JPS6316929Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は環体を組合せて相互に回転する二部材
を密封する組合せシールの改良に関し、さらに具
体的には複数のラジアルシールリツプを用いて密
封を図る組合せシールの改良に関する。

従来、この種の組合せシールとしては、複数の
非接触シールリツプを有する環体と、前記環体に
組合せる環体とをカシメるなどして一体化させ密
封装置を構成するか、あるいはアキシアルリツプ
を有する環体と、前記アキシアルリツプに接触す
る環体とを組合せて密封を期待する密封装置など
があつた。

しかし、非接触シールリツプを有する前者の組
合せシールは非接触故、それぞれの環体が独立離
散し易くシールリツプを損傷し易いからどうして
も一体化せざるを得ずそのため該組合せシールの
金属で形成された周端部をカシメるなどしてもう
一方の環体と合体させる必要がある。さらに非接
触となるシールリツプ寸法も密封性に大きく影響
を与えるため高精度を要求するなど極めて加工コ
ストに不利益をもたらす欠点があつた。

一方、アキシアルリツプを有する後者の組合せ
シールの場合は、該アキシアルリツプが径方向で
接触するため該組合せシールを装着時に装着誤差
を生じ易く、アキシアルリツプ接触圧の均一性を
確保できないなど確実な密封力を実現し得ない重
大な欠点があつた。

本考案はこの様な欠点を除去し容易に組合され
て一体化し良好な装着性と密封性とを兼ね備えた
組合せシールを提供するものである。

以下、図面を参照しつつ詳述する。

本考案は、第１図で示すごとく、合成ゴム・合
成樹脂等の弾性体で形成した複数のラジアルリツ
プ１を有する外輪環Ａと、ラジアルリツプ１と接
触する金属で形成された内輪環Ｂとで構成した組
合せシールであつて、該外輪環Ａの主シールリツ
プ１ａを小径側に、補助シールリツプ１ｂを大径
側にそれぞれ外方に突出させて設け、これに相対
する内輪環Ｂは前記外輪環Ａより小径で複数の軸
方向部２・３をもつて折れ曲る例えば断面形状で
外側へ径方向部を持つコ字形状あるいは第２図で
示すごとくＺ字形状などを備え、前記外輪環Ａの
主シールリツプ１ａ及び補助シールリツプ１ｂを
内輪環Ｂのそれぞれの軸方向部２・３外周面に接
触させる構造の組合せシールである。

このとき内輪環Ｂに対し小径側に位置する主シ
ールリツプ１ａは締代の大きい緊迫力を持たせ、
大径側に位置する補助シールリツプ１ｂは締代を
小さく設けることが後述する作用を有効に働かせ
るので好ましい。

すなわち、回転部材における内周側は外周側よ
り周速と接触周面積を少にするからこの最小内周
軸方向部２に接触する主シールリツプ１ａは密封
力を強くすべく緊迫力を高めても摩擦力に大きな
影響を及ぼさない。これに対し内輪環Ｂの外周側
径方向部３に接触する補助シールリツプ１ｂは接
触面積と周速が増加し摩擦抵抗を上げるから緊迫
力を弱めて対処する。

この様な構成は密封空間に対しそれぞれのシー
ルリツプ接触周面が該密封空間より小径となり接
触周面積を短縮するので密封性に好作用を及ぼ
す。

また、径方向に圧接触するシールリツプ１を他
の環体と組付ける際、従来では環体端部にシール
リツプ１が引掛り該シールリツプ１を損傷したり
反転するなどシールリツプ１の役目を全く果さな
くなる危険性を多分に有していたが、本考案で
は、第３図に示すごとく、金属製内輪環Ｂ内側端
部の外周面４に面取りを設け、加えてシールリツ
プ１形状もリツプ厚さｈに対しリツプ長さ１の比
を５倍以下としかつ軸方向に対し45゜以下の角度
αをもつて内輪環Ｂに接触させる形状など万全の
設計を行ない極めて安全で簡単な組付けと強い密
封性を実現した。

また、弾性体で形成された複数のラジアルリツ
プ１が接触した静止摩擦力は、外径が50φ〜70φ
の組合せシールの場合通常の設計では約２〜４Kg
を保持するから運搬、保管などの通常の取扱い時
に組合わされたシール材Ａ・Ｂが分離することな
く一体化を保つなど金属カシメ等の加工工程を不
要とした。

またこの構造では、第２図に示すごとく、シー
ルリツプ１を有する外輪環Ａの外径嵌合部外端部
５と、補助シールリツプ１ｂとの間に凹環状溝６
わ容易に形成できる構成であるから、この凹環状
溝６に該外輪環Ａと相対回転する他部材の一部Ｃ
を接近させラビリンスシール効果を得ることも出
来るなど利点を多く有する構造である。

以上の説明の様に本考案は、簡単な構造で一体
化をなし強力な密封力を低回転トルクで実現した
理想的な組合せシールである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の組合せシールを示す断面図で
ある。第２図は本考案の組合せシールの一実施例
を示す断面図である。第３図は第１図の拡大部分
断面図である。 Ａ……外輪環、Ｂ……内輪環、１……シールリ
ツプ、２……内周側軸方向部、３……外周側軸方
向部、４……面取り部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 金属と、合成ゴム・合成樹脂等の弾性体で形
   成した複数のラジアル接触リツプを有する外輪
   環と、該外輪環のシールリツプと接触する金属
   で形成された内輪環とで構成した組合せシール
   において；該外輪環の主シールリツプを小径側
   に、補助シールリツプを大径側にそれぞれ外方
   に突出させて設け、これに相対する内輪環は前
   記外輪環より小径で複数の軸方向部をもつて折
   れ曲る形状を備え、前記外輪環の主シールリツ
   プ及び補助シールリツプを内輪環のそれぞれの
   軸方向外周面で接触させることを特徴とした組
   合せシール。 (2) 前記内輪環は内側端部の外周面に面取り部を
   有することを特徴とした実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の組合せシール。 (3) 前記突出する複数のラジアルシールリツプは
   リツプ厚さに対しリツプ長さの比を５倍以下と
   し、かつ軸方向に対し45゜以下の角度をもつて
   内輪環と接触することを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の組合せシール。