JP2002256402A - 熱交換器のフィン材の製造方法 - Google Patents

熱交換器のフィン材の製造方法

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JP2002256402A
JP2002256402A JP2001055748A JP2001055748A JP2002256402A JP 2002256402 A JP2002256402 A JP 2002256402A JP 2001055748 A JP2001055748 A JP 2001055748A JP 2001055748 A JP2001055748 A JP 2001055748A JP 2002256402 A JP2002256402 A JP 2002256402A
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Shu Kuroda
周 黒田
Ken Toma
建 当摩
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MA Aluminum Corp
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Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ろう付け後に高い強度を有し、高熱伝導性を
有するとともに、自己耐食性、耐エロージョン性に優れ
た熱交換器のフィン材の製造方法を提供する。 【解決手段】 0.3重量%以上2.0重量%以下のM
nと、0.5重量%を超え1.5重量%以下のSiと、
0.7重量%以上2.0重量%以下のFeとを含有し、
残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金を
用い、溶湯を鋳造する際の冷却速度を15〜1000℃
/secとして板材又はスラブを作製し、次いで、板材
を作製した場合には熱間圧延せずに冷間圧延を行い、ス
ラブを作製した場合には熱間圧延を行った後、冷間圧延
を行い、次いで、460〜600℃の温度で、4時間以
内の中間焼鈍を少なくとも1回施し、最終圧延率が15
〜50%となるようにさらに冷間圧延を行うことによ
り、熱交換器のフィン材を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 この発明は、冷媒
通路形成体にろう付けした後に高い強度を有し、高熱伝
導性を有するとともに、自己耐食性と耐エロージョン性
に優れた熱交換器のフィン材の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】自動車等には、エンジン冷却系のラジエ
ータ、空調系のコンデンサ、エバポレータなどの熱交換
器が使用されており、このような熱交換器においては、
例えば管材からなる冷媒通路形成体に、フィン材をアル
ミニウム−シリコン合金等のろう材によりろう付けして
金属的に結合させ、伝熱面積を広くすることにより熱交
換効率の向上を図っている。従来、フィン材としては、
熱伝導率の良いアルミニウム合金(例えば、AA105
0合金などの純アルミニウム系合金、AA3003合金
などのアルミニウム−マンガン系合金、アルミニウム−
鉄系合金など)が一般に用いられている。
【0003】また、近年、自動車等においては、CO2
ガス排出量を低減するために、燃費の向上と車両重量の
低減が必要になっており、これに伴って、自動車等の部
品の1つである熱交換器についても、軽量かつ小型で熱
交換効率の高い熱交換器の開発が進められている。
【0004】このような性質を有する熱交換器を実現す
るための手段の1つとして、熱交換器を構成するフィン
材の薄肉化が検討されており、フィン材の薄肉化に伴っ
て、冷媒通路形成体にろう付けした後に高い強度を有
し、高熱伝導性を有するとともに、自己耐食性に優れ、
耐エロージョン(侵食)性に優れたフィン材の開発が必
要になっている。
【0005】以下に、フィン材の薄肉化に伴って、自己
耐食性、耐エロージョン性に優れたフィン材の開発が必
要になっている理由について説明する。フィン材には従
来から冷媒通路形成体の腐食を防止するための犠牲陽極
材としての作用が付与されているが、薄いフィン材が腐
食されると熱交換器コアとしての強度、熱交換率を確保
することができず、製品寿命が短くなるため、犠牲陽極
材としての作用を有するとともに、自己耐食性を有する
ことが必要になっている。特に、自動車のエバポレータ
ーやコンデンサでは腐食されやすい環境にあるため、自
己耐食性の高いフィン材が必要になっている。
【0006】また、一般にアルミニウム合金の表面には
自然酸化被膜が形成され、この酸化被膜が保護膜として
機能するが、冷媒通路形成体にフィン材をろう付けする
際には、フィン材表面のろう付けを行う箇所の酸化被膜
をあらかじめ破壊してから、溶融させたろう材を用いて
フィン材のろう付けを行うため、フィン材の耐エロージ
ョン性が低い場合には、フィン材がろう材によって侵食
され、薄いフィン材では熱交換器として必要な強度が得
られなくなり、さらには熱交換器としての構造が保てな
くなるという恐れがある。したがって、フィン材にはろ
う材に対する耐エロージョン性を有することが必要にな
っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、種々の組成を有
するフィン材が提案されているが、上記の性質をすべて
満足できるフィン材は開発されていないのが現状であ
る。例えば、特許第2846544号には、強度と熱伝
導性に優れたフィン材として、Si:0.3〜0.8重
量%、Fe:0.5〜1.5重量%、Ni:0.1〜
2.0重量%等を含有するアルミニウム合金からなるフ
ィン材が開示されているが、このフィン材は、高強度と
高熱伝導性を有するものの、耐エロージョン性や自己耐
食性については記載されていない。
【0008】また、特開平11−172386号公報に
は、鋳造時の冷却速度と最終圧延率を規定した、耐エロ
ージョン性に優れた熱交換器用Al合金フィン材の製造
方法が開示されているが、この製造方法により製造され
るフィン材は耐エロージョン性に優れるものの、強度、
熱伝導性、自己耐食性については記載されていない。
【0009】また、特許第2786641号には、M
n:0.8〜1.3重量%、Si:0.2〜0.7重量
%等を含有するアルミニウム合金を用い、熱間圧延温度
や中間焼鈍温度あるいは最終冷間圧延率を規定した、耐
垂下性や犠牲陽極効果に優れたアルミニウム合金薄板の
製造方法が開示されている。
【0010】この他、MnやSiを含有したアルミニウ
ム合金からなり、強度や耐垂下性に優れたフィン材又は
フィン材の製造方法は、特開平11−256261号公
報、特開平4−247841号公報、特開平5−439
99号公報、特開平4−371369号公報などに開示
されている。しかしながら、いずれのフィン材(アルミ
ニウム合金)も、強度や耐垂下性に優れるものの、熱伝
導性、耐エロージョン性、自己耐食性については記載さ
れていない。また、国際公開WO 00/05426に
は、Fe:1.2〜1.8%、Si:0.7〜0.95
%、Mn:0.3〜0.5%を含有するアルミニウム合
金を用い、鋳造時の冷却速度を10℃/sec以上と
し、中間焼鈍の温度を340〜450℃に規定したフィ
ン材の製造方法が開示されているが、この製造方法によ
り製造されるフィン材は強度と熱伝導性(電気伝導性)
に優れるものの、自己耐食性、耐エロージョン性につい
ては記載されていない。
【0011】このように、これまで、上記の性質をすべ
て満足できるフィン材は開発されていないのが現状であ
り、上記の性質のうち1つでも欠けてしまうと、熱交換
器のフィン材としての必要な特性を満足できなくなるば
かりでなく、熱交換器の熱交換機能にも支障をきたす恐
れがある。
【0012】そこで、本発明は以上の問題を解決するた
めになされたもので、ろう付け後に高い強度を有し、高
熱伝導性を有するとともに、自己耐食性、耐エロージョ
ン性に優れた熱交換器のフィン材の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は種々検討を行った結果、以下の熱交換器
のフィン材の製造方法を発明するに到った。本発明の熱
交換器のフィン材の製造方法は、所定の組成を有するア
ルミニウム合金を用い、溶湯を作製する工程と、前記溶
湯を鋳造して板材又はスラブを作製する工程と、前記板
材若しくは前記スラブを熱間圧延することにより得られ
た板材を冷間圧延する工程と、冷間圧延した前記板材に
少なくとも1回の中間焼鈍を施す工程と、中間焼鈍を施
した前記板材を所定の最終圧延率になるように、さらに
冷間圧延する工程とを有する熱交換器のフィン材の製造
方法であって、0.3重量%以上2.0重量%以下のM
nと、0.5重量%を超え1.5重量%以下のSiと、
0.7重量%以上2.0重量%以下のFeとを含有し、
残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金を
用い、前記板材又はスラブを作製する工程において、鋳
造時の冷却速度を15〜1000℃/secとし、前記
中間焼鈍を施す工程において、460〜600℃の温度
で、4時間以内の中間焼鈍を少なくとも1回施し、最終
圧延率を15〜50%とすることを特徴とする。なお、
実際の製造工程では、板材を作製する場合には板材を作
製した後、熱間圧延せずに冷間圧延を行い、スラブを作
製する場合にはスラブを作製した後、熱間圧延を行うこ
とにより板材を作製し、その後冷間圧延を行う。
【0014】本発明者は、用いるアルミニウム合金に
0.3重量%以上2.0重量%以下のMnを含有させる
ことにより、製造されるフィン材のろう付け後の強度を
向上することができること、用いるアルミニウム合金に
0.5重量%を超え1.5重量%以下のSiを含有させ
ることにより、製造されるフィン材の強度を向上するこ
とができるとともに、ろう付け後の熱伝導性を向上する
ことができること、0.7重量%以上2.0重量%以下
のFeを含有させることにより、製造されるフィン材の
熱伝導性を向上することができるとともに、ろう付け後
の強度を向上することができることを見出した。なお、
Feを2.0重量%より多く配合した場合には、製造さ
れるフィン材の自己耐食性が低下するが、上記組成とし
た場合には、製造されるフィン材は自己耐食性に優れた
ものとなることを見出した。
【0015】また、用いるアルミニウム合金中のCuの
含有量が0.1重量%以上である場合には、製造される
フィン材の自己耐食性と熱伝導性が低下すること、用い
るアルミニウム合金中のNiの含有量が0.1重量%以
上である場合には、製造されるフィン材の自己耐食性が
低下すること、用いるアルミニウム合金中のZrの含有
量が0.05重量%以上である場合には、製造されるフ
ィン材の熱伝導性が著しく低下することを見出し、用い
るアルミニウム合金に含まれる不純物の中で、Cu及び
Niの含有量をいずれも0.1重量%未満に規制し、Z
rの含有量を0.05重量%未満に規制する必要がある
ことを見出した。
【0016】また、本発明の熱交換器のフィン材の製造
方法において、用いるアルミニウム合金は、さらに、C
a:0.001〜0.5重量%を含有するものであるこ
とが望ましい。本発明者は用いるアルミニウム合金に、
Ca:0.001〜0.5重量%を含有させることによ
り、製造されるフィン材のろう付け後の熱伝導性、強
度、自己耐食性を向上することができることを見出し
た。
【0017】また、本発明の熱交換器のフィン材の製造
方法において、用いるアルミニウム合金は、さらに、M
g:0.05〜0.5重量%、Cr:0.01〜0.2
重量%、V:0.01〜0.2重量%、Ti:0.01
〜0.2重量%のうち、少なくとも1種を含有するもの
であることが望ましい。本発明者は、用いるアルミニウ
ム合金に、Mg:0.05〜0.5重量%、Cr:0.
01〜0.2重量%、V:0.01〜0.2重量%、T
i:0.01〜0.2重量%のうち、少なくとも1種を
含有させることにより、製造されるフィン材のろう付け
後の強度を向上することができることを見出した。
【0018】また、本発明の熱交換器のフィン材の製造
方法において、用いるアルミニウム合金は、さらに、Z
n:0.01〜3.0重量%、In:0.001〜0.
1重量%、Sn:0.01〜0.2重量%のうち、少な
くとも1種を含有するものであることが望ましい。本発
明者は、用いるアルミニウム合金に、Zn:0.01〜
3.0重量%、In:0.001〜0.1重量%、S
n:0.01〜0.2重量%のうち、少なくとも1種を
含有させることにより、製造されるフィン材の電位を卑
にして、犠牲陽極材としての作用を持たせることができ
ることを見出した。なお、Znを3.0重量%より多く
含有させた場合には、製造されるフィン材の自己耐食性
が低下することを見出した。
【0019】また、本発明者は、フィン材の製造工程に
おいて、アルミニウム合金を鋳造する際の冷却速度を1
5〜1000℃/secとし、板材(スラブを作製した
場合にはスラブを熱間圧延することにより得られた板
材)を冷間圧延した後、460〜600℃の温度で、4
時間以内の中間焼鈍を少なくとも1回施し、最終圧延率
が15〜50%となるようにさらに冷間圧延することに
より、製造されるフィン材の耐エロージョン性と熱伝導
性を向上させることができることを見出した。なお、特
開平11−172386号公報には、本発明と同様に、
鋳造時の冷却速度と最終圧延率とを規定した、耐エロー
ジョン性を有するフィン材の製造方法が開示されている
が、本発明ではさらに中間焼鈍の条件を上記のように規
定することにより、耐エロージョン性のみならず、熱伝
導性を向上させることができる。
【0020】したがって、本発明の熱交換器のフィン材
の製造方法によれば、ろう付け後に高い強度を有し、高
熱伝導性を有するとともに、自己耐食性、耐エロージョ
ン性に優れたフィン材を製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明に係る実施形態の熱交換器
のフィン材の製造方法について説明する。はじめに、用
いるアルミニウム合金の組成について説明する。本実施
形態では、0.3重量%以上2.0重量%以下のMn
と、0.5重量%を超え1.5重量%以下のSiと、
0.7重量%以上2.0重量%以下のFeとを含有し、
残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金を
用いる。また、用いるアルミニウム合金に含まれる不純
物の中で、Cu及びNiの含有量がいずれも0.1重量
%未満であり、かつ、Zrの含有量が0.05重量%未
満であることが望ましい。また、用いるアルミニウム合
金が、さらに、Ca:0.001〜0.5重量%を含有
するものであることが望ましい。
【0022】また、用いるアルミニウム合金が、さら
に、Mg:0.05〜0.5重量%、Cr:0.01〜
0.2重量%、V:0.01〜0.2重量%、Ti:
0.01〜0.2重量%のうち、少なくとも1種を含有
するものであることが望ましい。また、用いるアルミニ
ウム合金が、さらに、Zn:0.01〜3.0重量%、
In:0.001〜0.1重量%、Sn:0.01〜
0.2重量%のうち、少なくとも1種を含有するもので
あることが望ましい。
【0023】以上のような組成のアルミニウム合金を用
いることにより、高強度、高熱伝導性を有するととも
に、自己耐食性、耐エロージョン性に優れた熱交換器の
フィン材を製造することができる。
【0024】以下に、各成分について上記配合とするこ
との効果について説明する。 (a)Mn 0.3重量%以上2.0重量%以下のMnを含有させる
ことにより、フィン材を製造する際に、Mnが金属間化
合物として晶出又は析出し、製造されるフィン材のろう
付け後の強度を向上させることができる。また、フィン
材を製造する際に、(b)のSiとともに、Al−Mn
−Si系化合物を形成して、マトリックス中のSi固溶
度を低下させ、マトリックスの融点を向上させることが
できる。
【0025】なお、Mnの含有量を0.3重量%未満と
した場合には、これらの効果を十分に得ることができな
い。また、Mnの含有量を2.0重量%より多くした場
合には、製造されるフィン材の強度を向上させることが
できるものの、熱伝導性が著しく低下するという問題が
発生する。
【0026】(b)Si 0.5重量%を超え1.5重量%以下のSiを含有させ
ることにより、Siが、(a)のMnとともに形成する
Al−Mn−Si系化合物として分散されるか、あるい
は、マトリックス中に固溶して、製造されるフィン材の
強度を向上させることができる。また、(a)のMnと
ともにAl−Mn−Si系化合物を形成することによ
り、製造されるフィン材のろう付け後のMn固溶度を低
下させ、熱伝導性を向上させることができる。
【0027】なお、Siの含有量を0.5重量%以下と
した場合には、これらの効果を十分に得ることができな
い。また、Siの含有量を1.5重量%より多くした場
合には、製造されるフィン材の融点が低下するため、フ
ィン材を冷媒通路形成体にろう付けする際にフィン材が
溶融するという問題が発生する。また、Siの含有量を
1.5重量%より多くした場合には、製造されるフィン
材の熱伝導性が低下するという問題も発生する。
【0028】(c)Fe 0.7重量%以上2.0重量%以下のFeを含有させる
ことにより、フィン材を製造する際に、Feが金属間化
合物として晶出又は析出し、製造されるフィン材のろう
付け後の強度を向上させることができる。また、(a)
のMn又は(b)のSiとともに、Al−Mn−Fe、
Al−Fe−Si、Al−Mn−Fe−Si系化合物を
形成して、マトリックス中のMnやSiの固溶度を低下
させ、製造されるフィン材の熱伝導性を向上させること
ができる。
【0029】なお、Feの含有量を0.7重量%未満と
した場合には、これらの効果を十分に得ることができな
い。また、Feの含有量を2.0重量%より多くした場
合には、製造されるフィン材の自己耐食性が低下して腐
食速度が速くなる、フィン材を製造する際に巨大晶出物
が出現し、鋳造性や圧延性が著しく低下するという問題
が発生する。
【0030】(d)Ca 0.001〜0.5重量%のCaを含有させることによ
り、製造されるフィン材をろう付けする際の冷却工程で
マトリックス中に固溶した(b)のSiの析出を促進す
るとともに、析出物を微細化し、ろう付け後の熱伝導性
と強度を向上させることができる。また、析出物を微細
化させるため、腐食する際のアノード起点及び局部カソ
ードとしての効果を低下させ、ろう付け後の自己耐食性
を著しく向上させることができる。
【0031】なお、Caの含有量を0.001重量%未
満とした場合には、これらの効果を十分に得ることがで
きない。また、Caの含有量を0.5重量%より多くし
た場合には、製造されるフィン材の加工性が低下する、
原料コストが増加するという問題が発生する。
【0032】(e)Mg 0.05〜0.5重量%のMgを含有させることによ
り、Mgがマトリックス中に固溶して、製造されるフィ
ン材の強度を向上させることができる。なお、Mgの含
有量を0.05重量%未満とした場合には、この効果を
十分に得ることができず、Mgの含有量を0.5重量%
より多くした場合には、製造されるフィン材のろう付け
性が低下するという問題が発生する。
【0033】(f)Cr 0.01〜0.2重量%のCrを含有させることによ
り、製造されるフィン材をろう付けした後にCrが微細
な金属間化合物として分散し、強度を向上させることが
できる。なお、Crの含有量を0.01重量%未満とし
た場合には、この効果を十分に得ることができず、Cr
の含有量を0.2重量%より多くした場合には、製造さ
れるフィン材の加工性、自己耐食性、熱伝導性が低下す
るという問題が発生する。
【0034】(g)V 0.01〜0.2重量%のVを含有させることにより、
製造されるフィン材をろう付けした後にVが微細な金属
間化合物として分散し、強度を向上させることができ
る。なお、Vの含有量を0.01重量%未満とした場合
には、この効果を十分に得ることができず、Vの含有量
を0.2重量%より多くした場合には、製造されるフィ
ン材の加工性、自己耐食性、熱伝導性が低下するという
問題が発生する。
【0035】(h)Ti 0.01〜0.2重量%のTiを含有させることによ
り、製造されるフィン材をろう付けした後にTiが微細
な金属間化合物として分散し、強度を向上させることが
できる。なお、Tiの含有量を0.01重量%未満とし
た場合には、この効果を十分に得ることができず、Ti
の含有量を0.2重量%より多くした場合には、製造さ
れるフィン材の加工性、自己耐食性、熱伝導性が低下す
るという問題が発生する。
【0036】(i)Zn 0.01〜3.0重量%のZnを含有させることによ
り、製造されるフィン材の電位を卑にして、冷媒通路形
成体に対する犠牲陽極材としての機能を持たせることが
できる。なお、Znの含有量を0.01重量%未満とし
た場合には、この効果を十分に得ることができず、Zn
の含有量を3.0重量%より多くした場合には、製造さ
れるフィン材の自己耐食性が低下し、腐食速度が速くな
るという問題が発生する。
【0037】(j)In 0.001〜0.1重量%のInを含有させることによ
り、製造されるフィン材の電位を卑にして、冷媒通路形
成体に対する犠牲陽極効果を向上させることができる。
なお、Inの含有量を0.001重量%未満とした場合
には、この効果を十分に得ることができず、Inの含有
量を0.1重量%より多くした場合には、それ以上の効
果を得ることができず、原料コストが増加するだけであ
る。
【0038】(k)Sn 0.01〜0.2重量%のSnを含有させることによ
り、製造されるフィン材の電位を卑にして、冷媒通路形
成体に対する犠牲陽極効果を向上させることができる。
なお、Snの含有量を0.01重量%未満とした場合に
は、この効果を十分に得ることができず、Snの含有量
を0.2重量%より多くした場合には、それ以上の効果
を得ることができず、原料コストが増加するだけであ
る。
【0039】(l)Cu、Ni Cuの含有量が0.1重量%以上である場合には、製造
されるフィン材の自己耐食性、熱伝導性が低下するとい
う問題が発生する。また、Niの含有量が0.1重量%
以上である場合には、製造されるフィン材の自己耐食性
が低下するという問題が発生する。したがって、不純物
の中で、Cu及びNiの含有量をいずれも0.1重量%
未満に規制する必要がある。
【0040】(m)Zr Zrの含有量が0.05重量%以上である場合には、製
造されるフィン材の熱伝導性が著しく低下するという問
題が発生する。したがって、不純物の中で、Zrの含有
量を0.05重量%未満に規制する必要がある。
【0041】次に、上記組成を有するアルミニウム合金
を用いてフィン材を製造する方法について説明する。は
じめに溶解法などにより、上記組成を有するアルミニウ
ム合金の溶湯を作製する。次に、この溶湯を鋳造するこ
とにより、板材又はスラブを作製する。この工程におい
て、冷却速度を15〜1000℃/secに設定する。
鋳造方法としては、例えば、水冷双ロールを用いた連続
鋳造圧延法などを採用することができるが、本発明はこ
の方法に限定されるものではない。
【0042】このように、鋳造時の冷却速度を15℃/
sec以上と、冷却速度を速く設定することにより、鋳
造工程において、元素を過飽和に固溶させることができ
るため、微細かつ均一な晶出物を分散させることができ
る。また、この後の中間焼鈍を施す際にAl−Mn−S
i系化合物の析出を促進させることができ、Mn固溶度
を低下させ、製造されるフィン材の熱伝導性を向上させ
ることができる。なお、冷却速度を1000℃/sec
より速く設定することは現実的に困難であるため、冷却
速度を15〜1000℃/secに設定する。
【0043】次に、板材を作製した場合には熱間圧延せ
ずに冷間圧延し、スラブを作製した場合には熱間圧延を
行うことにより板材を作製し、その後冷間圧延する。次
に、冷間圧延した板材に少なくとも1回の中間焼鈍を施
す。このとき、460〜600℃、より好ましくは50
0〜580℃、さらに好ましくは530〜570℃の温
度で、4時間以内の中間焼鈍を少なくとも1回施す。こ
のように、460〜600℃の温度で、4時間以内の中
間焼鈍を少なくとも1回施すことにより、Al−Mn−
Si系化合物の形成を促進させ、製造されるフィン材の
ろう付け後のMn固溶度を低下させることができ、熱伝
導性を向上させることができる。
【0044】また、先の鋳造工程において、冷却速度を
15〜1000℃/secと速く設定することにより、
鋳造工程で得られる晶出物が微細になるとともに少なく
なるため、再結晶粒の核となり得る化合物が少なくな
り、製造されるフィン材をろう付けする際の熱処理にお
いて再結晶しにくく、ろう材による侵食が著しくなって
ろう付け性が低下する恐れがあるが、上記の条件で中間
焼鈍を施すことにより、晶出物が成長し再結晶粒の核を
形成することができ、製造されるフィン材の耐エロージ
ョン性を向上させ、ろう付け性を向上させることができ
る。
【0045】460℃より低い温度で処理した場合に
は、Al−Mn−Si系化合物の析出が不十分であり、
再結晶粒の核となる晶出物の成長が促進されない。ま
た、600℃より高い温度で処理した場合には、元素が
固溶して、製造されるフィン材の熱伝導性が低下する。
したがって、中間焼鈍の温度は460〜600℃が好ま
しい。なお、中間焼鈍の温度を高くするにつれて、得ら
れるフィン材の耐エロージョン性を向上することができ
る。一方、中間焼鈍の温度を460℃から550℃まで
高くするにつれて、得られるフィン材の熱伝導性を向上
することができるが、中間焼鈍の温度が550℃を超え
ると熱伝導性が低下していく。したがって、中間焼鈍の
温度を、550℃を挟んだ所定の範囲に設定することが
好ましい。具体的には、中間焼鈍の温度をより好ましく
は500〜580℃、さらに好ましくは530〜570
℃とすることが望ましく、このように設定することによ
り、強度、熱伝導性、自己耐食性、耐エロージョン性に
優れたフィン材を提供することができる。また、中間焼
鈍の処理時間を4時間より長く処理した場合には、それ
以上の効果が得られないので、フィン材の生産効率を向
上させるために4時間以下の処理を行うことが望まし
い。なお、中間焼鈍は連続式(CAL)で行ってもよい
し、バッチ式で行ってもよい。
【0046】最後に、最終圧延率が15〜50%になる
ように、さらに冷間圧延することにより、熱交換器のフ
ィン材が製造される。最終圧延率を15〜50%とする
ことにより、成形性の良いフィン材を製造することがで
きる。また、製造されるフィン材をろう付けする際の熱
処理で再結晶させるとともに、再結晶粒径を大きくする
ことができるので、製造されるフィン材の耐エロージョ
ン性を向上させ、ろう材による侵食を抑制することがで
きる。
【0047】なお、最終圧延率を15%未満とした場合
には、製造されるフィン材をろう付けする際の熱処理で
再結晶せず、最終圧延率を50%より高くした場合には
フィン材の成形性が低下するとともに、再結晶粒が微細
になって、フィン材の耐エロージョン性が低下し、ろう
材による侵食が大きくなるという問題が発生する。
【0048】
【実施例】次に、本発明に係る実施例について説明す
る。 (実施例1〜12、比較例1〜9)表1、表2に示す組
成のアルミニウム合金No.1〜21を用い、溶解法に
より溶湯を作製し、溶湯を幅:200mm×長さ:50
0mm×厚さ:7mmの鋳型に鋳造して板材を作製した
後、板材を冷間圧延し、次いでソルトバスを用いて中間
焼鈍を施し、さらに冷間圧延することによりフィン材を
製造した。いずれについても、用いるアルミニウム合金
以外の条件は同一条件でフィン材の製造を行った。用い
たアルミニウム合金No.と、鋳造時の冷却速度、中間
焼鈍の条件、最終圧延率、及び得られたフィン材の性能
評価を行った結果を表3に示す。なお、表3に示すよう
に、いずれについても、鋳造時の冷却速度を100℃/
sec、中間焼鈍の条件を540℃、50秒、最終圧延
率を30%、最終板厚を0.08mmとした。得られた
フィン材の性能評価の項目及び評価方法については後述
する。
【0049】なお、表1に示すアルミニウム合金No.
1〜No.12が、本発明の熱交換器のフィン材の製造
方法で規定したアルミニウム合金であり、表2に示すア
ルミニウム合金No.13〜No.21が、いずれかの
成分が本発明の熱交換器のフィン材の製造方法で規定し
たアルミニウム合金から外れたものである。(表2にお
いて、本発明の熱交換器のフィン材の製造方法で規定し
たアルミニウム合金から外れた成分を*印で示してい
る。)また、表1、表2には、アルミニウム以外の成分
についてのみ示し、いずれのアルミニウム合金について
も残部はアルミニウムとなっている。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】(実施例13〜23、比較例10〜14)
また、表1に示したアルミニウム合金No.1を用い
て、鋳造時の冷却速度、中間焼鈍の条件、最終圧延率を
変えてフィン材の製造を行った。鋳造時の冷却速度、中
間焼鈍の条件、最終圧延率、及び得られたフィン材の性
能評価を行った結果を表4に示す。表4に示すように、
実施例1を基本とし、実施例1の製造条件のうち1つの
条件のみを変えてフィン材の製造を行った。なお、鋳造
時の冷却速度、中間焼鈍の条件、最終圧延率以外の条件
はすべて実施例1〜12、比較例1〜9と同一条件でフ
ィン材を製造した。表4には、参考のために、実施例1
についても合わせて記載している。また、表4におい
て、本発明の熱交換器のフィン材の製造方法から外れた
条件を*印で示している。
【0054】
【表4】
【0055】(フィン材の性能評価)ここで、実施例1
〜23、比較例1〜14において、得られたフィン材の
性能評価の項目、評価方法、及び判定基準について説明
する。なお、表3、表4において、ろう付け後の引張強
さ、電気伝導度、ろう材による最大侵食深さについて判
定基準を満たしていないものについて*印を付してい
る。
【0056】<ろう付け後の引張強さ(強度)>ろう付
け後のフィン材の強度の評価として、フィン材単体を高
純度窒素雰囲気下、600〜610℃で5分間保持し、
次いで冷却速度100℃/minで常温まで冷却するろ
う付け相当熱処理を施した後、引張試験を行い、引張強
さを測定した。AA3003合金等を用いて作製された
従来のフィン材の引張強さが約110N/mm2である
ことから、引張強さが130N/mm2以上であったも
のを十分に強度があると判定した。
【0057】<電気伝導度(熱伝導性)>フィン材の熱
伝導性は電気伝導度に置き換えて評価することができる
ので、フィン材単体に、上記のろう付け相当熱処理を施
した後、電気伝導度をダブルブリッジ法により測定し
た。AA3003合金等を用いて作製された従来のフィ
ン材の電気伝導度が約38%IACSであることから、
電気伝導度が45%IACS以上であったものを十分に
熱伝導性があると判定した。
【0058】<ろう材によるフィン材の最大侵食深さ
(耐エロージョン性)>耐エロージョン性の評価とし
て、コルゲート加工を施したフィン材と片面にろう材を
クラッドしたブレージングシートとを組み付け、これに
フラックスを塗布した後、高純度窒素雰囲気下、590
〜600℃で5分間保持し、次いで冷却速度100℃/
minで常温まで冷却するろう付け相当熱処理を施し、
その後断面観察を行うことにより、ろう材によるフィン
材の最大侵食深さを測定した。
【0059】なお、ブレージングシートとしては、芯材
がAl−1重量%Mn−0.15重量%Cu(AA30
03)、ろう材がAl−10重量%Si(AA404
5)で、芯材:ろう材=90:10のクラッド率となる
ように芯材の片面にろう材をクラッドした板厚0.30
mmのものを用いた。また、板厚0.08mmのフィン
材の強度を十分に確保できることから、ろう材による最
大侵食深さが20μm以下のものを十分に耐エロージョ
ン性があると判定した。
【0060】<腐食減量(自己耐食性)>自己耐食性の
評価として、「ASTMB117」に準拠する塩水噴霧
試験(SST)を10日間実施し、フィン材の腐食減量
を測定した。AA3003合金等を用いて作製された従
来のフィン材の腐食減量が約200mg/dm2である
ことから、腐食減量が200mg/dm2未満であった
ものを製品として問題がない程度の自己耐食性を有して
いると判定し、腐食減量が180mg/dm2以下であ
ったものを高い自己耐食性を有していると判定した。な
お、表3、表4において、腐食減量が180mg/dm
2以下であったものを◎、腐食減量が180mg/dm2
より大きく、200mg/dm2未満であったものを
○、腐食減量が200mg/dm2以上であったものを
×で示している。
【0061】<加工性、ろう付け性>得られたフィン材
の加工性、ろう付け性について評価を行い、加工性、ろ
う付け性が低かったものについて、表3の備考欄にその
旨を記載している。加工性が低いとは、具体的には、圧
延中にサイドクラック、若しくは表面クラックが発生す
ることを意味し、圧延時の製品歩留まりが50%以下の
ものを加工性が低いと判定した。また、ろう付け時の接
合率が95%未満であったものをろう付け性が低いと判
定した。
【0062】(結果)表1、表3に示すように、本発明
のアルミニウム合金を用いてフィン材の製造を行った実
施例1〜12では、十分な強度、熱伝導性、耐エロージ
ョン性、自己耐食性、加工性、ろう付け性を有するフィ
ン材を製造することができた。
【0063】これに対して、表2、表3に示すように、
Mnの含有量が2.0重量%より多いアルミニウム合金
を用いた比較例1では得られたフィン材の熱伝導性が低
く、Mnの含有量が2.0重量%より多く、Feの含有
量が2.0重量%より多いアルミニウム合金を用いた比
較例2では得られたフィン材の熱伝導性と自己耐食性が
低かった。Mnの含有量が0.3重量%より少なく、S
iの含有量が1.5重量%より多く、CuとNiの含有
量がいずれも0.1重量%以上であるアルミニウム合金
を用いた比較例3では得られたフィン材の熱伝導性、耐
エロージョン性、自己耐食性、ろう付け性が低く、Fe
の含有量が2.0重量%より多く、Caの含有量が0.
5重量%より多く、Znの含有量が3重量%より多いア
ルミニウム合金を用いた比較例4では得られたフィン材
の耐エロージョン性、自己耐食性、加工性が低かった。
【0064】CuとNiの含有量がいずれも0.1重量
%以上で、Crの含有量が0.2重量%より多いアルミ
ニウム合金を用いた比較例5では得られたフィン材の熱
伝導性、自己耐食性が低く、Siの含有量が0.5重量
%以下で、Znの含有量が3.0重量%より多いアルミ
ニウム合金を用いた比較例6では得られたフィン材の強
度、熱伝導性が低かった。Feの含有量が0.7重量%
未満で、Mgの含有量が0.5重量%より多いアルミニ
ウム合金を用いた比較例7では得られたフィン材の強
度、熱伝導性、ろう付け性が低く、Zrの含有量が0.
05重量%以上で、Vの含有量が0.2重量%より多
く、Inの含有量が0.1重量%より多いアルミニウム
合金を用いた比較例8では得られたフィン材の熱伝導性
が低く、Cuの含有量が0.1重量%以上で、Tiの含
有量が0.2重量%より多く、Snの含有量が0.2重
量%より多いアルミニウム合金を用いた比較例9では得
られたフィン材の自己耐食性が低かった。このように、
比較例1〜9においては、強度、熱伝導性、耐エロージ
ョン性、自己耐食性、加工性、ろう付け性のすべてを満
足するフィン材を製造することができなかった。
【0065】また、表4に示すように、同じアルミニウ
ム合金No.1を用いてフィン材の製造を行っても、製
造条件によって、得られるフィン材の性能が変化するこ
とが判明した。表4に示すように、鋳造時の冷却速度を
15〜1000℃/sec、中間焼鈍を460〜600
℃で4時間以内、最終圧延率を15〜50%とした実施
例1及び実施例13〜23では、十分な強度、熱伝導
性、耐エロージョン性、自己耐食性を有するフィン材を
製造することができた。また、実施例14〜21に示す
ように、中間焼鈍の温度が高くなるほど、耐エロージョ
ン性が向上することが判明した。また、実施例14〜2
1に示すように、中間焼鈍の温度が460℃から550
℃まで高くなるにつれて熱伝導性は向上するが、550
℃より高くすると熱伝導性が低下していくことが判明
し、熱伝導性に関しては中間焼鈍の温度を550℃とし
たときに最適であることが判明した。
【0066】これに対して、鋳造時の冷却速度を15℃
/sec未満とした比較例10では得られたフィン材の
強度、耐エロージョン性が低く、中間焼鈍の温度を46
0℃未満とした比較例11では得られたフィン材の強
度、熱伝導性、耐エロージョン性が低く、中間焼鈍の温
度を600℃より高くした比較例12では得られたフィ
ン材の熱伝導性が低く、最終圧延率を15%未満とした
比較例13では得られたフィン材の耐エロージョン性が
低く、最終圧延率を50%より高くした比較例14では
得られたフィン材の耐エロージョン性が低く、比較例1
0〜14においては、強度、熱伝導性、耐エロージョン
性、自己耐食性のすべてを満足するフィン材を製造する
ことができなかった。なお、実施例13〜23、比較例
10〜14についてはいずれも自己耐食性、加工性、ろ
う付け性については良好であった。
【0067】以上の結果から鋳造時の冷却速度を15℃
/sec以上、中間焼鈍の温度を460〜600℃、最
終圧延率を15〜50%にすることが望ましいことが判
明した。なお、冷却速度を1000℃/secより速く
設定することは現実的に困難であり、また、中間焼鈍の
処理時間を4時間より長くした場合には、それ以上の効
果が得られないので、フィン材の生産効率を向上させる
ために中間焼鈍の処理時間を4時間以下とすることが望
ましい。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ろう付け後に高い強度を有し、高熱伝導性を有するとと
もに、自己耐食性、耐エロージョン性に優れた熱交換器
のフィン材の製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 630 C22F 1/00 630M 640 640A 650 650F 651 651A 681 681 683 683 685 685Z 686 686A 686B 691 691B 691C 694 694A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の組成を有するアルミニウム合金を
    用い、 溶湯を作製する工程と、 前記溶湯を鋳造して板材又はスラブを作製する工程と、 前記板材若しくは前記スラブを熱間圧延することにより
    得られた板材を冷間圧延する工程と、 冷間圧延した前記板材に少なくとも1回の中間焼鈍を施
    す工程と、 中間焼鈍を施した前記板材を所定の最終圧延率になるよ
    うに、さらに冷間圧延する工程とを有する熱交換器のフ
    ィン材の製造方法であって、 0.3重量%以上2.0重量%以下のMnと、0.5重
    量%を超え1.5重量%以下のSiと、0.7重量%以
    上2.0重量%以下のFeとを含有し、残部がAlと不
    可避不純物からなるアルミニウム合金を用い、 前記板材又はスラブを作製する工程において、鋳造時の
    冷却速度を15〜1000℃/secとし、 前記中間焼鈍を施す工程において、460〜600℃の
    温度で、4時間以内の中間焼鈍を少なくとも1回施し、 最終圧延率を15〜50%とすることを特徴とする熱交
    換器のフィン材の製造方法。
  2. 【請求項2】 用いるアルミニウム合金において、Cu
    及びNiの含有量がいずれも0.1重量%未満であり、
    かつ、Zrの含有量が0.05重量%未満であることを
    特徴とする請求項1に記載の熱交換器のフィン材の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 用いるアルミニウム合金が、さらに、C
    a:0.001〜0.5重量%を含有することを特徴と
    する請求項1又は請求項2に記載の熱交換器のフィン材
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 用いるアルミニウム合金が、さらに、M
    g:0.05〜0.5重量%、Cr:0.01〜0.2
    重量%、V:0.01〜0.2重量%、Ti:0.01
    〜0.2重量%のうち、少なくとも1種を含有すること
    を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項
    に記載の熱交換器のフィン材の製造方法。
  5. 【請求項5】 用いるアルミニウム合金が、さらに、Z
    n:0.01〜3.0重量%、In:0.001〜0.
    1重量%、Sn:0.01〜0.2重量%のうち、少な
    くとも1種を含有することを特徴とする請求項1から請
    求項4までのいずれか1項に記載の熱交換器のフィン材
    の製造方法。
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