JPS6123373Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、合成樹脂の射出成形金型のゲート切
断機構の改良に関するものであり、成形金型の型
開き作動時に、該動作のみで、ゲート部の切除を
行うことができ、成形金型の型開き後は、成形品
押し出しの１動作のみを行えばよいゲート切断機
構を提供することを目的としている。

従来の、合成樹脂の射出成形金型は、第６図に
示されるように、キヤビテイＡの中央に臨むエゼ
クタピンＢと、ゲート部Ｃとランナ部Ｄとに臨む
エゼクタピンＥ，Ｆとを有し、成形金型の型開き
後に、エゼクタピンプレートＧの進出によつてエ
ゼクタピンＢでキヤビテイＡの成形品を押し出し
たのち、距離Ｈの間をエゼクタプレートＩが移動
する時間だけ遅れてエゼクタピンＥ，Ｆを進出さ
せ、ゲート部とランナ部とを押し出すようにし、
前記押し動作の時間差により、ゲート部と成形品
との接続部に引張力による切断作用を生ぜしめる
所謂２段押し機構を具備している。

しかし、この２段押し機構では、ゲート部の断
面積の広狭によつて前記切断が可能な場合と下可
能な場合とが生じ、デイスクゲートとかタブゲー
トの如く断面積の広い場合は、成形品の取り出し
後に、手作業によつてゲート除去を行なわねばな
らない欠点があり、また成形金型の構造も比較的
複雑、大型とならざるを得ない欠点も有してい
た。

本考案は、実用新案登録請求の範囲に記載する
構成とするところにより、成形品とゲート部との
接続部に積極的な剪断力を作用させ、ゲート部の
断面積の広狭に拘らず、成形金型の型開き時にゲ
ート部を確実に切断でき、しかも型開き後は、成
形品押し出しと云う１動作を行えばよいゲート切
断機構を得たものである。

以下図面についてその構成を説明する。

第１図において、成形金型は、従来のものと同
様に固定型１と可動型２とよりなり、可動型２は
合せ面０−０から矢印イ方向へ型開き運動を行う
ものである。

前述の固定型１は、雌型コア３とブロツク４と
を有し、雌型コア３は、固定型主体部５とブロツ
ク４とに対し摺動自在に配置されており、ゲート
部の半面と可動型との合せ面一部を形成する円柱
状をなすブロツク主部６に外嵌されている。

雌型コア３の先端面は、キヤビテイ７の一部分
８と、可動型２との合せ面の一部分９とを形成し
ている。

雌型コア３の基部は、拡径されたフランジ部１
０とされ、固定型主体部５内の摺動穴１１内に嵌
挿されており、フランジ部１０の背面と、ブロツ
ク４のフランジ部１２の前面との間に皿バネ１３
を介装され、前述の先端面を、常時キヤビテイ７
の位置および合せ面０−０より突出させうるよう
付勢されている。

また雌型コア３のフランジ部１０の背面とブロ
ツク４のフランジ部１２の前面との間には、スト
ツパー１４が介装されており、雌型コア３の先端
面、即ちキヤビテイ７の一部分８と合せ面の一部
分９とを形成する面が、皿バネ１３の弾力に抗し
て押圧されたとき、該面が正確にキヤビテイ７と
合せ面０−０とに合致する位置で、該コア３が停
止するように構成されている。

第１図においては、前述の雌型コア３の一部分
８と９が、キヤビテイ７と合せ面０−０とに合致
した位置を占めており、その際、雌型コア３のフ
ランジ部１０の前面と、固定型主体部５の摺動穴
１１の前端面との間に、間隙W₁が形成されてい
るが、この間隙W₁が、型開き時に、皿バネ１３
の弾力で雌型コア３の前記一部分８，９がキヤビ
テイ７の位置および合せ面０−０から突出する距
離に相当する。

前述の可動型２は、取付板１５に固着され、矢
印イ，ロで示すように後退、前進しうるよう配置
されており、摺動自在に配置された雄型コア１６
を有している。

雄型コア１６は、可動主体部１７内の摺動穴１
８内に嵌挿されており、基部の拡径されたフラン
ジ部１９の背面と、可動型２の背面位置に固着さ
れているブロツク２０の前面との間に皿バネ２１
を介装され、常時雄型コア１６の先端面を合せ面
０−０より突出させうるよう付勢されている。

この雄型コア１６の先端面は、雌型コア３の先
端面と干渉しない位置で、固定型１のブロツク主
部６と対応するところのゲート部２２の可動型２
側の半面２３と、固定型１との合せ面０−０の一
部分２４とを形成している。

第１図に示される実施例では、雄型コア１６の
先端面は、更にランナ部２５の半面をも形成して
いる。

図示例では、第２図に示されるように、雄型コ
ア１６は、ブロツク主部６に外嵌されている雌型
コア３の内孔へ干渉することなく進入しうる構造
とされ、両コア３，１６は先端面同士の干渉を伴
なわずに、雄型コア１６が雌型コア３内へ進出し
うる位置に設けられている。

また雄型コア１６のフランジ部１９の背面と、
ブロツク２０の前面との間には、ストツパ２６が
介装されており、雄型コア１６の先端面、即ち前
述の半面２３と一部分２４とを形成する面が、皿
バネ２１の弾力に抗して押圧されたとき、該面が
正確にゲート部２２と合せ面０−０とに合致する
位置で、該雄型コア１６が停止するように構成さ
れている。

第１図においては、前述の雄型コア１６の半面
２３と一部分２４とが、ゲート部２２と合せ面０
−０とに合致した位置を占めており、その際、雄
型コア１６のフランジ部１９の前面と、可動型２
の摺動穴１８の前端面との間に、間隙W₂が形成
されているが、この間隙W₂が、型開き時に、皿
バネ２１の弾力で雄型コア１６の先端面がゲート
部２２および合せ面０−０から突出する距離に相
当している。

なお、可動型２には、キヤビテイ７に臨むエゼ
クターピン２７、ゲート部２２とランナ部２５と
に臨むエゼクターピン２８、エゼクタープレート
２９，３０が配設されている。

なお、第１図においては、スプルおよびスプル
ブツシユは図面に現われない位置に設けられてお
り、型閉めにより、固定型、可動型、雌雄の各コ
アは、成形位置を占め、各皿バネ１３，２１は圧
縮されている。図面では、型閉めされた成形金型
内に合成樹脂が射出され、成形が完了した状態が
示されている。

第２図および第３図は、成形金型の型開き工程
を示しており、第２図は、前述の間隙W₁および
W₂の概ね1/2に相当する距離Ｓだけ、可動型２が
矢印イ方向に移動させられた状態を示しており、
この距離Ｓだけの可動型２の移動により、固定型
１の雌型コア３は、皿バネ１３の弾力で距離Ｓだ
け、キヤビテイ７の位置および合せ面０−０から
可動型２側へ突出する。この雌型コア３の突出に
より、キヤビテイ７内の成形品３１は、可動型２
のキヤビテイ７を形成する面に押圧、保持され
る。

他方、可動型２の雄型コア１６も前述の移動に
伴ない、皿バネ２１の弾力で距離Ｓだけ、ゲート
部２２の位置および成形時に可動型２が占めてい
た合せ面０−０位置から、固定型１側へ突出す
る。この雄型コア１６の突出は、その先端面が固
定型１側の雌型コア３の先端面と干渉することな
く、第２図に示されるように、雌型コア３の内孔
へ進入しうる位置に設けられているため、ゲート
部２２を固定型１のゲート部２２を形成する面に
押圧、保持する。

上述の成形品３１を可動型２側へ押圧しつつ、
可動型２と１体に移動させ、またゲート部２２を
固定側へ押圧し、固定型１の位置に維持する作用
は、皿バネ１３，２１の弾力による雌雄の各コア
３，１６の押圧力によつて行なわれるものであ
る。

そして、上述の距離Ｓだけの成形品３１とゲー
ト部２２との相対的変位により、両者の接続部は
剪断作用を受け、切断される。

上述の作用から明らかな如く、ゲート部の切断
に与える力は、皿バネの弾力のみであるから、そ
の弾力の強弱を、ゲート部２２の断面積の大小に
応じて選定することにより、たとえゲート部２２
の断面積が著しく大であつても、上述の型開き作
動時に切断を行うことができるものである。

第３図は、成形品３１の取り出しのため、可動
型２が型開き移動を終えた状態を示しており、雌
型コア３は前述の間隙W₁の距離だけ、また雄型
コア１６は間隙W₁の距離だけ、それぞれ固定型
１と可動型２のキヤビテイ７の位置、ゲート部２
２の位置および両型の合せ面０−０から突出して
いる。

第３図の状態からエゼクターピン２７，２８を
進出させることにより、既の切断され、分離され
ている成形品３１と、ゲート部２２とが、成形金
型から取り出されるものである。

第４図は、デイスク状のゲート部３２を有する
皿状の成形品３３を示しており、第５図は、この
成形品３３の成形金型の縦断面を示すものであつ
て、固定型３４、可動型３５内に、それぞれ皿バ
ネ３６，３７でバツクアツプされた雌型コア３
８、雄型コア３９が内装され、雌雄の各コア３
８，３９の先端面がキヤビテイの一部分、ゲート
部の半面、各型の合せ面の一部分をなしている構
造は、第１図に示される実施例と殆ど同一構成で
あるが、スプル４０が、固定型３４に内装されて
いるブロツク４１のブロツク主部４２に貫設され
ている点で、第１図に示す実施例のものと構造を
異にするものである。

図示実施例では、雌雄の各コアを付勢するバネ
として皿バネを使用しているが、勿論、別の構造
のバネでもよい。

本考案に係るゲート切断装置は、上述の構成、
作用のものであつて、ゲート部切断時に、成形品
とゲート部とを、それぞれ可動型と固定型とに、
雌雄の各コアによつて押し付け、互の相対的な強
制移動によつて生ずる剪断力を用いるので、成形
品或はゲート部が成形金型から外れ、切断不良を
生ずる欠点は皆無となり、成形金型の型開きと云
う１作動のみによつて、ゲート部の切除を確実に
行いうる効果を奏する。

また雌雄の各コアに与えられているバネ弾性の
変更調節により、ゲート部の肉厚が大きい場合に
も、前述の切断を確実に実行できるし、雌雄の各
コアの形状を変更することにより、多種のゲート
形状に適応しうる効果もあり、構造が比較的簡単
であるため、成形金型を小型、軽量のもたらしめ
うる効果も有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施の１例たる成形金型の略示縦断面
図、第２図および第３図は第１図に示されるもの
の、型開き工程順を示す要部のみの略示縦断面
図、第４図はデイスク状のゲート部を有する成形
品の１例の平面図、第５図は第４図に示される成
形品を成形する成形金型の略示縦断面図、第６図
は従来の成形金型の略示縦断面図である。 １：固定型、２：可動型、３：雌型コア、７：
キヤビテイ、８：キヤビテイの一部分、９：合せ
面の一部分、１６：雄型コア、２２：ゲート部、
２３：ゲート部の半面、２４：合せ面の一部、１
３，２１：雌雄の各コアを弾圧する皿バネ、０−
０：合せ面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定型と可動型とよりなる成形金型において、
   固定型側のゲート部の半面と、可動型との合せ面
   の一部とを形成するブロツク主部に、先端面がキ
   ヤビテイの一部分と可動型との合せ面の一部分と
   を形成している雌型コアが外嵌され、かつ固定型
   から出没自在に設けられ、可動型側には、先端面
   がゲート部の半面と固定型との合せ面の一部分を
   形成し、かつ前記雌型コア内へ進入しうる雄型コ
   アが出没自在に設けられており、雌雄両コアは、
   その先端面がキヤビテイ、ゲート部の位置および
   成形金型の合せ面より突出するように常時バネ弾
   性で付勢されていると共に、雌雄コアは、突出時
   に、互の先端面が干渉しないで、雄コアが雌コア
   内へ進入しうる位置に設けられていることを特徴
   とする合成樹脂の射出成形金型におけるゲート切
   断機構。