JPS645893B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は内視鏡の吸引切換え弁の改良に関す
る。

最近、内視鏡を使用して体腟内の患部にレーザ
光を照射して治療する方法が盛んになつてきた。
このレーザ治療を行なう場合にはその内視鏡を通
じて体腔内に気体を送り続けるため、同時にその
気体を吸引して排気し続けなければ危険である。

しかし、従来の内視鏡の吸引切換え弁は、たと
えば実公昭48−10704号公報で示されるように一
般的にシリンダとピストンからなり、そのピスト
ンを付勢力に抗して押し込むことにより吸引する
ようになつている。したがつて、吸引を続けるた
めにはその付勢力に抗してピストンを押し続けな
ければならなかつた。このため、術者はその吸引
操作に手をとられるとともに、疲労しやすく、操
作性が悪かつた。

本発明は上記事情に着目してなされたもので、
その目的とするところは簡単な操作で吸引状態に
固定して吸引し続けることができて操作性がよ
く、かつ患者にとり安全な内視鏡の吸引切換え弁
を提供することにある。

以下、本発明の各実施例を図面にもとづいて説
明する。

第１図ないし第４図は本発明の第１の実施例を
示すものである。第１図中１は内視鏡本体であ
り、この内視鏡本体１は操作部２と挿入部３から
なり、上記操作部２にはケーブル４が導出されて
いる。また、内視鏡本体１には内視鏡として必要
な部材、たとえばライトガイド、イメージガイ
ド、送気・送水管路などが組み込まれている。さ
らに、内視鏡本体１には挿入部３、操作部２およ
びケーブル４にわたつて吸引管路５が挿入配置さ
れている。吸引管路５の基端側は収液容器６に接
続され、また、収液容器６には接続管７を介して
吸引ポンプ８が接続されている。

操作部２には吸引管路５の途中に介挿して吸引
切換え弁９が設けられている。この吸引切換え弁
９は有底筒状のシリンダ１０にピストン１１を摺
動自在に嵌挿してなり、シリンダ１０の開口端に
は通口１２を有した蓋体１３が着脱自在に取り付
けられている。ピストン１１には蓋体１３の通口
１２を貫通して外部に突き出す操作杆１４が一体
に設けられている。この操作杆１４の突出先端に
はつば１５が設けられている。また、このつば１
５と蓋体１３の間には操作杆１４に巻装する状態
で付勢部材としてのコイルばね１６が介装されて
いる。そして、このコイルばね１６はピストン１
１を外方へ向けて付勢し、蓋体１３に当る外方位
置に待機させるようになつている。蓋体１３とつ
ば１５の各対向面にはそれぞれリング状のパツキ
ング１７，１８が固着されている。しかして、ピ
ストン１１の押込み位置においてパツキング１
７，１８が互いに接合して後述するリーク孔１９
の外部への開口を閉塞する閉塞手段を構成してい
る。上記ピストン１１はシリンダ１０内の底部空
間に開口するリーク孔１９が形成され、また、こ
のリーク孔１９は操作杆１４に貫通する横孔２０
を介して外部に連通している。さらに、ピストン
１１には上記リーク孔１９に連通するとともに、
ピストン１１の周面に開口する吸引口２１が形成
されている。そして、この吸引口２１はピストン
１１の待機状態においてシリンダ１０の内壁面に
よつて閉塞されるようになつている。また、ピス
トン１１の周面にはその移動方向に沿つて案内溝
２２が形成されている。この案内溝２２にはシリ
ンダ１０の内面に突設した案内ピン２３が嵌め込
まれていて、ピストン１１を回転させることな
く、直線的に移動させるようになつている。

さらに、案内溝２２の上端には第２図で示すよ
うに横方向に沿う係止溝２４が連続して形成され
ていて、ピストン１１を押し込んだ位置でそのピ
ストン１１を回転することにより案内ピン２３を
係止溝２４に導びき入れ、ピストン１１を押込み
状態に係止する係止手段を構成するようになつて
いる。一方、上記シリンダ１０の流入口２５はピ
ストン１１を押し込んだとき吸引口２１が位置す
る個所に対応して形成されている。なお、吸引口
２１は第２図で示すように係止溝２４に案内ピン
２３を嵌め込んで係止したときにも上記流入口２
５に連通し続けるように横に長い長孔状に形成さ
れている。また、シリンダ１０の流出口２６はそ
のシリンダ１０の底部に形成されている。そし
て、上記流入口２５には吸引管路５の上流側が接
続され、上記流出口２６は吸引管路５の下流側が
接続されている。

次に、上記実施例における吸引切換え弁９の動
作について説明する。

まず、第３図で示すように吸引切換え弁９を操
作しない待機状態においてはピストン１１の吸引
口２１はシリンダ１０の内壁面によつて閉塞され
ており、また、流入口２５はピストン１１の外周
面によつて閉塞されている。一方、流出口２６は
シリンダ１０の底部空間、リーク孔１９、横孔２
０をそれぞれ介して外部に連通している。したが
つて、吸引ポンプ８の吸引作用によつてそれらを
通じて外気を吸引するのみで、挿入部３の先端側
からの吸引を行なわない。

次に、体腟内の汚物や粘液を吸引する場合には
第４図で示すようにつば１５を指で押しピストン
１１をシリンダ１０内に押し込む。しかして、ピ
ストン１１の吸引口２１が流入口２５に対向一致
して連通するから、リーク孔１９およびシリンダ
１０の底部空間を通じて流入口２５と流出口２６
は連通するため、吸引管路５は全長にわたつて開
通する。また、蓋体１３とつば１５の各パツキン
グ１７，１８は互いに接合し、リーク孔１９を外
部から遮断して閉塞状態とする。このため、吸引
力が吸引管路５にのみ作用し、挿入部３の先端か
ら体腟内の汚物や粘液などを吸引することができ
る。なお、吸引した汚物や粘液などは収液容器６
に収容され、吸引ポンプ８側には流れ込まない。
その後、つば１５から指を離せば、コイルばね１
６の付勢力によつて自動的に復帰し、第３図の待
機位置に戻る。

一方、内視鏡を使用してレーザ処置具を体腔内
に導入し、患部にレーザ光を照射して治療を行な
うため、多量の気体を体腟内に送る場合など吸引
を続ける必要があるときには、次のように操作す
る。すなわち、上記同様に、つば１５に指を当て
てピストン１１を押し込み、押込み終端において
ピストン１１を回転して係止溝２４に案内ピン２
３を嵌め込ませることにより係止させる。しかし
て、ピストン１１はその位置に保持され、吸引状
態を確保するため、吸引し続けることができる。
また、これを解除する場合にはピストン１１を逆
向きに回転して第４図で示すのと全く同じ状態と
した後、指を離せば、コイルばね１６の付勢力に
より自動的に復帰し、第３図の状態に戻る。

第５図ないし第７図は本発明の第２の実施例を
示すものである。この実施例の吸引切換え弁３０
は前記実施例と同様に流入口２５と流出口２６を
有するシリンダ１０にピストン１１を摺動自在に
嵌挿してなり、また、シリンダ１０の開口端には
通口１２を有した蓋体１３が取り付けられてい
る。上記ピストン１１には操作杆１４が一体に設
けられている。ピストン１１と操作杆１４にはそ
の全長にわたつて軸方向に貫通するリーク孔３１
が形成されている。さらに、操作杆１４の外端に
は中央に通気孔３２を有した筒状のつば３３が取
り付けられている。また、操作杆１４の外周には
蓋体１３とつば３３の間に介在して付勢部材とし
てのコイルばね１６が巻装されている。また、リ
ーク孔３１の外端開口部分には通気孔３２を開閉
する逆止弁３４が設けられ、後述するようにピス
トン１１を押込み位置にしたときそのリーク孔３
１の外部への開口を遮蔽する閉塞手段を構成する
ようになつている。すなわち、上記逆止弁３４は
第７図で示すように可撓性を有する材料、たとえ
ば合成樹脂などによつて形成した円板状の板体３
５に、通気孔３２により大きな径の環状の溝３６
を一部残して切欠してなり、通気孔３２の周縁に
接合できるようになつている。しかして、リーク
３１内が負圧になれば、開いてその通気孔３２を
開口するものである。さらに、シリンダ１０内に
は中空状の弁押え３７が同心的に配置され、かつ
シリンダ１０の底壁に一体的に取付け固定されて
いる。この弁押え３７はピストン１１を押し込ん
だとき逆止弁３４を押して通気孔３２を閉塞す
る。また、弁押え３７の底部にはシリンダ１０の
底部空間に開口する孔３８が形成されている。さ
らに、弁押え３７には流入口２５に対向して連通
用孔３９が形成されていて、ピストン１１を押し
込んだとき、吸引口２１に一致して連通するよう
になつている。なお、この実施例の場合にも上記
実施例と同様に、ピストン１１には案内溝２２と
係止溝２４が形成され、シリンダ１０側には案内
ピン２３が設けられている。

しかして、この実施例において第５図で示す待
機状態においては流入口２５および連通用孔３９
はそれぞれピストン１１によつて閉塞されてい
る。一方、流出口２６はシリンダ１０の底部空
間、孔３８、弁押え３７の中空部３７ａ、リーク
孔３１、開放した逆止弁３４および通気孔３２を
介して外部に連通するため、吸引ポンプ８の吸引
作用によつて外気を吸引するのみで、挿入部３の
先端側からの吸引を行なわない。

また、体腔内の汚物や粘液を吸引するときには
第６図で示すようにつば３３を指で押し、ピスト
ン１１をシリンダ１０内に押し込む。しかして、
流入口２５に吸引孔２１および連通用孔３９が対
向一致して流入口２５は流出口２６に連通する。
さらに、弁押え３７は逆止弁３４を押し上げて通
気孔３２を閉塞する。つまり、吸引管路５は外部
との連通が遮断され、吸引管路５は全長にわたつ
て開通する。このため、吸引ポンプ８の吸引力は
その吸引管路５にのみ作用し、体腟内の汚物や粘
液などを吸引することができる。なお、この後、
つば３３から指を離せば前記実施例同様に自動的
に第５図の状態に復帰する。

一方、吸引動作を続けたい場合には、上記同様
にして第６図で示す状態まで押し込んだ後、ピス
トン１１を回転して係止溝２４に案内ピン２３を
嵌め込ませて係止させる。しかして、ピストン１
１はその吸引状態の位置に保持され、吸引を続け
ることができる。また、これを解除する場合には
ピストン１１を逆に回転させて第６図の状態に戻
して指を離せば、自動的に第５図の状態に復帰す
る。

第８図ないし第１０図は本発明の第３の実施例
を示すものである。この実施例は第１の実施例の
構成とほぼ同じであるが、ピストン１１の案内手
段と係止手段が異なる。なお、同じ構成の個所に
は同一の符号を付してその脱明を省略する。すな
わち、この第３の実施例では蓋体１３の内面に操
作杆１４に対向して回動ピン４１を設け、この回
動ピン４１に対向して操作杆１４の周面には第１
０図で示すような係止案内溝４２を形成してい
る。上記回動ピン４１は一端を蓋体１３に枢着す
るとともに、操作杆１４の軸方向に沿つて下方へ
延出してなり、その延出先端からなる係止端４３
は屈曲して操作杆１４の係止案内溝４２に向つて
突出し、その係止案内溝４２に挿入している。さ
らに、上記係止端４３は回動ピン４１それ自身の
弾性により係止案内溝４２側に弾性的に突き出す
ように付勢されている。したがつて、係止端４３
は常に係止案内溝４２の底面に沿つて摺動する。
また、上記係止案内溝４２は第１０図で示すよう
に左右対称にループを形成するとともに、同図中
左廻りに移動溝４４、落込み案内溝４５、落込み
部４６および戻り溝４７が順次形成されている。
そして、移動溝４４の先端４４ａよりも落込み案
内溝４５の後端４５ｂのほうが深く形成され、落
込み案内溝４５の先端４５ａよりも落込み部４６
のほうが、深く形成されている。また、落込み部
４６よりも戻り溝４７の後端４７ｂのほうが、深
く形成されている。さらに、戻り溝４７の先端４
７ａよりも移動溝４４の後端（基端）４４ｂのほ
うが深く形成されている。移動溝４４と落込み案
内溝４５の配置方向は第１０図で示すように逆向
きに屈曲しており、また、落込み部４６の対向す
る一対の側壁は戻り溝４７に向つて形成されてい
る。そして、回動ピン４１の係止端４３は移動溝
４４の後端４４ｂと、落込み部４６のいずれかに
落ち込んで係止されるようになつている。

次に、この第３の実施例の作用を説明する。通
常の待機位置において回動ピン４１の係止端４３
は移動溝４４の後端４４ｂに係止している。そこ
で、まず、一時的に吸引を行なう通常の吸引操作
はピストン１１の操作杆１４を軽く押し込むこと
により行なう。つまり、ピストン１１の押込み状
態においてパツキング１７，１８同志は互いに接
合してリーク孔１９を閉塞するとともに、吸引管
路５が開通する前述した第４図に対応した位置に
なり、吸引することができる。また、この押込み
位置では回動ピン４１の係止端４３は移動溝４４
に沿つて回動するが、落込み案内溝４５までには
達せず、その移動溝４４の途中で停止する。した
がつて、ピストン１１の操作杆１４から指を離せ
ば、再び移動溝４４の後端４４ｂに戻り、それに
係止することによりピストン１１の待機位置を規
制する。

次に、連続的に吸引したい場合には上記押込み
位置からさらに強く、パツキング１７，１８の弾
性に抗して押し込む。これにより回動ピン４１の
係止端４３は移動溝４４の先端４４ａを乗り越え
て落込み案内溝４５に落ち込み、移動溝４４には
戻れなくなる。そこで、ピストン１１の操作杆１
４から手を離せば、ピストン１１の上昇復帰に伴
つて回動ピン４１の係止端４３はその落込み案内
溝４５に沿つて落込み部４６に導びかれ、第９図
で示すようにその落込み部４６に落ち込んで係止
する。そして、これにより第９図で示すようにピ
ストン１１を押込み状態に保持する。つまり、吸
引状態を維持するのである。

また、この連続吸引状態を解除する場合は同様
にパツキング１７，１８の弾性力に抗してピスト
ン１１を強く押し込む。しかして、回動ピン４１
の係止端４３は直ちに戻り溝４７に落ち込んで、
落込み部４６に対する係合が外れる。ついで、指
を離せばピストン１１はその付勢力によつて復帰
するため、ピストン１１の復帰に伴つて回動ピン
４１の係止端４３は戻り溝４７に沿つて戻り、移
動溝４４の後端４４ｂに落ち込んで係止する元の
待機状態に復帰する。

以上説明したように本発明の吸引切換え弁は簡
単な操作で吸引状態にピストンを固定する解除自
在な係止手段を設けたから、手を離しても連続的
に吸引を行なうことができる。したがつて、連続
的に行なう場合の術者の疲労がなく、また、手を
とられることもない。つまり、その操作性を大巾
に向上できる。さらに、連続吸引を容易かつ確実
に行なうことができるため、患者の体内への過送
気を心配する必要がなく、安心して使用できると
ともに、その安全性を向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例を示す内視鏡全
体の断面図、第２図は同じ実施例におけるピスト
ンの斜視図、第３図は同じ実施例における吸引切
換え弁の断面図、第４図は同じ実施例における操
作時の吸引切換え弁の断面図、第５図は本発明の
第２の実施例における吸引切換え弁の断面図、第
６図は同じ実施例における操作時の吸引切換え弁
の断面図、第７図は同じ実施例の吸引切換え弁に
おける弁体の下面図、第８図は本発明の第３の実
施例における吸引切換え弁の断面図、第９図は同
じ実施例における操作時の断面図、第１０図は同
じ実施例における係止案内溝の展開図である。 １…内視鏡本体、５…吸引管路、８…吸引ポン
プ、９…吸引切換え弁、１０…シリンダ、１１…
ピストン、１４…操作杆、１７…パツキング、１
８…パツキング、１９…リーク孔、２１…吸引
口、２２…案内溝、２３…案内ピン、２４…係止
溝、２５…流入口、２６…流出口、３０…吸引切
換え弁、３１…リーク孔、３４…逆止弁、３７…
弁押え、４１…回動ピン、４２…係止案内溝、４
３…係止端、４４…移動溝、４５…落込み案内
溝、４６…落込み部、４７…戻り溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 吸引管路の途中に介挿されその吸引管路の上
   流側に連通する流入口と上記吸引管路の下流側に
   連通する流出口とを有したシリンダと、 このシリンダに摺動自在に嵌挿され外部に連通
   するリーク孔を有し外方に待機する位置において
   上記流入口側を閉塞しかつ流出口をリーク孔に連
   通するとともに押込み位置において流入口と流出
   口を連通する構成としたピストンと、 このピストンを待機位置に向けて付勢する付勢
   部材と、 上記ピストンを押込み位置に係止できる解除自
   在な係止手段と、 上記ピストンを押込み位置に係止したときリー
   ク孔の外部への開口を遮蔽する閉塞手段とを具備
   したことを特徴とする内視鏡の吸引切換え弁。