JPS6317604Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ドリル本体の先端部に切刃を有す
る超硬合金製の切刃チツプを設けてなる超硬ドリ
ルに関し、さらに詳しくは２つの切刃の内端縁を
回転中心軸線から0.1mm〜1.25mm離して設けた超
硬ドリルに関する。

一般に、この種の超硬ドリルにおいては、切刃
を超硬合金によつて構成し、しかも切刃の内端縁
をドリルの回転中心軸線から離して設けることに
よつてスラスト荷重を軽減するようにしているか
ら、高速、高送り穴明け加工を行うことができ、
これによつて穴明け加工の能率向上を図ることが
できるという利点が得られる。

しかしながら、高速、高送り穴明け加工を行つ
た場合には、多量の切屑が生成される。このた
め、特に深穴加工の場合に切屑が詰まるおそれが
あるという新たな問題が生じてきた。

この考案は、上記事情を考慮してなされたもの
で、高速、高送り穴明け加工を行つたとしても、
切屑詰まりが発生することなく切屑を穴の外部へ
とスムースに排出することができる超硬ドリルを
提供することを目的とする。

この考案の特徴は、切屑排出溝の底部壁面の少
なくとも先端部に、その部分の壁面の曲率半径よ
り小さい曲率半径の壁面を有する溝を切屑排出溝
に沿つて形成し、かつ溝を先端側から切刃チツプ
の外端縁でこれに直交する仮想線よりも後端側に
かけて延在させて形成した点にある。

以下、この考案の一実施例について第１図を参
照して説明する。なお、第１図Ａはこの考案に係
る超硬ドリルの軸線方向先端視図、第１図Ｂはそ
の側面図である。図において、符号１は鋼製のド
リル本体である。このドリル本体１の先端部外周
には、回転中心軸線Ｏに沿つて延在する切屑排出
溝２，２が設けられている。各切屑排出溝２の回
転方向を向く壁面には、超硬合金製の切刃チツプ
３がろう付け固定されている。この切刃チツプ３
の先端部には、切刃４が形成されている。２つの
切刃４は、回転中心軸線Ｏに関し点対称に配置さ
れ、しかも各内端縁４ａは回転中心軸線Ｏから
0.1mm〜1.25mm離して設けられいる。

以上の構成は、従来の超硬ドリルと同様である
が、さらにこの考案に係る超硬ドリルにおいて
は、前記切屑排出溝２の底部壁面の先端部に、切
屑排出溝２に沿つて延在する溝５が形成されてい
る。この溝５は、切刃４によつて生成された切屑
を強制的にカールして分断するためのものであ
る。そこで、溝５の壁面は、切屑排出溝２の溝５
が形成された部分の壁面の曲率半径よりも小さく
設定されている。また、前記溝５はドリル本体１
の先端側から切刃チツプ３の外端縁４ｂでこの切
刃チツプ３に直交する仮想線Ｌよりも後端側にか
けて延在させられている。

しかして、上記のように構成された超硬ドリル
によつて穴明け加工を行つた場合には、切刃４に
よつて生成された切屑が溝５によつて強制的にカ
ール分断される。すなわち、切刃チツプ３で生成
された切屑は、この切刃チツプ３に直交する方向
に生成されるのであるが、溝５をドリル本体２の
先端側から切刃チツプ３の外端縁４ｂでこの切刃
チツプ３に直交する仮想線Ｌよりも後端側にかけ
て延在させて形成しているために、切屑の幅方向
全幅がこの溝６に衝突する。特に、切屑のうち切
刃チツプ３の外端縁４ｂ側で生成される厚さが厚
い部分も溝６の壁に衝突するために、従来と異な
り、切屑を確実にしかも効果的にカール分断する
ことができる。しかも、溝５が切屑排出溝２に沿
つて形成されているから、分断された切屑は溝５
から切屑排出溝２へとスムースに移行する。した
がつて、高速、高送り穴明け加工を行つたとして
も、切屑が詰まることなく穴の外部へとスムース
に排出することができる。

なお、切屑をカール分断するために、切屑排出
溝２自体の壁面の曲率半径を小さくすることが考
えられるが、このようにすると切屑排出溝２の断
面積が狭くなつてしまい、たとえ切屑をカール分
断し得たとしても、それをスムースに排出するこ
とが困難になり、したがつて根本的な解決策とは
いえない。

また、第２図はこの考案の他の実施例を示して
いる。この実施例においては、溝５が切屑排出溝
２の延在する方向全体に亘つて形成されている点
が上記実施例と異なつている。その他の構成は上
記実施例と同様であるから、同様な部分には同一
符号を付し、その説明を省略する。この場合に
は、溝５を切屑排出溝２の全体に亘つて形成して
いるから、切屑排出溝２の先端部にのみ形成した
上記実施例に比して、切屑をより一層スムースに
排出することができる。

以上説明したように、この考案の超硬ドリルに
よれば、切屑排出溝の底部壁面の少なくとも先端
部に、その部分の壁面の曲率半径より小さい曲率
半径の壁面を有する溝を形成しているから、切刃
によつて生成された切屑を細かくカール分断する
ことができ、また、溝を先端側から切刃チツプの
外端縁でこれに直交する仮想線よりも後端側にか
けて延在させて形成しているために、切屑の幅方
向全幅がこの溝に衝突し、切屑を確実にしかも効
果的に分断することができ、しかも分断された切
屑は溝から切屑排出溝へとスムースに移行する。
したがつて厚さが厚く、かつ多量の切屑が生成さ
れる高速、高送り穴明け加工においても切屑が詰
まるのを防止することができる。また、切屑詰ま
りを防止することができる結果、より深い穴の穴
明け加工を行うことができ、さらに切屑によつて
明けた穴の壁面が擦過損傷されることがなく、穴
の精度を向上させることができる等の効果が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

添付した第１図および第２図はそれぞれこの考
案の一実施例を示し、Ａはその軸線方向先端視
図、Ｂはその一部省略側面図である。 １……ドリル本体、２……切屑排出溝、３……
切刃チツプ、４……切刃、４ａ……内端縁、４ｂ
……外端縁、５……溝、Ｌ……延長線、Ｏ……回
転中心軸線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ドリル本体の先端部外周に切屑排出溝を設け、
   この切屑排出溝の回転方向を向く壁面の先端部に
   超硬合金製の切刃チツプを設け、この切刃チツプ
   の先端部に、各内端縁が前記ドリル本体の回転中
   心軸線から0.1mm〜1.25mm離れた２つの切刃をほ
   ぼ点対称に形成してなる超硬ドリルにおいて、前
   記切屑排出溝の底部の壁面に、その部分の壁面の
   曲率半径より小さい曲率半径の壁面を有する溝を
   前記切屑排出溝に沿つて形成し、かつ前記溝を切
   屑排出溝の先端から切刃チツプの外端縁でこの切
   刃チツプに直交する仮想線よりも後端側にかけて
   延出させてなることを特徴とする超硬ドリル。