JPS6110430Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車のハーネス取付構造に関する。

例えば自動車のエンジンルームと車室内とを隔
成するダツシユパネルには、各種電気配線やリモ
ートコントロール用のワイヤケーブル等のハーネ
スを貫通配設するが、従来、このハーネスの貫通
配設に際しては第１図に例示するように、ダツシ
ユパネル１にハーネス３用の貫通孔２を個々に開
設し、この貫通孔にゴム又は樹脂製のシール用グ
ロメツト４を介してハーネス３を貫通配設するよ
うにしている。

しかし、かかる従来の取付手段では前述のグロ
メツト４の嵌込みに際しては、該グロメツト４を
その弾性を利用して緊縮して貫通孔２に適正に嵌
合する必要があり、しかもこのグロメツト４の嵌
込みを各ハーネスの配設部において行わなければ
ならないため非常に作業工数がかり、またこの作
業には狭隘な場所で無理な姿勢を強いられるため
作業性が悪いという欠点があつた。

本考案はかかる従来の実情に鑑み、複数本のハ
ーネスを単一の取付孔に集中して配設できると共
に、シール用グロメツトの嵌込みに際してもその
緊縮操作を伴うことがなく簡単かつ迅速に行え、
しかもハーネス配設部のシール性を十分に確保す
ることのできる自動車のハーネス取付構造を提供
するものである。

以下本考案の実施例を図面と共に詳述する。

第２図乃至第４図において、１０は例えば車室
内とエンジンルームとを隔成するダツシユパネル
等の車体パネルで、該ダツシユパネル１０には複
数本のハーネス１３を挿通するに十分な比較的大
径の貫通孔１１を形成してある。この貫通孔１１
には複数個、例えば４個のグロメツト係着溝１２
を等間隔に形成してある。

１４は前記各ハーネス１３に予め嵌装されたゴ
ム，樹脂等からなるシール用グロメツトで、該グ
ロメツト１４にはその一部（本例の場合底部）を
除く周側に前記係着溝１２縁に係合する溝１５を
形成してあり、各ハーネス１３を貫通孔１１に挿
通した後、溝１５を介して係着溝１２縁に貫通さ
れる。

１６は前記貫通孔１１の径よりも大径に形成さ
れ、ダツシユパネル１０の一側面にあてがわれて
前記貫通孔１１を閉塞すると共に、前記各グロメ
ツト１４を対応する係着溝１２に圧接する金属製
のリテーナプレートで、その外周縁にはグロメツ
ト１４を押圧するフランジ部１７を曲折成形して
あると共に、複数個の取付舌片１８を形成してあ
り、該舌片１８を介してダツシユパネル１０にビ
ス１９止めされる。また、該リテーナプレート１
６のダツシユパネル１０面と当接する側面にはシ
ール部材２０が貼着されており、該当接部分のシ
ール性を確保できるようにしてある。なお、前記
フランジ部１７および該フランジ部１７に当接す
るグロメツト１４の底部を図示の如くテーパ状に
形成しておくことにより、グロメツト１４を係着
溝１２に密に圧接，係合してシール性を高めるこ
とができる。

従つて、本実施例によれば、ハーネス１３の取
付けに際してはその複数本を貫通孔１１に挿通
し、グロメツト１４を該貫通孔１１の係着溝１２
に係着して仮止めしておき、その後、リテーナプ
レート１６をダツシユパネル１０の一側からあて
がつてその外周縁フランジ１７により各グロメツ
ト１４を係着溝１２に確実に圧接，係合し、次い
で該リテーナプレート１６をダツシユパネル１０
にビス１９止めすることにより、一度に複数本の
ハーネス１３を容易に取付けることができ、しか
もこのハーネス１３の取付けに際しては貫通孔１
１が十分大きな径に形成されていて作業性がよ
く、また従来のようにグロメツト１４の緊縮，係
合作業が伴うことがなく、単にグロメツト１４を
その係着溝１２に挿込み係合して、後にリテーナ
プレート１６で押えつけるだけで良いので遥かに
作業性が向上するものであり、更に貫通孔１１は
リテーナプレート１６により完全に閉塞されるの
でシール性，遮音性を十分に確保できるのであ
る。

第５，６図は第２〜４図に示した実施例の変形
例を示すもので、貫通孔１１を方形状に形成し、
その上縁側に２つの略円形のグロメツト係着溝１
２を並設して、ハーネス１３を揃えて取付けるよ
うにしたもので、リテーナプレート１６外縁部に
グロメツト１４の底部を押圧するフランジ部１７
を曲折形成する点、ダツシユパネル１０と当接す
る側面にシール部材２０を貼着する点、取付舌片
１８を一体成形する点等は前記実施例と全く同様
である。但し、本実施例の場合グロメツト係着溝
１２の貫通孔１１と連なる部分をグロメツト１４
の溝１５形成部の直径よりも小としてあるので該
グロメツト１４の仮止めが確実に行え、リテーナ
プレート１６を取付ける以前にグロメツト１４が
係着溝１２より不用意に脱出するのを防止するこ
とができる。

第７図乃至第９図に示す実施例は、リテーナプ
レート１６に複数個、例えば４個のグロメツト係
着溝２１を形成し、複数本のハーネス１３を各グ
ロメツト１４に挿通して貫通孔１１に挿入した
後、各グロメツト１４をこの係着溝２１に仮止め
し、そして、リテーナプレート１６で貫通孔１１
を閉塞する際に、各グロメツト１４の上縁を貫通
孔１１周縁に圧接，係合するようにしたもので、
該貫通孔１１の周縁にはグロメツト１４を受けて
該グロメツト１１と十分に圧接してシール性を高
めるためのフランジ部２２を曲折形成してある。
なお、このフランジ部２２並にグロメツト１４の
上縁は前記実施例と同様に図示の如くテーパ状に
形成することにより、圧接，係合度合いが高めら
れシール性を向上することができる。

前記各実施例において車体パネルとしてダツシ
ユパネルを開示したが、この他車室内，外を隔成
するパネルで、かつ該パネルを貫通してハーネス
が配設される部分に同様に適用することができ
る。

以上のように本考案によれば、複数本のハーネ
スを単一の貫通孔にまとめて一挙に挿通，配設す
ることができ、しかも該ハーネスに装着されたグ
ロメツトの係合に際しても従来の如き緊縮，押込
み操作を伴うことがなく取付作業に余裕のある貫
通孔内で容易に装着することができ、またシール
性についてはリテーナプレートで貫通孔を閉塞す
るため十分なシール効果が得られると共に遮音性
の確保を行え、ハーネスの取付作業性向上と相俟
つて実用上大なる効果を有する。尚、全てのグロ
メツト係着溝１２，２１にハーネス１３を取付け
る必要がないときはハーネス挿通孔を有しないグ
ロメツトを係合する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の構造を示す断面図、第２図は本
考案の一実施例を示す正面図、第３図は第２図の
−線断面図、第４図は貫通孔を示す正面図、
第５図は異なる例を示す正面図、第６図は第５図
の−線断面図、第７図は更に異なる例を示す
正面図、第８図は第７図の−線断面図、第９
図はリテーナプレートの正面図である。 １０……車体パネル、１１……貫通孔、１２…
…グロメツト係着溝、１３……ハーネス、１４…
…グロメツト、１６……リテーナプレート、１７
……リテーナプレートのフランジ部、２０……シ
ール部材、２１……グロメツト係着溝、２２……
貫通孔のフランジ部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 車室内，外を隔成する車体パネルに複数本の
   ハーネスを挿通するのに十分な径の貫通孔を形
   成すると共に、この貫通孔又は該貫通孔を閉塞
   するリテーナプレートの何れか一方に複数個の
   グロメツト係着溝を形成し、前記貫通孔にシー
   ル用グロメツトを嵌装した複数本のハーネスを
   挿通して該貫通孔をリテーナプレートで閉塞す
   ると共に、前記グロメツトをグロメツト係着溝
   とリテーナプレート縁部又は貫通孔縁との間で
   圧接，係合して取付けたことを特徴とする自動
   車のハーネス取付構造。 (2) グロメツトをグロメツト係着溝に圧接するリ
   テーナプレート周縁又は貫通孔周縁にはグロメ
   ツトに圧接するフランジ部が曲折成形されてな
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の自動車
   のハーネス取付構造。 (3) リテーナプレートの車体パネルに当接する面
   にはシール部材が貼着されてなる実用新案登録
   請求の範囲第１項又は第２項記載の自動車のハ
   ーネス取付構造。