JPH115497A - トランク開口部のシール構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トランクリッド閉じ性に支障を来すことなく
シール性を向上できるトランク開口部のシール構造の提
供を図る。 【解決手段】 トランクリッド１０の裏面周縁部にトラ
ンクリッド閉時にトランク開口部１の周縁フランジ３に
装着したウエザーストリップ４の頂部６の外周側の側面
に密接するダム部１４を突設してあるため、ダム部１４
のダム作用によりウエザーストリップ４の濡れ面積が減
少してシール性を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自動車のトランク開
口部のシール構造に関する。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】自動車のトランク開口
部はその周縁フランジの全周にウエザーストリップを装
着して、トランクリッドの閉時にこのウエザーストリッ
プがトランクリッドの周縁部裏面に密接することによっ
てシールが行われるようになっている（特開平７−２６
６９８８号公報参照）。

【０００３】このウエザーストリップによるトランク開
口部周りの水密性の保持は、該ウエザーストリップのシ
ール反力（シール面圧）によって左右されるが、トラン
クリッドの建付け誤差やトランク開口部周りを構成する
車体パネルの成形誤差，組付け誤差、あるいはウエザー
ストリップの成形誤差，組付け誤差等によって、該ウエ
ザーストリップのシール反力を全周に亘って一定にする
ことが難しく、シール反力が低い部分が生じていると雨
天時にトランク開口部周りに集流する水量が多い場合
や、洗車水の直撃を受けた際にウエザーストリップとト
ランクリッド裏面との密接部分を通して水がトランクル
ーム内に侵入するおそれがある。

【０００４】このようなことから、ウエザーストリップ
自体のばね定数を高めてシール反力を高めることも考え
られるが、これではウエザーストリップの反力増大によ
ってトランクリッドの閉じ性が悪くなったり、トランク
ロック装置のロック作動に支障を来す等の新たな問題を
生じてしまう。

【０００５】そこで、本発明はトランクリッドの閉じ性
等に支障を来すことなくトランク開口部周りを確実にシ
ールすることができるトランク開口部のシール構造を提
供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１にあっては、ト
ランク開口部の周縁フランジに、トランクリッド閉時に
該トランクリッドの裏面周縁部に密接するウエザースト
リップを装着した構造において、前記トランクリッドの
裏面周縁部に、トランクリッド閉時にウエザーストリッ
プの外周側の側面に密接するダム部を突設したことを特
徴としている。

【０００７】請求項２にあっては、請求項１に記載のダ
ム部をトランクリッドの裏面周縁部の全周に設けたこと
を特徴としている。

【０００８】請求項３にあっては、請求項１，２に記載
のダム部をトランクリッドの裏面周縁部を下側に向けて
絞り成形したことを特徴としている。

【０００９】請求項４にあっては、請求項１〜３に記載
のダム部の先端部を断面半円形に丸みをもって形成した
ことを特徴としている。

【００１０】請求項５にあっては、請求項１〜４に記載
のトランクリッド閉時にウエザーストリップの頂部が密
接するトランクリッドのシール面を、該頂部が嵌合する
溝状に形成したことを特徴としている。

【００１１】請求項６にあっては、請求項１〜５に記載
のウエザーストリップの外周側の側面には、周縁フラン
ジに装着した基部の外周側の側面よりも外側へ張り出す
顎部を形成してある一方、ダム部はトランクリッド閉時
に先端が前記顎部よりも下側となる突出高さに形成し
て、トランク開口部の周囲に水が滞留すると顎部の下側
に空気室が形成されるようにしたことを特徴としてい
る。

【００１２】

【発明の効果】請求項１によれば、トランクリッドを閉
じるとその裏面周縁部に突設したダム部が、トランク開
口部の周縁フランジに装着したウエザーストリップの外
周側の側面に密接するため、このダム部により水がウエ
ザーストリップに触れるウエザーストリップの濡れ面積
を小さくすることができると共にシール面積が拡大さ
れ、しかも、トランクリッド裏面のウエザーストリップ
頂部が密接するシール面にまで至る水の侵入経路が長く
なることと併せ、洗車時等にウエザーストリップ装着部
周りに水が直撃した場合でも、ダム部によりウエザース
トリップへの水の直撃を回避することができて、トラン
ク開口部周りのシール性を一段と向上することができ
る。

【００１３】また、このようにトランクリッドの周縁部
裏面にダム部を突設することにより、トランクリッド周
縁部の剛性が高められてトランクリッド閉時おけるウエ
ザーストリップの反力でトランクリッドがねじれ変形す
るのを回避することができるため、トランクリッドの建
付け精度が高められてシール性をより一層向上すること
ができると共に、トランクリッドの建付け調整が不要と
なるからトランクリッドの組付け作業性を向上すること
もできる。

【００１４】更に、ダム部がウエザーストリップの外周
側の側面に密接して、トランクリッドのウエザーストリ
ップによる弾性支持性が高められるため、走行時におけ
るトランクリッドの振動を抑制して音振性能を向上する
ことができると共に、トランクリッド閉時の閉じ音も静
かになって高級感を出すこともできる。

【００１５】請求項２によれば、請求項１の効果に加え
て、ダム部はトランクリッドの裏面周縁部の全周に設け
てあるため、トランク開口部周りのシール性を更に高め
られると共に、トランクリッドのねじれ剛性を更に高め
ることができて、より一層品質感および信頼性を高める
ことができる。

【００１６】また、トランクリッドは通常アウタパネル
とインナパネルとをそれらの周縁をヘミング加工により
結合して構成され、従って、ダム部はインナパネルの全
周縁部に突設されることから該インナパネルの全周縁部
分の剛性を高めることができるから、ヘミング加工を容
易に行えると共にトランクリッドの成形精度を高めら
れ、品質感を更に高めることができる。

【００１７】請求項３によれば、請求項１，２の効果に
加えて、ダム部をトランクリッドの裏面周縁部を下側に
向けて絞り成形して一体成形してあるため、部品点数の
増加をなくしてコスト的に有利に得ることができる。

【００１８】請求項４によれば、請求項１〜３の効果に
加えて、ダム部はその先端部を断面半円形に丸みをもっ
て形成してあるため、トランクリッド閉時にダム部先端
によるウエザーストリップへのかじり現象がなく、安定
したリッド閉じ性を得ることかできる。

【００１９】また、トランクリッドを開けてトランクル
ームへの荷物の出し入れをする際に、作業者に対するダ
ム部のエッジ当りを和わらげて安全性を高めることがで
きる。

【００２０】請求項５によれば、請求項１〜４の効果に
加えて、トランクリッドの裏面周縁部のウエザーストリ
ップ頂部が密接するシール面を、該頂部が嵌入する溝部
として形成してあるため、シール面積を増大できると共
に、ウエザーストリップ頂部の座りが安定してウエザー
ストリップの内倒れを回避することができるため、より
一層シール性を高めることができる。

【００２１】請求項６によれば、請求項１〜５の効果に
加えて、トランク開口部周りに水が滞留した場合、ダム
部の先端とウエザーストリップの外周側の基部側面およ
び顎部との間に空気室が形成されて該空気室に空気が密
封され、水位がダム部の先端位置に略規制されるため、
トランクリッドとウエザーストリップとの密接部分が被
水するのを回避できて更にシール性を高めることができ
る。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
と共に詳述する。

【００２３】図１，２において、トランク開口部１の周
囲はパネル一般面よりも低く有段成形して樋部２を形成
してあり、このトランク開口部１の周縁はフランジアッ
プして周縁フランジ３を形成してある。

【００２４】周縁フランジ３には全周にウエザーストリ
ップ４を嵌着固定して、トランクリッド１０を閉じると
このウエザーストリップ４がトランクリッド１０の周縁
部裏面に密接してトランク開口部周りをシールするよう
にしてある。

【００２５】ウエザーストリップ４は内側に複数のフラ
ンジ保持リップ５を備えて前記周縁フランジ３に嵌着す
るソリッドゴムからなる略Ｕ字状断面の基部としてのウ
エルト部５と、該ウエルト部５と一体に押出し成形され
てトランクリッド閉時に該トランクリッド１０の周縁部
裏面に弾性変形して密接して実質的にシール機能するス
ポンジゴムからなる頂部としての中空のシールリップ６
とを備えている。

【００２６】このシールリップ６の外周の側面には後述
するダム部に密接するサブリップ７を一体に突設してあ
り、該サブリップ７の根元部の下面側がウエルト部６の
外周側の側面よも外側に張り出す顎部８を形成する。

【００２７】トランクリッド１０はアウタパネル１１と
インナパネル１２とを、それらの周縁部をヘミング加工
（巻締め）により結合して構成してあり、このトランク
リッド１０の裏面、即ち，インナパネル１２の周縁部の
トランクリッド閉時に前記シールリップ６が密接するシ
ール面１３は該シールリップ６が嵌入する溝部として形
成してある。

【００２８】また、このシール面としての溝部１３の外
周に隣接して、トランクリッド１０の閉時に前記シール
リップ６の外周側の側面に密接するダム部１４を突設し
てある。

【００２９】ここで、トランク開口部１の周縁部の中で
も洗車時に水の直撃を受け易く、また、トランクリッド
１０の建付け誤差の影響やウエザーストリップ４の内倒
れ等でシール性が問題となるのは、該トランク開口部１
の両サイドの上側コーナー部Ｃ・Ｕから下側コーナー部
Ｃ・Ｌに亘る領域であるため、前記ダム部１４はこの両
サイドの領域に設けるだけでも後述するようにシール効
果を格段と高められるが、本実施形態では前記溝部１３
の全外周に沿ってダム部１４を突設してある。

【００３０】このダム部１４はインナパネル１２と別体
成形して接合配置してもよいが、本実施形態ではインナ
パネル１２自体を溝部１３の外周に連続して下側に向け
て絞り成形して、ダム部１４の内周壁が溝部１３の外周
側の側壁を兼ねるようにしてある。

【００３１】また、ダム部１４の先端は断面半円形の丸
みをもって成形してあると共に、トランクリッドの閉時
に先端が前記顎部８よりも下側となる突出高さに形成し
て、トランク開口部１の周囲の樋部２に図１に示すよう
に水Ｗが滞留すると顎部８の下側に空気室１５が形成さ
れるようにしてある。

【００３２】以上の実施形態の構造によれば、トランク
リッド１０を閉じるとインナパネル１２の周縁部の溝部
１３にウエザーストリップ４のシールリップ６が入り込
んで弾性変形して密接すると共に、ダム部１４がシール
リップ６の外周側の側面に密接する。

【００３３】このシールリップ６の外周側の側面にはサ
ブリップ７を一体に突設してあって、該サブリップ７が
ダム部１４によって折り畳まれるように弾性変形して、
シールリップ６の外周側の側面と共に該ダム部１４に密
接するため、ダム部１４に対するシールリップ６のシー
ル反力が適切に確保される。

【００３４】このように、シールリップ６の外周側の側
面がダム部１４に密接することによって、樋部２に集流
する水がウエザーストリップ４に触れる該ウエザースト
リップ６の濡れ面積は大幅に減少されると共に、インナ
パネル１２の裏面のシールリップ６に密接するシール面
積が大幅に拡大され、かつ、シールリップ６と溝部１３
との密接部分に至る水の侵入経路が長くなる。

【００３５】しかも、洗車時等にウエザーストリップ４
の装着部周りに水が直撃した場合でも、ダム部１４によ
りウエザーストリップ４への水の直撃を回避することが
できる。

【００３６】この結果、トランクリッド１０の建付け誤
差やトランク開口部１周りを構成する車体パネルの成形
誤差，組付け誤差、あるいはウエザーストリップ４の成
形誤差，組付け誤差等によって、該ウエザーストリップ
４のシール反力が全周に亘って一定にすることが難しい
状況下にあっても、トランク開口部１周りのシール性を
一段と向上することができる。

【００３７】特に本実施形態にあっては前述のようにダ
ム部１４をドアインナパネル１２の全周縁部に設けてあ
り、また、シールリップ６にリッド閉じ方向に密接する
シール面は溝部１３として形成してシール面積を増大す
ると共にシールリップ６の座りを安定させてウエザース
トリップ４の内倒れを回避できるようにしてあるため、
より一層シール性を向上することができる。

【００３８】また、ダム部１４に密接したサブリップ７
の根元部には顎部８が形成され、該ダム部１４は先端が
この顎部８よりも下側となる突出高さに形成してあっ
て、樋部２に流れ込む水量が多くて該樋部２に水Ｗが滞
留するような場合に、ダム部１４の先端とウエザースト
リップ４のウエルト部５の外側面および顎部８との間に
空気室１５が形成されるようにしてあるため、該空気室
１５に空気が密封されて水位がダム部１４の先端位置に
略規制されるようになるから、洗車水量や降雨量の多い
状況下であってもダム部１４および溝部１３とシールリ
ップ６との密接部分が被水するのを回避できて、トラン
ク開口部１周りのシール性を確保することができる。

【００３９】一方、このようなシール効果とは別に、ト
ランクリッド１０はダム部１４の突設により周縁部の剛
性が高められてトランクリッド閉時におけるウエザース
トリップ４の反力でトランクリッド１０がねじれ変形す
るのを回避することができるから、トランクリッド１０
の建付け精度を高められて組付け作業性を向上すること
ができる。

【００４０】また、ダム部１４がシールリップ６の全外
周面に密接することから、トランクリッド１０のウエザ
ーストリップ４による弾性支持性が高められて、走行時
におけるトランクリッド１０の振動を抑制して音振性能
を向上することができると共に、トランクリッド閉時の
閉じ音も静かになって高級感を出すこともできる。

【００４１】しかも、ダム部１４の突設によりドアイン
ナパネル１２の周縁部の剛性を高めることができるか
ら、該ドアインナパネル１２とドアアウタパネル１１の
周縁のヘミング加工を容易に行えると共にトランクリッ
ド１０の成形精度を高めることができて、品質感を更に
高めることができる。

【００４２】しかも、このダム部１４はドアインナパネ
ル１２の周縁部を下側に向けて絞り成形して一体成形し
てあるため、部品点数の増加をなくしてコスト的に有利
に得ることができる。

【００４３】さらに、ダム部１４はその先端を断面半円
形に丸みをもって形成してあるため、トランクリッド閉
時にダム部先端によるシールリップ６へのかじり現象が
なく、安定したリッド閉じ性を得ることができると共
に、トランクリッド１０を開けてトランクルームへの荷
物の出し入れをする際に、作業者に対するダム部１４の
エッジ当りを和わらげて安全性を高めることができる。

【００４４】なお、本明細書でトランク開口部とはバッ
クドア型車におけるバックドア開口部を含むもので、こ
の場合前述のトランクリッドはバックドアに置き換える
ものとする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す図２のＡ−Ａ線に沿
う断面図。

【図２】自動車のトランク開口部周りを示す略示的斜視
図。

【符号の説明】

１ トランク開口部 ３ 周縁フランジ ４ ウエザーストリップ ５ ウエルト部（基部） ６ シールリップ（頂部） ８ 顎部 １０ トランクリッド １３ シール面（溝部） １４ ダム部 １５ 空気室

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トランク開口部の周縁フランジに、トラ
   ンクリッド閉時に該トランクリッドの裏面周縁部に密接
   するウエザーストリップを装着した構造において、前記
   トランクリッドの裏面周縁部に、トランクリッド閉時に
   ウエザストリップの外周側の側面に密接するダム部を突
   設したことを特徴とするトランク開口部のシール構造。
2. 【請求項２】 ダム部をトランクリッドの裏面周縁部の
   全周に設けたことを特徴とする請求項１記載のトランク
   開口部のシール構造。
3. 【請求項３】 ダム部をトランクリッドの裏面周縁部を
   下側に向けて絞り成形したことを特徴とする請求項１，
   ２記載のトランク開口部のシール構造。
4. 【請求項４】 ダム部の先端部を断面半円形に丸みをも
   って形成したことを特徴とする請求項１〜３の何れかに
   記載のトランク開口部のシール構造。
5. 【請求項５】 トランクリッド閉時にウエザーストリッ
   プの頂部が密接するトランクリッドの裏面周縁部のシー
   ル面を、該頂部が嵌合する溝部として形成したことを特
   徴とする請求項１〜４の何れかに記載のトランク開口部
   のシール構造。
6. 【請求項６】 ウエザーストリップの外周側の側面に
   は、周縁フランジに装着した基部の外周側の側面よりも
   外側へ張り出す顎部を形成してある一方、ダム部はトラ
   ンクリッド閉時に先端が前記顎部よりも下側となる突出
   高さに形成して、トランク開口部の周囲に水が滞留する
   と顎部の下側に空気室が形成されるようにしたことを特
   徴とする請求項１〜５の何れかに記載のトランク開口部
   のシール構造。