JPH111558A - 架橋ポリコハク酸イミドの製造方法 - Google Patents

架橋ポリコハク酸イミドの製造方法

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JPH111558A
JPH111558A JP10976398A JP10976398A JPH111558A JP H111558 A JPH111558 A JP H111558A JP 10976398 A JP10976398 A JP 10976398A JP 10976398 A JP10976398 A JP 10976398A JP H111558 A JPH111558 A JP H111558A
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Japan
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polysuccinimide
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solvent
producing
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Application number
JP10976398A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Irisato
義広 入里
Makoto Sukegawa
誠 助川
Toshio Kato
敏雄 加藤
Hiroaki Tamaya
玉谷  弘明
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の前駆体とし
て有用な架橋ポリコハク酸イミドの工業的に適した製造
法を提供する。 【解決手段】 ポリコハク酸イミドの架橋反応におい
て、ポリコハク酸イミドの貧溶媒を用いて分散させて架
橋することで効率良く架橋ポリコハク酸イミドを得る、
ポリコハク酸イミドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(生)分解性及び
高吸水能を有する架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の前駆
体として有用な架橋ポリコハク酸イミドの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】
[吸水性樹脂の技術的背景]吸水性樹脂は、自重の数十
倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であり、生理用品、
紙おむつ、母乳パット、使い捨て雑巾等の衛生用品、創
傷保護用ドレッシング材、医療用アンダーパット、パッ
プ剤等の医療用品、ペット用シート、携帯用トイレ、ゲ
ル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等
の生活用品、シャンプー、セット用ジェル剤、保湿剤等
のトイレタリー用品、農・園芸用の保水材、切り花の延
命剤、フローラルフォーム(切り花の固定化材)、育苗
用苗床、水耕栽培、植生シート、種子テープ、流体播
種、結露防止用農業用シート等の農・園芸用品、食品用
トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シート等の食品包
装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用
資材、結露防止用建築材料、土木・建築用のシーリング
材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、
ガスケット・パッキング等の土木建築資材、光ファイバ
ー等の電子機器のシール材、通信ケーブル用止水材、イ
ンクジェット用記録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝
固剤、ガソリン、油類の脱水、水分除去剤等の水処理
剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪等の幅広い分野
に使用されている。
【0003】また、その薬品徐放性を利用して、徐放性
肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤等の用途にも期待されて
いる。さらにその親水性を利用して湿度調整材、電荷保
持性を利用して帯電防止剤等への使用も期待される。
【0004】[吸水性樹脂に関する先行技術]このよう
な用途に使用されている吸水性樹脂としては、例えば、
架橋ポリアクリル酸部分中和物(特開昭55−8430
4号、米国特許4625001号)、澱粉−アクリロニ
トリル共重合体の部分加水分解物(特開昭46−439
95号)、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体(特開昭
51−125468号)、酢酸ビニル−アクリル酸エス
テル共重合体の加水分解物(特開昭52−14689
号)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸とアクリル酸の共重合架橋物(欧州特許00681
89号)、カチオン性モノマーの架橋重合体(米国特許
4906717号)、架橋イソブチレン−無水マレイン
酸共重合体の加水分解物(米国特許4389513号)
などが知られている。
【0005】ところが、これらの吸水性樹脂は分解性を
有しないため、使用後の廃棄が問題である。
【0006】現状としては、これらの吸水性樹脂は、廃
棄時には焼却処理する方法と埋め立てする方法が行われ
ているが、焼却炉で処理する方法では、焼却時に発生す
る熱による炉材の損傷のほかに、地球の温暖化や酸性雨
の原因となることが指摘されている。また、吸水性樹脂
を用いた紙おむつ等の廃棄物は水分を多量に含むために
燃えにくく、焼却炉の温度を下げるため、800℃以下
にて生成し易いダイオキシン発生の原因となることが疑
われている。
【0007】一方、埋め立て処理する方法では、プラス
チックは容積がかさばる、腐らないため地盤が安定しな
い等の問題があるうえ、埋め立てに適した場所がなくな
ってきたことが大きな問題となっている。
【0008】すなわち、これらの樹脂は分解性に乏し
く、水中や土壌中では半永久的に存在するので、廃棄物
処理における環境保全を考えると非常に重大な問題であ
る。例えば紙おむつ、生理用品等の衛生材料に代表され
る使い捨て用途の樹脂の場合、それをリサイクルすれば
多大な費用がかかり、焼却するにも大量であるため地球
環境への負荷が大きい。また農・園芸用保水材として架
橋ポリアクリル酸樹脂を使用した場合、土壌中でCa2+
等の多価イオンとコンプレックスを形成し、不溶性の層
を形成すると報告されている(松本ら、高分子、42
巻、8月号、1993年)。このような層はそのもの自
体の毒性は低いと言われているが、自然界には全くない
ものであり、長期に渡るそれら樹脂の土中への蓄積によ
る生態系への影響は不明であり、十分に調べる必要があ
り、その使用には慎重な態度が望まれる。同様に非イオ
ン性の樹脂の場合、コンプレックスは形成しないが、非
分解性のため土壌中へ蓄積する恐れがあり、その自然界
への影響は疑わしい。
【0009】さらにこれらの重合系の樹脂は、人間の肌
等に対して毒性の強いモノマーを使用しており、重合後
の製品からこれを除去するために多くの検討がなされて
いるが、完全に除くことは困難である。特に工業的規模
での製造ではより困難となることが予想される。
【0010】[生分解性を有する吸水性樹脂の技術的背
景]一方、近年、「地球にやさしい素材」として生分解
性ポリマーが注目されており、これを吸水性樹脂として
使用することも提案されている。
【0011】このような用途に使用されている生分解性
を有する吸水性樹脂としては、例えばポリエチレンオキ
シド架橋体(特開平6−157795号等)、ポリビニ
ルアルコール架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋
体(米国特許4650716号)、アルギン酸架橋体、
澱粉架橋体、ポリアミノ酸架橋体などが知られている。
この中でポリエチレンオキシド架橋体、ポリビニルアル
コール架橋体は吸水量が小さく、特に生理用品、紙おむ
つ、使い捨て雑巾、ペーパータオルなどの高い吸水能が
要求される製品の素材として使用する場合、適切でな
い。
【0012】また、これらの化合物は特殊な菌のみしか
生分解することができないので、一般的な条件では生分
解は遅かったり、もしくは全く分解しなかったりする。
さらに分子量が大きくなると極端に分解性が低下する。
【0013】また、カルボキシメチルセルロース架橋
体、アルギン酸架橋体、デンプン架橋体等の糖類架橋体
は、その分子内に強固な水素結合を多く含むために、分
子間、ポリマー間の相互作用が強く、そのため分子鎖が
広く開くことができず、吸水能は高くない。
【0014】[ポリアミノ酸系吸水性樹脂の技術的背
景]一方、ポリアミノ酸を架橋して得られる樹脂は生分
解性を有するために地球環境にやさしく、また生体内に
吸収されても酵素作用により消化吸収され、しかも生体
内での抗原性を示さず、分解生成物も毒性がないことが
明らかにされているので、人に対してもやさしい素材で
ある。
【0015】このような樹脂の記載例として、ポリ−γ
−グルタミン酸にγ線を照射して高吸水能を有する樹脂
を製造する方法が報告されている(国岡ら、高分子論文
集、50巻10号、755頁(1993年))。しか
し、工業的な観点からは、この技術に用いる60Co照射
設備は、放射能の遮断を行うためには大がかりな設備が
必要であり、その管理にも十分な配慮が必要であるため
現実的ではない。また出発物質であるポリグルタミン酸
が高価であることも問題点である。
【0016】また、酸性アミノ酸を架橋させてハイドロ
ゲルを得る方法が報告されている[Akamatsuら、米国特
許第3948863号(特公昭52−41309号対
応)、岩月ら、特開平5−279416号]。さらに架
橋アミノ酸樹脂を吸水性ポリマーに用いる報告がされて
いる(Sikesら、特表平6−506244号;米国特許
第5247068及び同第5284936号、鈴木ら、
特開平7−309943号、原田ら、特開平8−598
20号)。
【0017】しかしいずれの報告の場合も、これらの樹
脂は吸水性や塩水吸水性が十分でなく、実用的ではなか
った。
【0018】[本発明者らの技術的思想の背景]本発明
者らは、特開平7−224163号に記載されているよ
うに、ポリコハク酸イミドを架橋剤と反応させ、残りの
イミド環を加水分解することにより、塩水吸水能の高い
架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を製造する技術について
開示した。
【0019】また、本発明者らは、特開平9−1698
40号に記載されているように、ポリコハク酸イミドを
架橋した後、水混和性有機溶剤と水との均一な混合溶媒
中で残りのイミド環を加水分解し、これにより塩水吸水
能の高い架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を製造する技術
について開示した。
【0020】これら技術により得られる架橋ポリアスパ
ラギン酸系樹脂は、地球にやさしく、かつ高吸水能を有
するので非常に有用である。しかし、工業的見地から見
た場合、さらなる改良の余地を残していた。
【0021】すなわち、これらの方法では、架橋ポリコ
ハク酸イミドの製造工程を十分に管理しないと、架橋が
十分に進行せず、高い吸水能を有する吸水性樹脂が得ら
れないことがあった。また、架橋反応を十分に進行させ
ると、架橋反応時に樹脂が反応溶媒を含んで反応系全体
が固化するので、攪拌中の処理が困難となったり、ま
た、反応後の処理が困難を極めていたので、工業的生産
に適した方法でなかった。したがって、架橋ポリアスパ
ラギン酸系樹脂の前駆体である架橋ポリコハク酸イミド
の製造方法においては、工程管理と工程の簡略化、改良
の点で改善の余地があった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、上記のような従来の問題点を解決し、生分解性を有
し、かつ優れた吸水能を有する架橋ポリアスパラギン酸
系樹脂の前駆体として有用な架橋ポリコハク酸イミド
を、簡易な工程により製造できる方法を提供することに
ある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。
【0024】即ち本発明は、以下の[1]〜[14]に記載
した事項により特定される。 [1] 分散剤により分散状態としたポリコハク酸イミド
と、架橋剤とを架橋反応させることを特徴とする架橋ポ
リコハク酸イミドの製造方法。
【0025】[2] 架橋剤がポリアミンであることを特
徴とする[1]に記載した架橋ポリコハク酸イミドの製造
方法。
【0026】[3] 分散剤が水混和性有機溶媒であるこ
とを特徴とする[1]又は[2]に記載した架橋ポリコハク
酸イミドの製造方法。
【0027】[4] 分散剤が水不混和性有機溶媒である
ことを特徴とする[1]又は[2]に記載した架橋ポリコハ
ク酸イミドの製造方法。
【0028】[5] 分散剤が、ポリコハク酸イミドを実
質的に完全には溶解できない有機溶媒及び水から成る群
より選択された貧溶媒であることを特徴とする[1]又は
[2]に記載した架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0029】[6] ポリコハク酸イミドを実質的に完全
に溶解できる有機溶媒である良溶媒にポリコハク酸イミ
ドを溶解し、ポリコハク酸イミドを実質的に完全には溶
解できない有機溶媒及び水から成る群より選択された貧
溶媒を加えて分散させて、前記分散状態としたポリコハ
ク酸イミドと架橋剤とを反応させることを特徴とする
[1]乃至[5]の何れかに記載した架橋ポリコハク酸イミ
ドの製造方法。
【0030】[7] ポリコハク酸イミドを実質的に完全
に溶解できる有機溶媒である良溶媒と、ポリコハク酸イ
ミドを実質的に完全には溶解できない有機溶媒及び水か
ら成る群より選択された貧溶媒との混合溶媒中に、ポリ
コハク酸イミドを分散させて架橋剤と反応させることを
特徴とする[1]乃至[5]の何れかに記載した架橋ポリコ
ハク酸イミドの製造方法。
【0031】[8] ポリコハク酸イミドを実質的に完全
に溶解できる有機溶媒である良溶媒にポリコハク酸イミ
ドを溶解し、架橋剤を加えた後、ポリコハク酸イミドを
実質的に完全には溶解できない有機溶媒及び水から成る
群より選択された貧溶媒を加えて分散させて、架橋剤と
反応させることを特徴とする[1]乃至[5]の何れかに記
載した架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0032】[9] ポリコハク酸イミドを実質的に完全
に溶解できる有機溶媒である良溶媒にポリコハク酸イミ
ドを溶解しかつ架橋剤を加えた溶液を、ポリコハク酸イ
ミドを実質的に完全には溶解できない有機溶媒及び水か
ら成る群より選択された貧溶媒中に分散させて、架橋剤
と反応させることを特徴とする[1]乃至[5]の何れかに
記載した架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0033】[10] ポリコハク酸イミドの「分散状
態」が、ポリコハク酸イミドを含有してなる固相と、分
散剤を含有してなる液相との固/液分散である[1]乃至
[9]の何れかに記載した架橋ポリコハク酸イミドの製造
方法。
【0034】[11] 「ポリコハク酸イミドを含有して
なる固相」が、ポリコハク酸イミドを含有してなる良溶
媒と、前記良溶媒に対して混和性の貧溶媒とを混合する
ことにより発現されることを特徴とする[10]に記載し
た架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0035】[12] ポリコハク酸イミドの「分散状
態」が、ポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解してなる液
相と、分散剤を含有してなる液相との液/液分散である
[1]乃至[9]の何れかに記載した架橋ポリコハク酸イミ
ドの製造方法。
【0036】[13] 「液/液分散」が、ポリコハク酸
イミドを良溶媒に溶解してなる液相と、前記良溶媒に対
して不混和性の貧溶媒とを混合した際に、相互の液が溶
解しないことにより発現するものであること特徴とする
[12]に記載した架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0037】[14] 請求項[1]乃至[13]の何れかに
記載した製造方法により製造された架橋ポリコハク酸イ
ミド。
【0038】本発明に従い、ポリコハク酸イミドの架橋
反応を、ポリコハク酸イミドの分散状態の下で行えば、
過度のゲル化を避けるための工程管理を省略でき、しか
も架橋反応が良好に進行するので、(生)分解性と高吸
水能を有する架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の前駆体と
して有用な架橋ポリコハク酸イミドを、簡易なプロセス
により、高い生産性で製造できる。
【0039】本発明に従い得られる架橋ポリコハク酸イ
ミドは、残りのイミド環を加水分解することで架橋ポリ
アスパラギン酸系樹脂となり、この樹脂は廃棄後に生分
解することで地球環境にやさしいので、紙オムツ用、農
・園芸用等に使用される、吸水能に優れた高吸水性樹脂
として非常に有用である。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0041】[1] 架橋ポリコハク酸イミドの構造 本発明において製造される架橋ポリコハク酸イミドは、
その構造上から、大きく分けると、主鎖基本骨格部分と
架橋部分からなる。以下、これらを分けて説明する。
【0042】[1−1] 架橋ポリコハク酸イミドの主
鎖基本骨格の構造 本発明において製造される架橋ポリコハク酸イミドの主
鎖基本骨格の繰り返し単位は、アスパラギン酸から水2
分子が脱水したポリコハク酸イミド残基単独で構成され
てもよいし、ポリコハク酸イミド残基を構成するアスパ
ラギン酸と、アスパラギン酸以外のアミノ酸との共重合
体であっても構わない。なお本発明では、結合の様式に
関わらず、ポリマー中のアスパラギン酸の脱水物からな
る繰り返し単位部分を「ポリコハク酸イミド残基」と呼
ぶ。
【0043】アスパラギン酸以外のアミノ酸の具体例と
しては、例えば、アスパラギン酸を除く19種類の必須
アミノ酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−
アラニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ
酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩
基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニ
ルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及び
アミノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン
酸等を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性
体(L体、D体)であっても、ラセミ体であってもよ
い。
【0044】共重合体である場合は、ブロック・コポリ
マーであっても、ランダム・コポリマーであっても構わ
ない。また、グラフトであっても構わない。
【0045】ポリコハク酸イミド残基から成る繰り返し
単位の数は、特に限定されないが、分子を構成する繰り
返し単位の総数に対して、1〜99.8%が好ましく、
10〜99.8%がより好ましい。
【0046】架橋ポリコハク酸イミドの主鎖基本骨格の
繰り返し単位としては、高い吸水能を有するという点か
ら、ポリコハク酸イミド残基単独、又は、グルタミン酸
若しくはリジンとの共重合体から構成されることが好ま
しく、工業的生産の点から前記繰り返し単位がポリコハ
ク酸イミド残基単独からなることが特に好ましい。
【0047】[1−2] 架橋ポリコハク酸イミドの架
橋部分の構造 架橋ポリコハク酸イミド中の架橋部分は、その分子構造
について特に限定されない。架橋ポリコハク酸イミドの
架橋部分は、ポリマー主鎖基本骨格との「結合部分」
と、それらを橋架けする「連結部分」に分けて理解する
ことができる。以下、それらについて説明する。
【0048】[1−2−1] 架橋ポリコハク酸イミド
の架橋部分の結合部分 架橋ポリコハク酸イミドの架橋部分の結合部分は、特に
限定されない。その具体例としては、例えば、アミド結
合、エステル結合、チオエステル結合から成る構造を挙
げることができる。これらは単独でもよいし、複数の構
造が混在していても構わない。
【0049】架橋ポリコハク酸イミドの架橋部分と主鎖
基本骨格は、主鎖中のアミド結合、エステル結合、チオ
エステル結合が、α結合である場合と、β結合である場
合がある。すなわち、架橋ポリコハク酸イミドの架橋部
分はポリアスパラギン酸残基となっており、その結合様
式は2種類ある。このポリアスパラギン酸の場合のα結
合とβ結合は、通常、混在して存在する。本発明では、
その結合様式は特に限定されない。
【0050】[1−2−2] 架橋ポリコハク酸イミド
の架橋部分の連結部分 架橋ポリコハク酸イミドの架橋部分の連結部分は特に限
定されない。連結部分の具体例を、以下に挙げる。
【0051】−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH
2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−(CH2
5−、−(CH26−、−(CH27−、−(CH28
−、−(CH29−、−(CH210−、−(CH211
−、−(CH212−、−(CH213−、−(CH2
14−、−(CH215−、−(CH216−、−(C
217−、−(CH218−、−CH2CH2OCH2
2−、−(CH2CH2O)2CH 2CH2−、−(CH2
CH2O)3CH2CH2−、−(CH2CH2O)4CH2
2−、−(CH2CH2O)5CH2CH2−、−(CH2
CH2O)6CH2CH2−、−CH2CH2CH2OCH2
2CH2−、−(CH2CH2CH2O)2CH2CH2CH
2−、−(CH2CH2CH2O)3CH2CH2CH2−、−
(CH2CH2CH2O)4CH2CH2CH2−、−(CH2
CH2CH2O)5CH2CH2CH2−、−(CH2CH2
2O)6CH2CH2CH2−、
【0052】
【化1】
【0053】
【化2】 これらの連結部分は、無置換のものでも、置換基により
置換したものでもよい。この置換基としては、炭素原子
数1から18の分岐していても良いアルキル基、炭素原
子数3から8のシクロアルキル基、アラルキル基、置換
していても良いフェニル基、置換していてもよいナフチ
ル基、炭素原子数1から18の分岐していても良いアル
コキシ基、アラルキルオキシ基、フェニルチオ基、炭素
原子数1から18の分岐していても良いアルキルチオ
基、炭素原子数1から18の分岐していても良いアルキ
ルアミノ基、各アルキル基が炭素原子数1から18の分
岐していても良いジアルキルアミノ基、各アルキル基が
炭素原子数1から18の分岐していても良いトリアルキ
ルアンモニウム基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、
カルボキシル基、スルホン酸基並びにホスホン酸基及び
これらの塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボ
ニルオキシ基等が挙げられる。
【0054】例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テト
ラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシ
ル、オクタデシル等のアルキル基、シクロプロピル、シ
クロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロ
ヘプチル、シクロオクチル等のシクロアルキル基、ベン
ジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブ
チル等のアラルキル基、フェニル、トリル、キシリル、
クロロフェニル、ビフェニル等のフェニル基、ナフチ
ル、メチルナフチル等のナフチル基、メトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシル
オキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキ
シ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオ
キシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキ
サデシルオキシ、ヘプチルデシルオキシ、オクチルデシ
ルオキシ等のアルコキシ基、フェノキシ、ベンジルオキ
シ、トリルオキシ等のアラルキルオキシ基、メチルチ
オ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチル
チオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノ
ニルチオ、デシルチオ、ウンデシルチオ、ドデシルチ
オ、トリデシルチオ、テトラデシルチオ、ペンタデシル
チオ、ヘキサデシルチオ、ヘプチルデシルチオ、オクチ
ルデシルチオ等のアルキルチオ基、フェニルチオ基、ベ
ンジルチオ、トリルチオ等のアラルキルチオ基、メチル
アミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミ
ノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ヘプチルアミ
ノ、オクチルアミノ、ノニルアミノ、デシルアミノ、ウ
ンデシルアミノ、ドデシルアミノ、トリデシルアミノ、
テトラデシルアミノ、ペンタデシルアミノ、ヘキサデシ
ルアミノ、ヘプチルデシルアミノ、オクチルデシルアミ
ノ等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ、ジエチルア
ミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジペンチル
アミノ、ジヘキシルアミノ、ジヘプチルアミノ、ジオク
チルアミノ、ジノニルアミノ、ジデシルアミノ、ジウン
デシルアミノ、ジドデシルアミノ、ジトリデシルアミ
ノ、ジテトラデシルアミノ、ジペンタデシルアミノ、ジ
ヘキサデシルアミノ、ジヘプチルデシルアミノ、ジオク
チルデシルアミノ、エチルメチルアミノ、メチルプロピ
ルアミノ等のジアルキルアミノ基、トリメチルアンモニ
ウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニ
ウム、トリブチルアンモニウム、トリペンチルアンモニ
ウム、トリヘキシルアンモニウム、トリヘプチルアンモ
ニウム、トリオクチルアンモニウム、トリノニルアンモ
ニウム、トリデシルアンモニウム、トリウンデシルアン
モニウム、トリドデシルアンモニウム、トリテトラデシ
ルアンモニウム、トリペンタデシルアンモニウム、トリ
ヘキサデシルアンモニウム、トリヘプチルデシルアンモ
ニウム、トリオクチルデシルアンモニウム、ジメチルエ
チルアンモニウム、ジメチルベンジルアンモニウム、メ
チルジベンジルアンモニウム等のトリアルキルアンモニ
ウム基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ
ル基、又は、スルホン酸基、又はホスホン酸基及びこれ
らの塩、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボ
ニル、プロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボ
ニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカル
ボニル、ヘプチルオキシカルボニル、オクチルオキシカ
ルボニル、ノニルオキシカルボニル、デシルオキシカル
ボニル、ウンデシルオキシカルボニル、ドデシルオキシ
カルボニル、トリデシルオキシカルボニル、テトラデシ
ルオキシカルボニル、ペンタデシルオキシカルボニル、
ヘキサデシルオキシカルボニル、ヘプタデシルオキシカ
ルボニル、オクタデシルオキシカルボニル等のアルキル
オキシカルボニル基、メチルカルボニルオキシ、エチル
カルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、ブチル
カルボニルオキシ、ペンチルカルボニルオキシ、ヘキシ
ルカルボニルオキシ、ヘプチルカルボニルオキシ、オク
チルカルボニルオキシ、ノニルカルボニルオキシ、デシ
ルカルボニルオキシ、ウンデシルカルボニルオキシ、ド
デシルカルボニルオキシ、トリデシルカルボニルオキ
シ、テトラデシルカルボニルオキシ、ペンタデシルカル
ボニルオキシ、ヘキサデシルカルボニルオキシ、ヘプタ
デシルカルボニルオキシ、オクタデシルカルボニルオキ
シ等のアルキルカルボニルオキシ基等を挙げることがで
きる。
【0055】これらの中から分子量が大きいものを選択
すると、架橋部分の分子量が大きくなり、相対的に繰り
返し単位当たりの分子量が大きくなり、単位重量当たり
の吸水量が小さくなるので、分子量が小さいものを選択
する方が好ましい。また、一般的に製造法が簡単なもの
を選択することも好ましい。例えば、無置換のもの、又
は、置換基(例えば、メチル、エチル、メトキシ、メチ
ルオキシカルボニル及び/又はメチルカルボニルオキシ
基;並びに/又は水酸基、アミノ基、メルカプト基、カ
ルボキシル基、スルホン酸基及び/又はホスホン酸基及
び又はこれらの塩等)により置換されたものが好まし
い。
【0056】さらに、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を
保水材の用途に使用する場合は、樹脂分子内に極性基が
存在することが好ましいので、架橋部分は、無置換の状
態で極性基を含むもの、又は、極性基を含む置換基(例
えば、水酸基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル
基、スルホン酸基及びホスホン酸基並びに/又はこれら
の塩)により置換されたものが特に好ましい。
【0057】ここで、架橋部分の量は特に限定されない
が、架橋部分を有する繰り返し単位の数は、重合体全体
の繰り返し単位の総数を基準として、0.1〜20%が
好ましく、0.5〜10%がより好ましい。
【0058】[2] ポリコハク酸イミドの製造方法 本発明に使用する架橋前のポリコハク酸イミドは、その
製造方法について特に限定されない。その具体例とし
て、例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル
・ソサエティー(J.Amer.Chem.Soc.)
80巻・3361頁〜(1958年)等に記載の方法を
挙げることができる。
【0059】使用するポリコハク酸イミドの分子量は、
特に限定されないが、分子量が高い方が保水材としての
能力が高くなる。一般的に、3万以上、好ましくは5万
以上、より好ましくは9万以上である。
【0060】また、ポリコハク酸イミドは、線状構造で
あっても、分岐状構造を有するものであってもよい。
【0061】[3]架橋ポリコハク酸イミドの製造方法 本発明に従って、分散剤により分散状態としたポリコハ
ク酸イミドと、架橋剤を反応させれば、架橋ポリコハク
酸イミドを簡易な工程により、高い生産性で製造でき
る。この分散剤として、ポリコハク酸イミドを実質的に
完全には溶解できない有機溶媒及び水から成る群より選
択された貧溶媒であることが好ましい。
【0062】分散剤としての貧溶媒(例えば水、及び/
又はその他の貧溶媒)により分散状態としたポリコハク
酸イミドと架橋剤とを反応させる方法の例としては、以
下の各方法[3−1]〜[3−5]を挙げることができ
る。
【0063】[3−1]ポリコハク酸イミドを分散剤と
しての貧溶媒中で分散状態にし、架橋剤と反応させる方
法。
【0064】[3−2]ポリコハク酸イミドを良溶媒に
溶解してポリコハク酸イミド溶液を調整し、分散剤とし
ての貧溶媒と混合してポリコハク酸イミドを分散状態に
し、架橋剤と反応させる方法。
【0065】[3−3]良溶媒と分散剤としての貧溶媒
との混合溶液を調整し、ポリコハク酸イミドをこの混合
溶液中に添加して分散状態にし、架橋剤と反応させる方
法。 [3−4]ポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解してポリ
コハク酸イミド溶液を調整し、架橋剤を加えて架橋反応
を一部進行させる第一の工程、及び、この第一の工程で
ポリコハク酸イミドが架橋反応によりゲル化する前に、
分散剤としての貧溶媒を加えることによりポリコハク酸
イミドを分散状態にして、さらに架橋反応を進行させる
第二の工程を含む方法。
【0066】[3−5]ポリコハク酸イミドを良溶媒に
溶解してポリコハク酸イミド溶液を調整し、分散剤とし
ての貧溶媒を徐々に添加して分散状態にし、架橋剤と反
応させる方法。
【0067】方法[3−1]は、ポリコハク酸イミドを
分散剤としての貧溶媒中で分散状態にする方法であり、
架橋反応進行時のポリコハク酸イミドは、溶媒中で溶解
しておらず、また膨潤もしていない。一方、方法[3−
2]は、ポリコハク酸イミドを、一旦良溶媒中で溶解
し、このポリコハク酸イミド溶液と、分散剤としての貧
溶媒と混合して、ポリコハク酸イミドを分散する方法で
ある点で異なる。この方法[3−2]においては、架橋
反応進行時のポリコハク酸イミドは、分散状態ではある
が、その良溶媒によりある程度溶解した状態又は膨潤し
た状態にある。
【0068】従って、方法[3−2]は、方法[3−
1]と比較して、架橋反応が均一に進行し易い。また、
一旦溶解したポリコハク酸イミドが再沈殿によって微分
散となるので、その分散状態も良好である。
【0069】方法[3−4]においては、架橋反応進行
時のポリコハク酸イミドが一旦ゲル化してしまうと、分
散剤による分散が困難となるので、ゲル化する前に貧溶
媒を加えることが必要である。さらに、架橋剤を加える
前に又は架橋剤を加えた後に、架橋反応を遅くし、ゲル
化を防ぐことを目的として、適当量の貧溶媒又は酸等を
加えても構わない。また、第一の工程及び第二の工程に
おいて、架橋ポリコハク酸イミドのイミド環の加水分解
を行うことも可能である。
【0070】方法[3−1]〜[3−5]において使用
する貧溶媒の具体例については、後に説明する。特に、
方法[3−2]〜[3−5]においては、良溶媒と貧溶
媒を併用するので、両溶媒が相互に混和する性質を有す
ることが好ましい。この場合、分散状態は、固/液分散
である。
【0071】一方、良溶媒と貧溶媒が相互に混和する性
質を有しない場合は、液/液分散となり、架橋が進行す
るにつれて、ポリコハク酸イミドを含む層はゲルとな
る。
【0072】すなわち、本発明では、「分散」なる概念
は、ポリコハク酸イミドを含む固相、ポリコハク酸イミ
ドが溶解している溶液、及び、ポリコハク酸イミドが架
橋したゲルの全てが分散状態にあることをも包含する。
これらの相は、架橋剤等を含んでいても、含まなくても
構わないが、架橋反応はこれらの相に架橋剤を含む方が
速く進行する。
【0073】[4]架橋ポリコハク酸イミドの製造条件 上記した方法[3−1]〜[3−5]に共通の製造条件
について、以下に説明する。
【0074】[4−1] 架橋反応で使用する良溶媒 ここで使用する「良溶媒」なる語の概念は、ポリコハク
酸イミドを実質的に完全に溶解できる有機溶媒を包含す
る。
【0075】本発明において使用する良溶媒は、特に限
定されない。また一般的には、使用する架橋剤を実質的
に溶解できるような良溶媒はより好ましい。例えば、親
水性の高い架橋剤を使用する場合は、混合溶媒の極性が
高い方が好ましく、疎水性の高い架橋剤を使用する場合
は、混合溶媒の極性の低い方が好ましい。
【0076】良溶媒の具体例としては、例えば、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダ
ゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙
げることができる。これらの中では、ポリコハク酸イミ
ドの溶解性が高い、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。これら
の溶媒は、単独でも、2種以上を混合して用いても構わ
ない。
【0077】[4−2] 架橋反応で使用する貧溶媒 ここで使用する「貧溶媒」なる語の概念は、ポリコハク
酸イミドを実質的に完全には溶解できない有機溶媒及び
水を包含する。本発明においては、この貧溶媒を分散剤
として好適に使用できる。
【0078】本発明において使用する貧溶媒は、特に限
定されず、化学反応一般に使用される溶媒であって、ポ
リコハク酸イミドの溶解性が低い溶媒はいずれであって
も使用できる。貧溶媒と良溶媒を併用する場合は、その
良溶媒との混和性は限定されない。また、先に述べた良
溶媒と同様に、一般的には、使用する架橋剤を実質的に
溶解できるような貧溶媒を用いることが好ましい。特
に、良溶媒が架橋剤を溶解できない場合に、架橋剤を溶
解できる貧溶媒を用いると効果的である。
【0079】貧溶媒の具体例としては、水、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノー
ル、オクタノール、2−メトキシエタノール、2−エト
キシエタノール等のアルコール類、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグ
リコール類、メチルグリコソルブ、エチルグリコソルブ
等のグリコソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等の環状エーテル、石油エーテル、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、
デカリン、ジフェニルエーテル、アニソール、クレゾー
ル等がある。これらの中では、架橋剤の極性の高い場合
は、架橋剤が溶解できる、水、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノールが特に好ましい。
これらの溶媒は、単独でも、2種以上を混合して用いて
も構わない。
【0080】なお、これら貧溶媒は、ポリコハク酸イミ
ドを分散させる目的以外にも、例えば、架橋反応を遅く
する目的等にも用いることができる。
【0081】[4−3] 架橋反応で使用する良溶媒と
貧溶媒の混合比 良溶媒と貧溶媒を併用する場合、その混合比は特に限定
されない。貧溶媒を適度に多くすれば貧溶媒の効果が発
現し、ポリコハク酸イミドが分散状態となり、ゲル化を
防止できる。一方、貧溶媒を適度に少なくすれば、良溶
媒の効果が発現し、ポリコハク酸イミドの分散状態が均
一となる。また、通常、貧溶媒を適度に少なくすれば、
溶媒回収のコストが低減し、経済的に有利である。
【0082】また、先に個別に述べた場合と同様に、一
般的には、混合溶媒としたときに、使用する架橋剤を実
質的に溶解できるような良溶媒又は貧溶媒を用いること
が好ましい。
【0083】[4−4] 架橋反応で使用するポリコハ
ク酸イミドの濃度 架橋反応が進行する時点のポリコハク酸イミドを含む分
散液における、ポリコハク酸イミドの濃度は特に限定さ
れないが、一般的には、0.1〜50重量%が好まし
く、特に1〜40重量%が好ましい。
【0084】[4−5] 架橋反応で使用するポリコハ
ク酸イミドの粒度 分散状態におけるポリコハク酸イミドの粒度は、小さい
方が、反応し易いので好ましい。ここで乾燥状態におけ
るポリコハク酸イミドの粒度(平均粒子直径)を基準に
すると、その粒度は、100μm以下が好ましく、10
μm以下がより好ましい。このように、ポリコハク酸イ
ミドの粒子が適度に小さければ、内部まで架橋反応が進
行し易くなり、後に加水分解を行った場合、未架橋の水
溶性部分が少なく、収率低下や性能低下を防止できる。
【0085】この点に関して、不均一な架橋反応を抑制
する目的で、湿式粉砕により、積極的に、さらに均一な
ポリコハク酸イミドの分散状態を発現する方法を採用す
ることが好ましい。この湿式粉砕は、特に方法[3−
1]に対して非常に有用である。
【0086】湿式粉砕は、分散剤により分散状態とした
ポリコハク酸イミドを用いて架橋する場合において、そ
の架橋反応を湿式粉砕しながら行うことにより、より均
一な分散状態を発現させることに好ましい。ここで、
「湿式粉砕」なる語の概念は、被処理物を水及び/又は
有機溶媒中で粉砕する態様を包含する。
【0087】また、粉砕の操作は、移送等を考慮する
と、水及び/又は有機溶媒中で粉砕する方法や、被処理
物をそのまま粉砕し、その後移送用の溶媒(水及び/又
は有機溶媒)を加え流動性を付与する方法がある。
【0088】湿式粉砕で使用する溶媒は、特に限定され
ず、[4−2]で示した貧溶媒又は[4−1]の良溶媒
と[4−2]の良溶媒の混合物を挙げることができる。
これらの溶媒は、単独で使用しても、2種以上を混合し
て使用してもよい。
【0089】使用する粉砕装置としては、実質的に、ポ
リコハク酸イミド、架橋剤又はそのポリコハク酸イミド
の架橋体からなる、固体、ゲル状物を粉砕できるもので
あればよく、特に制限されない。その具体例としては、
刃付撹拌翼又は通常の撹拌翼が高速回転する形式のもの
が好ましい。また、粉砕効率を上げるために、バッフル
を具備した粉砕装置も好ましく、さらに、粉砕とともに
移送機能を併せ有する粉砕装置も好ましい。撹拌翼の形
状は特に限定されず、スクリュウ状でも、大きな負荷が
かかりにくいリボン状、針金状でも構わない。
【0090】例えば、パイプラインホモミキサー、ホモ
ミックスラインミル、ゴラトールポンプ、ディスインテ
グレーター、ミキサー、スパイクミル、ホモジナイザ
ー、ミートチョッパー、製麺機、コーヒーミル、ジュー
サーミキサー、ボルテックスミキサー、タンブラーミキ
サー等が挙げられる。
【0091】ここで、刃付撹拌翼又は通常の撹拌翼の回
転数(rpm、回転数毎分)は、実質的に粉砕が達成さ
れれば、特に制限されない。一般的には、摩擦熱により
系の温度が加熱しない範囲において、高速の方が好まし
い。具体的には、10〜100000rpmが好まし
く、10〜50000rpmがより好ましく、100〜
10000rpmが特に好ましい。
【0092】湿式粉砕は、一段階で行っても、何回かに
分けて段階的に行ってもよい。湿式粉砕により達成され
る架橋反応の際の分散状態のポリコハク酸イミドの粒度
(平均粒子直径)は、特に限定されないが、小さいほう
が均一な分散状態で行うことができるので好ましい。
0.00001〜1mmが好ましく、0.00001〜
0.1mmがより好ましい。通常、分散物の粒度が大き
すぎるとその反応が不均一となり、収率の低下等を招
き、吸水量の高い樹脂が得られないことがある。
【0093】このように湿式粉砕しながら架橋された粉
砕物は、次にイミド環の加水分解反応に供される。この
加水分解反応工程は、通常、水を必須成分として用い
る。したがって、水及び/又は水混和性有機溶媒中で湿
式粉砕を行った場合は、粉砕物を分離することなく、そ
のままの状態で、次の加水分解工程を行ってもよい。
【0094】また、予め粉砕される被処理物に、加水分
解反応のための塩(有機塩及び/又は無機塩)を溶解や
混合により共存させておき、粉砕後、そのまま、次の加
水分解工程を行うこともできる。さらに、粉砕と同時
に、加水分解反応のためのアルカリ水溶液を添加し、粉
砕と加水分解反応を同時に行うこともできる。
【0095】また、この粉砕により固体を含むスラリー
を得て、この固体を溶媒から分離する場合は、溶媒回収
等を考慮して分離することが好ましい。好ましい分離法
としては、デカンテーション、遠心分離等の一般的な化
学的分離法が挙げられる。得られた固体は、乾燥してか
ら次の加水分解工程を行ってもよく、ウェット・ケーキ
のまま次の加水分解工程を行ってもよい。すなわち、有
機溶媒を加水分解工程前に除去してもよく、これを除去
すること無くそのまま加水分解工程を行ってもよい。
【0096】[4−6] 架橋反応で使用する架橋剤の
種類 本発明において使用する架橋剤は、ポリコハク酸イミド
のイミド環と反応する多官能性化合物であれば、特に限
定されない。例えば、ポリアミン、ポリチオール等の多
官能性化合物を挙げることができる。その具体例として
は、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、1,4−ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミ
ン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、
デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ド
デカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、
ヘキサデカメチレンジアミン、1−アミノ−2,2−ビ
ス(アミノメチル)ブタン、テトラアミノメタン、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族
ポリアミン、ノルボルネンジアミン、1,4−ジアミノ
シクロヘキサン、1,3,5−トリアミノシクロヘキサ
ン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン、フェニ
レンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン
等の芳香族ポリアミン、塩基性アミノ酸もしくはそれら
のエステル類、シスタミン等のモノアミノ化合物の分子
1個又はそれ以上が1個又はそれ以上のジスルフィド結
合により結合した化合物及びその誘導体等のポリアミ
ン、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチ
オール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサン
ジチオール、ペンタエリスリチオール等の脂肪族ポリチ
オール、シクロヘキサンジチオール等の脂環式ポリチオ
ール、キシリレンジチオール、ベンゼンジチオール、ト
ルエンジチオール等の芳香族ポリチオール、トリメチロ
ールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロ
ールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)
ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレー
ト)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプ
トプロピオネート)ポリチオール等のエステル類が挙げ
られる。また、リジン、シスチン、オルニチンに代表さ
れるタンパク質構成アミノ酸又はそれらの塩又はエステ
ル類が挙げられる。
【0097】他の架橋剤中では、臭気が小さく、ポリコ
ハク酸イミドのイミド環との反応性が高い、エチレンジ
アミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミ
ン、ヘプタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、リジン、オルニチン、シスタミンが好ましい。
【0098】[4−7] 架橋反応で使用する架橋剤の
使用量 架橋剤の量は、特に制限されず、架橋剤の官能数や分子
量によって決まる架橋度や、その使用用途の種類によっ
て適宜決定すればよい。ここで、架橋度とは、架橋間の
距離又は構成単量体単位の数、もしくはポリマー主鎖に
対する架橋部分の割合の度合いを表すものと定義する。
【0099】一般的には、架橋剤の量が多すぎると、架
橋度が高くなりすぎ、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂と
した際の吸水能が低下する。逆に、架橋剤の量が少なす
ぎると、架橋度が低くなりすぎ、最終的に水溶性で、吸
水能を示さない部分的にしか架橋されていないポリアス
パラギン酸系樹脂が得られることとなる。したがって、
架橋剤の量は、適当な架橋度を実現し得るように適宜決
定すればよい。架橋剤の量は、一般的には、ポリコハク
酸イミドの単量体単位の総数に対して、0.1〜30%
が好ましく、特に1〜20%が好ましい。
【0100】[4−8] 架橋反応で使用する触媒 架橋反応においては、必要に応じ触媒を使用してもよ
い。触媒としては、一般的には、塩基触媒が用いられ
る。
【0101】塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金
属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチ
ウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢酸ナト
リウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩、シュウ
酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア等の無機
系塩基試剤;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ト
リプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルア
ミン、トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、ト
リプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリペ
ンタノールアミン、トリヘキサノールアミン、ジメチル
アミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチル
アミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシク
ロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、エチルメチルア
ミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メ
チルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルア
ミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、
ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デ
シルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ピ
リジン、ピコリン、キノリン等のアミン等の有機系塩基
試剤が挙げられる。
【0102】[4−9] 架橋反応の反応温度 架橋反応における反応温度は、特に限定されず、架橋剤
の反応性や、ポリコハク酸イミドの分散状態を考慮し
て、適宜決定すればよい。一般的には、0〜200℃が
好ましく、10〜80℃がより好ましい。
【0103】[4−10] 液/液分散架橋反応の条件 ポリコハク酸イミドの良溶媒と貧溶媒が混和しない場
合、ポリコハク酸イミドの溶液(良溶媒)と分散剤(貧
溶媒)を混合すると液/液分離が起こり、適度な攪拌を
行うと分散状態にすることができる。本発明でいう「分
散」の概念は、この状態も含み、液/液分散の状態にて
架橋反応を進行することができる。ポリコハク酸イミド
と架橋剤を液/液分散状態にて反応する場合は、架橋反
応が進行していくにつれて、ポリコハク酸イミドを含む
層はゲル化してくる。ゲルは、架橋進行の途中で粘着性
を有するので、分散したゲル同士が癒着しないような方
法を取ることが望ましい。
【0104】その方法としては、特に限定されないが、
高速にて分散を維持する方法と、界面活性剤等を用いる
方法がある。両者を併用しても構わない。高速にて分散
を維持する方法は特に限定されないが、[4−5]の欄
にて記載した攪拌装置を使用できる。
【0105】界面活性剤は特に限定されないが、その例
としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリ
エタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアル
キル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸
ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸
トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキル
エーテル硫酸エステル塩、ラウリルスルホン酸ナトリウ
ム、ラウリルスルホン酸カリウム、ラウリルスルホン酸
トリエタノールアミン、ラウリルスルホン酸アンモニウ
ム、ステアリルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスル
ホン酸塩、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナ
トリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキ
ルアリールスルホン酸塩、ドデシルナフタレンスルホン
酸ナトリウム、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮
合物のナトリウム塩等のアルキルナフタレンスルホン
酸、リグニンスルホン酸塩、ジステアリルスルホコハク
酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等
のジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレン
ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンラウリルエ
ーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル
エーテル酢酸塩、アルキレンマレイン酸共重合体、カル
ボキシメチルセルロース、カルボキシメチル化された多
糖類等のカルボキシル基を有する共重合体のアルカリ金
属塩、ヤシ油脂肪酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、ラウ
リン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ラ
ウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸
トリエタノールアミン、ラウリン酸アンモニウム、ステ
アリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリ
ン酸トリエタノールアミン、ステアリン酸アンモニウム
等の脂肪酸もしくはその塩、ラウリルリン酸ナトリウ
ム、ラウリルリン酸トリエタノールアミン、ラウリルリ
ン酸アンモニウム等のモノアルキルリン酸塩等のアニオ
ン性界面活性剤、ラウリルアルコール、ミリスチルアル
コール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステ
アリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベヘニ
ルアルコール等の高級アルコール類、グリセリン、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ソルビトール、ソルビタント、ペンタエリスリ
トール等の多価アルコール、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリ
オキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレ
ンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコー
ルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レンオクチルドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェ
ニルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコー
ル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステア
リン酸エチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒ
マシ油等のポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリ
オキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のポ
リオキシエチレングリコールとポリオキシプロピレング
リコールの共重合体、モノラウリン酸ソルビタン、モノ
ステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、
モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビ
タン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソル
ビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸
ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン
アルキルエステル、モノラウリル酸ポリオキシエチレン
ソルビタン、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタ
ン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリ
ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレ
イン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸
ポリオキシエチレンソルビタン、トリイソステアリン酸
ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレン
ソルビタンアルキルエステル、テトラオレイン酸ポリオ
キシエチレンソルビット等のテトラ脂肪酸ポリオキシエ
チレンソルビット、モノステアリン酸グリセリン、モノ
オレイン酸グリセリン、モノカプリル酸グリセリン等の
グリセリンアルキルエステル、モノステアリン酸プロピ
レングリコール等のプロピレングリコールアルキルエス
テル、ポリオキシエチレンステアリルアミン等のポリオ
キシエチレンアルキルアミン、パーム核油脂肪酸ジエタ
ノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等のアル
キルアルカノールアミド、セルロース、澱粉、多糖類等
のノニオン性界面活性剤、ココナッツアミンアセテー
ト、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン
塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステア
リルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルア
ンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩
化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル
(12−18)ジメチルアンモニウム等のジアルキルジ
メチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム等のベン
ザルコニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ラウリルベ
タイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン、ラ
ウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチ
ルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルジメチルアミノ酢酸
ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキ
ルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウム
ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ酸
アミドプロピルベタイン等のアルキルアミドプロピルベ
タイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のアルキ
ルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルジメチルアミン
オキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド等の両性
系界面活性剤などを挙げることができる。
【0106】[4−11] 架橋反応後の操作 架橋反応が完了した後は、次の残りのイミド環の加水分
解を行う場合は、架橋反応に用いた有機溶媒を分離しな
いで、そのまま次の加水分解工程へ進んでもよく、分離
して架橋ポリコハク酸イミドとして取り出して次の加水
分解工程へ進んでもよい。
【0107】架橋ポリコハク酸イミドと有機溶媒の分離
は、一般に用いられる方法に従えばよい。例えば、濾
過、デカンテーション、遠心分離等が採用できる。
【0108】架橋ポリコハク酸イミドとして用いる場合
は、洗浄、乾燥等の通常の処理を行うことができる。
【0109】[5] 架橋ポリコハク酸イミドの用途 以上説明したように、分散剤により分散状態としたポリ
コハク酸イミドと、架橋剤とを反応させることにより、
架橋ポリコハク酸イミドを、簡易なプロセスにより、高
い生産性で製造できる。この架橋反応において、ポリコ
ハク酸イミドの一部のイミド環は架橋剤と反応し開環す
る。そして、得られた架橋ポリコハク酸イミドの残りの
イミド環をアルカリ加水分解すれば、良好な架橋ポリア
スパラギン酸系樹脂が得られる。すなわち、この架橋ポ
リコハク酸イミドは、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を
製造するための中間体として非常に有用である。
【0110】架橋ポリコハク酸イミドの残りのイミド環
の加水分解する場合は特願平9−68185号に記載の
方法にて容易に実施できる。すなわち、水と水混和性有
機溶媒混合液中、無機もしくは有機塩の水溶液中、或い
は40乃至100℃の温水中にて加水分解を行う方法で
あり、これらの複数を組み合わせて使用しても構わな
い。
【0111】また、アルカリにてイミド環を加水分解す
る代わり、親水基を有するアミン等を反応させることで
高吸水性の樹脂を得ることもできる。この反応に用いら
れる親水基としては特に限定されないが、カルボキシル
基を含む炭化水素基、スルホニル基を含む炭化水素基等
が挙げられる。
【0112】ただし、この架橋ポリコハク酸イミドの用
途は、その中間体の用途に限定されない。架橋ポリコハ
ク酸イミド自体を樹脂材料として、種々の用途に使用可
能であり、後に述べる「架橋ポリコハク酸イミドの使用
の形態」の欄で説明する使用形態を採り得る。その使用
時の形状も、当該欄で説明する形状にすることができ
る。
【0113】この架橋ポリコハク酸イミドの形状、粒子
径、粒度は特に限定されないが、架橋ポリコハク酸イミ
ドとして使用するか、さらに誘導した樹脂として使用す
るか、どういった用途に使用するかによって変わってく
る。
【0114】[6] 架橋ポリコハク酸イミドの形状、
粒子径 架橋ポリコハク酸イミドの形状は、不定形破砕状、球
状、粒状、顆粒状、造粒状、リン片状、塊状、パール
状、微粉末状、繊維状、棒状、フィルム状、シート状等
種々のものが使用でき、架橋ポリコハク酸イミド及びそ
れを加水分解して得られる架橋ポリアスパラギン酸系樹
脂の用途によって好ましい形状を使用できる。また、繊
維状基材、多孔質体、発泡体、造粒物等であってもよ
い。
【0115】例えば、架橋ポリコハク酸イミドを加水分
解して、止水材等の樹脂への練り混み等に用いる場合は
細かい粒子が好ましく、架橋ポリコハク酸イミドも細か
い粒子になっていたほうが好ましい。例えば、0.1〜
100μmが好ましく、0.1〜10μmがより好まし
い。
【0116】また、架橋ポリコハク酸イミドを樹脂等に
分散して使用する場合は、同様に粒子は小さいほうが好
ましい。
【0117】[10] 架橋ポリコハク酸イミドの使用
の形態 架橋ポリコハク酸イミドの使用の形態は、特に限定され
るものではなく、単独でも、他の素材と組み合わせて使
用してもよい。
【0118】例えば、他の樹脂と組合せて用いる場合、
熱可塑性樹脂に混練りして射出成形等にて成形する方
法、前記以外の構成樹脂の構成モノマーと、架橋ポリコ
ハク酸イミド又は架橋ポリアスパラギン酸系樹脂及び必
要により開始剤を混合後、光もしくは熱等で重合する方
法、樹脂と架橋ポリコハク酸イミド又は架橋ポリアスパ
ラギン酸系樹脂を溶剤に分散させ、キャストし、溶剤を
除去する方法、プレポリマーと架橋ポリコハク酸イミド
又は架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を混合後、架橋する
方法、樹脂と架橋ポリコハク酸イミド又は架橋ポリアス
パラギン酸系樹脂を混合後、架橋する方法等がある。
【0119】架橋ポリコハク酸イミド又は架橋ポリアス
パラギン酸系樹脂の成型品としては、特に限定されるも
のではなく、固形物、シート、フィルム、繊維、不織
布、発泡体、ゴム等として使用できる。また、その成型
方法も特に限定されるものではない。
【0120】一方、架橋ポリコハク酸イミド又は架橋ポ
リアスパラギン酸系樹脂は、単独でも、他の素材との組
み合わせによる複合体でも構わない。複合体の構造は特
に限定されないが、例えば、パルプ層、不織布等にはさ
み、サンドイッチ構造にする方法、樹脂シート、フィル
ムを支持体として多層構造とする方法、樹脂シートにキ
ャストし、二層構造とする方法等がある。例えば、架橋
ポリアスパラギン酸系樹脂をシート状に成形加工すれ
ば、吸水性シート(吸水性フィルムも包含する)が得ら
れる。
【0121】また、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂は、
必要により、1種以上の他の吸水性樹脂と混合して用い
ても良い。また、必要により、食塩、コロイダルシリ
カ、ホワイトカーボン、超微粒子状シリカ、酸化チタン
粉末等の無機化合物、キレート剤等の有機化合物を添加
しても構わない。さらに酸化剤、酸化防止剤、還元剤、
紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、肥料、香
料、消臭剤、顔料等を混合しても構わない。
【0122】架橋ポリアスパラギン酸系樹脂は、ゲル状
でも固形物としても使用できる。例えば、農園芸用保水
材、切り花延命剤、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤等に使用す
る場合はゲルとして用い、紙おむつ用吸収体等は固形状
として用いる。
【0123】[11] 架橋ポリコハク酸イミドの用途 架橋ポリコハク酸イミドの用途は特に限定されない。例
えば、その加水分解物である架橋ポリアスパラギン酸系
樹脂は、従来の吸水性樹脂が使用できる用途のいずれに
も使用できる。
【0124】例えば、生理用品、紙おむつ、母乳パッ
ト、使い捨て雑巾等の衛生用品、創傷保護用ドレッシン
グ材、医療用アンダーパット、パップ剤等の医療用品、
ペット用シート、携帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭
剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等の生活用品、シャン
プー、セット用ジェル剤、保湿剤等のトイレタリー用
品、農・園芸用の保水材、切り花の延命剤、フローラル
フォーム(切り花の固定化材)、育苗用苗床、水耕栽培
植生シート、種子テープ、流体播種用媒体、結露防止用
農業用シート等の農・園芸用品、食品用トレー用鮮度保
持材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、保冷材、
生鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止
用建築材料、土木・建築用のシーリング材、シールド工
法の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、ガスケット・パ
ッキング等の土木建築資材、電子機器、光ファイバー等
のシール材、通信ケーブル用止水材、インクジェット用
記録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝固剤、ガソリ
ン、油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤、捺染用の
り、水膨潤性玩具、人工雪、徐放性肥料、徐放性農薬、
徐放性薬剤、湿度調整材、帯電防止剤等が挙げられる。
【0125】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に
説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものでは
ない。以下の実施例及び比較例において「部」とは「重
量部」を意味する。
【0126】なお、架橋ポリコハク酸イミドの評価は、
ここでは便宜的に加水分解して吸水性ポリマーまで誘導
し、その吸水量にて評価した。実施例中の吸水量は、以
下のティーバック法にて測定した。
【0127】(1)ティーバッグ法 吸水量の測定は蒸留水、生理食塩水を対象として行っ
た。すなわち、蒸留水の場合は吸水性樹脂約0.05
部、生理食塩水の場合は吸水性樹脂約0.1部を不織布
製のティーバッグ(80mm×50mm)に入れ、過剰の対
応する溶液中に浸して該樹脂を1時間膨潤させた後、テ
ィーバッグを引き上げて1分間水切りを行い、膨潤した
樹脂を含むティーバッグの重量を測定した。同様な操作
をティーバッグのみで行った場合をブランクとして、そ
の重量からブランクの重量と吸水性樹脂の重量を減じた
値を、吸水性樹脂の重量で除した値を吸水量(g/樹脂1
g)とした。なお、生理食塩水は0.9重量%塩化ナトリ
ウム水溶液である。
【0128】[実施例1]リジンメチルエステル・2塩
酸塩7.2部とリジン・1塩酸塩22.6部を、蒸留水
40部に分散し、苛性ソーダ7.8部を少しずつ加えて
中和し、リジン水溶液を調製した。一方、窒素気流下、
重量平均分子量9.6万のポリコハク酸イミド100部
を、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記
す)400部に溶解し、この溶液にリジン水溶液を加
え、室温で30分攪拌後、分散剤(貧溶媒)であるトル
エン400部を装入してポリコハク酸イミドを分散さ
せ、2時間反応した。反応後、吸引濾過して沈殿物を集
め、トルエンで洗浄後、60℃にて2時間乾燥し、架橋
ポリコハク酸イミドを得た。
【0129】この架橋ポリコハク酸イミド120部を、
蒸留水400部とメタノール400部に分散し、さらに
27重量%苛性ソーダ水溶液130部を2時間かけて滴
下した。滴下後、さらに2時間攪拌し、7重量%塩酸水
を用いてpH7になるまで中和した。中和後、メタノー
ル300部に排出し、1時間攪拌した。この沈殿物を濾
過して集め、60℃で乾燥し、吸水性ポリマーである架
橋ポリアスパラギン酸系樹脂125部を得た。
【0130】この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水
量は、蒸留水で890倍、生理食塩水で71倍であっ
た。
【0131】[実施例2]リジン・1塩酸塩37.6部
を蒸留水80部に分散し、苛性ソーダ10.3部を加え
て中和し、リジン水溶液を調製した。一方、窒素気流
下、重量平均分子量9.6万のポリコハク酸イミド10
0部を、DMF400部に溶解し、この溶液にリジン水
溶液を加え、室温で10分攪拌後、分散剤(貧溶媒)で
あるメタノール400部を装入して分散させ、20時間
反応した。反応後、吸引濾過して沈殿物を集め、メタノ
ールで洗浄し、架橋ポリコハク酸イミドのウェット・ケ
ーキを得た。
【0132】この架橋ポリコハク酸イミドのウェット・
ケーキを、蒸留水400部とメタノール400部中に分
散し、さらに27重量%苛性ソーダ水溶液122.1部
を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに2時間攪拌
後、7重量%塩酸水を用いてpH7になるまで中和し
た。中和後、メタノール300部に排出し、1時間攪拌
した。この沈殿物を濾過して集め、60℃で乾燥し、吸
水性ポリマーである架橋ポリアスパラギン酸系樹脂14
0部を得た。
【0133】この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水
量は、蒸留水で860倍、生理食塩水で70倍であっ
た。
【0134】[実施例3]リジン水溶液の代わりに、架
橋剤としてヘキサメチレンジアミン3.0部を蒸留水1
0部に溶解した水溶液を用いたこと以外は、実施例2と
同様にして架橋ポリコハク酸イミドのウェット・ケーキ
を得た。
【0135】この架橋ポリコハク酸イミドのウェット・
ケーキを、27重量%苛性ソーダ水溶液148.8部を
用いたこと以外は、実施例2と同様にして加水分解、中
和処理、回収処理、乾燥して、吸水性ポリマーである架
橋ポリアスパラギン酸系樹脂108部を得た。
【0136】この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水
量は、蒸留水で880倍、生理食塩水で70倍であっ
た。
【0137】[実施例4]リジン水溶液の代わりに、架
橋剤としてm−キシリレンジアミン3.5部をトルエン
20部に分散させた分散液を用いたこと以外は、実施例
1と同様にして乾燥前迄の工程を実施し、架橋ポリコハ
ク酸イミドのウェット・ケーキを得た。
【0138】この架橋ポリコハク酸イミドのウェット・
ケーキを、27重量%苛性ソーダ水溶液148.8部を
用いたこと以外は、実施例2と同様にして加水分解、中
和処理、回収処理、乾燥して、吸水性ポリマーである架
橋ポリアスパラギン酸系樹脂110部を得た。
【0139】この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水
量は、蒸留水で760倍、生理食塩水で65倍であっ
た。
【0140】[実施例5]リジンメチルエステル・2塩
酸塩24.0部とリジン・1塩酸塩18.8部を蒸留水
40部に分散し、苛性ソーダ12.4部を少しずつ加え
て中和し、リジン水溶液を調製した。一方、窒素気流
下、重量平均分子量9.6万のポリコハク酸イミド10
0部をDMF400部に溶解し、この溶液にリジン水溶
液を加え、室温で10分攪拌後、この反応物を8000
rpmにて回転する高速攪拌翼を備えた攪拌器中の分散
剤(貧溶媒)であるトルエン400部中に、30分かけ
て装入した。さらに10時間反応後、吸引濾過して沈殿
物を集め、トルエンで洗浄後、60℃にて2時間乾燥
し、架橋ポリコハク酸イミドを得た。
【0141】この架橋ポリコハク酸イミド130部を、
蒸留水400部とメタノール400部に分散し、さらに
27重量%苛性ソーダ水溶液122.1部を2時間かけ
て滴下した。滴下後、さらに2時間攪拌し、7重量%塩
酸水を用いて、pH7になるまで中和した。中和後、メ
タノール300部に排出し、1時間攪拌した。この沈殿
物を濾過して集め、60℃で乾燥し、吸水性ポリマーで
ある架橋ポリアスパラギン酸系樹脂125部を得た。
【0142】この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水
量は、蒸留水で620倍、生理食塩水で65倍であっ
た。
【0143】[実施例6]リジン・1塩酸塩28.2部
を蒸留水40部に分散し、苛性ソーダ9.8部を少しず
つ加えてし、リジン水溶液を調製した。一方、高速撹拌
機中に重量平均分子量9.6万のポリコハク酸イミド1
00部をDMF400部に溶解し、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム20部と分散剤(貧溶媒)であるヘ
プタン500部を装入し、15000rpmにて攪拌し
ながらリジン水溶液を20分かけて装入した。さらに2
0時間攪拌し、架橋ポリコハク酸イミドの分散液を得
た。
【0144】この架橋ポリコハク酸イミドの分散液を濾
過し、得られた固形物に蒸留水500部を加え、さらに
27重量%苛性ソーダ水溶液32.7部を2時間かけて
滴下した。滴下後、さらに2時間攪拌し、7重量%塩酸
水を用いてpH7になるまで中和した。中和後、メタノ
ール300部に排出し、1時間攪拌した。この沈殿物を
濾過して集め、60℃で乾燥し、吸水性ポリマーである
架橋ポリアスパラギン酸系樹脂155部を得た。
【0145】この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水
量は、蒸留水で480倍、生理食塩水で63倍であっ
た。
【0146】[実施例7]実施例1と同様にして得た架
橋ポリコハク酸イミド120部を蒸留水400部とメタ
ノール400部に分散し、タウリン154.7部と水酸
化ナトリウム51.0部を水400部に溶解した水溶液
を1時間かけて加え、さらに室温で20時間反応させ
た。反応後、メタノール500部を加えて樹脂を沈殿さ
せ、上澄み液をデカンテーションで除き、乾燥し、吸水
性樹脂253.5部を得た。
【0147】この吸水性樹脂の吸水量は、蒸留水で68
0倍、生理食塩水で68倍であった。
【0148】[実施例8]実施例1と同様にして得た架
橋ポリコハク酸イミド120部を蒸留水400部とメタ
ノール400部に分散し、グリシン92.8部と水酸化
ナトリウム51.0部を水200部に溶解した水溶液を
1時間かけて加え、さらに室温で20時間反応させた。
反応後、メタノール400部を加えて樹脂を沈殿させ、
上澄み液をデカンテーションで除き、乾燥し、吸水性樹
脂216.5部を得た。
【0149】この吸水性樹脂の吸水量は、蒸留水で67
0倍、生理食塩水で66倍であった。
【0150】[比較例1]リジンメチルエステル・2塩
酸塩7.2部とリジン・1塩酸塩22.6部を蒸留水4
0部に溶解し、苛性ソーダ7.8部を少しずつ加えて中
和し、リジン水溶液を調製した。一方、窒素気流下、重
量平均分子量9.6万のポリコハク酸イミド100部を
DMF400部に溶解し、この溶液にリジン水溶液を加
え、室温で撹拌した。しかし、撹拌の途中で反応液の増
粘が著しくなり、攪拌不能となったので、攪拌を止めて
30時間反応し、反応物のゲルを得た。
【0151】この反応物のゲルをメタノール1000部
に加え、室温で攪拌したが、沈殿した粒子の大きさが大
きいため撹拌速度を上げることができず、架橋物全体が
ほぐれるのに1日以上かかり、操作が困難であった。こ
のようにして得た沈殿物を吸引濾過にて集め、メタノー
ル続いて水で洗浄し、架橋ポリコハク酸イミドのウェッ
トケーキを得た。
【0152】この架橋ポリコハク酸イミドのウェット・
ケーキを、蒸留水15部とメタノール15部に懸濁し、
24重量%の水酸化ナトリウム水溶液7.3部を、懸濁
液のpHが11〜12の範囲内になるように滴下した。
pHが下がらなくなった後、希塩酸を加え反応液のpH
を7になるまで加えた。得られた混合物を100部のメ
タノールに排出し、生成した沈殿物を乾燥、粉砕して、
吸水性ポリマーである架橋ポリアスパラギン酸系樹脂
7.6部を得た。
【0153】この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水
量は、蒸留水で380倍、生理食塩水で59倍であっ
た。
【0154】[比較例2]リジンメチルエステル・2塩
酸塩6部をDMF200部に懸濁し、トリエチルアミン
6部で中和した。この懸濁液に、重量平均分子量13万
のポリコハク酸イミド50部をDMF250部に溶解し
た溶液を装入し、1時間室温で撹拌後、トリエチルアミ
ン12部を適下し、室温で40時間反応させた。反応液
をエタノールに排出し、乾燥して、架橋ポリコハク酸イ
ミド50部を得た。
【0155】この架橋ポリコハク酸イミド26部を、蒸
留水5000部に懸濁し、2NのNaOH水溶液を適下
してpHを9〜11に調整しながら、残りのイミド環の
加水分解を行った。得られた反応液をエタノールに排出
し、生成した沈殿物を濾過、乾燥し、吸水性ポリマーで
ある架橋ポリアスパラギン酸系樹脂86部を得た。
【0156】この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水
量は、蒸留水で110倍、生理食塩水で30倍であっ
た。
【0157】[実施例1〜8と比較例1〜2の比較及び
考察]比較例1は、高い吸水量を発現する架橋ポリアス
パラギン酸を製造しようとする場合の従来法であり、比
較例2は、架橋ポリアスパラギン酸を高い生産性で製造
しようとする場合の従来法である。しかしながら、比較
例1〜2では分散剤を用いていないので、総合的には良
好な結果は得られなかった。具体的には、比較例1で
は、生産性が著しく低下し、比較例2では、樹脂の吸水
量が著しく低下してしまった。
【0158】対照的に、実施例1〜6では、何れの場合
も、分散剤を用い、架橋反応を分散状態の下で行うの
で、高い吸水量を発現する架橋ポリアスパラギン酸を、
高い生産性で製造することができた。
【0159】また、実施例7〜8では、分散剤を用い
て、架橋反応を行い、アルカリで加水分解する代わりに
架橋ポリアスパラギン酸の誘導体(架橋ポリアスパラギ
ン酸系樹脂)を製造した例である。この場合も実施例1
〜6と同様に高い生産性で製造することができた。
【0160】このように、架橋反応において分散剤を用
い、分散状態としたポリコハク酸イミドと架橋剤を反応
させることにより、吸水量及び生産性の点で効果が得ら
れる。
【0161】
【発明の効果】以上説明したように、紙オムツ用、農・
園芸用等に使用される吸水体として、使用後もしくは廃
棄後に生分解性することで地球環境に優しい架橋ポリア
スパラギン酸の前駆体である架橋ポリコハク酸イミドの
製造において、架橋反応を分散状態で行うことにより、
工業的生産に適した吸水性樹脂を製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉谷 弘明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散剤により分散状態としたポリコハク
    酸イミドと、架橋剤とを架橋反応させることを特徴とす
    る架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 架橋剤がポリアミンであることを特徴と
    する請求項1に記載した架橋ポリコハク酸イミドの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 分散剤が水混和性有機溶媒であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載した架橋ポリコハク酸
    イミドの製造方法。
  4. 【請求項4】 分散剤が水不混和性有機溶媒であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載した架橋ポリコハク
    酸イミドの製造方法。
  5. 【請求項5】 分散剤が、ポリコハク酸イミドを実質的
    に完全には溶解できない有機溶媒及び水から成る群より
    選択された貧溶媒であることを特徴とする請求項1又は
    2に記載した架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリコハク酸イミドを実質的に完全に溶
    解できる有機溶媒である良溶媒にポリコハク酸イミドを
    溶解し、ポリコハク酸イミドを実質的に完全には溶解で
    きない有機溶媒及び水から成る群より選択された貧溶媒
    を加えて分散させて、前記分散状態としたポリコハク酸
    イミドと架橋剤とを反応させることを特徴とする請求項
    1乃至5の何れかに記載した架橋ポリコハク酸イミドの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリコハク酸イミドを実質的に完全に溶
    解できる有機溶媒である良溶媒と、ポリコハク酸イミド
    を実質的に完全には溶解できない有機溶媒及び水から成
    る群より選択された貧溶媒との混合溶媒中に、ポリコハ
    ク酸イミドを分散させて架橋剤と反応させることを特徴
    とする請求項1乃至5の何れかに記載した架橋ポリコハ
    ク酸イミドの製造方法。
  8. 【請求項8】 ポリコハク酸イミドを実質的に完全に溶
    解できる有機溶媒である良溶媒にポリコハク酸イミドを
    溶解し、架橋剤を加えた後、ポリコハク酸イミドを実質
    的に完全には溶解できない有機溶媒及び水から成る群よ
    り選択された貧溶媒を加えて分散させて、架橋剤と反応
    させることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載
    した架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリコハク酸イミドを実質的に完全に溶
    解できる有機溶媒である良溶媒にポリコハク酸イミドを
    溶解しかつ架橋剤を加えた溶液を、ポリコハク酸イミド
    を実質的に完全には溶解できない有機溶媒及び水から成
    る群より選択された貧溶媒中に分散させて、架橋剤と反
    応させることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記
    載した架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリコハク酸イミドの「分散状態」
    が、ポリコハク酸イミドを含有してなる固相と、分散剤
    を含有してなる液相との固/液分散である請求項1乃至
    9の何れかに記載した架橋ポリコハク酸イミドの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 「ポリコハク酸イミドを含有してなる
    固相」が、ポリコハク酸イミドを含有してなる良溶媒
    と、前記良溶媒に対して混和性の貧溶媒とを混合するこ
    とにより発現されることを特徴とする請求項10に記載
    した架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
  12. 【請求項12】 ポリコハク酸イミドの「分散状態」
    が、ポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解してなる液相
    と、分散剤を含有してなる液相との液/液分散である請
    求項1乃至9の何れかに記載した架橋ポリコハク酸イミ
    ドの製造方法。
  13. 【請求項13】 「液/液分散」が、ポリコハク酸イミ
    ドを良溶媒に溶解してなる液相と、前記良溶媒に対して
    不混和性の貧溶媒とを混合した際に、相互の液が溶解し
    ないことにより発現するものであること特徴とする請求
    項12に記載した架橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至13の何れかに記載した
    製造方法により製造された架橋ポリコハク酸イミド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0658146A4 (en) * 1993-06-10 1995-08-09 Moore Business Forms Inc METHOD FOR PRODUCING AN INVISIBLE MARKING CHARACTER.

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