3は、上述した車両用緊急制動装置を作動させるコントローラ6のアルゴリズムを示すフローチャートである。まず、コントローラ6は、ペダルスピードセンサ5から刻々入力される踏み込みスピードSと、予め設定された閾値STとを比較し(ステップ1)、踏み込みスピードSが閾値STを超えたときは、さらに、レーダ2上での障害物の有無をチェックし(ステップ2)、障害物が有のときは、車体速センサと車体加速度センサ18から入力される車体速度Vと車体加速度(減速度)αから、第1の制動手段による制動距離LBを、次式で算出する(ステップ3)。
LB= V2/(2α) (1)
なお、(1)式は、急制動による減速を一定の減速度αとして制動距離LBを算出したものである。第1の制動手段による制動特性を予め把握しておき、この制動特性に基づいて、(1)式で算出される制動距離LBを補正するようにしてもよい。
つぎに、算出された制動距離LBを、レーダ2で検出された障害物までの距離Lと比較し(ステップ4)、制動距離LBが障害物までの距離L以上となったときは、車両が障害物に衝突すると判断して各電磁弁9、10を開け、第2の制動手段1を作動させる(ステップ5)。
この実施形態では、第1の制動手段による急制動の作動を、第2の制動手段1を作動させる必要条件としたが、運転者の急制動の作動要求を必要条件とするときは、減速が未だ開始されていないことがあるので、制動距離LBを予測できない場合がある。このような場合は、例えば、急制動の作動要求を検出するセンサの出力が所定の閾値を超えたときに、無条件に障害物に衝突すると判断して、第2の制動手段1のみを作動させることが好ましい。この判断に、障害物までの距離Lや車体速度V等を加味するようにしてもよい。
図4および図5は、第2の実施形態を示す。この車両用緊急制動装置は、図4に示すように、第1の実施形態のものに加えて、シリンダ14で制動板15を路面に押圧する第2の制動手段16と、車両Aの前方の路面状態を観察するTVカメラ17とを設け、TVカメラ17で観察される路面状態に応じて、前記スリップ防止材を散布する第2の制動手段1と、制動板15を押圧する第2の制動手段16とを、コントローラ6で選択的に作動させるようにしたものである。
前記コントローラ6は、TVカメラ17が撮像する路面画像から、路面が凍結しているか、濡れているか、または乾いているかを判定するようになっている。なお、路面状態は、前述したように、各車輪のスリップ値の総和と車体加速度との関係や、路面外乱から車輪速までの伝達特性の周波数応答等から、間接的に推定してもよい。
図5は、上述した車両用緊急制動装置を作動させるコントローラ6のアルゴリズムを示すフローチャートである。第1の実施形態のものと同様に、まず、コントローラ6は、刻々入力される踏み込みスピードSと閾値STとを比較し(ステップ1)、踏み込みスピードSが閾値STを超えたときは、さらに、レーダ2上での障害物の有無をチェックし(ステップ2)、障害物が有のときは、車体速度Vと車体加速度(減速度)αから、第1の制動手段による制動距離LBを、(1)式で算出して(ステップ3)、算出された制動距離LBを障害物までの距離Lと比較する(ステップ4)。
制動距離LBが障害物までの距離L以上となったときは、TVカメラ17で撮像された路面が乾いたものか、その他のものかを判定し(ステップ5)、路面が乾いていると判定したときは、制動板15を押圧する第2の制動手段16を作動させ(ステップ6)、その他のときは、スリップ防止材を散布する第2の制動手段1を作動させる(ステップ7)。
第3の実施形態の車両用緊急制動装置は、図示は省略するが、図1に示した第1の実施形態のもののコントローラ6に、ペダルスピードセンサ5の出力に基づいて、第1の制動手段により運転者が行う急制動を自動的に増力する急制動増力手段としてのブレーキアシストシステムを組み込み、(1)式で算出される制動距離LBがレーダ2で検出された障害物までの距離L以上となったときに、先ずブレーキアシストシステムを作動させ、それでも車両Aが障害物に衝突すると判断されたときに、第2の制動手段1を作動させるようにしたものである。
図6は、上記第3の実施形態の車両用緊急制動装置を作動させるコントローラ6のアルゴリズムを示すフローチャートである。このフローチャートは、図3に示した第1の実施形態のものにおけるステップ1が省略され、ステップ4からステップ5へのYES経路に、ブレーキアシストシステムを作動させるステップ41、ブレーキアシストシステムによる制動距離LB1を算出するステップ42、およびこの制動距離LB1をレーダ2で検出された障害物までの距離Lと比較するステップ43が設けられて、制動距離LB1が障害物までの距離L以上となったときに、第2の制動手段1を作動させるようになっている。
上記ブレーキアシストシステムのような急制動増力手段を設ける場合は、図3に示した第1の実施形態のフローチャートにおけるステップ1からステップ2へのYES経路に、急制動増力手段を作動させるステップを設けて、第1の制動手段の増力した急制動による制動距離LBを算出し、これを障害物までの距離Lと比較して、車両の衝突判断をするようにしてもよい。
上述した各実施形態では、障害物検出手段としてミリ波のレーダを、第1の制動手段の急制動検出手段としてブレーキペダルのペダルスピードセンサを採用したが、これらの障害物検出手段および急制動検出手段は、いずれも実施形態のものに限定されることはなく、それぞれ前述したような様々な方法を採用することができる。また、第2の制動手段についても、路面との摩擦抵抗を上昇させることができるものであればよく、前述したような様々な手段を採用することができる。
前記コントローラ6には、レーダ2で検出される障害物までの距離Lと、ペダルスピードセンサ5で検出されるブレーペダル4の踏み込みスピードSが入力されており、第1の制動手段の急制動の判定基準とする踏み込みスピードSの閾値STが予め設定されている。また、図示は省略するが、車体速センサで検出される車体速度Vと、車体加速度センサ18で検出される車体加速度αもコントローラ6に入力されるようになっている。
図2に示すように、第2の制動手段1は、ポンプ7で気体をアキュムレータ8に蓄圧し、蓄圧した気体を2つの電磁弁9、10を介して、スリップ防止材が収納された散布材容器11に供給し、コントローラ6からの指令により各電磁弁9、10を開けて、スリップ防止材を車輪3の前方に配置されたノズル12から散布するものである。電磁弁10とノズル12との間に設けられた気体配管のバイパス経路13は、ノズル12から気体のみを噴射させて、ノズル12の目詰まり等がなく、第2の制動手段1が正常に作動することを確認するためのテスト用に設けられている。なお、図示は省略するが、各電磁弁9、10、散布材容器11およびノズル12は、各車輪3毎に設けられている。これらは、制動効果の大きい前輪側のみに設けてもよい。
図3は、上述した車両用緊急制動装置を作動させるコントローラ6のアルゴリズムを示すフローチャートである。まず、コントローラ6は、ペダルスピードセンサ5から刻々入力される踏み込みスピードSと、予め設定された閾値STとを比較し(ステップ1)、踏み込みスピードSが閾値STを超えたときは、さらに、レーダ2上での障害物の有無をチェックし(ステップ2)、障害物が有のときは、車体速センサと車体加速度センサ18から入力される車体速度Vと車体加速度(減速度)αから、第1の制動手段による制動距離LBを、次式で算出する(ステップ3)。
LB= V2/(2α) (1)
なお、(1)式は、急制動による減速を一定の減速度αとして制動距離LBを算出したものである。第1の制動手段による制動特性を予め把握しておき、この制動特性に基づいて、(1)式で算出される制動距離LBを補正するようにしてもよい。
つぎに、算出された制動距離LBを、レーダ2で検出された障害物までの距離Lと比較し(ステップ4)、制動距離LBが障害物までの距離L以上となったときは、車両が障害物に衝突すると判断して各電磁弁9、10を開け、第2の制動手段1を作動させる(ステップ5)。
この実施形態では、第1の制動手段による急制動の作動を、第2の制動手段1を作動させる必要条件としたが、運転者の急制動の作動要求を必要条件とするときは、減速が未だ開始されていないことがあるので、制動距離LBを予測できない場合がある。このような場合は、例えば、急制動の作動要求を検出するセンサの出力が所定の閾値を超えたときに、無条件に障害物に衝突すると判断して、第2の制動手段1のみを作動させることが好ましい。この判断に、障害物までの距離Lや車体速度V等を加味するようにしてもよい。
図4および図5は、第2の実施形態を示す。この車両用緊急制動装置は、図4に示すように、第1の実施形態のものに加えて、シリンダ14で制動板15を路面に押圧する第2の制動手段16と、車両Aの前方の路面状態を観察するTVカメラ17とを設け、TVカメラ17で観察される路面状態に応じて、前記スリップ防止材を散布する第2の制動手段1と、制動板15を押圧する第2の制動手段16とを、コントローラ6で選択的に作動させるようにしたものである。
前記コントローラ6は、TVカメラ17が撮像する路面画像から、路面が凍結しているか、濡れているか、または乾いているかを判定するようになっている。なお、路面状態は、前述したように、各車輪のスリップ値の総和と車体加速度との関係や、路面外乱から車輪速までの伝達特性の周波数応答等から、間接的に推定してもよい。
図5は、上述した車両用緊急制動装置を作動させるコントローラ6のアルゴリズムを示すフローチャートである。第1の実施形態のものと同様に、まず、コントローラ6は、刻々入力される踏み込みスピードSと閾値STとを比較し(ステップ1)、踏み込みスピードSが閾値STを超えたときは、さらに、レーダ2上での障害物の有無をチェックし(ステップ2)、障害物が有のときは、車体速度Vと車体加速度(減速度)αから、第1の制動手段による制動距離LBを、(1)式で算出して(ステップ3)、算出された制動距離LBを障害物までの距離Lと比較する(ステップ4)。
制動距離LBが障害物までの距離L以上となったときは、TVカメラ17で撮像された路面が乾いたものか、その他のものかを判定し(ステップ5)、路面が乾いていると判定したときは、制動板15を押圧する第2の制動手段16を作動させ(ステップ6)、その他のときは、スリップ防止材を散布する第2の制動手段1を作動させる(ステップ7)。
第3の実施形態の車両用緊急制動装置は、図示は省略するが、図1に示した第1の実施形態のもののコントローラ6に、ペダルスピードセンサ5の出力に基づいて、第1の制動手段により運転者が行う急制動を自動的に増力する急制動増力手段としてのブレーキアシストシステムを組み込み、(1)式で算出される制動距離LBがレーダ2で検出された障害物までの距離L以上となったときに、先ずブレーキアシストシステムを作動させ、それでも車両Aが障害物に衝突すると判断されたときに、第2の制動手段1を作動させるようにしたものである。
図6は、上記第3の実施形態の車両用緊急制動装置を作動させるコントローラ6のアルゴリズムを示すフローチャートである。このフローチャートは、図3に示した第1の実施形態のものにおけるステップ1が省略され、ステップ4からステップ5へのYES経路に、ブレーキアシストシステムを作動させるステップ41、ブレーキアシストシステムによる制動距離LB1を算出するステップ42、およびこの制動距離LB1をレーダ2で検出された障害物までの距離Lと比較するステップ43が設けられて、制動距離LB1が障害物までの距離L以上となったときに、第2の制動手段1を作動させるようになっている。
上記ブレーキアシストシステムのような急制動増力手段を設ける場合は、図3に示した第1の実施形態のフローチャートにおけるステップ1からステップ2へのYES経路に、急制動増力手段を作動させるステップを設けて、第1の制動手段の増力した急制動による制動距離LBを算出し、これを障害物までの距離Lと比較して、車両の衝突判断をするようにしてもよい。
上述した各実施形態では、障害物検出手段としてミリ波のレーダを、第1の制動手段の急制動検出手段としてブレーキペダルのペダルスピードセンサを採用したが、これらの障害物検出手段および急制動検出手段は、いずれも実施形態のものに限定されることはなく、それぞれ前述したような様々な方法を採用することができる。また、第2の制動手段についても、路面との摩擦抵抗を上昇させることができるものであればよく、前述したような様々な手段を採用することができる。
Claims (6)
- 車輪の回転を制動する第1の制動手段と、路面との摩擦抵抗を上昇させて車両を制動する第2の制動手段と、進行方向の障害物を検出する障害物検出手段と、この障害物検出手段で検出された障害物に車両が衝突するか否かを判断する衝突判断手段とを備え、この衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、前記第2の制動手段を作動させるようにした車両用緊急制動装置。
- 前記第1の制動手段による急制動の作動、または運転者の急制動に対する作動要求を検出する急制動検出手段を設け、この急制動検出手段で前記急制動の作動または作動要求が検出されたときに、前記衝突判断手段により車両が衝突するか否かを判断するようにした請求項1に記載の車両用緊急制動装置。
- 前記第1の制動手段により運転者が行う急制動を自動的に増力する急制動増力手段を設け、前記衝突判断手段で車両が衝突すると判断されたときに、前記急制動増力手段を作動させて、それでも衝突すると判断されたときに、前記第2の制動手段を作動させるようにした請求項1に記載の車両用緊急制動装置。
- 前記第2の制動手段を複数の異なるタイプのもので構成し、前記路面の状態を検出する路面状態検出手段を設け、この路面状態検出手段で検出された路面状態に応じて、前記第2の制動手段を複数の異なるタイプのものから選択するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用緊急制動装置。
- 前記第2の制動手段が作動されたのち、前記第1の制動手段による急制動の作動がなく、かつ、前記衝突判断手段により車両の障害物への衝突が回避されると判断されたとき、または、車両が停止と判断されたときに、前記第2の制動手段の作動を停止するようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用緊急制動装置。
- 前記第2の制動手段を作動させるときに警告音を発するようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用緊急制動装置。
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