JPH1171622A - 成形用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

成形用アルミニウム合金板およびその製造方法

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JPH1171622A
JPH1171622A JP23305997A JP23305997A JPH1171622A JP H1171622 A JPH1171622 A JP H1171622A JP 23305997 A JP23305997 A JP 23305997A JP 23305997 A JP23305997 A JP 23305997A JP H1171622 A JPH1171622 A JP H1171622A
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JP
Japan
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less
aluminum alloy
sheet
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maximum diameter
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JP23305997A
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Masao Kikuchi
正夫 菊池
Kaoru Kawasaki
薫 川崎
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクラップ等のリサイクル材を原料として
も、優れた成形性や耐食性を発揮できる成形用アルミニ
ウム合金板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 板の圧延方向に平行で板面に垂直な断面
で見られる最大径が10μm以上である晶出物の個数が
300個/mm2 以下で、かつ、最大径と最小径の比
(最大径/最小径)が3.5以上である晶出物の個数が
100個/mm2 以下であることを特徴とする成形用ア
ルミニウム合金板。その製造方法は、鋳造時に、合計で
0.05〜0.3重量%のNa、Sr、Sb、Ca、T
e、Ba、Li、K、Bi、P、As、Seのうちの1
種以上を添加することにより、スクラップ由来の不純物
を無害化することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種器物、缶、そ
の他の用途に用いられる、成形用アルミニウム合金板お
よびその製造方法に係わり、さらに詳細に述べれば、ス
クラップ等のリサイクル材を原料としても、優れた成形
性や耐食性を発揮できるアルミニウム合金板およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種成形用途に用いられるア
ルミニウム合金板としては、JISで規定される100
0番系、3000番系、5000番系の合金が知られて
いる。これらの合金では、成形性や耐食性等の諸特性に
悪影響をおよぼすFe、Si等の不純物の上限を低く抑
えている。そのため、これらの合金の製造に際しては、
純度の高い新地金が溶解原料の大部分として使用されて
いるのが現状である。このことは、材料コストが高くな
るばかりでなく、新地金の製造に大量のエネルギーを消
費し、地球環境の破壊にもつながるという大きな問題と
なっている。そのため、スクラップ等の純度の低いリサ
イクル材を使用しても、優れた成形性や耐食性を発揮で
きるアルミニウム合金板が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記課題に関して、ア
ルミニウムスクラップを用いた二次地金の製造におい
て、溶湯からの不純物を除去する技術の検討がなされて
いるが(例えば、非鉄金属系素材リサイクル促進技術研
究開発:基礎調査研究、要素技術研究成果報告書、平成
7年、金属系材料研究開発センター)、未だ、新地金並
みの純度には達しておらず、また、このような技術で
は、純度を向上させるために、大きな設備投資ととも
に、高エネルギーを要するため、かえって、地球環境の
破壊を助長することになりかねない。
【0004】本発明は、このような状況に鑑みてなされ
たものであり、スクラップ等の純度の低いリサイクル材
を原料としても、高エネルギーを必要としない安価な方
法で、成形性に優れたアルミニウム合金板を提供するこ
とを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、低純度の
原料を用いて製造されたアルミニウム合金において、不
純物が残留することはやむを得ないという発想に立ち、
これらの不純物の悪影響を無害化することによって上記
目的を達成しようとした。すなわち、本発明者らは、不
純物を多量に含有するアルミニウム合金における晶出物
のサイズおよび形状におよぼす微量元素添加の影響を調
査し、特定の元素を添加することによって、晶出物を微
細かつ球状化し、成形性を改善できることを見出し、本
発明に至ったものである。
【0006】すなわち、本願第1発明によれば、重量%
で、Si:1.2%以下、Fe:1.5%以下、Cu:
0.50%以下、Mn:0.20%以下、Mg:0.2
0%以下、Zn:0.50%以下、Ti:0.20%以
下、および残部:Alおよび不可避的不純物から成り、
且つ板の圧延方向に平行で板面に垂直な断面で見られる
最大径が10μm以上である晶出物の個数が300個/
mm2 以下で、かつ、最大径と最小径の比(最大径/最
小径)が3.5以上である晶出物の個数が100個/m
2 以下であることを特徴とする成形用アルミニウム合
金板が提供される。
【0007】第2発明によれば、重量%で、Si:1.
2%以下、Fe:1.5%以下、Cu:0.50%以
下、Mn:0.30〜1.5%、Mg:0.20〜1.
3%、Cr:0.35%以下、Zn:0.50%以下、
Ti:0.20%以下、および残部:Alおよび不可避
的不純物から成り、且つ板の圧延方向に平行で板面に垂
直な断面で見られる最大径が10μm以上である晶出物
の個数が300個/mm2 以下で、かつ、最大径と最小
径の比(最大径/最小径)が3.5以上である晶出物の
個数が100個/mm2 以下であることを特徴とする成
形用アルミニウム合金板が提供される。
【0008】第3発明によれば、重量%で、Si:1.
2%以下、Fe:1.5%以下、Cu:0.50%以
下、Mn:1.5%以下、Mg:2.0〜8.0%、C
r:0.35%以下、Zn:0.50%以下、Ti:
0.20%以下、および残部:Alおよび不純物から成
り、且つ板の圧延方向に平行で板面に垂直な断面で見ら
れる最大径が10μm以上である晶出物の個数が300
個/mm2 以下で、かつ、最大径と最小径の比(最大径
/最小径)が3.5以上である晶出物の個数が100個
/mm2 以下であることを特徴とする成形用アルミニウ
ム合金板。
【0009】第4発明によれば、第1発明から第3発明
までのいずれかのアルミニウム合金板の製造方法であっ
て、溶解、鋳造、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延および
焼鈍を順次行って圧延板を形成する際に、上記鋳造時に
Na、Sr、Sb、Ca、Te、Ba、Li、K、B
i、P、As、Seのうちの1種以上を、合計で0.0
05〜0.3重量%添加することを特徴とする成形用ア
ルミニウム合金板の製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
まず、成分組成の限定理由について述べる。第1発明の
アルミニウム合金は、JISで規定される1000番系
に属する合金であり、強度は低いが、成形性と耐食性に
優れることが要求される合金である。
【0011】第1発明の合金系においては、基本的に、
Al以外の成分は任意成分であり、無添加(0%)の場
合もある。Siは、再結晶を抑制し、結晶粒の微細化に
有効であるが、凝固時に、針状のMg2 Siとして晶出
し、成形加工時のクラックの起点あるいは腐食環境での
優先溶解箇所となるため、成形性や耐食性を低下させ
る。本発明における特定元素の添加によって、この晶出
物は微細、球状化されるが、Siの含有量が1.2重量
%を越えると、その効果は不十分となり、上記のような
理由で成形性や耐食性に悪影響をおよぼす。したがっ
て、Siの含有量は1.2重量%以下とした。
【0012】Feは、結晶粒の微細化あるいは強度に有
効であるが、凝固時に、塊状のAl 3 FeあるいはAl
6 Feとして晶出し、Mg2 Siの場合と同様に、成形
性や耐食性を低下させる。これらの晶出物も、本発明に
おける特定元素の添加によって、微細、球状化される
が、Feの含有量が1.5重量%を越えると、やはり、
その効果は不十分となり、成形性や耐食性が低下する。
したがって、Feの含有量は1.5重量%以下とした。
【0013】Cuは、強度向上に有効な元素であるが、
耐食性に悪影響をおよぼす元素であり、その含有量が
0.5重量%を越えると、耐食性が大幅に低下するた
め、上限を0.5重量%とした。Mnは、結晶粒を微細
化、安定化するとともに強度を上昇させる効果を有する
元素であるが、0.20重量%を越えると、Feととも
に金属間化合物を形成し、成形性を低下させる。よっ
て、Mnの上限は0.20重量%とした。
【0014】Mgは、強度を向上させるとともに、2.
0重量%以上含有すると成形性をも向上させる効果を有
する元素であるが、2.0重量%未満の含有量では、M
g量の増加とともに、成形性は低下する。0.20重量
%を越えるとその悪影響が特に顕著となるため、Mgの
上限は0.20重量%とした。Znは、強度向上に有効
な元素であるが、0.50重量%を越えると成形加工
性、耐食性および溶接性が低下する。したがって、Zn
の含有量の上限は0.50重量%とした。
【0015】Tiは、一般に鋳塊の結晶粒微細化のた
め、単独あるいは微量のBと組み合わせて添加する。こ
の場合、Tiの含有量が0.20重量%を越えるとその
効果は飽和する上に、成形性をも低下させる。したがっ
て、Tiの含有量はその上限を0.20重量%とする。
Bを、同時に添加する場合の添加量は0.0005〜
0.03重量%が有利である。
【0016】第2発明のアルミニウム合金は、JISで
規定される3000番系の合金であり、1000番系の
合金よりも強度が高く、成形性、耐食性、溶接性等に優
れることが要求される。第2発明の合金系においては、
MnおよびMgが必須成分として添加され、他の成分は
任意成分であり無添加(0%)の場合もある。第2発明
による合金系の、Si、Fe、Cu、ZnおよびTiの
含有量については、第1発明の合金系の場合と同様の理
由で、それぞれ重量%で、Si:1.2%以下、Fe:
1.5%以下、Cu:0.50%以下、Zn:0.50
%以下、Ti:0.20%以下とした。
【0017】Mnは、結晶粒を微細化、安定化するとと
もに強度を上昇させる効果を有する元素であるが、0.
30重量%未満では強度向上効果は見られず、1.5重
量%を越えると、Feとともに粗大な金属間化合物を形
成し、成形性を著しく低下させる。よって、Mnの含有
量は0.30〜1.5重量%とした。Mgは、強度の向
上に有効な元素として添加されるが、0.20重量%未
満では効果がなく、1.3重量%を越えると成形性、加
工性、耐食性が低下するため、0.02〜1.3重量%
の添加量とした。
【0018】Crは、必要に応じ添加され、Mnと同じ
く、結晶粒を微細化、安定化するとともに強度を上昇さ
せる効果を有する元素であるが、0.35重量%を越え
ると、成形性を低下させる。よって、Crの上限は0.
35重量%とした。第3発明のアルミニウム合金は、J
ISで規定される5000番系の合金であり、3000
番系の合金よりもさらに高強度が要求される。第3発明
の合金系においては、Mgが必須成分として添加され、
他の成分は任意成分であり無添加(0%)の場合もあ
る。
【0019】Si、Fe、Cu、ZnおよびTiについ
ては、第1発明の合金の場合と同様の理由で、それぞれ
重量%で、Si:1.2%以下、Fe:1.5%以下、
Cu:0.50%以下、Zn:0.50%以下、Ti:
0.20%以下とした。Mnは、結晶粒を微細化、安定
化するとともに強度を上昇させる効果を有する元素であ
るが、1.5重量%を越えると、Feとともに粗大な金
属間化合物を形成し、成形性を著しく低下させる。よっ
て、Mnの含有量は1.5重量%以下とした。
【0020】Mgは、強度の向上に有効である上に、
2.0重量%以上含有すると、成形性をも向上させる元
素である。この目的で添加する場合、2.0重量%未満
では、その効果は見られず、一方、8.0重量%を越え
ると成形性、加工性、耐食性が低下するばかりでなく、
熱間圧延時に脆性割れを生じやすくなる。そのため、M
gの添加量は2.0〜8.0重量%とした。
【0021】Crについては、第2発明の合金の場合と
同様の理由で、上限を0.35重量%とした。上記成分
組成の範囲内の合金板であっても、それだけでは成形用
途に適した合金板とはなり得ない。本発明者らは、合金
板特性におよぼす晶出物のサイズおよび形状の影響を種
々調査した結果、合金板の圧延方向に平行で板面に垂直
な断面で見られる最大径が10μm以上である晶出物の
個数が300個/mm2 以下で、かつ、最大径と最小径
の比(最大径/最小径)が3.5以上である晶出物の個
数が100個/mm 2 以下である時に、優れた成形性を
示すのに対して、最大径が10μm以上である晶出物の
個数が300個/mm2 を越えて存在するか、あるい
は、最大径と最小径の比(最大径/最小径)が3.5以
上である晶出物の個数が100個/mm 2 を越えて存在
する場合には、成形性が劣ることを見出した。したがっ
て、合金板の圧延方向に平行で板面に垂直な断面で見ら
れる最大径が10μm以上である晶出物の個数を300
個/mm2 以下、かつ、最大径と最小径の比(最大径/
最小径)が3.5以上である晶出物の個数を100個/
mm2 以下と限定した。
【0022】次に、本発明におけるアルミニウム合金板
の製造方法について述べる。上記の晶出物サイズおよび
形状を有する合金板を得るためには、晶出物を微細分
散、球状化する必要がある。本発明者らは、上記成分範
囲のアルミニウム合金において、凝固時に晶出する金属
間化合物のサイズおよび形状におよぼす添加元素の影響
について詳細に検討し、晶出物の微細分散、球状化に対
して、Na、Sr、Sb、Ca、Te、Ba、Li、
K、Bi、P、As、Seの元素のうち1種以上を、鋳
造凝固時に添加することが非常に有効であることを見出
した。これらの元素は、上記アルミニウム合金の凝固時
に、気泡あるいは化合物の形で金属間化合物物の晶出核
となり、それらの微細分散、球状化に寄与していると考
えられる。その添加量としては、0.005重量%未満
では上記の効果は見られず、合計で0.3重量%を越え
て添加すると、上記の効果は飽和するばかりでなく、機
械的性質を低下させ、熱間加工時に脆性割れを起こす危
険性があるため、これらの元素の添加量は合計で0.0
05〜0.3重量%とした。
【0023】本発明におけるアルミニウム合金板の製造
方法においては、上記成分範囲の合金を、従来の一般的
な方法で溶解し、鋳造時に、Na、Sr、Sb、Ca、
Te、Ba、Li、K、Bi、P、As、Seのうち1
種以上を合計で0.005〜0.3重量%の範囲内で添
加する。添加方法としては、これらの元素を金属単体と
して添加する方法、これらの元素を含むフラックスとし
て添加する方法、Alとこれらの元素の母合金として添
加する方法などが適用できる。鋳造凝固後は、従来の一
般的な板製造方法で、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延お
よび焼鈍によって圧延板とする。
【0024】以上のように、本発明により、合金の成分
組成を適切に調整するとともに、鋳造時に特定の元素を
添加することによって、凝固時に晶出する金属間化合物
のサイズおよび形状を制御することが可能になり、その
結果、リサイクル材等の低純度の合金を原料としても、
成形性や耐食性に優れたアルミニウム合金板を提供する
ことが可能となった。
【0025】
【実施例】次に、本発明を実施例で説明する。 (実施例1)第1発明による成形用アルミニウム合金板
の実施例を比較例と対比して説明する。表1に示す化学
成分を有する各合金を溶解し、鋳造時に、溶湯量の0.
1重量%に相当する金属Naを添加して凝固させた後、
常法により、面削、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延およ
び焼鈍して、板圧1mmの冷延板を作製した。得られた
各アルミニウム合金板について、引張特性、成形性およ
び耐食性を評価した。引張特性はJIS5号試験片を用
いて求めた。成形性については、円筒深絞り試験および
エリクセン試験を行い、限界絞り比(LDR)およびエ
リクセン値で評価した。耐食性は、JISZ2371に
準拠した塩水噴霧試験を実施し、960時間後の腐食減
量で評価した。各特性の評価結果を表2に示す。
【0026】本発明は低純度の合金を原料としても、良
好な性能を示すアルミニウム合金板を提供することを目
的としていることから、合金板の性能としては、純度の
高い合金を原料とした従来の合金板と同程度の値を目標
とした。本実施例では、1000番系の合金を対象とし
ているので、次の値を目安とした。 全伸び 35%以上 限界深絞り比 2.20以上 エリクセン値 10.5以上 腐食減量 3.0mg/cm2 以下 表2から明らかなように、本発明によるアルミニウム合
金板は、いずれも、上記目標を達成しているが、比較材
のアルミニウム合金板の内、合金1−18、1−19、
1−25および1−27は、成分組成、晶出物のサイズ
および形状のいずれにおいても、本発明の条件を満たし
ていないため、成形性および耐食性のいずれか一方ある
いは両方共に劣り、合金1−20、1−22および1−
23は、晶出物のサイズおよび形状については、本発明
の条件を満足しているが、成分組成が本発明の範囲外で
あるため、成形性および耐食性のいずれか、一方あるい
は両方に劣り、合金1−21、1−24および1−26
は、晶出物の形状については、本発明の条件を満たして
いるが、成分組成および晶出物のサイズについては、本
発明の条件を満足していないため、成形性および耐食性
のいずれか、一方あるいは両方に劣ることがわかる。 (実施例2)第2発明による成形用アルミニウム合金板
の実施例を比較例と対比して説明する。表3に示す化学
成分を有する各合金を溶解し、鋳造時に、溶湯量の0.
1重量%に相当する金属Naを添加して凝固させた後、
常法により、面削、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延およ
び焼鈍して、板圧1mmの冷延板を作製した。得られた
各アルミニウム合金板について、実施例1の場合と同様
の方法で、引張特性、成形性および耐食性を評価した。
各特性の評価結果を表4に示す。
【0027】本発明は低純度の合金を原料としても、良
好な性能を示すアルミニウム合金板を提供することを目
的としていることから、合金板の性能としては、純度の
高い合金を原料とした従来の合金板と同程度の値を目標
とした。本実施例では、3000番系の合金を対象とし
ているので、次の値を目安とした。 引張強さ 150MPa以上 全伸び 20%以上 限界深絞り比 2.15以上 エリクセン値 9.0以上 腐食減量 3.0mg/cm2 以下 表4から明らかなように、本発明によるアルミニウム合
金板は、いずれも、上記目標を達成しているが、比較材
のアルミニウム合金板の内、合金2−21、2−22、
2−30および2−32は、成分組成、晶出物のサイズ
および形状のいずれにおいても、本発明の条件を満たし
ていないため、成形性および耐食性のいずれか、一方あ
るいは両方に劣り、合金2−25〜2−29および2−
31は、晶出物の形状については、本発明の条件を満た
しているが、成分組成および晶出物のサイズについて
は、本発明の条件を満足していないため、成形性および
耐食性のいずれか一方あるいは両方共に劣り、合金2−
23および2−24は、晶出物のサイズおよび形状につ
いては、本発明の条件を満足しているが、成分組成が本
発明の範囲外であるため、それぞれ、引張強さおよび成
形性が上記目標に達していないことがわかる。 (実施例3)第3発明による成形用アルミニウム合金板
の実施例を比較例と対比して説明する。表5に示す化学
成分を有する各合金を溶解し、鋳造時に、溶湯量の0.
1重量%に相当する金属Naを添加して凝固させた後、
常法により、面削、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延およ
び焼鈍して、板圧1mmの冷延板を作製した。得られた
各アルミニウム合金板について、実施例1の場合と同様
の方法で、引張特性、成形性および耐食性を評価した。
各特性の評価結果を表6に示す。
【0028】本発明は低純度の合金を原料としても、良
好な性能を示すアルミニウム合金板を提供することを目
的としていることから、合金板の性能としては、純度の
高い合金を原料とした従来の合金板と同程度の値を目標
とした。本実施例では、5000番系の合金を対象とし
ているので、次の値を目安とした。 引張強さ 200MPa以上 全伸び 22%以上 限界深絞り比 2.05以上 エリクセン値 9.5以上 腐食減量 3.0mg/cm2 以下 表6から明らかなように、本発明によるアルミニウム合
金板は、いずれも、上記目標を達成しているが、比較材
のアルミニウム合金板の内、合金3−21、3−22お
よび3−30〜3−32は、成分組成、晶出物のサイズ
および形状のいずれにおいても、本発明の条件を満たし
ていないため、成形性および耐食性のいずれか一方ある
いは両方共に劣り、合金3−23および3−25は、晶
出物のサイズおよび形状については、本発明の条件を満
たしているが、成分組成が本発明の範囲外であるため、
それぞれ、耐食性および引張強さが上記目標に未達であ
り、合金3−24および3−27〜3−29は、晶出物
の形状については、本発明の条件を満たしているが、成
分組成および晶出物のサイズについては、本発明の条件
を満足していないため、成形性および耐食性のいずれ
か、一方あるいは両方に劣ることがわかる。また、合金
3−26については、Mg含有量が本発明の範囲外であ
ったため、熱間圧延時に割れを生じて、圧延板が作製で
きなかった。 (実施例4)第4発明による成形アルミニウム合金板の
製造方法の実施例を比較例と対比して説明する。表1、
3および5中の合金1−2、2−2および3−2を溶解
し、溶湯量の0.02〜0.7重量%に相当する量のN
a、Sr、Sb、Ca、Te、Ba、Li、P、Asお
よびSeを単独あるいは複合で、それぞれ、金属単体
で、それらの元素を含むフラックスの形で、あるいは、
Alとそれらの元素の母合金の形で添加して凝固させた
後、常法により、面削、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延
および焼鈍して、板圧1mmの冷延板を作製した。得ら
れた各アルミニウム合金板について、実施例1の場合と
同様の方法で、引張特性、成形性および耐食性を評価し
た。各特性の評価結果を表7に示す。合金板の性能の目
標としては、それぞれ、合金1−2は実施例1、合金2
−2は実施例2、合金3−2は実施例3の値を目安とし
た。
【0029】表7から明らかなように、本発明による製
造方法で製造されたアルミニウム合金板は、上記目標を
達成しているが、比較法で製造されたアルミニウム合金
板は、晶出物形態が本発明の条件をはずれるため、成形
性および耐食性共にに劣っていることがわかる。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明による成形
加工用アルミニウム合金板は、スクラップ等のリサイク
ル材を原料としても、優れた成形性および耐食性を低コ
ストにて発揮できることから、各種器物、缶、その他の
広範な用途に使用できるものである。したがって、本発
明は工業的価値の極めて高い発明であるといえる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C22F 1/00 601 C22F 1/00 601 630 630K 640 640A 673 673 681 681

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 Si:1.2%以下、 Fe:1.5%以下、 Cu:0.50%以下、 Mn:0.20%以下、 Mg:0.20%以下、 Zn:0.50%以下、 Ti:0.20%以下、および 残部:Alおよび不可避的不純物 から成り、且つ板の圧延方向に平行で板面に垂直な断面
    で見られる最大径が10μm以上である晶出物の個数が
    300個/mm2 以下で、かつ、最大径と最小径の比
    (最大径/最小径)が3.5以上である晶出物の個数が
    100個/mm2 以下であることを特徴とする成形用ア
    ルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 Si:1.2%以下、 Fe:1.5%以下、 Cu:0.50%以下、 Mn:0.30〜1.5%、 Mg:0.20〜1.3%、 Cr:0.35%以下、 Zn:0.50%以下、 Ti:0.20%以下、および 残部:Alおよび不可避的不純物 から成り、且つ板の圧延方向に平行で板面に垂直な断面
    で見られる最大径が10μm以上である晶出物の個数が
    300個/mm2 以下で、かつ、最大径と最小径の比
    (最大径/最小径)が3.5以上である晶出物の個数が
    100個/mm2 以下であることを特徴とする成形用ア
    ルミニウム合金板。
  3. 【請求項3】 重量%で、 Si:1.2%以下、 Fe:1.5%以下、 Cu:0.50%以下、 Mn:1.5%以下、 Mg:2.0〜8.0%、 Cr:0.35%以下、 Zn:0.50%以下、 Ti:0.20%以下、および 残部:Alおよび不純物 から成り、且つ板の圧延方向に平行で板面に垂直な断面
    で見られる最大径が10μm以上である晶出物の個数が
    300個/mm2 以下で、かつ、最大径と最小径の比
    (最大径/最小径)が3.5以上である晶出物の個数が
    100個/mm2 以下であることを特徴とする成形用ア
    ルミニウム合金板。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれか1項に記
    載のアルミニウム合金板の製造方法であって、溶解、鋳
    造、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延および焼鈍を順次行
    って圧延板を形成する際に、上記鋳造時にNa、Sr、
    Sb、Ca、Te、Ba、Li、K、Bi、P、As、
    Seのうちの1種以上を、合計で0.005〜0.3重
    量%添加することを特徴とする成形用アルミニウム合金
    板の製造方法。
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