JPS597724Y2 - 偏向ヨ−ク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、インライン多電子ビーム形カラーブラウン管
に使用する偏向ヨークに関する。

シャドウマスク形カラーブラウン管においては、３本の
電子ビームが偏向動作中、常に正しくそれぞれの螢光体
ドットに射突するようにしなければ再生画像に色ずれを
生じ、画質が大いに損なわれてしまうから、いわゆるコ
ンバーゼンスが補正が不可欠である。

従って、従来は種々のコンバーゼンス装置や回路が付加
されてたが、そのため構或が複雑になる上にコンバーゼ
ンスの調整にも複雑な作業を要するので、コストアップ
が著しく、信頼性の面でも問題が生じがちであった。

しかして、近年に至り、３本の電子銃をインライン配列
したシャドウマスク形ブラウン管が開発され、これと水
平偏向磁界をピンクッション形、垂直偏向磁界をバレル
形にした偏向ヨークとを組合わせることにより、コンバ
ーゼンス特性を改善できることが見出され、補正回路な
ど特別な補正手段を用いなくても充分なコンバーゼンス
特性が得られるようになってきた。

このような、いわゆるセルフコンバーゼンス方式のため
に使用される偏向ヨークの一例を第１図に示す。

この偏向ヨークはいわゆるセミトロイダル形と呼ばれる
もので、図において、１は偏向ヨーク全体を表わし、２
は水平偏向コイル、３は垂直偏向コイルの巻線、４はリ
ング状の磁性体コア、５はプラスチック或形品などから
なるセパレータである。

そして、水平偏向コイル２をくら形と、垂直偏向コイル
をコア４を用いたトロイダル形とすることにより、水平
偏向磁界をピンクッション形、垂直偏向磁界をバレル形
としてセルフコンバージョン方式の偏向ヨークを得てい
る。

ところで、通常、テレビジョン受像機の画像面左右端に
生じる糸巻状偏向歪、いわゆる糸巻歪は、ブラウン管の
画像再生面が球面でなくて平面状となっていることに起
因する本質的な歪がほとんどで゛あるが、セルフコンバ
ーゼンス方式によるカラーテレビジョン受像機では、上
記の通り偏向ヨークによる垂直偏向磁界がことさらバレ
ル形となーっているため、糸巻歪がさらに増加する傾向
があり、コンバーゼンスが補正されて色ずれの少ない画
像を得ることができる半面、画像面のゆがみがひどくな
ってしまうという欠点が生じていた。

そこで、この画像面左右端における糸巻歪を補正するた
め、糸巻歪補正回路を設けていたが、その後、偏向ヨー
クだけでも、その垂直偏向磁界の形状を偏向ヨークの軸
方向に沿って変化させ、電子銃側では垂直偏向磁界の形
状をバレル形としてセルフコンバーゼンス補正を可能に
し、画像面側では磁界の形状をピンクッション形とすれ
ば糸巻歪を軽減できるこどが見出されたため、このよう
な垂直偏向磁界を発生する偏向ヨークが広く採用される
ようになってきた。

これは、コンバーゼンス特性に関しては垂直偏向磁界の
電子銃側から画像面側に至るすべての部分の形状が影響
するのに対して、糸巻歪（二対しては画像面側における
垂直偏向磁界の形状が支配的であるという事実の認識に
基ずく。

そこで、このような、電子銃側での磁界形状をバレル形
とし画像面側での磁界形状をピンクッション形としてコ
ンバーゼンス特性の改善と共に糸巻歪の軽減を可能にし
た垂直偏向コイルの一例を第２図ａ， ｔ）に示す。

図において、ａは正面図、ｂは斜視図で、３は２群に分
けて巻回された垂直偏向コイルの巻線、４は截頭円垂形
をしたリング状磁性体コア、６は巻線３を構或する導線
、７は中心軸である。

なお、４ａ，４ｂはそれぞれコア４の画像面側と電子銃
側の開口部である。

この垂直偏向コイルの特徴は、偏向コイルの巻線３が、
コア４の電子銃側開口部４ｂでは広い巻線軸で、画像面
側の開口部４ａでは狭い巻線幅でコア４に巻回され、そ
れぞれの側での巻線幅が中心軸７となす角度ｕ，ｑ）２
についてい〉乃となるような関係にあることで、これに
より垂直偏向磁界を電子銃側でバレル形、画像面側でピ
ンクッション形とすることができ、コンバーゼンスの改
善と糸巻歪の軽減を可能にした偏向ヨークを得ることか
゛できる。

しかしながら、垂直偏向磁界の形状だけでコンバーゼン
ス特性と糸巻歪の両者を補正するためには、画像面側で
ピンクッション形の磁界とした分に見合うだけで電子銃
側ではさらに強いバレル形の磁界としなければならない
から、これを第２図ａ， ｂに示すような垂直偏向コ
イルで達或しようとすると、巻線幅がなす角度の関係、
ψ１〉乃をさらに強調しなければならない。

しかしながら、こうすると巻線３を構或する導線６がさ
らに斜めになり、矢印８で示したようにすべり易くなっ
てしまうので巻回作業が困難になる。

そのため、実際には角度乃と乃の関係を充分満足できる
ような条件にすることができず、従って、コンバーゼン
ス特性と糸巻歪の両方を共に充分補正することができな
いという欠点があった。

また、この欠点は、偏向角が９０゜、或いは１１０゜に
も達する広角偏向ブラウン管のように糸巻歪が強く現わ
れるブラウン管の場合に特に顕著で、例えば偏向角９０
゜の場合には角度ψ１に１５０゜以上乃には８０’以下
が要求されるため、ほとんど適用が不可能であるという
欠点があった。

そこで、この欠点を除くためには、垂直偏向コイル巻線
３の巻回状態だけに依存することなく、偏向ヨークの電
子銃側では強いバレル形、画像面側では強いピンクッシ
ョン形の垂直偏向磁界が独立して形或できるようにしな
ければならない。

このうち、電子銃側で垂直偏向磁界の形状を強いバレル
形とする方法の一例を示すと、第３図に示すような方法
が本考案者らによって提案されている。

この第３図は、第２図ａと同じく垂直偏向コイルを画像
面側から見みた正面図で、８はパーマロイなどで作られ
た磁性片である。

この磁性片８は、偏向コイルの巻線３の電子銃側近傍の
内面に設けられ、垂直偏向磁界による磁束を吸引させて
電子銃側近傍の磁界形状だけをバレル形に変形させるよ
うに働く。

従って、この方法によれば、偏向コイル巻線３とリング
状磁性体コア４によって形威された垂直偏向磁界の電子
銃側における磁界形状をさらにバレル形に強調すること
ができ、インライン多電子ビーム形カラーブラウン管に
適用して充分なセルフコンバーゼンス特性を与えること
ができるが、画像面側での磁界形状をピンクッション形
に強調することはできないから、このままでは糸巻歪を
充分に補正することができないという欠点があった。

また、画像面側での垂直偏向磁界の形状をピンクッショ
ン形に強調する方法の一例として、例えば第４図ａ，
ｌ）に示すようなリング状磁性体コア４を用いる方法
が提案されている。

図において、１０はコア４の画像面側の外周部に、中心
軸７に対してほぼ対称に１対づつ設けた羽根状突出部で
、この突出部１０を含めて巻線３が施こされるようにな
っている。

なお、同図ａは画像面側からみた正面図で、ｂは上面図
であり、巻線３は省略してある。

これら突出部１０を設けたことにより、巻線３が画像面
側で広がろうとするのが防止きれるので、第２図で説明
した角度乃を狭くすることができる上、本来なら第５図
の磁束１２で示すようにバレル形となる垂直偏向磁界の
形状が、第６図に示すように突出部１０が磁極の役割を
する結果、これらの突出部１０の間に磁束が現われ、全
体としては磁束１２で示すようにピンクッション形が強
調されるようになるので、左右糸巻歪を軽減することが
できる。

しかしながら、この方法でもまだ充分な強度のピンクッ
ション形偏向磁界を得ることは困難で、糸巻歪を充分に
補正することができないという欠点があった。

本考案の目的は、上記した従来技術の欠点を除き、画像
面側における垂直偏向磁界の形状を電子銃側の磁界の形
状とは独立にピンクッション形に強調し得るようにした
偏向ヨークを提供するにある。

この目的を達或するため、本考案は、偏向ヨークの垂直
偏向コイル巻線が巻回されているリング状磁性体コアの
画像面側に突出部を設け、偏向ヨークの画像面側での垂
直偏向磁界の形状をさらにピンクッション形に強調する
と共に画像面側に向って偏向ヨークの外側にまでこのピ
ンクッション形の磁界が形或されるようにした点を特徴
とする。

以下、本考案の実施例を図面を参照して説明する。

第７図ａ， １）は本考案におけるリング状磁性体コ
ア４の一実施例で、同図ａは正面図、ｂは上面図である
。

図において、１１は磁性体の突起で、コア４の画像面側
の端部に、中心軸７に対して対称な位置に１対づつ、計
２対で４個、設けられている。

また、第８図ａ， ｌ）は同じくコア４の他の実施例
で、この実施例は第４図の従来例に本考案を適用したも
のであり、羽根状の突出部１０に突起１１を設けたもの
である。

そして、これら本考案の実施例においては、突起１１が
必ずコア４の画像面側からさらに外側に画像面方向に向
って突出した形状となっている点に注意しなければなら
ない。

第９図は第７図ａ， ｌ）に示したコア４に、そして
第１０図は第８図ａ，ｌ）に示したコア４に垂直偏向コ
イル巻線３を巻回した状態をそれぞれ示したもので、こ
れを偏向ヨークの垂直偏向コイルとして使用する。

次に本考案の作用効果について説明する。

第１１図ａ，ｌ）は第９図に示した実施例による垂直偏
向磁界を示したもので、同図ａは画像面側がらみた図、
ｂはその上面からみた図である。

ａ図の磁束１２の状態がら明らかなように、突起１１が
存在するため、これら突起１１が磁極として作用し、こ
れらの間に磁束が発生するために画像面側近傍の偏向磁
界の形状がピンクッション形に強調されることが判る。

また、このとき、突起１１は、ｂ図にも示されているよ
うに、リング状磁性体コア４の画像面側から、画像面方
向に向って突出して設けられているため、コア４の画像
面側の外側にまでピンクッション形の偏向磁界が広がっ
て形威されるため、偏向ヨークの画像面側での垂直偏向
磁界に対するピンクッション形の強調作用は著しく増大
され、垂直偏向コイルの巻線状態に特別な考慮を払わな
いままでも、糸巻歪を補正するのに充分な強度のピンク
ッション形偏向磁界を作りだすことができ、従来技術の
欠点を充分に除いた偏向ヨークを得ることができる。

また、第１２図ａ， ｌ）は第１０図の実施例により
得られる偏向磁界を示したもので、同図ａは画像面側か
らみた図、ｂは上方からみた図であり、第１１図の場合
と同様にコア４の画像面側の外側にまで延長されたピン
クッション形偏向磁界が得られることが判る。

そして、この第１０図に示した実施例では、突起１１を
リング状磁性体コア４に設けられている羽根状突起部１
０の画像面側に設けているため、羽根状突出部１０によ
るピンクッション形偏向磁界強調作用をも併わせ有する
ため、特に優れたピンクッション形強調効果を得ること
が可能で、糸巻歪の大きく発生し易い広角度ブラウン管
に適当しても補正作用を充分に期待し得るものである。

以上説明したように、本考案によれば、垂直偏向コイル
が巻回されたリング状磁性体コア４に突起１１を設ける
という簡単な構或で、偏向ヨークの電子銃側での磁界形
状とは独立して、その画像面側に強度のピンクッション
形垂直偏向磁界を形或することができるので、従来技術
の欠点を充分に除くことができ、電子銃側にバレル形の
垂直偏向磁界を発生させるための手段と組合わせること
にヨリ簡単にセルフコンバーゼンス方式の偏向ヨークが
得られ、しかも、充分な強さのピンクッション形垂直偏
向磁界が得られるから、広角度偏向形のカラーブラウン
管に組合わせてセルフコンバーゼンスの特性を完全に活
かしながら画像面での糸巻歪の補正をも充分に行なわせ
、それによって優れた画質のカラーテレビジョン画像の
再生に役立つ偏向ヨークを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はセミトロイダル形偏向ヨークの従来例を示す斜
視図、第２図ａ， ｌ）はセルフコンバーゼンス方式
の偏向ヨークにおける垂直偏向コイルの従来例を示す正
面図と斜視図、第３図は電子銃側の垂直偏向磁界の形状
を強いバレル形とすることができる垂直偏向コイルの従
来例を示す正面図、第４図ａ， ｌ）は画像面側の垂
直偏向磁界の形状を強いピンクッション形とすることが
できる垂直偏向コイルの従来例を示す正面図と上面図、
第５図はバレル形垂直偏向磁界の一例を示す概念図、第
６図は第４図ａ， ｌ）に示した偏向コイルによって
得られる垂直偏向磁界を示す概念図、第７図ａ，ｂ及び
第８図ａ， ｌ）は本考案の実施例において使用され
るリング状磁性体コアのそれぞれ異なった一実施例を示
す正面図と上面図、第９図及び第１０図はそれぞれ本考
案における垂直偏向コイルの一実施例を示す正面図、，
第１１図ａ， ｌ）及び第１２図ａ， ｌ）はいず
れも本考案の実施例によって得られる垂直偏向磁界の形
状を示す概念図で、それぞれａは正面からみた図、ｂは
上方からみた図である。 ３・・・・・・垂直偏向コイルの巻線、４・・・・・・
リング状磁性体コア、７・・・・・・偏向ヨークの中心
軸、１０・・・・・・羽根状突出部、１１・・・・・・
突起、１２・・・・・・磁束。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 （ｌ）トロイダル形垂直偏向コイルからなる偏向ヨーク
   において、該垂直偏向コイルが巻回されたリング状磁性
   体コアの画像面側で偏向ヨークの中心軸に対して対称な
   位置に、画像面方向に向って突出した形状の磁性体から
   なる突起を少くとも２対設け、偏向ヨークの画像面側の
   外側にピンクッション形の垂直偏向磁界が形或されるよ
   うに構或したことを特徴とする偏向ヨーク。 （２）リング状磁性体コアの画像面側に設けられている
   突起が該リング状磁性体コアの画像面側の端部に設けら
   れていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲の第
   １項に記載の偏向ヨーク。 （３）リング状磁性体コアに設けられている突起が、該
   コアの画像面側にその中心軸に対してほぼ対称に、かつ
   該コアの画像面側の端部とほぼ同一平面に沿って該コア
   の外周から放射状に延長して設けられている少くとも２
   対の磁性体からなる羽根状突出部の画像面側に設けられ
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲の第１
   項に記載の偏向ヨーク。