JPS5841641Y2 - 偏向ヨ−ク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、広角度偏向陰極線管、特にインライン多電子
ビーム形広角度偏向カラーブラウン管に適した偏向ヨー
クに関する。

陰極線管の螢光面は平面であることが望ましく、技術上
許される範囲で平面に近く作られるため、電磁偏向方式
によってラスタを描かせた場合、画像に糸巻状の歪（ビ
ンクッション歪のこと、以下ピン歪という）が生じてし
まう。

特にテレビジョン受像機においては、ブラウン管の螢光
面が大きく、その上、偏向角が大きいので、ピン歪が強
く現われ、視覚上許容な範囲をはるかに越えてしまう。

したがって、その補正手段が不可欠である。

ところで、近年、３本の電子銃を水平にして一直線上に
配列した、いわゆるインマルチビーム形カラーブラウン
管と、バレル形（樽形）の垂直偏向磁界を発生する偏向
ヨークを組合わせてコンバーゼンスが自然に保たれるよ
うにし、各別の補正手段を必要としない、いわゆるセル
フコンバーゼンス方式のカラーテレビジョン受像機が多
用されるようになってきている。

しかしながら、このような構成の受像機においては、垂
直偏向磁界がことさらバレル形となっているため、特に
画像の左右両端部でラスタに大きなピン歪を生じる偏向
が強く、その補正が従来の偏向ヨークでは不充分で、他
の補正手段の併用が必要となり、上記のような方式の受
像機のメリットが充分に活かせなくなってきた。

従来、広く採用されている偏向ヨークは、第１図に示す
ように、磁性体からなるリング状コア３にトロイダル状
に巻線された垂直偏向コイル２の内側にくら形の水平偏
向コイル１を設けた、いわゆるセミトロイダル形のもの
であるが、この偏向ヨークを用いてセルフコンバーゼン
ス方式とスルタめに、垂直偏向磁界を第２図の矢印４で
示すようなバレル形とすると、画像面のコーナ一部では
それぞれ外側に広がるような方向の偏向作用が生じ、そ
のため点線５で示すような左右ピン歪がラスタに発生し
てしまう。

ところで、偏向磁界がピン歪なとラスタの形状に与える
影響は偏向ヨーク内における電子ビームの位置によって
異なり、ピン歪などラスタの形状に関しては電子ビーム
が充分に偏向作用を受けた位置、即ち偏向ヨークの螢光
面側（以下、開口部側という）における偏向磁界の形状
に大きく依存するのに対して、コンバーゼンスに関して
は偏向ヨ−クの電子銃側（以下、ネック部側という）が
ら開口部側に至る全ての部分における偏向磁左の形状に
依存する。

そこで、偏向ヨークでコンバーゼンスを充分に良好に保
ちながら左右ピン歪みの発生を抑圧するためには、垂直
偏向磁界を偏向ヨークのネック部側でバレル形に、開口
部側でビンクッション形となるようにすればよい。

一方、従来広く採用されている前述の如きセミトロイダ
ル形偏向ヨークの垂直偏向コイル２は、第３図ａｊ）に
示すように、フェライトなどの磁性体で作られた截頭円
錐形のリング状コア３に１〜ロイダル状の巻線されてい
る。

なお、６は偏向ヨークの中心軸を示す。

したがって、この第３図に示したような垂直偏向コイル
２では、そのネック部側と開口部側での巻線分布状態が
同じになっているので、それぞれの側で偏向磁界の形を
異ならせることはできず、上記のようにネック部側でバ
レル形、開口部側でビンクッション形としてコンバーゼ
ンスを補正すると共に、左右ピン歪を抑制するという目
的を達成することはできない。

そこで、上記のような目的を達成するためには、例えば
第４図ａ、ｌ）に示すように、垂直偏向コイル２を構成
するワイヤ７を巻回すればよい。

即ち、ワイヤ７を中心軸６に対してネック部側では外側
に、開口部側では内側に傾斜させてコア３に巻回し、ネ
ック部側では中心軸６がら偏向コイル２をみた角度が０
２と広く、開口部側ではθ１と狭くなるようにする。

その様にすれば、ネック部側では偏向コイル２の巻線分
布が広く、開口部側では逆に偏向コイル２の巻線分布が
中央に集中してビンクッション形の磁界となるので、上
記の目的を達成することができる。

ところが、このような垂直偏向コイルにおいては、第４
図すから明らかなように、偏向コイル２を構成している
ワイヤ７をコア３に対して斜めに巻付けなければならな
い。

したがって、ワイヤ７にはそれぞれ矢印Ｓ１．Ｓ２で示
すように、ネック部側では内側に、開口部側では外側に
向かう力が働くため、偏向コイル２の巻線作業中、ワイ
ヤ７が矢印Ｓ、、Ｓ２の方向の力により滑りやすく、物
理的に安定した巻線を施すことが困難になる。

しかも、左右ビン歪の補正という観点からは、この偏向
コイル２のワイヤ７に要求される傾斜角の大きさは、使
用するブラウン管の偏向角度が大きくなるにつれて大と
しなければならないため、広角度ブラウン管が一般化し
た現状では上記の困難がさらに増大され、大幅なコスト
アップを招くことになる。

その上、このワイヤ７の傾斜角が大きくなってくると、
ネック部側でバレル形磁界の形成に有効に働く部分であ
る、偏向コイル２の中心軸６と平行な方向の成分が減少
し、偏向磁界全体の中でバレル形磁界の占める量が少な
くなり、コンバーゼンスの補正が偏向ヨークだけでは完
全に行なえなくなってくる。

その結果、この第４図に示した偏向コイルでは、１１０
°にも達する広角度ブラウン管に使用して上記の目的を
達成することが困難であった。

そこで、以上の説明から明らかなように、この第４図に
示した偏向コイルの欠点を除くためには、第５図に示す
ような形状にワイヤ７をコア３に巻回すればよい。

即ち、ワイヤ６を直線状とせずに２個所で反対方向に折
り曲げた形状とし、これによりネック部側では広い巻線
幅を、開口部側では狭い巻線幅を持たせるという条件を
満足させると共に、ワイヤ７がネック部側でバレル形の
偏向磁界の形成にあずかっている、中心軸６と平行な部
分の長さを増加させるようにすればよい。

しかしながら、第５図に示すように、ワイヤ７を折り曲
げた状態でコア３に巻回して偏向コイル２を製作するこ
とは、通常の巻線機では不可能で、特殊な巻線機による
特別な巻線方法を必要とする。

しかして、そのような巻線機はまだ実用化されていない
ため、第５図に示すような形状にワイヤ７を巻回した偏
向コイルを得ようとすれば、大きなコストアップを覚悟
しなければならず、はとんど実用化は不可能であった。

本考案の目的は、上記した従来技術の欠点を除き、簡単
な構成で広角度偏向インライン多電子ビーム形カラーブ
ラウン管に組合わせて充分なコンバーゼンスと左右ピン
歪の補正が可能な偏向ヨークを提供するにある。

この目的を達成するため、本考案は、トロイダル形偏向
コイルの内側に、少なくともネック部側に伸びる一対の
角状突起を有する磁性体片を設けたことを特徴とする特 まず、本考案に関連して、コンバーゼンスと左右ピン歪
の補正に有効な、磁性体片を有する偏向ヨークについて
説明する。

第６図はその一例を示すもので、ａは正面図、１）は上
半部縦断側面図である。

くら形の水平偏向コイル１と、リング状コア３にトロイ
ダル状に巻線された垂直偏向コイル２からなる第１図に
示した偏向ヨークと同様なセミトロイダル形偏向ヨーク
の内側に適当な磁性材料、例えばけい素鋼板などの鉄片
からなる磁性体片８が設けられている。

なお、９は偏向ヨーク絶縁物である。

この磁性体片としては、第７図ａに示すような、矢印Ｃ
で示すネック部側を短辺、矢印りで示す開口部側を長辺
とする台形のもの８ａや、第７図すに示すような、台形
の長辺側に台形の切欠部をもうけたちの８ｂが一般に用
いられ、これが第６図すのように、リング状コア３に巻
線された垂直偏向コイル２の内側巻線部分の内側におけ
るネック部側近傍に設けられている。

いま、この磁性体片８が無い状態での垂直偏向コイル２
による偏向磁界の状態が第８図ａの矢印４で示すように
弱いバレル形を呈していたとする。

ここで、磁性体片８を設けると、これに磁束が引き寄せ
られるため、偏向磁界の状態は第８図すで示すように強
いバレル形を呈するようになる。

したがって、第６図すのように、磁性体片８を垂直偏向
コイル２のネック部側に設け、かつ偏向コイル２による
偏向磁界、つまり磁性体片８が無いときの偏向磁界を弱
いバレル形成いは弱いビンクッション形となるようにし
ておけば、ネック部側ではバレル形の偏向磁界を、また
開口部側ではビンクッション形の偏向磁界を発生する偏
向ヨークを得ることができ、既に説明したようにインラ
イン形マルチビームカラーブラウン管と組合わせること
により、他にコンバーゼンス補正手段を設けることなく
、コンバーゼンス補正が行なわれるセルフコンバーゼン
ス方式としながら、さらに左右ピン歪の少ない画像再生
を可能にすることができる。

ところで、既に第４図と関連して説明したように、組合
わされるカラーブラウン管の偏向角が大きくなり、１０
０°から１１０°という広角度偏向のものとなってくる
につれて、左右ピン歪を充分に抑圧しながらコンバーゼ
ンスも充分に行なうためには、ネック部側でのバレル形
磁界が充分な強度のものでなければならない。

しかシフ、第７図ａ、ｌ）に示したような形状の磁性体
片８では、上記の要求に対して充分応えることができな
かった。

本考案は、上記の要求に対して充分応えることができる
ように、磁性体片を改善したもので、以下、その実施例
を図面について説明する。

第９図ａ、ｂは本考案の実施例に係る偏向ヨークで使用
する磁性体片の各側を示す。

すなわち、第９図ａに示す磁性体片８Ｃは、第７図ａに
示した磁性体片の短辺側、つまりネック部側（矢印Ｃ側
）に一対の角状突起１０を一体に形成し、全体としてほ
ぼコ字形に形成したものであり、また第９図すに示す磁
性体片８ｄは、第７図すに示した磁性体片に同様な角状
突起１０を形成し、全体としてほぼＨ形に形成したもの
である。

そして、これらの磁性体片８ Ｃ，８ｄは、第９図Ｃに
示すように、その角状突起１０をネック部側に向けた状
態で、偏向コイル２の内側巻線部分の内側におけるネッ
ク部側近傍に配置される。

次に第１０図ａ、ｌ）、ｃによって前記実施例の動作に
ついて説明する。

なお、これら第１０図ａ、ｌ）。Ｃは、いずれも第９図
Ｃで示した偏向ヨークを下方から上方に向ってみた図で
ある。

第１０図ａは第７図ａに示した従来の磁性体片８ａを用
いた場合の垂直偏向磁界の磁力線４を示している。

これに対して第１０図す、Ｃは第９図ａ。ｂに示した本
実施例に係る角状突起１０を有する磁性体片８ Ｃ，８
ｄを用いた場合の垂直偏向磁界の磁力線４を示しており
、第１０図す、Ｃのいずれの場合においても、角状突起
１０によって磁力線４は磁性体片８ Ｃ，８ｄに引き寄
せられることが判る。

すなわち、偏向磁界がバレル形に強調される部分の位置
と範囲は磁性体片の位置と垂直偏向コイルの軸方向に対
する幅で決定されるが、第１０図ａでは、磁性体片８ａ
に引き寄せられてバレル形偏向磁界の強調に寄与する磁
束は磁性体片８ａの幅の範囲内にあった磁束に限られる
。

これに対して同図す、Ｃでは、一対の角状突起１０によ
って広い範囲から磁束が磁性体片８ Ｃ，８ｄに引き寄
せられるので、必要な強度のバレル形磁界をこの磁性体
片８ Ｃ，８ｄの位置に作り出すことができる。

また、第１１図ａ、ｌ）は本考案の他の実施例で使用す
る磁性体片の各側を示す。

すなわち、第１１図ａに示す磁性体片８ｅは、第９図ａ
に示した磁性体片と同様なコ字形の磁性体片を用い、ま
た第１１図すに示す磁性体片８ｆは、第９図すに示した
磁性体片と同様なＨ形の磁性体片を用い、それぞれ一対
の角状突起１０を延長してこれを折り曲げ、折曲部１１
を形成したものである。

そして、これらの磁性体片８ｅ、８ｆは、第１１図Ｃに
示す如く、その折曲部１１が垂直偏向コイル２のネック
部側の端面に対向するように、前記実施例と同様に偏向
コイル２の内側に配置される。

この実施例によれば、第１０図で説明した前記実施例と
同様の効果が得られる他、さらに垂直偏向コイル２のネ
ック部側端面に漏洩した磁束まで磁性体片８ｅ、８ｆに
引き寄せることができるため、バレル形磁界に対する強
調効果をより一層高めることができる。

なお、以下の説明から明らかなように、本考案は第４図
に示した垂直偏向コイルを用いた偏向ヨーク等に適用す
ることも可能であり、さらに優れた特性の偏向ヨークを
得ることができる。

以上説明したように、本考案によれば、特殊な形状の磁
性体片を偏向ヨーク内に設けるという簡単な構成により
、広角度偏向インラインマルチビーム形カラーブラウン
管に組合わせても充分なコンバーゼンス特性が得られる
と共に左右ピン歪が充分に抑圧されたカラー画像を得る
ことができ、従来技術の欠点を充分に除くことができる
。

【図面の簡単な説明】

第１図はセミトロイダル形偏向コイルの一例を示す外観
斜視図、第２図はバレル形垂直偏向磁界による左右ビン
クッション歪の発生状態を示す説明図、第３図ａ、ｌ）
は従来のリング状コアに巻線された）・ロイダル形垂直
偏向コイルの一例を示す正面図および゛同図のＡ−Ａ断
面図、第４図ａ、ｌ）はコンバーゼンスの補正とビンク
ッション歪の補正が可能な従来のリング状コアに巻線さ
れた偏向コイルの一例を示す正面図および同図のＢ−Ｂ
断面図、第５図は同じく偏向コイルの他側を示す第４図
すに相当する断面図、第６図ａ、ｌ）は磁性体片を有す
る偏向ヨークの一例を示す正面図および上半部縦断側面
図、第７図ａ、ｌ）は従来の磁性体片の各側を示す平面
図、第８図ａ、ｌ）は磁性体片を設けない場合と、設け
た場合のバレル形磁界の発生状態を示す説明図、第９図
ａ、ｌ）は本考案の一実施例で使用する磁性体片の各側
を示す正面図、第９図Ｃはこれらの磁性体片を用いた偏
向ヨークの上半部縦断側面図、第１０図ａ、ｌ）、ｃは
第７図ａ、第９図ａ、ｌ）の各磁性体片を用いた偏向ヨ
ークにおける垂直偏向磁界の発生状態を示す説明図、第
１１図ａ、ｌ）は本考案の他の実施例で使用する磁性体
片の各側を示す斜視図、第１１図Ｃはこれらの磁性体片
を用いた偏向ヨークの上半部縦断側面図である。 １・・・・・・水平偏向コイル、２・・・・・・垂直偏
向コイル、３・・・・・・リング状コア、８Ｃ〜８ｆ・
・・・・・磁性体片、１０・・・・・・角状突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 磁性体からなるリング状コアに巻線されたＩ・ロイダル
   形垂直偏向コイルを備え、この垂直偏向コイルの内側に
   、垂直偏向コイルによる偏向磁界を制御する磁性体片を
   設けた陰極線管用電極偏向ヨークにおいて、前記磁性体
   片に、少なくとも偏向ヨークのネック部側に延びる一対
   の角状突起を形成したことを特徴とする偏向ヨーク。