JPH11156422A - 厚鋼板の冷却装置およびその冷却方法 - Google Patents

厚鋼板の冷却装置およびその冷却方法

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JPH11156422A
JPH11156422A JP32404997A JP32404997A JPH11156422A JP H11156422 A JPH11156422 A JP H11156422A JP 32404997 A JP32404997 A JP 32404997A JP 32404997 A JP32404997 A JP 32404997A JP H11156422 A JPH11156422 A JP H11156422A
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多一郎 福田
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Yuichi Yano
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋼板の温度均一性を確保する。 【解決手段】前記厚鋼板の冷却開始から冷却終了時点ま
での時間が、0.2秒以上1秒未満の時間内において、
熱伝達率h1 ≧8000(W/m2・K) の条件で強冷却
し、その後、前記冷却開始時点から1秒以上経過した時
点で、前記厚鋼板の板厚をtとして、熱伝達率h2
(350000/t)−2000(W/m2・K) の条件
で弱冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度と高靱性と
を有する厚鋼板を得るために、熱間圧延工程の仕上げ圧
延終了後に厚鋼板の強制冷却を行う際における、厚鋼板
(4mm以上の厚鋼板を対象とする)の冷却装置およびそ
の冷却方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に高強度と高靱性とを有する厚鋼板
を得るために、熱間圧延工程の仕上げ圧延終了後に鋼板
の強制冷却が行われている。
【0003】この場合の鋼板冷却装置は、図10に示さ
れるように、仕上げ圧延機後方の搬送テーブルに対して
設置される。仕上げ圧延機1にして仕上げ圧延された後
の厚鋼板は、搬送テーブル2に設置された鋼板冷却装置
3へと搬送される。鋼板冷却装置3においては、給水ポ
ンプ4から冷却水を鋼板冷却スプレーヘッダー5に送水
し、送水された冷却水を鋼板冷却スプレーヘッダー5を
介して、所定の通板速度で通板中の厚鋼板の上下面に対
して投射し、厚鋼板が冷却するものである。
【0004】また、鋼板冷却スプレーヘッダー5への給
水量は、配管に設けられた流量調節弁6等により適宜調
節することができる。
【0005】上記のような装置を用いる鋼板を冷却する
方法において、均一な機械的性質を有する鋼板を得るた
めには、冷却時の温度コントロールはきわめて重要であ
り、これを改良する方法として、特開昭63−1156
10号公報では、予備冷却時の冷却開始および終了温度
と通板速度の実測値とから鋼板の熱伝達係数を求め、こ
の熱伝達係数から後段の冷却時に温度を所定値にする方
法を開示している。
【0006】特開昭63−144814号公報には、金
属板の通板速度および表面温度の温度変化にともなう熱
伝達係数の変化から伝熱方程式を解き、この伝熱方程式
から冷却水の噴射量および通板速度を決定して鋼板を所
定の温度にする方法が開示されている。また、特開平6
−330155号公報には、スケール厚さを制御するこ
とによって熱伝達係数を制御し、該鋼板の冷却速度およ
び/または冷却停止温度を制御する方法が開示されてい
る。
【0007】他方、特公平7−47166号公報には、
Ar3 点〜500℃近傍において熱伝達率2500Kcal
/m2・h・℃(約2150W/m2・K)以上の条件で強
冷却し、500〜200℃において熱伝達率150〜2
000Kcal/m2・h・℃の条件で弱冷却する方法が開示
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特に厚
鋼板のように1スラブごとに加熱圧延されるものにおい
ては、鋼板温度がその時々で異なり、また圧延形状の相
違なども要因として位置的な温度差を生じ、さらにスケ
ール厚の相違に起因して、熱伝達率は大きく変化する。
【0009】したがって、熱伝達率の推定値を用いて行
われる特開昭63−115610号公報、特開昭63−
144814号公報、および特開平6−330155号
公報記載の方法によっては、鋼板の長手方向平均、幅方
向、および上・下面の温度が均一になるように温度コン
トロールを行うことは、工業的にきわめて困難であり、
温度のばらつきを避けることはできず、機械的特性や形
状不良などの原因となる。
【0010】一方、水冷において、図2に示す沸騰曲線
のとおり、鋼板表面温度に対する熱伝達率は、高温側
(約600℃以上、TA 以上の温度)では低く、かつ低
温側(約600℃以下、TA 以下の温度)では急峻に高
くなるというように変化することが知られている。
【0011】しかるに、前記の特公平7−47166号
公報記載の方法においては、鋼板温度の変化に対応して
目的の熱伝達率を示すように冷却するためには、前段に
おいて鋼板の温度の均一性を確保することが必要とな
る。しかし、これを実施するためには、前述のように、
600℃近傍での急激な熱伝達率の変化を正確に予想す
ることが前提となり、このために高精度な制御を行うこ
とが必須となるところ、現実には、その高精度の冷却制
御は困難であるために、現状では、工業的に温度の均一
化に伴う鋼板の機械的特性を均一化することは難しい。
【0012】そこで本発明の主たる課題は、機械的特性
の均一な厚鋼板を得るために、鋼板温度の均一性を確保
できる冷却装置およびその冷却方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の請求項1記載の発明は、厚鋼板の熱間圧延機の後方
に設けた厚鋼板を冷却する鋼板冷却装置において、
(1)前記厚鋼板の冷却開始から冷却終了時点までの時
間が、0.2秒以上1秒未満の時間内において、熱伝達
率h1 ≧8000(W/m2・K)の条件で強冷却する前
段強冷却ゾーンと、(2)前記冷却開始時点から1秒以
上経過した時点で、前記厚鋼板の板厚をtとして、熱伝
達率h2 ≧(350000/t)−2000(W/m2
K) の条件で弱冷却する後段弱冷却ゾーンと、が、順に
設けられていることを特徴とする厚鋼板の冷却装置であ
る。
【0014】請求項2記載の発明は、厚鋼板の熱間圧延
機の後方に設けた厚鋼板を冷却する冷却方法において、
(1)前記厚鋼板の冷却開始から冷却終了時点までの時
間が、0.2秒以上1秒未満の時間内において、熱伝達
率h1 ≧8000(W/m2・K) の条件で強冷却し、
(2)その後、前記冷却開始時点から1秒以上経過した
時点で、前記厚鋼板の板厚をtとして、熱伝達率h2
(350000/t)−2000(W/m2・K) の条件
で弱冷却することを特徴とする厚鋼板の冷却方法であ
る。
【0015】請求項3記載の発明は、厚鋼板の熱間圧延
機の後方に設けた厚鋼板を冷却する冷却方法において、
(1)前記厚鋼板の冷却開始から冷却終了時点までの時
間が、0.2秒以上1秒未満の時間内において、熱伝達
率h1 ≧8000(W/m2・K) の条件で強冷却する工
程を、経時的に複数回繰り返し、(2)その後、前記冷
却開始時点から1秒以上経過した時点で、前記厚鋼板の
板厚をtとして、熱伝達率h2 ≧(350000/t)
−2000(W/m2・K) の条件で弱冷却することを特
徴とする厚鋼板の冷却方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に示す実施の形
態を参照しながらさらに詳説する。
【0017】図1は本発明の冷却装置を含む設備例を示
したもので、仕上げ圧延機1を経て仕上げ圧延された厚
鋼板は、その圧延機1の下流側における搬送テーブル2
に対して設置された鋼板冷却装置3において冷却され
る。
【0018】本発明においては、鋼板冷却装置3が、短
時間に当該厚鋼板の表面温度を300℃まで冷却できる
能力を有する前段強冷却ゾーン31と、後段弱冷却ゾー
ン32とに分かれて設置される。
【0019】ここに、前段強冷却ゾーン31は、前記厚
鋼板の冷却開始から冷却終了時点までの時間が、0.2
秒以上1秒未満の時間内において、熱伝達率h1 ≧80
00(W/m2・K)の条件で強冷却するものである。
【0020】また、後段弱冷却ゾーンは、前記冷却開始
時点から1秒以上経過した時点で、前記厚鋼板の板厚を
tとして、熱伝達率h2 ≧(350000/t)−20
00(W/m2・K) の条件で弱冷却するものである。
【0021】この条件を達成するために、図1に示すよ
うに、鋼板冷却装置3内の前段強冷却ゾーン31の出側
で、後段弱冷却ゾーンの入側に、インライン温度計5を
設置し、このインライン温度計5からの厚鋼板表面温度
信号に基づいて制御装置10により、給水ポンプ4によ
る流量をコントロールするフィールドバック温度制御を
行うことができる。さらに、搬送テーブル2の適宜の位
置に鋼板搬送速度計7を設け、制御装置10により鋼板
速度を制御し、鋼板冷却装置3における厚鋼板の滞留時
間を制御することにより、厚鋼板の温度コントロールを
行うことが望ましい。
【0022】一般に、伝熱面温度を液体の飽和温度以上
に上げていくと、伝熱面上で蒸発を伴う伝熱、すなわち
沸騰伝熱を生じる。横軸に厚鋼板の表面温度を、縦軸に
熱伝達率を取った場合、図2に示す沸騰特性曲線に沿っ
た変化を示す。鋼板の表面温度がTA より高い場合には
膜沸騰、TA 〜TB 間である場合には遷移沸騰、またT
B より低い場合には核沸騰である。
【0023】水冷方式の場合、鋼板表面から熱が奪われ
るために、鋼板表面の温度が低下する。しかるに、図2
に示すように、鋼板表面温度がTA より高温の場合に
は、熱伝達率がほぼ一定であるために、鋼板表面温度変
化はほぼ一定である。しかし、TA 〜TB 間の場合に
は、沸騰特性曲線が負の傾きを有するので、表面温度の
低下が始まると、鋼板表面温度はTB に達するまで(B
点に達するまで)下がり続ける。これは、鋼板位置によ
ってA点に達するまでの時間が異なると、鋼板位置相互
間の温度差が増幅されることを意味している。したがっ
て、鋼板が冷却装置3に進入する前において、鋼板位置
によって温度差があったり、冷却装置による冷却能を支
配する鋼板のスケール厚の差および鋼板表面の凸凹があ
る場合には、TA 〜TB (A〜B点)間での冷却を行う
と、水冷中の温度差が増幅する。
【0024】一方、TB 〜TC (B〜C点)間では、沸
騰特性曲線が正の傾きを有し、TBより低温側では低温
になればなるほど熱伝達率hが低くなるので、冷却装置
3に進入する前における前述の温度差要因があったとし
ても、その温度差要因は解消する傾向を示し、TB 〜T
C 間では鋼板内の温度差は縮まることとなる。
【0025】したがって、本発明の第1の主題は、冷却
の前段において、鋼板表面温度をTB 近傍(B点近
傍)、たとえばB〜C点間に冷却し、温度差(要因)を
解消させることにより、均一化した冷却を行うことにあ
る。しかるに、本発明に従って、一旦、鋼板表面温度が
B 近傍に冷却してしまう限り、その後、鋼板の水冷中
において復熱が生じた場合でも、TA 〜TB (A〜B
点)間では沸騰特性曲線が負の傾きを示すので、その温
度は温度TB に戻ろうとする作用が生じるから、鋼板位
置による温度差の発生がきわめて小さくなる。
【0026】また、本発明の第2の主題は、鋼板表面温
度をTB 近傍(B点近傍)に冷却すると、B点近傍では
安定した熱伝達率を常時得ることができ、この安定した
熱伝達率は、鋼板の冷却装置前段における滞留時間のみ
で温度コントロールが可能であるため、たとえば水冷量
などをコントロールして温度制御することに比較して、
安定した温度制御が可能となる。
【0027】次に、本発明に係る条件についてさらに具
体的に説明する。 (B点近傍が成立する条件について)図4は、半無限固
体の表面温度TO (℃)が、時間τ秒後に表面温度TS
(℃)になった場合の、半無限固体内の温度勾配を示
す。ここで、xは固体内の厚さ方向の深さ(mm) 、δ
(τ)はある時間τ秒後の温度浸透深さ(mm)である。し
かるに、αを温度伝導率とすると、以下の式(1)〜
(3)が成立する。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】
【数3】
【0031】式(1)〜(3)を解くと、
【0032】
【数4】
【0033】が導かれ、式(4)より、
【0034】
【数5】
【0035】となる。一方、hを熱伝達率(W/m2
K) およびλを熱伝導度とすると、熱バランスから、式
(6)が成立する。
【0036】
【数6】
【0037】式(5)および式(6)より、式(7)が
得られる。TW は冷却水の温度(℃)である。
【0038】
【数7】
【0039】この(7)式は、強冷却における熱伝達率
1 の必要な理論的境界条件を示し、したがって、熱伝
達率h1 が(7)式の右辺の値より大きい条件の下で
は、良好な強冷却を行うことができる。
【0040】(B〜C点間が成立する条件について)ま
た、鋼板を上下面から冷却した場合の経時的温度分布の
変化は図6に示すものとなる。すなわち、冷却(水冷)
開始時(τ=0)において、鋼板全体が一定温度である
ものが、鋼板上下面からの冷却によって鋼板内において
温度勾配を示すようになり、一定時間経過後のτ3 の時
点となると、冷却温度浸透深さδ(τ)が、板厚の1/
2に達する。このτ3 時点以降の冷却を、本発明に従っ
てTS=300℃近傍の温度域で行う限り、鋼板冷却中
における抜熱と熱伝導とがバランスし、鋼板内の温度勾
配は以後も一定になる。
【0041】このことは、逆に、冷却温度浸透深さδ
(τ)が板厚の1/2に達した時点からの熱伝達率hは
一定となることを意味している。したがって、(4)式
において、δ=t/2とすることができ、(8)式が与
えられる。この(8)式は、弱冷却の条件を与えるもの
である。
【0042】
【数8】
【0043】この式(8)を式(7)に代入すると、
(9)式が与えられる。
【0044】
【数9】
【0045】したがって、熱伝達率h2 が(9)式の右
辺の値より大きい条件の下では、良好な弱冷却を行うこ
とができる。
【0046】〔実施例〕次に実施例により本発明の効果
を明らかにするとともに、実験の結果からみた前述の条
件などについても考察する。
【0047】実施例での設備の概要を図7に示す。この
設備は、基本的に図1に示すものと同様であるが、前段
強冷却ゾーン31と、後段弱冷却ゾーン32との間に、
前段強冷却による後段弱冷却への影響を防止するため
に、鋼板Mの上下面に当接して回転し冷却水の鋼板M表
面上の移動を阻止する拘束ローラー9を設けたものであ
る。また、実施例では、前段強冷却ゾーンノズル31a
としてスリットノズル(上下それぞれ水量15m3/分)
が、後段弱冷却ゾーンノズル32aとしてスプレーノズ
ル(上下それぞれ水量1m3/m2・分)が用いた。なお、
前段強冷却ゾーンノズル31aの噴射有効長さ(換言す
れば前段強冷却ゾーンの有効長)は0.1mである。こ
れらは、スリットジェットノズル、ミスティングジェッ
トノズル、スリットノズル、またはスプレーノズル等の
いずれのノズル形式も用いることができる。
【0048】かかる設備の下で、板厚tが40mm、搬送
速度25m/分で搬送される仕上げ圧延後の約800℃
の厚鋼板に対して、温度が30℃の冷却水により強冷却
および弱冷却を行った。
【0049】この条件下では、強冷却時間τは、0.1
m÷24m/分=0.25秒であり、このτ値を式
(4)に代入するとδ≒0.008mである。そこで、
図4に示す鋼板厚さ方向の深さに対する温度分布が直線
であると近似すると、式(10)が得られる。
【0050】
【数10】
【0051】この式(10)に、TS =300℃、TW
=30℃およびTO =800℃を代入すると、式(1
1)となる。
【0052】
【数11】
【0053】式(11)におけるλは35W/m・Kで
あるから、δ=0.008mを代入すると、次記の強冷
却における熱伝達率となる。 ha=1.85×35÷0.008≒8094(W/m2・K) …(A) 他方、弱冷却時においては、(9)式において、t=
0.04m、TO =800℃、TS =300℃、TW
30℃およびλ=35W/m・Kを代入すると、次記の
弱冷却における熱伝達率となる。 hb=259/t=259/0.04=6475(W/m2・K) …(B) かかる条件の下で得られた鋼板は、板形状が良好であ
り、かつ機械的特性にも優れたものであった。
【0054】<第2例>第2例においては、板厚tが5
8mmの厚鋼板については、搬送速度を10m/分として
冷却した。この場合においては、同様に計算を行うと、
τ=0.6秒、δ=0.012mであるから、強冷却に
おける熱伝達率は次記となる。 hc=1.85×35÷0.012≒5396(W/m2・K) …(C) また、弱冷却における熱伝達率は次記となる。 hd=259/t=259/0.058=4465(W/m2・K) …(D) この第2例においても、得られた鋼板は、板形状が良好
であり、かつ機械的特性にも優れたものであった。
【0055】(まとめ)図2におけるB点の温度は、厚
鋼板と水との関係では、鋼板表面温度TB ≒300℃で
あることを知見しているので、TS =300℃およびT
W =30℃を、また、鋼板冷却開始時の条件としてTO
=800℃、および物性として熱伝導率α=2×1
-5、熱伝導度λ=35W/m・Kをそれぞれ式(7)
に代入し、かつ対象とする板厚の種類を考慮すると、強
冷却における最適の熱伝達率の境界条件として、図5に
示す実線のグラフが得られる。このグラフから、τ=1
では熱伝達率h1 ≒8000(W/m2・K)であること
が判る。
【0056】他方、弱冷却における熱伝達率の境界条件
は、理論的には、前記の(8)式または(9)式で与え
られ、熱伝達率h2 は、板厚t(mm) と強く相関し、図
5のグラフ上でもあらわすことができる。ちなみに、多
くの実験の下で、板形状が良好であり、かつ機械的特性
にも優れたものの場合における、熱伝達率h2 は、板厚
t=40mmのとき6475W/m2・K、板厚t=50mm
のとき5180W/m2・K、板厚t=60mmのとき43
16/m2・Kであることを知見している。
【0057】さらに、外乱要素を含めると、好適な弱冷
却における熱伝達率h2 の境界条件は、図3に示すグラ
フとなり、次記式で近似できる。
【0058】熱伝達率h2 =(350000/t)−2
000(W/m2・K) なお、図5に示すグラフは、本発明における、前段強冷
却ゾーンによって行われる強冷却の際、TS =300℃
にするのに必要な熱伝達率h1 と、後段弱冷却ゾーンに
よって行われる弱冷却の際、強冷却により達成された表
面温度を維持するために必要な熱伝達率h2 とを示して
おり、例えばt=40mmの場合は、図5のグラフにおい
て、鋼板冷却開始から実線部分とt=40mmに対応する
破線部分とが交差する時点までは、強冷却し、それ以降
は弱冷却することによって、T0=300℃で鋼板全体
を均一に冷却できることとなる。
【0059】本発明において、強冷却の時点τは、0.
2秒以上1秒未満の時間内とするのは、τと冷却開始温
度T0 との関係、およびτと板厚tとの関係が存在し、
理論的には、(8)式および(9)式によって限定され
るものと考えられるものの、現実的観点からみて、τの
下限時間は0.2秒以上と限定される。τの上限時間
(1秒未満)も同様に現実的観点から定めた。
【0060】弱冷却の開始時点は、(8)式を変形すれ
ば判るように、理論的には次記式で表すことができる。 τ≧(t2 /4)×(1/12α) この時点までは、理論的には(9)式の右辺より大き
い、現実的には8000(W/m2・K)以上の熱伝達率
1 をもって冷却する必要がある。
【0061】図8は各種の板厚の鋼板について、鋼板搬
送速度を変化させたとき、鋼板の反り量を調べたもので
ある。この結果によれば、鋼板の板厚に応じて適切な搬
送速度を選定すれば、鋼板の反りが確実に防止できるこ
とを意味している。
【0062】なお、上記の計算例は、冷却開始温度を8
00℃としたものであることを前提とするものであるか
ら、たとえば、冷却開始温度を700℃とすると、異な
る値となることは明らかであろう。
【0063】ところで、強冷却において、たとえば冷却
開始温度を700℃とすると、鋼板の表面温度を300
℃以下にすることができないことがある。この場合に
は、請求項3記載の発明に従って、0.2秒以上1秒未
満の時間内において、熱伝達率h1 ≧8000(W/m2
・K) の条件で強冷却する工程を、経時的に複数回繰り
返すことができる。これを図9によって模式的に示す。
τ1 <1およびτ2 <1である。この場合、設備的に
は、前段強冷却ゾーンを区分して複数設置し、その後の
下流側において後段弱冷却ゾーンを設けることとなる。
【0064】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、機械的特
性が均一で、板形状が良好な厚鋼板を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る厚鋼板の冷却設備の概要図であ
る。
【図2】沸騰特性曲線である。
【図3】本発明に係る弱冷却における鋼板の熱伝達率と
鋼板の板厚との関係を示すグラフである。
【図4】半無限固体内の温度勾配を示すグラフである。
【図5】鋼板冷却中において、鋼板表面温度が300℃
で保持されるために必要とされる熱伝達率と冷却開始か
らの経過時間と鋼板の板厚との関係を示すグラフであ
る。
【図6】冷却過程における温度分布変化図である。
【図7】実施例での鋼板冷却装置の概要図である。
【図8】鋼板の搬送速度と鋼板の反り量との関係を示す
グラフである。
【図9】本発明の他の例の模式的説明図である。
【図10】従来の鋼板冷却装置の概要図である。
【符号の説明】
1…仕上げ圧延機、2…搬送テーブル、3…鋼板冷却装
置、4…給水ポンプ、5…インライン温度計、7…鋼板
搬送速度計、10…制御装置、31…前段強冷却ゾー
ン、32…後段弱冷却ゾーン。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】厚鋼板の熱間圧延機の後方に設けた厚鋼板
    を冷却する鋼板冷却装置において、 (1)前記厚鋼板の冷却開始から冷却終了時点までの時
    間が、0.2秒以上1秒未満の時間内において、熱伝達
    率h1 ≧8000(W/m2・K)の条件で強冷却する前
    段強冷却ゾーンと、 (2)前記冷却開始時点から1秒以上経過した時点で、
    前記厚鋼板の板厚をtとして、熱伝達率h2 ≧(350
    000/t)−2000(W/m2・K) の条件で弱冷却
    する後段弱冷却ゾーンと、 が、順に設けられていることを特徴とする厚鋼板の冷却
    装置。
  2. 【請求項2】厚鋼板の熱間圧延機の後方に設けた厚鋼板
    を冷却する冷却方法において、 (1)前記厚鋼板の冷却開始から冷却終了時点までの時
    間が、0.2秒以上1秒未満の時間内において、熱伝達
    率h1 ≧8000(W/m2・K) の条件で強冷却し、 (2)その後、前記冷却開始時点から1秒以上経過した
    時点で、前記厚鋼板の板厚をtとして、熱伝達率h2
    (350000/t)−2000(W/m2・K) の条件
    で弱冷却することを特徴とする厚鋼板の冷却方法。
  3. 【請求項3】厚鋼板の熱間圧延機の後方に設けた厚鋼板
    を冷却する冷却方法において、 (1)前記厚鋼板の冷却開始から冷却終了時点までの時
    間が、0.2秒以上1秒未満の時間内において、熱伝達
    率h1 ≧8000(W/m2・K) の条件で強冷却する工
    程を、経時的に複数回繰り返し、 (2)その後、前記冷却開始時点から1秒以上経過した
    時点で、前記厚鋼板の板厚をtとして、熱伝達率h2
    (350000/t)−2000(W/m2・K) の条件
    で弱冷却することを特徴とする厚鋼板の冷却方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010005683A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Jfe Steel Corp 熱間圧延における近赤外線カメラを用いた熱延金属帯の冷却制御方法および熱延金属帯の製造方法
JP2010005682A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Jfe Steel Corp 熱間圧延における近赤外線カメラを用いた熱延金属帯の冷却制御方法および熱延金属帯の製造方法
KR101277914B1 (ko) * 2010-12-28 2013-06-21 주식회사 포스코 후판재 냉각장치

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