JPH11302741A - 鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法及び鉄損の低い無方向性電磁鋼板 - Google Patents

鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法及び鉄損の低い無方向性電磁鋼板

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JPH11302741A
JPH11302741A JP10129726A JP12972698A JPH11302741A JP H11302741 A JPH11302741 A JP H11302741A JP 10129726 A JP10129726 A JP 10129726A JP 12972698 A JP12972698 A JP 12972698A JP H11302741 A JPH11302741 A JP H11302741A
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Japan
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less
finish annealing
steel sheet
iron loss
temperature
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JP10129726A
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Inventor
Yoshihiko Oda
善彦 尾田
Nobuo Yamagami
伸夫 山上
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりも仕上焼鈍後の鉄損の低い電磁鋼板
を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.005%以下、Si:1.0〜
4.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%
以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下
(0を含む)、Sb+Sn/2=0.001〜0.05%を含有し、残部が
実質的にFeからなるスラブを熱間圧延したのち、冷間圧
延および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方
法において、第一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度で行
い、その後第二次の仕上焼鈍を850℃以上の温度で行う
ことを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータコアやトラ
ンスの鉄心等に使用される鉄損の低い無方向性電磁鋼板
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器の省エネルギーの観点よ
り、より鉄損の低い電磁鋼板が求められるようになって
いる。この鉄損を低減するためには結晶粒の粗大化が効
果的であり、低鉄損が特に要求されるSi+Al量が1〜3
%程度の中・高級グレードの無方向性電磁鋼板において
は、仕上焼鈍温度を1000℃程度まで高めたり、焼鈍時の
ラインスピードを下げ、焼鈍時間を長くすることにより
結晶粒の粗大化を図っている。
【0003】この仕上焼鈍時の粒成長性を良好にするた
めには、鋼板中の介在物、析出物量を低減することが効
果的である。このため、これまで介在物、析出物を無害
化することが試みられており、特に高級材ではMnSの析
出防止の観点からS量を低減させる試みがなされてき
た。
【0004】例えば、特公昭56−22391号公報に
は、Si:2.5〜3.5%、Al:0.3〜1.0%の鋼においてSを
50ppm以下、Oを25ppm以下とすることにより鉄損を低下
させる技術が開示されている。
【0005】また、特公平2−50190号公報には、
Si:2.5〜3.5%、Al:0.25〜1.0%の鋼においてSを15p
pm以下、Oを20ppm以下、Nを25ppm以下とすることによ
り鉄損を低下させる技術が開示されている。
【0006】さらに特開平5−140647号公報に
は、Si:2.0〜4.0%、Al:0.10〜2.0%の鋼においてS
を30ppm以下、Ti、Zr、Nb、Vをそれぞれ50ppm以下とす
ることにより鉄損を低下させる技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、さらなる低鉄
損化を達成するためには、従来のような介在物、析出物
を低減する手法のみでは不可能であり、新たなる鉄損低
減技術が望まれているのが現状である。本発明はこのよ
うな事情に鑑みなされたものであり、新たなる技術によ
り、従来よりも仕上焼鈍後の鉄損の低い電磁鋼板を提供
することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、鋼板中
に含まれるS量と、Sb、Snの量を所定範囲に限定し、さ
らに仕上焼鈍条件を適正化することにより、鉄損の極め
て低い無方向性電磁鋼板を得ることにある。
【0009】すなわち、前記課題を解決するための第1
の手段は、重量%で、C:0.005%以下、Si:1.0〜4.0
%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%以
下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下(0
を含む)、Sb+Sn/2=0.001〜0.05%を含有し、残部が実質
的にFeからなるスラブを熱間圧延したのち、冷間圧延お
よび仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法に
おいて、第一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度で行い、
その後第二次の仕上焼鈍を850℃以上の温度で行うこと
を特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法
(請求項1)である。
【0010】前記課題を解決するための第2の手段は、
重量%で、C:0.005%以下、Si:1.0〜4.0%、Mn:0.0
5〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%以下(0を含
む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下(0を含む)、S
b+Sn/2=0.001〜0.005%を含有し、残部が実質的にFeか
らなるスラブを熱間圧延したのち、冷間圧延および仕上
焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法において、
第一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度で行い、その後第
二次の仕上焼鈍を850℃以上の温度で行うことを特徴と
する鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法(請求項
2)である。すなわち、前記第1の手段におけるSb+Sn/
2の範囲を、さらに限定して0.001〜0.005%としたもの
である。
【0011】前記課題を解決するための第3手段は、重
量%で、C:0.005%以下、Si:1.0〜4.0%、Mn:0.05
〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%以下(0を含
む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下(0を含む)、S
b+Sn/2=0.001〜0.05%を含有し、残部が実質的にFeから
なるスラブを熱間圧延したのち、冷間圧延および仕上焼
鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法において、第
一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度にて20秒以上行い、
その後第二次の仕上焼鈍を850℃以上の温度にて10秒以
上行うことを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板の
製造方法(請求項3)である。すなわち、前記第1の手
段の仕上焼鈍の前段、後段の焼鈍時間を特定の範囲に規
定したものである。
【0012】前記課題を解決するための第4の手段は、
重量%で、C:0.005%以下、Si:1.0〜4.0%、Mn:0.0
5〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%以下(0を含
む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下(0を含む)、S
b+Sn/2=0.001〜0.005%を含有し、残部が実質的にFeか
らなるスラブを熱間圧延したのち、冷間圧延および仕上
焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方法において、
第一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度にて20秒以上行
い、その後第二次の仕上焼鈍を850℃以上の温度にて10
秒以上行うことを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼
板の製造方法(請求項4)である。すなわち、前記第2
の手段の仕上焼鈍の前段、後段の焼鈍時間を、前記第3
の手段と同じ特定の範囲に規定したものである。
【0013】以上の各手段において、「残部が実質的に
Feである」とは、本発明の作用効果を無くしない限りに
おいて、不可避不純物を始め、他の微量元素を含むもの
が本発明の範囲に入ることを意味する。また、Sb+Sn/2
の値が所定量の範囲であれば、SbとSnの一方のみを含ん
でもよい。なお、本明細書において、鋼の成分値を示す
%、ppmは、特に断らない限り重量%、重量ppmを示す。
【0014】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第1の手段から第4の手段のいずれかにより製造さ
れる無方向性電磁鋼板(請求項5)である。
【0015】(発明に至る経緯と、S、Sb、Sn含有量及
び仕上焼鈍条件の限定理由)本発明者らは、S=10ppm以
下の極低S材において鉄損低減を阻害している要因を詳
細に調査した。
【0016】最初に、鉄損に及ぼすSの影響を調査する
ため、C:0.0025%、Si:1.65%、Mn:0.20%、P:0.
01%、Al:0.31%、N:0.0021%としS量をtr.〜25ppm
の範囲で変化させた鋼を実験室にて真空溶解し、熱延
後、100%H2雰囲気にて950℃×3minの熱延板焼鈍を行
い、酸洗後、板厚0.5mmまで冷間圧延を行った。引き続
き、焼鈍雰囲気にて10%H2-90%N2雰囲気にて、950℃
×2minの焼鈍を行った。図1に、このようにして得ら
れたサンプルのS量と鉄損W15/50の関係を示す(図中
×印)。磁気特性は25cmエプスタイン試験法にて測定し
た。
【0017】図1より、Sを10ppm以下とした場合に大
幅な鉄損低減が達成されW15/50=3.2W/kgの材料が得
られることがわかる。これは、S低減により粒成長性が
向上したためである。以上のことより本発明において
は、S含有量の範囲を10ppm以下に限定するが、5ppm以
下とすることがより望ましい。
【0018】しかし、S含有量が10ppm以下となると鉄
損の低下は緩やかとなり、S含有量をさらに低減したと
しても鉄損は3.1W/kg程度にしかならない。本発明者
らは、S≦10ppmの極低S材において鉄損の低減が阻害
されるのは、MnS以外の未知の要因によるものではない
かと考え、光学顕微鏡にて組織観察を行った。その結
果、S≦10ppmの領域で鋼板表層に顕著な窒化層が認め
られた。これに対し、S>10ppmの領域では窒化層は軽
微となっていた。この窒化層は窒化雰囲気で行った仕上
焼鈍時に生じたものと考えられる。
【0019】このS低減に伴う窒化反応促進の原因に関
しては次のように考えられる。すなわち、Sは表面およ
び粒界に濃化しやすい元素であることから、S>10ppm
の領域では、Sが鋼板表面へ濃化し、仕上焼鈍時の窒素
の吸着を抑制しており、一方、S≦10ppmの領域ではS
による窒素吸着の抑制効果が低下したためと考えられ
る。
【0020】本発明者らは、この極低S材において顕著
に生じる窒化層が鋼板表層部の結晶粒の成長を妨げ、鉄
損の低下を抑制するのではないかと考えた。このような
考えの下に、本発明者らは窒素吸着の抑制が可能でかつ
極低S材の優れた粒成長性を妨げることのない元素を添
加することができれば、極低S材の鉄損はさらに低減す
るのではないかという着想を抱き、種々の検討を加えた
結果、Sbの極微量添加を行うことが有効であることを見
いだした。
【0021】図1に、前記×印で示したサンプルの成分
に40ppmのSbを添加したサンプルについて同一の条件で
試験をした結果を○印で示す。Sbの鉄損低減効果に着目
すると、S>10ppmの領域では、Sb添加により鉄損は0.0
2〜0.04W/kg程度しか低下しないが、S≦10ppmの領域
では、Sb添加により鉄損は0.10W/kg程度低下してお
り、S含有量量が少ない場合にSbの鉄損低減効果が認め
られる。但し、Sb添加材でも軽微ながら表層窒化層が認
められた。これは、熱延板焼鈍後に表面偏析したSbが、
熱延板焼鈍後に行われる酸洗により除去されるため、そ
の後の高温仕上げ焼鈍時の窒化防止効果が弱まったため
と考えられる。
【0022】ここで、仕上焼鈍時の高温焼鈍は、結晶粒
粗大化による低鉄損化の観点から必須である。しかし、
高温焼鈍は同時に表層窒化を顕在化させるため、高温焼
鈍以前にSbを鋼板表面に偏析させる必要がある。このた
め、仕上焼鈍の前段を窒化の生じない低温焼鈍とするこ
とによりSbの表面偏析処理を行い、後段で高温焼鈍する
ことにより結晶粒の粗大化をおこなう手法について検討
した。
【0023】適正仕上焼鈍パターンを見出すため、C:
0.0026%、Si:1.62%、Mn:0.20%、P:0.010%、A
l:0.30%、S:0.0004%、N:0.0020%、Sb:0.004%
とした鋼を実験室にて真空溶解し、熱延後、100%H2
囲気にて950℃×5minの熱延板焼鈍を行い、酸洗後、板
厚0.5mmまで冷間圧延した。仕上焼鈍は、前段(一次)
を低温焼鈍、後段(二次)高温焼鈍とし、それぞれの焼
鈍温度、焼鈍時間を種々変化させて行った。なお、仕上
焼鈍雰囲気は10%H2-90%N2とした。
【0024】図2に、仕上焼鈍時の前段焼鈍温度(一次
仕上焼鈍温度)と鉄損W15/50の関係を示す。ここで、S
bを偏析させるための一次仕上焼鈍時間は1minとし、二
次仕上焼鈍は950℃×1minとした。
【0025】図2より一次仕上焼鈍温度が850℃以下で
鉄損が低下していることがわかる。これら材料の組織を
観察したところ、一次仕上焼鈍温度が850℃超の材料で
は、Sbを添加しているにもかかわらず鋼板表層部に窒化
が認められた。これは、Sbが鋼板表面に偏析する以前に
高温の窒化雰囲気に鋼板がさらされるため、Sbの窒化抑
制効果が十分に発揮されず窒化が生じたものと考えられ
る。以上のことより、本発明においては、一次仕上焼鈍
温度は850℃以下に規定する。
【0026】図3に、仕上焼鈍時の後段焼鈍温度(二次
仕上焼鈍温度)と鉄損W15/50の関係を示す。ここで、
二次仕上焼鈍時間は1minとし、一次仕上焼鈍は800℃×
1minとした。図3より二次仕上焼鈍温度が850℃以上で
鉄損が低下していることがわかる。これら材料の組織を
観察したところ、二次仕上焼鈍温度が850℃未満の材料
では、粒成長が十分でなく、このため十分な鉄損低減が
図れていないことが判明した。以上のことより、本発明
においては二次仕上焼鈍温度は850℃以上に規定する。
【0027】図4に、仕上焼鈍時の前段焼鈍時間(一次
仕上焼鈍時間)と鉄損W15/50の関係を示す。ここで、
一次仕上焼鈍温度は800℃とし、二次仕上焼鈍は950℃×
1minとした。図4より一次仕上焼鈍時間が20sec以上で
鉄損が低下していることがわかる。これら材料の組織を
観察したところ、一次仕上焼鈍時間が20sec未満の材料
では、鋼板表層部に窒化層が認められ、このことからSb
の偏析が十分に行われていないことが判明した。以上の
ことより、本発明においては、好ましい一次仕上焼鈍時
間を20sec以上に規定する。
【0028】図5に、仕上焼鈍時の後段焼鈍時間(二次
仕上焼鈍時間)と鉄損W15/50の関係を示す。ここで、
一次仕上焼鈍温度は800℃×1minとし、後段焼鈍は950
℃とした。図5より後段焼鈍時間が10sec以上で鉄損が
低下していることがわかる。これら材料の組織を観察し
たところ、後段焼鈍時間が10sec未満の材料では粒成長
性が十分でないことが判明した。以上のことより、本発
明においては、好ましい二次仕上焼鈍時間は10sec以上
に規定する。
【0029】なお、本発明における二段焼鈍では、一次
の低温焼鈍によりSbの表面偏析処理を行うことが重要で
あり、単に高温焼鈍時間の短時間化による仕上焼鈍時の
窒化抑制を目的とした従来の二段焼鈍とは思想が大きく
異なっている。
【0030】次にSbの最適添加量を調査するため、C:
0.0026%、Si:1.60%、Mn:0.20%、P:0.020%、A
l:0.30%、S:0.0004%、N:0.0020%としSb量をtr.
〜700ppmの範囲で変化させた鋼を実験室にて真空溶解
し、熱間圧延後、100%H2雰囲気にて950℃×3minの熱
延板焼鈍を行い、酸洗後、板厚0.5mmまで冷間圧延を行
った。引き続き10%H2-90%N2雰囲気にて、800℃×1
minの一次仕上焼鈍を行い、連続して950℃×1minの二
次仕上焼鈍を行った。図6に、Sb量と鉄損W15/50の関
係を示す。
【0031】図6より、Sb量が10ppm以上の領域で鉄損
が低下していることがわかる。しかし、Sbをさらに添加
し、Sb>50ppmとなった場合には、鉄損は再び増大する
こともわかる。このSb>50ppmの領域での鉄損増大原因
を調査するため、光学顕微鏡による組織観察を行った。
その結果、表層細粒組織は認められなかったものの、平
均結晶粒径が若干小さくなっていた。この原因は明確で
はないが、Sbが粒界に偏析しやすい元素であるため、Sb
の粒界ドラッグ効果により粒成長性が低下したものと考
えられる。
【0032】但し、Sbを700ppmまで添加してもSbフリー
鋼と比べると鉄損は良好である。以上のことより、本発
明においては、Sb含有量は10ppm以上とし、コストの問
題から上限を500ppmとする。また鉄損の観点より、望ま
しくは10ppm以上、50ppm以下とする。
【0033】以上の鉄損低減効果はSbと同様な表面偏析
型元素であるSnを20ppm以上含有させた場合にも認めら
れ、100ppm以上の含有で鉄損が若干増大した。このこと
よりSnは20ppm以上とし、コストの問題から上限を1000p
pmとする。また鉄損の観点より、望ましくは20ppm以
上、100ppm以下とする。さらに、SbとSnを複合添加した
場合にもSb+Sn/2で10ppm以上添加した場合に鉄損が低下
し、Sb+Sn/2で50ppm以上添加した場合に若干の鉄損増大
が認められた。このことよりSbとSnを複合添加した場合
にはSb+Sn/2で10ppm以上とし、コストの問題から上限を
500ppmとする。また鉄損の観点より、望ましくは10ppm
以上、50ppm以下とする。
【0034】(その他の成分の限定理由)次に、その他
の成分の限定理由について説明する。 C: Cは磁気時効の問題があるため0.005%以下とす
る。 Si: Siは鋼板の固有抵抗を上げるために有効な元素で
あるため1.0%以上添加する。一方、4.0%を超えると飽
和磁束密度の低下に伴い磁束密度が低下するため上限を
4.0%とする。 Mn: Mnは熱間圧延時の赤熱脆性を防止するために、0.
05%以上必要であるが、1.0%以上になると磁束密度を
低下させるので0.05〜1.0%とする。 P: Pは鋼板の打ち抜き性を改善するために必要な元
素であるが、0.2%を超えて添加すると鋼板が脆化する
ため0.2%以下とする。 N: Nは、含有量が多い場合にはAlNの析出量が多く
なり、鉄損を増大させるため0.005%以下とする。 Al: AlはSiと同様、固有抵抗を上げるために有効な元
素であるが、1.0%を超えると飽和磁束密度の低下に伴
い磁束密度が低下するため上限を1.0%とする。また、
0.1%未満の場合にはAlNが微細化し粒成長性が低下す
るため下限を0.1%とする。
【0035】(製造方法)本発明においては、S、Sbお
よびSnを始め規定の成分値が所定の範囲内であり、かつ
仕上焼鈍時の焼鈍パターンが本発明の範囲内であれば、
それ以外の製造方法は通常の無方向性電磁鋼板を製造す
る方法でかまわない。すなわち、転炉で吹練した溶鋼を
脱ガス処理し所定の成分に調整し、引き続き鋳造、熱間
圧延を行う。熱間圧延時の仕上温度、巻取り温度は特に
規定する必要はなく、通常の無方向性電磁鋼板を製造す
る範囲の温度でかまわない。また、熱延後の熱延板焼鈍
は行っても良いが必須ではない。次いで、酸洗後、冷間
圧延により所定の温度とした後に、一次仕上焼鈍を850
℃以下の温度で行い、二次仕上焼鈍を850℃以上の温度
で行う。なお、一次仕上焼鈍と二次仕上焼鈍は連続して
行ってもよいし、一次仕上焼鈍後、鋼板を一旦冷却して
から二次仕上焼鈍を行ってもよい。さらに中間焼鈍をは
さんで2回以上の冷間圧延を行う場合には、H2-N2
合雰囲気中において行われる中間焼鈍の焼鈍温度を850
℃以下とすることにより、前記一次仕上焼鈍の代用とす
ることができ、本発明の範囲にはこのような形態のもの
も含むものである。
【0036】
【実施例】表1に示す鋼を用い、転炉で吹練した後に脱
ガス処理を行うことにより所定の成分に調整後鋳造し、
スラブを1140℃で1hr加熱した後、板厚2.3mmまで熱間
圧延を行った。熱延仕上げ温度は800℃とした。巻取り
温度は610℃とし、巻取り後、表2に示す条件で熱延板
焼鈍を施した。その後、酸洗を行い、板厚0.5mmまで冷
間圧延を行い、表2に示す仕上焼鈍条件で焼鈍を行っ
た。磁気測定は25cmエプスタイン試験片を用いて行っ
た。各鋼板の磁気特性を表2に併せて示す。表1と表2
のNo.は対応している。
【0037】表1、表2において、No.1〜No.15の鋼板
が本発明の実施例であり、No.16〜No.27の鋼板が比較例
である。表1、表2から分かるように、本発明の実施例
においては、比較例に比して、磁束密度B50を低下させ
ることなく高い鉄損W15/50が選られている。
【0038】実施例の中でも、No.3、No.4の鋼板とNo.7
の鋼板は、Sb+Sn/2が0.005%を超えており、請求項2と
請求項4の条件を満足しない。また、No.11の鋼板は、
一次仕上焼鈍時間が請求項3、請求項4の条件を満足せ
ず、No.13の鋼板は、二次仕上焼鈍時間が請求項3、請
求項4の条件を満足しない。よって、これらの鋼板の鉄
損W15/50は、他の実施例に比してやや高くなってい
る。
【0039】比較例のうち、No.16の鋼板は、S含有量
とSb+Sn/2の値が、No.17の鋼板はSb+Sn/2の値が、それ
ぞれ本発明の範囲を外れているので、鉄損W15/50が高
くなっている。No.18の鋼板とNo.19の鋼板は、一次仕上
焼鈍温度が本発明の範囲を超えているので、鉄損W
15/50が高くなっている。また、No.20の鋼板は、二次仕
上焼鈍温度が本発明の範囲を下回っているので、やはり
鉄損W15/50が高くなっている。
【0040】No.21の鋼板は、C含有量が本発明の範囲
を超えているので、鉄損W15/50が高いのみならず、磁
気時効の問題がある。No.22の鋼板は、Si含有量が本発
明の範囲を超えているので、鉄損W15/50は低いもの
の、磁束密度B50が低くなっている。No.23の鋼板はMn
含有量が本発明の範囲より低いので、鉄損W15/50が高
くなっている。No.24の鋼板はMn含有量が本発明の範囲
を超えているので、鉄損W15/50は低いものの、磁束密
度B50が低くなっている。No.25の鋼板は、N含有量が
本発明の範囲を超えているので、鉄損W15/50が高くな
っている。No.26の鋼板は、Al含有量が本発明の範囲よ
り低いので、鉄損W15/50が高くなっている。一方、No.
22の鋼板は、Al含有量が本発明の範囲を超えているの
で、鉄損W15/50は低いものの、磁束密度B50が低くな
っている。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る発明は、重量%で、C:0.005%以下、Si:
1.0〜4.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.
005%以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%
以下(0を含む)、Sb+Sn/2=0.001〜0.05%を含有し、残
部が実質的にFeからなるスラブを熱間圧延したのち、冷
間圧延および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造す
る方法において、第一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度
で行い、その後第二次の仕上焼鈍を850℃以上の温度で
行うことを特徴とするものであるので、鉄損の低い無方
向性電磁鋼板を製造することができる。
【0044】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明においてSb+Sn/2の範囲を、0.001〜0.005%に限定し
たものであるので、さらに鉄損の低い無方向性電磁鋼板
を製造することができる。
【0045】また、請求項3、請求項4に係る発明は、
これらの発明において、一次仕上焼鈍時間を20秒以上
に、二次仕上焼鈍時間を10秒以上に限定しているので、
さらに鉄損の低い無方向性電磁鋼板を製造することがで
きる。
【0046】請求項5に記載の無方向性電磁鋼板は、モ
ータのコアやトランスの鉄心等、低鉄損が要求される電
気材料として広く使用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】S量と仕上焼鈍後の鉄損との関係を示す図であ
る。
【図2】仕上前段焼鈍温度(一次仕上焼鈍温度)と鉄損
との関係を示す図である。
【図3】仕上後段焼鈍温度(二次仕上焼鈍温度)と鉄損
との関係を示す図である。
【図4】仕上前段焼鈍時間(一次仕上焼鈍時間)と鉄損
との関係を示す図である。
【図5】仕上後段焼鈍時間(二次仕上焼鈍時間)と鉄損
との関係を示す図である。
【図6】Sb量と鉄損との関係を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.005%以下、Si:1.0〜
    4.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%
    以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下
    (0を含む)、Sb+Sn/2=0.001〜0.05%を含有し、残部が
    実質的にFeからなるスラブを熱間圧延したのち、冷間圧
    延および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方
    法において、第一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度で行
    い、その後第二次の仕上焼鈍を850℃以上の温度で行う
    ことを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.005%以下、Si:1.0〜
    4.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%
    以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下
    (0を含む)、Sb+Sn/2=0.001〜0.005%を含有し、残部が
    実質的にFeからなるスラブを熱間圧延したのち、冷間圧
    延および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方
    法において、第一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度で行
    い、その後第二次の仕上焼鈍を850℃以上の温度で行う
    ことを特徴とする鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.005%以下、Si:1.0〜
    4.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%
    以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下
    (0を含む)、Sb+Sn/2=0.001〜0.05%を含有し、残部が
    実質的にFeからなるスラブを熱間圧延したのち、冷間圧
    延および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方
    法において、第一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度にて2
    0秒以上行い、その後第二次の仕上焼鈍を850℃以上の温
    度にて10秒以上行うことを特徴とする鉄損の低い無方向
    性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 重量%で、C:0.005%以下、Si:1.0〜
    4.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.2%以下、N:0.005%
    以下(0を含む)、Al:0.1〜1.0%、S:0.001%以下
    (0を含む)、Sb+Sn/2=0.001〜0.005%を含有し、残部が
    実質的にFeからなるスラブを熱間圧延したのち、冷間圧
    延および仕上焼鈍をへて無方向性電磁鋼板を製造する方
    法において、第一次の仕上焼鈍を850℃以下の温度にて2
    0秒以上行い、その後第二次の仕上焼鈍を850℃以上の温
    度にて10秒以上行うことを特徴とする鉄損の低い無方向
    性電磁鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のうち、いずれか
    1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法によって製造
    される無方向性電磁鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014517147A (ja) * 2012-03-27 2014-07-17 ホ、ナム−フェ 磁性特性に優れた(100)[0vw]無方向性電気鋼板およびその製造方法

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