JP2712913B2 - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板およびその製造方法

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JP2712913B2
JP2712913B2 JP3214027A JP21402791A JP2712913B2 JP 2712913 B2 JP2712913 B2 JP 2712913B2 JP 3214027 A JP3214027 A JP 3214027A JP 21402791 A JP21402791 A JP 21402791A JP 2712913 B2 JP2712913 B2 JP 2712913B2
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裕義 屋鋪
輝雄 金子
隆 田中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は変圧器や発電機、電動
機の鉄心材料や磁気シールド材として広く用いられる方
向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、ゴス方位と呼ばれる
{110}<001>方位を主方位とする結晶配向を持
ち、圧延方向に優れた励磁特性と鉄損特性を有する軟磁
性材料である。一般にはSiを 3.0%程度含有する鋼のス
ラブを熱間圧延し、そのままあるいは焼鈍 (熱延板焼
鈍) を行った後、1回または中間焼鈍を挟んで2回以上
の冷間圧延を施して最終板厚とし、その後連続脱炭焼鈍
を施して一次再結晶させた後、焼き付き防止のための焼
鈍分離剤を塗布してコイルに巻取り、更に1100℃を超え
る超高温での仕上げ焼鈍を行う。仕上げ焼鈍の目的は、
二次再結晶を発生させてゴス方位に集積した集合組織を
形成することと、そのあと二次再結晶を発生させるのに
用いたインヒビターと呼ばれる析出物を除去することに
ある。この析出物の除去工程は純化焼鈍とも呼ばれ、二
次再結晶の発生と共に良好な磁気特性を得るためには必
須の工程と言える。
【0003】以上のような製造法により作られた方向性
電磁鋼板は、その製造過程で連続脱炭焼鈍や1100℃以上
の超高温での仕上げ焼鈍というような特殊な工程が必要
であり、極めてコストの高いものになる。
【0004】このコストの問題を解決すべく、従来から
種々の研究開発が進められている。
【0005】例えば、本発明者らは先に、Si: 0.5〜2.
5 %、Mn: 1.0〜2.0 %、sol.Al (酸可溶性Al) : 0.0
3 〜0.015 %でC:0.01%以下、N: 0.001〜0.010 %
であることを主な特徴とする方向性電磁鋼板と、脱炭焼
鈍を必要とせず、低温焼鈍が可能なその製造方法を発明
した (特開平1−119644号公報) 。この方法は、連続脱
炭焼鈍の省略と仕上げ焼鈍温度の低下によって、方向性
電磁鋼板の製造コスト低減に大きく貢献し得るものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、省エネルギーの
気運が一段と高まる趨勢の中で、方向性電磁鋼板に対し
てはその鉄損を小さくすることが強く要望されるように
なってきている。本発明は、上記の特開平1−119644号
公報に示した電磁鋼板およびその製造方法を更に改善す
ることを課題とし、鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板と
その製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】鉄損は大きく分けて、ヒ
ステリシス損と渦電流損の2種類の損失成分からなって
おり、鉄損を低減するためにはこれらの2つの鉄損成分
を減少させることで達成される。そして、ヒステリシス
損を低減するためには、ゴス方位への集合度を上げた
り、不純物の量を低減することが有効であり、渦電流損
を低減するためには、鋼板の固有抵抗を増加することと
板厚を薄くすることが有効である。しかしながら、ゴス
方位への集積度の向上および不純物の低減に関してはほ
ぼ限界に近いところまで改善が進んできており、板厚の
薄手化による鉄損の低減は更なる改善の余地が残されて
いるものの、板厚の薄手化は製造コストの上昇が避けら
れない。
【0008】固有抵抗の増加は、一般にSi含有量の増加
でなされるが、Si含有量を増加すると鋼板の加工性が劣
化して冷間圧延が困難となるため、実際には 3.3%を超
えてSiを含有させることは困難である。前述の特開平1
−119644号公報に記載の先願発明の電磁鋼板のSi含有量
量を 2.5%以下に限定しているのはこの観点からであ
る。従って、Si含有量を増加し、固有抵抗を増加させる
ことによる鉄損低減も限界にきている。
【0009】ところが、この発明者らは特開平1−1196
44号公報に記載の先願発明の電磁鋼板をベースに、加工
生を劣化させるこなく固有抵抗を増加して鉄損を低減す
る方法を検討した結果、下記の知見を得た。
【0010】(イ) 3%を超えるSi含有量の場合でも、S
i (%) − 0.5×Mn (%) ≦ 2.0の範囲を満たす量のMn
を含有させることにより、加工性の劣化が抑えられると
ともに、仕上げ焼鈍時の二次再結晶の発達が安定化す
る。
【0011】(ロ) しかも、MnはSiと同様に鋼板の固有
抵抗を増加する作用を有しており、鉄損の低減にも極め
て有効な元素である。
【0012】(ハ) このような高Si・高Mn鋼の場合、二
次再結晶を発生させるためには仕上げ焼鈍の前半でN2
含む雰囲気中で 825〜925 ℃の温度範囲で保持し、イン
ヒビターとなる窒化物を除去するために仕上げ焼鈍の後
半で、H2雰囲気中で 925℃を超え、1050℃までの温度域
で純化焼鈍を行うのが有効である上記の知見に基づく本
発明は、下記の (1)の方向性電磁鋼板と (2)のその製造
方法を要旨とする。
【0013】(1) 重量%で、Si: 3.0%を超えて 4.0%
以下、Mn: 2.0%を超えて 4.0%以下、酸可溶性Al:
0.003〜0.015 %で、かつ Si(%) − 0.5×Mn (%) ≦
2.0で、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、不純
物としてのCが 0.005%以下、Nが 0.006%以下、Sが
0.01%以下である方向性電磁鋼板。
【0014】(2) 重量%で、C:0.01%以下、Si: 3.0
%を超えて 4.0%以下、Mn: 2.0%を超えて 4.0%以
下、S:0.01%以下、酸可溶性Al(以下、sol.Alと記
す) :0.003〜 0.015%、N:0.001 〜 0.010%で、か
つ Si(%) − 0.5×Mn (%) ≦ 2.0で、残部はFeおよび
不可避的不純物からなる組成のスラブを下記〜の工
程で処理する方向性電磁鋼板の製造方法。
【0015】 熱間圧延を行う工程、 熱間圧延のまま、または熱間圧延後に焼鈍してか
ら、1回または中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を
行う工程、 連続焼鈍により一次再結晶をおこさせる工程、 N2を含む雰囲気中で 825〜925 ℃の温度域で4〜 1
00時間保持し二次再結晶をおこさせる工程、 H2雰囲気中で 925℃を超え、1050℃までの温度域で
4〜 100時間保持し純化する工程。
【0016】
【作用】以下に、本発明の構成要件ごとに作用効果を説
明する。
【0017】I 製品電磁鋼板または素材となる鋼スラ
ブの組成 (a) CおよびN 製品中のC、N量は鉄損に悪影響を及ぼすため、Cは
0.005%以下、Nは0.006 %以下にする必要がある。望
ましくは、Cは 0.003%以下、Nは 0.003%以下に抑え
るのがよい。その理由は、製品段階で残存したCおよび
Nは炭窒化物を生成し、これが磁壁移動の障害物となり
鉄損が増加するからである。
【0018】しかし、素材となる鋼スラブの段階ではC
含有量を0.01%以下にしておけば、最終冷間圧延後の焼
鈍を脱炭焼鈍としなくとも、仕上げ焼鈍での二次再結晶
の発生に悪影響はない。また仕上げ焼鈍の後半に実施さ
れる純化焼鈍時に所望の低いC量にまで低減できる。そ
こで鋼スラブの段階でのC含有量は0.01%以下とする。
【0019】Nはインヒビターとなる窒化物を形成する
のに必要で、二次再結晶が完了するまでは必要な元素で
ある。鋼スラブの段階で 0.001%未満では窒化物の析出
量が少なすぎて所望のインヒビター効果が得られず、
0.010%を超えて含有させてもその効果は飽和すること
から 0.001〜 0.010%の範囲が適当である。このNも純
化焼鈍時に 0.006%以下に低減することができる。
【0020】(b) Si Siは磁気特性に大きな影響を与える元素であり、含有量
が増加するほど鋼板の電気抵抗は上昇し渦電流損が低下
し、結果として鉄損が低減する。しかし、4.0%を超え
る含有量では二次再結晶が不安定になるとともに、著し
く加工性が低下して冷間圧延が困難となる。一方、3.0
%以下の含有量では鋼板の電気抵抗が低く、低鉄損の方
向性電磁鋼板が得られない。従って、Si含有量は 3.0%
を超えて4.0%以下の範囲が適当である。
【0021】(c) Mn Mnは本発明鋼のような高Siの極低炭素鋼スラブにおいて
α−γ変態を生じさせるのに有効な元素であり、変態の
発生が熱間圧延中の熱延板の組織の微細化と均質化を促
進し、この結果として仕上げ焼鈍でゴス方位への集積度
の高い二次再結晶が安定して発生するとともに、高Si鋼
の加工性も改善される。前記のα−γ変態の発生はフェ
ライト形成元素であるSiとオーステナイト形成元素であ
るMnの含有量のバランスで決まるから、SiとMnの含有量
は関連させて調整しなければならない。本発明では、Si
(%) −0.5 × Mn(%) ≦ 2.0となるようにMnを含有さ
せる。こうすることが、熱延板の適当な変態発生に必要
である。前記の式を満たすためには、Siの含有量が 3.0
%を超える場合には 2.0%を超えるMnが必要になり、同
じくSiの含有量が 4.0%の場合に 4.0%以上のMnが必要
になる。しかし 4.0%を超えるMnは冷間加工性を劣化さ
せるから、Mn含有量の上限は 4.0%とする。
【0022】また、MnはSiと同様に鋼板の電気抵抗を上
昇させるのに有効な元素であり、鉄損低減の目的からも
2.0%を超えるMnの含有が必須となる。従って、Mn含有
量は2.0%を超えて 4.0%以下で、かつ Si(%) −0.5
×Mn (%)≦ 2.0の条件を満足させることが必要であ
る。
【0023】(d) S SはMnとともにMnSを形成する。本発明では主要なイン
ヒビターとしてAlN、(Al、Si) NやMnを含む窒化物を
使っている。従って、一般の方向性電磁鋼板のようにMn
Sを主要なインヒビターとして使わないので、Sを多量
に添加する必要はない。製品段階で多量のMnS粒子が鋼
中に残存すると鉄損の劣化をきたす。更に、本発明では
仕上げ焼鈍が1050℃以下と低いため、純化焼鈍において
脱硫効果は期待できない。このため、S含有量は製品に
おいても、素材の鋼スラブにおいても 0.010%以下とす
る。なお、鉄損低減に望ましいのは 0.005%以下であ
る。
【0024】(e) sol.Al Alは二次再結晶の発生に重要な役割を果たす主要なイン
ヒビターであるAlNや(Al、Si) Nのような窒化物を形
成する重要な元素である。sol.Alで 0.003%未満では十
分なインヒビター効果が得らない。しかし、sol.Alで
0.015%を超えるとインヒビター量が多くなりすぎると
ともにその分散状態も不適切になり安定した二次再結晶
が生じない。
【0025】II 製造工程 (a) 第1の工程(熱間圧延) 素材のスラブは前記の組成をもつものである。これは、
転炉、電気炉等で溶製し、必要があれば真空脱ガス等の
処理を施した溶鋼を、連続鋳造法でスラブにしたもの、
インゴットにして分塊圧延したもののいずれでもよい。
【0026】熱間圧延の条件については特に制約はない
が、望ましいのは、加熱温度1150〜1270℃、仕上げ温度
700〜 900℃である。
【0027】(b) 第2の工程(冷間圧延) 熱延鋼板を1回または複数回の冷間圧延によって、所定
の製品板厚まで圧延する。このとき、冷間圧延開始前に
焼鈍(いわゆる熱延板焼鈍)を行ってもよい。
【0028】この熱延板焼鈍は、析出物の分散状態の適
正化と熱延板の再結晶によるミクロ組織の均質化を促進
し、二次再結晶の発生を安定化するのに有効である。
【0029】熱延板焼鈍を連続焼鈍で行う場合は 700〜
1100℃の均熱、箱焼鈍で行う場合は650〜 950℃の均熱
とするのが望ましい。複数回の冷間圧延を行う場合は中
間に焼鈍工程を挟む。この中間焼鈍は、 700〜1000℃の
温度で行うのが望ましい。また、連続焼鈍で良好な一次
再結晶組織を得るためには、最終の冷間圧延の圧下率と
して40〜90%が望ましく、更に言えば60〜90%が効果的
である。
【0030】(c) 第3の工程(仕上げ焼鈍前の連続焼
鈍、一次再結晶焼鈍) 後述の仕上げ焼鈍で安定した二次再結晶を発生させるた
めには、急速加熱による一次再結晶が必要であり、この
ために連続焼鈍が有効である。焼鈍温度としては、 700
〜1000℃が望ましい。
【0031】(d) 第4の工程(仕上げ焼鈍の中の第1
の焼鈍、二次再結晶焼鈍) 仕上げ焼鈍は、二次再結晶の発生を目的とする前半の焼
鈍(第1の焼鈍)とその後の析出物の除去(純化)を目
的とする焼鈍(第2の焼鈍)とに分けられる。
【0032】二次再結晶を発生させるためには、N2含有
雰囲気で焼鈍する必要がある。その理由は、インヒビタ
ーである窒化物が脱窒により減少し二次再結晶が不安定
になるのを防止するためである。更に積極的な意味とし
ては、焼鈍雰囲気からの吸窒によりインヒビターとなる
窒化物の析出量を増加させて、ゴス方位への集積度の高
い二次再結晶を発生させるためである。このためには焼
鈍雰囲気中のN2含有量は10%以上 (N2 100%でもよい)
であることが望ましい。N2以外の雰囲気ガス成分として
はH2またはArが使用できるが、前者が一般的である。
【0033】二次再結晶の発生温度としては 825〜925
℃の範囲が有効で、 825℃未満ではインヒビターの粒成
長抑制力が強すぎて二次再結晶が発生しない。一方、 9
25℃を超える温度域ではインヒビター効果が弱いため、
ゴス方位の集積度の弱い二次再結晶が発生するか、正常
粒の成長により一次再結晶粒が粗大化するだけである。
825 〜 925℃の範囲での保持時間は少なくとも4時間は
必要であるが 100時間を超える保持は意味がなく経済的
にも不利である。これらの理由で、仕上げ焼鈍の前半
(第1の焼鈍)は、二次再結晶の発生を目的に、N2含有
雰囲気中において825 〜 925℃で4〜100 時間保持する
こととする。
【0034】(e) 第5の工程(仕上げ焼鈍の第2の焼
鈍、純化焼鈍) 二次再結晶が発生した後は、インヒビターの窒化物は磁
気特性上有害なものであり除去する必要がある。それを
目的とするのがこの工程、即ち、純化焼鈍工程である。
このためにはH2雰囲気中での焼鈍が有効であり、その効
果は925℃以下では十分ではない。更にいえば 950℃以
上が望ましい。しかし、1050℃を超える温度にしても窒
化物の除去効果は飽和するので意味がない。純化焼鈍の
保持時間は少なくとも4時間が必要であるが、 100時間
を超える保持は不必要である。従って、仕上げ焼鈍の後
半(第2の焼鈍)は、H2雰囲気中において 925℃を超え
る温度から1050℃までの温度域で4〜100 時間の純化焼
鈍を行うこととした。なお、仕上げ焼鈍の前に焼鈍時の
焼き付き防止のための焼鈍分離剤を塗布することは、通
常の方向性電磁鋼板の製造方法と同じである。仕上げ焼
鈍後の工程としては通常の方向性電磁鋼板と同様に、焼
鈍分離剤を除去した後、必要に応じて絶縁コーティング
を施したり平坦化焼鈍を行うことになる。
【0035】
【実施例1】転炉で溶製し、真空処理で成分調整をして
連続鋳造して得た表1に示す組成の鋼スラブを、加熱温
度1250℃、仕上温度 830℃で熱間圧延し 2.0mm厚に仕上
げた。これらの供試鋼は、低鉄損化をはかるため一般の
方向性電磁鋼板(固有抵抗が約50μΩ・cm) に比べ大幅
に固有抵抗を増加しており、また、ほぼ同一の固有抵抗
となるようにSiとMnのバランスを種々に変えてある。
【0036】次に連続焼鈍により 880℃で1分間均熱の
熱延板焼鈍を行った後、酸洗により脱スケールし、1回
の冷間圧延で0.30mm厚まで冷間圧延した。その結果、本
発明で規定する組成範囲を外れた試験番号1〜3の熱延
板は、冷間圧延中に鋼板エッジ部より亀裂が入ったり、
破断に至ったため所定の板厚まで冷間圧延することがで
きなかった。これに対し、本発明で規定する組成範囲内
の試験番号4〜5の熱延板は、破断することなく所定の
板厚に冷間圧延することができた。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例2】表1の試験番号5の組成を有する実施例1
で得られた冷延板(0.30mm厚)を、露点−20℃以下で75
%N2+25%H2の非脱炭雰囲気中、 880℃で30秒間均熱す
る連続焼鈍に付し、一次再結晶させた後、焼鈍分離剤を
塗布して仕上げ焼鈍を実施した。仕上げ焼鈍は、75%N2
+25%H2雰囲気中にて 885℃で24時間均熱する第1の焼
鈍と、その後、 100%のH2雰囲気に切り替えて、更に表
2に示す種々の温度で24時間均熱する第2の焼鈍(純化
焼鈍)を行った。得られた鋼板のC量およびN量と圧延
方向の磁気特性も表2に示す。
【0039】表2に示すとおり、本発明の製品組成内で
ある試験番号2〜7は良好な鉄損値を示し、C量および
N量の減少とともに鉄損が向上している。そして、これ
らのCおよびNが本発明の製品組成内である試験番号2
〜7のうちでも、試験番号4〜7のように、仕上げ焼鈍
後半の純化焼鈍を本発明の製造条件で規定する温度範囲
内で処理するとCおよびNの含有量が著しく低減し、よ
り良好な鉄損値が得られている。
【0040】
【表2】
【0041】
【実施例3】表3に示すようなsol.Al以外の組成はほぼ
同一で、いずれも本発明で定める範囲内にあり、sol.Al
量を変化させた3鋼種のスラブを実施例1と同じ条件で
熱間圧延して 2.3mm厚に仕上げた。この熱延板を酸洗し
て脱スケールし、800 ℃で2時間均熱する箱焼鈍による
熱延板焼鈍に付し、次いで1回の冷間圧延で0.35mm厚と
した。
【0042】上記の冷延板を露点−25℃以下で80%N2
20%H2の非脱炭雰囲気中、 875℃で30秒保持均熱する連
続焼鈍に付し一次再結晶させた後、焼鈍分離剤を塗布し
て仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼鈍では、75%N2+25%
H2雰囲気中で 875℃で24時間均熱した後、H2雰囲気に切
り替えてさらに 950℃で24時間均熱する純化焼鈍を行っ
た。得られた鋼板のC量およびN量と圧延方向の磁気特
性を表4に示す。
【0043】表4に示すとおり、sol.Alが本発明で定め
る量よりも低い試験番号1は、C量およびN量は本発明
で定める製品における含有量の範囲に低減されている
が、インヒビター効果が弱いためゴス方位に集積した二
次再結晶が得られず、良好な磁気特性を示さない。ま
た、sol.Alが本発明で定める量よりも多い試験番号3
は、N含有量が高い上に、二次再結晶も発生していない
ので鉄損および磁束密度の両面で非常に悪いものとなっ
ている。これらに対して、本発明の電磁鋼板の例に相当
する試験番号2は、極めて良好な磁気特性を示してい
る。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【実施例4】実施例1と同じ方法で溶製したC:0.0050
%、Si:3.31%、Mn:3.45%、S:0.0006%、sol.Al:
0.007%、N:0.0035%で残部はFeおよび不可避的不純
物からなる鋼スラブを実施例1と同じ条件で熱間圧延し
2.3mm厚に仕上げた。この熱延板を酸洗して脱スケール
した後、1.4mm 厚に冷間圧延し、 850℃で1分間均熱す
る中間焼鈍を行い、0.27mm厚に冷間圧延した。
【0047】次に、冷延板を露点−15℃以下で70%N2
30%H2の非脱炭雰囲気中、 875℃で30秒均熱する連続焼
鈍に付し、一次再結晶させた後、焼鈍分離剤を塗布して
仕上げ焼鈍を実施した。
【0048】仕上げ焼鈍は表5に示す3種類の条件で実
施した。これらの条件は二次再結晶を目的とした50%N2
+50%H2雰囲気での第1の焼鈍と、純化焼鈍を目的とし
たH2雰囲気での第2の焼鈍の均熱温度の組合わせを変化
させたものである。得られた鋼板のC量およびN量と圧
延方向の磁気特性を表6に示す。
【0049】表6から、第1の焼鈍の均熱温度が本発明
で定める範囲から高めに外れた試験番号1は、インヒビ
ター効果が弱く正常粒成長が進行し二次再結晶が発生し
なかったため、C量およびN量は本発明で定める製品に
おける含有量内となっているが良好な磁気特性は得られ
ていない。また、第2の焼鈍の均熱温度が本発明で定め
る範囲から低めに外れた試験番号3は、二次再結晶はし
ているもののC量およびN量は本発明で定める製品にお
ける含有量外のため十分な磁気特性は得られていない。
これらに対し、本発明の実施例に相当する試験番号2は
磁気特性に優れている。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【発明の効果】実施例にも示したとおり、本発明の方向
性電磁鋼板は鉄損が極めて小さく、変圧器や発電機、電
動機の鉄心材料や磁気シールド材として用いるのに好適
である。この電磁鋼板は、本発明の製造方法によって容
易に製造できる。この製造方法は、長時間を要する脱炭
焼鈍工程や1150〜1200℃といった超高温での仕上げ焼鈍
工程を含まないから製造コストの低減という面でも有利
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−30714(JP,A) 特開 平5−9666(JP,A) 特開 平2−22421(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Si: 3.0%を超えて 4.0%以
    下、Mn: 2.0%を超えて 4.0%以下、酸可溶性Al: 0.0
    03〜 0.015%で、かつ Si(%) − 0.5×Mn (%) ≦ 2.0
    で、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、不純物と
    してのCが 0.005%以下、Sが0.01%以下、Nが 0.006
    %以下である方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.01%以下、Si: 3.0%
    を超えて 4.0%以下、Mn: 2.0%を超えて 4.0%以下、
    S:0.01%以下、酸可溶性Al: 0.003〜0.015%、N:
    0.001〜 0.010%で、かつ Si(%) − 0.5×Mn (%) ≦
    2.0で、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成の
    スラブを下記〜の工程で処理する方向性電磁鋼板の
    製造方法。 熱間圧延を行う工程、 熱間圧延のまま、または熱間圧延後に焼鈍してか
    ら、1回または中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を
    行う工程、 連続焼鈍により一次再結晶をおこさせる工程、 N2を含む雰囲気中で 825〜925 ℃の温度域で4〜 1
    00時間保持し二次再結晶をおこさせる工程、 H2雰囲気中で 925℃を超え、1050℃までの温度域で
    4〜 100時間保持し純化する工程。
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