JPS6340440Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、固体、粉体、液体、および、ペース
ト状の食品などを入れる容器であつて、蓋を容易
に開口することができる簡易開口容器の改良に関
するものである。

〔従来技術〕

金属箔を含む複合シート、または、単層シート
よりなる蓋を、金属、または、プラスチツクより
なるリングと共に缶胴の口部縁に巻締め、また
は、融着せしめ、かつ、上記蓋の上面に、一端に
把持部を有する帯状の開口引張片を、上記リング
の内側縁と近接する位置に、少なくとも、半周沿
わせて蓋の引裂き強度より強固に融着、もしく
は、接着し、上記把持部を引き上げて開口引張片
によつてリングの内側縁を開口縁として上記蓋を
開口する簡易開口容器が提案されている。（例え
ば実開昭57−177932号公報） 〔考案が解決しようとする課題〕 しかし、上記実開昭57−177932号公報で提案さ
れている簡易開口容器は、把持部を備えた引張開
口片が第４図に示すように均等厚であること、ま
た、帯状の開口引張片が蓋に融着、もしくは、接
着されているため、把持部の剛性が開口引張片と
の境目線を基点として大きくなる。従つて把持部
を引き上げて開口する際、初期開口の段階で把持
部の曲率半径が大きくなることから、第４図のベ
クトルで示すように剪断力ａが小さくなり、初期
開口の引裂きに大きな力を要し、更には初期開口
の位置を、把持部と開口引張片との境目線を基点
としているが、この位置以外のところで初期開口
が起こることがあり、これによつて、以後の蓋の
開口が効果的になし得ないという問題がある。

従つて本考案は、簡単な構成によつて剪断力を
大巾に増大し、初期開口の引裂きを的確な位置で
容易に行うことのできる簡易開口容器を提供する
ことを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

以上の目的を達成するために、本考案の簡易開
口容器は、金属箔を含む複合シート、または、単
層シートよりなる蓋を、金属、または、プラスチ
ツクよりなるリングと共に缶胴の口部縁に巻締
め、または、融着せしめ、かつ、上記蓋の上面
に、一端に把持部を有する帯状の開口引張片を、
蓋の引裂き強度より強固に融着、もしくは、接着
し、上記把持部を引き上げ開口引張片によつてリ
ングの内側縁を開口縁として上記蓋を開口する簡
易開口容器において、上記把持部と開口引張片と
の境目線に臨む把持部の裏側に、開口引張片より
薄い肉薄部を形成したことを特徴とすることによ
つて、初期開口の際の剪断力を大巾に増大し、か
つ、目的とする初期開口位置で開裂が起こり、以
後の開口を効果的にできるようにしたものであ
る。

また、本考案は、上記肉薄部を把持部裏側の一
部、または、全域にわたつて設けることによつ
て、その目的を確実に達成できるものである。

〔作用〕

本考案の簡易開口容器は、上述したように金属
箔を含む複合シート、または、単層シートよりな
る蓋の上面に、融着、もしくは、接着した開口引
張片の一端の把持部を引き上げることにより、蓋
の初期開口をする。このさい、把持部と開口引張
片との境目線に臨む把持部の裏側に、開口引張片
より薄い肉薄部を形成したので、把持部を大きく
上方に屈折変形することができ、曲率半径が小さ
いので第５図のベクトルで示すように、大きな剪
断力ｂが得られ、初期開口を容易にする。以後の
開裂は、引張り開口片の誘導作用によりリングの
内側縁に沿つてなされ、蓋を完全開口するもので
ある。

〔実施例〕

次に、第１〜３図について本考案実施例の詳細
を説明する。

第１図は平面図、第２図は要部の断面図を示
し、更に第３図は把持部の別実施例を示す断面図
である。第１図は、第２図、および第３図に示す
実施例と共通な平面を示し、１は缶胴１ａの上部
開口に、開口縁２を有する金属リング３と一体に
巻締めされた蓋で、この蓋１は、、アルミ箔の上
面に熱可塑性合成樹脂層をラミネートした複合シ
ートによつて形成され、この蓋１の上面には、上
記熱可塑性合成樹脂と同種の材料からなり、か
つ、外周縁４ａを適当の間隔を介して上記リング
の開口縁２にそわせた渦巻構造の開口引張片４
が、上記蓋１の上面に対し、該蓋１の引裂き強度
より強固に融着、もしくは、接着剤にて接着せし
められている。尚上記開口引張片４については、
蓋１の上面にラミネートした熱可塑性合成樹脂と
同種材料である必要はなく、蓋の引裂き強度や引
張り強度よりやや大きい強度をもつ他の熱可塑性
合成樹脂、または、複合シート材料であればよ
い。また、蓋は複合シートとしたが、必要に応じ
単層、あるいは、多層にしてもよい。

上記渦巻構造の開口引張片４は、図に示すよう
に、約１まわりと3/4周程度の渦巻状に構成され、
内側の始端部４ｂには、蓋１の上面に対して弱く
接着するか、あるいは、接着しない状態の把持部
５が連設せしめられ、また、外側終端部４ｃに
は、上記リング３の開口縁２に向かう案内縁６が
形成してある。図中７は、内側開口引張片４ｄの
内側案内縁、８は外側開口引張片４ｃの内側案内
縁、９は内、外側開口引張片４ｄ，４ｅを連結
し、而も簡単に切断される連結片である。尚、上
記開口引張片４の巻数は、二重、三重など多重巻
でもよい。尚、図中１０は、把持部５と、蓋１に
融着、または、接着された開口引張片４の始端部
４ｂとの境目線である。また、１１はＶノツチな
どの弱剛部であり、この弱剛部１１は、上記境目
線１０から把持部５と反対方向、詳しくは、境目
線１０より約５mm程度入り込んだ開口引張片４の
全巾にわたつて形成されている。

本考案は、第２図に示すように、上記把持部５
と、蓋１に融着、または、接着されている開口引
張片４との境目線１０に臨む上記把持部５の裏側
に、適当長さの肉薄部５ａを形成し、肉薄部５ａ
の屈折変形が容易に大きくなるようになし、剪断
力の増大が図れるようにしたものである。また、
第３図に示すように、上記開口引張片４と一体
に、しかも、同厚に形成されている把持部５の裏
側全体を削除し、把持部５全体を肉薄に形成す
る。この場合、把持部５の上面が開口引張片４と
同一面となるようになし、把持部５の裏面と蓋１
との間に空隙が形成されるようにし、把持部５の
摘み上げ操作の簡便化と剪断力の増大を図つたも
のである。尚、肉薄部５ａを把持部５の裏側に形
成することにより、把持部５の基部、即ち、開口
引張片４との境目から大きく屈折変形し、後述す
るように、大きな剪断力が得られる。

上記実施例では、開口引張片４を渦巻状に構成
したものについて説明したが、そうでない開口引
張片であつても本考案の把持部構造が適用される
ものであるため、開口引張片の構成については実
施例のものに特定されるものではない。

〔考案の効果〕

本考案の簡易開口容器によると、把持部を引き
上げて開口する際、把持部を大きく上方に屈折変
形することができるとともに、曲率半径が小さい
ので、初期開口の開裂に大きな剪断力が得られ、
また、把持部と開口引張片の境目線の位置で蓋の
初期開口ができる。従つて把持部の裏側に、開口
引張片より薄い肉薄部を設けるという簡単な構成
で、的確な位置で確実に初期開口が容易にでき、
実用上大きな効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は平面図、第２図は第１実施例を示す要
部の断面図、第３図は第２実施例を示す要部の断
面図、第４図は悪い例を示すベクトル図、第５図
は本考案のベクトル図である。 １…蓋、２…開口縁、３…金属リング、４…開
口引張片、５…把持部、５ａ…肉薄部、１０…境
目線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 金属箔を含む複合シート、または、単層シー
   トよりなる蓋を、金属、または、プラスチツク
   よりなるリングと共に缶胴の口部縁に巻締め、
   または、融着せしめ、かつ、上記蓋の上面に、
   一端に把持部を有する帯状の開口引張片を、蓋
   の引裂き強度より強固に融着、もしくは、接着
   し、上記把持部を引き上げ開口引張片によつて
   リングの内側縁を開口縁として上記蓋を開口す
   る簡易開口容器において、 上記把持部と開口引張片との境目線に臨む把
   持部の裏側に、開口引張片より薄い肉薄部を形
   成したことを特徴とする簡易開口容器。 (2) 上記肉薄部を、把持部裏側の一部に設けた実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の簡易開口容
   器。 (3) 上記肉薄部を、把持部裏側全域にわたり設け
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載の簡易開
   口容器。