JPS5819409Y2 - 自動二輪車の自動変速装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンと、このエンジンの動力を後輪へ伝え
る動力伝達機構を収容した伝動ケースとにより動力伝達
ユニットを構成し、該動力伝達ユニットを車体に上下揺
動自在に取付支持してなる所謂ユニットスイッグ式の自
動二輪車の自動変速装置に関し、詳しくは該変速装置の
配置構造に関するものである。

ユニットスイッグ式の自動二輪車においてその動力伝達
ユニットに自動変速装置を設ける場合、それを伝動ケー
ス内にどのように配置するかが問題となる。

即ち、自動変速装置は伝動ケース内前端部のクランク軸
の回転速度を変速して同ケース内後端部の後車軸に伝達
するものであり、両軸間に配置される中間軸や遠心クラ
ッチ及び歯車系などを必要とするが、これら構成部品を
クランク軸側に集中して設けた場合、その配置スペース
を確保するためシート下方となる伝動ケース前端部が幅
方向に大きく出っ張り、該ケースの出っ張りが自動二輪
車を押し出して歩く時に邪魔になる。

本考案はこの様なユニットスイッグ式の自動二輪車にお
ける自動変速装置の配置上の問題を解決したもので、伝
動ケース内に自動変速装置を設けることによる同ケース
前端部の幅方向の出っ張りを少なくし、自動二輪車を押
して歩く時に伝動ケースが邪魔にならないようにするこ
とを目的とするものである。

本考案実施の一例を図面により説明すること、第１図に
おいて１は伝動ケースであり、後述するようにエンジン
４の動力を後輪５へ伝える動力伝達機構を収容し該エン
ジン４とにより動力伝達ユニットを構成しており、前端
が軸２を介して車体に上下揺動自在に取付支持され、後
部がリアクッション３により懸架されている。

伝動ケース１は第２図および第３図に示す如く、前端部
内面にエンジン４のクランクケース６を連結して一体的
に支持せしめ、該エンジン４のクランク軸γを突出させ
ると共にクランク軸γの軸芯上外方には始動軸８を回動
自在に軸承し該軸８の外端に始動ペダル９を固着する。

伝動ケース１の後端部には後輪５を駆動させる後車軸１
１を回転自在に架設すると共に該軸１１の近傍前部に主
軸１０を間隔をおいて回転自在に並設する。

上記クランク軸７には第１遠心クラツチ１２を設ける。

第１遠心クラツチ１２はボス部１３をクランク軸７に遊
転自在に挿着したクラッチハウジング１３とクランク軸
７に固着され前記ハウジング１３内に収容されるクラッ
チシュー１４とからなり、クランク軸１が所定の回転速
度以上で回転するときにシュー１４がハウジング１３内
周面に係合して回転伝達するようにする。

クラッチハウジング１３はそのボス部１３にスプロケッ
ト１５を一体に形成し、該スプロケット１５を主軸１０
に固定して取付けたスプロケット１６にチェ７２３を介
して連繋させ、クランク軸γの回転を第１遠心クラツチ
１２を介し主軸１０に動力伝達させる。

主軸１０には前記スプロケット１８と同芯上に第２遠心
クラツチ１７、低速用主歯車２０および高速用主歯車２
１を並設する。

第２遠心クラツチ１１はボス部１８を主軸１０に固着し
たクラッチハウジング１８と該ハウジング１８内に収容
されるクラッチシュー１９とからなり、そのクラッチシ
ュー１９は高速用主歯車２１とともに主軸１０に対し遊
転自在に挿着し、且つシュー１９と主歯車２１とはキー
２２を介して回転方向に係合し一体回転するようにする
。

低速用主歯車２０は前記スプロケット１６内側の主軸１
０部分に歯切りされて形成される。

後車軸１１には一方向クラッチ２４を介して低速用従歯
車２５を回転自在に取付けると共に該従歯車２５の外側
に高速用従歯車２６を後車軸１１に固着して並設し、そ
の従歯車２５および２６を夫々前記主歯車２０および２
１に噛合せしめる。

上記一方向クラッチ２４は主軸１０から後車軸１１への
回転伝動のみを許容するクラッチである。

而して以上のよ−うにした装置は、クランク軸７の回転
速度が所定回転数以下にあるときには該軸γ上の第１遠
心クラツチ１２のシュー１４とハウジング１３とが係合
しないで動力伝達がなされない中立状態を保持し、クラ
ンク軸１が所定回転速度に達すると第１遠心クラツチ１
２が作動しチェ７２３を介して主軸１０に動力伝達をし
、主軸１０の回転で主歯車２０、従歯車２５、一方向ク
ラッチ２４を介して後車軸１１が回転し、それに伴い従
歯車２６が回転し主歯車２１を介し第２遠心クラツチ１
７のシュー１９も回転する。

そして主軸１０の回転速度が低速域にあるときには前記
シュー１９とハウジング１８とが係合しないで、後車軸
１１は主歯車２０および従歯車２５により動力伝達され
て後輪５を駆動させ、第２遠心クラツチ１７の前記シュ
ー１９がハウジング１８に係合する高速域の回転速度に
なったときには主軸１０の回転はクラッチハウジング１
８、クラッチシュー１９、主歯車２１および従歯車２６
を介して後車軸１１に動力伝達されて後輪５を駆動させ
る。

従って、クランク軸Ｉの回転速度に応じ、中立、低速、
高速位置に自動変速される。

尚、図中の２１および２７′は始動軸８およびクランク
軸１の各端部に取付けた噛合いクラッチ、２８は始動軸
８により回転され前記クラッチ２γを駆動せしめる歯車
機構であって、これら始動軸８、クラッチ２７．２７’
および歯車機構２８により始動装置が構成される。

本考案は以上説明した様に、伝導ケース内後端部の後車
軸と主軸との間に、夫々一方向クラッチ及び第２遠心ク
ラツチを介して成立する低速及び高速歯車系を設けて変
速装置を構成し、伝動ケース内前端部のクランク軸には
第１遠心クラツチのみを設けた構造であるから、ユニッ
トスイング式自動二輪車においてシート下方となる伝動
ケース前端部の幅方向の出っ張りが少なくて済み、自動
二輪車を押して歩く時に伝動ケースが邪魔にならない。

依って所期の目的を達成し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置を備えた自動二輪車の側面図、第２
図はその■−川用に沿える拡大断面図、第３図は第２図
の■−■線に沿える一部切欠断面図である。 図中、１は伝動ケース、７はクランク軸、１０は主軸、
１１は後車軸、５は後輪、１２は第１遠心クラツチ、１
７は第２遠心クラツチ、２０は低速用主歯車、２１は高
速用主歯車、２３はチェ７．２４は一方向クラッチ、２
５は低速用従歯車、２６は高速用従歯車である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンと、このエンジンの動力を後輪へ伝える動力伝
   達機構を収容した伝動ケースとにより動力伝達ユニット
   を構成し、該動力伝達ユニットを車体に上下揺動自在に
   取付支持してなる自動二輪車において、上下伝動ケース
   内の前端部にクランク軸を配設し、同ケース内後端部に
   は後輪を駆動させる後車軸を配設し、この後車軸の近傍
   に主軸を平行に配設すると共に、前記クランク軸には該
   軸の回転速度に依存して作動し主軸を駆動させる第１遠
   心クラツチを設け、主軸には該軸の回転速度に依存して
   作動する第２遠心クラツチを設け、この主軸と後車軸と
   の間に、主軸から後車軸への回転伝動のみ許容する一方
   向クラッチを介して成立する低速歯車系と、第２遠心ク
   ラツチを介して成立する高速歯車系とを設けた自動二輪
   車の自動変速装置。