JPH11207880A - 抗菌性多層樹脂構造体 - Google Patents

抗菌性多層樹脂構造体

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JPH11207880A
JPH11207880A JP1253498A JP1253498A JPH11207880A JP H11207880 A JPH11207880 A JP H11207880A JP 1253498 A JP1253498 A JP 1253498A JP 1253498 A JP1253498 A JP 1253498A JP H11207880 A JPH11207880 A JP H11207880A
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智明 高崎
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善博 中川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期間にわたって微生物( カビ、最近等) 対し
て良好な抗菌性を保持氏、樹脂の変色、強度の低下がな
く、しかも成形適性が良好な抗菌性多層樹脂構造体を提
供する。 【解決手段】第四級アンモニウム塩系薬剤を添加した樹
脂からなる外層11と、この外層11の内側にチアゾリ
ン系化合物から選ばれた薬剤を添加した樹脂からなる隣
接層12を有する抗菌性多層構造体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カビ、酵母、細菌
等の微生物に起因する樹脂製品表面上に黒ずみ、ぬめり
等の発生を防止するために、抗菌性を付与した多層樹脂
構造体に関するものである。さらに具体的には、浴室、
台所、洗面所等の微生物が増殖し易い水周りや、病院等
の衛生性が求められる場所で使用される、洗剤、シャン
プー、リンス、液体または粉体の石鹸等の容器に使用す
るのに適した多層構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹脂に添加可能な抗菌剤が開発され、す
でに広く使用されているが、このような抗菌剤は大別す
ると、銀、亜鉛等をゼオライト等に担持させた無機系抗
菌剤と、抗菌性を有する有機物質から成る有機系抗菌剤
の二種に分類される。
【0003】無機系抗菌剤は主に銀が広く使用され、光
による変色が問題となる場合には亜鉛が使用されてい
る。この無機系抗菌剤を添加した樹脂は、まな板、ボー
ル等の調理用具や、浴室用の椅子、洗面器などの水まわ
り製品、洗濯機の洗濯槽、加湿器などのフィルターや貯
水槽等、またボールペン等の文具等に広く使用されてい
る。
【0004】有機系抗菌剤を添加した樹脂は、イミダゾ
ール系抗菌剤やチアゾリン系抗菌剤が洗濯機の洗濯槽等
に使用されている。これら無機系抗菌剤、有機系抗菌剤
のいずれかを添加した樹脂は、何れも成形時に樹脂に直
接または高濃度のマスターバッチとして添加され、各種
製品として成形されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】無機系抗菌剤は、人体
に対する安全性が高いといわれており、また、耐熱性が
高いため、樹脂に添加する際に制約を受けることが少な
く、極めて有用な抗菌剤である。しかしながら、銀は、
カビ、酵母等の真菌類に対する抗菌効果は小さいため、
例えばカビによるくろずみを防止するためには、大量の
添加が必要である。また、銀は、光をによる変色を生じ
るという問題がある。一方、亜鉛は、光による変色はな
いが、抗菌効果は銀に比べて極めて小さいため、単独で
抗菌効果を得るのは不可能である。
【0006】有機系抗菌剤の場合、カビおよび細菌の両
者に対して抗菌性を有するものは少ない。例えば、発明
者等の研究結果によれば、第四級アンモニウム塩の一例
であるアルキル鎖長の異なるアルキルジメチルベンジル
アンモニウム塩の混合体であるベンザルコニウム塩を抗
菌成分とする薬剤をポリエチレンに添加した場合、ベン
ザルコニウムイオンとして0.02重量%以上の添加で
一般細菌に対し抗菌効果を示す。しかし、カビに対して
は抗菌効果が認められなかった。
【0007】また、チアゾリン化合物の一例である、2
−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを抗菌成分
とする薬剤をポリエチレンに添加した場合、2−オクチ
ル−4−イソチアゾリン−3−オンとして0.005〜
0.5重量%でカビに対し効果を示す。しかし、グラム
陰性細菌であるPseudmonas属細菌に対して効
果は認められなかった。さらにチアゾリン化合物を樹脂
に添加した場合、押し出し成形、ダイレクトブロー成形
等の成形品加工法においては、樹脂組成物成形時の樹脂
溶融状態において成形機の金属部分と接触したチアゾリ
ン化合物が成形機の金属部に付着し樹脂組成物の表面が
肌荒れを起こしたり、樹脂組成物表面がべとつく、印刷
時のインキ密着性を阻害するという問題があった。
【0008】また、チアゾリン化合物の場合、成形直後
は、カビに対しての抗菌効果はあるものの、経時的に光
を受けて分解し、効力を失ったり、成形を行う際に、熱
による分解によって抗菌力の低下生じてしまい、通常、
樹脂製品が使用される環境下で長期間にわたって抗菌性
を保持できないという課題があった。
【0009】本発明は、課題を解決し、長期にわたって
の微生物(カビ、細菌等)に対して良好な抗菌性を保持
し、樹脂の変色、強度の低下がなく、しかも成形適性が
良好な抗菌性多層樹脂構造体を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、少なくとも第四級アンモニウム塩系薬剤を添加した
樹脂からなる外層と、該外層の内側にチアゾリン系化合
物から選ばれた薬剤を添加した樹脂からなる隣接層を有
する多層構成とした特徴とする、抗菌性多層樹脂構造体
である。請求項2に記載の発明は、請求項1の発明の隣
接層の内側に、いずれの薬剤も含まない樹脂からなる内
層を設けたことを特徴とする、抗菌性多層樹脂構造体で
ある。請求項3の発明は、請求項2の発明の隣接層と内
層の間に回収層を設けたことを特徴とする、抗菌性多層
樹脂構造体である。請求項4の発明は、請求項1乃至請
求項3の発明の隣接層の内側に、ガスバリア性樹脂層を
設けたことを特徴とする、抗菌性多層樹脂構造体であ
る。
【0011】請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4
の発明に用いる第四級アンモニウムが、アルキルジメチ
ルベンジルアンモニウム塩(アルキル基の炭素数C8
18)およびアルキルピリジニウム塩(アルキル基の炭
素数C8〜C18)より選ばれた単独または複数の物質で
あることを特徴とする、抗菌性多層樹脂構造体である。
請求項6の発明は、請求項5の発明の第四アンモニウム
含有濃度が第四級アンモニウムイオンとして0.02〜
2.5重量%であることを特徴とする、抗菌性多層樹脂
構造体である。請求項7の発明は、請求項5の発明のチ
アゾリン系化合物が2−オクチル−4−イソチアゾリン
−3−オンであり、その含有濃度が0.005〜0.5
重量%であることを特徴とする、抗菌性多層樹脂構造体
である。
【0012】請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7
の発明の少なくとも隣接層が、紫外線吸収剤、または/
および光/熱安定剤を添加した樹脂からなることを特徴
とする、抗菌性多層樹脂構造体である。請求項9の発明
は、請求項8の発明の紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾ
ール系化合物であることを特徴とする、抗菌性多層樹脂
構造体である。請求項10の発明は、請求項8の発明の
光/熱安定剤が、ヒンダードアミン系化合物であること
を特徴とする、抗菌性多層樹脂構造体である。請求項1
1の発明は、請求項9の発明のベンゾトリアゾール系化
合物が、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒド
ロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールで、
その含有濃度が0.005〜1.0重量%であることを
特徴とする、抗菌性多層樹脂構造体である。請求項12
の発明は、請求項10に記載の発明のヒンダードアミン
系化合物が、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシ
エチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン重縮合物で、その含有濃度が0.005
〜1.0重量%であることを特徴とする、抗菌性多層樹
脂構造体である。
【0013】請求項13に記載の発明は、請求項1乃至
請求項12のいずれかの発明の構造体をブロー成形品と
したことを特徴とする多層樹脂構造体である。
【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について具
体的に説明する。図1は本発明の多層樹脂構造体の一例
を示す断面図で、第四級アンモニウム塩系薬剤を添加し
た樹脂からなる外層11と、該外層11の内側にチアゾ
リン系化合物から選ばれた薬剤を添加した樹脂からなる
隣接層12を有する多層構成とした、抗菌性多層樹脂構
造体である。図2は、本発明の多層樹脂構造体の他の例
を示す断面図で、図1の隣接層12内側に、いずれの薬
剤も含まない樹脂からなる内層13を設けたこと、抗菌
性多層樹脂構造体である。図3は、本発明の多層樹脂構
造体の他の例を示す断面図で、図2の隣接層12と内層
13の間に回収層14を設けた抗菌性多層樹脂構造体で
ある。図4は、本発明の多層樹脂構造体の他の例を示す
断面図で、図2の隣接層12の内側に、ガスバリア性樹
脂層15を設けた抗菌性多層樹脂構造体である。
【0015】ここで、外層11添加する第四級アンモニ
ウムとしては、一般式〔C6 5 ・CH2 ・N+(CH
3 2 R〕Cl−(RはC8 17からC1837の混合
物)に示されるような塩化ベンザルコニウム、および一
般式〔C2138ClN・H2 O〕に示されるような塩化
セチルピリジニウムをイオン交換により、例えばリン酸
ジルコニウム、リン酸チタン等のリン酸塩に結合させた
ものである。すなわち第四級アンモニウムとリン酸との
塩の状態にしたもの等、無機物の担持体に保持させたも
のが好適に利用可能である。この保持体中のの第四アン
モニウムの含量としては、例えばイオン交換で保持させ
る場合はイオン交換容量で決定されるが、概ね5重量%
から30重量%の範囲である。
【0016】外層11の内側に設けた隣接層12に添加
するチアゾリン化合物としては、2−オクチル-4−イ
ソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4
−イソチアゾリン−3−オン等があげられるが、2−オ
クチル−4−イソチアゾリン−3−オンを酸化ケイ素等
の無機物に吸着により保持させたものが、好適に利用で
きる。 この保持体中のチアゾリン化合物の含量として
は、25重量%から70重量%の範囲が適当である。そ
して、本発明による樹脂構造体の樹脂は、外層11の抗
菌成分の含量は、第四級アンモニウム塩が第四級アンモ
ニウムイオンとして0.02重量%乃至2.5重量%、
チアゾリン化合物が0.005重量%乃至0.5重量%
が適当である。また、隣接層12に添加する有機系抗菌
剤としては、チアゾリン系化合物の他に、ニトリル系、
アニリド系、エステル系、フェノール系、エーテル系、
界面活性剤系、ピリジン系、トリアゾン系化合物などが
使用できる。なお、外層11、すなわち第四級アンモニ
ウム塩系抗菌剤添加した樹脂層に、チアゾリン化合物
を、外層11の内側に設けた隣接層12に、第四級アン
モニウム塩系抗菌剤を、抗菌性の補助剤的にそれぞれ少
量添加することも可能である。また、隣接層12は、外
層11に直接接する構造だけでなく、間に薄い樹脂層を
介して設けた構造としてもよい。
【0017】紫外線吸収剤としては用いるベンゾトリア
ゾール系化合物は、2−(3−t−ブチル−5−メチル
−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリア
ゾールで、その含有濃度が0.005〜1.0重量%が
適当である。また、光/熱安定剤として用いるヒンダー
ドアミン系、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシ
エチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン重縮合物で、その含有濃度が0.005
〜1.0重量%が適当である。また、光/熱安定剤とし
ては、ベンゾエート系化合物等も用いることができる。
【0018】本発明による多層樹脂構造体に添加する、
紫外線吸収剤、光/熱安定剤の作用としては、紫外線吸
収剤、光/熱安定剤が光エネルギーを熱エネルギーに変
換し、さらに熱エネルギーを吸収することによって抗菌
剤、すなわち隣接層12のチアゾリン系化合物が紫外線
や光、熱の作用を受けなくしたり、光を遮断し、光や熱
によって活性化された分子を安定化させて抗菌性能低下
を防止する。また、抗菌性が長期間にわたり、安定して
保持される。また、紫外線吸収剤、光/熱安定剤の含有
濃度が0.005〜1.0重量%の範囲としたのは、含
有量が0.005重量%未満であるとチアゾリン系化合
物の抗菌効果の持続性が十分に発揮されず、また、紫外
線吸収剤、光/熱安定剤の含有濃度がそれぞれ1.0重
量%より多くなると抗菌効果の持続性は一定状態とな
り、経済的ではない。抗菌剤、紫外線吸収剤、光/熱安
定剤の含有濃度は、いずれも各層あたりの濃度である。
【0019】紫外線吸収剤及び安定剤を樹脂に添加する
方法としては、外層11および隣接層12は、最終製品
の表面または表面付近に、耐光性付与剤と光/熱安定
剤、抗菌剤が分散性良く配置可能な方法であればよく、
例えば高濃度の抗菌剤マスターバッチと高濃度の耐光性
付与剤、光/熱安定剤のマスターバッチを別々に用意
し、製品を成形する際に目的の濃度となるようにバージ
ン樹脂に同時に混合し、成形する方法や、抗菌剤と耐光
性付与剤、熱/光安定剤をあらかじめ同一のマスターバ
ッチに添加し製品の成形時にバージン樹脂に混合して成
形する方法等がある。この際、マスターバッチの添加量
はバージン樹脂に対して5%以上となるように設計し、
成形を行うと薬剤の分散性が良好となる。
【0020】本発明における抗菌剤、紫外線吸収剤、光
/熱安定剤を添加する樹脂からなる外層11および隣接
層12は、具体的にとしては、一例として、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂に代表されるポリオレフィ
ン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アク
リル系樹脂、ニトリル系樹脂、スチロール系樹脂等の熱
可塑性樹脂、及びこれらの樹脂の変性物、アラビアゴ
ム、セラックス、硝化綿等の天然樹脂、フェノール樹
脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、イソシアネート樹
脂が使用でき、積層構成をとればこれら樹脂の単体ある
いは複合体であって良い。また、溶剤に樹脂を溶融し、
塗布後、溶剤を気化、紫外線により硬化、熱により硬化
させ樹脂層を形成するインキ、ニス等を含む物である。
さらに、本発明における樹脂組成物に対して酸化防止
剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、可塑剤等、通
常樹脂中に添加する物質は制限されない。
【0021】さらに、内層13は、前記記載の樹脂から
なり、抗菌剤、紫外線吸収剤、光/熱安定剤を添加され
ていない樹脂からなり、回収層は14は、前記樹脂を成
形する時に生じる、不要な部分を混合した樹脂からな
る。ガスバリア性樹脂層15と、エチレン−ビニルアル
コール共重合体、ナイロン、ボリエステル等の樹脂から
適宜選択すればよい。
【0022】また、本発明の抗菌性多層樹脂構造体の成
形方法としては、多層構成を形成できるものであれば良
く、ダイレクトブロー成形、インジェクションブロー成
形、ストレッチブロー成形等のブロー成形、コートハン
ガー等のダイによるシート押し出し成形、及び真空、圧
空、プレス、プラグアシスト成形等のシート成形があ
る。
【0023】本発明による抗菌性多層樹脂構造体は、外
層11の樹脂に第四級アンモニウム塩、その内側の隣接
層12にチアゾリン化合物を含有させ、さらに紫外線吸
収剤、光/熱安定剤を添加したことにより、押し出し成
形、ダイレクトブロー成形等の成形品加工時に、チアゾ
リン化合物が金属部分と接触し、成形機の金属部に付着
し樹脂組成物の表面が肌荒れを起こしたり、樹脂組成物
表面がべとついたり、印刷時のインキ密着性を阻害する
ことが無く、カビおよび細菌に対して優れた抗菌作用を
有し、しかも光による変色および抗菌性の低下等がない
ものである。
【0024】
【実施例】<実施例1>外層に第四級アンモニウム塩と
してベンザルコニウム塩をベンザルコニウムイオンとし
て0.5重量%、この外層に接触する内側の隣接層にチ
アゾリン系物質として2−オクチル−4−イソチアゾリ
ン−3−オンを0.02重量%と紫外線吸収剤として2
−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを0.05重量
%と光/熱安定剤としてコハク酸ジメチル・1−(2−
ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン重縮合物を0.06重量%、
その隣接層の内側にボトル成形時に生ずるバリすなわち
天地パリソンの粉砕物を添加した回収層、この回収層の
内側にに抗菌剤及びバリ等が添加されていない内層より
成る4層の多層高密度ポリエチレンボトル(胴部平均厚
み約1000μm、層比10%:15%:65%:10
%)を作製した。ベンザルコニウム塩は、塩化ベンザル
コニウムをイオン交換によりトリポリリン酸アルミニウ
ムに担持させたものを、2−オクチル−4−イソチアゾ
リン−3−オンはシリカゲルに吸着により担持させたも
のを、それぞれボトル成形用パリソン押し出し時に添加
し、所望の薬剤濃度とするようにした。
【0025】<比較例1>胴部平均厚みが約1000μ
mの高密度ポリエチレンボトルを作製した。
【0026】<比較例2>実施例1と同様にして、外層
に第四級アンモニウム塩としてベンザルコニウム塩をベ
ンザルコニウムイオンとして0.5重量%とチアゾリン
系物質として2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−
オンを0.02重量%と紫外線吸収剤として2−(3−
t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−
5−クロロベンゾトリアゾールを0.05重量%と光/
熱安定剤としてコハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキ
シエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン重縮合物を0.06重量%、その内側
にボトル成形時に生ずるバリすなわち天地パリソンの粉
砕物を添加した回収層、内層に抗菌剤及びバリ等を添加
しない構成の3層の多層高密度ポリエチレンボトル(胴
部平均厚み約1000μm、層比10%:80%:10
%)を作製した。ベンザルコニウム塩は、塩化ベンザル
コニウムをイオン交換によりトリポリリン酸アルミニウ
ムに担持させたものを、2−オクチル−4−イソチアゾ
リン−3−オンはシリカゲルに吸着により担持させたも
のを、それぞれボトル成形用パリソン押し出し時に添加
し、所望の薬剤濃度とするようにした。以上3点の試料
を使用し、以下の実験を実施した。
【0027】<実験1>成形した各ボトルの表面を目視
により観察した。その状態の結果を表1に示した。
【0028】
【表1】 以上のように、実施例1、及び比較例1では良好な成形
性が得られたが、比較例2では、ボトル表面に縦スジが
発生し、良好な成形性を得ることができなかった。
【0029】<実験2>印刷適性の評価を行うため、成
形した各ボトルの表面に62dyne/cm2で火炎処
理を行った後、ポリエステル系紫外線硬化型インキにて
シルクスクリーン印刷処理を施した。この後、印刷部を
40℃の温水中に24時間浸漬後、市販のセロハンテー
プにて剥離試験を行い、インキ/ボトルの密着性を評価
した。その結果を表2に示した。
【0030】
【表2】 以上のように、実施例1、及び比較例1では良好な印刷
適性が得られたが、比較例2では、印刷インキの剥がれ
が発生し、良好な印刷適性を得ることができなかった。
【0031】<実験3>細菌指標菌として浴室床面に発
生する赤色スライムより単離されたMethylobacterium e
xtorquens (古畑ら:防菌防黴,18,407〜410,(199
0))と同一種であるMethylobacterium extorquens IFO
3708菌体を、加圧蒸気滅菌後48℃に冷ました標準寒
天培地中に約106(個/ml)となるように添加し
た。これを消毒用エタノールにて殺菌したボトル切片1
(滅菌済みシャーレ中)に、それぞれ図5に示すよう
に、1mlずつ寒天培地2を滴下し、乾燥しないように
して、30℃で48時間培養し、観察した。
【0032】図6に示すように、実施例1、および比較
例2ともに、滴下した培地2のボトル表面に接した部分
にM.extorquens IFO 3708の生育を阻止する部分(阻止
帯)を形成し、M.extorquens IFO 3708に対する抗菌性
が確認されたが、比較例1では阻止帯が形成されず、抗
菌性は確認されなかった。
【0033】<実験4>カビ指標菌としてPenicillum c
itrinum IFO 6352胞子を、加圧蒸気滅菌後48℃に冷ま
したポテトデキストロース寒天培地中に約106(個/
ml)となるように添加した。これを消毒用エタノール
にて殺菌したボトル切片1(滅菌済みシャーレ中)を、
それぞれに図7に示すように1mlずつ寒天培地2を滴
下し、乾燥しないようにして、25℃で72時間培養
し、観察した。
【0034】図8に示すように、実施例1、および比較
例2ともに、滴下した培地のボトル表面に接した部分に
P.citrinum IFO 6352の生育を阻止する部分(阻止帯)
を形成し、P.citrinum IFO 6352に対する抗菌性が確認
されたが、比較例1では阻止帯が形成されず、抗菌性は
確認されなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、外層の樹脂に第四級ア
ンモニウム塩、その内側の樹脂層にチアゾリン化合物を
含有させ、さらに紫外線吸収剤、光/熱安定剤を添加し
たことにより、押し出し成形、ダイレクトブロー成形等
の成形品加工時に、チアゾリン化合物が金属部分と接触
し、成形機の金属部に付着し樹脂層の表面が肌荒れを起
こしたり、チアゾリン化合物による樹脂層の表面がべと
つき、印刷時のインキ密着性の阻害が無く、カビおよび
細菌に対して優れた抗菌作用を有し、しかも光による変
色および抗菌性の低下等がない抗菌性多層樹脂組成物を
えることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の樹脂構造体の一例を示す断面図で
ある。
【図2】は、本発明の樹脂構造体の他の例を示す断面図
である。
【図3】は、本発明の樹脂構造体の他の例を示す断面図
である。
【図4】は、本発明の樹脂構造体の他の例を示す断面図
である。
【図5】は、実験例3の状態を示す説明図である。
【図6】は、実験例3の結果を示す説明図である。
【図7】は、実験例4の状態を示す説明図である。
【図8】は、実験例4の結果を示す説明図である。
【符号の説明】
1…ボトル切片 2…寒天培地 11…外層 12…隣接層 13…内層 14…回収層 15…ガスバリア性樹脂層
フロントページの続き (72)発明者 大日方 野枝 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも第四級アンモニウム塩系薬剤を
    添加した樹脂からなる外層と、該外層の内側にチアゾリ
    ン系化合物から選ばれた薬剤を添加した樹脂からなる隣
    接層を有する多層構成とした特徴とする、抗菌性多層樹
    脂構造体。
  2. 【請求項2】隣接層の内側に、いずれの薬剤も含まない
    樹脂からなる内層を設けたことを特徴とする、請求項1
    記載の抗菌性多層樹脂構造体。
  3. 【請求項3】隣接層と内層の間に回収層を設けたことを
    特徴とする、請求項2記載の抗菌性多層樹脂構造体。
  4. 【請求項4】隣接層の内側に、ガスバリア性樹脂層を設
    けたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれ
    か1項記載の抗菌性多層樹脂構造体。
  5. 【請求項5】第四級アンモニウムが、アルキルジメチル
    ベンジルアンモニウム塩(アルキル基の炭素数C8〜C
    18)およびアルキルピリジニウム塩(アルキル基の炭素
    数C8〜C18)より選ばれた単独または複数の物質であ
    ることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか
    1項記載の抗菌性多層樹脂構造体。
  6. 【請求項6】第四アンモニウム含有濃度が第四級アンモ
    ニウムイオンとして0.02〜2.5重量%であること
    を特徴とする請求項5記載の抗菌性多層樹脂構造体。
  7. 【請求項7】チアゾリン系化合物が2−オクチル−4−
    イソチアゾリン−3−オンであり、その含有濃度が0.
    005〜0.5重量%であることを特徴とする請求項5
    記載の抗菌性多層樹脂構造体。
  8. 【請求項8】少なくとも隣接層が、紫外線吸収剤、また
    は/および光/熱安定剤を添加した樹脂からなることを
    特徴とする、請求項1乃至請求項7記載のいずれか1項
    記載の抗菌性多層樹脂構造体。
  9. 【請求項9】紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系化
    合物であることを特徴とする、請求項8記載の抗菌性多
    層樹脂構造体。
  10. 【請求項10】光/熱安定剤が、ヒンダードアミン系化
    合物であることを特徴とする、請求項8記載の抗菌性多
    層樹脂構造体。
  11. 【請求項11】ベンゾトリアゾール系化合物が、2−
    (3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
    ル)−5−クロロベンゾトリアゾールで、その含有濃度
    が0.005〜1.0重量%であることを特徴とする、
    請求項9記載の抗菌性多層樹脂構造体。
  12. 【請求項12】ヒンダードアミン系化合物が、コハク酸
    ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロ
    キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合
    物で、その含有濃度が0.005〜1.0重量%である
    ことを特徴とする、請求項10記載の抗菌性多層樹脂構
    造体。
  13. 【請求項13】多層樹脂構造体がブロー成形品である、
    請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の多層樹脂
    構造体。
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